JP2017040818A - 発光素子 - Google Patents

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享 橋谷
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Abstract

【課題】フォトルミネッセンス材料を利用する発光素子の輝度、指向性、または偏光特性を制御することが可能な、新規な構造を有する発光素子を提供する。
【解決手段】ある実施形態における発光装置は、励起光を受けて空気中の波長がλaの光を発するフォトルミネッセンス層と、フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、透光層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造とを有する。表面構造は、フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの光の指向角を制限し、フォトルミネッセンス層および透光層は、湾曲している。
【選択図】図39

Description

本開示は、発光素子に関し、特に、フォトルミネッセンス層を有する発光素子に関する。
照明器具、ディスプレイ、プロジェクターといった光学デバイスでは、多くの用途において、必要な方向に光を出射することが求められる。蛍光灯、白色LEDなどで使用されるフォトルミネッセンス材料は等方的に発光する。よって、このような材料は、特定の方向のみに光を出射させるために、リフレクターやレンズなどの光学部品とともに用いられる。例えば、特許文献1は、配光板および補助反射板を用いて指向性を確保した照明システムを開示している。
特開2010−231941号公報
光学デバイスにおいて、リフレクターやレンズなどの光学部品を配置すると、そのスペースを確保するために、光学デバイス自身のサイズを大きくする必要がある。これらの光学部品は無くすか、少しでも小型化することが望ましい。
本開示は、フォトルミネッセンス材料の発光効率、指向性、または偏光特性を制御することが可能な、新規な構造を有する発光素子を提供する。
本開示のある実施形態の発光素子は、励起光を受けて空気中の波長がλaの光を発するフォトルミネッセンス層と、前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、前記透光層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造とを有する。前記表面構造は、前記フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの前記光の指向角を制限し、前記フォトルミネッセンス層および前記透光層は、湾曲している。
上記の包括的または具体的な態様は、素子、装置、システム、方法、またはこれらの任意の組み合わせで実現されてもよい。
本開示のある実施形態による発光素子は、新規な構成を有し、新規なメカニズムに従って、輝度、指向性、または偏光特性を制御することができる。
ある実施形態による発光素子の構成を示す斜視図である。 図1Aに示す発光素子の部分断面図である。 他の実施形態による発光素子の構成を示す斜視図である。 図1Cに示す発光素子の部分断面図である。 発光波長および周期構造の高さをそれぞれ変えて、正面方向に出射する光の増強度を計算した結果を示す図である。 式(10)におけるm=1およびm=3の条件を図示したグラフである。 発光波長およびフォトルミネッセンス層の厚さtを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。 厚さt=238nmのときに、x方向に導波するモードの電場分布を計算した結果を示す図である。 厚さt=539nmのときに、x方向に導波するモードの電場分布を計算した結果を示す図である。 厚さt=300nmのときに、x方向に導波するモードの電場分布を計算した結果を示す図である。 図2の計算と同じ条件で、光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードである場合について光の増強度を計算した結果を示す図である。 2次元の周期構造の例を示す平面図である。 2次元周期構造に関して図2と同様の計算を行った結果を示す図である。 発光波長および周期構造の屈折率を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。 図8と同様の条件でフォトルミネッセンス層の膜厚を1000nmにした場合の結果を示す図である。 発光波長および周期構造の高さを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。 図10と同様の条件で、周期構造の屈折率をnp=2.0とした場合の計算結果を示す図である。 光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードであるものとして図9に示す計算と同様の計算を行った結果を示す図である。 図9に示す計算と同様の条件で、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavを1.5に変更した場合の結果を示す図である。 屈折率が1.5の透明基板の上に、図2に示す計算と同じ条件のフォトルミネッセンス層および周期構造を設けた場合の計算結果を示す図である。 式(15)の条件を図示したグラフである。 図1A、1Bに示す発光素子100と、励起光をフォトルミネッセンス層110に入射させる光源180とを備える発光装置200の構成例を示す図である。 x方向の周期pxを有する1次元周期構造を示す図である。 x方向の周期px、y方向の周期pyを有する2次元周期構造を示す図である。 図17Aの構成における光の吸収率の波長依存性を示す図である。 図17Bの構成における光の吸収率の波長依存性を示す図である。 2次元周期構造の一例を示す図である。 2次元周期構造の他の例を示す図である。 透明基板上に周期構造を形成した変形例を示す図である。 透明基板上に周期構造を形成した他の変形例を示す図である。 図19Aの構成において、発光波長および周期構造の周期を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。 複数の粉末状の発光素子を混ぜた構成を示す図である。 フォトルミネッセンス層の上に周期の異なる複数の周期構造を2次元に配列した例を示す平面図である。 表面に凹凸構造が形成された複数のフォトルミネッセンス層110が積層された構造を有する発光素子の一例を示す図である。 フォトルミネッセンス層110と周期構造120との間に保護層150を設けた構成例を示す断面図である。 フォトルミネッセンス層110の一部のみを加工することによって周期構造120を形成した例を示す図である。 周期構造を有するガラス基板上に形成されたフォトルミネッセンス層の断面TEM像を示す図である。 試作した発光素子の出射光の正面方向のスペクトルを測定した結果を示すグラフである。 TMモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向と平行な軸を回転軸として回転させている状況を示す図である。 試作した発光素子を図27Aに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を測定した結果を示すグラフである。 試作した発光素子を図27Aに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を計算した結果を示すグラフである。 TEモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向と平行な軸を回転軸として回転させている状況を示す図である。 試作した発光素子を図27Dに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を測定した結果を示すグラフである。 試作した発光素子を図27Dに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を計算した結果を示すグラフである。 TEモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向に垂直な軸を回転軸として回転させている状況を示す図である。 試作した発光素子を図28Aに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を測定した結果を示すグラフである。 試作した発光素子を図28Aに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を計算した結果を示すグラフである。 TMモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向と平行な軸を回転軸として回転させている状況を示す図である。 試作した発光素子を図28Dに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を測定した結果を示すグラフである。 試作した発光素子を図28Dに示すように回転させたときの出射光の角度依存性を計算した結果を示すグラフである。 試作した発光素子の出射光(波長610nm)の角度依存性を測定した結果を示すグラフである。 スラブ型導波路の一例を模式的に示す斜視図である。 フォトルミネッセンス層110上に周期構造120を有する発光素子における発光増強効果を受ける光の波長および出射方向との関係を説明するための模式図である。 発光増強効果を示す波長が異なる複数の周期構造を配列した構成の例を示す模式的な平面図である。 1次元周期構造の凸部が延びる方位が異なる複数の周期構造を配列した構成の例を示す模式的な平面図である。 複数の2次元周期構造を配列した構成の例を示す模式的な平面図である。 マイクロレンズを備える発光素子の模式的な断面図である。 発光波長が異なる複数のフォトルミネッセンス層を有する発光素子の模式的な断面図である。 発光波長が異なる複数のフォトルミネッセンス層を有する他の発光素子の模式的な断面図である。 フォトルミネッセンス層の下に拡散防止層(バリア層)を有する発光素子の模式的な断面図である。 フォトルミネッセンス層の下に拡散防止層(バリア層)を有する発光素子の模式的な断面図である。 フォトルミネッセンス層の下に拡散防止層(バリア層)を有する発光素子の模式的な断面図である。 フォトルミネッセンス層の下に拡散防止層(バリア層)を有する発光素子の模式的な断面図である。 フォトルミネッセンス層の下に、結晶成長層(シード層)を有する発光素子の模式的な断面図である。 フォトルミネッセンス層の下に、結晶成長層(シード層)を有する発光素子の模式的な断面図である。 フォトルミネッセンス層の下に、結晶成長層(シード層)を有する発光素子の模式的な断面図である。 周期構造を保護するための表面保護層を有する発光素子の模式的な断面図である。 周期構造を保護するための表面保護層を有する発光素子の模式的な断面図である。 透明高熱伝導層を有する発光素子の模式的な断面図である。 透明高熱伝導層を有する発光素子の模式的な断面図である。 透明高熱伝導層を有する発光素子の模式的な断面図である。 透明高熱伝導層を有する発光素子の模式的な断面図である。 本開示の他の実施形態による発光素子の模式的な断面図である。 湾曲したフォトルミネッセンス層110dを有する発光素子の変形例を示す模式的な断面図である。 湾曲したフォトルミネッセンス層110dを有する発光素子の他の変形例を示す模式的な断面図である。 湾曲したフォトルミネッセンス層110dを有する発光素子のさらに他の変形例を示す模式的な断面図である。 フォトルミネッセンス層110dと透明基板140eとの間に、周期構造が形成された中間層160を配置した構成例を示す模式的な断面図である。 湾曲したフォトルミネッセンス層の表面形状の測定結果の一例を示す図である。 本開示のさらに他の実施形態による発光素子における断面を示す模式的な断面図である。 フォトルミネッセンス層110eの上面に、光吸収性の低い誘電体から形成された周期構造を含む透光層120eが設けられた構成例を示す模式的な断面図である。 発光素子100gのフォトルミネッセンス層110eの一部を拡大して示す模式的な断面図である。 発光素子100gのフォトルミネッセンス層110eの一部を拡大して示す模式的な断面図である。 厚さが端部から中央部に向かって増加するフォトルミネッセンス層110hを有する発光素子100hを示す模式的な断面図である。 発光素子のさらに他の変形例を示す模式的な断面図である。 複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を有する表面構造の一例を示す模式的な断面図である。
[1.本開示の実施形態の概要]
本開示は、以下の項目に記載の発光素子を含む。
[項目1]
励起光を受けて空気中の波長がλaの光を発するフォトルミネッセンス層と、
フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
透光層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造と、を有し、
表面構造は、フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの光の指向角を制限し、
フォトルミネッセンス層および透光層は、湾曲している、発光素子。
[項目2]
励起光を受けて空気中の波長がλaの光を発するフォトルミネッセンス層と、
フォトルミネッセンス層よりも高い屈折率を有する透光層と、
透光層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造と、を有し、
表面構造は、フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの光の指向角を制限し、
フォトルミネッセンス層および透光層は、湾曲している、発光素子。
[項目3]
励起光を受けて空気中の波長がλaの光を発するフォトルミネッセンス層と、
フォトルミネッセンス層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造と、を有し、
表面構造は、フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの光の指向角を制限し、
フォトルミネッセンス層は、湾曲している、発光素子。
[項目4]
励起光を受けて空気中の波長がλaの光を発するフォトルミネッセンス層と、
フォトルミネッセンス層に接している透光層と、
フォトルミネッセンス層と透光層との界面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造と、を有し、
表面構造は、フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの光の指向角を制限し、
フォトルミネッセンス層および透光層は、湾曲している、発光素子。
[項目5]
フォトルミネッセンス層を支持する基板をさらに有する、項目1から4のいずれかに記載の発光素子。
[項目6]
フォトルミネッセンス層および基板は、湾曲している、項目5に記載の発光素子。
[項目7]
励起光を受けて空気中の波長がλaの光を発するフォトルミネッセンス層と、
フォトルミネッセンス層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造と、を有し、
表面構造は、フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの光の指向角を制限し、
フォトルミネッセンス層の厚さは、フォトルミネッセンス層の端部から中央部に向かって減少または増加する、発光素子。
[項目8]
フォトルミネッセンス層の厚さは、フォトルミネッセンス層における一方の端部から他方の端部に向かって減少または増加する、項目7に記載の発光素子。
[項目9]
フォトルミネッセンス層を支持する基板をさらに有し、
表面構造は、フォトルミネッセンス層において基板に対向する面の反対側に形成されている、項目7または8に記載の発光素子。
[項目10]
表面構造は、フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの光の指向角を、15°未満に制限する、項目1から9のいずれかに記載の発光素子。
