JP7043766B2 - 有機電界発光素子、有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

有機電界発光素子、有機電界発光素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特定の層構成を有する有機電界発光素子及び該素子の製造方法に関する。
有機電界発光素子は、簡単な素子構成で様々な色に発光することができることから、近年、ディスプレイや照明などの発光装置を製造するための技術として、盛んに開発が行われている。
一般に、消費電力の小さなデバイスとするためには、駆動電圧を低く、発光効率を高くする必要がある。有機電界発光素子は、陽極及び陰極から正孔及び電子を注入し、発光層に各電荷を到達させ、この発光層で電荷再結合させることで、発光を得るものである。この原理から、低電圧化のためには、正孔注入輸送層や電子注入輸送層といった発光層周辺層の電荷注入性や電荷移動度の改善により発光層への電荷の輸送をスムーズにおこなうことが必要であり、高効率化のためには、周辺層からの電荷の流れをスムーズにするとともに発光層内部での再結合を効率的におこなわせることが必要である。また、デバイスの駆動寿命を長くするためには、電荷再結合を最適な位置に調整するため、材料の物性値を所望の値に調整すること、ならびに、それらの材料自身の耐久性を向上させる必要がある。
さらなる低電圧化といった観点からは、正孔注入輸送層に電子受容性化合物を用いることが知られている。例えば、特許文献1には発光層に隣接する正孔輸送層に電子受容性化合物を用いることが開示されている。また、特許文献2には、重合性モノマーを電子受容性化合物とともに塗布したのち、該塗布膜を280℃にて加熱することで低電圧化と高効率化が図られることが開示されている。
国際公開2008/099926公報 国際公開2017/107117公報
しかしながら、特許文献1においては、正孔注入輸送層に電子受容性化合物を入れることは知られていたが、長寿命化といった観点からは十分に検討されておらず、今回、発光層の種類によっては効果がない(又はマイナスの影響がある)ことが明らかとなった。
また、特許文献2においては、正孔注入輸送層を形成する際に重合性モノマーと電子受容性化合物を用い加熱することによりポリマー化が進行し、低電圧化が実現することは知られていた。しかしながら、該正孔注入輸送層に接する発光層は蒸着プロセスにて作製されており、発光層が塗布プロセスの場合にも適用可能であるかどうかは十分に検討がされていなかった。今回、発光層に塗布プロセスを用いて検討したところ、発光層の材料の種類によっては寿命が低下することが明らかとなった。
したがって、電子受容性化合物を含む正孔注入輸送層に適した組み合わせ(特定の発光層)を見出す必要があった。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。
即ち、本発明の目的は、駆動寿命が長い有機電界発光素子及び該有機電界発光素子の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討した結果、特定の発光層及び正孔注入輸送層を有する有機電界発光素子とすることで、上記課題が解消されることを見出し、本発明に到達した。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1]陽極と陰極との間に、それぞれ少なくとも1層の発光層及び正孔注入輸送層を有する有機電界発光素子の製造方法であって、
アリールアミンポリマー化合物、電子受容性化合物及び溶媒を含む組成物を塗布することにより該正孔注入輸送層を形成する工程、
並びに
トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含む発光層を形成する工程を含み、
該正孔注入輸送層は、発光層と陽極との間に設け、且つ、発光層と接するものである、有機電界発光素子の製造方法。
[2]前記組成物の全固形物中における電子受容性化合物濃度が、0.5質量%以上である、[1]に記載の有機電界発光素子の製造方法。
[3]前記組成物の全固形物中における電子受容性化合物濃度が、15質量%以下である、[1]又は[2]に記載の有機電界発光素子の製造方法。
[4]前記組成物に含まれる電子受容性化合物が、式(1)で表されるものである、[1]~[3]のいずれか1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
Figure 0007043766000001
[式(1)中、
Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環基またはフッ素置換されたアルキル基を表し、
4はフッ素原子が4個置換していることを表し、
(5-a)はフッ素原子が5-a個置換していることを表し、
kは各々独立に、0~5の整数を表し、
aは各々独立に、0~5の整数を表し、
+は対カチオンを表す。]
[5]前記式(1)のArの少なくとも一つが架橋基を有する、[4]に記載の有機電界発光素子の製造方法。
[6]陽極と陰極との間に、それぞれ少なくとも1層の発光層及び正孔注入輸送層を有する有機電界発光素子であって、
該正孔注入輸送層は、発光層と陽極との間に位置し、且つ、発光層と接しており、
該発光層は、トリアジン骨格を含む電荷輸送材料を有し、
該正孔注入輸送層は、電子受容性化合物を含むものである、有機電界発光素子。
[7]前記正孔注入輸送層に含まれる電子受容性化合物が、式(1)で表されるものである、[6]に記載の有機電界発光素子。
Figure 0007043766000002
[式(1)中、
Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環基またはフッ素置換されたアルキル基を表し、
4はフッ素原子が4個置換していることを表し、
(5-a)はフッ素原子が5-a個置換していることを表し、
kは各々独立に、0~5の整数を表し、
aは各々独立に、0~5の整数を表し、
+は対カチオンを表す。]
[8]前記正孔注入輸送層に、前記式(1)のArの少なくとも一つが架橋基を有する電子受容性化合物と、架橋基を有するアリールアミンポリマー化合物との反応物を含むことを特徴とする、[7]に記載の有機電界発光素子。
本発明によれば、駆動寿命が長い有機電界発光素子を得ることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子の構成の例を模式的に示す断面図である。
以下に本発明の有機電界発光素子の実施態様を詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、陽極、陰極、発光層及び正孔注入輸送層を有するものであり、その他の層を含んでいてもよい。また、陽極と陰極との間に、それぞれ少なくとも1層の発光層及び正孔注入輸送層を有し、該正孔注入輸送層は、発光層と陽極との間に位置し、且つ、発光層と接していればよく、層構成、位置も特に限定されない。本発明の正孔注入輸送層は発光層と陽極との間に位置し、且つ、発光層と接するものである。なお、本発明において、接するとは、物理的に接することを差す。
その他の層としては、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等が挙げられる。
図1は、本発明の有機電界発光素子に好適な構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板 、2は陽極、3は正孔注入輸送層、4は発光層、5は正孔阻止層、6は電子輸送層 、7は電子注入層、8は陰極を表す。
これらの構造に適用する材料は、公知の材料を適用することができ、特に制限はない。
本発明の有機電界発光素子の製造方法及び有機電界発光素子が長い駆動寿命を得られる理由は、定かではないが以下であると推測される。
上述の通り、消費電力の小さなデバイスとするためには、駆動電圧を低く、発光効率を高くする必要がある。低電圧化のためには、正孔注入輸送層や電子輸送層といった発光層周辺層の電荷注入性や電荷移動度の改善により発光層への電荷の輸送をスムーズにおこなうことが必要である。一方、高効率化のためには、周辺層からの電荷の流れをスムーズにするとともに発光層内部での再結合を効率的におこなわせることが必要である。
低電圧化といった観点からは、正孔注入輸送層に電子受容性化合物を用いることが知られている。発光層に隣接する正孔注入輸送層に電子受容性化合物を用いることで、発光層への電荷注入輸送性が向上し、低電圧化が実現する。しかしながらその一方で、発光層を構成する電荷輸送材料の電荷注入輸送性があまり大きくない場合には、電荷バランスが崩れデバイスの寿命が低下してしまうことがある。本発明では、発光層に隣接する正孔注入輸送層に電子受容性化合物を用い発光層への正孔注入輸送性を向上させるとともに、発光層を構成する電荷輸送材料として、電子注入輸送性の高い特定の骨格を用いることで、発光層内での再結合確率が上がることにより、寿命が向上したものと考えられる。
また、本発明の有機電界発光素子の製造方法においては、正孔注入輸送層を形成する際に、アリールアミンポリマー化合物と電子受容性化合物とを含む組成物を用いて塗布する工程を含むことを特徴とする。重合性モノマー化合物を塗布膜中で加熱することにより重合させた場合、加熱工程で未反応の重合性置換基が残ることで、有機電界発光素子の寿命に悪影響が及ぶ可能性がある。また、重合工程に高い温度と時間が必要となるため生産性にも劣る可能性がある。ゆえに、本発明に開示された製造方法にて正孔注入輸送層を形成し、かつ、発光層に電子注入輸送性の高い特性の骨格を用いることにより、長い駆動寿命を有する有機電界発光素子が得られたものと考えられる。
本発明の有機電界発光素子の製造方法は、以下工程を含むものである。
アリールアミンポリマー化合物、電子受容性化合物及び溶媒を含む組成物を塗布することにより該正孔注入輸送層を形成する工程、並びに
トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含む発光層を形成する工程。
[正孔注入輸送層を形成する工程]
本発明の正孔注入輸送層は、アリールアミンポリマー化合物、電子受容性化合物及び溶媒を含む組成物(以下、「組成物」と表すことがある。)を塗布することにより形成する。
該組成物は上記以外にも他の成分を含んでいてもよく、例えば、製膜性の向上等を目的として、レベリング剤や消泡剤等の各種添加剤を有していてもよい。
また、本発明の正孔注入輸送層を形成する工程は複数回行ってもよく、正孔注入輸送層は複数層であってもよい。複数の正孔注入輸送層が有する材料は同一であっても、なくてもよい。
<<電子受容性化合物>>
電子受容性化合物とは、ある化合物から電子を引き抜いてその化合物を酸化し、自身は還元される化合物のことを言う。
例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げられる。具体的には、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開2005/089024号);塩化鉄(III)(日本国特開平11-251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物;トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(日本国特開2003-31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体及びヨウ素等が挙げられる。
電子受容性化合物の母骨格としては特に制限は無いが、好ましくはイオン化合物であり、さらに好ましくは式(1)で表わされる電子受容性化合物である。式(1)で表される電子受容性化合物を用いることで、得られる有機電界発光素子の駆動寿命を長くできる傾向にある。
Figure 0007043766000003
[式(1)中、
Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環基またはフッ素置換されたアルキル基を表し、
4はフッ素原子が4個置換していることを表し、
(5-a)はフッ素原子が5-a個置換していることを表し、
kは各々独立に、0~5の整数を表し、
aは各々独立に、0~5の整数を表し、
+は対カチオンを表す。]
<式(1)Ar>
Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環基またはフッ素置換されたアルキル基を表す。
(芳香環基)
Arにおける芳香環基とは、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基またはこれら芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が連結してなる置換基を表す。芳香環基としては炭素数30以下が電圧や寿命が良好になるため好ましい。
上記芳香環基としては、単環、2~6縮合環又はこれらの芳香族環が2つ以上連結した基が好ましい。具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環もしくはフルオレン環由来の1価の基、ビフェニル基、ターフェニル基、クアテルフェニル基、または、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環もしくはアズレン環由来の1価の基が好ましい。中でも負電荷を効率良く非局在化すること、安定性、耐熱性に優れることから、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ピリジン環もしくはカルバゾール環由来の1価の基またはビフェニル基がより好ましい。特に好ましくはベンゼン環またはビフェニル基である。
(Arが有していてもよい置換基)
Arは、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に別の置換基によって置換されていてもよい。Arが有していてもよい置換基は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、1~5の芳香環からなる芳香環基、炭化水素環基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルケトン基またはアリールケトン基である。
前記ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子などが挙げられ、フッ素原子が化合物の安定性から好ましい。化合物の安定性の面からフッ素原子が4つ以上置換されていることが特に好ましい。
1~5の芳香環からなる芳香環基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クアテルフェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、トリフェニレン基、ナフチルフェニル基等が挙げられ、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基またはクアテルフェニル基が化合物の安定性から好ましい。
炭化水素環基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、分岐又は直鎖のプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
アルケニル基の例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。
アルキニル基の例としては、アセチル基、プロピニル基、ブチニル基等が挙げられる。
アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルヘキシル基等が挙げられる。
アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基の例としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
アルキルケトン基の例としては、アセチル基、エチルカルボニル基、ブチルカルボニル基、オクチルカルボニル基等が挙げられる。
アリールケトン基の例としては、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基等が挙げられる。
アルキルオキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
また、隣り合う置換基同士が結合して、環を形成してもよい。環を形成した例としては、シクロブテン環、シクロペンテン環等が挙げられる。
又、これらの置換基にさらに置換基が置換されていてもよく、その置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基が挙げられる。
これらの置換基の中でも、ハロゲン原子またはアリール基が化合物の安定性の点で好ましい。最も好ましくはハロゲン原子である。
(フッ素置換されたアルキル基)
Arにおけるフッ素置換されたアルキル基としては、炭素数1~12の直鎖又は分岐のアルキル基であってフッ素原子が置換している基が好ましく、パーフルオロアルキル基がさらに好ましく、炭素数1~5の直鎖又は分岐のパーフルオロアルキル基がより好ましく、炭素数1~3の直鎖又は分岐のパーフルオロアルキル基が特に好ましく、パーフルオロメチル基が最も好ましい。この理由は、本発明の化合物を用いた塗布膜や、その上層に積層される塗布膜が安定になるためである。
本発明において、式(1)のArは、化合物の安定性の面からフッ素原子が4つ以上置換されていることが好ましい。
<対アニオン>
本発明の電子受容性化合物は、イオン化合物であることが好ましい。イオン化合物の対アニオンとしては、以下式(6)で表される化学種が好ましい。
Figure 0007043766000004
式(6)中のAr、F4、F(5-a)、k及びaの定義は、式(1)と同一である。
また、より好ましい対アニオン構造は下記式(9)で表される。
Figure 0007043766000005
式(9)中、Ar1~Ar4は、各々独立に置換基を有していてもよい芳香環基であり、式(6)のArと同様である。以下のArに関する記載についても同様にAr1~Ar4に適用可能である。Ar1~Ar4は、炭素数30以下の芳香環基であることが好ましい。式(9)は、式(6)において、k=0かつa=1である場合を表している。
また、Arの少なくとも一つが下記式(3)で表わされることも好ましい。より好ましくは、Arが全て下記式(3)で表わされるものである。
Figure 0007043766000006
(式(3)中、Ar7は置換基であり、F4はフッ素原子が4個置換していることを表す。)
Ar7は前述のArが有していてもよい置換基として好ましい基と同じである。また、F4はフッ素原子が4個置換していることを表す。
これらの中でも、Ar7が下記式(4)で表されることがより好ましい。
Figure 0007043766000007
また、Arの少なくとも一つが下記式(7)または(8)を含んでなる置換基で表されることが好ましい。
Figure 0007043766000008
(式(7)中、アスタリスク(*)は結合手を表す。)
Figure 0007043766000009
(式(8)中、アスタリスク(*)は結合手を表す。)
これら式(7)、式(8)は置換基を有していてもよく、その置換基の例としては、Arが有していてもよい置換基と同じである。
これら式(7)、式(8)は架橋性を有しており、電子受容性化合物またはその分解物が他の層に拡散しないと予想される為、素子効率の向上が期待される。
本発明の対アニオンの分子量は、通常700以上、好ましくは900以上、更に好ましくは1100以上、また、通常6000以下、好ましくは4000以下、更に好ましくは3000以下の範囲である。対アニオンの分子量が小さすぎると、負電荷の非局在化が不十分なため、カチオンとの相互作用が強く、電荷輸送能が低下するおそれがあり、対アニオンの分子量が大きすぎると、対アニオン自体が電荷輸送の妨げとなる場合がある。
なお、本発明において置換基を有していてもよいとは、置換基を少なくとも1つ以上有していてもよいことを意味する。
以下に、本発明の電子受容性化合物のアニオンである対アニオンの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0007043766000010

