JP7060299B2 - 歯科用研磨組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックス、金属及びコンポジットレジン等の歯科用補綴装置を研磨するための歯科用研磨組成物に関する。
歯科治療の際、一般に歯にう蝕などの疾患がある場合は、う蝕部位の歯質を取り除き、セラミックスや金属及びコンポジットレジンなど、様々な材料で製作された歯科用補綴装置又は歯科用充填物を用いて修復治療が行われている。
近年では、貴金属の高騰や金属アレルギー及び審美性の観点から、オールセラミックスによる補綴修復が注目されている。さらに、歯科用CAD/CAMシステムを用いた切削加工により歯科用補綴装置を製造する技術が急速に普及し、ジルコニアを用いた歯科用補綴装置が歯科治療に応用されている。
ジルコニアは導入当初、透過性が悪いなど審美性に劣っていた為、主にコーピングとして用いられ、その表面に透過性の高い陶材を焼成したセラミックス製のクラウンを被せたものを歯科用補綴装置として提供されていた。最近では、光透過性の優れたジルコニアも製品化されており、ジルコニア単体で歯科用補綴装置を作製するいわゆるフルジルコニアクラウンも増加している。
ジルコニアは歯科用セラミックスの中でも生物学的安全性に優れ、高強度・高靭性で機械的性質に優れている為、口腔内に装着後、長期的に機能する材料とされている。しかし、研磨が非常に難しい材料の一つである。
歯科用補綴装置の表面性状が粗い場合、もしくは表面に傷がある場合は、口腔内装着後に着色や歯垢付着の原因となってしまう。よって、歯科用補綴装置を装着する際には形態修正及び咬合調整後に表面を滑沢に研磨を行う必要がある。特に、セラミックス製の歯科用補綴装置の場合、表面の研磨が不十分であるとやすりのような作用があり、対合歯を磨耗させてしまうリスクも近年明らかとなってきている。また、歯科用補綴装置の表面が滑沢でない場合、天然歯と同様な自然感が得られず高い審美性を得ることができない。更に、歯科用補綴装置の表面状態に違和感があると患者の舌感が悪く、不快に感じられ、口腔粘膜や舌の正常な運動が妨げられることもある。以上のことから、歯科用補綴装置を滑沢に研磨することは非常に重要であり、この目標を達成する為に最終的に滑沢な面に仕上げる工程において、様々な歯科用研磨組成物が用いられている。
最終的に滑沢な面に仕上げる工程においては、細かい研磨砥粒を配合し、水系分散媒を用いた室温でペースト状の歯科用研磨組成物もしくは非水系分散媒を用いた室温で固形状の歯科用研磨組成物を用いて研磨するのが有効とされている。主な使用方法は、歯科用フェルト又は歯科用ブラシにこれらの歯科用研磨組成物を適量塗布し、回転させながら被研磨体に接触させ、研磨を行うのが一般的である。
ペースト状の歯科用研磨組成物は水系分散媒に親水性である研磨砥粒を配合することから、研磨砥粒が均一に分散しやすい。また、増粘剤を適切に配合することにより研磨砥粒が沈降しにくく、ある程度の期間であれば安定した研磨性を発揮することが出来る。また、水系分散媒である為、水洗によって研磨後の歯科用研磨組成物の除去も簡単に行うことが出来る。しかしながら、ペースト状の歯科用研磨組成物は時間の経過と共に研磨砥粒が沈降し、研磨性が低下する可能性がある。また、研磨部位から逃げやすく飛び散り易い為、高速回転で研磨することが出来ず、研磨効率が低い。
一方、ワックスなど非水系分散媒を用いた固形状の歯科用研磨組成物は粘性が高く、研磨部位及び歯科用フェルト、歯科用ブラシに歯科用研磨組成物が留まり易い為、高速回転にも対応でき、研磨効率が高い。しかし、研磨中は必要以上にワックスが残留するため、短時間研磨後、目視的に滑沢な研磨面を確認しにくかった。実際には十分研磨させていても、見た目上は歯科用研磨組成物の残留によって表面が曇ったような状態となっている為、実作業時間が長くなってしまうケースもあり、過剰に研磨を行うと形状も変わってしまうことから、補綴装置としての機能を損うリスクがある。よって、短時間の研磨でも目視上で滑沢な研磨面を確認できることは重要な要素となる。
