JP7048076B2 - 発電装置 - Google Patents
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Description
本発明は、微生物を用いずに発電をすることができる発電装置を提供することを目的とする。
前記アノード電極に電気的に接続されたカソード電極と、
前記アノード電極と前記カソード電極との間を区画し前記アノード電極で発生したプロトンの透過を許容するセパレータと、を備えている。
活性炭の触媒としての作用によって水を分解することができる。また、導体である活性炭を用いることによってアノード電極の電気抵抗を低下させることができる。
このような構成によって、水の電気分解を促進し、出力を高めることができる。
また、好ましくは、前記第2の触媒が塩化銅である。
このような構成によって、簡単且つ安価にセパレータを作製することができる。
発電装置の出力を高めることができる。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る発電装置としての水分解電池の概略的に示す説明図である。
本実施形態の水分解電池10は、水を分解する作用を利用して発電を行うものである。水分解電池10は、筐体11と、アノード電極12と、カソード電極13と、セパレータ14とを備えている。
アノード電極12とカソード電極13とは外部回路(負荷抵抗)15を介して電気配線により電気的に接続されている。
アノード電極12は、炭素材料を含む炭素繊維シート材により構成されている。炭素繊維シート材は、炭素繊維をバインダによって結合させたものであり、例えば一般に電極として用いられる市販のカーボンペーパーを用いることができる。炭素材料は、炭素繊維とは異なる材料であり、例えば活性炭である。
本実施形態のアノード電極12に含まれる活性炭は導体(導電材料)であり、アノード電極12の電気抵抗を低下させる。また、活性炭は、水を分解する触媒としても機能する。具体的には、活性炭は、水を分解してプロトン(H+)及び電子(e-)を生成する機能を有する。また、アノード電極12には、炭素材料として活性炭の他に、導体であるカーボンナノチューブが含まれる。ただし、カーボンナノチューブは省略してもよい。
カソード電極13は、炭素材料及び酸化還元用の触媒を含むシート材により構成されている。シート材は、不導体である。シート材は、例えばパルプ等の植物繊維により形成された濾紙が用いられる。炭素材料には、導体(導電材料)であるカーボンナノチューブが用いられる。触媒は、プロトン(H+)と電子(e-)と酸素(O2)が水(H2O)になる酸化還元反応を促進する触媒である。触媒としては、例えばフェリシアン化カリウム又はCuCl2が用いられる。
セパレータ14は、アノード領域17で発生したプロトン(水素イオン)を透過可能であり、アノード領域17内の水分の透過を防止するものである。このセパレータ14として、一般的にはプロトン交換膜(PEM)が用いられるが、本実施形態の水分解電池10では、PEMに代えて疎水化処理が施されたシート材がセパレータ14として用いられている。この場合、例えば、不導体であるパルプ等の植物繊維により形成された濾紙(例えば、孔径が約5μm)に防水剤を塗布(疎水化処理)することによってセパレータ14を作製することができる。紙製のセパレータ14は、プロトン交換膜と比べて、安価に作製することができるとともに、使用後の廃棄が容易になるという利点を有する。
図1に示すように、水分解電池10のアノード領域17に水分が供給されると、アノード電極12に含まれる活性炭の触媒としての機能により、水が酸素とプロトン(H+)と電子(e-)とに分解される。電子(e-)は、アノード電極12で回収され、外部回路を経由してカソード電極13に移動する。プロトン(H+)は、セパレータ14を透過してカソード電極13に移動する。カソード電極13において、外気から取り込まれた酸素と、カソード電極13に移動した電子(e-)及びプロトン(H+)との反応により水が発生する。
また、アノード電極12は、活性炭を含んでいるので、より内部抵抗が低下する。そのため、出力電圧を高めることが可能となる。
本実施形態の発電装置としての水分解電池10は、例えば非常用バッテリと使用することが想定され、平常時は、乾燥状態で保存され、非常時のみに発電を行って電気機器等に通電を行い、使用後は廃棄される使い捨てタイプとされている。
