JP7052610B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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本明細書が開示する技術は、冷媒を供給または排出するパイプが接続されている冷却器と回路基板をケース内に格納している電力変換装置に関する。
自動車などに搭載されている電力変換装置の中には、電力変換装置のケースに収容されたパワーカード等を冷却するための液体冷媒を使った冷却器を、そのケース内に収容しているものがある。特許文献1に開示されている装置では、電力変換装置のケース内に収容されている冷却器の一側面に冷媒出口と冷媒入口が設けられており、それぞれに冷却管が接続されている。
特開2011-182630号公報
パワーカードを制御する回路が実装された回路基板がケースの下部に配置されることがある。一方、電力変換装置のメンテナンス時などに冷却器から冷却管を取り外すと、冷却器の中に残存していた液体冷媒がケース内に漏れてしまう場合がある。漏れた液体冷媒が下方に位置する回路基板などに滴下してしまうと、回路の故障を誘発してしまうおそれがある。
本明細書が開示する電力変換装置は、ケースを備える。電力変換装置は、ケースに格納されており側面に冷媒出入口を備えている積層冷却器を備える。ケース内にて積層冷却器の下方には回路基板が位置している。電力変換装置は、冷媒出入口に接続されており冷媒を供給または排出するパイプを備える。パイプと冷媒出入口とはガスケットを介して接続されている。ケースは、その側壁内面から積層冷却器と回路基板の間に延びている中仕切板を備える。中仕切板の上面の一部には、中仕切板の垂直上方から見たときに閉じた側壁によって周囲から隔てられている所定領域が設けられている。ケースおよび積層冷却器を上方から見たときに、冷媒出入口が所定領域内に位置しているとともに、所定領域と回路基板の一部が重なっている。
電力変換装置のメンテナンス時などに積層冷却器からパイプを取り外すと、冷却器の中に残存していた液状の冷媒がケース内に漏れてしまう場合がある。このような場合においても、漏れた冷媒を、側壁によって周囲から隔てられている所定領域内に保持するとともに、冷媒が所定領域外へ移動することを防止することができる。これにより、漏れた冷媒が回路基板上に滴下してしまうことがないため、回路基板の故障を防止することが可能となる。
ハイブリッド車のフロントコンパートメント内のデバイスレイアウトを示す斜視図である。 トランスアクスルの上に固定された電力制御ユニットの側面図である。 電力制御ユニットの分解斜視図である。 下部ケースの上面図である。 図4のV-V線での断面図の部分拡大図である。 図4のVI-VI線での断面図である。
(電力制御ユニットの車載構造)
図1は、ハイブリッド車100のフロントコンパートメント90の中のデバイスレイアウトを示す斜視図である。なお、図中の座標系は、F軸の正方向が車両前方を示しており、V軸の正方向が車両上方を示している。H軸の正方向は車両の左側方を示している。なお、図1では、フロントコンパートメント90に搭載されているデバイスを模式化して描いてある。
フロントコンパートメント90には、エンジン95、トランスアクスル31、電力制御ユニット2、ラジエータ96、補機バッテリ5等が収容されている。フロントコンパートメント90には他にも様々なデバイスが収容されているが、それらの図示と説明は省略する。
トランスアクスル31の上面に、電力制御ユニット2が固定されている。電力制御ユニット2は、不図示のメインバッテリの直流電力を昇圧するとともに、昇圧した直流電力をモータ駆動に適した交流電力に変換するデバイスである。
図2に、トランスアクスル31の上面31aに固定された電力制御ユニット2の側面図を示す。トランスアクスル31の上面31aは前下がりに傾斜しており、その上に固定される電力制御ユニット2も前下がりの姿勢で固定される。図2のXYZ座標系は、電力制御ユニット2のための座標系であり、X軸は電力制御ユニット2のケースの底面に平行に延びており、Z軸はケースの後面に平行に延びており、Y軸は車幅方向に沿って延びている。 電力制御ユニット2は、フロントブラケット93とリアブラケット94によって、トランスアクスル31の上面31aの上方に固定されている。
電力制御ユニット2のケース12は、上下方向で、アッパーカバー12c、上部ケース12b、下部ケース12a、ロアカバー13に分割されている。上部ケース12bと下部ケース12aは複数のボルト18によって上下方向で相互に固定される。なお図2では、後述する冷媒管45、冷媒排出管78、冷媒供給管79などの図示は省略している。
(電力制御ユニット2の構造)
