JP7057484B2 - 草履・下駄・サンダルの鼻緒 - Google Patents
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Description
〈実施形態1〉
鼻緒1は、通常、足の甲にかかる横緒9と、前記横緒の前記中央の折れ曲り部より下方側へ突き出すように固定された足の親指と人差し指の間にかかる前ツボ3Aが具備される。
横緒は、鼻緒表面材と鼻緒裏面材とを合わせて縫製または接着剤などにより固定して合わせてあるもので、鼻緒表面材と鼻緒裏面材との間には、芯材となる強靭な紐芯を包むようにスポンジ、綿、不織布、皮革等の足の甲に柔らかく当たるためのクッション材や保形材を入れることで全体が筒状となる膨らみを持たせてあり、鼻緒表面材には和装に見合った絵柄・模様等を施してある。そして、鼻緒中央の折れ曲り部を介して、例えば鼻緒表面材を外側にし、鼻緒裏面材を内側にして折り込むと共に、折り込まれた横緒の後部両端側には、後部から外出する紐芯と共に縛結用の紐の一端を結び付けてある。
また、鼻緒表面材と鼻緒裏面材との縫製状態と鼻緒内部の構成によっては、縫製部が、足の親指と人差し指の間に当たる場合があり、痛みの原因になる場合がある。
本発明の鼻緒1は、図1、図2、図3に示すように、鼻緒外装部2の間にクッション材4と紐芯3を配置することにより構成される。鼻緒外装部2は、鼻緒表面材2Aと鼻緒裏面材2Bからなり、その境目は縫製、あるいは、接着剤などで固定されているのが一般的である。もちろん、鼻緒外装部2は、縫製がない中空の一体構造であっても、かまわない。
クッション材の形状は、断面が四角形、多角形、円、楕円が使用されるが、製造方法を考慮すると、四角形が好適である。また、円筒状のクッション材を使用し、中心部に紐芯を配置することにより、クッション材と紐芯のハンドリングを容易にする方法も考えられるが、クッション材の肉厚が薄くなるので、曲げ強度が強い材料が必要になる。
また、使用するクッション材や保形材として柔軟性と弾力性のある発泡樹脂を使用することにより、鼻緒の中央折り返し部の鼻緒裏面材に発生する凸部の発生を抑制する事が出来、また、鼻緒本体の折り曲げ部分の足・指に触る感じを柔らかくすることが出来る。
次に、紐芯を鼻緒表面材の第2貫通孔より下方に通し、クッション材の第2貫通孔を通じて、さらに鼻緒裏面材の第2貫通孔を通して、下方に引き出す。この状態を図11-2に示す。
次に、紐芯を鼻緒裏面材の第1貫通孔を上方に通し、クッション材の第1貫通孔を通じて、鼻緒表面材の第1貫通孔を上方に引き出す。この状態を図11-3に示す。さらに、紐芯を強固に引くことにより、紐芯が横緒に強固に固定手することが出来る。この時の状態を、図11-4に示す。
鼻緒の前側を固定するための紐芯3を下駄の貫通孔8Aを通す。一方、鼻緒の後ろ側を固定するための2本の紐芯を下駄の2ケ所の貫通孔8Bを通す。この時の状態を図14に示す。
次に、下駄の裏面8の前方の貫通孔8Aから引き出した2本の紐芯3Aを貫通孔8Aの直径より大きくなるように結ぶ。結び方は、特に指定はないが、結び目が玉状になるようにすることが好適である。この状態を図15及び図16に示す。
鼻緒に使用する表面あるいは裏面の素材は、牛・シカなどの天然皮革、人工皮革(基材にポリエステルやナイロンなどの不織布を用いたものであり、その上部にポリウレタン樹脂をコ-ティングしたもの)、合成皮革(基材に不織布以外を用いたものであり、編物や織物をベースにし、その上部にポリウレタン樹脂を厚く塗ったり、貼り合わせたりしたもの)、ベルベット・ベッチン・ベロアなどの立毛品、あるいは、網目の細かいメリヤス生地等の各種布地が使用される。また、コストの観点から、合成樹脂が使用され、特に、ポリ塩化ビニルが使用されている。実施形態1では、鼻緒表面材と鼻緒裏面材は、(株)ニッピフジタの牛革(天然皮革)を使用した。
発泡状(フォ-ム)の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンビニルアセテ-ト(EVA)、軟質ポリウレタン、硬質ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェノール、ポリイミド、シリコンゴム、ポリイミド、エチレンプロピレンジエンゴム、ユリア樹脂、アクリル樹脂等が使用される。
