以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を、カラープリンター(以下、単に「プリンター」という。)に適用した場合を例にして説明する。
<実施の形態1>
(1)プリンターの構成
図1は、プリンター10の構成を示す概略正面図である。同図では、X軸方向がプリンター10を正面側から見たときの左右方向に相当し、Y軸方向が上下方向に相当する。X軸とY軸の双方に直交する方向を以下、Z軸方向(奥行方向)という場合がある。
同図に示すように、プリンター10は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであり、作像部1Y、1M、1C、1Kと、中間転写ベルト2と、給紙部3と、定着部4と、制御部5を備え、ネットワーク(例えばLAN)に接続されて、外部の端末装置(不図示)からの印刷(プリント)ジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)色からなるカラーの画像形成を実行する。
作像部1Y~1Kは、中間転写ベルト2に対して直下の位置であり中間転写ベルト2の走行方向に沿って並置されている。
作像部1Yは、矢印で示す方向に回転する感光体ドラム6上にY色のトナー像を作像する。この構成は、他の作像部1M、1C、1Kについて同様であり、同図では符号を省略している。各感光体ドラム6上に、対応する色(Y~K)のトナー像が作像される。
給紙部3は、作像部1Y~1Kよりも下方に配置され、給紙カセット31、32と、ピックアップローラー33、34と、搬送ローラー35と、タイミングローラー36などを備える。
給紙カセット31、32は、記録用のシートとしてのシートSを積載収容するものであり、ここでは、給紙カセット31の下に給紙カセット32が配置される2段の構成になっている。給紙カセット31、32は、相互に異なるサイズのシートSをセット可能であり、いずれの給紙カセットを用いるかをユーザーが選択することができる。
ピックアップローラー33、34は、給紙カセット31、32からシートSを搬送路30に繰り出し、搬送ローラー35は、繰り出されたシートSを、さらに搬送方向下流側に向けて搬送する。
タイミングローラー36は、搬送ローラー35により搬送されて来るシートSを二次転写ローラー2aに送り出すタイミングをとる。
定着部4は、定着ローラーと加圧ローラーを備え、所定の定着温度でシートSを加熱、加圧してトナー像を定着させる。
制御部5は、外部の端末装置からの画像データに基づき作像部1Y~1Kごとに、その感光体ドラム6上に対応するトナー像を作像させる。
各感光体ドラム6上のトナー像は、中間転写ベルト2上に一次転写される。この際、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト2上の同じ位置に多重転写されるようにタイミングをずらして実行される。
作像部ごとに一次転写は、感光体ドラム6上のトナー像の全てが中間転写ベルト2に転写されるように実行されることが望ましいが、実際には感光体ドラム6上に残ってしまう残留トナーが僅かに存在する。この残留トナーを感光体ドラム6から除去するクリーナー7が作像部ごとに配置されている。
中間転写ベルト2上に多重転写された各色トナー像は、中間転写ベルト2の周回走行により、二次転写ローラー2aが中間転写ベルト2に圧接される位置である二次転写位置2bに移動する。
上記の作像動作のタイミングに合わせて、給紙部3からは、タイミングローラー36を介してシートSが搬送されて来ており、そのシートSは、周回走行する中間転写ベルト2と二次転写ローラー2aの間に挟まれて搬送され、二次転写位置2bにおいて中間転写ベルト2上の各色トナー像が一括してシートSに二次転写される。
この二次転写は、中間転写ベルト2の各色トナー像の全てがシートSに転写されるように実行されることが望ましいが、実際には中間転写ベルト2上に残ってしまう残留トナーが僅かに存在する。この残留トナーを中間転写ベルト2から除去するクリーナー8が配置されている。
二次転写位置2bを通過したシートSは、定着部4に搬送され、ここでトナー像が加熱、加圧によりシートSに定着された後、排出ローラー37を介して排出され、収容トレイ38に収容される。
装置本体11の底部であり、給紙カセット31、32よりも左側の位置には、クリーナー7と8で除去された廃トナーを回収するための回収容器12が挿入、装着されるスロット14が設けられている。なお、図示していないが、クリーナー7と8のそれぞれごとに、廃トナーを回収容器12まで搬送するための搬送パイプが装置本体11の内部に設けられており、その各搬送パイプを通じて廃トナーが回収容器12まで搬送され、回収容器12内に収容、回収される。回収容器12は、ユーザーにより装置本体11に対して着脱自在に構成されている。
(2)回収容器の構成
図2は、回収容器12の斜視図であり、装置本体11のスロット14から回収容器12が取り外された様子を示しており、装置本体11の一部を切り欠いて示している。また、図3は、図2に示す回収容器12を矢印Aで示す方向から見たときの斜視図である。
図2と図3に示すように回収容器12は、正面壁120、背面壁121、右側壁122、左側壁123、天壁124、底壁125を有し、これらの各壁により容器本体127が構成されている。容器本体127は、Z軸方向に長尺であり、右側壁122と左側壁123との間の間隔が狭い扁平な外形をしている。以下、Z軸方向に正面壁120が位置する側を正面側、背面壁121が位置する側を背面側という。
容器本体127は、Z軸方向(奥行方向)に沿って長尺の下側収容部130(図3)と、下側収容部130の正面側部分138の上に位置し、正面側部分138に連通している上側第1収容部131と、下側収容部130の背面側部分139の上に位置し、背面側部分139に連通している上側第2収容部132からなり、天壁124の背面側の端部に設けられた廃トナー受入口126を介して装置本体11側からの廃トナーを受け入れて、受け入れた廃トナーを容器本体127の内部空間に収容、回収する。
上側第1収容部131と上側第2収容部132との間には、棒状の取っ手133が渡されており、正面壁120には、切り欠き134により形成された取っ手135が設けられている。ユーザーは、取っ手133、135を把持して、回収容器12を装置本体11に対して着脱する操作を行うことができる。
