JP7054905B2 - 貴金属を回収する方法 - Google Patents

貴金属を回収する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7054905B2
JP7054905B2 JP2018010554A JP2018010554A JP7054905B2 JP 7054905 B2 JP7054905 B2 JP 7054905B2 JP 2018010554 A JP2018010554 A JP 2018010554A JP 2018010554 A JP2018010554 A JP 2018010554A JP 7054905 B2 JP7054905 B2 JP 7054905B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
noble metal
containing material
platinum
solid
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018010554A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019127627A (ja
Inventor
亮 粕谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2018010554A priority Critical patent/JP7054905B2/ja
Publication of JP2019127627A publication Critical patent/JP2019127627A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7054905B2 publication Critical patent/JP7054905B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Description

本発明は、貴金属を回収する方法に関する。
貴金属を含む廃材などの材料(以下、「貴金属含有材料」という)から貴金属を回収する技術に関しては、高いニーズがある。
そのような貴金属回収技術として、これまでは、王水のような酸中に貴金属含有材料を投入し、この際に生じる溶液から貴金属を分離精製することにより、貴金属イオンを抽出するプロセスが実施されてきた。
しかしながら、このような方法は、十分に洗練されたプロセスであるとは言い難い。
例えば、王水に含まれる硝酸は、その後の貴金属の分離精製工程を阻害する場合がある。特に、溶媒抽出法による分離精製工程では、硝酸によって、貴金属の抽出剤が劣化する可能性があり、これにより貴金属の抽出率が低下する場合がある。これを回避するためには、王水による貴金属含有材料の溶解後に、硝酸を除去する工程(脱硝工程)が別途必要になってしまう。
そこで、このような問題に対処するため、新たな貴金属回収方法が提案されている。例えば、特許文献1では、白金含有材料が添加された塩酸中に塩素ガスを通気して、白金を溶出させる方法が提案されている。また、特許文献2では、過酸化水素水を含む塩酸溶液に、白金を含む材料を溶解させる方法が提案されている。
特開平9-324223号公報 特開平9-263847号公報
前述のように、近年、様々な貴金属回収方法が提案されている。しかしながら、これらのプロセスでは、貴金属を効率的かつ容易に回収できるとは言い難い。
例えば、特許文献1に記載の方法では、白金を酸化させる酸化剤として、塩素ガスを塩酸中に通気している。しかしながら、塩素ガスが塩酸中に留まる時間は、あまり長いとは言えず、従って、塩酸中において、塩素ガスが白金と接触する確率を高めることは難しい。そのため、白金の溶出速度を高めることは難しいという問題がある。
また、特許文献2に記載の方法では、過酸化水素の分解の際に酸素の発泡が生じ、これにより塩酸溶液の体積が急激に増加する可能性がある。従って、特許文献2に記載の方法では、反応装置の取り扱いや安全上の対策に注意が必要となり、プロセスが煩雑となる可能性がある。
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、従来よりも効率的かつ簡便に貴金属を回収することが可能な、貴金属の回収方法を提供することを目的とする。
本発明では、貴金属を回収する方法であって、
(I)貴金属含有材料、固体酸化剤、および酸溶液を準備するステップと、
(II)前記酸溶液中に、前記貴金属含有材料および前記固体酸化剤を導入し、80℃以上の温度で前記貴金属含有材料を反応させるステップと、
を有する、方法が提供される。
また、本発明では、貴金属を回収する方法であって、
(III)貴金属含有材料、固体酸化剤、および酸溶液を準備するステップと、
(IV)前記貴金属含有材料に、前記酸溶液および前記固体酸化剤を加え、80℃以上の温度で前記貴金属含有材料を反応させるステップと、
を有する、方法が提供される。
本発明では、従来よりも効率的かつ簡便に貴金属を回収することが可能な、貴金属の回収方法を提供することができる。
いくつかのイオンおよび化合物の標準酸化還元電位を示した図である。 本発明の一実施形態による貴金属を回収する方法のフローを概略的に示した図である。 本発明の別の実施形態による貴金属を回収する方法のフローを概略的に示した図である。 例1~例5、および例21~例25において得られた貴金属溶解率をまとめて示したグラフである。 例6~例15において得られた貴金属溶解率をまとめて示したグラフである。 例31~例33、および例41~例43において得られた貴金属溶解率をまとめて示したグラフである。 例34~例35、および例44~例45において得られた貴金属溶解率をまとめて示したグラフである。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本発明の一実施形態では、
貴金属を回収する方法であって、
(I)貴金属含有材料、固体酸化剤、および酸溶液を準備するステップと、
(II)前記酸溶液中に、前記貴金属含有材料および前記固体酸化剤を導入し、80℃以上の温度で前記貴金属含有材料を反応させるステップと、
を有する、方法が提供される。
ここで、「固体酸化剤」は、貴金属含有材料に含まれる貴金属を酸化させたり(以下、「直接酸化」という)、酸溶液との反応により生成される反応物によって、貴金属を酸化させたりする(以下、「間接酸化」という)役割を有する。
以下、本発明の一実施形態による方法(以下、「本発明の貴金属回収プロセス」という)の特徴について説明する。なお、ここでは、貴金属含有材料に含まれる貴金属が白金(Pt)であり、固体酸化剤が酸化セリウム(CeO)であり、酸溶液が塩酸である場合を例に、本発明の貴金属回収プロセスを説明する。
本発明の貴金属回収プロセスでは、(II)のステップにおいて、塩酸溶液中に、貴金属含有材料および酸化セリウムが導入される。
酸化セリウムは、前述の「間接酸化」用の固体酸化剤として機能する。すなわち、酸化セリウムは、以下の(1)式の反応により、塩酸中で塩素ガスを発生させる:

2CeO+8HCl→2CeCl+Cl+4HO (1)式

塩酸中の塩素ガスは、貴金属含有材料に含まれる白金の酸化剤として働く。すなわち、以下の(2)式により、白金が酸化される:

Pt+2Cl→Pt4++4Cl (2)式

酸化した白金は、以下の(3)式により、速やかに錯イオン化され、塩酸中に溶出する:

Pt4++6Cl→[PtCl2- (3)式

その後、塩酸中から、溶出した白金の錯イオンが分離回収される。
このような工程により、貴金属含有材料から白金を回収することができる。
ここで、前述の特許文献1のような、酸化剤として塩素ガスを塩酸中に通気させる方法では、塩素ガスが塩酸中に留まる時間が短く、従って、塩酸中において、塩素ガスが白金と接触する確率を高めることは難しい。そのため、白金の溶出速度を高めることは難しい。
これに対して、本発明の貴金属回収プロセスでは、(2)式に示す貴金属の酸化工程は、固体酸化剤によって制御することができる。すなわち、固体酸化剤の添加のタイミング、添加量、および反応場(すなわち酸溶液)の温度などを制御することにより、(1)式で生成される塩素が貴金属と接触する時間を、より長くすることができる。
その結果、本発明の貴金属回収プロセスでは、従来に比べて効率的に、貴金属を酸溶液中に溶出させることが可能となる。また、これにより、貴金属を効率的に回収することができる。
また、本発明の貴金属回収プロセスでは、塩素ガスの供給設備などは必要ではなく、比較的単純な方法で簡便に貴金属を回収することができる。
図1には、いくつかのイオンおよび貴金属の標準酸化還元電位を示す。
図1から、白金の標準酸化還元電位は、1.18V(以下「Ev(Pt)」で表す)である。一方、4価のセリウムイオン(Ce4+)と3価のセリウムイオン(Ce3+)の間、4価のマンガンイオン(Mn4+)と2価のマンガンイオン(Mn2+)の間、およびHSO イオンとHSO イオンの間の標準酸化還元電位は、いずれもEv(Pt)よりも高くなっている。従って、Ce4+イオン、Mn4+イオン、およびHSO イオンは、白金を酸化できることがわかる。
なお、5価のバナジウムイオン(V5+)と4価のバナジウムイオン(V4+)の間の標準酸化還元電位は、0.991Vであり、この値は、Ev(Pt)よりも低い。しかしながら、バナジウムの場合は、さらに4価のバナジウムイオン(V4+)から3価のバナジウムイオン(V3+)への還元が可能であり、両者を組み合わせることにより、Ev(Pt)よりも高い標準酸化還元電位が得られる。従って、5価のバナジウムイオン(V5+)を用いても、白金を酸化することができる。
また、例えばパラジウムおよびロジウムの標準酸化還元電位は、それぞれ、0.951Vおよび0.76であり、Ev(Pt)よりも低いことがわかる。
従って、パラジウムおよびロジウムは、白金よりも酸化されやすく、白金を酸化できる前述のイオンを含む固体酸化剤であれば、パラジウムおよびロジウムも酸化できることがわかる。
以上のことから、本発明の貴金属回収プロセスに使用可能な固体酸化剤として、少なくとも、4価のセリウムイオン(Ce4+)、4価のマンガンイオン(Mn4+)、5価のバナジウムイオン(V5+)、およびHSO イオンを含む化合物を挙げることができる。
なお、前述の本発明の貴金属回収プロセスは、酸溶液中に、貴金属含有材料および固体酸化剤を投入する工程を有する。しかしながら、これとは異なり、貴金属含有材料に、固体酸化剤および酸溶液を投入する方法を用いても、前述の本発明の貴金属回収プロセスと同様の効果を得ることができることは、当業者には明らかであろう。
(本発明の一実施形態による貴金属を回収する方法)
次に、図2を参照して、本発明の一実施形態による貴金属を回収する方法について説明する。
図2には、本発明の一実施形態による貴金属を回収する方法(以下、「第1の方法」と称する)のフローを概略的に示す。
図2に示すように、第1の方法は、
貴金属含有材料、固体酸化剤、および酸溶液を準備するステップ(ステップS110)と、
前記酸溶液中に、前記貴金属含有材料および前記固体酸化剤を導入し、80℃以上の温度で前記貴金属含有材料を反応させるステップ(ステップS120)と、
を有する。
以下、各ステップについて説明する。
(ステップS110)
まず、貴金属含有材料、固体酸化剤、および酸溶液が準備される。以下、それぞれについて説明する。
(貴金属含有材料)
貴金属含有材料は、第1の方法において被回収対象となる貴金属を含む。
貴金属含有材料に含まれる貴金属は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、およびルテニウム(Ru)からなる群から選定された、少なくとも一種を含む。貴金属は、単体金属であっても、合金であっても良い。
貴金属が合金の場合、貴金属には、例えば、Pt-Ir合金(例えば、ガソリンエンジン用スパークプラグに使用されている)、Pt-Rh合金(例えば、熱電対に使用されている)、Pt-Ru合金(例えば、燃料電池触媒に使用されている)、およびPd-Au合金(例えば、歯科用クラウンに使用されている)等が含まれる。
また、貴金属含有材料は、貴金属とそれ以外の元素とから構成されても良い。貴金属含有材料は、例えば、Pt-Fe合金を含む磁気記録材料、Pt-Co-Cr合金およびCo-Cr-Pt-Ru合金を含むハードディスク用磁気ビット、ならびにPd-Cu合金を含む水素分離膜等であっても良い。
貴金属含有材料は、いかなる形態であっても良い。貴金属含有材料は、例えば、板状、ブロック状、メッシュ状、ワイヤ状、または粉末状の形態であっても良い。
なお、貴金属含有材料が大型の重量物である場合、貴金属含有材料に対して、切断、粉砕、および/または圧延などの各種前処理を行っても良い。特に、貴金属含有材料に対して、微細化および/またはボールミル処理のような、比表面積が増加するような前処理を行うことが好ましい。貴金属含有材料の比表面積を増加させることにより、以降のステップにおける各種反応を促進することができる。
(酸溶液)
酸溶液は、後述する固体酸化剤との組み合わせにより、貴金属含有材料中の貴金属を溶解できるものから選定される。酸溶液は、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ギ酸、および酢酸からなる群から選定された、少なくとも一つであっても良い。これらの酸は、必要に応じて、混合されても良い。
酸溶液に含まれる酸の濃度は、貴金属含有材料中の貴金属を十分に溶解できる限り、特に限られない。酸の濃度は、例えば、0.1M~15Mの範囲である。
例えば、酸溶液が塩酸を含む場合、塩酸の濃度は、1M(希塩酸)であっても、12M(濃塩酸)であっても良い。また、例えば、酸溶液が硝酸を含む場合、硝酸の濃度は、1Mであっても、15M(濃硝酸)であっても良い。
酸の濃度は、1M~15Mの範囲であることが好ましく、3M~12Mの範囲であることがより好ましい。
(固体酸化剤)
固体酸化剤は、前述のように、貴金属含有材料に含まれる貴金属を酸化させたり、酸溶液との反応により生成される反応物によって、貴金属を酸化させたりする役割を有する。
固体酸化剤は、
(a)特定のカチオンを含む化合物、または
(b)特定のアニオンを含む化合物
から選定される。(a)の特定のカチオンは、例えば、セリウムイオン(Ce4+)、マンガンイオン(Mn4+)、およびバナジウムイオン(V5+)を含んでも良い。また、(b)の特定のアニオンは、過硫酸イオン(HSO )であっても良い。
前記(a)の場合、固体酸化剤は、例えば、酸化物、水酸化物、塩化物、硝酸塩、硫化物、硫酸塩、フッ化物、リン酸塩、および/または酢酸塩などの形態であっても良い。固体酸化剤は、特に、酸化セリウム(CeO)、酸化マンガン(MnO)、および酸化バナジウム(V)のような、酸化物の形態が好ましい。
酸化セリウム(CeO)は、使用済みの砥粒などに含まれる化合物である。また、酸化マンガン(MnO)は、使用済みの電池に含まれる化合物である。従って、これらの固体酸化剤は、安価に調達でき、第1の製造方法のコストを抑制することができる。
また、前記(b)の場合、固体酸化剤は、MHSOのような過硫酸塩の形態であることが好ましい。ここでMは、例えばナトリウムイオン(Na)および/もしくはカリウムイオン(K)のようなアルカリ金属イオンであり、あるいはアンモニウムイオン(NH )である。
固体酸化剤の形態は、特に限られない。固体酸化剤は、例えば、粉末状の形態であっても良い。
(ステップS120)
次に、酸溶液中に、貴金属含有材料および固体酸化剤が導入される。
貴金属含有材料および固体酸化剤は、酸溶液中に、実質的に同時に導入しても良い。あるいは、固体酸化剤は、酸溶液中に貴金属含有材料を導入してから、導入されても良い。
また、貴金属含有材料および固体酸化剤は、予め混合しておき、混合物の状態で、酸溶液中に導入されても良い。このような方法では、固体酸化剤が前述の「直接酸化」用の酸化剤として機能する場合、貴金属含有材料および固体酸化剤を混合した際に、貴金属含有材料に含まれる貴金属を酸化させることができる。
例えば、本願発明者らの知見によれば、KHSOは、白金を「直接酸化」できることが示唆されている。
固体酸化剤の酸溶液への添加量は、十分な量の貴金属を溶出させることができる限り、特に限られない。
ただし、固体酸化剤は、貴金属の酸化反応、および/または酸溶液との反応により消費される。このため、固体酸化剤は、これらの反応に必要な量以上、添加することが好ましい。
例えば、固体酸化剤が酸化セリウム(CeO)であり、酸溶液が塩酸であり、貴金属が白金の場合、前述のように、(2)式から、白金を酸化させるには、白金1モル(約195g)に対して2モルのClが必要となる。従って、(1)式から、酸化セリウムは、4モル(約688g)必要となる。
なお、同様の系において、必要な塩酸の量を求めると、(1)式から、4モルの酸化セリウムに対して、塩酸は、16モル必要となる。さらに(2)式および(3)式から、白金の錯イオン化のためには、トータルとして2モルの塩酸が必要となる。すなわち、合計18モルの塩酸が必要となる。これは、濃度が12Mの塩酸の場合、約1.5リットルに相当する。
一方、固体酸化剤が酸化セリウム(CeO)であり、酸溶液が塩酸であり、貴金属がパラジウム(Pd)の場合は、次のように考えられる。
まず、前述の(1)式のように、酸化セリウムにより、酸化剤(Cl)が生成される:

2CeO+8HCl→2CeCl+Cl+4HO (1)式

パラジウムの酸化は、以下の(4)式で進行する:

Pd+Cl→Pd2++2Cl (4)式

また、酸化したパラジウムは、以下の(5)式により、速やかに錯イオン化され、塩酸中に溶出する:

Pd2++4Cl→[PdCl2- (5)式

従って、この系では、パラジウムを酸化させるには、パラジウム1モル(約106g)に対して1モルのClが必要となる。従って、(1)式から、酸化セリウムは、2モル(約344g)必要となる。
また、必要な塩酸の量を求めると、(1)式から、2モルの酸化セリウムに対して、塩酸は、8モル必要となる。さらに(4)式および(5)式の加減から、パラジウムの錯イオン化のためには、2モルの塩酸が必要となる。すなわち、合計10モルの塩酸が必要となる。これは、濃度が12Mの塩酸の場合、約0.83リットルに相当する。
さらに、固体酸化剤が酸化セリウム(CeO)であり、酸溶液が塩酸であり、貴金属がロジウム(Rh)の場合は、次のように考えられる。
まず、前述の(1)式のように、酸化セリウムにより、酸化剤(Cl)が生成される:

2CeO+8HCl→2CeCl+Cl+4HO (1)式

ロジウムの酸化は、以下の(6)式で進行する:

2Rh+3Cl→2Rh3++6Cl (6)式

また、酸化したロジウムは、以下の(7)式により、速やかに錯イオン化され、塩酸中に溶出する:

Rh3++5Cl→[RhCl2- (7)式

従って、この系では、ロジウムを酸化させるには、ロジウム1モル(約103g)に対して1.5モルのClが必要となる。従って、(1)式から、酸化セリウムは、3モル(約516g)必要となる。
また、必要な塩酸の量を求めると、(1)式から、3モルの酸化セリウムに対して、塩酸は、12モル必要となる。さらに(6)式および(7)式の加減から、ロジウムの錯イオン化のためには、2モルの塩酸が必要となる。すなわち、合計14モルの塩酸が必要となる。これは、濃度が12Mの塩酸の場合、約1.17リットルに相当する。
さらに、固体酸化剤が酸化セリウム(CeO)であり、酸溶液が塩酸であり、貴金属がイリジウム(Ir)の場合は、次のように考えられる。
まず、前述の(1)式のように、酸化セリウムにより、酸化剤(Cl)が生成される:

2CeO+8HCl→2CeCl+Cl+4HO (1)式

イリジウムの酸化は、以下の(8)式で進行する:

Ir+2Cl→Ir4++4Cl (8)式

また、酸化したイリジウムは、以下の(9)式により、速やかに錯イオン化され、塩酸中に溶出する:

Ir4++6Cl→[IrCl2- (9)式

従って、この系では、イリジウムを酸化させるには、イリジウム1モル(約192g)に対して2モルのClが必要となる。従って、(1)式から、酸化セリウムは、4モル(約688g)必要となる。
また、必要な塩酸の量を求めると、(1)式から、4モルの酸化セリウムに対して、塩酸は、16モル必要となる。さらに(8)式および(9)式の加減から、イリジウムの錯イオン化のためには、2モルの塩酸が必要となる。すなわち、合計18モルの塩酸が必要となる。これは、濃度が12Mの塩酸の場合、約1.5リットルに相当する。
さらに、固体酸化剤が酸化セリウム(CeO)であり、酸溶液が塩酸であり、貴金属がルテニウム(Ru)の場合は、次のように考えられる。
まず、前述の(1)式のように、酸化セリウムにより、酸化剤(Cl)が生成される:

2CeO+8HCl→2CeCl+Cl+4HO (1)式

ルテニウムの酸化は、以下の(10)式で進行する:

Ru+2Cl→Ru4++4Cl (10)式

また、酸化したルテニウムは、以下の(11)式により、速やかに錯イオン化され、塩酸中に溶出する:

Ru4++6Cl→[RuCl2- (11)式

従って、この系では、ルテニウムを酸化させるには、ルテニウム1モル(約101g)に対して2モルのClが必要となる。従って、(1)式から、酸化セリウムは、4モル(約688g)必要となる。
また、必要な塩酸の量を求めると、(1)式から、4モルの酸化セリウムに対して、塩酸は、16モル必要となる。さらに(10)式および(11)式の加減から、ルテニウムの錯イオン化のためには、2モルの塩酸が必要となる。すなわち、合計18モルの塩酸が必要となる。これは、濃度が12Mの塩酸の場合、約1.5リットルに相当する。
このような方法で、貴金属含有材料、固体酸化剤、および酸溶液の必要量が算定されても良い。
特に、貴金属含有材料に含まれる貴金属の量が既知であって、この貴金属全てを丁度溶出できる固体酸化剤の当量を1と規定したとき、実際に導入される固体酸化剤の量は、1当量~100当量の範囲であっても良い。固体酸化剤の量は、5当量~80当量の範囲であることが好ましく、10当量~50当量の範囲であることがより好ましく、20当量~45当量の範囲であることが最も好ましい。
なお、貴金属含有材料に含まれる貴金属の量が不明である場合、このような計算をすることは難しい。
その場合は、貴金属含有材料の重量から、固体酸化剤の導入量を定める必要がある。この場合、固体酸化剤の導入量は、例えば、貴金属含有材料に対して10重量%から5000重量%の範囲、好ましくは25重量%から2500重量%の範囲、より好ましくは50重量%から2000重量%の範囲、さらに好ましくは100重量%から1000重量%の範囲としても良い。
固体酸化剤の量が少なすぎると、貴金属を充分に溶出させることが難しくなる。一方、固体酸化剤の量が多すぎると、固体酸化剤の一部が反応に使用されなくなる可能性が高くなる。
なお、酸溶液中には、さらに、溶解助剤を添加しても良い。溶解助剤を添加することにより、貴金属含有材料に含まれる貴金属の溶出を、より迅速化することができる。
溶解助剤としては、貴金属イオンと錯イオンを形成できるものが挙げられる。例えば、塩化物、硝酸塩、硫化物、硫酸塩、フッ化物およびリン酸塩などは、酸溶液中でアニオンを生成し、これにより貴金属の錯イオン化反応を促進することができる。
溶解助剤を使用することにより、酸溶液の濃度が低い場合であっても、貴金属の錯イオン化反応を促進することができる。
酸溶液中に貴金属含有材料、および前述の「間接酸化」が可能な固体酸化剤を添加することにより、貴金属含有材料の近傍で酸溶液との反応により生成される生成物が発生し、前述のような貴金属の酸化反応を生じさせることができる。また、固体酸化剤が「直接酸化」機能を有する場合、貴金属含有材料と固体酸化剤とを直接接触させることにより、貴金属を酸化することができる。
その後、酸化された貴金属は、錯イオン化反応により、速やかに錯イオン化される。これにより、酸溶液中で、貴金属含有材料から貴金属を溶出させることができる。
反応場となる酸溶液の温度は、80℃以上である。酸溶液の温度は、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、160℃以上であることがさらに好ましい。
なお、処理温度が高すぎると、溶出した貴金属イオンが還元、析出される可能性が生じる。従って、処理温度は、400℃以下であることが好ましく、300℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることがさらに好ましい。
濃硫酸は、沸点が337℃と比較的高いため、他の酸溶液を用いた場合に比べて、処理温度を高く設定することができる。濃硫酸を用いた場合、処理温度は、例えば、350℃から400℃の範囲とすることができる。
また、処理時間は、貴金属が充分に溶出できれば、特に制限はない。処理時間は、例えば、30分から24時間の範囲であり、1時間から12時間の範囲であることが好ましく、2時間から6時間の範囲であることがより好ましい。
貴金属の溶出をより効率化するため、酸溶液を撹拌したり、酸溶液に振動を加えたりしても良い。撹拌および振動の方法については特に限定されず、例えば、撹拌羽根による撹拌、またはシェイカー等を用いても良い。
ここで、ステップS120で使用される反応容器は、特に限られない。ただし、反応容器として、密閉可能な反応容器を使用することが好ましい。
この場合、酸溶液の蒸発、および酸化剤の逸散を有意に抑制することができ、より効率的に、貴金属を溶出させることができる。
例えば、前述の(1)式に示した例では、固体酸化剤と酸溶液との反応により、酸化剤として塩素が生成される。この塩素は、反応系内にできる限り留まらせておくことが好ましい。密閉容器を使用した場合、この塩素が系外に逸散することを有意に抑制することができる。
例えば、貴金属の溶出量は、貴金属含有材料に含まれる総貴金属量の10質量%以上であり、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。
貴金属の溶出反応が十分に進行した後、溶出した貴金属が分離回収される。貴金属の分離回収方法は、特に限られず、従来の方法を採用しても良い。
特に、第1の方法では、貴金属の錯イオンが回収対象となるため、溶媒抽出法、イオン交換樹脂法、および沈殿析出法などにより、貴金属を分離、抽出することができる。
以上の工程により、貴金属含有材料から貴金属を効率的に回収することができる。
(本発明の別の実施形態による貴金属を回収する方法)
次に、図3を参照して、本発明の別の実施形態による貴金属を回収する方法について説明する。
図3には、本発明の別の実施形態による貴金属を回収する方法(以下、「第2の方法」と称する)のフローを模式的に示す。
図3に示すように、第2の方法は、
貴金属含有材料、固体酸化剤、および酸溶液を準備するステップ(ステップS210)と、
前記貴金属含有材料に、前記酸溶液および前記固体酸化剤を加え、前記酸溶液中、80℃以上の温度で、前記貴金属含有材料を反応させるステップ(ステップS220)と、
を有する。
ここで、第2の方法におけるステップS210は、前述の第1の方法におけるステップS110と実質的に同様である。従って、ここでは、ステップS210の説明を省略し、ステップS220について説明する。
(ステップS220)
第2の方法では、ステップS220において、貴金属含有材料に、酸溶液および固体酸化剤が加えられる。
酸溶液および固体酸化剤は、貴金属含有材料に、実質的に同時に添加しても良い。あるいは、固体酸化剤は、貴金属含有材料に酸溶液を添加してから、導入されても良い。あるいは、貴金属含有材料に固体酸化剤を添加してから、酸溶液が導入されても良い。
特に、貴金属含有材料および固体酸化剤を予め混合しておき、この混合物に、酸溶液を添加しても良い。このような方法では、固体酸化剤が前述の「直接酸化」用の酸化剤として機能する場合、貴金属含有材料と固体酸化剤とを混合した際に、貴金属含有材料に含まれる貴金属を酸化させることができる。
なお、ステップS220は、80℃以上の温度(以下、この温度を「処理温度」という)で実施される。このため、例えば、貴金属含有材料(および存在する場合、固体酸化剤)に、80℃以上に加熱された酸溶液が添加されても良い。あるいは、酸溶液中に貴金属含有材料(および存在する場合、固体酸化剤)が浸漬された状態で、酸溶液を80℃以上に加熱しても良い。固体酸化剤がまだ導入されていない場合、この高温の酸溶液中に、固体酸化剤が添加されても良い。
処理温度は、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、160℃以上であることがさらに好ましい。
なお、処理温度が高すぎると、溶出した貴金属イオンが還元、析出される可能性が生じる。従って、処理温度は、400℃以下であることが好ましく、300℃以下であることがより好ましく、250℃以下であることがさらに好ましい。
処理時間は、貴金属が充分に溶出できれば、特に制限はない。処理時間は、例えば、30分から24時間の範囲であり、1時間から12時間の範囲であることが好ましく、2時間から6時間の範囲であることがより好ましい。
その他の条件については、前述の第1の方法におけるステップS210が参照できる。
貴金属含有材料に、酸溶液および固体酸化剤が加えられ、貴金属の溶出反応が十分に進行した後、酸溶液から貴金属が分離回収される。
以上の工程により、貴金属含有材料から貴金属を回収することができる。
このような第2の方法においても、第1の方法と同様の効果、すなわち、従来よりも簡便かつ効率的に、貴金属を酸溶液中に溶出できるという効果が得られる。また、これにより、貴金属を簡便かつ効率的に回収することが可能になる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(例1)
12M塩酸10mLと、25mgの白金粉末と、1.0gのCeO粉末とを、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の内筒容器(容量25mL)に投入した。この内筒を、ステンレス製の外筒容器(三愛科学株式会社製、HU-25)にマウントして、密閉した。その後、内筒容器および外筒容器を180℃で2時間保持した。
次に、内筒容器を外筒容器から取り出した。また、PTFEフィルタを用いて、内筒容器に含まれる溶液を減圧濾過し、固体と液体(以下、「分離液体」という)に分離した。
なお、この例1では、固体(残渣)は認められなかった。すなわち、投入した白金およびCeOは、完全に溶解した。
従って、例1では、貴金属(白金)の溶解率は、100%であった。
なお、本願において、貴金属の溶解率は、(溶解した貴金属の重量)/(投与した貴金属の重量)の百分率で表される。
(例2)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例2では、内筒容器および外筒容器を180℃で1時間保持した。その他の条件は、例1の場合と同様である。
誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)法を用いて、分離液体中の貴金属濃度を測定した。また、得られた結果から、貴金属の溶解率を算出した。