図3は、電力制御ユニット2の分解斜視図である。図3に示すように、電力制御ユニット2のケース12は、インバータケースである下部ケース12aと、コンバータケースである上部ケース12bに分かれている。下部ケース12aおよび上部ケース12bは、アルミニウム製である。
下部ケース12aは、直方体の容器である。下部ケース12aは中仕切板12a1と側壁12a2を備えており、上面と下面が空いている。中仕切板12a1は、側壁12a2の内面から水平方向に延びている。下部ケース12a内には、冷却ユニット20、回路基板60、および図示していないインバータ回路等が収納される。冷却ユニット20は、下部ケース12aの上方の開口から収容され、回路基板60は下方の開口から収容される。即ち、冷却ユニット20は中仕切板12a1の上側に位置し、回路基板60は中仕切板12a1の下側に位置する。なお、図3では、リアクトルや平滑コンデンサ等の電気部品は図示を省略している。また、図3では、下部ケース12aの下側の開口を塞ぐロアカバー13(図2参照)は図示を省略している。
下部ケース12aの側面14aには、冷媒排出管78が接続される貫通孔76と、継手管30が接続される貫通孔16と、ボルト孔82とが形成されている。なお、本実施形態では、側面14aの法線方向をX軸と定義し、図3の左下をX軸正方向と定義する。X軸に直交する面をYZ平面とし、図3の鉛直上方向をZ軸正方向と定義する。X軸およびZ軸に直交する軸をY軸と定義し、図3の右下方向をY軸正方向と定義する。後述する図4~図6でのXYZ軸は、図3のXYZ軸と対応している。
下部ケース12aに収容される冷却ユニット20は、半導体素子を内部に有する複数のパワーカード22と、内部を冷媒が通過する複数の冷却プレート21を備えている。複数のパワーカード22と複数の冷却プレート21は、一つずつ交互に積層されており、隣接する冷却プレート21の間にパワーカード22が挟まれている。隣接する冷却プレート21は、連結管25a、25bで連結されている。X軸正方向の端の冷却プレート21には、チューブ23、24が接続されている。チューブ23はX方向からみて連結管25aと重なるように配置されており、チューブ24は、X方向からみて連結管25bと重なるように配置されている。チューブ23を通じて液体の冷媒が冷却ユニット20に供給される。チューブ23から供給された冷媒は、連結管25aを通じて全ての冷却プレート21に分配される。冷媒は冷却プレート21を通る間にパワーカード22の熱を吸収する。熱を吸収した冷媒は、連結管25bとチューブ24を通じて冷却ユニット20から排出される。
回路基板60は、中仕切板12a1を挟んで冷却ユニット20の下方に位置している。回路基板60には、パワーカード22の半導体素子を制御する制御回路が実装されている。回路基板60の上面には、半導体チップなど多数の電子部品が実装されているがそれらの図示は省略している。中仕切板12a1には開口部12aOが設けられており、パワーカード22と回路基板60は、その開口部12aOを通じて、不図示の信号ピンで電気的に接続されている。
上部ケース12bの外形状は、下部ケース12aと同様の直方体である。上部ケース12bの内部には、冷却器や別の電気部品(不図示)、及び、それらを冷却する冷却器が収納されているが、図3ではそれらの図示は省略し、上部ケース12bを単純な直方体で表している。図3では、上部ケース12bの上部開口(不図示)を覆うアッパーカバー12c(図2参照)の図示も省略している。
上部ケース12bには、下部ケース12aと同様に、X軸正方向側のYZ平面と平行な側面14bに、冷媒管45の上端が接続される貫通孔17と、冷媒供給管79が接続される貫通孔77と、ボルト孔83とが形成されている。下部ケース12aと上部ケース12bとが結合すると、側面14aと側面14bは一体で一つの側面14となり、貫通孔17は貫通孔16のZ軸正方向に位置する。同様に、貫通孔77は、貫通孔76のZ軸正方向に位置する。
下部ケース12aの貫通孔16には継手管30を介してU字形状の冷媒管45の下端が接続され、上部ケース12bの貫通孔17には冷媒管45の上端が接続される。不図示の冷媒循環装置から供給される冷媒は、冷媒供給管79を通じて上部ケース12bの冷却器(不図示)に流入する。冷却器を通過した冷媒は、上部ケース12bの貫通孔17から冷媒管45を通り、継手管30と下部ケース12aの貫通孔16を通って冷却ユニット20に供給される。冷却ユニット20を通過した冷媒は、下部ケース12aの貫通孔76を通じてケース12の外部へと排出される。排出された冷媒は、冷媒排出管78を通じて冷媒循環装置(不図示)へと還流する。
