以下、本発明に係る計測用デバイス及び計測センサの実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
図1に例示するように、本発明に係る空中像形成光学系1は、拡散部12、偏光方向変更部14、画像情報付与部16、結像部20、及び、偏光方向選択部30を備えている。
拡散部12は、任意の光源Sから出射された光L0を受光し、入射した光L0を光軸(入射光軸)Aを基準とする所定の角度範囲θで拡散させる。拡散部12としては、公知の拡散板、和紙等が挙げられるが、光L0を所定の角度範囲θで拡散させることができる部材であれば、特に限定されない。
偏光方向変更部14は、拡散部12によって拡散された光L1の偏光方向を所定の方向(例えば、図1に示すV2方向やV1方向)に変更する。偏光方向変更部14としては、公知の偏光板や偏光フィルター、偏光フィルム等が挙げられる。
画像情報付与部16は、偏光方向が所定の方向に変更された第一の光L11に所望の画像情報Iを付与する。具体的には、画像情報付与部16は、画像情報Iに合わせて光軸Aに直交する面(即ち、図1に示すV1方向及びV2方向を含む面)に沿って、第一の光L11の強度、波長、等の光学特性を変更する。このことによって、第一の光L11に所望の画像情報Iが付与される。
偏光方向変更部14及び画像情報付与部16をコンパクトに兼ね備える光学デバイスとして、例えばバックライトを除去した液晶ディスプレイ(所謂、透明液晶ディスプレイ)が挙げられる。図2に示すように、液晶ディスプレイは、光軸Aに直交する面に沿ってV1方向及びV2方向に配列された複数のセルCを備えている。
図2に、V1方向に沿って隣接する三つのセルCを示す。図2の矢印(両端が矢先である矢印)は、光の偏光方向を表している。各々のセルCには、D3方向に沿って、手前側から奥側(図2の紙面の上側から下側)に向かって、偏光フィルター13A/13B/13C、第一の配向板17A/17B/17C、複数の液晶分子15、第二の配向板18A/18B/18C、及び、赤(Red)、緑(Green)、又は青(Blue)のカラーフィルター19A/19B/19Cが配置されている。偏光フィルター13A/13B/13Cは、入射した光L1のうち、偏光方向がV2方向である光L1のみを透過させる。V2方向に延在する溝が第一の配向板17A/17B/17Cに複数形成されている。V2方向を含む面内にあり、且つV2方向に直交する方向、即ちV1方向に延在する溝が第二の配向板18A/18B/18Cに複数形成されている。
D3方向において、複数の液晶分子15は、第一の配向板17A/17B/17Cと第二の配向板18A/18B/18Cに挟まれている。液晶分子15の向きや、各配向板に電圧をかけた際の液晶分子15の挙動は、公知である。液晶分子15がツイストネマティック(TN)液晶の場合、第一の配向板17A/17B/17Cと第二の配向板18A/18B/18Cに電圧がかかると、複数の液晶分子15が側面視で直立するので、入射した光L11の偏光方向はV2方向に維持される。例えば、図2の緑(Green)のカラーフィルター19Bを通る光の偏光方向は、V2方向である。一方、第一の配向板17A/17B/17Cと第二の配向板18A/18B/18Cに電圧がかからなければ、液晶分子15の長軸は、液晶分子の隙間に沿って、V1方向及びV2方向を含む平面上で略90度ねじれる。この際、入射した光L11の偏光方向は、V1方向になる。例えば、図2の赤(Red)のカラーフィルター19Aや青(Blue)のカラーフィルター19A,Cを通る光の偏光方向は、V1方向になっている。
上述のように、第一の配向板17A/17B/17C、第二の配向板18A/18B/18C、及び、複数の液晶分子15を用いて、複数のセルC毎に、画像情報Iに応じた偏光方向を設定することができる。即ち、第一の配向板17A/17B/17C、第二の配向板18A/18B/18C、及び、複数の液晶分子15によって、空中像Mの形成に寄与するセルCの偏光方向を所定の方向とし、空中像Mの形成に寄与するセルCの偏光方向を所定の方向とは異なる方向にすることができる。
また、複数のセルCの各々で、画像情報Iのパターンやカラーフィルター19A/19B/19Cの配置に応じて、第一の配向板17A/17B/17Cと第二の配向板18A/18B/18Cにかける電圧を変えることができる。このことにより、複数のセルC毎に、画像情報Iに応じた偏光方向と、波長情報(即ち、カラーフィルター19A/19B/19Cを透過する波長の情報)が付与される。偏光フィルター13A/13B/13C、第一の配向板17A/17B/17C、複数の液晶分子15、及び、第二の配向板18A/18B/18Cは、偏光方向変更部14として機能する。また、第一の配向板17A/17B/17C、複数の液晶分子15、及び、第二の配向板18A/18B/18C、及び、カラーフィルター19A/19B/19Cは、画像情報付与部16として機能する。
図1に示すように、結像部20は、画像情報Iが付与された第二の光L13を所定の結像位置P2に実像として結像させる。結像位置P2に結像した第二の光L13によって、実像である空中像Mが形成される。結像部20を構成する光学デバイスの例は、後述の各実施形態で説明する。
