JP7054508B2 - 把持機構及び把持装置 - Google Patents

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Description

本発明は、柔軟性を有する袋体に封入された磁性流体の粘性を制御して、様々な形状の物体(対象物)を把持、搬送する把持機構及び把持装置に関する。
従来、産業用ロボットのエンドエフェクタ(把持機構)は、多様な作業工程に合わせて様々なものが存在する。物体の把持に使用するエンドエフェクタを特にグリッパと呼び、対象物の形状や姿勢に応じた適切なグリッパへの自動交換は、産業用ロボットの作業工程では一般的である。しかし、適切なグリッパの選定や交換作業、選定されたグリッパによる対象物の把持計画、把持開始から完了までの対象物の姿勢推定などのために複雑な計算が必要であり、これら一連の作業は、ロボットによる効率的な作業のボトルネックになっている。現在までに、エンドエフェクタの形状や機構、把持計画に関する数多くの研究が行われており、近年、把持物体の姿勢認識とグリッパの交換の手順を省略し、作業効率を向上させるために非特許文献1に示すような、真空を利用して多様な形状物を自在に把持するエンドエフェクタ(ユニバーサルジャミンググリッパ、以下単に「グリッパ」と称する)の発明が報告されている。非特許文献1のグリッパは、柔軟ボール内部にコーヒー豆の粉が充填されたものであり、対象物にグリッパを押し当てた後に、コンプレッサでボール内部の空気を抜き、ジャミング現象により柔軟ボールを固化させて対象物を把持するものである。また、この他にも種々の物理現象を利用したグリッパが提案されているが、いずれもコンプレッサやアクチュエータを必要としたり、特殊な機能性流体を利用したりするため、構成が複雑で高価になり、メンテナンスが困難であるという問題があった。特に、空気圧の増減を利用するものは、粉塵環境や高温多湿環境では使用の制約が生じるという問題もあった。また、空気や非圧縮性流体等の流動体を制御するものは、把持と解放動作の応答速度に制約が生じるという問題があった。
一方、外部環境の影響を受けず、応答速度に優れたグリッパとして、弾性力を有する柔軟膜にMR流体(Magnetorheological Fluid、磁性流体)を封入したグリッパが開発されている。そして、例えば、特許文献1、非特許文献2には、MR流体に非磁性粉体を添加して粘度を上昇させた改質MR流体(MRα流体)と、電磁石を利用したグリッパが開示されている。また、非特許文献3では、永久磁石(ネオジム磁石)の抜き差しにより、改質MR流体に対して磁束密度を制御する方法が提案されている。
国際公開第2015/152062号
アメンド(J.R.Amend,Jr)、ブラウン(E.Brown)、ローデンベルグ(N.Rodenberg)、ジェイガー(H.M.Jaeger)、リプソン(H.Lipson)著、「粉体ジャミングを基にした正圧ユニバーサルグリッパ(A Positive Pressure Universal Gripper Based on the Jamming of Granular Material)」、トランザクションオンロボティクス(IEEE Transactions on Robotics)、2012年4月、vol.28, p.341-350 西田 健(Takeshi Nishida)、岡谷 勇希(Yuki Okatani)、多田隈 建二郎(Kenjiro Tadakuma)著、「MRα流体を用いるユニバーサルロボットグリッパの開発(Development of Universal Robot Gripper Using MRα Fluid)」、インターナショナルジャーナルオブヒューマノイドロボティクス(International Journal of Humanoid Robotics)、2016年、Vol.13,No.4,1650017 津上、西田著、「改質MR流体を用いるパラレルグリッパの開発」、日本ロボット学会学術講演会、2016年9月、RSJ2016AC3A-03
