JP7062395B2 - 圧縮コイルばねの製造方法 - Google Patents
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Description
C:0.5~0.7%
Cは、強度向上に寄与する。Cの含有量が0.5%未満では、強度向上の効果が十分に得られないため、耐疲労性、耐へたり性が不十分となる。一方、Cの含有量が0.7%を超えると、靭性が低下して割れが発生し易くなる。このため、Cの含有量は0.5~0.7%とする。
Siは、鋼の脱酸に有効であると共に、強度向上や焼戻し軟化抵抗向上に寄与する。Siの含有量が1.2%未満では、これらの効果が十分に得られない。一方、Siの含有量が3.0%を超えると、脱炭を助長し線材表面強度の低下を招き、また、靭性が大きく低下することからコイルばねとしての使用時に割れの発生を招く。このため、Siの含有量は1.2~3.0%とする。一方、Si量が2.4%~3.0%においてコイルばねの性能に対するその効果は同等ではあるが、この範囲におけるSi含有量の増加は素材製造における鋳造時の割れ発生の危険性を高めるため、Siの含有量は2.4%以下が好ましい。
Mnは焼入れ性の向上に寄与する。Mnの含有量が0.3%未満では、十分な焼入れ性を確保し難くなり、また、延靭性に有害となるSの固着(MnS生成)の効果も乏しくなる。一方、Mnの含有量が1.2%を超えると、延性が低下し、割れや表面キズが発生し易くなる。このため、Mnの含有量は0.3~1.2%とする。一方、Mn量が0.8%~1.2%においてコイルばねの性能に対するその効果は同等ではあるが、この範囲におけるMn含有量の増加は素材製造における伸線加工時の破断発生の危険性を高めるため、Mnの含有量は0.8%以下が好ましい。
Crは脱炭を防止するのに有効であると共に、強度向上や焼戻し軟化抵抗向上に寄与し、耐疲労性の向上に有効である。また、温間での耐へたり性向上にも有効である。このため、本発明においてはさらに、Crを0.5~1.9%含有することが好ましい。Crの含有量が0.5%未満では、これらの効果を十分に得られない。一方、Crの含有量が1.9%を超えると、靭性が低下し、割れや表面キズが発生し易くなる。
Vは熱処理により微細炭化物として析出することにより結晶粒微細化され、靱性を損なわずに強度を向上させるため、耐疲労性の向上に有効であるとともに、耐へたり性を向上させる。また、Vは焼戻し軟化抵抗向上にも寄与する。Vの含有量が0.05%に満たない場合には、そのような効果を得ることができない。一方、Vを0.5%を超えて含有すると、加熱時に炭化物を多く形成し、靭性の低下をもたらす。
Niは靱性向上に寄与するため、耐疲労性の向上に有効である。また、Niは耐食性向上に寄与する。一方、Niの含有量が1.5%を超えると逆に靭性の低下をもたらす。
Moは焼入れ性および靱性向上に寄与する。焼入れ性向上に寄与しているMnの代わりにMoを添加しても良く、またMnとともにMoを添加しても良い。靭性向上に寄与するNiの代わりにMoを添加しても良く、またNiとともにMoを添加しても良い。一方、Moの含有量が1.5%を超えると、加熱時に炭化物を多く形成し、靭性の低下をもたらす。
Wは熱処理により微細炭化物として析出することにより結晶粒が微細化され、靱性を損なわずに強度を向上させるため、耐疲労性の向上に有効である。また、Wは耐へたり性を向上させるとともに、焼戻し軟化抵抗向上にも寄与する。一方、Wの含有量が0.5%を超えると、加熱時に炭化物を多く形成し、靭性の低下をもたらす。
Bは焼入れ性を向上させ、低温脆性を防止する効果がある。また、Bは耐へたり性の向上に寄与する。焼入れ性向上に寄与しているMnの代わりにBを添加しても良く、またMnとともにBを添加しても良い。Bの含有量が0.0003%未満ではそのような効果が乏しく、0.003%を超えると、その効果が飽和し、製造性や衝撃強度を劣化させることがある。
Cuは電気化学的に鉄よりもイオン化傾向の高い金属元素であり、鋼の耐食性を高める作用を有するため、耐食性向上に有効である。Cuは、耐食性向上に寄与しているNiの代わりに添加してもよく、またNiとともに添加しても良い。Cuの含有量が0.65%を超えると、熱間加工時に割れが発生しやすくなる。