背面壁121には、不図示の軸体が突設されており、その軸体にギア80が回転自在に嵌め込まれている。ギア80は、容器本体127の内部に配された不図示の搬送スクリューに回転駆動力を付与するものであり、ギア80と搬送スクリューとを繋ぐ駆動力伝達機構(不図示)が回収容器12に設けられている。また、背面壁121には、ギア80よりも下の箇所に、容器本体127を装置本体11に位置決めするためのピン81が突設されている。
図2に示すように装置本体11のスロット14は、Z軸方向に長尺な底壁141、右側壁142、左側壁143、天壁144、背面壁145に囲まれてなり、装置正面側が開放されており、正面カバー13を開けたときに正面側に露出する。
ユーザーは、正面カバー13を開けた状態で、回収容器12を、その右側壁122がY-Z平面に沿って平行な姿勢で、底壁141上を矢印Z方向に滑らせるように装置正面側から背面側に向かってスロット14内の空間146の奥まで挿入する。これにより、回収容器12のギア80が装置本体11の背面壁145に軸着された駆動ギア148に歯合し、容器本体127のピン81が背面壁145に設けられた孔149に嵌め込まれる。この状態でユーザーが正面カバー13を閉じることにより、正面カバー13が容器本体127を奥側に押え付けるようになり、容器本体127が装置本体11にロックされる。正面カバー13が装置本体11に対して容器本体127をロックするロック部材になる。これにより回収容器12の装置本体11への装着が完了する。
駆動ギア148は、装置本体11に配置された不図示の駆動モーターからの回転駆動力により回転する。駆動ギア148の回転により、回収容器12のギア80が回転し、ギア80の回転により、容器本体127内の搬送スクリューが回転する。
回収容器12が装置本体11に装着されると、回収容器12の廃トナー受入口126が装置本体11の天壁144に設けられた廃トナー排出口147に対向する位置に来るようになっている。廃トナー排出口147は、クリーナー7、8から廃トナーを回収容器12に向けて搬送する上記の搬送パイプの出口に接続されており、搬送パイプを通じて搬送されて来た廃トナーが廃トナー排出口147、容器本体127の廃トナー受入口126を介して容器本体127内に入る。
廃トナー受入口126から容器本体127内に入った廃トナーは、容器本体127の底壁125上に落下して堆積していくとともに、回転する搬送スクリューによって正面壁120に向かって搬送される。
容器本体127内に回収された廃トナーの堆積量が多くなり、その液面(廃トナーの堆積層の上面)の高さが左側壁123に設けられた透光性の窓63(図3)の高さを越えると、窓63に廃トナーが付着する。
窓63に付着した廃トナーは、装置本体11の左側壁143に固定配置されている光学センサー51の検出光により光学的に検出される。このように回収容器12の窓63が外部から容器本体127内部に堆積された廃トナーの堆積量を光学的に監視できる透光性の窓になる。窓63と光学センサー51の具体的な構成については、後述する。
制御部5は、光学センサー51の検出結果から回収容器12が廃トナーで一杯になったことを判断すると、その旨を示すメッセージを装置本体11の上部に配置された操作パネル9に表示させて、ユーザーに回収容器12の交換を促す。メッセージ表示と共に、画像形成ジョブの実行を禁止する制御が行われるとしても良い。
ユーザーは、正面カバー13を開けてから、廃トナーで一杯になった回収容器12を装置本体11のスロット14から正面側に引き抜き、その後、空の回収容器12を装置本体11のスロット14に装着することで、回収容器12の交換を行うことができる。
空の回収容器12が装着されると、光学センサー51により廃トナーが検出されなくなるので、制御部5は、上記のメッセージを消灯させる。画像形成ジョブが禁止されていた場合には、メッセージの消灯とともにその禁止を解除して、画像形成ジョブの実行を再開することができる。
回収容器12の装置本体11への装着は、(a)容器本体127が装置本体11の底壁141に載置された状態で、(b)回収容器12側のギア80が装置本体11側の駆動ギア148に歯合し、かつ(c)容器本体127のピン81が装置本体11側の孔149に嵌め込まれ、(d)正面カバー13が閉じられることにより行われる。
容器本体127の装置本体11に対する位置決め精度をより高めるべく、容器本体127と装置本体11とに上記とは別のピンや孔などの一対の位置決め用の部材をさらに追加して配置するとしても良い。
一方で、位置決め精度を高めすぎると、上記「発明が解決しようとする課題」の項で説明したように、ユーザーによる回収容器の装置本体への装着作業が容易ではなくなる。
ユーザーによる回収容器12の装置本体11へのセット作業性を考慮して、本実施の形態ではピン81の径に対して孔149の径を少し大きめ、例えばピン81の径が5mmの場合、孔149の径が7~10mm程度にしてある。これにより、ピン81と孔149間に数mm程度のがたつきが生じるが、その分、がたつきがほとんどない構成よりも、ピン81を孔149に嵌め込み易くなる。
そのがたつきに起因して、例えば容器本体127の右側壁122が鉛直方向に沿った真っ直ぐな直立姿勢(同図の実線)に対して、そのがたつきの範囲内で少し傾斜した姿勢(図11の破線W)でセットされてしまうことが生じ得る。
回収容器12が傾斜姿勢でセットされると、回収容器12の窓63も直立姿勢に対して傾斜した姿勢になり、光学センサー51の検出光の、窓63への入射角にばらつきが生じる。この入射角のばらつきが、直立姿勢で回収容器12がセットされた場合に廃トナーの正常な検出を行えても、傾斜姿勢でセットされた場合に窓63に入射した検出光の乱反射により、廃トナーの検出精度を低下させるおそれがある。
そこで、本実施の形態では、回収容器12が傾斜姿勢でセットされた場合でも、光学センサー51に対する回収容器12の窓63の姿勢を直立姿勢のときと同じ状態を保ち、光学センサー51の検出光の、窓63への入射角にばらつきが生じないように構成して、廃トナーの検出精度の向上を図っている。
(3)回収容器の窓の構成
図3に示すように回収容器12の左側壁123のうち、正面壁120寄りの壁部分に、窓63を有するカバー60が発泡ウレタンからなる板状の弾性部材70を介して取り付けられている。左側壁123のうち、弾性部材70を介してカバー60が取り付けられている壁部分の外表面は、Y-Z平面に平行な平面になっている。
図4は、カバー60と弾性部材70の構成を示す分解斜視図であり、図5は、図4に示すカバー60を矢印Bで示す方向から見たときの斜視図であり、図6は、図4に示すカバー60を矢印Cで示す方向から見たときの側面図であり、図7は、図4に示すカバー60を矢印Dで示す方向から見たときの正面図である。以下、回収容器12の装置本体11への挿入方向である矢印Z方向を容器挿入方向Zという場合がある。