一方、クッション材の密度は、小さい方が軽くなるが、小さ過ぎるとクッション材の強度が低下する問題がある。クッション材の強度は材料によって異なるが、鼻緒のクッション材としては、100kg/m3~250kg/m3の材料が使用され、150kg/m3~220kg/m3が好適である。
実施形態1のクッション材として、平和(株)のEVA発泡体を使用した。硬度は、デュロメ-タ-(高分子計器(株)・アスカーゴム硬度計C型)の値が、60であった。
適切な素材として、ゴム紐を使用することが出来る。ゴム紐は、天然ゴム糸やポリウレタン弾性糸などのキックバック力のある弾性糸を、綿糸、ポリエステル糸、ナイロン糸などの衣料用繊維の糸で織ったり、編んだり、組んだり、横巻きしたりして被覆した細幅の紐である。断面の形状は、平断面と丸断面があるが、丸断面が適している。
製造方法はいくつかあるが、天然ゴム糸やポリウレタン糸などの弾性糸を芯にして、その周りをカバーリング機でカバード糸を横巻きしたものが好適である。実施形態1では(株)中村編織工業の丸ゴム紐を紐芯として使用した。この素材は、弾性、柔軟性があり、また肌に優しいことから、前ツボとして最適な素材である。また、強度があり、柔軟性があることから、紐芯としても好適な素材であり、また、鼻緒と紐芯の固定や草履や下駄やサンダルの台への固定も強固にすることが出来る。
例えば、植物由来の材料の使用は石油資源の使用量削減に、生分解性材料の使用は二酸化炭素削減や海洋マイクロプラスチックの削減に繋がる。さらに、再生しやすい材料と再生した材料は主に石油資源の使用量削減や廃棄物削減がターゲットになる。
例えば、人工皮革や合成は素材にポリエステルやナイロンなどの不織布が使用されているが、植物由来のポリエステルは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ-ε-カプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)を、また、植物由来のポリウレタンを使用するのが望ましい。
また、生分解性の不織布としては、ポリグリコール酸樹脂(PGA)やキュプラ(コットンから製造される再生セルロース繊維)長繊維不織布が好適であるが、コストの問題がある。
一方、ポリ塩化ビニル(PVC)は、その耐久性からその耐久性能を生かし、さらに、リサイクルを行うことで経済・社会の持続性に貢献する取り組みは世界各地で行われているが、耐久性に優れる生分解性樹脂にするか、あるいは、植物由来のバイオベ-スポリ塩化ビニルを使用するのが望ましい。
例えば、基本となる生分解性樹脂に炭酸ガス押し出し発泡法を用いると生分解性発泡樹脂を得ることができる。生分解性樹脂は、微生物産生系、天然系、化学合成系などがあるが、クッション材として好適なのは、微生物産生系ではポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシヘキサノエート)〔PHBH〕、天然系ではエステル化澱粉や澱粉/化学合成系グリーンプラ、化学合成系では(ポリ乳酸/ポリブチレンサクシネート系)ブロックコポリマー〔PLA-co-PBS〕、ポリカプロラクトン〔PCL〕、ポリブチレンサクシネート〔PBS〕、ポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)〔PBSA〕、ポリエチレンサクシネート〔PES〕、ポリウレタンなどである。
〈実施形態2〉
上から鼻緒表面材2A、紐芯3、クッション材4、鼻緒裏面材2Bが配置されている。サンダル形状の場合、横緒9が足の甲に接する部分の面積が大きくなるため、鼻緒裏面材2Bを介してクッション材4でこの面積を受ける構造とした。図19にサンダル形状の鼻緒の裏面から見た図を示す。紐芯3は、クッション材4に形成した貫通孔(図示せず)を通し、鼻緒裏面材の折れ曲り部3Cに形成された貫通孔部分2Cから直接引き出し、前ツボ3Aとする。
一方、2箇所ある横緒9の終端部から紐芯をそれぞれ引き出した後に、終端部の鼻緒表面材と鼻緒裏面材を縫製する。履物の台7に形成された貫通孔8Bは、横緒終端部の断面形状を通すことができ、かつ断面形状より0.1~0.5mm程度小さく形成する。そして、2箇所の横緒終端部を履物の台の貫通孔を通した後、履物の台の裏面で紐芯を結ぶことより、強固に固定することが出来る。図21と図22に実施形態2の鼻緒を履物の台に固定した状態を示す。
