JP7044109B2 - オイルテンパー線 - Google Patents

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Description

本発明は、オイルテンパー線に関する。
本出願は、2017年5月19日出願の日本出願第2017-100377号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
自動車のエンジンやトランスミッションなどの構成部材の一つに、ばねがある。これらのばね材料には、オイルテンパー線が汎用されている。
オイルテンパー線は、代表的には、鋼を伸線後、焼入れ焼戻しを行うことで製造される。疲労限が高い鋼種として、炭素(C),珪素(Si),マンガン(Mn),クロム(Cr)を含むSWOSC-V(JIS G 3561、1994年)が知られている。SWOSC-Vにバナジウム(V)を含む鋼種や、Vとコバルト(Co)とを含む鋼種は、疲労限が更に高く、弁ばねなどに利用されている。
特許文献1は、SWOSC-V相当の鋼からなり、直径0.2μm以上の球状炭化物が存在せず、結晶子の平均面積が特定の大きさであるオイルテンパー線を開示する。特許文献1では、直径0.2μm未満であれば球状炭化物が破壊の起点として作用し難く、結晶子が特定の大きさであるため靭性を向上できるとする。
特開2002-180195号公報
本開示のオイルテンパー線は、
Cを0.50質量%以上0.90質量%以下と、
0.02質量%以上0.50質量%以下のV、0.01質量%以上0.50質量%以下のTa、0.01質量%以上0.50質量%以下のNb、0.02質量%以上0.50質量%以下のMo、及び0.02質量%以上1.00質量%以下のWから選択される1種以上の強化用元素と、
Siを0.80質量%以上3.00質量%以下と、
Mnを0.40質量%以上1.00質量%以下と、
Crを0.40質量%以上2.00質量%以下とを含有し、残部がFe及び不純物である組成を有し、
前記強化用元素を含む炭化物を備え、
前記強化用元素を含む炭化物中の前記強化用元素の合計含有量が前記強化用元素全量に対して質量割合で10%以上であり、
前記強化用元素を含む炭化物の平均粒径が30nm以下である。
図1は、試料No.4のオイルテンパー線の顕微鏡写真である。 図2は、試料No.1のオイルテンパー線の顕微鏡写真である。 図3は、試料No.4のオイルテンパー線に模擬処理を施した後の顕微鏡写真であり、左から順に、透過電子顕微鏡(TEM)による原子番号コントラスト像(Zコントラスト像)、TEMに付属されるエネルギー分散型X線分析(EDX)装置を用いて分析したFeの元素マッピング像、Vの元素マッピング像である。 図4は、試料No.1のオイルテンパー線に模擬処理を施した後の顕微鏡写真であり、左から順に、TEMによるZコントラスト像、TEM-EDX装置を用いて分析したFeの元素マッピング像、Vの元素マッピング像である。
[本開示が解決しようとする課題]
近年、自動車の低燃費化の要求などに対応して、エンジンやトランスミッションなどの小型・軽量化が益々進められており、これらに用いられるばねに負荷される応力が増大している。そのため、繰り返し応力を受けても破断し難く、疲労特性により優れるオイルテンパー線が望まれている。
そこで、疲労特性に優れるオイルテンパー線を提供することを目的の一つとする。
[本開示の効果]
上記のオイルテンパー線は、疲労特性に優れる。
[本発明の実施形態の説明]
本発明者らは、疲労特性向上に効果がある添加元素を制御し、特に結晶粒内の析出物の分散強化による疲労限の向上を検討した。
オイルテンパー線をばねに用いて、このばねが使用時に繰り返し応力を受けた際に降伏して破壊の起点となり得る箇所は、結晶粒界よりも結晶粒内と考えられる。オイルテンパー線では結晶粒界に主としてセメンタイト(FeC)が析出しており、このセメンタイトによって結晶粒界は強化されると考えられるからである。そこで、特に、結晶粒内の析出強化を検討した。その結果、Vなどの特定の強化用元素を特定の範囲で含み、その含有量のうち、少なくとも一部を炭化物として結晶粒内に含むと共に、この炭化物が非常に微細であれば、この炭化物による結晶粒内の分散強化によって、疲労限を向上できるとの知見を得た。本発明は、上記の知見に基づくものである。
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
(1)本発明の一態様に係るオイルテンパー線は、
Cを0.50質量%以上0.90質量%以下と、
0.02質量%以上0.50質量%以下のV、0.01質量%以上0.50質量%以下のTa、0.01質量%以上0.50質量%以下のNb、0.02質量%以上0.50質量%以下のMo、及び0.02質量%以上1.00質量%以下のWから選択される1種以上の強化用元素と、
Siを0.80質量%以上3.00質量%以下と、
Mnを0.40質量%以上1.00質量%以下と、
Crを0.40質量%以上2.00質量%以下とを含有し、残部がFe及び不純物である組成を有し、
前記強化用元素を含む炭化物を備え、
前記強化用元素を含む炭化物中の前記強化用元素の合計含有量が前記強化用元素全量に対して質量割合で10%以上であり、
前記強化用元素を含む炭化物の平均粒径が30nm以下である。
上記のオイルテンパー線では、上記強化用元素を含む炭化物(以下、分散炭化物と呼ぶことがある)の平均粒径が30nm以下であり、分散炭化物が非常に微細である。そのため、分散炭化物は、例えばCrを含む炭化物に比較して硬い傾向にあるものの、上記のオイルテンパー線が繰り返し応力を受けた場合に破壊の起点になり難い。また、上記のオイルテンパー線は、上記強化用元素全量に対して質量割合で10%以上の量を分散炭化物として含むと共に、この分散炭化物を主として結晶粒内に含んでおり、微細な分散炭化物によって結晶粒内が分散強化された組織を有するといえる。このような特定の強化組織を有する上記のオイルテンパー線は、疲労限が高く、疲労特性に優れて、各種のばね材料に好適に利用できる。