図4~図7に示すようにカバー60は、容器本体127の左側壁123に設けられた貫通孔129を覆うものであり、矩形の薄い平板状のベース61上に容器挿入方向Zに沿って長い3つの突条62、63、64がY軸方向(上下方向)に相互に間隔を開けて設けられてなり、ここでは透明の樹脂材料から形成されている。
突条62は、図4に示すように突出方向の先端面620が仕切り625を挟んで容器挿入方向Zの上流側の面621と下流側の面622とに分けられている構成になっている。面621は、ベース61に平行な平面であり、面622は、仕切り625から容器挿入方向Zの下流側に向かうに連れてベース61に近づく方向に下降している傾斜面である。
突条63、64も突条62と同様の構成になっている。すなわち、突条63、64の先端面630、640は、仕切り635、645を挟んで容器挿入方向Zの上流側の平面631、641と下流側の傾斜面632、642とに分けられている。ここで、平面621、641は、図7に示すようにY-Z平面に平行な同じ仮想平面629上に位置する平坦面になっており、平面631は、ベース61からの高さが平面621、641よりも少し低くなっている。
突条62~64のうち、上下方向中央の突条63が透光性のキャップ形状の窓を構成しており、図5に示すようにカバー60のベース61に設けられた貫通孔68(第1孔)をカバー60の裏面65(容器本体127に近い側の第1主面)とは反対側の表面66(第2主面)側から覆っており、キャップ形状の窓63の内部に空間69が形成されている。
窓63を挟んで上下に位置する突条62、64は、後述する装置本体11側の位置決め部材52、53(図8)と係合して、回収容器12側の窓63の、装置本体11側の光学センサー51に対する位置決めに用いられるものである。この意味で突条62、64は、位置決め部材52、53に位置決めされる被位置決め部67を構成する。位置決め方法については、後述する。
図4に示すように弾性部材70は、厚みの薄い、例えば5mm程度の薄板状であり、カバー60のベース61と略同じ大きさ、形状をしており、中央に透孔71(貫通孔:第2孔)が設けられてなる。弾性部材70の材料としてここでは、発泡ウレタンが用いられるが、厚み方向に弾性を有し、左側壁123とカバー60との間の密閉性が確保できる材料であれば、スポンジなどの樹脂を用いることができる。
左側壁123には、弾性部材70の透孔71と略同じ大きさの貫通孔129が開けられている。この左側壁123の貫通孔129がカバー60で覆われるとともに、カバー60の窓63の内部空間69がベース61の貫通孔68、弾性部材70の透孔71を介して容器本体127の内部空間128と連通する状態になるように、左側壁123と弾性部材70の裏面72とが接着等で固定され、弾性部材70の表面73とカバー60の裏面65とが接着等で固定される。
カバー60と左側壁123との間に弾性部材70を介在させることにより、カバー60に左側壁123に近づく方向の押圧力を加えると、弾性部材70がその押圧力に応じた分だけ圧縮され、その圧縮分、カバー60が左側壁123に接近するようになる。
回収容器12内の廃トナーの堆積量が多くなり、堆積した廃トナーの液面の高さが左側壁123の貫通孔129を越えると、貫通孔129、弾性部材70の透孔71、カバー60のベース61の貫通孔68を介して窓63の内部空間69に廃トナーが入り込んで窓63に付着するようになる。この窓63に付着した廃トナーが装置本体11側の光学センサー51により検出される。
(4)装置本体側の光学センサーと位置決め部材の構成
図8は、光学センサー51と位置決め部材52、53の構成を示す斜視図である。
同図に示すように光学センサー51は、本体部511と発光部512と受光部513とを有し、取付板54を介して装置本体11の左側壁143に対して動かないように固着されている。発光部512と受光部513とは、空間515を介して対向配置されており、発光部512から受光部513に向けて検出光Lt(破線)が発せられる。この空間515は、回収容器12が装置本体11に装着されたときに、回収容器12の窓63が入り込む空間である。
回収容器12内に堆積された廃トナーが窓63の高さまで達していない場合には、窓63に廃トナーが入り込んでいないので、発光部512から発せられた検出光Ltのほとんどが透明の窓63を通過して、受光部513の受光面514で受光される。本体部511は、受光面514での受光量に応じた信号を出力する。ここでは、受光量が多いほど信号の値が大きくなる関係を有している。
回収容器12内に回収された廃トナーの量が多くなり、堆積された廃トナーが窓63の高さに達して、窓63の内部空間69に廃トナーが入り込むと、発光部512から発せられた検出光Ltが窓63に付着した廃トナーに当たって吸収されることにより、窓63の透過が遮られ、受光面514でほとんどを受光できなくなる。この時点では、光学センサー51からの信号値の大きさがかなり低くなっている。
制御部5は、窓63に廃トナーが付着していないときに光学センサー51から出力されるべき信号値の大きさJ1と、廃トナーが付着したときに光学センサー51から出力されるべき信号値の大きさJ2(<J1)との中間の値J3を予め閾値として記憶している。そして、光学センサー51からの信号値の大きさが閾値J3よりも大きい場合には、回収容器12が廃トナーで一杯になっていないと判断し、閾値J3よりも小さくなると廃トナーで一杯になったと判断する。
光学センサー51を挟んで上下に一定の間隔を開けた位置に、光学センサー51に対する回収容器12の窓63の位置を決める位置決め部57を構成する位置決め部材52、53が装置本体11の左側壁143に対して動かないように固着されている。
位置決め部材52、53は、同じ大きさで同じ形状をしている樹脂または金属製のブロック状の部材であり、左側壁143とは反対側の面520、530が仕切り525、535を挟んで容器挿入方向Zの上流側の面521、531と下流側の面522、622とに分けられている構成になっている。
図9(a)は、図8に示す光学センサー51と位置決め部材52、53を容器挿入方向Zから見たときの正面図であり、図9(b)は、図8の矢印Eで示す方向から見たときの側面図である。
図9(a)に示すように位置決め部材52、53の面522、532は、Y-Z平面に平行な同じ仮想平面528上に位置する平面であり、面521,531は、図8に示すように仕切り525、535から容器挿入方向Zの上流側に向かうに連れて左側壁143に近づく方向に下降している傾斜面である。