しかしながら、特許文献1や非特許文献2は、改質MR流体が低粘度の状態で対象物に柔軟膜を押し付けて対象物を包み込み、電磁石若しくは永久磁石(ネオジム磁石)により磁界を与えることで改質MR流体を高粘度の状態にして、形態拘束と静止摩擦力により対象物を把持し、解放時は磁界を消失させて改質MR流体を低粘度の状態に戻すことで対象物を解放するものである。よって、これらのグリッパでは、質量の小さな対象物が柔軟膜に張り付いたまま解放できないおそれがあった。これらに対し、非特許文献3では、磁界制御に電磁石の代わりに永久磁石を用いることで特許文献1や非特許文献2よりもグリッパを小型化しているが、永久磁石を移動させるスペースを確保しなければならず、小型化には限界があった。また、永久磁石からの漏れ磁束が常に発生し続けるため、磁界を十分に制御することができず、取り扱い性に欠けるという問題があった。さらに、特許文献1や非特許文献3には、平行チャックを用いて2つのグリッパを水平方向に対向配置し、平行チャックを開閉してグリッパをその軸方向に移動させることにより、間隔を変化させて対象物を挟持する構造が開示されているが、対象物が載置された作業台と、グリッパとの接触を避ける必要があるため、柔軟膜で包み込むことができないほど小さな対象物は把持することができず、汎用性に欠けるという問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、小型でありながら磁性流体の粘度の制御に必要な高い磁束の生成、消滅が可能であり、外部に漏れ磁束を発生させることもなく、壊れ易い対象物や小さな対象物でも確実に把持することができる汎用性、実用性に優れた把持機構及び把持装置を提供することを目的とする。
前記目的に沿う第1の発明に係る把持機構は、柔軟性を有する袋体に封入された磁性流体の粘性を制御して対象物を把持する把持機構において、
リング状又は円筒状に形成されて径方向に磁化され、前記袋体の一側に配置された永久磁石と、該永久磁石の軸心を通る回転軸と、前記永久磁石の外周方向に間隔を空けて配置され、前記永久磁石を挟んで対向する一対のヨークと、前記回転軸と連結され前記永久磁石を回転させることによって前記磁性流体に作用する磁束の量を増減させる回転駆動部とを有する。
第1の発明に係る把持機構において、前記永久磁石を前記回転軸を中心に所定角度(例えば90度)回転させることにより、前記磁性流体に作用する磁束の量を最大量又は最小量に切り替えることが好ましい。
第1の発明に係る把持機構において、前記永久磁石及び前記ヨークは有底円筒状の収容体に収容され、該収容体の底部に前記磁性流体が充填された前記袋体が密封状態で取付けられていることが好ましい。
前記目的に沿う第2の発明に係る把持装置は、第1の発明に係る複数の把持機構を有し、前記各把持機構は、複数の前記把持機構の中心側に向かって下方傾斜している。
第2の発明に係る把持装置において、前記各把持機構の前記袋体は、前記対象物の把持領域の肉厚が他の領域の肉厚よりも薄く形成されていることが好ましい。
第2の発明に係る把持装置において、前記各把持機構の前記袋体は、前記対象物の把持領域の表面に凹凸が形成されていることが好ましい。
第1の発明に係る把持機構は、磁性流体が封入された袋体の一側に永久磁石を配置し、回転駆動部で永久磁石を回転させることによって磁性流体に作用する磁束の量を増減させるので、把持機構の構造を簡素化して小型化を図ることができる。また、磁性流体が柔軟性を有する袋体に封入されているので、磁性流体の粘性を変化させることにより、対象物に接触する袋体を対象物の形状に沿わせて変形させることができ、1つの把持機構の袋体を対象物に押し付け、対象物の周囲を包み込むようにして把持することや、複数の把持機構で対象物を摘む(挟む)ようにして把持(挟持)することができる。
永久磁石がリング状又は円筒状に形成されて径方向に磁化され、永久磁石の軸心を通り回転駆動部と連結された回転軸が設けられ、一対のヨークが永久磁石の外周方向に間隔を空けて配置され、永久磁石を挟んで対向しているので、永久磁石を回転させることにより、磁束をヨークの円周方向に通過させて磁性流体に作用させない状態と、ヨークを長さ方向(軸方向)に通過する磁束を磁性流体に通して作用させる状態を短時間で切り替えて磁性流体の粘性を確実に制御することができ、対象物の把持と解放の動作の切り替えの安定性に優れる。また、一対のヨークにより、外部への磁束漏れの発生を防止することができ、取り扱い性に優れる。
