本開示の実施の形態について、以下に図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、並びに、工程(ステップ)及び工程の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施の形態1)
[1-1.構成]
以下、実施の形態1に係る波長変換素子1及び発光装置101の構成について説明する。
[1-1-1.基本構成]
まず、実施の形態1に係る波長変換素子1の基本構成について、図1Aから図4Aを用いて説明する。図1Aは、実施の形態1に係る波長変換素子1の上面から見た概略平面図であり、図1Bは、本実施の形態に係る波長変換素子1の構成を示す模式的な断面図である。図1Bにおいては、図1Aの断面線IB-IBにおける概略断面を示している。図1Cは、本実施の形態に係る波長変換素子1の波長変換部材10の端部の拡大平面図である。図1Cは、図1Aの破線枠で囲まれた領域ICの拡大図を示している。図2は、本実施の形態に係る波長変換素子1を備える発光装置101の模式的な断面図である。図3は、本実施の形態に係る発光装置101における波長変換素子1の動作を説明するための模式図である。図4Aは、本実施の形態に係る波長変換素子1の波長変換部材10の端付近の拡大図である。なお、各図にはDx軸、Dy軸及びDz軸の三次元直交座標軸を示している。
図1A及び図1Bに示すように、波長変換素子1は、励起光を吸収して、蛍光を出射する波長変換部材10と、波長変換部材10を支持する支持部材40とを備える。
図1Bに示すように、支持部材40は、波長変換部材10が配置される第1支持面22aを有する第1支持部22と、第2支持面32aを有する第2支持部32とを有する。第1支持面22aは、第1支持部22における第2支持部32から遠い側の表面である。
第1支持部22は、第2支持部32の第2支持面32aから突出する。本実施の形態では、第2支持部32の第2支持面32aに第1支持部22が接着され、第1支持部22の第1支持面22aに波長変換部材10が形成される。
図1Aに示すように、第2支持面32aの平面視において、第2支持部32に内包されるように第1支持部22が配置される。さらに、図1Cに示すように、波長変換部材10は、第1支持面22aの平面視において第1支持面22aの外側に配置された張出部10pを有する。なお、図1Cにおいて、点線で第1支持面22aのエッジを示している。より具体的な構成を以下説明する。
第2支持部32は、例えば、図1Aに示すように一対の第1辺32Wと一対の第2辺32Lを有する矩形で平板状の基板であり、廉価で熱伝導率の高い材料で構成されてもよい。これにより、波長変換素子1の放熱性を高めることができる。具体的には、第2支持部32は、例えば、主材料がシリコンである。また、外形は、例えば、第1辺32Wの長さが3mm、第2辺32Lの長さが4mm、厚みが0.2mmである。
そして、図1Bに示すように、第2支持部32は、第1支持部22が配置される第2支持面32aと、第2支持面32aに対して反対側(つまり裏側)に位置する第2固定面32bとを有する。そして、第2支持面32aには、第2金属膜34が形成される。第2金属膜34は、例えば、第2支持面32a側から順にTi、Pt及びAuの三つの薄膜が積層された積層膜である。
第1支持部22は、例えば、第2支持部32より外形が小さい矩形で平板状の基板で構成される。そして、第2支持部32と同様に、廉価で熱伝導率の高い材料で構成されてもよい。これにより、波長変換素子1の放熱性を高めることができる。第1支持部22は、例えば厚みが0.1mmで、外形は短辺0.5mmと長辺0.6mmで構成される矩形の板状の無機材料で形成された基板である。本実施の形態では、第1支持部22は、シリコンで形成される。第1支持部22は、波長変換部材10が配置される第1支持面22aと、第1支持面22aに対して反対側に位置する第1固定面22bとを有する。本実施の形態では、図1Cに示すように、第1支持面22aの平面視における第1支持面22aの外周のうち張出部10pが配置された部分において、さらに、第1固定面22bの外周の少なくとも一部は、第1支持面22aの内側に配置されている。
波長変換素子1は、さらに、第1支持部22と波長変換部材10との間に配置された反射部材24を備える。本実施の形態では、第1支持面22aの上に膜状の反射部材24が形成される。図4Aに示すように、反射部材24は、例えば第1支持面22a側から順番に、例えば、厚み50nmのTi及び厚み200nmのAgの金属を含む金属反射膜24aと、金属反射膜24a上に配置され、SiO2、Al2O3及びTiO2などからなる誘電体多層膜24bとを有する増反射膜である。
このような反射部材24が配置されていることにより、波長変換部材10から第1支持部22へ向かう蛍光及び励起光を波長変換部材10へ戻すことができるため、波長変換部材10における発光効率を向上できる。これにより、波長変換素子1からの出射光のエッジにおけるコントラストをより高めることができる。
また、波長変換素子1は、第1支持部22と第2支持部32との間に配置された第1金属膜26を備える。第1金属膜26は、例えば、第1固定面22b側から順にTi、Pt、Auなどの金属膜が積層された積層膜である。
波長変換部材10は、例えば、式(Y,Lu,Sm,Gd)3(Ga,Al,In)5O12:Ceで表されるセリウム賦活イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG:Ce)系蛍光体からなる蛍光体粒子と、シルセスキオキサンなどの透明結合材料とが混合された部材である。波長変換部材10は、反射部材24上に形成される。
このような波長変換素子1を用いた発光装置101について、図2及び図3を用いて説明する。
発光装置101は、半導体発光装置110と、波長変換素子1と、集光光学系120とを備える。
半導体発光装置110は、励起光を出射する励起光源の一例であり、半導体発光素子111を備える。半導体発光素子111は、例えば、紫外光又は可視光であるレーザ光を出射する窒化物系半導体レーザ素子である。本実施の形態では、ピーク波長が430~470nmである青色レーザ光が半導体発光素子111から出射される。集光光学系120は、レンズなどの光学素子を一個又は複数個用いて構成する。本実施の形態では、ビーム整形機能を有する集光光学系120を用いる。
半導体発光装置110、集光光学系120、波長変換素子1は、図3に示す基台50に固定される。波長変換素子1は、基台50に、例えば、シリコーン接着剤などからなる第2接着層70により固定される。
そして、半導体発光装置110から出射された青色レーザ光である出射光81は、集光光学系120において屈折することで、波長変換素子1に近づくにしたがってビーム径が小さくなる励起光82となり、波長変換素子1に照射される。
波長変換素子1の波長変換部材10に照射された励起光82は、図3に示すように、一部は波長変換部材10に照射され、他の一部は第2支持面32aに配置された第2金属膜34に照射される。ここで励起光82のうち波長変換部材10に照射される成分を励起光82a、第2金属膜34に照射される成分を、励起光82c及び82dとする。
波長変換部材10に照射された励起光82aは、一部は、波長変換部材10の蛍光体で吸収され、波長550nm付近のブロードな波長分布を持つ蛍光93となり、波長変換部材10から出射される。このとき蛍光93は、波長変換部材10の表面から出射されるが、指向性がない、例えばランバート配光で出射される。また、他の一部の励起光82aは、波長変換部材10で散乱され、同様に指向性がない散乱光92aとなり波長変換部材10から出射される。この結果、波長変換部材10からは、蛍光93と散乱光92aが混合した白色光である出射光91が出射される。
一方で、第2金属膜34に照射された励起光82c及び82dは、それぞれ一部が第2金属膜34で吸収され、他の一部が表面で散乱され、反射光92c及び92dとなり、波長変換素子1から出射される。
[1-1-2.波長変換素子の詳細構成]
上述したような波長変換素子1の構成について、波長変換部材10の端部付近及び第1支持部22の側面22sを中心に、図4A及び図4Bを用いて詳細に説明する。図4Bは、本実施の形態に係る波長変換素子1の波長変換部材10の端付近における励起光及び蛍光の光路を示す図である。図4A及び図4Bは、図3における波長変換素子1の領域IVの模式的な拡大図の一例である。図4Bは、領域IVにおける励起光、散乱光及び蛍光の光路を示す断面図である。
図4Aに示すように、第1支持部22の表面に、金属反射膜24aと誘電体多層膜24bとを有する反射部材24が形成されている。そして反射部材24の上に波長変換部材10が配置される。本実施の形態において、第1支持面22aは、波長変換部材10と第1支持部22との間にあり、反射部材24が第1支持部22の厚みと比較して十分薄い場合には、反射部材24の表面を第1支持面22aとしてもよい。
波長変換部材10は、例えば、励起光を吸収して蛍光を発生する複数の蛍光体粒子10aと、複数の蛍光体粒子10aを結合する結晶、多結晶質又はシロキサン結合を含む結合部材により構成される。本実施の形態では、波長変換部材10は、YAG蛍光体からなる平均粒径が5μm程度の蛍光体粒子が、シルセスキオキサンなどの透明結合部材に混合されたものであり、反射部材24上に30μm程度の厚みで形成されている。ここで、蛍光体粒子の平均粒径D50は、3μm以上、20μm以下であってもよい。また、蛍光体粒子の平均粒径D50を5μm程度とすることにより、波長変換効率を高めることができる。
そして、第1支持部22及び波長変換部材10は製造時に切断されるため、それぞれ、切断面である側面22s及び側面10sを有する。そして側面22sは、第1支持面22aと第2支持面32aとをつなぐ面であり、第1支持面22a側の側面22s1と、第2支持面32a側の側面22s2とを有する。基準線E10は、第1支持部22の端部の位置を示した基準線である。つまり、基準線E10は、第1支持部22の端部を通り、第1支持面に垂直な線である。基準線E10は、第1支持部22の第1支持面22aにおける最外位置を表す。図4Aに示すように、波長変換部材10の一部である張出部10pが基準線E10よりも外側(図4Aの左側)にはみ出ている。
図4Bは、波長変換素子1に励起光82が照射されている場合の励起光82などの光路を示す模式図である。図4Bにおいて、励起光82は波長変換部材10の表面だけでなく、側面10s、第1支持部22の側面22sなどにも照射される。このとき、波長変換部材10の張出部10pは第1支持部22よりも外側にあるため、第1支持面22aに励起光82が照射されることを低減できる。ここで、張出部10pの寸法は、特に限定されない。張出部10pが第1支持面22aの端部からの張り出し長さは、例えば、蛍光体粒子10aの平均粒径の半分以上、または、2μm以上でもよい。これにより、第1支持面22aへの励起光82の照射を十分に低減できる。
