JP7056985B1 - 飛沫感染防止装置および飛沫感染防止装置を有する歯科診療装置 - Google Patents
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Abstract
Description
集団感染の共通点は、「換気が悪く」、「人が密に集まって過ごすような空間」、「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」であり、特に医療現場では集団感染が起こりやすい。
新型コロナウイルスは飛沫感染、接触感染で感染することに加えて、水分が蒸発した「飛沫核」となって漂う空気感染が生じる可能性が存在する。
特に歯科の医療現場では、歯科医師や衛生士が患者の口を開けた状態で接近して治療を行うため、患者からの飛沫の影響を受けやすい。また、患者からの飛沫は患者周囲の診療器具に直接付着したり、落下して付着したり、或いは間接的に付着するため、病院関係者だけでなく、シートや器具に付着した飛沫物は他の患者への感染ルートとなってしまう。
[歯科診療ユニット1]
まず、図21を用いて実施形態の飛沫感染防止装置を有する歯科診療ユニット1の全体の構成について説明する。
歯科診療ユニット1は、患者Kを着座または仰臥させる診療椅子2と、術者Dが着座するキャスタ付きのドクタチェア3(図示省略)と、ドクタテーブル103とを備える。また、歯科診療ユニット1は、アシスタント用インスツルメントハンガ104、無影灯14および、うがい用のコップ受けを有するスピットン106等を備えている。このうち、無影灯14は、支持アーム6の装着部を介して支持ポール105に支持されている。
また、インスツルメント9jはホース9l(エル)でドクタテーブル103の下部に接続されており、インスツルメント9jは着脱可能なハンドピース9kを有し、ハンドピース9kはオートクレーブ滅菌可能になっている。
図1、図21に示すように本発明の実施形態の飛沫感染防止装置20は、飛沫の飛散を防止する飛沫飛散防止部10と、飛沫飛散防止部10を患者Kと術者Dとの間に支持する支持部とを備える。より具体的には患者Kの口腔および鼻孔と、術者Dの顔面との間に飛沫飛散防止部10を支持する支持部を備える。
飛沫飛散防止部10は、後述するように少なくとも一部が透過により外部から内部を視認可能であって、内部に患者の頭部を収容する空間を形成する飛散防止カバー7を有する。
飛沫飛散防止部10を支持する支持部は、歯科診療装置を構成する部材または前記部材に装着されているアームからなる。
アームは、歯科診療装置を構成する部材である無影灯の支持ポール105に装着された支持アーム6から構成される。
また、アームはドクタテーブル103を支持するテーブル支持ポール103aや、アシスタント用インスツルメントハンガを支持するテーブル支持ポール105b、あるいは診療椅子2のヘッドレスト2a、背板2b、座部2cの台座に装着された支持アーム6(図示省略)から構成されてもよい。
また、歯科診療装置を構成する部材は、図11、図12、図16、図17に示すようにヘッドレスト2aであってもよい。
さらに、図22に示すように、飛沫飛散防止部10を支持する支持部は、キャスタ8aによって患者頭部KH方向に移動可能な移動台8によって構成されていてもよい。
さらにまた、図23に示すように、支持アーム6に変えて、歯科診療ユニット1に併設した口腔外バキューム装置4の吸引アーム6Aを用いて飛沫飛散防止部10を支持するように構成してもよい。
本発明の飛沫感染防止装置20は、特に歯科診療ユニット1に設けることによって術者Dへの感染を防止し、歯科スタッフや、患者K以降に受診する患者NKへのウイルスのクラスタ感染を防止する上で安全な診療を提供することが可能となる。
本実施形態の飛散防止カバー7(飛沫感染防止カバーともいう)は、中空の略直方体形状で患者Kの頭部KHを収容する空間Cを有している。飛散防止カバー7は頭部KHの収容する方向によって解放面を設けてある。
また、図1や図22に示すように、飛散防止カバー7を移動台8で支持する場合、例えば、空間Cを患者Kの頭部KHの頭頂方向から患者Kの頭部KHを支える診療椅子2のヘッドレスト2aごと導入する場合(図22の白抜き矢印方向に導入する場合)などでは、飛散防止カバー7の患者導入方向のカバー面を開放してカバーを設けない。
そして、診療椅子2の空間Cを患者顔面方向から導入する場合(図21や図23の白抜き矢印方向に導入する場合)、例えば図23に示すように、飛散防止カバー7が口腔外バキューム装置4の吸引アーム6Aに支持されている場合、図21に示すように歯科診療ユニット1の無影灯14を支持する支持ポール105に装着された支持アーム6に支持されている場合、あるいは無影灯14や口腔観察用カメラ(9h)に支持されている場合には、飛散防止カバー7の底面側を開放してカバーを設けない。
また、上記のようにカバーを設けないのではなく切れ込みの入ったシート状の素材にしたり、柔らかいビニール素材にしたりすることで、患者胸部側からの飛沫飛散を極力防止することができる。
さらに図2に示すように、患者Kの胸部側の飛散防止カバーを患者Kの胸部の形状に沿うようにカバーを切欠いて切欠部7bを形成してもよい。
なお、飛散防止カバー7は、二重構造の方がよく、しかも、内層はディスポ、外層は清拭可能なもので、診療終了後に滅菌可能なものが望ましい。
例えば、前記板材の患者側内層に市販のラップのような交換可能なフィルムを添着させ、患者Kの診療終了後には、内層のフィルムは破棄し、外層の板材は、アルコール等の消毒液で拭きとり、飛散防止カバー7ごと紫外線照射等で滅菌処理を行なうことが望ましい。
本実施形態の飛散防止カバー7は、少なくとも一部が透過により外部から内部を視認可能であって、術者Dから透過により空間C内に位置する患者Kの口腔Mを視認可能としている(図3参照)。なお、本実施形態では、飛散防止カバー7の五つの側面の全てが透明に構成されている。しかしながら、特にこれに限らない。たとえば、飛散防止カバー7の一部が透明であってもよく、少なくとも一部の透明部分を透過させて内部の患者Kの頭部KH、特に口腔Mが視認できればよい。
