以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。
(第1実施形態)
図1~図12に基づいて本実施形態に係る添加装置、および、添加装置を含む浄化システムを説明する。以下においては互いに直交の関係にある3方向を、x方向、y方向、z方向と示す。x方向とy方向とによって規定される平面をx-y平面と示す。
浄化システムは、内燃機関100から排出される排気に含まれる有害物質である窒素化合物(NOx)を還元して浄化するものであり、図1に示す還元装置200および添加装置を備える。還元装置200は、還元触媒を担持する担体を有し、排気管110に取り付けられている。還元触媒は、排気通路110aを流通する排気に晒されている。添加装置は、浄化液としての尿素水を、排気通路110aのうち還元装置200の上流側部分へ添加するものである。排気通路110aへ添加された尿素水は排気熱により加水分解され、これにより、尿素水からアンモニアが生成される。生成されたアンモニアは、還元剤として還元装置200へ供給される。還元装置200の還元触媒上では、排気中のNOxが還元剤により還元される反応が生じる。
添加装置は、添加弁10、ポンプ70、制御装置80および配管90を備える。添加弁10は排気管110に装着されている。添加弁10の先端は、排気通路110aに露出して排気に晒されている。添加弁10とポンプ70とは配管90を介して連結されている。ポンプ70は、タンク60に貯留されている尿素水に浸かるようにタンク60内に配置されている。これにより添加弁10とタンク60との間において、ポンプ70と配管90を介して尿素水が流動可能になっている。
添加弁10は、図2に示すように、ボディ20、弁体30、バネ40、および、電磁部50を有する。ボディ20は尿素水の流通する尿素水流路21を内部に構成している。この尿素水流路21に弁体30とバネ40が設けられている。バネ40は弁体30に付勢力を付与する。これにより尿素水流路21が閉塞される。この結果、添加弁10は閉弁される。
電磁部50はボディ20に設けられる。電磁部50は磁気回路を形成する。これにより弁体30がバネ40の付勢力に抗して動かされ、尿素水流路21が開放される。この結果、添加弁10が開弁される。以下、添加弁10の各構成要素を詳説する。
ボディ20は、ノズルボディ22、非磁性部材23、導入部24および噴孔部25を有する。ノズルボディ22、非磁性部材23および導入部24それぞれは、筒形状を成している。ノズルボディ22、非磁性部材23および導入部24それぞれの軸方向はz方向に沿い、x-y平面で一致している。図1では、ボディ20の中心軸CAを一点鎖線で示している。また、図1中の上下方向を表す矢印は、添加弁10が排気管110に取り付けられた状態における重力方向(鉛直方向)を示す。つまり、中心軸CA方向(z方向)が上下方向に対して交差する向きとなるように、添加弁10は排気管110に取り付けられている。
ノズルボディ22、非磁性部材23および導入部24によって、2つの開口部を有する筒が構成されている。一方の開口部はノズルボディ22の先端で構成されている。他方の開口部は導入部24の先端で構成されている。ノズルボディ22の先端とは反対側の端部、および、導入部24の先端とは反対側の端部それぞれが、非磁性部材23の端部と溶接等により連結されている。
ノズルボディ22の先端に噴孔部25が固定されている。噴孔部25には微小な噴射孔25aが形成されている。導入部24の先端に配管90が連結される。ポンプ70が正転制御されて配管90から尿素水流路21に尿素水が流入されると、この尿素水が噴射孔25aから排気通路110aへ噴射される。一方、ポンプ70が逆転制御されると、噴射孔25aから尿素水流路21へ空気が流入され(図3、4中の矢印参照)、これにより尿素水流路21内の尿素水が配管90を介してタンク60に戻される。
ノズルボディ22および導入部24は磁性材料からなる。ノズルボディ22の中空に弁体30、後述の可動コア56の一部、およびバネ40の一部が設けられている。非磁性部材23の中空には、可動コア56、バネ40、および後述の固定コア55それぞれの一部が設けられている。導入部24の中空に固定コア55の一部が設けられている。固定コア55は筒形状を成している。固定コア55の外側面は導入部24の内周面と接触している。固定コア55は導入部24に固定されている。固定コア55の中空には、圧入部材26の一部が圧入固定されている。
導入部24の配管90の連結される開口部側の中空には、フィルタ24aが設けられている。フィルタ24aは金属から成り、網目構造を有している。配管90を介して導入部24の構成する尿素水流路21に流入した尿素水はフィルタ24aを通過する。これにより、尿素水に含まれる異物がフィルタ24aによって除去される。フィルタ24aによって異物除去された尿素水は、圧入部材26と固定コア55の構成する中空へと流れる。
導入部24の配管90の連結される開口部を構成する端部の外側面には、Oリング24bとストッパ24cが設けられている。図2に示すように、z方向においてノズルボディ22から導入部24に向かう方向に、Oリング24bとストッパ24cが順に並んでいる。これにより、ストッパ24cによってOリング24bが導入部24から外れることが抑制されている。
