JP7062259B2 - 物体保持部材 - Google Patents

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Description

本発明は、物体を面に押圧して生じる摩擦力を押圧力に応じて変化させ得る物体保持面を含む物体保持部材に関し、特に、押圧力の閾値の前後で摩擦力の状態を大きく異ならせ得る物体保持部材に関する。
平面上に載置された物体を移動させるために必要となる力は、物体の自重に関する該平面からの垂直抗力と静止摩擦係数μとの積で表される摩擦力に対抗する反力で表される。つまり、治具で物体を押圧して挟み持つような場合であれば、垂直抗力に対応する押圧力が大きくなるにつれ摩擦力も大きくなるからより重い物体を持ち上げることが可能となる。かかる関係は、物体と治具との接触面の状態を変化させず、静止摩擦係数μを変化させないことで維持される。つまり、ゴムのような変形しやすい弾性体からなる接触面であれば、静止摩擦係数μも変化してしまうため、押圧力と持ち上げられる物体の重さの関係は単純には比例しない。このような例としては、人の手(指)で物体を持ち上げるような場合も同様である。
例えば、非特許文献1では、人の指先の摩擦力に関する指紋効果について述べており、柔軟な部材の表面における摩擦力の非線形的な変化が一種のスティック・スリップ現象によるものであることを述べている。そして、この現象を制御すべく、指紋を模した溝部を有するエラストマ成形体において、物体を押しつけて表面を移動させる実験を行って溝周期と摩擦力の相関性などを論じている。
ところで、上記したように、部材の表面形状(性状)と摩擦力には関連性のあることが知られており、表面形状を変化させて摩擦係数を可変的にスイッチングしようとする摩擦係数可変シート体が提案されている。例えば、周期的な「うねり」を可逆的に形成し得るシート体において、その表面形状を平坦とした状態と、うねりを形成させた状態とで摩擦係数をスイッチングさせるのである。また、表面に摩擦係数の異なる領域を形成しこの表面比率を変化させて摩擦力を変化させる可変摩擦体なども提案されている。
例えば、特許文献1では、OA機器等の紙やフィルムを送るためのゴムローラなどに用いられ、摩擦係数及び硬度の異なる弾性体を交互に積層しこれを圧縮や伸張させて摩擦係数の大なる領域と小なる領域を表面に可変的に形成させて摩擦力を変化させる部材を開示している。
特開平7-60889号公報
E.Wandersman, R.Candelier, G.Debregeas, and A.Prevost, "Texture-Induced Modulations of Friction Force: The Fingerprint Effect", PHYSICAL REVIEW LETTERS, PRL 107, 164301 (14 OCTOBER, 2011)
摩擦力を制御可能な部材は、物体を把持するロボットハンド、各種機械の操作用のグリップ、移動を伴う重量物の固定具や、重さによって物体の搬送路を切り替えるベルトコンベヤなど、非常に多くの分野で用いることができる。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、物体を面に押圧して生じる摩擦力を押圧力に応じて変化させ得る物体保持面を含む物体保持部材において、押圧力の閾値の前後で摩擦力の状態を大きく異ならせ得る物体保持部材を提供することにある。
本発明による物体保持部材は、物体を面に押圧して生じる摩擦力を押圧力に応じて変化させ得る物体保持面を含む物体保持部材であって、弾性ブロック体と、前記弾性ブロック体から突出するように与えられ、前記物体と前記弾性ブロック体との間に介在してこれらを離間せしめる一次接触体と、を含み、前記一次接触体は、前記物体を前記弾性ブロック体に向けて近接させたときに、前記物体に接触して前記物体保持面を形成し、さらに、前記弾性ブロック体の内部に後退して前記弾性ブロック体とともに前記物体保持面を形成することを特徴とする。
かかる発明によれば、押圧力の変化とともに、物体保持面が一次接触体のみから、弾性ブロック体及び一次接触体で形成されるように変化し、この前後を閾値に物体保持面での摩擦力を大きく異ならせ得るのである。
上記した発明において、前記弾性ブロック体及び前記一次接触体で形成された前記物体保持面は前記押圧力を高めるとともに前記物体保持面における前記弾性ブロック体の面積比率を高めることを特徴としてもよい。また、前記一次接触体は、複数の点状又は複数の線状に前記物体に接触することを特徴としてもよい。かかる発明によれば、弾性ブロック体及び一次接触体で物体保持面を形成される閾値を越えて、押圧力に応じて摩擦力を大きく変化させ得るのである。