継手管30は、円筒状の形状を有し、円筒の一端にフランジを有する。継手管30におけるフランジ以外の外周面は、貫通孔16の内周面に嵌合するように形成されている。継手管30は、貫通孔16に嵌合したときに、フランジが下部ケース12aの側面14aに接するように形成される。冷媒管45は、その一端が上部ケース12bの貫通孔17に接続され、他端が継手管30を介して下部ケース12aの貫通孔16に接続される。冷媒管45は、貫通孔17を通じて冷却器から排出される冷媒を、貫通孔16を通じて下部ケース12aの内部の冷却ユニット20へ導く。冷媒管45の一端にはフランジ42aとリブ41aが設けられており、他端にはフランジ42bとリブ41bが設けられている。
フランジ42aのX軸負方向側を向くフランジ面は、下部ケース12aの側面14aに接する。リブ41aは、フランジ42aからZ軸負方向に延出している。リブ41aには、ボルト81が貫通するための孔が形成されている。ボルト81は、リブ41aの孔を通って、ボルト孔82の雌ネジ溝に螺合する。これにより、下部ケース12aに対して冷媒管45が固定される。上部ケース12bに対しても、同様にして、冷媒管45が固定される。
(下部ケース12aの具体的構造)
図4に下部ケース12aの上面図を示す。図4では、下部ケース12a内に冷却ユニット20と回路基板60が格納されている状態を示している。図4では、冷却ユニット20を点線で示し、回路基板60を一点鎖線で示している。図4に示すように、下部ケース12aは、所定領域R1およびR2を備えている。所定領域R1およびR2は、下部ケース12aの中仕切板12a1の上面の一部に形成されている。図4では、理解を助けるため、所定領域R1およびR2をハッチングで示している。先に述べたように下部ケース12aの中仕切板12a1には、開口部12aOが形成されている。中仕切板12a1を挟んで冷却ユニット20の下方に回路基板60が位置している。
中仕切板12a1に形成されているリブ側壁SW11およびSW12と、下部ケース12aの側壁12a2とによって、閉じた側壁が形成されている。所定領域R1は、この閉じた側壁によって周囲から完全に隔てられている。換言すると、所定領域R1は、桶のように液体を貯めておくことが可能な形状を備えている。リブ側壁SW11およびSW12は、下部ケース12aの中仕切板12a1や側壁12a2と一体形成されたリブである。リブ側壁SW11およびSW12として機能するリブを追加するだけでよいため、所定領域R1を形成するためのコストアップは小さい。また、中仕切板12a1に形成されているリブ側壁SW21およびSW22と、下部ケース12aの側壁12a2によって閉じた側壁が形成されている。所定領域R2は、この閉じた側壁によって周囲から完全に隔てられている。所定領域R2の機能は、所定領域R1の機能と同様であるため説明を省略する。
図4では、下部ケース12aおよび冷却ユニット20を上方(Z軸正方向)から見たときに、冷媒出入口であるチューブ23の先端近傍の領域が、所定領域R1内に含まれている。具体的には、チューブ23において後述するガスケット85がはめ込まれる領域が、所定領域R1内に位置している。同様に、冷媒出入口であるチューブ24の先端近傍の領域が、所定領域R2内に含まれている。また、所定領域R1は、回路基板60の一部と重なっている。
図5に、図4のV-V線での断面図の部分拡大図を示す。図5は、冷媒管45および継手管30がチューブ23に接続されている状態での断面図である。図5に示すように、電力制御ユニット2では、冷媒が外部に漏れないように、樹脂製の複数のガスケットによって、各部材の連結部分が封止されている。具体的には、継手管30のフランジと、下部ケース12aの側面14aとの間にガスケット86が配置されている。継手管30の内周面と、冷媒管45における継手管30と嵌合する外周面との間にガスケット87が配置されている。継手管30の内周面と、冷却ユニット20のチューブ23との間にガスケット85が配置されている。これにより、冷媒管45と、冷媒出入口であるチューブ23の先端部とは、ガスケットを介して隙間なく接続されている。
図5に示すように、継手管30とチューブ23との下方(Z軸負方向)には、所定領域R1が備えられている。所定領域R1は、リブ側壁SW12と、下部ケース12aの側壁によって周囲から完全に隔てられた領域である。冷却ユニット20を上方(Z軸正方向)から見たときに、チューブ23のガスケット85が、所定領域R1内に含まれている。
図6に、図4のVI-VI線での断面図を示す。図6では、チューブ23およびチューブ24の位置を点線で示している。図6に示すように、下部ケース12aは、所定領域R1およびR2を備えている。所定領域R1は、リブ側壁SW11と下部ケース12aの側壁12a2とによって周囲から完全に隔てられた領域である。所定領域R2は、リブ側壁SW21と下部ケース12aの側壁12a2によって周囲から完全に隔てられた領域である。冷却ユニット20を上方(Z軸正方向)から見たときに、チューブ23の径方向の全体が所定領域R1内に含まれており、チューブ24の径方向の全体が所定領域R2内に含まれている。冷却ユニット20を上方(Z軸正方向)から見たときに、所定領域R1、R2と、回路基板60の一部が重なっている。回路基板60は、ボルト61で中仕切板12a1に固定されている。