また、研磨後の余剰の歯科用研磨組成物の除去において、非水系分散媒は水と馴染み難く、超音波洗浄やスチームクリーナー等での除去も容易ではなかった。歯科用研磨組成物が付着した状態で補綴装置が装着すると、口腔内に歯科用研磨組成物が異物として残留してしまうため、残留した成分が人体に悪影響を及ぼす可能性がある。よって、研磨終了後に歯科用研磨組成物が補綴装置に付着していないことが望ましく、付着した歯科用研磨組成物の除去性が良いことは歯科用研磨組成物に求められている。
さらに、ワックスなど非水系分散媒を用いた固形状の歯科用研磨組成物は、製造時において親水性である研磨砥粒を非水系分散媒中で均一に分散させることが困難であり、その結果、凝集や研磨砥粒の沈降等による偏在等が発生しやすく、研磨砥粒の本来持つ研磨特性を十分に発揮出来ていなかった。なお、凝集による偏在は細かい粒子径のものを採用すると顕著な傾向を示し、沈降については粗い粒子径のものを採用すると顕著な傾向があった。
特許文献1には、増粘剤としてセルロース系増粘材と特定の無機微粉末を用いた水洗性に優れ、研磨時のペーストの飛散も少ない水系分散媒を用いたペースト状の歯科用研磨組成物の技術について開示されている。本技術では、従来のペースト状の歯科用研磨組成物は研磨時の飛散が多いこと及び非水系分散媒であるワックスに分散した歯科用研磨組成物は水洗性が良くないことが記載されている。よって、非水系分散媒を用いない技術でアプローチしているが、本技術ではペースト状の歯科用研磨組成物の為、ロビンソンブラシに塗布した際にペーストが飛散するリスクがあり、研磨部位に十分な歯科用研磨組成物を保持出来ず、研磨効率が悪いことが課題とされる。
特許文献2には、微粉アルミナ、脂肪酸、界面活性剤、着色剤、防黴剤及び水からなるペースト状の歯科用研磨組成物に関する技術が開示されている。本技術は水を含んだペースト状の歯科用研磨組成物で、特定の粒度分布の微分アルミナを使用し、脂肪酸、界面活性剤として陰イオン界面活性剤を用いることで、研磨性に優れ、潤滑性が向上し、研磨・艶出しの焼き付きが無く、水洗性に優れた歯科用研磨組成物の設計が可能であることを報告している。しかし、あくまでベースとなる分散媒は水であり、特許文献1と同様にロビンソンブラシに塗布した際にペーストが飛散するリスクがあり、研磨部位に十分な歯科用研磨組成物を保持出来ず、研磨効率が悪いことが課題とされる。また、経時的にペーストから研磨砥粒の分離する可能性があり、安定的な研磨特性が得られにくいと考えられる。
特開2007-91636号 特開平8-71088
前述した特許文献は、いずれも水系分散媒を用いたペースト状の歯科用研磨組成物に関するものであり、非水系分散媒をベースとし、室温で固形状の歯科用研磨組成物に比べると研磨効率が低い。さらに、従来の技術では、非水系分散媒に親水性である研磨砥粒を均一に分散させることは容易ではなく、その結果、凝集や研磨砥粒の沈降等による偏在等が発生しやすく、研磨砥粒の本来持つ研磨特性を十分に発揮出来ていなかった。また、非水系分散媒を用いた歯科用研磨組成物は研磨中の力や熱によって被研磨体表面に残留しやすい。特に、融点の高い非水系分散媒を使用した場合はその傾向が顕著となる。さらに、残留した歯科用研磨組成物を除去する際、歯科用研磨組成物に配合されている非水系分散媒は水と馴染み難く、超音波洗浄やスチームクリーナー等での除去が容易ではなく、十分に洗浄するには時間を要する。以上のことから、非水系分散媒をベースとした室温で固形状の歯科用研磨組成物において、上述の課題を解決した歯科用研磨組成物が求められていた。
本発明者らは、上記課題を克服するために鋭意検討を重ねた結果、非水系分散媒を用いた固形状の歯科用研磨組成物において、製造時に加熱し液状とした非水系分散媒(C)中に界面活性剤(B)を配合することで、研磨砥粒(A)を均一に分散させることを可能にした。これにより、得られた固形状の歯科用研磨組成物は研磨効率が高く短時間での研磨が可能となった。また、研磨中に歯科用研磨組成物が被研磨体に残留しにくく、かつ付着した場合でも超音波洗浄やスチームクリーナー等により容易に除去することが可能となった。