上記した発明において、前記弾性ブロック体はゴム材料からなることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、弾性ブロック体及び一次接触体で物体保持面を形成される閾値を越えて、押圧力に応じて摩擦力を大きく変化させ得るのである。
上記した発明において、前記一次接触体は、複数の柱状体であって、前記弾性ブロック体の表面に離散して配置されていることを特徴としてもよい。このとき、前記一次接触体は、前記弾性ブロック体の前記表面に貼着されていることを特徴としてもよい。また、前記一次接触体は、前記弾性ブロック体の前記表面に植設されていることを特徴としてもよい。そして、前記一次接触体は、前記弾性ブロック体に設けられた袋孔の中に収容されていることを特徴としてもよい。更に、前記一次接触体は、前記袋孔の底部で固定されていることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、弾性ブロック体及び一次接触体で物体保持面を形成される閾値を越えて、押圧力に応じて摩擦力をより大きく変化させ得るのである。
上記した発明において、前記一次接触体は、貫通孔を有する織布又はシート体であることを特徴としてもよい。このとき、前記一次接触体は、前記弾性ブロック体の表面に貼着されていることを特徴としてもよい。また、前記一次接触体は、前記弾性ブロック体の前記表面に一部埋入されていることを特徴としてもよい。かかる発明によれば、弾性ブロック体及び一次接触体で物体保持面を形成される閾値を越えて、押圧力に応じて摩擦力をより大きく変化させ得るのである。
本発明における代表的な実施例による物体保持部材の(a)断面図、(b)平面図及び(c)平面図である。 物体を押圧した物体保持部材の断面図である。 摩擦力の測定試験に用いたメッシュ体の外観写真である。 摩擦力の測定試験方法を示す図である。 荷重による物体保持面の変化を示す写真である。 摩擦力の測定試験の結果を示すグラフである。 他の実施例(うねり形成体)による物体保持部材の断面写真である。 うねり形成体における荷重による物体保持面の変化を示す写真である。 うねり形成体による摩擦力の測定試験の結果を示すグラフである。 さらに他の実施例を示す断面図である。 さらに他の実施例を示す断面図((a)、(c1)~(c3))及び平面図((b1)、(b2))である。
本発明による物体保持部材の代表的な実施形態について図1及び図2を用いて説明する。
図1に示すように、物体保持部材10はブロック状の弾性体1と、その表面1’から突出するように取り付けられた一次接触体2を含む。表面1’の形状に特に制限はなく、保持する対象となる物体の形状によって、適宜、平面や曲面とし得る。ここでは説明を簡単にするため、表面1’は平面とし、後述する保持対象となる物体B(図2参照)もその被保持面を平面とする。
弾性体1は、荷重によって可逆的に変形可能で、好ましくは比較的摩擦係数の大きな材料からなる。例えば、シリコーンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム等のゴム材料が好適である。
一次接触体2は、弾性体1と同等か又はより硬い、つまり荷重による変形の比較的小さな材料からなることが好ましく、より摩擦係数の低い材料からなることが好ましい。また、一次接触体2は、上記したように表面1’から突出しており、上面視で一次接触体2同士の間に弾性体1の表面1’を露出させている。つまり、一次接触体2は、柱状体や球状体を間欠的に配置したもの(図1(b)参照)や、複数の貫通孔を有する織布やシート体(図1(c)参照)であってもよい。また、一次接触体2は、弾性体1の表面1’に貼り付けられていても、一部が埋め込まれるように埋入され又は植設されていてもよい。
図2(a)に示すように、保持対象である物体Bを弾性体1に向けて近接させると、まず、一次接触体2が物体に当接する。このとき、一次接触体2が物体Bと弾性体1との間に介在してこれらを離間させている。よって、物体Bとこれに接触する一次接触体2との接触部には、物体Bを物体保持部材10で保持する物体保持面が形成される。つまり、物体保持部材10の物体保持面は一次接触体2のみで形成される。
図2(b)に示すように、物体Bと物体保持部材10との間の押圧力を大きくして物体Bをさらに弾性体1に近接させると、一次接触体2を弾性体1の内部に後退させ、弾性体1の表面1’の一部を物体Bに当接させるようになる。このとき、物体保持部材10の物体保持面は一次接触体2及び弾性体1によって形成される。
