JP7052383B2 - 顕微鏡用液浸油 - Google Patents

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Description

本開示は、顕微鏡用液浸油に関する。
顕微鏡分野において、液浸油を使用すると、液浸油を使用しない場合と比べて、実質的に少ない球面収差が得られるだけでなく、対物レンズの開口数を大きくして、顕微鏡の分解能を高めることができる。
液浸油としては、例えば、特許文献1に示すように、所定の構造のシロキサン化合物からなる顕微鏡用液浸油が提案されている。
特開平4-138408号公報
本開示は、芳香族基を有するシロキサン化合物と、ジエン系重合体およびオレフィン系重合体からなる群より選択された少なくとも1種の炭化水素系重合体と、を含む、顕微鏡用液浸油に関する。
また、本開示は、ポリビニルブチラール樹脂と、芳香族アルコールと、硫黄原子および水酸基を含む液状化合物と、高級アルコールと、を含む、顕微鏡用液浸油にも関する。
以下、顕微鏡用液浸油について詳述する。なお、本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
顕微鏡用液浸油の第1実施形態(以下、「第1液浸油」ともいう。)は、芳香族基を有するシロキサン化合物と、ジエン系重合体およびオレフィン系重合体からなる群より選択された少なくとも1種の炭化水素系重合体とを含む。芳香族基を有するシロキサン化合物と炭化水素系重合体とが併用されることにより、第1液浸油が、プラスチック材料に対する低侵食性を示し、顕微鏡用液浸油に求められる屈折率特性および動粘度特性を満たす。なかでも、芳香族基を有するシロキサン化合物が炭素数2以上の非芳香族炭化水素基(好ましくは、アルケニル基)をさらに有する場合、特定シロキサン化合物と炭化水素系重合体との相溶性が向上し、上記諸特性がより優れる。
また、顕微鏡用液浸油の第2実施形態(以下、「第2液浸油」ともいう。)は、ポリビニルブチラール樹脂と、芳香族アルコールと、硫黄原子および水酸基を含む液状化合物と、高級アルコールと、を含む。これらの成分を合わせて用いることにより、第2液浸油が、プラスチック材料に対する低侵食性を示し、顕微鏡用液浸油に求められる屈折率特性および動粘度特性を満たす。
以下、各実施形態について詳述する。
<第1実施形態>
まず、以下では、第1液浸油に含まれる各成分について詳述する。
(芳香族基を有するシロキサン化合物)
第1液浸油は、芳香族基を有するシロキサン化合物(以下、「特定シロキサン化合物」ともいう。)を含む。特定シロキサン化合物は、主に、第1液浸油のプラスチック材料に対する低侵食化および高屈折化に寄与する。
特定シロキサン化合物は、Si-O-Si結合を含む化合物である。
特定シロキサン化合物は、芳香族基を有する。芳香族基としては、芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が挙げられ、芳香族炭化水素基が好ましい。
芳香族炭化水素基は、単環構造であっても、多環構造であってもよい。
芳香族炭化水素基の炭素数は特に制限されないが、5~18が好ましく、5~10がより好ましい。
芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、および、ピレニル基が挙げられる。
特定シロキサン化合物が有する芳香族基の数は、1つでも、複数でもよく、複数が好ましい。
特定シロキサン化合物は、特定シロキサン化合物と炭化水素系重合体との相溶性がより向上する点で、さらに、炭素数2以上の非芳香族炭化水素基を有するのが好ましい。
非芳香族炭化水素基とは、芳香族性を示さない炭化水素基である。
非芳香族炭化水素基の炭素数は、2以上であり、特定シロキサン化合物と炭化水素系重合体との相溶性がより向上する点で、2~5が好ましく、2~3がより好ましく、2がさらに好ましい。
炭素数2以上の非芳香族炭化水素基としては、炭素数2以上のアルキル基、炭素数2以上のアルケニル基、および、炭素数2以上のアルキニル基が挙げられ、特定シロキサン化合物と炭化水素系重合体との相溶性がより向上する点で、炭素数2以上のアルケニル基が好ましい。
