JP7061586B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
従来、繰り返し充放電が可能であり利便性が高い二次電池として、リチウムイオン二次電池が幅広く普及している。リチウムイオン二次電池は、電圧、容量、エネルギー密度が高いため、特に携帯電話、風力や太陽光等の発電設備の蓄電池、電気自動車、スマートグリッド等の分野で利用されている。
リチウムイオン二次電池は、電解質を溶解させた電解液、正極活物質を含む正極、負極等を備えている。電解液として、リチウム塩を有機溶媒に溶解させた非水系電解液が挙げられる。しかし、この非水系電解液では、充放電を繰り返すと電解液と活物質間で副反応が発生し、リチウムイオン二次電池の電気抵抗の上昇及び放電容量の低下が起こることが知られている。
そこで、電解液の劣化を抑制する方法として、例えば特許文献1には、高濃度のリチウム塩を含む有機溶媒を電解液として用いる方法が記載されている。これにより、負極での電解液の還元分解を抑制することができ、電解液の劣化を抑制できるとともに、良好な充放電サイクル特性が得られるとされている。
また、正極活物質として、層状岩塩構造を有するリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(三元系正極活物質)が使用されている。しかし、特にNi比が高いこの三元系正極活物質では、充放電を繰り返すと、正極活物質と電解液間で経時的に副反応を起こし、リチウムイオン二次電池の電気抵抗の上昇と放電容量の低下が起こることが知られている。
そこで、放電容量の低下を抑制する方法として、例えば特許文献2には、Li、Ni、及びMnを含む被覆層におけるMnの濃度が内層部よりも外層部の方が高い正極活物質を使用する方法が記載されている。これにより、放電容量の増加及びサイクル特性の向上を実現することができるとされている。
国際公開第2014/200012号 特開2006-331940号
しかし、特許文献1のように電解液中のリチウム塩の濃度を上げると、電解液の粘度が上昇し、リチウムイオン二次電池の電気抵抗の上昇をもたらすおそれがあった。
また、特許文献2に記載の方法では、経時的な正極活物質の劣化を抑制することができず、改善の余地があった。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、電解液と活物質間での副反応による劣化を抑制し、リチウムイオン二次電池の電気抵抗の上昇と容量の低下を抑制できるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明は、電解液と、正極と、負極とを備え、前記電解液は、有機溶媒と、リチウム塩と、該リチウム塩を除くアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩と、を含み、前記リチウム塩、前記アルカリ金属塩及び前記アルカリ土類金属塩の体積モル濃度の合計が2.9mol/L以上であり、リチウムイオンの体積モル濃度が0.7~1.7mol/Lであり、前記リチウムイオンを除くアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの体積モル濃度の合計が1.7~2.7mol/Lであり、下記一般式(1)で表され且つ菱面体晶系で空間群R-3mの層状岩塩構造を有するコア粒子と、該コア粒子の表面上に形成され、該コア粒子に比べてNiのモル比が小さく、かつ、安定性が高くなる化学組成により形成されるコート層と、を有する正極活物質粒子を含むリチウムイオン二次電池を提供する。
[化1]
LiNiMnCo・・・(1)
[一般式(1)中、x+y+z=1である。]
前記有機溶媒がプロピレンカーボネート、1,2-ジエトキシエタン、アセトニトリルの混合溶媒であることが好ましい。
前記リチウム塩のアニオンがPF又はTFSIの少なくとも一方であり、前記アルカリ金属塩及び前記アルカリ土類金属塩のアニオンがTFSIであることが好ましい。
前記コート層が、下記一般式(1)で表され、前記コート層の表面部の化学組成が前記コア粒子と前記コート層との界面の化学組成と比べて、Mn及びCoのモル比が高い一方でNiのモル比が低いことが好ましい。
[化1]
LiNiMnCo・・・(1)
[一般式(1)中、x+y+z=1である。]
前記正極活物質粒子の前記化学組成が段階的に変化してもよい。
本発明によれば、電解液と活物質間での副反応による劣化を抑制でき、リチウムイオン二次電池の電気抵抗の上昇と容量の低下を抑制できるリチウムイオン二次電池を提供することができる。