位置決め部材52、53の傾斜面521、531は、回収容器12が装置本体11に挿入、装着される動作中にカバー60の突条62、64の先端面620、640に接触して、突条62、64を容器挿入方向Zに案内する案内面になる。また、位置決め部材52、53の面522、532は、カバー60の突条62、64の平面621、641と面接触することで、カバー60の窓63の、光学センサー51に対する位置を決める位置決め座面になる。以下、面522、532を位置決め面、平面621、641を被位置決め面という場合がある。
また、図9(b)に示すように位置決め部材52、53は、容器挿入方向Zの位置が同じであり、光学センサー51と位置決め部材52、53とは、一点鎖線538で示すように光学センサー51の容器挿入方向Zの端縁が位置決め部材52、53の容器挿入方向Zの下流側端縁529、539と揃う位置に配置されている。
このような構成において、回収容器12が装置本体11のスロット14に挿入されると、装置本体11側の位置決め部57と回収容器12側の被位置決め部67とが係合して、窓63を有するカバー60が装置本体11に対して位置決めされる、つまり回収容器12の窓63が装置本体11側の光学センサー51に対して位置決めされる。
(5)回収容器の窓の、装置本体側の光学センサーに対する位置決めについて
図10(a)~図10(d)は、回収容器12の容器挿入方向Zへの挿入により回収容器12の窓63が装置本体11側の光学センサー51に対して位置決めされる様子を段階的に示す平面図である。容器挿入方向Zは、弾性部材70の厚み方向に対して直交する方向に相当する。
ここで、図10(a)~図10(d)では、回収容器12の被位置決め部67に含まれるカバー60の突条62、64のうち上側の突条62だけを示し、装置本体11の位置決め部材52、53のうち上側の位置決め部材52だけを示しているが、突条64は突条62に隠れて見えず、位置決め部材53も位置決め部材52に隠れて見えないだけであり、突条62と位置決め部材52との係合と、突条64と位置決め部材53との係合が同時並行で実行される。なお、図10(a)~図10(d)に示すX軸上の位置Qは、位置決め部材52の位置決め面522のX軸上における位置を示す。この位置Qは、固定であり、回収容器12の装置本体11への挿入時に動くことはない。
図10(a)に示すように容器挿入方向Zに沿って挿入される回収容器12の突条62が位置決め部材52まで至っておらず、位置決め部材52に当たっていない状態では、回収容器12の左側壁123とカバー60との間に介在される弾性部材70は、カバー60により圧縮されていない自然状態にあり、厚みがαになっている。このときのカバー60の窓63の、左側壁123の貫通孔129に対するX軸方向の位置を第1位置という。
回収容器12の突条62が位置決め部材52に至り、図10(b)に示すように回収容器12の突条62の傾斜面622が位置決め部材52の傾斜面521に面接触した状態で、回収容器12の装置本体11への挿入が進むと、突条62の傾斜面622が位置決め部材52の傾斜面521に沿って案内される。傾斜面521は、容器挿入方向Zの下流側に進むに連れて左側壁123に近づく方向に傾斜している面なので、回収容器12の突条62には、位置決め部材52の傾斜面521の傾斜面の角度に応じた反作用によるX軸方向の押圧力Pが作用する。
この押圧力Pの作用により突条62、つまりカバー60が弾性部材70を圧縮して、左側壁123に近づく方向に変位する。図10(b)は、圧縮により弾性部材70の厚みがβ(<α)になった様子を示している。
回収容器12の装置本体11への挿入がさらに進み、突条62の傾斜面622が位置決め部材52の傾斜面521を上り越えると、図10(c)に示すように回収容器12の突条62の被位置決め面621が位置決め部材52の位置決め面522に面接触した状態になる。
被位置決め面621と位置決め面522の両方が容器挿入方向Zに平行な面なので、この面接触の状態では、回収容器12の装置本体11への挿入が進んでも、押圧力Pの大きさが変わらず、圧縮による弾性部材70の厚みがγ(<β)で安定する。このときのカバー60の窓63の、左側壁123の貫通孔129に対するX軸方向の位置を第2位置という。第2位置は、弾性部材70の厚みの変化分(α-γ)だけ第1位置よりも窓63が貫通孔129に近づく位置になる。
回収容器12が装置本体11のスロット14の奥まで挿入され、回収容器12のギア80(図2)が装置本体11の駆動ギア148に歯合し、回収容器12のピン81が装置本体11の孔149に嵌め込まれた状態になると、これ以上の奥への挿入ができなくなる。これにより回収容器12の装置本体11への装着が完了する。図10(d)は、回収容器12が装置本体11に装着された装着状態を示しており、図11は、図10(d)に示すF-F線における断面図である。
図11に示すように装着状態では、回収容器12のカバー60に設けられた突条62、64の被位置決め面621、641が装置本体11の位置決め部材52、53の位置決め面522、532に面接触しつつ、圧縮された弾性部材70の弾性力(復元力)により押圧された状態になる。
つまり、装置本体11の位置決め部材52、53が、カバー60に当たる位置決め面522、532(当接部)を有し、弾性変形している弾性部材70の弾性力で付勢されるカバー60を、その窓63が左側壁123の貫通孔129を臨む位置で受け止めた状態になる。これにより、窓63を有するカバー60が装置本体11に対して位置決めされる。
位置決めされた状態では、回収容器12のカバー60におけるキャップ形状の窓63の先端部が光学センサー15の発光部512と受光部513との間に光学センサー15と接触することなく介在し、発光部512と受光部513との間の空間515内に真っ直ぐな姿勢で入り込んだ状態になっている。
この姿勢は、具体的にはカバー60のキャップ形状の窓63のうち、発光部512から発せられた検出光Ltが入射する側壁633と、側壁633を透過して窓63の内部空間69中に入った検出光Ltが窓63から外へ出射する側壁634とが検出光Ltに対して直交する姿勢である。この側壁633、634は、カバー60の表面66から垂直方向に起立した、例えば1mm程度の薄い平板である。
この真っ直ぐな姿勢におけるカバー60の位置が、装置本体11に対するカバー60の位置決め位置になる。ここでは、キャップ形状の窓63の、カバー60の表面66からの突出方向(X軸方向に相当)が発光部512と受光部513とが並ぶ方向(Y軸方向に相当)に対して所定の角度、具体的には90°を有する位置である。