配管90は、導入部24に取り付けられる取付部91と、取付部91に接続される上向部92とを有する。取付部91は有底円筒形状であり、Oリング24bによりシールされた状態で導入部24に連結されている。上向部92は、取付部91の外周面に取り付けられるパイプ形状であり、取付部91の内部流路に比べて小さい通路断面積に設定されている。上向部92は、取付部91との接続箇所に近づくにつれて上下方向位置が高くなるよう、上向きに傾斜した状態で配置されている。これにより、ポンプ70を停止させた状態で上向部92に尿素水が残存していた場合であっても、その尿素水が自重で添加弁10の内部へ流入することは回避される。
噴孔部25はノズルボディ22の先端の開口部に設けられる。噴孔部25は、図3に示すように、ノズルボディ22に固定される先端ボディ25bと、噴射孔25aの形成された噴孔プレート25cと、を有する。先端ボディ25bは筒形状を成す。先端ボディ25bはノズルボディ22の中空に設けられる。先端ボディ25bの外面がノズルボディ22の内面に溶接接合されている。先端ボディ25bと中空とノズルボディ22の中空とが連通している。
先端ボディ25bの内径は不定である。先端ボディ25bの内面には、周方向において環状を成すシート面25dが形成されている。このシート面25dは、z方向において噴射孔25aから導入部24側へと向かうにしたがって、徐々に径が広がるテーパ形状を成している。このシート面25dに弁体30の先端が着座したり離座したりする。
噴孔プレート25cは筒形状を成す。噴孔プレート25cの中空に先端ボディ25bの排気管110側の端部が設けられる。噴孔プレート25cの内面に先端ボディ25bの外面が溶接接合されている。これにより先端ボディ25bの排気管110側の開口部が噴孔プレート25cの中央部によって覆われている。噴孔プレート25cの中央部は、先端ボディ25bのシート面25dよりもボディ20の中心軸CA側に位置する。そして噴孔プレート25cの中央部は、z方向において先端ボディ25bの開口部と対向している。この噴孔プレート25cの中央部に、尿素水を噴射するための噴射孔25aが複数形成されている。
弁体30はz方向に延びる筒形状を成す。弁体30とボディ20の軸方向はx-y平面で一致している。弁体30は自身の中空と連通する1つの開口端と、自身の中空と非連通の1つの閉口端と、を有する。弁体30の閉口端は噴射孔25a側に位置する。弁体30の開口端は導入部24側に位置する。
弁体30の閉口端の外面には、先端ボディ25bのシート面25dと同一の傾斜角度のテーパ形状の縁部が形成されている。この閉口端のテーパ状の縁部がシート面25dと全面的に環状に接触する。これにより噴射孔25aと尿素水流路21との連通が遮断される。
弁体30の開口端に、可動コア56が設けられている。可動コア56は中空を有し、弁体30の中空と連通している。また可動コア56の中空と固定コア55の中空も連通している。したがって、上記したフィルタ24aによって異物除去された尿素水は、圧入部材26と固定コア55の構成する中空へと流れるとともに、可動コア56と弁体30の中空へも流れる。
図2および図4に示すように可動コア56と固定コア55はz方向で対向している。より詳しく言えば、可動コア56のx-y平面において環状を成す上端面56aと、固定コア55のx-y平面において環状を成す下端面55aとがz方向で対向している。
後述するように可動コア56は弁体30とともにボディ20の軸方向(z方向)に移動する。弁体30の軸方向への移動により、可動コア56と固定コア55とはz方向で近づいたり離れたりする。
より詳しく言えば、弁体30が噴射孔25a側に変位すると、可動コア56と固定コア55とがz方向で離れる。弁体30の閉口端がシート面25dに着座している場合、可動コア56の上端面56aと固定コア55の下端面55aとはz方向において最も離れる。このように可動コア56と固定コア55とがz方向で離れている場合、上端面56aと下端面55aとの間に尿素水が流動する空隙通路が構成される。
これとは逆に、弁体30が導入部24側に変位すると、可動コア56と固定コア55とがz方向で近づく。弁体30の閉口端とシート面25dとが離座し、z方向において最も離れている場合、可動コア56の上端面56aと固定コア55の下端面55aとが接触する。この際、上記の空隙通路が無くなる。図4では、可動コア56の上端面56aと固定コア55の下端面55aとが接触して、空隙通路が無くなっている状態を示している。また図4では、特にノズルボディ22、非磁性部材23および導入部24それぞれを区別せずに、ボディ20として図示している。
弁体30は内面30aと外面30bを有する。内面30aは弁体30の中空を構成している。上記したように弁体30の中空は可動コア56の中空と連通され、可動コア56の中空とともに尿素水の流動する流通路を構成している。
弁体30の外面30bは先端ボディ25bとノズルボディ22それぞれの内面とx-y平面で離れて対向している。また可動コア56の外側面はノズルボディ22と非磁性部材23それぞれの内面とx-y平面で離れて対向している。そのため、弁体30と先端ボディ25b、および、弁体30とノズルボディ22それぞれとの間に空間が構成されている。また可動コア56とノズルボディ22、および、可動コア56と非磁性部材23それぞれとの間に空間が構成されている。これらの空間は上記した弁体30の中空や空隙通路と連通される。そのため、これらの空間も尿素水の流動する流通路を構成している。
