JP7055101B2 - 相分離構造を含む構造体の製造方法 - Google Patents
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Description
本願は、2016年9月28日に日本に出願された、特願2016-189521号に基づき優先権主張し、その内容をここに援用する。
このような要望に対し、互いに非相溶性のブロック同士が結合したブロックコポリマーの自己組織化により形成される相分離構造を利用して、より微細なパターンを形成する技術の開発が行われている(例えば、特許文献1参照)。
ブロックコポリマーの相分離構造を利用するためには、ミクロ相分離により形成される自己組織化ナノ構造を、特定の領域のみに形成し、かつ、所望の方向へ配列させることが必須とされる。これらの位置制御及び配向制御を実現するために、ガイドパターンによって相分離パターンを制御するグラフォエピタキシーや、基板の化学状態の違いによって相分離パターンを制御するケミカルエピタキシー等のプロセスが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
「構造体の周期」とは、相分離構造の構造体が形成された際に観察される相構造の周期を意味し、互いに非相溶である各相の長さの和をいう。相分離構造が基板表面に対して垂直なシリンダー構造を形成する場合、構造体の周期(L0)は、隣接する2つのシリンダー構造の中心間距離(ピッチ)となる。
[式中、L0は、構造体の周期を表す。aは、モノマーの大きさを示すパラメータである。Nは、重合度を表す。χは、相互作用パラメータであり、この値が大きいほど、相分離性能が高いことを意味する。]
ブロックコポリマーが形成する周期構造は、ポリマー成分の体積比等に伴ってシリンダー(柱状)、ラメラ(板状)、スフィア(球状)と変化し、その周期は分子量に依存することが知られている。
このため、ブロックコポリマーの自己組織化により形成される相分離構造を利用して、比較的大きい周期(L0)の構造体を形成するためには、ブロックコポリマーの分子量を大きくする方法が考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、相分離性能が良好で、かつラフネスの発生を低減して良好な形状を形成できる、相分離構造を含む構造体の製造方法を提供すること、を課題とする。
すなわち、本発明の一の態様は、ブロックコポリマー、及びカチオン部とアニオン部とを有する化合物(IL)を含むイオン液体を含有する相分離構造形成用樹脂組成物を用いて、基板上にブロックコポリマーを含む層(BCP層)を形成する工程と、前記化合物(IL)の少なくとも一部を気化させ、かつ、前記BCP層を相分離させて、相分離構造を含む構造体を得る工程と、を有有する、相分離構造を含む構造体の製造方法。である。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH2-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH2=CH-COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(Rα0)は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。また、置換基(Rα0)がエステル結合を含む置換基で置換されたイタコン酸ジエステルや、置換基(Rα0)がヒドロキシアルキル基やその水酸基を修飾した基で置換されたαヒドロキシアクリル酸エステルも含むものとする。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「スチレン誘導体」とは、スチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1~5が好ましく、1が最も好ましい。
本発明に係る、相分離構造を含む構造体の製造方法は、ブロックコポリマー、及びカチオン部とアニオン部とを有する化合物(IL)を含むイオン液体を含有する相分離構造形成用樹脂組成物(以下「相分離構造形成用樹脂組成物」という。)を用いて、基板上にブロックコポリマーを含む層(BCP層)を形成する工程(以下「工程(i)」という。)と、前記化合物(IL)の少なくとも一部を気化させ、かつ、前記BCP層を相分離させて、相分離構造を含む構造体を得る工程(以下「工程(ii)」という。)と、を有する。
以下、かかる相分離構造を含む構造体の製造方法について、図1を参照しながら具体的に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
