以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。発電システム10は、燃料電池システム11と、系統電源Kに接続された電源ライン12と、パワーコンディショナー14と、制御装置15と、を備えている。ここで、系統電源Kは、電気事業者(例えば、電力会社等)が保有する商用の配電線網から供給される交流の電源である。尚、系統電源は、単相であっても、多相(例えば、三相)であっても良い。
燃料電池システム11は、直流電力(直流電圧)を発電するものである。燃料電池システム11は、図2に示すように、発電ユニット110及び貯湯槽121を備えている。発電ユニット110は、筐体110a、燃料電池モジュール111、熱交換器112、水精製器113及び改質水タンク114を備えている。ここで、燃料電池モジュール111、熱交換器112、水精製器113及び改質水タンク114と、貯湯槽121は、筐体110a内に収容されている。尚、貯湯槽121は、発電ユニット110と別体、即ち、筐体110aの外に設けるようにしても良い。又、発電システム10を構成するパワーコンディショナー14及び制御装置15を筐体110a内に収容するようにしても良い。
燃料電池モジュール111は、後述するように、改質部133及び燃料電池134を少なくとも含んで構成されるものである。燃料電池モジュール111は、改質用原料、改質水及び酸化剤ガス(カソードガス)としての空気(カソードエア)が供給されている。改質用原料としては、天然ガス、LPガス等の改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノール等の改質用液体燃料である。尚、本実施形態においては、改質用原料として、天然ガスを用いる場合を例示する。具体的には、燃料電池モジュール111は、一端が供給源Gs(例えば、都市ガス(天然ガス)のガス供給管)に接続されて改質用原料が供給される改質用原料供給管111aの他端が、後述する蒸発部132に接続されている。改質用原料供給管111aは、改質用原料を蒸発部132に圧送する改質用原料ポンプ111a1が設けられている。
又、燃料電池モジュール111は、一端が改質水タンク114に接続されて改質水が供給される改質水供給管111bの他端が蒸発部132(改質部133)に接続されている。改質水供給管111bは、改質水ポンプ111b2が設けられている。更に、燃料電池モジュール111は、一端がカソードエアブロワ111c1(酸化剤ガスポンプ)に接続されてカソードエア(酸化剤ガスであって、例えば、空気)が供給されるカソードエア供給管111cの他端が接続されている。
熱交換器112は、燃料電池モジュール111から排気される燃料排ガス(後述する改質部133及び燃料電池134の各排熱を含んでいる)が供給されるとともに貯湯槽121からの貯湯水が供給され、燃料排ガスと貯湯水(循環水)との間で熱交換が行われる熱交換器である。又、熱交換器112は、燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われ、燃焼排ガスに含まれている水蒸気を凝縮して凝縮水を生成する凝縮水でもある。ここで、貯湯水は、熱交換器112を経ることで燃焼排ガスの排熱を回収する熱媒体(排熱回収水)である。
熱交換器112は、燃料電池モジュール111からの排気管111dが接続(貫設)されている。熱交換器112の底部には、水精製器113を介して改質水タンク114に接続されている凝縮水供給管112aが接続されている。
このように構成された熱交換器112においては、燃料電池モジュール111からの燃焼排ガスは、排気管111dを通って熱交換器112内に導入され、流通する貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。その後、燃焼排ガスは、排気管111dを通って燃焼排ガス用排気口110dから筐体110aの外部に排出される。又、凝縮された凝縮水は、自重で落水し、凝縮水供給管112aを通って水精製器113から改質水タンク114に供給される。一方、熱交換器112に流入した貯湯水は、加熱され、貯湯槽121に向けて流出される。排気管111dには、熱交換器112の下流側から分岐して改質水タンク114の水受け部材114bに連通するドレン管路112bが設けられている。
貯湯槽121は、密封式且つ耐圧式の容器である。貯湯槽121内の温度分布は、基本的には、温度の異なる二層に分かれている。上層は比較的温度の高い層(例えば、50℃以上)であり、下層は比較的温度が低い層(例えば、20℃~40℃)である。上下各層は、それぞれほぼ同一温度である。貯湯槽121は、貯湯水を貯湯するものであり、貯湯水が循環する(図2にて矢印の方向に循環する)貯湯水循環ライン122が接続されている。
ここで、上述した熱交換器112、貯湯槽121及び貯湯水循環ライン122から、排熱回収システム120が構成されている。貯湯水循環ライン122上には、貯湯槽121の下端から上端に向かって順番に貯湯水循環ポンプ122a(循環水ポンプ)、ラジエータ122b、ヒータ123、水温センサ124及び熱交換器112が配設されている。排熱回収システム120は、燃料電池モジュール111の排熱を回収して貯湯水に回収して蓄える。貯湯水循環ポンプ122aは、貯湯槽121の下層から貯湯水を汲み出し、貯湯水循環ライン122を構成する貯湯水供給管122cを介して貯湯水を熱交換器112に供給する。
貯湯水循環ポンプ122aには、貯湯水循環ポンプ122aの回転数Eに関連する物理量を検出するセンサとして回転数センサ122a1が設けられている。回転数センサ122a1は、貯湯水循環ポンプ122aの回転数Eを計測し、計測した回転数Eを制御装置15に出力する。
ラジエータ122bは、冷却ファン及び電動モータを有する空冷式のラジエータであり、貯湯水供給管122cに設けられている。ラジエータ122bは、貯湯水循環ポンプ122aから熱交換器112に向けて供給される貯湯水を冷却する。
補機Sに含まれるヒータ123は、例えば、セラミックヒータである。ヒータ123は、図3に示すように、貯湯水供給管122cの外径よりも大きな内径を有する筒状の基部123aと、基部123aの内周面と貯湯水供給管122cの外周面との間に配置された第一ヒータ部としてのACヒータ部123b及び第二ヒータ部としてのDCヒータ部123cと、ACヒータ部123b及びDCヒータ部123cに接続されたハーネス123dと、を有している。
ACヒータ部123bは、系統電源Kから後述するパワーコンディショナー14を介して供給されるAC(交流電圧)がハーネス123dを通して供給されて発熱する。DCヒータ部123cは、燃料電池134から後述するパワーコンディショナー14を介して供給されるDC(直流電圧)がハーネス123dを通して供給されて発熱する。ACヒータ部123b及びDCヒータ部123cは、図4に示すように、互いに相似形状とされており、基部123aの内周面に対して蛇行するように設けられている。ACヒータ部123b及びDCヒータ部123cは、後述する制御装置15によって系統電源KからAC(交流電圧)が供給される場合にACヒータ部123bが発熱し、燃料電池134からDC(直流電圧)が供給される場合にDCヒータ部123cが発熱する。
