JP6809348B2 - 熱風炉制御計算装置、熱風炉制御計算方法、及びプログラム - Google Patents
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また、特許文献2には、熱風炉の次のサイクルの送風期間における理論放熱量を、熱風炉の次のサイクルにおける奪熱効率で除して、熱風炉の次のサイクルにおける必要投入熱量を算出する技術が開示されている。この特許文献2では、熱風炉が減風減温の状態になり、オペレータが減風減温補正開始ボタンを操作したときの、複数の熱風炉全体としての熱効率が維持されるように投入熱量補正係数を算出し、算出した投入熱量補正係数を必要投入熱量に掛ける。
また、特許文献3には、送風期間終了時の熱余裕指標の目標値と実績値との差にゲインを掛けた値を、珪石煉瓦の最低温度の下限値として算出し、算出した珪石煉瓦の最低温度の下限値を用いて投入熱量を求める技術が開示されている。
したがって、特許文献1〜3に記載の技術には、熱風炉に対する投入熱量の過不足が生じる虞がある。
[熱風炉の構成]
図1は、熱風炉100の概略構成の一例を示す図である。尚、各図では、説明の都合上、必要な部分のみを、必要に応じて簡略化して示す。
図1において、熱風炉100は、不図示の高炉に熱風を供給するための蓄熱式熱交換器である。熱風炉100は、高炉への送風に熱を与えるための蓄熱室101と、蓄熱室101を加熱するための燃焼室102と、熱風の温度調節を行うための混冷室103と、を有する。
ガス供給ダクト112には、ガス遮断弁130、ガスバタフライ弁131、及び燃焼ガス流量計132が配置される。燃焼室102に流入する燃焼ガスの流入量は、ガスバタフライ弁131を開閉することにより調節される。
燃焼空気供給ダクト113には、空気流量計127、空気バタフライ弁128、及び空気遮断弁129が配置される。燃焼空気供給ダクト113には、燃焼ガスの流量に応じて、燃焼に必要な量の空気が流入する。
蓄熱室101の下端部(出口)には、ダクト114が配置される。このダクト114は、N2、CO2等を含む燃焼ガスを排ガスとして排出するためのガス排出ダクト119と、ダクト114を介して蓄熱室101に冷風を供給するための冷風導入ダクト116と、に分岐される。
ガス排出ダクト119には、ガス排出弁126と排ガス温度計133が配置される。ガス排出弁126は、排ガス温度計133よりも蓄熱室101側の位置に配置される。排ガス温度計133により熱風炉100の出口における排ガスの温度が測定される。
また、混冷室103には、高炉用の熱風を排出するための熱風排出ダクト117が接続される。この熱風排出ダクト117には、熱風弁121が配置される。
図2(a)に示すように、燃焼期間において蓄熱室101に熱を蓄える場合には、送風弁124、冷風弁122、及び熱風弁121を完全に閉じる。この状態で、ガス供給ダクト112及び燃焼空気供給ダクト113を介して燃焼室102内に燃焼ガス及び燃焼空気を流入させる。
これらの燃焼ガス及び燃焼空気は燃焼バーナ108によって燃焼される。燃焼ガスは、蓄熱室101の粘土煉瓦109、ハイアルミナ煉瓦110、珪石煉瓦111に形成された開口部を通って、粘土煉瓦109、ハイアルミナ煉瓦110、珪石煉瓦111を蓄熱する。粘土煉瓦109、ハイアルミナ煉瓦110、珪石煉瓦111を通過した燃焼ガスは、ガス排出ダクト119を介して排ガスとして排出される。ここで、通常は、珪石煉瓦111の所定の位置での最低温度は変態点温度以下とならないように管理される。また、粘土煉瓦109の所定の位置での温度の下限値は(排ガスの温度が高くならないようにできるだけ低く)一定値に管理される。本実施形態では、前記所定の位置は、最下部であるものとする。
図3は、スタッガードパラレル方式における操業スケジュールの概略の一例を説明する図である。
図3に示す例では、左から右へ送風から燃焼への切替と、燃焼と、燃焼から送風への切替と、送風とをこの順番で行い、これらの期間を合わせた期間で1サイクルを形成する(図3に示す「1サイクル=切替期間301a+燃焼期間302a+切替期間301b+送風期間303a」の部分を参照)。1サイクルは、例えば、180[min]である。そして、熱風を供給する順番で前後(隣接)する2基(例えば熱風炉1と熱風炉2)の送風期間の一部をラップさせる。更に、図3に示す例では、簡単のために送風期間と燃焼期間とを同じ長さにすると共に、全てのサイクルにおいて、送風期間と燃焼期間を同じ長さにする。また、図3に示す例では、燃焼期間の開始前の切替期間(例えば切替期間301a)を同じ長さにすると共に、送風期間の開始前の切替期間(例えば切替期間301b)を同じ長さにする。また、燃焼期間の開始前の切替期間(例えば切替期間301a)を送風期間の開始前の切替期間(例えば切替期間301b)よりも短くする。ただし、切替期間の全てが同じ長さであってもよい。尚、通常、各サイクルにおいて、珪石煉瓦111の最下部の温度は、送風期間の終了時に最低になる。
本実施形態では、以上のような熱風炉100に対する投入熱量を熱風炉制御計算装置400により計算し、計算した投入熱量に基づいてガスバタフライ弁131の開閉動作を調節する。図4は、熱風炉制御計算装置400の機能的な構成の一例を示す図である。尚、熱風炉制御計算装置400のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、及び各種のインターフェースを備えたコンピュータシステムや、専用のハードウェアを用いることにより実現できる。