本実施形態の飛散防止カバー7によって形成される空間Cの内部には、空間Cの内部の空気を所望の方向に送風する空気流発生部11が設けられている(図1参照)。
空気流発生部11は、送風装置によって空気の流れを発生させる方法と、吸引装置によって空気の流れを発生させる方法と、その二つを併用させる方法がある。
また空気流発生部11は送風装置や吸引装置の他、後述する飛沫集塵部、気液分離装置、消毒液通過装置を設けてもよい。
送風装置としては、歯科診療装置で使用される圧縮空気が使用される。圧縮空気は通常診療室外に設けられたコンプレッサーによって各診療装置に供給され、エアタービンを回転したり、切削中の粉塵などを飛ばすために用いられる。
コンプレッサーによって各診療装置に供給される圧縮空気は、図2に示すように送風ノズル11aから送出することによりエアを供給する送風装置として使用することができる。圧縮空気を使用した空気流発生部11は、送風管11bに流量調整弁を設けて送風量を任意に調整してもよい。
また、空気流発生部11の送風装置としては、圧縮空気に換えてモータ回転によるファンを使用してもよい。この場合送風量の調整はファンの回転数を可変することで任意に調整可能である。
なお、送風装置と吸引装置とはそれぞれ単独で使用してもよいし、併用して使用してもよい。
図2の空気流発生部11は、送風装置として歯科診療装置からの圧縮空気を送風管11bに供給し、先端に設けられた送風ノズル11aから送風可能な構成になっている。
送風ノズル11aは、飛散防止カバー7の天板から斜め下方に挿通されている。送風ノズル11aは、先端の開口方向を調整することにより接続開口7cに向けて送風管11bから送られてくる空気を送出することができる。
このため、空間Cの内部の空気流は、診察中の患者Kの口腔Mから生じる飛沫を巻込みながら接続開口7cに到達する。
したがって、診療中の切削等により生じた飛沫は、術者Dの方向へ飛散することなく、接続開口7cに接続された吸引アーム6Aの先端6aから口腔外バキューム装置4によって吸引される。
また、送風装置のみを使用し接続開口7cから空気流を空間Cから放出してもよい。 さらに、接続開口7cに図示しない排気用のダクトを接続し、診療室外に放出してもよい。
そして、吸引装置のみを使用し、空間C内の空気を接続開口7cに接続された吸引装置のバキュームノズル装着部6bを通して吸引してもよい。
これにより、空間Cの内部に送風ノズル11aから送出された空気流によって飛ばされた飛沫が吸込口部材まで運ばれる。受け皿形状の吸込口部材は、さらに効率よく広い範囲で飛沫を吸引して口腔外バキューム装置4に収集することができる。
次に実施形態として支持部をキャスタによって移動可能な移動台8とした例を説明する。
図1に示すように、本実施形態の飛散防止カバー7は、側面視略台形で、天板面が術者D側から患者K側に向けて高くなるように傾斜している。
飛散防止カバー7は、カート移動部としての移動台8によって下面側から支持されている。移動台8には、キャスタ8aが複数設けられている。そして、これらのキャスタ8aを転動させる。これにより、飛散防止カバー7は少ない力で診察室内を自在に移動できる。
このため、飛散防止カバー7として複数の枠材に透明フィルムを添着するタイプや、各透明の面状部材を組合わせて箱型の飛散防止カバー7を形成するタイプおよびこれらの組合わせタイプの何れかのタイプが所定の重量を有していても、移動台8により飛散防止カバー7を患者Kの頭部KHを覆う位置まで容易に移動させることができる。
また、筐体5からは、吸引アーム6Aが延設されている。吸引アーム6Aは、複数の関節を有して回動および屈曲可能に形成されている。
吸引アーム6Aの内部には、吸入管が配設されている。吸入管は、吸引アーム6Aの先端6aに吸引口を開口形成している。吸引口は、吸入管を介して口腔外バキューム装置4に連通されている。
そして、吸入管は、吸引アーム6Aの屈曲に伴って屈曲して、吸引口から吸引した飛沫を口腔外バキューム装置4に集塵するように構成されている。
吸引アーム6Aの先端6aにて開口する吸引口の周囲には、バキュームノズル装着部6bが設けられている。バキュームノズル装着部6bは、必要に応じてバキュームノズル(図示省略)を装着して飛沫飛散防止部10の接続開口7cを通過して口腔近傍に配置する。
または、図1に示すようにバキュームノズル装着部6bを前記接続開口7cに装脱着可能としてもよい。この場合、飛沫飛散防止部10内の空気を飛散防止カバー7に沿って効率よく吸引することができる。
この場合は、図1の飛散防止カバー7は、吸引アーム6Aによって支持されるので移動台8は不要である。また接続開口7cは、飛沫飛散防止部の重量を支えられる強度のある構造とし、バキュームノズル装着部6bと接続することで吸引アーム6Aによって飛散防止カバー7を吊り下げて支持する。
本実施形態の飛沫飛散防止部10は、遠紫外線C波発生装置12を有している。遠紫外線C波発生装置12は、飛散防止カバー7の下側(患者K側)に配置されている。
本実施形態の遠紫外線C波発生装置12は、光軸の方向を調整可能に設けられている。そして、遠紫外線C波発生装置12は、患者Kの口腔Mに向けて斜めに遠紫外線C波を照射可能としている。
本実施形態の遠紫外線C波発生装置12は、飛散防止カバー7に一体的に設けられている。このため、遠紫外線C波発生装置12は、治療中の感染した患者Kからの飛散あるいは治療前後の診療器具に付着した飛散物に対して、遠紫外線C波を使って殺菌することが可能になる。遠紫外線C波発生装置12は、その波長域を発光する発光源として、エキシマランプまたは、紫外線LEDの何れか一方もしくは両方が使用される。
また、遠紫外線C波発生装置12は、必ずしも飛散防止カバー7に一体的に設けられなくともよく、無影灯14に一体にあるいは近傍に設けてもよい(図14参照)。また、飛散防止カバー7の外側から患者照明光源と共に、患者Kの口腔M及び鼻孔に照射してもよい。その場合、飛散防止カバー7は、遠紫外線C波が透過可能なフッ素樹脂、石英ガラス、ポリエチレン、アクリルの少なくとも一つを含む素材や、フッ素を含有したウレタンアクリレート等の化合物であることが望ましい。なお、遠紫外線C波を照射しながら診療を行う際は、患者Kにはゴーグルの装着を推奨する。