また、上記のオイルテンパー線は、セメンタイトといったFe系炭化物が主として結晶粒界に析出しており、このFe系炭化物によって粒界強化がなされる。この点からも、上記のオイルテンパー線は、疲労限が高められ、疲労特性に優れる。
上記のオイルテンパー線は、金属組織中に存在する炭化物を、主として結晶粒内を強化する上述の分散炭化物と、主として結晶粒界を強化するFe系炭化物とに区別し、特に結晶粒内の降伏応力の向上に寄与する炭化物として、分散炭化物の大きさ及び含有量を上述の特定の範囲とする。このような上記のオイルテンパー線は、炭化物を区別せず最大径のみを制御する場合などに比較して、疲労特性に優れる。
(2)上記のオイルテンパー線の一例として、
結晶粒度が10以上14.5以下である形態が挙げられる。
上記形態は、微細な分散炭化物による結晶粒内の強化効果に加えて、結晶粒径が小さ過ぎないことで靭性に優れ、結晶粒径が大き過ぎないことで結晶粒界にセメンタイトが適切に存在してセメンタイトによる結晶粒界の強化効果を良好に得られる。そのため、上記形態は、疲労特性により優れる。
(3)上記のオイルテンパー線の一例として、
前記組成は、0.10質量%以上0.30質量%以下のV、0.10質量%以上0.35質量%以下のTa、及び0.10質量%以上0.35質量%以下のNbから選択される1種以上の前記強化用元素を含む形態が挙げられる。
上記形態は、V,Ta,及びNbの少なくとも1種の強化用元素を上述の特定の範囲で含む。そのため、上記形態は、上記強化用元素が分散炭化物として存在しつつ、過剰分がセメンタイトに固溶することによる靭性の低下を防止し易く、疲労特性により優れる。
(4)上記のオイルテンパー線の一例として、
炭化物の合計含有量が1質量%以上3質量%以下である形態が挙げられる。上記の炭化物の合計含有量とは、オイルテンパー線に含まれる分散炭化物、Fe系炭化物、その他Crを含む炭化物などの合計量である。
上記形態は、炭化物を上述の特定の範囲で含むため、分散炭化物による結晶粒内の析出強化とFe系炭化物による結晶粒界の析出強化との双方の効果を適切に得られ、過剰な炭化物による靭性の低下を招き難く、疲労特性に優れる。
(5)上記のオイルテンパー線の一例として、
窒化処理相当の熱処理、ショットピーニング、低温焼鈍相当の熱処理を順に施した後における前記炭化物の合計含有量が2質量%以上4質量%以下となる形態が挙げられる。
窒化処理相当の熱処理は、400℃で4時間保持するものとする。
ショットピーニングは、直径0.7mmφのカットワイヤをショット材とする処理と、直径0.3mmφのスチールボールをショット材とする処理とをそれぞれ30分間(合計1時間)行うものとする。
低温焼鈍相当の熱処理は、230℃で30分間保持するものとする。
上述の処理は、ばねの製造過程を模擬した処理(以下、模擬処理と呼ぶことがある)である。模擬処理後では、セメンタイトといったFe系炭化物が増加する傾向にある。そのため、上記形態における炭化物の合計含有量は、上記(4)で規定する量よりも増加する傾向にあるものの、上記の範囲であれば、上記(4)で説明した分散炭化物とFe系炭化物との双方を含むことによる効果を適切に得られて、疲労特性に優れる。Fe系炭化物の増加に伴って結晶粒界がより強化された場合には、疲労特性により優れる場合がある。上記形態は、上述の模擬処理後の疲労特性に優れることから、ばね材料に好適に利用でき、疲労特性に優れるばねを形成できる。
(6)上記のオイルテンパー線の一例として、
前記組成は、Cを0.63質量%以上0.68質量%以下含有する形態が挙げられる。
上記形態は、Cの含有量が上述の特定の範囲であるため、分散炭化物とFe系炭化物との双方をより適切に含有し易く、疲労特性に優れる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。添加元素の含有量は、オイルテンパー線の組成を100%とした質量割合(質量%)である。含有量や大きさなどの測定条件は、後述の試験例で説明する。
[オイルテンパー線]
(組成)
実施形態のオイルテンパー線は、C,Si,Mn,Cr及び特定の強化用元素を特定の範囲で含有し、残部がFe及び不純物である鋼によって構成される。不純物は、リン(P)、硫黄(S)などが挙げられる。以下、各元素の含有量、各元素の効果を説明する。
<C>
Cは、鋼の強化元素である。Cの含有量が0.50質量%以上であることで、高強度な鋼とすることができる。Cの含有量が多いほど鋼の強度を高められ、0.60質量%以上、更に0.63質量%以上であると、強度により優れて疲労限が高い鋼とすることができる。Cの含有量が0.90質量%以下であることで、セメンタイトなどのFe系析出物が過剰に結晶粒界に析出することによる靭性の低下を抑制できる。Cの含有量が0.80質量%以下、0.70質量%以下、更に0.68質量%以下であると、靭性により優れるオイルテンパー線とすることができる。
<Si>
Siは、鋼の固溶強化、鋼の耐熱性の向上に寄与する元素である。また、Siは、溶解精錬時の脱酸剤に利用される。Siの含有量が0.80質量%以上であることで、上記の効果を良好に得られる。Siの含有量が多いほど、強度や耐熱性により優れるため、Siの含有量を0.90質量%以上、1.00質量%以上、1.20質量%以上、1.30質量%以上とすることができる。Siの含有量が1.80質量%以上、1.90質量%以上、更に2.00質量%以上であると強度に更に優れて、疲労限が高い鋼としたり、耐熱性に更に優れる鋼としたりすることができる。耐熱性に優れることで、オイルテンパー線の製造時の熱処理(特に焼戻し)や、オイルテンパー線を用いてばねを製造するときの熱処理(窒化処理、焼鈍など)の加熱による鋼の軟化を防止できる。Siの含有量が3.00質量%以下であることで固溶強化の効果を良好に得られる上に、Siの過剰析出による靭性の低下を防止したり、伸線などの冷間加工性の低下を抑制して製造性に優れたりする。