まず、必要に応じて、基板1上に下地剤を塗布して、下地剤層2を形成する(図1(I))。
次に、下地剤層2上に、相分離構造形成用樹脂組成物を塗布して、BCP層3を形成する(図1(II);以上、工程(i))。
次に、加熱してアニール処理を行い、BCP層3を、相3aと相3bとに相分離させる。(図1(III);工程(ii))。
かかる本実施形態の製造方法、すなわち、工程(i)及び工程(ii)を有する製造方法によれば、下地剤層2が形成された基板1上に、相分離構造を含む構造体3’が製造される。
工程(i)では、基板1上に、相分離構造形成用樹脂組成物を用いて、BCP層3を形成する。
基板としては、例えば、シリコン、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属からなる基板、ガラス、酸化チタン、シリカ、マイカ等の無機物からなる基板、アクリル板、ポリスチレン、セルロース、セルロースアセテート、フェノール樹脂等の有機化合物からなる基板などが挙げられる。
基板の大きさや形状は、特に限定されるものではない。基板は必ずしも平滑な表面を有する必要はなく、様々な材質や形状の基板を適宜選択することができる。例えば、曲面を有する基板、表面が凹凸形状の平板、薄片状などの様々な形状のものを多様に用いることができる。
基板の表面には、無機系および/または有機系の膜が設けられていてもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)が挙げられる。
洗浄処理としては、従来公知の方法を利用でき、例えば酸素プラズマ処理、水素プラズマ処理、オゾン酸化処理、酸アルカリ処理、化学修飾処理等が挙げられる。例えば、基板を硫酸/過酸化水素水溶液等の酸溶液に浸漬させた後、水洗し、乾燥させる。その後、当該基板の表面に、BCP層3又は下地剤層2を形成する。
中性化処理とは、基板表面を、ブロックコポリマーを構成するいずれのポリマーとも親和性を有するように改変する処理をいう。中性化処理を行うことにより、相分離によって特定のポリマーからなる相のみが基板表面に接することを抑制することができる。例えば、BCP層3を形成する前に、基板1表面に、用いるブロックコポリマーの種類に応じた下地剤層2を形成しておくことが好ましい。これに伴い、BCP層3の相分離によって、基板1表面に対して垂直方向に配向したシリンダー状又はラメラ状の相分離構造が形成しやすくなる。
下地剤には、ブロックコポリマーを構成するポリマーの種類に応じて、薄膜形成に用いられる従来公知の樹脂組成物を適宜選択して用いることができる。
かかる下地剤としては、例えば、ブロックコポリマーを構成する各ポリマーの構成単位をいずれも有する樹脂を含有する組成物や、ブロックコポリマーを構成する各ポリマーと親和性の高い構成単位をいずれも有する樹脂を含有する組成物等が挙げられる。
例えば、スチレンから誘導される構成単位のブロック(PS)とメタクリル酸メチルから誘導される構成単位のブロック(PMMA)とを有するブロックコポリマー(PS-PMMAブロックコポリマー)を用いる場合、下地剤としては、PSとPMMAとの両方をブロックとして含む樹脂組成物や、芳香環等と親和性が高い部位と、極性の高い官能基等と親和性の高い部位と、の両方を含む化合物又は組成物を用いることが好ましい。
PSとPMMAとの両方をブロックとして含む樹脂組成物としては、例えば、PSとPMMAとのランダムコポリマー、PSとPMMAとの交互ポリマー(各モノマーが交互に共重合しているもの)等が挙げられる。
その他、PSと親和性が高い部位と、PMMAと親和性の高い部位と、の両方を含む化合物としては、フェネチルトリクロロシラン等のアリール基と極性の高い置換基との両方を含む化合物や、アルキルシラン化合物等のアルキル基と極性の高い置換基との両方を含む化合物等が挙げられる。
また、下地剤としては、例えば、熱重合性樹脂組成物、ポジ型レジスト組成物やネガ型レジスト組成物等の感光性樹脂組成物も挙げられる。
下地剤を基板1上に塗布して下地剤層2を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法により形成できる。
たとえば、下地剤を、スピンコート又はスピンナーを用いる等の従来公知の方法により基板1上に塗布して塗膜を形成し、乾燥させることにより、下地剤層2を形成できる。
塗膜の乾燥方法としては、下地剤に含まれる溶媒を揮発させることができればよく、たとえばベークする方法等が挙げられる。この際、ベーク温度は、80~300℃が好ましく、180~270℃がより好ましく、220~250℃がさらに好ましい。ベーク時間は、30~500秒間が好ましく、60~400秒間がより好ましい。