水温センサ124は、例えば、サーミスタ等であり、貯湯水供給管122cを流れる貯湯水(循環水)の温度T(水温)を計測する。そして、水温センサ124は、計測した温度T(水温)を制御装置15に出力する。
水精製器113は、凝縮水をイオン交換樹脂によって純水化するようになっている。水精製器113は、改質水タンク114と連通しており、純水化された凝縮水が改質水タンク114に供給されるようになっている。
改質水タンク114は、水精製器113から供給される凝縮水を、蒸発部132を介して改質部133に供給する改質水として貯水するものである。尚、改質水タンク114は、供給された凝縮水が溢れ出た場合、オーバーフローライン114aを介して水受け部材114bによって受け止められ、排水管114cから筐体110aの外部に排水される。
改質水タンク114内には、改質水タンク114内に貯水された改質水の水量を検出する水位センサ114dが配設されている。ここで、水位センサ114dは、例えば、フロート式のセンサであり、フロートの上下量を可変抵抗(ポテンショメータ)により抵抗値に変換し、抵抗値の上下動によって水位(残水量)を検出する方式のセンサである。
燃料電池モジュール111は、ケーシング131、蒸発部132、改質部133及び燃料電池134を備えている。ケーシング131は、断熱性材料で箱状に形成されている。蒸発部132は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部132は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料とを混合して改質部133に供給するものである。
蒸発部132には、一端が供給源Gsに接続された改質用原料供給管111aが接続されている。又、蒸発部132には、一端(下端)が改質水タンク114に接続された改質水供給管111bの他端が接続されている。
改質部133は、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部132から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から水蒸気を含む改質ガス(アノードガス)を生成して改質ガス送出管138から導出するものである。改質部133内には、触媒(例えば、Ru又はNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素等を含んだガスが生成される(水蒸気改質反応)。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。このように、改質部133は改質用原料(原燃料)と改質水とから改質ガス(燃料)を生成して燃料電池134に改質ガスを供給する。尚、水蒸気改質反応は吸熱反応である。
燃料電池134は、燃料極、空気極(酸化剤極)及び両極の間に介装された電解質からなる複数のセル134aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池134は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池134の燃料極には、燃料としての改質ガス、即ち、水素、一酸化炭素、メタンガス等が供給される。動作温度は400℃~1000℃程度である。尚、400℃以下でも定格以下の発電量の発電は可能である。又、600℃で発電開始を許可している。水素だけではなく天然ガスや石炭ガス等も直接燃料として用いることが可能である。この場合、改質部133は省略することができる。
セル134aの燃料極側には、燃料である改質ガス(アノードガス)が流通する燃料流路134bが形成されている。セル134aの空気極側には、酸化剤ガス(カソードガス)である空気(カソードエア)が流通する空気流路134cが形成されている。
燃料電池134は、マニホールド135上に設けられている。マニホールド135には、改質部133からの改質ガス(アノードガス)が改質ガス送出管138を介して供給される。燃料流路134bは、その下端(一端)がマニホールド135の燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ111c1によって送出されたカソードエアはカソードエア供給管111cを介して供給され、空気流路134cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
カソードエアブロワ111c1は、電動モータ111c2により駆動されるもので、電動モータ111c2の駆動デューティは、制御装置15によって演算される。カソードエア供給管111cのカソードエアブロワ111c1の下流側に設けられた流量センサ111c3は、カソードエアブロワ111c1が吐出するカソードエア流量を検出する。流量センサ111c3は、検出結果を制御装置15に送信するようになっている。
燃料電池134においては、燃料極に供給された燃料である改質ガス(アノードガス)と空気極に供給された酸化剤ガス(カソードガス)とによって発電が行われる。即ち、燃料極では、下記化1及び化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。具体的には、空気極で生成した酸化物イオン(O2-)が電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。そして、燃料流路134b及び空気流路134cからは、発電に使用されなかった改質ガス及び酸化剤ガスが導出する。尚、反応によって燃料電池134内に生じた水(H2O)は、水精製器113を介して改質水タンク114に送出される。
(化1)
H2+O2-→H2O+2e-
(化2)
CO+O2-→CO2+2e-
(化3)
1/2O2+2e-→O2-
発電に使用されなかった改質ガス(燃料オフガスとしてのアノードオフガス)は、燃料流路134bから燃焼部136(燃料電池134と改質部133との間に形成された空間)に導出される。同様に、発電に使用されなかった酸化剤ガス(カソードエアとしてのカソードオフガス)は、空気流路134cから燃焼部136に導出される。燃焼部136は、アノードオフガスがカソードオフガスにより燃焼されて、燃焼ガス(火炎137)にて蒸発部132及び改質部133を加熱する。更には、燃料電池モジュール111内を動作温度に加熱している。
燃焼部136には、アノードオフガスを着火させるための一対の着火ヒータ136a1,136a2が設けられている。燃焼部136で生じた燃焼排ガスは、電気化学反応によって燃料電池134内に生じた水とともに燃料電池モジュール111から排気管111dを通って熱交換器112に至る。
