JP7062281B2 - 蛍光体素子評価方法、蛍光体素子評価プログラムおよび蛍光体素子評価装置 - Google Patents

蛍光体素子評価方法、蛍光体素子評価プログラムおよび蛍光体素子評価装置 Download PDF

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Description

本発明は、蛍光体素子評価方法、蛍光体素子評価プログラムおよび蛍光体素子評価装置に関する。
ディスプレイや照明用の光源として、LEDやレーザを励起光とする蛍光体素子が使われている。蛍光体素子では、高い光取り出し効率を得るために、様々な改善が行われている(例えば、下記の特許文献1参照)。
国際公開WO2014/123145号公報
蛍光体素子の光取り出し効率を改善するにあたって、蛍光体材料の内部構造を三次元的に複雑にした構造にすることが考えられる。しかし、蛍光体材料の内部構造を的確に評価することの可能な光学シミュレーション手法が未だ存在していないという問題があった。従って、蛍光体材料の内部構造の設計を適切に行うことの可能な蛍光体素子評価方法、蛍光体素子評価プログラムおよび蛍光体素子評価装置を提供することが望ましい。
本発明の一実施の形態に係る蛍光体素子評価方法は、以下の2つのステップを含む。
(A1)複数のグレイン媒質を含む蛍光体素子の画像データに基づいて、グレイン境界の間隔分布および法線角度分布を導出するグレイン構造解析ステップ
(A2)導出した間隔分布および法線角度分布に基づいて、確率的光線追跡を行い、蛍光体素子の外部に放出される蛍光の放射パターンを導出する放射パターン解析ステップ
本発明の一実施の形態に係る蛍光体素子評価プログラムは、以下の2つのステップをコンピュータに実行させる。
(B1)複数のグレイン媒質を含む蛍光体素子の画像データに基づいて、グレイン境界の間隔分布および法線角度分布を導出するグレイン構造解析ステップ
(B2)導出した間隔分布および法線角度分布に基づいて、確率的光線追跡を行い、蛍光体素子の外部に放出される蛍光の放射パターンを導出する放射パターン解析ステップ
本発明の一実施の形態に係る蛍光体素子評価装置は、演算回路を備えている。この演算回路は、以下の2つのステップを実行する。
(C1)複数のグレイン媒質を含む蛍光体素子の画像データに基づいて、グレイン境界の間隔分布および法線角度分布を導出するグレイン構造解析ステップ
(C2)導出した間隔分布および法線角度分布に基づいて、確率的光線追跡を行い、蛍光体素子の外部に放出される蛍光の放射パターンを導出する放射パターン解析ステップ
本発明の一実施の形態に係る蛍光体素子評価方法、蛍光体素子評価プログラム、蛍光体素子評価装置によれば、蛍光体素子の評価に画像データを用いるようにしたので、素子の設計を適切に行うことができる。
蛍光体素子の画像の一例を表す図である。 図1の画像を二値化することにより得られる画像の一例を表す図である。 グレイン間隔を説明するための図である。 グレイン間隔の分布の一例を表す図である。 グレイン境界角度の分布の一例を表す図である。 2種類の媒質で構成された蛍光体素子内の光伝搬の一例を表す図である。 グレイン境界における入射角と反射率との関係の一例を表す図である。 発射光線1本の場合の光線追跡例を表す図である。 発射光線10本、100本、1000本の場合の光線追跡例を表す図である。 ディテクタで検出された光線分布(放射パターン)の一例を表す図である。 PSFの中央断面あるいはLSFとローレンツ分布関数との一例を表す図である。 本発明の一実施の形態に係る蛍光体素子評価装置の概略構成の一例を表す図である。 図11の蛍光体素子評価装置における蛍光体素子評価手順の一例を表す図である。 PSFの中央断面とローレンツ分布関数との一例を表す図である。 グレイン媒質間の屈折率差に対する蛍光の取り出し量の一例を表す図である。 グレイン媒質間の屈折率差に対する蛍光の取り出し量の一例を表す図である。 グレイン媒質間の屈折率差に対する蛍光の取り出し量の一例を表す図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本発明は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。
<1.蛍光体素子の評価方法>
本発明の一実施の形態に係る蛍光体素子の評価方法について説明する。ここでは、以下の内容を以下の順番で説明する。
(1-1)グレイン構造解析について
(1-2)放射パターン解析について
(1-1)グレイン構造解析について
図1は、Ceが添加されたYAG単結晶(第1グレイン媒質110)と、サファイア単結晶(第2グレイン媒質120)との共晶である蛍光体素子100の、光学顕微鏡を介して取得した画像データ200の一例を表したものである。画像データ200は、蛍光体素子100の断面を光学的に拡大させた画像データ、または、光学的およびデジタル的に拡大させた画像データである。画像データ200から、蛍光体素子100が複雑な三次元グレイン構造を有することがわかる。つまり、蛍光体素子100は、第1グレイン媒質110と第2グレイン媒質120とが絡み合った三次元構造を備えている。第1グレイン媒質110は、単結晶で構成された蛍光グレイン媒質である。第2グレイン媒質120は、単結晶で構成された非蛍光グレイン媒質である。
なお、蛍光体素子100は、1または複数の第1グレイン媒質110と1または複数の第2グレイン媒質120とが絡み合った三次元構造を備えていてもよい。このとき、1または複数の第1グレイン媒質110のうち、少なくとも1つの第1グレイン媒質110は、蛍光物質を添加したYAG単結晶もしくはYAG多結晶を含んでいる。また、1または複数の第2グレイン媒質120のうち、少なくとも1つの第2グレイン媒質120は、サファイア単結晶もしくはサファイア多結晶を含んでいる。
画像データ200から光線追跡に必要な情報である統計的なグレイン境界Bの間隔分布とその法線角度分布を得るために、画像データ200に対して、蛍光体素子100に含まれるグレイン媒質の種類ごとに分類可能な処理を行い、これにより、画像データ300を生成する。画像データ300が、本発明の「補正画像データ」の一具体例に相当する。例えば、画像データ200の明るさの移動平均値を閾値として、画像データ200の二値化を行うことにより、画像データ300を生成する。図2は、画像データ200を二値化することにより得られる画像データ300の一例を表したものである。図2には、地点aから地点bまでジグザグに伝搬する光線Lのイメージが示されている。