その結果、例2では、貴金属の溶解率は、96.9%であった。
(例3)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例3では、内筒容器および外筒容器を180℃で30分間保持した。その他の条件は、例1の場合と同様である。
例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。
その結果、例3では、貴金属の溶解率は、82.9%であった。
(例4)
12M塩酸20mLと、25mgの白金粉末と、1.0gのCeO粉末とを、三角フラスコ(容量50mL)内に投入した。フラスコの上部には、コンデンサーを装着した。このフラスコを80℃に保持したウォーターバス中に浸漬し、撹拌子による撹拌(200rpm)を行いながら、6時間保持した。
次に、PTFEフィルタを用いて、フラスコに含まれる溶液を減圧濾過し、固体と液体を分離した。
その後、例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。その結果、例4では、貴金属の溶解率は、12.4%であった。
(例5)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例5では、投与する塩酸の量を20mLとし、内筒容器および外筒容器を80℃で6時間保持した。その他の条件は、例1の場合と同様である。
その後、例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。その結果、例5では、貴金属の溶解率は、47.4%であった。
(例6)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例6では、投与する固体酸化剤をMnOとした。その他の条件は、例1の場合と同様である。
内筒容器に含まれる溶液を減圧濾過し、固体と液体に分離した。
その結果、この例6では、固体(残渣)は認められなかった。すなわち、投入した白金は、完全に溶解した。
従って、例6では、貴金属(白金)の溶解率は、100%であった。
(例7)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例7では、投与する固体酸化剤をVとした。その他の条件は、例1の場合と同様である。
内筒容器に含まれる溶液を減圧濾過し、固体と液体に分離した。
その結果、この例7では、固体(残渣)は認められなかった。すなわち、投入した白金は、完全に溶解した。
従って、例7では、貴金属(白金)の溶解率は、100%であった。
(例8)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例8では、投与する固体酸化剤をKHSOとした。その他の条件は、例1の場合と同様である。
内筒容器に含まれる溶液を減圧濾過し、固体と液体(以下、「分離液体」という)に分離した。
なお、ICP-AES法を用いて、分離液体中の貴金属濃度を測定したところ、正確な値は得られなかった。このため、投入前後の白金粉末の重量変化に基づき、貴金属の溶解率を算出した。なお、X線回折分析の結果、残渣に含まれる白金は、金属状態であることが確認されている。
その結果、例8では、貴金属の溶解率は、61.1%であった。
(例9)
例8と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例9では、白金粉末と固体酸化剤は、事前にメノウ乳鉢内で十分に混合してから、混合物として内筒容器内に投入した。その他の条件は、例8の場合と同様である。
なお、ICP-AES法を用いて、分離液体中の貴金属濃度を測定したところ、正確な値は得られなかった。このため、溶解処理前後の白金粉末の重量変化に基づき、貴金属の溶解率を算出した。
ただし、X線回折分析の結果、残渣に含まれる白金は、金属状態の他、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム(KPtCl)の形態でも存在することが確認された。そこで、X線回折結果の白金(金属)とKPtClのピーク強度比から、結晶相の存在比を算出した。また、この存在比に基づいて、溶解処理前後の白金粉末の重量変化を算定し、貴金属の溶解率を算出した。
その結果、例9では、貴金属の溶解率は、93.0%であった。
例8と例9における白金の溶解率の比較から、固体酸化剤としてKHSOを使用した場合、事前に貴金属含有材料と固体酸化剤とを混合しておくことにより、より大きな溶解率が得られることがわかった。
このことから、KHSOは、白金を「直接酸化」させる機能と、「間接酸化」させる機能とを兼ね備えることがわかる。すなわち、KHSOは、事前に貴金属含有材料と固体酸化剤とを混合することにより、貴金属をある程度酸化することができ、その後、混合物を酸溶液に接触させた際に、より大きな溶解率を得ることができると言える。
(例10)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例10では、投与するCeOの量を0.1gとした。その他の条件は、例1の場合と同様である。
その後、例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。その結果、例10では、貴金属の溶解率は、68.9%であった。
(例11)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例11では、投与するCeOの量を0.25gとした。その他の条件は、例1の場合と同様である。
その後、例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。その結果、例11では、貴金属の溶解率は、91.2%であった。
(例12)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例10では、投与するCeOの量を0.5gとした。その他の条件は、例1の場合と同様である。
その後、例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。その結果、例12では、貴金属の溶解率は、97.6%であった。
(例13)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例13では、酸溶液として、6Mの塩酸を使用した。その他の条件は、例1の場合と同様である。
その後、例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。その結果、例13では、貴金属の溶解率は、98.9%であった。
(例14)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例14では、酸溶液として、3Mの塩酸を使用した。その他の条件は、例1の場合と同様である。
その後、例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。その結果、例14では、貴金属の溶解率は、82.9%であった。
(例15)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例15では、酸溶液として、1Mの塩酸を使用した。その他の条件は、例1の場合と同様である。
その後、例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。その結果、例15では、貴金属の溶解率は、21.4%であった。
(例21)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例21では、固体酸化剤を使用しなかった。すなわち、白金粉末と塩酸のみを内筒容器内に投入した。その他の条件は、例1の場合と同様である。
その後、例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。その結果、例21では、貴金属の溶解率は、3.8%であった。
(例22)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例22では、固体酸化剤を使用しなかった。また、処理時間は、1時間とした。その他の条件は、例1の場合と同様である。
その後、例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。その結果、例22では、貴金属の溶解率は、3.1%であった。
(例23)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例23では、固体酸化剤を使用しなかった。また、処理時間は、0.5時間とした。その他の条件は、例1の場合と同様である。
その後、例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。その結果、例23では、貴金属の溶解率は、0.9%であった。
(例24)
例4と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例24では、固体酸化剤を使用しなかった。また、12Mの塩酸の量は、20mLとし、処理温度および処理時間は、それぞれ、80℃、6時間とした。その他の条件は、例1の場合と同様である。
その後、例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。その結果、例24では、分離溶液において、白金を検出することはできなかった。
(例25)
例1と同様の方法により、貴金属(白金)の溶解率を測定した。ただし、この例25では、固体酸化剤を使用しなかった。また、12Mの塩酸の量は、20mLとし、処理温度および処理時間は、それぞれ、80℃、6時間とした。その他の条件は、例1の場合と同様である。
その後、例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。その結果、例25では、貴金属の溶解率は、1.5%であった。
以下の表1には、例1~例21における処理条件および貴金属の溶解率をまとめて示した。
Figure 0007054905000001