燃料電池システム11を起動させるときには、後に詳述する制御装置15は、発電運転に先立って暖機を実行する。暖機では、制御装置15は、改質用原料ポンプ111a1を駆動させて改質用原料を改質用原料供給管111aを介して燃料電池モジュール111の蒸発部132、改質部133及び燃料電池134から燃焼部136に供給させる。制御装置15は、カソードエアブロワ111c1も作動させ、空気流路134cを介して酸化剤ガスである空気(カソードガス)を燃料電池モジュール111のセル134aの空気極を介して燃焼部136に供給させる。そして、着火ヒータ136a1,136a2が着火すると、燃焼部136において改質用原料が空気により燃焼する。燃焼部136における燃焼熱により、蒸発部132、改質部133及び燃料電池134が加熱される。蒸発部132、改質部133及び燃料電池134が所定の温度域に加熱されると、制御装置15は、改質水ポンプ111b2を作動させて改質部133での改質反応を開始し、暖機を終了して発電運転に移行させる。
制御装置15が改質水ポンプ111b2を作動させると、改質水タンク114内の改質水は、改質水供給管111bを介して蒸発部132に供給される。改質水は、蒸発部132で加熱されて水蒸気となる。水蒸気は、改質用原料供給管111aから供給される改質用原料とともに改質部133に移動する。改質部133において改質用原料は、水蒸気で改質されて水蒸気を含む改質ガスであるアノードガス(水素含有ガス)となる(吸熱反応)。アノードガスは、燃料流路134bを介して燃料電池134のセル134aの燃料極に供給される。又、カソードエアブロワ111c1が作動して、カソードガス(空気)が空気流路134cを介してセル134aの空気極に供給される。これにより、燃料電池134(燃料電池モジュール111)が発電運転となって発電する。
暖機中及び発電中において、燃料電池モジュール111で発生した高温の燃焼排ガスは、電気化学反応により燃料電池134内に生じた水とともに排気管111dを介して凝縮機能を有する熱交換器112(凝縮器)に排出される。高温の燃焼排ガスに含まれていた水蒸気は、熱交換器112(凝縮器)で冷却されるため、凝縮されて凝縮水となり、電気化学反応により燃料電池134内に生じた水とともに凝縮水供給管112aを介して改質水タンク114に供給される。
筐体110aには、外気を吸い込むための吸気口110b、筐体110a内の空気を外部に排出するための換気用排気口110c、及び、熱交換器112からの燃焼排ガスを外部に排出するための燃焼排ガス用排気口110dが形成されている。吸気口110bには、逆止弁154が設けられている。逆止弁154は、外部から筐体110a内への空気の流れは許容するが、逆方向への流れを規制するものである。
換気用排気口110cには、電動モータによって駆動される換気ファン155が設けられている。換気ファン155は、筐体110a内の空気(換気排気)を外部に送出するものである。
貯湯槽121には、図2に示すように、高圧給水源Sw(例えば、水道管)に減圧弁141を介して接続された給水管142から水道水が給水される。給水管142に設けられた水温計測装置167、例えば、サーミスタ等によって水道水の温度が計測され、制御装置15に出力される。貯湯槽121は、貯湯水循環ライン122による排熱回収によって温められて生成した、例えば、70℃に調整された湯を貯める。
貯湯槽121の湯は、湯供給管161から混合弁162に流入する。混合弁162は、給水管142と水供給管142aを介して接続されている。混合弁162は、貯湯槽121から湯供給管161を介して流入する湯と高圧給水源Swから給水管142、水供給管142aを介して流入する水との湯/水混合比を調整して、貯湯槽121の湯の温度よりも低い設定温度、例えば、30℃に調整された混合湯を生成する。混合湯は、混合湯供給管163を介して給湯器Whの給水側に接続される。給湯器Whは、混合湯供給管163から給水された混合湯を直接又は加熱して、給湯栓168から給湯するものである。
図2に示すように、給水管142を混合湯供給管163に接続するバイパス通路164には、非通電時に開状態となるノーマルオープンの電磁開閉弁165が設けられている。電磁開閉弁165は、例えば、混合弁162又は混合弁162の制御系の故障によって湯と水の混合(制御)ができなくなり、混合湯供給管163の混合湯の温度が上昇して予め設定された混合湯上限温度(例えば、50℃)を超えた場合に、制御装置15によって開状態に切り替えられる。電磁開閉弁165が開状態とされて給水管142から水を混合湯供給管163に導くことにより、混合湯供給管163置ける混合湯の温度を下げて、異常高温出湯を防止する。混合湯の温度は、混合湯供給管163のバイパス通路164との合流部よりも下流側に設けられた湯温計測装置166、例えば、サーミスタ等により計測され、制御装置15に出力される。
系統電源Kは、系統電源Kに接続された電源ライン12を介して電力負荷13に交流電圧(以下、交流電圧を「AC」とも称呼する。)を供給するものである。燃料電池システム11の燃料電池134はパワーコンディショナー14を介して電源ライン12に接続されている。電力負荷13は、燃料電池システム11の外に配設されている電力負荷であり、例えば、家庭内に設置された電化製品(家電製品)である。電源ライン12は、系統電源Kに対する電力の入出力及び電力量を検知する電力測定装置12aが設けられており、その検知結果が制御装置15に出力されている。
内部負荷の一つである補機Sは、蒸発部132に改質水、改質用原料を供給するためのモータ駆動の各ポンプ111a1,111b2及び電磁式バルブ(図示省略)、燃料電池134にカソードエアを供給するためのモータ駆動のブロワ111c1及び電磁式バルブ、貯湯水循環ライン122を循環する貯湯水を加熱するヒータ123などから構成されている。ここで、各ポンプ111a1,111b2及びブロワ111c1は、直流電圧(以下、直流電圧を「DC」とも称呼する。)が供給されて駆動される。又、ヒータ123は、AC及びDCの少なくとも一方が供給されて発熱する。
パワーコンディショナー14は、燃料電池134(燃料電池モジュール111)から出力されるDCを所定の電圧値を有するACに変換して系統電源Kに接続されている電源ライン12に出力する機能を有している。又、パワーコンディショナー14は、電源ライン12からのACを所定の電圧値を有するDCに変換して補機S及び内部負荷としての制御装置15に出力する機能を有している。更に、パワーコンディショナー14は、燃料電池134からのDCを所定の電圧値を有するDCに変換して補機S及び制御装置15に出力する機能と、を有している。このため、パワーコンディショナー14は、図1に示すように、DC/DCコンバータ14a、DC/ACインバータ14b、AC/DCコンバータ14c、制御用DC/DCコンバータ14d、及び、補機用DC/DCコンバータ14eを含んで構成される。
