JP7057172B2 - 燃焼空気流量の制御方法及び連続多帯式加熱炉 - Google Patents
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Description
以下、本発明に係る燃焼空気流量の制御方法及び連続多帯式加熱炉の第一実施形態について図を参照しつつ詳説する。
図1の連続多帯式加熱炉1は、直列して設けられる複数の加熱ゾーンを有する炉体2と、これらの加熱ゾーンにそれぞれ配設される複数のバーナーとを備えている。具体的には、連続多帯式加熱炉1が、第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23をこの順に有する炉体2を備えており、第1加熱帯21にはバーナー31が配設され、第2加熱帯22にはバーナー32が配設され、均熱帯23にはバーナー33が配設されている。なお、図1では、炉体2の外から内に向かう白抜き矢印で侵入空気の流れが示され、炉体2内の均熱帯23から第1加熱帯21に向かう白抜き矢印で炉体2内を移流するガスの流れが示されている。
当該燃焼空気流量の制御方法は、上述の連続多帯式加熱炉1におけるバーナーへ供給される燃焼空気流量の制御方法であり、以下の工程を備える。
(1)複数の加熱ゾーン毎のバーナーへの燃料流量、バーナーへの燃焼空気流量、炉内酸素濃度及び炉温を測定する測定工程
(2)複数の加熱ゾーン毎の燃料流量、燃焼空気流量、炉内酸素濃度及び炉温、並びに炉体内の排ガス移流及び滞留を考慮した非定常質量保存式に基づいて複数の加熱ゾーン毎の侵入空気流量を算出する第1算出工程
(3)複数の加熱ゾーン毎の侵入空気流量に基づいて複数の加熱ゾーン内を所望の空気比に保持可能なバーナーへの燃焼空気流量を算出する第2算出工程
(4)複数のバーナーへ供給する燃焼空気流量を第2算出工程で算出された燃焼空気流量に調整する調整工程
測定工程は、第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23のそれぞれについて、バーナーへの燃料流量、バーナーへの燃焼空気流量、炉内酸素濃度及び炉温を測定する工程である。バーナーへの燃料流量の測定には燃料流量計Qf1、燃料流量計Qf2及び燃料流量計Qf3が用いられ、バーナーへの燃焼空気流量の測定には空気流量計Qa1、空気流量計Qa2及び空気流量計Qa3が用いられ、炉内酸素濃度の測定には酸素濃度計O1、酸素濃度計O2及び酸素濃度計O3が用いられ、炉温の測定には温度計T1、温度計T2及び温度計T3が用いられる。
第1算出工程は、第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23のそれぞれについて測定された燃料流量、燃焼空気流量、炉内酸素濃度及び炉温と、炉体2内の排ガス移流及び滞留を考慮した非定常質量保存式とに基づいて第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23の侵入空気流量を算出する工程である。
第1算出工程で用いられる非定常質量保存式は下記式(1)で与えられる。ここで、ρはガスの密度(kg/m3)、Cはガスの濃度(vol%)、Qは体積流量(m3/sec)、mは質量流量(kg/sec)、Mは未燃COの生成に由来する流量(kg/sec)、Vは帯の容積(m3)を示す。また、添え字のiは第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23を示し、xはガスの組成であるO2、N2、CO、CO2、H2Oを示し、bはバーナーの排ガスに由来することを示し、lは侵入空気に由来することを示す。
第2算出工程は、第1算出工程で算出された各帯の侵入空気流量に基づいて各帯のそれぞれを所望の空気比に保持可能なバーナーへの燃焼空気流量を算出する工程である。具体的には、第2算出工程では、バーナーへの燃料流量に比例した理想空気量と、各帯の侵入空気流量と、各帯の流入ガス流量と、各帯の流出ガス流量とに基づいて、第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23のそれぞれを目標空気比に保持可能な空気量を求め、求めた空気量となるバーナーへの燃焼空気流量を算出する。なお、目標空気比は、排ガス損失を低減する観点から、1.0以上1.2以下とすると好ましい。
調整工程は、第1加熱帯21のバーナー31、第2加熱帯22のバーナー32、均熱帯23のバーナー33のそれぞれへ供給する燃焼空気流量を第2算出工程で算出された燃焼空気流量に調整する工程である。これにより、第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23の空気比は、目標空気比に近い値で保持される。