偏光方向選択部30は、結像部20から出射された第二の光L12の進行経路上に配置されている。偏光方向選択部30は、偏光方向が所定の方向(例えば、図1に示すV2方向)である光を透過させ、且つ偏光方向が所定の方向とは異なる方向である光を反射等によって遮光する。偏光方向選択部30としては、公知の偏光板や、偏光フィルター、偏光フィルム等が挙げられる。偏光方向選択部30としての偏光板や、偏光フィルター、偏光フィルム等は、透過させる光の偏光方向が所定の方向と平行になるように配置されている。所定の方向は、画像情報Iが付加され、空中像Mの形成に寄与する第二の光L12の偏光方向である。
以下、図1から図9を参照し、空中像形成光学系1の実施形態について説明する。
(第一実施形態)
図1に示すように、本発明を適用した第一実施形態の空中像形成光学系1Aでは、拡散部12は、太陽等の光源Sから出射された太陽光等の光L0を略上方から受光するように、水平方向に沿って配置されている。
偏光方向変更部14及び画像情報付与部16は、光L1の進行方向(即ち、D3方向)において拡散部12に近接し、且つ拡散部12の奥側(空中像形成光学系1Aの側面視では、拡散部12の下側)に配置されている。画像情報付与部16には、上述の透明液晶ディスプレイが用いられている。具体的には、拡散部12の出射面に透明液晶ディスプレイが貼り付けられている。
結像部20は、再帰性透過材20Aである。再帰性透過材20Aの入射面21は、画像情報付与部16の出射面16E(又は、偏光方向変更部14の出射面)に対向し、且つ出射面16Eに対して略45°をなすように傾斜している。再帰性透過材20Aは、板状に形成されている。再帰性透過材20Aの出射面22は、入射面21と略平行し、画像情報付与部16の出射面16Eに対して略45°をなすように傾斜している。このように再帰性透過材20Aが偏光方向変更部14及び画像情報付与部16に対して傾斜していることで、第二の光L12の進行方向及び進行経路は、再帰性透過材20Aを中心として略鉛直方向から略水平方向に折り返す。
所定の結像位置P2は、拡散部12によって拡散された光L1の原点O1を、再帰性透過材20Aを中心にして折り返した位置にある。即ち、結像位置P2は、拡散部12と結像部20との相対位置が決まれば一義的に決まる。また、鉛直方向(即ち、D3方向)における原点O1と再帰性透過材20Aの任意の位置との距離と、水平方向(即ち、D4方向)における再帰性透過材20Aの前記任意の位置と結像位置P2との距離は、等しい。また、結像位置P2は、結像部20への第二の光L12の入射位置P1より、第二の光L13の進行方向(即ち、図1に示すD3方向及びD4方向)の奥側にある。
偏光方向選択部30は、再帰性透過材20Aの出射面22から出射された第二の光L13の進行経路上(即ち、D4方向)において、再帰性透過材20Aと結像位置P2との間に配置されている。再帰性透過材20Aから出射された第二の光L12の光軸Aに直交する方向(即ち、図1に示す鉛直方向)において、偏光方向選択部30の外側に、遮光性を有するマスク部32が設けられている。マスク部32としては、遮光性を有する光学フィルター、黒い紙や該黒い紙を表面に貼着した部材等が挙げられる。
観察者Eは、第二の光L13の進行経路上で、光L13の進行方向とは逆向き(即ち、図1に示すD5方向;以下、観察方向ともいう)に向かって、結像位置P2に形成される空中像Mを観察することができる。
観察方向において、少なくとも再帰性透過材20Aの奥側に、遮光部材40が設けられている。空中像Mの視認度を確実に高める点から、観察方向において、再帰性透過材20Aに加えて拡散部12、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16の奥側及び、これらの側方に遮光部材40が設けられていることが好ましい。つまり、拡散部12、偏光方向変更部14、画像情報付与部16、及び、再帰性透過材20A(即ち、偏光方向選択部30以外の光構成要素)が遮光部材40で囲まれた空間に配置され、拡散部12から出射された光L0以外の光が遮光部材40で囲まれた空間に入射しないことが好ましい。
空中像形成光学系1Aでは、拡散部12に光L0が入射すると、拡散部12によって光L0が角度範囲θで拡散され、光L1として偏光方向変更部14に入射する。偏光方向変更部14によって光L1の偏光方向が所定の方向に変更され、光L11として画像情報付与部16に入射する。
画像情報付与部16の透明液晶ディスプレイの各セルCでは、画像情報Iに応じて、空中像Mの形成に寄与する光L1の偏光方向を所定の方向とし、空中像Mの形成に寄与しない光L1の偏光方向を所定の方向とは異なる方向にする。偏光方向が適宜変更された光L11は、カラーフィルター19A/19B/19Cを通過し、第二の光L12として画像情報付与部16から出射される。カラーフィルター19A/19B/19Cを通過することで、第二の光L12には、画像情報Iに応じた偏光方向に加えて波長情報が付与される。
画像情報付与部16から出射された第二の光L12は、D3方向に沿って進行し、再帰性透過材20Aに入射する。再帰性透過材20Aに入射した第二の光L12は、再帰透過し、光L13として、再帰性透過材20AからD4方向に沿って出射され、偏光方向選択部30に入射する。偏光方向選択部30に入射した光L13のうち、偏光方向が所定の方向である光L13は、偏光方向選択部30を透過し、所定の結像位置P2で結像し、実像である空中像Mを形成する。偏光方向選択部30に入射した光L13のうち、偏光方向が所定の方向とは異なる光L13は、偏光方向選択部30で反射され、観察者Eには視認されない。