発電装置である水分解電池10の筐体11は、平面視及び底面視において矩形状、具体的には正方形状に形成されている。また、筐体11の表面側と、裏面側とには、それぞれケーブルの端子を接続するための端子接続部33b,34bが設けられている。
本実施形態の水分解電池10の筐体11は、第1内装シート材33、第2内装シート材34、第1外装シート材31、及び第2外装シート材32がこの順で1列に接続された1枚の帯状のシート材30により構成されている。このシート材30は、前述のカソード電極13及びセパレータ14で用いられるシート材と同種のシート材により構成される。そして、本実施形態の水分解電池10は、筐体11を構成するシート材30を用いてカソード電極及びセパレータが形成されている。本実施形態のシート材30は、不導体である濾紙により形成されている。
また、第1外装シート材31の側辺には、筐体11を折り畳んだ状態でアノード電極12用の端子接続部33bを外部に露出させるための切欠部31bが形成されている。
筐体11を構成する帯状のシート材30の第2外装シート材32側の端部には、2つの差し込み片35aが設けられている。この差し込み片35aは、図2に示すように、筐体11を折り畳んだ状態で第2内装シート材34と第1外装シート材31との境界に形成されたスリット35bに差し込まれる。これによって、筐体11が折り畳んだ状態で保持される。
アノード電極12は、第1内装シート材33と第2内装シート材34との間に挟まれている。第1内装シート材33と第2内装シート材34とは、アノード電極12の周囲において接着材37で接着されている。また、アノード電極12は、第2内装シート材34に設けられた防水剤36に重ね合わされている。
また、本実施形態の水分解電池10は、筐体11を構成する第2内装シート材34と一体にカソード電極13が設けられている。そのため、第2内装シート材34とは別体でカソード電極13を設ける場合に比べて水分解電池10を小型化(薄肉化)かつ軽量化することができる。また、アノード電極12側からプロトン(H+)をより迅速にカソード電極13に移動させることができ、酸化還元反応のレスポンスが良好となって発電効率を向上させることができる。
図8は、第2の実施形態に係る発電装置の具体的構造を示す斜視図である。図9(a)は発電装置の平面図、図9(b)は同底面図である。
本実施形態の電池10は、筐体11の構造が第1の実施形態とは異なり、その他の構成は第1の実施形態と略同様である。
本実施形態の筐体11は、平面視及び底面視において矩形状、具体的には正方形状に形成されている。また、筐体11の裏面側には、ケーブルの端子を接続するための端子接続部71b,73bが設けられている。
本実施形態の水分解電池10の筐体11は、内装シート材73、第1外装シート材71、及び第2外装シート材72がこの順で1列に接続された1枚の帯状のシート材70により構成されている。このシート材70は、第1例のカソード電極13及びセパレータ14で用いられるシート材と同種のシート材、すなわち不導体である濾紙により形成されている。
アノード電極12は、第1外装シート材71と内装シート材73との間に挟まれている。アノード電極12は、接着材77で第1外装シート材71に接着されている。また、アノード電極12は、内装シート材73に設けられた防水剤76に重ね合わされている。
図14は、他の実施形態に係る発電装置の具体的構造を示す斜視図である。
発電装置としての水分解電池10は、図14(a)に示すように、第1シート材81と第2シート材82とを備え、第1シート材81と第2シート材82とは、両者の境界で折り畳まれることによって互いに重ね合わされている。水分解電池10は、第1シート材81と第2シート材82との間にアノード電極12を備え、第2シート材82にカソード電極13が一体に形成されたものであってもよい。すなわち、第1の実施形態の水分解電池10における第1,第2外装シート材31,32を省略した形態、又は、第2の実施形態の水分解電池10における第2外装シート材72を省略した形態とすることができる。第1シート材81には給水孔81aが形成され、第2シート材82には防水剤85が施されている。第1シート材81と第2シート材82とは接着材86で接着されている。
また、図14(c)に示すように、アノード電極12は、第1シート材81に一体に形成されたものであってもよい。例えば、第1シート材81にアノード電極12の構成材料を浸透させたものや、アノード電極12を第1シート材81に内部に組み込んだものとすることができる。
本出願の発明者は、水分解電池の特性を実験により調べた。以下、その結果について説明する。