塗膜の乾燥後における下地剤層2の厚さは、10~100nm程度が好ましく、40~90nm程度がより好ましい。
下地剤層2の上にBCP層3を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えばスピンコート又はスピンナーを用いる等の従来公知の方法により、下地剤層2上に相分離構造形成用樹脂組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させる方法が挙げられる。
例えば、基板1がSi基板又はSiO2基板の場合、BCP層3の厚さは、20~100nmが好ましく、30~80nmがより好ましい。
基板1がCu基板の場合、BCP層3の厚さは、10~100nmが好ましく、30~80nmがより好ましい。
工程(ii)では、前記化合物(IL)の少なくとも一部を気化させ、かつ、基板1上に形成された、BCP層3を相分離させる。
例えば、工程(i)後の基板1を加熱してアニール処理を行うことにより、ブロックコポリマーの選択除去によって、基板1表面の少なくとも一部が露出するような相分離構造が形成することができる。すなわち、基板1上に、相3aと相3bとに相分離した相分離構造を含む構造体3’が製造される。
アニール処理は、化合物(IL)の少なくとも一部を気化させて、BCP層から化合物(IL)を除去することができるような温度条件で行うことが好ましい。かかる温度条件として、例えば210℃以上でアニール処理を行う。すなわち、工程(ii)は、210℃以上の温度条件でアニール処理を行うことにより、化合物(IL)の少なくとも一部を気化させて、BCP層から化合物(IL)を除去する操作を有することが好ましい。なお、前記操作において、BCP層から除去される化合物(IL)の量は、BCP層に含有される全部であってもよく、その一部であってもよい。
また、アニール処理における加熱時間は、1分以上であることが好ましく、5分以上であることがより好ましく、10分以上であることがさらに好ましく、15分以上であることが特に好ましい。加熱時間を長くすることにより、BCP層における化合物(IL)の残存量をより減らすことができる。加熱時間の上限は、特に限定されないが、工程時間管理の観点から、240分以下とすることが好ましく、180分以下とすることがより好ましい。アニール処理における加熱時間の範囲としては、例えば、1~240分、5~240分、10~240分、15分~240分、15~180分等が挙げられる。
また、アニール処理は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
工程(ii)において、相分離構造形成用樹脂組成物に含まれる前記化合物(IL)の全量の40質量%以上をBCP層から気化させる操作としては、特に限定されない。例えば、上記のように、BCP層を相分離させる際のアニール処理の温度条件を、化合物(IL)の全量の40質量%以上が気化されるように設定することができる。
本実施形態の工程(ii)では、BCP層中の化合物(IL)の残存量を減少させるため、化合物(IL)と下地剤層2との極性のマッチングの影響が小さい。そのため、本実施形態に係る相分離構造を含む構造体の製造方法によれば、用いる化合物(IL)の種類に依存することなく、下地剤を自由に選択することができる。
本発明に係る、相分離構造を含む構造体の製造方法は、上述した実施形態に限定されず、工程(i)~(ii)以外の工程(任意工程)を有してもよい。
かかる任意工程としては、BCP層3のうち、前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相を選択的に除去する工程(以下「工程(iii)」という。)、ガイドパターン形成工程等が挙げられる。
工程(iii)では、下地剤層2の上に形成されたBCP層3のうち、前記ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックのうちの少なくとも一種類のブロックからなる相(相3a、相3b)を選択的に除去する。これにより、微細なパターン(高分子ナノ構造体)が形成される。
尚、以下において、ブロックコポリマーを構成するブロックのうち、選択的に除去されないブロックをPAブロック、選択的に除去されるブロックをPBブロックという。例えば、PS-PMMAブロックコポリマーを含む層を相分離した後、該層に対して酸素プラズマ処理や水素プラズマ処理等を行うことにより、PMMAからなる相が選択的に除去される。この場合、PS部分がPAブロックであり、PMMA部分がPBブロックである。