本発明は、研磨砥粒(A)、界面活性剤(B)、非水系分散媒(C)を含み、室温で固形状である歯科用研磨組成物である。
本発明の歯科用研磨組成物は、融点が50~80℃であることが好ましい。
本発明は、前記界面活性剤(B)の配合量が、歯科用研磨組成物100重量%に対して、5.0~15.0重量%である歯科用研磨組成物であることが好ましい。
本発明は、前記研磨砥粒(A)が、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、炭化珪素、酸化セリウム及び窒化ホウ素の中から1つ以上選ばれる歯科用研磨組成物であることが好ましい。
本発明は、前記研磨砥粒(A)が、平均粒子径30μm以下であり、歯科用研磨組成物100重量%に対して、55.0~70.0重量%配合した歯科用研磨組成物であることが好ましい。
また、界面活性剤(B)が、ノニオン界面活性剤であることが好ましい。
本発明によれば、歯科用研磨組成物製造時に、非水系分散媒中に研磨砥粒を均一に分散し、冷却することで固形状の歯科用研磨組成物が得ることができる。かつ、得られた歯科用研磨組成物は研磨効率が高く安定した研磨効果を示し、歯科用ブラシや歯科用フェルトとの馴染みも良く、被研磨体に歯科用研磨組成物が付着しにくく、付着した場合でも除去性に優れた歯科用研磨組成物を提供することが可能となる。
以下に本発明を詳細に説明する。本発明の歯科用研磨組成物は、研磨砥粒(A)と、界面活性剤(B)、非水系分散媒(C)から構成されている。
研磨砥粒(A)は、研磨対象である歯科用補綴装置が金属、コンポジットレジン、セラミックス材料など機械的特性の異なる様々な材質から作製される為、研磨する補綴装置の材質に応じて研磨砥粒の種類及び粒子径を適時選定する必要がある。
研磨砥粒(A)の種類は被研磨体の材料特性によって選択され、特に限定はされないが、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、炭化珪素、酸化セリウム及び窒化ホウ素の中から1つ以上選ぶことが好ましい。
例えば、研磨対象がセラミックス等の硬い材料であれば、ダイヤモンドを選択するのが非常に有効である。しかし、ダイヤモンドの配合量が高いと歯科用研磨組成物のコストが高くなる為、比較的安価な酸化アルミニウムや炭化珪素を組み合わせることでも十分な研磨性が得られる。研磨対象がコンポジットレジンや金属等、軟らかい材料であれば、ダイヤモンド単独もしくはダイヤモンドを酸化アルミニウム及び炭化珪素と組み合わせる方がより好ましいが、酸化アルミニウムもしくは炭化珪素を単独で配合しても十分な研磨効果が得られる。
本発明に使用される研磨砥粒(A)の粒子径は最終研磨工程に使用することを目的としていることから平均粒子径30μm以下が好ましく、特に好ましいのは平均粒子径が0.5~10μmの範囲である。平均粒子径が30μmを超える場合は粒子径が大きすぎて新たな傷をつけてしまう為、滑沢な表面が得られず、光沢が得られないというデメリットがある。ここで、平均粒子径とはメジアン径(d50)を指し、一般的な粒度分布測定装置などにより求めることが出来る。粒度分布測定装置は様々な測定原理のものがあるが、例えばレーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置が挙げられる。
本発明の歯科用研磨組成物に配合する研磨砥粒(A)の配合量は、特に制限はなく、非水系分散媒に均一に分散し、室温で固形状を得られるのであれば、いずれの配合量においても研磨組成物を調製することが出来る。その中でも、より優れた特性を示す為には、歯科用研磨組成物100重量%に対して55~70重量%の範囲で配合することが望ましい。より好ましくは60~65重量%の範囲で配合量を設定することである。55重量%を下回る場合は、被研磨体と研磨砥粒の接触機会が減少する為、十分な研磨性を発揮できない。また、70重量%を超える場合は、歯科用研磨組成物の他の成分との関係もあるが、非水系分散媒の分量が減ることにより、粘りが無く、被研磨体に研磨砥粒が留まりにくくなる為、研磨性が低下する。