以下においては、弁体30の中空と可動コア56の中空とによって構成される流通路を第1流通路31と示す。また、上記した弁体30、先端ボディ25b、ノズルボディ22、可動コア56、および、非磁性部材23によって構成される流通路を第2流通路32と示す。
上記したように弁体30の閉口端がシート面25dに着座している場合、可動コア56と固定コア55との間に空隙通路が構成される。この場合、第1流通路31と第2流通路32とは、空隙通路を介して連通される。換言すれば、添加弁10が閉弁状態の場合、第1流通路31と第2流通路32とは、空隙通路を介して連通される。これとは逆に、可動コア56と固定コア55とが接触している場合、上記の空隙通路は無くなる。そのため、第1流通路31と第2流通路32とは、空隙通路を介して連通されなくなる。換言すれば、添加弁10が開弁状態の場合、第1流通路31と第2流通路32との空隙通路を介した連通が遮断される。
弁体30には、弁体30の中空とノズルボディ22の中空とを連通するための第1連通孔33が形成されている。また弁体30には、弁体30の中空と先端ボディ25bの中空とを連通するための第2連通孔34が形成されている。すなわち弁体30には、第1流通路31と第2流通路32とを連通するための第1連通孔33と第2連通孔34それぞれが形成されている。これら第1連通孔33と第2連通孔34とにより、第1流通路31と第2流通路32は、添加弁10の開弁状態と閉弁状態とによらずに連通している。
第1連通孔33は、弁体30におけるノズルボディ22との対向面に設けられている。第2連通孔34は、弁体30における先端ボディ25bとの対向面に設けられている。そのため第2連通孔34は第1連通孔33よりも噴射孔25a側に位置している。本実施形態では、2つの第1連通孔33と4つの第2連通孔34が弁体30に形成されている。
バネ40は可動コア56と弁体30に付勢力を付与するものである。バネ40は線形状の弾性材料がz方向にらせん状に巻き回されて成るコイルバネである。バネ40はz方向において可動コア56と圧入部材26との間に設けられている。そして上記の圧入部材26の圧入により、バネ40は可動コア56と圧入部材26との間でz方向に圧縮されている。これによりバネ40は、z方向においてバネ40から離れる方向に付勢力を発生させている。このため、弁体30と可動コア56それぞれにz方向において噴射孔25a側へ向かうバネ40の付勢力が付与されている。また電磁部50による磁気回路が形成されない場合、バネ40の付勢力により、弁体30の閉口端がシート面25dに着座している。これにより添加弁10の閉弁状態が保たれている。
電磁部50は、ソレノイドコイル51、コネクタ52、樹脂部53、ハウジング54、固定コア55、および、可動コア56を有する。ソレノイドコイル51はコネクタ52とともに樹脂部53によって一体的に連結されている。ソレノイドコイル51は固定コア55と可動コア56の周囲を囲むように、樹脂部53によってボディ20に固定されている。ハウジング54は筒形状を成している。ハウジング54はソレノイドコイル51と樹脂部53それぞれの周囲を囲むようにボディ20に固定されている。
固定コア55は筒形状を成している。固定コア55は導入部24と非磁性部材23の中空に設けられている。図4に示すように、固定コア55の弁体30側の外径は、非磁性部材23との接触面積を低減するため、非磁性部材23の内径よりも狭くなっている。そのため、固定コア55と非磁性部材23とによって、上記した第2流通路32と連通する隘路55bが構成されている。隘路55bはx-y平面において環状を成している。この隘路55bも尿素水で満たされる。この隘路55bは空隙通路を介して第1流通路31と連通している。
可動コア56は筒形状を成している。可動コア56は非磁性部材23とノズルボディ22の中空に設けられている。可動コア56の中空には、x-y平面において環状を成す取り付け部57が構成されている。この取り付け部57によって、可動コア56の中空は噴射孔25a側の中空と導入部24側の中空とに区画されている。この可動コア56の噴射孔25a側の中空に弁体30の開口端が挿入されている。そして弁体30の開口端の端面が、取り付け部57の環状の下面57aと接触している。またこの可動コア56の導入部24側の中空にバネ40が挿入されている。そしてバネ40が、取り付け部57の環状の上面57bと接触している。上記したようにバネ40のz方向において噴射孔25a側へ向かう付勢力により、弁体30と可動コア56との接触状態が保たれている。そのため、可動コア56と弁体30とはz方向にともに移動する。
可動コア56と弁体30が一体構造物である可動部品としてz方向に移動する際に、その一体構造物が径方向に移動することを規制するよう、z方向のうち一体構造物の上側部分と下側部分には、以下に説明する摺動面が形成されている。上側部分の摺動面は、可動コア56の外周面により提供され、ノズルボディ22および非磁性部材23の内周面に当接しながら摺動する。下側部分の摺動面30c(図3参照)は、弁体30の外面30bにより提供され、先端ボディ25bの内周面に当接しながら摺動する。より詳細には、弁体30の外面30bに設けられる摺動面30cは、z方向のうち第2連通孔34が形成されている部分により提供される。