図2に示す実施形態においては、工程(ii)で基板1上に製造された構造体3’に、酸素プラズマ処理を行うことによって、相3aが選択的に除去され、離間した相3bからなるパターン(高分子ナノ構造体)が形成されている。この場合、相3bがPAブロックからなる相であり、相3aがPBブロックからなる相である。
加熱の温度条件は、用いるブロックコポリマーのガラス転移温度以上であり、かつ、熱分解温度未満が好ましい。また、加熱は、窒素等の反応性の低いガス中で行われることが好ましい。
本発明に係る、相分離構造を含む構造体の製造方法においては、下地剤層上にガイドパターンを設ける工程(ガイドパターン形成工程)を有してもよい。これにより、相分離構造の配列構造制御が可能となる。
例えば、ガイドパターンを設けない場合に、ランダムな指紋状の相分離構造が形成されるブロックコポリマーであっても、下地剤層表面にレジスト膜の溝構造を設けることにより、その溝に沿って配向した相分離構造が得られる。このような原理で、下地剤層2上にガイドパターンを設けてもよい。また、ガイドパターンの表面が、ブロックコポリマーを構成するいずれかのポリマーとも親和性を有することにより、基板表面に対して垂直方向に配向したシリンダー状又はラメラ状の相分離構造が形成しやすくなる。
ガイドパターンを形成するレジスト組成物は、一般的にレジストパターンの形成に用いられるレジスト組成物やその改変物の中から、ブロックコポリマーを構成するいずれかのポリマーと親和性を有するものを適宜選択して用いることができる。該レジスト組成物としては、レジスト膜露光部が溶解除去されるポジ型パターンを形成するポジ型レジスト組成物、レジスト膜未露光部が溶解除去されるネガ型パターンを形成するネガ型レジスト組成物のいずれであってもよいが、ネガ型レジスト組成物であることが好ましい。ネガ型レジスト組成物としては、例えば、酸発生剤成分と、酸の作用により有機溶剤を含有する現像液への溶解性が酸の作用により減少する基材成分とを含有し、該基材成分が、酸の作用により分解して極性が増大する構成単位を有する樹脂成分、を含有するレジスト組成物が好ましい。
ガイドパターンが形成された下地剤層上に相分離構造形成用樹脂組成物が流し込まれた後、相分離を起こすためにアニール処理が行われる。このため、ガイドパターンを形成するレジスト組成物としては、耐溶剤性及び耐熱性に優れたレジスト膜を形成し得るものであることが好ましい。
本発明に係る相分離構造を含む構造体の製造方法で用いる、相分離構造形成用樹脂組成物は、ブロックコポリマー、及び、カチオン部とアニオン部とを有する化合物(IL)を含むイオン液体を含有するものである。
かかる相分離構造形成用樹脂組成物の一実施形態として、例えば、ブロックコポリマーと、前記イオン液体と、を有機溶剤成分に溶解してなるものが挙げられる。
ブロックコポリマーは、複数種類のブロック(同種の構成単位が繰り返し結合した部分構成成分)が結合した高分子である。ブロックコポリマーを構成するブロックは、2種類であってもよく、3種類以上であってもよい。
ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロックは、相分離が起こる組み合わせであれば特に限定されるものではないが、互いに非相溶であるブロック同士の組み合わせであることが好ましい。また、ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロック中の少なくとも1種類のブロックからなる相が、他の種類のブロックからなる相よりも、容易に選択的に除去可能な組み合わせであることが好ましい。
また、ブロックコポリマーを構成する複数種類のブロック中の少なくとも1種類のブロックからなる相が、他の種類のブロックからなる相よりも、容易に選択的に除去可能な組み合わせであることが好ましい。容易に選択的に除去可能な組み合わせとしては、エッチング選択比が1よりも大きい、1種又は2種以上のブロックが結合したブロックコポリマーが挙げられる。
スチレン又はその誘導体としては、例えば、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、4-t-ブチルスチレン、4-n-オクチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、4-メトキシスチレン、4-t-ブトキシスチレン、4-ヒドロキシスチレン、4-ニトロスチレン、3-ニトロスチレン、4-クロロスチレン、4-フルオロスチレン、4-アセトキシビニルスチレン、4-ビニルベンジルクロリド、1-ビニルナフタレン、4-ビニルビフェニル、1-ビニル-2-ピロリドン、9-ビニルアントラセン、ビニルピリジン等が挙げられる。
(α置換)アクリル酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