非水系分散媒に研磨砥粒(A)を均一に分散させる為に界面活性剤(B)を配合する。また、得られた固形状の歯科用研磨組成物は界面活性剤(B)の配合により、濡れ性が向上する為、歯科用研磨組成物が歯科用ブラシ及び歯科用フェルトに付着しやすく、研磨の持続性も良好となり、かつ被研磨体からは歯科用研磨組成物が逃げやすい為、短時間の研磨でも余剰の歯科用研磨組成物が残留せず、研磨表面が曇りにくく、目視上で滑沢な表面を得られることが可能となる。さらに、水との馴染みも向上することから、超音波洗浄やスチームクリーナー等による水洗も良好となる。
本発明の歯科用研磨組成物に配合する界面活性剤(B)は、任意の界面活性剤が使用できるが、その中でも、ノニオン界面活性剤でかつ非水系分散媒中に溶解するものが好ましい。ノニオン界面活性剤としては、具体的にはモノオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル系やペンタオレイン酸デカグリセリル等のグリセリンエステル系、ポリオキシエチレン硬化ひまし油やポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリオキシエチレン鎖含有系などが挙げられるが、特に限定されることは無く、上述した条件を満足するノニオン界面活性剤であれば特に好ましく用いることが出来る。また、ノニオン界面活性剤は単独及び複数組み合わせることが可能である。
本発明の歯科用研磨組成物に配合する界面活性剤(B)の配合量は特に制限はないが、界面活性剤分子が分散対象である研磨砥粒の表面を完全に覆う濃度の範囲で調整することが出来る。より優れた特性を示す為には、歯科用研磨組成物100重量%に対して、界面活性剤(B)を5~15重量%の範囲で配合することが望ましい。より好ましくは、歯科用研磨組成物100重量%に対して、界面活性剤(B)を5~13重量%の範囲で配合量を設定することである。5重量%を下回る場合は、界面活性剤が研磨砥粒表面を十分に被覆出来ない為、非水系分散媒中に研磨砥粒を均一に分散させることが出来ない。また、得られた固形状の歯科用研磨組成物は界面活性剤の効果が十分に得られなくなる為、短時間研磨時に余剰ワックスが残留しやすく、研磨後に超音波洗浄及びスチームクリーナー等による除去性も低下する。また、15重量%を超える場合は、歯科用研磨組成物の他の成分との関係もあるが、液成分である界面活性剤の比率が高くなる為、得られた固形状の歯科用研磨組成物の硬さが軟らかくなり、常温の温度変化による形状の維持が困難となる。また、回転させながら歯科用ブラシや歯科用フェルトに歯科用研磨組成物を塗布させるときに歯科用研磨組成物が崩れやすく、崩れた歯科用研磨組成物が屑として飛散する為、操作性が悪い。さらに、研磨表面に歯科用研磨組成物が留まりにくい為十分な研磨効果が得られにくい。特に、界面活性剤(B)が多く配合されていると、空気中の湿気を吸収し、歯科用研磨組成物の変質を招いたり、熱により軟化しやすい等、長期保存安定性が悪くなるリスクがある。
本発明の歯科用研磨組成物に配合する非水系分散媒(C)は、特に限定されなく、いずれのものも使用出来る。非水系分散媒(C)は、歯科用研磨組成物の必要な特性に応じて適宜選定することが出来る。例えば、蜜蝋などの天然ワックス、ポリエチレンワックスなどの合成ワックス、ステアリン酸などの長鎖炭化水素をもつ有機酸などが挙げられる。より具体的に例示すると、天然ワックスとしてサラシミツロウやガルナバ蝋等、合成ワックスとしてはポリエチレンワックス、パラフィンワックス等、有機酸としてはステアリン酸やパルミチン酸、ミリスチン酸等が挙げられる。特に好ましくは融点が40~80℃以下の天然ワックス、合成ワックスもしくは有機酸であり、例えばサラシミツロウ、パラフィン、ステアリン酸、マルガリン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
