以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
図1は、本実施形態の画像処理装置が搭載される車両10の模式的な平面図である。車両10は、例えば、内燃機関(エンジン、図示されず)を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)であってもよいし、電動機(モータ、図示されず)を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)であってもよいし、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)であってもよい。また、車両10は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置(システム、部品等)を搭載することができる。また、車両10における車輪12(前輪12F、後輪12R)の駆動に関わる装置の方式、個数、及び、レイアウト等は、種々に設定することができる。
図1に例示されるように、車両10には、複数の撮像部14として、例えば四つの撮像部14a~14dが設けられている。撮像部14は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部14は、所定のフレームレートで動画データ(撮像画像データ、画像情報)を出力することができる。撮像部14は、それぞれ、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°~220°の範囲(被撮像領域)を撮影することができる。また、撮像部14の光軸は斜め下方に向けて設定され得る。よって、撮像部14は、車両10が移動可能な路面や路面に付されたマーク(矢印や区画線、駐車スペースを示す線、車線分離線等を含む)や物体(例えば、歩行者、車両等)を含む車両10の外部の周辺状況を逐次撮影し、撮像画像データとして出力する。
撮像部14は、車両10の外周部に設けられている。撮像部14aは、例えば、車両10の前側、すなわち車両前後方向の前方側で車幅方向のほぼ中央の端部、例えばフロントバンパ10aやフロントグリル等に設けられて、車両10の前端部(例えばフロントバンパ10a)を含む前方画像(前方の被撮像領域)を撮像可能である。また、撮像部14bは、例えば、車両10の左側の端部、例えば左側のドアミラー10bに設けられて、車両10の左側方を中心とする領域(例えば左前方から左後方の領域)を含む左側方画像(左側方の被撮像領域)を撮像可能である。また、撮像部14cは、例えば、車両10の右側の端部、例えば右側のドアミラー10cに設けられて、車両10の右側方を中心とする領域(例えば右前方から右後方の領域)を含む右側方画像(右側方の被撮像領域)を撮像可能である。また、撮像部14dは、車両10の後側、すなわち車両前後方向の後方側で車幅方向のほぼ中央の端部、例えばリヤバンパ10dの上方位置に設けられて、車両10の後端部(例えばリヤバンパ10d)を含む後方画像(後方の被撮像領域)を撮像可能である。
本実施形態の画像処理装置は、複数の撮像部14で得られた撮像画像データに基づいて、演算処理や画像処理を実行することで、より広い視野角の画像を生成したり、車両10を上方や前方、側方等から見た仮想的な画像(俯瞰画像(平面画像)や側方視画像、正面視画像等)を生成したりすることができる。なお、各撮像部14が撮像する撮像画像データ(画像)には、互いに重複する重複領域が設けられ、画像を繋ぎ合わせるときに欠落領域が生じないようにしている。例えば、撮像部14aの撮像した撮像画像データの車幅方向左側の端部領域と撮像部14bが撮像した撮像画像データの車両前後方向のうち前方側の端部領域とが重複する。そして、二つの画像を繋げる(合成する)処理が実行される。同様に、前方画像と右側方画像、左側方画像と後方画像、後方画像と右側方画像についても重複領域が設けられて二つの画像を繋げる(合成する)処理が実行される。
図2は、車両10に搭載される画像処理装置を含む画像処理システム100の構成の例示的なブロック図である。車両10の車室内には、表示装置16や、音声出力装置18が設けられている。表示装置16は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等である。音声出力装置18は、例えば、スピーカである。また、表示装置16は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部20で覆われている。乗員(例えば、運転者)は、操作入力部20を介して表示装置16の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員は、表示装置16の表示画面に表示される画像に対応した位置で、手指等で操作入力部20を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これら表示装置16や、音声出力装置18、操作入力部20等は、例えば、車両10のダッシュボードの車幅方向すなわち左右方向の中央部に位置されたモニタ装置22に設けられている。モニタ装置22は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。モニタ装置22は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。
また、図2に例示されるように、画像処理システム100(画像処理装置)は、撮像部14(14a~14d)やモニタ装置22に加え、ECU24(electronic control unit)が含まれる。画像処理システム100(画像処理装置)では、ECU24やモニタ装置22は、電気通信回線としての車内ネットワーク26を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク26は、例えば、CAN(controller area network)として構成されている。ECU24は、車内ネットワーク26を通じて制御信号を送ることで、各種システムの制御が実行できる。また、ECU24は、車内ネットワーク26を介して、操作入力部20や各種スイッチの操作信号等や図示を省略している各種センサの検出信号等を、受け取ることができる。
ECU24は、撮像部14から取得した撮像画像データに基づいて生成した周辺画像や音声に関するデータをモニタ装置22へ送信する。ECU24は、例えば、CPU24a(central processing unit)や、ROM24b(read only memory)、RAM24c(random access memory)、表示制御部24d、音声制御部24e、SSD24f(solid state drive、フラッシュメモリ)等を有している。
CPU24aは、ROM24b等の不揮発性の記憶装置に記憶された(インストールされた)プログラムを読み出し、当該プログラムに従って演算処理を実行する。ROM24bは、各プログラム及びプログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。CPU24aは、例えば、図3に示すような各種モジュールを備え、表示装置16で表示される画像に関連した処理を実行する。例えば、CPU24aは、処理の一例として、撮像部14が撮像した撮像画像データに補正処理や演算処理、画像処理等を実行して、複数の画像を繋ぎ合わせた周辺画像(例えば、俯瞰画像)を生成する。CPU24aの詳細は後述する。
RAM24cは、CPU24aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、表示制御部24dは、ECU24での演算処理のうち、主として、表示装置16で表示させる表示用の画像のデータ変換等を実行する。また、音声制御部24eは、ECU24での演算処理のうち、主として、音声出力装置18で出力される音声データの処理を実行する。SSD24fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU24の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU24aや、ROM24b、RAM24c等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、ECU24は、CPU24aに替えて、DSP(digital signal processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD24fに替えてHDD(hard disk drive)が設けられてもよいし、SSD24fやHDDは、ECU24とは別に設けられてもよい。