図2(c)に示すように、さらに押圧力を大きくすると、一次接触体2を弾性体1の内部にさらに後退させるとともに、弾性体1の凸部分も後退させて、弾性体1の表面1’に当接する弾性体1の面積を増大させる。つまり、物体保持部材1の物体保持面を形成する弾性体1の面積が増大する。
このように、物体保持部材10は、物体Bとの間の押圧力によって物体Bを保持する物体保持面を形成する一次接触体2と弾性体1との面積比率が変化する。一次接触体2と弾性体1とはその摩擦係数が異なるから、物体保持面の摩擦係数も押圧力によって変化する。弾性体1に比べて、一次接触体2の摩擦係数を小とする場合、物体保持部材10の物体保持面は、押圧力を小とするとき(図2(a)参照)に摩擦係数を小とする。押圧力を大きくすると(図2(b)参照)摩擦係数を大きくし、さらに押圧力を大きくすると(図3(c)参照)摩擦係数をより大きくする。
一般に、摩擦力Fは、摩擦係数をμ、物体の押圧力をPとして、F=μPで表されることが経験的に知られている。つまり、物体を面に押圧して生じる物体保持面の摩擦力Fは、押圧力Pに応じた一次関数として変化する。これは、摩擦係数μが一定であるからである。
これに対し、物体保持部材10によれば、押圧力の変化とともに、物体保持面が一次接触体2のみから、弾性体1及び一次接触体2で形成されるように変化し、この前後を閾値に摩擦係数が変化する。つまり、この前後を閾値として、物体保持面での摩擦力の状態を大きく異ならせ得る。また、上記したように、押圧力を高めると物体保持面における弾性体1の面積比率を高めるので、摩擦係数をさらに大きくし、上記した閾値を超えた領域においても押圧力に応じて摩擦力をより大きく変化させ得る。
特に、一次接触体2は、複数の点状又は複数の線状に物体Bに接触するようにされていることで、点状又は線状の接触部分の間に、押圧力を高めたときの弾性体1の接触部分を形成でき、上記したような摩擦係数の変化を容易にさせることができる。
[摩擦力測定試験1]
次に、摩擦力の変化を測定する試験を行った結果について、図3乃至図6を用いて説明する。
図3に示すように、試験には、一次接触体2として開口率の異なるポリエステルからなるメッシュ体2aを用いた。開口率はそれぞれ、(a)96%以上、(b)88%、(c)80%、(d)44%となっている。
図4に示すように、物体保持部材10としての試験体10aは、弾性体1としてシリコーンゴムからなる弾性基板1aを用い、これに上記したメッシュ体2aを貼り付けたものである。また、メッシュ体を貼り付けない弾性体1のみのものについても比較試験を行った。
試験はガラスを物体Bとして、その上にメッシュ体2aを下に向けて上面にアクリルプレート13を接着した試験体10aを置いた。その上に、さらに錘11を置いて荷重Wをかけて、フォースゲージ12を介してアクリルプレート13を水平に引っ張り、物体Bとの間の最大静止摩擦力を測定した。フォースゲージ12を0.5±0.1mm/sの速度で引っ張り、試験体10aの動き出す直前のフォースゲージ12の最大値を記録し、これを3回繰り返して平均値を求めて最大静止摩擦力とした。また、錘11を取り換えて荷重Wを変化させ、荷重Wと最大静止摩擦力との関係を求めた。
図5に示すように、開口率を80%以上としたメッシュ体2aによる試験体10aにおいては、荷重Wを5Nとしたとき、及び、荷重Wを20Nとしたときにおいて、弾性基板1a及びメッシュ体2aの物体B(ガラス)への接触面積の比率が変化している。つまり、上記した物体保持面を形成する弾性体1及び一次接触体2の面積比率が変化している。なお、グレーに見える部分においてメッシュ体2aを物体Bに接触させ、黒く見える部分において弾性基板1aを物体Bに接触させている。例えば、(a)では、5Nにおいて既に弾性基板1aが接触し始め、20Nでは広範囲にわたって接触している。また、弾性基板1aは、(b)及び(c)では5Nにおいて接触しておらず、20Nになると(b)においてやや広範囲で接触し、(c)において狭い範囲で接触していることが判る。
図6に示すように、メッシュ体2aの開口率を80%以上とした(a)~(c)の試験体10aにおいてはいずれも25Nまでの間に摩擦力(最大静止摩擦力)の荷重Wに対する変化割合を変化させている部分、つまり摩擦力の状態を大きく異ならせている部分がある。すなわち、上記したように弾性体1と一次接触体2との物体保持面を形成する比率の変化に伴い、物体保持面の摩擦係数も変化したものと考えられる。一方、メッシュ体2aの開口率を44%とした(d)は、少なくとも荷重Wを25Nとするまでの間において摩擦力の変化割合を変化させている部分は観察されず、一次関数的に摩擦力を増加させているに過ぎない。これは、開口率を小とするために、弾性基板1aを物体Bに接触させられず、摩擦係数を変化させ得なかったものと考えられる。