したがって、励起光82が波長変換部材10の端部近傍の第1支持面22aで散乱し、その散乱光が波長変換部材10からの出射光と同一方向へ伝搬するのを低減することができる。このため、本実施の形態に係る波長変換素子1を用いた発光装置101において、波長変換部材10からの出射光による投影像の周辺に散乱光による像が投影されるのを抑制することができる。このため、散乱された励起光である迷光が、波長変換部材10から出射される出射光の照度分布特性に悪影響を及ぼすことを抑制できる。これにより、波長変換部材10からの出射光のエッジ(波長変換部材10のエッジに対応する出射光照射領域端部)におけるコントラストを高めることができる。したがって、エッジが明瞭な(エッジのコントラストが大きい)出射光を出射できる波長変換素子1を実現できる。
より具体的には、図4Bに示すように、励起光82が励起光82a、82b1、82b2及び82b3とで構成され、波長変換部材10のそれぞれの部位に照射されるとする。
励起光82aは、波長変換部材10の表面に照射され、一部は、波長変換部材10の表面及び内部で散乱された散乱光92aとなり波長変換部材10から出射される。
一方、励起光82b1は、波長変換部材10の側面10sに照射され、一部は散乱された散乱光92b1として、主に横方向に出射される。つまり、散乱光92b1は、主に、散乱光92aとは異なる方向に出射される。励起光82b2及び82b3は、それぞれ第1支持部22の側面22s1及び22s2に照射され、一部は、反射され反射光92b2及び92b3として主に横方向へ出射される。このとき側面22sから出射される反射光92b2、92b3の一部は、散乱光92aと同じ方向に向かうが、同様に側面から出射される蛍光93b1よりも視感度が低いため、投影像への影響が小さい。
さらに、本実施の形態では、第1支持部22の側面22sにおいて、第1支持面22a側の側面22s1よりも第1固定面22b側の側面22s2が第1支持部22の内側に配置されている。言い換えると、図1Cに示すように、第1支持面22aの平面視における第1支持面22aの外周のうち張出部10pが配置された部分において、第1固定面22bの外周の少なくとも一部は第1支持面22aの内側に配置されている。
この構成により、側面22s2からの反射光92b3が散乱光92aと同様の方向に出射されるのを低減させることができるため、波長変換部材10の端部付近の散乱光による投影像への影響を低減することができる。
このとき、波長変換部材10が第1支持面22aからはみ出た張出部10pを有することで、投影像の境界が明瞭な発光装置101を実現できる。本実施の形態において、張出部10pは、波長変換部材10の少なくとも励起光の入射する側に形成されている。
[1-2.製造方法]
続いて本実施の形態に係る波長変換素子1の製造方法について、図面を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係る波長変換素子1の製造工程の一部を示す模式的な断面図である。
図5を用いて、第1支持部22上に波長変換部材10を形成した個片を製造する方法を説明する。このとき、複数の部品を同時に製造可能なウエハ状の基板を用いることで、製造を簡易化する。以下、製造工程の一例について具体的に説明する。
図5の断面図(a)に示すように、まず、第1支持部A22を準備し、一方の主面である第1支持面A22aに反射部材A24を形成し、他方の主面である第1固定面A22bに第1金属膜A26を形成する。第1支持部A22は、例えば、シリコンウエハである。
このとき、蒸着装置などの成膜装置を用いて、第1支持部A22の第1支持面A22aに、まずTi密着層とAg反射層を順に成膜することによって金属反射膜を形成する。続いて、形成された金属反射膜上に、SiO2、Al2O3、TiO2などからなる誘電体多層膜を成膜する。以上のように、金属反射膜及び誘電体多層膜を有する反射部材A24を形成する。
そして、第1支持面A22aと反対の面である第1固定面A22bに、Ti密着層、Ptバリア層及びAu層を成膜し、第1金属膜A26を形成する。
続いて、図5の断面図(b)に示すように、反射部材A24上に波長変換部材A10a及びA10bを形成する。波長変換部材A10a及びA10bは、例えば以下の方法で形成される。まず、平均粒径5μm程度のYAG蛍光体からなる蛍光体粒子を、シルセスキオキサンのオリゴマーを有機溶媒に溶解させたものに混合した蛍光体ペーストを作製する。そして、その蛍光体ペーストを、開口部を有するマスクを用いて、第1支持部A22に形成された反射部材A24上に所定のパターン及び厚みで塗布する。そして、蛍光体ペーストが塗布された第1支持部A22を、ベーク炉内に入れ、200℃程度で加熱することによってオリゴマーを縮合させるとともに有機溶媒を揮発させる。このように、蛍光体粒子10aが透明結合部材10b内に分散された波長変換部材A10a及びA10bを反射部材A24上に固着させる。
続いて、図5の断面図(c)に示すように、ダイシングブレードを用いて、第1支持部A22の第1固定面A22b側(つまり、第1金属膜A26側)から溝A22sa、A22sb、A22sc、A22sd及びA22seを形成する。このとき、例えば、溝A22sbのように波長変換部材A10bの左側のエッジより波長変換部材A10bの内側に溝を配置する。また、溝A22saのように、波長変換部材A10aのエッジに対応する位置に溝を配置してもよい。
続いて、図5の断面図(d)に示すように、ブレード90により第1支持部A22を割断する。その結果、断面図(e)に示すように分離された第1支持基板A29a、A29b及びA29cを製造することができる。第1支持基板A29a、A29b及びA29cは、それぞれ、第1支持部22と、第1金属膜と、反射部材24と、波長変換部材10とを有する。
このとき、第1支持基板A29cに示すように、第1支持部22上に形成された波長変換部材10も同時に分断される。このとき波長変換部材10の透明結合部材10bは硬化後の硬度ショアDが50以上のシルセスキオキサンを使用しているため、容易に波長変換部材10を分断することができる。このとき波長変換部材10が、第1支持基板A29cの外側に配置する張出部10pを有するように分断してもよい。
図5の断面図(e)に示す第1支持基板A29aは波長変換部材10のエッジが第1支持部22のエッジよりわずかに外側にある第1支持基板の一例である。
第1支持基板A29bにおいては、波長変換部材10の一方(図5の左側)の端縁がパターン化されており、その端縁が第1支持部22のエッジの外側(図5の左側)に配置されている。つまり、波長変換部材10の図5の左側の張出部10pは、パターン化された端縁を有する。また、第1支持基板A29bにおける波長変換部材10の他方(右側)の端縁は割断によって形成された切断面であり。その切断面が第1支持部22のエッジの外側(図5の右側)に配置されている。つまり、波長変換部材10の他方(図5の右側)の張出部10pは、切断面を有する。
第1支持基板A29cにおいては、波長変換部材10の両側の端縁が切断面であり、その切断面が第1支持部22のエッジの外側になるように第1支持基板A29cが形成される。
続いて、波長変換部材10を備えた第1支持部22と第2支持部32とを固着する方法について図6を用いて説明する。
図6は、本実施の形態に係る波長変換素子1の第1支持部22と第2支持部32とを固着する方法を説明する模式的な断面図である。ここで、第1支持部22を有する第1支持基板として図5の断面図(e)に示す第1支持基板A29aを用いて説明する。
図6の断面図(a)に示すように第2支持部32を準備する。第2支持部32の第2支持面32aには、例えばTi、Pt及びAuからなる第2金属膜34が形成される。そして、第1支持基板A29aの外形に対応したサイズの、AuSnである第1接着層60を形成する。この第1接着層60の上部から第1支持基板A29aの固定面である第1金属膜26の表面を第2支持部32上に配置し、例えば350℃で第2支持部32を加熱する。このようにして、図6の断面図(b)に示すような第1支持部22と第2支持部32とが強固に固定された波長変換素子1を簡単に製造することができる。
上記のように、波長変換部材10及び第1支持部22の側面を割断又はパターン化によって形成することにより、張出部10pを形成することができる。このような張出部10pを有する波長変換素子1を用いることにより、出射光のエッジのコントラストが大きい発光装置101を構成することができる。特に、第1支持部22及び波長変換部材10を結晶基板又は多結晶基板で構成することにより、波長変換部材10に容易に張出部10pを形成することができる。
[1-3.機能]
続いて本実施の形態に係る波長変換素子1を搭載した発光装置101の構成と機能について図面を用いて説明する。
図7は、本実施の形態に係る発光装置101と、投光部材220とを組み合わせた投光装置201の模式的な断面図である。図7においては、図2に示した発光装置101の基本的な構成をより具体的に示している。
図7に示すように、発光装置101は、波長変換素子1と、半導体発光装置110と、集光光学系120とを備える。発光装置101は、さらに基台50と、光検出器130と、透光部材140と、ホルダ151と、プリント回路板160と、コネクタ170とを備える。
基台50は、発光装置101の各構成要素が配置される部材である。基台50には、半導体発光装置110と、集光光学系120と、波長変換素子1とが固定される。基台50は、図中のDy軸方向の長さが長く、Dx軸方向の幅が狭く、Dz軸方向の厚みが薄い、アルミニウム合金などの金属で構成される筐体である。さらに、基台50は、凹状のカップ形状である。
集光光学系120は、レンズ120aと、例えばプリズムである光学素子120bとで構成される。そして、波長変換素子1とレンズ120aと光学素子120bとは、基台50の凹部底面に配置される。
半導体発光装置110は、TO-CANタイプの半導体レーザ装置であり、半導体発光素子111が実装される。そして基台50の凹部側面の開口部に挿入される。
プリント回路板160は、光検出器130が実装された基板であり、基台50の凹部底面付近の開口部に挿入される。そして、半導体発光装置110のリードピンとプリント回路板160はコネクタ170を介して接続される。
半導体発光素子111は、光導波路の幅が10μm以上のマルチモードレーザである。半導体発光素子111は、出射光81の光軸方向(図7のDy軸方向)に垂直な方向のうち、出射光81の拡がり角が小さい方向が図7のDz軸方向に平行となり、出射光81の拡がり角が大きい方向がDx軸方向に平行となるように固定される。つまり、半導体発光素子111は、半導体発光素子111の積層方向がDx軸方向に平行となるように固定される。これにより、集光光学系120が備えるレンズ120a及び光学素子120bの厚み、つまりDx軸方向の長さを狭くすることができる。