カバー60の窓63が真っ直ぐな姿勢ではなく、例えば少し傾いた姿勢になったり光学センサー51に対する位置が少しずれたりすると、上記のように検出光Ltが窓63の側壁633に入射するときや側壁634から出射するときに乱反射が生じて廃トナーの検出精度が低下し易くなるが、真っ直ぐな姿勢にすれば、その検出光Ltの乱反射が生じ難く、廃トナーの検出精度が低下しないことが実験などにより予め判っている。
窓63は、突条62、64を有するカバー60の一部であり、カバー60は、弾性部材70を介して容器本体127の左側壁123に支持されているので、弾性部材70の弾性変形可能な範囲で左側壁123に対して弾性部材70の厚み方向にフレキシブルに変位が可能である。
この厚み方向に変位可能な大きさは、上記のピン81(図2)と孔149間のがたつきの範囲内で、例えば左側壁123が鉛直方向(Y軸方向)に平行な直立姿勢に対して、破線Wで示すような傾いた傾斜姿勢で回収容器12が装着された場合でも、その傾きを吸収できるような大きさに予め決められる。
これにより、回収容器12の装置本体11への装着姿勢が直立姿勢と傾斜姿勢のいずれになっても、装着状態において、弾性変形している弾性部材70の弾性力で付勢されているカバー60の突条62、64を、装置本体11の位置決め部材52、53が受け止めることにより位置決めされた窓63の姿勢が上記の真っ直ぐな姿勢から変わることがない。
窓63が設けられるカバー60が装置本体11側の位置決め部材52、53で位置決めされることは、装置本体11に固定される光学センサー51に対して回収容器12側の窓63が位置決めされたことに等しい。
従って、光学センサー51の発光部512から発せられた検出光Ltが窓63の側壁633に入射するときや側壁634から出射するときの乱反射などにより生じる廃トナーの検出精度の低下を防止できる。
また、弾性部材70の厚み方向の弾性力によりカバー60が装置本体11側の位置決め部材52、53にX軸方向に押圧されることにより、窓63が光学センサー51に対してX軸方向に位置決めされる構成になっている。
従って、傾斜姿勢ではなく、回収容器12がピン81と孔149間のがたつきにより、左側壁123が直立姿勢であるが図11の実線で示す位置よりも少し右寄りの位置に回収容器12が装着された場合でも、弾性部材70の弾性変形可能な範囲内でその弾性力によりカバー60が位置決め部材52、53に左方向に押圧された状態であれば、左側壁123の左右の位置がそのがたつきの範囲内で変動しても、窓63の光学センサー51に対する左右方向の位置が変わることがない。
これにより、窓63が光学センサー51に接近しすぎたり離れすぎたりして、検出光Ltの窓63への入射位置がばらつくことがない。例えば、窓63が光学センサー51の本体部511から右方向に離れすぎて、検出光Ltの窓63への入射位置が窓63の端部63aになった場合に、検出光Ltの一部しか窓63の内側に入って来なくなって検出精度が低下するといったことがなく、検出精度の低下を防止できる。また、窓63が光学センサー51の本体部511に近づきすぎて接触してしまい、光学センサー51または窓63がその衝撃により破損するおそれもない。
なお、上記では、カバー60の装置本体11に対する位置決め位置を上記の所定の角度が90°になる位置としたが、装置構成によっては90°とは異なる角度にした方が検出精度を高められる場合もあり、その場合には、その異なる角度で装着時に静止しているカバー60の位置が位置決め位置とすることができる。
<実施の形態2>
上記実施の形態1では、回収容器12の装置本体11への挿入方向をZ軸方向(回収容器12の長手方向)とした構成例を説明したが、本実施の形態2では、回収容器の挿入方向をX軸方向(回収容器12の厚み方向)としており、この点で実施の形態1と異なっている。以下、説明の重複を避けるため、実施の形態1と同じ内容についてはその説明を省略し、同じ構成要素については、同符号を付すものとする。
図12は、実施の形態2に係る回収容器212とこれが収容される装置本体11の側壁11aに開けられたスロット214の構成を示す斜視図であり、図13は、回収容器212に設けられるカバー260と弾性部材270の構成を示す分解斜視図である。
図12と図13に示すように回収容器212は、実施の形態1の回収容器12と概ね同じ形状のものであるが、装置本体11への挿入方向の違いにより、容器本体127の位置決め用のピン281、282の配設位置、カバー260と弾性部材270の形状が異なっている。
具体的には、図12に示すようにピン281、282は、回収容器212の容器本体127の左側壁123にZ軸方向に間隔を開けて立設されている。
カバー260は、図13に示すように窓263と、被位置決め部265としての突条262、264のそれぞれの長手方向が上下方向になっており、実施の形態1における水平方向とは異なる。窓263の先端面231と突条262、264の先端面221、241は、平面のみであり、斜面が設けられていない。突条262、264の先端面221、241は、Y-Z平面に平行な同じ仮想平面上に位置している被位置決め面であり、窓263の先端面231よりも少し高くなっている。
窓263の形状に合わせて、弾性部材270の透孔271、左側壁123の貫通孔229の形状も上下方向に長い形状になっており、容器本体127の内部空間228が左側壁123の貫通孔229と弾性部材270の透孔271を介してカバー260の窓263の内部空間269と連通する構成になっている。
一方、装置本体11側では、図12に示すようにスロット214の側壁243に、回収容器212のピン281、282に対応する孔291、292が設けられている。ユーザーによる回収容器212の装置本体11へのセット作業性を考慮して、孔291、292の径がピン281、282の径がよりもある程度、例えば数mm程度、大きくなっていることは、実施の形態1と同じである。
また、回収容器212のギア80に駆動力を伝える駆動ギア248がスロット214の側壁243に設けられた孔を介して露出しており、スロット214の上壁244には、廃トナー排出口247が開けられている。
さらに、スロット214の側壁243における装置正面側の上部には、回収容器212の窓263に対応する光学センサー251と、回収容器212の被位置決め部265に対応する位置決め部255としての位置決め部材252、253が配置されている。光学センサー251は、取付板254を介して側壁243に取着されている。