従来一般的なリチウムイオン二次電池用電解液の状態を示す概略図である。 従来の高濃度リチウム塩を含有するリチウムイオン二次電池用電解液の状態を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電解液の状態を示す概略図である。 SOC80%、65℃条件下での耐久性試験(600日経過時)における従来の正極活物質粒子(非水系電解液)のSTEM画像を示す図である。 本発明の一実施形態に係る正極活物質粒子の断面図である。 本発明の正極活物質の表面近傍におけるSTEM-EDXによる像および線分析結果を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳しく説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、電解液と、正極と、負極と、セパレータとを備える。電池形状としては、角型、ペーパー型、積層型、円筒型、コイン型等が例示される。
[電解液]
電解液としては、有機溶媒と、リチウム塩と、リチウム塩を除くアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩と、を含む非水系電解液が用いられる。
有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、フロロエチレンカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、γ-ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4メチル1,3-ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル、及びそれらの混合溶媒等が挙げられる。中でも、特にプロピレンカーボネート、1,2-ジエトキシエタン、アセトニトリルの混合溶媒が好ましい。また、プロピレンカーボネート、1,2-ジエトキシエタン、アセトニトリルの混合溶媒の体積比(v/v%)は、1:1:1であることが好ましい。
リチウム塩、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩のアニオンとしては、例えば、N(SOF)、ClO、AsF、PF、BF、B(C、SbF、CHSO、CFSO、Cl、CSO、N(CFSO)(CSO)、N(CFSO、N(CSO、Br、BOB、TFSI、FSI、PF等が挙げられる。上記アニオンの中では、リチウム塩のアニオンとしては特にPF又はTFSIの少なくとも一方が好ましく、リチウム塩を除くアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩のアニオンとしては特にTFSIが好ましい。
リチウムイオンを除くアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンは、特に制限されるものではない。アルカリ金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン等を挙げることができ、アルカリ土類金属イオンとしては、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等を挙げることができる。
リチウム塩と、リチウム塩を除くアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩との体積モル濃度の合計は、2.9mol/L以上であればよく、好ましくは3.0mol/L以上である。上記カチオン塩の体積モル濃度の合計が2.9mol/L未満であると、電解液の劣化に起因する放電容量の低下や電気抵抗の上昇を十分に抑制することができない。また、上記カチオン塩の体積モル濃度の合計の上限は、特に制限されないが、飽和濃度以下であることが好ましい。
電解液中におけるリチウムイオンの体積モル濃度は、0.7~1.7mol/Lであればよく、好ましくは0.8~1.6mol/Lである。リチウムイオンの体積モル濃度が0.7mol/L未満では、液中のリチウムイオンの不足により、低い電気抵抗を維持できない。一方、リチウムイオンの体積モル濃度が1.7mol/Lを超えると、電解液の粘度の増加により、低い電気抵抗を維持できなくなる。
リチウムイオンを除くアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの体積モル濃度は、1.7~2.7mol/Lであればよく、好ましくは1.8~2.6mol/Lである。リチウムイオンを除くアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの体積モル濃度が1.7mol/L未満であると電解液の劣化を十分に抑制することができない。一方、2.7mol/Lを超えると電解液の粘度の増加により低い電気抵抗を維持できなくなる。
