JP2006528825A - 改良された光抽出を有する有機エレクトロルミネセンスデバイス - Google Patents

改良された光抽出を有する有機エレクトロルミネセンスデバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2006528825A
JP2006528825A JP2006521103A JP2006521103A JP2006528825A JP 2006528825 A JP2006528825 A JP 2006528825A JP 2006521103 A JP2006521103 A JP 2006521103A JP 2006521103 A JP2006521103 A JP 2006521103A JP 2006528825 A JP2006528825 A JP 2006528825A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
scattering
oled
model
substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006521103A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006528825A5 (ja
Inventor
シャン,ジョセフ・ジョン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
General Electric Co
Original Assignee
General Electric Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by General Electric Co filed Critical General Electric Co
Publication of JP2006528825A publication Critical patent/JP2006528825A/ja
Publication of JP2006528825A5 publication Critical patent/JP2006528825A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/85Arrangements for extracting light from the devices
    • H10K50/854Arrangements for extracting light from the devices comprising scattering means
    • HELECTRICITY
    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B33/00Electroluminescent light sources
    • H05B33/12Light sources with substantially two-dimensional radiating surfaces
    • H05B33/22Light sources with substantially two-dimensional radiating surfaces characterised by the chemical or physical composition or the arrangement of auxiliary dielectric or reflective layers
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K99/00Subject matter not provided for in other groups of this subclass
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10KORGANIC ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES
    • H10K50/00Organic light-emitting devices
    • H10K50/80Constructional details
    • H10K50/85Arrangements for extracting light from the devices
    • H10K50/852Arrangements for extracting light from the devices comprising a resonant cavity structure, e.g. Bragg reflector pair

Abstract

【課題】単純な体積光散乱によって光出力を向上させる。
【解決手段】
改良された光抽出を有する有機エレクトロルミネセンスデバイスは、自体に隣接して配置された光散乱媒質を含む。この光散乱媒質は0超から約0.99の範囲の光散乱異方性パラメータg、及び約0.22よりも小さく又は約3よりも大きいスキャタランスパラメータSを有する。本発明の他の態様では、発光デバイスが有機エレクトロルミネセンスデバイスであり、光散乱媒質がホストマトリックス中に散乱粒子を含む。本発明の他の態様では、有機エレクトロルミネセンスデバイスが有機発光ダイオード(「OLED」)である。
【選択図】図1A