永久磁石を回転軸を中心に所定角度回転させることにより、磁性流体に作用する磁束の量を最大量又は最小量に切り替える場合、複雑な制御を行うことなく、対象物の把持と解放の動作を簡単に切り替えることができ、操作性に優れる。
永久磁石及びヨークが有底円筒状の収容体に収容され、収容体の底部に磁性流体が充填された袋体が密封状態で取付けられている場合、磁性流体を永久磁石及びヨークに触れさせることなく封入し、対象物の把持動作を行う際には、ヨークを長さ方向に通過する磁束を効率的に磁性流体に通して、高密度の磁束を作用させることができ、磁束の有効利用性に優れる。
第2の発明に係る把持装置は、第1の発明に係る複数の把持機構を有し、各把持機構が、複数の把持機構の中心側に向かって下方傾斜していることにより、複数の把持機構によって対象物を外側から指で摘むようにして確実に挟持することができ、特に、壊れ易い対象物、微小な対象物、薄型の対象物等を破損させたり、変形させたりすることがなく、汎用性、信頼性に優れる。
各把持機構の袋体は、対象物の把持領域(対象物と接触する領域)の肉厚が他の領域の肉厚よりも薄く形成されている場合、複数の把持機構で対象物を挟持した際に、対象物と接触する肉厚の薄い把持領域が対象物の形状に沿って変形し易く、袋体全体が外側に変形することを防止することができ、把持(挟持)動作の確実性に優れる。
各把持機構の袋体は、対象物の把持領域の表面に凹凸が形成されている場合、複数の把持機構で対象物を挟持した後、解放する際に、対象物が袋体の表面に張り付き難く、対象物をスムーズに解放することができ、解放動作の確実性に優れる。
(A)は本発明の一実施の形態に係る把持機構の部分断面正面図、(B)は(A)のA-A線矢視断面図である。 (A)、(B)はそれぞれ同把持機構の解放動作時における磁束の流れを示す平断面図及び正断面図、(C)、(D)はそれぞれ同把持機構の把持動作時における磁束の流れを示す平断面図及び正断面図である。 同把持機構の使用状態を示す正面図である。 同把持機構を用いた把持装置の正面図である。 同把持機構を用いた把持装置による実施例1の評価結果を示す正面図である。 同把持機構を用いた把持装置による実施例2の評価結果を示す正面図である。 同把持機構を用いた把持装置による実施例3の評価結果を示す正面図である。 同把持機構を用いた同把持装置による実施例4の評価結果を示す正面図である。 (A)、(B)はそれぞれ同把持機構を用いた把持装置による実施例5の評価結果を示す正面図である。 同把持機構を用いた把持装置による実施例6の評価結果を示す側面図である。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)、(B)、図2(A)~(D)に示すように、本発明の一実施の形態に係る把持機構10は、柔軟性を有する袋体11に封入された磁性流体12の粘性を制御して、図3に示すように、袋体11を対象物30に押し付け、包み込むようにして把持するものである。
図1(A)、図2(A)~(D)に示すように、袋体11の一側(この実施の形態では上側)に、袋体11に封入された磁性流体12に磁束を作用させる(磁場をかける)ための永久磁石(例えばネオジム磁石)13が配置されている。この永久磁石13は円筒状に形成されて径方向に磁化されている。そして、永久磁石13には、軸心を通る回転軸14が設けられており、カップリング15を介して回転駆動部(例えばACサーボモータ)16の駆動軸17と連結されている。また、磁性材料(例えばSS400)からなり平面視して円弧状の一対のヨーク19、20が、永久磁石13の外周方向に間隔を空けて配置され、永久磁石13を挟んで対向している。永久磁石13及びヨーク19、20は、有底円筒状の収容体21に収容され、収容体21の底部に磁性流体12が充填された袋体11が密封状態で取付けられている。また、図1(A)に示すように、回転駆動部16の先部には収容体21に内挿される筒状挿通部22が設けられており、収容体21の周壁を貫通させた固定具(例えばスプリングピン)23の先端側が筒状挿通部22の壁面に嵌入されることにより、回転駆動部16と収容体21が連結、固定されている。なお、固定具23は適宜、選択することができ、例えばボルト等を用いて螺子止めしてもよい。