当該燃焼空気流量の制御方法及び当該連続多帯式加熱炉1は、第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23の燃料流量、燃焼空気流量、炉内酸素濃度及び炉温、並びに炉体2内の排ガス移流及び滞留を考慮した非定常質量保存式に基づいて第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23の侵入空気流量を算出するので、第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23の侵入空気流量を定量的に把握することができる。そして、当該燃焼空気流量の制御方法及び当該連続多帯式加熱炉1は、第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23を所望の空気比とするように、算出された侵入空気流量に基づいてバーナー31、バーナー32及びバーナー33へ供給する燃焼空気流量を調整するので、第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23の空気比を適切な値に保持し、排ガス損失を十分に低減できる。
以下、本発明に係る燃焼空気流量の制御方法及び連続多帯式加熱炉の第二実施形態について図を参照しつつ詳説する。
図2の連続多帯式加熱炉10は、直列して設けられる複数の加熱ゾーンを有する炉体2と、これらの加熱ゾーンにそれぞれ配設される複数のバーナーとを備えている。具体的には、連続多帯式加熱炉1が、第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23をこの順に有する炉体2を備えており、第1加熱帯21にはバーナー31が配設され、第2加熱帯22にはバーナー32が配設され、均熱帯23にはバーナー33が配設されている。
当該燃焼空気流量の制御方法は、上述の連続多帯式加熱炉10におけるバーナーへ供給される燃焼空気流量の制御方法であり、以下の工程を備える。
(1)複数の加熱ゾーン毎のバーナーへの燃料流量、バーナーへの燃焼空気流量、炉内酸素濃度、炉内一酸化炭素濃度及び炉温を測定する測定工程
(2)複数の加熱ゾーン毎の燃料流量、燃焼空気流量、炉内酸素濃度、炉内一酸化炭素濃度及び炉温、並びに炉体内の排ガス移流及び滞留を考慮した非定常質量保存式に基づいて複数の加熱ゾーン毎の侵入空気流量を算出する第1算出工程
(3)複数の加熱ゾーン毎の侵入空気流量に基づいて複数の加熱ゾーン内を所望の空気比に保持可能なバーナーへの燃焼空気流量を算出する第2算出工程
(4)複数のバーナーへ供給する燃焼空気流量を第2算出工程で算出された燃焼空気流量に調整する調整工程
測定工程は、第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23のそれぞれについて、バーナーへの燃料流量、バーナーへの燃焼空気流量、炉内酸素濃度、炉内一酸化炭素濃度及び炉温を測定する工程である。炉内一酸化炭素濃度の測定には、第1加熱帯21の一酸化炭素濃度計CO1、第2加熱帯22の一酸化炭素濃度計CO2及び均熱帯23の一酸化炭素濃度計CO3が用いられる。他の量については、第一実施形態の燃焼空気流量の制御方法で述べた測定工程と同様であるので、説明を省略する。
第1算出工程は、第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23のそれぞれについて測定された燃料流量、燃焼空気流量、炉内酸素濃度、炉内一酸化炭素濃度及び炉温と、炉体2内の排ガス移流及び滞留を考慮した非定常質量保存式とに基づいて第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23の侵入空気流量を算出する工程である。
第1算出工程で用いられる非定常質量保存式は下記式(2)で与えられる。ここで、各変数の意味は、第一実施形態の燃焼空気流量の制御方法で述べた非定常質量保存式(1)と同様であるので、説明を省略する。
第2算出工程及び調整工程は、それぞれ第一実施形態の第2算出工程及び調整工程と同様であるので、説明を省略する。
当該燃焼空気流量の制御方法及び当該連続多帯式加熱炉10は、第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23の炉内一酸化炭素濃度をさらに考慮した非定常質量保存式に基づいて第1加熱帯21、第2加熱帯22及び均熱帯23の侵入空気流量を算出する。このため、推定による炉内一酸化炭素濃度を用いる非定常質量保存式に基づいて侵入空気流量を算出する場合に比べ、炉内一酸化炭素濃度がより正確であり、算出される侵入空気流量の精度が向上する。従って、当該燃焼空気流量の制御方法及び当該連続多帯式加熱炉10は、一酸化炭素の燃焼に必要な空気量を精度よく考慮した燃焼空気流量に調整できるので、さらに排ガス損失を低減できる。