[項目11]
表面構造における隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、空気中の波長がλaの光に対するフォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、λa/nwav-a<Dint<λaの関係が成り立つ、項目1から10のいずれかに記載の発光素子。
[項目12]
表面構造は、少なくとも1つの周期構造を有し、
少なくとも1つの周期構造の周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ、項目1から11のいずれかに記載の発光素子。
本開示の実施形態による発光素子は、励起光を受けて空気中の波長がλaの光を発するフォトルミネッセンス層と、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造とを有する。この表面構造は、例えば、フォトルミネッセンス層の表面に形成されており、フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの光の指向角を制限する。本開示のある実施形態において、フォトルミネッセンス層は、湾曲している。本開示の他のある実施形態において、フォトルミネッセンス層の厚さは、フォトルミネッセンス層の端部から中央部に向かって減少または増加している。
本開示の実施形態による発光素子は、透光層を有し得る。透光層は、フォトルミネッセンス層よりも高い屈折率を有し得る。透光層は、フォトルミネッセンス層に近接して配置されていてもよいし、フォトルミネッセンス層に接していてもよい。透光層が湾曲していてもよい。上述の表面構造は、透光層の表面に形成されていてもよいし、フォトルミネッセンス層と透光層との界面に形成されていてもよい。
波長λaは、例えば、可視光の波長範囲内(例えば、380nm以上780nm以下)にある。赤外線を利用する用途では、波長λaは、780nmを超える場合もあり得る。一方、紫外線を利用する用途では、波長λaは、380nm未満の場合もあり得る。本開示では、赤外線および紫外線を含めた電磁波全般を、便宜上「光」と表現する。
フォトルミネッセンス層は、フォトルミネッセンス材料を含む。フォトルミネッセンス材料は、励起光を受けて発光する材料を意味する。フォトルミネッセンス材料は、狭義の蛍光材料および燐光材料を包含し、無機材料だけなく、有機材料(例えば色素)を包含し、さらには、量子ドット(即ち、半導体微粒子)を包含する。フォトルミネッセンス層は、フォトルミネッセンス材料に加えて、マトリクス材料(即ち、ホスト材料)を含んでもよい。マトリクス材料は、例えば、ガラスや酸化物などの無機材料や樹脂である。
透光層は、フォトルミネッセンス層が発する光に対して透過率が高い材料、例えば、無機材料や樹脂で形成される。透光層は、例えば誘電体(特に、光の吸収が少ない絶縁体)で形成され得る。透光層は、例えば、フォトルミネッセンス層を支持する基板であってもよい。フォトルミネッセンス層の空気側の表面が後述のサブミクロン構造を有する場合、空気層が透光層となり得る。
フォトルミネッセンス層および透光層の少なくとも一方の表面には、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造が形成される。ここで「表面」とは、他の物質と接している部分(即ち界面)を意味する。透光層が空気等の気体の層である場合は、その気体の層と他の物質(例えばフォトルミネッセンス層)との間の界面が、透光層の表面である。この表面構造は、「凹凸構造」と称することもできる。表面構造は、典型的には、複数の凸部または複数の凹部が一次元または二次元に周期的に配列された部分を含む。そのような表面構造は、「周期構造」と称することができる。複数の凸部および複数の凹部は、互いに接する2つの屈折率の異なる部材(または媒質)の境界に形成される。したがって、「周期構造」は、ある方向に屈折率が周期的に変動する部分を含む構造といえる。ここで「周期的」とは、厳密に周期的である態様に限定されず、近似的に周期的であるといえる態様を含む。本明細書において、連続する複数の凸部または凹部のうち、隣接する2つの中心間の距離(以下、「中心間隔」と称することがある。)が、いずれの2つの隣接する凸部または凹部についても、ある値pの±15%以内の範囲に収まっているとき、その部分は、周期pを有する周期構造であると考える。
本明細書において「凸部」は、基準の高さの部分に対して盛り上がった部分を意味する。「凹部」は、基準の高さの部分に対して窪んだ部分を意味する。凸部および凹部の形状、サイズ、分布によっては、いずれが凸部でいずれが凹部かが容易に判断できない場合があり得る。例えば、図51に示す断面図では、部材610が凹部を有し、部材620が凸部を有していると解釈することもできれば、その逆の解釈も可能である。どのように解釈したとしても、部材610および部材620の各々が、複数の凸部および凹部の少なくとも一方を有するといえることには変わりはない。
表面構造における隣接する2つの凸部または隣接する2つの凹部の中心間の距離(周期構造においては周期p)は、典型的にはフォトルミネッセンス層が発する光の空気中における波長λaよりも短い。フォトルミネッセンス層から発せられる光が可視光、短波長の近赤外線、または紫外線の場合、その距離はマイクロメートルのオーダー(即ちミクロンオーダー)よりも短い。よって、そのような表面構造を、「サブミクロン構造」と称することがある。「サブミクロン構造」が一部に1マイクロメートル(μm)を超える中心間隔または周期を有する部分を含んでいてもよい。以下の説明では、可視光を発するフォトルミネッセンス層を主に想定し、表面構造を意味する用語として「サブミクロン構造」の用語を主に用いる。しかし、サブミクロンオーダーを超える微細構造(例えば、赤外線を利用する用途で使用されるミクロンオーダーの微細構造)を有する表面構造についても、以下の議論は全く同様に成立する。
本開示の実施形態による発光素子においては、後に計算結果および実験結果を参照して詳述するように、フォトルミネッセンス層および透光層の内部に、ユニークな電場分布を形成する。これは、導波光がサブミクロン構造(即ち表面構造)と相互作用して形成される。このような電場分布を形成する光のモードを「擬似導波モード」と表現することができる。この擬似導波モードを活用することで、以下で説明するように、フォトルミネッセンスの発光効率の増大、指向性の向上、偏光の選択性の効果を得ることができる。なお、以下の説明において、擬似導波モードという用語を使って、本発明者らが見出した、新規な構成および/または新規なメカニズムを説明することがある。その説明は、1つの例示的な説明に過ぎず、本開示をいかなる意味においても限定するものではない。
サブミクロン構造は、例えば複数の凸部を含み、隣接する凸部間の中心間距離をDintとすると、λa/nwav-a<Dint<λaの関係を満足し得る。サブミクロン構造は、複数の凸部に代えて複数の凹部を含んでもよい。以下では、簡単のために、サブミクロン構造が複数の凸部を有するものとして説明する。λは光の波長を表し、λaは空気中での光の波長であることを表現する。nwavはフォトルミネッセンス層の屈折率である。フォトルミネッセンス層が複数の材料を混合した媒質である場合、各材料の屈折率をそれぞれの体積比率で重み付けした平均屈折率をnwavとする。一般に屈折率nは波長に依存するので、λaの光に対する屈折率であることをnwav-aと明示することが望ましいが、簡単のために省略することがある。nwavは基本的にフォトルミネッセンス層の屈折率であるが、フォトルミネッセンス層に隣接する層の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率よりも大きい場合、当該屈折率が大きい層の屈折率およびフォトルミネッセンス層の屈折率をそれぞれの体積比率で重み付けした平均屈折率をnwavとする。この場合は、光学的には、フォトルミネッセンス層が複数の異なる材料の層で構成されている場合と等価であるからである。
擬似導波モードの光に対する媒質の有効屈折率をneffとすると、na<neff<nwavを満たす。ここで、naは空気の屈折率である。擬似導波モードの光を、フォトルミネッセンス層の内部を入射角θで全反射しながら伝搬する光であると考えると、有効屈折率neffは、neff=nwavsinθと書ける。また、有効屈折率neffは、擬似導波モードの電場が分布する領域に存在する媒質の屈折率によって決まるので、例えば、サブミクロン構造が透光層に形成されている場合、フォトルミネッセンス層の屈折率だけでなく、透光層の屈折率にも依存する。また、擬似導波モードの偏光方向(TEモードとTMモード)により、電場の分布は異なるので、TEモードとTMモードとでは有効屈折率neffは異なり得る。
サブミクロン構造は、フォトルミネッセンス層および透光層の少なくとも一方に形成される。フォトルミネッセンス層と透光層とが互いに接するとき、フォトルミネッセンス層と透光層との界面にサブミクロン構造が形成されてもよい。このとき、フォトルミネッセンス層および透光層がサブミクロン構造を有する。フォトルミネッセンス層はサブミクロン構造を有さなくてもよい。このとき、サブミクロン構造を有する透光層がフォトルミネッセンス層に近接して配置される。ここで、透光層(またはそのサブミクロン構造)がフォトルミネッセンス層に近接するとは、典型的には、これらの間の距離が、波長λaの半分以下であることをいう。これにより、導波モードの電場がサブミクロン構造に到達し、擬似導波モードが形成される。ただし、透光層の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率よりも大きいときには上記の関係を満足しなくても透光層まで光が到達するため、透光層のサブミクロン構造とフォトルミネッセンス層との間の距離は、波長λaの半分超であってもよい。本明細書では、フォトルミネッセンス層と透光層とが、導波モードの電場がサブミクロン構造に到達し、擬似導波モードが形成されるような配置関係にあるとき、両者が互いに関連付けられていると表現することがある。
サブミクロン構造が、上記のように、λa/nwav-a<Dint<λaの関係を満足するとき、可視光を利用する用途では、サブミクロンオーダーの大きさで特徴づけられる。サブミクロン構造は、例えば、以下に詳細に説明する実施形態の発光素子におけるように、少なくとも1つの周期構造を含み得る。少なくとも1つの周期構造は、周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ。すなわち、サブミクロン構造は、隣接する凸部間の距離Dintがpaで一定の周期構造を含み得る。サブミクロン構造がこのような周期構造を含むと、擬似導波モードの光は、伝搬しながら周期構造と相互作用を繰り返すことにより、サブミクロン構造によって回折される。これは、自由空間を伝播する光が周期構造により回折する現象とは異なり、光が導波しながら(即ち、全反射を繰り返しながら)周期構造と作用する現象である。したがって、周期構造による位相シフトが小さくても(即ち、周期構造の高さが小さくても)効率よく光の回折を起こすことができる。
以上のようなメカニズムを利用すれば、擬似導波モードにより電場が増強される効果によって、フォトルミネッセンスの発光効率が増大するとともに、発生した光が擬似導波モードに結合する。擬似導波モードの光は、周期構造で規定される回折角度だけ進行角度が曲げられる。これを利用することによって、特定の波長の光を特定の方向に出射することができる。すなわち、周期構造が存在しない場合と比較して、指向性が顕著に向上する。さらに、TEモードとTMモードとで有効屈折率neff(=nwavsinθ)が異なるので、高い偏光の選択性を同時に得ることもできる。例えば、後に実験例を示すように、特定の波長(例えば610nm)の直線偏光(例えばTMモード)を正面方向に強く出射する発光素子を得ることができる。このとき、正面方向に出射する光の指向角は例えば15°未満である。ここで「指向角」とは、出射する特定の波長の直線偏光について、強度が最大である方向と、強度が最大強度の50%になる方向との間の角度と定義される。すなわち、指向角は強度が最大である方向を0°とした場合の片側の角度である。このように、本開示の実施形態における周期構造(即ち表面構造)は、特定の波長λaの光の指向角を制限する。言い換えれば、当該波長λaの光の配光を、周期構造がない場合と比較して挟角にする。このような、周期構造が存在しない場合と比較して指向角が低減された配光を、「挟角配光」と称することがある。本開示の実施形態における周期構造は、波長λaの光の指向角を制限するが、波長λaの光の全てを挟角に出射するのではない。例えば後述する図29に示す例では、強度が最大になる方向から離れた角度(例えば20°〜70°)の方向にも波長λaの光が僅かに出射する。しかし、全体的には、波長λaの出射光が0°〜20°の範囲に集中しており、指向角が制限されている。
なお、本開示の典型的な実施形態における周期構造は、一般的な回折格子とは異なり、光の波長λaよりも短い周期を有する。一般的な回折格子は、光の波長λaよりも十分に長い周期を有し、その結果、特定の波長の光を0次光(即ち透過光)、±1次回折光などの複数の回折光に分けて出射させる。そのような回折格子は、高次の回折光が0次光の両側に発生する。回折格子における、0次光の両側に発生する高次の回折光は、挟角配光の実現を困難にする。言い換えれば、従来の回折格子は、光の指向角を所定の角度(例えば15°程度)に制限するという本開示の実施形態に特有の効果を奏しない。この点で、本開示の実施形態における周期構造は、従来の回折格子とは顕著に異なる性質を有する。
サブミクロン構造の周期性が低くなると、指向性、発光効率、偏光度および波長選択性が弱くなる。必要に応じて、サブミクロン構造の周期性を調整すればよい。周期構造は、偏光の選択性が高い1次元周期構造であってもよいし、偏光度を小さくできる2次元周期構造であってもよい。
サブミクロン構造は、複数の周期構造を含み得る。複数の周期構造は、例えば、周期(ピッチ)が互いに異なる。あるいは、複数の周期構造は、例えば、周期性を有する方向(軸)が互いに異なる。複数の周期構造は、同一面内に形成されてもよいし、積層されてもよい。もちろん、発光素子は、複数のフォトルミネッセンス層と複数の透光層とを有し、これらが複数のサブミクロン構造を有してもよい。
サブミクロン構造は、フォトルミネッセンス層が発する光を制御するためだけでなく、励起光を効率よくフォトルミネッセンス層に導くためにも用いることができる。すなわち、励起光がサブミクロン構造により回折されフォトルミネッセンス層および透光層を導波する擬似導波モードに結合することで、効率よくフォトルミネッセンス層を励起することができる。フォトルミネッセンス材料を励起する光の空気中における波長をλexとし、この励起光に対するフォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-exとすると、λex/nwav-ex<Dint<λexの関係が成り立つサブミクロン構造を用いればよい。nwav-exはフォトルミネッセンス材料の励起波長における屈折率である。周期をpexとすると、λex/nwav-ex<pex<λexの関係が成り立つ周期構造を有するサブミクロン構造を用いてもよい。励起光の波長λexは、例えば、450nmであるが、可視光よりも短波長であってもよい。励起光の波長が可視光の範囲内にある場合、フォトルミネッセンス層が発する光とともに、励起光を出射するようにしてもよい。
[2.本開示の基礎となった知見]
本開示の具体的な実施形態を説明する前に、まず、本開示の基礎となった知見を説明する。上述のように、蛍光灯、白色LEDなどで使われるフォトルミネッセンス材料は等方的に発光する。特定の方向を光で照らすためには、リフレクターやレンズなどの光学部品が必要である。しかしながら、もしフォトルミネッセンス層自身が指向性をもって発光すれば、上記のような光学部品は不要になる(若しくは小さくできる)。これにより、光学デバイスや器具の大きさを大幅に小さくすることができる。本発明者らは、このような着想に基づき、指向性発光を得るために、フォトルミネッセンス層の構成を詳細に検討した。
本発明者らは、まず、フォトルミネッセンス層からの光が特定の方向に偏るようにするため、発光自体に特定の方向性をもたせることを考えた。発光を特徴付ける指標である発光レートΓは、フェルミの黄金則により、以下の式(1)で表される。
Figure 2017040818