炭素数2以上のアルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、および、5-ヘキセニル基が挙げられる。
特定シロキサン化合物が有する炭素数2以上の非芳香族炭化水素基の数は、1つでも、複数でもよい。
特定シロキサン化合物は、芳香族基、および、炭素数2以上の非芳香族炭化水素基以外の基をさらに有していてもよい。特定シロキサン化合物は、例えば、メチル基を有していてもよい。
特定シロキサン化合物としては、特定シロキサン化合物と炭化水素系重合体との相溶性がより向上する点で、式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007052383000001
式(1)中、R~Rは、それぞれ独立に、メチル基、芳香族基、または、炭素数2以上の非芳香族炭化水素基を表し、R~Rのうち少なくとも1つは芳香族基を表し、R~Rの少なくとも1つは炭素数2以上の非芳香族炭化水素基を表す。
芳香族基および炭素数2以上の非芳香族炭化水素基の定義および好適範囲は、上述した通りである。
なかでも、R~Rは、芳香族基を表すことが好ましい。
およびRは、それぞれ独立に、メチル基、または、炭素数2以上の非芳香族炭化水素基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。
は、炭素数2以上の非芳香族炭化水素基を表すことが好ましく、アルケニル基を表すことがより好ましい。
nは、1~5の整数を表し、1~2が好ましく、1がより好ましい。
特定シロキサン化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(ジエン系重合体およびオレフィン系重合体)
第1液浸油は、ジエン系重合体およびオレフィン系重合体からなる群より選択された少なくとも1種の炭化水素系重合体を含む。ジエン系重合体およびオレフィン系重合体は、主に、第1液浸油の高動粘度化に寄与する。
第1液浸油は、ジエン系重合体およびオレフィン系重合体のいずれか一方のみを含んでいてもよく、ジエン系重合体およびオレフィン系重合体の両方を含んでいてもよい。なかでも、第1液浸油の動粘度特性およびアッベ数がより良好となる点で、第1液浸油は、ジエン系重合体およびオレフィン系重合体の両方を含むことが好ましく、後述する液状ジエン系重合体および後述する液状オレフィン系重合体の両方を含むことがより好ましい。言い換えれば、炭化水素系重合体が、ジエン系重合体(好ましくは、液状ジエン系重合体)およびオレフィン系重合体(好ましくは、液状オレフィン系重合体)であることが好ましい。
ジエン系重合体は、常温(25℃)で、固体状であっても、液体状であってもよく、液体状であることが好ましい。つまり、ジエン系重合体は、液状ジエン系重合体であることが好ましい。なお、液状ジエン系重合体とは、常温(25℃)で液体状のジエン系重合体を意図する。液状ジエン系重合体の融点は特に制限されないが、取り扱い性の点で、-10℃以下が好ましい。
固体状のジエン系重合体を用いる場合、ジエン系重合体を特定シロキサン化合物に溶解させて、得られた第1液浸油が液体状となっていれば構わない。もちろん、第1液浸油に特定シロキサン化合物以外の化合物が含まれた状態で、第1液浸油が液体状となっていれば構わない。
また、ジエン系重合体とは、ジエン化合物由来の繰り返し単位(構造単位)を主成分として含む重合体である。ジエン化合物としては、例えば、1,3-ブタジエンおよびイソプレンなどの共役ジエン化合物が挙げられる。また、上記主成分とは、ジエン化合物由来の繰り返し単位が、ジエン系重合体中の全繰り返し単位に対して、50モル%超であることを意図する。なお、ジエン系重合体中におけるジエン化合物由来の繰り返し単位の含有量は、ジエン系重合体中の全繰り返し単位に対して、70モル%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、100モル%が挙げられる。
また、ジエン系重合体には、ジエン化合物以外の他の単量体由来の繰り返し単位が含まれていてもよい。他の単量体としては、例えば、オレフィン化合物、アクリレート化合物、メタクリレート化合物、および、アクリロニトリルが挙げられる。