光学素子120bは、側面から見ると台形状の角錐の透明部材で構成されるプリズムであり、上面の方が下面よりDy軸方向の幅が狭い。この構成により半導体発光素子111から水平方向、つまりDy軸方向に出射した出射光81は、レンズ120aより集光する光となり、光学素子120bに入射する。光学素子120bに入射した出射光81は、光学素子120bの入射面と出射面とで、下方、つまりDz軸の正から負に向かう向きに屈折し、波長変換素子1に斜め上方から照射される励起光82となる。波長変換素子1に照射された励起光82は、波長変換素子1の波長変換部材10で一部の光が変換され、蛍光93及び散乱光92aで構成される出射光91となり発光装置101から出射される。
発光装置101から出射された出射光91は、投光部材220で、ほぼ平行光である出射光295となり投光装置201から出射する。
コネクタ170は、外部回路との接続が可能なコネクタである。これにより半導体発光装置110及びプリント回路板160に外部から電力を印加することができる。
光検出器130は、波長変換素子1からの出射光を検出する検出器である。光検出器130は、例えばフォトダイオードなどあってもよく、プリント回路板160上に実装される。これにより波長変換素子1からの光を受光して、発光装置101の発光状態を外部へ検出信号として出力できる。
透光部材140は、波長変換素子1の上方、つまりDz軸方向に配置された部材であり、例えばカバーガラスである。透光部材140は、基台と同様にアルミニウムなどの金属で形成されたホルダ151に取り付けられ、基台50の凹部の開口部を覆うように固定される。これにより、発光装置101を構成する集光光学系120、波長変換素子1などを保護することができる。
本実施の形態に係る発光装置101においては、半導体発光装置110と集光光学系120とを、電気配線に用いるプリント回路板160の上方に配置し、下方に配置された波長変換素子1に斜め上方から励起光82を入射することができる。このための発光装置101の厚みを薄くし、投光装置201を小型化することができる。
また、上記構成において、光学素子120bを用いて、励起光82のビーム形状を整形してもよい。この構成により、波長変換素子1に照射される励起光82の光強度分布を均一にすることができる。
さらに、発光装置101は半導体レーザ装置である半導体発光装置110と蛍光体を含む波長変換素子1を用いて発光させる。このため、波長変換素子1から輝度が高い光を出射することができる。そして投光部材220を用いて、発光装置からの出射光を遠方に照射できる。
続いて波長変換素子1の機能について図面を用いて説明する。図8は、本実施の形態に係る波長変換素子1の近傍における励起光の光路を示した模式図である。図8では、説明を簡単にするため、半導体発光装置110、集光光学系120などは省略されている。
半導体発光装置110からの励起光82は、波長変換素子1の波長変換部材10側の斜め上方から照射される。
半導体発光装置110からの励起光82は、主に波長変換部材10及び第2金属膜34(第2反射面)に照射される。
図8に示される例では、励起光82は、波長変換素子1の左斜め上方から入射する。以下、図8における波長変換素子1の左斜め上方を「光源側」ともいう。
本実施の形態において、励起光82の光強度は中央部分が強く、中央部分から周辺に離れるに従い光強度が低下する。
そして、図8に示すように励起光82を照射領域ごとに、励起光82aと、励起光82bと、励起光82cと、励起光82dと、励起光82eとに分けて説明する。ここで、励起光82は照射位置に応じて強度分布があり、励起光82aの光強度が最も強い。また、励起光82bと励起光82cとは、互いに同程度の光強度を有し、励起光82aより光強度が低いと仮定する。また、励起光82dと励起光82eとは、励起光82b及び励起光82cよりさらに光強度が低いと仮定する。そして、第1支持部22の幅をW1とする。
そして、励起光82の光強度が最も強い部分が波長変換部材10に照射されるように設定される。そして、励起光82のうち、励起光82bは、第1支持部22の光源側の側面22sに照射される。そして励起光82dは、第1支持部22の光源側の第2金属膜34面の図8における幅W5の照射領域に照射される。
励起光82のうち、励起光82cは、第1支持部22に対して光源側と反対側に照射される。励起光82cは励起光82bと同程度の光強度を有する。励起光82cは第2金属膜34の図8において幅W3の照射領域に照射される。そして、波長変換部材10からさらに離れた第2金属膜34の図8において幅W4の照射領域に励起光82eが照射される。
上記構成において、波長変換素子1に照射される励起光82のうち、波長変換部材10が形成される幅W1の照射領域の光源側に隣接する幅W5の照射領域には、励起光82bよりも光強度が低い励起光82dが照射される。したがって、波長変換素子1の波長変換部材10の端部に照射される励起光のコントラストを大きくすることができる。また、波長変換部材10が形成される幅W1の照射領域の光源側と反対側に隣接する位置には、励起光82が照射されない幅W2の領域が形成される。したがって、波長変換素子1の波長変換部材10の端部に照射される励起光のコントラストを大きくすることができる。
上記の効果を、図面を用いてより具体的に説明する。図9は、本実施の形態に係る波長変換素子1から出射される光強度のシミュレーション結果を示すグラフである。図9のグラフ(a)は励起光82と励起光82a、励起光82b、励起光82c、励起光82d及び励起光82eとの関係を示す。図9のグラフ(b)は、波長変換素子1上の表面に照射される励起光82の光強度分布のシミュレーション結果を示す。図9のグラフ(b)は、波長変換素子1の上面から見た(つまり、第1支持面22aの上面視における)光強度分布を示す。シミュレーションにおいて、波長変換部材10の幅W1を0.5mm、第1支持部22の厚みを0.1mmとした。また、第1支持部22の側面22sは第1支持面22aに垂直な平面とし、励起光82の入射角度は、第1支持面22aの法線方向から70°とした。また波長変換部材10及び反射部材24の厚みは第1支持部22の厚みに対して十分に薄いためゼロとした。このとき、第1支持部22の側面22sに照射される励起光82が散乱されずに完全に反射されると仮定すると、グラフ(b)において破線で示した強度分布となる。一方、側面22sに照射される励起光82が側面22sで完全に吸収されると仮定すると、グラフ(b)において実線で示される強度分布となる。したがって、実際の波長変換素子1は、実線と破線との間の強度分布を有すると考えられる。
以上で述べたとおり、本実施の形態に係る波長変換素子1の構成により波長変換部材10である領域の両隣の幅W5の領域及び幅W2の領域において、出射光強度を急激に低下させることができる。したがって、波長変換素子1から明瞭なパターンの出射光91を出射させることができる。本実施の形態に係る波長変換素子1においては、さらに幅W1の波長変換部材10において、励起光82の一部を視感度の非常に高い黄色光に変換し、白色光を照射する。このとき、励起光82は、視感度において10倍以上の光へ変換される。したがって、波長変換素子1から明瞭なパターンの出射光91を出射させることができる。
また、上記のシミュレーションにおいて、発光領域の幅、つまり波長変換部材10の幅W1に対して、周辺の光量が低下する部分の幅W2が優位に大きければ、本実施の形態の効果は明確である。本シミュレーションにおいては、第1支持部22の第2支持面32aからの高さを高さH、励起光の入射角度をθとするとW2=H/tanθで表される。また幅W2は幅W1と比較し、1/10以上であれば優位に本実施の形態の効果が得られる。したがって、H/tanθ>W1/10が成り立つように高さHを設定することで本実施の形態に係る波長変換素子の効果は明瞭である。なお、ここで、第1支持部22の高さは、第2支持面32aから、第1支持面22aまでの高さで定義される。
本実施の形態においては、波長変換部材10の光源側と反対側の端部においても急峻な励起光の強度分布を実現できる。図10は、本実施の形態に係る波長変換部材10の光源側と反対側の端部を拡大した模式図である。入射側と同様に、波長変換部材10の端部の一部が第1支持部22の側面22sより外側に形成される。つまり、波長変換部材10は、第1支持面22aの平面視において、第1支持面22aから張り出す張出部10pを有する。このため、励起光82が第1支持部22の第1支持面22aに照射されない。したがって、波長変換素子1の波長変換部材10の端部付近で明瞭な光強度分布を形成することができる。つまり図10の励起光82a及び82cで示すように、一部は波長変換部材10に照射され蛍光93と散乱光92aで構成される出射光を出射する。しかし、波長変換部材10表面の近傍を通過しながらも、波長変換部材10の表面に照射されない励起光82cは、第1支持部22に有意な厚みがあるため、波長変換部材10の近傍から有意に離れた第2支持部32に照射される。
また、本実施の形態に係る波長変換素子1の構造においては、励起光82の進行方向に対して、平行な波長変換部材10の端部に対しても、励起光の強度分布を実現できる。
図11は、本実施の形態に係る励起光82の進行方向に対してほぼ平行な第1支持部22の側面22sにおける波長変換素子1と励起光82との関係を示す図である。
前述したものと同様に、波長変換部材10の端部の一部が第1支持部22の側面より外側に形成される。つまり、励起光82の進行方向に対して、平行な波長変換部材10の端部においても、波長変換部材10は、第1支持面22aの平面視において、第1支持面22aから張り出す張出部10pを有する。このため、励起光82が第1支持部22の表面である第1支持面22aに照射されない。つまり図11の励起光82a及び82fで示すように、一部は波長変換部材10に照射され蛍光93と散乱光92aで構成される出射光を出射する。しかし、波長変換部材10表面の近傍を通過しながらも、波長変換部材10の表面に照射されない励起光82fは、第1支持部22に有意な厚みがあるため、波長変換部材10の近傍から出射光の出射方向に対して、有意に離れた第2支持部32に照射され散乱される。
このとき波長変換部材10から出射される出射光及び第2支持部32から出射する散乱光92fは図示しない投光部材で取り込まれて投影される。このとき、波長変換部材10の近傍直下から出射される散乱光92fの一部は、第1支持部22により投光部材に取り込まれない。例えば、波長変換部材10の幅0.5mm、第1支持部22の厚みを0.1mmとし、投光部材220の取り込み角αを45°とすると、第1支持部22の側面22sから0.1mmの領域における、第2支持部32表面の散乱光92fは第1支持部22の側面22sで蹴られることになる。この場合、波長変換部材10の幅0.5mmに対して、その周辺0.1mmは、20%の幅の領域となるため、効果的に、波長変換素子1の波長変換部材10の端部付近で明瞭なエッジを有する光強度分布を形成することができる。
さらに、第1支持部22の厚みを有意に設定することで以下の効果も追加される。図12は、本実施の形態に係る波長変換素子1と、その上部に投影レンズである投光部材220を配置した図である。
