JP6809348B2 - 熱風炉制御計算装置、熱風炉制御計算方法、及びプログラム - Google Patents

熱風炉制御計算装置、熱風炉制御計算方法、及びプログラム Download PDF

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本発明は、熱風炉制御計算装置、熱風炉制御計算方法、及びプログラムに関し、特に、熱風炉を制御するために用いて好適なものである。
高炉に熱風を供給するために、高炉には熱風炉が付帯される。熱風炉は、燃焼期間と、送風期間とを1つずつ含む期間を1サイクルとして、燃焼期間と送風期間とを交互に繰り返して高炉に熱風を供給するものである。ここで、燃焼期間は、高炉から要求される送風条件に基づいて、燃焼ガスにより蓄熱煉瓦を加熱して蓄熱する期間である。送風期間は、蓄熱煉瓦に冷風を通して蓄熱煉瓦との熱交換により熱風を生成して高炉に供給する期間である。
熱風炉に対する投入熱量が大きすぎることは省エネルギー等の観点から望ましくない。逆に、熱風炉に対する投入熱量が小さすぎることは高炉の操業に影響を与えることから望ましくない。したがって、高炉に対する投入熱量を適切に定めて、熱風炉の燃焼制御を行うことが望まれる。熱風炉に対する投入熱量を定める技術として特許文献1〜3に記載の技術がある。
特許文献1には、熱余裕指標(送風期間終了時の冷風バタフライ弁の開度)の目標値と実績値にそれぞれ対応する補正量を求め、求めた補正量の差分を目標値補正量(ドーム温度の変更量)として算出する技術が開示されている。
また、特許文献2には、熱風炉の次のサイクルの送風期間における理論放熱量を、熱風炉の次のサイクルにおける奪熱効率で除して、熱風炉の次のサイクルにおける必要投入熱量を算出する技術が開示されている。この特許文献2では、熱風炉が減風減温の状態になり、オペレータが減風減温補正開始ボタンを操作したときの、複数の熱風炉全体としての熱効率が維持されるように投入熱量補正係数を算出し、算出した投入熱量補正係数を必要投入熱量に掛ける。
また、特許文献3には、送風期間終了時の熱余裕指標の目標値と実績値との差にゲインを掛けた値を、珪石煉瓦の最低温度の下限値として算出し、算出した珪石煉瓦の最低温度の下限値を用いて投入熱量を求める技術が開示されている。
特開2012−107291号公報 特開2011−219804号公報 特開2015−117389号公報 特開2009−84620号公報 特開2009−84636号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、各サイクルにおいて目標値補正量(ドーム温度の変更量)を算出して投入熱量の制御に反映させる。また、特許文献2に記載の技術では、熱風炉が減風減温の状態以外の状態における投入熱量の調整については考慮されていない。また、特許文献3に記載の技術では、熱余裕指標の目標値と実績値との差に掛けるゲインが、目標値と実績値との大小関係に応じて固定された値になる。
したがって、特許文献1〜3に記載の技術には、熱風炉に対する投入熱量の過不足が生じる虞がある。
そこで、本発明は、熱風炉に対する投入熱量の過不足が生じることを抑制することを目的とする。
本発明の熱風炉制御計算装置は、燃焼ガスにより珪石煉瓦を含む蓄熱煉瓦を加熱して蓄熱する燃焼期間と、当該蓄熱煉瓦に冷風を通して当該蓄熱煉瓦との熱交換により熱風を生成して高炉に供給する送風期間とを含む期間を1サイクルとして稼働する熱風炉を制御するための計算を行う熱風炉制御計算装置であって、前記珪石煉瓦における残熱量の指標である熱余裕指標の、前記燃焼期間内に前記熱風炉に対して投入する熱量である投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける目標値と実績値との偏差を導出する熱余裕指標偏差導出手段と、前記熱余裕指標偏差導出手段により導出された前記偏差の和であって、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルを含む過去n(nは2以上の整数)サイクルにおける前記偏差の和を導出する熱余裕指標偏差和導出手段と、前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和に対応するゲインを導出するゲイン設定手段と、前記ゲイン設定手段により導出された前記ゲインと、前記熱余裕指標の、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける目標値と実績値との偏差とを掛けた値だけ、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルの前記送風期間の終了時における前記珪石煉瓦の所定の位置の温度を変更した値を、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの前記送風期間の終了時における前記珪石煉瓦の前記所定の位置の温度の目標値である珪石煉瓦目標温度として導出する珪石煉瓦目標温度導出手段と、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおける前記送風期間の終了時の前記蓄熱煉瓦の前記所定の位置の温度が、前記珪石煉瓦目標温度導出手段により導出された前記珪石煉瓦目標温度を下回らないように、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおける前記燃焼期間内に投入する投入熱量を導出する投入熱量導出手段と、を有し、前記ゲイン設定手段は、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和の絶対値から、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和の絶対値を減算してそれらの変化量を導出し、当該導出した変化量に応じて予め決められている前記ゲインの変更量を現在の前記ゲインに加算して前記ゲインを更新することを特徴とする。
本発明の熱風炉制御計算方法は、燃焼ガスにより珪石煉瓦を含む蓄熱煉瓦を加熱して蓄熱する燃焼期間と、当該蓄熱煉瓦に冷風を通して当該蓄熱煉瓦との熱交換により熱風を生成して高炉に供給する送風期間とを含む期間を1サイクルとして稼働する熱風炉を制御するための計算を行う熱風炉制御計算方法であって、前記珪石煉瓦における残熱量の指標である熱余裕指標の、前記燃焼期間内に前記熱風炉に対して投入する熱量である投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける目標値と実績値との偏差を導出する熱余裕指標偏差導出工程と、前記熱余裕指標偏差導出工程により導出された前記偏差の和であって、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルを含む過去n(nは2以上の整数)サイクルにおける前記偏差の和を導出する熱余裕指標偏差和導出工程と、前記熱余裕指標偏差和導出工程により導出された前記偏差の和に対応するゲインを導出するゲイン設定工程と、前記ゲイン設定工程により導出された前記ゲインと、前記熱余裕指標の、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける目標値と実績値との偏差とを掛けた値だけ、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルの前記送風期間の終了時における前記珪石煉瓦の所定の位置の温度を変更した値を、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの前記送風期間の終了時における前記珪石煉瓦の前記所定の位置の温度の目標値である珪石煉瓦目標温度として導出する珪石煉瓦目標温度導出工程と、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおける前記送風期間の終了時の前記蓄熱煉瓦の前記所定の位置の温度が、前記珪石煉瓦目標温度導出工程により導出された前記珪石煉瓦目標温度を下回らないように、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおける前記燃焼期間内に投入する投入熱量を導出する投入熱量導出工程と、を有し、前記ゲイン設定工程は、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出工程により導出された前記偏差の和の絶対値から、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出工程により導出された前記偏差の和の絶対値を減算してそれらの変化量を導出し、当該導出した変化量に応じて予め決められている前記ゲインの変更量を現在の前記ゲインに加算して前記ゲインを更新することを特徴とする。