式(1)において、rは位置を表すベクトル、λは光の波長、dは双極子ベクトル、Eは電場ベクトル、ρは状態密度である。一部の結晶性物質を除く多くの物質では、双極子ベクトルdはランダムな方向性を有している。また、フォトルミネッセンス層のサイズと厚さが光の波長よりも十分に大きい場合、電場Eの大きさも向きに依らずほとんど一定である。よって、ほとんどの場合、<(d・E(r))>2の値は方向に依らない。即ち、発光レートΓは方向に依らず一定である。このため、ほとんどの場合においてフォトルミネッセンス層は等方的に発光する。
一方、式(1)から、異方的な発光を得るためには、双極子ベクトルdを特定の方向に揃えるか、電場ベクトルの特定方向の成分を増強するかのいずれかの工夫が必要である。これらのいずれかの工夫を行うことで、指向性発光を実現できる。本開示の実施形態では、フォトルミネッセンス層へ光を閉じ込める効果により、特定方向の電場成分が増強された擬似導波モードを利用する。そのための構成について検討し、詳細に分析した結果を以下に説明する。
[3.特定の方向の電場のみを強くする構成]
本願発明者らは、電場が強い導波モードを用いて、発光の制御を行うことを考えた。導波構造自体がフォトルミネッセンス材料を含む構成とすることで、発生した光を導波モードに結合させることができる。しかし、ただ単にフォトルミネッセンス材料を用いて導波構造を形成しただけでは、発せられた光が導波モードとなるため、正面方向へはほとんど光は出てこない。そこで、本願発明者らは、フォトルミネッセンス材料を含む導波路と周期構造とを組み合わせることを考えた。導波路に周期構造が近接し、光の電場が周期構造と重なりながら導波する場合、周期構造の作用により擬似導波モードが存在する。つまり、この擬似導波モードは、周期構造により制限された導波モードであり、電場振幅の腹が周期構造の周期と同じ周期で発生することを特徴とする。このモードは、光が導波構造に閉じ込められることにより特定方向への電場が強められたモードである。さらに、このモードは周期構造と相互作用することで、回折効果により特定方向の伝播光へと変換されるため、導波路外部へと光を出射することができる。さらに、擬似導波モード以外の光は導波路内に閉じ込められる効果が小さいため、電場は増強されない。よって、発光のほとんどは大きな電場成分を有する擬似導波モードへと結合することになる。
つまり、本願発明者らは、周期構造が近接して設けられた導波路を、フォトルミネッセンス材料を含むフォトルミネッセンス層(あるいはフォトルミネッセンス層を有する導波層)によって構成することで、発生した光を、特定方向の伝播光に変換される擬似導波モードに結合させ、指向性のある光源を実現することを考えた。
導波構造の簡便な構成として、スラブ型導波路に着目した。スラブ型導波路とは、光の導波部分が平板構造を有する導波路のことである。図30は、スラブ型導波路110Sの一例を模式的に示す斜視図である。導波路110Sの屈折率が導波路110Sを支持する透明基板140の屈折率よりも高いとき、導波路110S内を伝播する光のモードが存在する。このようなスラブ型導波路をフォトルミネッセンス層を含む構成とすることで、発光点から生じた光の電場が導波モードの電場と大きく重なるので、フォトルミネッセンス層で生じた光の大部分を導波モードに結合させることができる。さらに、フォトルミネッセンス層の厚さを光の波長程度とすることにより、電場振幅の大きい導波モードのみが存在する状況を作り出すことができる。
さらに、フォトルミネッセンス層に周期構造が近接する場合には、導波モードの電場が周期構造と相互作用することで擬似導波モードが形成される。フォトルミネッセンス層が複数の層で構成されている場合でも、導波モードの電場が周期構造に達していれば、擬似導波モードが形成されることになる。フォトルミネッセンス層の全てがフォトルミネッセンス材料である必要はなく、その少なくとも一部の領域が発光する機能を有していればよい。
周期構造を金属で形成した場合には、導波モードとプラズモン共鳴の効果によるモードが形成される。このモードは、上で述べた擬似導波モードとは異なる性質を有する。また、このモードは金属による吸収が大きいためロスが大きくなり、発光増強の効果は小さくなる。したがって、周期構造としては、吸収の少ない誘電体を用いるのが望ましい。
本発明者らは、まずこのような導波路の表面に、周期構造を形成することで、特定の角度方向の伝播光として出射することのできる擬似導波モードに、発生した光を結合させることを検討した。図1Aは、そのような導波路(例えば、フォトルミネッセンス層)110と周期構造(例えば、透光層の一部)120とを有する発光素子100の一例を模式的に示す斜視図である。以下、透光層が周期構造を有している場合(即ち、透光層に周期的なサブミクロン構造が形成されている場合)、周期構造120を透光層120ということがある。この例では、周期構造120は、各々がy方向に延びるストライプ状の複数の凸部がx方向に等間隔に並んだ1次元周期構造である。図1Bは、この発光素子100をxz面に平行な平面で切断したときの断面図である。導波路110に接するように周期pの周期構造120を設けると、面内方向の波数kwavをもつ擬似導波モードは、導波路外の伝播光へと変換され、その波数koutは以下の式(2)で表すことができる。
Figure 2017040818

式(2)におけるmは整数であり、回折の次数を表す。
ここで、簡単のため、近似的に導波路内を導波する光を角度θwavで伝播する光線であると考え、以下の式(3)および(4)が成立するとする。
Figure 2017040818



Figure 2017040818
これらの式において、λ0は光の空気中の波長、nwavは導波路の屈折率、noutは出射側の媒質の屈折率、θoutは光が導波路外の基板または空気に出射するときの出射角度である。式(2)〜(4)から、出射角度θoutは、以下の式(5)で表すことができる。
Figure 2017040818

式(5)より、nwavsinθwav=mλ0/pが成立するとき、θout=0となり、導波路の面に垂直な方向(即ち、正面)に光を出射させることができることがわかる。
以上のような原理に基づけば、発生した光を特定の擬似導波モードに結合させ、さらに周期構造を利用して特定の出射角度の光に変換することにより、その方向に強い光を出射させることができると考えられる。
上記のような状況を実現するためには、いくつかの制約条件がある。まず、擬似導波モードが存在するためには、導波路内で伝播する光が全反射することが必要である。このための条件は、以下の式(6)で表される。
Figure 2017040818

この擬似導波モードを周期構造によって回折させて導波路外に光を出射させるためには、式(5)において−1<sinθout<1である必要がある。よって、以下の式(7)を満足する必要がある。
Figure 2017040818

これに対し、式(6)を考慮すると、以下の式(8)が成立すればよいことがわかる。
Figure 2017040818

さらに、導波路110から出射される光の方向を正面方向(θout=0)にするためには、式(5)から、以下の式(9)が必要であることがわかる。
Figure 2017040818

式(9)および式(6)から、必要な条件は、以下の式(10)であることがわかる。
Figure 2017040818

なお、図1Aおよび図1Bに示すような周期構造を設けた場合には、mが2以上の高次の回折効率は低いため、m=1である1次の回折光を主眼に設計すると良い。このため、本実施形態における周期構造では、m=1として、式(10)を変形した以下の式(11)を満足するように周期pが決定される。
Figure 2017040818

図1Aおよび図1Bに示すように、導波路(フォトルミネッセンス層)110が透明基板に接していない場合には、noutは空気の屈折率(約1.0)となるため、以下の式(12)を満足するように周期pを決定すればよい。
Figure 2017040818

一方、図1Cおよび図1Dに例示するような透明基板140上にフォトルミネッセンス層110および周期構造120を形成した構造を採用してもよい。この場合には、透明基板140の屈折率nsが空気の屈折率よりも大きいことから、式(11)においてnout=nsとした次式(13)を満足するように周期pを決定すればよい。
Figure 2017040818

なお、式(12)、(13)では、式(10)においてm=1の場合を想定したが、m≧2であってもよい。すなわち、図1Aおよび図1Bに示すように発光素子100の両面が空気層に接している場合には、mを1以上の整数として、以下の式(14)を満足するように周期pが設定されていればよい。
Figure 2017040818

同様に、図1Cおよび図1Dに示す発光素子100aのようにフォトルミネッセンス層110が透明基板140上に形成されている場合には、以下の式(15)を満足するように周期pが設定されていればよい。
Figure 2017040818