グレイン境界Bとは、複数種類の媒質が混在する材料内での界面を指している。グレイン境界Bの間隔(以下、「グレイン間隔d」と称する。)とは、複数種類の媒質が混在する材料内に任意の直線Lineを通したときに、その直線Lineと、互いに隣接する2つのグレイン境界Bとが互いに交わる2つの交点の距離を指している。グレイン境界Bの法線角度θ(以下、「グレイン境界角度θ」と称する。)とは、グレイン境界Bの法線と、上記直線Lineとのなす角である。
本実施の形態において、材料内に混在する媒質が2種類となっている場合、その2種類の媒質のうち一方の媒質が、Ceが添加されたYAG単結晶(第1グレイン媒質110)であり、他方の媒質が、サファイア単結晶(第2グレイン媒質120)である。このとき、例えば、図3に示したように、第1グレイン媒質110および第2グレイン媒質120が混在する材料内には、多数のグレイン境界B1,B2,B3,B4,B5・・・(以下、「グレイン境界B」と総称する。)が存在する。各グレイン境界Bには、上述の直線Lineが交差しており、各グレイン境界Bと、上述の直線Lineとが互いに交差する箇所の距離が、グレイン間隔d1,d2,d3,d4,d5・・・(以下、「グレイン間隔d」と総称する。)である。各グレイン境界Bの法線を、各グレイン境界Bと、上述の直線Lineとが互いに交差する箇所に設け、その法線と、上述の直線Lineとのなす角がグレイン境界角度θ1,θ2,θ3,θ4,θ5(以下、「グレイン境界角度θ」と総称する。)である。
次に、画像データ300において1つまたは複数の直線を横切る二値化データの境界(エッジ)の間隔(グレイン間隔d)を計測し、それにより、グレイン間隔dの分布を導出する。図4は、導出されたグレイン間隔dの分布の一例を表したものである。図4では、グレイン間隔dの分布は、指数関数分布となっている。また、図4では、グレイン間隔dの分布の単純平均値(以下、「平均グレイン間隔davg」と称する。)は、20μmである。次に、画像データ300において1つまたは複数の直線を横切る二値化データにおいて、1本の直線上で互いに隣り合う2つの二値化データの境界(エッジ)の傾き(法線角度(グレイン境界角度θ))を計測し、それにより、グレイン境界角度θの分布(グレイン境界Bの法線角度分布)を導出する。図5は、グレイン境界角度θの分布の一例を表したものである。図5では、グレイン境界角度θの分布(グレイン境界Bの法線角度分布)は正規分布に従い、その標準偏差は24°である。
なお、蛍光体素子100の材料は、上述したような2種類の単結晶(グレイン媒質)からなる蛍光体材料に限定されるものではなく、2種類の多結晶(グレイン媒質)からなる蛍光体材料によって構成されていてもよい。また、蛍光体素子100の材料は、3種類以上の単結晶(グレイン媒質)からなる蛍光体材料によって構成されていてもよいし、3種類以上の多結晶(グレイン媒質)からなる蛍光体材料によって構成されていてもよい。この場合、画像データ200の明るさの移動平均値を閾値として、画像データ200の多値化を行う。多値化とは、蛍光体素子100に含まれる単結晶(もしくは多結晶)の種類の数で画像データ200をグレースケール化することを指す。さらに、画像データ300において1つまたは複数の直線を横切る多値化データに基づいて、グレイン間隔dの分布や、グレイン境界角度θの分布を導出する。
以上のことから、グレイン構造解析では、顕微鏡を介して取得した、蛍光体素子100の画像データ200を二値化もしくは多値化することにより得られる画像データ300(二値化画像もしくは多値化画像)に基づいて、統計データ(具体的には、グレイン間隔dの分布や、グレイン境界角度θの分布)が取得される。なお、グレイン間隔dの分布や、グレイン境界角度θの分布の具体的な導出方法は、上述の方法に限られない。
(1-2)放射パターン解析について
まず、グレイン構造解析で得られたグレイン間隔dの分布の単純平均(平均グレイン間隔davg)に基づいて、多重度の低い多重指数分布関数で近似された、グレイン間隔dの分布の確率密度関数(第1確率密度関数)を導出する。さらに、グレイン構造解析で得られたグレイン境界角度θの分布の標準偏差に基づいて、正規分布関数で近似された、グレイン境界角度θの分布の確率密度関数(第2確率密度関数)を導出する。次に、導出したそれぞれの確率密度関数に支配された乱数を用いて、確率的光線追跡(具体的にはモンテカルロ光線追跡)を行う。
まずは、導出したそれぞれの確率密度関数に支配された乱数を発生させて、グレイン間隔dおよびグレイン境界角度θを得る。これにより、グレイン境界B1が設定される。図6には、乱数の発生により得られたグレイン境界B1が模式的に例示されている。
次に、グレイン境界B1に対して光線L1を入射させる。そして、入射する光線L1の位置と進行方向から、光線L1とグレイン境界B1との交点を求める。その交点において、フレネル公式を用いて屈折、反射の判定を行い、スネルの法則を用いて光線L1の方向変化を導出する。ここで、隣接するグレイン境界B同士の間は、同一媒質で満たされていることに注意する。図6には、グレイン境界B1において、光線L1が屈折し、光線L2となって第2グレイン媒質120に入射する様子が例示されている。次に、再び乱数を発生させて、次のグレイン間隔dおよびグレイン境界角度θを得る。これにより、グレイン境界B2が設定される。図6には、乱数の発生により得られたグレイン境界B2が模式的に例示されている。このように、本実施の形態に係る確率的光線追跡では、乱数を用いてグレイン境界Bを生成し、生成したグレイン境界Bで光線Lを屈折もしくは反射させる、という手順を繰り返して、光線Lを追跡する。
実際には、三次元グレイン構造に対して光線追跡をする必要がある。そこで、三次元空間の直交座標系三軸(x,y,z)に対して、三対のグレイン間隔(dx,dy,dzとグレイン境界角度(θx,θy,θz)を同時に発生させて、最初に光線Lが到達するグレイン境界Bを選択して、光線追跡を進める。