具体的に、DC/DCコンバータ14aは、燃料電池システム11の燃料電池134から出力される直流電圧(例えば、40V)を所定の直流電圧(例えば、350V)に変換するものである。DC/ACインバータ14bは、DC/DCコンバータ14aから出力される直流電圧を交流電圧(例えば、200V)に変換して電源ライン12に出力するものである。
DC/DCコンバータ14a及びDC/ACインバータ14bは、第三電力供給ラインL3上に直列に設けられている。第三電力供給ラインL3の一端が第一電力供給ラインL1上であって燃料電池システム11の燃料電池134と制御用DC/DCコンバータ14d及び補機用DC/DCコンバータ14eとの間の部分に接続され、他端が第二電力供給ラインL2上であって系統電源KとAC/DCコンバータ14cとの間の部分に接続されている。
AC/DCコンバータ14cは、起動運転時(暖機)及び停止運転時だけでなく定常運転時(発電運転時)においても、系統電源Kから出力されるACを入力してDC(直流電圧)に変換して制御用DC/DCコンバータ14d及び補機用DC/DCコンバータ14eに出力する。AC/DCコンバータ14cは、定常運転時であって燃料電池134が所定発電量以上で発電している場合には、低待機電力を出力する低待機運転で稼働される。例えば、燃料電池134の出力電圧が50V以上である場合には、AC/DCコンバータ14cは低待機運転で稼働される。
一方、AC/DCコンバータ14cは、定常運転時であっても燃料電池134が所定発電量未満で発電している場合、起動運転時である場合及び停止運転時である場合には、低待機電力より高い補機Sの駆動に必要な電力を出力する定常運転で稼働される。例えば、燃料電池134の出力電圧が50V未満である場合には、AC/DCコンバータ14cは定常運転で稼働される。
具体的には、AC/DCコンバータ14cは、絶縁型のAC/DCコンバータであり、例えば、トランスを含んで構成されている。AC/DCコンバータ14cは、低待機電力を待機運転時に出力するためのスタンバイ電源部(図示省略)と、低待機電力より高い補機Sの駆動に必要な電力を必要なときに(定常運転時に)出力するためのメイン電源部(図示省略)と、を備えている。尚、スタンバイ電源部はスイッチング電源であるため、待機運転時にメイン電源の電力消費がない場合、スイッチング素子のスイッチング動作を一定期間継続させ、次に一定期間スイッチング動作を停止させるのを繰り返す間欠(バースト)発振方式で動作されている。
又、AC/DCコンバータ14cは、システム運転中だけでなく、システム停止中(待機時を含む)においても、系統電源Kから出力されるAC(交流電圧)を入力しDC(直流電圧)に変換して制御用DC/DCコンバータ14d及び補機用DC/DCコンバータ14eに出力する。このとき、AC/DCコンバータ14cは、低待機電力を出力する低待機運転で稼働される。
制御用DC/DCコンバータ14dは、燃料電池システム11の燃料電池134又はAC/DCコンバータ14cからのDC(直流電圧)を入力して所定の直流電圧(例えば、5V)に変換し、制御装置15に電源電圧として供給するものである。補機用DC/DCコンバータ14eは、燃料電池システム11の燃料電池134又はAC/DCコンバータ14cからのDC(直流電圧)を入力して所定の直流電圧(例えば、24V)に変換して、補機SにDCの電源電圧として供給するものである。
補機用DC/DCコンバータ14eは、制御装置15に接続されており、制御装置15からの指令により駆動又は停止を制御されるようになっている。例えば、系統電源Kが停電して燃料電池システム11の燃料電池134が自立して発電している状態(自立運転状態)において、制御装置15からの駆動指令により補機用DC/DCコンバータ14eが稼働することができる。これにより、補機用DC/DCコンバータ14eは、燃料電池134の発電動作によって発生する余剰発電電力を補機Sに供給することができ、補機Sが余剰発電電力を用いて作動する(具体的には、ヒータ123のDCヒータ部123cがDC(直流電圧)の余剰発電電力を用いて循環水を加熱する)ことで余剰電力を消費することができる。又、待機時において制御装置15からの停止指令により補機用DC/DCコンバータ14eは運転が停止される。これにより、待機時に補機用DC/DCコンバータ14eを停止させることで、待機電力を小さく抑制することができる。
制御用DC/DCコンバータ14d及び補機用DC/DCコンバータ14eは、第一電力供給ラインL1上に設けられている。第一電力供給ラインL1の一端は燃料電池134に接続され、他端は制御装置15及び補機Sに接続されている。他端側は二つに分岐しており、各分岐に制御用DC/DCコンバータ14d及び補機用DC/DCコンバータ14eが設けられている。第一電力供給ラインL1は、燃料電池134から出力されるDCを制御装置15及び補機Sに供給するものである。
第一電力供給ラインL1上には、第一整流素子14fが第二電力供給ラインL2との合流点より燃料電池134の側に設けられている。具体的には、第一整流素子14fは、第一電力供給ラインL1に対する第二電力供給ラインL2との合流点と第三電力供給ラインL3との合流点との間の部分に設けられている。第一整流素子14fは、燃料電池134から制御用DC/DCコンバータ14d及び補機用DC/DCコンバータ14eに向けて流れる電流のみを許容する。本実施形態では、第一整流素子14fは、例えば、ダイオードで構成されている。
第二電力供給ラインL2上には、第二整流素子14gが設けられている。具体的には、第二整流素子14gは、AC/DCコンバータ14cと第一電力供給ラインL1との合流点との間の部分に設けられている。第二整流素子14gは、AC/DCコンバータ14cから第一電力供給ラインL1に向けて流れる電流のみを許容する。
又、第一電力供給ラインL1上には、第一スイッチ14hが第二電力供給ラインL2との合流点より燃料電池134の側に設けられている。第一スイッチ14hは、制御装置15の指示によって、燃料電池134と制御用DC/DCコンバータ14d及び補機用DC/DCコンバータ14eとの間を、起動運転時及び停止運転時において遮断し、定常運転時において連通するスイッチである。
第二スイッチ14iは、DC/ACインバータ14bと系統電源K(又は電源ライン12)との間に配設されている。具体的には、第二スイッチ14iは、第三電力供給ラインL3上であってDC/ACインバータ14bと第二電力供給ラインL2との合流点との間の部分に設けられている。第二スイッチ14iは、DC/ACインバータ14bと系統電源Kとを制御装置15の指示によって通電又は遮断するスイッチである。
第一電力供給ラインL1上には、電流測定装置14jと電流測定装置14kが設けられている。電流測定装置14j及び電流測定装置14kは、何れも第一電力供給ラインL1を流れる電流の電流値を測定する電流測定装置である。具体的には、電流測定装置14jは、測定用の抵抗(図示省略)を備えて燃料電池134から出力される電流(出力電流)を測定するものであり、その測定結果を制御装置15に送信するようになっている。電流測定装置14kは、測定用の抵抗(図示省略)を備えて制御用DC/DCコンバータ14d及び補機用DC/DCコンバータ14eに入力する電流(入力電流)を測定するものであり、その測定結果を制御装置15に送信するようになっている。