以上の不等式を満足するように周期構造の周期pを決定することにより、フォトルミネッセンス層110から発生した光を正面方向に出射させることができるため、指向性を有する発光装置を実現できる。
[4.計算による検証]
[4−1.周期、波長依存性]
本発明者らは、以上のような特定方向への光の出射が実際に可能であるかを光学解析によって検証した。光学解析は、サイバネット社のDiffractMODを用いた計算によって行った。これらの計算では、発光素子に対して外部から垂直に光を入射したときに、フォトルミネッセンス層における光の吸収の増減を計算することで、外部へ垂直に出射する光の増強度を求めた。外部から入射した光が擬似導波モードに結合しフォトルミネッセンス層で吸収されるという過程は、フォトルミネッセンス層における発光が擬似導波モードへと結合し、外部へ垂直に出射する伝播光へと変換される過程と逆の過程を計算していることに対応する。また、擬似導波モードの電場分布の計算においても、同様に外部から光を入射した場合における電場を計算した。
フォトルミネッセンス層の膜厚を1μm、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造の高さを50nm、周期構造の屈折率を1.5とし、発光波長および周期構造の周期をそれぞれ変えて、正面方向に出射する光の増強度を計算した結果を図2に示す。計算モデルは、図1Aに示すように、y方向には均一な1次元周期構造とし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるとして計算を行った。図2の結果から、増強度のピークが、ある特定の波長と周期との組み合わせにおいて存在することがわかる。なお、図2において、増強度の大きさは色の濃淡で表されており、濃い(即ち黒い)方が増強度が大きく、淡い(即ち白い)方が増強度が小さい。
上記の計算において、周期構造の断面は、図1Bに示すような矩形であるものとしている。式(10)におけるm=1およびm=3の条件を図示したグラフを図3に示す。図2と図3とを比較すると、図2におけるピーク位置はm=1とm=3に対応するところに存在することがわかる。m=1の方が強度が強いのは、3次以上の高次の回折光よりも1次の回折光の回折効率の方が高いからである。m=2のピークが存在しないのは、周期構造における回折効率が低いためである。
図3で示したm=1およびm=3のそれぞれに対応する領域内において、図2では複数のラインが存在することが確認できる。これは、擬似導波モードが複数存在するからであると考えられる。
[4−2.厚さ依存性]
図4は、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造の周期を400nm、高さを50nm、屈折率を1.5とし、発光波長およびフォトルミネッセンス層の厚さtを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を示す図である。フォトルミネッセンス層の厚さtが特定の値であるときに光の増強度がピークに達することがわかる。
図4においてピークが存在する波長600nm、厚さt=238nm、539nmのときに、x方向に導波するモードの電場分布を計算した結果を図5Aおよび図5Bにそれぞれ示す。比較のため、ピークが存在しないt=300nmの場合について同様の計算を行った結果を図5Cに示す。計算モデルは、上記と同様、y方向に均一な1次元周期構造であるとした。各図において、黒い領域ほど電場強度が高く、白い領域ほど電場強度が低いことを表している。t=238nm、539nmの場合には高い電場強度の分布があるのに対して、t=300nmでは全体的に電場強度が低い。これは、t=238nm、539nmの場合には、導波モードが存在し、光が強く閉じ込められているからである。さらに、凸部または凸部の直下に電場が最も強い部分(腹)が必ず存在しており、周期構造120と相関のある電場が発生している特徴が見て取れる。つまり、周期構造120の配置に従って、導波するモードが得られていることがわかる。また、t=238nmの場合とt=539nmの場合とを比較すると、z方向の電場の節(白い部分)の数が1つだけ異なるモードであることが分かる。
[4−3.偏光依存性]
次に偏光依存性を確認するために、図2の計算と同じ条件で、光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードである場合について光の増強度の計算を行った。本計算の結果を図6に示す。TMモードのとき(図2)に比べ、ピーク位置は多少変化しているものの、図3で示した領域内にピーク位置が納まっている。よって、本実施形態の構成は、TMモード、TEモードのいずれの偏光についても有効であることが確認できた。
[4−4.2次元周期構造]
さらに、2次元の周期構造による効果の検討を行った。図7Aは、x方向およびy方向の両方向に凹部および凸部が配列された2次元の周期構造120’の一部を示す平面図である。図中の黒い領域が凸部、白い領域が凹部を示している。このような2次元周期構造では、x方向とy方向の両方の回折を考慮する必要がある。x方向のみ、あるいはy方向のみの回折に関しては1次元の場合と同様であるが、x、y両方の成分を有する方向(例えば、斜め45°方向)の回折も存在するため、1次元の場合とは異なる結果が得られることが期待できる。このような2次元周期構造に関して光の増強度を計算した結果を図7Bに示す。周期構造以外の計算条件は図2の条件と同じである。図7Bに示すように、図2に示すTMモードのピーク位置に加えて、図6に示すTEモードにおけるピーク位置と一致するピーク位置も観測された。この結果は、2次元周期構造により、TEモードも、回折により変換されて出力されていることを示している。また、2次元周期構造については、x方向およびy方向の両方について、同時に1次の回折条件を満足する回折も考慮する必要がある。このような回折光は、周期pの√2倍(即ち、21/2倍)の周期に対応する角度の方向に出射する。よって、1次元周期構造の場合のピークに加えて、周期pの√2倍の周期についてもピークが発生すると考えられる。図7Bでは、このようなピークも確認できる。
2次元周期構造としては、図7Aに示すようなx方向およびy方向の周期が等しい正方格子の構造に限らず、図18Aおよび図18Bのような六角形や三角形を並べた格子構造であってもよい。また、方位方向によって(例えば、正方格子の場合x方向およびy方向)の周期が異なる構造であってもよい。
以上のように、本実施形態では、周期構造とフォトルミネッセンス層とによって形成される特徴的な擬似導波モードの光を、周期構造による回折現象を利用して、正面方向にのみ選択的に出射できることが確認できた。このような構成で、フォトルミネッセンス層を紫外線や青色光などの励起光で励起させることにより、指向性を有する発光が得られる。
[5.周期構造およびフォトルミネッセンス層の構成の検討]
次に、周期構造およびフォトルミネッセンス層の構成や屈折率などの各種条件を変えたときの効果について説明する。
[5−1.周期構造の屈折率]
まず、周期構造の屈折率に関して検討を行った。フォトルミネッセンス層の膜厚を200nm、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造は図1Aに示すようなy方向に均一な1次元周期構造とし、高さを50nm、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとして計算を行った。発光波長および周期構造の屈折率を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を図8に示す。また、同様の条件でフォトルミネッセンス層の膜厚を1000nmにした場合の結果を図9に示す。
まず、フォトルミネッセンス層の膜厚に着目すると、膜厚が200nmの場合(図8)に比べ、膜厚が1000nmの場合(図9)のほうが、周期構造の屈折率の変化に対する光強度がピークとなる波長(ピーク波長と称する。)のシフトが小さいことがわかる。これは、フォトルミネッセンス層の膜厚が小さいほど、擬似導波モードが周期構造の屈折率の影響を受けやすいからである。即ち、周期構造の屈折率が高いほど、有効屈折率が大きくなり、その分ピーク波長が長波長側にシフトするが、この影響は、膜厚が小さいほど顕著になる。なお、有効屈折率は、擬似導波モードの電場が分布する領域に存在する媒質の屈折率によって決まる。
次に、周期構造の屈折率の変化に対するピークの変化に着目すると、屈折率が高いほどピークが広がり強度が下がっていることがわかる。これは、周期構造の屈折率が高いほど擬似導波モードの光を外部に放出するレートが高いため、光を閉じ込める効果が減少する、すなわちQ値が低くなることが原因である。ピーク強度を高く保つためには、光を閉じ込める効果が高い(即ちQ値が高い)擬似導波モードを利用して、適度に光を外部に放出する構成にすればよい。これを実現するためには、屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率に比べて大き過ぎる材料を周期構造に用いるのは望ましくないことがわかる。したがって、ピーク強度およびQ値をある程度高くするためには、周期構造を構成する誘電体(即ち、透光層)の屈折率を、フォトルミネッセンス層の屈折率と同等以下にすればよい。フォトルミネッセンス層がフォトルミネッセンス材料以外の材料を含むときも同様である。
[5−2.周期構造の高さ]
次に、周期構造の高さに関して検討を行った。フォトルミネッセンス層の膜厚を1000nm、フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav=1.8、周期構造は図1Aに示すようなy方向に均一な1次元周期構造で屈折率をnp=1.5、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとして計算を行った。発光波長および周期構造の高さを変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した結果を図10に示す。同様の条件で、周期構造の屈折率をnp=2.0とした場合の計算結果を図11に示す。図10に示す結果では、ある程度以上の高さではピーク強度やQ値(即ち、ピークの線幅)が変化していないのに対して、図11に示す結果では、周期構造の高さが大きいほどピーク強度およびQ値が低下していることがわかる。これは、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが周期構造の屈折率npよりも高い場合(図10)には、光が全反射するので、擬似導波モードの電場の染み出し(エバネッセント)部分のみが周期構造と相互作用することに起因する。電場のエバネッセント部分と周期構造との相互作用の影響は、周期構造の高さが十分大きい場合には、それ以上高さが変化しても一定である。一方、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが周期構造の屈折率npよりも低い場合(図11)は、全反射せずに周期構造の表面にまで光が到達するので、周期構造の高さが大きいほどその影響を受ける。図11を見る限り、高さは100nm程度あれば十分であり、150nmを超える領域ではピーク強度およびQ値が低下していることがわかる。したがって、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが周期構造の屈折率npよりも低い場合に、ピーク強度およびQ値をある程度高くするためには、周期構造の高さを150nm以下に設定すればよい。
[5−3.偏光方向]
次に、偏光方向に関して検討を行った。図9に示す計算と同じ条件で、光の偏光がy方向に垂直な電場成分を有するTEモードであるものとして計算した結果を図12に示す。TEモードでは、擬似導波モードの電場の染み出しがTMモードに比べて大きいため、周期構造による影響を受けやすい。よって、周期構造の屈折率npがフォトルミネッセンス層の屈折率nwavよりも大きい領域では、ピーク強度およびQ値の低下がTMモードよりも著しい。
[5−4.フォトルミネッセンス層の屈折率]
次に、フォトルミネッセンス層の屈折率に関して検討を行った。図9に示す計算と同様の条件で、フォトルミネッセンス層の屈折率nwavを1.5に変更した場合の結果を図13に示す。フォトルミネッセンス層の屈折率nwavが1.5の場合においても概ね図9と同様の効果が得られていることがわかる。ただし、波長が600nm以上の光は正面方向に出射していないことがわかる。これは、式(10)より、λ0<nwav×p/m=1.5×400nm/1=600nmとなるからである。
以上の分析から、周期構造の屈折率はフォトルミネッセンス層の屈折率と同等以下にするか、周期構造の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率以上の場合には、高さを150nm以下にすれば、ピーク強度およびQ値を高くできることがわかる。
[6.変形例]
以下、本実施形態の変形例を説明する。
[6−1.基板を有する構成]
上述のように、発光素子は、図1Cおよび図1Dに示すように、透明基板140の上にフォトルミネッセンス層110および周期構造120が形成された構造を有していてもよい。このような発光素子100aを作製するには、まず、透明基板140上にフォトルミネッセンス層110を構成するフォトルミネッセンス材料(必要に応じて、マトリクス材料を含む、以下同じ。)で薄膜を形成し、その上に周期構造120を形成する方法が考えられる。このような構成において、フォトルミネッセンス層110と周期構造120とにより、光を特定の方向に出射する機能をもたせるためには、透明基板140の屈折率nsはフォトルミネッセンス層の屈折率nwav以下にする必要がある。透明基板140をフォトルミネッセンス層110に接するように設けた場合、式(10)における出射媒質の屈折率noutをnsとした式(15)を満足するように周期pを設定する必要がある。
このことを確認するために、屈折率が1.5の透明基板140の上に、図2に示す計算と同じ条件のフォトルミネッセンス層110および周期構造120を設けた場合の計算を行った。本計算の結果を図14に示す。図2の結果と同様、波長ごとに特定の周期において光強度のピークが現れることが確認できるが、ピークが現れる周期の範囲が図2の結果とは異なることがわかる。これに対して、式(10)の条件をnout=nsとした式(15)の条件を図15に示す。図14において、図15に示される範囲に対応する領域内に、光強度のピークが現れていることがわかる。
したがって、透明基板140上にフォトルミネッセンス層110と周期構造120とを設けた発光素子100aでは、式(15)を満足する周期pの範囲において効果が得られ、式(13)を満足する周期pの範囲において特に顕著な効果が得られる。
[6−2.励起光源を有する発光装置]
図16は、図1A、1Bに示す発光素子100と、励起光をフォトルミネッセンス層110に入射させる光源180とを備える発光装置200の構成例を示す図である。上述のように、本開示の構成では、フォトルミネッセンス層を紫外線や青色光などの励起光で励起させることにより、指向性をもつ発光が得られる。そのような励起光を出射するように構成された光源180を設けることにより、指向性をもつ発光装置200を実現できる。光源180から出射される励起光の波長は、典型的には紫外または青色領域の波長であるが、これらに限らず、フォトルミネッセンス層110を構成するフォトルミネッセンス材料に応じて適宜決定される。なお、図16では、光源180がフォトルミネッセンス層110の下面から励起光を入射させるように配置されているが、このような例に限定されず、例えば、フォトルミネッセンス層110の上面から励起光を入射させてもよい。励起光は、フォトルミネッセンス層110の主面(即ち、上面または下面)に垂直な方向に対して傾斜した方向から(即ち、斜めに)入射させてもよい。励起光を、フォトルミネッセンス層110内で全反射が生じる角度で斜めに入射させることにより、より効率的に発光させることができる。
励起光を擬似導波モードに結合させることで、効率よく光を出射させる方法もある。図17Aから図17Dは、そのような方法を説明するための図である。この例では、図1C、1Dに示す構成と同様、透明基板140上にフォトルミネッセンス層110および周期構造120が形成されている。まず、図17Aに示すように、発光増強のためにx方向の周期pxを決定し、続いて、図17Bに示すように、励起光を擬似導波モードに結合させるためにy方向の周期pyを決定する。周期pxは、式(10)においてpをpxに置き換えた条件を満足するように決定される。一方、周期pyは、mを1以上の整数、励起光の波長をλex、フォトルミネッセンス層110に接する媒質のうち、周期構造120を除く最も屈折率の高い媒質の屈折率をnoutとして、以下の式(16)を満足するように決定される。
Figure 2017040818


ここで、noutは、図17Bの例では透明基板140のnsであるが、図16のように透明基板140を設けない構成では、空気の屈折率(約1.0)である。
特に、m=1として、次の式(17)を満足するように周期pyを決定すれば、励起光を擬似導波モードに変換する効果をより高くすることができる。
Figure 2017040818