第2金属膜34(第2反射面)の位置は、投光部材220の焦点位置である波長変換部材10からDz軸方向にずらすことができる。第2金属膜34から出射した反射光92dは、投光部材220によって十分に平行光化されない。このため、第2金属膜34(第2反射面)で発生している反射光92dのパターンを、投影位置において不明瞭にすることができる。例えば、第2金属膜34(第2反射面)における幅W2の領域と幅W3の領域との境界の光分布を不明瞭にすることができる。この構成により、幅W5の領域における出射光91のパターンを明瞭化することが可能となる。
上記効果は、波長変換部材の光源側の端部、及び、光源と反対側の端部のいずれにおいても同様に得られる。
[1-4.実験結果]
図13は、本実施の形態に係る波長変換素子1及び比較例の波長変換素子の輝度分布を測定した結果を示すグラフである。
図13のグラフ(a)は本実施の形態に係る波長変換素子1の発光領域の輝度分布を示し、図13のグラフ(b)は比較例の波長変換素子の発光領域の輝度分布を示す。
本測定に用いた本実施の形態に係る波長変換素子1において、第2支持部32として外形2mm角の窒化アルミニウムセラミック基板を用い、第2支持部32の第2支持面32aに第2金属膜34としてTi、Pt及びAuを成膜した積層膜を用いた。また、第1支持部22として、外形0.5mm角で、厚み0.2mmのシリコン基板を用い、第1支持部22の第1支持面22aにAgと誘電体多層膜とを成膜した反射部材24を用いた。つまり第1支持部22の厚みは、外形の寸法の1/10以上である。
さらに波長変換部材10としては、平均粒径5μmのYAG蛍光体粒子10aを、シルセスキオキサンが主成分である透明結合部材10bに混合したものを、反射部材24上に厚み約25μmで形成したものを用いた。つまり波長変換部材10の厚みは、第1支持部22の厚みと比較して十分に小さい。このとき、第1支持部22と波長変換部材10とはあらかじめウエハ状のシリコン基板に、透明結合部材10bと蛍光体粒子10aとを混合した蛍光体ペーストを塗布して、硬化したものを所定の大きさに分割したものを用いた。励起光82は第1支持面22aの法線からの入射角70°で波長変換素子1に照射した。
比較例の波長変換素子として、外形約0.4mm角で厚み0.07mmのセラミック蛍光体である波長変換部材を反射部材が形成されたシリコン基板上に接着し、さらに波長変換部材の周辺に、微粒子ペーストを配置したものを用いた。このとき、微粒子ペーストは、TiO2である微粒子をシリコーン透明樹脂に混合したペーストである。つまり、本実施の形態のように第1支持部22を設けずに、第2金属膜を形成した第2支持部32上に波長変換部材を直接接着し、波長変換部材周辺の反射部材を覆うために、波長変換部材の側面及び周辺を微粒子ペーストで覆った構成とした。図13のグラフ(b)に示す結果は、比較例の波長変換素子に対して、本実施の形態に係る波長変換素子1に対する条件と同様の条件で励起光82を照射して測定した輝度分布である。
図13のグラフ(a)及び(b)において、縦軸の輝度を最大輝度で正規化し、横軸の位置を左側のエッジの部分の位置が重なるようにシフトさせて、両輝度分布を重ねたグラフが図13のグラフ(c)である。また、右側のエッジの部分についてグラフ(c)と同様に作成したグラフが図13のグラフ(d)である。なお、グラフ(c)及び(d)において、本実施の形態に係る輝度分布を実線で、比較例の輝度分布を破線で、それぞれ示している。
図13のグラフ(c)及び(d)において、発光領域のエッジのコントラストを、波長変換部材のエッジから0.2mm離れた位置(図中の矢印で示す部分)の輝度と、最大輝度との比とする。図13のグラフ(c)に示す波長変換部材のエッジの部分の輝度において、比較例の波長変換素子では、輝度のコントラストが85:1であるの対し、本実施の形態においては、輝度のコントラストが214:1となっていることがわかる。また、図13のグラフ(d)においては、比較例の波長変換素子では、輝度のコントラストが80:1であるの対し、本実施の形態においては、輝度のコントラストが126:1となっていることがわかる。上記のように、本実施の形態に係る波長変換素子1を用いることで、出射光のエッジがシャープな波長変換素子を実現することができる。
[1-5.まとめ]
以上のように、本実施の形態に係る波長変換素子1は、波長変換部材10と、波長変換部材10を支持する支持部材40とを備える。支持部材40は、波長変換部材10が配置される第1支持面22aを有する第1支持部22と、第2支持面32aを有する第2支持部32とを有する。第1支持部22は、第2支持面32aから突出し、第1支持面22aは、第1支持部22における第2支持部32から遠い側の表面であり、波長変換部材10は、第1支持面22aの平面視において第1支持面22aの外側に配置された張出部10pを有する。
このように、第1支持部22が第2支持面32aから突出していることにより、波長変換部材10の周辺に入射される励起光82が吸収又は散乱される。さらに、波長変換部材10が張出部10pを有することにより、張出部10p側から励起光82を入射する場合に、第1支持面22aで反射される励起光82を低減できる。したがって、入射された励起光82が迷光となり、蛍光と同じ方向に出射されることを抑制できる。このため、迷光が、波長変換部材10から出射される出射光の照度分布特性に悪影響を及ぼすことを抑制できる。これにより、波長変換部材10からの出射光のエッジ(波長変換部材のエッジに対応する出射光照射領域端部)におけるコントラストを高めることができる。したがって、エッジが明瞭な(つまり、エッジのコントラストが大きい)出射光を出射できる波長変換素子1を実現できる。
また、波長変換素子1において、第1支持部22は、第1支持面22aと対向する第1固定面22bとを有し、第1支持面22aの平面視における第1支持面22aの外周のうち張出部10pが配置された部分において、第1固定面22bの外周の少なくとも一部は第1支持面22aの内側に配置されていてもよい。
このように、第1固定面22bの外周が第1支持面22aの内側に配置されていることにより、第1支持部22の側面に入射した励起光が、当該側面と第2支持面32aとの間で多重反射し、減衰し易くなるため、励起光82が迷光となって出射されることをより一層抑制できる。また、波長変換素子1から出射される出射光のエッジをより一層明瞭化できる。
また、波長変換素子1において、第1支持部22は、第2支持面32a上に配置され、無機材料で形成された基板であってもよい。
これにより、基板からなる第1支持部22と第2支持部32とを組み合わせることで、容易に波長変換素子1を形成することができる。
また、本実施の形態に係る発光装置101は、波長変換素子1と、励起光を出射する励起光源の一例である半導体発光装置110とを備える。
このような発光装置101により、上述した波長変換素子1と同様の効果を奏することができる。
また、発光装置101において、励起光82は、第1支持面22aに対して斜めに、張出部10p側から波長変換部材10に入射する。
このように、第1支持面22aに対して斜めに、張出部10p側から励起光82が入射される場合、張出部10pにより第1支持部22の側面の上部に入射される励起光82が遮られ、第1支持部22などの波長変換部材10以外の部分に入射される励起光82の割合を低減できるため、第1支持部22などで反射される励起光82の割合を低減できる。したがって、入射された励起光82が迷光となり、蛍光と同じ方向に出射されることを抑制できる。このため、波長変換部材10からの出射光のエッジにおけるコントラストを高めることができる。したがって、エッジが明瞭な出射光を出射できる波長変換素子1を実現できる。
また、発光装置101において、第2支持面32aから第1支持面22aまでの高さをH、波長変換部材10の最小幅をW1、励起光82の入射方向と第1支持面22aの法線とのなす角度をθとして、H/tanθ>W1/10が成り立つ。
これにより、波長変換部材10から出射される出射光91の周辺に散乱される励起光82の強度を確実に低減できる。このため、波長変換部材10からの出射光91における波長変換部材10のエッジに対応する部分のコントラストを高めることができる。したがって、エッジが明瞭な出射光を出射できる発光装置101を実現できる。
[1-6.応用例]
続いて、図14を用いて、本実施の形態に係る発光装置101を備える投光装置201を車両の前照灯に用いる場合の応用例について説明する。図14は、本実施の形態に係る発光装置101を用いて投光装置201を構成した場合の斜視図である。本実施の形態に係る投光装置201は、図7に示した投光装置201を3つ用いた場合の構成例である。図14において、3個の発光装置101と3個の投光部材220を組み合わせて車両前照灯用の投光装置201を構成した場合の模式的な斜視図である。そして、これらの投光装置201を車両の前照灯の片側に取り付ける。
図14において図示しない波長変換部材から出射された出射光は投光部材220によりほぼ平行光となり図14の手前から奥に向かう向きに出射光295として出射され、スクリーンなどの照射対象物199に照射される。図14では、照射対象物199における出射光295の照射パターンを図示しているが、ハッチング部分は光強度が低い部分で、白色になるにつれ光強度が強いことを表す。
本実施の形態に係る3つの投光装置201の出射光295を組み合わせることで、像の境界が明瞭な投影像99を照射できる投光装置を実現できる。さらに投光装置201を組み合わせることで、照射像のパターンを自由に設定できる。
[1-7.補足]
なお、上記に、本実施の形態に係る波長変換素子1の具体的はサイズ、材料などの構成を示したがこの限りではない。例えば、第1支持部22及び第2支持部32は、酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化シリコン(SiC)、ダイヤモンドなどの材料で構成することができる。窒化アルミニウム、炭化シリコン、サファイア又はダイヤモンドなどのような熱伝導率の高い材料を支持部材40において用いることにより、放熱性の高い波長変換素子1を実現できる。
また、第1支持部22及び第2支持部32は、切断などの製造方法に合わせて、ガラス基板、結晶基板、多結晶基板などで構成することができる。第1金属膜26や第2金属膜34は、例えばCr、Ti、Pt、Al、Auなどの金属を含む、少なくとも一つ以上の層で構成すればよい。反射部材24は、可視光に対して反射率の高い膜であれば構成は限定されない。