Description

本発明は一般に、有機エレクトロルミネセンス材料を有する発光デバイスに関する。具体的には本発明は、該デバイスからの光抽出(light extraction)を向上させるための設計及び方法に関する。
本開示では、用語「有機エレクトロルミネセンスデバイス」と用語「有機発光ダイオード」とが交換可能に使用される。
最近の10年間で、有機発光ダイオード(organic light emitting diode:OLED)の科学/技術は格段に進歩した。この進歩の大部分は、フラットパネルディスプレイの開発に対する関心によって後押しされたものだが、この進歩の速度を次の10年間も維持することができれば、OLED技術は照明応用全体にインパクトを与える可能性を秘めている。具体的には、大面積の白色発光OLEDは、性能及びコストにおいて従来の照明技術に引けをとらない固体散乱光源となりうる潜在性を有する。これを達成するためには、効率、高輝度における寿命、及びOLEDによって生み出される光の照明品質のかなりの進歩が必要となろう。
有機発光ダイオード(OLED)の性能上の限界の1つは、デバイス内で生み出された光と環境に放出された光の比、光抽出効率(optical extraction efficiency)ηexである。OLEDにおけるこの効率因子の一般的な推定値は0.17〜0.5である。
最近、下にある青色OLEDを利用して照明品質の白色光を達成する有望なダウンコンバージョン法が示された。実際に無機蛍光体層の存在がその下の青色OLEDの出力効率を高めることが発見され、これは、蛍光体層内の体積光散乱の存在によるものと考えられた。本明細書では、OLED光出力に対する体積散乱の影響を理解するための解析モデルを説明し、このモデルを使用して、デバイスの効率を最大化するための設計指針について説明する。具体的には、OLEDから抽出される光の量が、粒径、ローディング(loading)割合、系内の光損失などの因子によってどのように変化するのかを調べる。関連文献において我々は、このモデルの定量的有効性を証明する詳細な実験測定を記載する。
本発明の一態様で、我々は、放射輸送(radiative transport)方法論を利用して、体積散乱に結合されたOLEDの単純な光抽出モデルを開発した。このモデルは、単純な体積光散乱によって光出力を向上させることができることを示す。効率向上のための設計指針を開発するため、計算は、OLEDパラメータ及び散乱パラメータの関数として実行した。これらの計算は、体積散乱を使用して光出力を2倍に増大させることは比較的に単純であることを示唆し、将来の光抽出向上のための方向性を提供する。テクスチャの付いた表面、蛍光体−OLED系、LED−蛍光体、X線シンチレータ中の光伝搬など、他のより複雑な系にこのモデルを適合させることは比較的に簡単であることに留意されたい。このモデルの結果は、散乱系に対して得られた実験データで確認した。
本発明の他の態様において我々は、体積光散乱による光出力の増大の量的測定値及び予測値を得ることができることを示し、観察された抽出効率の明確な増大を示す。ガラス基板上のOLEDに関して、基板−空気界面を横切る光の割合はほぼ0.75まで増大することを我々は認めた。光線追跡(ray−tracing)を使用して、解析無限平面モデルと観察された結果との間の差を説明することができ、我々は、データをモデル化するために追加のパラメータを必要としない。モデルと実験データの間の高いレベルの一致は、OLED効率及び最適化戦略の予測に単純な放射性輸送モデルを使用することの有効性を立証する役目を果たす。我々の放射性輸送モデルの有効性が立証されれば、このモデルを、既存のマイクロキャビティモデル及びりん光又は蛍光粒子を包含し、さらに文献に出ている多くの異なる向上方式の均一な記述及び定量的評価を提供するように拡張することができる。
本発明の一実施形態では、光源が、(a)発光デバイスと、(b)この発光デバイスに光学的に結合された光散乱媒質とを備え、この光散乱媒質は約0から約0.99の範囲の光散乱異方性(パラメータ「g」によって表され、後に定義される)を有し、スキャタランス(scatterance)(「S」によって表され、後に定義される)は0<S≦0.22及びS>3からなるグループから選択される。
本発明の他の態様では、発光デバイスが有機エレクトロルミネセンスデバイスであり、光散乱媒質がホストマトリックス中に散乱粒子を含む。
本発明の他の態様では、有機エレクトロルミネセンスデバイスが有機発光ダイオード(「OLED」)である。
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の以下の詳細な説明及び添付図面の検討から明らかとなろう。図中、同じ符号は同様の要素を指す。
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の以下の詳細な説明及び添付図面の検討から明らかとなろう。図中、同じ符号は同様の要素を指す。
A.モデル開発
エレクトロルミネセンスデバイスは、デバイス内で生み出された光と環境に放出された光の比である光抽出効率ηexによって限定される。OLEDではこの効率の推定値が一般に0.17〜0.5である。したがって、電気的に生み出された光のかなりの部分がデバイスの内部で失われる。これは、抽出効率が1に近い水銀蛍光照明の場合とは対照的である。この損失機構の起源は、基板−空気界面の臨界角よりも大きな角度で入射した光は全反射し、環境へは決して放出されないことにある。
OLEDに関しては光抽出効率を2つの成分、すなわち活性層から基板への注入効率ηOLED−sと基板から環境への抽出効率ηs−aとに分割することができる。
Figure 2006528825
この開示において、我々は、主に後者の項に焦点を合わせ、具体的には、環境に放出される光の割合ηs−aに対する体積光散乱の効果を調べる。我々はこの議論を、OLEDデバイスからの光出力を増大させる既存の方法、及びこれらの方法の選択に影響を与える一般的なOLEDの幾何配置の特色のいくつかを簡単に概観することから始める。この概観は完全であることを意図したものではなく、体積光散乱の我々の議論に枠をはめることを意図したものである。
エレクトロルミネセンスデバイスからの光抽出、したがって電気−光変換効率を向上させるいくつかの解決方法が提案されている。点光源に最も適用可能な1つの解決方法は成形された基板を使用する方法であり、レンズに似たある種の形状がほぼ完全な光抽出を与えることが示された。この方法は、パターン形成されたOLEDデバイスにも応用され、この場合には、OLEDの活性領域が大きな半球の中心又はエッチングされた円すいの底面に置かれた。他の方法は、発光源の放出プロファイルの角依存性を、その大部分が内面反射しないように変更する方法である。この角放出の制御は、界面の臨界角よりも小さい角度で光が前方へ放出されることが保証されるように設計された光マイクロキャビティ内に発光層を置くことによって達成される。この解決法の別法は、この薄いキャビティの隣に非常に低い屈折率(n〜1.01)のエーロゲルを置く方法である。このキャビティの内部モデルが抑制されることが保証されるよう注意が払われた場合、エーロゲルと空気の間の屈折率の差が小さいため、大部分の光はエーロゲル層に結合され、最終的に環境に結合される。最後に、デバイスの上部出力面のランダムな又は構造化された表面改質を使用して全体の光出力を増大させることができる。ここでは、デバイスの上面での光散乱を反射性の下面と組み合わせることによって、臨界脱出角よりも小さな角度で上面に入射する光の割合を純増させることができる。光の波長程度のフィーチャサイズを有するフォトニック表面テクスチャもOLEDからの光出力を増大させることが示されているが、この方法は製造がより難しい。
本開示において、我々は、OLEDデバイスからの全光出力に対する体積散乱の効果をモデル化することに焦点を合わせる。原理上、体積散乱は、表面ランダムテクスチャリングと同じ利益をもたらすはずだが、非常に細かいレベルの制御が必要となる。微粒子散乱体の体積ローディング(loading)は全体の散乱量を制御し、一方、それぞれの散乱事象によって引き起こされる平均角偏向は粒子の形状又はサイズの制御によって制御される。作業上、体積光散乱は、既存のOLEDデバイスの上に散乱媒質を適用することによって容易に導入することができる。本開示の構成は以下の通りである。次のセクションで我々は、OLEDに適した体積散乱モデルの詳細な説明を提示する。放射輸送(radiative transport)理論の我々の応用では、入力パラメータの数を限定し、これらのパラメータが実験によって決定できるものであることを保証するためにあらゆることを試みた。第3のセクションでは、OLED設計に関連したこの数値モデルの鍵となる結果が示される。このモデル実現の数値的詳細は付録に示される。
我々は、有機発光デバイス(OLED)の光出力に対する体積光散乱の効果を、容易に測定される少数のパラメータに関して定量化する単純な放射輸送モデルついて説明する。方法論は、文献に出ている光抽出方式の多くをパラメータで表し、記述する十分に一般的なものである。一連のモデル計算は、多くのOLEDに一般的なパラメータを使用して示される。これらの計算は、もとは透明な基板の内部に光散乱部位を導入することによって、光抽出効率を0.55乃至1まで増大させることができることを示す。
1.理論
OLEDの出力に対する体積散乱の効果を定量的に記述することができる解析的方法を説明するため、我々は放射輸送モデルを使用する。該モデルは散乱をさまざまな文脈で記述するために広く展開されており、我々はこれに関する広範な業績を利用する。以下の理論展開において、我々は最初に、モデル化の対象のOLED及び散乱幾何配置を定義し、次いで単一粒子散乱理論及び多重散乱に対する放射輸送法による関連結果を概説し、これを利用して、体積散乱を組み込んだOLED用のモデルを構築する。次いで、このモデルを適用して、OLEDの出力結合(outcoupling)効率を、実験的に獲得可能なパラメータに関して計算する方法について説明する。このセクションの最後には、OLEDにおける光散乱の我々の説明において使用されるさまざまな近似を列挙する。
2.OLED及び散乱幾何配置
実際のOLEDデバイスはいくつかの層からなり、それぞれの層が特定の機能を果たす。標準OLEDデバイス(図1上)では、最下層が環境による攻撃からデバイスをシールする。その次には発光構造を形成する一連の層、反射性電極層、有機層及び透明電極層がある。最後に、このデバイスは透明基板上に製作されており、電気的に生み出された光はこの基板を通して環境に結合される。この標準設計の基板と環境の間に、我々は、低屈折率マトリックス材料の中に埋め込まれた高屈折率散乱粒子からなる層を追加する。我々の目標は、OLEDからの光抽出に対するこの体積散乱層の効果を理解することである。この構造をモデル化するため、我々は、この実際の有限多層OLED幾何配置を、単層無限平面幾何配置(図1下)で近似する。この近似幾何配置では、図中に太字で示した7つのパラメータによって光出力を完全に記述することができる。電気活性層(カソード層、有機層、アノード層)が体積散乱層の1つの境界を形成し、これらの層の特性が、下部界面(x=0)での反射率及び基板内部の入力光分布フラックスの角プロファイルD(θ)を決定する。単純にするため、体積散乱層のマトリックス材料の屈折率と基板の屈折率が同じと仮定する。これによって、これらを、層の散乱及び吸収特性によって特徴づけられる単一の有効散乱層として取り扱うことができ、我々はこの層を、3つパラメータs、a及びg、基板の屈折率n並びに物理的な厚さXを使用して特徴づける。本明細書では後に、これらのそれぞれのパラメータについて論じる。平坦な空気−基板界面の上部境界条件(x=X)は、屈折率nの媒質に対するフレネル(Fresnel)の式によって決定される。
3.単一粒子の散乱
個々の散乱事象の物理はよく理解されており、球などのある種の形状に関してはこれを、ミー(Mie)理論を使用して正確に導き出すことができる。単一の粒子の光散乱計算には、重要な3つの量、すなわち散乱断面積、吸収損及び位相関数がある。巨視的なサンプルでは、最初の2つの量は粒子濃度と結合されてそれぞれ、散乱の平均自由行程s及び吸収の平均自由行程kを与える。位相関数は、強度I、角度(ψ,φ)、偏光πの入射波が与えられたときの角度(ψ’,φ’)、偏光π’の散乱波の相対強度I’であり、すなわち下式で表される。
Figure 2006528825
我々はこの位相関数をp(ψ,φ,π,ψ’,φ’,π’)Iπと書く。我々のモデル化においてはいくつかの単純化を導入する。我々は偏光の効果を無視し、したがってπ又はπ’に対する一切の依存性を排除する。さらに、それぞれの散乱事象を方位角対称(azimuthally symmetric)な事象としてモデル化し、したがってφ、φ’に対する依存性を排除する。これらの仮定は、散乱粒子を、ランダムな方向を向いた小面を有する大体において球形の粒子と仮定することに等しい。この記述は以前にも、蛍光ランプにおける蛍光体コーティングをモデル化するために使用されている。残った角依存性は入力角と出力角の差における依存性だけであり、したがって位相関数を単一の角変数α=ψ−ψ’に関して書くことができる。この単純化された位相関数をルジャンドル(Legendre)の多項式Pに関して表現することはしばしば有用である。
Figure 2006528825
我々はこの無限級数をある有限値Lで打ち切る。この有限値Lは非常に高く(すなわち>50)設定することができる。原理上、有限値Lでこの級数を打ち切ることはモデルの角分解能を制限することになるが、我々は常に、関心の数値結果に影響を及ぼさない十分に高いLの値を見つけることができる。a=1と設定した場合、位相関数は正規化される。
Figure 2006528825
この積分は全ての立体角にわたる。
単純な形状に関してはこの位相関数の計算は容易だが、大部分の単純でない粒子幾何形状からの光散乱の角依存性の正確な計算には相当な数値的困難が伴う。一般的な散乱粒子系に見られる不規則な形状の粒子の幅広い粒径分布をモデル化するため、我々は、ヘンイー(Henyey)−グリーンスタイン(Greenstein)(H−G)位相関数として知られている単純な形態を選択する。この位相関数は広く使用されており、ルジャンドル多項式に関して容易に展開される。この有限級数に対する展開項は以下の通りである。
Figure 2006528825
上式で、gは位相関数の非対称パラメータであり、cos(ψ)の期待値によって与えられる。
Figure 2006528825
したがって、不規則な形状の粒子からの光散乱の詳細な物理は、−1から1までの単一のパラメータによって置き換えられる。値g=1は、散乱放射がそのもともとの軌道から外れないことを意味し、値g=−1は、散乱放射が直接に後方散乱することを意味する。このパラメータの値は実験によって決定することができる。このH−Gモデルのgを物理的な観察可能パラメータに関係づける単純な式が下式である。
Figure 2006528825
上式で、放射圧、消光及び散乱の効率因子Qpr、Qex及びQscaは物理理論、例えばミーモデルから計算される。例えば、屈折率1.41の媒質に埋め込まれた屈折率1.85、半径2μmの球形の散乱粒子は、g〜0.8〜0.85を有する。球形レソナンスにわたって平均すると、粒径が増大するにつれてこのgは非常にゆっくりと増大する傾向がある。一般に使用可能な蛍光体及び散乱顔料の一般的なサイズは0.1から30μmであり、したがって、多くの結合剤/粒子系においてgに対する同様の値が見つかると予想される。H−G位相関数に関する知られている1つの問題は、(光の波長と比較して)非常に小さな粒子に対してはこの位相関数が非物理的な結果を生み出すことであり、これらの系に関してはミー理論又は他のパラメータ表示方式の使用が好ましいと思われる。
4.多重散乱に対する放射輸送法
位相関数の1つの形が得られたら、正確に又は近似によって記述することができるそれぞれの散乱事象の物理を、単一の入射光子が媒質を出るまでに何回かの散乱事象を経験する懸濁媒質中の巨視的な観察可能パラメータ及び境界条件に結びづける必要がある。これは放射輸送問題であり、散乱媒質におけるその解明は、いくつかの分野、特に天文学において相当な関心を集めている問題である。無限平面平行散乱媒質に関して、この式は以下の通りである。
Figure 2006528825
上式で、I(x,μ,φ)は位置及び角度の関数としての強度である。変数k及びsはそれぞれ、吸収事象間及び散乱事象間の平均自由行程に対応する。我々は標準の置換μ=cos(θ)を実施した。角度θ及びφは実験室座標系にあることに留意されたい。我々は、これらの実験室座標系角度を、ルジャンドルの角加法定理を使用して粒子座標系の相対角度に関係づける。
Figure 2006528825
我々は、境界条件でも又は初期条件でも方位角対称からの逸脱を排除するので、φ’について積分を実行して下式を得ることができる。