さらに、本実施形態の飛沫飛散防止部10は、クラスタイオン発生装置13を有している。
クラスタイオン発生装置13は、バキュームノズル装着部6bの吸引口近傍、例えばバキュームノズル装着部6bの上部で飛散防止カバー7の吸引アーム6A側の内側面に沿って配置されている。
また、クラスタイオン発生装置13は、飛散防止カバー7の内部に設けずに空気流発生部11の送風装置に設け、空気流にクラスタイオンを混ぜて送風ノズル11aから送出してもよい。また送風ノズル11aはバキュームノズル装着部6bの吸引口近傍に設けてもよい。
クラスタイオン発生装置13は、平板状電極の表面に電極を形成する。そして、平板状電極と電極との間に交流高電圧を印可する。これにより、表面にプラズマ放電状態が形成される。プラズマ放電は、大気中の分子にエネルギを付与して分子を電離または乖離させる。
特に、新型コロナウイルスのようなウイルスの表面に正イオンと負イオンとが付着、凝集するとOH(水酸化ラジカル)に変化する。OHは、ウイルスのスパイクタンパク(表面タンパク)を分子レベルで破壊する。これによりウイルスが体内に侵入しても感染しないようになる。
図2に示すように、飛散防止カバー7の左,右側面7L,7Rには、一対の腕挿入口7a,7aが開口形成されている。腕挿入口7aは、術者Dの腕を飛散防止カバー7の内部に挿入可能な大きさで略円形に形成されている。
腕挿入口7aは、透明フィルムや可撓性を有する材質で腕挿入口7aの周囲を覆うように構成される。これにより、術者Dの腕廻りに腕挿入口7a周縁の透明フィルムが密着して、飛散防止カバー7の外に飛沫等が拡散することを抑制できる。
なお、腕挿入口7a,7aの形状は略円形に限られない。たとえば、切込みや所定幅で開口する切り欠きあるいは、略矩形、略方形もしくは半円形等の挿通口によって構成されていてもよい。特に左側面7Lの腕挿入口7aはセメント等の器材の受け渡しの為に四角形の方が望ましい。
さらに、腕挿入口7aは、術者Dの腕が挿入された状態で隙間を塞ぐ伸縮性の材料で少なくとも周縁部を構成してもよい。また、短冊状の遮蔽膜を重ねて設けてもよい。さらに、腕挿入口7aの周縁部がのれん状に形成されていてもよい。また、腕挿入口7aにあらかじめ取り付けられた手袋形状の材料に腕を挿入してもよい。
そして、腕挿入口7aは術者用だけではなく衛生士やアシスタント用に複数設けてもよい。衛生士やアシスタント用に設けられた腕挿入口7aは、術者Dの補助としてバキュームチップ(図示省略)を使った術野のバキューム操作を行うために有効である。
[気液分離装置]
そして、飛散防止カバー7のうち、術者Dの位置とは反対側の側面には、患者Kの胸部の形状に沿うように切欠かれた切欠部7bが形成されている。
切欠部7bの上方には、吸引アーム6Aの先端6aが挿入されて、口腔外バキューム装置4の吸引口を接続する接続開口7cが形成されている。なお、口腔外バキューム装置4に換えて歯科診療ユニット1に搭載されている口腔内バキューム装置の吸引口(図示省略)を接続開口7cに接続してもよい。この場合、歯科診療ユニット1に予め搭載されている気液分離装置(セパレータ)への接続が可能で、セパレータにより集塵物を気体と分離して廃棄することができる。
また、空気流発生部11の空気の流れ(空気流)の通過途中に飛沫集塵部6cを設けてもよい。
飛沫集塵部6cは患者ごとに使い捨て可能な不織布や、飛沫を集塵可能な素材のフィルタを設けて、空気の流れ方向に袋状に集塵可能な構造とし、治療後に回収し廃棄する。或いは飛沫吸塵部6cに溜まった飛沫物や飛沫液体をバキューム装置に接続して吸引するようにしてもよい。
たとえば空気流発生部11が吸引装置で空気流を発生させる場合は、空気流の通過途中である吸引アーム6Aの先端6aに飛沫吸塵部6cを設ける。また、空気流発生部11が送風装置で空気流を発生させる場合は、空気流の通過途中である接続開口7cに飛沫吸塵部6cを設ける。
[補助テーブル9a]
さらに、図1および図3乃至図6に示すように飛散防止カバー7の内部には、器具を載置するための補助テーブル9aおよび切削具等のインスツルメント(器具)9jを係止する器具保持部としてのインスツルメントホルダ9bが配置されている。
このうち、補助テーブル9aは、空間Cの内部に歯科治療で使用するインスツルメント9j等で使用する交換用の切削バー等を載置できる。また補助テーブル9aは、根管治療のための機器や薬剤を載置してもよい。
補助テーブル9aは、患者導入時の邪魔にならない位置に移動可能な補助アームに支持させて、患者Kの口腔Mの高さ位置より低い位置に配置することが望ましい。さらに、作業物が口腔に落ちることなく口腔Mに移動し易い位置であればよい。また、術者Dの利き腕側(主に右手側)は、治療の際に邪魔になるので、邪魔にならないように術者Dの利き腕の反対側(主に左手側)領域への配置が望ましい。さらに、患者Kの導入の際に邪魔にならない位置であれば、診療椅子2の側面あるいは、飛散防止カバー7の内側面にインスツルメントホルダ9bを固定して設けてもよい。
なお、インスツルメントホルダ9bの高さ位置は、ヘッドレスト2aの患者頸椎載置面の高さ±100mmの範囲であればなおよく、患者Kの視界に入らず治療の際に口腔Mに移動し易い位置であればよい。また、インスツルメントホルダ9bは空間Cの内部であれば患者導入時の邪魔にならない位置に移動可能な補助アームに支持させて設けてもよい。
なお、ハンドピース9kのホース9lはビニールのホースカバー(図示省略)で覆って使用し、治療が完了した時点で、ハンドピース9kとビニールは飛沫感染防止カバー内で外し、補助テーブル9aに載せ、飛沫感染防止装置ごと移動し、移動先(換気のよいところ)でハンドピースは滅菌器へ、手袋や、内層カバー、ホースカバーは廃棄処理が可能である。
図2に示すように、開放窓7dは飛散防止カバー7の天板や天幕に設けられ、患者Kの顔を確認し会話ができるように天板や天幕の一部または全部を開放可能にする。電動モータを使った開放窓駆動機構7eを設け開閉スイッチ7fの操作で開放窓7dの開閉を自動で行ってもよいし、手動でスライドしたり、ビニール等でできた天幕の一部をめくるようにしてもよい。