このように、式(16)の条件(特に式(17)の条件)を満足するように周期pyを設定することで、励起光を擬似導波モードに変換することができる。その結果、フォトルミネッセンス層110に効率的に波長λexの励起光を吸収させることができる。
図17Cおよび図17Dは、それぞれ、図17Aおよび図17Bに示す構造に対して光を入射したときに光が吸収される割合を波長ごとに計算した結果を示す図である。この計算では、px=365nm、py=265nmとし、フォトルミネッセンス層110からの発光波長λを約600nm、励起光の波長λexを約450nm、フォトルミネッセンス層110の消衰係数を0.003としている。図17Dに示すように、フォトルミネッセンス層110から生じた光だけでなく、励起光である約450nmの光に対して高い吸収率を示している。これは、入射した光が効果的に擬似導波モードに変換されることで、フォトルミネッセンス層に吸収される割合を増大させることができているためである。また、発光波長である約600nmに対しても吸収率が増大しているが、これは、もし約600nmの波長の光をこの構造に入射した場合には、同様に効果的に擬似導波モードに変換されるということである。このように、図17Bに示す周期構造120は、x方向およびy方向のそれぞれに周期の異なる構造(周期成分と称する。)を有する2次元周期構造である。このように、複数の周期成分を有する2次元周期構造を用いることにより、励起効率を高めつつ、出射強度を高めることが可能になる。なお、図17A、17Bでは励起光を基板140側から入射させているが、周期構造120側から入射させても同じ効果が得られる。
さらに、複数の周期成分を有する2次元周期構造としては、図18Aまたは図18Bに示すような構成を採用してもよい。図18Aに示すように六角形の平面形状を有する複数の凸部または凹部を周期的に並べた構成や、図18Bに示すように三角形の平面形状を有する複数の凸部または凹部を周期的に並べた構成とすることにより、周期とみなすことのできる複数の主軸(図の例では軸1〜3)を定めることができる。このため、それぞれの軸方向について異なる周期を割り当てることができる。これらの周期の各々を、複数の波長の光の指向性を高めるために設定してもよいし、励起光を効率よく吸収させるために設定してもよい。いずれの場合も、式(10)に相当する条件を満足するように各周期が設定される。
[6−3.透明基板上の周期構造]
図19Aおよび図19Bに示すように、透明基板140上に周期構造120aを形成し、その上にフォトルミネッセンス層110を設けてもよい。図19Aの構成例では、基板140上の凹凸からなる周期構造120aに追従するようにフォトルミネッセンス層110が形成されている。その結果、フォトルミネッセンス層110の表面にも同じ周期の周期構造120bが形成されている。一方、図19Bの構成例では、フォトルミネッセンス層110の表面は平坦になるように処理されている。これらの構成例においても、周期構造120aの周期pを式(15)を満足するように設定することにより、指向性発光を実現できる。
この効果を検証するため、図19Aの構成において、発光波長および周期構造の周期を変えて正面方向に出力する光の増強度を計算した。ここで、フォトルミネッセンス層110の膜厚を1000nm、フォトルミネッセンス層110の屈折率をnwav=1.8、周期構造120aはy方向に均一な1次元周期構造で高さを50nm、屈折率をnp=1.5、周期を400nmとし、光の偏光はy方向に平行な電場成分を有するTMモードであるものとした。本計算の結果を図19Cに示す。本計算においても、式(15)の条件を満足する周期で光強度のピークが観測された。
[6−4.粉体]
以上の実施形態によれば、周期構造の周期や、フォトルミネッセンス層の膜厚を調整することで任意の波長の発光を強調することができる。例えば、広い帯域で発光するフォトルミネッセンス材料を用いて図1A、1Bのような構成にすれば、ある波長の光のみを強調することが可能である。よって、図1A、1Bのような発光素子100の構成を粉末状にして、蛍光材料として利用してもよい。また、図1A、1Bのような発光素子100を樹脂やガラスなどに埋め込んで利用してもよい。
図1A、1Bのような単体の構成では、ある特定の波長しか特定の方向に出射できないため、例えば広い波長域のスペクトルを持つ白色などの発光を実現することは難しい。そこで、図20に示すように周期構造の周期やフォトルミネッセンス層の膜厚などの条件の異なる複数の粉末状の発光素子100を混ぜたものを用いることにより、広い波長域のスペクトルを持つ発光装置を実現できる。この場合、個々の発光素子100の一方向のサイズは、例えば数μm〜数mm程度であり、その中に例えば数周期〜数百周期の1次元または2次元の周期構造を含み得る。
[6−5.周期の異なる構造を配列]
図21は、フォトルミネッセンス層の上に周期の異なる複数の周期構造を2次元に配列した例を示す平面図である。この例では、3種類の周期構造120a、120b、120cが隙間なく配列されている。周期構造120a、120b、120cは、例えば、赤、緑、青の波長域の光をそれぞれ正面に出射するように周期が設定されている。このように、フォトルミネッセンス層の上に周期の異なる複数の構造を並べることによっても広い波長域のスペクトルに対し指向性を発揮させることができる。なお、複数の周期構造の構成は、上記のものに限定されず、任意に設定してよい。
[6−6.積層構造]
図22は、表面に凹凸構造が形成された複数のフォトルミネッセンス層110が積層された構造を有する発光素子の一例を示している。複数のフォトルミネッセンス層110の間には、透明基板140が設けられ、各層のフォトルミネッセンス層110の表面に形成された凹凸構造が上記の周期構造またはサブミクロン構造に相当する。図22に示す例では、3層の周期の異なる周期構造が形成されており、それぞれ、赤、青、緑の波長域の光を正面に出射するように周期が設定されている。また、各周期構造の周期に対応する色の光を発するように各層のフォトルミネッセンス層110の材料が選択されている。このように、周期の異なる複数の周期構造を積層することによっても、広い波長域のスペクトルに対し指向性を発揮させることができる。
なお、層数や各層のフォトルミネッセンス層110および周期構造の構成は上記のものに限定されず、任意に設定してよい。例えば2層の構成では、透光性の基板を介して第1のフォトルミネッセンス層と第2のフォトルミネッセンス層とが対向するように形成され、第1および第2のフォトルミネッセンス層の表面に、それぞれ第1および第2の周期構造が形成されることになる。この場合、第1のフォトルミネッセンス層および第1の周期構造の対と、第2のフォトルミネッセンス層および第2の周期構造の対のそれぞれについて、式(15)に相当する条件を満足していればよい。3層以上の構成においても同様に、各層におけるフォトルミネッセンス層および周期構造について、式(15)に相当する条件を満足していればよい。フォトルミネッセンス層と周期構造との位置関係が図22に示すものとは逆転していてもよい。図22に示す例では、各層の周期が異なっているが、これらを全て同じ周期にしてもよい。その場合、スペクトルを広くすることはできないが、発光強度を大きくすることができる。
[6−7.保護層を有する構成]
図23は、フォトルミネッセンス層110と周期構造120との間に保護層150を設けた構成例を示す断面図である。このように、フォトルミネッセンス層110を保護するための保護層150を設けても良い。ただし、保護層150の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率よりも低い場合は、保護層150の内部に波長の半分程度しか光の電場が染み出さない。よって、保護層150が波長よりも厚い場合には、周期構造120に光が届かない。このため、擬似導波モードが存在せず、光を特定方向に放出する機能を得ることができない。保護層150の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率と同程度あるいはそれ以上の場合には、保護層150の内部にまで光が到達する。よって、保護層150に厚さの制約は無い。ただし、その場合でも、光が導波する部分(以下、この部分を「導波層」と呼ぶ。)の大部分をフォトルミネッセンス材料で形成したほうが大きな光の出力が得られる。よって、この場合でも保護層150は薄いほうが望ましい。なお、保護層150を周期構造(透光層)120と同じ材料を用いて形成してもよい。このとき、周期構造を有する透光層が保護層を兼ねる。透光層120の屈折率はフォトルミネッセンス層110よりも小さいことが望ましい。
[7.材料]
以上のような条件を満たす材料でフォトルミネッセンス層(あるいは導波層)および周期構造を構成すれば、指向性発光を実現できる。周期構造には任意の材料を用いることができる。しかしながら、フォトルミネッセンス層(あるいは導波層)や周期構造を形成する媒質の光吸収性が高いと、光を閉じ込める効果が低下し、ピーク強度およびQ値が低下する。よって、フォトルミネッセンス層(あるいは導波層)および周期構造を形成する媒質として、光吸収性の比較的低いものが用いられ得る。
周期構造の材料としては、例えば、光吸収性の低い誘電体が使用され得る。周期構造の材料の候補としては、例えば、MgF2(フッ化マグネシウム)、LiF(フッ化リチウム)、CaF2(フッ化カルシウム)、SiO2(石英)、ガラス、樹脂、MgO(酸化マグネシウム)、ITO(酸化インジウム錫)、TiO2(酸化チタン)、SiN(窒化シリコン)、Ta25(五酸化タンタル)、ZrO2(ジルコニア)、ZnSe(セレン化亜鉛)、ZnS(硫化亜鉛)などが挙げられる。ただし、前述のとおり周期構造の屈折率をフォトルミネッセンス層の屈折率よりも低くする場合、屈折率が1.3〜1.5程度であるMgF2、LiF、CaF2、SiO2、ガラス、樹脂を用いることができる。
フォトルミネッセンス材料は、狭義の蛍光材料および燐光材料を包含し、無機材料だけなく、有機材料(例えば色素)を包含し、さらには、量子ドット(即ち、半導体微粒子)を包含する。一般に、無機材料をホストとする蛍光材料は屈折率が高い傾向にある。青色に発光する蛍光材料としては、例えば、M10(PO46Cl2:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、BaMgAl1017:Eu2+、M3MgSi28:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、M5SiO4Cl6:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)を用いることができる。緑色に発光する蛍光材料としては、例えば、M2MgSi27:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、SrSi5AlO27:Eu2+、SrSi222:Eu2+、BaAl24:Eu2+、BaZrSi39:Eu2+、M2SiO4:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、BaSi342:Eu2+Ca8Mg(SiO44Cl2:Eu2+、Ca3SiO4Cl2:Eu2+、CaSi12-(m+n)Al(m+n)n16-n:Ce3+、β−SiAlON:Eu2+を用いることができる。赤色に発光する蛍光材料としては、例えば、CaAlSiN3:Eu2+、SrAlSi47:Eu2+、M2Si58:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、MSiN2:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、MSi222:Yb2+(M=SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、Y22S:Eu3+,Sm3+、La22S:Eu3+,Sm3+、CaWO4:Li1+,Eu3+,Sm3+、M2SiS4:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、M3SiO5:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)を用いることができる。黄色に発光する蛍光材料としては、例えば、Y3Al512:Ce3+、CaSi222:Eu2+、Ca3Sc2Si312:Ce3+、CaSc24:Ce3+、α−SiAlON:Eu2+、MSi222:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)、M7(SiO36Cl2:Eu2+(M=Ba,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種)を用いることができる。
量子ドットについては、例えば、CdS、CdSe、コア・シェル型CdSe/ZnS、合金型CdSSe/ZnSなどの材料を用いることができ、材質によって様々な発光波長を得ることができる。量子ドットのマトリクスとしては、例えば、ガラスや樹脂を用いることができる。
図1C、1Dなどに示す透明基板140は、フォトルミネッセンス層110の屈折率よりも低い透光性材料によって構成される。そのような材料として、例えば、MgF2(フッ化マグネシウム)、LiF(フッ化リチウム)、CaF2(フッ化カルシウム)、SiO2(石英)、ガラス、樹脂が挙げられる。なお、基板140を介さずにフォトルミネッセンス層110に励起光を入射させるような構成においては、基板140が透明であることは必須ではない。
[8.製造方法の概略]
続いて、製造方法の一例を説明する。
図1C、1Dに示す構成を実現する方法として、例えば、透明基板140上に蛍光材料を蒸着、スパッタリング、塗布などの工程によってフォトルミネッセンス層110の薄膜を形成し、その後、誘電体を成膜し、フォトリソグラフィなどの方法によってパターニングすることによって周期構造120を形成する方法がある。上記方法の代わりに、ナノインプリントによって周期構造120を形成してもよい。また、図24に示すように、フォトルミネッセンス層110の一部のみを加工することによって周期構造120を形成してもよい。その場合、周期構造120はフォトルミネッセンス層110と同じ材料で形成されることになる。
図1A、1Bに示す発光素子100は、例えば、図1C、1Dに示す発光素子100aを作製した後、基板140からフォトルミネッセンス層110および周期構造120の部分を剥がす工程を行うことで実現可能である。
図19Aに示す構成は、例えば、透明基板140上に半導体プロセスやナノインプリントなどの方法で周期構造120aを形成した後、その上にフォトルミネッセンス層110を構成する材料を蒸着やスパッタリングなどの方法で形成することによって実現可能である。あるいは、塗布などの方法を用いて周期構造120aの凹部をフォトルミネッセンス層110で埋め込むことによって図19Bに示す構成を実現することもできる。
なお、上記の製造方法は一例であり、本開示の発光素子は上記の製造方法に限定されない。
[9.実験例]
以下に、本開示の実施形態による発光素子を作製した例を説明する。
図19Aと同様の構成を有する発光素子のサンプルを試作し、特性を評価した。発光素子は以下の様にして作製した。
ガラス基板に、周期400nm、高さ40nmの1次元周期構造(ストライプ状の凸部)を設け、その上からフォトルミネッセンス材料であるYAG:Ceを210nm成膜した。この断面図のTEM像を図25に示し、これを450nmのLEDで励起することでYAG:Ceを発光させたときの、正面方向のスペクトルを測定した結果を図26に示す。図26には、周期構造がない場合の測定結果(ref)と、1次元周期構造に対して平行な偏光成分を持つTMモードと、垂直な偏光成分を持つTEモードを測定した結果について示した。周期構造がある場合は、周期構造がない場合に対して、特定の波長の光が著しく増加していることが見て取れる。また、1次元周期構造に対して平行な偏光成分を持つTMモードの方が、光の増強効果が大きいことが分かる。
さらに、同じサンプルにおいて、出射光強度の角度依存性を測定した結果および計算結果を図27A〜27Fおよび図28A〜28Fに示す。図27Aは、TMモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向と平行な軸を回転軸として回転させている状況を示している。図27Bおよび図27Cは、このように回転させた場合についての測定結果および計算結果をそれぞれ示している。一方、図27Dは、TEモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向と平行な軸を回転軸として回転させている状況を示している。図27Eおよび図27Fは、この場合の測定結果および計算結果をそれぞれ示している。図28Aは、TEモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向に垂直な軸を回転軸として回転させている状況を示している。図28Bおよび図28Cは、この場合の測定結果および計算結果をそれぞれ示している。一方、図28Dは、TMモードの直線偏光を出射する発光素子を、1次元周期構造120のライン方向と垂直な軸を回転軸として回転させている状況を示している。図28Eおよび図28Fは、この場合の測定結果および計算結果をそれぞれ示している。
図27A〜27Fおよび図28A〜28Fから明らかなように、TMモードの方が増強される効果が高い。また、増強される光の波長は角度によってシフトすることがわかる。例えば、波長610nmの光については、TMモードでかつ正面方向にしか光が存在しないため、指向性が高くかつ偏光発光していることがわかる。また、図27Bと図27C、図27Eと図27F、図28Bと図28C、図28Eと図28Fのそれぞれの測定結果と計算結果とが整合していることから、上述の計算の妥当性が実験によって裏付けられた。
図29は、波長610nmの光について、図28Dに示すように、ライン方向に対して垂直な方向を回転軸として回転させた場合の強度の角度依存性を示している。正面方向に強い発光増強が起きており、そのほかの角度に対しては、ほとんど光が増強されていない様子がみてとれる。正面方向に出射される光の指向角は15°未満であることがわかる。なお、指向角は、前述のように、強度が最大強度の50%となる角度であり、最大強度の方向を中心に片側の角度で表す。図29に示す結果から、指向性発光が実現していることがわかる。さらに、出射される光は全てTMモードの成分であるため、同時に偏光発光も実現していることがわかる。
以上の検証のための実験は、広帯域の波長帯で発光するYAG:Ceを使って行った。狭帯域の光を発するフォトルミネッセンス材料を用いて同様の構成で実験を行ったとしても、その波長の光に対して高い指向性および偏光発光を実現することができる。さらに、そのようなフォトルミネッセンス材料を用いた場合、他の波長の光は発生しないために他の方向や他の偏光状態の光は発生しない光源を実現することができる。
[10.他の変形例]
次に、本開示の発光素子および発光装置の他の変形例を説明する。