Figure 0007043766000011

Figure 0007043766000012
Figure 0007043766000013

Figure 0007043766000014

Figure 0007043766000015
Figure 0007043766000016

Figure 0007043766000017
Figure 0007043766000018

Figure 0007043766000019

Figure 0007043766000020
Figure 0007043766000021

Figure 0007043766000022

Figure 0007043766000023
Figure 0007043766000024

Figure 0007043766000025

Figure 0007043766000026
Figure 0007043766000027

Figure 0007043766000028

Figure 0007043766000029
Figure 0007043766000030

Figure 0007043766000031

Figure 0007043766000032
Figure 0007043766000033

Figure 0007043766000034

Figure 0007043766000035
Figure 0007043766000036

Figure 0007043766000037

Figure 0007043766000038
上記具体例のうち、電子受容性、耐熱性、溶解性の点で、好ましくは、(A-1)、(A-2)、(A-29)の化合物である。さらに、架橋基を有する点で(A-18)、(A-19)、(A-20)、(A-21)、(A-25)、(A-26)、(A-27)、(A-28)が好ましく、電荷輸送膜用組成物として安定性が高いことから、(A-18)、(A-19)、(A-20)、(A-21)、(A-25)、(A-26)、(A-28)がより好ましく、有機電界発光素子の安定性から(A-19)、(A-21)、(A-25)、(A-26)、(A-28)が特に好ましい。
<対カチオン>
式(1)で表される電子受容性化合物は、組成物中あるいは有機電界発光素子中でイオン化合物として存在する。
組成物中あるいは有機電界発光素子中に、電子受容性化合物とアリールアミンポリマー化合物が併存すると、電子受容性化合物は、アリールアミンポリマー化合物から電子を引き抜き、その結果、電子受容性化合物の対アニオンとアリールアミンポリマー化合物のカチオンラジカルが生成され、電子受容性化合物の対アニオンとアリールアミンポリマー化合物のカチオンラジカルとがイオン対を形成する。こうして形成したイオン化合物についても、アリールアミンポリマー化合物由来のカチオンラジカルがさらに別の分子を酸化可能な状態であるという点で、前記電子受容性化合物(1)に相当する。
ゆえに、本発明において式(1)で表されるX+に該当する対カチオンとしては、アリールアミニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン、カルボカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオンまたは遷移金属を有するフェロセニウムカチオンを表し、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン、カルボカチオン、アンモニウムカチオンがより好ましく、ヨードニウムカチオンが特に好ましい。ここで、アリールアミニウムカチオンとは、アリールアミンポリマー化合物由来のラジカルカチオンに相当するカチオンのことを指す。
ヨードニウムカチオンとして好ましくは、前述の式(2)で表される構造であり、さらに好ましい構造も同様である。
ヨードニウムカチオンとして具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン、4-t-ブトキシフェニルフェニルヨードニウムカチオン、4-メトキシフェニルフェニルヨードニウムカチオン、4-イソプロピルフェニル-4-メチルフェニルヨードニウムカチオン等が好ましい。
スルホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルスルホニウムカチオン、4-ヒドロキシフェニルジフェニルスルホニウムカチオン、4-シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカチオン、4-メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカチオン、(4-t-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムカチオン、ビス(4-t-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウムカチオン、4-シクロヘキシルスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカチオン等が好ましい。
カルボカチオンとして具体的には、トリフェニルカルボカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボカチオンなどの三置換カルボカチオン等が好ましい。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリプロピルアンモニウムカチオン、トリブチルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオン等が好ましい。
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、テトラフェニルホスホニウムカチオン、テトラキス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、テトラキス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのテトラアリールホスホニウムカチオン;テトラブチルホスホニウムカチオン、テトラプロピルホスホニウムカチオンなどのテトラアルキルホスホニウムカチオン等が好ましい。
これらの中では、化合物の膜安定性の点でヨードニウムカチオン、カルボカチオン、スルホニウムカチオンが好ましく、ヨードニウムカチオンがより好ましい。
+に該当する対カチオンとしては、好ましくは以下式(2)で表される対カチオンが挙げられる。
Figure 0007043766000039
[式(2)中、
Ar5及びAr6は、置換基を有していてもよい各々独立の芳香環基を表す。]
(Ar5及びAr6の置換基を有していてもよい芳香環基)
芳香環基は前述の式(6)のArにおける芳香環基と同じである。芳香環基として好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クアテルフェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、トリフェニレン基、ナフチルフェニル基等が挙げられ、フェニル基が化合物の安定性から最も好ましい。
Ar5及びAr6として例示した芳香環基は、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に別の置換基によって置換されていてもよい。置換基の種類は特に制限されず、任意の置換基が適用可能である。
(Ar5及びAr6が有していてもよい置換基)
Ar5及びAr6が有していてもよい置換基として好ましい基は、水素原子、ハロゲン原子、1~5の芳香環からなる芳香環基、炭化水素環基、アルキル基、アラルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基およびヒドロキシ基である。中でもアルキル基が、溶剤に対する溶解性を向上させる為特に好ましい。
ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子などが挙げられる。
1~5の芳香環からなる芳香環基の例としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クアテルフェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、トリフェニレン基、ナフチルフェニル基等が挙げられ、フェニル基が化合物の安定性から好ましい。
炭化水素環基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、分岐又は直鎖のプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルヘキシル基等が挙げられる。
アルキルオキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
又、これらの置換基にさらに置換基が置換されていてもよく、その置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基またはアリール基が挙げられる。
これらの置換基の中でも、アルキル基が膜安定性の点で好ましい。
また、前記式(2)で表される対カチオンが、下記式(5)で表されることが好ましい。
Figure 0007043766000040
上記式(5)中、Ar8及びAr9は、前述の式(2)におけるAr5及びAr6が有していてもよい置換基と同様である。
本発明において使用される電子受容性化合物の分子量は、通常900以上、好ましくは1000以上、更に好ましくは1200以上、また、通常10000以下、好ましくは5000以下、更に好ましくは3000以下の範囲である。電子受容性化合物の分子量が小さすぎると、正電荷及び負電荷の非局在化が不十分なため、電子受容能が低下するおそれがあり、電子受容性化合物の分子量が大きすぎると、電子受容性化合物自体が電荷輸送の妨げとなるおそれがある。
<架橋基を有する電子受容性化合物>
本発明の電子受容性化合物は、架橋基を有する電子受容性化合物であることが、発光層への電子受容性化合物の拡散を防ぎ、それによるデバイス寿命の低下等の性能悪化を防ぐことができるという理由で好ましい。
電子受容性化合物の母骨格としては特に制限は無いが、好ましくはイオン化合物であり、さらに好ましくは前述の式(1)で表されるイオン化合物である。
また、本発明の架橋基を有する電子受容性化合物は、架橋基を有するイオン化合物であることが好ましい。また、本発明の電子受容性化合物が架橋基を有する電子受容性化合物である場合の架橋基は特に制限されない。
架橋基を有する電子受容性化合物がイオン化合物である場合、対カチオンは、アリールアミニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン、カルボカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオンまたは遷移金属を有するフェロセニウムカチオンを表し、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン、カルボカチオン、アンモニウムカチオンがより好ましく、ヨードニウムカチオンが特に好ましい。ここで、アリールアミニウムカチオンとは、アリールアミンポリマー化合物由来のラジカルカチオンに相当するカチオンのことを指す。
具体的には、上述した各カチオンが挙げられる。
架橋基の位置は特に限定されないが、式(1)のArの少なくとも一つが架橋基を有することがより好ましい。
Arが有していてもよい架橋基は、以下の架橋基群Zから選ばれることが好ましい。これらの架橋基は、室温よりも十分高い温度で架橋するため、組成物としての安定性が高く、架橋結合が酸化還元に対して安定性が高いため、有機電界発光素子としての安定性も高いと考えられる。
(架橋基群Z)
Figure 0007043766000041
式(Z-1)~(Z-7)中のアスタリスク(*)は結合手を示す。これらはさらに任意の置換基を有していてもよい。好ましい置換基としては、炭素数30以下の環状・非環状の脂肪族由来の基、炭素数30以下のアリール基、炭素数30以下のアルキルオキシ基、炭素数30以下のアラルキル基等があげられる。
式(Z-1)、式(Z-2)で表される架橋基の置換基は、置換基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。
式(Z-3)~(Z-7)で表される架橋基は、置換基を有さないことが好ましい。
上記架橋基の中でも、架橋後の安定性が高く、素子駆動寿命が向上する点で(Z-1)~(Z-4)が好ましく、(Z-1)または(Z-2)で表される架橋基が特に好ましい。
(Z-1)で表される架橋基は前記式(7)で表される構造がさらに好ましく、有していてもよい好ましい置換基は炭素数30以下の環状・非環状の脂肪族由来の基および炭素数30以下のアリール基であり、置換基を有さないことがさらに好ましい。
(Z-2)で表される架橋基は後述する式(8)で表される構造がさらに好ましく、有していてもよい好ましい置換基は炭素数30以下の環状・非環状の脂肪族由来の基および炭素数30以下のアリール基であり、置換基を有さないことがさらに好ましい。
上記架橋基は、イオン化合物の対アニオンに有していることが好ましい。架橋基がイオン化合物の対アニオンに結合していることが好ましい理由は次の通りである。
電子受容性化合物がイオン化合物である場合、組成物中に電子受容性化合物と後述の正孔輸送性化合物を併存させると、電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物から電子を引き抜き、その結果、電子受容性化合物の対アニオンと正孔輸送性化合物のカチオンラジカルが生成され、電子受容性化合物の対アニオンと正孔輸送性化合物のカチオンラジカルとがイオン対を形成する。これは後述する電荷輸送性イオン化合物に相当する。本発明の架橋基を有する電子受容性化合物がイオン化合物である場合、その対アニオンが、架橋基を有する正孔輸送性化合物と、さらに架橋基によって結合していることにより、電荷輸送性イオン化合物が安定化し、耐久性が向上し、有機電界発光素子の駆動寿命が向上すると考えられる。さらに、正孔輸送性化合物と結合している電子受容性化合物の対アニオンは遊離しないため、電子受容性化合物の対アニオンの発光層への拡散が抑制されて駆動寿命が向上すると考えられる。また、電子受容性化合物の対アニオン同士が架橋結合した場合であっても、結合することによって分子量が増大し、拡散しにくくなるため好ましい。また、複数の電子受容性化合物の対アニオン同士が架橋結合した場合であっても、1か所が正孔輸送性化合物の架橋基と架橋結合する確率は高く、複数の電子受容性化合物の対アニオン同士が架橋したクラスターが正孔輸送性化合物と架橋することによって拡散しなくなり、好ましい。
本発明の架橋基を有する電子受容性化合物の架橋基は、1分子中に4個以下であることが好ましい。この範囲であれば、架橋反応せずに残存する架橋基が少なく、本発明の架橋基を有する電子受容性化合物を用いて作製した有機電界発光素子が安定であるためである。架橋反応せずに残存する架橋基がさらに少ないことから、さらに好ましくは、1分子中に3個以下である。
<電子受容性化合物の具体例>
以下に本発明において使用される電子受容性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0007043766000042