図4に示すように、可動コア56の外径は、非磁性部材23およびノズルボディ22それぞれの内径よりも狭くなっている。そのため、可動コア56と非磁性部材23、および、可動コア56とノズルボディ22によって、上記した第2流通路32の一部が構成されている。
ハウジング54、固定コア55および可動コア56それぞれは磁性材料によって形成されている。上記したようにノズルボディ22と導入部24も磁性材料によって形成されている。そして非磁性部材23は非磁性材料によって形成されている。固定コア55と可動コア56それぞれはx-y平面において非磁性部材23と隣り合っている。
以上により、コネクタ52を介してソレノイドコイル51に電流を流すと、それによって発生する磁束は、導入部24、固定コア55、可動コア56、ノズルボディ22、および、ハウジング54を通る磁気回路を形成する。この磁気回路が形成されると、可動コア56はバネ40の付勢力に抗してz方向に沿って導入部24側へと移動しようとする。上記したように可動コア56と弁体30とはz方向にともに移動する。したがって磁気回路の形成による可動コア56の導入部24側への移動により、弁体30も導入部24側へと移動する。これにより弁体30の先端(閉口端)が先端ボディ25bのシート面25dから離座する。この結果、噴射孔25aから排気通路110aへの尿素水の噴射がなされる。なおこの際、可動コア56の上端面56aと固定コア55の下端面55aとが接触する。これにより空隙通路を介した第1流通路31と第2流通路32との連通が遮断される。また、空隙通路を介した隘路55bと第1流通路31との連通が遮断される。
制御装置80は、少なくとも1つの演算処理装置(プロセッサ80a)と、プロセッサ80aにより実行されるプログラムおよびデータを記憶する記憶媒体としての少なくとも1つの記憶装置(メモリ80b)とを有する。プロセッサ80aおよびメモリ80bはマイクロコンピュータ(マイコン)によって提供されてもよい。記憶媒体は、プロセッサ80aによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御装置80は、1つのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、制御装置80によって実行されることによって、制御装置80をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置を機能させる。
制御装置80は、添加弁10の開閉およびポンプ70の回転を制御する。具体的には、ポンプ70のインペラを正回転させるように制御装置80がポンプ70を正転制御すると、タンク60に貯留された尿素水がポンプ70により圧送され、配管90を通じて添加弁10に供給される。ポンプ70のインペラを逆回転させるように制御装置80がポンプ70を逆転制御すると、添加弁10および配管90に残存する尿素水がポンプ70により吸引され、タンク60に吸い戻される。換言すれば、ポンプ70は、正転による添加弁10への尿素水の供給作動と、逆転による添加弁10からの尿素水の吸い戻し作動とを切り替え可能である。そして、ポンプ70および配管90が「供給吸戻装置」に相当する。
制御装置80は、添加制御部81、吸戻制御部82、停止制御部83、および吹飛制御部84を有する。これらの制御部は、メモリ80bに記憶されたプログラムをプロセッサ80aが実行することで機能を発揮するものであり、メモリ80bおよびプロセッサ80aにより提供される。
添加制御部81は、内燃機関100の運転に伴い排気浄化が要求され、かつ、還元装置200の還元触媒が活性化温度以上になっている等の条件を満たしている場合に、ポンプ70を正転制御するとともに添加弁10を開閉制御する。このように正転制御しつつ添加弁10を開閉制御する制御を、添加制御と呼ぶ。添加制御を実行することにより、内燃機関100から排出されるNOxに対して適量の尿素水を添加して、NOx浄化を図る。
添加制御部81に係る上記開閉制御について詳述すると、添加制御部81は、機関回転速度および機関負荷等の内燃機関100の運転状態に基づきNOx排出量を推定し、推定されたNOx排出量に応じた尿素水噴射量の目標値(目標噴射量)を算出する。さらに添加制御部81は、算出された目標噴射量となるように、添加弁10の開弁時間を制御する。なお、添加制御部81は、目標噴射量の値に拘らずポンプ70の吐出圧が最大吐出圧となるように、継続してポンプ70を正転制御する。
吸戻制御部82は、内燃機関100の運転停止をトリガとして、ポンプ70を逆転制御するとともに添加弁10を開弁制御する。このように逆転制御しつつ開弁制御する吸戻制御部82による制御を、吸戻制御と呼ぶ。吸戻制御を実行することにより、添加弁10の内部の尿素水をポンプ70に吸い戻させる。
吸戻制御では、開弁制御の開始時期つまり添加弁10への通電開始時期と、逆転制御の開始時期つまりポンプ70への通電開始時期を同じにしている。吸戻制御の開始時期は、内燃機関100の運転停止から所定時間が経過して、ポンプの吐出圧が十分に低下した後の時期に設定されている。また、逆転制御の終了時期つまりポンプ70への通電終了時期と、開弁制御の終了時期つまり添加弁10への通電終了時期とを同じにしている。吸戻制御の実行時間つまりポンプ70および添加弁10への通電時間は、予め決められた所定時間ta(図5参照)に固定して設定されている。なお、吸戻制御の実行時間は第1時間T10(図12参照)に相当する。