図16~図18は、アノード電極の種類を変化させたときの水分解電池の特性を示すグラフである。使用したアノード電極は、以下の(A1’)~(A3’)である。
(A1’)0.2mmのカーボンペーパー。
(A2’)0.2mmのカーボンペーパーに、1.5gの活性炭(グラフにおいて「AC」と表記、以下同じ)を混合した20mLのカーボンナノチューブ(グラフにおいて「CNT」と表記、以下同じ)の水溶液を1分間浸透させたもの。
(A3’)0.2mmのカーボンペーパーに、2gの活性炭を混合した10mLの水溶液を1分間浸透させたもの。
図19及び図20に示す実験では、アノード電極として次の(A4’)を用いた。また、図19に示す実験ではカソード電極として次の(C1’)を用い、図20に示す実験ではカソード電極として次の(C2’)を用いた。
(A4’)2.5gの活性炭を混合した20mLのカーボンナノチューブの水溶液を、1分間カーボンペーパーに浸透させたもの。
(C1’)0.76Mのフェリシアン化カリウム溶液0.40mLを混合した2mLのカーボンナノチューブの水溶液を、ペーパー(濾紙)に浸透させたもの。
(C2’)0.9gのCuCl2を混合した7mLのカーボンナノチューブの水溶液を、ペーパー(濾紙)に浸透させたもの。
その結果、図19に示す実験では、外部負荷が1kΩのときに1.7μW/cm2の最大電力密度が得られた。図20についての実験では、外部負荷が0.51kΩのときに57.3μW/cm2の最大電力密度が得られた。
その結果、図21及び図22のいずれにおいても、アノード電極におけるカーボンペーパーが1層の場合よりも3層の場合の方が高い電圧を出力することができた。
図23及び図24に示す実験では、アノード電極として次の(A4”)を用いた。また、図19に示す実験ではカソード電極として上記の(C1’)を用い、図20に示す実験ではカソード電極として上記の(C2’)を用いた。
(A4”)4gの活性炭を混合した10mlの水溶液をカーボンシートに1分間浸透させることによって、カーボンペーパーに1cm2あたり17mgの活性炭を含ませたもの。
その結果、図23に示す実験では、外部負荷が1kΩのときに10.4μW/cm2の最大電力密度が得られた。図20についての実験では、外部負荷が0.51kΩのときに134.6μW/cm2の最大電力密度が得られた。
図25に示す実験では、アノード電極に、酸である塩化水素(HCL;pH1)と、塩基である水酸化ナトリウム(NaOH;pH13)と、水(pH7)とをそれぞれ供給し、出力電圧を計測した。その結果、出力電圧は、pHに依存して変化しており、これによって水分解によって発電が行われていることがわかった。
また、上記各実施形態では、セパレータとして、疎水化処理が施された濾紙が用いられていたが、濾紙以外の紙が用いられていてもよい。また、セパレータとして、一般的なプロトン交換膜(PEM)が用いられていてもよい。
12 :アノード電極
13 :カソード電極
14 :セパレータ
Claims (6)
- 水を分解することができる第1の触媒を含むアノード電極と、
前記アノード電極に電気的に接続されたカソード電極と、
前記アノード電極と前記カソード電極との間を区画し前記アノード電極で発生したプロトンの透過を許容するセパレータと、を備え、
前記第1の触媒が炭素材料であり、
前記カソード電極には、プロトンと電子と酸素とが水になる酸化還元反応を促進する第2の触媒が含まれている、発電装置。 - 前記第1の触媒が活性炭である、請求項1に記載の発電装置。
- 前記第2の触媒が、フェリシアン化カリウム又は塩化銅である、請求項1又は2に記載の発電装置。
- 水を分解することができる第1の触媒を含むアノード電極と、
前記アノード電極に電気的に接続されたカソード電極と、
前記アノード電極と前記カソード電極との間を区画し前記アノード電極で発生したプロトンの透過を許容するセパレータと、を備え、
前記カソード電極には、プロトンと電子と酸素とが水になる酸化還元反応を促進する第2の触媒が含まれて、
前記第2の触媒が、フェリシアン化カリウム又は塩化銅である、発電装置。 - 前記第1の触媒が活性炭である、請求項4に記載の発電装置。
- 水を分解することができる第1の触媒を含むアノード電極と、
前記アノード電極に電気的に接続されたカソード電極と、
前記アノード電極と前記カソード電極との間を区画し前記アノード電極で発生したプロトンの透過を許容するセパレータと、を備え、
前記セパレータが、防水処理を施した紙である、発電装置。
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