(α置換)アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸アントラセン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメタン、アクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸アントラセン、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメタン、メタクリル酸プロピルトリメトキシシラン等のメタクリル酸エステルなどが挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸t-ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸t-ブチルが好ましい。
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソプロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
シルセスキオキサン構造含有構成単位としては、かご型シルセスキオキサン構造含有構成単位が好ましい。かご型シルセスキオキサン構造含有構成単位を提供するモノマーとしては、かご型シルセスキオキサン構造と重合性基とを有する化合物が挙げられる。
また、基板表面に対して垂直方向に配向したラメラ状の相分離構造を得る場合は、芳香族基を有する構成単位と、(α置換)アクリル酸又は(α置換)アクリル酸エステルから誘導される構成単位と、の質量比は、35:65~60:40であることが好ましく、40:60~60:40であることがより好ましい。
本実施形態においては、特に、スチレンから誘導される構成単位のブロック(PS)とメタクリル酸メチルから誘導される構成単位のブロック(PMMA)とを有するブロックコポリマー(PS-PMMAブロックコポリマー)を用いることが好ましい。
ブロックコポリマーの分散度(Mw/Mn)は、1.0~3.0が好ましく、1.0~1.5がより好ましく、1.0~1.3がさらに好ましい。尚、「Mw」は質量平均分子量を示す。
相分離構造形成用樹脂組成物中、ブロックコポリマーの含有量は、形成しようとするブロックコポリマーを含む層の厚さ等に応じて調整すればよい。
相分離構造形成用樹脂組成物において、イオン液体は、特定のカチオン部とアニオン部とを有する化合物(IL)を含む。
イオン液体とは、液体で存在する塩をいう。イオン液体は、カチオン部とアニオン部とで構成され、これらのイオン間の静電相互作用は弱く、結晶化しにくい塩である。イオン液体は、融点が100℃以下のものであり、さらに下記の特徴1)~5)を有する。
特徴1)蒸気圧が極めて低い。特徴2)広い温度範囲で不燃性を示す。特徴3)広い温度範囲で液状を保つ。特徴4)密度を大きく変えられる。特徴5)極性の制御が可能である。
また、本実施形態において、イオン液体は、非重合性であることが好ましい。
イオン液体の質量平均分子量(Mw)は1000以下が好ましく、750以下がより好ましく、500以下が更に好ましい。
化合物(IL)は、カチオン部とアニオン部とを有する化合物である。
化合物(IL)のカチオン部は、特に限定されないが、相分離性能の向上効果がより得られやすいことから、カチオン部の双極子モーメントが3debye以上であることが好ましく、より好ましくは3.2~15debye、さらに好ましくは3.4~12debyeである。
「カチオン部の双極子モーメント」とは、カチオン部の極性(電荷の偏り)を定量的に示すパラメータをいう。1debye(デバイ)は1×10-18esu・cmと定義される。本明細書において、カチオン部の双極子モーメントは、CACheによるシミュレーション値を示す。例えば、CAChe Work System Pro Version 6.1.12.33により、MM geometry(MM2)、PM3 geometryを用いて構造最適化を行うことにより測定される。
すなわち、好ましい化合物(IL)としては、例えば、イミダゾリウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩又はアンモニウム塩が挙げられる。これらの塩の中でも、相分離性能がより向上しやすいことから、そのカチオン部が、置換基を有するカチオンであることが好ましい。その中でも、置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を含むカチオン、又は極性基を含むカチオンであるものが好ましい。前記のカチオンが含む炭素数2以上のアルキル基は、好ましくは炭素数が2~12、より好ましくは炭素数が2~6である。前記のアルキル基は、直鎖状アルキル基であっても分岐鎖状アルキル基であってもよいが、直鎖状アルキル基であることが好ましい。炭素数2以上のアルキル基が有していてもよい置換基としては、ヒドロキシ基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。なお、炭素数2以上のアルキル基は、置換基を有さないことが好ましい。前記のカチオンが含む極性基としては、例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等が挙げられる。