また、上記において波長変換部材10は、黄色の蛍光を出射するYAG:Ce系蛍光体を含む構成とし、青色光の励起光82と組み合わせることで波長変換部材10から白色光を出射する構成としたが、この組み合わせの限りでない。例えば、波長変換部材10を構成する黄色の蛍光を出射する蛍光体として、(La,Y,Gd)3Si6N11:Ce蛍光体、(Ba,Sr)Si2O2N2:Eu又は(Ba,Sr)SiO4:Eu系蛍光体を含むものでもよい。又は、複数の種類の蛍光体材料を混合した蛍光体を用いることができる。例えば、緑色の蛍光を出射するβ-SiAlON:Eu蛍光体や、アンバー色の蛍光を出射するCa-α-SiAlON:Eu蛍光体、赤色の蛍光を出射する(Sr,Ca)AlSiN3:Eu蛍光体を用いることができる。また上記の材料を組み合わせ、その比率を調整することで、出射光91の白色の色度を白昼光色、昼白色、電球色などに調整することができる。また、出射光91の色を、白色以外の緑色、オレンジ色、赤色などに自由に調整することもできる。
また波長変換部材10には蛍光体粒子のほかに、SiO2、Al2O3、BNなどの微粒子を混合することで散乱性を調整し、出射光91の色度、光束などを調整することができる。
第2接着層70は、例えば、熱伝導率がシリコーン接着剤よりも大きいSn、Ag、Cuからなる低融点半田を用いることで、波長変換部材10で発生した熱を基台50に放熱することができる。
(実施の形態2)
続いて実施の形態2に係る波長変換素子及び発光装置について説明する。実施の形態2に係る波長変換素子は、主に波長変換部材の構成において実施の形態1に係る波長変換素子1と相違する。したがって、以下では、本実施の形態に係る波長変換素子と、実施の形態1に係る波長変換素子1との相違点を中心に図面を用いて説明する。
図15は、本実施の形態に係る波長変換素子1Aの構成を示す模式的な断面図である。
波長変換素子1Aは、実施の形態1に係る波長変換素子1と同様に表面に波長変換部材10が形成された第1支持部22と、第1支持部22を支持する第2支持部32とを備える。第2支持部32の第2支持面32aに、第1支持部22が接着され、そして第1支持部22の第1支持面22aに板状の波長変換部材10が固着される。
そして、実施の形態1に係る波長変換素子1と同様に、第2支持面32aの平面視において、第2支持部32に内包されるように第1支持部22が配置される。さらに、波長変換部材10のエッジの一部が第1支持面22aのエッジの一部の外側にある構成である。つまり、実施の形態1に係る波長変換素子1と同様に、波長変換部材10は、第1支持面22aの平面視において第1支持面22aの外側に配置された張出部10pを有する。
第1支持部22は、第2支持部32より外形が小さい矩形で板状の基板で構成される。そして廉価で熱伝導率の高い材料が好ましい。第1支持部22は、例えば厚み0.1mm、外形0.6mm角の板状のシリコンであり、そして、第1支持部22の一方の面が第1支持面22aで反対の面が第1固定面22bである。第1支持面22aの上には、反射部材24が形成され、反射部材24は、例えば第1支持面22a側から順番に、厚み50nmのSiO2、厚み50nmのTi、200nmのAgの金属を含む反射部材24の上に、SiO2、Al2O3及びTiO2などからなる誘電体多層膜が形成された増反射膜である。そして反射部材24と波長変換部材10との間には、例えばシリコーン樹脂である接合層61が配置され、第1支持部22に波長変換部材10を固着させる。
そして、波長変換部材10は、例えばセラミック蛍光体である。具体的には、式(Y,Lu,Sm,Gd)3(Ga,Al,In)5O12:Ceで表されるセリウム賦活イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG:Ce)系蛍光体からなるセラミックである。波長変換部材10は、例えば、厚み0.08mm、外形0.65mm角の板状である。波長変換部材10は、第1支持部22よりもわずかに外形が大きいため、容易に本実施の形態に係る波長変換素子1Aを形成できる。
続いて図16を用いて、本実施の形態に係る波長変換素子1Aの製造方法について説明する。図16は、本実施の形態に係る波長変換素子1Aの製造方法を説明する模式的な断面図である。
まず、図16の断面図(a)に示すように、シリコンウエハである第1支持部A22を準備し、表面に反射部材A24、第1金属膜A26を成膜する。このとき、蒸着装置などの成膜装置を用いて、第1支持部A22の第1支持面A22a側に、まずTi密着層とAg反射層を順に成膜し、続いて、SiO2、Al2O3、TiO2などからなる誘電体多層膜を成膜し、反射部材A24を形成する。
そして、第1支持面A22aと反対の面である第1固定面A22bに、Ti密着層、Ptバリア層及びAu層を成膜し、第1金属膜A26を形成する。続いて、ダイシングブレードを用いて、第1支持部A22の第1固定面A22b側から溝A22cを形成する。
続いて、図16の断面図(b)に示すように、ブレード90(図16では図示せず)により第1支持部A22を割断する。その結果、分離された第1支持基板A29を製造することができる。図16の断面図(b)に示すように、第1支持基板A29は、第1支持部22と、反射部材24と、第1金属膜26とを有する。
続いて、図16の断面図(c)に示すように第2支持部32を準備する。第2支持部32の表面には、例えばTi、Pt、Auからなる第2金属膜34を形成する。そして、第1支持基板A29の外形に合ったサイズの、AuSnである第1接着層60を形成する。なお、第1接着層は、AuSn以外の半田でもよい。このように第1接着層60として半田を用いることにより、波長変換素子1の放熱性を高め、かつ、製造を簡易化できる。この第1接着層60の上部から第1支持基板A29の第1固定面22bを第2支持部32上に配置し、例えば350℃で第2支持部32を加熱する。このようにして、第1支持部22と第2支持部32とを強固に固定できる。
続いて、図16の断面図(d)に示すように第1支持面22a上に接合層61を形成する接着剤を塗布し、その上方より波長変換部材10を接着する。このような製造方法を用いることで、第1支持部22と第2支持部32とが強固に固定された波長変換素子1Aを簡単に製造することができる。
以上のように、板状の波長変換部材10を第1支持部22に接着することにより、容易に波長変換素子1Aを製造できる。また、波長変換素子1A及びそれを備える発光装置は、実施の形態1に係る波長変換素子1及び発光装置101と同様の効果を奏する。
(実施の形態3)
[3-1.発光装置及び投光装置の全体構成]
続いて図面を用いて実施の形態2に係る発光装置及び投光装置について説明する。図17は、本実施の形態に係る発光装置101B及び投光装置201Bの構成を示す模式的な断面図である。
実施の形態3に係る発光装置101B及び投光装置201Bは、実施の形態1と同様に波長変換素子1Bと半導体発光装置110とを備える。
発光装置101Bにおいて、半導体発光装置110と波長変換素子1Bとは基台50に固定される。基台50は、実施の形態1と同様に、図中のDy軸方向の長さ方向に長く、Dx方向の幅が狭く、Dz軸方向の厚みが薄い、アルミニウム合金などの金属で構成される筐体である。本実施の形態において、半導体発光装置110は、例えば、TO-CANタイプの半導体レーザであり、プリント回路板160に接続される。半導体発光装置110には、半導体発光素子111が実装される。そして、半導体発光装置110は、基台50の底面に形成された開口部に挿入される。半導体発光素子111から出射する出射光81はDz軸方向に出射される。
集光光学系120は、レンズ120aと反射ミラーである光学素子120bで構成される。そして、波長変換素子1Bとレンズ120aと光学素子120bは、半導体発光装置110の上面に配置される。
発光装置101Bには、さらに光検出器130が実装されたプリント回路板160を備える。プリント回路板160は基台50の底面側に配置され、プリント回路板160には外部回路との接続用のコネクタ170が接続される。
半導体発光素子111は、光導波路の幅が10μm以上のマルチモードレーザであり、出射光81の拡がり角がDy軸方向よりもDx軸方向の方が大きくなるように固定される。つまり、半導体発光素子111の積層方向がDx軸方向になるように固定する。これにより、集光光学系120を構成する部材であるレンズ120a及び光学素子120bの厚み、つまりDz軸方向の長さを小さくすることができる。
光学素子120bは、例えば、凹面ミラー面が形成された反射ミラーである。この構成により半導体発光素子111から図17における上向き、つまりDz軸方向の負から正に向かう向きに出射した出射光81は、レンズ120aより集光する光となり、光学素子120bに入射する。光学素子120bに入射した出射光81は、光学素子120bの凹面ミラー面で図17における下向き、つまりDz軸方向の正から負に向かう向きに反射し、波長変換素子1Bに斜め上方から照射する励起光82となる。波長変換素子1Bに照射された励起光82は、波長変換素子1Bの波長変換部材10で一部の光が変換され、蛍光93及び散乱光92aで構成される出射光91となり発光装置101Bから出射される。
発光装置101Bから出射された出射光91は、投光部材220で、ほぼ平行光である出射光295となり投光装置201Bから出射する。本実施の形態では投光部材220は、パラボリックミラーなどの曲面ミラーである。
上記の発光装置101Bには、コネクタ170が備えられる。コネクタ170は、外部回路との接続が可能なコネクタである。これにより半導体発光装置110及びプリント回路板160に外部から電力を印加することができる。発光装置101Bはさらにフォトダイオードなどの光検出器130を備える。光検出器130は、プリント回路板160上に実装される。これにより波長変換素子1Bからの光を受光して、発光装置101Bの発光状態を外部へ検出信号として出力できる。また、波長変換素子1Bの上部、つまりDz軸方向に、例えばカバーガラスである透光部材140が配置される。透光部材140は、基台50と同様にアルミニウムなどの金属で形成されたホルダ151に取り付けられ、基台50の凹部の開口部を覆うように固定される。これにより、発光装置101Bを構成する集光光学系120や波長変換素子1Bを保護することができる。本実施の形態に係る発光装置101Bは、半導体発光装置110と集光光学系120とを、電気配線に用いるプリント回路板160の上方に配置し、下方に配置された波長変換素子1Bに斜め上方から励起光82を入射することができる。このための発光装置101Bを、薄型化できる。
また、上記構成において、光学素子120bを用いて、励起光82のビーム形状を整形してもよい。この構成により、波長変換素子1に照射される励起光82の光強度分布を均一にすることができる。
さらに、発光装置101Bは半導体レーザ装置である半導体発光装置110と蛍光体を含む波長変換素子1Bを用いて発光させる。このため、波長変換素子1Bから輝度が高い光を出射することができる。そして投光部材220を用いて、発光装置101Bから出射光を遠方に照射できる。
[3-2.波長変換素子]
本実施の形態に係る波長変換素子1Bの詳細な構成を、図面を用いて説明する。図18は、本実施の形態に係る発光装置101Bの波長変換素子1B近傍の拡大図である。