本発明によれば、経年による熱風炉の特性の変化や、操業条件の変化等があった場合でも、熱風炉に対する投入熱量の過不足が生じることを抑制することができる。
熱風炉の概略構成の一例を示す図である。 熱風炉における燃焼期間と送風期間の動作の概要の一例を示す図である。 スタッガードパラレル方式における操業スケジュールの概略の一例を説明する図である。 熱風炉制御計算装置の機能的な構成の一例を示す図である。 熱風炉制御計算装置の動作の一例を説明するフローチャートである。 ゲインを熱余裕指標の偏差和の絶対値に応じて変更した場合の操業の結果の一例を示す図である。 ゲインを一定値とした場合の操業の結果の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態を説明する。
[熱風炉の構成]
図1は、熱風炉100の概略構成の一例を示す図である。尚、各図では、説明の都合上、必要な部分のみを、必要に応じて簡略化して示す。
図1において、熱風炉100は、不図示の高炉に熱風を供給するための蓄熱式熱交換器である。熱風炉100は、高炉への送風に熱を与えるための蓄熱室101と、蓄熱室101を加熱するための燃焼室102と、熱風の温度調節を行うための混冷室103と、を有する。
燃焼室102では、ガス供給ダクト112から吹き込まれるBFG(Blast Furnace Gas)とCOG(Coke Oven gas)とLDG(Linz-Donawitz converter Gas)との混合ガスと、燃焼空気供給ダクト113から吹き込まれる燃焼空気とを燃焼バーナ108で燃焼させる。以下の説明では、BFGとCOGとLDGとの混合ガスを必要に応じて「燃焼ガス」と称する。この燃焼ガスが蓄熱室101の内部に積層された蓄熱煉瓦の間を通過することにより、蓄熱煉瓦は加熱され熱を蓄える。
図1に示す例では、この蓄熱煉瓦は、粘土煉瓦109、ハイアルミナ煉瓦110、およびシリカを主成分とする珪石煉瓦111を有する。粘土煉瓦109、ハイアルミナ煉瓦110、および珪石煉瓦111は、この順で下側から順に積層される。これらの粘土煉瓦109、ハイアルミナ煉瓦110、珪石煉瓦111には、上下方向に延びる複数の通過口が形成されている。珪石煉瓦111の最下部には、珪石煉瓦温度計137が取り付けられる。珪石煉瓦温度計137は、珪石煉瓦111の最下部の温度を測定する。
ガス供給ダクト112には、ガス遮断弁130、ガスバタフライ弁131、及び燃焼ガス流量計132が配置される。燃焼室102に流入する燃焼ガスの流入量は、ガスバタフライ弁131を開閉することにより調節される。
燃焼空気供給ダクト113は、燃焼空気ファンから送風された空気を熱風炉100(燃焼室102)に送風する。
燃焼空気供給ダクト113には、空気流量計127、空気バタフライ弁128、及び空気遮断弁129が配置される。燃焼空気供給ダクト113には、燃焼ガスの流量に応じて、燃焼に必要な量の空気が流入する。
蓄熱室101の下端部(出口)には、ダクト114が配置される。このダクト114は、N2、CO2等を含む燃焼ガスを排ガスとして排出するためのガス排出ダクト119と、ダクト114を介して蓄熱室101に冷風を供給するための冷風導入ダクト116と、に分岐される。
ガス排出ダクト119には、ガス排出弁126と排ガス温度計133が配置される。ガス排出弁126は、排ガス温度計133よりも蓄熱室101側の位置に配置される。排ガス温度計133により熱風炉100の出口における排ガスの温度が測定される。
冷風導入ダクト116には、送風弁124、及び送風バタフライ弁125が配置される。熱風炉100に流入する冷風の流入量は、送風バタフライ弁125を開閉させることにより調節される。
また、混冷室103には、高炉用の熱風を排出するための熱風排出ダクト117が接続される。この熱風排出ダクト117には、熱風弁121が配置される。
また、冷風導入ダクト116の送風バタフライ弁125より上流側には、混冷室103に繋がるダクト118が配置される。このダクト118には、冷風弁122と、冷風バタフライ弁123とが配置される。
図2は、熱風炉100における燃焼期間と送風期間の動作の概要の一例を示す図である。
図2(a)に示すように、燃焼期間において蓄熱室101に熱を蓄える場合には、送風弁124、冷風弁122、及び熱風弁121を完全に閉じる。この状態で、ガス供給ダクト112及び燃焼空気供給ダクト113を介して燃焼室102内に燃焼ガス及び燃焼空気を流入させる。
これらの燃焼ガス及び燃焼空気は燃焼バーナ108によって燃焼される。燃焼ガスは、蓄熱室101の粘土煉瓦109、ハイアルミナ煉瓦110、珪石煉瓦111に形成された開口部を通って、粘土煉瓦109、ハイアルミナ煉瓦110、珪石煉瓦111を蓄熱する。粘土煉瓦109、ハイアルミナ煉瓦110、珪石煉瓦111を通過した燃焼ガスは、ガス排出ダクト119を介して排ガスとして排出される。ここで、通常は、珪石煉瓦111の所定の位置での最低温度は変態点温度以下とならないように管理される。また、粘土煉瓦109の所定の位置での温度の下限値は(排ガスの温度が高くならないようにできるだけ低く)一定値に管理される。本実施形態では、前記所定の位置は、最下部であるものとする。
蓄熱室101への蓄熱が完了して送風期間に移行すると、図2(b)に示すように、ガス排出弁126、空気遮断弁129、及びガス遮断弁130を完全に閉じる。この状態で、冷風導入ダクト116を介して蓄熱室101に冷風を流入させる。蓄熱室101に流入した冷風は、粘土煉瓦109、ハイアルミナ煉瓦110、珪石煉瓦111に形成された開口部を通過して900〜1300℃に加熱された後、高炉用の熱風として熱風排出ダクト117から排出される。混冷室103に冷風を流入させる場合、送風期間においては、冷風バタフライ弁123の開度を調整することにより、混冷室103に流入させる冷風の流量が調整される。弁の開度は、弁が全閉のときに0(ゼロ)[%]であり、全開のときに100[%]となる。
本実施形態では、以上のような熱風炉100が4基あり、これら4基の熱風炉100がスタッガードパラレル方式で操業するものとする。
図3は、スタッガードパラレル方式における操業スケジュールの概略の一例を説明する図である。
図3に示す例では、左から右へ送風から燃焼への切替と、燃焼と、燃焼から送風への切替と、送風とをこの順番で行い、これらの期間を合わせた期間で1サイクルを形成する(図3に示す「1サイクル=切替期間301a+燃焼期間302a+切替期間301b+送風期間303a」の部分を参照)。1サイクルは、例えば、180[min]である。そして、熱風を供給する順番で前後(隣接)する2基(例えば熱風炉1と熱風炉2)の送風期間の一部をラップさせる。更に、図3に示す例では、簡単のために送風期間と燃焼期間とを同じ長さにすると共に、全てのサイクルにおいて、送風期間と燃焼期間を同じ長さにする。また、図3に示す例では、燃焼期間の開始前の切替期間(例えば切替期間301a)を同じ長さにすると共に、送風期間の開始前の切替期間(例えば切替期間301b)を同じ長さにする。また、燃焼期間の開始前の切替期間(例えば切替期間301a)を送風期間の開始前の切替期間(例えば切替期間301b)よりも短くする。ただし、切替期間の全てが同じ長さであってもよい。尚、通常、各サイクルにおいて、珪石煉瓦111の最下部の温度は、送風期間の終了時に最低になる。
図1の説明に戻り、熱風排出ダクト117は、共通ダクト134に繋がる。共通ダクト134には、4基の熱風炉100の熱風排出ダクト117が繋がる。各熱風炉100の熱風排出ダクト117から排出される熱風は共通ダクト134で合流する。このようにして合流した熱風が高炉に供給される。