また、患者Kの気分不良や体調変化への対応が可能なように、緊急スイッチ7gを設けることが望ましい。緊急スイッチ7gは、術者Dやアシスタントが直ぐに押せるように、飛沫飛散防止部10やドクタテーブル103(図3参照)等に設けることが好ましい。緊急スイッチ7gは治療中の器具を安全に止める動作の他、飛沫飛散防止部10すなわち飛散防止カバー7に設けられた開放窓7dを開放する処置が施される。
さらに、図1に示すように、飛散防止カバー7の内部にさらに補助照明光を照光する補助LED9cが設けられていてもよい。補助LED9cによる照明光によって患者Kの口腔M周縁の影となって見えにくい部分が直接照明される。このため、さらに術者Dは、治療効率を向上させることができる。
そして、飛散防止カバー7の内部に患者癒し部としてスピーカ9d,マイク9e,アロマディフューザ9f等の患者癒し装置を配置してもよい。
ここで、患者癒し部とは、治療中の患者K、特に飛散防止カバー7の中に頭部KHが収容されている患者Kの視覚、聴覚、または嗅覚に働きかけて、癒し(リラックス)効果を与えることができる光学効果、音、匂いを発生させる装置のことである。
[アクティブ消音]
たとえば、光学効果として補助LED9c点灯の際は、メインの無影灯や照明の光量を減少させて患者Kの周辺光量を落ち着ける明るさとすることが出来る。
また、スピーカ9dから患者Kがリラックスできる癒し音楽を流すことができる。さらに、患者Kがタオル等により顔を覆われると、歯の治療の切削音が気になる場合がある。このような場合、口腔Mよりも耳に近いスピーカ9dから癒し音楽を流すことで、切削音が聞こえにくくなる。
また、切削音をマイク9で拾ってマイク音とは逆位相の音をスピーカ9dで発生させるアクティブ消音装置を設けてもよい。
さらに、アロマディフューザ9fとしてネプライザ式のディフューザを用いることにより、エッセンシャルオイルを空気微粒子に変換して、飛散防止カバー7内に程よく拡散させることができる。患者Kの嗜好に合わせた香りを拡散させると、飛散防止カバー7による圧迫感を抑制して不安を取り除くリラックス効果を発揮させることができる。
また、補助LED9cと、スモーク発生装置9gとを用いて飛沫物可視化装置を構成することができる。飛沫物可視化装置は、飛散防止カバー7の内部に生じた飛沫物を可視化できる。
この際、口腔観察用カメラ9hとして微粒子可視化カメラを用いることにより、モニタ装置9iに可視化された飛沫物を映し出すようにしてもよい。
また、スピーカ9d、マイク9eも飛散防止カバー7の外部に設け、カバーの外から音を拾ったり伝えたりしてもよい。或いは飛散防止カバー7の一部に外から直接振動を与えて音を発生させたり拾ったりしてもよい。
このように、飛散防止カバー7内に癒し機材を置かずに、凹凸を減らすことで内層をアルコールなどで消毒し易くすることができる。また、患者Kへの圧迫感や閉塞感を減らすことができる。
[表示装置]
また、飛散防止カバー7の外部には、口腔観察用カメラ9hおよび表示装置としてモニタ装置9iが設けられている。そして、口腔観察用カメラ9hで撮像された口腔周囲の映像は、モニタ装置9iに映し出される。このため、術者Dは異なる角度から口腔内を視認することができる。
次に、本実施形態の歯科診療ユニット1の作用効果について説明する。
このように構成された本実施形態の歯科診療ユニット1は、図3に示すように、術者Dの顔と、患者Kの口腔Mとの間に、透明な部分を有する飛散防止カバー7が設けられている。飛散防止カバー7は、術者Dから透過により患者Kの口腔Mを視認可能とする。
このため、飛散防止カバー7の透明な部分を介して術者Dは、患者Kの口腔M内を見ながら診療できる。また、診療中に生じる飛沫は、飛散防止カバー7によって遮られて、術者Dに到達しない。
本実施形態では、飛散防止カバー7の反対側で吸引口側の内側面に沿って、飛沫飛散防止部10のクラスタイオン発生装置13が設けられている。クラスタイオン発生装置13は、プラズマ放電により生じたクラスタイオンを口腔外バキューム装置4による吸引方向とほぼ直交する方向に患者Kへ向けて発生させる。
このため、患者Kの飛沫のウイルスは、遠紫外線C波の照射を受け、かつ、吸引口から口腔外バキューム装置4によって吸引される際にクラスタイオンに晒される。ウイルスは、飛沫とともにまたは、飛沫核およびエアロゾル(以下、飛沫等ともいう)として、口腔外バキューム装置4によって集められて、所定の感染防止策を施されて処分される。
また、クラスタイオン発生装置13は、患者Kの診療後に、口腔外バキューム装置4等の吸引を止めてクラスタイオンを発生させることで、飛沫飛散防止部10の内層を殺菌することが可能である。
このため、これらの装置が飛沫に接触する可能性を減少させることができる。
また、図3に示すように、インスツルメントホルダ9bを飛散防止カバー7の内側の空間C内に配置している。このため、術者は、汚染されたインスツルメント9jをインスツルメントホルダ9bに係止させて、腕のみを腕挿入口7aから引き抜くことができる。したがって、飛散防止カバー7の外部への飛沫の拡散を抑制できる。
さらに、飛散防止カバー7によって患者Kの飛沫が直接、術者Dにかかることがない。したがって、飛散防止カバー7越しに口腔M内を近距離で見ながら診療でき、診療効率を向上させることができる。
よって、本実施形態では、歯科診療ユニット1に用いて好適なウイルス感染防止装置およびウイルス感染防止装置を有する歯科診療ユニット1が提供される。
飛散防止カバー7には、術者Dから見て右側の側面7Rに腕挿入口7a、左側の側面7Lに腕挿入口7bが設けられている。このため飛散防止カバー7の左右幅を比較的小さくすることが可能で、術者Dは、患者Kの頭部KHの側方から診療を行うことができる。
図4は、本実施形態の第一変形例の飛散防止カバー17を説明する上面図である。
なお、上記実施形態と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略する。