従来、鼻緒と履物本体の着脱・調整には、日本伝統の習熟した技能が必要であったが、上記構成の本発明によれば、習熟した技能を持たない者でも、簡単に調整出来る。
2 鼻緒外装部
2A 鼻緒表面材
2B 鼻緒裏面材
2C 緒裏面の前ツボ部分を引き出す貫通孔部分
3 紐芯
3A 前ツボ(足の親指と人差し指で挟む部分)
3B 履物の後ろの孔に入り結ぶ紐部分
3C 中央の折れ曲り部
4 クッション材
4A クッション材の紐芯を通すための鼻緒本体終端部側の第1貫通孔
4B クッション材の紐芯を通すための鼻緒本体終端部側の第2貫通孔
5 鼻緒表面材と鼻緒裏面材縫い目
6A 鼻緒表面の紐芯を通すための鼻緒本体終端部側の第1貫通孔
6B 鼻緒表面の紐芯を通すための鼻緒本体終端部側の第2貫通孔
6C 鼻緒裏面の紐芯を通すための鼻緒本体終端部側の第1貫通孔
6D 鼻緒表面の紐芯を通すための鼻緒本体終端部側の第2貫通孔
7 履物の台(表面)
8 履物の台(裏面)
8A 前ツボ用の貫通孔
8B 履物の後ろの貫通孔
9 横緒
Claims (6)
- 中央の折れ曲り部を介して形成された足の甲にかかる横緒と、前記横緒の前記中央の折れ曲り部より下方側へ突き出すように固定された足の親指と人差し指の間部分にかかる前ツボとを有している草履・下駄・サンダルの台座上に取り付けられる草履・下駄・サンダルの鼻緒において、
前記鼻緒が、鼻緒表面材と鼻緒裏面材の間に、クッション材と全長及び鼻緒の両端部から突出する領域に亘る紐芯とを有しており、
前記前ツボは、前記中央の折れ曲り部の前記鼻緒裏面材に形成した貫通孔から引き出された前記紐芯であって、引き出された部分の先端が切断された状態の2本の紐芯を撚らずに形成されており、
前記紐芯が、ゴム糸が組糸や巻糸に包まれた状態で編んで断面が円または楕円となる丸ゴム紐であることを特徴とする草履・下駄・サンダルの鼻緒。 - 前記中央の折れ曲り部より足の甲の両側にかかるように形成される2本の前記横緒の終端部から、前記紐芯を引き出し、前記前ツボとともに台座に固定することを特徴とする請求項1に記載の草履・下駄・サンダルの鼻緒。
- 前記中央の折れ曲り部より足の甲の両側にかかるように形成される2本の前記横緒の終端部に第1貫通孔と第2貫通孔を形成し、
かつ、前記横緒の終端部から第1貫通孔と第2貫通孔が配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の草履・下駄・サンダルの鼻緒。 - 前記第1貫通孔と前記第2貫通孔は、前記鼻緒表面材と前記クッション材と前記鼻緒裏面材を同軸状に貫通することを特徴とする請求項3に記載の草履・下駄・サンダルの鼻緒。
- 前記紐芯を前記クッション材の前記第1貫通孔を通して、前記鼻緒表面材の前記第1貫通孔から上部に引き出し、
前記紐芯を前記鼻緒表面材の前記第2貫通孔と前記クッション材の前記第2貫通孔を通じて前記鼻緒裏面材の前記第2貫通孔から下部に引き出し、
前記紐芯を前記鼻緒裏面材の前記第1貫通孔と前記クッション材の第1貫通孔を通じて前記鼻緒表面材の前記第1貫通孔から上部に引き出すことにより、
前記紐芯と前記鼻緒を固定させることを特徴とする請求項4に記載の草履・下駄・サンダルの鼻緒。 - 前記鼻緒表面材と前記鼻緒裏面材と前記クッション材と前記紐芯に使用される合成樹脂が、植物性由来の合成樹脂あるいは生分解性樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の草履・下駄・サンダルの鼻緒。
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ワラーチを作る、走る,2018年04月20日,http://blog.livedoor.jp/h_cal/archives/52437283.html |
ワラーチ改3,2017年07月28日,https://ameblo.jp/seekr3/entry-12296325462.html |
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