次に、本実施形態に係る電解液の作用及び効果について、図1~図3を用いて従来の電解液と比較しながら詳しく説明する。
ここで、図1は、従来一般的なリチウムイオン二次電池用電解液の状態を示す概略図である。図2は、従来の高濃度リチウム塩を含有するリチウムイオン二次電池用電解液の状態を示す概略図である。図3は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電解液の状態を示す概略図である。これら図1~図3はいずれも、各リチウムイオン二次電池の負極近傍における電解液の状態を模式的に示す図である。
図1に示すように、従来一般的な電解液中には、リチウムイオン1及び配位子としての有機溶媒2からなる錯体3と、リチウムイオン1に配位していない多量のフリー有機溶媒4とが含まれている。
ここで、リチウムイオン二次電池の負極表面では、電解液が還元分解されることによりSEIが形成されることが知られている。図1に示すように、特にフリー有機溶媒4は、リチウムイオン等に配位した有機溶媒2に比べて還元分解されやすく、負極のリチウムイオン1と反応してSEIを形成しやすいと考えられる。そのため、充放電を繰り返すと、このSEIが増加して電気抵抗が上昇する。また、SEI内部にリチウムイオンが固定化されることで放電容量が減少する。
一方、図2に示す電解液には、高濃度のリチウム塩が含まれている。このため、従来一般的な図1の電解液と比較すると、錯体3が増加して、フリー有機溶媒4が減少している。フリー有機溶媒4が減少しているため、SEIの増加に起因する電気抵抗の上昇及び放電容量の低下を抑制することができる。しかし、リチウム塩の濃度を上げると電解液の粘度が増加するため、結果として電気抵抗の上昇は避けられない。
これに対して、本実施形態に係る電解液には、図3に示すように、リチウムイオン1以外のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属等のカチオン5も含まれている。このカチオン5と有機溶媒2とが配位し錯体6が形成される。このため、リチウムイオン1の濃度を抑えつつ、フリー有機溶媒4を減少させることができる。また、カチオン種が増えることにより、電解液の低粘度化が期待できる。これにより、電気抵抗を抑えるとともに、容量の低下を抑制できる。電解液の低粘度化は、リチウム塩以外のカチオン種を加えることにより、複数塩混合電解液が疑似的な共融状態となることで溶媒和の状態が変化したことに起因すると考えられる。
[正極]
正極は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質粒子と、導電助剤と、結着剤と、を含んで構成される。
本実施形態に係る正極活物質粒子としては、菱面体晶系で空間群R-3mの層状岩塩構造を有するリチウムコバルトマンガン複合酸化物(以下、「三元系正極活物質」という)を含むコア粒子と、コア粒子の表面上に形成されたコート層とを含む活物質粒子が用いられる。
コア粒子の化学組成は、一般式:LiNiMnCo(一般式中、x+y+z=1である)で表される。
コート層は、コア粒子に比べてNiのモル比が小さく、かつ、安定性が高くなる化学組成により形成される。コート層のNiのモル比はコア粒子に比べて小さければよく、0であってもよい。コート層の化学組成は特に制限されず、例えば、コア粒子と同様にLiNiMnCo(一般式中、x+y+z=1である)で表される化学組成であっても、AlPO、Al等のような無機化合物であってもよい。また、安定性が高くなるとは、電解液との副反応による正極活物質粒子の相転移等の結晶構造の変化が起きにくくなることを意味する。
正極活物質粒子は、コア粒子及びコート層の化学組成がLiNiMnCo(一般式中、x+y+z=1である)である場合、コート層の化学組成がコア粒子の化学組成と比べて、Mn及びCoのモル比が高い一方でNiのモル比が低い。本実施形態に係る正極活物質粒子は、コア粒子に対して、Ni比の低い層を付与することで、正極活物質と電解液との副反応は抑制できる。
ここで、層状岩塩構造を有する従来一般的な三元系正極活物質は、充放電により結晶構造が層状岩塩構造からスピネル構造、岩塩構造へ経時変化することが知られている。
図4は、SOC80%、温度65℃の条件下での耐久性試験、600日経過時における、非水系電解液を用いたリチウムイオン二次電池の従来の正極活物質の透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」という)画像及び走査透過型電子顕微鏡(以下、「STEM」という)のFFTパターン像である。耐久試験後の正極活物質を機械加工とイオンミリングによって薄片化し、TEM(H-9000UHR III、HITACHI社製)、STEM(JEM-ARM200F、JEOL社製)を用いて観察した。