熱余裕指標目標値取得部401は、送風期間303a(前回のサイクル)の終了時における熱余裕指標の目標値を取得する。熱余裕指標とは、珪石煉瓦111における残熱量の指標である。本実施形態では、送風期間の終了時における冷風バタフライ弁123の開度が熱余裕指標である場合を例に挙げて説明する。
尚、以下の説明では、送風期間が終了したときの冷風バタフライ弁123の開度の目標値を必要に応じて、冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refと称する。
熱余裕指標実績値取得部402は、送風期間303a(前回のサイクル)の終了時における熱余裕指標(冷風バタフライ弁123の開度)の実績値を取得する。
例えば、熱風炉制御計算装置400が冷風バタフライ弁123の開度を制御する場合には、熱余裕指標実績値取得部402は、送風期間303aの終了時における冷風バタフライ弁123の開度の制御値を実績値として記憶媒体に記憶することができる。この場合、送風期間303aの終了時における冷風バタフライ弁123の開度の制御値は、熱風炉制御計算装置400で導出される。また、外部装置が冷風バタフライ弁123の開度を制御する場合には、熱余裕指標実績値取得部402は、外部装置との通信により、送風期間303aの終了時における冷風バタフライ弁123の開度の制御値を実績値として入力して記憶媒体に記憶することができる。この他、熱余裕指標実績値取得部402は、送風期間303aの終了時における冷風バタフライ弁123の開度の測定値を実績値として入力して記憶媒体に記憶することもできる。このように、送風期間303aの終了時における冷風バタフライ弁123の開度の実績値の取得方法は特に限定されるものではない。
尚、以下の説明では、送風期間が終了したときの冷風バタフライ弁123の開度の実績値を必要に応じて、冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvと称する。
熱余裕指標偏差導出部403は、冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refから、冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvを減算した値を、前回のサイクル(図3の切替期間301aから送風期間303aまでのサイクル)における熱余裕指標の偏差εとして導出する。ここで、冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refは、熱余裕指標目標値取得部401により得られる。冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvは、熱余裕指標実績値取得部402により得られる。
熱余裕指標偏差和導出部404は、前回のサイクルを含む過去n(nは2以上の整数)サイクルにおける熱余裕指標の偏差εを加算した値を、熱余裕指標の偏差和Sとして導出する。ここで、前記nの値は、熱風炉100に対する投入熱量のハンチングが起こらないようにすることと、熱風炉100の時定数が長いこととを考慮して、オペレータにより予め設定される。尚、熱風炉100の時定数とは、熱風炉100に対して操業指示(送風流量や送風温度の指示)を行ってから、外乱による影響を受けずに熱風炉の各部の温度が平衡状態(操業条件を反映した状態)になるまでの時間をいう。また、過去nサイクルは連続するサイクルであることが好ましい。熱余裕指標の偏差和Sが、前回のサイクルを含む過去の熱余裕指標の時間変化をより正確に反映した値になるからである。
変更判定部405は、熱余裕指標偏差導出部403により導出された、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にあるか否かを判定する。
一方、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にない場合、ゲインGが0(ゼロ)以外の値になり得る。したがって、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に対する変更分ΔTsi_svは0(ゼロ)と異なる値になり得る。
ゲイン設定部406は、変更判定部405により、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にあると判定されると、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に対する変更分ΔTsi_svを導出するための制御パラメータを0(ゼロ)に設定する。この制御パラメータは、(後述する(2)式のゲインGである。
例えば、過去の操業において、オペレータによる判断に基づいてゲインGを変更して操業した結果、所望の結果が得られた場合(例えば、冷風バタフライ弁123の開度が想定通りに目標値に収束した場合)、ゲイン−偏差和関係記憶部407は、そのときのゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との組を取得する。ゲイン−偏差和関係記憶部407は、このような組を多数のサイクルにおいて取得し、取得した組の値から、ゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係を導出することができる。
ゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係を関数とする場合、ゲイン−偏差和関係記憶部407は、ゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との組の値から最小二乗法等の手法を使って近似曲線を導出し、導出した近似曲線を前記関数とすることができる。
また、ゲイン−偏差和関係記憶部407が、ゲインの変更量ΔGと、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係をテーブルとして記憶する場合、ゲイン設定部406は、補間処理を行うことにより、テーブルに記憶されていない値を導出することができる。
G=G´+ΔG ・・・(1)
尚、ゲインGは0(ゼロ)以上の値であるので、(1)式により、ゲインGが負の値になる場合、ゲイン設定部406は、(1)式の結果に関わらず、ゲインGを0(ゼロ)にする。
珪石煉瓦目標温度導出部408は、ゲインGと、冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refと、冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvと、を以下の(2)式に代入して、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に対する変更分ΔTsi_svを導出する。ここで、ゲインGは、ゲイン設定部406により得られる。冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refは、熱余裕指標目標値取得部401により得られる。冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvは、熱余裕指標実績値取得部402により得られる。
ΔTsi_sv=G×(V_ko_ref−V_ko_pv) ・・・(2)
逆に、冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refが、冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvよりも小さい場合には(V_ko_ref<V_ko_pv)、珪石煉瓦111における残熱量が目標よりも大きいことを示す。この場合には、(2)式の右辺は負の値となり、珪石煉瓦目標温度Tsi_svは減少し、珪石煉瓦111における残熱量が小さくなるように、珪石煉瓦目標温度Tsi_svが設定される。
投入熱量導出部409は、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの送風期間303bの終了時における珪石煉瓦111の最下部の温度が、珪石煉瓦目標温度導出部408で導出された珪石煉瓦目標温度Tsi_svを下回らないように、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bに熱風炉100に投入する投入熱量を導出する。
以上のように、投入熱量の計算方法は、特に限定されるものではない。
尚、以下の説明では、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bに熱風炉100に投入する投入熱量を必要に応じて投入熱量と略称する。
制御部410は、投入熱量導出部409により導出された投入熱量が、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bに投入されるように、ガスバタフライ弁131の開度を制御する。本実施形態では、制御部410は、投入熱量導出部409により導出された投入熱量に基づいて、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bに、熱風炉100の燃焼室102に流入させる燃焼ガスの流量(の時間推移)を決定する。そして、当該燃焼期間302bの開始時刻になると、制御部410は、決定した燃焼ガスの流量に基づいて、ガスバタフライ弁131の開度を指示する制御信号を、ガスバタフライ弁131又はガスバタフライ弁131の動作を制御する制御装置に送信する。これにより、ガスバタフライ弁131が動作して、当該燃焼期間302bに、熱風炉100の燃焼室102に流入する燃焼ガスの流量が、投入熱量導出部409により導出された投入熱量に対応した流量になる。
以上の熱余裕指標目標値取得部401、熱余裕指標実績値取得部402、熱余裕指標偏差導出部403、熱余裕指標偏差和導出部404、変更判定部405、ゲイン設定部406、珪石煉瓦目標温度導出部408、投入熱量導出部409、及び制御部410の処理は、各熱風炉の各送風期間の終了時に随時行われる。
次に、図5のフローチャートを参照しながら、熱風炉100に対する投入熱量を制御する際の熱風炉制御計算装置400の動作の一例を説明する。尚、図5のフローチャートが開始される前に、ゲインの変更量ΔGと熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係がゲイン−偏差和関係記憶部407により記憶されているものとする。
まず、ステップS501において、熱余裕指標目標値取得部401は、送風期間303a(前回のサイクル)の終了時における冷風バタフライ弁目標開度V_ko_refを取得する。