又、パワーコンディショナー14は、系統電源Kから補機Sに直接的にAC(交流電圧)を供給する第四電力供給ラインL4を有している。第四電力供給ラインL4の一端は第二電力供給ラインL2上にてAC/DCコンバータ14cよりも系統電源Kの側に接続され、他端は補機S、より具体的には、補機Sを構成するヒータ123のACヒータ部123bに接続されている。
又、第四電力供給ラインL4上には、第三スイッチ14lが設けられている。第三スイッチ14lは、系統電源Kと補機S(ヒータ123を構成するACヒータ部123b)とを制御装置15の指示によって連通・遮断するものである。制御装置15は、燃料電池134が発電していると判定すると、第三スイッチ14lを開状態に切り替え、燃料電池134が発電していない(発電を開始する起動前を含む)場合には第三スイッチ14lを閉状態に切り替える。
又、発電システム10は、ブレーカ16を備えている。ブレーカ16は、電源ライン12とパワーコンディショナー14とを接続する電源ラインに設けられている。ブレーカ16は、ある量以上の電力を使ったり、異常電流が流れたりすると、回路を自動的に遮断して、ブレーカ16を介して系統電源Kからシステム内部にAC(交流電圧)が供給されることを禁止する。
制御装置15は、燃料電池システム11を主として、発電システム10の全体的な制御を統括して行うものであり、燃料電池システム11の補機Sの駆動を制御したり、パワーコンディショナー14の駆動を制御したりする。制御装置15はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及び入出力インターフェース(何れも図示省略)を備えている。CPUは、後述するヒータ通電制御プログラムを含む各種プログラムを実行して燃料電池システム11(発電システム10)の運転を制御する。RAMはヒータ通電制御プログラムを含む各種プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMはヒータ通電制御プログラムを含む各種プログラムを記憶するものである。
制御装置15には、待機時でも燃料電池システム11の運転時(起動運転時、定常運転時(発電運転時)及び停止運転時を含む)でも常にDC(直流電圧)が供給されている。起動運転時は燃料電池システム11に対する起動指令が出てから燃料電池134が発電を開始するまでの間であり、停止制御時は燃料電池システム11に対する停止指令が出てから燃料電池システム11(燃料電池134)が停止するまでの間である。待機時は、燃料電池システム11(燃料電池134)の発電停止状態のことであり、ユーザによる発電指示(スタートスイッチのオン等)を待っている状態のことである。
このように構成された発電システム10の作動について説明する。燃料電池システム11の発電準備時(起動運転時)には、燃料電池134は暖機中であって発電していないため、系統電源Kから燃料電池システム11の補機Sに電力が供給される。即ち、DC/ACインバータ14b及びDC/DCコンバータ14aの駆動が制御装置15の指令によって停止される。又、第一スイッチ14h及び第二スイッチ14iは、制御装置15の指令によって遮断状態(開状態)にされる。又、AC/DCコンバータ14cは、定常運転されている。これにより、系統電源KからのAC(交流電圧)がAC/DCコンバータ14cによってDC(直流電圧)に変換される。変換されたDC(直流電圧)は、制御用DC/DCコンバータ14dによって降圧されて制御装置15に供給される(供給は待機時から継続されることとなる)とともに、補機用DC/DCコンバータ14eによって降圧されて補機Sのうち燃料電池134の起動(暖機)に必要な各ポンプ111a1,111b2及びブロワ111c1に供給される。尚、この場合、第一スイッチ14hは遮断状態であるため、起動した燃料電池134からの突入電流を防止することができる。
ところで、発電準備時(起動運転時)においては、補機Sを構成するヒータ123には、AC(交流電圧)を供給し、ACヒータ部123bが発熱することにより貯湯水供給管122cを流れる貯湯水(循環水)を加熱して、例えば、凍結等を防止することができる。燃料電池システム11の発電準備時(起動運転時)即ち燃料電池モジュール111(燃料電池134)が発電を開始する前においてヒータ123にAC(交流電圧)を通電する場合には、制御装置15は、図5に示すACヒータ通電制御プログラムを実行する。以下、燃料電池モジュール111(燃料電池134)が発電していない発電準備時に実行されるACヒータ通電制御プログラムを詳細に説明する。
燃料電池モジュール111(燃料電池134)が発電していない即ち燃料電池システム11が停止している場合、制御装置15(より詳しくは、CPU。以下同じ。)は図5に示すACヒータ通電制御プログラムの実行をステップS10にて開始する。続くステップS11において、制御装置15は、水温センサ124から入力した温度Tが予め設定された低温側基準温度Tl未満であるか否か、換言すれば、貯湯水(循環水)を含む燃料電池システム11の温度Tが低温であるか否かを判定する。即ち、制御装置15は、貯湯水(循環水)の温度Tが低温側基準温度Tl未満であれば(低温であれば)「Yes」と判定してステップS12に進む。一方、制御装置15は、貯湯水(循環水)の温度Tが低温側基準温度Tl以上であれば(高温であれば)「No」と判定し、貯湯水(循環水)の温度Tが低温側基準温度Tl未満となるまで繰り返しステップS11の判定処理を実行する。
ステップS12においては、制御装置15は、貯湯水循環ポンプ122a(循環水ポンプ)を駆動させる。具体的に説明すると、制御装置15は、図6に示すように、貯湯水循環ポンプ122aを定常駆動させるために予め設定された駆動デューティDk(例えば、80%程度)を用いて貯湯水循環ポンプ122aを構成する電動モータを駆動させ、貯湯水循環ポンプ122aを回転させる。そして、制御装置15は、貯湯水循環ポンプ122aを駆動させると、ステップS13に進む。
ところで、貯湯水供給管122cに貯湯水が存在している場合、貯湯水循環ポンプ122aは作動することに伴って貯湯水を加圧することができ、その結果、図6にて実線により示すように、駆動デューティDkが供給された際の貯湯水循環ポンプ122aの回転数Eは相対的に小さくなる。一方、例えば、メンテナンスや試運転により貯湯水供給管122cに貯湯水が存在していない場合、貯湯水循環ポンプ122aは貯湯水を加圧することなく空転し、その結果、図6にて破線により示すように、駆動デューティDkが供給された際の貯湯水循環ポンプ122aの回転数Eは相対的に大きくなる。即ち、貯湯水循環ポンプ122aの回転数Eについては、図6に示すように、駆動デューティDkが供給された際において貯湯水を加圧する場合の回転数Eと、駆動デューティDkが供給された際において空転する場合の回転数Eと、の間において、例えば、予め実験的に決定される基準回転数Eoを設定することができる。