本発明の燃焼空気流量の制御方法及び連続多帯式加熱炉は上記実施形態に限定されるものではない。
連続多帯式加熱炉を用いて上述の第一実施形態の燃焼空気流量の制御方法に基づく実施例の制御と特許文献1の制御方法に基づく比較例の制御と実施し、これらを検証した。検証においては、各帯におけるバーナー空気比及び炉内酸素濃度と排ガス流量とを測定し、さらにスケールロスを算出した。排ガス流量は、第1加熱帯21の下流に設けたガス流量計により測定し、スケールロスは、炉内酸素濃度に基づいて算出した。測定された各帯の炉内酸素濃度と、測定された排ガス流量と、算出されたスケールロスとを表1に示す。
連続多帯式加熱炉を用いて上述の第二実施形態の燃焼空気流量の制御方法に基づく実施例の制御と特許文献1の制御方法に基づく比較例の制御と実施し、炉内一酸化炭素濃度を測定し考慮する効果の検証を行った。検証においては、第1加熱帯21において、制御された燃焼空気流量によるバーナー空気比、炉内酸素濃度及び炉内一酸化炭素濃度の時間変化を測定し、比較した。比較例の制御の場合を図3に示し、実施例の制御の場合を図4に示す。なお、図4においては、比較を容易化するため、比較例のバーナー空気比についても示している。
2 炉体
21 第1加熱帯
22 第2加熱帯
23 均熱帯
31,32,33 バーナー
Qf1,Qf2,Qf3 燃料流量計
Qa1,Qa2,Qa3 空気流量計
O1,O2,O3 酸素濃度計
CO1,CO2,CO3 一酸化炭素濃度計
T1,T2,T3 温度計
Claims (5)
- 直列して設けられる複数の加熱ゾーンを有する炉体と、これらの加熱ゾーンにそれぞれ配設される複数のバーナーとを備える連続多帯式加熱炉におけるバーナーへ供給される燃焼空気流量の制御方法であって、
上記複数の加熱ゾーン毎のバーナーへの燃料流量、バーナーへの燃焼空気流量、炉内酸素濃度及び炉温を測定する工程と、
上記複数の加熱ゾーン毎の上記燃料流量、上記燃焼空気流量、上記炉内酸素濃度及び上記炉温、並びに上記炉体内の排ガス移流及び滞留を考慮した非定常質量保存式に基づいて定量的に把握できるように上記複数の加熱ゾーン毎の侵入空気流量を算出する工程と、
上記複数の加熱ゾーン毎の上記侵入空気流量に基づいて上記複数の加熱ゾーン内を所望の空気比に保持可能なバーナーへの燃焼空気流量を算出する工程と、
上記複数のバーナーへ供給する燃焼空気流量を上記算出工程で算出された上記燃焼空気流量に調整する工程と
を備える燃焼空気流量の制御方法。 - 上記侵入空気流量を定量的に算出する工程で、ガスの組成であるO 2 、N 2 、CO、CO 2 、H 2 Oごとに侵入空気に起因する流量を算出する請求項1に記載の燃焼空気流量の制御方法。
- 上記測定工程で、炉内一酸化炭素濃度をさらに測定し、
上記侵入空気流量の算出工程で、上記測定工程で測定した炉内一酸化炭素濃度をさらに考慮する請求項1又は請求項2に記載の燃焼空気流量の制御方法。 - 直列して設けられる複数の加熱ゾーンを有する炉体と、これらの加熱ゾーンにそれぞれ配設される複数のバーナーとを備える連続多帯式加熱炉であって、
上記複数の加熱ゾーン毎のバーナーへの燃料流量を測定する複数の燃料流量計と、
上記複数の加熱ゾーン毎のバーナーへの燃焼空気流量を測定する複数の空気流量計と、
上記複数の加熱ゾーン毎の炉内酸素濃度を測定する複数の酸素濃度計と、
上記複数の加熱ゾーン毎の炉温を測定する複数の温度計と、
上記複数の加熱ゾーン毎の上記燃料流量、上記燃焼空気流量、上記炉内酸素濃度及び上記炉温、並びに上記炉体内の排ガス移流及び滞留を考慮した非定常質量保存式に基づいて定量的に把握できるように上記複数の加熱ゾーン毎の侵入空気流量を算出する第1演算部と、
上記複数の加熱ゾーン毎の上記侵入空気流量に基づいて上記複数の加熱ゾーン内を所望の空気比に保持可能なバーナーへの燃焼空気流量を算出する第2演算部と、
上記複数のバーナーへ供給する燃焼空気流量を上記第2演算部で算出された上記燃焼空気流量に調整する燃焼空気流量調整部と
をさらに備える連続多帯式加熱炉。 - 上記複数の加熱ゾーン毎の炉内一酸化炭素濃度を測定する複数の一酸化炭素濃度計をさらに備え、
上記第1演算部が、上記侵入空気流量の算出で上記炉内一酸化炭素濃度をさらに考慮する請求項4に記載の連続多帯式加熱炉。
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