次に、ステップS502において、熱余裕指標実績値取得部402は、送風期間303a(前回のサイクル)の終了時における冷風バタフライ弁実績開度V_ko_pvを取得する。
次に、ステップS504において、熱余裕指標偏差和導出部404は、前回のサイクルを含む過去n(n≧2)サイクルにおける熱余裕指標の偏差εを加算した値を、熱余裕指標の偏差和Sとして導出し、導出した熱余裕指標の偏差和Sの絶対値|S|を導出する。
この判定の結果、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にある場合には、ステップS506に進む。
一方、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にない場合には、ステップS507に進む。
ステップS507に進むと、ゲイン設定部406は、今回ステップS504で導出された熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|から、前回のサイクルにおいてステップS504で導出された熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|を減算して、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|を導出する。そして、ゲイン設定部406は、導出した熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|に対応するゲインの変更量ΔGを、ゲイン−偏差和関係記憶部407により記憶された「ゲインの変更量ΔGと熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|との関係」に基づいて導出する。そして、ゲイン設定部406は、導出したゲインの変更量ΔGと、現在のゲインG´とを、(1)式に代入して、ゲインGを更新する。そして、ステップS508に進む。
そして、珪石煉瓦目標温度導出部408は、現在時刻tn(送風期間303aの終了時)における珪石煉瓦111の最下部の温度の測定値に、珪石煉瓦111の温度の変更分ΔTsi_svを加算した値を、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの送風期間303bの終了時における珪石煉瓦目標温度Tsi_svとして導出する。
次に、ステップS510において、制御部410は、ステップS509で導出された投入熱量に基づいて、投入熱量の計算の対象となっているサイクルの燃焼期間302bに、投入熱量の計算の対象となっている熱風炉100の燃焼室102に流入させる燃焼ガスの流量(の時間推移)を決定する。
図6、図7は、冷風バタフライ弁123の開度、珪石煉瓦111の最下部の最低温度(珪石煉瓦温度)、及び投入熱量と、サイクル数(サイクルNo.)との関係の一例を示す図である。図6は、熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|に応じて定まるゲインの変更量ΔGから(2)式により求まるゲインGを用いて、珪石煉瓦目標温度導出部408、投入熱量導出部409、制御部410による処理を行い、熱風炉100を操業させたときの関係を示す。ここで、熱余裕指標の偏差和を求めるサイクル数nは5とした。一方、図7は、ゲインGを一定値にして、珪石煉瓦目標温度導出部408、投入熱量導出部409、制御部410による処理を行い、熱風炉100を操業させたときの関係を示す。
図6と図7を比較すると、本実施形態のように、熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|に応じてゲインの変更量ΔGを定めた方が、ゲインGを一定値にする場合よりも、冷風バタフライ弁123の開度が冷風バタフライ弁目標開度601、701に早く近づく(図6、図7の一番上の図を参照)。
また、図6、図7の一番下の図に示すように、熱余裕指標の偏差和の絶対値|S|に応じてゲインの変更量ΔGを定めた方が、ゲインGを一定値にする場合よりも、熱風炉100に対する投入熱量が早く減少に転じ、且つ、投入熱量そのものの値も小さくなる。
したがって、例えば、経年による熱風炉100の特性の変化や操業条件の変化が生じた場合であっても、熱余裕指標を早期に目標値に近づけることができ、熱風炉100に対する投入熱量の過不足が生じることを抑制することができる。
したがって、熱風炉100に対する投入熱量の過剰な制御を、より確実に抑制することができる。
以上のように、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にある場合には、ゲインGを0(ゼロ)とするのが好ましい。しかしながら、前回のサイクルにおける熱余裕指標の偏差εが、予め設定された上限値と下限値との間(不感帯内)にあるか否かに関わらず、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|に対応するゲインの変更量ΔGを導出し、ゲインの変更量ΔGを現在のゲインG´に加算してゲインGを更新してもよい。
例えば、ゲインの変更量ΔGの代わりに、ゲインGそのものを採用してもよい。ゲインGそのものを採用した場合、ゲイン設定部406は、現在のゲインG´を、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|に対応するゲインGに変更することになる。