光学センサー251と位置決め部材252、253は、回収容器212側の窓263と突条262、264とに対応する位置関係になるように、位置決め部材252、光学センサー251、位置決め部材253がこの順にZ軸方向に沿って並列配置されている。
位置決め部材252、253は、側面視、矩形状であり、回収容器212のカバー260の突条262、264に押圧される位置決め面256、257は平面のみであり、実施の形態1のような斜面が設けられていない。位置決め面256、257は、Y-Z平面に平行な同じ仮想平面上に位置している。
また、装置本体11の側壁11aには、スロット214を挟んでZ軸方向一方と他方の側に、実線で示す位置から破線で示す位置まで相互に近づく方向にスライド可能なロック部材201、202が配置されている。
このような構成において、ユーザにより回収容器212が矢印Gで示す方向に装置本体11のスロット214の内部空間215に挿入されると、回収容器212のピン281、282が装置本体11側の位置決め孔291、292に嵌め込まれる。また、回収容器212のギア80が装置本体11側の駆動ギア248に歯合し、回収容器212の廃トナー受入口126が装置本体11側の廃トナー排出口247に連通する。
そして、回収容器212側の被位置決め部265が装置本体11側の位置決め部255と係合することにより、窓263の光学センサー251に対する位置決めが行われる。
回収容器212が装置本体11のスロット214内の奥まで挿入された後、ユーザーによりロック部材201、202がスライド操作されることにより、スロット214内の回収容器212がスロット214の側壁243に押さえ込まれてロックされる。これにより、回収容器212の装置本体11への装着が完了する。ユーザーが右カバー213を閉じることにより、装置本体11に装着された回収容器212の露出が防止される。
図14(a)は、図13に示すカバー260のH-H線における矢視断面図であり、光学センサー251に対する位置決め前の様子を示しており、(b)は、位置決めされた様子を示している。
図14(a)に示すように、位置決め前には、回収容器212のカバー260と左側壁123との間に介在する弾性部材270は、圧縮されていない自然状態であり、厚みがαになっている。このときのカバー260の窓263の、左側壁123の貫通孔229に対するX軸方向の位置が第1位置になる。
ユーザーによる回収容器212の装置本体11への矢印G方向の挿入により、回収容器212のカバー260の突条262、264が装置本体11側の位置決め部材252、253の位置決め面256、257に当たった後、上記のロック部材201、202によるロックで、さらに回収容器212が装置本体11側に押し付けられる。
これにより、図14(b)に示すように弾性部材270が厚み方向に厚みγ(<α)まで圧縮され、その圧縮により生じる弾性力(復元力)によりカバー260の突条262、264の被位置決め面221、241が位置決め部材252、253の位置決め面256、257に押圧され、カバー260の窓263の、光学センサー251に対する位置決めがなされる。このときの窓263の、左側壁123の貫通孔229に対するX軸方向の位置が第2位置になる。
つまり、装置本体11の位置決め部材252、253が、カバー260に当たる位置決め面256、257(当接部)を有し、弾性変形している弾性部材270の弾性力で付勢されるカバー260を、その窓263が左側壁123の貫通孔229を臨む位置で受け止めた状態になる。
弾性部材270の弾性変形可能な範囲内であれば、回収容器212が直立姿勢に対して少し傾斜している傾斜姿勢でセットされた場合でも、カバー260の窓263の、光学センサー251に対する位置が直立姿勢の場合と変わることがなく、光学センサー251の検出光Ltの、窓263への入射光や出射光の乱反射による廃トナーの検出精度の低下を防止できる。
また、ロック部材201、202による回収容器212の装置本体11への押し込み方向のがたつきの大きさによっては、例えば窓263が回収容器212の挿入方向に光学センサー51から離れすぎて、窓263の端部63a(図14(a))が検出光Ltの入射位置になると、検出光Ltのうちの多くが窓263の外に逃げてしまい一部しか窓を通過できなくなって検出精度が低下したり、窓263が光学センサー51の本体部511に接近しすぎて衝突したりするおそれがある。本実施の形態2では、位置決め部材252、253により回収容器212の挿入方向における光学センサー51に対する窓263の位置が決まるので、窓263が光学センサー51の本体部511から離れすぎたり接近しすぎたりすることがなく、廃トナーの検出精度の低下を防止できる。
<実施の形態3>
上記実施の形態1では、容器本体127の左側壁123に板状の弾性部材70を介して窓63を有するカバー60を配置することにより、窓63が弾性部材70の厚み方向、つまり左側壁123に近づく方向に変位可能な構成としたが、本実施の形態3では窓を有するカバーが左側壁123に沿って上下方向に変位可能としており、この点で実施の形態1と異なっている。
図15は、実施の形態3に係る回収容器312と装置本体11側の光学センサー51と位置決め部材352の構成を示す斜視図であり、図16は、回収容器312に設けられるカバー360と弾性部材370の構成を示す分解斜視図である。なお、図15では、装置本体11側のスロット14を破線で示している。
図15に示すように回収容器312は、実施の形態1の回収容器12と概ね同じ形状のものであり、回収容器312の装置本体11への挿入方向も実施の形態1と同様に矢印Zで示す方向であるが、カバー360と弾性部材370が異なっている。
具体的には、図16に示すようにカバー360は、略矩形の平板状のベース361上に容器挿入方向Zに沿って長い2つの突条362、364がY軸方向(上下方向)に相互に間隔を開けて設けられてなり、上側の突条362と下側の突条364との間の中間に突状の窓363が設けられており、ここでは透明の樹脂材料から形成されている。
突条362は、その上面(カバー360の上端面)320が仕切り325を挟んで容器挿入方向Zの上流側の面321と下流側の面322とに分けられている構成になっている。面321は、X-Z平面に平行な平面(被位置決め面)であり、面322は、仕切り325から容器挿入方向Zの下流側に向かうに連れて下降している傾斜面である。
突条364の下面(カバー360の下端面)368もX-Z平面に平行な平面になっている。