上述したように、本開示の発光素子が有するサブミクロン構造によって、発光増強効果を受ける光の波長および出射方向は、サブミクロン構造の構成に依存する。図31に示す、フォトルミネッセンス層110上に周期構造120を有する発光素子を考える。ここでは、周期構造120はフォトルミネッセンス層110と同じ材料で形成されており、図1Aに示した1次元周期構造120を有する場合を例示する。1次元周期構造120によって発光増強を受ける光は、1次元周期構造120の周期p(nm)、フォトルミネッセンス層110の屈折率nwav、光が出射される外部の媒質の屈折率noutとし、1次元周期構造120への入射角をθwav、1次元周期構造120から外部の媒質への出射角をθoutとすると、p×nwav×sinθwav−p×nout×sinθout=mλの関係を満足する(上記の式(5)参照)。ここで、λは空気中における光の波長であり、mは整数である。
上記式から、θout=arcsin[(nwav×sinθwav−mλ/p)/nout]が得られる。したがって、一般に、波長λが異なると、発光増強を受けた光の出射角θoutが異なる。その結果、図31に模式的に示すように、観察する方向によって、見える光の色が異なる。
この視角依存性を低減させるためには、(nwav×sinθwav−mλ/p)/noutが、波長λによらず一定となるように、nwavおよびnoutを選べばよい。物質の屈折率は、波長分散(波長依存性)を有しているので、(nwav×sinθwav−mλ/p)/noutが波長λに依存しないような、nwavおよびnoutの波長分散性を有する材料を選択すればよい。例えば、外部の媒質が空気の場合、noutは、波長によらずほぼ1.0なので、フォトルミネッセンス層110および1次元周期構造120を形成する材料として、屈折率nwavの波長分散が小さい材料を選択することが望ましい。さらに、屈折率nwavがより短い波長の光に対して屈折率が低くなるような逆分散の材料のほうが望ましい。
また、図32Aに示すように、互いに発光増強効果を示す波長が異なる複数の周期構造を配列することによって、白色光を出射できるようにできる。図32Aに示す例では、赤色光(R)を増強できる周期構造120rと、緑色光(G)を増強できる周期構造120gと、青色光(B)を増強できる周期構造120bとがマトリクス状に配列されている。周期構造120r、120gおよび120bは、例えば、1次元周期構造で、それぞれの凸部は互いに平行に配列されている。したがって、偏光特性は、赤、緑、青の全ての色の光について同じである。周期構造120r、120gおよび120bによって、発光増強を受けた三原色の光が出射され、混色される結果、白色光、かつ、直線偏光が得られる。
マトリクス状に配列された各周期構造120r、120gおよび120bを単位周期構造(または画素)と呼ぶと、単位周期構造の大きさ(即ち、一辺の長さ)は、例えば、周期の3倍以上である。また、混色の効果を得るためには人間の目で単位周期構造が認識されない方が望ましく、例えば、一辺の長さは1mmよりも小さいことが望ましい。ここでは、各単位周期構造を正方形に描いているが、これに限られず、例えば、互いに隣接する周期構造120r、120gおよび120bが長方形、三角形、六角形などの正方形以外の形状でもよい。
また、周期構造120r、120gおよび120bの下に設けられているフォトルミネッセンス層は、周期構造120r、120gおよび120bに共通であってもよいし、それぞれの色の光に対応して異なるフォトルミネッセンス材料を有するフォトルミネッセンス層を設けてもよい。
図32Bに示すように、1次元周期構造の凸部が延びる方位が異なる複数の周期構造(周期構造120h、120iおよび120jを含む)を配列してもよい。複数の周期構造が発光増強する光の波長は、同じでもよいし、異なっていてもよい。例えば、同じ周期構造を図32Bのように配列すると、偏光していない光を得ることができる。また、図32Aにおける周期構造120r、120gおよび120bのそれぞれについて、図32Bの配列を適用すると、全体として、非偏光の白色光を得ることができる。
もちろん、周期構造は、1次元周期構造に限らず、図32Cに示すように、複数の2次元周期構造(周期構造120k、120mおよび120nを含む)を配列してもよい。このとき、周期構造120k、120mおよび120nの周期や方位は、上述したように、同じでもよいし、異なってもよく、必要に応じて適宜設定され得る。
図33に示すように、例えば、発光素子の光の出射側にマイクロレンズ130のアレイを配置してもよい。マイクロレンズ130のアレイにより、斜め方向に出射される光を法線方向に曲げることによって、混色の効果を得ることができる。
図33に示した発光素子は、図32Aにおける周期構造120r、120gおよび120bをそれぞれ有する領域R1、R2およびR3を有する。領域R1においては、周期構造120rによって、赤色光Rが法線方向に出射され、例えば緑色光Gは斜め方向に出射される。マイクロレンズ130の屈折作用によって、斜め方向に出射された緑色光Gは法線方向に曲げられる。その結果、法線方向においては、赤色光Rと緑色光Gとが混色されて観察される。このように、マイクロレンズ130を設けることによって、出射される光の波長が角度によって異なるという現象が抑制される。ここでは、複数の周期構造に対応する複数のマイクロレンズを一体化したマイクロレンズアレイを例示しているが、これに限られない。もちろん、タイリングする周期構造は上記の例に限られず、同じ周期構造をタイリングした場合にも適用できるし、図32Bまたは図32Cに示した構成にも適用できる。
斜め方向に出射される光を曲げる作用を有する光学素子は、マイクロレンズアレイに代えてレンチキュラーレンズであってもよい。また、レンズだけでなく、プリズムを用いることもできる。プリズムのアレイを用いてもよい。周期構造に対応して個々にプリズムを配置してもよい。プリズムの形状は、特に制限されない。例えば、三角プリズムまたはピラミッド型プリズムを用いることができる。
白色光(あるいは、広いスペクトル幅を有する光)を得る方法は、上述の周期構造によるものの他、例えば、図34Aおよび図34Bに示すように、フォトルミネッセンス層によるものもある。図34Aに示すように、発光波長が異なる複数のフォトルミネッセンス層110b、110g、110rを積層することによって、白色光を得ることができる。積層順は図示の例に限らない。また、図34Bに示すように、青色の光を発するフォトルミネッセンス層110bの上に、黄色の光を発するフォトルミネッセンス層110yを積層してもよい。フォトルミネッセンス層110yは、例えばYAGを用いて形成することができる。
この他、蛍光色素などマトリクス(ホスト)材料に混合して用いられるフォトルミネッセンス材料を用いる場合には、発光波長が異なる複数のフォトルミネッセンス材料をマトリクス材料に混合し、単一のフォトルミネッセンス層で、白色光を発光するようにできる。この様な白色光を発光できるフォトルミネッセンス層は、図32A〜図32Cを参照して説明した、単位周期構造をタイリングした構成に用いることができる。
フォトルミネッセンス層110を形成する材料として、無機材料(例えばYAG)を用いる場合、その製造過程で、1000℃を超える熱処理を経ることがある。その際、下地(典型的には、基板)から不純物が拡散し、フォトルミネッセンス層110の発光特性を低下させることがある。不純物がフォトルミネッセンス層に拡散するのを防止するために、例えば図35A〜35Dに示すように、フォトルミネッセンス層の下に、拡散防止層(バリア層)108を設けてもよい。図35A〜35Dに示すように、拡散防止層108は、これまで例示した種々の構成において、フォトルミネッセンス層110の下層に形成される。
例えば、図35Aに示すように、基板140とフォトルミネッセンス層110との間に拡散防止層108が形成される。また、図35Bに示すように、複数のフォトルミネッセンス層110aおよび110bを有する場合には、フォトルミネッセンス層110aおよび110bのそれぞれの下層に拡散防止層108aまたは108bが形成される。
基板140の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率よりも大きい場合には、図35C、図35Dに示すように、基板140上に低屈折率層107を形成すると有益である。図35Cに示すように、基板140の上に低屈折率層107を設けた場合、低屈折率層107とフォトルミネッセンス層110との間に拡散防止層108が形成される。さらに、図35Dに示すように、複数のフォトルミネッセンス層110aおよび110bを有する場合には、フォトルミネッセンス層110aおよび110bの下層に拡散防止層108aおよび108bがそれぞれ形成される。
なお、低屈折率層107は、基板140の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率と同等かそれよりも大きい場合に形成されればよい。低屈折率層107の屈折率は、フォトルミネッセンス層110の屈折率よりも低い。低屈折率層107は、例えば、MgF2、LiF、CaF2、BaF2、SrF2、石英、樹脂、HSQ・SOGなどの常温硬化ガラスを用いて形成される。低屈折率層107の厚さは、光の波長よりも大きいことが望ましい。基板140は、例えば、MgF2、LiF、CaF2、BaF2、SrF2、ガラス(例えばソーダ石灰ガラス)、樹脂、MgO、MgAl24、サファイア(Al23)、SrTiO3、LaAlO3、TiO2、Gd3Ga512、LaSrAlO4、LaSrGaO4、LaTaO3、SrO、YSZ(ZrO2・Y23)、YAG、Tb3Ga512を用いて形成される。
拡散防止層108、108a、108bは、拡散を防止する対象の元素によって好適に選択されればよく、例えば、共有結合性の強い酸化物結晶や窒化物結晶を用いて形成されることができる。拡散防止層108、108a、108bの厚さは、それぞれ、例えば、50nm以下である。
なお、拡散防止層108や後述する結晶成長層106のような、フォトルミネッセンス層110に隣接する層を有する構成においては、隣接する層の屈折率がフォトルミネッセンス層の屈折率よりも大きい場合、当該屈折率が大きい層の屈折率およびフォトルミネッセンス層の屈折率をそれぞれの体積比率で重み付けした平均屈折率をnwavとする。この場合は、光学的には、フォトルミネッセンス層が複数の異なる材料の層で構成されている場合と等価であるからである。
無機材料を用いて形成されたフォトルミネッセンス層110においては、無機材料の結晶性が低いために、フォトルミネッセンス層110の発光特性が低いことがある。フォトルミネッセンス層110を構成する無機材料の結晶性を高めるために、図36Aに示すように、フォトルミネッセンス層110の下地に、結晶成長層(「シード層」ということもある。)106を形成してもよい。結晶成長層106は、その上に形成されるフォトルミネッセンス層110の結晶と格子整合する材料を用いて形成される。格子整合は、例えば±5%以内であることが望ましい。基板140の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率よりも大きい場合、結晶成長層106または106aの屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率よりも小さいと有益である。
基板140の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率よりも大きい場合には、図36Bに示すように、基板140上に低屈折率層107を形成すればよい。結晶成長層106は、フォトルミネッセンス層110と接するので、基板140上に低屈折率層107が形成される場合には、低屈折率層107上に結晶成長層106が形成される。また、図36Cに示すように、複数のフォトルミネッセンス層110aおよび110bを有する構成においては、複数のフォトルミネッセンス層110aおよび110bのそれぞれに対応する結晶成長層106aまたは106bを形成すると有益である。結晶成長層106、106aおよび106bの厚さは、それぞれ、例えば、50nm以下である。
図37Aおよび37Bに示すように、周期構造120を保護するために、表面保護層132を設けてもよい。図37Aおよび37Bに示す例では、表面保護層132は、周期構造120を覆っており、表面保護層132のフォトルミネッセンス層110の表面は、平坦である。
表面保護層132は、図37Aに示すように、基板を有しないタイプのものであっても、図37Bに示すように、基板140を有するタイプのものにも設けられ得る。図37Aに示した基板を有しないタイプの発光素子においては、フォトルミネッセンス層110の下層にも表面保護層を設けてもよい。このように、表面保護層132は、上述したいずれの発光素子の表面に設けてもよい。周期構造120は、図37Aおよび図37Bに例示したものに限られず、上述したいずれのタイプであってもよい。例えば、周期構造120は、フォトルミネッセンス層110と同じ材料で形成された構造であり得る(図24参照)。この場合、空気層が透光層であるといってもよい。
表面保護層132は、例えば、樹脂、ハードコート材、SiO2、Al23(アルミナ)、SiOC、DLCを用いて形成することができる。表面保護層132の厚さは、例えば、100nm〜10μmである。
表面保護層132を設けることによって、発光素子を外部環境から保護し、発光素子の劣化を抑制することができる。表面保護層132は、発光素子の表面を傷、水分、酸素、酸、アルカリ、または熱から保護する。表面保護層132の材料や厚さは、用途に応じて適宜設定され得る。
また、基板140の材料は熱によって劣化することがある。熱は、主にフォトルミネッセンス層110の非輻射ロスやストークスロスによって生じる。例えば、石英の熱伝導率(1.6W/m・K)は、YAGの熱伝導率(11.4W/m・K)よりも約1桁小さい。したがって、フォトルミネッセンス層(例えばYAG層)110で発生した熱が基板(例えば石英基板)140を通して外部に熱伝導して放熱されにくく、フォトルミネッセンス層110の温度が上昇し、熱劣化を起こすことがある。
そこで、図38Aに示すように、フォトルミネッセンス層110と基板140との間に、透明高熱伝導層105を形成することによって、フォトルミネッセンス層110の熱を外部に効率よく伝導させ、温度上昇を防ぐことができる。このとき、透明高熱伝導層105の屈折率は、フォトルミネッセンス層110の屈折率よりも低いことが望ましい。なお、基板140の屈折率がフォトルミネッセンス層110の屈折率よりも低い場合には、透明高熱伝導層105の屈折率は、フォトルミネッセンス層110の屈折率よりも高くてもよい。ただし、この場合には、透明高熱伝導層105は、フォトルミネッセンス層110とともに導波層を形成するので、50nm以下であると有益である。基板140の材料として例えばソーダ石灰ガラスを用いる場合には、基板140の屈折率を考慮して透明高熱伝導層105を形成するための材料を決定すればよい。図38Bに示すように、フォトルミネッセンス層110と透明高熱伝導層105との間に、低屈折率層107を形成すれば、厚い透明高熱伝導層105を利用できる。
また、図38Cに示すように、高い熱伝導率を有する低屈折率層107で周期構造120を覆ってもよい。さらに、図38Dに示すように、周期構造120を低屈折率層107で覆った上に、透明高熱伝導層105を形成してもよい。この構成においては、低屈折率層107が高い熱伝導率を有する必要はない。
透明高熱伝導層105の材料としては、例えば、Al23、MgO、Si34、ZnO、AlN、Y23、ダイヤモンド、グラフェン、CaF2、BaF2を挙げることができる。これらの内、CaF2、BaF2は、屈折率が低いので、低屈折率層107として利用することができる。
[11.発光素子の他の実施形態]
図39は、本開示の他の実施形態による発光素子における模式的な断面を示す。説明の便宜のため、図39には、図1Bと同様に、互いに直交するx方向およびz方向が示されている。以下、他の図面においても互いに直交するx方向およびz方向を示すことがある。
図39に示す発光素子100dは、フォトルミネッセンス層110dと、周期構造120dとを有する。図39に例示する構成において、フォトルミネッセンス層110dの上面および下面は、それぞれ、凹面および凸面である。換言すれば、図示される断面において、フォトルミネッセンス層110dの上面および下面の形状は、図の下方に向けて凸である。すなわち、フォトルミネッセンス層110dは、全体として湾曲した形状を有している。なお、本明細書において、「上面」および「下面」の用語は、層状の構造物の2つの主面を区別するために用いられており、発光素子の使用時における姿勢を限定することを意図していない。「下層」の用語についても同様である。
図39に例示する構成において、周期構造120dは、フォトルミネッセンス層110dの凹面(すなわち、ここでは上面)に形成されている。この例では、図24を参照して説明した周期構造120と同様に、周期構造120dは、フォトルミネッセンス層110dと同じ材料で形成されている。この周期構造120dは、複数の凸部を含む。周期構造120dを構成する凸部の各々の頂面120tは、平面状であってもよいし、曲面状であってもよい。以下では、各頂面120tが平面である例を説明する。
周期構造120dは、図1Aおよび図1Bを参照して説明した発光素子100における周期構造120と同様に、フォトルミネッセンス層110dが発する光の指向角を制限する機能を有する。ここでは、空気中の波長がλaである光に注目する。周期構造120dは、例えば波長がλaの光の指向角を制限する。波長がλaの光は、例えば、凸部の頂面120tの法線方向に強く出射される。
ここでは、図39において模式的に示すように、フォトルミネッセンス層110dの上面が凹面である。そのため、この例では、周期構造120dにおける複数の頂面120tもフォトルミネッセンス層110dの上面の凹形状に追従した配置を有している。換言すれば、複数の頂面120tの各々は、フォトルミネッセンス層110dの中央部に向かって低くなるように傾斜している。つまり、フォトルミネッセンス層110dの下面における中央部に接する基準面Lg(この例ではz方向に垂直)を想定したとき、基準面Lgと頂面120t上のある点Pt(図39中、黒丸により模式的に示す)との間の距離Hは、点Ptがフォトルミネッセンス層110dの中央部に近づくにつれて減少する。
周期構造120dにおける複数の頂面120tが、フォトルミネッセンス層110dの上面の凹形状に追従した配置を有するので、凸部の頂面120tの法線方向に出射した、波長λaを有する光線は、フォトルミネッセンス層110dの上面の中央にたてた法線Nに向かって進行する。すなわち、フォトルミネッセンス層110dを湾曲した形状に形成することによって、特定の波長の光(ここでは波長λaを有する光)を集光させ得る。
なお、周期構造から出射する光には、特定の方向(例えば正面方向)以外の方向に出射する光が含まれ得る(例えば図29参照)。例えば、頂面120tから出射する光には、仮にフォトルミネッセンス層110dが平板状であったとすればフォトルミネッセンス層110dの中央にたてた法線から離れる方向に進行する光が含まれることがある。フォトルミネッセンス層110dが、図39に示すように湾曲していれば、このような光線の出射方向は、その法線に平行な方向に近づくことになる。つまり、本開示の実施形態によれば、発光における指向性を向上させ得る。例えば、ある特定波長の光に注目したとき、フォトルミネッセンス層の光出射面の中央にたてた法線から離れる方向に進行する光が低減された発光素子を提供し得る。