従って、制御装置15は、ステップS13において、前記ステップS12にて駆動デューティDkを供給して駆動させた際に回転数センサ122a1から入力した貯湯水循環ポンプ122aの回転数Eと基準回転数Eoとを比較判定する。即ち、制御装置15は、回転数Eが基準回転数Eo以下であれば、貯湯水供給管122cに貯湯水が存在しているため、「Yes」と判定してステップS14に進む。一方、制御装置15は、回転数Eが基準回転数Eoよりも大きければ、貯湯水供給管122cに貯湯水が存在していないため、「No」と判定してステップS17に進む。
ステップS14においては、制御装置15は、貯湯水供給管122cの内部に貯湯水(循環水)が存在しているため、ヒータ123のACヒータ部123bに対するAC(交流電圧)の供給(通電)を許可する。このため、制御装置15は、パワーコンディショナー14の第三スイッチ14lを閉状態に切り替え、第四電力供給ラインL4を介して系統電源KからAC(交流電圧)をヒータ123のACヒータ部123bに供給する。これにより、ヒータ123のACヒータ部123bは、パワーコンディショナー14を介して系統電源Kから供給されたAC(交流電圧)によって発熱し、貯湯水供給管122cの内部に存在して循環する貯湯水(循環水)を加熱する。制御装置15は、第三スイッチ14lを閉状態に切り替えてACヒータ部123bへのAC(交流電圧)の通電を許可すると、ステップS15に進む。
ステップS15においては、制御装置15は、水温センサ124から入力した温度Tが予め設定された高温側基準温度Th以上であるか否か、換言すれば、貯湯水(循環水)を含む燃料電池システム11の温度Tが高温であるか否かを判定する。即ち、制御装置15は、貯湯水(循環水)の温度Tが高温側基準温度Th以上であれば(高温であれば)「Yes」と判定してステップS16に進む。一方、制御装置15は、貯湯水(循環水)の温度Tが高温側基準温度Th未満であれば(低温であれば)「No」と判定し、貯湯水(循環水)の温度Tが高温側基準温度Th以上となるまで繰り返しステップS15の判定処理を実行する。
ステップS16においては、制御装置15は、貯湯水(循環水)の温度Tが高温側基準温度Th以上となっており、加熱する必要がないため、ヒータ123のACヒータ部123bに対するAC(交流電圧)の供給(通電)を遮断する。このため、制御装置15は、パワーコンディショナー14の第三スイッチ14lを開状態に切り替え、系統電源Kから第四電力供給ラインL4を介してヒータ123のACヒータ部123bに供給されるAC(交流電圧)を遮断する。これにより、ヒータ123のACヒータ部123bは、AC(交流電圧)が供給されることによる発熱を終了し、貯湯水供給管122cの内部に存在して循環する貯湯水(循環水)の加熱を終了する。制御装置15は、第三スイッチ14lを閉状態に切り替えてACヒータ部123bへのAC(交流電圧)の通電を遮断すると、再び、前記ステップS11に戻り、前記ステップS11の判定処理を実行する。
一方、前記ステップS13にて貯湯水循環ポンプ122aの回転数Eが基準回転数Eoよりも大きければ、ステップS17に進む。ステップS17においては、制御装置15は、貯湯水供給管122cの内部に貯湯水(循環水)が存在していないため、ヒータ123のACヒータ部123bへのAC(交流電圧)の供給(通電)を不可として禁止する。このため、制御装置15は、パワーコンディショナー14の第三スイッチ14lを開状態として維持する。これにより、ヒータ123のACヒータ部123bには、系統電源KからAC(交流電圧)が供給(通電)されず、その結果、貯湯水供給管122cの内部に貯湯水(循環水)が存在していない状態でのACヒータ部123bの発熱が防止される。制御装置15は、第三スイッチ14lを開状態に維持してACヒータ部123bへのAC(交流電圧)の通電を禁止すると、ステップS18に進む。
ステップS18においては、制御装置15は、ユーザ又はメンテナンス作業者に対して、貯湯水循環ライン122或いは貯湯槽121に貯湯水(循環水)が存在しない(所謂、水なしエラー)を報知する。そして、制御装置15は、水なしエラーを報知すると、ステップS19に進み、ACヒータ通電制御プログラムの実行を終了する。
又、燃料電池システム11の発電運転時においては、DC/DCコンバータ14a及びDC/ACインバータ14bが、制御装置15の指令によって駆動される。又、燃料電池システム11の発電運転時においては、第二スイッチ14iは、制御装置15の指令によって連通状態(閉状態)にされる。これにより、燃料電池システム11の燃料電池134によって発電された電力が、DC/DCコンバータ14a及びDC/ACインバータ14bを経て電力負荷13に供給される。
又、発電運転時においては、第一スイッチ14hは、連通状態(閉状態)が維持されている。この場合、燃料電池システム11の燃料電池134の出力電圧が50V以上である場合には、AC/DCコンバータ14cは低待機運転で稼働される。これにより、燃料電池システム11の燃料電池134からの電力が、制御用DC/DCコンバータ14d及び補機用DC/DCコンバータ14eに、ひいては、制御装置15及び補機S(ヒータ123を含む)に供給される。尚、燃料電池134の出力電圧が50V未満である場合には、AC/DCコンバータ14cは定常運転で稼働される。これにより、燃料電池134からの電力は供給されているが、燃料電池134からの電力より電圧の高いAC/DCコンバータ14cからの電力が、制御用DC/DCコンバータ14d及び補機用DC/DCコンバータ14eに、ひいては、制御装置15及び補機S(ヒータ123を含む)に供給される。
ところで、例えば、系統電源Kに停電等が発生した場合、燃料電池システム11は自立発電を行う自立運転により発電を継続する場合がある。この場合、燃料電池134によって発電された電力から電力負荷13によって消費される消費電力を減じた余剰電力が発生する場合がある。そこで、制御装置15は、自立運転時において、生じた余剰電力(DC(直流電圧))をヒータ123の作動によって消費すべく、図7に示すDCヒータ通電制御プログラムを実行する。以下、自立運転時において燃料電池134が発電している場合に実行されるDCヒータ通電制御プログラムを詳細に説明する。
自立運転時の場合、制御装置15(より詳しくは、CPU。以下同じ)は、図7に示すDCヒータ通電制御プログラムの実行をステップS50にて開始する。続くステップS51において、制御装置15は、燃料電池システム11の燃料電池134が自立運転中(単独運転中)であるか否かを判定する。即ち、制御装置15は、各ポンプ111a1,111b2及びブロワ111c1を駆動させており、且つ、電流測定装置14jから入力した電流値が燃料電池134の作動に伴って発電される電力の電流値以上であれば、燃料電池134が自立運転中(単独運転中)である。このため、制御装置15は、ステップS51にて「Yes」と判定して、ステップS52に進む。