窓363は、ベース361の中央部に位置しており、Z軸方向長さが突条362、364の半分程度になっており、ベース361の裏面386に設けられた開口368に通じる内部空間369が形成されてなる。
ベース361のZ軸方向上流側の端面381と下流側の端面382のそれぞれには、Y軸方向(上下方向)の中程の位置に、当該位置を挟んで上側よりも下側の部分の方がZ軸方向に突出してなる段差が付けられている。この段差より突出した部分を肩部391、392という。
容器本体127の左側壁123には、貫通孔329が開けられており、貫通孔329を挟んでZ軸方向の一方側と他方側には、カバー360の肩部391、392に当たる突起315、316が立設されている。
突起315、316は、その突出方向先端側が貫通孔329に近づく方向に屈曲されてなり、左側壁123から屈曲部までの直立部分がカバー360の肩部391、392に当たり、屈曲している先端部317、318がベース361の表面385に接触する。これにより、ベース361が突起311、312の先端部317、318と左側壁123との間に挟まされた状態になる。突起315、316は、カバー360を左側壁123に沿った姿勢で突起315、316よりも下方域で上下方向に移動自在に支持する支持部を構成する。
ベース361の裏面386には、図示しない弾性シートが開口368の周囲に貼着されており、この弾性シートが厚み方向に圧縮されて弾性変形することで、その復元力により、突起311、312の先端部317、318と左側壁123との間に挟まされたカバー360のベース361が左側壁123に押圧され、左側壁123のうち貫通孔329を除く壁部分に密着した状態が維持されるようになっている。
左側壁123には、貫通孔329よりも下の位置に段差313が形成されており、左側壁123の外表面が段差313を挟んで上よりも下の方が突出した形状になっている。
段差313は、弾性部材370としての圧縮コイルばね371、372を介してカバー360を下方から支持する座面になり、カバー360は、その肩部391、392が圧縮コイルばね371、372の弾性力(復元力)により左側壁123の突起315、316に下から上に向けて押圧された状態で静止する。この静止した状態で、カバー360の窓363の内部空間369と容器本体127の内部空間328とが左側壁123の貫通孔329を介して連通する。
一方、装置本体11側の光学センサー51と位置決め部材352は、図15に示すように、光学センサー51の直上に位置決め部材352が位置するように左側壁143に固着されている。位置決め部材352は、その下面が容器挿入方向Zの上流側の面521と下流側の面522とに分けられている。面522は、X-Z平面に平行な平面(位置決め面)であり、面521は、容器挿入方向Zの上流側に向かうに連れて上昇している傾斜面である。
このような構成において、回収容器312が容器挿入方向Zに沿って装置本体11に挿入されると、次のようにして窓363の光学センサー51に対する位置決めが行われる。
図17(a)は、回収容器312の窓363が装置本体11側の光学センサー51に対して位置決めされる前の状態を示す側面図であり、図17(b)は、位置決めされた状態を示す側面図である。図17(a)、(b)に示す矢印Z方向は、容器挿入方向Zを示し、左側壁123に沿った方向かつ圧縮コイルばね371、372の弾性力がカバー360に作用する方向(上方向)に直交する方向に相当する。
図18(a)は、図17(a)に示すI-I線におけるカバー360の矢視断面図であり、図18(b)は、図17(b)に示すJ-J線におけるカバー360の矢視断面図である。
図17(a)に示すように、回収容器312が容器挿入方向Zに沿って装置本体11に挿入されている動作中に、カバー360の突条362の挿入方向先端部である傾斜面322が装置本体11側の位置決め部材352の傾斜面521に未だ至っていないときには、圧縮コイルバネ371、372の復元力により、カバー360の肩部391、392が左側壁123の突起315、316に押圧された状態になっている。
この押圧状態のときカバー360の窓363と光学センサー51との上下方向の位置関係は、図18(a)に示すように窓363が発光部512と受光部513との間の中間位置よりも上にずれていることが判る。このときのカバー360の窓363の、左側壁123の貫通孔329に対するY軸方向の位置が第1位置になる。
回収容器312の装置本体11への挿入が進んで、カバー360の突条362の傾斜面322が装置本体11側の位置決め部材352の傾斜面521に接触して案内され始めると、容器挿入方向Zの下流側に進むに連れて下降していく傾斜面521に沿ってカバー360が圧縮コイルバネ371、372の弾性力に抗して段差313に対して下方に動いて変位する。この下方の変位に伴って、圧縮コイルバネ371、372の圧縮がさらに進み、カバー360の肩部391、392が左側壁123の突起315、316から下方に離れていく。つまり、カバー360が左側壁123に沿った姿勢で圧縮コイルバネ371、372の弾性変形により下方に移動する。
そして、カバー360の突条362の傾斜面322が位置決め部材352の傾斜面521を乗り越えて、図17(b)に示すようにカバー360の突条362の被位置決め面321と位置決め部材352の位置決め面522とが圧縮コイルバネ371、372の弾性力により押圧されて面接触した状態で、回収容器312の装置本体11への装着が完了すると、窓363が光学センサー51に対して位置決めされる。
この位置決め状態では、図18(b)に示すようにカバー360の窓363が光学センサー51の発光部512と受光部513との空間515内に発光部512と受光部513との中間位置に真っ直ぐな姿勢で入り込んだ状態になっている。このときのカバー360の窓363の、左側壁123の貫通孔329に対するY軸方向の位置が第2位置、つまり第1位置よりも窓363が貫通孔329に近づく位置になる。
本実施の形態3では、窓363を有するカバー360が左側壁123に対して圧縮コイルバネ371、372により上下方向に移動可能であり、圧縮コイルバネ371、372の弾性力によりカバー360が下から装置本体11側の位置決め部材352に押圧されることにより、窓363が光学センサー51に対して上下方向に位置決めされる。
つまり、装置本体11の位置決め部材352が、カバー360に当たる位置決め面522(当接部)を有し、回収容器312の装置本体11への装着状態において、弾性変形している圧縮コイルバネ371、372の弾性力で付勢されているカバー360を、その窓363が左側壁123の貫通孔329を臨む位置で受け止めた状態になる。これにより、窓363が設けられたカバー360が装置本体11に対して位置決めされる。