共通ダクト134の下流側の位置には、送風温度計135が配置される。共通ダクト134の下流側の位置とは、4基の熱風炉100よりも高炉に近い位置である。送風温度計135は、送風温度を測定する。送風温度は、送風期間において同時に高炉に供給される熱風全体の温度である。本実施形態のように4基の熱風炉100がスタッガードパラレル方式で操業する場合、送風期間において同時に高炉に供給される熱風全体の温度とは、送風期間が重複する2基の熱風炉100から排出される熱風の合流後の温度である。従って、共通ダクト134の下流側の位置に、送風温度計135が配置される。尚、1基の熱風炉100で操業する場合、送風期間において同時に高炉に供給される熱風全体の温度とは、当該熱風炉100から排出される熱風の温度である。
燃焼室102と混冷室103とを繋ぐ経路には、出口温度計136が配置される。出口温度計136は、燃焼室出口温度を測定する。燃焼室出口温度は、燃焼室102の出口における熱風の温度である。燃焼室102の出口における熱風とは、その他の熱風や冷風等の風と混合されていない熱風のことを指す。図1に示す熱風炉100では、燃焼室102から排出された熱風は、混冷室103で冷風と混合され得る。従って、燃焼室102と混冷室103とを繋ぐ経路に、出口温度計136が配置される。尚、混冷室103がない熱風炉の場合、燃焼室出口温度は、燃焼室を出た後、他の熱風炉からの熱風と合流する前までに測定される熱風の温度である。また、混冷室103がない熱風炉を1基で操業する場合、燃焼室出口温度は、燃焼室を出た後、高炉に供給される前までに測定される熱風の温度である。
[熱風炉制御計算装置400の機能構成]
本実施形態では、以上のような熱風炉100に対する投入熱量を熱風炉制御計算装置400により計算し、計算した投入熱量に基づいてガスバタフライ弁131の開閉動作を調節する。図4は、熱風炉制御計算装置400の機能的な構成の一例を示す図である。尚、熱風炉制御計算装置400のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備えたコンピュータシステムや、専用のハードウェアを用いることにより実現できる。
また、ここでは、図3において、送風期間303aが終了した時刻tnが現在時刻であるとする。また、燃焼期間302b(1サイクル)に熱風炉100に対して投入する(トータルの)投入熱量の計算を、時刻tnに開始し、切替期間301cが終了する前に当該投入熱量の計算を終了するものとする。すなわち、以下の説明では、投入熱量の計算の対象となるサイクルにおける燃焼期間が、燃焼期間302bであるものとして説明を行う。尚、以下の説明では、投入熱量の計算の対象となっているサイクル(切替期間301c、燃焼期間302bを含むサイクル)の1つ前のサイクル(切替期間301a、燃焼期間302a、切替期間301b、及び送風期間303aからなるサイクル)を必要に応じて前回のサイクルと称する。
(熱余裕指標目標値取得部401)
熱余裕指標目標値取得部401は、送風期間303a(前回のサイクル)の終了時における熱余裕指標の目標値を取得する。熱余裕指標とは、珪石煉瓦111における残熱量の指標である。本実施形態では、送風期間の終了時における冷風バタフライ弁123の開度が熱余裕指標である場合を例に挙げて説明する。
熱余裕指標目標値取得部401は、例えば、オペレータによるユーザインターフェースの操作に基づいて、熱余裕指標の目標値を入力し、記憶媒体に記憶することができる。また、熱余裕指標目標値取得部401は、上位のコンピュータとの通信により、熱余裕指標の目標値を入力し、記憶媒体に記憶することができる。このように、送風期間303aの終了時における冷風バタフライ弁123の開度の目標値の取得方法は特に限定されるものではない。
尚、以下の説明では、送風期間が終了したときの冷風バタフライ弁123の開度の目標値を必要に応じて、冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refと称する。
(熱余裕指標実績値取得部402)
熱余裕指標実績値取得部402は、送風期間303a(前回のサイクル)の終了時における熱余裕指標(冷風バタフライ弁123の開度)の実績値を取得する。
例えば、熱風炉制御計算装置400が冷風バタフライ弁123の開度を制御する場合には、熱余裕指標実績値取得部402は、送風期間303aの終了時における冷風バタフライ弁123の開度の制御値を実績値として記憶媒体に記憶することができる。この場合、送風期間303aの終了時における冷風バタフライ弁123の開度の制御値は、熱風炉制御計算装置400で導出される。また、外部装置が冷風バタフライ弁123の開度を制御する場合には、熱余裕指標実績値取得部402は、外部装置との通信により、送風期間303aの終了時における冷風バタフライ弁123の開度の制御値を実績値として入力して記憶媒体に記憶することができる。この他、熱余裕指標実績値取得部402は、送風期間303aの終了時における冷風バタフライ弁123の開度の測定値を実績値として入力して記憶媒体に記憶することもできる。このように、送風期間303aの終了時における冷風バタフライ弁123の開度の実績値の取得方法は特に限定されるものではない。
尚、以下の説明では、送風期間が終了したときの冷風バタフライ弁123の開度の実績値を必要に応じて、冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvと称する。
(熱余裕指標偏差導出部403)
熱余裕指標偏差導出部403は、冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refから、冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvを減算した値を、前回のサイクル(図3の切替期間301aから送風期間303aまでのサイクル)における熱余裕指標の偏差εとして導出する。ここで、冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refは、熱余裕指標目標値取得部401により得られる。冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvは、熱余裕指標実績値取得部402により得られる。
(熱余裕指標偏差和導出部404)
熱余裕指標偏差和導出部404は、前回のサイクルを含む過去n(nは2以上の整数)サイクルにおける熱余裕指標の偏差εを加算した値を、熱余裕指標の偏差和Sとして導出する。ここで、前記nの値は、熱風炉100に対する投入熱量のハンチングが起こらないようにすることと、熱風炉100の時定数が長いこととを考慮して、オペレータにより予め設定される。尚、熱風炉100の時定数とは、熱風炉100に対して操業指示(送風流量や送風温度の指示)を行ってから、外乱による影響を受けずに熱風炉の各部の温度が平衡状態(操業条件を反映した状態)になるまでの時間をいう。また、過去nサイクルは連続するサイクルであることが好ましい。熱余裕指標の偏差和Sが、前回のサイクルを含む過去の熱余裕指標の時間変化をより正確に反映した値になるからである。
また、過去nサイクルにおける熱余裕指標の偏差εは、正の値と負の値とをとり得る。したがって、熱余裕指標偏差和導出部404は、熱余裕指標の偏差和Sの導出の際に、正の値と負の値をそのまま加算する。そして、熱余裕指標偏差和導出部404は、このようにして算出した熱余裕指標の偏差和Sの絶対値|S|を導出する。
(変更判定部405)
変更判定部405は、熱余裕指標偏差導出部403により導出された、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にあるか否かを判定する。
尚、後述するように、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にある場合、ゲインGが0(ゼロ)になる。したがって、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に対する変更分ΔTsi_svは0(ゼロ)になる(後述する(2)式を参照)。
一方、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にない場合、ゲインGが0(ゼロ)以外の値になり得る。したがって、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に対する変更分ΔTsi_svは0(ゼロ)と異なる値になり得る。
(ゲイン設定部406、ゲイン−偏差和関係記憶部407)