(冷媒管の分解手順)
電力制御ユニット2のメンテナンス時などに、冷媒管45を分解する手順を説明する。まず、エアパージすることで冷却ユニット20内部や冷媒管45から冷媒を排出する。次に、冷媒管45をケース12から取り外す。このとき、ガスケット85がチューブ23側に残る。これは、冷媒管45の引き抜き方向(すなわちX軸の正方向)に対する保持力が、継手管30とガスケット85との間のシールの保持力よりも、ガスケット85とチューブ23との間のシールの保持力の方が大きくなるように設計しているためである。これにより、下部ケース12a内へ冷媒が漏れてしまう事態を防止できる。次に、上部ケース12bを取り外す。これにより、上方(Z軸の正方向)から冷却ユニット20にアクセス可能になる。チューブ23からガスケット85を取り除く。これにより冷媒管45の分解が完了する。
(効果)
冷媒管45の分解時において、チューブ23からガスケット85を取り除く際に、冷却ユニット20内に残存した冷媒が下部ケース12a内に漏れてしまう場合がある。このような場合においても、漏れた冷媒を、所定領域R1およびR2(図4~図6参照)で受け止めることができる。また所定領域R1およびR2は桶のような形状を有するため、受け止めた冷媒を保持するとともに冷媒が他の場所へ移動することを防止することができる。これにより、漏れた冷媒が、下部ケース12aの中仕切板12a1の開口部12aOなどから回路基板60の上へ滴下してしまうことがないため、回路基板60の故障を防止することが可能となる。
本明細書の電力制御ユニット2では、下部ケース12aと上部ケース12bとが分離可能な構造を備えている。これにより、上部ケース12bを取り外すことで、下部ケース12a内に配置されている冷却ユニット20に、上方(Z軸の正方向)からアクセス可能になる。よって、所定領域R1およびR2に保持されている冷媒を容易に除去することが可能である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
(変形例)
本明細書における冷媒管45と冷却ユニット20との接続構造は一例である。例えば、継手管30を介さずに冷媒管45と冷却ユニット20のチューブ23とが接続されていてもよい。
所定領域R1およびR2の上面視における形状や面積は様々であってよい。また本明細書では、リブ側壁と下部ケース12aの側壁とによって閉じた側壁を形成している例を挙げたが、この形態に限られない。例えば、リブ側壁のみによって閉じた側壁が形成されていてもよい。
上記実施例では、冷媒管45と冷却ユニット20との接続構造を含む電力制御ユニット2を一例として説明したが、この接続構造が冷媒を接続する装置については、種々変形可能であり、電力制御ユニット2以外の装置であってもよい。
上記実施例では、冷媒管45と冷却ユニット20との接続構造は、フランジ42aやリブ41aを有したが、この接続構造が有する構成については種々変形可能である。
下部ケース12aは、ケースの一例である。冷却ユニット20は、積層冷却器の一例である。冷媒管45は、パイプの一例である。
2…電力制御ユニット 12…ケース 12a…下部ケース 12b…上部ケース 20…冷却ユニット 23、24…チューブ 30…継手管 45…冷媒管 60…回路基板 85、86、87、88…ガスケット R1、R2…所定領域 SW11、SW12、SW21、SW22…リブ側壁

Claims (1)

  1. ケースと、前記ケースに格納されており側面に冷媒出入口を備えている積層冷却器と、前記冷媒出入口に接続されており冷媒を供給または排出するパイプと、前記ケースに格納されており前記積層冷却器の下方に位置している回路基板と、を備えた電力変換装置であって、
    前記パイプと前記冷媒出入口とはガスケットを介して接続されており、
    前記ケースは、側壁内面から前記積層冷却器と前記回路基板の間に延びている中仕切板を備えているとともに、前記中仕切板の上面の一部に、前記中仕切板の垂直上方から見たときに閉じた側壁によって周囲から隔てられている所定領域が設けられており、
    前記ケースおよび前記積層冷却器を上方から見たときに、前記冷媒出入口が前記所定領域内に位置しているとともに、前記所定領域が前記回路基板の一部と重なっている、電力変換装置。
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