また、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|の代わりに、熱余裕指標の偏差和のそのものの変化量ΔSを採用してもよい。熱余裕指標の偏差和のそのものの変化量ΔSとは、連続する2つのサイクルのうち、後のサイクルにおける熱余裕指標の偏差和Sから、前のサイクルにおける熱余裕指標の偏差和の絶対値Sを減算した値である。また、熱余裕指標の偏差和の絶対値の変化量Δ|S|の代わりに、投入熱量の計算の対象となっているサイクルにおける熱余裕指標の偏差和Sやその絶対値|S|を採用してもよい。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
Claims (9)
- 燃焼ガスにより珪石煉瓦を含む蓄熱煉瓦を加熱して蓄熱する燃焼期間と、当該蓄熱煉瓦に冷風を通して当該蓄熱煉瓦との熱交換により熱風を生成して高炉に供給する送風期間とを含む期間を1サイクルとして稼働する熱風炉を制御するための計算を行う熱風炉制御計算装置であって、
前記珪石煉瓦における残熱量の指標である熱余裕指標の、前記燃焼期間内に前記熱風炉に対して投入する熱量である投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける目標値と実績値との偏差を導出する熱余裕指標偏差導出手段と、
前記熱余裕指標偏差導出手段により導出された前記偏差の和であって、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルを含む過去n(nは2以上の整数)サイクルにおける前記偏差の和を導出する熱余裕指標偏差和導出手段と、
前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和に対応するゲインを導出するゲイン設定手段と、
前記ゲイン設定手段により導出された前記ゲインと、前記熱余裕指標の、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける目標値と実績値との偏差とを掛けた値だけ、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルの前記送風期間の終了時における前記珪石煉瓦の所定の位置の温度を変更した値を、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの前記送風期間の終了時における前記珪石煉瓦の前記所定の位置の温度の目標値である珪石煉瓦目標温度として導出する珪石煉瓦目標温度導出手段と、
前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおける前記送風期間の終了時の前記蓄熱煉瓦の前記所定の位置の温度が、前記珪石煉瓦目標温度導出手段により導出された前記珪石煉瓦目標温度を下回らないように、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおける前記燃焼期間内に投入する投入熱量を導出する投入熱量導出手段と、を有し、
前記ゲイン設定手段は、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和の絶対値から、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和の絶対値を減算してそれらの変化量を導出し、当該導出した変化量に応じて予め決められている前記ゲインの変更量を現在の前記ゲインに加算して前記ゲインを更新することを特徴とする熱風炉制御計算装置。 - 前記熱余裕指標偏差導出手段により導出された、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける前記偏差が所定の範囲内にあるか否かを判定する変更判定手段を更に有し、
前記ゲイン設定手段は、前記変更判定手段により、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける前記偏差が所定の範囲内にあると判定されると、前記ゲインを0(ゼロ)に設定し、前記変更判定手段により、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける前記偏差が所定の範囲内にないと判定されると、前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和に対応するゲインを導出することを特徴とする請求項1に記載の熱風炉制御計算装置。 - 連続する2つのサイクルのうち、後のサイクルにおける前記偏差の和の絶対値から、前のサイクルにおける前記偏差の和の絶対値を減算した値である変化量と、前記ゲインの変更量との関係を記憶するゲイン−偏差和関係記憶手段を更に有し、
前記ゲイン設定手段は、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和の絶対値から、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出手段により導出された前記偏差の和の絶対値を減算してそれらの変化量を導出し、当該導出した変化量に応じた前記ゲインの変更量を、前記ゲイン−偏差和関係記憶手段により記憶された前記関係から導出し、当該導出した前記ゲインの変更量を現在の前記ゲインに加算して前記ゲインを更新することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱風炉制御計算装置。 - 前記過去n(nは2以上の整数)サイクルは、連続するサイクルであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の熱風炉制御計算装置。