非水系分散媒は単体では良好な特性を得られないこともある為、複数組み合わせることが望ましい。例えば、サラシミツロウ単体では高速回転で研磨すると研磨面から歯科用研磨組成物が逃げやすく、研磨効率が低下する。また、パルミチン酸単体では研磨表面に過剰に歯科用研磨組成物が残留してしまう為、短時間研磨では研磨表面が曇りが多くなる。従って、非水系分散媒を複数組み合わせることにより、ワックスの硬さや粘度等を調整し、より優れた特性を得ることが出来る。
さらに、歯科用研磨組成物の融点が50~80℃となる様に調整することで、超音波洗浄やスチームクリーナーでの清掃において、優れた除去性を発揮する。50℃を下回ると室温にて固体を維持できず、80℃を超える場合は超音波洗浄やスチームクリーナーでの清掃において、除去性が低下する。
なお、ここで融点とは、示差走査熱量計(DSC)にて測定し、得られたDSC曲線を解析したとき、吸熱反応の終了温度を固形の歯科用研磨組成物が液体に完全に溶解した状態と判断し、これを融点と定義している。また、室温とは1~30℃の範囲であり、室温で固形状の歯科用研磨組成物とは、室温で一定荷重を加えた際に容易に変形しないものを指す。
非水系分散媒(C)は、歯科用研磨組成物100重量%に対して、15~40重量%配合することが好ましく、特に好ましくは20~33重量%である。15重量%以下であると研磨砥粒を十分に保持できず、研磨性が低下するというデメリットがあり、また40重量%以上であるとワックスの配合量が多く、研磨後の余剰ワックスが残留しやすいというデメリットがある。
本発明の歯科用研磨組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、増粘剤、香料、着色剤等を添加剤として適宜配合することが出来る。また、これらの成分は複数を組み合わせて配合することが出来る。
本発明の歯科用研磨組成物は、非水系分散媒に研磨砥粒を分散させる際の液の粘度の調整及び歯科用研磨組成物の硬さの調整を目的として、増粘剤を配合することが出来る。これらの増粘剤を具体的に例示すると、例えば増粘性シリカ微粒子、二酸化チタン、珪藻土、ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。これらの増粘剤は単独又は複数で使用することが出来る。
本発明の歯科用研磨組成物は、使用時の術者の作業環境を向上させることを目的として香料を配合することが出来る。それら香料を具合的に例示すると、例えばスペアミント油、ペパーミント油、ユーカリ油、オレンジ油等の天然香料及びこれらの天然香料を加工処理した香料及びシトラスフレーバー、グレープフレーバー等の調合香料などが挙げられる。これらの香料は単独又は複数で使用することが出来る。
本発明の歯科用研磨組成物は、歯科用研磨組成物の残留状況の視認性向上の為、必要に応じて着色剤を配合することが出来る。着色剤としては、天然鉱物顔料や合成無機顔料等の無機系顔料を使用することが望ましい。それらの着色剤を具体的に例示すると、酸化チタン、酸化鉄、アルミ酸コバルト、ウルトラマリン等が挙げられる。
本発明の歯科用研磨組成物の作製方法は任意であるが、一例を以下に示す。非水系分散媒(C)を加熱によって溶解させ、液状とした状態に界面活性剤(B)を必要量添加し、攪拌することで分散媒と馴染ませておく。その後、研磨砥粒(A)を投入し、さらに攪拌を行い、研磨砥粒(A)を均一に分散させる。十分に攪拌した後、型に充填し、冷却することで本技術固形状の歯科用研磨組成物が得られる。
以下に本発明の実施例及び比較例について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。例示する歯科用研磨組成物としては、ジルコニアを研磨対象とした組成とする。表1に示す割合にて各成分を混合することにより歯科用研磨組成物をそれぞれ作製し、実施例及び比較例に用いた。
本実施例に使用した界面活性剤(B)は以下のとおりである。
活性剤1 :ポリオキシエチレン硬化ひまし油 (ノニオン界面活性剤)