Figure 2006528825
この問題を解決するために開発されたさまざまな方法のいくつかがH.C. Van de Hulst, "Multiple Light Scattering," Academic Press, New York (1980)に要約されている。我々は、文献に詳細に記載されている離散縦座標(discrete ordinate:DO)近似を使用する(例えばS. Chandrasekhar, "Radiative Transfer," Dover, New York (1960)、P.S. Mudgett et al., Appl. Optics, Vol. 10, 1485 (1971)、K. Stamnes et al., Appl. Optics, Vol. 27, 2502 (1986)を参照されたい)。ここでこの近似を要約する。我々のこの近似実現の詳細は付録Aに記載される。
この離散縦座標近似の範囲内で、角座標は、それぞれが屈折率iを有するN個のチャネルの集合に離散化され、積分が和に置き換えられる。
Figure 2006528825
上式で、<μ>はそれぞれのチャネルのμの平均値であり、追加の因子ω/2πはそれぞれのチャネルの領域の正規化によって生じたものである。それは、強度よりもフラックスに関して機能したほうが都合がよい。それぞれのチャネルiのフラックスは下式によって強度に関係づけられる。
Figure 2006528825
上式で、Fは、境界に平行な領域の要素da中を通過する、立体角の要素dω中の放射束中のエネルギー流の速度である。フラックスが媒質中を伝播するとき、このフラックスの式は以下のようになる。
Figure 2006528825
次いでこの近似に位相関数(式4)を代入した場合、以下の結合された線形微分方程式が得られる。
Figure 2006528825
この方法の利点は、一般的な積分微分放射輸送方程式(式7)のこの結合されたより単純な式への再定式化である。この数値モデルの数値的な正確さ及び角分解能は、使用されるチャネルの数によって変化する。我々の全フラックスの計算に必要な比較的に低い正確さ(〜1%)に関しては、25乃至60のチャネルがあれば申し分なく、従来の数値パッケージによって十分に安定な方法で容易に決定される固有値を有する行列が得られることが分かっている。
境界条件はx=0及びx=Xでの双方向反射率であり、Xは散乱媒質の厚さである。我々はこれらの量をR(θ,θ’)、R(θ,θ’)と表示する。これらの条件は非常に一般的であり、散乱性界面と非散乱性界面の両方記述することができる。我々は以下の単純化を実施する。すなわち境界は平坦であり、鏡面反射だけが起こる。さらに、x=0における境界の反射率は角度とは無関係であり、したがって単一の有効カソード反射率ROLEDによって記述される。上部境界での反射率Rはフレネルの式によって与えられ、基板屈折率nによって完全に特徴づけられる。DOモデルの中でこれらの境界条件は行列R i,j及びR i,jによって記述され、これらの量に対する式は付録に記載される。この表記法において、対角元R i,i及びR i,iは、境界層を通して又は境界層の中へ伝えられるフラックスの割合を表す。
我々はさらに、無限平面幾何配置の使用に起因する追加の単純化を導入することができる。形式上、層厚Xも必要な入力パラメータではあるが、この輸送式はs及びkの値に線形的に依存するため、この問題をスケーリングしなおして変数Xを排除することができる。我々はこれを、新しい変数x’=x/Xを定義することによって実施し、全スキャタランス(scatterance)S=s・X及び全吸光度K=k・Xを定義する。次いでx’、S、Kの値で式14のx、s及びkを置き換え、上部境界をX’=1に設定する。
5.OLEDの出力結合効率の計算
入力光は点x=0で媒質に入ると仮定され、初期条件は、光がOLEDの活性層から出て基板に入るときの光の角分布すなわちI(θ)である。我々はこの条件をフラックスD(θ)に関して書き、単一の数zによってパラメータ表示する。
Figure 2006528825
離散化されるとき、この条件はD=<μと書くことができる。一般に観察されるランベルト(Lambert)パターンのような放出パターンは値z=1に対応する。大きいz値はより前方に導かれる放出に対応する。このような放出パターンは、光マイクロキャビティ構造がOLEDデバイス設計に組み込まれている場合に可能である。この方程式系の根底にある線形性のため、実験による又は理論上の所与の角放出パターンを一連のμの直交多項式によって表すことができるため、初期条件のこの処理は非常に一般的である、したがって、所与の散乱及び境界条件セットに対して、我々は、zのそれぞれの値について出力結合を計算し、角放出プロファイルを多項式展開に当てはめ、適当な加重和をとることができる。
初期及び境界条件が与えられたら、式14を解いて、それぞれの角チャネルから環境へ「漏れる」フラックスFの量を見つける。
Figure 2006528825
上式で、Rii は、それぞれの角チャネルiに対する界面を横切る透過率に等しく、平面状の界面では、それがフレネルの式によって決定される。基板から空気中へ出力結合された光の割合は下式で表すことができる。
Figure 2006528825
散乱がない場合にはF(X)=Dであり、この場合には、屈折率及び入力光分布の形状によって光出力が決まる通常の結果となることに留意されたい。この場合、基板−空気結合効率は下式によってうまく近似される。
Figure 2006528825
上式でθ=asin(1/n)は臨界角である。ηs−aに関するこの結果を、式1のηoled−sに関する適当なマイクロキャビティモデルと組み合わせれば、全出力結合効率ηexの通常の推定値が得られる。
6.近似の概要
解析の間に、我々は、8つのカテゴリにグループ分けすることができるいくつかの近似を実施した。我々は以下のように仮定した。1)散乱層及びOLED基板は無限均一等方性層としてモデル化することができる。2)散乱事象及び放射源は方位角対称性を持つ。3)偏光効果は相対的に重要ではない。4)単一の近似位相関数が単一の散乱事象を全波長にわたってモデル化し、散乱事象間に干渉はない。5)角度及び位置に無関係の平均有効カソード反射率を使用することができる。6)上面は平坦である。7)蛍光効果を無視することができる。8番目のカテゴリは、我々の特定の数値解の選択によって導入される誤差に由来するものであり、これらは付録及び文献に広く論じられており、ここでこれ以上論ずることはしない。
この問題を大気物理学の領域にマップする最初の近似セットはおそらく最も重要な意味を持つものである。OLEDが非常に小さな基板上にあり、側面からの放出が全放出光のかなりの割合を占める場合、明らかに無限層の近似は疑わしい。しかし、照明などの応用では、高いデバイス充填比を有し、基板の側面から放出される光の量が小さいより薄くより大面積のOLEDを使用する傾向がある。これらのケースでは無限層近似が許容される。OLEDに対して一般的な薄い透明基板では、媒質が単層によって十分にモデル化される。しかし、必要ならば、均一な層の連続としてこの系を取り扱うことによってこの仮定は容易に緩和される。これは、それぞれの層に対してこのモデルを別々に使用することに相当する。それぞれの層が均一であることを要求することは、単一の粒子又は平均粒子間距離の長さスケールよりもはるかに大きな長さスケールのふるまいに常に関心があると仮定することに等しい。これらの距離は通常数ミクロン程度であり、基板の厚さは通常数ミリメートル程度であるので、この近似も十分に正当化される。
残りの近似は放射輸送方程式を相当に単純化する。第2の近似は経験的に正当と認められ、この近似は、多くの蛍光体系からの光散乱及び一般的なOLEDデバイスからの放射パターンを十分に記述するが、放出パターン又は散乱が格子効果によって支配されるいくつかのOLEDデバイスは、この近似によって直ちには記述されない。第3の近似は、少量の光散乱の場合に最も大きな誤差につながり、実際、標準の平坦な基板のOLED放出パターンにおいて偏光効果が見られる。支配的な効果は角プロファイルの変化のようであり、このモデルに関して、このことは、1つの偏光が、式D(θ)=cos(θ)のzの異なる値によって特徴づけられることを意味する。しかし、セクションIII.2.Dに示すように、zの変化は、光散乱の存在下で比較的に小さな効果にとどまり、したがって多くの場合に偏光効果は無視することができる。
第4及び第5の近似は、多くの異なる物理効果を1つのパラメータに集約する。第4の近似は、単一の粒子の光散乱の物理の詳細をパラメータgに集約する。デバイスから出てくる全フラックスだけに興味があり、角度の詳細には一切興味がない場合、大気散乱の文献の結果は、このパラメータ表示によって大きな誤差が生じないことを示唆している。第5の近似は、金属カソード及び薄膜OLED層の反射率を、角度及び偏光に関して平均された正反射率を表す単一の平均反射率ROLEDに集約する。理想化されたアルミニウム−ガラス(n=1.5)界面の偏光に関して平均された角依存反射率の計算は、この反射率が、0から80度の範囲で0.87から0.84まで変化することを明らかにしている。この小さな変動を見る限り、我々の近似は適切なはずである。カソードになんらかの方法でテクスチャが付与されている場合には、この反射率に対して非鏡面反射成分が必要となる。
上面が平坦であるという仮定は、必要ならば、上部境界条件に非鏡面反射項の導入することよって緩和することができる。光出力を向上させることが知られているいくつかの上面テクスチャリング方式が文献に出ており、これらは、上部境界の非鏡面反射係数によって近似することができる。このケースの必要な新しい入力は、容易に測定できるそれぞれの表面の双方向反射率関数(Bi−Directional Reflectance Function:BDRF)である。このモデルの目的上、方位角対称性条件が維持される限り、任意のテクスチャリング又は放出パターンが容易にパラメータ化される。
蛍光又はりん光散乱系も、それぞれのチャネルのフラックスを異なる波長で記述する追加の式を含めることによって非常に容易に取り扱うことができる。実際にはこれは、チャネルの数を2倍にして、ダウンコンバートされた波長がそれ自体の利得項と損失項を持つようにすることになる。OLED内の光生成のマイクロキャビティモデルに結合されたこのモデルのこの拡張を使用することによって、蛍光体ダウンコンバージョン層に結合された青色OLEDからなり、白色光を生み出す、A.R. Duggal et al., Appl. Phys. Lett., Vol. 80, 3470 (2002)に示された白色光デバイスを完全に記述することができよう。
7.結果
前のセクションでは、OLEDデバイスに適した7パラメータ放射輸送モデルを詳細に説明した。このセクションでは、この光抽出モデルのいくつかの含意について論ずる。このモデルは、大部分の大面積平面OLEDを記述するのに十分に柔軟であり、同時に全てのパラメータを実験測定によって得ることができる。実際のOLED系に対するこのモデルの妥当性を証明する実験を実施した。このセクションでは、モデルパラメータからOLED設計パラメータへのマッピングを示し、光抽出に対するこれらの選択の影響について論ずる。
8.モデルパラメータとデバイス設計変数の関係
このモデルの文脈において、OLEDデバイス設計は3つパラメータ、すなわち基板の屈折率(n)と、最下層の有効反射率Rと、パラメータzによって特徴づけられる、OLEDの活性層から基板に入るときの放出光の角分布D(θ)とを設定する。これらの変数は直接に測定することができ、デバイス設計の選択を通して制御することができる。例えば、反射率パラメータは金属フィルムに関連した損失だけでなく、透明な電極及び有機層によって負わされる吸収損も含む。これらの追加の層の存在は、反射率を、金属及び基板の複素誘電率によって決まる理論上の最大値よりも低い値に制限する。角光分布に対する多層OLED構造の影響はよく知られており、複数の層の使用及び狭い放出波長範囲によって、光出力を高度に導き、したがってzを変更することができる。弱いマイクロキャビティ効果を有するガラス上に製作された一般的なOLEDに関して、これらの3つのパラメータの一般的な値はROLED=0.8、n=1.5、z=1である。
モデルの残りのパラメータは体積散乱媒質に関係する。一般に散乱系の吸収損は非常に小さくすることができ、すなわちk<0.001とすることができる。したがって以下の議論では散乱媒質中の吸収損を無視する。全スキャタランスS=sXは、散乱事象間の平均自由行程s及び基板の厚さXによって制御される。実験的にはスキャタランスは、散乱粒子のローディングと散乱層の厚さの組合せによって調整することができる。このようにパラメータSは広範囲に調整可能だが、大部分の応用では0から6の範囲をとる。非対称パラメータgは、使用される散乱粒子のサイズ、形状及び屈折率によって制御される。実験的にはこのパラメータは粒子材料の選択によって調整することができ、材料が与えられている場合には粒径の変更及び/又は選択によって調整することができる。
9.光抽出を最大にする設計構成
一般的な値の前述のOLEDパラメータを用いてこのモデルを解き、体積散乱のない一般的なケースを記述するためにSをゼロに設定する場合には、通常の推定値に一致した光抽出項ηs−aの値0.44が得られる(式14)。デバイスの活性層からOLED基板中に光を抽出する際の効率、すなわちηOLED−sが分かっている場合には、これから全体の抽出効率を計算することができる。文献に記載されているマイクロキャビティモデルを使用して、ηOLED−sの非常に正確な推定値を計算することができる。詳細なマイクロキャビティ効果を無視し、OLED層から基板への効率ηOLED−sをフレネルの式、すなわちηOLED−s=(nsubstrate/nOLEDによってモデル化することができると仮定し、OLED層内でのランベルト放出プロファイルを仮定することによって、単純な推定値が得られる。例えば、ガラス基板の屈折率nを1.5に、OLED活性層の屈折率を1.7に設定すると、ηOLED−s=(1.5/1.7)=0.78となる。この単純な推定値を、ゼロに設定された散乱を用いた我々のモデルの結果とともに式1に代入した場合、Kim et. alによって高分子OLEDに対して得られた結果と同様の、体積散乱がない場合の出力結合効率の予測(0.75)×0.44=0.33が得られる。
以下では、体積散乱が含まれる場合のηs−aのモデル計算の結果を示す。次いでこれらの結果を使用して、設計パラメータと全出力抽出効率の間のトレードオフについて論ずる。
10.OLEDの反射率
光散乱の存在下で光抽出を決定する際に最も決定的なパラメータは有効カソード反射率であることを我々は見い出した。図2には、有効カソード反射率のさまざまな値について、抽出効率がスキャタランスに対してプロットされている。選択した有効反射率の範囲について、スキャタランス値の広い範囲にわたって、基板−空気抽出効率がスキャタランスがゼロのときの値(0.44)に比べて向上していることに留意されたい。有効反射率が低くなるにつれてこの向上のピークも低くなる。図には示されていないが、有効反射率が0.2よりも大きい限り、この向上は依然として起こることを我々は見い出した。高カソード反射率ではηs−aはほとんど1であり、すなわち非常に効率的な「光子リサイクリング」が起こる。所与の光子は脱出するまでに何回も界面に衝突することができるため、このことは直観的に予想される。所与の反射率についても、スキャタランスの関数としての曲線の全体形状は容易に説明できる。低スキャタランス値では基板内の導波性は完全には抑制されず、一方、非常に高いスキャタランス値では、大部分の光が基板から損失性のカソードに向かって反射される。ピーク値はこれらの2つの効果が釣り合う点である。一般的なOLED反射率0.8では、抽出効率が、スキャタランスがゼロのときの値の約2倍に向上していることに留意されたい。したがって全出力結合効率は〜0.3から〜0.6に増大される。
11.散乱粒子の粒形及び粒径
我々のモデルでは、粒形の効果と粒径の効果が単一のパラメータgに含まれる。図3には、g=0からg=0.9の4つの異なるg値について、ηs−aがスキャタランスに対してプロットされている。放出プロファイルをランベルトプロファイルであると仮定し(z=1)、カソードの反射率は0.8に設定した。それぞれのg値に関して、図2から予想される特定のスキャタランス値のところに抽出効率のピークがあることに留意されたい。しかし、gの値が大きくなるにつれて、ピーク位置はスキャタランス値のより高い方へ移動する。この移動の理由を物理的に理解することは可能である。パラメータgは、散乱光がその元の方向から平均してどれくらいそれるかを表す。したがって、1に近いgの値によって特徴づけられる粒子は入射ビームを効率的に偏向させず、低ローディングでは、非散乱性基板に類似した抽出効率を示すはずである。この場合、最適な光抽出は、非常に大きなスキャタランス値でしか起こらない。一方、低いg値はより良好な散乱効率を意味し、したがって、最適な散乱を達成するのにより小さいスキャタランスですむ。したがって、gが0と1の間を変化するとき、光抽出に関するSの最適値はより高い値の方へ移動すると予想される。最終的に、gが1に近づく限界では、最適な光抽出を達成するのに無限大のスキャタランスが必要となろう。