ゲイン設定部406は、変更判定部405により、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にあると判定されると、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に対する変更分ΔTsi_svを導出するための制御パラメータを0(ゼロ)に設定する。この制御パラメータは、(後述する(2)式のゲインGである。
一方、変更判定部405により、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にないと判定されると、ゲイン設定部406は、投入熱量の計算の対象となっているサイクルにおいて熱余裕指標偏差和導出部404により導出された熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|から、前回のサイクルにおいて熱余裕指標偏差和導出部404により導出された熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|を減算して、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|を導出する。熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|は正の値と負の値とをとり得る。
次に、ゲイン設定部406は、導出した熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|に対応する制御パラメータ(後述する(2)式のゲインG)の変更量ΔGを、ゲイン−偏差和関係記憶部407に記憶された「ゲインの変更量ΔGと熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係」から読み出す。尚、ゲインの変更量ΔGは、正の値と負の値とをとり得る。
ゲイン−偏差和関係記憶部407は、ゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係を予め記憶する。熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|は、連続する2つのサイクルのうち、後のサイクルにおける熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|から、前のサイクルにおける熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|を減算した値である。
ゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係は、例えば、操業実績に基づいて予め設定される。
例えば、過去の操業において、オペレータによる判断に基づいてゲインGを変更して操業した結果、所望の結果が得られた場合(例えば、冷風バタフライ弁123の開度が想定通りに目標値に収束した場合)、ゲイン−偏差和関係記憶部407は、そのときのゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との組を取得する。ゲイン−偏差和関係記憶部407は、このような組を多数のサイクルにおいて取得し、取得した組の値から、ゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係を導出することができる。
ゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係は、関数として記憶してもよいし、テーブルとして記憶してもよい。
ゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係を関数とする場合、ゲイン−偏差和関係記憶部407は、ゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との組の値から最小二乗法等の手法を使って近似曲線を導出し、導出した近似曲線を前記関数とすることができる。
また、ゲイン−偏差和関係記憶部407が、ゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係をテーブルとして記憶する場合、ゲイン設定部406は、補間処理を行うことにより、テーブルに記憶されていない値を導出することができる。
そして、ゲイン設定部406は、ゲイン−偏差和関係記憶部407により記憶された「ゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係」から読み出したゲインの変更量ΔGと、現在のゲインG´とを、以下の(1)式に代入して、ゲインGを更新する。
G=G´+ΔG ・・・(1)
尚、ゲインGは0(ゼロ)以上の値であるので、(1)式により、ゲインGが負の値になる場合、ゲイン設定部406は、(1)式の結果に関わらず、ゲインGを0(ゼロ)にする。
(珪石煉瓦目標温度導出部408)
珪石煉瓦目標温度導出部408は、ゲインGと、冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refと、冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvと、を以下の(2)式に代入して、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に対する変更分ΔTsi_svを導出する。ここで、ゲインGは、ゲイン設定部406により得られる。冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refは、熱余裕指標目標値取得部401により得られる。冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvは、熱余裕指標実績値取得部402により得られる。
ΔTsi_sv=G×(V_ko_ref−V_ko_pv) ・・・(2)
前述したように、変更判定部405により、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にあると判定されると、ゲイン設定部406により、ゲインGは0(ゼロ)に設定される。したがって、この場合、珪石煉瓦目標温度導出部408は、(2)式より、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に対する変更分ΔTsi_svを0(ゼロ)とする。
珪石煉瓦目標温度導出部408は、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に、導出した変更分ΔTsi_svを加算した値を、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの送風期間303bの終了時における珪石煉瓦目標温度Tsi_svとして導出する。
(2)式において、冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refが、冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvよりも大きい場合には(V_ko_ref>V_ko_pv)、珪石煉瓦111における残熱量が目標よりも小さいことを示す。この場合、ゲインGは0(ゼロ)以上の値であるので、(2)式の右辺は正の値となり、珪石煉瓦目標温度Tsi_svは増加し、珪石煉瓦111における残熱量が大きくなるように、珪石煉瓦目標温度Tsi_svが設定される。
逆に、冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refが、冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvよりも小さい場合には(V_ko_ref<V_ko_pv)、珪石煉瓦111における残熱量が目標よりも大きいことを示す。この場合には、(2)式の右辺は負の値となり、珪石煉瓦目標温度Tsi_svは減少し、珪石煉瓦111における残熱量が小さくなるように、珪石煉瓦目標温度Tsi_svが設定される。
(投入熱量導出部409)