一方、制御装置15は、各ポンプ111a1,111b2及びブロワ111c1を駆動させていない、又は、電流測定装置14jから入力した電流値が燃料電池134の作動に伴って発電される電力の電流値未満であれば、燃料電池134が自立運転中ではなく、停止運転となっている。このため、制御装置15は、ステップS51にて「No」と判定してステップS56に進み、DCヒータ通電制御プログラムの実行を終了する。
ステップS52においては、制御装置15は、燃料電池134の発電に伴って余剰発電電力が発生しているか否かを判定する。即ち、制御装置15は、燃料電池134の発電量から、例えば、各ポンプ111a1,111b2及びブロワ111c1の駆動に伴って消費される消費電力及び電力負荷13によって消費される消費電力を減じた差分値がゼロ又は正であれば、余剰発電電力が発生しているため、「Yes」と判定してステップS53に進む。一方、制御装置15は、差分値が負であれば、余剰発電電力が発生していないため、「No」と判定してステップS55に進む。
ステップS53においては、制御装置15は、燃料電池134の発電に伴って発生している余剰発電電力(DC(直流電圧))のヒータ123のDCヒータ部123cへの供給(通電)を許可する。そして、制御装置15は、余剰発電電力(DC(直流電圧))のDCヒータ部123cへの供給(通電)を許可すると、ステップS54に進む。ここで、ステップS53のステップ処理が実行される場合、燃料電池システム11は自立運転中(単独運転中)、即ち、発電運転中である。この場合、貯湯水供給管122cの内部に貯湯水(循環水)が存在しない状態では、熱交換器112における熱交換を行うことができない。従って、貯湯水(循環水)を循環させることができない状況で、燃料電池134が発電を行った場合には、熱交換器112の内部が高温になり、この場合には、システム異常として、燃料電池134における発電が強制的に停止される。換言すれば、燃料電池134が発電する場合には、貯湯水供給管122cの内部に貯湯水(循環水)が存在する。
ステップS54においては、制御装置15は、余剰発電電力(DC(直流電圧))をヒータ123のDCヒータ部123cに供給して、余剰発電電力(DC(直流電圧))を消費する。上述したように、補機Sには、制御装置15の指示により稼働している補機用DC/DCコンバータ14eを介して燃料電池134からDC(直流電圧)が供給される。従って、制御装置15は、余剰発電電力(DC(直流電圧))が発生している場合には、補機用DC/DCコンバータ14eを制御して、余剰発電電力(DC(直流電圧))をヒータ123のDCヒータ部123cに供給する。これにより、ヒータ123のDCヒータ部123cは、パワーコンディショナー14を介して燃料電池134から供給された余剰発電電力(DC(直流電圧))によって発熱し、その結果、余剰発電電力(DC(直流電圧))を消費しながら貯湯水供給管122cの内部に存在して循環する貯湯水(循環水)を加熱する。制御装置15は、DCヒータ部123cに余剰発電電力(DC(直流電圧))を供給して消費すると、前記ステップS51に戻り、前記ステップS51の判定処理を実行する。
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態の発電システム10は、燃料と酸化剤ガスとにより発電する発電ユニット110(燃料電池モジュール111)と、発電ユニット110(燃料電池モジュール111)が発電することに伴って発生する燃焼排ガスと貯湯槽121から貯湯水供給管122cを介して供給される循環水(貯湯水)との間で熱交換する熱交換器112と、循環水(貯湯水)を圧送する循環水ポンプとしての貯湯水循環ポンプ122aと、貯湯水循環ポンプ122aの回転数Eに関連する物理量を検出するセンサとしての回転数センサ122a1と、貯湯水供給管122cに設けられて循環水(貯湯水)を加熱するヒータ123と、発電ユニット110(燃料電池モジュール111)の発電、貯湯水循環ポンプ122aの駆動、及び、ヒータ123の作動を統括して制御する制御装置15と、を備えた発電システムであって、制御装置15は、貯湯水循環ポンプ122aを所定の駆動デューティDkで駆動させた際に回転数センサ122a1によって検出された物理量に基づく回転数Eが予め設定された基準回転数Eo以下(基準回転数以下)である場合に、ヒータ123が循環水(貯湯水)を加熱することを許可し、回転数Eが基準回転数Eoよりも大きい場合に、ヒータ123が循環水(貯湯水)を加熱することを禁止する、ように構成される。
この場合、発電ユニット110は、燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池134と、供給源Gsから改質用原料供給管111aを介して供給された改質用原料と改質水を蒸発させた水蒸気とから燃料を生成して燃料電池134に燃料を供給する改質部133と、を有する燃料電池モジュール111と、改質部133に改質水供給管111bを介して供給する改質水を貯水する改質水タンク114と、を備えており、発電システム10は、更に、燃料電池モジュール111と系統電源Kとに接続され、且つ、制御装置15によって制御されて、燃料電池モジュール111からの直流電圧(DC)をヒータ123(DCヒータ部123c)に供給するとともに、系統電源Kからの交流電圧(AC)をヒータ123(ACヒータ部123b)に供給するパワーコンディショナー14と、を備えることができる。
これらによれば、制御装置15は、回転数センサ122a1によって検出された貯湯水循環ポンプ122aの回転数Eと基準回転数Eoとの比較に基づき、ヒータ123が循環水(貯湯水)を加熱することを許可又は禁止することができる。貯湯水循環ポンプ122aは、貯湯水供給管122cの内部に循環水(貯湯水)が存在している場合において所定の駆動デューティDkで駆動する際には圧送に伴う抵抗に起因して回転数Eが低下する傾向を有し、貯湯水供給管122cの内部に循環水(貯湯水)が存在していない場合において所定の駆動デューティDkで駆動する際には空転に伴って回転数Eが増加する傾向を有する。
これにより、回転数センサ122a1によって検出された回転数Eが基準回転数Eo以下(基準回転数以下)の場合には貯湯水供給管122cの内部に循環水(貯湯水)が存在しているため、制御装置15がヒータ123を作動させても空焚きにはならない。一方、回転数センサ122a1によって検出された回転数Eが基準回転数Eoよりも大きい場合には貯湯水供給管122cの内部に循環水(貯湯水)が存在していないため、制御装置15はヒータ123の作動を禁止して空焚きを防止することができる。従って、別途高価なフロートセンサや流量センサ等を設けなくても、簡単な構成且つ低コストにより、ヒータ123の空焚きを防止することができる。