より好ましい化合物(IL)のカチオン部としては、置換基を有するピロリジニウムイオンが挙げられ、その中でも、置換基を有していてもよい炭素数2以上のアルキル基を含むピロリジニウムイオンであることが好ましい。
化合物(IL)のアニオン部は、特に限定されないが、下記一般式(a1)~(a5)のいずれかで表されるアニオン等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基);前記アリール基の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基);等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1~4であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
Rの芳香族炭化水素基としては、フェニル基もしくはナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
中でも、前記脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
kは、1~4の整数であり、好ましくは3~4の整数、最も好ましくは4である。
lは、0~3の整数であり、好ましくは0~2の整数、最も好ましくは0である。lが2以上の場合、複数のR’は、相互に同一であってもよいし異なっていてもよいが、相互に同一であることが好ましい。
mは、1~6の整数であり、好ましくは3~6の整数、最も好ましくは6である。
nは、0~5の整数であり、好ましくは0~3の整数、最も好ましくは0である。nが2以上の場合、複数のR”は、相互に同一であってもよいし異なっていてもよいが、相互に同一であることが好ましい。
X”のアルキレン基の炭素数、又は、Y”及びZ”の各アルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、有機溶剤成分への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
相分離構造形成用樹脂組成物中、化合物(IL)の含有量は、ブロックコポリマー100質量部に対して、1.0質量部以上であることが好ましく、3.0質量部以上であることがより好ましく、5.0質量部以上であることがさらに好ましく、8.5質量部以上であることが特に好ましい。本発明に係る相分離構造を含む構造体の製造方法では、アニール処理を高温で行うことにより、BCP層から化合物(IL)を気化させて除去する。そのため、相分離構造形成用樹脂組成物中の化合物(IL)の含有量を、従来よりも多くすることができる。相分離構造形成用樹脂組成物中の化合物(IL)の含有量を多くすることにより、ブロックコポリマーと化合物(IL)との相互作用が促進され、相分離性能が向上する。
また、相分離構造形成用樹脂組成物中、化合物(IL)の含有量は、相分離構造形成用樹脂組成物(100質量%)に対して、0.030質量%以上であることが好ましく、0.065質量%以上であることがより好ましく、0.070質量%以上であることがさらに好ましい。
相分離構造形成用樹脂組成物中の化合物(IL)の含有量の上限値は、特に限定されないが、ブロックコポリマー100質量部に対して、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。化合物(IL)の含有量の範囲としては、例えば、ブロックコポリマー100質量部に対して、1.0~40質量部、3.0~30質量部、5.0~30質量部、又は8.5~20質量部等が挙げられる。
また、相分離構造形成用樹脂組成物中の化合物(IL)の含有量の上限値は、相分離構造形成用樹脂組成物(100質量%)に対して、3.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。化合物(IL)の含有量の範囲としては、例えば、相分離構造形成用樹脂組成物(100質量%)に対して、0.030~3.0質量%、0.065~1.0質量%、又は0.070~0.5質量%等が挙げられる。