袋体11としては、耐油性、非磁性、かつ柔軟性を有するゴムシートが用いられるが、特に、水素化ニトリルゴム(HNBR)やフッ素ゴム(FKM)が好適である。袋体11は図1(A)、図2(B)、(D)に示すように、円錐状や半球状に形成された磁性流体収納部25と磁性流体収納部25の開口側(基側)に連続して円筒状に形成された装着部26を有している。収容体21の底部側を装着部26に挿入し、装着部26の外周を固定バンド(図示せず)で締め付けて固定することにより、磁性流体収納部25に磁性流体12が封入される。
収容体21の外径(=磁性流体収納部25の最大内径)は、20~50mm程度が好ましく、その寸法に応じて、永久磁石13やヨーク19、20の寸法を選択することができる。例えば、収容体21の外径を25mmとした場合、永久磁石13は、直径15mm、鉛直長さ(高さ)25mm、孔径4mmの円筒状とし、ヨーク19、20はそれぞれ、厚さ3mm、鉛直長さ(高さ)28mmで、平面視して中心角100度の円弧状として、永久磁石13とヨーク19、20との隙間を0.4mm程度とすることができる。なお、これらは、把持する対象物によって異なり、例えば収容体21の外径を10mm以下に縮小することも可能であるので、本発明はこれらの数字には限定されない。また、永久磁石をリング状(薄型)にして、把持機構(収容体)の鉛直長さ(高さ)を短縮することも可能である。
磁性流体12としては、ベース液と、ベース液中に分散状態で存在する強磁性体微粒子とを有するMR流体に、サイズが強磁性体微粒子のサイズより大きく、比重が強磁性体微粒子の比重より小さい非磁性粉体を混入し、磁界が作用した時の粘度を上昇させ、保持強度を向上させた改質MR流体(MRα流体)が好適に用いられる。なお、MR流体は、マグネタイト、マンガン亜鉛フエライト等の強磁性体微粒子と、その表面を覆う界面活性剤、ベース液(例えば、水、イソパラフィン、アルキルナフタレン又はその他の油)で構成された磁性コロイド液である。本実施の形態では強磁性体微粒子の直径は10nm程度としたが、10nm~200μm程度の範囲で適宜、選択することができる。また、非磁性粉体としては、強磁性体微粒子よりサイズが大きくて比重の小さい、ガラス、発泡若しくは非発泡のプラスチック又はセラミック等のパウダー(正確には集合粒子)を用いることができるが、発泡ポリスチレンの粒子が好適に用いられる。なお、磁性流体12は、磁束の作用によって粘度が変化するものであればよく、上記のものに限定されるものではない。場合によっては従来のMR流体を用いてもよい。
磁性流体12の収納量(充填率)は、袋体11の磁性流体収納部25を一杯に膨らませた状態の体積の40~80%程度の範囲とすることが好ましい。磁性流体12の量がこの範囲より少ない場合は、磁性流体12の全体量が不足し、磁性流体12の量がこの範囲より多い場合は、磁性流体収納部25の変形量が不足するため、いずれも把持空間が減少して対象物を十分に把持することが困難となるが、磁性流体12の収納量は用途(対象物の形状や硬さ等)に応じてこの範囲を超えることもできる。なお、例えば、収容体21の外径(=磁性流体収納部25の最大内径)を25mmとした場合、磁性流体収納部25に対象物が接触した際に、1~5mm程度のへこみが発生することが好ましい。
次に、把持機構10の動作について説明する。
通常時(解放動作時)においては、図2(A)、(B)に示すように、永久磁石13のN極及びS極が、それぞれ一対のヨーク19、20に跨がるように配置されており、N極から出た磁束は左右のヨーク19、20を円周方向に通過し、S極に入る。このとき、磁束は磁性流体12を通過せず、磁性流体12に作用する磁束の量は最小量となり、漏れ磁束もほぼ0となっている。つまり、磁性流体12に磁場がかかっていないため、磁性流体12の粘度は低く、磁性流体収納部25は対象物の形状に沿って変形可能な状態となっている。なお、図2(A)、(B)の状態から永久磁石13が180度回転した時は、磁束の流れが図2(A)と上下反転するが、同様に解放動作を行うことができる。