投入熱量導出部409は、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの送風期間303bの終了時における珪石煉瓦111の最下部の温度が、珪石煉瓦目標温度導出部408で導出された珪石煉瓦目標温度Tsi_svを下回らないように、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bに熱風炉100に投入する投入熱量を導出する。
投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bに熱風炉100に投入する投入熱量の計算は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、投入熱量導出部409は、送風期間が終了した時の熱風炉の珪石煉瓦111の最下部の最低温度と、当該送風期間の直前の燃焼期間に当該熱風炉に投入した投入熱量を、実績データから収集する。次に、投入熱量導出部409は、収集した結果を使って、珪石煉瓦目標温度Tsi_svと投入熱量との関係を表す回帰式を作成する。そして、投入熱量導出部409は、作成した回帰式に珪石煉瓦目標温度導出部408で導出された珪石煉瓦目標温度Tsi_svを与えて投入熱量を導出する。尚、前記回帰式の導出は、最小二乗法などの公知の回帰分析の手法を用いることにより実現することができるので、ここでは、その詳細な説明を省略する。また、前記回帰式には、珪石煉瓦目標温度Tsi_svと投入熱量以外のパラメータ(熱風炉の操業条件、熱風炉を構成する設備の特性、熱風炉に配置されている測定器で測定される物理量)が含まれていてもよい。
また、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bに熱風炉100に投入する投入熱量の計算は、このような方法に限定されず、公知の種々の方法を採用することができる。例えば、投入熱量導出部409は、珪石煉瓦目標温度導出部408で導出された珪石煉瓦目標温度Tsi_svに関する制約を表す制約式を含む1つ又は複数の制約式と、投入熱量を決定変数として有する目的関数とに基づき数理計画法による最適化計算を行ってもよい。この場合、投入熱量導出部409は、前記制約式を満足する範囲で前記目的関数の値を最小化または最大化するときの投入熱量を導出する。このような投入熱量の導出方法は、例えば、特許文献3〜5に記載されている。したがって、ここでは、その詳細な説明を省略する。
以上のように、投入熱量の計算方法は、特に限定されるものではない。
尚、以下の説明では、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bに熱風炉100に投入する投入熱量を必要に応じて投入熱量と略称する。
(制御部410)
制御部410は、投入熱量導出部409により導出された投入熱量が、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bに投入されるように、ガスバタフライ弁131の開度を制御する。本実施形態では、制御部410は、投入熱量導出部409により導出された投入熱量に基づいて、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bに、熱風炉100の燃焼室102に流入させる燃焼ガスの流量(の時間推移)を決定する。そして、当該燃焼期間302bの開始時刻になると、制御部410は、決定した燃焼ガスの流量に基づいて、ガスバタフライ弁131の開度を指示する制御信号を、ガスバタフライ弁131又はガスバタフライ弁131の動作を制御する制御装置に送信する。これにより、ガスバタフライ弁131が動作して、当該燃焼期間302bに、熱風炉100の燃焼室102に流入する燃焼ガスの流量が、投入熱量導出部409により導出された投入熱量に対応した流量になる。
以上の熱余裕指標目標値取得部401、熱余裕指標実績値取得部402、熱余裕指標偏差導出部403、熱余裕指標偏差和導出部404、変更判定部405、ゲイン設定部406、珪石煉瓦目標温度導出部408、投入熱量導出部409、及び制御部410の処理は、各熱風炉の各送風期間の終了時に随時行われる。
[熱風炉制御計算装置400の動作フローチャート]
次に、図5のフローチャートを参照しながら、熱風炉100に対する投入熱量を制御する際の熱風炉制御計算装置400の動作の一例を説明する。尚、図5のフローチャートが開始される前に、ゲインの変更量ΔGと熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係がゲイン−偏差和関係記憶部407により記憶されているものとする。
まず、ステップS501において、熱余裕指標目標値取得部401は、送風期間303a(前回のサイクル)の終了時における冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refを取得する。
次に、ステップS502において、熱余裕指標実績値取得部402は、送風期間303a(前回のサイクル)の終了時における冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvを取得する。
次に、ステップS503において、熱余裕指標偏差導出部403は、ステップS501で取得された冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refから、ステップS502で取得された冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvを減算した値を、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εとして導出する。
次に、ステップS504において、熱余裕指標偏差和導出部404は、前回のサイクルを含む過去n(n≧2)サイクルにおける熱余裕指標の偏差εを加算した値を、熱余裕指標の偏差和Sとして導出し、導出した熱余裕指標の偏差和Sの絶対値|S|を導出する。
次に、ステップS505において、変更判定部405は、ステップS503で導出された、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にあるか否かを判定する。
この判定の結果、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にある場合には、ステップS506に進む。
ステップS506に進むと、ゲイン設定部406は、ゲインGを0(ゼロ)に設定する。そして、後述するステップS508に進む。
一方、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にない場合には、ステップS507に進む。
ステップS507に進むと、ゲイン設定部406は、今回ステップS504で導出された熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|から、前回のサイクルにおいてステップS504で導出された熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|を減算して、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|を導出する。そして、ゲイン設定部406は、導出した熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|に対応するゲインの変更量ΔGを、ゲイン−偏差和関係記憶部407により記憶された「ゲインの変更量ΔGと熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係」に基づいて導出する。そして、ゲイン設定部406は、導出したゲインの変更量ΔGと、現在のゲインG´とを、(1)式に代入して、ゲインGを更新する。そして、ステップS508に進む。
ステップS508に進むと、珪石煉瓦目標温度導出部408は、ステップS501で取得された冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refと、ステップS502で取得された冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvと、ステップS506又はS507で得られたゲインGとを、(2)式に代入して、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に対する変更分ΔTsi_svを導出する。尚、ステップS506に進んでステップS508に進んだ場合には、(2)式の計算を行わずに、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に対する変更分ΔTsi_svを無条件に0(ゼロ)にしてもよい。