なお、図1では、光源Sから出射された光L0が鉛直方向の上側から下側に進行する場合を例示しているため、拡散部12が水平方向に沿って配置されている。拡散部12の向きは水平方向に限定されない。また、偏光方向変更部14、画像情報付与部16、再帰性透過材20A、及び、偏光方向選択部30の配置や向き、角度は、拡散部12から出射される光L0の向きに応じて適宜変更される。
以上説明した第一実施形態の空中像形成光学系1Aは、再帰性透過材20Aをはじめ、拡散部12等の光学的要素の遮蔽構造として、偏光方向変更部14及び偏光方向選択部30を備えている。これらの構成を備えることによって、偏光方向が所定の方向である第二の光L13のみが偏光方向選択部30から透過され、空中像Mが形成される。観察者Eは、実像である空中像Mを視認することができる。例えば空中像形成光学系1Aの外側から第二の光L12,L13の進行経路に進入する外光等のように、空中像Mの形成に寄与しない光の偏光方向は、偏光方向変更部14によって所定の方向に変更されない。そのため、空中像Mの形成に寄与しない光は、偏光方向選択部30を透過しない。また、偏光方向選択部30の外側からD5方向に進入する外光LXの大部分の偏光方向も偏光方向変更部14によって所定の方向に変更されない。そのため、外光LXの大部分が偏光方向選択部30で遮光される。即ち、偏光方向選択部30を、第二の光L13の進行経路上に配置することで、観察者E側から空中像形成光学系1Aに向かって入射する光(例えば外光LX)を遮断することができる。このことによって、空中像Mの視認性が高くなり、観察者Eの注意意識が空中像Mに集中する。従って、空中像形成光学系1Aによれば、空中像Mの視認性を高め、空中像形成光学系1Aの光学的要素の遮蔽効果を高くすることができる。
また、第一実施形態の空中像形成光学系1Aは、従来の空中像形成装置や空中像ディスプレイとは異なり、光源を有していない。空中像形成光学系1Aは、太陽光や人工的な光源から出射された光(即ち、環境光)等の任意の明るい光を受光可能な映像形成構造として、拡散部12、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16を備えている。このような映像形成構造を備えていることで、空中像形成光学系1Aは、環境光に基づく映像情報及び空中像Mを形成することができ、屋外や照明が付けられた室内等の明るい環境下で利用可能になる。そして、空中像形成光学系1Aによれば、拡散部12及び映像形成構造から出射される光L0,L12の光量を増やし、高輝度の空中像Mを形成することができる。
また、第一実施形態の空中像形成光学系1Aでは、偏光方向選択部30が再帰性透過材20Aと所定の結像位置P2との間に配置され、再帰性透過材20Aの比較的近くに配置されている。このような相対配置によれば、偏光方向選択部30の大きさを、偏光方向が所定の方向である第二の光L13が透過する範囲に抑えつつ、観察者Eに対して再帰性透過材20Aの視認度を下げることができる。このことによって、空中像Mの視認度を高めることができる。
また、第一実施形態の空中像形成光学系1Aでは、結像部20は再帰性透過材20Aを備えているので、空中像Mの輝度を高くすることができる。また、再帰性透過材20Aの位置を固定し、図1に示すように、拡散部12、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16(即ち、映像形成構造をなす光学的要素)の相対位置を維持しつつ、再帰性透過材20Aに対してこれらの部材を近接又は離間させると、空中像Mを崩すことなく、空中像Mの形成位置を移動させることができる。例えば、拡散部12、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16が位置P3から位置P4に移動すると、空中像Mの結像位置が位置P2から位置P5に移動し、空中像M´が形成される。このように再帰性透過材20Aの位置を固定し、再帰性透過材20Aに対する拡散部12、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16の相対位置を移動させることで、観察者Eに空中像Mの動きを視認させることができる。言い換えれば、空中像Mに四次元的な動きを付与することができ、例えば空中像Mが観察者Eの手前に飛んでくるような効果や飛び跳ねるような効果をもたらすことができる。
また、第一実施形態の空中像形成光学系1Aでは、結像部20を再帰性透過材20Aとすることによって、光学系における光の反射回数を少なくし、拡散部12から出射された光L0の光量の低下を抑えることができる。このことによっても、空中像Mの輝度をさらに高めることができる。
また、第一実施形態の空中像形成光学系1Aでは、結像部20は再帰性透過材20Aを備えているので、空中像形成光学系1Aの全体構成を簡素にすることができる。このことによって、例えばディジタルサイネージ等の使用目的に合わせた空中像形成光学系1Aの小型化や薄型化を図ることができる。
また、第一実施形態の空中像形成光学系1Aでは、光L0の角度範囲θを変化させることによって、観察者Eが空中像Mを観察する際の視域を変えることができる。図3に示すように、空間像Mとして一旦結像した第二の光L13は、結像した後に観察者Eに向けてD4方向に進むと共に拡散する。結像した後に拡散する第二の光L13の角度範囲αは、観察者Eが空中像Mを観察する際の視域に対応している。図4に示すように、光L0の角度範囲θが角度範囲θ´に縮小されると、第二の光L13の角度範囲αも角度範囲α´に縮小され、空中像Mの視域が狭くなる。このような原理をふまえ、光L0の角度範囲θは、光軸Aに沿った光源Sと拡散部12との距離に依存し、この距離をふまえて適宜設定されている。