これに対し、把持動作時においては、図2(C)、(D)に示すように、永久磁石13のN極がヨーク19のみと重なり、S極がヨーク20のみと重なるように配置されており、N極から出た磁束はヨーク19を長さ(高さ)方向に流れ、磁性流体12を通過した後、ヨーク20を長さ(高さ)方向に流れてS極に入る。このとき、磁性流体12に作用する磁束の量は最大量となり、磁性流体12に磁場がかかるため、磁性流体12の粘度が高くなり、磁性流体収納部25と接触した対象物を把持できる状態となっている。なお、図2(C)、(D)の状態から永久磁石13が180度回転した時は、磁束の流れが図2(D)と左右反転するが、同様に把持動作を行うことができる。
よって、回転駆動部16で永久磁石13を回転軸14を中心に90度回転させる度に、磁性流体12に作用する磁束の量が最大量又は最小量に変化し、短時間(例えば0.1秒以内)で把持動作と解放動作の切り替えを行うことができる。なお、永久磁石13は、磁性流体12に作用する平均磁束密度を0.03~0.3T程度まで変化させることができる磁力を有することが好ましいが、用途によってさらに弱い磁力から強い磁力までの永久磁石が適用可能である。
以下、図3により、把持機構10を用いて対象物30を把持する動作について説明する。
まず、ロボットアーム(図示せず)等の先部に取付けた把持機構10を対象物30の上方に移動させる。そして、袋体11(磁性流体収納部25)が対象物30に接触してへこむまで把持機構10を下降させる。このとき、永久磁石13は図2(A)の状態にあり、磁性流体12の粘度は低く、袋体11(磁性流体収納部25)は対象物30の形状に沿って変形する。その後、回転駆動部16を駆動し、永久磁石13を90度回転させて図2(C)の状態とし、図2(D)に示したように磁性流体12に磁束を作用させる(磁場をかける)ことにより、磁性流体12が高粘度化して対象物30が把持される。次に、把持機構10を上昇させて対象物30を持ち上げ、目的位置まで搬送した後、さらに永久磁石13を90度回転させ、磁性流体12に作用する磁束を最小量にし、磁性流体12の粘度を下げることにより対象物30を解放する。
この把持機構10は、袋体11(磁性流体収納部25)を上方から押し当てた際に、その押し当て力によって変形したり、破損したりすることなく、袋体11で周囲を包み込むことが可能な壊れ難く、形状安定性を有する対象物を把持する場合に好適に用いられる。
次に、図4により、複数の把持機構10を用いた把持装置31について説明する。この把持装置31では、ロボットアーム32の先部に2つの把持機構10が対向して取付けられている。各把持機構10は、ロボットアーム32に設けられた水平方向に間隔調整可能な一対のスライド部33にクランプ部34を介して固定されている。また、対向する把持機構10は、2つの把持機構10の中心側に向かって下方傾斜(基側から先側に向かって近付くように傾斜)している。2つの把持機構10がなす角度は、例えば60度程度が好ましいが、これに限定されるものではなく、対象物の種類に応じて、適宜、選択することができる。なお、スライド部33に対して把持機構10を傾動可能な構造とし、必要に応じて把持機構10の傾斜角度を変化させてもよい。ここで、各把持機構10の袋体11の厚みは、例えば0.3~2mm程度が好ましいが、図1(B)、図2(B)、(D)に示したように、対象物の把持領域(他の把持機構10の袋体11と対向する領域、つまり、対象物と接触する部分)の肉厚(例えば0.5mm)が他の領域の肉厚(例えば2mm)よりも薄く形成されていることにより、把持動作時に、袋体11の磁性流体収納部25全体が外側に変形することを防止して、対象物を確実に把持できる。また、各把持機構10の袋体11は、対象物の把持領域(他の把持機構10の袋体11と対向する領域、つまり、対象物と接触する部分)の表面に、梨地処理等によって凹凸を形成し、対象物が張り付くことを防止できる。なお、凹凸の大きさや間隔等は対象物の種類に応じて、適宜、選択することができるが、必ずしも設けなくてもよい。