gが増大するにつれて、効率のピーク値も増大することに留意されたい。しかし、このピーク値の増大は0.71から0.74までと比較的に小さい。したがって、スキャタランスを選択する際の設計柔軟性が維持される限り、達成できる最大抽出効率はgとはほとんど無関係であり、したがって散乱粒子の粒径及び粒形とは無関係であるように思われる。しかし、Sの増大に伴うηs−aの低下はgが増大するにつれて緩やかになり、このことは、より高いg値を示す粒子のほうが有効なローディング割合の範囲がはるかに広いことを意味する。したがって、設計の柔軟性及び許容範囲を最大化するためには、より高いg値を示すより大粒の散乱粒子が好ましい。
13.基板の屈折率
散乱がない場合、平坦な基板−空気境界の反射率は基板の屈折率によって決まる。光散乱がある場合でもこのことが真であるかどうかを調べるため、図4に、さまざまな値の基板屈折率について、計算された抽出効率を、カソード反射率の関数としてプロットした。それぞれのケースのスキャタランスは、計算された光抽出が最大になる値に設定した。予想どおり、必要なスキャタランスは、n=1を除く全ての基板屈折率についてノンゼロであった。セクション(A)(10)の議論と合致して、1よりも大きな全てのn値に関して、抽出効率は、有効カソード反射率が1に向かって増大するにつれて、可能な最大値である1まで増大する。しかし、より低いカソード反射率値について、基板の屈折率は抽出効率ηs−aにある上限を設定し、この上限は基板屈折率が低くなるつれて高くなる。したがってηs−aの最適化には低屈折率基板の使用が必要である。
図4は、ηs−aを最大にするためには基板の屈折率を最小にする必要があることを示している。しかし、基板屈折率の変更はηoled−sにも影響を及ぼす。実際、光学マイクロキャビティ効果を無視する場合、ηoled−sの最大化には理想的には、フレネル反射及び活性層内での導波を排除するために活性有機層の屈折率(n〜1.7)に一致した基板屈折率が必要となる。このことから以下の疑問が生じる。全体の抽出効率を最大にするためには、低屈折率基板を使用し、ηoled−sを犠牲にしてηs−aを最大化したほうがよいのか、又は高屈折率基板を使用し、ηs−aを犠牲にしてηoled−sを最大化したほうがよいのか?OLEDの文献にはこの疑問に対する2つの別個の解答が出ている。1つのケースでは、基板屈折率を増大させ、上面にテクスチャを与えて、ηs−aを増大させると、OLED出力が増大することが示された。一方、基板の有効屈折率を低減させても光出力が増大することが示された。全体の抽出効率ηex(式1)を最大にする観点からどちらの方法が良いかを知るためには、角放出(我々のモデルのzパラメータ)の変更によってηOLED−sとηs−aの両方に影響を及ぼすマイクロキャビティ構造の解析が必要である。OLED構造に応じて、両方の経路によって改善を得ることが可能である。マイクロキャビティと散乱の組合せの詳細設計の最適化は、我々の議論の範囲を越えているが、我々のモデルは、光散乱の増大とηs−aに関するマイクロキャビティ最適化との間の可能なトレードオフのいくつかを示すことができる。次のセクションではこれらについて調べる。
15.光マイクロキャビティの影響
このモデルでは、D(θ)を決定するzを変更することによって、ηs−aに対するOLEDの光マイクロキャビティ構造の効果をおおまかに考慮することができる。図5の挿入図は、さまざまなz値について、光分布を角度の関数として示したものである(実線)。比較のため、一般的な高分子OLEDデバイス構造の角放出の完全な光マイクロキャビティ計算を示す。具体的には、文献に示された他の詳細モデルに類似した方法であるCrawfordによって記載された方法を使用して計算された、偏光に関して平均された角放出プロファイルを示す。この放出は、デバイスの明確に画定された平面から生じ、双極子は電極に平行に整列し、又は等方的に配向していると仮定した。マイクロキャビティ計算の出力は詳細には、層厚、屈折率及び放出に関して使用する仮定によって変わってくるが、ここに示した計算された分布は、デバイス構造中に強いマイクロキャビティ効果が特に組み込まれていないOLEDデバイスで観察される一般的な放出パターンを表すことに留意されたい。このようなケースに関して、一般に2よりも小さなz値はD(θ)の合理的な近似を与えることが分かった。
基板屈折率の選択に対する光マイクロキャビティ効果と散乱によるηs−aの向上との間の相互作用を確かめるため、3つの異なる入力角分布、すなわちz=0(等方性分布)、z=1(ランベルト分布)、及びz=2について、スキャタランスを最適化することによってηs−aを最大化するモデル計算を実行した。計算は基板屈折率の関数として実行し、最も良い抽出効率を与えるようにスキャタランスを最適化し、異方性gを0.9とした。結果を図5に示す。それぞれのz値に関して、曲線は、基板屈折率の関数として基本的に同じふるまいを示すことが分かる。このことは、特別に設計された強いマイクロキャビティ効果を持たない標準OLEDデバイスで一般的なこのzの範囲に関して、マイクロキャビティ効果と散乱による向上効果とを結合しても、基板屈折率の選択は複雑にならないことを示している。
例えば誘電スタックミラー又は薄い金属フィルムを使用して、OLEDに強いマイクロキャビティを設計することができる。このような場合、はるかに高いピークを有する角依存性(例えばz=8)が可能であり、したがって、強いマイクロキャビティは、大部分の光が臨界角脱出円すい(escape cone)内に放出されることを保証することによって、抽出効率を増大させる潜在的な可能性を有する。したがって、強いマイクロキャビティが体積散乱とどのように相互作用するのかを調べることは興味深い。図6は、スキャタランスとzの両方に対するηs−aのモデル計算の結果を示す。ここでは基板屈折率1.5及び異方性値0.8を仮定した。大部分のOLEDに一般的な弱いマイクロキャビティレジメはzが2未満の領域に対応する。この範囲では、外部量子効率(「QE」)を高める際に有限の散乱(S>0)が常に有益であることが分かる。強いマイクロキャビティ(z>6)に関しては、散乱が導入されると光抽出効率が低下する反対のふるまいが起こる。これが起こるのは、前方へよく導かれた光出力の一部が、散乱によって臨界角脱出円すいの範囲から外れるからである。しかし、Sが増大するときのこの効率低下は比較的に緩やかである。実際、強いマイクロキャビティを使用し、散乱を用いないとき(例えばz=8、S=0)のηs−aと、弱いマイクロキャビティを使用し、最適化された散乱を用いたとき(例えばz=2、S〜2.5)のηs−aの差は〜0.2でしかない。さらに、強いマイクロキャビティからの角放出も非常に波長依存性であることに留意することは重要である。そのため、一般的なOLED、特に白色光OLEDなどの広波長域光源に関して、全放出波長にわたって平均された高いz値を達成することは難しい。このようなケースに関しては、弱いマイクロキャビティと最適化された散乱の組合せが、外部効率の向上を達成するより簡単且つよりロバストな方法であるようである。
付録A−離散縦座標モデルの実現
16.1 線形微分方程式系
数値技法のいくつかの改善を含む離散縦座標(DO)近似を実現した。単一粒子の散乱の詳細な式、離散縦座標モデルに関する初期及び境界条件を以下に示す。特に明記しない限り、以下の議論では先に示したものと同じ表記法を使用する。
このDOモデルでは、垂直面からの角偏向θを、N/2個の前方角チャネルとN/2個の後方角チャネルの格子に離散化する。それぞれの角チャネルのフラックスは、媒質中への伝搬距離x及びチャネル屈折率の関数である。さらに、後方へ導かれるチャネルは、この角格子が表面の平面についての反転に関して対称であるように分割され、これらのチャネルは、dω=dω、dωN−1=dω、...などのように標識されるという取り決めを使用すると都合がよい。積分を和に置き換えているため、格子に対するいくつかの選択肢がある。P.S. Mudgett and L.W. Richards, Appl. Optics, Vol. 10, 1485 (1971)は、格子空間が、1)境界条件(すなわち臨界角付近の反射率の急激な増大)を十分に説明しなければならないこと、及び2)前及び後方向の反転に関して対称でなければならないこと、すなわちある立体角dωにまたがるあらゆる前方チャネルに関して等価の後チャネルがなければならないことを見い出した。これらの2つの条件が満たされる場合、大部分の格子空間方式は数値的に満足のいく解答を与える。
この放射輸送問題をn個の線形微分方程式からなる系(式14)の解にした後、表記法を単純化して、以下の線形微分方程式系を得る。
Figure 2006528825
上式で、Sijは角チャネルjから角チャネルiへフラックスを散乱させる行列要素である。1つの角チャネルを別の角チャネルに結合する個々の行列要素Sijの値は、値θ及びそれぞれの散乱事象の角依存性を記述する位相関数の関数である。これらの結合行列要素は下式によって与えられる。
Figure 2006528825
及び
Figure 2006528825
ここで、ωはi番目のチャネルの立体角、sは散乱事象間の平均距離の逆数、kは吸収事象間の平均自由行程、aは、ルジャンドル多項式に関する位相関数の展開のll番目の係数である。kが常にある小さな値〜0.0001よりも大きく設定される場合、数値的安定性は向上する。
この結合された線形方程式セットは容易に解くことができる。置換Σij=Sij(i≦N/2)、Σij=−Sij(i>N/2)の後、以下の式を得る。
Figure 2006528825
上式で、
Figure 2006528825
は単位行列であり、
Figure 2006528825
は以下の解を有する。
Figure 2006528825
上式で、
Figure 2006528825
Figure 2006528825
の固有ベクトル行列、λは固有値であり、
Figure 2006528825
は境界及び初期条件から決定される。
16.2 離散化された境界及び初期条件
この問題の初期条件は、OLEDデバイスの活性層の微視的光学特性によって決まる。このモデルの2つの主要な出力は、散乱性基板中への光の全結合効率ηOLED−s、及び結合された光の角分布である。離散化されたときこれらの2つの量は、下式によって与えられる初期条件
Figure 2006528825
を与える。
Figure 2006528825
この問題の境界条件は、基板の屈折率並びにそれぞれの表面の表面粗さ及びパターニングによって決まる。これらは、離散表記法において、上部界面でのi番目のチャネルからm番目のチャネルへの反射を記述する係数R miの行列を与える双方向反射率関数(BDRF)によって記述される。平坦な上面に関してはこの反射率は下式の通りである。
Figure 2006528825
鏡面反射係数はフレネルの式によって与えられる。
Figure 2006528825
及び
Figure 2006528825
下部界面の反射率は系の性質に依存する。両側が空気の独立したフィルム(独立フィルム)に関しては、後面反射率R imはR miに等しい。OLEDでは、後面反射率がOLEDの固有反射率によって決まる。誘電フィルム上の金属の反射率の計算に基づけば、偏光に関して平均された比較的に弱い反射率の角依存性が予想され、したがって我々は、高分子層のカソード、多層及び吸収損を、角度には無関係の単一の有効反射率Rによってパラメータ化することを選ぶ。非常に大きなデバイスに関してはこの値を実験的に推定することができ、有限のデバイスではエッジ効果のためいくぶん低い有効値を有する。次に、後面での
Figure 2006528825
の式を以下のように定義することができ、
Figure 2006528825
前面での式を以下のように定義することができる。
Figure 2006528825
ここでXはサンプルの全厚である。後は、式A11〜A12を解き、その結果を、サンプル中のそれぞれの角チャネル及び深さのフラックスを与える式A5に入力すればよい。これを解く前に、数値オーバーフローによる誤差を防ぐ働きをする以下の置換を実施すると有益である。
Figure 2006528825
次に行列
Figure 2006528825
を下式によって定義する。
Figure 2006528825
これから下式が得られる。
Figure 2006528825
Figure 2006528825
が得られれば、散乱媒質中の全ての点のフラックスFが完全に決定される。
B.ヘンイー−グリーンスタイン位相関数のモデルへの応用
このセクションでは、実際のデバイスの抽出効率を予測するモデルの能力を試験するため、モデルの入力パラメータと、体積光散乱の関数としての相対抽出効率の両方の実験測定を示す。
この目標は、発光OLED及び散乱フィルムを別々に製作し、これらを個々に特徴づけ、次いでこれらを光学的に1つに結合することによって可能になる。最初に、通常の手段である反射率、透過率及び角度によって分解された散乱を使用して、独立散乱フィルムの全ての関連パラメータを特徴づける。次いで、OLEDデバイスに関する光学データを集め、その反射率及び放出特性を、ここでも標準の方法を使用して特徴づける。OLED及び散乱フィルムのこれらの光学特性が与えられれば、この放射輸送モデルは、OLEDと散乱フィルムが組み合わせられたときの光出力に対する効果を、追加の調整可能パラメータを含めることなく予測する。さらに、多くの異なる散乱フィルムを同じOLEDに逐次的に取り付け、異なる散乱パラメータの関数として光出力がどのように変化するのかを正確に決定することができる。したがって、光出力の散乱パラメータの関数としての関数依存性を予測するこのモデルの能力を試験することができる。絶対値依存性及び関数依存性のこれらの詳細な比較は、この放射輸送モデルを厳しく試験する。
この議論は2つの主要なセクションから構成される。最初のセクションでは、実験データの我々の解釈を理解するのに必要ないくつかの重要な概念をモデルから導入する。このモデルの議論は関連文献に示した表現とはかなり異なり、詳細な説明ではなく定性的な概観及び物理図の提供に集中する。このモデルの数値解は、関連文献及び他の文献に記載されている。第2のセクションは、我々の実験方法の詳細な説明及び実験データとモデル計算の比較を含む。
この議論では、全体の抽出効率ηexを2つの成分に分解すると有益である。
Figure 2006528825
上式で、ηOLED−sは、電気的に生み出された光のうち基板中へ結合された光の割合、ηs−aは、基板中へ結合された光のうち環境に放出された光の割合である。この分解は、ITO/有機導波モードと基板導波モードの間でなされる通常の区別と似ている。本明細書ではηs−a項が主たる焦点である。具体的には、環境に放出される光の割合ηs−aに対する体積光散乱の効果を調べる。
モデル化しなければならない基本的な物理プロセスを図7に概略的に示す。図の左側には、理想化されたOLED及び散乱層が示されており、この散乱層は非吸収層である。この物理構造を数学モデルに変換する際、我々は、複数あるOLED活性層を単一の層にまとめ、散乱層内で起こるさまざまな物理プロセスに主に焦点を合わせる(図7右)。これらのプロセスは、OLEDから空気まで一般的な光線の経歴をたどることによって示すことができる。光は、位置「a」において、関数D(θ)によって特徴づけられる角分布でOLED活性層を出る。光線は、「b」で微粒子散乱体に衝突し、OLED活性層の表面である点「c」まで後方散乱される。光線は点「c」で反射され、同時に、OLEDの限界ある反射率ROLEDのため光線は減衰される。光線は次いで点「d」まで進み、再び散乱され、臨界角を超える入射角で上面空気−ガラス界面の点eに達し、内部全反射を受ける。光線は散乱粒子(「f」)まで後方へ反射され、空気−基板界面(点「g」)に向かって後方散乱される。このときは入射角が臨界角よりも小さく、光線は界面を透過して進む。
この例では、OLED内の体積散乱をモデル化するために必要な物理パラメータを強調する。最初に、OLEDを出て基板内へ向かうときの光の内部角分布D(θ)を特徴づけなければならない。光マイクロキャビティ効果のため、D(θ)は一般に角度の単純な関数ではなく、偏光に左右される。多くの場合、偏光は平均することができ、この分布は、単一のパラメータzによって特徴づけられる単純な形によって近似することができる。
Figure 2006528825
第2に、それぞれの単一粒子散乱事象の角分布を決定しなければならない。この分布は、入力強度Iと出力強度I’の関係として表される位相関数によって与えられる。
Figure 2006528825