この点から、Siの含有量を2.50質量%以下、更に2.40質量%以下とすることができる。
<Mn>
Mnは鋼の焼入れ性を向上させる。また、Mnは、鋼の強度の向上効果もある。更に、MnはSiと同様に溶解精錬時の脱酸剤として利用される。Mnの含有量が0.40質量%以上であることで、上記の効果を良好に得られる。Mnの含有量が多いほど、上記の効果が高められ、Mnの含有量を0.45質量%以上、更に0.50質量%以上とすることができる。Mnの含有量が1.00質量%以下であることで靭性の低下を抑制できる。Mnの含有量が0.90質量%以下、0.80質量%以下、更に0.70質量%以下であれば、靭性の低下をより抑制し易い。
<Cr>
Crは鋼の焼入れ性を向上させ、焼入れ焼戻し後の鋼の軟化抵抗を増加させる。軟化抵抗の増大によって、上述のようにオイルテンパー線の製造時の熱処理やばねの製造時の熱処理での鋼の軟化を防止でき、高強度化に寄与する。Crの含有量が0.40質量%以上であることで、上記の効果を良好に得られる。Crの含有量が多いほど、上記の効果が高められ、Crの含有量を0.60質量%以上、0.80質量%以上、0.90質量%以上とすることができる。Crの含有量が2.00質量%以下であることで靭性の低下を抑制できる。Crの含有量が1.90質量%以下、更に1.80質量%以下であれば、靭性の低下をより抑制し易い。
<強化用元素>
実施形態のオイルテンパー線は、V,Ta,Nb,Mo,及びWから選択される1種以上の強化用元素を以下の範囲で含む。また、実施形態のオイルテンパー線では、強化用元素の少なくとも一部を炭化物として含むと共に、この炭化物が非常に微細であり、結晶粒内に分散して存在することで疲労特性の向上を図る。強化用元素は、上記に列挙する5種のうちの1種のみを含む場合でも、その元素の含有量の少なくとも一部が微細な分散炭化物として存在することで疲労特性に優れる。上記の5種のうち2種以上を含み、これらの元素の合計含有量の少なくとも一部が微細な分散炭化物として存在すれば、疲労特性により一層優れると期待される。
V:0.02質量%以上0.50質量%以下
Ta:0.01質量%以上0.50質量%以下
Nb:0.01質量%以上0.50質量%以下
Mo:0.02質量%以上0.50質量%以下
W:0.02質量%以上1.00質量%以下
強化用元素の含有量が上述の下限値を満たすことで、強化用元素を含む炭化物(分散炭化物)を形成でき、分散強化による疲労特性の向上効果を得られる。強化用元素の含有量が多いほど、分散炭化物の析出量を多くし易いため、上述の分散強化による疲労特性の向上効果を得易い。強化用元素の含有量が上述の上限値を満たすことで、分散炭化物を含みつつ、過剰分がセメンタイトに固溶することを防止でき、良好な靭性を有することができる。強化用元素の含有量は、更に以下の範囲とすることができる。
V:0.05質量%以上0.35質量%以下、更に0.10質量%以上0.30質量%以下
Ta,Nb,Moのそれぞれ:0.05質量%以上0.35質量%以下、更に0.10質量%以上0.35質量%以下
W:0.05質量%以上0.90質量%以下、更に0.10質量%以上0.80質量%以下
強化用元素のうち、特に、0.10質量%以上0.30質量%以下のV、0.10質量%以上0.35質量%以下のTa、及び0.10質量%以上0.35質量%以下のNbから選択される1種以上の元素を含むと、疲労特性により優れる。原子量が比較的小さいVを含む場合には、微細な分散炭化物を比較的多めに含むと分散強化効果を得易い。原子量がVよりも大きいTaやNbを含む場合には、分散炭化物の含有量が比較的少なめでも、分散強化効果を得易い。
(組織)
<結晶粒径>
実施形態のオイルテンパー線は結晶組織を有する。特に結晶粒度が10以上であれば、結晶粒(旧オーステナイト結晶粒)が微細なため、単位体積当たりの結晶粒界量が多く、結晶粒界にセメンタイトといったFe系炭化物が適切に存在できる。その結果、Fe系炭化物による粒界強化を良好に行えて、疲労特性に優れる。結晶粒度が大きいほど結晶が微細となり、上記の効果を得易くなることから、結晶粒度を10.5以上、11以上、更に12以上とすることができる。結晶粒度が14.5以下であれば、結晶が小さ過ぎず、良好な靭性を有することができる。結晶粒度が14以下、更に13.8以下であれば、上述の粒界強化による疲労特性の向上効果と適切な靭性とを有することができる。結晶粒度が10以上14.5以下は、平均結晶粒径でいうと2.32μm以上10.0μm以下に相当する。
<析出物>
・分散炭化物
実施形態のオイルテンパー線は、析出物の一つとして上述の強化用元素を含む炭化物(分散炭化物)を備える。実施形態のオイルテンパー線では、分散炭化物が非常に微細であり、結晶粒内に分散して存在する組織、いわば析出物による分散強化組織を有する。分散炭化物は、例えばV,TaC,NbCなどが挙げられる。
・・粒径
実施形態のオイルテンパー線では、分散炭化物の平均粒径が30nm以下である。分散炭化物がこのように非常に微細であれば、結晶粒内に均一的に分散して存在し易く、分散強化効果を良好に得られる。上記平均粒径が小さいほど、分散炭化物がより均一的に分散して分散強化効果を得易い上に、分散炭化物が破壊の起点になり難い。そのため、上記平均粒径は28nm以下、更に25nm以下、20nm以下、18nm以下がより好ましい。分散炭化物を小さくするには、例えば、製造過程で後述するようにオーステナイト化温度からの降温過程で所定の温度に保持する際に、この保持温度をより低くすることが挙げられる。上記平均粒径を1nm以上、更に2nm以上とすると、上述の製造過程での熱処理温度を過度に低くせずに製造可能であり、製造性に優れる。