TiおよびNbはいずれもVと同様な効果を奏する元素である。これらの元素の含有量が0.05%未満ではそのような効果が乏しく、0.5%を超えると、加熱時に炭化物を多く形成し、靭性の低下をもたらす。
上記圧縮コイルばねにおいては、線材表面の硬度を高めて降伏応力を向上させるため、線材の表層部に浸炭処理によってC濃化層を形成する。降伏応力を向上させることにより、後に行うショットピーニングによって大きな表面圧縮残留応力を付与することができる。また、線材の表面粗さを改善することができる。このため、耐疲労性をさらに向上させる効果がある。このC濃化層には線材に含有されるCの平均濃度を超える濃度のCを含有させる。また、これらの効果を十分に得るため、C濃化層における最大C濃度が0.7~1.2%であり、C濃化層(浸炭深さ)は前記鋼線材の全周に亘って線材表面から0.01~0.05mmの深さの範囲内に形成する。
鋼線材の任意の線材横断面における内部硬さが600~710HVであり、C濃化層における最高硬さが内部硬さよりも30HV以上高いことが好ましい。これは、線材表面のC濃化層が内部硬さよりも高いことにより、表面近傍でさらに高い圧縮残留応力を得ることができ、表面近傍(最表面を含む)を起点とする疲労亀裂の発生を防止できるからである。上記数値が30HV未満であると、これらの効果が顕著に現れない。
SEM/EBSD(Electron Back Scatter Diffraction)法を用いて測定した平均結晶粒径(方位角度差5°以上の境界を粒界とする)が1.3μm以下であることが好ましい。平均結晶粒径が1.3μmを超えた場合には、十分な耐疲労性を得難くなる。そして、平均結晶粒径が小さいこと、すなわち、旧オーステナイト粒内のブロックやラスが微細であることは、亀裂進展に対する抵抗が大きいため、耐疲労性の向上に対し好適である。
本発明者等は、バルブスプリングやクラッチトーションスプリングとして要求される作用応力と、疲労折損起点と成りうる様々な要因(延靭性、非金属系介在物、不完全焼入れ組織等の異常組織、表面粗さ、表面キズ等々)との関係における破壊力学的計算、および、実際の耐久試験等による検証から、コイルばねの線材表面近傍に必要な圧縮残留応力について次の結論を得た。なお、上記圧縮残留応力は、ばねに圧縮荷重を負荷した場合の略最大主応力方向、すなわち、線材の軸方向に対し+45°方向におけるものである。
X線回折法を用いて測定した残留オーステナイト体積率γRについて、縦軸を残留オーステナイト体積率、横軸を表面からの深さとした残留オーステナイト分布曲線において、表面から0.5mm深さまでの積分値をIγRと表したとき、IγRが3.4%・mm以下であることが望ましい。このように、残留オーステナイトを制限することにより、耐へたり性を向上させることができる。
高負荷応力下で使用されるバルブスプリングやクラッチトーションスプリング等としては、要求される耐疲労性を満足するために、上述の圧縮残留応力分布と共に表面粗さも重要である。本発明者らが破壊力学的計算とその検証実験を行った結果、表面起点による亀裂の発生・進展に対しては、表面キズの深さ(すなわち、表面粗さRz(最大高さ))を20μm以下とすることで、その影響を無害化できることが判明している。このため、表面粗さRzが、20μm以下であることが好ましい。Rzが20μmを超える場合、表面の谷部が応力集中源となり、その谷部を起点とした亀裂の発生・進展が起こり易くなるため、早期折損を招き易い。
本発明は、コイリング時の加工度が大きく、高い耐疲労性が必要とされる、次に挙げる仕様の圧縮コイルばねに好適である。本発明は、線材の円相当直径(線材横断面積から算出した真円とした場合の直径、角形や卵形をはじめとした非円形断面も含む)が1.5~10mm、ばね指数が3~20である、一般的に冷間成形されている圧縮コイルばねに利用できる。
図1の工程(A)は、第1実施形態の製造工程を示す。まず、質量%で、Cを0.5~0.7%、Siを1.2~3.0%、Mnを0.3~1.2%、Crを0.5~1.9%、Vを0.05~0.5%含むと共に、任意成分としてNiを1.5%以下,Moを1.5%以下、Wを0.5%以下のうち1種または2種以上を含み、残部が鉄および不可避不純物からなる円相当直径が1.5~10mmの鋼線材Mを用意する。この鋼線材Mを線出機(図示省略)によりフィードローラ10へ供給し、高周波加熱コイル40によって鋼線材Mを2.5秒以内でオーステナイト域に加熱後、コイリング部20においてコイリングを行う(コイリング工程)。