また、第一実施形態の空中像形成光学系1Aでは、映像形成構造をなす拡散部12、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16は、鉛直方向に沿って(所謂、縦並びに)配置されている。一方、再帰性透過材20A及び偏光方向選択部30は、鉛直方向では映像形成構造の下方、かつ水平方向に沿って(所謂、横並びに)配置されている。このことにより、空中像形成光学系1Aの奥行き方向(即ち、図1における水平方向)の大きさを抑え、薄型化を図ることができる。また、観察者Eの視線上には主に再帰性透過材20A及び偏光方向選択部30が配置されるので、空中像形成光学系1Aを構成する光学的要素のうち、再帰性透過材20Aが主な遮蔽対象になる。再帰性透過材20Aは偏光方向選択部30によって偏光方向選択部30よりD4方向の手前側に配置されているので、空中像形成光学系1Aによれば、再帰性透過材20Aを効果的に遮蔽することができる。
(第二実施形態)
次に、本発明を適用した第二実施形態の空中像形成光学系1Bについて説明する。なお、図5に示す空中像形成光学系1Bの構成要素のうち、第一実施形態の空中像形成光学系1Aと共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図5に示すように、空中像形成光学系1Bでは、空中像形成光学系1Aと共通の構成要素と、反射部60と、を備えている。但し、空中像形成光学系1Aと共通の構成要素の一部の配置は、空中像形成光学系1Aでの配置とは以下のように異なる。
空中像形成光学系1Bでは、拡散部12、偏光方向変更部14、画像情報付与部16、再帰性透過材20A、偏光方向選択部30が鉛直方向に沿って延在している。また、鉛直方向において、再帰性透過材20Aの下端部20dが画像情報付与部16の上端部16c(又は、拡散部12の上端部、偏光方向変更部14の上端部)と同程度、又は、画像情報付与部16の上端部16cより上方に位置している。
偏光方向選択部30は、再帰性透過材20Aの出射面22に近接するように配置されている。具体的には、板状の偏光方向選択部30が再帰性透過材20Aの出射面22に貼り付けられている。
反射部60は、水平方向に沿って延在している。反射部60の一方の端部60aは、再帰性透過材20Aの下端部20dに接続されている。反射部60としては、例えばミラーが挙げられる。なお、反射部60は、再帰性透過材20Aに向いている面60rで、再帰性透過材20Aから再帰透過されて出射した第二の光L13を正反射させることができる部材であれば、特に限定されない。
反射部60の他方の端部60bは、少なくとも、端部60aから水平方向に沿って延ばした不図示の仮想線と、再帰性透過材20Aの出射面22から出射された光L13とが交差する位置より水平方向の奥側(即ち、前記仮想線と光L13とが交差する位置から見て端部60aとは反対側)に位置している。
空中像形成光学系1Bでは、拡散部12に光L0が入射すると、拡散部12によって光L0が所定の角度範囲θで拡散され、光L1として偏光方向変更部14に入射する。偏光方向変更部14によって光L1の偏光方向が所定の方向に変更され、光L11として画像情報付与部16に入射する。第一実施形態の空中像形成光学系1Aと同様に、画像情報付与部16によって、光L11に画像情報Iに応じた偏光方向のパターン及び波長情報が付与される。
画像情報付与部16から出射された第二の光L12は、D3方向に沿って進行し、再帰性透過材20Aに入射する。再帰性透過材20Aに入射した第二の光L12は、再帰透過し、第二の光L13として、再帰性透過材20AからD4方向に沿って出射され、偏光方向選択部30に入射する。偏光方向選択部30に入射した第二の光L13のうち、偏光方向が所定の方向である第二の光L13は、偏光方向選択部30を透過し、反射部60の面(反射面)60rに入射し、面60rでD3方向に正反射される。反射部60によって正反射された第二の光L13は、所定の結像位置P2で結像し、実像である空中像Mを形成する。空中像形成光学系1Aと同様に、偏光方向選択部30に入射した光L13のうち、偏光方向が所定の方向とは異なる光L13は、偏光方向選択部30で反射され、観察者Eには視認されない。
以上説明した第二実施形態の空中像形成光学系1Bは、再帰性透過材20Aをはじめ、拡散部12等の光学的要素の遮蔽構造として、偏光方向変更部14及び偏光方向選択部30を備えている。これらの構成を備えることによって、偏光方向が所定の方向である光L13のみが偏光方向選択部30から透過され、空中像Mが形成される。観察者Eは、実像である空中像Mを視認することができる。従って、空中像形成光学系1Bによれば、第一実施形態の空中像形成光学系1Aと同様に、空中像Mの視認性を高め、空中像形成光学系1Bの光学的要素の遮蔽効果を高くすることができる。