このように、本開示の実施形態によれば、発光における指向性を向上させ得る。発光における指向性の向上により、例えば、発光素子から出射された光を受ける光学部品を小型化し得る。なお、周期構造120dを構成する凸部の各々の頂面120tが曲面である場合、各頂面120tの形状は、周期構造120dにおける複数の頂面120tを包含する面が全体として凹面とみなし得るような形状であればよい。
[12.湾曲したフォトルミネッセンス層を有する発光素子の変形例]
図40は、湾曲したフォトルミネッセンス層110dを有する発光素子の変形例を示す。図40に例示する構成では、フォトルミネッセンス層110dの上面に、光吸収性の低い誘電体から形成された周期構造を含む透光層120dが形成されている。周期構造は、透光層120dの表面に形成された構造であってもよい。なお、図39を参照して説明した例では、周期構造120dがフォトルミネッセンス層110dと同じ材料で形成されており、空気層を透光層とみなし得る。このとき、フォトルミネッセンス層110dと透光層とは、互いに接しており、フォトルミネッセンス層110dと透光層との界面に周期構造が形成されているといえる。
図40に示す例では、透光層120dが、フォトルミネッセンス層110dと同様に湾曲している。図40に例示する構成において、発光素子100dの断面形状は、図39を参照して説明した例と同様に全体として円弧状であるといえる。なお、「円弧状」は、厳密な円弧に限定されず、楕円の一部を取り出した形状も含む。
透光層120dは、フォトルミネッセンス層110dに近接して配置され得る。ただし、透光層120dの屈折率がフォトルミネッセンス層110dの屈折率よりも大きい場合、透光層120dの配置は、この例に限定されない。上述したように、透光層120dの屈折率がフォトルミネッセンス層110dの屈折率よりも大きければ、透光層120dに形成された周期構造とフォトルミネッセンス層110dとの間の距離が波長λaの半分より大きくても、透光層120dに光が到達し得るからである。
図41は、湾曲したフォトルミネッセンス層110dを有する発光素子の他の変形例を示す。図41に示すように、フォトルミネッセンス層110dと透光層120dとの間に、例えば図23を参照して説明した保護層150などの中間層を配置してもよい。中間層が、異なる材料の複数の層を含んでいてもよい。
図42は、湾曲したフォトルミネッセンス層110dを有する発光素子のさらに他の変形例を示す。図42に示す発光素子100eは、図1Cおよび図1Dに示す発光素子100aと同様に、フォトルミネッセンス層110dを支持する透明基板140eを有する。ここでは、透明基板140eは、フォトルミネッセンス層110dと同様に湾曲している。すなわち、発光素子100eの断面形状は、図39を参照して説明した例と同様に全体として円弧状である。
図42に示すように、透明基板140e上にフォトルミネッセンス層110dおよび周期構造120dを形成した構造を採用してもよい。周期構造120dは、フォトルミネッセンス層110dと同じ材料から形成されていてもよいし、フォトルミネッセンス層110dを構成する材料とは異なる材料から形成されていてもよい。例えば、図40を参照して説明した発光素子100dを透明基板140e上に配置した構成ももちろん可能である。
上述した変形例の他にも、種々の改変が可能である。例えば、図19Aおよび図19Bを参照して説明した例と同様に、透明基板上に周期構造を形成し、その上にフォトルミネッセンス層を設けてもよい。図43は、フォトルミネッセンス層110dと透明基板140eとの間に、周期構造が形成された中間層160を配置した構成例を示す。図43に示す発光素子100fは、フォトルミネッセンス層110dと透明基板140eとの間に中間層160を有する。図示される例において、中間層160の表面のうち、フォトルミネッセンス層110dに対向する面上に、周期構造120fが形成されている。この例では、フォトルミネッセンス層110dの表面に、中間層160の周期構造120fに追従するように周期構造120dが形成されている。フォトルミネッセンス層110dの表面は、図19Bに示す例と同様に、平滑化されていてもよい。すなわち、フォトルミネッセンス層110dと中間層(または透明基板)との界面に周期構造を有し、フォトルミネッセンス層110dの表面には周期構造を有しないような構成ももちろん可能である。
透明基板140e上の周期構造120fは、透明基板140eを構成する材料(例えばサファイア)と異なる材料(例えばSiO2(石英))から形成されていてもよい。なお、図43に示す例では、周期構造120fにおける複数の凸部は、中間層160のうち透明基板140eに近い部分において連結されている。しかしながら、これは、あくまでも例示であり、複数の凸部を分離して透明基板140e上に配置することにより、中間層160を形成してもよい。
フォトルミネッセンス層が概ね平板状のタイプの発光素子について述べた種々の改変は、湾曲したフォトルミネッセンス層110dを有するタイプの発光素子にも適用可能である。例えば、図35A〜35Dを参照して説明したように、基板140eとフォトルミネッセンス層110dとの間に拡散防止層108を配置してもよい。図38Aおよび38Bを参照して説明したように、フォトルミネッセンス層110dと基板140eとの間に、透明高熱伝導層105を配置してもよい。
[13.製造方法]
以下、発光素子の例示的な製造方法を説明する。
まず、透明基板を用意する。次に、透明基板上にフォトルミネッセンス材料を付与することにより、透明基板上にフォトルミネッセンス材料の膜を形成する。フォトルミネッセンス材料の膜の形成には、例えば、スパッタリング、ゾルゲル法、CVD法を適用し得る。
その後、還元雰囲気下または空気中でフォトルミネッセンス材料の膜を焼成する。無機のフォトルミネッセンス材料を用いる場合、焼成により、結晶性を向上させ得る。透明基板として石英基板を用いる場合、焼成における温度は、950℃〜1200℃程度であり得る。なお、レーザ、プラズマなどを用いてフォトルミネッセンス材料の膜の表面を加熱する手法を適用すれば、透明基板として例えばソーダ石灰ガラスの基板を用いることも可能である。
焼成の過程において、フォトルミネッセンス材料の膜は、体積収縮する。このとき、厚さ方向だけでなく基板面内に沿った方向にもフォトルミネッセンス材料の膜が収縮するので、これにより、透明基板の主面のうち、フォトルミネッセンス材料が付与された面が凹面となるように、透明基板およびフォトルミネッセンス材料の膜を湾曲させ得る。すなわち、焼成の工程を経ることにより、湾曲したフォトルミネッセンス層110dおよび湾曲した透明基板140eの積層体が得られる。
その後、フォトルミネッセンス層110dの表面を加工して周期構造120dを形成すれば、図42に示す発光素子100eが得られる。フォトルミネッセンス層110dの表面を加工することに代えて、フォトルミネッセンス層110d上に誘電体膜を形成し、誘電体膜のパターニングを行ってもよい。あるいは、ナノインプリントによって周期構造を形成してもよい。例えば誘電体膜のパターニングにより、誘電体から形成された周期構造を含む透光層120dをフォトルミネッセンス層110d上に形成することが可能である。フォトルミネッセンス層110dおよび周期構造120d(または透光層120d)を透明基板140eから剥離すれば、図39に示す発光素子100dまたは図40に示す発光素子100dが得られる。
透明基板上にフォトルミネッセンス材料を付与する前に、透明基板上に周期構造を形成しておいてもよい。例えば、半導体プロセス、ナノインプリントなどを適用して、透明基板上に周期構造を形成する。周期構造は、透明基板の表面を加工することによって形成されてもよいし、透明基板とは異なる材料の膜のパターニングまたはナノインプリントによって形成されてもよい。
周期構造の形成後、周期構造を覆うようにフォトルミネッセンス材料を周期構造上に付与する。フォトルミネッセンス材料の膜の形成後に焼成を行うことにより、湾曲したフォトルミネッセンス層110dと湾曲した透明基板140eとの間に周期構造が形成された発光素子が得られる。例えば、図43に示す発光素子100fが得られる。必要に応じて、フォトルミネッセンス層110dの表面を平滑化したり、フォトルミネッセンス層110d上に表面保護層132(図37Aおよび37B参照)を形成したりしてもよい。
[14.湾曲の測定例]
以下に、湾曲したフォトルミネッセンス層を有する発光素子の表面形状の測定結果の一例を説明する。ここでは、透明基板上にフォトルミネッセンス層が形成されたサンプル(図42参照)を作製し、そのサンプルにおける湾曲の大きさを測定した。ただし、ここでは、表面形状の評価が目的であるので、周期構造120dの形成を省略した。
サンプルは、以下のようにして作製した。まず、15mm角の大きさの石英基板を用意した。石英基板の厚さは0.5mmであった。次に、石英基板上にフォトルミネッセンス材料であるYAG:Ceの膜(厚さ:およそ300nm)を形成した。YAG:Ce膜の形成後、還元雰囲気下、焼成温度がおよそ1000℃、焼成時間が4時間の条件でYAG:Ce膜の焼成を行った。焼成により、石英基板およびフォトルミネッセンス層の積層構造を有するサンプルが得られた。
次に、ブルカー社製、スタイラスプロファイラーDEKTAK XT(「DEKTAK」はブルカー ナノ インコーポレイテッドの登録商標)を用いて、得られたサンプルのフォトルミネッセンス層側の表面形状を測定した。測定には、先端の半径が12.5μmの触針を用いた。
図44は、サンプルにおける表面形状の測定結果を示す。図44は、サンプルの矩形状の一辺に平行な方向に沿って測定した結果を示している。図44から、このサンプルでは、端部と比較して中央付近が1.1μm程度低いことが分かった。すなわち、図44に示す例では、基準面からフォトルミネッセンス層側の表面までの距離が、15mmの測定範囲において1.1μmの範囲で変化している。本明細書では、表面およびその表面に概ね平行な裏面を有する部材(例えば層または基板)において、その部材の端部から中央部に向けて、基準面から測った、その表面までの距離が減少または増加している状態を、「湾曲している」と表現する。
このサンプルと同様の程度の湾曲を有する発光素子において、発光素子の表面が円弧であり、かつ、注目した波長の光が発光素子の表面の各点から垂直に出射されると仮定すると、発光素子から出射した光は、発光素子の表面からおよそ51mの点に収束する。すなわち、本開示の実施形態によれば、発光における指向性を向上可能であることが分かった。
[15.発光素子のさらに他の実施形態]
図45は、本開示のさらに他の実施形態による発光素子における模式的な断面を示す。図45に示す発光素子100gは、図42を参照して説明した発光素子100eと同様に、フォトルミネッセンス層と周期構造とを有する。ただし、図42を参照して説明した発光素子100eにおけるフォトルミネッセンス層110dが全体として湾曲していることに対して、発光素子100gにおけるフォトルミネッセンス層110eは、その下面が平坦面である。この例では、フォトルミネッセンス層110eの上面は、凹面である。別の言い方をすれば、発光素子100gのフォトルミネッセンス層110eは、位置によって異なった厚さを有する。図45に例示する構成において、フォトルミネッセンス層110eの厚さは、端部から中央部に向かって減少している。
図45に示す例では、フォトルミネッセンス層110eの上面に、周期構造120eが形成されている。この周期構造120eは、フォトルミネッセンス層110eと同じ材料で形成されていてもよいし、フォトルミネッセンス層110eとは異なる材料で形成されていてもよい。図46は、フォトルミネッセンス層110eの上面に、光吸収性の低い誘電体から形成された周期構造を含む透光層120eが設けられた構成例を示す。
この例では、発光素子100gは、フォトルミネッセンス層110eを支持する透明基板140を有している。しかしながら、透明基板140は、ここで説明する実施形態に必須の要素ではない。したがって、ここで説明する実施形態による発光素子から透明基板140を省略した構成によっても後述する効果が得られる。ここでは、透明基板140は、湾曲しておらず、透明基板140の上面および下面は、平坦面である。したがって、透明基板140の上面に対向するフォトルミネッセンス層110eの下面も平坦面である。
以下、このような構成によって得られる効果を説明する。
既に説明したように、例えばフォトルミネッセンス層上に周期構造を形成し、フォトルミネッセンス層の厚さを調整することによって、任意の特定の波長の発光を強調することが可能である。このことは、フォトルミネッセンス層の厚さが場所ごとに異なれば、ある方向に出射される光の波長も場所ごとに異なることを意味する。
図47および図48は、発光素子100gのフォトルミネッセンス層110eの一部を拡大して示す。図47および図48では、周期構造120eに含まれる凸部のうちの2つが示されている。図示される例では、図47において右側の凸部の頂面120tからは、透明基板140の法線方向に波長λaの光が強く出射している。一方、左側の凸部の頂面120tからは、波長λaの光が、透明基板140の法線方向に対して発光素子100gの中心に向かって傾斜した方向に出射している。つまり、波長λaの光に注目したとき、発光素子100gの中心から離れる方向に進行する光が低減されている。
図47に模式的に示すように、左側の凸部の頂面120tからは、透明基板140の法線方向に、波長λaとは異なる、波長λbの光が強く出射される。つまり、端部から中央部に向かって厚さが変化するようなフォトルミネッセンス層を形成することによって、特定の方向(例えば発光素子の正面方向)に強く出射される光の波長の範囲を拡大することが可能である。
図48を参照する。頂面120tの各々において、頂面120tの法線方向に強く出射する光の波長に注目する。図48に示す例では、2つの凸部のうち、図の左側の凸部の頂面120tからは、頂面120tの法線方向に、波長λaの光が強く出射している。一方、図の右側の凸部の頂面120tからは、頂面120tの法線方向に、波長λaとは異なる波長λcの光が強く出射している。互いに波長の異なるこれらの光線は、透明基板140の中央にたてた法線に向かって進行する。すなわち、端部から中央部に向かって厚さが減少するようなフォトルミネッセンス層110eを形成することにより、異なる波長の光を収束させることが可能である。これにより、混色の効果が得られ、発光素子から出射される光における色ムラを低減し得る。
図45および図46に示す例では、フォトルミネッセンス層110eの厚さが、端部から中央部に向かって減少している。しかしながら、これは例示に過ぎず、フォトルミネッセンス層の厚さは、端部から中央部に向かって増加していてもよい。
図49は、厚さが端部から中央部に向かって増加するフォトルミネッセンス層110hを有する発光素子100hを示す。図49に例示する構成において、フォトルミネッセンス層110hの上面は凸面である。図示されるように、発光素子100hは、フォトルミネッセンス層110hの上面に形成された周期構造120hを有する。
再び図48を参照する。図48中、左側の凸部の頂面120tに注目すると、凸部の頂面120tには、波長λaの光が頂面120tの法線方向に強く出射している。この頂面120tからは、波長λaとは異なる波長、例えば波長λcの光も出射される。
図48に模式的に示すように、波長λcの光は、頂面120tの法線方向に関して対称に、2つの方向に向けて出射する(図27A〜27F参照)。これは、上述した回折の次数mが正であるか負であるかに対応している。例えば、mが正の光は、透明基板140の中央にたてた法線に向かう方向に進行し、mが負の光は、透明基板140の中央にたてた法線から離れる方向に進行する。回折の次数が正の光または負の光のいずれかを選択的にフォトルミネッセンス層から出射させることにより、図49に例示するような構成によっても、光を収束させる効果を得ることが可能である。例えば、凸部の各々の断面形状を台形状、三角形状などにすることにより、回折の次数が正の光または負の光のいずれかを選択的に出射させ得る。
さらに、図47からわかるように、特定の波長の光を選択的に発光するようなフォトルミネッセンス材料を用いてフォトルミネッセンス層110eを形成すれば、その特定の波長に関して、より高い指向性を実現し得る。なお、カラーフィルタを用いて特定の波長以外の波長の光をカットしてもよいが、適切なフォトルミネッセンス材料を用いて波長に制限をかける方が、ロスが小さいので有益である。
厚さが端部から中央部に向かって減少または増大するフォトルミネッセンス層は、例えば、スパッタを用いて作製する場合、ターゲットの中心と透明基板140の回転中心との相対位置を調整する事により、フォトルミネッセンス材料の厚さの分布を変えることができる。なお、図45、図46および図49に示す例では、フォトルミネッセンス層の上面は、曲面である。しかしながら、これはあくまでも例示である。フォトルミネッセンス層は、その厚さが端部から中央部に向かって直線的に減少または増大するような形状を有していてもよい。
言うまでもないが、フォトルミネッセンス層が概ね平板状のタイプの発光素子について述べた種々の改変は、面内の位置によって厚さが異なるフォトルミネッセンス層を有するタイプの発光素子にも適用可能である。
図50は、発光素子のさらに他の変形例を示す。図50に示す発光素子100iは、一方の端部から他方の端部に向かって厚さが減少または増加するフォトルミネッセンス層110iを有する。図示される例では、フォトルミネッセンス層110iが、透明基板140によって支持されている。この例においても、透明基板140に対向する、フォトルミネッセンス層110iの下面は平坦面である。フォトルミネッセンス層110iの上面には、周期構造120iが形成されている。上述の発光素子100gおよび100hと同様に、透明基板140が省略された構成ももちろん可能である。
このような構成によっても、特定の波長の光線を集める効果が得られる。すなわち、特定の波長の光線を特定の方向に向けて出射させ得る。
この例では、フォトルミネッセンス層110iの厚さは、一方の端部から他方の端部に向かって直線状に変化している。しかしながら、あくまでもこれは例示である。フォトルミネッセンス層110iの上面は、平面状であってもよいし、曲面状であってもよい。発光素子100iは、例えば、上述の発光素子100gまたは100hを複数の部分に分割することによって製造することが可能である。
本開示の発光素子は、照明器具、ディスプレイ、プロジェクターをはじめ、種々の光学デバイスに適用され得る。
100、100a、100d〜100i 発光素子
110、110a、110d、110e、110h、110i フォトルミネッセンス層(導波層)
120、120’、120a〜120i 透光層(周期構造、サブミクロン構造)
140、140e 透明基板
150 保護層
180 光源
200 発光装置