イオン液体に占める化合物(IL)の割合は、イオン液体の総質量に対し、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。イオン液体に占める化合物(IL)の割合が前記範囲の好ましい下限値以上であると、相分離性能の向上効果がより得られやすくなる。
相分離構造形成用樹脂組成物は、上記のブロックコポリマーとイオン液体とを有機溶剤成分に溶解することにより調製できる。
有機溶剤成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、樹脂を主成分とする膜組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを1種又は2種以上適宜選択して用いることができる。
有機溶剤成分は、単独で用いてもよいし、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、乳酸エチル(EL)が好ましい。
たとえば極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2、さらに好ましくは3:7~7:3である。また、極性溶剤としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは2:8~8:2、さらに好ましくは3:7~7:3である。
相分離構造形成用樹脂組成物に含まれる有機溶剤成分は、特に限定されるものではなく、塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定され、一般的には固形分濃度が0.2~70質量%、好ましくは0.2~50質量%の範囲内となるように用いられる。
相分離構造形成用樹脂組成物には、上記のブロックコポリマー、イオン液体及び有機溶剤成分以外に、さらに、所望により、混和性のある添加剤、例えば下地剤層の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料、増感剤、塩基増殖剤、塩基性化合物等を適宜、含有させることができる。
BCP層が化合物(IL)を含有すると、通常L0が大きくなるが、上述したように、アニーリング処理によりBCP層から化合物(IL)が除去されるため、L0を維持したまま相分離性能が向上する。そのため、重合度の低いブロックポリマーを用いた場合、構造体のL0の小さい、すなわち、より微細な構造のパターンが形成される。
また、本実施形態の、相分離構造を含む構造体の製造方法により製造される構造体は、ディフェクトが生じにくく、エッチング特性が向上する。
本実施例では、化学式(1)で表される化合物を「化合物(1)」と表記し、他の化学式で表される化合物についても同様に表記する。
<相分離構造形成用樹脂組成物の調製>
表1に示す各成分を混合して溶解し、各例の相分離構造形成用樹脂組成物をそれぞれ調製した。
BCP-1:ポリスチレン(PSブロック)とポリメタクリル酸メチル(PMMAブロック)とのブロックコポリマー[Mn:PS31600,PMMA30400,合計62000;PS/PMMA組成比(質量比)51/49;分散度1.02]。
BCP-2:ポリスチレン(PSブロック)とポリメタクリル酸メチル(PMMAブロック)とのブロックコポリマー[Mn:PS34300,PMMA31700,合計66000;PS/PMMA組成比(質量比)52/48;分散度1.02]。
BCP-3:ポリスチレン(PSブロック)とポリメタクリル酸メチル(PMMAブロック)とのブロックコポリマー[Mn:PS41800,PMMA40200,合計82000;PS/PMMA組成比(質量比)51/49;分散度1.02]。
(IL)-2:下記の化学式(IL)-2で表される化合物。
[工程(i)]
300mmのシリコン(Si)ウェーハ上に、以下に示す下地剤をスピンコート(回転数1500rpm、60秒間)により塗布し、大気中250℃、60分間で焼成して乾燥させることにより、膜厚60nmの下地剤層を形成した。
次いで、窒素気流下、表2及び表3に示す条件でアニール処理することにより、PS-PMMAブロックコポリマー層を、PSからなる相と、PMMAからなる相と、に相分離させて、相分離構造を含む構造体を形成した。
相分離構造が形成されたシリコン(Si)ウェーハに対し、酸素プラズマ処理を行い、PMMAからなる相を選択的に除去した。
上記各例の製造方法を用いて形成した、相分離構造を含む構造体の周期(L0)を求めた。相分離構造を含む構造体の周期(L0)は、得られた基板の表面(相分離状態)を、走査型電子顕微鏡(CG6300、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察したフィンガープリントパターンを、オフライン測長ソフトウェア(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いる方法により測定した。