図4には、例1~例5、および例21~例25において得られた貴金属溶解率をまとめて示す。また、図5には、例6~例15において得られた貴金属溶解率をまとめて示す。
これらの結果から、例1~例15では、例21~例25に比べて、白金の溶解率が有意に向上することが確認された。
(例31)
例1と同様の方法により、貴金属の溶解率を測定した。ただし、この例31では、貴金属として、25mgのパラジウム(Pd)粉末を使用した。すなわち、25mgのパラジウム粉末と、1.0gのCeOとを、塩酸とともに内筒容器に投入した。その他の条件は、例1の場合と同様である。
例2と同様の方法により、貴金属(パラジウム)の溶解率を算出した。
その結果、例31では、貴金属(パラジウム)の溶解率は、93.8%であった。
(例32)
例1と同様の方法により、貴金属の溶解率を測定した。ただし、この例32では、貴金属として、25mgのロジウム(Rh)粉末を使用した。すなわち、25mgのロジウム粉末と、1.0gのCeOとを、塩酸とともに内筒容器に投入した。その他の条件は、例1の場合と同様である。
内筒容器に含まれる溶液を減圧濾過し、固体と液体を分離した。
その結果、この例32では、固体(残渣)は認められなかった。すなわち、投入したロジウムは、完全に溶解した。
従って、例32では、貴金属(ロジウム)の溶解率は、100%であった。
(例33)
例1と同様の方法により、貴金属の溶解率を測定した。ただし、この例33では、貴金属として、25mgのルテニウム(Ru)粉末を使用した。すなわち、25mgのルテニウム粉末と、1.0gのCeOとを、塩酸とともに内筒容器に投入した。その他の条件は、例1の場合と同様である。
例2と同様の方法により、貴金属(ルテニウム)の溶解率を算出した。
その結果、例33では、貴金属(ルテニウム)の溶解率は、27.4%であった。
(例34)
例1と同様の方法により、貴金属の溶解率を測定した。ただし、この例34では、貴金属として、25mgのPt-Ir合金線を使用した。合金線に含まれる白金とイリジウムの割合は、Pt:Ir=80:20(質量%)である。
例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。
その結果、例34では、白金の溶解率は、43.3%であり、イリジウムの溶解率は、38.3%であった。
(例35)
例1と同様の方法により、貴金属の溶解率を測定した。ただし、この例35では、貴金属として、25mgのPtとIrの混合粉末を使用した。混合粉末に含まれる白金の量は、20mgとし、イリジウムの量は、5mgとした。
例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。
その結果、例35では、白金の溶解率は、89.0%であり、イリジウムの溶解率は、36.6%であった。
(例41)
例31と同様の方法により、貴金属の溶解率を測定した。ただし、この例41では、固体酸化剤を使用しなかった。すなわち、25mgのパラジウム粉末および塩酸のみを、内筒容器に投入した。その他の条件は、例31の場合と同様である。
例2と同様の方法により、貴金属(パラジウム)の溶解率を算出した。
その結果、例41では、貴金属(パラジウム)の溶解率は、4.0%であった。
(例42)
例32と同様の方法により、貴金属の溶解率を測定した。ただし、この例42では、固体酸化剤を使用しなかった。すなわち、25mgのロジウム粉末および塩酸のみを、内筒容器に投入した。その他の条件は、例32の場合と同様である。
例2と同様の方法により、貴金属(ロジウム)の溶解率を算出した。
その結果、例42では、貴金属(ロジウム)の溶解率は、4.6%であった。
(例43)
例33と同様の方法により、貴金属の溶解率を測定した。ただし、この例43では、固体酸化剤を使用しなかった。すなわち、25mgのルテニウム粉末および塩酸のみを、内筒容器に投入した。その他の条件は、例33の場合と同様である。
例2と同様の方法により、貴金属(ルテニウム)の溶解率を算出した。
その結果、例43では、貴金属(ルテニウム)の溶解率は、0.3%であった。
(例44)
例34と同様の方法により、貴金属の溶解率を測定した。ただし、この例44では、固体酸化剤を使用しなかった。すなわち、25mgのPt-Ir合金線および塩酸のみを、内筒容器に投入した。その他の条件は、例34の場合と同様である。
例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。
その結果、例44では、分離液体中に白金およびイリジウムは検出されなかった。
(例45)
例35と同様の方法により、貴金属の溶解率を測定した。ただし、この例45では、固体酸化剤を使用しなかった。すなわち、Pt粉末とIr粉末の混合粉末(25mg)および塩酸のみを、内筒容器に投入した。その他の条件は、例35の場合と同様である。
例2と同様の方法により、貴金属の溶解率を算出した。
その結果、例45では、白金の溶解率は、6.5%であった。一方、イリジウムは、分離液体中に検出されなかった。
以下の表2には、例31~例35、および例41~例45における処理条件および貴金属の溶解率をまとめて示した。
Figure 0007054905000002