単純にするために、我々は、方位角対称性及び偏光からの独立を仮定した。このことは多くの散乱系を記述するのに適切である。等方散乱の範囲ではp(θ,θ’)=1である。しかし、ミクロンサイズの大部分の粒子に関しては、p(θ,θ’)は前方向、すなわち差θ’−θが小さい場合にピークがある。この位相関数の形は非常に複雑になることがあるが、我々は、Henyey(ヘンイー)及びGreenstein(グリーンスタイン)による1パラメータ型の位相関数を使用することによって、解析をさらに単純化する。
Figure 2006528825
上式で、非対称因子gはcos(θ−θ’)の期待値である。したがってg=1は、それぞれの散乱事象がビームを偏向させないことを意味し、g=−1は、それぞれの散乱事象が入射方向に沿ってビームを後方へ散乱させることを意味し、g=0は等方散乱を意味する。
必要な第3の物理パラメータは、光線が基板を横切るときに散乱事象が起こる確率である。これは、散乱断面積、粒子濃度及び基板全厚の積である。これは、単一のパラメータS、すなわち全スキャタランスによって特徴づけることができる。必要な第4の入力は、OLED活性層及びカソードの有効反射率である。我々は、単一のパラメータROLEDによって特徴づけられる角度には無関係の鏡面反射を仮定する。最後に、下式によって与えられる臨界角を測定しなければならない。
Figure 2006528825
ここでnは基板の屈折率を表す。
これらの5つの物理パラメータ、z、g、S、ROLED及びnがOLEDデバイスからの抽出効率を決定する。これらのパラメータの導入はいくぶん発見的(heuristic)であった、これは、関連文献におけるより形式的な物理解析から出てきたパラメータセットと同じものである。これらの5つのパラメータは2つのカテゴリにグループ分けすることができ、一方のセット、n、z及びROLEDは全ての大面積平面OLEDに共通である。もう一方のセット、n、S及びgは全ての散乱層に共通である。簡単にするため我々は、OLED基板と散乱層とで共通の屈折率を仮定した。モデル入力パラメータのこのグループ分けは、OLEDと散乱フィルムの光学特性を別個に測定する我々の実験計画に合致する。
図7に示し前の段落で説明した物理図は、以下の積分微分方程式によって数学的に表すことができる。
Figure 2006528825
所与の波長に対するフラックスFは、界面に平行な平面内にあって且つ立体角のスライスdω内にある領域dAを通過する光の量と定義される。K及びSは全吸光度及び全スキャタランスである。本明細書に記載された作業に関してKはほぼ0である。置換μ=<cos(θ)>を実施し、Pはl次のルジャンドル多項式、x’は媒質中の換算距離x’=x/X、境界はx’=0及びx’=1にあり、gは、式23によって定義されるそれぞれの散乱事象の異方性である。
3つのパラメータを用いて式24は系の中のあらゆる点のフラックスを与え、そのため、散乱の存在する平面平行系の予測される光分布を完全に解く。境界及び初期条件の適当な変更によってさまざまな実験幾何配置が指定される。本明細書の目的上、2つの基本的な実験幾何配置、すなわち独立散乱フィルムとOLEDに結合された散乱フィルムとがあり、次に、これらの2つの幾何配置に対する境界及び初期条件の定式化を示す。
1.独立フィルム
散乱粒子を分散させた独立フィルムに関しては、式6の境界条件がそれぞれの面の鏡面反射係数によって与えられる。これらの係数はフレネルの式によって与えられる。
Figure 2006528825
添字は境界の位置、x=0又はx=1を表し、このケースでは境界条件は両方の界面で同様である。βは下式によって定義される。
Figure 2006528825
後のセクション2で説明する実験において、この独立フィルムを平行光ビームを用いて調べる。この場合、入力光分布はデルタ関数によって与えられる。
Figure 2006528825
これらの条件並びに対応するS、K及びg値が与えられれば、式24を解いて、全反射率R、透過率Tを以下のように提供することができる。
Figure 2006528825
測定インライン透過率Tinlineは、フィルム−空気界面を横切って輸送されるフラックスを、検出器が対する半角θにわたって積分することによって計算される。
Figure 2006528825
2.OLED+散乱フィルム
さらに、フィルムがOLEDデバイスに張り付けられている場合を調べる。この場合の入力光分布は下式によって与えられる。
Figure 2006528825
上式で、パラメータzは、OLED放出の角依存性を記述する、実験的に観察可能なパラメータである。上部境界条件(空気−フィルム界面)は独立フィルムに対するものと同じだが、下部境界条件(OLED−フィルム界面)は、下式によって与えられる鏡面反射率条件を代わりに使用する。
Figure 2006528825
このモデルを使用して、環境へ出力結合されたそれぞれのチャネルの全フラックスFout(θ)を、内角θの関数として計算することができる。
Figure 2006528825
この境界における内部フラックスFout(θ)は、媒質の外側で観察される角度φの関数としてのフラックスFex(φ)に関係付けられる。
Figure 2006528825
この式は、Kim et. al.において式23として記載されているものであり、中央及び右端の比はそれぞれの媒質中の立体角の比である。基板に結合された光の総量のうち、基板から空気へ出力結合された光の割合は下式として表すことができる。
Figure 2006528825
3.実験
このセクションでは、独立散乱フィルムの関連散乱パラメータの測定を目的とした実験について説明する。さらに、OLEDデバイスの関連物理パラメータの測定についても記載する。次いで結果として得られたパラメータを使用して、OLEDデバイスに散乱フィルムが光学的に結合されているときの光出力に対する効果を予測する。後に説明するようにこの予測は調整可能パラメータを使用しない。次いで光出力に対する実際の効果を測定し、これを予測と比較する。
3.1 独立フィルムの散乱特性
フィルムの製造
重量既知の可視光非吸収性粒子を未硬化のPDMS樹脂(硬化フィルムでn=1.41)10gと混合することによって、可変の光散乱を有する独立したテープを調製した。この調査で使用した2種類の白色粉末は、冷白色(cool white:CW)蛍光体(d50=6μm)、及びZrO粉末(d50=0.6mm)である。メジアン粒径は光散乱によって決定した。一般的な重量ローディングはZrOで0.2%〜1.76%、冷白色蛍光体粒子で1%〜20%であった。両方のサンプルに対して実行した無限平面反射率測定は、非常に低い可視吸光度を指示した。この散乱フィルムは硬化前にテープ注型によって調製した。一般的なフィルム厚は400〜600μmであった。
スキャタランス(S)の測定
独立フィルム内での光散乱の程度を決定するためには、放射輸送モデルを逆に使用し、すなわち観察された透過率及び反射率データセットから出発し、これを逆にたどってS、K及びgのセットを得る必要がある。一般に、この手順は、3つの入力(T、R、Tinline)から3つの出力(S、K、g)への非線形適合を必要とするが、ほとんど吸収がない(すなわちK〜0)場合には、Sは、ベアー(Beer)の法則型の式によってインライン透過率から直接に決定される。
Figure 2006528825
このインライン透過率の測定は、Arイオンレーザビームのチョッピングされた488nm線を独立フィルムに通すことからなる。前置増幅器に接続され、次いでロックイン増幅器に接続された直径1cmのダイオードを、吊るされたフィルムの背後の可変の距離に置いた。この系の角分解能は全てのケースで少なくとも〜1°(θ=0.5)であり、レーザビームの散乱されなかった部分がダイオードから逸れないようにフィルムを取り付けることに留意した。この測定をそれぞれのテープ上の異なる3〜5箇所で繰り返した。ダイオード上のレーザビームの入射強度を、サンプルがある場合とない場合の両方で測定し、これらの2つの信号の比をとって、インライン透過率を得た。安定化後のダイオードの出力変動は比較的に小さく、そのため、インライン透過率決定の際の相違の主な原因は地点間の粒子濃度の変動であった。計算されたスキャタランスSの測定された変動は<+/−0.07であった。可能な系統誤差は、弱いインライン成分よりも強い低角度光散乱によるインライン透過信号の汚染である。この可能性を排除するため、インライン透過率を検出器からの距離の関数として測定し、検出器をサンプルから遠ざけたときにSの抽出値が増大しないことが保証されるように注意した。比較的に高い粒子ローディングを有するサンプルに関しては、既知の重量ローディングに対するスキャタランスの線形適合によってSを決定した。ZrOサンプルとCWサンプルの両方に関して、波長の関数としてのSの変動は、このサイズレジメの粒子の散乱理論の予測と合致して、ほとんどないことを我々は認めた。
散乱異方性(g)の測定
S、K及びnが得られれば、透過率及び反射率に対して式30〜31を適合させることによってgを測定することができる。gは唯一の調整可能パラメータである。市販のUV−Vis分光計(Perkin−Elmer lamda−9)に取り付けられた積分球アクセサリを使用して全透過率及び全反射率スペクトルを測定した。任意の波長点における誤差は+/−0.3%と測定された。相対的に大きなCW粒子では波長の関数としてこれらの値はほとんど変動せず、ZrOがロードされたテープでは、短波長側の反射率がわずかに高いことが分かった。PDMSのS(インライン測定により決定されたもの)、K(<0.001に設定)及びn、並びにgの値が与えられれば、式23によって全反射及び全透過率の値が予測される。我々は、我々のテープに関して、観察された透過率及び反射率値と最もよく一致するようにgを適合させた。この手順は非常にロバストであり、全てのサンプルについてプールされたgの決定における我々の観察された標準偏差は0.008である。この調査で使用されたテープのうち5つのテープの488nmにおける透過率及び反射率の観察値と計算値の比較を表Iに示す。ミクロンサイズの粒子では、ミー理論から、波長が変更されたときにgの値は弱い変動しか示さないと予想される。このことを、670nmダイオードレーザを使用したインライン透過率の解析によって確認した。670nmでのgの計算値(CW及びZrOをロードしたサンプルに対してそれぞれ0.872及び0.816)は488nmでのそれらと同様であった。我々は次に、独立散乱フィルムの全ての関連光学パラメータを決定した。したがってこの放射輸送モデルは、追加の適合パラメータを一切使用せずiに、さまざまな光入力及び出力幾何配置に対する光学的ふるまいを予測することが予想される。したがって、我々のモデルの適用可能性の独立した試験は、独立フィルムによって散乱された光の計算角依存性と測定角依存性の比較である。このような試験を実行するため、長さl=38.2cmの回転アームに半径r=0.5cmの検出器を、散乱サンプルから離して取り付けた。670nmレーザビームをサンプルに通し、透過した670nm光の強度を0°から85°まで測定した。角偏向した成分の測定強度は、検出器が対する立体角であるスケールファクタf=5.4×10−4=πr/lによって、計算されたフラックスに関係付けられる。式36を使用すると以下の通りである。
Figure 2006528825
g、n及びSはすでに決定されているため、式24〜33の解を使用して、Fout(θ)を決定し、それを左辺の比の測定値と、追加の調整なしで比較することができる。図8の上図に、1つのテープ(5.6重量%のローディングを有するCW粒子)について、角度によって分解された強度を角度に対してプロットした。さらにgの異なる入力値に対するモデルの予測(式39)をプロットした。値g=0.87を使用して生み出された曲線は明らかにデータの許容される記述を提供する。2パラメータヘンイー−グリーンスタインモデルを導入することによって、より正確には検出ダイオードの有限のサイズによって導入されるアベレージング効果を考慮することによって、データへの適合を向上させることができるが、2パラメータモデルの使用は、フィルムの全透過率及び全反射率特性の我々の計算にあまり影響を及ぼさず、したがってその使用は正当化されないことを我々は認めた。
3.2 OLEDの光学特性
有効反射率
一般的なOLEDの反射率を、市販の分光計の鏡面反射率アタッチメントを使用して測定した。S. Moller et al., Appl. Phys. Lett., 3324 (2002) に記載されている手順及び材料を使用して青色発光OLEDを製造した。反射率スペクトルは、基板及びデバイス(ITO+高分子)層を通して測定され、したがって反射率スペクトルは、ガラス上のアルミニウムのフィルムの反射率を計算することによって得られた値0.91よりも低いと予想される。図9では、実験による反射率スペクトルを、積分球で測定された一般的なOLEDスペクトルと比較した。OLEDデバイスの出力スペクトルにわたって平均すると有効反射率0.79が得られる。放射輸送モデルにこの数を直接に入力するための理想的なOLEDは、基板領域に比べて薄く、均一に反射するデバイスであると考えられる。試験した実際のOLEDは、厚さ1mmの1.5インチガラス基板上に1インチ平方の活性領域OLEDを有するが、OLEDの大部分の非活性領域は、薄い絶縁層によってITOアノードから分離されたアルミニウム膜で覆われており、非反射領域はデバイス領域の7%でしかなかった。この領域は比較的に小さく且つ非放出性のため、全光出力に対する効果は小さいはずであり、したがって我々はROLED=0.79とした。
OLED発光の角依存性
OLED層から基板の中へ進むときのOLED光出力の角依存性は式24の初期条件D(θ)を設定する。原理上、この内部角分布は、光散乱の角依存性の我々の決定と同様の方法を使用して外部OLED発光パターンを測定することによって決定することができる。問題は、これが、式36に現れる立体角の比と同じ比によるデコンボルーションを必要とし、D(θ)の小さな変化を分解することが難しくなることであろう。したがって、我々は、DDを直接に測定する手順を組み立てた。具体的には、ガラス半球の中心にOLEDを光学的に結合し、放出される光を半球からの角度の関数として測定した。この幾何配置は立体角の比を事実上1にする。この実験では、小さな(1/4インチ平方)OLEDを直径3インチのガラス半球の中心点に置く。2つの方法を使用して角放出を精査した。第1の方法では、光ファイバ入力カプラを半球の周りに回転させ、このファイバに結合された光を遠隔検出器に結合した。ファイバの不良位置合せの影響を最小化するため、アイリス絞り及び光学ディフューザをファイバ入力の前に取り付けた。第2の測定方法では、回転構成部品としてファイバ入力カプラの代わりに小さなシリコンダイオードを利用した。両方の測定方法を利用した角度の関数としての積分強度を図10に示す。実線は、D(θ)=cos(θ)1.2の形の計算された放出プロファイルである。係数1.2は、ダイオード内で観察された信号レベルを対数−対数プロット上でcos(θ)に当てはめることによって決定される。
3.3 散乱フィルムに結合させたOLEDの光出力
前述のOLED及び散乱フィルムの関連特性の完全な特徴付けが済めば、この作業の最終目的は、散乱フィルムをOLEDに結合することの光出力に対する効果を予測することである。これに応じて、散乱テープを有するOLEDからの全積分光出力を散乱テープのないOLEDからの全積分光出力で割ったものとして、向上係数(enhancement factor ε)を定義する。我々はこの量を以下の方法で測定する。CCD検出を備えた1/4m分光計に接続されたファイバ束が取り付けられた直径18インチの積分球の内側にOLEDを置いた。OLEDは、厚さ1/4インチの磁石を使用して鋼製の白色ベース上に取り付けた。したがって、前半球に現れる光は全て、検出前に同様の光経路を経る。OLEDの側面から出た光は、逆方向へ伝わって、球体内へ反射される前に白色ベースに当たり、その一部は、いくぶんかは吸収性であるOLEDの背面への衝突の結果として失われる。さらに、NISTトレーサブル(NIST traceable)の黒体源に対して以前に較正された白色光源(10W、タングステンフィラメント)を球体の内側に取り付け、内部スペクトル較正を与えた。較正は、球体内にOLEDデバイスがあるときとないときの両方で頻繁にチェックし測定した。OLEDが安定な動作モードにあること、及びOLEDができるだけきれいであることが保証されるよう注意した。OLEDの表面に散乱テープを取り付け、スペクトルを測定した。OLEDからテープを取り除き、直ちに測定を繰り返した。散乱フィルムごとに向上係数ε、すなわち比I(散乱有り)/I(散乱無し)を計算した。図5に、冷白色蛍光体粒子から作られたテープ(上図)及びZrO粒子から作られたテープ(下図)について、向上係数(左軸)を、観察されたスキャタランスに対してプロットした。誤差解析は、εの測定値の統計的不確実性が+/−0.028であることを指示している。このデータは、塗りつぶされた正方形及びエラーバーによって表されている。最大向上係数1.41が観察されていることに留意されたい。放射輸送モデル及び実験によって測定された入力パラメータ(R=0.79、z=1.2、g及びSは図示)に基づいて予測された向上が実線で示されている。独立に調整可能なパラメータがモデルに含まれていないことを考えるとなおのこと、予測データと実験データの一致が非常に印象的である。