本実施形態では、ECU24は、ハードウェアとソフトウェア(制御プログラム)が協働することにより、表示装置16に表示する画像の画像生成処理を司る。ECU24は、撮像部14が撮像した撮像画像データ(画像)に画像処理、例えば視点変換処理等を施して表示装置16に表示させる際に、画像の輝度補正を行う。ECU24は、前後左右の画像を繋ぎ合わせた場合に、輝度差による画像間の連続性が低下する不都合や部分的または全体的に画像が明るすぎたり、逆に暗すぎたりすることを抑制し、画像全体(繋ぎ合わせることで生成する周辺画像、俯瞰画像)の視認性が低下することを抑制する。
図3は、ECU24に含まれるCPU24aにおいて、本実施形態の画像処理を実現するための構成の例示的なブロック図である。なお、CPU24aにおいて、本実施形態の画像処理を実行する以外の構成は図示を省略している。CPU24aは、上述したような輝度補正を含む画像処理を実行するための各種モジュールを備える。各種モジュールは、CPU24aがROM24b等の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、それを実行することで実現される。例えば、CPU24aは、図3に示されるように、取得部28、関心領域設定部30、特定モード判定部31、第1設定部32(第一の設定部)、第2設定部34(第二の設定部)等を備える。また、第1設定部32は、固定値設定部32a、固定値加算設定部32b、特定モード補正部32c等を含む。また、第2設定部34は、線形補間部34a、傾き設定部34b、γ曲線係数算出部34c、輝度設定部34d等を含む。
取得部28は、各撮像部14が撮像した画像を表示制御部24dを介して取得する。各撮像部14(14a~14d)は、図4に示すような被撮像領域36を撮像可能である。そして、各被撮像領域36は、前述したように隣接する被撮像領域36とそれぞれ一部が重なった重複領域38を含む。被撮像領域36のうち車両10の前方の被撮像領域36Fの車幅方向左側と車両10の左側方の被撮像領域36SLの車両前方側とは、重複領域38FLを形成する。被撮像領域36のうち被撮像領域36SLの車両後方側と車両10の後方の被撮像領域36Rの車幅方向左側とは、重複領域38RLを形成する。被撮像領域36のうち被撮像領域36Rの車幅方向右側と車両10の右側方の被撮像領域36SRの車両後方側とは、重複領域38RRを形成する。そして、被撮像領域36のうち被撮像領域36SRの車両前方側と被撮像領域36Fの車幅方向右側とは、重複領域38FRを形成する。各撮像部14は、撮像した撮像画像データに撮像部14ごとの識別符号を添付して取得部28に出力してもよいし、取得部28側で取得した撮像画像データごとに出力元を識別する識別符号を添付するようにしてもよい。
なお、本実施形態において、例えば、被撮像領域36Fに着目する処理を行う場合、車両10を挟んで離間する一対の被撮像領域36(例えば、被撮像領域36Fと被撮像領域36R)のうち一方(例えば被撮像領域36F)を第一の被撮像領域と称する場合がある。また、第一の被撮像領域に隣接する一対の被撮像領域36(例えば、被撮像領域36SLと被撮像領域36SR)のうち一方を第二の被撮像領域(例えば、被撮像領域36SL)と称する場合がある。そして、第一被撮像領域と第二被撮像領域とが重なる重複領域38(重複領域38FL)を第一の重複領域と称する場合がある。同様に、第一の被撮像領域に隣接する一対の被撮像領域36(例えば、被撮像領域36SLと被撮像領域36SR)のうち他方を第三の被撮像領域(例えば、被撮像領域36SR)と称する場合がある。そして、第一被撮像領域と第三被撮像領域とが重なる重複領域38(重複領域38FR)を第二の重複領域と称する場合がある。なお、車両10を挟んで離間する一対の被撮像領域36を例えば、被撮像領域36SLと被撮像領域36SRとすることもできる。この場合、第二の被撮像領域は、被撮像領域36Fと被撮像領域36Rとのいずれか一方、第三の被撮像領域が他方となる。
関心領域設定部30は、図5に示すように、取得部28が取得した被撮像領域36の重複領域38ごとに、輝度調整を行う際に参照する関心領域40(40FL,40RL,40RR,40FR)を設定する。関心領域40は、車両10の車幅方向および前後方向に所定の長さを持つ、例えば矩形の領域で、関心領域40の輝度とは、関心領域40に含まれる各画素の輝度の例えば平均値である。また、本実施形態において関心領域40の位置を特定する場合、その位置は、例えば関心領域40の中心位置(車幅方向および前後方向の中点)とする。
なお、各撮像部14は、撮像時に自動的に絞り調整(ゲイン調整)が行われ、各被撮像領域36の明るさ調整(輝度調整)が成される。その結果、被撮像領域36に明るい領域が多く存在する場合、絞り値が大きくなり、明るさが抑えられた暗めの画像が撮像される。逆に被撮像領域36に暗い領域が多く存在する場合、絞り値が小さくなり、明るさが向上された明るめの画像が撮像される。したがって、図5に示すように、例えば重複領域38FLに含まれる関心領域40FLにおいて、被撮像領域36F側の関心領域40FLに対応する部分と被撮像領域36SL側の関心領域40FLに対応する部分で、明るさ(輝度)が異なる場合がある。例えば、図5において、輝度を0~255の256階調(「0」が暗く、「255」が明るい)で表した場合、例えば、重複領域38FLに含まれる関心領域40FLの場合、被撮像領域36F側の輝度は、「250」で明るく、被撮像領域36SL側の輝度は、「100」で被撮像領域36F側より暗い。なお、図5において、「100」等で標記された数字が輝度を示す。また、別の図においては、関心領域40の中に標記された数字が輝度を表す場合もある。なお、関心領域設定部30は、関心領域40の設定位置を予め定めた位置に設定してもよいし、被撮像領域36の輝度分布に応じて設定位置を変更するようにしてもよい。
特定モード判定部31は、車両10の周囲の明るさの状態が「通常輝度状態」か「特定輝度状態」かの判定を行う。「通常輝度状態」とは、各画像間の輝度に大きな格差は生じにくい状態である。例えば、車両10の周囲が明るかったり適度に照明等の明かりが存在したりする場合、各撮像部14で撮像される画像の輝度の格差が大きくなり難い。例えば、日中であれば、影等の存在により各画像間で輝度の差は生じるものの、絞り調整が成されても画像間で大きな輝度格差は生じにくい。同様に、夜間の場合でも、車両10の周囲に街灯や他車のヘッドライト等による明かりが存在する場合、絞り調整が成されても各画像間の輝度の大きな格差は生じにくい。一方、「特定輝度状態」とは、各画像間の輝度の大きな格差が生じやすい状態である。例えば、車両10が、夜間等で周囲が完全に暗い状態のときに、周囲に街灯や他車による照明が存在しない場所(例えば、夜間の山中)でヘッドライトを点灯して単独で存在している場合、車両10の前方側のみが明るく、車両10の後方側は暗く、その輝度の格差は非常に大きくなる。
特定モード判定部31は、車両10の側方画像(被撮像領域36SLや被撮像領域36SRの画像)の撮像時の輝度が少なくとも二つの条件を満たした場合に、「特定輝度状態」であると判定する。例えば、特定モード判定部31は、車両10の側方を撮像した側方画像情報(被撮像領域36SLや被撮像領域36SRの画像情報)において、側方画像情報(例えば、被撮像領域36SLの画像情報)の車両前方領域に含まれる第一の関心領域(例えば、関心領域40FL)の輝度が第一の所定値(例えば、予め定めた目標輝度)以上の場合、第一の条件を満たしたと判定する。また、車両後方領域に含まれる第二の関心領域(例えば、関心領域40RL)の輝度と第一の関心領域(例えば、関心領域40FL)の輝度との差が第二の所定値(例えば、輝度格差「100」)以上の場合に、第二の条件を満たしたと判定する。そして、特定モード判定部31は、第一の条件と第二の条件を満たした場合に、車両10の周囲の明るさの状態が「特定輝度状態」であると判定する。したがって、特定モード判定部31は、第一の条件と第二の条件のいずれか一方でも満たされない場合、車両10の周囲の明るさの状態は、「通常輝度状態」であると判定する。特定モード判定部31は、車両10の周囲の明るさの状態が「特定輝度状態」であるか「通常輝度状態」であるかの判定を行う際に、輝度補正を行う際に参照する重複領域38内に設定された関心領域40を参照する。その結果、処理対象領域(関心領域)の共通化が行われ、処理負荷の軽減に寄与することができる。また、本実施形態の画像処理装置の場合、「通常輝度状態」か「特定輝度状態」かに基づき、後述する輝度補正の方法を選択する。特定モード判定部31を用いた制御に関しては後述する。なお、「特定輝度状態」であると判定されていても、例えば、ヘッドライトを点灯した後続車が現れる等、新たに明かりが現れた場合には、第二の条件が満たされなくなり、「通常輝度状態」に移行する場合がある。その場合には、「通常輝度状態」に対応する処理に移行することになる。