Figure 0007043766000043

Figure 0007043766000044
Figure 0007043766000045

Figure 0007043766000046

Figure 0007043766000047
Figure 0007043766000048

Figure 0007043766000049
Figure 0007043766000050

Figure 0007043766000051

Figure 0007043766000052
Figure 0007043766000053

Figure 0007043766000054

Figure 0007043766000055
Figure 0007043766000056

Figure 0007043766000057

Figure 0007043766000058
Figure 0007043766000059

Figure 0007043766000060

Figure 0007043766000061

Figure 0007043766000062

Figure 0007043766000063
Figure 0007043766000064

Figure 0007043766000065

Figure 0007043766000066




Figure 0007043766000067

Figure 0007043766000068

Figure 0007043766000069

Figure 0007043766000070
上記具体例のうち、電子受容性、耐熱性、溶解性の点で、好ましくは、(B-1)、(B-2)、(B-29)の化合物である。さらに、架橋基を有する点で(B-18)、(B-19)、(B-20)、(B-21)、(B-25)、(B-26)、(B-27)、(B-28)が好ましく、電荷輸送膜用組成物として安定性が高いことから、(B-18)、(B-19)、(B-20)、(B-21)、(B-25)、(B-26)、(B-28)がより好ましく、有機電界発光素子の安定性から(B-19)、(B-21)、(B-25)、(B-26)、(B-28)が特に好ましい。
以上説明した電子受容性化合物を製造する方法は特に制限されず、各種の方法を用いて製造することが可能である。例としては、Chem.Rev.、66巻、243頁、1966年、及び、J.Org.Chem.、53巻、5571頁、1988年に記載の方法等が挙げられる。
<<アリールアミンポリマー化合物>>
本発明の組成物に含まれるアリールアミンポリマー化合物は特に限定されない。特に、正孔移動度が大きく、トラップとなる不純物が製造時や使用時等に発生し難いのが好ましい。また、安定性に優れ、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光に対する透明性が高いことが好ましい。特に、正孔注入輸送層と発光層とが接するため、発光層からの発光を消光しないものや発光層とエキサイプレックスを形成して、発光効率を低下させないものが好ましい。
アリールアミンポリマー化合物としては、陽極から正孔注入輸送層への電荷注入障壁の観点から、4.5eV~6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。
アリールアミンポリマー化合物は、非晶質性、溶媒への溶解度、可視光の透過率の点から、特にアリール三級アミンポリマー化合物が特に好ましい。ここで、アリール三級アミンポリマー化合物とは、アリール三級アミンポリマー構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
アリールアミンポリマー化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果の点から、質量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物であるアリール三級アミンポリマー化合物等が挙げられる。
アリール三級アミンポリマー化合物の好ましい例として、下記式(11)で表わされる繰り返し単位を有する化合物が挙げられる。
Figure 0007043766000071
上記式(11)中、j1、k1、l1、m1、n1、p1は、各々独立に、0以上の整数を表す。但し、l1+m1≧1である。
上記式(11)中、Ar11、Ar12、Ar14は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数30以下の2価の芳香環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar13は、置換基を有していてもよい炭素数30以下の2価の芳香環基または下記式(12)で表される2価の基を表し、Q11、Q12は、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよい炭素数6以下の炭化水素鎖を表し、S1~S4は、各々独立に、下記式(13)で示される基で表される。
Ar11、Ar12、Ar14の芳香環基の例としては、単環、2~6縮合環又はこれらの芳香族環が2つ以上連結した基が挙げられる。具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環もしくはフルオレン環由来の1価の基、ビフェニル基、ターフェニル基、クアテルフェニル基、または、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環もしくはアズレン環由来の1価の基が挙げられる。中でも負電荷を効率良く非局在化すること、安定性、耐熱性に優れることから、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ピリジン環もしくはカルバゾール環由来の2価の基またはビフェニル基が好ましい。
Ar13の芳香環基の例としては、Ar11、Ar12、Ar14の場合と同様である。
Ar13はまた、下記式(12)で表される2価の基が好ましい。
Figure 0007043766000072
上記式(12)中、R11は、アルキル基、芳香環基または炭素数40以下のアルキル基と芳香環基からなる3価の基を表し、これらは置換基を有していてもよい。R12は、アルキル基、芳香環基または炭素数40以下のアルキル基と芳香環基からなる2価の基を表し、これらは置換基を有していてもよい。Ar31は、1価の芳香環基、又は1価の架橋基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。アスタリスク(*)は式(11)の窒素原子との結合手を示す。
11の芳香環基の具体例としては、フェニル環、ナフタレン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環及びこれらが連結した炭素数30以下の連結環由来の3価の基が挙げられる。
11のアルキル基の具体例としては、メタン、エタン、プロパン、イソプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン由来の3価の基等が挙げられる。
12の芳香環基の具体例としては、フェニル環、ナフタレン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環及びこれらが連結した炭素数30以下の連結環由来の2価の基が挙げられる。
12のアルキル基の具体例としては、メタン、エタン、プロパン、イソプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン由来の2価の基等が挙げられる。
Ar31の芳香環基の具体例としては、フェニル環、ナフタレン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環及びこれらが連結した炭素数30以下の連結環由来の1価の基が挙げられる。
Ar31の架橋基の例としては、ベンゾシクロブテン環、ナフトシクロブテン環またはオキセタン環由来の基、ビニル基、アクリル基等が挙げられる。好ましくは前述の架橋基群Z記載の架橋基であり、より好ましい架橋基も同様である。化合物の安定性からベンゾシクロブテン環またはナフトシクロブテン環由来の基が好ましい。これらは、前記式(7)または前記式(8)で表される架橋基である。
1~S4は各々独立に、下記式(13)で表される基である。
Figure 0007043766000073
上記式(13)中、q,rは、0以上の整数を表す。
Ar21、Ar23は、それぞれ独立に、2価の芳香環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar22は置換基を有していてもよい1価の芳香環基を表し、R13は、アルキル基、芳香環基またはアルキル基と芳香環基からなる2価の基を表し、これらは置換基を有していてもよい。Ar32は1価の芳香環基又は1価の架橋基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。アスタリスク(*)は式(11)の窒素原子との結合手を示す。
Ar21、Ar23の芳香環基の例としては、Ar11、Ar12、Ar14の場合と同様である。
Ar22、Ar32の芳香環基の例としては、単環、2~6縮合環又はこれらの芳香族環が2つ以上連結した基が挙げられる。具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環もしくはフルオレン環由来の1価の基、ビフェニル基、ターフェニル基、クアテルフェニル基、または、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環もしくはアズレン環由来の1価の基が挙げられる。中でも負電荷を効率良く非局在化すること、安定性、耐熱性に優れることから、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ピリジン環もしくはカルバゾール環由来の1価の基またはビフェニル基が好ましい。
13のアルキル基または芳香環基の例としては、R12と同様である。
Ar32の架橋基は特に限定しないが、好ましい例としては、ベンゾシクロブテン環、ナフトシクロブテン環もしくはオキセタン環由来の基、ビニル基、アクリル基等が挙げられる。
上記Ar11~Ar14、R11、R12、Ar21~Ar23、Ar31~Ar32、Q11、Q12はいずれも、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基の種類は特に制限されないが、例としては、下記の置換基群Wから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
[置換基群W]
メチル基、エチル基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは8以下のアルキル基;ビニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルケニル基;エチニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が通常2以上、通常20以下、好ましくは12以下のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N-カルバゾリル基等の、炭素数が通常10以上、好ましくは12以上、通常30以下、好ましくは22以下のジアリールアミノ基;フェニルメチルアミノ基等の、炭素数が通常6以上、好ましくは7以上、通常25以下、好ましくは17以下のアリールアルキルアミノ基;アセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常2以上、通常10以下、好ましくは7以下のアシル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基等の、炭素数が通常1以上、通常8以下、好ましくは4以下のハロアルキル基;メチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールチオ基;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシリル基;トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシロキシ基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が通常6以上、通常30以下、好ましくは18以下の芳香族炭化水素基;チエニル基、ピリジル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、通常28以下、好ましくは17以下の芳香族複素環基。
特に、式(11)で表わされる繰り返し単位を有するアリールアミンポリマー化合物の中でも、下記式(14)で表わされる繰り返し単位を有するアリールアミンポリマー化合物が、正孔注入・輸送性が非常に高くなるので好ましい。
Figure 0007043766000074
上記式(14)中、R21~R25は各々独立に、任意の置換基を表わす。R21~R25の置換基の具体例は、前述の[置換基群W]に記載されている置換基と同様である。
s、tは各々独立に、0以上、5以下の整数を表わす。
u、v、wは各々独立に、0以上、4以下の整数を表わす。
芳香族三級アミンポリマー化合物の好ましい例として、下記式(15)及び/又は式(16)で表わされる繰り返し単位を含むアリールアミンポリマー化合物が挙げられる。
Figure 0007043766000075