この向上係数が得られていれば、裸のOLEDの抽出効率の絶対値n s−aが分かっている場合に、散乱フィルムに結合されたOLEDの抽出効率の絶対値ns−aを以下のように計算することができる。
Figure 2006528825
s−aの正確な推定値を得るためには、実際のデバイスに対する有限サイズ効果を考慮しなければならない。主たるサイズ効果は、OLEDからの放出の一部がデバイスの側面から起こることである。これは、側面から放出されることがない無限デバイスに比べて全出力結合効率が高くなる効果を有する。したがって、無限大OLEDに対して解析的に計算することができる出力結合効率はn s−aの下限を提供する。
Figure 2006528825
屈折率n=1.5の基板、θ=41.8、我々の測定値z=1.2を仮定すると、式41は、n s−aの下限0.469を予測する。n s−aのより良好な推定は、実際のOLED幾何配置及びそのマウントが積分球体内にある光線追跡計算を使用して得ることができる。このような計算を実行し、n s−aの推定値0.534+/−0.035を得た。この数を式22と組み合わせて使用して、測定された向上係数値から絶対抽出効率を計算した。これらが図11の右軸として示されている。冷白色蛍光体で最大出力結合効率0.75が観察されていることに留意されたい。
4.議論
図11に示したデータ及びモデルは、単純な物理図を使用して記述することができる。両方のデータセットには、散乱フィルムのスキャタランスSの最適値がある。低スキャタランス値では散乱媒質内の導波性は完全には抑制されず、非常に高いスキャタランス値では、光は、散乱媒質から損失性のカソードへ向かって逆に反射される。ピーク値はこれらの2つの効果が釣り合う点である。我々のモデル化によれば、この最適値の位置はgの値に依存する。ZrOがロードされたフィルムのスキャタランスの最適量が〜2、CWがロードされたフィルムの最適量が〜3である図11のデータは、この傾向を明らかに示している。より重要なのは、光出力向上の絶対値と、散乱粒子のスキャタランス及び位相関数が変化するときの光出力の傾向の両方に関して、解析モデルとデータが高いレベルで一致していることである。モデル入力パラメータの我々の決定における実験誤差を考慮すると、絶対出力結合効率の決定における可能な誤差は〜±7%である。
我々の方法論を要約する。我々は、抽出効率ηs−aを計算するのに必要なパラメータの実験による決定と、さまざまな散乱フィルムに光学的に結合させたOLEDデバイスのηs−aの測定とを示した。最初に、OLEDデバイスに結合されるそれぞれのフィルムの散乱パラメータS及びg、OLED反射率(ROLED)並びに内部角光分布(D(θ))を決定する。最後にそれぞれのフィルムをOLEDに結合し、向上係数εを測定する。向上係数は、散乱テープを用いた場合の光子の数を裸のOLEDから測定された光子の数で割った比と定義される。εとηs−aの間には線形関係があり、このことが我々の観察とモデルとをつなぎ、モデルの正確さ及び能力の詳細な評価を可能にする。我々の解析は自由に調整可能パラメータを必要とせず、基本物理モデルと詳細物理測定の間の高いレベルの一致は、絶対抽出効率の我々の推定に高い信頼度を与え、我々はこの放射輸送モデルを使用して、さまざまな光出力結合方式の有効性を定量的に比較し、ランク付けすることができる。本明細書に記載の実験は全光出力に対する体積光散乱の寄与だけを調べているが、マイクロキャビティの効果、及び表面テクスチャリングの効果を記述するモデルの単純な拡張を含めることもできる。
5.付録B:スペクトルの効果
図12の上図に、角度の関数としてのスペクトルの変化を示す。これらの結果は、同様の装置を使用して他の人によって得られた結果と同様であり、スペクトルに対するマイクロキャビティ効果を示している。0度から50度の範囲でスペクトルの変化は比較的に小さく、角度がさらに増すにつれて、より青い波長側にスペクトルがわずかに移動することが観察される。
角度によって分解されたスペクトルで見られたマイクロキャビティ効果の先の観察と符合して、OLEDのスペクトルが光散乱の程度に依存してわずかに変化することを我々は認めた(図12下)。これらのスペクトルは係数1/εによってスケーリングされており、そのため積分した面積は同じである。このスペクトルの移動は小さいが、カンデラメータ又は光束測定の使用による相対的な光出力の決定を約8%ゆがめるだけの大きさがある。
2パラメータヘンイー−グリーンスタインモデル
角度によって分解された散乱データと1パラメータヘンイー−グリーンスタインモデルの結果との間の比較において、モデルデータと実験データの間には低い角度に不一致がある(図8)。下記の2項H−G位相関数を導入することによって我々の適合を向上させることができる。
Figure 2006528825
図13に、この2項関数を使用したモデルの予測に対してデータをプロットした。g=0.77、f=0.5及びg=0.97である。しかし、これによって観察された角依存性に対するいくぶん良好な適合が得られるが、計算された全透過率及び反射率にはほとんど差がなく、したがって適合をよくするこれらの2つのパラメータの導入による複雑さの追加は正当化されない。したがって我々は1項ヘンイー−グリーンスタイン関数を使用して実験を解析する。
表I:PDMSへの5種類の異なる粒子ローディングに対する実験及び計算スキャタランス、全透過率及び全反射率データ。データは488nmで集めた。全透過率及び反射率の計算値とともに、放射輸送モデルを使用してデータに最もよく一致させるために必要なgの値が最後の欄に示されている。
Figure 2006528825
C.光散乱を最適に使用して最適な光抽出を得るため粒径及び粒径分布に対する規則
1.粒子形態と散乱事象の関係
散乱媒質中における光の伝搬特性は2つの因子の影響を受ける。それは、散乱中心の密度及びそれぞれの散乱事象によって引き起こされる角偏向である。粒子の平均密度は、媒質中の粒子体積ローディングによって制御され、インライン透過率、すなわち散乱することなく媒質を横切るビームの割合及び粒子半径を知ることによって決定することができる。それぞれの散乱事象によって引き起こされる角偏向は、散乱粒子のサイズ、形状及び屈折率、並びに入射光の波長によって決定され、その量は既知であり、位相関数である。球状粒子に関しては、この位相関数を、ミー理論によって解析的に計算することができる。図14に、位相関数に対するサイズ変更の効果を示す、ミー理論計算のいくつかの実例を示す。これらの計算に関しては粒子屈折率を1.8、媒質屈折率を1.5、光の波長を520nmに設定した。それぞれの曲線の粒子半径は凡例に示されている。比較の目的上、位相関数は全て正規化されて最大値1を有する。
上述の図は、平均偏向が粒子半径の強い関数であることを示している。次に、(それぞれが明確に定義された位相関数を有する)散乱中心の集団からの多重光散乱の効果を計算する必要がある。この計算は上記セクションAで詳細に述べた。そのセクションにおいて、ミー理論からの正確な結果の使用はいくぶんわずらわしいことが分かり、そこで我々は、ヘンイー−グリーンスタインによって導入されるより単純な位相関数の記述を使用する。
Figure 2006528825
上式で、θ、θ’は入力及び出力角である。したがってこの位相関数は、直角入射からの偏角の期待値である「非対称パラメータ」gの関数になる。値g=1は、散乱粒子が全くビームを偏向させないことを意味し、値g=0は、(光が前方と逆方向の両方に等しく向け直される)等方散乱事象を意味し、値g=−1は、入射光がまっすぐ後方に反射されることを意味する。その下の図には、さまざまなg値に対するヘンイー−グリーンスタイン位相関数がプロットされている。gの値は凡例に示されている。これらの値は、曲線が先のミーモデル計算に大体一致するように選択されたものである。
図16は、非対称パラメータgが、一般的な粒径範囲にわたって粒径の関数としてどのように変化するかを示す一例である。これらの図の情報を組み合わせて得られる結論は、粒径が増大するにつれてgは増大するということである。
gの有効値に影響する因子は他にもあるが、それらは、全体の粒径に比べればはるかに小さい効果を有する傾向がある。その下の図には、直径0.5ミクロンの粒子の位相関数が、さまざまな粒子屈折率値に関してプロットされている。その他の物理パラメータは以前の計算と同じ値にした。
ここで、異なる位相関数間の変動はより鋭敏であり、それは主に、後方(180度付近の領域)に散乱された光の量、及び中心ピークの外側に散乱された光の量によって明示されている。粒子の形状及び形態の変動によっても観察された位相関数は変化し、これは相当な精査の対象であった。非吸収性(すなわち実(real)屈折率)粒子では、粒径の効果に比べれば小さいものの、球形からの逸脱も、主要な前方へのピークと後方散乱ピークの間の配分に影響を及ぼす傾向がある。
最後に、所与の1つの粒子が所与の波長の光を散乱させる確率は、粒子半径及びその屈折率によって決まる。この確率の尺度は粒子断面積Cであり、これは、幾何学的断面積(πr)と散乱の詳細な波の物理を含む部分Qscaとの積の形に分解することができる。
Figure 2006528825
scaは、粒子と周囲の媒質の屈折率の比、粒子のサイズ、及び入射光の波長に依存する。図18は、屈折率n=1.5の媒質中に埋め込まれた単一の粒径(r=0.5ミクロン)に関してQscaがどのように変化するのかを示す。屈折率を変化させると粒子あたりの散乱効率を調整することができ、したがって粒子集団からの全散乱と媒質中の粒子のローディングと切り離すことができる。
2.OLEDデバイスからの全光出力に対するg値の影響
上記セクションAでは、gとOLEDデバイス中の出力結合効率の間の関係が、ランダムに並べられた粒子の集団に対して詳細に調べられている。具体的には、OLEDなどの大きな平面に対して光抽出を最適化するために、与えるgとSの間の関係が調べられた。図16に示すようにS(スキャタランス)の最適値がgの値に依存することを我々は認めた。この図は、高いg値(〜0.9)では最適スキャタランスも高く(〜3)、低いg値(<0.3)では最適スキャタランス値も低いことを明らかに指示している。さらに、gの値を増大させると、(スキャタランスの関数としての)ピーク光出力も増大し、最適に近い性能を達成するためにスキャタランスがとることができる領域も広がる。
3.設計規則
上記の解析は、粒子集団に対するg値は低いよりも高いほうが一般に好ましいことを指示している。高いg値(>0.8)を示す粒子集団の使用は、デバイスからの最大光出力を高くするだけでなく、全スキャタランスの範囲も大きくする。低いg値が望ましいのは、他の設計上の考慮事項によってスキャタランスを低く保たなければならない場合だけである。あらゆる場合に、粒子は、後方散乱光の量を最小化するように選択されるはずである。
高いg値が望ましいとすれば、これが粒子の粒径及び形状並びに屈折率を左右する。球形又はほぼ球形の粒子では、より大きなg値を得るのに、より大きな粒子(半径0.5ミクロン超)を使用し、系から微粒子を排除することが必要となる。このことは、粒径分布が対称である必要はなく、むしろ大径側に偏っている必要があることを意味する。
弱吸収性ルミネセンス粒子の場合には追加の制約条件が課せられる。入射光のある部分を吸収したいことはしばしばあり、これが所望の粒子ローディングを設定する。したがってこの場合には、最適なg値で動作するようにルミネセンス粒子の粒径及び可能ならば屈折率が選択されるであろう。
さらに、非常に高い粒子充填密度で散乱事象はもはや独立でないとする文献的証拠がある。したがって、より高い体積ローディング割合(>0.3)はgの有効値を増大させる効果を有する。
さらに、粒径には、粒子半径のかなりの変化にもかかわらずg値が徐々にしか増大しない上限がある。大部分の系に関して半径10ミクロンでこれに達し、したがって半径が10ミクロンよりも大きい粒子の使用は望ましくはない。
さまざまな実施形態を説明したが、それらの要素、変形、等価物又は改良のさまざまな組合せを当業者は実施することができこと、及びこれらも添付の請求項に定義された本発明の範囲に含まれることを理解されたい。
OLEDデバイスの概略図。 理想化モデル幾何配置及びモデル入力パラメータの概略図。 さまざまなカソード反射率値を仮定してスキャタランスの関数として計算された基板−空気抽出効率ηs−a。入力光分布はランベルトプロファイルを有すると仮定し、屈折率nは=1.5に、非対称パラメータgは0.8に設定した。 さまざまな非対称パラメータgの値についてスキャタランスの関数として計算されたOLED光出力の向上。屈折率nは1.5に、カソード反射率は0.8に設定した。 最適なスキャタランス値を仮定して基板屈折率の関数として計算された基板−空気抽出効率ηs−a。異なる曲線は異なる基板屈折率値を仮定したものである。 2つの異なる角放出プロファイルについて、最適なスキャタランス値を仮定して基板屈折率の関数として計算された基板−空気抽出効率ηs−a。仮定したカソード反射率は0.79、異方性gは0.9であった。挿入図:さまざまなz値に対する角放出プロファイルのプロット(実線)。比較のため、標準OLED構造のマイクロキャビティモデルを使用し、等方的に配向した双極子(正方形)及びOLEDの平面に平行に配向した双極子(円)を仮定した計算の偏光に関して平均された結果が示されている。 抽出効率の変動を、スキャタランスS及び角放出プロファイルzの関数として示す図である。 抽出効率ηs−aの変動を、スキャタランス及び角放出プロファイルの関数として示す等効率線プロット。 散乱媒質内の光の輸送に影響を及ぼすさまざまな物理プロセスの概略図。線は、典型的な単一の光線の経歴を表し、その媒質との相互作用及び散乱部位(標識された点a〜g)については本文に詳細に説明されている。 「冷白色」蛍光体粒子がロードされたPDMSテープに入射した670nm平行ビームの光散乱の測定された角依存性(白抜き円)。実線は、表1のデータを適合させて得たg=0.87を使用したH−G位相関数(式4)を使用した放射モデル予測である。 OLEDデバイスの測定された鏡面反射率(右y軸)及び積分球内で測定された一般的な青色OLEDスペクトル(左y軸)。 OLEDに光学的に結合されたガラス半球を使用して測定された、OLEDによってガラス基板中に放出された光強度の測定された角分布。データは、Si検出器(塗りつぶされたひし形)及びファイバに結合されたCCDカメラ(白ぬきの正方形)を使用して測定された。このデータは、関数cos(θ)1.2(実線)と比較される。 基板のスキャタランスの関数としての光出力の向上。左y軸は、散乱テープに結合されているときのOLED出力を裸のOLED出力によって割った観察された比である。右y軸は、計算された空気−基板抽出効率ηs−aである。「冷白色」蛍光体粒子がロードされたPDMSテープを使用して得られたデータ。実線はg=0.87を用いたモデルの出力である。 基板のスキャタランスの関数としての光出力の向上。左y軸は、散乱テープに結合されているときのOLED出力を裸のOLED出力によって割った観察された比である。右y軸は、計算された空気−基板抽出効率ηs−aである。ZrO粒子がロードされたPDMSテープを使用して得られたデータ。実線はg=0.79を用いたモデルの出力である。 本文に記載されているCCD−ガラス半球装置を使用して測定されたこの調査で使用された一般的なOLEDのさまざまな放出角での発光スペクトル。 散乱テープに光学的に結合されたOLEDのスペクトル(点線)、及び裸の基板を有するOLEDのスペクトル(実線)を測定した。 「冷白色」蛍光体粒子がロードされたPDMSテープに入射した670nm平行ビームの光散乱の測定された角依存性(白抜き円)。実線は、位相関数に対して2項H−Gモデルを使用したモデル予測である(式37)。位相関数の入力パラメータは凡例に与えられている。 さまざまな半径を有するミー理論球形非吸収粒子を使用して計算された正規化された位相関数。 さまざまな値の非対称パラメータgについてヘンイー−グリーンスタイン関数を使用して計算された位相関数。 球体のサイズの関数としてのgのプロット。媒質の屈折率は1.41、球体の屈折率は1.85、入射光の波長は632nmである。 さまざまな屈折率値(凡例)に対する正規化された位相関数。周囲の媒質の屈折率は1.5であり、粒子半径は0.5ミクロンに設定した。 粒子屈折率の関数としての粒子あたり散乱効率の変動。周囲の媒質の屈折率は1.5であり、入射光波長は0.52ミクロンに設定し、粒子半径は0.5ミクロンである。