分散炭化物の最大径も小さいほど好ましい。実施形態のオイルテンパー線やこのオイルテンパー線を用いたばねが繰り返し応力を受けた場合に、炭化物粒子が微細であれば破壊の起点になり難く、疲労限を高められるからである。上記最大径は、100nm以下、更に80nm以下、70nm以下、50nm以下がより好ましい。
・・含有量
実施形態のオイルテンパー線では、分散炭化物中の強化用元素の合計含有量がオイルテンパー線の組成中の強化用元素全量を100%として、質量割合で10%以上である。以下、分散炭化物中の強化用元素の合計含有量を強化用元素の析出量(質量%)、強化用元素全量に対する強化用元素の析出量を析出割合と呼ぶことがある。上記析出割合が大きいほど、強化用元素が分散炭化物として存在する量が多いため、上述の結晶粒内の分散強化による疲労特性の向上効果を得易い。上記析出割合の理想の上限は100%、即ち強化用元素全量が炭化物として存在することである。上記析出割合を大きくするには、例えば、製造過程で析出時間を長く確保することが挙げられる。但し、製造時間の長大化により、製造性の低下を招く。上記析出割合が70%以下、更に60%以下であれば、製造時間を過度に長くせずに製造可能であり、製造性に優れる。なお、強化用元素のうち、一部がマトリクスに固溶していることを許容する。
本発明者らは、強化用元素のうち、原子量が比較的小さいVを含む場合には上記析出割合がより大きいことが好ましく、原子量が比較的大きいTa,Nb,Mo,Wを含む場合には析出割合が10%程度であっても疲労特性の向上効果が得られる、との知見を得た。
従って、Vを含む場合には、上記析出割合が20%以上、更に25%以上、30%以上であることが好ましい。Ta,Nb,Mo,Wを含む場合には、上記析出割合が11%以上、更に12%以上であると、疲労特性の向上効果をより得易い。
上述の強化用元素の析出量を、オイルテンパー線の組成を100質量%としていうと、強化用元素の含有量の下限が0.01質量%であるため、0.001質量%以上である。
強化用元素の析出量が多いほど上述の結晶粒内の分散強化による疲労特性の向上効果を得易く、オイルテンパー線の組成に対して強化用元素の析出量を0.01質量%以上、更に0.02質量%以上とすることができる。Vを含む場合、Vの含有量の下限が0.02質量%であるため、オイルテンパー線の組成に対してVの析出量を0.006質量%以上、更に0.01質量%以上、0.03質量%以上、0.05質量%以上とすることができる。
分散炭化物の大きさ、強化用元素の析出量、析出割合は、オイルテンパー線における強化用元素全量、製造条件(後述参照)などによって調整することが挙げられる。強化用元素全量が多いほど、強化用元素の析出量や析出割合を多くし易い。
・その他の炭化物
実施形態のオイルテンパー線は、代表的には、結晶粒界にFeを含む炭化物(Fe系炭化物)が存在し、このFe系炭化物によって結晶粒界が強化される。Fe系炭化物は、代表的には、FeCが挙げられる。その他、実施形態のオイルテンパー線は、代表的には結晶粒内にCrを含む炭化物((Fe,Cr)Cなど)を含む。
・炭化物量
実施形態のオイルテンパー線は、上述のように結晶粒内及び結晶粒界の双方に炭化物を含有する。オイルテンパー線の組成を100質量%として、これらの炭化物の合計含有量が1質量%以上であると、分散炭化物による結晶粒内の分散強化効果とFe系炭化物による結晶粒界の強化効果とを良好に得られて好ましい。上記合計含有量が多いほど、上述の結晶粒内の分散強化効果及び結晶粒界の強化効果を得易く、疲労特性を向上し易いことから、上記合計含有量を1.2質量%以上、1.4質量%以上、更に1.5質量%以上とすることができる。上記合計含有量が3質量%以下であると、炭化物が多過ぎず、特にFe系化合物が多過ぎることによる靭性の低下を招き難い。上記合計含有量が2.8質量%以下、2.6質量%以下、更に2.5質量%以下であると、上述の結晶粒内の分散強化効果及び結晶粒界の強化効果を良好に得つつ、靭性の低下を抑制できて、疲労特性により優れる。上述の分散炭化物の含有量が0.01質量%以上を満たし、かつ炭化物の合計含有量が1質量%以上3質量%以下を満たすことがより好ましい。
実施形態のオイルテンパー線にばねの製造工程を模擬した模擬処理を施した場合、セメンタイトといったFe系炭化物が増加する傾向にあるものの、模擬処理の前後で分散炭化物量が実質的に変化しないことを確認している。但し、模擬処理前後で分散炭化物の大きさが変化すること、主として大きくなることがある。しかし、模擬処理前の分散炭化物の平均粒径が30nm以下と小さければ、模擬処理後の分散炭化物の平均粒径も30nm以下を満たす傾向にある。つまり、模擬処理後のオイルテンパー線は、結晶粒内に微細な分散炭化物が均一的に分散して存在し、結晶粒界にFe系炭化物が存在する組織を維持する傾向にある。
例えば、オイルテンパー線に窒化処理相当の熱処理、ショットピーニング、低温焼鈍相当の熱処理を順に施した後における炭化物の合計含有量が2質量%以上であれば、分散炭化物による結晶粒内の分散強化効果と、Fe系炭化物による結晶粒界の強化効果とを良好に得られる。上記合計含有量が4質量%以下であれば、特にFe系化合物が多過ぎることによる靭性の低下を招き難い。上記合計含有量が3.8質量%以下、更に3.6質量%以下、3.5質量%以下、3質量%以下であると、上述の結晶粒内の分散強化効果及び結晶粒界の強化効果を良好に得つつ、靭性の低下を抑制できて、疲労特性に優れる。このようなオイルテンパー線をばねに用いた場合、このばねは、上記の模擬処理後の組織に類似する組織を有すると考えられ、疲労限が高く、疲労特性に優れる。