ジエン系重合体の種類は特に制限されず、公知のジエン系重合体が挙げられる。ジエン系重合体としては、例えば、炭素数4~12のジエンモノマー(ジエン化合物)からなるジエン単独重合体、ジエン共重合体、および、これらジエンモノマーと炭素数2~22のα-オレフィン付加重合性モノマー(オレフィン化合物)との共重合体が挙げられる。より具体的には、ポリイソプレン(好ましくは、液状ポリイソプレン)、ポリブタジエン(好ましくは、液状ブタジエン)、ブタジエン-イソプレンコポリマー、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、および、ブタジエン-2-ヘキシルアクリレートコポリマーが挙げられる。
ジエン系重合体は、ヒドロキシル基などの官能基(例えば、極性基)を分子内(例えば、分子末端)に有してもよい。
ジエン系重合体の数平均分子量は、顕微鏡用液浸油の動粘度を調整しやすい点で、1000~100000が好ましく、5000~50000がより好ましい。なお、上記数平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法により測定したポリスチレン換算の値である。
ジエン系重合体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
オレフィン系重合体は、常温(25℃)で、固体状であっても、液体状であってもよく、液体状であることが好ましい。つまり、オレフィン系重合体は、液状オレフィン系重合体であることが好ましい。なお、液状オレフィン系重合体とは、常温(25℃)で液体状のオレフィン系重合体を意図する。
固体状のオレフィン系重合体を用いる場合、オレフィン系重合体を特定シロキサン化合物に溶解させて、得られた第1液浸油が液体状となっていれば構わない。もちろん、第1液浸油に特定シロキサン化合物以外の化合物が含まれた状態で、第1液浸油が液体状となっていれば構わない。
また、オレフィン系重合体とは、オレフィン化合物由来の繰り返し単位(構造単位)を主成分として含む重合体である。オレフィン化合物としては、例えば、エチレンおよびプロピレンが挙げられる。上記主成分とは、オレフィン化合物由来の繰り返し単位が、重合体中の全繰り返し単位に対して、50モル%超であることを意図する。なお、オレフィン系重合体中におけるオレフィン化合物由来の繰り返し単位の含有量は、オレフィン系重合体中の全繰り返し単位に対して、70モル%以上であることが好ましい。上限は特に制限されないが、100モル%が挙げられる。
また、オレフィン系重合体には、オレフィン化合物以外の他の単量体由来の繰り返し単位が含まれていてもよい。
オレフィン系重合体の種類は特に制限されず、公知のオレフィン系重合体が挙げられる。オレフィン系重合体としては、例えば、ポリエチレン(好ましくは、液状ポリエチレン)、ポリプロピレン(好ましくは、液状ポリプロピレン)、ポリブテン(好ましくは、液状ポリブテン)、ポリイソブチレン(好ましくは、液状ポリイソブチレン)、および、これらの共重合体が挙げられる。
オレフィン系重合体は、ヒドロキシル基などの官能基(例えば、極性基)を分子内(例えば、分子末端)に有してもよい。
オレフィン系重合体の数平均分子量は、顕微鏡用液浸油の動粘度を調整しやすい点で、300~25000が好ましく、500~5000がより好ましい。なお、上記数平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー法により測定したポリスチレン換算の値である。
オレフィン系重合体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、第1液浸油は、本来の液浸油としての効果を損なわない限りにおいて、通常の蛍光顕微鏡用液浸油などの顕微鏡用液浸油に用いられる公知の添加剤を含んでいてもよい。
(第1液浸油およびその製造方法)
第1液浸油には、上述した各成分が含まれる。
第1液浸油中における特定シロキサン化合物の含有量は特に制限されないが、10.0~80.0質量%が好ましく、第1液浸油のプラスチック材料に対する低侵食性および屈折率特性がより良好となる点で、第1液浸油全質量に対して、10.0~50.0質量%がより好ましく、15.0~45.0質量%がさらに好ましい。