Claims (8)

  1. 発光デバイスと、
    前記発光デバイスに光学的に結合された光散乱媒質と
    を備え、
    前記光散乱媒質が約0から約0.99の範囲の光散乱異方性gを有し、スキャタランスSが0<S≦0.22及びS=3からなるグループから選択された
    光源。
  2. 発光デバイスと、
    前記発光デバイスに光学的に結合された光散乱媒質と
    を備え、
    前記光散乱媒質が、約0.8から約0.95の範囲の光散乱異方性g及び約3よりも大きなスキャタランスSを有する
    光源。
  3. 前記発光デバイスが有機エレクトロルミネセンスデバイスである、請求項2記載の光源。
  4. 前記発光デバイスが有機エレクトロルミネセンスデバイスである、請求項1記載の光源。
  5. 前記発光デバイスが、2つの電極間に配置された有機エレクトロルミネセンス材料を含む、請求項3記載の光源。
  6. 前記光散乱媒質が、マトリックス中に分散させた光散乱粒子を含む、請求項3記載の光源。
  7. 前記光散乱粒子のメジアン粒径d50が約6マイクロメートルである、請求項6記載の光源。
  8. 前記光散乱媒質が、厚さ約400マイクロメートルから約600マイクロメートルの層である、請求項6記載の光源。
JP2006521103A 2003-07-24 2004-07-12 改良された光抽出を有する有機エレクトロルミネセンスデバイス Pending JP2006528825A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US48938203P 2003-07-24 2003-07-24
US10/850,700 US7245074B2 (en) 2003-07-24 2004-05-24 Organic electroluminescent devices having improved light extraction
PCT/US2004/022292 WO2005018010A2 (en) 2003-07-24 2004-07-12 Organic electroluminescent devices having improved light extraction