上述の屈折、反射の判定においては、屈折および反射のいずれかを選択して1本の光線Lを追跡し続けることが、計算の煩雑さを避けるという観点で望ましい。例として、図7のように境界前後の媒質の屈折率に対してフレネル公式により得られる反射率の入射角依存性の全反射角(例では76.6°)を境として、全反射角未満の入射光線に対しては屈折を選択し、全反射角以上の入射光線に対しては反射を選択する。このように、各境界面において、全反射角を境として屈折、反射の二者択一とすることが望ましい。または、反射率の入射角依存性を確率密度関数として、その確率密度関数に支配された乱数を利用してロシアンルーレットと呼ばれる方式で生き残る(光線追跡を続行させる)1つの光線を選択することも可能である。
蛍光体素子100の外部の境界面(出射端面)の形状に関しては、出射端面の法線角度分布の標準偏差を用いて定める。ちなみに、標準偏差=0は鏡面を意味する。その後、蛍光体素子100の外部の屈折率(一般的には空気の屈折率=1)を考慮して、上記と同様な屈折、反射の判定および取り扱いをする。
以下に確率的光線追跡例を示す。図8は、発射光線1本の場合の光線追跡例である。計算条件は、以下の通りである。
・蛍光体素子100のサイズ:5mm角
・蛍光体素子100の厚み:0.2mm
・蛍光体素子100に含まれるグレイン媒質の種類:2種類
媒質1の屈折率:1.83
媒質2の屈折率:1.77
・蛍光体素子100の裏面:全反射面(鏡面)
・蛍光体素子100の出射端面の法線角度分布:標準偏差=0(鏡面)
図8に示したように、蛍光(波長550nm)は、蛍光体素子100の中央裏面を発射点として、表面の空気界面および裏面の全反射面での反射も含めながら三次元方向にジグザグに内部伝搬をして、やがて空気中に射出される。この内部光伝搬が「横伝搬」と理解される。
図9に、発射点の位置が同じで発射角度が互いに異なる光線10本、100本、および1000本のときの光線追跡結果を示す。光線本数を増やしたときに、横伝搬により空気中に射出される光線の分布に拡がりが生じていることがわかる。そこで、発射点の位置が同じで発射角度が互いに異なる多数の光線を追跡して、蛍光体素子100から空気中に射出される光線を蛍光体素子100直近に配置したディテクタで検出することにより、光線分布(放射パターン)を得る。光線分布(放射パターン)例を図10に示す。ディテクタで検出される光線数から、蛍光の取り出し量を導出することができる。
ディテクタによって得られた放射パターンは、いわゆる点像強度分布(PSF)であり、PSFを一次元方向に積分すると線像強度分布(LSF)が得られる。以上の計算例から、PSFの中央断面、あるいはLSFはローレンツ分布関数でフィッティングできることがわかる(図11参照)。また、放射パターンは、厚みで規格化することが可能である。
上述のグレイン構造解析と、その解析結果を用いた放射パターン解析に至るまでの一連の光学シミュレーションは、例えば、図12に示した蛍光体素子評価装置200によって行うことが可能である。
(蛍光体素子評価装置200)
[構成]
図12は、本発明の一実施の形態に係る蛍光体素子評価装置200の概略構成の一例を表したものである。蛍光体素子評価装置200は、上述のグレイン構造解析と、上述の放射パターン解析とを行うための装置である。蛍光体素子評価装置200は、制御部210と、入力部220と、蛍光体素子評価プログラム230Aを記憶する記憶部230と、表示部240とを備えている。制御部210が、本発明の「演算回路」の一具体例に相当する。
制御部210は、入力部220からの入力を受け付けたり、受け付けた入力内容に基づく処理を行ったり、処理結果などを表示部240に表示させたりする。制御部210は、また、記憶部230に記憶されている蛍光体素子評価プログラム230Aが制御部210にロードされたときに、蛍光体素子評価プログラム230Aに記述された一連の動作を実行する。蛍光体素子評価プログラム230Aのロードされた制御部210(以下、単に「制御部210」と称する。)は、上述のグレイン構造解析と、上述の放射パターン解析とを行う。つまり、蛍光体素子評価プログラム230Aは、上述のグレイン構造解析と、上述の放射パターン解析とを制御部210に実行させる。
制御部210は、例えば、プロセッサなどによって構成されている。入力部220は、例えば、キーボード、マウスもしくはタッチパネルなどのユーザインターフェースと、USB(Universal Serial Bus)ポートもしくはLAN(local area network)ポートなどのデータ通信インターフェースとを含んで構成されている。記憶部230は、例えば、不揮発性メモリによって構成されており、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、抵抗変化型メモリなどによって構成されている。表示部240は、例えば、液晶パネル、または有機ELパネルなどによって構成されている。
[動作]
次に、蛍光体素子評価装置200(制御部210)の動作について説明する。図13は、蛍光体素子評価装置200(制御部210)における蛍光体素子100の評価手順の一例を表したものである。
制御部210は、まず、グレイン構造解析を行う。
具体的には、制御部210は、まず、光学顕微鏡を介して撮像した、蛍光体素子100の断面写真(画像データ200)を、入力部220を介して取得する(ステップS101)。制御部210は、画像データ200に対してデジタル的な拡大処理を行ってもよい。次に、制御部210は、画像データ200の明るさの移動平均値を閾値として、画像データ200の二値化もしくは多値化を行う(ステップS102)。これにより、制御部210は、二値化画像もしくは多値化画像(以下、これらを「画像データ300」と総称する。)を得る。次に、制御部210は、画像データ300において1つまたは複数の直線を横切る二値化データの境界(エッジ)の間隔(グレイン間隔d)を計測し、それにより、グレイン間隔dの分布を導出する(ステップS103)。制御部210は、さらに、画像データ300において1つまたは複数の直線を横切る二値化データもしくは多値化データにおいて、1本の直線上で互いに隣り合う2つの二値化データもしくは多値化データの境界(エッジ)の法線角度(グレイン境界角度θ)を計測し、それにより、グレイン境界角度θの分布を導出する(ステップS103)。