第1設定部32は、関心領域40の輝度を補正する。例えば、車両10を挟んで離間する一対の被撮像領域36(例えば被撮像領域36Fと被撮像領域36R)のうち一方である第一の被撮像領域(例えば被撮像領域36F)を考える。第1設定部32は、第一の被撮像領域(例えば被撮像領域36F)と、当該第一の被撮像領域に隣接する一対の被撮像領域36のうち一方である第二の被撮像領域(例えば被撮像領域36SL)と、が重なる第一の重複領域(例えば重複領域38FL)に含まれる第一の関心領域(例えば関心領域40FL)の輝度を補正する。同様に、第1設定部32は、第一の被撮像領域(例えば被撮像領域36F)と当該第一の被撮像領域に隣接する他方の被撮像領域36である第三の被撮像領域(例えば被撮像領域36SR)とが重なる第二の重複領域(例えば重複領域38FR)に含まれる第二の関心領域(関心領域40FR)の輝度を補正する。同様に、第1設定部32は、関心領域40RLおよび関心領域40RRの輝度を補正する。
本実施形態の場合、第1設定部32は関心領域40の輝度を補正する場合、複数の方法によって行うことができる。例えば、固定値設定部32aは、所定の値として定めた目標輝度になるような補正値を決定して、輝度の補正を行う。固定値設定部32aは、例えば、予め実験等で導き出した、周囲の明暗環境に拘わらず、最も視認性がよいとされる目標輝度(例えば、256階調の「200」)に関心領域40の輝度がなるような補正値を用いて補正を行う。
また、第1設定部32に含まれる固定値加算設定部32bは、被撮像領域36に含まれる関心領域40の輝度を補正するための目標輝度を算出した場合、目標輝度に所定の値として定めた調整値を加算することで、被撮像領域36の輝度を一律に底上げ補正する。例えば、被撮像領域36Fの場合、車幅方向左側の関心領域40FLの輝度が「150」と車幅方向右側の関心領域40FRの輝度が「100」であった場合、少なくとも一方の輝度を用いて、目標輝度を決める。例えば、関心領域40FLと関心領域40FRとの平均の輝度「125」を目標輝度とする。この目標輝度で補正を行った場合、被撮像領域36F全体の明るさが足りないと判定した場合には、所定の値として定めた調整値を加算する。例えば、予め実験等により定めた調整値である「調整輝度値=50」を加算して、被撮像領域36F全体の明るさを一律に底上げする。
また、第1設定部32に含まれる特定モード補正部32cは、特定モード判定部31によって、車両10の周囲の明るさの状態が「特定輝度状態」であると判定された場合に、側方画像に関して固定値設定部32aや固定値加算設定部32bとは異なる方法で、目標輝度の設定を行い、輝度補正を行う。特定モード補正部32cは、車両10の周囲の明るさの状態が「特定輝度状態」の場合、側方画像の車両前方領域に含まれる第一の関心領域(例えば、関心領域40FL)の輝度を第一の目標輝度にするための第一の補正値と、車両後方領域に含まれる第二の関心領域(例えば、関心領域40RL)の輝度を第二の目標輝度にするための第二の補正値を異なる方法で決定する。特定モード補正部32cは、例えば、第一の補正値を車両前方領域の輝度に応じて決定する。一例として、特定モード補正部32cは、第一の関心領域の現在の輝度を第一の目標輝度に設定して、第一の補正値を決定する。また別の例では、特定モード補正部32cは、第一の関心領域の周辺で輝度が第一の所定値(例えば、予め定めた目標輝度)未満の領域に第一の関心領域を移動させて、その領域の輝度を第一の目標輝度に設定して、第一の補正値を決定する。なお、特定モード補正部32cは、第二の補正値を車両10の後方を撮像した後方画像情報(被撮像領域36Rの画像情報)の輝度に応じて決定する。
固定値設定部32a、固定値加算設定部32b、特定モード補正部32cによる補正の具体的な例は後述する。
第2設定部34は、隣り合う関心領域40のそれぞれの補正値に基づいて、その間の輝度を設定する。例えば、被撮像領域36Fの車幅方向左側の関心領域40FLを第一の関心領域とした場合、例えば、固定値設定部32aによって設定された固定の目標輝度に補正する補正値を第一の補正値とする。同様に、被撮像領域36Fの車幅方向右側の関心領域40FRを第二の関心領域とした場合、例えば、固定値設定部32aによって設定された固定の目標輝度に補正する補正値を第二の補正値とする。この場合、線形補間部34aは、第一の補正値と第二の補正値とを用いて、線形補間を行うための例えば直線補間式(第一の補正値と第二の補正値とを結ぶ直線)を生成する。そして、生成した線形補間式(例えば直線補間式)に基づいて、二つの関心領域40の間領域の輝度を補正する。
傾き設定部34bは、線形補間部34aで生成した線形補間式の傾きが所定の制限値以上の場合に、直線補間式の傾きを補正する。例えば、隣接する関心領域40の一方の輝度が固定値設定部32aで設定した目標輝度から大きく乖離していた場合、線形補間部34aが生成する直線補間式の傾きは大きくなる。その結果、例えば関心領域40の周辺で、関心領域40より暗い部分も関心領域40の輝度の補正の影響を受けてより明るい方向に補正されてしまうことがある。その結果、必要以上に輝度が高くなるような補正が行われ、いわゆる「白飛び」してしまう場合がある。傾き設定部34bは、線形補間部34aで生成した線形補間式の傾きを予め設定した曲線によって補正する。この曲線は、例えば、線形補間式の傾きが制限値より小さい場合は補正なしとし、傾きが所定以上の場合に傾きを減少補正するような特性を備える。なお、この曲線は、傾きが制限値よりさらに大きな限界値以上になった場合、傾きが予め設定した所定の値(固定値)となるような特性を備えてもよい。
線形補間部34aは、一例として、隣接する二つの関心領域40に対する補正値を直線で結ぶことで、直線補間式を生成する。この場合、補正値によっては、中間部分の輝度補正において、補正量が小さすぎて画像の「黒つぶれ」が生じたり、逆に補正量が大きすぎたりして画像の「白飛び」が生じてしまう場合がる。そこで、γ曲線係数算出部34cは、第一の関心領域(例えば、関心領域40FL)の輝度に対して第一の目標輝度となる曲線式として算出された第一のγ曲線の第一の係数を算出する。同様に、γ曲線係数算出部34cは、第二の関心領域(例えば(関心領域40FR)の輝度に対して第二の目標輝度となる曲線式として算出された第二のγ曲線の第二の係数を算出する。そして、γ曲線係数算出部34cは、算出した第一の係数と第二の係数に基づく線形補間式(直線補間式)を生成し、この線形補間式により算出した補正値(γ曲線係数)にしたがい第一の関心領域と第二の関心領域との間の領域の輝度を設定する。この場合、γ曲線式は、輝度を256階調で表す場合の最低輝度値「0」と最高輝度値「255」を必ず含む曲線であるため、γ曲線の係数を用いることにより、画像の黒つぶれ(暗すぎる補正)や白飛び(明るすぎる補正)を発生しにくくすることができる。その結果、黒つぶれや白飛び等の情報欠如の抑制が可能で、認識しやすい周辺画像の生成ができる。
輝度設定部34dは、線形補間部34aで生成された線形補間式(例えば、直線補間式)に基づき、第一の関心領域(例えば、関心領域40FL)と第二の関心領域(例えば、関心領域40FR)の間の領域の輝度を補正する個別補正値を設定する。輝度設定部34dは、線形補間部34aで生成された線形補間式が、車両10の前方の被撮像領域36Fに関する線形補間式である場合、この線形補間式にしたがい、被撮像領域36Fにおける車両前後方向の領域に関しても同様に輝度補正を行う。したがって、被撮像領域36Fの場合、車両前後方向の領域は、同様な補正値(補正量)で輝度の補正が実行される。