第一変形例の飛散防止カバー17には、術者D側の側面17Uに、左,右一対の腕挿入口17a,17bが設けられている。
このため、術者Dは、左,右の腕の挿入方向が略平行に揃いさらに自然な姿勢で診療を行うことができる。
他の構成および作用効果については前記実施形態と同一乃至均等であるので説明を省略する。
図5は、本実施形態の第二変形例の飛散防止カバー27を説明する上面図である。
なお、上記実施形態および第一変形例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略する。
第二変形例の飛沫飛散防止部としての飛散防止カバー27には、術者D側の側面7Uと右側面7Rとに跨って右腕を挿入する腕挿入口17cが開口形成されている。
このため、術者Dは、左,右の腕の挿入方向をハの字として自然な姿勢で診療を行うことができる。また、腕挿入口17cを腕挿入口17bと比較して大きく設定することにより、インスツルメント9jを操作する右腕の可動域を大きくすることができる。
他の構成および作用効果については前記実施形態と同一乃至均等であるので説明を省略する。
図6は、本実施形態の第三変形例の飛散防止カバー37を説明する上面図である。
なお、上記実施形態および第一,二変形例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略する。
第三変形例の飛沫飛散防止部としての飛散防止カバー37には、術者D側の側面17Uに、左,右一対の腕挿入口17d,17eが設けられている。
このため、術者Dは、患者Kの頭部KHの側方から診療を行うことができる。
他の構成および作用効果については前記実施形態および第一,二変形例と同一乃至均等であるので説明を省略する。
[消毒液通過装置114]
図7は、本実施形態の第四変形例の歯科診療ユニット101を説明する模式的な側面図である。
なお、上記実施形態および第一~三変形例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略する。
第四変形例の歯科診療ユニット101は、飛散防止カバー7を支持する台車108に口腔外バキューム装置112と、口腔外バキューム装置112の前段に位置する消毒液通過装置114とを備えている。
なお、口腔外吸込口124は、第四変形例の歯科診療ユニット101の構成に限定されるものではない。たとえば、屈曲自在のホース先端に設けることで正確に口腔M方向に口腔外吸込口124を向けて飛沫の拡散を抑制することができる。すなわち、飛散防止カバー7の内部に配置されるものであれば、形状、数量、および開口方向はどのように構成されていてもよい。
消毒液通過装置114は、密閉空間からなり、密閉空間内の一部に消毒液を満たし、導入管路116,118の一端はフィルタ117,119とともに消毒液内に漬けられている。
吸引切換え弁125は、開閉によりヘッドレスト吸込口122または口腔外吸込口124が消毒液タンク120内に対して選択的に連通するように切換える。ここでは、吸引切換え弁125が管路を開閉する電磁弁で構成され、どちらかの開閉が可能に設けられている。なお、吸引切換え弁125は、ヘッドレスト吸込口122および口腔外吸込口124が消毒液タンク120内に同時に連通するように切換えられるように構成してもよい。
そして、口腔外バキューム装置112の吸引作用により消毒液タンク120内の密閉空間内が陰圧になり、導入管路116,118を介してヘッドレスト吸込口122または口腔外吸込口124から吸引された患者Dの飛沫を含む空気流が消毒液内に吸引される構造としている。
これにより、出力管路126は、消毒液タンク120内で消毒された空気流を口腔外バキューム装置112が吸出されるように構成されている。
なお、口腔外バキューム装置112は、内部または外部に真空ポンプ装置および制御装置(図示せず)を設けている。なお、口腔外バキューム装置112に空気流発生源として気液分離装置を設けてもよい。
そして、口腔外吸込口124と連動して作動させた場合は、空間C内の空気流を術者D側から二股に分割して術者Dと反対方向と患者の頭部KHの下方の2方向に流れるように制御できる。
更に、口腔外吸込口124のみを作動させた場合は、空間C内の空気流を術者Dの反対方向に流れるように制御できる。このように吸引切換え弁125の操作によって空気流の方向を任意に切換えることができる。なお、吸引切換え弁125の操作は、飛沫感染防止装部10に設けられた操作スイッチ(図示省略)や、歯科診療ユニット1のドクタテーブル103に設けられた操作スイッチ(図示省略)によって行われる。
[遮蔽カプセル40]
図8は、実施形態の第五変形例の歯科診療ユニットで飛沫飛散防止部として半球形に構成された透明の遮蔽カプセル40の模式図である。
なお、図5,6に示す歯科診療ユニットと同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略する。
半球形の透明の遮蔽カプセル40は、左,右側面に一対の腕挿入口40a,40bが開口形成されている。また、他側面の一部には、丸穴状の接続開口40cが形成されている。接続開口40cには、前記実施形態と同様にバキュームノズル装着部6bを挿通或いは接続される。
このように構成された遮蔽カプセル40は、患者Kに与える心理的な圧迫感が少なく、飛沫等の遮蔽性も良好である。
他の構成、および作用効果は、図1~3に示す歯科診療ユニット1の飛散防止カバー7と同一乃至均等であるので説明を省略する。
なお、腕挿入口40a,40b,接続開口7cおよび空気流発生部11に含まれる接続開口40cの配置は、第五変形例の記載に限定されるものではなく、角度や高さ位置は何れの部分に設定されていてもよい。このため、以後に記載される第六~十五変形例では、腕挿入口40a,40b,接続開口7cおよび空気流発生部11の記載を省略している。しかしながら、実施形態の飛散防止カバー7と同様に任意の角度や高さ位置を必要に応じて任意に設定することができる。
[カーテン状の透明遮蔽部材51]
図9は、実施形態の第六変形例の歯科診療ユニットで、飛沫飛散防止部として方形形状の枠体50に、カーテン状の透明遮蔽部材51を釣下げた構成を説明する模式的な斜視図である。