図5に、本発明者が添加弁10を開弁状態に維持して負圧を発生させた場合の尿素水残存率の実験結果を示す。図5の縦軸は、添加弁10内が尿素水で満たされた状態での添加弁10内の尿素水残存量に対する尿素水残存率を示している。したがって添加弁10内が尿素水で満たされている場合、尿素水残存率は1.0になる。図5の横軸は経過時間を示している。したがって図5は添加弁10内の尿素水残存率の時間依存性を示している。
この実験では、ボディ20の中心軸CAを鉛直方向に沿わせている。そのため、x-y平面が水平面に沿い、z方向が鉛直方向に沿っている。添加弁10の排気管110への尿素水の添加方向が重力の作用方向と同一方向である。添加弁10内の尿素水の吸い戻し方向は重力の作用方向とは逆向きである。
図5に示すように吸い戻しの始めにおいては、尿素水残存率は急激に減少する。しかしながら、吸い戻し開始から所定時間ta(例えば10秒)が経過すると、尿素水残存率はほとんど変化しなくなる。なおこの実験では負圧を0.5barにしている。以上により、吸戻制御の実行時間である第1時間T10は、図5に示す所定時間taに設定される。これにより、無駄な電力消費を回避しつつ、尿素水残存量を最大限に少なくすることが図られる。
停止制御部83は、吸戻制御の終了をトリガとして、ポンプ70を停止するとともに添加弁10を閉弁制御する。このようにポンプ70を停止しつつ閉弁制御する停止制御部83による制御を、停止制御と呼ぶ。停止制御を実行することにより、添加弁10の内部に付着する尿素水を自重で移動させる。
停止制御では、閉弁制御の開始時期つまり添加弁10への通電終了時期と、ポンプ70への通電停止時期を同じにしている。停止制御の実行時間つまりポンプ70および添加弁10への通電停止時間は、予め決められた長さに固定して設定されている。なお、停止制御の実行時間は第2時間T20(図12参照)に相当し、上述した自重での移動が十分に為される長さに設定されている。以下、自重での移動について、図6および図7を用いて詳細に説明する。
図6中のドットハッチングで示される尿素水は、吸戻制御終了時点で添加弁10内部に残留する残留尿素水である。添加弁10の内部には、吸戻制御時に尿素水が滞留しやすい箇所(滞留部)が存在し、その滞留部に滞留している尿素水を吸戻制御で除去することには限界がある。滞留部になりやすい箇所は、尿素水の流動抵抗の高い場所であり、添加弁10内における流通面積の狭い箇所や、流通路を構成しない袋小路が具体例として挙げられる。
例えば、図6に示す滞留部D1のように、第2流通路32のうち径方向において中心軸CAよりも上側の部分、かつ鉛直方向において第1連通孔33よりも上側の部分は、尿素水が滞留しやすい。また、図6に示す滞留部D2のように、第2流通路32のうち径方向において中心軸CAよりも下側の部分、かつ鉛直方向において第1連通孔33よりも下側の部分は、尿素水が滞留しやすい。
また、図3中のドットハッチングで示される滞留部D3のように、第2流通路32のうち摺動面30cの上流側に隣接する部分は、尿素水が滞留しやすい。図3に示す滞留部D4のように、第1流通路31のうちz方向において第2連通孔34より噴射孔25a側の部分は、尿素水が滞留しやすい。また、図4中のドットハッチングで示される滞留部D5のように、第1流通路31のうち下面57aに隣接する部分は、尿素水が滞留しやすい。先述した隘路55bも滞留部D6となり得る(図4参照)。
これらの滞留部D1~D6に滞留した尿素水は、停止制御の期間中に、自重で鉛直方向下側へ移動する。例えば、滞留部D1に滞留していた尿素水は、停止制御期間中に、滞留部D3へ移動する(図6、7参照)。例えば、滞留部D5(図4参照)に滞留していた尿素水は、停止制御期間中に、滞留部D4(図3参照)へ移動する。
吹飛制御部84は、停止制御が第2時間T20継続して実行されたことをトリガとして、ポンプ70を正転制御するとともに添加弁10を開弁制御する。このように正転制御しつつ開弁制御する吹飛制御部84による制御を、吹飛制御と呼ぶ。吹飛制御に係る正転制御により、添加弁10内部の流通路の空気が加圧される。そのため、吹飛制御に係る開弁制御により、添加弁10の内部に形成された流通路に付着する尿素水が、噴射孔25aから排気通路110aへ吹き飛ばされる。例えば、停止制御後に滞留部D2、D3、D4に残存する尿素水が、加圧空気とともに、図8に示すように噴射孔25aから吹き飛ばされる。
吹飛制御では、開弁制御の開始時期つまり添加弁10への通電開始時期は、正転制御の開始時期つまりポンプ70への通電開始時期よりも遅い時期に設定されている。吹飛制御の開始時期つまりポンプ70への通電開始時期は、停止制御の第2時間T20経過時期に設定されている。また、正転制御の終了時期つまりポンプ70への通電終了時期は、開弁制御の終了時期つまり添加弁10への通電終了時期よりも遅い時期に設定されている。吸戻制御の実行時間つまりポンプ70への通電時間は、予め決められた第3時間T30(図12参照)に設定されている。
第3時間T30は、配管90の一部が尿素水で満たされつつも、配管90の全体が尿素水で満たされることのない長さの時間に設定されている。例えば、停止制御終了時点で、配管90内に尿素水が残存していない場合がある。或いは、図9中のドットハッチングで示されるように配管90内の一部に尿素水D10が残存している場合もあるが、その尿素水D10は、配管90のうちポンプ70に隣接する部分に存在するものの、配管90の上向部92には存在していない。そして、図10中のドットハッチングで示されるように、吹飛制御により配管90内に残存する尿素水D10が増えるものの、配管90の全体が尿素水で満たされないように、吹飛制御に係る第3時間T30は極めて短い時間に設定されている。図10の例では、尿素水D10が取付部91に到達することのないように、第3時間T30は設定されている。