また、第二実施形態の空中像形成光学系1Bでは、鉛直方向において、再帰性透過材20A及び偏光方向選択部30が拡散部12、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16からなる映像形成構造より上方に配置されている。また、反射部60が再帰性透過材20Aの下端部20dから水位方向に沿って映像形成構造とは反対側に延在している。このような構成によって、再帰性透過材20Aから出射された第二の光L13が鉛直方向において映像形成構造の上方で進行し、観察者Eに届く。このことにより、空中像形成光学系1Bの光学的要素の遮蔽効果を高くすることができる。
また、第二実施形態の空中像形成光学系1Bでは、映像形成構造をなす拡散部12、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16は、水平方向に沿って(所謂、横並びに)配置されている。一方、再帰性透過材20A及び偏光方向選択部30は、鉛直方向では映像形成構造の上方、かつ水平方向に沿って(所謂、横並びに)配置されている。このことにより、空中像形成光学系1Aの高さ方向(即ち、図1における鉛直方向)の大きさを抑え、小型化を図ることができる。また、観察者Eの視線上には主に再帰性透過材20A及び偏光方向選択部30が配置されるので、空中像形成光学系1Aと同様に、空中像形成光学系1Bを構成する光学的要素のうち、再帰性透過材20Aが主な遮蔽対象になる。再帰性透過材20Aは偏光方向選択部30によって偏光方向選択部30よりD4方向手前側に配置されているので、空中像形成光学系1Bによれば、再帰性透過材20Aを効果的に遮蔽することができる。また、空中像形成光学系1Bでは、偏光方向選択部30が再帰性透過材20Aの出射面22に貼られているので、再帰性透過材20Aを偏光板や、偏光フィルター、偏光フィルム等で覆い、再帰性透過材20Aを見え難くすることができる。
また、本発明に係る映像形成構造では、第一実施形態で説明したように、拡散部12及び映像形成構造から出射される光L0,L12の光量を高くしている。このことによって、本発明に係る映像形成構造は、第二実施形態の空中像形成光学系1Bや後述する各実施形態の空中像形成光学系のように空中像形成光学系1Aよりも光の反射回数が多い光学系にも適応し易い。
(第二実施形態の変形例)
次に、本発明を適用した第二実施形態の空中像形成光学系1Bを変形した空中像形成光学系1Cについて説明する。なお、図6に示す空中像形成光学系1Cの構成要素のうち、第二実施形態の空中像形成光学系1Bと共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図6に示すように、空中像形成光学系1Cは、空中像形成光学系1Bと共通の構成要素を備えている。但し、偏光方向選択部30の配置は、空中像形成光学系1Bでの配置とは異なる。偏光方向選択部30は、反射部60において再帰性透過材20Aに向いている面60rに近接及び平行するように配置されている。具体的には、板状の偏光方向選択部30が反射部60の面60rに貼り付けられている。
空中像形成光学系1Cでの光の進行は、前述した空中像形成光学系1Bでの光の進行と同様である。但し、空中像形成光学系1Cでは、再帰性透過材20Aを再帰透過した第二の光L13は、再帰性透過材20AからD4方向に沿って出射され、偏光方向選択部30に入射する。偏光方向選択部30に入射した第二の光L13のうち、偏光方向が所定の方向である第二の光L13は、偏光方向選択部30を透過した直後に、反射部60の面(反射面)60rに入射し、面60rで正反射される。反射部60によって正反射された第二の光L13は、所定の結像位置P2で結像し、実像である空中像Mを形成する。空中像形成光学系1Aと同様に、偏光方向選択部30に入射した光L13のうち、偏光方向が所定の方向とは異なる光L13は、偏光方向選択部30で反射され、観察者Eには視認されない。
以上説明した第二実施形態の変形例の空中像形成光学系1Cによれば、空中像形成光学系1Bと同様の作用効果が得られ、空中像Mの視認性を高めると共に、空中像形成光学系1Cの光学的要素の遮蔽効果を高くすることができる。
また、第二実施形態の変形例の空中像形成光学系1Cでは、偏光方向選択部30が反射部60の面60rに貼られているので、面60rのぎらつきを抑え、観察者Eに反射部60の光沢を見え難くすることができる。なお、観察者Eの視域内に再帰性透過材20Aがあるが、再帰性透過材20Aは第二の光L13の波長域で透明(例えば、透過率が80%以上100%以下であること)であり、再帰性透過材20Aの透過率(透明度)は、空中像Mの輝度値に反映される。再帰性透過材20Aの透過率が高い程、反射部60の光沢が観察者Eに対して見え難くなるので、好ましい。
(第三実施形態)
次に、本発明を適用した第三実施形態の空中像形成光学系1Dについて説明する。なお、図7に示す空中像形成光学系1Dの構成要素のうち、第二実施形態の空中像形成光学系1Bと共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図7に示すように、空中像形成光学系1Dは、空中像形成光学系1Bと共通の構成要素を備えている。但し、偏光方向選択部30の配置は、空中像形成光学系1B,1Cでの配置とは異なる。偏光方向選択部30は、水平方向において少なくとも所定の結像位置P2よりも第二の光L13の進行方向の奥側(即ち、観察者E側)、好ましくは反射部60の他方の端部60bよりも前記進行方向の奥側に配置されている。