例えば、容器本体127のピンと孔間のがたつきにより、左側壁123が図18(b)に示す位置よりも少し下寄りになる位置に容器本体127が装着された場合でも、圧縮コイルバネ371、372の弾性変形可能な範囲内でその弾性力によりカバー360が下から位置決め部材352に押圧された状態になれば、左側壁123の上下の位置が変動しても、窓363の光学センサー51に対する上下方向の位置が変わることがない。
従って、カバー360の窓363が光学センサー51の発光部512または受光部513に近づきすぎて接触してしまい、窓363、発光部512または受光部513がその衝撃により破損するおそれがない。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施の形態1では、窓63を有するカバー60の全体が透明の樹脂材料から形成される構成例を説明したが、これに限られない。例えば、カバー60のうち、窓63のみを透光性の材料、他の全部を非透光性の材料(樹脂、金属など)で形成するとしても良い。透光性の材料としては、PS(ポリスチレン)やABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの共重合合成樹脂)などの樹脂、ガラスなどを用いることができる。
また、回収容器12が装置本体11に装着された状態で回収容器12の窓63が容器本体127の貫通孔229を臨む位置にあり、回収容器12の外側において窓63から貫通孔229を介して容器本体127の内部に堆積している廃トナーを光学的に監視できれば良く、窓63の大きさが上記のものに限られることはない。例えば、窓63の大きさを貫通孔229の径と同じまたは小さくするとしても良い。
(2)上記実施の形態1では、回収容器12側のカバー60に突条62、63を設け、その突条62、63が装置本体11側の位置決め部材52、53に当たることにより、窓63の光学センサー51に対するX軸方向の位置決めを行う構成例を説明したが、これに限られない。窓63の光学センサー51に対する位置決めを行えればよく、例えば突条を設けない構成をとることもできる。
具体的には、回収容器12の装置本体11への挿入時に窓63の先端面630(図4)が当たる位置に位置決め部材52のみを配置し、窓63の傾斜面632が位置決め部材52の傾斜面521上を案内され、傾斜面521を乗り越えた後、窓63の被位置決め面631が位置決め部材52の位置決め面522に面接触した状態で静止する。この構成は、実質、図10に示す突条62を窓63に置き換えた構成に相当する。つまり、カバー60に含まれる窓63自体が被位置決め部67を兼用する構成になる。
(3)また、上記実施の形態1では、位置決め部材52、53の位置決め面522、532と、これに面接触するカバー60の被位置決め面621、641をそれぞれ平面としたが、これに限られない。カバー60を装置本体11に位置決めできる形状であれば良く、平面に代えて例えば位置決め部材とカバーのうち、一方を平面とし、他方を円弧面や湾曲面とすることもできる。
同様に、位置決め部材52、53に傾斜面521、531を設け、カバー60に傾斜面622、642を設けるとしたが、これに限られない。カバー60を弾性部材70が圧縮する方向に案内できれば良く、例えば位置決め部材とカバーのうち、一方を傾斜面とし、他方を平面とすることもできる。実施の形態3についても同様である。
(4)上記実施の形態では、光学センサー51が発光部512と受光部513とを有する透過型のセンサーの構成例を説明したが、これに限られない。回収容器12の外部から透光性の窓63に検出光Ltを入射させ、窓63、容器本体127の貫通孔129を介して容器本体127の内部に堆積された廃トナーを光学的に監視する光学センサーであれば良く、例えば反射型のセンサーを用いるとしても良い。
反射型のセンサーを用いる場合、容器本体127の中であり、容器本体127の貫通孔129を挟んで窓63に対向する位置に光反射部材が配置される。そして、堆積された廃トナーの液面の高さがその光反射部材の高さまで達していなければ、反射型のセンサーの発光部から発せられ、窓63を通過して容器本体127内に入射した検出光Ltがその光反射部材で反射した後、再度、窓63を透過して容器本体127の外に出て、反射型のセンサーの受光部で受光される。これにより、廃トナーが一杯でないことが検出される。
一方、堆積された廃トナーの液面の高さが光反射部材の高さに達すると、窓63を通過して容器本体127内に入射した検出光Ltが光反射部材まで達した廃トナーに吸収されて、光反射部材で反射しなくなり、反射型のセンサーの受光部で受光されなくなる。これにより、廃トナーが一杯になったことが検出される。
反射型のセンサーを用いる場合、カバー60の窓63がベース61から突出していない、例えばベース61の貫通孔68に透光性の窓を埋め込んだ構成をとることもできる。ベース61の貫通孔68に埋め込まれた透光性の窓が容器本体127の貫通孔129を臨む位置であれば良い。
(5)上記実施の形態1では、容器本体127を装置本体11に位置決めするためのピンを1つ設け、実施の形態2では、2つ設ける構成例を説明したが、ピンとこれが嵌め込まれる孔の個数は、上記に限られず、1以上とすることができる。
また、容器本体127を装置本体11に、ユーザーの作業性から決まる一定の公差(がたつき)を許容した状態で装着できれば良く、容器本体127と装置本体11のうち一方にピンを他方に孔を対応して設けることができる。さらに、ピンと孔の対に限られない。例えば、一方が凹形状、他方が凸形状の部材を一対の位置合わせ用の部材として、これらを係合させる構成とすることもできる。
さらに、容器本体127、カバー60、窓63、弾性部材70、位置決め部材52などの大きさ、形状、材料などが上記に限られることはなく、装置構成に適した大きさ、形状などが決められる。
(6)上記実施の形態では、画像形成装置としてカラー画像形成可能なカラープリンターの構成例を説明したが、これに限られない。装置本体から排出された(画像形成に用いられない)廃トナーを受け入れて回収する回収容器を装置本体に着脱自在に構成された、モノクロ画像形成可能なプリンター、複写機、ファクシミリ装置、MFP(Multiple Function Peripheral)等の画像形成装置一般に適用できる。
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ可能な限り組み合わせるとしても良い。