図3のCPU24aの構成は、一例であり、例えば、第1設定部32において、所定の値による補正(固定値設定部32aや固定値加算設定部32b)は、いずれか一方を選択できるようにしてもよい。また、いずれか一方を固定で利用する場合は、固定値設定部32aと固定値加算設定部32bのいずれか一方を省略した構成としてもよい。また、第2設定部34において、線形補間部34aが関心領域40の補正値によってのみ線形補間式を形成する場合には、γ曲線係数算出部34cを省略した構成としてもよい。
このように構成される画像処理システム100(画像処理装置)の処理の一例について、図6のフローチャートおよび図1~図5に加え図7~図16を用いて説明する。
図6のフローチャートを用いて、まず、「通常輝度状態」の場合、つまり、各撮像部14で撮像した各画像間の輝度に大きな格差は生じにくい状態で、固定値設定部32aにより所定の値として、予め設定された目標輝度が設定される場合に実行される輝度補正について説明する。
まず、CPU24aは、車両10を中心とする俯瞰視の周辺画像を生成するタイミングであるかを判定する(S100)。この判定は、例えば、CPU24aが車両10の操作状態(例えば、シフトレバーが後退走行の位置に移動された場合等)や操作入力部20等を介して運転者の表示要求操作が行われた場合に肯定判定となる。CPU24aが、周辺画像を生成すると判定した場合(S100のYes)、取得部28は、各撮像部14が撮像する被撮像領域36の画像(画像情報)を取得する(S102)。なお、周辺画像を生成するタイミングではないと判定された場合(S100のNo)、一旦、図6のフローを終了する。
続いて、関心領域設定部30は、取得した各画像の被撮像領域36に対して関心領域40の設定を行う(S104)。各被撮像領域36の関心領域40における輝度が例えば、図5で示すような場合、固定値設定部32aは、各関心領域40に対して、所定の値として定めた目標輝度(例えば、256階調で「200」)を設定するとともに(S106)、関心領域40の輝度が目標輝度(例えば「200」)になるように補正するための補正値を設定する(S108)。図7は、車両10の前方の被撮像領域36Fの輝度を補正する例である。被撮像領域36Fの場合、車幅方向(X軸方向)左側の関心領域40FLの輝度が256階調で「250」であり、車幅方向右側の関心領域40FRの輝度が256階調で「150」となっている例である。これに対して、固定値設定部32aが設定した目標輝度が256階調で「200」の場合、被撮像領域36Fにおいて、関心領域40FLは、輝度値Mとして「-50」の補正値が設定され、関心領域40FRは、「+50」の補正値が設定される。
線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FLの補正値(N=-50)と、関心領域40FRの補正値(N=+50)を用いて、直線補間式42(42F)を生成する(S110)。その結果、関心領域40FLと関心領域40FRとの間の車幅方向(X軸方向)の輝度の補正量が直線補間式42Fによって示される。そして、輝度設定部34dは、生成された直線補間式42Fで算出される補正値(個別補正値)に基づき、関心領域40FLと関心領域40FRとの間の領域の輝度を補正(設定)する。同様に、被撮像領域36Fにおいて、車両前後方向(Z軸方向)の領域の輝度を同様な補正値で設定(補正)する(S112)。その結果、図8に示すように、補正前の被撮像領域36Fは、車幅方向左側(関心領域40FLの部分)の輝度が例えば「250」から「200」に暗くなるように補正され、車幅方向右側(関心領域40FRの部分)の輝度が例えば「150」から「200」に明るくなるように補正される。
CPU24aは、上述のような補正処理が全画面に対して完了したか否かを監視する(S114)。そして、補正処理が完了していない場合(S114のNo)、S102に戻り、関心領域設定部30、第1設定部32、第2設定部34は、上述した処理を、被撮像領域36R、被撮像領域36SL、被撮像領域36SRに対して実行する。
例えば、関心領域設定部30、第1設定部32、第2設定部34は、車両10の後方の被撮像領域36Rに対して上述と同様な処理を実行する。その結果、補正前の被撮像領域36Rは、車幅方向左側(関心領域40RLの部分)の輝度が「50」から「200」に明るくなるように補正され、車幅方向右側(関心領域40RRの部分)の輝度が「50」から「200」に明るくなるように補正される。
同様に、関心領域設定部30、第1設定部32、第2設定部34は、図9に示すように、車両10の左側方の被撮像領域36SLおよび右側方の被撮像領域36SRについても同様な補正を行う。例えば、被撮像領域36SLの場合、車両前後方向(Z軸方向)の前方側の関心領域40FLの輝度が256階調で「100」であり、後方側の関心領域40RLの輝度が256階調で「50」である。これに対して、固定値設定部32aが設定した目標輝度が256階調で「200」の場合、第1設定部32において、関心領域40FLは、輝度値Mとして「+100」の補正値が設定され、後方側の関心領域40RLは、「+150」の補正値が設定される。線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FLの補正値(N=+100)と、関心領域40RLの補正値(N=+150)を用いて、直線補間式42Lを生成する。同様に、被撮像領域36SRの場合、車両前後方向(Z軸方向)の前方側の関心領域40FRの輝度が256階調で「100」であり、後方側の関心領域40RRの輝度が256階調で「50」である。これに対して、固定値設定部32aが設定した目標輝度が256階調で「200」の場合、第1設定部32において、関心領域40FRは、輝度値Mとして「+100」の補正値が設定され、後方側の関心領域40RRは、「+150」の補正値が設定される。線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FRの補正値(N=+100)と、関心領域40RRの補正値(N=+150)を用いて、直線補間式42Rを生成する。
その結果、被撮像領域36SLにおける関心領域40FLと関心領域40RLとの間の車両前後方向(Z軸方向)の輝度の補正量が直線補間式42Lによって示され、被撮像領域36SRにおける関心領域40FRと関心領域40RRとの間の車両前後方向(Z軸方向)の輝度の個別補正量が直線補間式42Rによって示される。そして、輝度設定部34dは、直線補間式42Lに基づき、関心領域40FLと関心領域40RLの間の領域の輝度および、被撮像領域36SLにおいて、車幅方向(X軸方向)の領域の輝度を同様な個別補正量で補正する。また、輝度設定部34dは、直線補間式42Rに基づき、関心領域40FRと関心領域40RRの間の領域の輝度および、被撮像領域36SRにおいて、車幅方向(X軸方向)の領域の輝度を同様な個別補正量で補正する。
CPU24aは、全ての画像(被撮像領域36F、被撮像領域36R、被撮像領域36SL、被撮像領域36SRの画像)に対して補正処理が完了すると(S114のYes)、表示制御部24dにより、各画像を繋ぎ合わせて俯瞰視の周辺画像を生成させ、表示装置16に表示させて(S116)、次の処理周期でS100からの処理を繰り返すことで周辺画像の更新を行う。この場合、図10に示すように、各関心領域40(40FL,40RL,40RR,40FR)の輝度が256階調で「200」となり、各被撮像領域36(36F,36SL,36R,36SR)を繋ぎ合わせが滑らかに行われた周辺画像44を生成することができる。また、各関心領域40の間の輝度も直線補間式42によって補正されているため、明るすぎる部分や暗すぎる部分の生成が抑制され、周辺画像44のいずれの部分でも画像内容の認識がしやすくなる。