偏光方向選択部30は、鉛直方向に沿って延在している。偏光方向選択部30の上端部30cは、再帰性透過材20Aの上端部20cと同程度、又は、再帰性透過材20Aの上端部20cより上方に位置している。偏光方向選択部30の下端部30dは、画像情報付与部16の下端部16d(又は、拡散部12の下端部、偏光方向変更部14の下端部)と同程度、又は、画像情報付与部16の下端部16dより下方に位置している。即ち、D5方向から見ると、偏光方向選択部30は、偏光方向選択部30以外の空中像形成光学系1Dの光学的要素の全体を隠すように配置されている。
空中像形成光学系1Dでの光の進行は、前述した空中像形成光学系1Bでの光の進行と同様である。但し、再帰性透過材20Aを再帰透過した第二の光L13は、再帰性透過材20AからD4方向に沿って出射され、反射部60の面(反射面)60rに入射し、面60rでD3方向に正反射される。反射部60によって正反射された第二の光L13は、偏光方向に関係なく、所定の結像位置P2で結像し、実像である空中像Mを形成する。結像位置P2で一旦結像した第二の光L13は、光軸Aを基準にして拡散しながらD3方向に沿って進み、偏光方向選択部30の上部に入射する。偏光方向選択部30に入射した光L13のうち、偏光方向が所定の方向である光L13は、偏光方向選択部30を透過する。偏光方向選択部30に入射した光L13のうち、偏光方向が所定の方向とは異なる光L13は、偏光方向選択部30で反射される。その結果、第二の光L13のうち偏光方向が所定の方向である光で形成される空中像Mのみが観察者Eに視認される。
以上説明した第三実施形態の変形例の空中像形成光学系1Dによれば、空中像形成光学系1Bと同様の作用効果が得られ、空中像Mの視認性を高めると共に、空中像形成光学系1Dの光学的要素の遮蔽効果を高くすることができる。
また、第三実施形態の空中像形成光学系1Dでは、偏光方向選択部30が偏光方向選択部30以外の空中像形成光学系1Dの光学的要素の全体を隠すように配置されているので、観察者Eに対して光学的要素の全体を見え難くすることができる。また、偏光方向選択部30による遮光範囲が広いので、観察者Eに対して、空中像形成光学系1Dの上述の光学的要素に付設されている部材や空中像形成光学系1Dに進入する外光等を包括的に見え難くすることができる。
(第四実施形態)
次に、本発明を適用した第四実施形態の空中像形成光学系1Eについて説明する。なお、図8に示す空中像形成光学系1Eの構成要素のうち、第一実施形態の空中像形成光学系1Aと共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図8に示すように、空中像形成光学系1Eは、拡散部12、偏光方向変更部14、画像情報付与部16、光分岐部80、結像部20、及び、偏光方向選択部30を備えている。
光分岐部80は、入射する第二の光L12の一部を正反射させ、第二の光L12の残部を透過させる。光分岐部80は、画像情報付与部16から出射された第二の光L12の進行経路上に配置され、第二の光L12の光軸Aに対して略45°をなすように傾斜している。このように光分岐部80が偏光方向変更部14及び画像情報付与部16に対して傾斜していることで、第二の光L12の進行方向及び進行経路は、光分岐部80を基点としてD5方向とD3方向に一旦分岐する。後述するように再帰反射された後、第二の光L14,L15の進行方向及び進行経路は、光分岐部80で合流し、D5方向に重なる。つまり、第二の光L12,L13の進行方向及び進行経路は、光分岐部80を中心として略鉛直方向から略水平方向に折り返す。光分岐部80としては、例えばハーフミラーが挙げられる。
結像部20は、二つの再帰性反射材20B,20Cで構成されている。二つの再帰性反射材20B,20Cは、各々、再帰反射面24を有している。再帰反射面24の構造は、公知の再帰反射構造であってよく、入射する第二の光L12を再帰反射させることができる構造であって、特に限定されない。例えば、再帰反射面24に、微小な直径及び空気より高い屈折率を有する球体28が再帰性反射材20B/20Cの各々の延在方向に沿って間隔をあけずに複数配列されている。
再帰性反射材20Bは、光分岐部80の入射面81で正反射された第二の光L12の進行経路上に配置されている。再帰性反射材20Bは、再帰反射面24を光分岐部80の入射面81(即ち、分岐面)に対向させ、鉛直方向に沿って延在している。再帰性反射材20Cは、光分岐部80の出射面82から出射(透過)された第二の光L12の進行経路上に配置されている。再帰性反射材20Cは、再帰反射面24を光分岐部80の出射面82に対向させ、水平方向に沿って延在している。
所定の結像位置P2は、拡散部12によって拡散された光L1の原点を、光分岐部80を中心にしてD4方向の奥側に折り返した位置にある。光分岐部80、再帰性反射材20B,20Cの相対位置が固定されている場合、結像位置P2は、拡散部12、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16の相対位置が決まれば一義的に決まる。また、鉛直方向(即ち、D3方向)における光L1の原点と光分岐部80の任意の位置との距離と、水平方向(即ち、D4方向)における光分岐部80の前記任意の位置と結像位置P2との距離は、等しい。
偏光方向選択部30は、光分岐部80の出射面82から出射された第二の光L13の進行経路上(即ち、D4方向)において、光分岐部80と結像位置P2との間に配置されている。偏光方向選択部30は、鉛直方向に沿って延在している。