そして、珪石煉瓦目標温度導出部408は、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に、珪石煉瓦111の温度の変更分ΔTsi_svを加算した値を、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの送風期間303bの終了時における珪石煉瓦目標温度Tsi_svとして導出する。
次に、ステップS509において、投入熱量導出部409は、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの送風期間303bの終了時の珪石煉瓦111の最下部の温度が、ステップS508で導出された珪石煉瓦目標温度Tsi_svを下回らないようになる投入熱量を導出する。
次に、ステップS510において、制御部410は、ステップS509で導出された投入熱量に基づいて、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bに、投入熱量の計算の対象となっている熱風炉100の燃焼室102に流入させる燃焼ガスの流量(の時間推移)を決定する。
次に、ステップS511において、制御部410は、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bの開始時刻になるまで待機する。そして、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bになると、ステップS512に進む。ステップS512に進むと、制御部410は、ステップS510で決定された流量に従って、投入熱量の計算の対象となっている熱風炉100に備わっているガスバタフライ弁131の開度を指示する制御信号を、ガスバタフライ弁131又はガスバタフライ弁131の動作を制御する制御装置に送信する。そして、図5のフローチャートを終了する。
[ゲインGを固定した場合との比較]
図6、図7は、冷風バタフライ弁123の開度、珪石煉瓦111の最下部の最低温度(珪石煉瓦温度)、及び投入熱量と、サイクル数(サイクルNo.)との関係の一例を示す図である。図6は、熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|に応じて定まるゲインの変更量ΔGから(2)式により求まるゲインGを用いて、珪石煉瓦目標温度導出部408、投入熱量導出部409、制御部410による処理を行い、熱風炉100を操業させたときの関係を示す。ここで、熱余裕指標の偏差和を求めるサイクル数nは5とした。一方、図7は、ゲインGを一定値にして、珪石煉瓦目標温度導出部408、投入熱量導出部409、制御部410による処理を行い、熱風炉100を操業させたときの関係を示す。
図6、図7に示す例では、冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refを0(ゼロ)[%]とした(図6、図7の冷風バタフライ弁目標開度601、701を参照)。また、図6、図7に示す例では、冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvが4.5[%]になったサイクルtsで前述した不感帯を外れたとし(変更判定部405の説明を参照)、0(ゼロ)を上回るゲインGを設定した場合を示す。
図6と図7を比較すると、本実施形態のように、熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|に応じてゲインの変更量ΔGを定めた方が、ゲインGを一定値にする場合よりも、冷風バタフライ弁123の開度が冷風バタフライ弁目標開度601、701に早く近づく(図6、図7の一番上の図を参照)。
したがって、図6、図7の真ん中の図に示すように、熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|に応じてゲインの変更量ΔGを定めた方が、ゲインGを一定値にする場合よりも、珪石煉瓦111の最下部の最低温度(珪石煉瓦温度)が早く減少に転じ、且つ、珪石煉瓦111の最下部の最低温度(珪石煉瓦温度)そのものの値も小さくなる。
また、図6、図7の一番下の図に示すように、熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|に応じてゲインの変更量ΔGを定めた方が、ゲインGを一定値にする場合よりも、熱風炉100に対する投入熱量が早く減少に転じ、且つ、投入熱量そのものの値も小さくなる。
以上のように本実施形態では、熱風炉制御計算装置400は、前回のサイクルを含む過去n(nは2以上の整数)サイクルにおける熱余裕指標の偏差εを加算した値の絶対値を、熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|として導出する。次に、熱風炉制御計算装置400は、投入熱量の計算の対象となっているサイクルで導出した熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|から、前回のサイクルで導出した熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|を減算して、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|を導出する。次に、熱風炉制御計算装置400は、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|に対応するゲインの変更量ΔGを、操業実績に基づくこれらの関係から導出する。そして、熱風炉制御計算装置400は、ゲインの変更量ΔGを現在のゲインG´に加算して更新後のゲインGを導出する。次に、熱風炉制御計算装置400は、冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refから、冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvを減算した値に、導出したゲインGを掛けて、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の最低温度の測定値に対する変更分ΔTsi_svを導出する。そして、熱風炉制御計算装置400は、この変更分ΔTsi_svを、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の最低温度の測定値に加算して、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの送風期間303bの終了時における珪石煉瓦目標温度Tsi_svを導出する。そして、熱風炉制御計算装置400は、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの送風期間303bの終了時における珪石煉瓦111の温度が、導出した珪石煉瓦目標温度Tsi_svを下回らないように、熱風炉100に投入する投入熱量を導出する。
したがって、例えば、経年による熱風炉100の特性の変化や操業条件の変化が生じた場合であっても、熱余裕指標を早期に目標値に近づけることができ、熱風炉100に対する投入熱量の過不足が生じることを抑制することができる。
また、本実施形態では、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にある場合には、ゲインGを0(ゼロ)とし、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値を、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの送風期間303bの終了時における珪石煉瓦目標温度Tsi_svとする。
したがって、熱風炉100に対する投入熱量の過剰な制御を、より確実に抑制することができる。
[変形例]