本実施の形態に係る波長変換素子1Bは、平面視で矩形又は平行四辺形の第1支持部22を有する。つまり、第1支持部22は、矩形又は平行四辺形の第1支持面22aを有する。そして波長変換部材10は、第1支持面22aの外縁の少なくも1辺については、波長変換部材10の一部が第1支持面22aの外側にあり、張出部10pを形成する。そして、張出部10pには、励起光82が照射される。本実施の形態においては、励起光82の入射側に、波長変換部材10の張出部10pが形成される。したがって、波長変換部材10の張出部10pで、出射光の明瞭な端部を形成することができ、かつ、明瞭な端部が不要な部分は、励起光82の照射領域をカバーできるように波長変換部材10の領域を大きくすることができる。したがって、発光装置101Bを投光装置に用いた場合、必要な部分に明瞭な端部を形成するとともに、励起光82が不要に波長変換部材10の外側に照射され、波長変換部材10からの出射光の光量が低下するのを抑制することができる。
本実施の形態に係る発光装置101Bの基台50には凹部50aが形成され、凹部50aの底面に波長変換素子1Bが固定される。
波長変換素子1Bは基台50に第2接着層70により固着される。第2接着層70は、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂をベースにした接着樹脂や、AuSnや(Sn、Ag、Cu)をベースにした半田を用いることができる。
波長変換素子1Bは、例えばシリコン基板である第2支持部32と、第2支持部32上に固定された第1支持部22とを備える。本実施の形態において第2支持部32の表面である第2支持面32aはエッチング処理により表面に凹凸が形成され、その表面に第2金属膜34が形成される。
また、本実施の形態に係る第1支持部22の側面22sは凹凸を有する。これにより、側面22sに入射する励起光82を散乱させることができるため、励起光82が迷光となって出射されることをより一層抑制できる。また、波長変換素子1Bから出射される出射光のエッジをより一層明瞭化できる。
また、波長変換部材10は第1支持面22a上の光源側寄りに配置される。つまり、第1支持面22aの励起光82の入射側の波長変換部材10の端部は、第1支持面22aの外側に配置されており、張出部10pを形成する。一方で、反対側の波長変換部材10の端部は第1支持面22aの端部より内側に配置されている。
励起光82は、第1支持部22の光源側端部を照射する。そして第1支持部22の光源側と反対側においては、励起光強度が十分低くなる位置に、第1支持部22の端部が配置されるように励起光82が照射される。これにより励起光82の入射側の端部のみが明瞭な投影像を形成することができる。
また本実施の形態において、側面22sが凹凸面である。したがって、側面22sに入射した励起光82は側面22sで散乱されるため、励起光82の入射側における波長変換部材10の端部に対応した投影像の端部を明瞭にすることができる。
さらに本実施の形態に係る発光装置101Bにおいては、基台50における波長変換素子1Bを格納した凹部50aの上部に遮光カバー51を配置する。これにより側面22sで反射した反射光92bは凹部50aと遮光カバー51との間の空間を多重反射して、減衰する。この結果、投影像の端部をより明瞭にすることができる。
また、本実施の形態においては第2支持部32の側面と凹部50aとの間の一部又は全部を、樹脂75で埋める。これにより波長変換部材10から第2支持部32に伝わる熱をより効果的に基台50に放熱させることができる。
[3-3.製造方法]
続いて、図面を用いて本実施の形態に係る波長変換素子1Bの製造方法の特徴を説明する。図19は、本実施の形態に係る波長変換素子1Bの製造方法を示す模式的な平面図である。
波長変換素子1Bは、平面視で矩形又は平行四辺形の第1支持部22を有する。そして波長変換部材10は、第1支持面22aの外縁の少なくも1辺については、波長変換部材10の一部が第1支持面22aの外側にあり、張出部10pを形成する。そして、その部分には、励起光82が照射される。
図19は、図5の断面図(c)で示した、ウエハ状の第1支持部A22の平面図である。本実施の形態において波長変換部材A10はパターニングされている。そして、溝A22cで、図19に示すように、4x4=16分割される。
このとき波長変換部材A10のパターニングと溝A22cの位置とを調整することで、本実施の形態に係る波長変換部材10のさまざまな形態を容易に製造することができる。
つまり、例えば、図19の溝A22cで切断された16個の第1支持部のうち、左端最上部の第1支持部は、2辺に波長変換部材の張出部が形成され得る。また左端上から2番目の第1支持部は、3辺に波長変換部材の張出部が形成され得る。同様に左端最下部の第1支持部は、1辺のみに波長変換部材の張出部10pが形成され得る。
[3-4.発光装置を用いた投光装置]
続いて、本実施の形態に係る発光装置101Bを用いて投光装置201Bを構成し、投射像を形成した場合の効果について図面を用いて説明する。図20は、本実施の形態に係る発光装置101Bを用いた投光装置201B、及び、投光装置201Bから投影される投射像を示す模式的な斜視図である。
本実施の形態に係る発光装置101B及び投光装置201Bは図17の断面図に示したものと同様の構成を有し、出射光295を照射対象物199に照射させた場合の模式的な斜視図である。
発光装置101Bの基台50には、図示しないプリント回路板にコネクタ170が取り付けられており、コネクタ170は図20における手前側に配置される。図示しない半導体発光装置などは、ホルダ151により覆われ、図示しない波長変換素子の上方には曲面ミラーである投光部材220が配置され、基台50に固定される。波長変換部材から出射された出射光は投光部材220により図20の奥方向に出射光295として出射され、スクリーンなどの照射対象物199に照射される。図20では、出射光295の照射パターンを図示しているが、ハッチング部分は光強度が低い部分で、白色になるにつれ光強度が強いことを表す。
本実施の形態に係る発光装置101Bにおいて、波長変換部材は2辺の端部が張出部を形成している。この場合、投影像99において、例えば投影像99の上端99U及び左端99Lに明瞭な端部が形成され、投影像99の下端99D及び右端99Rにはなだらかに光強度が低下する端部を形成することができる。
このように本実施の形態に係る発光装置101Bを用いることで、自由に投影像のパターンを形成することができる。
(実施の形態3の変形例1)
続いて、図21を用いて実施の形態3の変形例1に係る波長変換素子について説明する。図21は、本変形例に係る波長変換素子における波長変換部材10の端部付近を示す模式的な断面図である。図21の断面図(a)~(d)は、本変形例に係る波長変換素子の構成例を示す。
図21の断面図(a)に示す構成例では、反射部材24が第1支持面22aの端部(図21に示す基準線E10に対応)よりも第1支持面22aの内側に位置する。この構成により、第1支持部22の切断面に反射部材24が存在しない。このため、第1支持部22を切断する際に、切断時の応力により、反射部材24と第1支持部22との間、又は反射部材24と波長変換部材10との間が剥がれることを抑制できる。したがって、反射部材24と第1支持部22との間、又は反射部材24と波長変換部材10との間が剥がれることに伴って、波長変換部材10と第1支持部22との接触面積が減少し、端部において、熱抵抗の増大が発生するのを抑制することができる。この構成において、波長変換部材10の端部で励起光82を蛍光に変換する際に発生する熱を効率よく第1支持基板に放熱させることができる。
図21の断面図(b)に示す構成例では、波長変換部材10の端部において、蛍光体粒子10aの濃度が波長変換部材10の中央部分と比較して低い、又は、蛍光体粒子10aがなく透明結合部材10bのみ領域があることを特徴とする。この構成により波長変換部材10の端部で励起光82を蛍光に変換する際に発生する熱量を低減させることができる。一方で、波長変換部材10の内側の領域、つまり、端部以外の領域に存在する蛍光体粒子10aで発生した蛍光の一部は、透明結合部材10bを伝搬して波長変換部材10の側面10sまで到達する。したがって、波長変換部材10における蛍光体粒子10aの濃度が大きい内側領域だけでなく端部からも出射光91を出射させることができる。波長変換部材10の端部の、蛍光体粒子10aの濃度が波長変換部材10の中央部分と比較して低い、又は蛍光体粒子10aがなく透明結合部材10bのみの領域の幅EWは、波長変換部材10の厚みの5倍以下、例えば、150μm以下とすることで、波長変換部材10内部の蛍光体粒子10aの濃度が均一である場合と同等の発光分布を実現することができる。
図21の断面図(c)に示す構成例では、波長変換部材10端部の第1支持部22の表面に段差22xが形成され、さらに反射部材24は段差22xより内側に形成される。この構成により、第1支持部22の切断面における厚みを小さくすることができるたえ、第1支持部22をより容易に切断することができる。
図21の断面図(d)に示す構成例では、反射部材24が波長変換部材10の端部より内側に形成され、さらに誘電体多層膜24bが金属反射膜24aを覆うように形成される。言い換えると、本構成例では、誘電体多層膜24bが金属反射膜24aの上面だけでなく、側面も覆う。この構成により金属反射膜24aを構成する、例えばAgなどの金属の酸化を抑制することができる。このため、長期間にわたる動作において金属反射膜24aの反射率が変化し、発光装置101Bの出射光の特性が変化するのを抑制することができる。
(実施の形態3の変形例2)
続いて、図22を用いて本実施の形態の変形例2に係る発光装置101B及び投光装置201Bについて説明する。図22は、本実施の形態の変形例2に係る発光装置101B及び投光装置201Bの外観を示す斜視図である。
本変形例に係る発光装置101B及び投光装置201Bは、図20に示す発光装置101B及び投光装置201Bと、配置の向きにおいて相違し、その他の点において一致する本変形例では、Dx軸方向と鉛直方向とが平行となるように配置されている。つまり、Dx軸方向の一方の面を上側に配置して投光装置を構成した例である。
本実施の形態において、投光装置201Bの下部にはヒートシンク260が配置される。そして半導体発光装置110で発生した熱は側面の基台50を伝達し、ヒートシンク260に到達する。この構成により、半導体発光装置110へ電力を供給する配線が形成されたプリント回路板160を側面に、半導体発光装置110で発生した熱をヒートシンクに導く基台50を下面に配置することができる。このため、発光装置101Bをより高温環境下で動作させることができる。
また、投光装置201Bの厚み方向(ここではDx軸方向)における寸法を変更せずに投光部材220の外形を大きくすることができる。したがって、照度が大きく、薄型の投光装置201Bを容易に構成することができる。