次に、制御部210は、確率的光線追跡を行う。制御部210は、グレイン構造解析で得られたグレイン間隔dの分布およびグレイン境界角度θの分布に基づいて、確率的光線追跡を行い、蛍光体素子100の外部に放出される蛍光の放射パターンを導出する。
具体的には、制御部210は、まず、グレイン構造解析で得られたグレイン間隔dの分布の単純平均(平均グレイン間隔davg)に基づいて、指数分布関数で近似された、グレイン間隔dの分布の確率密度関数を導出する。制御部210は、さらに、グレイン構造解析で得られたグレイン境界角度θの分布の標準偏差に基づいて、正規分布関数で近似された、グレイン境界角度θの分布の確率密度関数を導出する。次に、制御部210は、発射点から光線を所定の角度で発射させる(ステップS104)。このとき、制御部210は、発射点から発射させる光線として、ランバーシアン光もしくは等方的な均等光に含まれる1本の光線を選択する。次に、制御部210は、導出したそれぞれの確率密度関数に支配された乱数を用いて、確率的光線追跡を行う。つまり、制御部210は、蛍光体素子100内の所定の点(発射点)から発せられるランバーシアン光もしくは等方的な均等光を用いて、確率的光線追跡を行う。
制御部210は、まずは、導出したそれぞれの確率密度関数に支配された乱数を発生させて、グレイン間隔dおよびグレイン境界角度θを得る(ステップS105)。これにより、制御部210は、グレイン間隔がdでグレイン境界角度がθのグレイン境界Bを設定する。制御部210は、例えば、図6に示したように、グレイン間隔d1・グレイン境界角度θ1のグレイン境界B1を設定する。次に、制御部210は、入射する光線Lの位置と進行方向から、光線Lとグレイン境界Bとの交点を求める。制御部210は、その交点において、フレネル公式を用いて屈折、反射の判定を行い、スネルの法則を用いて光線Lの方向変化を導出する(ステップS106)。制御部210は、例えば、第1グレイン媒質110内を伝播する光線L1の位置と進行方向から、光線L1とグレイン境界B1との交点を求め、その交点において、フレネル公式を用いて屈折、反射の判定を行い、スネルの法則を用いて光線L1の方向変化を導出する。
次に、制御部210は、光線Lが蛍光体素子100の外部に射出されるか、または、光線Lが打ち切られるかを判定する(ステップS107)。ここで、光線Lの打ち切り条件を設定する。打ち切り条件は、例えば、今までに入射したグレイン境界Bの総数または今までの総伝搬距離で設定される。その結果、光線Lが蛍光体素子100の外部に射出されるか、または、光線Lが打ち切られる場合には、制御部210は、発射される光線Lの数が設定値に到達したか否かを判定する(ステップS108)。その結果、発射される光線Lの数が設定値に到達した場合には、制御部210は、蛍光体素子100から外部に放出される光線数に基づいて、放射パターンおよび蛍光の取り出し量を導出する(ステップS109)。制御部210は、例えば、放射パターンをローレンツ分布関数で近似して、蛍光体素子100の外部に放出される蛍光の取り出し量を導出する。その後、制御部210は、確率的光線追跡を終了する。発射される光線Lの数が設定値に到達していない場合には、制御部210は、発射点から次の光線Lを先の角度とは異なる角度で発射させ(ステップS104)、ステップS105以降を実行する。制御部210は、例えば、図6に示したように、光線L1とグレイン境界B1との交点から、次の光線L2を、光線L1とは異なる角度で発射させる。
一方、光線が蛍光体素子100の外部に射出されない、または、光線が打ち切られない場合には、制御部210は、再び乱数を発生させて、次のグレイン間隔dおよびグレイン境界角度θを取得し(ステップS105)、ステップS106以降を実行する。このようにして、上述のグレイン構造解析と、その解析結果を用いた放射パターン解析に至るまでの一連の光学シミュレーションが行われる。
本光学シミュレーションの妥当性を確認するために、光学シミュレーションと実験の放射パターンの比較を行った。実験サンプルとして、Ce添加のYAG単結晶とサファイア単結晶との共晶系の蛍光体素子を試作した。外部から波長450nmの青色レーザ(略トップハット形状、スポット直径約200μm)で中心波長550nmの黄色の蛍光を励起し、その蛍光を蛍光体素子の直近に配したスクリーンで画像化を行い、その画像をCMOSカメラにより取得することにより、蛍光体素子の放射パターンを取得した。得られた放射パターンのPSFの中央断面に対して、半値全幅(FWHM)280μmのローレンツ分布関数を良好にフィッティングすることができた(図14参照)。一方、光学シミュレーションにより得られる放射パターンのLSFに対して、半値全幅320μmのローレンツ分布関数で良好にフィッティングすることができた(図11参照)。以上の比較より、光学シミュレーションと実験は概ね一致した結果が得られ、本光学シミュレーションの妥当性を確認することができた。
さて、本光学シミュレーションを用いると、蛍光体素子内の横伝搬光を効率的に外部に取り出し、以ってエネルギー変換効率の高い複数のグレイン媒質が絡み合った三次元構造を有する蛍光体素子の設計に対して、次にあげる3つの物理パラメータに関する有益な指針が提供される。
(1)グレイン媒質間の屈折率差を大きくする。
(2)グレイン境界Bの間隔(グレイン間隔d)を小さくする。
(3)グレイン境界Bの法線角度分布を大きくする。