TEM画像の正極活物質中央部と表面側でコントラストの違いを確認することができた。STEMのFFTパターン像に示すように、活物質表面側においては、層状岩塩構造からスピネル構造又は岩塩構造への相転移が確認できた。スピネル構造又は岩塩構造へ相転移することにより、リチウムが吸蔵可能な領域の減少、また電気抵抗上昇による放電容量低下が考えられる。
上述した結晶構造の変化は、特に電解質と接触している正極活物質粒子の表面付近から進行すると考えられる。
これに対して、本実施形態に係る正極活物質粒子は、コート層の化学組成がコア粒子の化学組成と比べて、Niのモル比が低い設計となっている。電解質と接触する最表面が最も安定性が高いため、正極活物質粒子の相転移及び電解質の酸化分解を抑制することが可能となる。
また、本実施形態に係る正極活物質粒子の好ましい構造について、図5を用いて詳しく説明する。
図5は、本実施形態に係る正極活物質粒子の断面図である。図5に示すように、正極活物質粒子7は、粒状のコア粒子8と、コア粒子8に被覆されたコート層9、10とから構成される。本実施形態に係るコート層数は2層であるが、コート層数については特に制限されず、1層であってもよく、3層以上であってもよい
正極活物質粒子7は、Niのモル比は、コア粒子8が最も高く、コート層10が最も低い。つまり、正極活物質粒子7は、コート層10が最も安定性が高い設計となる。この化学組成の一例として、コア粒子8がLiNi6/10Mn2/10Co2/10、コート層9がLiNi1/3Mn1/3Co1/3、コート層10がAlPOである化学組成等が挙げられる。
正極活物質粒子のコア粒子に被覆されるコート層の割合は、コア粒子の質量とコート層の質量との合計に対して、好ましくは0.1質量%~20質量%、より好ましくは0.1質量%~10質量%、さらに好ましくは0.1質量%~1質量%である。コア粒子表面に均一に被覆した場合、コート層が0.1質量%以上であれば、正極活物質粒子の安定性を十分に向上させることができる。また、コート層が20質量%を超えると、低抵抗を維持できなくなるおそれがある。
導電助剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト、CNT等が用いられる。
結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリアクリル酸塩、スチレン-ブタジエン共重合体、カルボキシメチルセルロース等が用いられる。
[負極]
負極は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な負極活物質粒子と、上記導電助剤と、上記結着剤と、を含んで構成される。
負極活物質粒子としては、リチウム元素を含むものと、リチウム元素を含まないものとが挙げられる。リチウム元素を含む負極活物質粒子として、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金等の金属リチウム、チタン酸リチウム等のリチウム酸化物、リチウムコバルト窒化物等のリチウム窒化物等が挙げられる。リチウム元素を含まない負極活物質としては、例えば、メソカーボンマイクロビーズ等の黒鉛質材料、フェノール樹脂やピッチ等を焼成炭化したもの、活性炭、グラファイト等の炭素系材料、Si、SiO、SiO等のシリコン系材料、SnO、SnO等のスズ系材料、PbO、PbO等の鉛系材料、GeO、GeO等のゲルマニウム系材料、リン系材料、ニオブ系材料、アンチモン系材料、及び、これらの材料の混合物が挙げられる。
[セパレータ]
セパレータとしては、多孔性ポリマーやガラスフィルタ等が用いられる。
[リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子の製造方法]
本実施形態に係る正極活物質粒子の製造方法について説明する。本実施形態に係る製造方法は、コア粒子製造工程と、被覆工程とを含む。
まず、コア粒子製造工程にて、Li、Ni、Co、及びMnの水酸化物、オキシ水酸化物、並びに酸化物等を水溶液中で沈殿又は共沈させる。得られた沈殿物を650℃~850℃の大気雰囲気中で、雰囲気焼成することで設計した化学組成の正極活物質粒子のコア粒子を得ることができる。このとき、単純に焼成炉で沈殿物を焼成してもよいが、スプレードライヤ法を用いて、予め沈殿物を微粒子で乾燥及び焼成してもよい。上記工程より得られたコア粒子をカウンタジェットミル、パルベライザ等の各種粉砕装置を用いて粉砕し、粉砕したコア粒子を、パルスジェットコレクタ等を用いて分級する。