ところで、隣接する関心領域40の輝度差が元々大きい場合がある。例えば、図11に示すように、屋外で日差しが強い場合に、車両10の周囲の一部に自車の濃い影46が存在する場合がある。この場合、影46に含まれない関心領域40RLの輝度(例えば、256階調で「180」)と影46に含まれる関心領域40RRの輝度(例えば、256階調で「操作入力部20」)とで輝度の差が大きい場合がある。このような場合に、上述した場合と同様に、固定値設定部32aが目標輝度を「200」に設定すると、関心領域40RLに対する補正値は「+20」となるのに対して、関心領域40RRに対する補正値は「+180」となる。その結果、線形補間部34aが直線補間式42を生成すると、図11に示すように、傾きが大きな直線補間式42が生成されてしまう場合がある。この場合、関心領域40RRの周辺で、関心領域40RRより明るい領域48も関心領域40RRの輝度の補正の影響を受けてより明るい方向に補正されてしまうことがある。その結果、関心領域40RRより明るい領域48が、いわゆる「白飛び」してしまう場合がある。そこで、傾き設定部34bは、線形補間部34aで生成した直線補間式42の傾きを、図12に示すような予め設定した曲線50によって補正する。この曲線50は、例えば、直線補間式42の傾きが所定の制限値未満の場合は、「通常ゾーン」とし傾き補正なしとし、傾きが所定の制限値以上の場合は、「制限ゾーン」として、傾きを減少補正する。また、曲線50は、傾きが制限値より大きな所定の限界値以上になった場合には、補正後の傾きが予め設定した所定の値(固定値)となるような補正を行う。
直線補間式42の傾きが所定の制限値以上の場合に、その傾きを曲線50によって補正することで、関心領域40RRより明るい領域48に対する輝度補正が緩和され、「白飛び」を抑制することができる。また、傾きを限界値(固定値)で補正することにより、それ以上の輝度増加が生じないようにすることができる。なお、この場合、本来明るく補正されることで、滑らかな輝度変化を実現しているものに対して、補正の制限を加えることになるので、輝度変化の滑らかさが低減するが、「白飛び」が抑制できるので、画像内容の認識性向上に寄与できる。なお、曲線50の形状や制限値や限界値(固定値)は、予め実験等により周囲の輝度とのバランス等を考慮し適宜決定することができる。また、曲線50は、周囲の輝度とのバランス等を考慮して、線形補間部34aで算出するようにしてもよい。
また、別の実施形態においては、輝度設定部34dは、直線補間式42に基づいて関心領域40RLと関心領域40RRの間の領域の輝度を補正する補正値(個別補正値)を設定する場合、補正値に制限を加えてもよい。例えば、図13に示すように、補正値に対して補正上限値Maxを設定し、直線補間式42にしたがい、輝度の補正量が増加するのに伴い、設定する個別補正量が補正上限値Maxに収束するようにする。この場合も、関心領域40RRより明るい領域48に対する輝度補正が緩和され、「白飛び」を抑制することができる。なお、補正上限値Maxは、予め固定値で設定してもよいし、算出した直線補間式42の傾きに応じて、設定してもよい。
また、上述したように、固定値設定部32a等で設定された目標輝度によって、隣接する二つの関心領域40の補正値を直線で結んで直線補間式42を生成する場合、処理負荷を増大させることなく、輝度修正を行うことができるというメリットがある反面、補正値によっては、中間部分の輝度補正において、補正量が小さすぎる場合に画像の「黒つぶれ」が生じた入り、逆に大きすぎる場合に、画像の「白飛び」が生じてしまう場合がる。そこで、本実施形態の場合、輝度の補正の際にγ補正を利用するようにし得る。例えば、車両10の前方の被撮像領域36Fにおいて、関心領域40FL(第一の関心領域)と、関心領域40FR(第二の関心領域)を考える。関心領域40FLの輝度(領域内の平均輝度)が256階調の「150」であり、関心領域40FRの輝度が「100」であり、固定値設定部32aにより設定された目標輝度が256階調で「125」であったとする。この場合、目標輝度にするためには、関心領域40FLは、「-25」の補正値が必要で、関心領域40FRは、「+25」の補正値が必要となる。
そこで、γ曲線係数算出部34cは、関心領域40FLについて、図14に示すように、横軸を入力輝度Y0、縦軸を出力輝度Y1Lとした場合の第一のγ曲線52Lを算出する。この場合、γ曲線係数算出部34cは、第一のγ曲線52Lとして、最低値(最低輝度)の座標p=(0,0)と、最高値(最高輝度)の座標q=(255,255)と、を通るととともに、入力輝度Y0に対して出力輝度Y1Lが「-25」となる座標rとの三点を通る曲線(Y1L=Y0
1/γ1)を算出する。そして、γ曲線係数算出部34cは、第一の係数として、「γ1」を算出する。この場合、第一のγ曲線52Lは、出力輝度Y1L=入力輝度Y0となる直線54に対して下に凸の曲線となる。同様に、γ曲線係数算出部34cは、関心領域40FRについて、図15に示すように、第二のγ曲線52Rとして、最低値(最低輝度)の座標p=(0,0)と、最高値(最高輝度)の座標q=(255,255)と、を通るととともに、入力輝度Y0に対して出力輝度Y1Rが「+25」となる座標sとの三点を通る曲線(Y1R=Y0
1/γ2)を算出する。そして、γ曲線係数算出部34cは、第二の係数として、「γ2」を算出する。この場合、第二のγ曲線52Rは、出力輝度Y1R=入力輝度Y0となる直線54に対して上に凸の曲線となる。
線形補間部34aは、γ曲線係数算出部34cが算出したγ曲線係数γ1およびγ2を用いて、直線補間式56を生成する。図16は、縦軸をγ曲線係数、横軸を車幅方向の輝度補正対象の位置座標とした図であり、関心領域40FLの中心座標をX1として場合にγ曲線係数が「γ1」となり、関心領域40FRの中心座標をX2として場合に、γ曲線係数が「γ2」となる場合の、直線補間式56(γ=aX+b)である。したがって、輝度設定部34dは、直線補間式56に基づき関心領域40FLと関心領域40FRの間の位置の補正対象の位置に対応するγ曲線係数を算出し、入力輝度Y0(元画像の輝度)と出力輝度Y1との関係を示すY1=Y0
1/γに、算出したγ曲線係数と補正対象の位置の輝度(元画像の輝度値、入力輝度Y0)を代入する。その結果、一対の関心領域40の間の領域の補正後の輝度(出力輝度Y1)を算出することができる。このような補正を他の画像においても実行することにより、画像が黒つぶれ(暗すぎる補正)や白飛び(明るすぎる補正)を発生しにくい、情報欠如の抑制が可能で、認識しやすい周辺画像を生成できる。
次に、画像処理システム100(画像処理装置)の処理の他の例について、図17のフローチャートおよび図18~図20を用いて説明する。
図17のフローチャートを用いて、「通常輝度状態」の場合、つまり、各撮像部14で撮像した各画像間の輝度に大きな格差が生じにくい状態で、固定値加算設定部32bにより、線形補間式の補正を所定の値により行い、輝度補正(輝度の底上げ補正)を実行する場合について説明する。
まず、CPU24aは、車両10を中心とする俯瞰視の周辺画像を生成するタイミングであるかを判定する(S200)。この判定は、例えば、CPU24aが車両10の操作状態(例えば、シフトレバーが後退走行の位置に移動された場合等)や操作入力部20等を介して運転者の表示要求操作が行われた場合に肯定判定とある。CPU24aが、周辺画像を生成すると判定した場合(S200のYes)、取得部28は、各撮像部14が撮像する被撮像領域36の画像(画像情報)を取得する(S202)。なお、周辺画像を生成するタイミングではないと判定された場合(S200のNo)、一旦、図17のフローを終了する。
続いて、関心領域設定部30は、取得した各画像の被撮像領域36に対して関心領域40の設定を行う(S204)。続いて、固定値加算設定部32bは、例えば、車両10の前方の被撮像領域36Fについて、設定された車幅方向の二つの関心領域40(関心領域40FLと関心領域40FR)の輝度(関心領域40内の平均輝度)の平均値を算出し被撮像領域36Fの目標輝度とする(S206)。例えば、図18に示すように、被撮像領域36Fの車幅方向(X軸方向)左側の関心領域40FLの輝度が256階調の「150」であり、右側の関心領域40FRの輝度が256階調で「100」であるとする。この場合、固定値加算設定部32bは、「125」を目標輝度に設定し、関心領域40FLおよび関心領域40FRの輝度が目標輝度(例えば「125」)になるように補正するための補正値を設定する(S208)。図17の場合、被撮像領域36Fにおいて、関心領域40FLは、輝度値Mとして「-25」の補正値が設定され、関心領域40FRは、「+25」の補正値が設定される。