Figure 0007043766000076
上記式(15)、式(16)中、Ar45、Ar47及びAr48は各々独立して、置換基を有していてもよい1価の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい1価の芳香族複素環基を表わす。Ar44及びAr46は各々独立して、置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族複素環基を表わす。R41~R43は各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表わす。
Ar45、Ar47、Ar48、Ar44及びAr46の具体例、好ましい例、有していてもよい置換基の例及び好ましい置換基の例は、それぞれ、Ar22、Ar31、Ar32、Ar11及びAr14と同様である。R41~R43として好ましくは、水素原子又は前述の[置換基群W]に記載されている置換基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である。
以下に、本発明において適用可能な、式(15)、式(16)で表わされる繰り返し単位の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0007043766000077

Figure 0007043766000078
(溶媒)
本発明が含む溶媒は、特に限定されないが、好ましい溶剤としては以下のものが挙げられる。
例えば、n-デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2-メトキシトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキシトルエン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル、3-フェノキシトルエン等の芳香族エーテル類;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸イソアミル等の芳香族エステル類;シクロヘキサノン、シクロオクタノン、フェンコン等の脂環族ケトン類;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル類;等が挙げられる。
これらは単独で用いられていても良いし、塗布のプロセスに好適な塗布液とするために複数種類の溶剤を混合して組成物として用いても良い。これらのうち、水の溶解度が低い点、容易には変質しない点で、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素、4-メトキシトルエン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル、3-フェノキシトルエン等の芳香族エーテル類、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸イソアミル等の芳香族エステル類が好ましい。
<正孔注入輸送材料層の形成方法>
アリールアミンポリマー化合物、電子受容性化合物及び溶媒を含む組成物を塗布し、該正孔注入輸送層を形成する工程は、特に限定されないが、湿式成膜であることが好ましい。
本発明において湿式成膜法とは、成膜方法、即ち、塗布方法として、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、ノズルプリンティング法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等の湿式で成膜させる方法を採用し、この塗布膜を乾燥させて膜形成を行う方法をいう。これらの成膜方法の中でも、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ノズルプリンティング法等が好ましい。
本発明の組成物は、電子受容性化合物と、アリールアミンポリマー化合物とを溶媒に溶解して混合して調製すると、溶液中で、本発明の電子受容性化合物によってアリールアミンポリマー化合物が酸化されてカチオンラジカル化し、電子受容性化合物の対アニオンと、アリールアミンポリマー化合物のカチオンラジカルとのイオン化合物である、電荷輸送性イオン化合物が生成する。
(組成物中の各材料の含有量)
組成物中の各材料の含有量は、本願発明の効果を著しく損なわない範囲であれば特に限定されない。
組成物中の全固形分中における電子受容性化合物濃度は、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上である。また、好ましくは、15質量以下であり、より好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。この範囲であることでアリールアミンポリマー化合物の正孔輸送能を妨げることなく正孔注入性を増大させることができる傾向にある。
組成物中の全固形分中におけるアリールアミンポリマー化合物の濃度は、好ましくは85質量%以上であり、より好ましくは88質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。また、好ましくは、99.5質量以下であり、より好ましくは98質量%以下であり、さらに好ましくは95質量%以下である。この範囲であることで正孔注入輸送層の大きな正孔移動度の効果が得られる傾向にある。
正孔注入輸送層が複数層ある場合も、各層の組成物中の材料の含有量は特に限定されない。例えば、正孔注入輸送層が2層である場合、発光層に接する正孔注入輸送層を正孔注入輸送層A(組成物A)、正孔注入輸送層Aに接する正孔注入輸送層を正孔注入輸送層B(組成物B)とする。この場合、正孔注入輸送層組成物中の全固形分中における電子受容性化合物濃度は、組成物Aの方が組成物Bよりも小さいことが好ましい。これは、電子受容性化合物の量に比例してイオン化される正孔輸送材料の割合が大きくなるが、発光層に近づくにつれてイオン化させる分子を段階的に減らすことにより正孔が滞りなく発光層へ輸送されるという効果が得られる傾向にあるからである。
組成物A中の全固形分中における電子受容性化合物濃度は、上記の濃度範囲であることが好ましい。
組成物B中の全固形分中における電子受容性化合物濃度は、組成物A中の全固形分中における電子受容性化合物の濃度に比べて、同等以上が好ましく、2.5質量%以上差があることがより好ましく、5.0質量%以上差があることがさらに好ましい。すなわち、組成物B中の全固形分中における電子受容性化合物濃度は、好ましくは5.0質量%以上であり、より好ましくは7.5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。また、好ましくは、40質量以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である。この範囲であることで陽極からの正孔注入輸送性を維持するとともに、正孔注入輸送層Aへと滞りなく電荷を輸送することができる傾向にある。
<発光層を形成する工程>
発光層は、一対の電極間に電界が与えられた時に、陽極から注入される正孔と陰極から注入される電子が再結合することにより励起され、発光する機能を担う層である。
発光層は、陽極と陰極の間に形成される層であり、発光層は、正孔注入輸送層と陰極の間に形成される。
発光層の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜に欠陥が生じ難い点では厚いことが好ましいが、また、一方で、駆動電圧が低くなりやすい点では薄いことが好ましい。具体的には、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲であるのがよい。
なお、有機電界発光素子には、発光層は2層以上設けてもかまわない。
発光層材料としては、一般に用いられる有機化合物を電荷輸送材料ならびに発光材料として用いることが可能である。また、所望の物性を発現させるため有機金属錯体化合物を用いることも可能である。さらに、本発明により電荷注入性が改善された正孔注入輸送層は、コアシェル型量子ドットを発光層に用いることも可能である。
コアシェル型量子ドットとしては、例えば、CdSe/ZnS、InP/ZnS、Cu-Ga-S/ZnS、ZnCdS/ZnS等のコアシェル型量子ドットを用いることが可能である。
本発明では、特に、駆動寿命の観点から発光層材料について検討を進めたところ、以下で詳述するようにトリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含む発光層を形成する工程を含むことが好ましいことが明らかとなった。
本発明の発光層は、トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含む発光層を形成する工程を含む。耐久性の観点からトリアジン骨格を含む電荷輸送材料を含むことが好ましい。
[発光層]
本発明の発光層は、トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含んでいれば特に限定されないが、該電荷輸送材料以外の材料等を有していてもよく、例えば、トリアジン及び/又はピリミジン骨格以外の電荷輸送材料、発光材料、製膜性の向上を目的として、レベリング剤や消泡剤等の各種添加剤等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子は少なくとも1層の発光層を有していればよく、複数層有していてもよい。また、発光層が複数層ある場合、発光層が含む材料は同一でなくてもよい。
なお、発光層が複数層ある場合、少なくとも正孔注入輸送層に接している発光層がトリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含んでいればよい。
<<電荷輸送材料>>
電荷輸送材料としては、トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含むものであれば特に限定はなく、さらにその他の電荷輸送材料を含んでいてもよい。以下に併用できる電荷輸送材料の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではなく、通常、有機電界発光素子に使用されている任意の公知材料を適用することができる。
併用し得る電荷輸送材料としては、正孔輸送能を有する化合物(以下、「正孔輸送性ホスト材料」と称す。)と電子輸送能を有する化合物(以下、「電子輸送性ホスト材料」と称す。)とがあり、発光層中に正孔輸送性ホスト材料と電子輸送性ホスト材料とを重量比で、通常0:100以下、好ましくは2:98以下、また通常100:0以上、好ましくは98:2以上で含有することが好ましい。上記範囲内であると、ホールや電子の移動バランスが改善し、駆動寿命が長く、電流効率が高い素子が得られる点で好ましい。トリアジン及び/又はピリミジン骨格を有する化合物は電子輸送性ホスト材料に分類されるが、これらの骨格以外の電子輸送性ホスト材料を含んでいてもよい。
電荷輸送材料の分子量は、通常2000以下、好ましくは1500以下、より好ましくは1300以下であり、また通常650以上、好ましくは700以上である。分子量が上記上限値を超えると、合成工程で生じる不純物成分の増加に伴って、材料の高純度化(すなわち劣化原因物質の除去)が困難になる場合があり、また、分子量が上記下限値を下回ると、溶解性、ガラス転移点温度、融点、気化温度、成膜性、および、膜質などが著しく低下するため、有機電界発光素子の耐熱性が著しく損なわれる恐れがある。
電荷輸送材料のガラス転移点温度(以下、「Tg」と称する場合がある)としては、70℃以上150℃以下が好ましく、より好ましくは75℃以上140℃以下である。これらの範囲内にあることで、該電荷輸送材料を用いて作成される有機電界発光素子の熱的耐久性が確保される。
なお、本発明において、ガラス転移点温度(Tg)は示差走査熱量分析(DSC分析)により以下の条件で測定することができる。
<ガラス転移点温度測定>
装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 DSC6220
試料量:約4mg
試料容器:Al製液体用試料容器
雰囲気:N2,50ml/min
温度範囲:室温~300℃
昇温速度:10℃/min
<電子輸送性ホスト材料>
電子輸送性ホスト材料としては、芳香族炭化水素環のみで構成される化合物又は芳香族複素環を部分構造として有する化合物が挙げられる。
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、インデノフルオレン環等が挙げられる。
芳香族複素環としては、本発明に係るピリミジン環ならびにトリアジン環のほか、例えば、ピリジン環、キノリン環、キノキサリン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環などが挙げられる。本発明の発光層は、トリアジン及び/又はピリミジン骨格を有する電荷輸送材料を含むことを特徴とするが、これらの骨格以外の電子輸送性ホスト材料を含んでいてもよい。駆動電圧並びに耐久性の観点から、電子輸送性ホスト材料としてトリアジン環及び/又はピリミジン骨格を有する電荷輸送材料以外に含まれていてもよい化合物は、芳香族炭化水素環のみで構成される化合物、ベンズチアゾール骨格を含む化合物であることが好ましく、芳香族炭化水素環のみで構成される化合物であることがさらに好ましい。