次に、図11を用いて、プロセッサ80aにより実行される解凍判定の処理手順を説明する。図11に示す処理は、制御装置80に電力供給されている期間中、繰り返し実行される。
先ず、ステップS10において、内燃機関100が運転状態から停止状態に切り替わったか否かを判定する。運転停止状態に切り替わったと判定された場合、続くステップS11において、吸戻制御部82によるポンプ70の逆転制御を実行し、続くステップS12において、吸戻制御部82による添加弁10の開弁制御を実行する。続くステップS13では、吸戻制御の開始から第1時間T10(図12参照)が経過したか否かを判定する。第1時間T10が経過していないと判定された場合、ステップS11、S12による吸戻制御を継続する。
第1時間T10が経過したと判定された場合、続くステップS14において、停止制御部83による添加弁10の閉弁制御を実行し、続くステップS15において、停止制御部83によるポンプ70の停止制御を実行する。続くステップS16では、停止制御の開始から第2時間T20(図12参照)が経過したか否かを判定する。第2時間T20が経過していないと判定された場合、ステップS14、S15による停止制御を継続する。
第2時間T20が経過したと判定された場合、続くステップS17において、吹飛制御部84によるポンプ70の正転制御を実行し、続くステップS18において、吹飛制御部84による添加弁10の開弁制御を実行する。続くステップS19では、吹飛制御の開始から第3時間T30(図12参照)が経過したか否かを判定する。第3時間T30が経過していないと判定された場合、ステップS17、S18による吹飛制御を継続する。
第3時間T30が経過したと判定された場合、続くステップS20において添加弁10の閉弁制御を実行し、続くステップS21においてポンプ70の停止制御を実行する。要するに、内燃機関100が停止状態に切り替わると、吸戻制御を第1時間T10実行し、その後、停止制御を第2時間T20実行し、その後、吹飛制御を第3時間T30実行し、その後、添加弁10を閉弁させてポンプ70を停止させる。
次に、図12を用いて、本実施形態に係る添加装置の作動の一例を説明する。図中の(a)欄は、ポンプ70吐出口の圧力(ポンプ圧力)を示す。正転制御時のポンプ圧力は加圧により正圧となる。逆転制御時のポンプ圧力は吸い戻しにより負圧となる。停止制御時のポンプ圧力は大気圧となる。図中の(b)欄は、添加弁10の通電オンオフを制御する制御信号を示す。添加弁10は通電オンにより開弁し、通電オフにより閉弁する。
図12中のt1時点までは、内燃機関100が運転していることに伴って、排気中のNOxを還元させるべく尿素水の添加が要求されている状態である。したがって、t1時点までは添加制御部81による添加制御が実行されている。つまり、ポンプ70の正転制御によりポンプ圧力が正圧になっており、尿素水が添加弁10に供給されている。そして、尿素水の噴射量が目標噴射量となるように添加弁10が開閉制御されている。
ここで、図11とは別の制御により、内燃機関100が運転停止している等、尿素水の添加が要求されていない場合には、ポンプ70を停止させるとともに添加弁10を閉弁させるといった、停止制御が実行される。また、内燃機関100の運転に伴い尿素水の添加が要求されている場合には添加制御部81による添加制御が実行される。図12の説明に戻り、t1時点で内燃機関100が運転停止に切り替わると、上記停止制御により、ポンプ70を停止させるとともに添加弁10を閉弁させている。
この停止制御によりポンプ圧力が低下して大気圧になったt2時点で、吸戻制御が開始される。要するに、内燃機関100の停止時点から、ポンプ圧力が大気圧まで低下するのを待って、吸戻制御が開始される。吸戻制御開始のt2時点で、ポンプ圧力が大気圧からの低下を開始するとともに添加弁10が開弁する。これにより、排気通路110aの空気が噴射孔25aから添加弁10の内部へ吸い込まれ、その吸引された空気とともに添加弁10内部の尿素水がタンク60へ吸い戻される。
その後、第1時間T10が経過したt3時点で、吸戻制御の終了とともに停止制御が開始される。停止制御開始のt3時点で、ポンプ圧力が負圧からの上昇を開始するとともに添加弁10が閉弁する。これにより、吸戻制御時に添加弁10内部の滞留部D1~D6に滞留していた尿素水が、添加弁10内を自重で移動する。
その後、第2時間T20が経過したt4時点で、停止制御の終了とともに吹飛制御が開始される。その後、ポンプ圧力が十分に上昇したt5時点で添加弁10が開弁し、直後のt6時点で添加弁10が閉弁する。その後、第3時間T30が経過したt7時点で、吹飛制御の終了とともにポンプ圧力が低下して大気圧に戻っている。吹飛制御開始のt4時点で、ポンプ圧力が大気圧からの上昇を開始する。この吹飛制御により、停止制御時に自重で移動した残存尿素水が、噴射孔25aから吹き飛ばされる。