以下、把持装置31の動作について説明する。
まず、対向する2つの把持機構10の略中央に対象物が位置するようにロボットアーム32を移動させる。次に、スライド部33を移動させ、各把持機構10の袋体11(磁性流体収納部25)が対象物に接触してわずかにへこむ程度まで把持機構10の間隔を調整する。なお、スライド部33は、開閉力(挟み込み力)を電流値として計測することができ、目標の(最適な)挟み込み力に到達するまで把持機構10の間隔を縮めることができる。このとき、永久磁石13は図2(A)の状態にあり、磁性流体12の粘度は低く、袋体11(磁性流体収納部25)は対象物の形状に沿って変形する。その後、回転駆動部16を駆動し、永久磁石13を90度回転させて図2(C)の状態とし、図2(D)に示したように磁性流体12に磁束を作用させる(磁場をかける)ことにより、磁性流体12が高粘度化して、対象物が把持される。次に、ロボットアーム32を上昇させて対象物を持ち上げ、目的位置まで搬送した後、スライド部33を移動させて把持機構10の間隔を拡げ、対象物を解放する。なお、対象物を解放する際は、把持機構10の間隔を拡げる代わりに、さらに永久磁石13を90度回転させ、磁性流体12に作用する磁束を最小量にし、磁性流体12の粘度を下げてもよいし、把持機構10の間隔を拡げる動作と、永久磁石13を回転させる動作を同時に行ってもよい。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
(実施例1)
ここでは、上記の把持装置31(図4参照)を用いて実施したが、その仕様は以下の通りである。
永久磁石13はネオジム磁石で、直径15mm、鉛直長さ(高さ)25mm、孔径4mmの円筒状とし、ヨーク19、20は、SS400で、厚さ3mm、鉛直長さ(高さ)28mm、平面視して中心角100度の円弧状とした。また、永久磁石13とヨーク19、20との隙間は0.4mmとし、収容体21の外径は25mmとした。袋体11には水素化ニトリルゴム(HNBR)を使用し、装着部26は、外径(=磁性流体収納部25の最大外径)28mm、高さ(長さ)15mmとし、磁性流体収納部25は高さ25mmの円錐状とした。また、磁性流体収納部25の対象物と接触する部分(他の把持機構10の袋体12と対向する領域)の肉厚は0.5mmとし、その他の領域の肉厚は2mmとした。磁性流体12には、MR流体に非磁性粉体を添加して粘度を上昇させた改質MR流体を用いた。
図5に示すように、把持装置31で、対象物35としてウズラの卵を把持したところ、小さく、割れ易いにも関わらず、把持することができた。
(実施例2)
図6に示すように、実施例1と同じ把持装置31で、対象物36としてクッキーを把持したところ、薄く、割れ易いにも関わらず、把持することができた。特に、平らな作業台に置かれた状態の対象物を把持することができたことから、汎用性、機能性に優れることが確認された。
(実施例3)
図7に示すように、実施例1と同じ把持装置31で、対象物37として電球を把持したところ、滑り易く、割れ易いにも関わらず、把持することができた。
(実施例4)
図8に示すように、実施例1と同じ把持装置31で、対象物38として出汁の中に浸かったおでんの大根を把持したところ、滑り易く、崩れ易いにも関わらず、把持することができた。特に、吸引方式のグリッパでは把持することができない液体中の対象物を把持することができたことから、汎用性、多様性に優れることが確認された。
(実施例5)
図9(A)、(B)に示すように、実施例1と同じ把持装置31で、対象物39として木製の球体を把持したところ、滑り易く、掴み難いにも関わらず、把持することができた。図9(A)のような球の直径部だけでなく、図9(B)のような特に滑り易く、掴み難い球の上部でも把持することができたことから、位置ずれに対する把持のロバスト性を有することが確認された。
(実施例6)