本発明の発光層に含まれるトリアジン環及び/又はピリミジン骨格を有する電荷輸送材料は、公知のものを利用可能だが、有機溶剤への溶解性や耐久性の観点から、以下の式(17)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0007043766000079
式(17)において、X10は、-CH基または窒素原子を表す。すなわち、X10が-CH基のときはピリミジン環骨格を有する化合物であり、X10が窒素原子のときはトリアジン環骨格を有する化合物である。
Ar41、Ar42は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。
10は、直接結合、または、置換基を有していてもよい2価のアリーレン基を表し、一方は、トリアジン環もしくはピリミジン環と結合し、もう一方は、R31~R35のいずれかの置換位置で、R31~R35のいずれかの代わりにベンゼン環と結合する。
置換基R33~R35は、それぞれ独立に、L10との間での結合、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいジベンゾフラニル基、置換基を有していてもよいジベンゾチエニル基、アルキル基、シリル基、フッ素原子、またはパーフルオロアルキル基を表す。
36~R42は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいジベンゾフラニル基、置換基を有していてもよいジベンゾチエニル基、アルキル基、シリル基、フッ素原子、またはパーフルオロアルキル基を表す(このうち、フェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基については、さらにアルキル基、シリル基、フッ素原子、パーフルオロアルキル基を有していてもよい)。
Ar41、Ar42を構成する、置換基を有していてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基としては、芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環由来の基が、単独もしくは連結した置換基である。
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環等が挙げられ、これらの置換基どうしが単独または複数でさらに連結することによってアリール基となってもよい。芳香族複素環としては、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピラジン環、キノリン環、キナゾリン環、カルバゾール環、インデノカルバゾール環、インドロカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環等が挙げられ、これらの置換基どうし、もしくは、これらの置換基が芳香族炭化水素環由来の基と結合することによって、ヘテロアリール基となってもよい。
10は、直接結合、または、置換基を有していてもよい2価のアリーレン基を表し、一方は、トリアジン環もしくはピリミジン環と結合し、もう一方は、R31~R35のいずれかの置換位置で、R31~R35のいずれかの代わりにベンゼン環と結合する。中でも、溶解性、耐久性の観点から、R2~R4のいずれかの置換位置で結合を形成する方が特に好ましい。
Lの2価の芳香族炭化水素基としては、具体的には、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、4,4’-ビフェニリレン、4,3’-ビフェニリレン、3,4’-ビフェニリレン、3,3’-ビフェニリレン等が挙げられる。中でも、有機溶剤に対する溶解性が比較的高いという点から、1,3-フェニレン基、3,3’-ビフェニリレン基が好ましい。
置換基R31~R42を構成するアルキル基としては、炭素数1~20のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、デシル基、オクタデシル基等が挙げられる。中でも、耐久性の面から、メチル基、エチル基、tert-ブチル基といった炭素数4以下のものがより好ましい。
置換基R31~R42を構成するシリル基としては、炭素数1~4のアルキル基、または、炭素数6~20のアリール基が結合しているものが好ましく、具体的には、トリイソプロピルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基などが挙げられる。中でも、耐久性の面から、トリフェニルシリル基が好ましい。
置換基R31~R42を構成するパーフルオロアルキル基とは、アルキル基を構成する水素原子のすべてがフッ素原子に置換された置換基のことを指す。この置換基としては、炭素数1~4のパーフルオロアルキル基が好ましく、具体的には、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられ、中でも耐久性の面から、トリフルオロメチル基がより好ましい。
特に限定はされないが、トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料として以下が挙げられる。
Figure 0007043766000080
Figure 0007043766000081
Figure 0007043766000082
Figure 0007043766000083
また、特に限定されないが、電子輸送性ホスト材料としてトリアジン環及び/又はピリミジン骨格を有する電荷輸送材料以外に含まれていてもよい化合物としては、以下が挙げられる。
Figure 0007043766000084
<正孔輸送性ホスト材料>
正孔輸送性ホスト材料としては、例えば、トリアリールアミンやカルバゾールを部分構造として有する化合物が挙げられる。以下に、正孔輸送材料の具体例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
Figure 0007043766000085
Figure 0007043766000086
<<発光材料>>
発光材料としては、通常、有機電界発光素子の発光材料として使用されている任意の公知材料を適用することができ、特に制限はない。発光材料は、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。
発光材料としては、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率および発熱の少なさの観点から、好ましくは燐光発光材料である。
燐光発光材料としては、例えば、長周期型周期表(以下、特に断り書きの無い限り「周期表」という場合には、長周期型周期表を指すものとする。)第7~11族から選ばれる金属を中心金属として含むウェルナー型錯体または有機金属錯体などが挙げられる。
周期表第7~11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。周期表第7~11族から選ばれる金属としては、イリジウム及び白金がより好ましい。
錯体の配位子としては、アリールピリジン配位子、ヘテロアリールピリジン配位子、アリールピラゾール配位子、ヘテロアリールピラゾール配位子などのアリール基、またはヘテロアリール基に、ピリジン、ピラゾール、もしくはフェナントロリンなどが結合した配位子が好ましく、特にフェニルピリジン配位子、フェニルピラゾール配位子が好ましい。
燐光発光材料として、具体的には、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2-フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2-フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2-フェニルピリジン)白金、トリス(2-フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2-フェニルピリジン)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等が挙げられる。
特に、燐光発光材料の有機金属錯体としては、好ましくは下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
ML(q-j)L′j (I)
[式(I)中、
Mは金属を表し、qは上記金属の価数を表す。
また、LおよびL′は二座配位子を表す。
jは0、1または2の数を表す。
LまたはL’は、それぞれが複数存在する場合、複数のLまたはL’はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
式(I)中、Mは任意の金属を表す。好ましいMの具体例としては、周期表第7~11族から選ばれる金属として前述した金属などが挙げられる。
また、式(I)中、二座配位子Lは、以下の部分構造を有する配位子を示す。
Figure 0007043766000087
上記Lの部分構造において、環A1は、置換基を有していてもよい、芳香環基を表す。本発明における芳香環基は、芳香族炭化水素基でも良いし、芳香族複素環基でも良い。
また、上記Lの部分構造において、環A2は、置換基を有していてもよい、含窒素芳香族複素環基を表す。
Figure 0007043766000088
本発明における燐光発光材料の有機金属錯体として、発光層中で共存する非発光材料と相互作用しやすいという観点から、分子が比較的立体的で嵩高い、二座配位子を有する上記式(I)で表される化合物が好ましい。
また、例えば、青色は蛍光発光材料、緑色及び赤色は燐光発光材料を用いるなど、蛍光発光材料と燐光発光材料を組み合わせて用いてもよい。
なお、湿式成膜法により発光層を形成する際に用いられる発光層形成用組成物の調製に用いる溶剤への溶解性を向上させる目的で、発光材料の分子の対称性や剛性を低下させたり、或いはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることが好ましい。
発光材料は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明における発光材料の分子量は、好ましくは5000以下、更に好ましくは4000以下、特に好ましくは3000以下である。また、本発明における発光材料の分子量は、通常400以上、好ましくは600以上、更に好ましくは800以上、特に好ましくは1000以上である。この分子量範囲であることによって、発光材料どうしが凝集せず非発光材料と均一に混合し、発光効率の高い発光層を得ることができると考えられる。
発光材料の分子量は、Tgや融点、分解温度等が高く、発光材料及び形成された発光層の耐熱性に優れる点、及び、ガス発生、再結晶化及び分子のマイグレーションなどに起因する膜質の低下や材料の熱分解に伴う不純物濃度の上昇などが起こり難い点では大きいことが好ましい。一方、発光材料の分子量は、有機化合物の精製が容易で、溶剤に溶解させやすい点では小さいことが好ましい。
発光層中の発光材料と電荷輸送材料との割合は特に限定されないが、通常0.1/99.9以上であり、より好ましくは0.5/99.5以上であり、さらに好ましくは1/99以上であり、最も好ましくは2/98以上である。また、、通常50/50以下であり、より好ましくは40/60以下であり、さらに好ましくは30/70以下であり、最も好ましくは20/80以下である。この比が上記範囲であることで、発光効率の低下が抑制される傾向にある。
<発光層の形成方法>
本発明の発光層の形成方法は特に限定されず、蒸着法、湿式成膜法等適宜用いることができる。これらの中でも、湿式成膜法を用いることが好ましい。
本発明に係る発光層を真空蒸着法で形成する場合は次のように形成する。
(真空蒸着法による発光層の形成方法)
真空蒸着法により発光層を形成する場合には、通常、発光層の構成材料(前述の発光材料、非発光材料等)を、各々真空容器内に設置された別々の坩堝に入れ、真空容器内を真空ポンプで10-4Pa程度まで排気した後、各坩堝を加熱して、各坩堝内の材料の蒸発量を独立に制御しながら蒸発させ、各坩堝に向き合って置かれた基板等の上に発光層を形成させる。なお、構成材料の混合物を1つの坩堝に入れ、加熱、蒸発させて発光層を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1×10-6Torr(0.13×10-4Pa)以上、9.0×10-6Torr(12.0×10-4Pa)以下である。蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1Å/秒以上、5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上、50℃以下で行われる。
(溶媒)
発光層を湿式成膜法で形成する場合、トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料、発光材料に加え、溶媒を含むことが好ましい。溶媒は特に限定されないが、具体的には、本発明の組成物が含む溶媒として挙げたものが挙げられる。
<<その他の層の形成方法>>
本発明の有機電界発光素子の製造方法は、さらに、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送材料、電極などを形成する工程を有していてもよい。
<正孔阻止層を形成する工程>