以上により、本実施形態に係る添加装置は、吸戻制御部82、停止制御部83および吹飛制御部84を備える。停止制御部83は、吸戻制御の後に停止制御を第2時間T20実行する。吹飛制御部84は、停止制御の後に、添加弁10を開弁させつつポンプ70を正転作動させる吹飛制御を実行する。そのため、添加制御部81による添加制御が終了した後、先ずは吸戻制御により、添加弁10内部に残存する尿素水の大半を除去することができる。そして、吸戻制御時に残留した尿素水は、停止制御により自重で移動することになり、移動した残留尿素水の少なくとも一部は、その後の吹飛制御により噴射孔25aから吹き飛ばされる。このように、吸戻制御時に残留した尿素水の少なくとも一部は、停止制御および吹飛制御により除去される。
したがって、内燃機関100の停止期間中において、残存した尿素水が凍結し、添加弁10の噴射孔25aや内部通路を閉塞させてしまうおそれを抑制できる。また、内燃機関100の停止期間中に、残存した尿素水に含まれる水分が蒸発して尿素成分が析出し、析出した尿素が、添加弁10内部の可動部品、つまり弁体30および可動コア56に固着することを抑制できる。例えば、可動コア56の上端面56aと固定コア55の下端面55aとの固着や、可動部品の摺動面の固着や、シート面25dへの弁体30の固着等が挙げられる。
さらに本実施形態では、吹飛制御部84は、配管90の全体が尿素水で満たされることのない第3時間T30だけ吹飛制御を実行する。そのため、吹飛制御によるポンプ70の正転制御により圧送される尿素水が、添加弁10の内部へ流入してしまうおそれを抑制できる。特に、配管90の上向部92へ尿素水が流入しない時間長さに第3時間T30が設定されていれば、添加弁10への流入抑制を促進できる。
さらに本実施形態では、停止制御部83は、添加弁10を閉弁させつつポンプ70を停止させる。そのため、停止制御期間中に自重で移動した尿素水が噴射孔25aから漏れ出ることを防止できる。このように自重で噴射孔25aから漏れ出る尿素水は、噴孔プレート25cの外面に表面張力で付着しやすい。このように付着した尿素水は、噴孔プレート25cに固着して噴射孔25aの一部を塞いでしまうことが懸念される。一方、吹飛制御により勢い良く吹き出される尿素水は、噴孔プレート25cの外面への付着が生じにくい。よって、停止制御期間中に添加弁10を閉弁させる本実施形態によれば、上記漏出に起因した噴孔プレート25c外面への付着を抑制できる。
さらに本実施形態では、吸戻制御部82は、添加弁10を開弁させつつポンプ70を逆転作動させる。そのため、噴射孔25aを空気の流入口として利用することができ、吸戻制御専用の空気流入口を添加弁10に設けることを不要にできる。
さらに本実施形態では、吹飛制御部84は、ポンプ圧送(供給作動)を開始するt4時点では添加弁10を閉弁させておき、供給作動の開始後に遅れて、t5時点で添加弁10を閉弁から開弁に切り替える。そのため、t4時点からt5時点までの間に添加弁10内部の空気の圧力を上昇させることができる。そして、空気圧が上昇した状態で開弁するので、残存尿素水を噴射孔25aから勢い良く吹き飛ばすことができる。よって、吹き飛ばされずに残る尿素水を低減できる。また、先述した、噴孔プレート25cの外面に表面張力で尿素水が付着するといった懸念を抑制できる。
さらに本実施形態では、吹飛制御部84は、添加弁10の開弁を終了させて閉弁に切り替えるt6時点ではポンプ圧送(供給作動)を継続させておき、開弁から閉弁への切り替えた後に遅れて、t7時点でポンプ圧送(供給作動)を停止させる。そのため、t5時点からt6時点までの開弁期間(吹飛期間)中に空気圧が低下するおそれを抑制でき、噴孔プレート25cの外面に表面張力で尿素水が付着する懸念をより一層抑制できる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、内燃機関100の停止後に、吸戻制御、停止制御および吹飛制御を順に実行する1連の制御を1回実行している。これに対し本実施形態では、上記1連の制御を複数回実行する。例えば、図13に示すように、1回目の吹飛制御を終了させたt7時点から所定時間経過したt8時点で、2回目の吸戻制御、停止制御および吹飛制御を順に実行する。t7時点からt8時点までの所定時間の長さは、ポンプ70への通電を停止させてから慣性で回転するインペラが停止するのに要する時間、つまりポンプ圧力が大気圧に戻るまでの時間よりも長く設定されている。
図13に示す例では、2回目の吸戻制御に係る第1時間T10は、1回目の第1時間T10よりも短く設定されている。一方、停止制御に係る第2時間T20および吹飛制御に係る第3時間T30については、1回目と2回目とで同じ長さに設定されている。
また、上記第1実施形態では、吸戻制御の実行期間である第1時間T10中に、添加弁10を1回開弁させている。これに対し本実施形態では、図13に示すように、第1時間T10中に添加弁10を複数回開弁させている。例えば、0.5Hz~10.0Hzの周波数で開弁と閉弁を交互に切り替える。開閉切り替えの周期は、予め設定された値で固定されている。
以上により、本実施形態によれば、吹飛制御を第3時間T30実行した後、吸戻制御を再度実行する。そのため、吹飛制御に係る第3時間T30中に吹き飛ばしきれずに添加弁10内部に尿素水が未だ残留した場合であっても、その残留尿素水の一部が、その後の吸戻制御により吸い戻され得る。よって、残留尿素水の除去を促進できる。