図10に示すように、実施例1と同じ把持装置31で、対象物40としてキュウリを把持したところ、棒状で、表面が不均一であるにも関わらず、把持することができた。特に、端部を把持した状態で水平な把持姿勢を維持することができたことから、棒状(長尺)の対象物の回転トルクにも対抗することができ、対象物の形状選択の自在性に優れることが確認された。
以上の結果から、本発明の把持装置は、小さな対象物を含めた様々な形状の対象物や、液体中に沈んだ対象物を把持することができ、従来に比べて多くの用途に対応可能であることが確認された。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、上記の実施の形態では、径方向に2方向に磁化された永久磁石を用いて、所定角度として90度ずつ回転させることにより、磁性流体に作用する磁束の量を最大量又は最小量に切り替えたが、永久磁石及びヨークの形状や配置によっては、永久磁石の磁化の方向を変更したり、磁極の数を増やしたりすることもある。その場合、磁性流体に作用する磁束の量を最大量又は最小量に切り替えるための永久磁石の回転角度は適宜、変更することができる。また、袋体(磁性流体収納部)の形状は、用途に応じて自由に変えることができる。さらに、複数の把持機構で把持装置を構成する場合、把持機構の数は2つに限らず、対象物の形状や大きさ等に応じて、3つ若しくはそれ以上としてもよく、配置も適宜、選択することができる。
10:把持機構、11:袋体、12:磁性流体、13:永久磁石、14:回転軸、15:カップリング、16:回転駆動部、17:駆動軸、19、20:ヨーク、21:収容体、22:筒状挿通部、23:固定具、25:磁性流体収納部、26:装着部、30:対象物、31:把持装置、32:ロボットアーム、33:スライド部、34:クランプ部、35~40:対象物

Claims (7)

  1. 柔軟性を有する袋体に封入された磁性流体の粘性を制御して対象物を把持する把持機構において、
    リング状又は円筒状に形成されて径方向に磁化され、前記袋体の一側に配置された永久磁石と、該永久磁石の軸心を通る回転軸と、前記永久磁石の外周方向に間隔を空けて配置され、前記永久磁石を挟んで対向する一対のヨークと、前記回転軸と連結され前記永久磁石を回転させることによって前記磁性流体に作用する磁束の量を増減させる回転駆動部とを有することを特徴とする把持機構。
  2. 請求項記載の把持機構において、前記永久磁石を前記回転軸を中心に所定角度回転させることにより、前記磁性流体に作用する磁束の量を最大量又は最小量に切り替えることを特徴とする把持機構。
  3. 請求項1又は2記載の把持機構において、把持動作時は、前記永久磁石のN極が一方の前記ヨークのみと重なり、S極が他方の前記ヨークのみと重なるように配置され、N極から出た磁束は一方の前記ヨークを軸方向に流れ、前記磁性流体を通過した後、他方の前記ヨークを軸方向に流れてS極に入り、前記磁性流体に作用する磁束の量は最大量となり、解放動作時は、前記永久磁石のN極及びS極が、それぞれ一対の前記ヨークに跨がるように配置され、N極から出た磁束は一対の前記ヨークを円周方向に通過してS極に入り、磁束は前記磁性流体を通過せず、該磁性流体に作用する磁束の量は最小量となることを特徴とする把持機構。
  4. 請求項1~3のいずれか1記載の把持機構において、前記永久磁石及び前記ヨークは有底円筒状の収容体に収容され、該収容体の底部に前記磁性流体が充填された前記袋体が密封状態で取付けられていることを特徴とする把持機構。
  5. 請求項1~4のいずれか1記載の複数の把持機構を有し、前記各把持機構は、複数の前記把持機構の中心側に向かって下方傾斜していることを特徴とする把持装置。
  6. 請求項5記載の把持装置において、前記各把持機構の前記袋体は、前記対象物の把持領域の肉厚が他の領域の肉厚よりも薄く形成されていることを特徴とする把持装置。
  7. 請求項5又は6記載の把持装置において、前記各把持機構の前記袋体は、前記対象物の把持領域の表面に凹凸が形成されていることを特徴とする把持装置。
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