活性剤2 :ポリオキシアルキルエーテル含有界面活性剤 (ノニオン界面活性剤)
活性剤3 :アクリルコポリマー含有界面活性剤 (カチオン界面活性剤)
活性剤4 :不飽和ポリカルボン酸/アルキルエステル含有界面活性剤 (アニオン界面活性剤)
Figure 0007060299000001
<歯科用研磨組成物の作製>
表1に示す組成に従い、ステンレス容器に非水系分散媒(C)を投入し、100℃程度で加熱し、液状になるまで溶解させた。その後、界面活性剤(B)を投入し、攪拌することで非水系分散媒中に均一に馴染ませた。十分に攪拌した後、研磨砥粒(A)を投入し、十分に攪拌し、均一に分散させた後、型に流し込み、自然冷却後、室温にて固形状になったものを試料とした。
作製した歯科用研磨組成物の評価する方法は次の通りである。その評価結果を表2に示す。
<分散性の評価>
作製された歯科用研磨組成物の外観の色むらを目視にて確認し、以下に示した3段階の基準により評価を行う。
○:色むらが無く、均一に研磨砥粒や界面活性剤が分散されている。
△:やや色むらが確認される。(色むらが薄く、すぐには分からない程度。)
×:はっきりと色むらが確認される。
<試験片について>
作製した歯科用研磨組成物の評価する際に用いた試験片として、ジルコニア、コンポジットレジン、金属の3種類を用意した。ジルコニア試験片は、3mol%イットリアを含有している正方晶部分安定化ジルコニアの完全焼結体を平面研磨機で平滑な面に整え、サンドブラスト(酸化アルミニウム、平均粒度70μm、圧力0.5MPa)にて表面を荒らしたものを用いた。コンポジットレジン試験片は、まず、スライドガラス状に内径15mm、厚さ2mmのステンレス製リングをのせ、この中に、硬質レジン(セラマージュ、株式会社松風)を充填し、その上に、さらにスライドガラスをのせ、歯科技工用重合装置(ソリディライトV、株式会社松風)にて、3分間重合させて、円柱状の試験片を作製した。その後、#600のSiC耐水研磨紙を用いて面を整えたものを最終的な試験片とした。金属試験片は、通法にて15×15mmで厚みが1.5mmの歯科鋳造用金合金(タイプ4)試験片を作製し、#600耐水研磨紙を用いて面を整えたものを最終的な試験片とした。
<研磨性の評価>

研磨性の評価は、歯科用研磨組成物をロビンソンブラシ(松風:松風ピボットブラシ)に塗布して研磨する。使用するロビンソンブラシは前処理として回転数10,000min-1にて約1Nの荷重で1分、ジルコニアの板にあてることでブラシの寸法やブラシの開き具合のバラつきを調整した。
その後、ブラシに歯科用研磨組成物を適量塗布し、各試験片の表面を10,000min-1にて約1Nの荷重で10sec研磨し、その際の光沢度の評価を行った。試験片の研磨面の光沢度は、JIS Z8741の鏡面光沢度-測定方法により測定した。
研磨後の試験片の光沢度を測定し、以下の3段階の基準により評価を行った。同じ表面性状でも各試験片によって光沢度の数値は異なる為、外観上の見た目と光沢度の数値の基準は各試験片によって異なる。例えば、ジルコニアの場合は、光沢度が130以上であれば、目視確認で光っていると判断でき、△と評価した。また、150以上となるとさらに光沢感が増し、○と評価した。160以上となると非常に滑沢な表面性状が得られる為、◎と評価した。各被研磨体について、△以上の評価を合格と判断した。
被研磨体ごとの研磨性に関する評価基準を以下に示す。
<ジルコニア試験片>
◎:光沢度が160以上。
○:光沢度が150~160。
△:光沢度が130~150。
×:光沢度が130を下回る。
<硬質レジン試験片>
◎:光沢度が80以上。
○:光沢度が60~80。
△:光沢度が40~60。
×:光沢度が40を下回る。
<金属試験片>
◎:光沢度が400以上。
○:光沢度が300~400。
△:光沢度が200~300。
×:光沢度が200を下回る。
<歯科用研磨組成物の残留度の評価>
短時間研磨において、歯科用研磨組成物が被研磨体にどの程度残留するのか確認する為、残留度の評価を行った。