空中像形成光学系1Eでは、拡散部12に光L0が入射すると、拡散部12によって光L0が角度範囲θで拡散され、光L1として偏光方向変更部14に入射する。偏光方向変更部14によって光L1の偏光方向が所定の方向に変更され、光L11として画像情報付与部16に入射する。第一実施形態の空中像形成光学系1Aと同様に、画像情報付与部16によって、光L11に画像情報Iに応じた偏光方向のパターン及び波長情報が付与される。
画像情報付与部16から出射された第二の光L12は、D3方向に沿って進行し、光分岐部80に入射面81から入射する。光分岐部80に入射した第二の光L12の一部(略半分)は、入射面81で正反射され、D5方向に沿って出射され、再帰性反射材20Bに入射する。再帰性反射材20Bに入射した第二の光L12は、再帰反射面24の球体28に入射し、屈折及び反射した後、光軸Aに対して入射角度と同じ角度で、入射方向とは逆向きに球体28から出射される。即ち、第二の光L12は、球体28で再帰反射される。再帰性反射材20Bによって再帰反射されて出射された第二の光L14は、D4方向沿って進行し、再び光分岐部80に入射面81から入射し、光分岐部80を透過し、そのままD4方向に沿って進行する。
光分岐部80に入射した第二の光L12の残部(略半分)は、光分岐部80を透過し、D3方向に沿って出射され、再帰性反射材20Cに入射する。再帰性反射材20Cに入射した第二の光L12は、再帰性反射材20Bについて説明した内容と同様に、球体28で再帰反射される。再帰性反射材20Cによって再帰反射されて出射された第二の光L15は、D3方向とは逆向きに沿って進行し、光分岐部80に出射面82から入射する。出射面82に入射した第二の光L15は、入射面81で正反射され、第二の光L14と合流し、出射面82からD4方向に沿って出射される。
合流した第二の光L14,L15は、第二の光L13として、D4方向に沿って進行し、偏光方向選択部30に入射する。偏光方向選択部30に入射した第二の光L13のうち、偏光方向が所定の方向である光L13は、偏光方向選択部30を透過し、所定の結像位置P2で結像し、実像である空中像Mを形成する。偏光方向選択部30に入射した光L13のうち、偏光方向が所定の方向とは異なる光L13は、偏光方向選択部30で反射され、観察者Eには視認されない。
以上説明した第四実施形態の空中像形成光学系1Eは、再帰性反射材20B,20Cをはじめ、拡散部12等の光学的要素の遮蔽構造として、偏光方向変更部14及び偏光方向選択部30を備えている。これらの構成を備えることによって、偏光方向が所定の方向である光L13のみが偏光方向選択部30から透過され、空中像Mが形成される。観察者Eは、実像である空中像Mを視認することができる。また、空中像形成光学系1Aと同様に、偏光方向選択部30の外側から空中像形成光学系1Eに向かう外光の大部分が偏光方向選択部30で遮光される。このことによって、空中像Mの視認性が高くなり、観察者Eの注意意識が空中像Mに集中する。従って、空中像形成光学系1Eによれば、空中像Mの視認性を高め、空中像形成光学系1Eの光学的要素の遮蔽効果を高くすることができる。
また、第四実施形態の空中像形成光学系1Eは、任意の光を受光可能な映像形成構造として、拡散部12、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16を備えている。このような映像形成構造を備えていることで、空中像形成光学系1Eは、空中像形成光学系1Aと同様に、環境光に基づく映像情報及び空中像Mを形成することができ、屋外や照明が付けられた室内等の明るい環境下で利用可能になる。
また、第四実施形態の空中像形成光学系1Eでは、偏光方向選択部30が第二の光L13の進行経路上で光分岐部80と所定の結像位置P2との間に配置されている。このような相対配置によれば、偏光方向選択部30の大きさを、偏光方向が所定の方向である第二の光L13が透過する範囲に抑えつつ、観察者Eに対して光分岐部80や再帰性反射材20Bの視認度を下げることができる。このことによって、空中像Mの視認度を高めることができる。
また、第四実施形態の空中像形成光学系1Eでは、結像部20は再帰性反射材20B,20Cを備えているので、空中像Mの輝度を高くすることができる。また、光分岐部80及び再帰性反射材20B,20Cの位置を固定し、映像形成構造をなす拡散部12、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16の相対位置を維持しつつ、光分岐部80に対してこれらの部材を近接又は離間させると、空中像Mを崩すことなく、空中像Mの形成位置を移動させることができる。このように光分岐部80に対する拡散部12、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16の相対位置を移動させることで、観察者Eに空中像Mの動きを視認させることができる。即ち、空中像形成光学系1Aと同様に、結像部20に再帰性光学素子を適用することによって、空中像Mに四次元的な動きを付けることができ、例えば空中像Mが観察者Eの手前に飛んでくるような効果や飛び跳ねるような効果をもたらすことができる。
また、第四実施形態の空中像形成光学系1Eでは、空中像形成光学系1Aと同様に、光L0の角度範囲θを変化させることによって、観察者Eが空中像Mを観察する際の視域を変えることができる。