なお、特定シロキサン化合物が2種以上用いられる場合は、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
第1液浸油中における炭化水素系重合体の含有量は特に制限されないが、10.0~90.0質量%が好ましく、第1液浸油の動粘度特性がより良好となる点で、第1液浸油全質量に対して、50.0~90.0質量%がより好ましく、55.0~85.0質量%がさらに好ましい。
なお、第1液浸油がジエン系重合体およびオレフィン系重合体のいずれか一方のみを含む場合は、その一方の含有量が上記含有量に該当し、第1液浸油がジエン系重合体およびオレフィン系重合体の両方を含む場合は、両方の合計含有量が上記含有量に該当する。
炭化水素系重合体の質量に対する、特定シロキサン化合物の質量の比(特定シロキサンの質量/炭化水素系重合体の質量)は特に制限されないが、第1液浸油の動粘度特性およびアッベ数がより良好となる点で、0.11~4.26が好ましく、0.15~3.10がより好ましく、0.20~0.72がさらに好ましい。
なお、第1液浸油がジエン系重合体およびオレフィン系重合体のいずれか一方のみを含む場合は、その一方の質量が上記炭化水素系重合体の質量に該当し、第1液浸油がジエン系重合体およびオレフィン系重合体の両方を含む場合は、両方の合計含有量が上記炭化水素系重合体の質量に該当する。
第1液浸油がジエン系重合体およびオレフィン系重合体の両方を含む場合、第1液浸油中におけるジエン系重合体の含有量は特に制限されないが、第1液浸油の動粘度特性がより良好となる点で、第1液浸油全質量に対して、5.0~55.0質量%が好ましく、10.0~50.0質量%がより好ましい。
また、第1液浸油がジエン系重合体およびオレフィン系重合体の両方を含む場合、第1液浸油中におけるオレフィン系重合体の含有量は特に制限されないが、第1液浸油の動粘度特性がより良好となる点で、第1液浸油全質量に対して、5.0~80.0質量%が好ましく、10.0~75.0質量%がより好ましい。
第1液浸油の調製方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、上述した各成分を攪拌により混合して、第1液浸油を調製できる。混合する際には、使用する成分を一括で混合してもよいし、段階的に様々な順序で成分を混合してもよい。
第1液浸油は、通常の顕微鏡用の液浸油、特に蛍光顕微鏡用の液浸油として好適に使用できる。
第1液浸油の好ましい物性としては、具体的には、屈折率(波長546nm)が1.5175~1.5185であり、動粘度(温度:23℃)が200~1200(mm/s)(好ましくは、400~1000(mm/s))であり、アッベ数(波長546nm)が30~57(好ましくは、39~47)である。
<第2実施形態>
まず、以下では、第2液浸油に含まれる各成分について詳述する。
(ポリビニルブチラール樹脂)
第2液浸油は、ポリビニルブチラール樹脂を含む。ポリビニルブチラール樹脂は、主に、高動粘度化に寄与する。
ポリビニルブチラール樹脂とは、ポリビニルアルコールとブチルアルデヒドとを反応させて水酸基の一部をブチラール化した樹脂である。より具体的には、ポリビニルブチラール樹脂は、式(2)で表される繰り返し単位を含む樹脂である。
Figure 0007052383000002
ポリビニルブチラール樹脂中における式(2)で表される繰り返し単位の含有量は、ポリビニルブチラール樹脂の全繰り返し単位に対して、60モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましい。上限は、100モル%が挙げられる。
ポリビニルブチラール樹脂は、式(2)で表される繰り返し単位以外に、式(3)で表される繰り返し単位および式(4)で表される繰り返し単位のいずれか一方または両方を含んでいてもよい。
Figure 0007052383000003
ポリビニルブチラール樹脂の数平均分子量は、第2液浸油の動粘度を調整しやすい点で、10000~70000が好ましく、50000~60000がより好ましい。なお、上記数平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