図1の工程(B)では、工程(A)において用いた鋼線材Mを任意のコイリングマシンによって冷間コイリングを行う(コイリング工程)。そして、コイリング後の鋼線材を炭化水素系ガスを含む減圧条件下でオーステナイト域まで昇温し、焼入れ(焼入れ剤としては、たとえば60℃程度の油)を行う(浸炭+焼入れ工程)。次に、工程(A)と同様に、焼戻し工程、ショットピーニング工程、およびセッチング工程を順に行う。
各製造工程によってコイルばねのサンプルを作製し、耐疲労性の評価を行った。まず、表1に記載の化学成分を有し、残部が鉄および不可避不純物からなるオイルテンパー線を用意した。そして、オイルテンパー線に対して、図1に示す製造工程A~Cに従って、熱間成形法または冷間成形法により、線径4.1mm、ばね指数6、総巻数5.75巻、有効巻数3.25巻、クローズドエンドのコイルばねを作製した。なお、表1において「OT線」とはオイルテンパー線の意味である。
このようにして得たサンプルに対し、以下の通り諸性質を調査した。その結果を表3に示す。
ビッカース硬さ試験機(フューチャテック FM-600)を用いてコイルばねの線材横断面における硬さを測定した。測定荷重は表面から深さ0.02mmの位置(表3における「表面」)では25gf、深さd(線径)/4mmの位置(表3における「内部」)では200gfとし、各深さについて同心上の任意の3点で測定し、その平均値を算出した。
コイルばねの内径側表面において、線材の線軸方向に対し+45°方向(ばねに圧縮荷重を負荷した場合の略最大主応力方向)の圧縮残留応力を、X線回折型残留応力測定装置(リガク製)を用いて測定した。測定は、管球:Cr、コリメータ径:0.5mmとして行った。また、コイルばねに対して塩酸を用いて線材表面の全面化学研磨後上記測定を行い、これを繰返すことで深さ方向の残留応力分布を求め、その結果からクロッシングポイントを求めた。また、圧縮残留応力積分値は、深さと残留応力の関係図における、表面からクロッシングポイントまでの圧縮残留応力を積分することにより算出した。なお、一例として発明例1の残留応力分布を図3に示す。
コイルばねの線材横断面において、60°毎に6箇所測定し、表面C濃度の平均値、C濃化層の厚さの平均値、最大値、および最小値を測定した。測定にはEPMA(島津製作所 EPMA-1600)を用い、ビーム径1μm、測定ピッチ1μmとしてライン分析を行った。C濃化層厚さは、線材内部と同じC濃度となるまでの表面からの深さとした。
コイルばねの線材横断面において、最表面から0.5mmまでの各測定深さについて、60°毎に6箇所残留オーステナイトの体積率を測定し、縦軸を残留オーステナイト体積率、横軸を素線半径方向とした残留オーステナイト分布曲線において、表面から0.5mm深さまでの積分値IγRを求めた。測定には、2次元PSPC搭載X線回折装置(ブルカーD8 DISCOVER)を用いた。なお、一例として発明例1の残留オーステナイト分布を図4に示す。
非接触三次元形状測定装置(MITAKA NH-3)を用いてJIS B0601に準拠して表面粗さの測定を行った。測定条件は、測定倍率:100倍、測定距離:4mm、測定ピッチ:0.002mm、カットオフ値:0.8mmとした。
SEM/EBSD(Electron Back Scatter Diffraction)法により、JEOL JSM-7000F(TSLソリューションズ OIM-Analysys Ver.4.6)を用いて、平均結晶粒径を測定した。ここで、測定はコイルばねの横断面の深さd/4の位置において行い、観察倍率5000倍で行い、方位角度差5°以上の境界を粒界として平均結晶粒径を算出した。
油圧サーボ型疲労試験機(鷺宮製作所)を用いて室温(大気中)において疲労試験を行った。表1の成分A,Bのものについては、試験応力:735±686MPa、周波数:20Hz、試験数:各7本であり、2千万回加振時の折損率(折損数/試験本数)で耐疲労性を評価した。成分Cのものについては、試験応力:760±711MPa、周波数:20Hz、試験数:各7本であり、2千万回加振時の折損率(折損数/試験本数)で耐疲労性を評価した。
コイルばねに対して温間締付試験を行った。その際の条件は、試験応力:1100MPa、試験温度:120℃、試験時間:48時間である。そして、下記数1を用いて試験前に対する試験後の荷重損失量から残留せん断ひずみ率Δγを算出した。