さらに本実施形態では、2回目の吸戻制御に係る第1時間T10は、1回目の吸戻制御に係る第1時間T10よりも短く設定されている。吸戻制御開始時点での残留尿素水は、1回目よりも2回目の方が少ないため、2回目の第1時間T10が短く設定された本実施形態によれば、ポンプ70の消費電力が必要以上に多くなることを抑制できる。
さらに本実施形態によれば、吸戻制御、停止制御および吹飛制御を順次実行する一連の制御が、複数回繰り返し実行される。そのため、上記一連の制御が1回実行される場合に比べて、残留尿素水の除去をより一層促進できる。
さらに本実施形態によれば、吸戻制御部82は、添加弁10の開弁と閉弁を交互に繰り返させつつポンプ70を吸い戻し作動させる。これによれば、滞留部D1~D6に滞留した尿素水が、吸戻制御の期間中に、可動コア56および弁体30により揺り動かされて、吸い戻されやすくなる。よって、吸戻制御期終了時点での残留尿素水を減少でき、残留尿素水の除去をより一層促進できる。
(他の実施形態)
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
図1に示す例では、添加弁10が排気管110に対して斜めに取り付けられているが、垂直に取り付けられていてもよい。換言すれば、排気管110の延びる方向とボディ20の中心軸CA方向とのなす角度が鋭角になるように添加弁10が排気管110に取り付けられていてもよいし、上記角度が直角になるように取り付けられていてもよい。
上記第2実施形態では、2回目の吸戻制御に係る第1時間T10は1回目より短く設定されているが、2回目および1回目の第1時間T10は同じ長さに設定されていてもよい。また、上記第2実施形態では、第2時間T20および第3時間T30は、1回目と2回目とで同じ長さに設定されているが、各々の時間について、1回目が2回目よりも短く設定されていてもよいし、長く設定されていてもよい。
上記各実施形態に係る吹飛制御では、ポンプ70を正転制御する際に、圧力最大でポンプ70を駆動させてもよいし、最大未満の吐出圧でポンプ70を駆動させてもよい。
上記第1実施形態では、吸戻制御に係る第1時間T10は、予め決められた長さに固定して設定されているが、環境に応じて可変設定されてもよい。例えば、尿素水の粘性が高いほど吸い戻されにくくなるので、高粘性であるほど第1時間T10は長い時間に設定されることが望ましい。なお、尿素水の粘性は、尿素水の温度や濃度と相関が高いため、尿素水温度や濃度の検出または推定により取得され得る。停止制御に係る第2時間T20および吹飛制御に係る第3時間T30についても、上記第1時間T10同様にして、環境に応じて可変設定されてもよい。例えば、高粘性であるほど第2時間T20および第3時間T30は長い時間に設定されることが望ましい。
上記第1実施形態では、吹飛制御での開弁開始時期(t5時点)が、吹飛制御での正転開始時期(t4時点)よりも遅いタイミングに設定されているが、これら両時期は同じタイミングに設定されていてもよい。また、上記第1実施形態では、吹飛制御での開弁終了時期(t6時点)が、吹飛制御での正転終了時期(t7時点)よりも早いタイミングに設定されているが、これら両時期は同じタイミングに設定されていてもよい。
上記第1実施形態では、吸戻制御での開弁開始時期(t2時点)と、吸戻制御での逆転開始時期が同じに設定されているが、これら両時期はずらされていてもよい。また、上記第1実施形態では、吸戻制御での閉弁開始時期(t3時点)と、吸戻制御での逆転終了時期が同じに設定されているが、これら両時期はずらされていてもよい。
上記第1実施形態では、吹飛制御の実行期間つまり第3時間T30中における添加弁10の開弁回数が、1回に設定されている。これに対し、第3時間T30中に開弁と閉弁を複数回繰り返すよう、上記開弁回数が複数回に設定されていてもよい。
上記第1実施形態に係る停止制御では、添加弁10を閉弁させつつポンプ70を停止させているが、添加弁10を開弁させつつポンプ70を停止させてもよい。また、上記第1実施形態に係る吸戻制御では、添加弁10を開弁させつつポンプ70を逆転させているが、添加弁10を閉弁させつつポンプ70を逆転させてもよい。この場合、添加弁10に、噴射孔25aとは別の空気流入口を設けて、添加弁10内部に空気が流入するようにすればよい。
上記各実施形態では、ポンプ70と添加弁10とが1本の配管90で接続されている。これに対し、添加弁10へ尿素水を供給する供給配管に加えて、添加制御により供給された尿素水の余剰分をタンク60へ戻すリターン配管が設けられていてもよい。この場合、尿素水の流れ方向を逆転させる流路切替弁を配管に設けて、リターン配管から尿素水を供給して供給配管からタンク60へ戻すことが可能になる。つまり、ポンプ70を逆転させずに正転させたまま流路切替弁を切り替えることで、添加弁10からの尿素水の吸い戻しを実現させることが可能になる。要するに、吸戻制御部82は、上記各実施形態の如く逆転制御により吸戻制御を実現させてもよいし、上記流路切替弁を切替制御することで吸戻制御を実現させてもよい。
上述の如く流路切替弁を設けて逆転制御を不要にした構成の場合、添加弁10への尿素水の供給、および添加弁10からの尿素水の吸い戻しを切り替えて実行する供給吸戻装置は、供給配管、リターン配管、ポンプ70および流路切替弁により提供される。
上記各実施形態では、添加弁10から排気通路110aへ添加する浄化液として尿素水を用いているが、炭化水素化合物(HC)を浄化液として添加してもよい。