例として、上記の3つの物理パラメータの効果を本光学シミュレーションにて確認した。まず「(1)グレイン媒質間の屈折率差を大きくする。」に関して、図15にグレイン媒質間の屈折率差に対する蛍光の取り出し量を示す。横軸は、第1グレイン媒質110の屈折率を1.83としたときの、第1グレイン媒質110の屈折率n1と第2グレイン媒質120の屈折率n2との差|n2-n1|である。縦軸は、横軸の値が0.06のときの蛍光の取り出し量を1とした相対値である。ここで、グレイン境界Bの間隔の平均(平均グレイン間隔davg)は20μm、グレイン境界角度θの標準偏差は24度、出射端面の法線角度の標準偏差は0度(鏡面)である。蛍光体素子の厚みは0.2mmである。図15から、グレイン媒質間の屈折率差|n2-n1|が大きくなると、蛍光取り出し量は増加することがわかる。特に、屈折率差|n2-n1|を0.06以上としたときに、蛍光取り出し量が改善されることがわかる。なお、蛍光体素子100の第1グレイン媒質110として蛍光物質Ceを添加したYAG単結晶を想定し、蛍光体素子100の第2グレイン媒質120としてサファイア単結晶を想定した場合、第1グレイン媒質110の屈折率は1.83であり、第2グレイン媒質120の屈折率は1.77である。従って、そのときの第1グレイン媒質110と第2グレイン媒質120との屈折率差(n1-n2)は0.06である。よって、屈折率差(n2-n1)が0.06のときには、蛍光体素子を、Ceを添加したYAG単結晶とサファイア単結晶とで構成した場合と同等の蛍光取り出し量が得られる。さらに、屈折率差|n2-n1|が0.06よりも大きいときには、屈折率差|n2-n1|が0.06のときよりも大きな蛍光取り出し量が得られる。
次に、「(2)グレイン境界Bの間隔(グレイン間隔d)を小さくする」に関して、図16に平均グレイン間隔davgに対する蛍光の取り出し量を示す。横軸は平均グレイン間隔davgである。縦軸は、横軸の値が0.06のときの蛍光の取り出し量を1とした相対値である。ここで、第1グレイン媒質110の屈折率を1.83とし、第2グレイン媒質120の屈折率を1.77とした。グレイン境界角度θの標準偏差は24度、出端射面の法線角度の標準偏差は0度(鏡面)である。蛍光体素子の厚みは0.2mmである。図16から、平均グレイン間隔davgが小さくなると、蛍光取り出し量は増加することがわかる。特に、平均グレイン間隔davgを20μm以下としたときに、蛍光取り出し量は改善されることがわかる。
次に、「(3)グレイン境界Bの法線角度分布を大きくする」に関して、図17にグレイン境界角度θの標準偏差に対する蛍光の取り出し量を示す。横軸はグレイン境界角度θの標準偏差である。縦軸は、横軸の値が0.06のときの蛍光の取り出し量を1とした相対値である。ここで、第1グレイン媒質110の屈折率を1.83とし、第2グレイン媒質120の屈折率を1.77とした。平均グレイン間隔davgは20μm、出射端面の法線角度の標準偏差は0度(鏡面)である。蛍光体素子の厚みは0.2mmである。図17から、グレイン境界角度θの分布が大きくなると、蛍光取り出し量は増加することがわかる。特に、グレイン境界角度θの標準偏差を24度以上としたときに、蛍光取り出し量は改善されることがわかる。
なお、以上の光学シミュレーション結果の放射パターンの半値全幅は、厚みで規格化される。すなわち、厚みが薄いほど、放射パターンの半値全幅は小さくなる。放射パターンの半値全幅が小さくなると、光源としての輝度が向上する。また、厚みが薄いほど、熱伝達の観点から高出力化には有利である。具体的には、1万ルーメン級の比較的高輝度なレーザープロジェクタを実現するためには、蛍光体素子の熱伝導率が10W/(m・K)以上で、蛍光体素子100の厚みが0.2mm以下となっている必要があると見積もられる。
例えば、蛍光体素子100の温度が100度以上になると急激に蛍光効率が下がる。そこで、蛍光体素子1の周囲環境温度を最大50度とすると、蛍光体素子1の発熱による温度上昇は50度以下にしなければならない。1万ルーメン級レーザープロジェクタには300W程度上のレーザ励起光が用いられ、約60Wの熱が発生する。60W相当の熱により、サイズ5x5mm、厚み0.2mm、熱伝導率10W/(m・K)の蛍光体素子1の発熱による温度上昇は、理想的な放熱機構を用いた場合でも、約50度と見積もられる。温度上昇に熱伝導率は反比例し、厚みは比例するので、よって蛍光体素子の熱伝導率が10W/(m・K)以上で、蛍光体素子100の厚みが0.2mm以下となっている必要がある。
一方、本光学シミュレーションによって得られる放射パターンの大きさや形状に注目すると、3つの物理パラメータである媒質間の屈折率差、グレイン間隔d、グレイン境界Bの法線角度に加えて、出射端面形状と厚みのすべて、あるいはいずれかを用いて、放射パターンの大きさや形状を制御できることを示している。これは広い放射パターンにメリットを有する特殊な照明用途などに有効である。
これまでの例では、蛍光体素子100の第1グレイン媒質110として蛍光物質Ceを添加したYAG単結晶を想定し、蛍光体素子100の第2グレイン媒質120としてサファイア単結晶を想定している。このとき、第1グレイン媒質110の屈折率は1.83であり、第2グレイン媒質120の屈折率は1.77であり、その差(屈折率差(n1-n2))は0.06である。この場合も、実施例として屈折率の高いまたは低い添加物を加えることによりグレイン媒質間の屈折率差(n1-n2)を0.06よりも大きくすることが可能である。
蛍光物質が添加されたグレイン媒質としては、Y3Al512:Ce3+(YAG)以外には、赤色用として、例えば、CaAlSiN3:Eu2+、(Ca,Sr)AlSiN3:Eu2+、Ca2Si58:Eu2+、(Ca,Sr)2Si58:Eu2+、KSiF6:Mn4+などの蛍光体材料を用いることができる。また、蛍光物質が添加されたグレイン媒質としては、黄色用として、例えば、(Si,Ba)2SiO4:Eu2+、CaX(Si,Al)12(O,N)16:Eu2+などの蛍光体材料を用いることができる。また、蛍光物質が添加されたグレイン媒質としては、緑色用として、例えば、Lu3Al512:Ce3+、Y3(Ga,Al)512:Ce3+、Ca3Sc2Si312:Ce3+、CaSc24:Eu2+、(Ba,Sr)2SiO4:Eu2+、Ba3Si6122:Eu2+、(Si,Al)6(O,N)8:Eu2+などの蛍光体材料を用いることができる。