上述の模擬処理後のオイルテンパー線における炭化物の合計含有量が2質量%以上4質量%以下を満たすものは、代表的には、模擬処理前における炭化物の合計含有量が1質量%以上3質量%以下を満たす。
(機械的特性)
実施形態のオイルテンパー線が疲労特性に優れることを示す一つの指標として、オイルテンパー線に窒化処理相当の熱処理、ショットピーニング、低温焼鈍相当の熱処理を順に施した後に疲労試験を行ったときの疲労限が1045MPa以上を満たすことが挙げられる。上述の模擬処理後の疲労限が高いほど、このオイルテンパー線を用いたばねは、繰り返し応力を受けても破断し難く、疲労特性に優れるといえる。従って、上記疲労限は、1050MPa以上、更に1055MPa以上が好ましい。上記疲労限は高いほど好ましいため上限を設けない。
(形状、大きさ)
実施形態のオイルテンパー線は、種々の形状を取り得る。代表的には、横断面形状が円形の丸線が挙げられる。その他、横断面形状が矩形状の平角線、台形状などの多角形状や楕円状などの種々の異形線とすることができる。
実施形態のオイルテンパー線は、種々の大きさ(断面積、線径など)を取り得る。例えば、丸線では、線径が0.7mm以上6.0mm以下程度のものが挙げられる。断面積や線径は、伸線加工の加工度によって変化できる。
(用途)
実施形態のオイルテンパー線は、各種のばね材料に利用できる。より具体的には、実施形態のオイルテンパー線は、エンジンの弁ばね、トランスミッション用ばねといった自動車用の各種のばね材料に好適に利用できる。
[オイルテンパー線の製造方法]
実施形態のオイルテンパー線は、代表的には、原料鋼の溶製→熱間鍛造→熱間圧延→パテンチング→皮剥ぎ→焼鈍→伸線加工→焼入れ焼戻し、という工程を経て製造できる。
特に、強化用元素の少なくとも一部を炭化物として析出させると共に、微細な炭化物とする熱処理を行う。
例えば、焼入れ工程において、オーステナイト化(γ化)温度に加熱してからの降温過程で、過冷却状態でAC3点以下の所定の温度に保持した後、急冷することが挙げられる。具体的には、オーステナイト化工程と、γ化温度から600℃以上800℃以下の温度域から選択した所定の温度に20℃/sec以上の速度で降温し、この所定の温度に保持する析出工程と、析出工程後に急冷する急冷工程とを備える。
上記の特定の焼入れ後に焼き戻しを行う。
上記の熱処理は、以下の知見に基づくものである。
本発明者らは、γ化温度からの降温過程の各温度について、分散炭化物の析出状態を調べた。その結果、γ化によってマトリクスを面心立方構造(fcc)に変態させ、γ化温度からの降温過程で、マトリクスがfccを維持する温度域では分散炭化物が安定して析出し易いことから、面心立方構造(bcc)に変態しないように過冷却状態でAC3点以下の温度に保持することが好ましい、との知見を得た。マトリクスがfccを維持してパーライト変態しない温度に保持することで分散炭化物を析出させられる。また、この保持温度から急冷することで、マトリクスをマルテンサイト組織とすることができると共に、析出した分散炭化物が成長し難く、微細な状態を維持でき、微細な分散炭化物が結晶粒内に分散して存在する組織が得られるとの知見を得た。更に、上記の特定の焼入れ後に焼戻しを行うと、焼戻しマルテンサイト組織となって靭性を高められる上に、微細な分散炭化物がある程度成長するものの、平均粒径が30nm以下を満たす微細な状態を維持できるとの知見を得た。
以下、熱処理を詳細に説明する。以下の焼入れの条件、焼戻しの条件以外については、公知の条件を利用できる。
γ化温度は、例えば850℃以上1000℃以下が挙げられる。850℃以上であれば、添加元素を十分に固溶でき、結果として析出物を均一的に析出し易い。1000℃以下であれば、結晶粒や析出物の成長を抑制して微細な結晶組織とし易く、例えば、平均粒度を10以上とすることができる。γ化温度を980℃以下、更に900℃以上950℃以下と比較的低めにすると、微細な結晶組織としつつ、良好に固溶を行える。上述の範囲でγ化温度を低めに、かつ析出工程の保持温度も低めにすると、平均粒度が11以上、更に12以上、13以上である微細な結晶組織を得易い。
上述のγ化温度から降温過程において、過冷却状態で600℃以上800℃以下の温度域から選択した所定の温度に保持して、分散炭化物を析出させる。過冷却状態にするには、例えば、上記の所定の温度までの降温速度を20℃/sec以上と比較的大きくすることが挙げられる。上記温度域から選択される所定の温度が低いほど、分散炭化物が成長し難く、より微細な分散炭化物とし易い。
上述のγ化温度の保持時間及び分散炭化物の析出のための保持時間は、例えば、合計で1秒以上1分(60秒)未満とすることが挙げられる。上記合計時間が短いほど、結晶粒の粗大化及び分散炭化物の粗大化を抑制できるため、上記合計時間を30秒以下、更に、20秒以下、15秒以下とすることができる。上記合計時間を1秒以上、更に3秒以上、5秒以上とすることで、γ化を適切に行えると共に、分散炭化物を析出し易い。上記の範囲で上記合計時間を長めにすると、析出量を多くし易い。
上述のような短時間の焼入れには、高周波加熱炉を好適に利用できる。高周波加熱炉は、雰囲気炉に比較して昇温速度や降温速度を大きくし易い。そのため、高周波加熱炉を利用すると、γ化の保持時間を短くし易い上に、降温過程では降温速度を大きくして、高速降温によって過冷却状態を形成できる。
焼戻しの条件は、例えば、保持温度を400℃以上650℃以下、保持時間を60秒以下とすることが挙げられる。焼戻しの保持温度を低めにし、保持時間を短めにすると、分散炭化物の粗大化を抑制できて好ましい。