Claims (12)

  1. 励起光を受けて空気中の波長がλaの光を発するフォトルミネッセンス層と、
    前記フォトルミネッセンス層に近接して配置された透光層と、
    前記透光層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造と、を有し、
    前記表面構造は、前記フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの前記光の指向角を制限し、
    前記フォトルミネッセンス層および前記透光層は、湾曲している、発光素子。
  2. 励起光を受けて空気中の波長がλaの光を発するフォトルミネッセンス層と、
    前記フォトルミネッセンス層よりも高い屈折率を有する透光層と、
    前記透光層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造と、を有し、
    前記表面構造は、前記フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの前記光の指向角を制限し、
    前記フォトルミネッセンス層および前記透光層は、湾曲している、発光素子。
  3. 励起光を受けて空気中の波長がλaの光を発するフォトルミネッセンス層と、
    前記フォトルミネッセンス層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造と、を有し、
    前記表面構造は、前記フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの前記光の指向角を制限し、
    前記フォトルミネッセンス層は、湾曲している、発光素子。
  4. 励起光を受けて空気中の波長がλaの光を発するフォトルミネッセンス層と、
    前記フォトルミネッセンス層に接している透光層と、
    前記フォトルミネッセンス層と前記透光層との界面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造と、を有し、
    前記表面構造は、前記フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの前記光の指向角を制限し、
    前記フォトルミネッセンス層および前記透光層は、湾曲している、発光素子。
  5. 前記フォトルミネッセンス層を支持する基板をさらに有する、請求項1から4のいずれかに記載の発光素子。
  6. 前記フォトルミネッセンス層および前記基板は、湾曲している、請求項5に記載の発光素子。
  7. 励起光を受けて空気中の波長がλaの光を発するフォトルミネッセンス層と、
    前記フォトルミネッセンス層の表面に形成され、複数の凸部および複数の凹部の少なくとも一方を含む表面構造と、を有し、
    前記表面構造は、前記フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの前記光の指向角を制限し、
    前記フォトルミネッセンス層の厚さは、前記フォトルミネッセンス層の端部から中央部に向かって減少または増加する、発光素子。
  8. 前記フォトルミネッセンス層の厚さは、前記フォトルミネッセンス層における一方の端部から他方の端部に向かって減少または増加する、請求項7に記載の発光素子。
  9. 前記フォトルミネッセンス層を支持する基板をさらに有し、
    前記表面構造は、前記フォトルミネッセンス層において前記基板に対向する面の反対側に形成されている、請求項7または8に記載の発光素子。
  10. 前記表面構造は、前記フォトルミネッセンス層が発する空気中の波長がλaの前記光の指向角を、15°未満に制限する、請求項1から9のいずれかに記載の発光素子。
  11. 前記表面構造における隣接する凸部間または凹部間の距離をDintとし、空気中の波長がλaの前記光に対する前記フォトルミネッセンス層の屈折率をnwav-aとすると、λa/nwav-a<Dint<λaの関係が成り立つ、請求項1から10のいずれかに記載の発光素子。
  12. 前記表面構造は、少なくとも1つの周期構造を有し、
    前記少なくとも1つの周期構造の周期をpaとすると、λa/nwav-a<pa<λaの関係が成り立つ、請求項1から11のいずれかに記載の発光素子。
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