また、弾性基板1aのみの試験体においては、荷重の増加とともに摩擦力(最大静止摩擦力)の増加割合の低下する様子が観察される。このように弾性体において荷重の増加によって摩擦係数を低下させる現象は従来から知られているが、上記した(a)(b)(c)の摩擦係数の変化(下に凸)とは逆の挙動(上に凸)であることが判る。
[摩擦力測定試験2]
次に、他の物体保持部材において摩擦力の変化を測定する試験を行った結果について、図7乃至図9を用いて説明する。
図7に示すように、ここで用いた物体保持部材としての試験体10bはポリジメチルシロキサン(PDMS)を原料とするシリコーンエラストマーからなる弾性シート体1bの表面にシリコーンエラストマーを含侵させた開口のある織物2bを配置し、表面にうねり(しわ)を形成させたうねり形成体である。詳細には、厚さ5mm、50mm角のシート状の弾性体を主面に沿った一方向に所定のひずみで延伸させた状態で、その表面に未硬化のシリコーンエラストマーを含侵させた織物を載置し、12kPaの圧力で押し付けて、80℃×3時間の熱処理により硬化させ、硬化後にひずみを開放して製造した。このような製造方法とすることで、ひずみの解放に伴い、織物2bに表面に沿った方向の圧縮を与えてうねりを形成させている。ここでは、ひずみを0%、8%、16%として得た試験体10bを図示しているが、他に、4%、12%のひずみとしたもの、弾性シート体1b単体のもの(P-PDMS;図9参照)、織物2bにシリコーンエラストマーを含侵させたもの(Tex-PDMS;図9参照)も用いた。
上記した[摩擦力測定試験1]と同様に、各試験体10bの最大静止摩擦力を求めた。但し、フォースゲージの代わりにロードセルによって摩擦力を求め、荷重及び摩擦力は試験体の面積で除した圧力値及び応力値としてそれぞれ示した。
図8に示すように、錘による圧力を100kPaとした場合と300kPaとした場合とでは、特にひずみを8%以上とした試験体において物体B(ガラス)に対する接触状態が異なる。この試験体10bでは、ひずみを開放させたことで表面の織物2bにうねりを形成させており、荷重(圧力)の小さいときにはうねりの尾根の部分(図中「crest」の表示)を物体保持面とし、荷重(圧力)を大きくすると谷の部分(図中「groove」の表示)の方へも広げた物体保持面を形成する。特に、同じ尾根の部分でも荷重の大きい方がより黒く見えており、物体保持面を形成するシリコーンエラストマーの面積の割合が大きくなっているものと考えられる。
図9に示すように、ひずみ8%、12%、16%の試験体10bは、応力値F(最大静止摩擦力に対応)の圧力値P(荷重Wに対応)に対する変化割合を変化させている部分がある。つまり、[摩擦力測定試験1]と同様に、摩擦係数が変化していると考えられる。上記したように、圧力の増加によってシリコーンエラストマーの接触面積の割合が大きくなっていると考えられ、これによって摩擦係数も大きくなったものと考えられる。これに対して、ひずみを4%又は0%とした試験体10bにおいては、摩擦係数を変化させていると考えられる部分が観察されない。
ひずみ8%以上の試験体10bにおいて、尾根の部分ではひずみの解放に伴う面方向の圧縮によって織物を表面側に持ち上げるとともにシリコーンエラストマーに厚さ方向の引っ張り応力を付与している。つまり、シリコーンエラストマーには内側に引き込まれるように応力が作用し、織物を表面に突出させるように露出させていると考えられる。また、圧力を増加させて尾根の部分を圧縮すると、尾根の部分のシリコーンエラストマーも厚さ方向に圧縮されて引張応力が相殺されて、織物の突出が少なくなると考えられる。また、谷の部分では、ひずみの解放に伴う面方向の圧縮によって織物を内側に押し込んでいることから、尾根の部分より織物の露出が少ないと考えられる。圧力の増加に伴い、この織物の露出の少ない谷の部分も物体(ガラス)に接触するようになる。これらによって、圧力の増加に伴い、物体Bへの接触面積のうちシリコーンエラストマーの接触面積の割合が増大し、摩擦係数も増大するものと考えられる。つまり、織物が上記した実施例の一次接触体2、シリコーンエラストマーが弾性体1に対応し、荷重(圧力に対応)によって摩擦係数を変化させているものと考えられる。
上記した物体保持部材の他の変形例について、図10及び図11を用いて説明する。
図10(a)に示すように、一次接触体2として上記したような柱状体を弾性体の表面に貼り付けて用いることもできる。さらに図10(b)に示すように、柱状体を弾性体1に設けた袋穴3に収容するようにして植設して一次接触体2とすることもできる。この場合、袋穴3の底部に柱状体を固定することで、袋穴3の側面部分を柱状体の移動から解放し、側面を固定した場合に比べて、物体Bへ押圧したときに比較的広い面積で弾性体1を物体Bに接触させ得る。