また、蛍光物質を添加するグレイン媒質は1種類とは限らない。蛍光物質を添加するグレイン媒質が2種類以上、蛍光体素子に含まれていてもよい。蛍光物質を添加されないグレイン媒質はサファイア以外の単結晶でもよい。また、ガラスや樹脂などのバインダが、蛍光物質を添加されたグレイン媒質間に介在していてもよい。蛍光物質を添加されたグレイン媒質(蛍光体粉末)をガラスや樹脂中に分散させたもの、ガラス母体に発光中心イオンを添加したガラス蛍光体、または、蛍光体セラミックスが、蛍光体素子に含まれていてもよい。この蛍光物質を添加されないグレイン媒質は1種類とは限らない。蛍光物質を添加されないグレイン媒質が2種類以上、蛍光体素子に含まれていてもよい。また、蛍光物質を添加されたグレイン媒質を含む蛍光体素子において、蛍光物質を添加されたグレイン媒質の屈折率との屈折率差が大きいグレイン媒質が含まれていてもよい。また、高出力化のためには、透明で熱伝導率が高いグレイン媒質が蛍光体素子に含まれていることが好ましい。
[効果]
次に、本実施の形態の蛍光体素子評価装置200の効果について説明する。
ディスプレイや照明用光源として様々なLEDやレーザを励起光とする蛍光体素子が使われている。励起光から蛍光へのエネルギー変換は、ストークスシフトにより原理的に吸収による温度上昇を伴う。レーザなど強い励起光を使用する場合には、温度上昇により蛍光エネルギー変換効率が低下する、もしくは素子が破壊されるので、蛍光体材料の温度上昇を抑える工夫が必要である。蛍光体粉末をバインダー媒質に混合した蛍光体材料では、蛍光体材料の熱伝達が悪く、円板状の蛍光体素子を高速に回転させることにより強制的な冷却が必要である。
一方、共晶材料を含む複数のグレイン媒質が絡み合った三次元構造を有する蛍光体材料では、蛍光物質が添加されたグレイン媒質または三次元構造をなす他のグレイン媒質に熱伝導率の高い媒質を用いることにより、蛍光体素子の熱伝達を向上させることが可能である。このような適切な排熱構造を用いることにより、従来の蛍光体材料のような高速回転による冷却の必要がなくなる。従って、より小型で、かつ高出力な蛍光体素子を実現することができる。例えば、Ceを添加したYAG単結晶とサファイア単結晶との共晶材料では、熱伝導率13W/(m・K)のYAG単結晶と、熱伝導率33W/(m・K)のサファイア単結晶とを約1:1で混合すると、20W/(m・K)程度の高い熱伝導率が得られる。
また、素子の耐温度の観点では、従来の蛍光体粉末をバインダー媒質に混合した蛍光体材料に代わって、単結晶蛍光体材料やセラミックスの蛍光体材料の開発が進められている。しかし、これらの材料では、光散乱がない、または少ないために、蛍光が蛍光体材料内に閉じ込められ内部伝搬(横伝搬)するため、蛍光取り出し効率が低い。すなわち実質上の蛍光エネルギー効率が低いという問題がある。
この蛍光エネルギー効率に関しても、共晶材料を含む複数のグレイン媒質が絡み合った三次元構造を有する蛍光体材料では、その物理特性や構造に起因した一定の光散乱があるために、比較的高い蛍光取り出し効率が得られ、よって蛍光エネルギー効率が高くなる。しかし、三次元構造を有する蛍光体材料であっても、物理特性や構造が最適化されていない場合には、横伝搬が発生し、蛍光エネルギー効率が低下してしまう。すなわち、共晶材料を含む複数のグレイン媒質が絡み合った三次元構造を有する蛍光体材料では、高い蛍光エネルギー効率を得るためには、蛍光体材料の物理特性や構造を最適化することが重要である。Ceを添加したYAG単結晶とサファイア単結晶との共晶材料においても、YAG単結晶(屈折率1.83)とサファイア単結晶(屈折率1.77)との屈折率差(=1.83-1.77=0.06)が小さいことが主な原因で、光散乱の効果が限定的であり、蛍光取り出し効率にはさらなる改善が必要である。
そこで、蛍光取り出し効率の改善のために、光学シミュレーションを用いることが有効となる。従来の光学シミュレーション手法では、蛍光体粉末をバインダー媒質に混合した蛍光体材料に対しては、球形蛍光体粉末のサイズとその密度をパラメータとして、一般にMie散乱モデルを用いた確率的光線追跡法が用いられる。ところが、複数のグレイン媒質が絡み合った三次元構造の蛍光体材料の場合は、グレイン形状は球形ではなく三次元的に複雑な構造を有しているので、一般にはMie散乱モデルの適用ができない。一方、三次元的に複雑な構造に対しては、Heyney-Greensteinモデルなど散乱位相関数を用いた確率的光線追跡が行われている。しかし、この方法は、蛍光体材料の実験結果に対しては、決定論(帰納)的な光学シミュレーション手法として用いられるにとどまる。そのため、この手法では、蛍光体材料の屈折率など物理定数を変えて光学シミュレーションを実行することはできない。つまり、共晶材料を含む複数のグレイン媒質が絡み合った三次元構造を有する蛍光体材料の物理特性およびその構造を最適化する光学シミュレーション手法は未だ存在していない。
一方、本実施の形態に係る光学シミュレーション手法は、共晶材料を含む複数のグレイン媒質が絡み合った三次元構造を有する蛍光体材料の物理特性およびその構造を最適化する光学シミュレーション手法である。
具体的には、本実施の形態では、複数のグレイン媒質(例えば1または複数の第1グレイン媒質110および1または複数の第2グレイン媒質)を含む蛍光体素子100の画像データ200に基づいて、グレイン間隔dの分布およびグレイン境界角度θの分布が導出される。さらに、導出したグレイン間隔dの分布およびグレイン境界角度θの分布に基づいて、確率的光線追跡が行われ、蛍光体素子100の外部に放出される蛍光の放射パターンが導出される。これにより、共晶材料を含む複数のグレイン媒質が絡み合った三次元構造を有する蛍光体素子の蛍光の取り出し効率や放射パターンを評価することができる。さらに、蛍光の取り出し効率を改善するために、蛍光体材料の物理特性およびその構造を最適化することができる。また、蛍光の放射パターンの大きさを制御するために、蛍光体材料の物理特性およびその構造を最適化することができる。従って、蛍光の取り出し効率の高い(つまり、エネルギー変換効率の高い)蛍光体素子100を提供することができる。また、蛍光の放射パターンの大きさを制御した蛍光体素子100を提供することができる。
また、本実施の形態では、画像データ200は、蛍光体素子100の断面を光学的に拡大させた画像データ、または、光学的およびデジタル的に拡大させた画像データである。これにより、グレイン構造解析を精度よく行うことができる。