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006528825A true JP2006528825A (ja) 2006-12-21
JP2006528825A5 JP2006528825A5 (ja) 2007-09-13

Family

ID=34083528

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006521103A Pending JP2006528825A (ja) 2003-07-24 2004-07-12 改良された光抽出を有する有機エレクトロルミネセンスデバイス

Country Status (5)

Country Link
US (1) US7245074B2 (ja)
EP (1) EP1652242A2 (ja)
JP (1) JP2006528825A (ja)
KR (1) KR101124753B1 (ja)
WO (1) WO2005018010A2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009070815A (ja) * 2007-08-21 2009-04-02 Fujifilm Corp 有機エレクトロルミネッセンス表示装置
JP2009070816A (ja) * 2007-08-21 2009-04-02 Fujifilm Corp 有機エレクトロルミネッセンス表示装置
WO2010143705A1 (ja) 2009-06-11 2010-12-16 日本ゼオン株式会社 面光源装置、照明器具及びバックライト装置
WO2014115639A1 (ja) * 2013-01-25 2014-07-31 日本ゼオン株式会社 光学部材用粘着剤組成物、光学部材用粘着層及び面光源装置

Families Citing this family (51)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7602118B2 (en) * 2005-02-24 2009-10-13 Eastman Kodak Company OLED device having improved light output
US20060232195A1 (en) * 2005-04-14 2006-10-19 Eastman Kodak Company OLED device having improved light output
US20060250084A1 (en) * 2005-05-04 2006-11-09 Eastman Kodak Company OLED device with improved light output
JP2007013913A (ja) * 2005-05-30 2007-01-18 Toyota Industries Corp 照明装置および原稿読取装置
US7531955B2 (en) * 2005-07-12 2009-05-12 Eastman Kodak Company OLED device with improved efficiency and robustness
US20070013293A1 (en) * 2005-07-12 2007-01-18 Eastman Kodak Company OLED device having spacers
US20070103056A1 (en) * 2005-11-08 2007-05-10 Eastman Kodak Company OLED device having improved light output
US7508130B2 (en) * 2005-11-18 2009-03-24 Eastman Kodak Company OLED device having improved light output
US7710026B2 (en) 2005-12-08 2010-05-04 Global Oled Technology Llc LED device having improved output and contrast
US7466075B2 (en) * 2005-12-08 2008-12-16 Eastman Kodak Company OLED device having improved output and contrast with light-scattering layer and contrast-enhancement layer
US7791271B2 (en) * 2006-02-24 2010-09-07 Global Oled Technology Llc Top-emitting OLED device with light-scattering layer and color-conversion
US7594839B2 (en) * 2006-02-24 2009-09-29 Eastman Kodak Company OLED device having improved light output
US20070201056A1 (en) * 2006-02-24 2007-08-30 Eastman Kodak Company Light-scattering color-conversion material layer
US7564063B2 (en) * 2006-03-23 2009-07-21 Eastman Kodak Company Composite electrode for light-emitting device
US7417370B2 (en) * 2006-03-23 2008-08-26 Eastman Kodak Company OLED device having improved light output
US7955531B1 (en) 2006-04-26 2011-06-07 Rohm And Haas Electronic Materials Llc Patterned light extraction sheet and method of making same
US7521727B2 (en) * 2006-04-26 2009-04-21 Rohm And Haas Company Light emitting device having improved light extraction efficiency and method of making same
US7851995B2 (en) * 2006-05-05 2010-12-14 Global Oled Technology Llc Electroluminescent device having improved light output
US20080012471A1 (en) * 2006-06-29 2008-01-17 Eastman Kodak Company Oled device having improved light output
DE102006059129A1 (de) * 2006-07-31 2008-02-07 Osram Opto Semiconductors Gmbh Strahlungsemittierendes Bauelement
US7858126B2 (en) * 2006-08-31 2010-12-28 Trinity Laboratories Inc. Derivatives of sandalwood oil and santalols for treating cold sores and herpes
JP2008108439A (ja) * 2006-10-23 2008-05-08 Nec Lighting Ltd 電界発光素子および電界発光パネル
CN100476389C (zh) * 2006-11-30 2009-04-08 复旦大学 采用窄光束标准光源的led光通量测试装置及测试方法
JP4160992B2 (ja) * 2006-11-30 2008-10-08 インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション シミュレーション・システム、コンピュータ装置、シミュレーション方法、およびプログラム
DE102006059509B4 (de) * 2006-12-14 2012-05-03 Novaled Ag Organisches Leuchtbauelement
DE102007006348A1 (de) * 2006-12-22 2008-06-26 Osram Opto Semiconductors Gmbh Strahlungsemittierendes Bauelement
US8174187B2 (en) 2007-01-15 2012-05-08 Global Oled Technology Llc Light-emitting device having improved light output
US7564067B2 (en) 2007-03-29 2009-07-21 Eastman Kodak Company Device having spacers
US7560747B2 (en) * 2007-05-01 2009-07-14 Eastman Kodak Company Light-emitting device having improved light output
US7911133B2 (en) * 2007-05-10 2011-03-22 Global Oled Technology Llc Electroluminescent device having improved light output
US7902748B2 (en) * 2007-05-31 2011-03-08 Global Oled Technology Llc Electroluminescent device having improved light output
US7982396B2 (en) * 2007-06-04 2011-07-19 Global Oled Technology Llc Light-emitting device with light-scattering particles and method of making the same
US8179034B2 (en) 2007-07-13 2012-05-15 3M Innovative Properties Company Light extraction film for organic light emitting diode display and lighting devices
US20090015142A1 (en) * 2007-07-13 2009-01-15 3M Innovative Properties Company Light extraction film for organic light emitting diode display devices
US7804245B2 (en) * 2008-01-24 2010-09-28 Global Oled Technology Llc Electroluminescent device having improved brightness uniformity
US9001286B2 (en) * 2008-02-15 2015-04-07 3M Innovative Properties Company Brightness enhancing film and film based diffuser for improved illumination uniformity of displays
US20100110551A1 (en) * 2008-10-31 2010-05-06 3M Innovative Properties Company Light extraction film with high index backfill layer and passivation layer
US8222804B2 (en) * 2008-11-17 2012-07-17 Global Oled Technology, Llc. Tiled OLED device with edge light extraction
US7957621B2 (en) * 2008-12-17 2011-06-07 3M Innovative Properties Company Light extraction film with nanoparticle coatings
US8491160B2 (en) * 2009-05-12 2013-07-23 Panasonic Corporation Sheet, light emitting device, and method for producing the sheet
DE102009036135A1 (de) 2009-08-05 2011-02-10 Schott Ag Strukturiertes Substratglas für Lumineszenzdioden und Verfahren zu dessen Herstellung
US8283853B2 (en) 2010-03-31 2012-10-09 General Electric Company Light-emitting device and article
CN103518150A (zh) * 2010-12-24 2014-01-15 I2Ic公司 颜色不敏感的散射颜料
KR20130015099A (ko) * 2011-08-02 2013-02-13 한국전자통신연구원 유기 발광 소자
TWI469409B (zh) * 2011-09-28 2015-01-11 Au Optronics Corp 有機電致發光元件
US9711748B2 (en) 2012-08-29 2017-07-18 Boe Technology Group Co., Ltd. OLED devices with internal outcoupling
CN105247702B (zh) 2013-09-30 2018-10-26 乐金显示有限公司 有机电子器件
EP2897186B1 (de) 2014-01-21 2018-12-26 Covestro Deutschland AG UV-Schutzfolie für OLEDs
CN105098095B (zh) * 2015-07-27 2017-05-31 京东方科技集团股份有限公司 一种有机发光二极管器件及其制作方法、显示装置
CN110168278A (zh) 2017-01-05 2019-08-23 奥林巴斯株式会社 照明光学系统
WO2018154693A1 (ja) 2017-02-23 2018-08-30 オリンパス株式会社 内視鏡

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998017083A1 (en) * 1996-10-15 1998-04-23 Philips Electronics N.V. Electroluminescent illumination system
JP2001056410A (ja) * 1999-08-18 2001-02-27 Nitto Denko Corp 拡散偏光部材及び液晶表示装置
JP2001203074A (ja) * 2000-01-17 2001-07-27 Nitto Denko Corp 有機el発光装置、偏光面光源装置及び液晶表示装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6710541B2 (en) * 2000-12-22 2004-03-23 Reveo, Inc. Polarized light sources and methods for making the same
US6903505B2 (en) * 2001-12-17 2005-06-07 General Electric Company Light-emitting device with organic electroluminescent material and photoluminescent materials

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998017083A1 (en) * 1996-10-15 1998-04-23 Philips Electronics N.V. Electroluminescent illumination system
JP2000503163A (ja) * 1996-10-15 2000-03-14 フィリップス エレクトロニクス ネムローゼ フェンノートシャップ 電界発光照明システム
JP2001056410A (ja) * 1999-08-18 2001-02-27 Nitto Denko Corp 拡散偏光部材及び液晶表示装置
EP1211526A1 (en) * 1999-08-18 2002-06-05 Nitto Denko Corporation Diffusion polarizing member and liquid crystal display
JP2001203074A (ja) * 2000-01-17 2001-07-27 Nitto Denko Corp 有機el発光装置、偏光面光源装置及び液晶表示装置

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009070815A (ja) * 2007-08-21 2009-04-02 Fujifilm Corp 有機エレクトロルミネッセンス表示装置
JP2009070816A (ja) * 2007-08-21 2009-04-02 Fujifilm Corp 有機エレクトロルミネッセンス表示装置
WO2010143705A1 (ja) 2009-06-11 2010-12-16 日本ゼオン株式会社 面光源装置、照明器具及びバックライト装置
US9431632B2 (en) 2009-06-11 2016-08-30 Zeon Corporation Surface light source device having specific structure; lighting device and backlight device containing the same
WO2014115639A1 (ja) * 2013-01-25 2014-07-31 日本ゼオン株式会社 光学部材用粘着剤組成物、光学部材用粘着層及び面光源装置

Also Published As

Publication number Publication date
KR20060056343A (ko) 2006-05-24
WO2005018010A8 (en) 2006-06-29
EP1652242A2 (en) 2006-05-03
WO2005018010A2 (en) 2005-02-24
KR101124753B1 (ko) 2012-03-23
US20050018431A1 (en) 2005-01-27
US7245074B2 (en) 2007-07-17
WO2005018010A3 (en) 2005-12-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2006528825A (ja) 改良された光抽出を有する有機エレクトロルミネセンスデバイス
Guler et al. Effect of particle properties and light polarization on the plasmonic resonances in metallic nanoparticles
US20150070693A1 (en) Analysis device, analysis method, optical element used for the same, and electronic apparatus
Checcucci et al. Beaming light from a quantum emitter with a planar optical antenna
Inam et al. Modification of spontaneous emission from nanodiamond colour centres on a structured surface
US20140242571A1 (en) Optical element, analysis equipment, analysis method and electronic apparatus
US20140242573A1 (en) Optical element, analysis device, analysis method and electronic apparatus
CN108387923B (zh) 带有光子晶体层的封装式闪烁体及闪烁探测器
US20130056704A1 (en) Single-photon generator and method of enhancement of broadband single-photon emission
Love et al. Optical characteristics of fiberoptic evanescent wave sensors: Theory and experiment
Gao et al. Fundamental performance limits and haze evaluation of metal nanomesh transparent conductors
Aoyu et al. Radiative property investigation of dispersed particulate medium with the consideration of non-uniform particle size distribution and dependent scattering effects
JP5712335B2 (ja) 導波路内に光を結合する方法及び構造
CN100530751C (zh) 具有改进光提取的有机电发光装置
US9880100B2 (en) Electronic field enhancement element, analysis device, and electronic apparatus
JP5155842B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法
Ota et al. Plasmonic ultraviolet filter for fast-timing applications
Kalinic et al. Controlling the emission rate of Er3+ ions by dielectric coupling with thin films
Kumar et al. Silver columnar thin-film-based half-wavelength antennas for bright directional emission from nanodiamond nitrogen-vacancy centers
Hein et al. Lithography-free glass surface modification by self-masking during dry etching
JP4989367B2 (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法
JP2009054382A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス素子の設計方法及び有機エレクトロルミネッセンス素子
CN107407759A (zh) 电光器件堆叠体
Schauer Comparison of photon transport efficiency in simple scintillation electron detector configurations for scanning electron microscope
Djalalian-Assl Surface Plasmon-Coupled Enhanced Transmission

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070704

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070704

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100209

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100507

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20100507

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100507

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100518

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100609

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100616

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20100709

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20100716

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100809

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20110405

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110805

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20110926

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20120420

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20121023

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20121026