次に、被覆工程にて、Li、Ni、Co、Mn、及びAlの水酸化物、オキシ水酸化物、並びに酸化物等を上記コア粒子製造工程により得られたコア粒子の表面に被覆する。被覆方法として、例えば、メカノケミカル的反応を起こす、メカノフュジョンシステム、ノビルタベルコムシステム、スパッタ法やゾルゲル法等により、所定の表面組成になるように、コア粒子表面に安定組成の正極活物質粒子を生成する。コア粒子から外側に向かい安定性がより高くなるようにコート層を形成する。化学組成の異なるコート層数については、特に制限されず、1種類以上であればよい。化学組成の異なるコート層を形成することで、安定した層を形成することが可能となる。
[リチウムイオン二次電池の製造方法]
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造方法について説明する。
まず、上述した製造方法により作製した正極活物質粒子、導電助剤、及び結着剤を混練した後、混練物をシート状に展延し、これを所定の形状に打ち抜くことによって、正極を形成する。
次いで、上述した負極活物質粒子、導電助剤、及び結着剤を混練した後、混練物をシート状に展延し、これを所定の形状に打ち抜くことによって、負極を形成する。
そして、正極と負極との間に上述したセパレータを配置して、上述した電解液を充填する。これによりリチウムイオン二次電池が製造される。
以上、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の製造方法については特に制限されるものではなく、従来公知の方法を用いて製造することができる。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、有機溶媒と、リチウム塩と、前記リチウム塩を除くアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩と、を含み、前記リチウム塩、前記アルカリ金属塩及び前記アルカリ土類金属塩の体積モル濃度の合計が2.9mol/L以上であり、リチウムイオンの体積モル濃度が0.7~1.7mol/Lであり、前記リチウムイオンを除くアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの体積モル濃度の合計が1.7~2.7mol/Lである電解液を備える。これにより、電解液の粘度を抑えつつ、充放電によって生じる負極での電解液の還元分解及びSEI皮膜の形成を抑制することができる。したがって、リチウムイオン二次電池の電気抵抗の上昇及び容量の低下を抑制できる。
また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、一般式:LiNiMnCo(式中、x+y+z=1)で表され且つ菱面体晶系で空間群R-3mの層状岩塩構造を有するコア粒子と、該コア粒子の表面上に形成され、該コア粒子に比べてNiのモル比が小さく、かつ、安定性が高くなる化学組成により形成されるコート層と、を有する正極活物質粒子を含む正極を備える。これにより、充放電によって生じる正極での電解液の酸化分解及び正極活物質の結晶構造の変化を抑制することができる。したがって、経時による電気抵抗の上昇と容量の低下を抑制することができる。また、正極活物質粒子の表面の安定性が向上したことにより、より高電圧下で使用可能となる。
さらに、上述した安定な電解液と安定な最表面を有する正極活物質粒子とを備えるため、これらの相乗効果により、より優れた耐久性を各活物質及び電解液に付与することが可能となる。
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
カレンダー耐久試験により、リチウムイオン二次電池の抵抗値及び容量維持率を評価した。正極には、コア粒子の化学組成がLiNi6/10Co2/10Mn2/10であり、コア粒子との合計質量に対して0.2質量%のAlPOのコート層を有する正極活物質粒子を用いた。正極活物質粒子の作製方法として、まずは上述の製造方法により化学組成LiNi6/10Co2/10Mn2/10正極活物質粒子のコア粒子を作製した。そののちエチレングリコール200mlに、硝酸アルミニウム9水和物3g、リン酸3gを投入して混合することにより、AlPO前駆体ゲルを作成した。得られたゲル中に、LiNi6/10Co2/10Mn2/10を200g投入し、室温で1時間混合した。混合後、エチレングリコールを蒸発させて、AlPOゲルで被覆されたLiNi6/10Co2/10Mn2/10被覆体を得た。得られた被覆体を焼成炉に入れ、空気雰囲気下、500℃で5時間の焼成を実施し、最終的な正極活物質を得た。