また、本実施の形態では、画像データ200に対して、蛍光体素子100に含まれるグレイン媒質の種類ごとに分類可能な処理を行うことにより得られた画像データ300に基づいて、グレイン間隔dの分布およびグレイン境界角度θの分布が導出される。これにより、グレイン構造解析を精度よく行うことができる。
また、本実施の形態では、画像データ200に対して、画像データ200の明るさの移動平均値を閾値とする処理を行うことにより、画像データ300が生成される。これにより、グレイン構造解析を精度よく行うことができる。
また、本実施の形態では、画像データ300から、グレイン間隔dを計測することにより、グレイン間隔dの分布が導出される。これにより、グレイン構造解析を精度よく行うことができる。
また、本実施の形態では、画像データ300から、グレイン境界Bの傾きを計測することにより、グレイン境界角度θの分布が導出される。これにより、グレイン構造解析を精度よく行うことができる。
また、本実施の形態では、グレイン間隔dの分布の単純平均に基づいて、指数分布関数で近似された、グレイン間隔dの分布の確率密度関数が導出され、導出された確率密度関数に支配された乱数を用いて、確率的光線追跡が行われる。これにより、少ない計算量で精度よく、確率的光線追跡を行うことができる。
また、本実施の形態では、グレイン境界角度θの分布の標準偏差に基づいて、正規分布関数で近似された、グレイン境界角度θの分布の確率密度関数が導出され、導出された確率密度関数に支配された乱数を用いて、確率的光線追跡が行われる。これにより、少ない計算量で精度よく、確率的光線追跡を行うことができる。
また、本実施の形態では、蛍光体素子100内の所定の点(発射点)から発せられるランバーシアン光もしくは等方的な均等光を用いて、確率的光線追跡が行われる。これにより、実際の現象に則した確率的光線追跡を行うことができる。
また、本実施の形態では、蛍光体素子100から外部に放出される光線数に基づいて、放射パターンが導出される。これにより、実際の放射パターンに近似した放射パターンを得ることができる。
また、本実施の形態では、蛍光体素子100から外部に放出される光線数に基づいて、蛍光体素子100の外部に放出される蛍光の取り出し量が導出される。これにより、実際の取り出し量に近似した取り出し量を得ることができる。
また、本実施の形態では、放射パターンをローレンツ分布関数で近似して、蛍光体素子100の外部に放出される蛍光の取り出し量が導出される。これにより、実際の取り出し量に近似した取り出し量を得ることができる。
また、本実施の形態では、共晶材料を含む複数のグレイン媒質が絡み合った三次元構造を有する蛍光体材料の物理特性およびその構造を最適化する光学シミュレーション手法による評価結果に基づいて、蛍光体素子100が設計される。これにより、蛍光の取り出し効率を改善するために、蛍光体材料の物理特性およびその構造が最適化された蛍光体素子100を提供することができる。また、蛍光の放射パターンの大きさを制御するために、蛍光体材料の物理特性およびその構造が最適化された蛍光体素子100を提供することができる。従って、蛍光の取り出し効率の高い(つまり、エネルギー変換効率の高い)蛍光体素子100を提供することができる。また、蛍光の放射パターンの大きさを制御した蛍光体素子100を提供することができる。
具体的には、本実施の形態では、1または複数の蛍光グレイン媒質(第1グレイン媒質110)および1または複数の非蛍光グレイン媒質(第2グレイン媒質120)が絡み合った三次元構造が蛍光体素子に設けられており、蛍光グレイン媒質(第1グレイン媒質110)の屈折率をn1とし、非蛍光グレイン媒質(第2グレイン媒質120)の屈折率をn2としたとき、屈折率差(n2-n1)が0.06以上、または、屈折率差(n1-n2)が0.06よりも大きくなっている。これにより、高い光取り出し効率を実現することができる。
また、本実施の形態では、蛍光グレイン媒質(第1グレイン媒質110)と非蛍光グレイン媒質(第2グレイン媒質120)との境界の間隔分布(グレイン間隔dの分布)の単純平均値(平均グレイン間隔davg)が20μm以下となっている。これにより、高い光取り出し効率を実現することができる。
また、本実施の形態では、蛍光グレイン媒質(第1グレイン媒質110)と非蛍光グレイン媒質(第2グレイン媒質120)との境界の法線角度分布(グレイン境界角度θの分布)の標準偏差が24度以上となっている。これにより、高い光取り出し効率を実現することができる。
また、本実施の形態では、蛍光体素子100の厚さが0.2mm以下となっている。これにより、高い光取り出し効率を実現することができる。
また、本実施の形態では、蛍光体素子100の熱伝導率が10W/(m・K)以上となっている。これにより、高い光取り出し効率を実現することができる。
また、本実施の形態では、1または複数の蛍光グレイン媒質(第1グレイン媒質)のうち、少なくとも1つの蛍光グレイン媒質(第1グレイン媒質)は、蛍光物質を添加したYAG単結晶もしくはYAG多結晶を含んでいる。これにより、蛍光物質に所定の励起光が照射されることにより、蛍光物質から所望の波長の蛍光を効率よく取り出すことができる。
また、本実施の形態では、1または複数の非蛍光グレイン媒質(第2グレイン媒質)のうち、少なくとも1つの非蛍光グレイン媒質(第2グレイン媒質)は、サファイア単結晶もしくはサファイア多結晶を含んでいる。ここで、本実施の形態では、蛍光体素子100は、1または複数の蛍光グレイン媒質(第1グレイン媒質)および1または複数の非蛍光グレイン媒質(第2グレイン媒質)が絡み合った三次元構造となっている。従って、これにより、蛍光物質に所定の励起光が照射されることにより、蛍光物質から発せられる所望の波長の蛍光を効率よく取り出すことができる。
なお、上記実施の形態において、第1グレイン媒質110が、多結晶で構成された蛍光グレイン媒質(例えば、蛍光物質を添加したYAG多結晶)を含んでいてもよい。さらに、上記実施の形態において、第2グレイン媒質120が、多結晶で構成された非蛍光グレイン媒質(例えば、サファイア多結晶)を含んでいてもよい。この場合にも、図15に示したように、グレイン媒質間の屈折率差|n2-n1|が大きくなると、蛍光取り出し量は増加する。特に、屈折率差|n2-n1|を0.06以上としたときに、蛍光取り出し量が改善される。よって、屈折率差(n2-n1)が0.06のときには、蛍光体素子を、Ceを添加したYAG単結晶とサファイア単結晶とで構成した場合と同等の蛍光取り出し量が得られる。さらに、屈折率差|n2-n1|が0.06よりも大きいときには、屈折率差|n2-n1|が0.06のときよりも大きな蛍光取り出し量が得られる。