線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FLの補正値(N=-25)と、関心領域40FRの補正値(N=+25)を用いて、直線補間式42を生成する(S210)。その結果、関心領域40FLと関心領域40FRとの間の車幅方向(X軸方向)の輝度の補正量が直線補間式42Fによって示される。
ところで、この例の場合、目標輝度は、補正対象の被撮像領域36に含まれる二箇所の関心領域40(例えば、関心領域40FLと関心領域40FR)の輝度の平均値により決定され、直線補間式42が生成されている。そのため、目標輝度が低すぎる、つまり、輝度補正処理を実行したにも拘わらず、補正後の画像が十分に明るくない場合がある。そこで、固定値加算設定部32bは、直線補間式42によって補正される輝度が予め設定された輝度(下限輝度)より低く、増加調整が必要であると判定した場合(S212のYes)、固定値加算設定部32bは所定の値(調整値)による補正を実行する(S214)。例えば、S208で設定した補正値に予め定めた調整値(例えば、調整輝度値=50)を加算する。すなわち、図19に示すように、関心領域40FLの輝度と関心領域40FRの輝度の平均値によって定められた目標輝度(例えば「125」)になるような補正値(「-25」および「+25」)のそれぞれに、調整輝度値=50を加算する。言い換えれば、直線補間式42をそのまま輝度値+50となるように増加方向にシフトして、直線補間式42aを生成する。輝度設定部34dは、直線補間式42aに基づき、関心領域40FLと関心領域40FRとの間の領域の輝度および、被撮像領域36Fにおいて、車両前後方向(Z軸方向)の領域の輝度を同様な補正量で設定(補正)する(S216)。この場合、被撮像領域36Fの輝度は、一律に「+50」だけ底上げされ、明るい画像となる。なお、S212において、直線補間式42によって補正される輝度が予め設定された輝度(下限輝度)以上の場合、増加調整の必要はないと判定し(S212のNo)、S214の処理をスキップする。
第1設定部32は、車両10の前方の被撮像領域36Fおよび後方の被撮像領域36Rの輝度補正が完了したか否かの監視を行い(S218)、完了していない場合(S218のNo)、S204に戻り、同様な処理を実行する。一方、車両10の前方の被撮像領域36Fおよび後方の被撮像領域36Rの輝度補正が完了している場合(S218のYes)、第1設定部32は、車両10の側方の被撮像領域36SLおよび被撮像領域36SRの輝度補正のために、関心領域40の設定を行う(S220)。そして、第1設定部32は、被撮像領域36SLおよび被撮像領域36SRの関心領域40の輝度を既に輝度補正が完了している被撮像領域36Fおよび被撮像領域36Rの関心領域40の輝度を目標輝度として設定する(S222)。
例えば、図20に示されるように、被撮像領域36Fにおける関心領域40FLの補正後の輝度が「175」で、被撮像領域36SLの関心領域40FLの補正前(撮像時の輝度)が「100」の場合、第1設定部32は、被撮像領域36SLの関心領域40FLの目標輝度を「175」に設定する(S222)。つまり、第1設定部32は、被撮像領域36SLの関心領域40FLの補正値として「+75」を設定する(S224)。一方、被撮像領域36Rにおける関心領域40RLの補正後の輝度が「100」で、被撮像領域36SLの関心領域40RLの補正前(撮像時の輝度)が「50」の場合、第1設定部32は、被撮像領域36SLの関心領域40RLの目標輝度を「100」に設定する(S222)。つまり、被撮像領域36SLの関心領域40RLの補正値は「+50」となる(S224)。
線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FLの補正値(N=+75)と、関心領域40RLの補正値(N=+50)を用いて、直線補間式42Lを生成する(S226)。その結果、関心領域40FLとの関心領域40RLとの間の車両前後方向(Z軸方向)の輝度の補正量が直線補間式42Lによって示される。そして、輝度設定部34dは、直線補間式42Lに基づき、関心領域40FLと関心領域40RLとの間の領域の輝度および、被撮像領域36SLにおいて、車幅方向(X軸方向)の領域の輝度を同様な補正量で設定(補正)する(S228)。
第1設定部32は、車両10の左側方の被撮像領域36SLおよび右側方の被撮像領域36SRの輝度補正が完了したか否かの監視を行い(S230)、完了していない場合(S230のNo)、S220に戻り、同様な処理で被撮像領域36SRに関する直線補間式42Rを生成して、右側方の輝度補正処理を実行する。一方、左側方の被撮像領域36SLおよび右側方の被撮像領域36SRの輝度補正が完了している場合(S230のYes)、CPU24aは、表示制御部24dを用いて、各画像を繋ぎ合わせて俯瞰視の周辺画像を生成させ、表示装置16に表示させて(S232)、次の処理周期でS200からの処理を繰り返すことで、周辺画像の更新を行う。この場合、図20に示すように、関心領域40FLが含まれる被撮像領域36Fと被撮像領域36SLとは、輝度「175」で統一され滑らかに繋がる。同様に、関心領域40RLが含まれる被撮像領域36SLと被撮像領域36Rとは、輝度「100」で統一され滑らかに繋がる。また、関心領域40RRが含まれる被撮像領域36Rと被撮像領域36SRとは、輝度「100」で統一され滑らかに繋がる。関心領域40FRが含まれる被撮像領域36SRと被撮像領域36Fとは、輝度「175」で統一され滑らかに繋がる。つまり、生成される周辺画像は、各画像の繋ぎ合わせ部分に輝度の格差がなく滑らかに繋がった違和感のない見やすい画像となる。また、各関心領域40の間の輝度も直線補間式42a,42L,直線補間式42Rによって補正されているため、明るすぎる部分や暗すぎる部分の生成が抑制され、周辺画像のいずれの部分でも画像内容の認識がしやすくなる。なお、図17の処理においても、前述したような、線形補間式の傾きの補正や、γ曲線係数を用いた線形補間式の算出を適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
次に、画像処理システム100(画像処理装置)の処理の他の例について、図21のフローチャートおよび図22~図24を用いて説明する。
図21のフローチャートを用いて、車両10の周囲の明るさの状況が「特定輝度状態」であるか否かの判定を含む場合、つまり、各撮像部14で撮像した各画像間の輝度に大きな格差が生じ得る場合の輝度補正の処理について説明する。
まず、CPU24aは、他の補正処理の場合と同様に、車両10を中心とする俯瞰視の周辺画像を生成するタイミングであるかを判定する(S300)。この判定は、例えば、CPU24aが車両10の操作状態(例えば、シフトレバーが後退走行の位置に移動された場合等)や操作入力部20等を介して運転者の表示要求操作が行われた場合に肯定判定となる。CPU24aが、周辺画像を生成すると判定した場合(S300のYes)、取得部28は、各撮像部14が撮像する被撮像領域36の画像(画像情報)を取得する(S302)。なお、周辺画像を生成するタイミングではないと判定された場合(S300のNo)、一旦、図20のフローを終了する。
続いて、関心領域設定部30は、取得した各画像の被撮像領域36に対して関心領域40の設定を行う(S304)。続いて、特定モード判定部31は、側方画像情報(被撮像領域36SLや被撮像領域36SR)を参照し、車両10の周囲の明るさの状態が「通常輝度状態」か「特定輝度状態」かの判定を実行する(S306)。特定モード判定部31の判定の結果、「特定輝度状態」ではない場合(S306のNo)、第1設定部32は、輝度補正の処理設定を「通常輝度状態」に対応する「通常モード設定」に移行する(S308)。一方、特定モード判定部31の判定の結果、「特定輝度状態」である場合(S306のYes)、第1設定部32は、輝度補正の処理設定を「特定輝度状態」に対応する「特定モード設定」に移行する(S310)。
「通常モード設定」に移行した場合、まず、車両10の前方の被撮像領域36Fに対して、図6のフローチャートで説明した処理と同様な処理を実行する。例えば、固定値設定部32aは、各関心領域40に対して、所定の値として定めた目標輝度(例えば、256階調で「200」)を設定する(S312)。そして、固定値設定部32aは、関心領域40の輝度が目標輝度(例えば「200」)になるように補正するための補正値を、例えば、図7で説明したように設定する(S314)。