図6には、例31~例33、および例41~例43において得られた貴金属溶解率をまとめて示す。また、図7には、例34~例35、および例44~例45において得られた貴金属溶解率をまとめて示す。
これらの結果から、例31~例35では、例41~例45に比べて、貴金属の溶解率が有意に向上することが確認された。
本発明は、廃材等に含まれる貴金属から貴金属成分を回収するリサイクル分野への応用が見込まれる。

Claims (7)

  1. 貴金属を回収する方法であって、
    (I)貴金属含有材料、固体酸化剤、および酸溶液を準備するステップと、
    (II)前記酸溶液中に、前記貴金属含有材料および前記固体酸化剤を導入し、100℃以上の温度で前記貴金属含有材料を反応させるステップと、
    を有し、
    前記固体酸化剤は、セリウム(IV)化合物およびバナジウム(V)化合物からなる群から選定された少なくとも一つを含む、方法。
  2. 前記(II)のステップにおいて、前記貴金属含有材料および前記固体酸化剤は、この順に導入される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記(II)のステップにおいて、前記貴金属含有材料と前記固体酸化剤は、実質的に同時に導入される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記(II)のステップにおいて、前記貴金属含有材料と前記固体酸化剤は、予め混合されてから、前記酸溶液中に導入される、請求項3に記載の方法。
  5. 前記100℃以上の温度で前記貴金属含有材料を反応させるステップは、密閉容器内で実施される、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の方法。
  6. 前記貴金属は、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、およびルテニウムからなる群から選定された少なくとも一つを含む、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法。
  7. 前記酸溶液は、塩酸、硝酸、フッ酸、リン酸、ギ酸、および酢酸からなる群から選定された、少なくとも一つを含む、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の方法。
JP2018010554A 2018-01-25 2018-01-25 貴金属を回収する方法 Active JP7054905B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018010554A JP7054905B2 (ja) 2018-01-25 2018-01-25 貴金属を回収する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018010554A JP7054905B2 (ja) 2018-01-25 2018-01-25 貴金属を回収する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019127627A JP2019127627A (ja) 2019-08-01
JP7054905B2 true JP7054905B2 (ja) 2022-04-15

Family

ID=67471959

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018010554A Active JP7054905B2 (ja) 2018-01-25 2018-01-25 貴金属を回収する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7054905B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7478719B2 (ja) 2021-11-29 2024-05-07 田中貴金属工業株式会社 貴金属の溶解剥離方法および溶解剥離装置

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003105451A (ja) 2001-10-02 2003-04-09 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 金属溶解剤
JP2006241506A (ja) 2005-03-02 2006-09-14 C Uyemura & Co Ltd 金の非シアン溶解除去剤
JP2007100211A (ja) 2005-03-09 2007-04-19 Hideki Koyanaka 溶解反応助剤を用いた金属溶解方法、この金属溶解方法を用いた合金の製造方法、並びに金属の析出方法
WO2016210051A1 (en) 2015-06-24 2016-12-29 Greene Lyon Group, Inc. Selective removal of noble metals using acidic fluids, including fluids containing nitrate ions

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01127627A (ja) * 1987-11-12 1989-05-19 Tanaka Kikinzoku Kogyo Kk 貴金属を含む金属混合物の溶解方法
JP3343960B2 (ja) * 1992-10-26 2002-11-11 日産自動車株式会社 使用済み触媒からの白金族金属回収方法
JP2937184B1 (ja) * 1998-02-19 1999-08-23 三菱マテリアル株式会社 白金・パラジウムの除去方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003105451A (ja) 2001-10-02 2003-04-09 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 金属溶解剤
JP2006241506A (ja) 2005-03-02 2006-09-14 C Uyemura & Co Ltd 金の非シアン溶解除去剤
JP2007100211A (ja) 2005-03-09 2007-04-19 Hideki Koyanaka 溶解反応助剤を用いた金属溶解方法、この金属溶解方法を用いた合金の製造方法、並びに金属の析出方法
WO2016210051A1 (en) 2015-06-24 2016-12-29 Greene Lyon Group, Inc. Selective removal of noble metals using acidic fluids, including fluids containing nitrate ions

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019127627A (ja) 2019-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5547077B2 (ja) 貴金属粉末と酸化物粉末からなる混合粉末の製造方法及び貴金属粉末と酸化物粉末からなる混合粉末
EP2169085A1 (en) Method of separating rhodium from platinum and/or palladium
JP2007302944A (ja) 白金族元素を吸着したイオン交換樹脂から白金族元素の回収方法
JP2009057611A (ja) ルテニウムの回収方法
WO2008062785A1 (fr) Procédé de récupération du ruthénium
JP7054905B2 (ja) 貴金属を回収する方法
JP6940089B2 (ja) 貴金属の回収方法
JP5327420B2 (ja) 白金の回収方法
JP6636819B2 (ja) 金属含有酸性水溶液の処理方法
JP2021143378A (ja) 白金族元素の相互分離方法
KR20090106067A (ko) 치기공소 폐금에서 귀금속을 회수하는 방법
JPH08209259A (ja) 白金族含有鉄合金からの白金族元素の分離回収方法。
JP5560440B2 (ja) 白金族金属の回収方法
JP7400443B2 (ja) 白金族元素の相互分離方法
EP3329023B1 (en) Process for recovery and recycling of materials constituting membranes for separation of hydrogen
JP3741275B2 (ja) 貴金属の回収方法
JP2009102722A (ja) 貴金属及び貴金属以外の金属を含む強酸性の廃液から貴金属を得る方法
JP2009235513A (ja) ルテニウムの回収方法
JPH11293357A (ja) コバルト化合物の選択的回収方法
JP5498040B2 (ja) ルテニウムの回収方法
JP2010070787A (ja) ルテニウムの回収方法
RU2742763C1 (ru) Способ переработки серебросодержащего сырья
JP5835579B2 (ja) 白金族元素を含有する臭素酸水溶液の処理方法
US20210071284A1 (en) Method for hydrometallurgical processing of a noble metal-tin alloy
JP5539775B2 (ja) ロジウムを含む溶液の精製方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201009

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210921

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211101

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220201

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220222

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220322

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220329

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7054905

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150