また、上記実施の形態において、第1グレイン媒質110が、単結晶および多結晶とは異なる性質を有する蛍光グレイン媒質であってもよい。さらに、上記実施の形態において、第2グレイン媒質120が、単結晶および多結晶とは異なる性質を有する非蛍光グレイン媒質であってもよい。この場合には、第1グレイン媒質110と第2グレイン媒質120との屈折率差(n2-n1)を0.06以上とすることにより、蛍光取り出し量を改善することができる。例えば、蛍光グレイン媒質を、Ceを添加したYAG粒子蛍光体で構成し、非蛍光グレイン媒質を、屈折率差(n2-n1)を0.06以上とするガラスまたは樹脂のバインダーで構成することが想定される。
100…蛍光体素子、110…第1グレイン媒質、120…第2グレイン媒質、200…蛍光体素子評価装置20010…制御部、220…入力部、230…記憶部2300A…蛍光体素子評価プログラム、240…表示部、B,B1,B2,B3,B4…グレイン境界、d,d1,d2,d3,d4,d5…グレイン間隔、davg…平均グレイン間隔、θ,θ1,θ2,θ3,θ4,θ5…グレイン境界角度、L,L1,L2,L3,L4,L5…光線。

Claims (14)

  1. 複数のグレイン媒質を含む蛍光体素子の画像データに基づいて、グレイン境界の間隔分布および法線角度分布を導出するグレイン構造解析ステップと、
    導出した前記間隔分布および前記法線角度分布に基づいて、確率的光線追跡を行い、前記蛍光体素子の外部に放出される蛍光の放射パターンを導出する放射パターン解析ステップと
    を含む
    蛍光体素子評価方法。
  2. 前記画像データは、前記蛍光体素子の断面を光学的に拡大させた画像データ、または、光学的およびデジタル的に拡大させた画像データである
    請求項1に記載の蛍光体素子評価方法。
  3. 前記グレイン構造解析ステップにおいて、前記画像データに対して、前記蛍光体素子に含まれる前記グレイン媒質の種類ごとに分類可能な処理を行うことにより得られた補正画像データに基づいて、前記間隔分布および前記法線角度分布を導出する
    請求項1または請求項2に記載の蛍光体素子評価方法。
  4. 前記グレイン構造解析ステップにおいて、前記画像データに対して、前記画像データの明るさの移動平均値を閾値とする処理を行うことにより、前記補正画像データを生成する
    請求項3に記載の蛍光体素子評価方法。
  5. 前記グレイン構造解析ステップにおいて、前記画像データから、前記グレイン境界の間隔を計測することにより、前記間隔分布を導出する
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の蛍光体素子評価方法。
  6. 前記グレイン構造解析ステップにおいて、前記画像データから、前記グレイン境界の傾きを計測することにより、前記法線角度分布を導出する
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の蛍光体素子評価方法。
  7. 前記放射パターン解析ステップにおいて、前記間隔分布の単純平均に基づいて、指数分布関数で近似された、前記間隔分布の第1確率密度関数を導出し、導出した前記第1確率密度関数に支配された乱数を用いて、前記確率的光線追跡を行う
    請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の蛍光体素子評価方法。
  8. 前記放射パターン解析ステップにおいて、前記法線角度分布の標準偏差に基づいて、正規分布関数で近似された、前記法線角度分布の第2確率密度関数を導出し、導出した前記第2確率密度関数に支配された乱数を用いて、前記確率的光線追跡を行う
    請求項7に記載の蛍光体素子評価方法。
  9. 前記放射パターン解析ステップにおいて、前記蛍光体素子内の所定の点から発せられるランバーシアン光もしくは等方的な均等光を用いて、前記確率的光線追跡を行う
    請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の蛍光体素子評価方法。
  10. 前記放射パターン解析ステップにおいて、前記蛍光体素子から外部に放出される光線数に基づいて、前記放射パターンを導出する
    請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の蛍光体素子評価方法。
  11. 前記放射パターン解析ステップにおいて、前記蛍光体素子から外部に放出される光線数に基づいて、前記蛍光体素子の外部に放出される蛍光の取り出し量を導出する
    請求項10に記載の蛍光体素子評価方法。
  12. 前記放射パターン解析ステップにおいて、前記放射パターンをローレンツ分布関数で近似して、前記蛍光体素子の外部に放出される蛍光の取り出し量を導出する
    請求項11に記載の蛍光体素子評価方法。
  13. 複数のグレイン媒質を含む蛍光体素子の画像データに基づいて、グレイン境界の間隔分布および法線角度分布を導出するグレイン構造解析ステップと、
    導出した前記間隔分布および前記法線角度分布に基づいて、確率的光線追跡を行い、前記蛍光体素子の外部に放出される蛍光の放射パターンを導出する放射パターン解析ステップとを
    コンピュータに実行させる
    蛍光体素子評価プログラム。
  14. 演算回路を備え、
    前記演算回路は、
    複数のグレイン媒質を含む蛍光体素子の画像データに基づいて、グレイン境界の間隔分布および法線角度分布を導出するグレイン構造解析ステップと、
    導出した前記間隔分布および前記法線角度分布に基づいて、確率的光線追跡を行い、前記蛍光体素子の外部に放出される蛍光の放射パターンを導出する放射パターン解析ステップとを
    を実行する
    蛍光体素子評価装置。
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