以上のように、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にある場合には、ゲインGを0(ゼロ)とするのが好ましい。しかしながら、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にあるか否かに関わらず、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|に対応するゲインの変更量ΔGを導出し、ゲインの変更量ΔGを現在のゲインG´に加算してゲインGを更新してもよい。
また、本実施形態では、熱余裕指標が、送風期間の終了時における冷風バタフライ弁123の開度である場合を例に挙げて説明した。しかしながら、熱余裕指標は、送風期間の終了時における冷風バタフライ弁123の開度に限定されない。例えば、燃焼期間の終了時における排ガスの温度を熱余裕指標とすることができる。排ガスの温度は、排ガス温度計133により測定される温度である。燃焼期間の終了時における排ガスの温度は、熱風炉に混冷室103があるか否かに関わらず熱余裕指標として採用することができる。また、混冷室103がない熱風炉では、例えば、送風期間の終了時における送風温度を熱余裕指標とすることができる。送風温度は、送風温度計135により測定される熱風の温度である。
また、熱風炉に混冷室103があるか否かに関わらず採用される熱余裕指標は、燃焼期間の終了時における排ガスの温度に限定されない。例えば、熱風炉に混冷室103があるか否かに関わらず採用される熱余裕指標として、送風期間内の一部の期間であって当該送風期間の終了前の所定期間における燃焼室出口温度偏差の平均値を採用することができる。燃焼室出口温度偏差とは、燃焼室出口温度から、送風温度の目標値を減算した値である。燃焼室出口温度は、出口温度計136により測定される熱風の温度である。送風温度は、送風期間において高炉に供給される熱風の温度である。送風期間の終了前の所定期間の開始のタイミングは、例えば、当該送風期間の真ん中のタイミングよりも当該送風期間が終了するタイミングに近いタイミングであるのが好ましい。具体的に、送風期間が90[min]である場合、当該送風期間の終了前の所定期間の開始のタイミングを、例えば、当該送風期間が開始するタイミングの70[min]後のタイミングとすることができる。また、当該送風期間の終了前の所定期間の終了のタイミングを、例えば、当該送風期間が終了するタイミングの2[min]前のタイミングとすることができる。尚、混冷室103がない熱風炉では、出口温度計136は、燃焼室102から排出される熱風であって、当該熱風炉以外の熱風炉から排出される熱風と合流する前の熱風の温度を測定することになる。
また、本実施形態では、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|に対応するゲインの変更量ΔGを導出する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、熱余裕指標の偏差和Sに応じて更新後のゲインGを導出するようにしていれば、必ずしもこのようにする必要はない。
例えば、ゲインの変更量ΔGの代わりに、ゲインGそのものを採用してもよい。ゲインGそのものを採用した場合、ゲイン設定部406は、現在のゲインG´を、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|に対応するゲインGに変更することになる。
また、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|の代わりに、熱余裕指標の偏差和のそのものの変化量ΔSを採用してもよい。熱余裕指標の偏差和のそのものの変化量ΔSとは、連続する2つのサイクルのうち、後のサイクルにおける熱余裕指標の偏差和Sから、前のサイクルにおける熱余裕指標の偏差和の絶対値Sを減算した値である。また、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|の代わりに、投入熱量の計算の対象となっているサイクルにおける熱余裕指標の偏差和Sやその絶対値|S|を採用してもよい。
また、本実施形態では、前回のサイクルの送風期間303aの終了時の珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に対して、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に対する変更分ΔTsi_svを加算して、珪石煉瓦目標温度Tsi_svを導出した。このようにすれば、熱風炉100の最新の珪石煉瓦111の最下部の最低温度の測定値を使用することができるので好ましい。しかしながら、投入熱量の計算の対象となっているサイクルのq(qは自然数)サイクル前の送風期間303(例えば2サイクル前の送風期間303c)の終了時における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値を用いてもよい。尚、本実施形態では、前回のサイクルの送風期間303aと現在時刻tnとが一致する場合を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、前回のサイクル(投入熱量の計算の対象となっているサイクルの1サイクル前の送風期間303a)が終了してから、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bが開始するまでの期間(すなわち切替期間301c)の任意の時刻を現在時刻tnとすることができる。また、例えば、前回のサイクルにおける珪石煉瓦目標温度Tsi_svに対して、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に対する変更分ΔTsi_svを加算して、珪石煉瓦目標温度Tsi_svを累積的に更新してもよい。
尚、以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体及び前記プログラム等のコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
100:熱風炉、101:蓄熱室、102:燃焼室、103:混冷室、400:熱風炉制御計算装置、401:熱余裕指標目標値取得部、402:熱余裕指標実績値取得部、403:熱余裕指標偏差導出部、404:熱余裕指標偏差和導出部、405:変更判定部、406:ゲイン設定部、407:ゲイン−偏差和関係記憶部、408:珪石煉瓦目標温度導出部、409:投入熱量導出部、410:制御部

Claims (9)

  1. 燃焼ガスにより珪石煉瓦を含む蓄熱煉瓦を加熱して蓄熱する燃焼期間と、当該蓄熱煉瓦に冷風を通して当該蓄熱煉瓦との熱交換により熱風を生成して高炉に供給する送風期間とを含む期間を1サイクルとして稼働する熱風炉を制御するための計算を行う熱風炉制御計算装置であって、
    前記珪石煉瓦における残熱量の指標である熱余裕指標の、前記燃焼期間内に前記熱風炉に対して投入する熱量である投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける目標値と実績値との偏差を導出する熱余裕指標偏差導出手段と、
    前記熱余裕指標偏差導出手段により導出された前記偏差の和であって、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルを含む過去n(nは2以上の整数)サイクルにおける前記偏差の和を導出する熱余裕指標偏差和導出手段と、
    前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和に対応するゲインを導出するゲイン設定手段と、
    前記ゲイン設定手段により導出された前記ゲインと、前記熱余裕指標の、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける目標値と実績値との偏差とを掛けた値だけ、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルの前記送風期間の終了時における前記珪石煉瓦の所定の位置の温度を変更した値を、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの前記送風期間の終了時における前記珪石煉瓦の前記所定の位置の温度の目標値である珪石煉瓦目標温度として導出する珪石煉瓦目標温度導出手段と、