(1)硬さ
表3から分かるように、工程(A)の熱間成形法によって作製した発明例1~7では、内部硬さが600~710HVであり、高い耐疲労性が得られる。一方、比較例2、3の結果から、熱間成形法によって作製したコイルばねでも、硬さが600HV未満もしくは710HV以上の場合は十分な耐疲労性が得られない。また、発明例1~7では浸炭によって表面の硬さが内部と比較して30HV以上高くなっている。これによって表面近傍で高い圧縮残留応力を得ることができ、表面近傍(最表面含む)を起点とする疲労亀裂の発生を防止できる(耐疲労性向上)。一方、比較例1では表面の硬さ上昇が30HV未満であり、作動時に接触を繰り返す線間部での摩耗が激しく、同部からの早期折損に至っており、十分な耐疲労性が得られていない。
発明例1~7では、I-σRは180MPa・mm以上であり、深く大きな圧縮残留応力が得られ、耐疲労性が良好である。一方、比較例7,8ではI-σRは150MPa・mm以下であり、圧縮残留応力が浅く小さく、耐疲労性が低下している。この理由は、工程(A)によって作製した発明例1~7では、冷間コイリングにおいて発生する引張残留応力(コイル内径側に残存)が、熱間コイリングではほとんど発生しないため、冷間コイリングによって引張残留応力が発生した比較例7,8と比べ、ショットピーニングによる圧縮残留応力が表面から深くまで入り易いためである。
発明例1~7では表面C濃度0.7~1.2%、C濃化層厚さ(線材内部と同じC濃度となる表面からの深さ)0.01mm以上0.05mm以下の浸炭がされており、表面近傍での硬さが高いことから、表面近傍での高い圧縮残留応力が得られ、また、表面粗さも改善されることで高い耐疲労性を得ることができる。一方、比較例5では平均C濃化層厚さは発明例1~7と同等であるが、浸炭方法が異なるためC濃化層厚さのばらつきが大きい。そのため、C濃化層厚さが大きい箇所では0.05mmを超えており、過剰な浸炭が残留オーステナイトの増加を招いている。発明例1~7ではIγR(深さとγRの関係図における、γRの表面から0.5mm深さまでの積分値)は、3.1%・mm以下であるのに対し、比較例5では3.5%・mmと大きく、結果として、発明例1~7が残留せん断ひずみ率Δγが0.050~0.065と小さく耐へたり性が良好であるのに対し、比較例5では残留せん断ひずみ率Δγが0.080と大きく、耐へたり性が低下している。また比較例6では表面のC濃度が1.1%、C濃化層厚さが0.90mmとなっており、過剰な浸炭がなされていることで、残留オーステナイトの増加を招いており、IγRが3.55%・mmと大きく、結果として、発明例1~7に比べ、残留せん断ひずみ率Δγが0.093と耐へたり性が低下している。
高い耐疲労性の得られた発明例1~7について、表面粗さRz(最大高さ)は12.0μm以下であり、所望する表面粗さRz20μm以下を十分に満足している。ここで、Rzが20μmを超えた場合は、表面粗さにおける谷部が応力集中源となり、その谷部を起点として亀裂が発生・進展し、その結果として早期折損を招く。また、この表面粗さは、コイリング時におけるツール類との擦れや、ショットピーニング処理により形成されるものである。そしてショットピーニング処理により形成される表面粗さについては、線材の硬さと、ショットの粒径・硬さ・投射速度といった条件との組み合わせによりその大きさが決まる。よって、Rzが20μmを超えないよう、ショットピーニングの条件は適宜設定する必要がある。
発明例では、平均結晶粒径(dGS)が0.84~1.30μmであり、微細な結晶構造を有する。これは、前述のように、高周波加熱によって短時間で加熱を行うことが組織の粗大化抑制、あるいは微細化に繋がったためであり、その結果、発明例1~7では微細な平均結晶粒径が得られ耐疲労性が向上している。これに対して、比較例4ではコイリング・浸炭温度が高く、発明例と比べ平均結晶粒径(dGS)が1.35μmと大きい。そのため、耐へたり性・耐疲労性が低下している。
Claims (9)