電解液は、リチウム塩及びナトリウム塩の濃度を表1及び表2の通りに調整し、実施例1~6および比較例1~4とした。実施例1~6及び比較例1~4の電解液の溶媒として、プロピレンカーボネート、1,2-ジエトキシエタン、及びアセトニトリルを1:1:1の体積比(v/v%)の割合で含む混合溶媒を用いた。実施例1~6および比較例1~4について、正極活物質粒子の組成は変えず、ナトリウムを含む電解液のリチウム塩及びナトリウム塩の濃度のみを変化させた。さらにカレンダー耐久試験(SOC100%、60℃の条件下にて200日間保持)後における抵抗値及び容量維持率を評価した。結果を表1及び表2に示す。表1の抵抗値は比較例1の抵抗値を100として算出した相対値であり、表2の抵抗値は比較例3の抵抗値を100として算出した相対値である。
なおAl元素の占有率の算出については、正極活物質粒子のSTEM-EDX線分析によって検出される各元素のピーク強度から補正計算法によって定量化される、Al元素の占有率から10粒子以上の平均値として算出した。
例えば、図6は、本発明の正極活物質断面の、表面近傍におけるSTEM-EDXによる像および線分析結果を示すグラフである。上部に示すEDX線分析結果のグラフは、下部のSTEM像の位置と対応している。正極活物質の内部を示すSTEM像左側部分においてはNi,Co,Mnのピークが確認され、表面近傍のNi比だけ小さくなっている様子が確認できた。また正極活物質表面部においてはAlの大きなピークが検出された。
Figure 0007061586000001
Figure 0007061586000002
表1及び2に示すように、実施例1~6において、カチオン塩としてリチウム塩のみを含有する電解液を用いた比較例1及び3と比較して、容量維持率を保持したまま、抵抗値が大幅に改善した。これは、電解液に含まれるカチオン種の増加によって溶媒和の状態が変化し、電解液の低粘度化が起こることにより、電気抵抗が抑制されたためであると推定される。しかし、ナトリウム塩濃度が2.7mol/Lを超える比較例2の条件では、比較例1に比べて抵抗値が高くなり、抵抗値の上昇を抑制できなかった。また、リチウム塩濃度が1.8mol/Lを超える比較例4の条件でも、比較例3に比べて抵抗値が高くなり、抵抗値の上昇を抑制できなかった。
1 リチウムイオン
2 有機溶媒
3 錯体
4 フリー有機溶媒
5 カチオン
6 錯体
7 正極活物質粒子
8 コア粒子
9 コート層
10 コート層

Claims (5)

  1. 電解液と、正極と、負極とを備えるリチウムイオン二次電池であって、
    前記電解液は、
    有機溶媒と、
    リチウム塩と、
    前記リチウム塩を除くアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩と、を含み、
    前記リチウム塩、前記アルカリ金属塩及び前記アルカリ土類金属塩の体積モル濃度の合計が2.9mol/L以上であり、
    リチウムイオンの体積モル濃度が0.7~1.7mol/Lであり、
    前記リチウムイオンを除くアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンの体積モル濃度の合計が1.7~2.7mol/Lであり、
    前記正極は、
    下記一般式(1)で表され且つ菱面体晶系で空間群R-3mの層状岩塩構造を有するコア粒子と、該コア粒子の表面上に形成され、該コア粒子に比べてNiのモル比が小さく、かつ、安定性が高くなる化学組成により形成されるコート層と、を有する正極活物質粒子を含むリチウムイオン二次電池。
    [化1]
    LiNiMnCo・・・(1)
    [一般式(1)中、x+y+z=1である。]
  2. 前記有機溶媒がプロピレンカーボネート、1,2-ジエトキシエタン、及びアセトニトリルの混合溶媒である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記リチウム塩のアニオンがPF又はTFSIの少なくとも一方であり、前記アルカリ金属塩及び前記アルカリ土類金属塩のアニオンがTFSIである請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記コート層が、下記一般式(1)で表され、
    前記コート層の表面部の化学組成が前記コア粒子と前記コート層との界面の化学組成と比べて、Mn及びCoのモル比が高い一方でNiのモル比が低い請求項1~3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
    [化1]
    LiNiMnCo・・・(1)
    [一般式(1)中、x+y+z=1である。]
  5. 前記正極活物質粒子の前記化学組成が段階的に変化する請求項1~4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池。
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