また、図11に示すように、弾性体1は必ずしも連続体でなくてもよい。例えば、図11(a)に示すように間欠的に弾性体1が配置され、この間隙に表面に突出するように一次接触体2を配置させて物体保持部材10dとするのである。この場合、図11(b1)に示すように平面視で点状となるような柱状体や球状体を一次接触体2として用いたり、図11(b2)に示すように網状体や貫通孔を有するシート体を一次接触体2として用いたりすることもできる。
このような場合であっても、図11(c1)に示すように物体Bを近接させると、まず、一次接触体2のみで物体保持面を形成し、図11(c2)に示すように押圧力を増加させることで物体保持面を弾性体1及び一次接触体2で形成するようになり、図11(c3)に示すようにさらに押圧力を増加させることで物体保持面を形成する弾性体1の割合が増加する。つまり、弾性体1を間欠的に配置した物体保持部材10dにおいても、上記した物体保持部材10と同様に、物体Bへの押圧力の変化によって摩擦係数を変化させ得る。
以上のような、押圧力によって物体保持面を一次接触体のみから弾性ブロック体及び一次接触体で形成されるように変化させ、この前後を閾値に物体保持面での摩擦力の状態を大きく異ならせることのできる物体保持部材の用途としては、以下のようなものが考えられる。
例えば、ロボットハンドや搬送用機械の物体保持部の表面材として用いれば、保持対象の物体にかける荷重の制御幅を小さくできる。また、ベルトコンベヤと組み合わせた斜面に用いるなどして重さによって物体の搬送路を切り替えることもできる。床面や卓上に載置する家具や電化製品などの底面に用いれば床面等とのずれを抑制できて安定して載置できる一方、適度に抜重すると摩擦力を大きく低下させることができ、滑らせての移動を容易とする。日用生活品やスポーツ用品、機械装置など、人の手によって握られるグリップ部に用いると、強く握ったときに大きなグリップ力を得られる一方、離す際や手を添えている状態で軽く握っているときのべたつき感を防止できる。同様に、手袋の把持面に用いれば、重量物を持つときなど把持面に大きな荷重をかけたときにより高い摩擦力を得られる。また、サッカー用スパイクの先端部分に張り付けたり卓球のラバーとして用いたりするなど、スポーツ用品の打球面に用いて強打時に球に回転をかけやすくすることもできる。その他、作業用手袋、椅子の座面や絨毯などにも用い得る。
以上、本発明による実施例及びこれに基づく変形例を説明したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
1 弾性体(弾性ブロック体)
2 一次接触体
10 物体保持部材

Claims (5)

  1. 物体を面に押圧して生じる摩擦力を押圧力に応じて変化させ得る物体保持面を含む物体保持部材であって、
    弾性ブロック体と、
    前記弾性ブロック体から突出するように与えられ、前記物体と前記弾性ブロック体との間に介在してこれらを離間せしめる一次接触体と、を含み、
    前記一次接触体は、縦糸と横糸とを交互に上下に交差させて間に開口を有する織物からなり、前記弾性ブロック体の表面に埋め込まれて前記表面にうねりを形成させているとともに、前記うねりの尾根部から前記織物を部分的に突出させるように露出させた露出部を有し、
    前記物体を前記弾性ブロック体に向けて近接させたときに、前記露出部が前記物体に接触して前記物体保持面を形成し、さらに、前記露出部が前記弾性ブロック体の内部に後退して前記弾性ブロック体とともに前記物体保持面を形成することを特徴とする物体保持部材。
  2. 前記弾性ブロック体及び前記一次接触体で形成された前記物体保持面は前記押圧力を高めるとともに前記物体保持面における前記弾性ブロック体の面積比率を高めることを特徴とする請求項1記載の物体保持部材。
  3. 前記弾性ブロック体はゴム材料からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の物体保持部材。
  4. 前記弾性ブロック体は前記表面に前記うねりを形成するように圧縮を与えられていることを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載の物体保持部材。
  5. 前記弾性ブロック体は前記織物を埋め込まれた前記表面近傍とその下部のひずみ方向の異なる複層からなることを特徴とする請求項5記載の物体保持部材。
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