試験では、歯科用研磨組成物を塗布したロビンソンブラシ(松風:松風ピボットブラシ)を用いて、表2に示す試験片を被研磨体として10,000min-1にて約1Nの荷重で5sec研磨した後の試験片の表面の外観を観察し、歯科用研磨組成物の残留度を試験片の曇り度合から確認した。基準は、以下の3段階で評価を行った。△以上の評価を合格と判断した。
○:余剰の歯科用研磨組成物がほとんど残留していない。
△:余剰の歯科用研磨組成物がやや残留している。
×:余剰の歯科用研磨組成物が残留している。
<除去性の評価>
研磨後の試験片に残留した歯科用研磨組成物の除去性の評価として、表2に示す試験片に歯科用研磨組成物を全面に付着させた状態で、水で濡らしたティッシュで拭き取った際の拭き取りやすさを除去性の評価項目として設定した。除去率は以下の基準で、3段階で判定した。△以上の評価を合格と判断した。
○:容易に拭き取ることが可能
△:やや拭き取りにくい。
×:拭き取りにくい。
<歯科用研磨組成物の融点>
融点は、示差走査熱量計(DSC)にて測定し、得られたDSC曲線を解析したとき、吸熱反応の終了温度を固形の歯科用研磨組成物が液体に完全に溶解した状態と判断し、これを融点と定義した。
Figure 0007060299000002
実施例1~12の歯科用研磨組成物は研磨砥粒の配合量、界面活性剤の配合量も最適であり、いずれの評価結果も良好であった。実施例13については、研磨砥粒の粒子径が大きい影響で、実施例1~12と比較すると光沢度がやや低い結果となった。実施例14については配合している研磨砥粒の配合量が少なく、また実施例15については配合量が多いため、実施例1~12と比較すると光沢度がやや低い結果となった。実施例16~19については、界面活性剤(B)の配合量が少なく、均一に研磨砥粒(A)を分散させるのが難しい結果、実施例1~12と比較すると光沢度がやや低く、除去性も低い結果となった。実施例20、21は、界面活性剤(B)の配合量が多いため、歯科用研磨組成物自体が軟らかい性状であり、各研磨項目で実施例1~12と比較すると劣る結果となった。実施例22は融点が実施例1~12と比較すると低いため、歯科用研磨組成物が被研磨体に残留しやすく、研磨性、付着性の評価が低い傾向があった。実施例23は高融点であり、実施例1~12と比較すると歯科用研磨組成物が被研磨体に残留しやすい傾向があった。カチオン系界面活性剤と使用した実施例24、アニオン系界面活性剤を使用した実施例25と比較すると、ノニオン系界面活性剤を使用した実施例の方が、研磨性または除去性の面で優れた効果を示した。
界面活性剤と配合していない比較例1~6は、分散性、研磨性、除去性、付着性の全ての項目で実施例と比較して劣る結果となった。

本発明はセラミックス、金属及びコンポジットレジン等の歯科用補綴装置を研磨する為の歯科用研磨組成物に利用することができる。


Claims (5)

  1. 研磨砥粒(A)、界面活性剤(B)、非水系分散媒(C)を含み、室温で固形状である歯科用研磨組成物であって、
    前記界面活性剤(B)が、ノニオン界面活性剤であり、
    前記歯科用研磨組成物において、前記界面活性剤(B)の配合量が5.0~15.0重量%であることを特徴とする歯科用研磨組成物。
  2. 前記歯科用研磨組成物の融点が50~80℃であることを特徴とする、請求項1に記載の歯科用研磨組成物。
  3. 前記研磨砥粒(A)が、ダイヤモンド、酸化アルミニウム、炭化珪素、酸化セリウム及び窒化ホウ素の中から1つ以上選ばれることを特徴とする、請求項1~に記載の歯科用研磨組成物。
  4. 前記研磨砥粒(A)の平均粒子径が、30μm以下であることを特徴とする請求項1~に記載の歯科用研磨組成物。
  5. 前記歯科用研磨組成物において、前記研磨砥粒(A)の配合量が、55.0~70.0重量%配合することを特徴とする請求項1~に記載の歯科用研磨組成物。
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