- コイルばね成形機によりCを0.5~0.7質量%含有する鋼線材を熱間成形するコイリング工程と、コイリングした後に切離され温度が未だオーステナイト域にあるコイルをそのまま焼入れする焼入れ工程と、焼入れされたコイルを調質する焼戻し工程と、線材表面に圧縮残留応力を付与するショットピーニング工程とを備えた圧縮コイルばねの製造方法において、前記コイリング工程では、加熱、浸炭および熱間成形を行い、前記コイルばね成形機は、連続的に鋼線材を供給するためのフィードローラと、鋼線材をコイル状に成形するコイリング部と、鋼線材を所定巻数コイリングした後に後方より連続して供給されてくる鋼線材とを切断するための切断手段とを有し、
前記コイリング部は、前記フィードローラにより供給された鋼線材を加工部の適切な位置へ誘導するためのワイヤガイドと、前記ワイヤガイドを経由して供給された鋼線材をコイル形状に加工するためのコイリングピンもしくはコイリングローラからなるコイリングツールと、ピッチを付けるためのピッチツールとを備えており、
前記コイルばね成形機は、さらに、前記フィードローラの出口から前記コイリングツールの間に鋼線材をオーステナイト域まで昇温する加熱手段を有し、前記加熱手段における鋼線材入口側から前記コイリングツールに至る間の一部または全域に前記鋼線材の外周を覆う囲い部材が配置され、前記囲い部材内に炭化水素系ガスを供給するガス供給手段を有し、
前記加熱手段が高周波加熱装置であり、前記鋼線材の通路経路上に鋼線材と同心となるように高周波加熱コイルが配置され、
前記高周波加熱コイルの内側に前記囲い部材が配置され、前記高周波加熱コイルは前記鋼線材を直接加熱することにより、前記鋼線材の表層部に前記鋼線材に含まれるCの平均濃度を超えるC濃化層を形成し、前記鋼線材の全周に亘って前記C濃化層の厚さを0.01~0.05mmの範囲にするとともに、前記C濃化層における最大C濃度を0.7~1.2質量%にすることを特徴とする圧縮コイルばねの製造方法。 - 前記囲い部材はセラミックスからなることを特徴とする請求項1に記載の圧縮コイルばねの製造方法。
- 前記囲い部材は、その両端部に囲い部材よりも小径の鋼線材入口および鋼線材出口を備え、前記ガス供給部は、前記囲い部材の前記鋼線材入口から内部に炭化水素系ガスを供給することを特徴とする請求項1または2に記載の圧縮コイルばねの製造方法。
- 前記囲い部材は、その両端部に囲い部材よりも小径の鋼線材入口および鋼線材出口を備え、前記ガス供給部は、前記囲い部材の前記鋼線材出口から内部に炭化水素系ガスを供給することを特徴とする請求項1または2に記載の圧縮コイルばねの製造方法。
- 前期鋼線材の任意の線材横断面における内部硬さを600~710HVとし、前記C濃化層における最高硬さを内部硬さよりも30HV以上高くすることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の圧縮コイルばねの製造方法。
- SEM/EBSD法を用いて測定した平均結晶粒径(方位角度差5°以上の境界を粒界とする)を1.3μm以下にすることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の圧縮コイルばねの製造方法。
- コイルばねに圧縮荷重を負荷した場合に生じるコイルばね内径側の最大主応力方向において、無負荷時の圧縮残留応力の値がゼロとなる前記線材の表面からの深さをクロッシングポイントとし、縦軸を残留応力、横軸を表面からの深さとした残留応力分布曲線において表面からクロッシングポイントまでの積分値をI-σRと表したとき、I-σR を150MPa・mm以上にすることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の圧縮コイルばねの製造方法。
- X線回折法を用いて測定した残留オーステナイト体積率γRについて、縦軸を残留オーステナイト体積率、横軸を表面からの深さとした残留オーステナイト分布曲線において、表面から0.5mm深さまでの積分値をIγRとあらわしたとき、IγRを3.4%・mm以下にすることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の圧縮コイルばねの製造方法。
- 表面粗さRz(最大高さ)を20μm以下にすることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の圧縮コイルばねの製造方法。
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