続いて、線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FLの補正値(例えば、N=-50)と、関心領域40FRの補正値(例えばN=+50)を用いて、直線補間式42(42F)を生成する(S316)。その結果、被撮像領域36Fにおける関心領域40FLと関心領域40FRとの間の車幅方向(X軸方向)の輝度の補正量(個別補正値)が直線補間式42Fによって示される。そして、輝度設定部34dは、生成された直線補間式42Fで算出される個別補正値に基づき、関心領域40FLと関心領域40FRとの間の領域の輝度を補正する。同様に、被撮像領域36Fにおいて、車両前後方向(Z軸方向)の領域の輝度を同様な個別補正値で補正する(S318)。その結果、図8で説明したものと同様に、補正前の被撮像領域36Fは、車幅方向左側(関心領域40FLの部分)の輝度が例えば「250」から「200」に暗くなるように補正され、車幅方向右側(関心領域40FRの部分)の輝度が例えば「150」から「200」に明るくなるように補正される。
CPU24aは、「通常モード設定」の場合、上述のような補正処理が全画面に対して完了したか否かを監視する(S320)。そして、補正処理が完了していない場合(S320のNo)、S304に戻り、関心領域設定部30、第1設定部32、第2設定部34は、上述した処理を、被撮像領域36R、被撮像領域36SL、被撮像領域36SRに対して実行する。
CPU24aは、全ての画像(被撮像領域36F、被撮像領域36R、被撮像領域36SL、被撮像領域36SRの画像)に対して補正処理が完了したことが確認されると(S320のYes)、周辺画像を生成させる。つまり、CPU24aは、表示制御部24dにより、各画像を繋ぎ合わせて俯瞰視の周辺画像を生成させ、表示装置16に表示させて(S322)、次の処理周期でS300からの処理を繰り返すことで周辺画像の更新を行う。この場合、図10に示すように、各関心領域40(40FL,40RL,40RR,40FR)の輝度が256階調で「200」となり、各被撮像領域36(36F,36SL,36R,36SR)を繋ぎ合わせが滑らかに行われた周辺画像44を生成することができる。また、各関心領域40の間の輝度も直線補間式42によって補正されているため、明るすぎる部分や暗すぎる部分の生成が抑制され、周辺画像44のいずれの部分でも画像内容の認識がしやすくなる。なお、「通常モード設定」における輝度補正は、固定値設定部32aに代えて固定値加算設定部32bで実行してもよい。
一方、S306で、特定モード判定部31により現在の状態が「特定輝度状態」であると判定され、「特定モード設定」に移行した場合(S310)、特定モード補正部32cは、各画像に対して、特定モード用の輝度設定を実行する。
図22は、「特定輝度状態」であると判定される場合の、車両10の前方の被撮像領域36Fおよび後方の被撮像領域36Rの撮像時の輝度状態の例を示す模式図である。前述したように、例えば、夜間で周囲の明かりが無い状態で、車両10が単独で存在し、ヘッドライトを点灯した場合、車両10の前方側のみが非常に明るくなる。そのため、撮像部14aで撮像を行うと、絞り調整が行われ、実際の輝度より暗めの画像が撮像される。図22の場合、関心領域40FLの輝度が例えば「120」、関心領域40FRの輝度が例えば「130」に抑えられている例である。また、実質的に真っ暗な車両10の後方を撮像する撮像部14dから取得された被撮像領域36Rに関しては、絞り調整により関心領域40RLの輝度が「10」に、関心領域40RRの輝度が「20」に増加調整されている例である。
特定モード補正部32cは、「特定モード設定」の場合、被撮像領域36Fには、固定値設定部32aと同様な輝度補正を実行し、被撮像領域36Rに関しては、固定値設定部32aまたは固定値加算設定部32bと同様な輝度補正を実行する。図21のフローチャートで示す例では、固定値設定部32aと同様な処理で固定の目標輝度を設定する例を説明する。したがって、特定モード補正部32cは、まず、関心領域40FLおよび関心領域40FRに対して、図7で説明した場合と同様に、所定の値として目標輝度(例えば、256階調で「150」)を設定するとともに(S312)、関心領域40FLおよび関心領域40FRの輝度が目標輝度(例えば「150」)になるように補正するための補正値を設定する。この場合、関心領域40FLの補正値は、例えば「N=+30」に設定され、関心領域40FRの補正値は、例えば「N=+20」)に設定される(S314)。続いて、線形補間部34aは、特定モード補正部32cが設定した関心領域40FLの補正値(例えば、N=+30)と、関心領域40FRの補正値(例えばN=+20)を用いて、直線補間式42(42F)を生成する(S316)。その結果、関心領域40FLと関心領域40FRとの間の車幅方向(X軸方向)の輝度の補正量が直線補間式42Fによって示される。そして、輝度設定部34dは、生成された直線補間式42Fで算出される補正値に基づき、関心領域40FLと関心領域40FRとの間の領域の輝度を補正する。また、輝度設定部34dは、被撮像領域36Fにおいて、車両前後方向(Z軸方向)の領域の輝度を同様な補正値で補正する(S318)。その結果、図8で説明したように、補正前の被撮像領域36Fは、車幅方向左側(関心領域40FLの部分)の輝度が例えば「120」から「150」に明るくなるように補正され、車幅方向右側(関心領域40FRの部分)の輝度が例えば「130」から「150」に明るくなるように補正される。
CPU24aは、「特定モード設定」の場合、上述のような補正処理が全画面に対して完了したか否かの監視を行う(S320)。この場合、CPU24aは、補正処理がまだ完了していないと判定して(S320のNo)、S304に戻る。そして、関心領域設定部30、第1設定部32、第2設定部34は、上述した処理を、被撮像領域36Rに対して実行する。その結果、被撮像領域36Rは、車幅方向左側(関心領域40RLの部分)の輝度が例えば「車両10」から「150」に明るくなるように補正され、車幅方向右側(関心領域40RRの部分)の輝度が例えば「20」から「150」に明るくなるように補正される。
次に、CPU24aは、車両10の側方の被撮像領域36SLに関する輝度補正をS304~S318にしたがって実行する。図23は、「特定輝度状態」であると判定される場合の、車両10の側方の被撮像領域36SLおよび被撮像領域36SRの撮像時の輝度状態の例を示す模式図である。例えば、夜間に明かりのない状況で車両10のヘッドライトが点灯している場合、被撮像領域36SLの前方側の領域Hのみが非常に明るく、他の大部分は非常に暗くなる。そのため、撮像部14bで撮像を行うと、絞り調整が行われ、実際の輝度より明るく調整された画像が撮像される。図22の場合、領域Hに含まれる関心領域40FLおよび関心領域40FRはより明るくなるような調整が行われ、例えば「255」で最高輝度値を示している。また、車両後方の関心領域40RLも明るくなるような補正が行われ、輝度が例えば「30」に増加調整され、関心領域40RRに関しても輝度が例えば「20」に増加調整されている例である。
特定モード補正部32cは、「特定モード設定」の場合、被撮像領域36SLおよび被撮像領域36SRに関して、前方側の関心領域40(関心領域40FLおよび関心領域40FR)の輝度を目標輝度(第一の目標輝度)にするための補正値(第一の補正値)を当該車両前方領域の輝度に応じて決定している。例えば、図24に示すように、被撮像領域36SLの現在の前方側の関心領域40FLの輝度(例えば、「255」)をそのまま目標輝度に設定する(S312)。したがって、関心領域40FLの補正値は、「N=+0」となり(S314)、増減調整が行われないようにする。
一方、特定モード補正部32cは、被撮像領域36SLおよび被撮像領域36SRの車両後方領域に含まれる関心領域(関心領域40RLおよび40RR:第二の関心領域)の輝度を目標輝度(第二の目標輝度)にするための補正値(第二の補正値)を車両の後方を撮像した被撮像領域36Rの後方画像情報の輝度に応じて決定する。上述したように、特定モード補正部32cは、被撮像領域36Rについて、所定の値として予め決定された目標輝度(例えば「150」)になるように補正しているため、関心領域40RLおよび関心領域40RRも同じ目標輝度「150」になるように、補正値(第二の補正値)を決定する。したがって、図24の場合、被撮像領域36SLの関心領域40RLの補正値は、「N=+120」に設定される(S314)。