また、第四実施形態の空中像形成光学系1Eでは、光分岐部80を挟んで入射面81側に再帰性反射材20Bが配置され、出射面82側に再帰性反射材20Cが配置されている。また、再帰性反射材20B,20Cは側面視で互いに直角をなすように配置されている。このことにより、空中像形成光学系1Eの高さ方向(即ち、図8における鉛直方向)及び奥行き方向(即ち、図8における水平方向)の大きさを抑え、小型化を図ることができる。また、観察者Eの視線上には主に再帰性反射材20B、光分岐部80及び偏光方向選択部30が配置されるので、空中像形成光学系1Eを構成する光学的要素のうち、再帰性反射材20B及び光分岐部80が主な遮蔽対象になる。再帰性反射材20B及び光分岐部80は偏光方向選択部30によって偏光方向選択部30よりD4方向手前側に配置されているので、空中像形成光学系1Eによれば、再帰性反射材20B及び光分岐部80を効果的に遮蔽することができる。
(第五実施形態)
次に、本発明を適用した第五実施形態の空中像形成装置2について説明する。なお、図9に示す空中像形成装置2の構成要素のうち、第一実施形態の空中像形成光学系1Aと共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
空中像形成装置2は、空中像形成光学系1Aと同一の構成要素と、光L0を出射可能な光源Sと、を一体的に備えている。即ち、空中像形成装置2は、光源Sと、光源Sから出射された光L0を所定の角度範囲θで拡散させて偏光方向変更部14に照射する拡散部12と、拡散部12から出射された光L1の偏光方向を所定の方向に変更する偏光方向変更部14と、偏光方向が所定の方向に変更された第一の光L11に所望の画像情報Iを付与して第二の光L12として出射する画像情報付与部16と、画像情報Iが付与されて入射される第二の光L12を所定の結像位置P2に結像させる結像部20と、結像部20から出射された第二の光L13の進行経路上に配置され、偏光方向が所定の方向である光を透過させ、且つ偏光方向が所定の方向とは異なる方向である光を遮光する偏光方向選択部30と、マスク部32と、遮光部材40と、を備えている。
光源Sは、例えば、液晶ディスプレイ用のバックライト、LEDランプやハロゲンランプ等の白色光源等であるが、光L0を出射可能な光源であれば特に限定されない。なお、光源Sから、光軸Aを基準とする角度範囲θで拡散された光L1が直接出射可能であれば、拡散部12は省略してもよい。
光源S以外の空中像形成装置2の構成要素の詳細は、空中像形成光学系1Aの構成要素の詳細と同様である。また、拡散部12に光源Sから出射された光L0が直接入射すること以外は、空中像形成装置2における光の進行は、空中像形成光学系1Aにおける光の進行と同様である。
以上説明した第五実施形態の空中像形成装置2によれば、空中像形成光学系1Aと同様の作用効果が得られる。また、第五実施形態の空中像形成装置2は、専用の光源Sを備えているので、環境光の光量が少ない暗所等でも使用可能になり、視認度の高い空中像Mを形成することができる。
本発明に係る空中像形成光学系及び空中像形成装置では、偏光方向選択部30が第二の光L13の進行経路上に配置されてさえいれば、偏光方向選択部30の第二の光L13の進行経路上の位置(空中像Mに対する相対位置)や、上述の各実施形態で例示したように結像部20として適用する光学的要素等を適宜変更することができる。このような変更等によって、空中像形成光学系及び空中像形成装置の設計の自由度を高め、利用目的に応じた空中像形成光学系及び空中像形成装置を構成することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、上述の実施形態では、結像部20として再帰性透過材20Aや再帰性反射材20B,20Cを挙げたが、結像部20は第二の光L13を所定の結像位置P2に結像させることができる部材、光学デバイスを全て含む。一例として、結像部20は、図10に示すように第二の光L12の進行方向の奥側に向って凹む凹面鏡20Dであってもよい。但し、凹面鏡20Dを用いる場合は、所定の角度範囲θで拡散される光L11の原点O1と所定の結像位置P2の各々の位置が決まると、凹面鏡20Dの形状(曲率)が一義的に決まる。そのため、凹面鏡20Dの位置及び姿勢を固定し、拡散部12、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16の相対位置を維持しつつ、凹面鏡20Dに対してこれらの部材を近接又は離間させると、空中像Mは結像しない。即ち、結像部20として凹面鏡20Dを用いる場合は、再帰性光学素子を用いる場合とは異なり、観察者Eに空中像Mの動きを視認させることは難しい。
また、上述の実施形態では、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16を兼ねる光学デバイスとして、透明液晶ディスプレイを挙げたが、偏光方向変更部14及び画像情報付与部16は透明液晶ディスプレイに限定されない。偏光方向変更部14は、拡散部12によって拡散された光L1の偏光方向を所定の方向に変更することができる部材、光学デバイス等を全て含み、例えば前述の偏光板であってもよい。また、画像情報付与部16は、偏光方向が所定の方向に変更された第一の光L11に所望の画像情報Iを付与して第二の光L12として出射することができる部材、光学デバイス等を全て含み、例えば単なるカラーフィルターや色紙、画像情報Iに合った振幅分布が形成されたフィルタ等であってもよい。
また、上述の実施形態の構成は、適宜組み合わせることができる。