飛沫飛散防止部の支持部は、無影灯14の支持ポール105に装着されている支持アーム6である。
なお、図1~3に示す歯科診療ユニット1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略する。上面となる枠体50の内側は、透明遮蔽部材51と略同じ材質の透明天膜52によって覆われている。
また、透明遮蔽部材51を細かい網目状なカーテンとし、この網目に微弱な電流を流し、空中で帯電している飛沫の微粒子を絡めとるようにしてもよい。
他の構成、および作用効果は、図1~3に示す歯科診療ユニット1の飛散防止カバー7と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
[方形形状の枠体55]
図10は、実施形態の第七変形例の歯科診療ユニットを示している。第七変形例の歯科診療ユニットは、飛沫の飛散を防止する飛沫飛散防止部として方形形状の枠体55を有する移動台8を用いる。第七変形例では、飛沫飛散防止部の支持部は、移動台8である。
枠体55には、カーテン状の透明遮蔽部材51が周囲に釣下げられている。また、枠体55の上面側は、透明天膜52によって覆われている。天幕52は透明なフィルムであってもよいし、透明なアクリル板のような材料であってもよい。
なお、図9と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明を省略する。
他の構成、および作用効果は、図1~3に示す歯科診療ユニット1の飛散防止カバー7と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
[透明遮蔽ボックス61]
[使い捨てフィルム34]
図11は、実施形態の第八変形例の歯科診療ユニットで、飛沫の飛散を防止する飛沫飛散防止部としての透明遮蔽ボックス61の構成を説明する模式的な斜視図である。第八変形例では、飛沫飛散防止部の支持部は、診療椅子のヘッドレスト2aである。
診療椅子2の枕元には、平箱状の枕箱62が備えられている。枕箱62からは、上方に向けてそれぞれ回動可能となるようにロッド状の前,後傾斜支柱63,64が揺動可能に軸支されている。
直方体形状の透明遮蔽ボックス61は、前,後傾斜支柱63,64によって張設された交換可能な透明使い捨てフィルム34によって覆われている。
他の構成、および作用効果は、前記各実施形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。透明使い捨てフィルム34は市販のロール状に巻かれたラップをそのまま枕箱内に収納してもよい。
[透明円筒部材71]
図12は、実施形態の第九変形例の歯科診療ユニットを示している。第九変形例の歯科診療ユニットは、飛沫飛散防止部としての楕円筒形状の透明円筒部材71を有している。第九変形例では、飛沫飛散防止部の支持部は、診療椅子のヘッドレストである。
透明円筒部材71は、診療椅子2の首元で左,右に配置された連結支持部73に、それぞれ環状に左,右一対のリング状枠体74,74が張設されている。
連結支持部73の下方には、軸方向を左,右方向へ沿わせて軸部材72が回転可能に設けられている。軸部材72には、透明使い捨てフィルム34が巻かれている。透明使い捨てフィルム34は、ヘッドレスト2a越しに上方に向けて引出し可能とされている。
このように構成された図12に示すものでは、第八変形例の作用効果に加えてさらに、透明使い捨てフィルム34を軸部材72の周囲から引出す。そして、頭頂側から口腔側を覆うようにリング状枠体74,74に沿わせて透明使い捨てフィルム34を巻きつけて、端縁を連結支持部73側に戻して固定する。
これにより、内部を視認可能な透明円筒部材71を形成することができる。透明円筒部材71の左,右側面は、開放されている。このため、術者Dは、腕を透明円筒部材71の左,右両側から挿入できる。
なお、透明使い捨てフィルム34は市販のロール状に巻かれたラップをそのまま軸部材72内に収納してもよい。
また、左,右一対のリング状枠体74は連結支持部73にて支持されているが、飛沫飛散防止部10が不要な時は、リング状枠体74を連結支持部73にて取り外したり、左右一対に開く方向に回転させて退避したりすることができる。
他の構成、および作用効果は、前記各実施形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
[透明遮蔽傘81]
図13は、実施形態の第十変形例の歯科診療ユニットに設けられる飛沫飛散防止部の構成を示すものである。第十変形例では、飛沫飛散防止部として傘状に展開する透明遮蔽傘81を設けている。
飛沫飛散防止部の支持部は、無影灯14の支持ポール105に装着されている支持アーム6である。
透明遮蔽傘81は、基端部82を揺動中心としてそれぞれ先端を離間させる方向に展開される複数の傘骨部材83…と、各傘骨部材83,83間に貼設される透明フィルム84とを有して主に構成されている。透明フィルム84は患者ごとに交換あるいはアルコールなどで消毒して使用する。
他の構成、および作用効果は、前記各実施形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
[透明遮蔽傘85]
図14および図15は、実施形態の第十一変形例の歯科診療ユニットで飛沫飛散防止部10としての透明遮蔽傘85を着脱可能とする構成を説明した模式的な斜視図である。第十一変形例では、飛沫飛散防止部の支持部は、口腔観察用カメラ9hや無影灯14である。
透明遮蔽傘85は、透明材料によって略コーン状に形成されている。透明遮蔽傘85の基端部82は、支持アーム6の先端に固定される口腔観察用カメラ9hに対して、磁石86,87を用いて着脱可能に構成されている。なお、ここでは、透明遮蔽傘85が略コーン状に形成されているが特にこれに限らない。たとえば、透明遮蔽傘81(図13参照)のように傘骨部材83を開閉可能に有するものであっても、透明フィルム84等を設けることにより透明であればよい。