続いて、線形補間部34aは、特定モード補正部32cが設定した関心領域40FLの補正値(例えば、N=+0)と、関心領域40RLの補正値(例えばN=+120)を用いて、直線補間式42(42L)を生成する(S316)。その結果、関心領域40FLと関心領域40RLとの間の車両前後方向(Z軸方向)の輝度の補正量が直線補間式42Lによって示される。そして、輝度設定部34dは、生成された直線補間式42Lで算出される補正値に基づき、関心領域40FLと関心領域40RLとの間の領域の輝度を補正(設定)する。また、輝度設定部34dは、被撮像領域36SLにおいて、車幅方向(X軸方向)の領域の輝度を同様な補正値で設定(補正)する(S318)。このように、関心領域40FLの補正量が「N=+0」で関心領域40RLの補正量が「+120」となるような直線補間式42Lで、被撮像領域36SLの車両前方領域が輝度補正される。その結果、明るい状態からの補正量が少なく抑えられる。つまり、固定値設定部32aや固定値加算設定部32bのみを用いた輝度補正では、ヘッドライトの影響が現れる車両10の左前方領域の輝度が、輝度補正によって下げられて画像内容の視認性が低下する場合があった。一方、本実施形態においては、「特定輝度状態」であることを、被撮像領域36SLの画像から判定し、特定モード補正部32cの処理によって、車両左前方領域の明るさを保ち、視認性を維持することができる。
特定モード補正部32cは、被撮像領域36SRに関する輝度補正も36SLと東洋に、S304~S318にしたがって実行する。その結果、被撮像領域36SRについて、関心領域40FRの補正量が「N=+0」で関心領域40RRの補正値の補正量が「+130」となるような直線補間式42Rで、36SRの車両前方領域が輝度補正される。その結果、明るい状態からの補正量が少なく抑えられる。つまり、固定値設定部32aや固定値加算設定部32bのみを用いた輝度補正では、ヘッドライトの影響が現れる車両10の右前方領域の輝度が、輝度補正によって下げられて画像内容の視認性が低下する場合があった。一方、本実施形態においては、「特定輝度状態」であることを被撮像領域36SRの画像から判定し、特定モード補正部32cの処理によって、車両右前方領域の明るさを保ち、視認性を維持することができる。
CPU24aは、全ての画像(被撮像領域36F、被撮像領域36R、被撮像領域36SL、被撮像領域36SRの画像)に対して補正処理が完了すると(S320のYes)、表示制御部24dにより、各画像を繋ぎ合わせて俯瞰視の周辺画像を生成させ、表示装置16に表示させて(S322)、次の処理周期でS300からの処理を繰り返すことで周辺画像の更新を行う。
このように、特定モード補正部32cを用いた輝度補正によれば、固定値設定部32aや固定値加算設定部32bのみを用いた輝度補正では、暗くなり視認性が低下する領域が発生する虞のある「特定輝度状態」の場合でも、視認性の低下を抑制することができる。なお、被撮像領域36Fと被撮像領域36SLおよび被撮像領域36SRとの繋ぎ合わせ部分は、ヘッドライトの光に基づく高輝度部分により輝度境界が生じる。一方、被撮像領域36Rと被撮像領域36SLおよび被撮像領域36SRとの繋ぎ合わせ部分は、被撮像領域36Rの輝度に応じて輝度調整が行われるので、滑らかな繋がりとなる。その結果、周辺画像全体をしては、概ね輝度が滑らかに変化する視認性がよい画像を生成することができる。
なお、上述した例で、特定モード補正部32cは、被撮像領域36SLおよび被撮像領域36SRについて、現在の前方側の関心領域40FLおよび関心領域40FRの輝度(例えば、「255」)をそのまま目標輝度に設定して、側方画像の車両前方部分の視認性が低下することを抑制した。別の実施形態では、図23に示すように、関心領域40(関心領域40FL、40FR:第一の関心領域)の補正値(第一の補正値)を決定する場合、第一の関心領域の周辺で輝度が第一の所定値(例えば、被撮像領域36Fの目標輝度値である輝度「150」)未満の領域(シフト領域40FLdおよびシフト領域40FRd)に第一の関心領域を移動させて、そのシフト領域40FLdおよびシフト領域40FRdの輝度を第一の目標輝度としてもよい。この場合も移動した領域(シフト領域40FLdおよびシフト領域40FRd)における補正値は「+0」となる。一方、被撮像領域36SRの車両後方側は、大分部が暗く輝度差がないので、いずれの領域でも例えば、関心領域40RLと同様な輝度、例えば「30」と見なせる。したがって、被撮像領域36SLについて、シフト領域40FLd(移動した領域)の補正量が「N=+0」となり、シフト領域40FLdに対する車両後方側の関心領域の補正量が「+130」となるような直線補間式42が得られる。その結果、関心領域40FLの輝度をそのまま目標輝度とする場合と同様に、撮像時に明るかった車両前方側の領域の補正量が少なく抑えられる。つまり、車両前方側の領域の輝度の変化が軽減できて、画像内容の視認性を維持することができる。また、この場合、第一の所定値以上の明るい領域の補正を行うことなく(明るい領域を残しつつ)、かつ極端に暗くなることを抑制して、側方画像の全体の輝度補正を行うことができる。被撮像領域36SRについても同様である。その結果、複数の画像を繋ぎ合わせた周辺画像の画像内容の認識をしやすくすることができる。
また、上述した「特定モード設定」に移行して、被撮像領域36Rの輝度補正を行う際に、予め設定された目標輝度(例えば、「150」)になるように補正する場合を示した。別の例では、被撮像領域36Rにおいて、関心領域40RLと関心領域40RRの輝度の平均値を求めて、その平均値を目標輝度としてもよい。この場合、車両10の側方の被撮像領域36SLの関心領域40RLおよび被撮像領域36SRの関心領域40RRの目標輝度を平均値に設定する。被撮像領域36R、被撮像領域36SL、被撮像領域36SRの関心領域40RLおよび関心領域40RRの目標輝度として、平均値を用いることにより、各被撮像領域36を繋ぐ場合に、隣接する被撮像領域36間で輝度格差が抑制され滑らかな接続ができる。また、実際は真っ暗な領域である、被撮像領域36R等が、実際の輝度に近い状態で暗く表示されるので、視認性の向上性は少ないが、より現実に近い周辺画像の表示が可能になる。なお、被撮像領域36Fについても平均値を用いることができるが、ヘッドライトの影響で被撮像領域36F全体の輝度が明かり過ぎてしまう場合がある。そのため、平均値の利用を被撮像領域36Fの輝度に応じて決定するようにしてもよい。
上述した実施形態において、固定値設定部32aの設定する目標輝度や、固定値加算設定部32bが設定する調整値は、車両10の周囲の状況に拘わらず所定の値として説明した。例えば、夜間は、表示装置16の周囲が暗いので、表示装置16に表示する画像の輝度を全体として落としても、違和感はなく画像内容を認識することができる場合がある。逆に、昼間は周囲が明るいので、表示装置16の輝度をさらに高めた方が画像内容を認識しやすい場合がある。したがって、別の実施形態においては、例えば、昼夜等車両10の周囲の明るさ状態、または、表示装置16の明るさ設定に応じて所定の値を変更するようにしてもよい。
また、本実施形態の場合、撮像部14bは左のドアミラー10bに固定され、撮像部14cは右のドアミラー10cに固定されている。この場合、車両10のドアが閉まっている状態で撮影された画像を用いることで、撮像部14aや撮像部14dが撮像した画像との繋ぎ合わせが正確にできる。したがって。表示制御部24dは、ドアが開いている場合は、画像のつなぎ合わせが正確にできない。そのためCPU24aは、上述したような輝度の補正処理を実行せずに、参考としての周辺画像を生成するようにしてもよい。
本実施形態のCPU24aで実行される画像処理のためのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、画像処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される画像処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。