発光層と後述の電子注入層との間に、正孔阻止層を設けてもよい。正孔阻止層は、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層は、陽極から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送する役割とを有する。正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
このような条件を満たす正孔阻止層の材料としては、例えば、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2-メチル-8-キノラト)アルミニウム-μ-オキソ-ビス-(2-メチル-8-キノリノラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11-242996号公報)、3-(4-ビフェニルイル)-4-フェニル-5(4-tert-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7-41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10-79297号公報)などが挙げられる。更に、国際公開第2005/022962号パンフレットに記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も、正孔阻止層6の材料として好ましい。
正孔阻止層の形成方法に制限はなく、前述の発光層の形成方法と同様にして形成することができる。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上であり、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
<電子輸送層の形成方法>
電子輸送層は素子の電流効率をさらに向上させることを目的として、発光層と電子注入層との間に設けられる。
電子輸送層は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極又は電子注入層からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
電子輸送層に用いる電子輸送性化合物は、通常、陰極又は電子注入層からの電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送できる化合物が好ましい。電子輸送性化合物としては、具体的には、例えば、8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59-194393号公報)、10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3-ヒドロキシフラボン金属錯体、5-ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5645948号明細書)、キノキサリン化合物(特開平6-207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5-331459号公報)、2-t-ブチル-9,10-N,N’-ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上であり、また、一方、通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層は、前記と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により正孔阻止層上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
<電子注入層の形成方法>
電子注入層は、陰極 から注入された電子を効率よく、電子輸送層又は発光層へ注入する役割を果たす。
電子注入を効率よく行うには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられる。その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
更に、バソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8-ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10-270171号公報、特開2002-100478号公報、特開2002-100482号公報などに記載)ことも、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。
膜厚は通常、5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲である。
電子注入層は、湿式成膜法或いは真空蒸着法により、発光層又はその上の正孔阻止層上に積層することにより形成される。湿式成膜法の場合の詳細は、前述の発光層の場合と同様である。
<陽極の形成方法>
基板上には陽極が設けられる。陽極は発光層側の層(正孔注入層または発光層など)への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウムおよび/またはスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。
陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などを用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。
不透明でよい場合は陽極の厚みは任意であり、陽極は基板と同一でもよい。また、さらには上記の陽極の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
<陰極の形成方法>
陰極は、発光層側の層(電子注入層7又は発光層4など)に電子を注入する役割を果たす。陰極の材料としては、前記の陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なう上では、仕事関数の低い金属を用いることが好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の金属又はそれらの合金などが用いられる。具体例としては、例えば、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、アルミニウム-リチウム合金等の低仕事関数の合金電極などが挙げられる。
素子の安定性の点では、陰極の上に、仕事関数が高く、大気に対して安定な金属層を積層して、低仕事関数の金属からなる陰極を保護するのが好ましい。積層する金属としては、例えば、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が挙げられる。
陰極の膜厚は通常、陽極と同様である。
(その他の層)
本発明の有機電界発光素子は、本発明の効果を著しく損なわなければ、更に他の層を有していてもよい。すなわち、陽極と陰極との間に、上述の他の任意の層を有していてもよい。
(その他の素子構成)
なお、上述の説明とは逆の構造、即ち、基板上に陰極、電子注入層、発光層、正孔注入輸送層、陽極の順に積層することも可能である。
[有機電界発光素子]
本発明は、以下の新規の有機電界発光素子を提供する。
陽極と陰極との間に、それぞれ少なくとも1層の発光層及び正孔注入輸送層を有する有機電界発光素子であって、該正孔注入輸送層は、発光層と陽極との間に位置し、且つ、発光層と接しており、
該発光層は、トリアジン骨格を含む電荷輸送材料を有し、
該正孔注入輸送層は、電子受容性化合物を含むものである、有機電界発光素子。
なお、上記有機電界発光素子の各構成は、上述した有機電界発光素子の製造方法と同義である。
前記正孔注入輸送層に含まれる電子受容性化合物は特に限定されず、上述した有機電界発光素子の電子受容性化合物が挙げられる。
電子受容性化合物の母骨格としては特に制限は無いが、好ましくはイオン化合物であり、さらに好ましくは前述の式(1)で表わされる電子受容性化合物である。式(1)で表される電子受容性化合物を用いることで、有機電界発光素子の駆動寿命を長くできる傾向にある。
Figure 0007043766000089
[式(1)中、
Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環基またはフッ素置換されたアルキル基を表し、
4はフッ素原子が4個置換していることを表し、
(5-a)はフッ素原子が5-a個置換していることを表し、
kは各々独立に、0~5の整数を表し、
aは各々独立に、0~5の整数を表し、
+は対カチオンを表す。]
前記正孔注入輸送層は、電子受容性化合物を含んでいれば特に限定されないが、前記式(1)のArの少なくとも一つが架橋基を有する電子受容性化合物と、架橋基を有するアリールアミンポリマー化合物との反応物を含むことが好ましい。該反応物を含むことで、長い駆動寿命を得られる傾向にある。なお、架橋基を有する電子受容性化合物と、架橋基を有するアリールアミンポリマー化合物は、前述の有機電界発光素子の製造方法で挙げたものと同義である。
[表示装置及び照明装置]
本発明の有機電界発光素子は、表示装置及び照明装置等も用いることができる。表示装置及び照明装置の形式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発刊、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の表示装置及び照明装置を形成することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り
以下の実施例に限定されるものではない。なお、下記の実施例における各種の条件や評価
結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつ
ものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と下記実施例の値または実施例
同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
(実施例1)
以下構成の有機電界発光素子を作製した。
<陽極>
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を厚さ70nmに成膜したもの(スパッタ成膜品、シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術により2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。陽極2を形成した基板1を、純水による超音波洗浄、純水による水洗の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄の処理を行った。
<正孔注入輸送層B>
次いで、正孔注入輸送層Bを以下のように湿式成膜法によって形成した。
正孔注入輸送層B形成用組成物として、下記式(P1)で表される繰り返し構造を有するアリールアミンポリマー化合物が2.0重量%、電子受容性化合物として下記式(B-20)が0.4重量%となるよう、安息香酸エチルに溶解させた正孔注入輸送層B形成用組成物を調製し、この正孔注入輸送層B形成用組成物を、前記ITO基板上にスピンコート法により成膜し、さらに加熱乾燥することにより、膜厚30nmの正孔注入輸送層Bを形成した。成膜条件は以下の通りであった。
<成膜条件>
スピンコート条件:スピナ回転数500rpm/2秒 →2325rpm/30秒
加熱乾燥条件:230℃のクリーンオーブン内に1時間放置
Figure 0007043766000090
<正孔注入輸送層A>
次いで、形成された正孔注入輸送層B上に、以下の通り、湿式成膜法によって正孔注入輸送層Aを形成した。
架橋性化合物として、以下に示す繰り返し構造のアリールアミンポリマー化合物(HT-1)(重量平均分子量:53000)が1.5重量%、電子受容性化合物(B-1)を0.015重量%となるよう(すなわち、(HT-1)と(B-1)の比率は100:1)、溶剤としてシクロヘキシルベンゼンに溶解させて正孔注入輸送層A形成用組成物を調製した。
Figure 0007043766000091
該正孔注入輸送層A形成用組成物を、正孔注入輸送層B上にスピンコート法により成膜し、さらに加熱乾燥することにより、該アリールアミンポリマー化合物(HT-1)を架橋反応させて硬化させ、膜厚20nmの正孔注入輸送層Aを形成した。成膜条件は以下の通りであった。
<成膜条件>
スピンコート条件:スピナ回転数500rpm/2秒 →1950rpm/120秒
加熱乾燥条件:230℃のホットプレート上に1時間放置
<発光層>
次いで、形成された正孔注入輸送層A上に、以下の通り、発光層を形成した。
以下に示す化合物(H-1)、(H-2)および(D-1)を、45:55:30の重量比で混合し、この混合物が6.5重量%となるようシクロヘキシルベンゼンに溶解させた発光層形成用組成物を調製した。この発光層形成用組成物を窒素雰囲気下で、前記正孔注入輸送層A上にスピンコート法により成膜し、さらに加熱乾燥することにより、膜厚60nmの発光層を形成した。成膜条件は以下の通りであった。なお、H-1はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料であり、本発明の効果を奏する材料である。
<成膜条件>
スピンコート条件:スピナ回転数500rpm/2秒 →1800rpm/120秒
加熱乾燥条件:120℃のホットプレート上に20分放置
Figure 0007043766000092