(芳香族アルコール)
第2液浸油は、芳香族アルコールを含む。芳香族アルコールは、主に、第2液浸油の高屈折化に寄与する。
芳香族アルコールとは、芳香環を含むアルコールである。芳香環としては、芳香族炭化水素環および芳香族複素環が挙げられ、芳香族炭化水素環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
芳香族アルコールの具体例としては、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、クレゾール、p-クロロ-m-キシレノール、フェネチルアルコール、フェネチルプロピルアルコール、p-tert-ブチルフェノール、カテコール、ヒドロキシキノン、フェニルエチルアルコール、レゾルシノール、および、フェノールが挙げられる。
芳香族アルコールは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(硫黄原子および水酸基を含む液状化合物)
第2液浸油は、硫黄原子および水酸基を含む液状化合物(以下、単に「液状化合物」ともいう。)を含む。液状化合物は、主に、第2液浸油の高屈折化および高アッベ化に寄与する。
液状化合物は、常温(25℃)で液体状の化合物である。
液状化合物は、分子内に硫黄原子を含む。硫黄原子の数は特に制限されないが、1~2つが好ましく、1つがより好ましい。
液状化合物は、分子内に水酸基を含む。水酸基の数は特に制限されないが、1~4つが好ましく、2つがより好ましい。
液状化合物の分子量は特に制限されないが、80~300が好ましい。
液状化合物の具体例としては、チオジグリコール、3-チア-1,6-ヘキサンジオール、ジチオジエタノール、ジチオジプロパノール、および、3,6-ジチアオクタン-1,8-ジオールが挙げられる。
液状化合物は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(高級アルコール)
第2液浸油は、高級アルコールを含む。
高級アルコールとは、炭素数が6以上のアルキル基を有するアルコールである。
高級アルコールに含まれる炭素数は、6~25が好ましく、8~15がより好ましい。
高級アルコールに含まれるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
高級アルコールの価数は特に制限されないが、1価であることが好ましい。
高級アルコールの具体例としては、オクチルアルコール、ラウリルアルコール、および、ミリスチルアルコールが挙げられる。
高級アルコールは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、第2液浸油は、本来の液浸油としての効果を損なわない限りにおいて、通常の蛍光顕微鏡用液浸油などの顕微鏡用液浸油に用いられる公知の添加剤を含んでいてもよい。
(第2液浸油およびその製造方法)
第2液浸油には、上述した各成分が含まれる。
第2液浸油中におけるポリビニルブチラール樹脂の含有量は特に制限されないが、第2液浸油の動粘度特性がより良好となる点で、第2液浸油全質量に対して、1.0~10.0質量%が好ましく、2.0~6.0質量%がより好ましい。
第2液浸油中における芳香族アルコールの含有量は特に制限されないが、第2液浸油の屈折率特性がより良好となる点で、第2液浸油全質量に対して、20.0~60.0質量%が好ましく、30.0~50.0質量%がより好ましい。
なお、芳香族アルコールが2種以上用いられる場合は、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
第2液浸油中における液状化合物の含有量は特に制限されないが、第2液浸油の屈折率特性がより良好となる点で、第2液浸油全質量に対して、20.0~60.0質量%が好ましく、30.0~50.0質量%がより好ましい。
なお、液状化合物が2種以上用いられる場合は、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