[ばね]
実施形態のオイルテンパー線にばね加工を施すことで、ばねが得られる。ばね加工後に、公知の条件にて、歪取り焼鈍、窒化処理、ショットピーニング、低温焼鈍などを適宜行うことができる。
[試験例1]
オイルテンパー線を種々の条件で作製して、組織、疲労特性を調べた。
原料鋼を真空溶解炉で溶製し、熱間鍛造、熱間圧延を順に行って、線径φ6.5mmの圧延材を作製する。この圧延材に順に、パテンチング→皮剥ぎ→焼鈍→伸線加工→焼入れ焼戻しを施して、線径φ3.0mmのオイルテンパー線を得る。
試験に用いた鋼の成分は、C:0.63質量%、表1に示す強化用元素:0.15質量%、Si:2.20質量%、Mn:0.51質量%、Cr:1.18質量%であり、残部はFe及び不可避不純物である。
作製した各試料について、以下の条件で焼入れを行う。焼戻しは保持温度を500℃、保持時間を2秒とする。
(焼入れ条件)
〈試料No.1〉 雰囲気炉使用
γ化温度を950℃、保持時間を約55秒とするγ化を行った後、後述の析出工程を行わず、γ化温度から室温まで急冷する。
〈試料No.2〉 高周波加熱炉使用
γ化温度を950℃、保持時間を10秒以内とするγ化を行った後、後述の析出工程を行わず、γ化温度から室温まで急冷する。
〈試料No.3~No.7〉 高周波加熱炉使用
γ化温度を950℃とするγ化工程と、γ化温度から降温速度20℃/秒以上で、表1の焼入れ条件に示す温度(℃)まで降温し、この温度(℃)に保持する析出工程と、この保持温度から急冷する急冷工程とを備える。γ化温度の保持時間と析出工程における表1の焼入れ条件に示す温度(℃)の保持時間との合計時間を10秒以内とする。
いずれの試料も、急冷は、マルテンサイト組織が得られるように降温速度を調整する。
上述の焼入れ焼戻しを施した各試料のオイルテンパー線の断面をとり、断面を顕微鏡で観察した。図1は、試料No.4の光学顕微鏡写真であり、図2は、試料No.1の光学顕微鏡写真である。図1,図2において、黒い筋は結晶粒界であり、黒い筋で囲まれる各領域が結晶粒である。
図1,図2に示すように、いずれの試料も、結晶粒が微細であり、結晶粒界に筋状のものが存在するという同様な結晶組織を有しており、結晶粒界が筋状のものによって強化されていることが分かる。結晶粒界の筋状のものについて、透過電子顕微鏡(TEM)に付属されるエネルギー分散型X線分析(EDX)装置を用いて点分析によって成分分析を行ったところ、FeとCとの化合物、代表的にはFeCといったFe系炭化物を主体とすることを確認している。
各試料のオイルテンパー線について、以下の各項目を調べた。
(炭化物の含有量)
各試料のオイルテンパー線に含まれる炭化物の合計含有量を調べた。
ここでは、定電位電解法によって得られる残渣を成分分析し、オイルテンパー線を100質量%としたときの残渣の質量割合(質量%)を求める。
詳しくは、各試料のオイルテンパー線から試験片をとり、適宜な電解液を用いて試験片を溶解して残渣を抽出し、メンブレンフィルタなどの濾材によってろ過して、残渣を分離する。分離した残渣の成分を誘導結合高周波プラズマ(ICP)発光分光分析法によって分析して、成分を定量する。また、分離した残渣の結晶構造をX線回折法によって解析する。試験片の質量を予め測定しておく。
残渣の成分分析と結晶構造の解析とから、残渣が炭化物(Vといった分散炭化物、FeCといったFe系炭化物、その他(Fe,Cr)C)であることを確認し、残渣の質量を測定する。残渣のうち、炭化物以外の不純物などは除去する。
残渣の質量を炭化物の合計含有量とし、試験片の質量に対する炭化物の合計含有量の質量割合(以下の式1)、即ちオイルテンパー線の組成を100質量%とした炭化物の合計含有量(質量%)を求める。
(式1)[(炭化物の合計含有量)/(試験片の質量)]×100
後述するばねの製造過程を模擬した処理(窒化処理、ショットピーニング、低温焼鈍)を行った後のオイルテンパー線について、同様にして、オイルテンパー線の組成を100質量%とした炭化物の合計含有量の質量割合を求める。
模擬処理を行っていないオイルテンパー線の炭化物の合計含有量を模擬処理前の合計量(質量%)とし、模擬処理を行った後におけるオイルテンパー線の炭化物の合計含有量を模擬処理後の合計量(質量%)とし、結果を表1に示す。
(強化用元素の析出量、析出割合)
上述の残渣の成分分析と結晶構造解析とから、強化用元素を含む炭化物(分散炭化物)を抽出する。抽出した分散炭化物中の強化用元素の合計含有量を、上述の成分分析値を用いて求める。試験片の質量に対する分散炭化物中の強化用元素の合計含有量(以下の式2)を求める。即ちオイルテンパー線の組成を100質量%としたときの強化用元素の析出量(質量%)を求め、結果を表1に示す。
(式2)[(分散炭化物中の強化用元素の合計含有量)/(試験片の質量)]×100
また、分散炭化物中の強化用元素の合計含有量について、オイルテンパー線の組成中の強化用元素全量(ここではいずれの試料も0.15質量%)に対する質量割合(%)を求め、即ち析出割合を求め、結果を表1に示す。
(分散炭化物の平均粒径)
分散炭化物の平均粒径の測定は、抽出レプリカ法を用いて行う。具体的には、オイルテンパー線の断面をとり、断面を鏡面研磨した後、定電位電解腐食法によって断面を腐食させて析出物を現出させ、更に炭素を蒸着する。蒸着によって形成された炭素膜(レプリカ膜)を分離して、析出物(粒子)を抽出する。
抽出した析出物について、TEM-EDXを用いて元素分析を行って、析出物の組成を調べる。また、電子線回折法によって析出物の結晶構造を解析して析出物の構造を調べる。析出物の組成及び構造に基づいて、(Fe,Cr)Cなどを排除し、V,TaC,NbCいった分散炭化物のみを抽出する。