このため、図22の右上の車両202の模式図に示すように、投光装置201Bを、この方向で前照灯として車両202に搭載することで、薄型の前照灯を実現できる。したがって車両202の前面において、前照灯以外のカメラ、レーダー、センサーなどの安全装備を配置するための空間を設けることができ、また、デザインの自由度を高めることができる。このため、運転席からの死角が増えることを抑制しつつも、より多くの安全装備を配置し、安全性を高めたデザインの前面を容易に実現することができる。
(実施の形態4)
続いて図23を用いて、実施の形態4に係る波長変換素子について説明する。図23は、本実施の形態に係る波長変換素子1Dの構成を示す概略断面図である。
本実施の形態に係る波長変換素子1Dは、第1支持部22が、GaAs、Siなどの結晶基板であり、側面22sが劈開により形成される点において、実施の形態1に係る波長変換素子1と相違し、その他の点において一致する。以下、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
第1支持部22は、劈開面が、第2支持部32の表面の法線方向から有意な角度を有するように結晶面が配置されるように選択される。具体的には、第1支持部22の母材としてウエハ表面の法線から結晶面がオフ角を有するウエハを利用する。そして図5に示した、第1支持部A22を切断する際に、溝A22cを利用して劈開する。
そして、図23に示すように、第1支持部22における励起光82の入射する側の側面22sと、第2支持部32とのなす角が鋭角となるように、第1支持部22を第2支持部32上に配置する。言い換えると、図1Cに示すように、第1支持部22の励起光82が入射する側の側面22sの第1支持面22a側の端部が、第1固定面22b側の端部より、第1支持面22aの平面視において、第1支持面22aの内側に位置する。さらに言い換えると、第1支持部22の励起光82が入射する側の側面22sは、いわば逆メサ形状を有する。
このように、第1固定面22bが第1支持面22aの内側に配置されていることにより、第1支持部22の側面22sに入射した励起光82が、側面22sと第2支持面32aとの間で多重反射し易くなるため、励起光82が迷光となって出射されることをより一層抑制できる。また、波長変換素子1Dから出射される出射光のエッジをより一層明瞭化できる。
さらに本実施の形態においては、表面に波長変換部材A10が形成されたウエハ状の第1支持部A22を切断することによって第1支持部22を形成する際に、劈開を用いるため、波長変換部材10の張出部10pを容易に形成することができる。
以上のように、波長変換素子1Dにおいて、第1支持部22の第1支持面22aに隣接する側面22sの少なくとも一部は劈開面であってもよい。
これにより、第1支持部22を形成する際に、劈開面の位置及び角度を適宜調整することにより、所望の傾斜角度を有する側面を容易に形成することができる。
(実施の形態5)
続いて、実施の形態5に係る波長変換素子について説明する。本実施の形態に係る波長変換素子は、第1支持部22が、サファイアなどの透明基板である点において、実施の形態1に係る波長変換素子1と相違し、その他の点に置いて一致する。以下、本実施の形態に係る波長変換素子について、実施の形態1に係る波長変換素子1との相違点を中心に図面を用いて説明する。
図24は、本実施の形態に係る波長変換素子1Eの構成を示す概略断面図である。図24に示すように、本実施の形態において、第1支持部22の側面22sに照射される励起光82bは、大部分が第1支持部22の側面22sの表面で反射されずに透過し、第1支持部22の内部を伝搬する。
このとき、第1支持部22に入射した励起光82bは、第1支持部22の上下に形成されている反射部材24及び第1金属膜26の間を多重反射する。このとき励起光82bの一部又は全部が、反射部材24又は第1金属膜26で吸収されて、励起光82bの光強度が低下する。励起光82bの一部は、第1支持部22の反対側から出射されるが、図24において上向きに出射される出射光91と異なり、進行方向が水平方向(つまり、横方向)であるため、出射光91と混合されることを抑制できる。
したがって、波長変換素子1Eから出射された出射光の投影像の端部を明瞭にすることができる。
以上のように、本実施の形態に係る波長変換素子1Eにおいて、第1支持部22は、透光性材料で形成されている。
これにより、第1支持部22の側面に入射した励起光82bのうち、反射される成分の割合を低減できる。また、第1支持部22の内部を伝搬する励起光82bの少なくとも一部は、第1支持部22などで吸収されるため、第1支持部22から出射する励起光の強度を低下させることができる。したがって、励起光が迷光となって出射されることをより一層抑制できる。また、波長変換素子1Eから出射される出射光のエッジをより一層明瞭化できる。
(実施の形態6)
続いて実施の形態6に係る波長変換素子及び発光装置について説明する。本実施の形態に係る発光装置は、波長変換素子の第1支持部を透過した励起光を用いて出射光を生成する点において、実施の形態1に係る発光装置101と相違する。以下、本実施の形態に係る波長変換素子及び発光装置について、実施の形態1に係る波長変換素子1及び発光装置101との相違点を中心に図面を用いて説明する。
図25は、本実施の形態に係る発光装置301の構成を示す模式的な断面図である。図26は、本実施の形態に係る波長変換素子1Fの構成を示す模式的な断面図である。
図25に示すように、発光装置301は、主に、半導体発光装置110と、波長変換素子1Fと、基台50とを備える。半導体発光装置110と波長変換素子1は基台50に固定される。基台50は円筒状の形状を有し、下方の開口部に半導体発光装置110が固定され、上方の開口部に波長変換素子1Fが固定される。
半導体発光装置110はTO-CANパッケージに、ピーク波長が例えば450nmの青色のレーザ光を出射する窒化物系半導体レーザ素子である半導体発光素子111が搭載される。半導体発光素子111には例えば幅40μmの光導波路111aが形成され、光出力が3Wのレーザ光である出射光81を出射する。半導体発光装置110は、円盤状のベース112と、ベース112上に形成されたポスト113と、ポスト113上に配置された半導体発光素子111とを有する。ベース112には、半導体発光素子111に電力を供給するリードピン114a、114bが形成される。そして、ポスト113を覆うように金属缶115がベース112に固定される。本実施の形態においては金属缶115に集光光学系120が固定される。集光光学系120は半導体発光素子111の上部の光軸上に配置される。集光光学系120は、出射光81の入射側が曲率の大きい非球面レンズであり、入射側の反対側にマイクロレンズアレイが形成されている。そして、出射光81は集光光学系120でビーム形状を整形されながら集光される励起光82となり波長変換素子1Fの波長変換部材10に集光される。
波長変換素子1Fは、図25に示すように基台50に固定される。より詳しくは、図26に示すように波長変換素子1Fの第2支持部32が基台50に第2接着層70で固定される。波長変換素子1Fは、例えばYAG蛍光体などを含む波長変換部材10が第1支持部22上に、例えば波長490nm以下の光を透過し、波長491nm以上の光を反射するダイクロイックミラーである反射部材24が形成され、その上に波長変換部材10が固定される。波長変換部材10の一部は第1支持部22の端よりも外部に出ている張出部10pを形成している。図26に示す例では、波長変換部材10の全周にわたって張出部10pが形成されている。
第2支持部32及び第1支持部22は例えばサファイアなどの透明部材である。第1支持部22の周辺には例えばTiO2などのナノ粒子である光散乱粒子が混合された透明結合部材で構成された反射部材134が形成される。このとき第1支持部22は有意な高さを有するため反射部材134を容易に形成することができる。
励起光82は、第2支持部32から入射し、第1支持部22に入射され、一部は第1支持部22の側面22sで反射し、波長変換部材10に入射する。このとき、励起光82の一部は側面22sで反射されるため、波長変換部材10の端部にも中央部と同等の光強度の励起光が入射される。波長変換部材10に入射した励起光82は、波長変換部材10により一部は散乱光92a、他の一部は蛍光93となる。そして波長変換部材10から、散乱光92aと蛍光93とが混合した出射光91が、励起光82が入射した面と反対の面から出射される。そして、図26に示す例では、第1支持部22よりも波長変換部材10の外形が大きく、波長変換部材10の全周にわたって張出部10pが形成されているため、第1支持部22の側面22sから励起光が出射され、投影像のエッジを不明瞭にすることを抑制することができる。この結果、発光装置301から出射された出射光91を、図示しない投光部材を用いて投影した場合、照射対象物において、端部が明瞭な投影像を投影させることができる。
(実施の形態7)
続いて実施の形態7に係る発光装置及び投光装置について説明する。本実施の形態に係る発光装置及び投光装置は、半導体発光装置110と波長変換素子1との間において、光ファイバーを用いて励起光を導光する点において、実施の形態1に係る発光装置101及び投光装置201と相違する。以下、本実施の形態に係る発光装置及び投光装置について、実施の形態1に係る発光装置101及び投光装置201との相違点を中心に図面を用いて説明する。
図27は、本実施の形態に係る発光装置101G及び投光装置401の構成を示す模式的な断面図である。
実施の形態7の発光装置101G及び投光装置401は、実施の形態1と同様に波長変換素子1と半導体発光装置110とを備える。さらに、発光装置101Gは、コリメートレンズ121と、集光レンズ122と、光ファイバー320と、集光光学系120とを備える。本実施の形態の半導体発光装置110は、実施の形態6の半導体発光装置とほぼ同じ構成である。本実施の形態において、金属缶115は、半導体発光素子111が搭載されたポスト113を覆うように、ベース112に固定され、コリメートレンズ121は金属缶115に固定される。コリメートレンズ121は、半導体発光装置110から出射された出射光81をコリメートする非球面レンズであり、コリメート光84を出射する。集光レンズ122は、コリメート光84を集光するレンズであり、収束光85を出射する。光ファイバー320は、励起光を伝播する導光部材であり、入射された収束光85を導光して、出射光86を出射する。出射光86は、実施の形態1などと同様に、集光光学系120によって集光され、励起光82として、波長変換素子1に照射される。
発光装置101Gは、さらに基台50及び350と、押さえ部351と、ホルダ450とを備える。発光装置101Gにおいて、半導体発光装置110は基台350に固定される。一方、波長変換素子1は、半導体発光装置110が固定された基台350とは異なる基台50に固定される。