また、透明遮蔽傘85側の磁石87は、基端部82の外側に固定されている。
口腔観察用カメラ9hの磁石86は、筐体の患者K側壁面の内側に装着されている。このため、磁石86に直接飛沫がかからない。したがって、透明遮蔽傘85を着脱してメンテナンス作業を容易に行える。
また、磁石86,87のうち何れか一方を鉄材等の磁石によって磁着可能な金属等で構成してもよい。また磁石は電磁石を使用してもよい。
そして、第十一変形例の透明遮蔽傘85は、図13に示す透明遮蔽傘81と同様に複数の傘骨部材83…を有していてもよい。
さらに、図15に示すように、歯科診療装置からの圧縮空気を送風管11bに供給し、口腔観察用カメラ9hや無影灯14に沿わせて前記送風管11bを透明遮蔽傘85内に供給し、ヘッドレスト2a周囲にヘッドレスト吸込口122を設けてもよい。このようにすることで、透明遮蔽傘85内に供給された空気流が患者Kから発生する飛沫を巻き込みながらヘッドレスト吸込口122に移動し吸引することができる。
また、遠紫外線C波発生装置12を無影灯14や口腔観察用カメラ9hに一体にあるいは近傍に設けてもよい。
第十一変形例では、透明遮蔽傘85の下方は術者Dの両手が十分入る空間があり、術者Dは透明遮蔽傘85越しに患者Kを見ながら、また口腔観察カメラ9hで拡大された根管画像等をモニタ装置9i(図1参照)で観察しながら治療が行え、患者Kもさほど圧迫感を感じない。
他の構成、および作用効果は、前記各実施形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
[開閉透明カバー90]
図16および図17は、実施形態の第十二変形例の飛沫飛散防止部で開閉透明カバー90を説明する模式的な斜視図である。第十二変形例では、飛沫飛散防止部の支持部は、診療椅子2のヘッドレストである。
開閉透明カバー90は、診療椅子2のヘッドレストで左,右方向へ延設される回動軸65aを介してそれぞれ回動可能に接続される複数の骨部材65…と、骨部材65,65間に貼設される透明フィルム91とを有している。透明フィルム91は患者ごとに交換あるいはアルコールなどで消毒して使用する。
これにより容易に診療椅子2に仰臥している患者Kの頭部KHを開閉透明カバー90の透明フィルム91部分によって覆うことが出来る。
透明フィルム91は、ロール状に巻かれたラップ72を回動軸65aの近傍に収納し、引き出して患者Kの頭頂側から口腔側を覆うように上方に貼設し、患者Kの左右側方は透明フィルム91貼設せずに開放して術者Dの腕挿入口としてもよい。
他の構成、および作用効果は、前記各実施形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
[開閉透明カバー95]
図18は、実施形態の第十三変形例の飛沫飛散防止部で開閉透明カバー95を説明する模式的な上面図である。第十三変形例では、飛沫飛散防止部の支持部は、アシスタント側の治療テーブルの支持ポール105bや無影灯用の支持ポール105(図21参照)に装着された支持アーム6(図18参照)である。
開閉透明カバー95は、診療椅子2の上方へ水平方向に移動可能な支持アーム6と、支持アーム6の先端側にそれぞれ水平方向へ扇状に回動可能に接続される複数の骨部材65…と、骨部材65,65間に貼設される透明フィルム91とを有している。
これにより診療椅子2に仰臥している患者Kの頭部KHを開閉透明カバー95の透明フィルム91部分によって容易に覆うことが出来る。透明フィルム91は患者ごとに交換あるいはアルコールなどで消毒して使用する。
他の構成、および作用効果は、前記各実施形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
[落下飛沫物収納シート98]
図19は、実施形態の第十四変形例の歯科診療ユニットを説明する模式的な側面図である。
歯科診療ユニットは、図9に示す第六変形例と同様に、飛沫の飛散を防止する飛沫飛散防止部として方形形状の枠体50と、枠体50からカーテン状に吊り下げられた透明遮蔽部材51と、透明遮蔽部材51と略同じ材質の透明天膜52と、診療椅子2のヘッドレスト2aの上面と、患者Kの頭部KHとの間に、落下した飛沫を受ける飛沫受け部としての落下飛沫物収納シート98とを有する。落下飛沫物収納シート98は患者ごとに交換や消毒して使用する。また、落下飛沫物収納シート98の下面に、遠紫外線C波発生装置97を設けた2重構造にしてもよい。
他の構成、および作用効果は、前記実施形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
[飛沫受け部]
図20は、実施形態の第十五変形例の歯科診療ユニットを説明する模式的な側面図である。
歯科診療ユニットは、飛散防止カバー37を支持する移動台36の載置面36bと、診療椅子2のヘッドレスト2aの下面との間に、落下した飛沫を受ける飛沫受け部としての落下飛沫物収納シート98を有する。
落下飛沫物収納シート98の下面には、ヘッドレスト2aの下面との間に遠紫外線C波発生装置97が配置されている。
他の構成、および作用効果は、前記各実施形態と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
たとえば、落下飛沫物収納シート98にクラスタイオン発生装置を組合わせたり、あるいは、遠紫外線C波発生装置97、およびクラスタイオン発生装置の両方を組み合わせてもよい。すなわち、飛沫受け部として、落下飛沫物収納シート98、遠紫外線C波発生装置97、およびクラスタイオン発生装置のうち少なくとも何れか一つが設けられていればよい。
このため、歯科診療に用いて好適な飛沫感染防止装置および飛沫感染防止装置を有する歯科診療装置が提供される。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、若しくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。
たとえば装着手段がネジ締結、クランプ締結、面圧締結、ピン締結あるいは面ファスナ等、どのような装着手段を用いてもよい。