抽出した分散炭化物のTEM観察像を用いて、分散炭化物の大きさを測定する。ここでは、上述の断面のTEM観察像における各粒子の等価面積円の直径を各粒子の直径とし、100個以上の粒子の平均を平均粒径(nm)とし、表1に示す。また、平均をとった複数の粒子のうち、最大のものを最大径(nm)とし、表1に示す。
(結晶の平均粒度)
上述の光学顕微鏡写真を用いて、JIS G 0551(2013年)「鋼―結晶粒度の顕微鏡試験方法」に準拠して結晶粒度を測定する。ここでの撮影倍率は1000倍である。
(特性)
各試料のオイルテンパー線に、ばねの製造過程を模擬した以下の模擬処理(窒化処理、ショットピーニング、低温焼鈍)を順に行った後、疲労試験を行い、疲労限(MPa)を求める。試料ごとに10本の試験片を用意して疲労限を調べ、10本の平均値を表1に示す。上記疲労試験は、中村式回転曲げ疲労試験を行った。
[模擬処理]
窒化処理:400℃×4時間、窒素雰囲気
ショットピーニング:0.7mmφのワイヤカット×30分⇒0.3mmφスチールボール×30分
低温焼鈍:230℃×30分
Figure 0007044109000001
表1に示すように試料No.3~No.7のオイルテンパー線は、上述の模擬試験後の疲労限が試料No.1,No.2と比較して高く、疲労特性に優れる。この試験では、試料No.3~No.7の疲労限は、試料No.1に対して2.5%程度以上向上している。特に、試料No.5~No.7の疲労限は、試料No.1に対して5.5%以上向上している。
このような結果が得られた理由として、以下のように考えられる。
試料No.3~No.7のオイルテンパー線は、表1に示すように、強化用元素を含む炭化物(分散炭化物)の平均粒径が38nm未満、更に30nm以下であり、非常に微細である。また、分散炭化物中の強化用元素の合計含有量が強化用元素全量に対して質量割合で10%以上である(析出割合が10%以上である)。即ち、強化用元素のうち、ある程度の量が分散炭化物として結晶粒内に存在する。そして、試料No.3~No.7のオイルテンパー線は、非常に微細な分散炭化物が結晶粒内に分散して存在する組織を有する上に、後述するように模擬試験後も微細な結晶粒内に微細な分散炭化物が存在する組織を有する。このように強化用元素の少なくとも一部を炭化物として備えると共に、この炭化物が非常に微細であり、結晶粒内に分散して存在することで、分散強化効果によって降伏応力を向上でき、繰り返し曲げを受けた場合に破断し難く、疲労限を向上できた、と考えられる。
更に、この試験では、試料No.3~No.7のオイルテンパー線における結晶粒内の分散炭化物の最大径が100nm未満であり、更に90nm未満、80nm以下、50nm以下と非常に小さい。そのため、結晶粒内の分散炭化物が破壊の起点になり難く、より破断し難くなった、と考えられる。また、この試験では、試料No.3~No.7のオイルテンパー線における結晶粒度が10以上、更に12以上と大きく、結晶が微細である。
このように微細な結晶組織を有することで、結晶粒界が適量存在して、セメンタイトといったFe系炭化物による結晶粒界の強化効果によっても破断し難くなった、と考えられる。上記結晶粒度が14.5以下であり、結晶が小さ過ぎないことで靭性にも優れることからも破断し難くなった、と考えられる。加えて、この試験では、試料No.3~No.7のオイルテンパー線の模擬処理前における炭化物の合計含有量が1質量%以上3質量%以下の範囲である。炭化物の合計含有量が適切であることからも、分散炭化物による結晶粒内の析出強化とFe系炭化物による結晶粒界の析出強化との双方の効果を良好に得られた、と考えられる。また、過剰な炭化物による靭性の低下も招き難かった、と考えられる。
更に、模擬処理を施すと、分散炭化物の量は実質的に変化せず、Fe系炭化物が増加する傾向にあるため、模擬処理後における炭化物の合計含有量は増加する。しかしながら、試料No.3~No.7のオイルテンパー線の模擬処理後における炭化物の合計含有量は2.3質量%程度であり、上述の模擬試験前における炭化物の合計含有量(1.7質量%程度)と比較して模擬処理後における炭化物の合計含有量の増加が少ない。試料No.3~No.7のオイルテンパー線は、模擬処理後における炭化物の合計含有量が、上述のように模擬処理前よりも増加したが、2質量%以上4質量%以下を満たす範囲であり、この範囲であることで、Fe系炭化物の増大による結晶粒界の強化効果を得つつ、Fe系炭化物の過剰析出による靭性の低下を招き難かった、と考えられる。
一方、試料No.1,No.2では、結晶粒内に強化用元素を含む炭化物が存在するものの、これらの炭化物の平均粒径が大きく、最大径も大きい。結晶粒内にこのような粗大な炭化物が存在することで、繰り返し曲げを受けた場合に粗大な炭化物粒が破壊の起点になるなどして破断し易くなり、疲労限が低い、と考えられる。
各試料の組織について、より詳細に説明する。
図3及び図4は、上述の模擬試験後の線材について断面をとり、この断面をTEM観察した観察像であり、左から順にZコントラスト像、TEM-EDX装置を用いて分析したFeの元素マッピング像、Vの元素マッピング像を示す。この例ではレプリカ膜として炭素を用いており、TEM-EDX装置による元素マッピング像は、炭素よりも原子番号が大きいほどコントラスト比が大きく白く見える。鉄(Fe)やバナジウム(V)は炭素(C)よりも原子番号が十分に大きいため、白く見える。図3は、試料No.4の模擬試験後の観察像である。図4は、試料No.1の模擬試験後の観察像である。上述の成分分析(点分析)などによって、Feの元素マッピング像に示すFeは、FeCといったFe系炭化物であること、Vの元素マッピング像に示すVは、VといったV系炭化物であることを確認している。