    前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおける前記送風期間の終了時の前記蓄熱煉瓦の前記所定の位置の温度が、前記珪石煉瓦目標温度導出手段により導出された前記珪石煉瓦目標温度を下回らないように、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおける前記燃焼期間内に投入する投入熱量を導出する投入熱量導出手段と、を有し、
    前記ゲイン設定手段は、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和の絶対値から、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和の絶対値を減算してそれらの変化量を導出し、当該導出した変化量に応じて予め決められている前記ゲインの変更量を現在の前記ゲインに加算して前記ゲインを更新することを特徴とする熱風炉制御計算装置。
  2. 前記熱余裕指標偏差導出手段により導出された、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける前記偏差が所定の範囲内にあるか否かを判定する変更判定手段を更に有し、
    前記ゲイン設定手段は、前記変更判定手段により、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける前記偏差が所定の範囲内にあると判定されると、前記ゲインを0(ゼロ)に設定し、前記変更判定手段により、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける前記偏差が所定の範囲内にないと判定されると、前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和に対応するゲインを導出することを特徴とする請求項1に記載の熱風炉制御計算装置。
  3. 連続する2つのサイクルのうち、後のサイクルにおける前記偏差の和の絶対値から、前のサイクルにおける前記偏差の和の絶対値を減算した値である変化量と、前記ゲインの変更量との関係を記憶するゲイン−偏差和関係記憶手段を更に有し、
    前記ゲイン設定手段は、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和の絶対値から、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和の絶対値を減算してそれらの変化量を導出し、当該導出した変化量に応じた前記ゲインの変更量を、前記ゲイン−偏差和関係記憶手段により記憶された前記関係から導出し、当該導出した前記ゲインの変更量を現在の前記ゲインに加算して前記ゲインを更新することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱風炉制御計算装置。
  4. 前記過去n(nは2以上の整数)サイクルは、連続するサイクルであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の熱風炉制御計算装置。
  5. 前記熱風炉は、前記蓄熱煉瓦を有する蓄熱室と、前記蓄熱煉瓦に前記燃焼ガスを供給する燃焼室と、前記蓄熱煉瓦から前記燃焼室を介して送られた熱風と当該熱風の温度を調整するための冷風とを混合する混冷室と、を有し、
    前記熱余裕指標は、前記混冷室に送られる前記熱風の温度を調整するための冷風の前記混冷室への流入量を調整するための弁の、前記送風期間の終了時における開度であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の熱風炉制御計算装置。
  6. 前記熱風炉は、前記蓄熱煉瓦を有する蓄熱室と、前記蓄熱煉瓦に前記燃焼ガスを供給する燃焼室と、を有し、
    前記熱余裕指標は、前記送風期間内の一部の期間であって当該送風期間の終了前の所定期間における燃焼室出口温度偏差の平均値、または、前記燃焼期間の終了時における排ガスの温度であり、
    前記燃焼室出口温度偏差は、燃焼室出口温度から、送風温度の目標値を減算した値であり、
    前記燃焼室出口温度は、前記燃焼室の出口における熱風の温度であり、
    前記排ガスは、前記蓄熱煉瓦を通過した後の前記燃焼ガスであり、前記熱風炉の外部に排出されるガスであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の熱風炉制御計算装置。
  7. 前記熱風炉は、前記蓄熱煉瓦を有する蓄熱室と、前記蓄熱煉瓦に前記燃焼ガスを供給する燃焼室と、を有し、前記蓄熱煉瓦から前記燃焼室を介して送られた熱風と当該熱風の温度を調整するための冷風とを混合する混冷室を有しておらず、
    前記熱余裕指標は、前記送風期間の終了時における送風温度であり、
    前記送風温度は、前記送風期間において同時に高炉に供給される熱風全体の温度であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の熱風炉制御計算装置。
  8. 燃焼ガスにより珪石煉瓦を含む蓄熱煉瓦を加熱して蓄熱する燃焼期間と、当該蓄熱煉瓦に冷風を通して当該蓄熱煉瓦との熱交換により熱風を生成して高炉に供給する送風期間とを含む期間を1サイクルとして稼働する熱風炉を制御するための計算を行う熱風炉制御計算方法であって、
    前記珪石煉瓦における残熱量の指標である熱余裕指標の、前記燃焼期間内に前記熱風炉に対して投入する熱量である投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける目標値と実績値との偏差を導出する熱余裕指標偏差導出工程と、
    前記熱余裕指標偏差導出工程により導出された前記偏差の和であって、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルを含む過去n(nは2以上の整数)サイクルにおける前記偏差の和を導出する熱余裕指標偏差和導出工程と、
    前記熱余裕指標偏差和導出工程により導出された前記偏差の和に対応するゲインを導出するゲイン設定工程と、
    前記ゲイン設定工程により導出された前記ゲインと、前記熱余裕指標の、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける目標値と実績値との偏差とを掛けた値だけ、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルの前記送風期間の終了時における前記珪石煉瓦の所定の位置の温度を変更した値を、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの前記送風期間の終了時における前記珪石煉瓦の前記所定の位置の温度の目標値である珪石煉瓦目標温度として導出する珪石煉瓦目標温度導出工程と、
    前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおける前記送風期間の終了時の前記蓄熱煉瓦の前記所定の位置の温度が、前記珪石煉瓦目標温度導出工程により導出された前記珪石煉瓦目標温度を下回らないように、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおける前記燃焼期間内に投入する投入熱量を導出する投入熱量導出工程と、を有し、
    前記ゲイン設定工程は、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出工程により導出された前記偏差の和の絶対値から、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出工程により導出された前記偏差の和の絶対値を減算してそれらの変化量を導出し、当該導出した変化量に応じて予め決められている前記ゲインの変更量を現在の前記ゲインに加算して前記ゲインを更新することを特徴とする熱風炉制御計算方法。
  9. 請求項1〜7の何れか1項に記載の熱風炉制御計算装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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