そして、吸引装置は歯科診療装置に併設された口腔外バキューム装置であっても、歯科診療装置に組み込まれた口腔内バキューム装置であってもよい。
さらに、空気流発生部は、飛沫感染防止部内の空気流を発生させるための送風装置、吸引装置、飛沫集塵部、消毒液通過部のいずれかを含むものであればよい。
6 アーム(支持部)
6A 吸引アーム(支持部)
7 飛散防止カバー(飛沫飛散防止部)
C 空間
Claims (23)
- 飛沫の飛散を防止する飛沫飛散防止部と、
前記飛沫飛散防止部を患者と術者との間に支持する支持部とを備え、
前記飛沫飛散防止部は、少なくとも一部が透過により外部から内部を視認可能であって内部に患者の頭部を収容する空間を形成する飛散防止カバーを有し、
前記空間には、飛沫を可視化する飛沫可視化装置を設けたことを特徴とする飛沫感染防止装置。 - 前記支持部は、前記飛沫飛散防止部を移動可能とする移動台であることを特徴とする請求項1に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記支持部は、歯科診療装置を構成する部材、或いは前記部材に装着されているアームであることを特徴とする請求項1に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記歯科診療装置を構成する部材は、少なくとも、無影灯支持ポール、治療テーブル支持ポール、診療椅子の背板、診療椅子の座部、診療椅子のヘッドレスト、口腔観察用カメラ、無影灯のいずれか一つを含むことを特徴とする請求項3に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記支持部は、歯科診療装置に併設した口腔外バキューム装置の吸引アームであることを特徴とする請求項1に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記飛沫飛散防止部は、前記空間の内部に歯科治療で使用する器具を保持する器具保持部を有することを特徴とする請求項1~5のうち何れか一項に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記飛沫飛散防止部は、前記空間の内部に歯科治療で使用する器具を載置できる載置テーブルを有することを特徴とする請求項1~6のうち何れか一項に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記空間の内部の空気を所望の方向に送風するための空気流発生部を有することを特徴とする請求項1~7のうち何れか一項に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記空気流発生部は、前記空間の内部の空気流を発生する送風装置を有していることを特徴とする請求項8に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記空気流発生部は、前記空間の内部の空気流を発生する吸引装置を有していることを特徴とする請求項8または9に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記空気流発生部は、前記空間の内部に空気流で飛ばされた飛沫を集塵する飛沫集塵部を有することを特徴とする請求項8~10のうち何れか一項に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記吸引装置は、歯科診療装置で使用する気液分離装置を介して吸引可能な吸引装置であることを特徴とする請求項10に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記吸引装置は、さらに、前記空間の内部の空気を消毒液の中を通過させた後に吸引可能なように消毒液通過装置を設けたことを特徴とする請求項10に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記空間の内側面に交換可能なフィルムを添着したことを特徴とする請求項1~13のうち何れか一項に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記フィルムは、使い捨てフィルムであることを特徴とする請求項14に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記飛散防止カバーには、患者を癒す患者癒し部を設けたことを特徴とする請求項1~15のうち何れか一項に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記患者癒し部は、患者の嗅覚、聴覚に癒し効果を与える匂い、音の発生装置を有することを特徴とする請求項16に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記患者癒し部は、切削音と逆位相の音を発生させるアクティブ消音装置を有することを特徴とする請求項16に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記患者の口腔を観察する口腔観察用カメラと、
前記口腔観察用カメラの映像を表示可能な表示装置と、を有することを特徴とする請求項1~18のうち何れか一項に記載の飛沫感染防止装置。 - 前記飛沫飛散防止部と前記支持部とを磁石による着脱手段を用いて着脱可能に構成したことを特徴とする請求項1~19のうち何れか一項に記載の飛沫感染防止装置。
- クラスタイオン発生装置から発生するクラスタイオンにより前記飛沫飛散防止部内を殺菌可能にしたことを特徴とする請求項1~20のうち何れか一項に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記飛沫飛散防止部の一部に開閉可能な開放窓を設けたことを特徴とする請求項1~21のうち何れか一項に記載の飛沫感染防止装置。
- 前記請求項1~22のうち何れか一項に記載の飛沫感染防止装置を有する歯科診療装置。
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