表2及び表3に、各例の相分離構造を含む構造体の周期(L0)を示した。
上記各例の製造方法を用いて形成した、相分離構造を含む構造体について、FERを示す尺度である3σを求めた。これを「FER(nm)」として表2及び表3に示した。
「3σ」は、得られた基板の表面(相分離状態)を、走査型電子顕微鏡(CG6300、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察したフィンガープリントパターンを、オフライン測長ソフトウェア(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いる方法により測定した。3σはその測定結果から求めた標準偏差(σ)の3倍値(3σ)(単位:nm)を示す。
該3σの値が小さいほど、相分離構造を含む構造体のラフネスが小さく、よりラフネスの発生が低減された良好な形状の構造体が得られたことを意味する。
<相分離構造形成用樹脂組成物の調製>
表4に示す各成分を混合して溶解し、各例の相分離構造形成用樹脂組成物をそれぞれ調製した。
BCP-4:ポリスチレン(PSブロック)とポリメタクリル酸メチル(PMMAブロック)とのブロックコポリマー[Mn:PS41800,PMMA40200,合計82000;PS/PMMA組成比(質量比)51/49;分散度1.02]。
(S)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)。
(IL)-1:前記の化学式(IL)-1で表される化合物。
(IL)-2:前記の化学式(IL)-2で表される化合物。
(IL)-3:下記の化学式(IL)-3で表される化合物。
(IL)-4:下記の化学式(IL)-4で表される化合物。
(IL)-5:下記の化学式(IL)-5で表される化合物。
(IL)-6:下記の化学式(IL)-6で表される化合物。
工程(i)において表5~7に示す相分離構造形成用樹脂組成物を用い、工程(ii)において表5~7に示す条件でアニール処理した以外は前記<相分離構造を含む構造体の製造(1)>と同様にして相分離構造を含む構造体を形成した。
得られた基板の表面(相分離状態)を、走査型電子顕微鏡SEM(CG6300、株式会社日立ハイテクノロジーズ製)で観察し、以下の基準に従って評価した。結果を表5~7に示す。
A:相分離が確認された。
B:一部相分離が確認された。
C:相分離していない。
上記各例の製造方法を用 いて形成した、相分離構造を含む構造体の一部を削り取り、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により相分離構造を含む構造体中のイオン液体の残存率(%)を測定した。結果を「IL残存率(%)」として表5~7に示す。
工程(i)において表8に示す相分離構造形成用樹脂組成物を用い、工程(ii)において表8に示す条件でアニール処理した以外は前記<相分離構造を含む構造体の製造(1)>と同様にして相分離構造を含む構造体を形成した。
上記各例の製造方法を用いて形成した、相分離構造を含む構造体について、FERを示す尺度である3σを求めた。これを「FER(nm)」として表8に示した。「3σ」は、前記<FER(フィンガープリントエッジラフネス)の評価(1)>と同様にして求めた。
図3は、実施例66で製造した相分離構造を含む構造体の走査型電子顕微鏡写真である。また、図4は、比較例29で製造した相分離構造を含む構造体の走査型電子顕微鏡写真である。
Claims (2)
- ブロックコポリマー、及びカチオン部とアニオン部とを有する化合物(IL)を含むイオン液体を含有する相分離構造形成用樹脂組成物を用いて、基板上にブロックコポリマーを含む層(BCP層)を形成する工程と、
前記化合物(IL)の少なくとも一部を気化させ、かつ、前記BCP層を相分離させて、相分離構造を含む構造体を得る工程と、を有し、
前記の相分離構造を含む構造体を得る工程は、240℃以上の温度条件でアニール処理を行うことにより、前記相分離構造形成用樹脂組成物に含まれる前記化合物(IL)の全量の40質量%以上を前記BCP層から気化させる操作を有する、
相分離構造を含む構造体の製造方法。 - 前記ブロックコポリマーの数平均分子量は、20,000~200,000である、請求項1に記載の相分離構造を含む構造体の製造方法。
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