第2液浸油中における高級アルコールの含有量は特に制限されないが、第2液浸油の屈折率特性がより良好となる点で、第2液浸油全質量に対して、1.0~20.0質量%が好ましく、5.0~15.0質量%がより好ましい。
なお、高級アルコールが2種以上用いられる場合は、合計含有量が上記範囲内であることが好ましい。
第2液浸油の調製方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、上述した各成分を攪拌により混合して、第2液浸油を調製できる。混合する際には、使用する成分を一括で混合してもよいし、段階的に様々な順序で成分を混合してもよい。
第2液浸油は、通常の顕微鏡用の液浸油、特に蛍光顕微鏡用の液浸油として好適に使用できる。
第2液浸油の好ましい物性としては、具体的には、屈折率(波長546nm)が1.5175~1.5185であり、動粘度(温度:23℃)が200~1200(mm/s)(好ましくは、400~1000(mm/s))であり、アッベ数(波長546nm)が30~57(好ましくは、39~47)である。
以下、顕微鏡用液浸油に関して実施例および比較例によりさらに詳しく説明するが、これらの実施例によって何ら制限されるものではない。
なお、顕微鏡用液浸油の各特性は、下記方法に従って評価した。
<顕微鏡用液浸油の評価方法>
(プラスチック侵食性)
細胞観察用プラスチック容器に対し、顕微鏡用液浸油を数滴滴下した。40℃、72時間後、細胞観察用プラスチック容器上の顕微鏡用液浸油を拭き取り、細胞観察用プラスチック容器の外観を目視で観察した。「細胞観察用プラスチック容器」としては、Ibidi社製の製品名「マイクロ・ディッシュ35mm(μ-Dish 35mm)」、および、グライナー社製の製品名「CELLSTAR 細胞培養マイクロプレート」を用いた。
「○」:2種の細胞観察用プラスチック容器の両方において、外観に変化がない場合。
「×」:2種の細胞観察用プラスチック容器の少なくとも一方の表面が白濁、または浸食された場合。
(屈折率測定)
デジタル屈折計RX-9000α(アタゴ社製)を用い、測定対象物である顕微鏡用液浸油の屈折率(波長546nm)を測定した。得られた値を以下の基準に従って、評価した。実用上、「○」の評価であることが好ましい。
「○」:屈折率(波長546nm)が1.50以上1.65以下の場合
「×」:屈折率(波長546nm)が1.50未満であるか、または、1.65超の場合
(動粘度測定)
キャノンフェンスケ粘度計を用い、測定対象物である顕微鏡用液浸油の動粘度(温度:23℃)を測定した。得られた値を以下の基準に従って、評価した。実用上、「○」の評価であることが好ましく、「◎」の評価であることがより好ましい。
◎:動粘度が400mm/s以上1000mm/s以下
○:動粘度が300mm/s以上400mm/s未満、または、1000mm/s超1100mm/s以下
△:動粘度が200mm/s以上300mm/s未満、または、1100mm/s超1200mm/s以下
×:動粘度が200mm/s未満、または、1200mm/s超
(アッベ数測定)
デジタル屈折計RX-9000α(アタゴ社製)を用い、測定対象物である顕微鏡用液浸油の屈折率(波長488nm、波長546nm、および、波長644nm)を測定した。アッベ数(波長546nm)は屈折率波長分散性を示す値であり、3波長の屈折率を用いて、以下の式(5)を用いて算出した。
Figure 0007052383000004
νe: e線(546nm)を基準としたアッベ数
ne: フラウンホーファーのe線(546nm)に対する屈折率
nF’: フラウンホーファーのF’線(488nm)に対する屈折率
nC’: フラウンホーファーのC’線(644nm)に対する屈折率
以下の基準に従って、算出したアッベ数(波長546nm)を用い、評価した。実用上、「○」の評価であることが好ましく、「◎」の評価であることがより好ましい。
◎:アッベ数が39以上47以下
○:アッベ数が35以上39未満、または、47超51以下
△:アッベ数が30以上35未満、または、51超57以下
×:アッベ数が30未満、または、57超
<顕微鏡用液浸油の調製(その1)>