Figure 0007043766000093
<正孔阻止層>
次いで、形成された発光層上に、真空蒸着法により正孔阻止層として以下に示す化合物(HB-1)を膜厚5nmとなるように形成した。
Figure 0007043766000094
<電子輸送層>
次いで、形成された正孔阻止層上に、真空蒸着法により電子輸送層として以下に示す化合物(ET-1)を膜厚5nmとなるように形成した。
Figure 0007043766000095
<電子注入層・陰極>
ここで、電子輸送層までの蒸着を行った素子を、一度、前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして、陽極であるITOストライプと直交する形状の2mm幅のストライプ状シャドーマスクを素子に密着させた。該素子を別の真空蒸着装置内に設置して、電子輸送層と同様の真空蒸着法により、電子注入層としてフッ化リチウム(LiF)を膜厚0.5nm、次いで陰極としてアルミニウムを膜厚80nmとなるようにそれぞれ積層した。
<封止>
引き続き、素子が保存中に大気中の水分等で劣化することを防ぐため、以下に記載の方法で封止処理を行った。
真空蒸着装置に連結された窒素グローブボックス中で、23mm×23mmサイズのガラス板の外周部に、約1mmの幅で光硬化性樹脂を塗布し、中央部に水分ゲッターシートを設置した。この上に、陰極形成を終了した基板を、蒸着された面が乾燥剤シートと対向するように貼り合わせた。その後、光硬化性樹脂が塗布された領域のみに紫外光を照射し、樹脂を硬化させた。これにより、2mm×2mmサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。電流を印加することにより緑色に発光した。素子特性を表1に示す。
(実施例2~3)
実施例1において、正孔注入輸送層A組成物に含まれるアリールアミンポリマー化合物(P-1)と電子受容性化合物(B-1)との比率を表1に記載した割合に変更した以外は実施例1と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより緑色に発光した。素子特性を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、正孔注入輸送層A組成物に含まれる電子受容性化合物(B-1)を(B-29)に変更した以外は実施例1と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより緑色に発光した。素子特性を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、正孔注入輸送層A組成物を(HT-1)のみに変更した以外は実施例1と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより緑色に発光した。素子特性を表1に示す。
<有機電界発光素子の駆動寿命の評価>
実施例1~4および比較例1において、得られた各有機電界発光素子を輝度10000 nitで駆動したときの15%減衰寿命(LT85)を測定し、比較例1の15%減衰寿命を100とした場合の相対値を求めた。
Figure 0007043766000096
正孔注入輸送層Aに電子受容性化合物を含まない製造方法である比較例1に対して、電子受容性化合物を含む製造方法である実施例1~4はいずれも駆動寿命が改善していることがわかる。
(実施例5)
実施例1において、正孔注入輸送層Bを構成する材料をアリールアミンポリマー化合物(P1)および電子受容性化合物(B-26)((P1)と(B-26)との比率は100:10)に変更し、膜厚を40nmに変更し、正孔注入輸送層Aを構成する材料をアリールアミンポリマー化合物(HT-2)および電子受容性化合物(B-26)((HT-2)と(B-26)との比率は100:5)に変更し、正孔注入輸送層Aの膜厚を40nmに変更したほかは実施例1と同様に正孔注入輸送層Aまで作製した。
Figure 0007043766000097
次いで、形成された正孔注入輸送層A上に、以下の通り、発光層を形成した。
以下に示す化合物(H-3)、(H-4)および(D-2)を、45:55:20の重量比で混合し、この混合物が7.2重量%となるようシクロヘキシルベンゼンに溶解させた発光層形成用組成物を調製し、この発光層形成用組成物を窒素雰囲気下で、前記正孔注入輸送層A上にスピンコート法により成膜し、さらに加熱乾燥することにより、膜厚80nmの発光層5を形成した。成膜条件は以下の通りであった。なお、H-3はトリアジン化合物であり、本発明の効果を奏する化合物である。
<成膜条件>
スピンコート条件:スピナ回転数500rpm/2秒 →1900rpm/120秒
加熱乾燥条件:120℃のホットプレート上に20分放置
Figure 0007043766000098