半導体発光装置110は、ベース112が、凹部の形状を有する基台350と、リング状の押さえ部351とにより挟み込まれるように固定される。このとき、ベース112と基台350と押さえ部351とで囲まれる空間には高熱伝導性の樹脂352が充填され、半導体発光装置110で発生した熱を基台350に容易に伝熱させる。また、基台350の凹部、及び、押さえ部351の側面には、ねじ山が形成されている。これにより、押さえ部351を、基台350の凹部に捻じ込むことで半導体発光装置110を締め付け力(軸力)で挟み込むことができる。この構成により、半導体発光装置110を基台350に対して強固に固定させることができる。
さらに基台350には、集光レンズ122が固定されたホルダ450が溶接部455などにより基台350に位置あわせされた状態で強固に固定される。
基台50は、実施の形態1と同様に、図中のDy方向の長さ方向に長く、Dx方向の幅が狭く、Dz方向の厚みが薄い、アルミニウム合金などの金属で構成される筐体である。
集光光学系120は、レンズ120aとプリズムである光学素子120bで構成される。そして、波長変換素子1とレンズ120aと光学素子120bは、基台50の底面に配置される。
発光装置101Gには、さらに光検出器130が実装されたプリント回路板160が基台50の底面側に配置される。そして、外部回路との接続用のコネクタ170がプリント回路板160に接続される。
光学素子120bは、実施の形態1に係る光学素子120bと同様のプリズムである。この構成により光ファイバー320からDy軸方向に出射した出射光86は、レンズ120aより集光され、光学素子120bに入射する。光学素子120bに入射した出射光86は、光学素子120bで下方、つまりDz軸の正から負に向かう向きに屈折し、波長変換素子1に斜め上方から照射する励起光82となる。波長変換素子1に照射された励起光82は、波長変換素子1の波長変換部材10で一部が蛍光に波長変換され、蛍光93及び散乱光92aで構成される出射光91となり発光装置101Gから出射される。
発光装置101Gから出射された出射光91は、例えば曲面ミラーなどの投光部材220で、ほぼ平行光である出射光295となり投光装置401から出射する。本実施の形態では投光部材220は、パラボリックミラーなどの曲面ミラーである。
上記の発光装置101Gは、コネクタ170を備えられる。コネクタ170は、外部回路との接続が可能なコネクタである。これにより光検出器130を有するプリント回路板160に外部から電力を印加することができる。これにより波長変換素子1からの光を受光して、発光装置101の発光状態を外部へ検出信号として出力できる。また、波長変換素子1の上部に、例えばカバーガラスである透光部材140が配置される。透光部材140は、基台50と同様にアルミニウムなどの金属で形成されたホルダ151に取り付けられ、基台50の凹部の開口部を覆うように固定される。これにより、発光装置101Gを構成する集光光学系120や波長変換素子1を保護することができる。本実施の形態に係る発光装置101は、半導体発光装置110と集光光学系120とを、電気配線に用いるプリント回路板160の上方に配置し、下方に配置された波長変換素子1に斜め上方から励起光82を入射することができる。このための発光装置101の厚みを薄くし、投光装置401を小型化することができる。
また、上記構成において、光学素子120bを用いて、励起光82のビーム形状を整形してもよい。この構成により、波長変換素子1に照射される励起光82の光強度分布を均一にすることができる。
以上のような構成を有する発光装置101G及び投光装置401においても、実施の形態1に係る発光装置101及び投光装置201と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、光ファイバーを用いて励起光を導光するため、半導体発光装置110及び基台50の配置の自由度を高めることができる。
(実施の形態8)
続いて実施の形態8に係る発光装置及び投光装置について説明する。本実施の形態に係る発光装置及び投光装置は、半導体発光装置110と波長変換素子1Bとの間において、可動ミラーユニットを用いて励起光を波長変換部材の表面に対して走査しつつ照射する点が、実施の形態3に係る発光装置101B及び投光装置201Bと相違する。以下、本実施の形態に係る発光装置及び投光装置について、実施の形態3に係る発光装置101B及び投光装置201Bとの相違点を中心に図面を用いて説明する。
図28は、本実施の形態に係る発光装置101F及び投光装置501の構成を示す模式的な断面図である。図29は、本実施の形態に係る波長変換素子1B及びその周辺の拡大断面図である。図30は、本実施の形態に係る投光装置501、及び、投光装置501から投影される投射像99を示す模式的な斜視図である。
図28に示すように、本実施の形態に係る発光装置101F及び投光装置501は、実施の形態3と同様に波長変換素子1Bと半導体発光装置110と集光光学系120とを備える。集光光学系120は、レンズ120aと反射ミラーである光学素子120bとを備える。
そして、発光装置101Fは、レンズ120aと光学素子120bとの間の光路に、可動ミラーユニット520を備える。
可動ミラーユニット520は、位置及び姿勢の少なくとも一方を変動させ得るミラーである可動ミラー520aと、可動ミラー520aを図示しない支持部により保持するホルダ520bとで構成される。可動ミラー520aは、図28に示されるDy方向に対して、Dz方向に傾斜したDy1方向に対してミラー面が平行になるように固定される。支持部は、例えばトーションバーなどの、図28中のDx方向に伸びる支持部材であり、可動ミラー520aをDy1方向を中心軸として回転する方向に傾斜させることが可能である。可動ミラー520aのホルダ520bに対する傾斜角度は、ホルダ520bとの間の静電力又は電磁力によって変えられる。
半導体発光装置110は、第2基台550に固定され、第2基台550は基台50に固定される。可動ミラーユニット520は、第3基台540に固定され、第3基台540は基台50に固定される。
発光装置101Fには、プリント回路板160が基台50の底面側に配置される。また、プリント回路板160には、半導体発光装置110が接続された第2プリント回路板160b、可動ミラーユニット520の配線、及び、外部回路との接続用のコネクタ170が接続される。
半導体発光装置110から出射された出射光は、レンズ120aで集光され出射光83となる。出射光83は、可動ミラー520aで反射された後、光学素子120bでさらに反射され励起光82として、波長変換素子1Bに照射される。
波長変換素子1Bに照射された励起光82は、波長変換素子1Bの波長変換部材10で一部が蛍光に波長変換され、蛍光93及び散乱光92aで構成される出射光91となり発光装置101Fから出射される。
上記の発光装置101Fは、コネクタ170を備える。コネクタ170は、外部回路との接続が可能なコネクタである。コネクタ170を介して可動ミラーユニット520と半導体発光装置110とに接続されるプリント回路板160に外部から電力を印加することができる。これにより半導体発光装置110と可動ミラーユニット520とに印加する電力を調整することで、波長変換素子1Bから出射される出射光91の発光パターンをより自由に設定することができる。
図29は、図28の波長変換素子1B付近の拡大断面図であり、図中の右上には、波長変換素子1Bを上面から観察した(つまり、第2支持部32の上面視における)上面図を併記し、上面図における方向を明確にするためDx方向とDy1方向を記載している。
図29の上面図には、ある時点における励起光82の照射領域82Sを示す。本実施の形態では、可動ミラー520aの傾斜方向を変化させることで、照射領域82Sを図29に示すDx方向に平行な方向であるSx1方向又はSx2方向に移動、つまり走査させることができる。この照射領域82Sを、人間の目の残像時間よりも十分短い時間で周期的に走査させることで、走査範囲である走査領域82Wを見かけ上の発光領域として波長変換素子1Bを発光させることができる。
このとき、走査領域82Wの一部において、励起光82が照射されないように、半導体発光装置110と可動ミラーユニット520とに印加する電力とタイミングとを調整することで、図30に示すように、投影対象物199に形成される投影像99に非照射領域599を形成することができる。この非照射領域599は、投影範囲中の任意の位置に配置することできる。このため本実施の形態の投光装置を車両の前照灯に用いた場合には、アダプティブ・ドライビング・ビーム(Adaptive Driving Beam)に適用することが可能になる。
さらに本実施の形態においては、図29に示すように励起光82の一部は、波長変換素子1Bの入射側に対して反対側の波長変換部材10の端部に照射され、波長変換部材10に入射されない励起光は、第2支持部32で反射され反射光92cとして遮光カバー51に一部が照射され吸収される。つまり、波長変換部材10に入射されない励起光は、第2支持部32と遮光カバー51との間で多重反射され、吸収される。このため、このような光は出射光91にほとんど寄与しない。したがって、図30に示すように、投影像99の上部の端部である投影像の上端99Uにおいて明部と暗部とのコントラストが高い投影像99を形成することができる。このコントラストは、投影像99の左端99L、右端99R,下端99Dと比べ、有意にコントラストを高くできる。このような上端99Uのコントラストが高い投影像99を出射する本実施の形態に係る投光装置501は、車両のすれ違い前照灯として有用である。
以上のような構成を有する発光装置101F及び投光装置501においても、実施の形態1に係る発光装置101及び投光装置201と同様の効果を奏することができる。また、本実施の形態では、可動ミラーユニット520を用いて励起光82を波長変換素子1B上で走査するため、投影像99のパターンの自由度を高めることができる。
(その他の変形例など)
以上、本開示の窒化物系半導体レーザ素子について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲内に含まれる。
例えば、上記各実施の形態において、波長変換部材10は、いずれも張出部10pを有したが、波長変換素子から出射される投影像のエッジを十分に明瞭化するために、必ずしも波長変換部材10は、張出部10pを有さなくてもよい。第2支持面32aから突出する第1支持部22の形状と、励起光82の入射方向とを適切に設定することによって、波長変換素子から出射される投影像のエッジを十分に明瞭化できる。例えば、第2支持面32aから第1支持面22aまでの高さをH、波長変換部材10の最小幅をW1、励起光82の入射方向と第1支持面22aの法線とのなす角度をθとして、H/tanθ>W1/10が成り立てば、波長変換素子から出射される投影像のエッジを十分に明瞭化できる。発光装置101において、励起光の入射角度と、第1支持部22の形状とによって、十分にエッジを明瞭化できる場合には、波長変換部材10は、張出部10pを有さなくてもよい。