下記表1に記載の各成分を、25℃にて、表1中に示す含有量(質量%)となるように10分間混合し、顕微鏡用液浸油を調製した。得られた顕微鏡用液浸油の各評価結果を表1に示す。
Figure 0007052383000005
上記表1中、「特定シロキサン化合物」としては、モメンティブ社製の製品名「SilShineVP」(屈折率:1.57、アッベ数:27.9)を用いた。なお、上記「SilShineVP」の構造は以下の通りである。
Figure 0007052383000006
また、「液状ジエン系重合体」としては、JXTGエネルギー社製の製品名「HV-15」(液状ポリブテン)(屈折率:1.48、アッベ数:52.0)を用いた。
また、「液状オレフィン系重合体」としては、株式会社クラレ社製の製品名「LBR-352」(液状ポリブタジエン)(屈折率:1.51、アッベ数:39.1)を用いた。
なお、上記表1中の成分欄中の数値は、顕微鏡用液浸油全質量に対する各成分の質量%を表す。また、上記各成分の屈折率およびアッベ数は、波長546nmでの値である。
表1の実施例1~4に示すように、所定の成分を含む顕微鏡用液浸油においては、所望の効果が得られることが確認された。
特に、実施例1~3と4との比較より、液状ジエン系重合体および液状オレフィン系重合体の両方が用いられる場合、動粘度特性およびアッベ数がより良好となることが確認された。
また、実施例1~2と3との比較より、炭化水素系重合体の質量に対する、シロキサン化合物の質量の比が0.20~0.72である場合、動粘度特性およびアッベ数がより良好となることが確認された。
<顕微鏡用液浸油の調製(その2)>
下記表1に記載の各成分を、25℃にて、表2中に示す含有量(質量%)となるように10分間混合し、顕微鏡用液浸油を調製した。得られた顕微鏡用液浸油の各評価結果を表1に示す。
Figure 0007052383000007
上記表2中、「ポリビニルブチラール樹脂」としては、株式会社クラレ社製の製品名「Mowital B60H」(屈折率:1.49、アッベ数:54.6)を用いた。
また、「芳香族アルコール」としては、東京化成工業株式会社製の「2-フェノキシエタノール」(屈折率:1.54、アッベ数:31.4)を用いた。
また、「液状化合物」としては、東京化成工業株式会社製の「チオジグリコール」(屈折率:1.52、アッベ数:47.4)を用いた。
また、「高級アルコール」としては、花王株式会社製の「カルコール0898」(オクチルアルコール)(屈折率:1.42、アッベ数:58.8)を用いた。
なお、上記表2中の成分欄中の数値は、顕微鏡用液浸油全質量に対する各成分の質量%を表す。また、上記各成分の屈折率およびアッベ数は、波長546nmでの値である。
表2の実施例5に示すように、所定の成分を含む顕微鏡用液浸油においては、所望の効果が得られることが確認された。
なお、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令で許される限りにおいて、引用したすべての公開公報の開示を援用して本文の一部とする。

Claims (6)

  1. 芳香族基を有するシロキサン化合物と、
    ジエン系重合体およびオレフィン系重合体からなる群より選択された少なくとも1種の炭化水素系重合体と、を含む、顕微鏡用液浸油であって、
    前記ジエン系重合体を含む、顕微鏡用液浸油。
  2. 前記シロキサン化合物が、さらに、炭素数2以上の非芳香族炭化水素基を有する、請求項1に記載の顕微鏡用液浸油。
  3. 前記非芳香族炭化水素基が、アルケニル基である、請求項2に記載の顕微鏡用液浸油。
  4. 前記ジエン系重合体および前記オレフィン系重合体の両方を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の顕微鏡用液浸油。
  5. 前記炭化水素系重合体の質量に対する、前記シロキサン化合物の質量の比が0.20~0.72である、請求項1~4のいずれか1項に記載の顕微鏡用液浸油。
  6. 前記ジエン系重合体が液体状であり、前記オレフィン系重合体が液体状である、請求項1~5のいずれか1項に記載の顕微鏡用液浸油。
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