この場合、ヒータ123は、系統電源Kから交流電圧(AC)が供給されて発熱する第一ヒータ部としてのACヒータ部123bと、発電ユニット110(燃料電池モジュール111)によって発電された直流電圧(DC)が供給されて発熱する第二ヒータ部としてのDCヒータ部123cと、を有し、制御装置15は、発電ユニット110(燃料電池モジュール111)が発電することを停止しており、且つ、貯湯水循環ポンプ122aが作動しているときに、回転数Eが基準回転数Eo以下(基準回転数以下)である場合において系統電源KからACヒータ部123bに交流電圧(AC)を供給してACヒータ部123bを作動させて循環水(貯湯水)を加熱させ、系統電源Kから交流電圧(AC)の供給が停止しており、且つ、発電ユニット110(燃料電池モジュール111)が発電しているときに、発電ユニット110(燃料電池モジュール111)からDCヒータ部123cに直流電圧(DC)を供給してDCヒータ部123cを作動させて循環水(貯湯水)を加熱させる。
この場合、ヒータ123は、貯湯水供給管122cの外径よりも大きな内径を有する筒状の基部123aと、基部123aの内周面と貯湯水供給管122cの外周面との間に配置されたACヒータ部123b及びDCヒータ部123cと、系統電源Kからの交流電圧(AC)をACヒータ部123bに供給する一方で、発電ユニット110(燃料電池モジュール111)からの直流電圧(DC)をDCヒータ部123cに供給するハーネス123dと、を有することができる。
これらによれば、制御装置15は、発電ユニット110(燃料電池モジュール111)が停止している場合において、例えば、貯湯水の凍結を防止するために、系統電源Kから供給される交流電圧(AC)を用いてACヒータ部123bを作動させることができる。一方、制御装置15は、系統電源Kからの交流電圧(AC)が停止しており、発電ユニット110(燃料電池モジュール111)のみが作動している自立運転時において、余剰発電電力が生じた場合には直流電圧(DC)をDCヒータ部123cに供給することにより余剰発電電力を消費することができる。
又、ハーネス123dを介してACヒータ部123b及びDCヒータ部123cのそれぞれに交流電圧(AC)及び直流電圧(DC)を直接的に供給することができる。これにより、上述したように、ACヒータ部123bに交流電圧(AC)を供給し、又は、DCヒータ部123cに直流電圧(DC)を状況に応じて供給するために別途、電気切り替え回路等を設ける必要がない。従って、ヒータ123の構成を簡単にすることができ、ひいては、発電システム10における構成の簡略化とともに低コスト化を達成することができる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、発電ユニット110として、燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池モジュール111(燃料電池134)を用いるようにした。これに代えて、発電に伴って燃焼排ガスを発生し、燃焼排ガスと貯湯槽121から貯湯水供給管122cを介して供給される貯湯水(循環水)との間で熱交換することが可能なガスエンジンを発電ユニット110として用いることも可能である。
又、上記実施形態においては、発電システム10として、燃料電池システム11にて発生した熱を熱交換により回収して貯湯水を生成するようにした。これに代えて、又は、加えて、例えば、発電システム10として、燃料電池システム11等の発電装置と、別途設けた給湯器等と、を有して構成されたコジェネレーションシステムに用いることも可能である。
又、上記実施形態においては、ヒータ123を、それぞれ独立したACヒータ部123b及びDCヒータ部123cが筒状の基部123aの内周面に配置して一体化するようにした。これに代えて、それぞれ独立したACヒータ部123b及びDCヒータ部123cを別体の基部123aに設けることも可能である。この場合においても、ACヒータ部123b及びDCヒータ部123cのそれぞれにAC(交流電圧)及びDC(直流電圧)を直接的に供給することが可能である。従って、ACヒータ部123bにAC(交流電圧)を供給し、又は、DCヒータ部123cにDC(直流電圧)を供給するために別途、電気切り替え回路等を設ける必要がなく、構成を簡単にすることができるとともに低コスト化を達成することができる。
又、上記実施形態においては、貯湯水循環ポンプ122aの回転数Eに関連する物理量を検出するセンサとして回転数センサ122a1を用いた。これに代えて、貯湯水循環ポンプ122aの回転数Eに関連する物理量として、例えば、貯湯水循環ポンプ122aを構成する電動モータに流れる電流値を検出する電流センサや、電動モータの回転角を検出する回転角センサ等を用いることも可能である。
又、上記実施形態においては、ヒータ123のACヒータ部123b及びDCヒータ部123cに対して、系統電源K及び燃料電池モジュール111(燃料電池134)からパワーコンディショナー14を介してAC(交流電圧)及びDC(直流電圧)を供給するようにした。これに代えて、パワーコンディショナー14を介すことなく、ヒータ123のACヒータ部123b及びDCヒータ部123cに対して、系統電源K及び燃料電池モジュール111(燃料電池134)からAC(交流電圧)及びDC(直流電圧)を供給することも可能である。
又、上記実施形態においては、発電ユニット110の燃料電池モジュール111が発電することを停止している場合において、制御装置15がパワーコンディショナー14を制御して系統電源KからAC(交流電圧)をACヒータ部123bに供給し、ACヒータ部123bが貯湯水(循環水)を加熱するようにした。ここで、上述したように、燃料電池モジュール111が発電している場合には、貯湯水循環ポンプ122aが駆動して貯湯水(循環水)を加圧している、即ち、回転数Eが基準回転数Eo以下の状態になっている。従って、燃料電池モジュール111が発電している場合においても、制御装置15パワーコンディショナー14を制御して系統電源KからAC(交流電圧)をACヒータ部123bに供給し、ACヒータ部123bが貯湯水(循環水)を加熱することも可能である。
更に、上記実施形態においては、発電ユニット110の燃料電池モジュール111が発電することを停止している場合において、制御装置15がパワーコンディショナー14を制御して系統電源KからAC(交流電圧)をACヒータ部123bに供給し、ACヒータ部123bが貯湯水(循環水)を加熱するようにした。これに代えて、発電ユニット110の燃料電池モジュール111が発電することを停止している場合において、制御装置15が、パワーコンディショナー14のAC/DCコンバータ14cを制御して系統電源KからのAC(交流電圧)をDC(直流電圧)に変換し、変換したDC(直流電圧)をDCヒータ部123cに供給することにより、DCヒータ部123cが貯湯水(循環水)を加熱することも可能である。