- 前記熱風炉は、前記蓄熱煉瓦を有する蓄熱室と、前記蓄熱煉瓦に前記燃焼ガスを供給する燃焼室と、前記蓄熱煉瓦から前記燃焼室を介して送られた熱風と当該熱風の温度を調整するための冷風とを混合する混冷室と、を有し、
前記熱余裕指標は、前記混冷室に送られる前記熱風の温度を調整するための冷風の前記混冷室への流入量を調整するための弁の、前記送風期間の終了時における開度であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の熱風炉制御計算装置。 - 前記熱風炉は、前記蓄熱煉瓦を有する蓄熱室と、前記蓄熱煉瓦に前記燃焼ガスを供給する燃焼室と、を有し、
前記熱余裕指標は、前記送風期間内の一部の期間であって当該送風期間の終了前の所定期間における燃焼室出口温度偏差の平均値、または、前記燃焼期間の終了時における排ガスの温度であり、
前記燃焼室出口温度偏差は、燃焼室出口温度から、送風温度の目標値を減算した値であり、
前記燃焼室出口温度は、前記燃焼室の出口における熱風の温度であり、
前記排ガスは、前記蓄熱煉瓦を通過した後の前記燃焼ガスであり、前記熱風炉の外部に排出されるガスであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の熱風炉制御計算装置。 - 前記熱風炉は、前記蓄熱煉瓦を有する蓄熱室と、前記蓄熱煉瓦に前記燃焼ガスを供給する燃焼室と、を有し、前記蓄熱煉瓦から前記燃焼室を介して送られた熱風と当該熱風の温度を調整するための冷風とを混合する混冷室を有しておらず、
前記熱余裕指標は、前記送風期間の終了時における送風温度であり、
前記送風温度は、前記送風期間において同時に高炉に供給される熱風全体の温度であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の熱風炉制御計算装置。 - 燃焼ガスにより珪石煉瓦を含む蓄熱煉瓦を加熱して蓄熱する燃焼期間と、当該蓄熱煉瓦に冷風を通して当該蓄熱煉瓦との熱交換により熱風を生成して高炉に供給する送風期間とを含む期間を1サイクルとして稼働する熱風炉を制御するための計算を行う熱風炉制御計算方法であって、
前記珪石煉瓦における残熱量の指標である熱余裕指標の、前記燃焼期間内に前記熱風炉に対して投入する熱量である投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける目標値と実績値との偏差を導出する熱余裕指標偏差導出工程と、
前記熱余裕指標偏差導出工程により導出された前記偏差の和であって、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルを含む過去n(nは2以上の整数)サイクルにおける前記偏差の和を導出する熱余裕指標偏差和導出工程と、
前記熱余裕指標偏差和導出工程により導出された前記偏差の和に対応するゲインを導出するゲイン設定工程と、
前記ゲイン設定工程により導出された前記ゲインと、前記熱余裕指標の、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおける目標値と実績値との偏差とを掛けた値だけ、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルの前記送風期間の終了時における前記珪石煉瓦の所定の位置の温度を変更した値を、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの前記送風期間の終了時における前記珪石煉瓦の前記所定の位置の温度の目標値である珪石煉瓦目標温度として導出する珪石煉瓦目標温度導出工程と、
前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおける前記送風期間の終了時の前記蓄熱煉瓦の前記所定の位置の温度が、前記珪石煉瓦目標温度導出工程により導出された前記珪石煉瓦目標温度を下回らないように、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおける前記燃焼期間内に投入する投入熱量を導出する投入熱量導出工程と、を有し、
前記ゲイン設定工程は、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出工程により導出された前記偏差の和の絶対値から、前記投入熱量の導出の対象となるサイクルの1つ前のサイクルにおいて前記熱余裕指標偏差和導出工程により導出された前記偏差の和の絶対値を減算してそれらの変化量を導出し、当該導出した変化量に応じて予め決められている前記ゲインの変更量を現在の前記ゲインに加算して前記ゲインを更新することを特徴とする熱風炉制御計算方法。 - 請求項1〜7の何れか1項に記載の熱風炉制御計算装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
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