図3及び図4のFeの元素マッピング像に示すように、いずれの試料も、Fe系炭化物が結晶粒を囲むように点在すること、即ちFeの存在状態が同様であることが分かる。一方、図3のVの元素マッピング像に示すように試料No.4のV系炭化物は、非常に微細であり、かつ上述のFe系炭化物で囲まれる結晶粒内に分散していることが分かる。この例では、模擬試験後であっても、V系炭化物の平均粒径が15nm程度、最大径が50nm未満程度である。これに対し、図4のVの元素マッピング像に示すように試料No.1では、非常に大きなV系炭化物が局所的に存在することが分かる。この例では、試料No.1のV系炭化物は、試料No.4の2倍程度の大きさである。このことから、微細な結晶粒内に微細な分散炭化物が分散して存在する組織を有するオイルテンパー線は、ばねの製造過程を経ても、この特定の組織を維持し易く、疲労限に優れることが裏付けられる。
その他、この試験から以下のことがいえる。
(1)同じ強化用元素を含む場合、分散炭化物の平均粒径が小さいほど、疲労限を向上できる。また、分散炭化物の最大径が小さいほど、疲労限を向上できる。(試料No.3~No.5を比較参照)
(2)Vを含む場合には、分散炭化物の平均粒径が30nm以下であると共に、強化用元素の析出割合が多め(好ましくは質量割合で30%以上)であると、疲労限を向上し易い。(試料No.3~No.5を参照)
(3)Ta,Nbのような原子量が比較的大きい強化用元素を含む場合には、強化用元素の析出割合が少なめ(質量割合で10%程度)でも疲労限を向上できる。(試料No.6,No.7を参照)
(4)結晶粒内に微細な分散炭化物が適量存在して、疲労特性に優れるオイルテンパー線は、γ化工程、析出工程、急冷工程を備える特定の条件の焼入れを行うことで製造できる。
(5)製造条件(特に析出工程の温度)を異ならせることで、分散炭化物の平均粒径や最大径、結晶粒度を変化させられる。析出工程の温度を低くするほど、分散炭化物の平均粒径や最大径を小さくし易く、結晶粒度を大きくして結晶を微細にし易い(試料No.3~No.5を比較参照)。
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
例えば、上述の試験例において、線材の組成、線径、製造条件の少なくとも一つの変更が可能である。例えば、C,Si,Mn,及びCrから選択される1種以上の元素の含有量を変更したり、V,Ta,Nb,Mo,及びWから選択される2種以上の元素を特定の範囲で含んだりすることが挙げられる。

Claims (6)

  1. Cを0.63質量%以上0.68質量%以下と、
    化用元素と、
    Siを0.80質量%以上3.00質量%以下と、
    Mnを0.40質量%以上1.00質量%以下と、
    Crを0.40質量%以上2.00質量%以下とを含有し、残部がFe及び不純物である組成と、
    結晶粒を含む組織とを有し、
    前記強化用元素は、0.10質量%以上0.30質量%以下のV、0.10質量%以上0.35質量%以下のTa、及び0.10質量%以上0.35質量%以下のNbから選択される1種以上の元素であり、
    前記組織は、前記強化用元素を含む炭化物を前記結晶粒内に備え、
    前記強化用元素を含む炭化物中の前記強化用元素の合計含有量が前記強化用元素全量に対して質量割合で10%以上であり、
    前記強化用元素を含む炭化物の平均粒径が30nm以下であるオイルテンパー線。
  2. Cを0.63質量%以上0.68質量%以下と、
    化用元素と、
    Siを0.80質量%以上3.00質量%以下と、
    Mnを0.40質量%以上1.00質量%以下と、
    Crを0.40質量%以上2.00質量%以下とを含有し、残部がFe及び不純物である組成と、
    結晶粒を含む組織とを有し、
    前記強化用元素は、0.10質量%以上0.30質量%以下のV、0.10質量%以上0.35質量%以下のTa、及び0.10質量%以上0.35質量%以下のNbから選択される1種以上の元素と、0.02質量%以上0.50質量%以下のMo、及び0.02質量%以上1.00質量%以下のWから選択される1種以上の元素とであり、
    前記組織は、前記強化用元素を含む炭化物を前記結晶粒内に備え、
    前記強化用元素を含む炭化物中の前記強化用元素の合計含有量が前記強化用元素全量に対して質量割合で10%以上であり、
    前記強化用元素を含む炭化物の平均粒径が30nm以下であるオイルテンパー線。
  3. 結晶粒度が10以上14.5以下である請求項1又は請求項2に記載のオイルテンパー線。
  4. 炭化物の合計含有量が1質量%以上3質量%以下である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のオイルテンパー線。
  5. 窒化処理相当の熱処理、ショットピーニング、低温焼鈍相当の熱処理を順に施した後における前記炭化物の合計含有量が2質量%以上4質量%以下となり、
    前記窒化処理相当の熱処理は、400℃で4時間保持し、
    前記ショットピーニングは、直径0.7mmφのカットワイヤをショット材とする処理と、直径0.3mmφのスチールボールをショット材とする処理とをそれぞれ30分間、合計1時間行い、
    前記低温焼鈍相当の熱処理は、230℃で30分間保持する請求項4に記載のオイルテンパー線。
  6. 前記強化用元素を含む炭化物の最大径が100nm以下である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のオイルテンパー線
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