Figure 0007043766000099
次いで、形成された発光層上に、真空蒸着法により電子輸送層として以下に示す化合物(HB-2)ならびに(LiQ)を2:3の比率となるように蒸着レートを調整しながら膜厚30nmとなるように形成した。
Figure 0007043766000100
電子輸送層までの蒸着をおこなった素子に、陰極蒸着用のマスクとして、陽極であるITOストライプと直交する形状の2mm幅のストライプ状シャドーマスクを素子に密着させ、別の真空蒸着装置内に設置して、電子輸送層と同様の真空蒸着法により、陰極としてアルミニウムを膜厚80nmとなるように積層した。
次いで、実施例1と同様に封止をおこなうことにより、2mm×2mmサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。電流を印加することにより赤色に発光した。素子特性を表2に示す。
(実施例6)
実施例5において、発光層を構成する化合物(H-3)を(H-1)に変更した以外は実施例5と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより赤色に発光した。素子特性を表2に示す。なお、化合物(H-1)はピリミジン骨格を有することから本発明の効果を奏する化合物である。
(比較例2、3)
実施例5、6において、正孔注入輸送層A組成物を(HT-2)のみに変更した以外は実施例5と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより赤色に発光した。素子特性を表2に示す。
<有機電界発光素子の駆動寿命の評価>
実施例5、6および比較例2、3において、得られた各有機電界発光素子を輝度10000 nitで駆動したときの5%減衰寿命(LT95)を測定し、比較例3の5%減衰寿命を100とした場合の相対値を求めた。
Figure 0007043766000101
正孔注入輸送層Aに電子受容性化合物を含まない比較例2に対して、同じ発光層ホストを用いた実施例5は駆動寿命が改善していることがわかる。同様に、比較例3と実施例6の比較からも、駆動寿命が改善していることがわかる。
(比較例4)
実施例5において、発光層を構成する化合物(H-3)を(H-5)に変更した以外は実施例5と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより赤色に発光した。素子特性を表3に示す。なお、化合物(H-5)はピリジン骨格の化合物であり、ピリミジン及び/又はトリアジン骨格を有さないことから本発明の効果を奏さない化合物である。
(比較例5)
比較例4において、正孔注入輸送層A組成物を(HT-2)のみに変更した以外は比較例4と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより赤色に発光した。素子特性を表3に示す。なお、化合物(H-5)はピリジン骨格の化合物であり、ピリミジン及び/又はトリアジン骨格を有さないことから本発明の効果を奏さない化合物であり、また、正孔注入輸送層Aに電子受容性化合物を含まないことから本発明の範囲外となる。
<有機電界発光素子の駆動寿命の評価>
比較例4.5において得られた各有機電界発光素子を輝度10000 nitで駆動したときの5%減衰寿命(LT95)を測定し、比較例5の5%減衰寿命を100とした場合の相対値を求めた。
Figure 0007043766000102
発光層ホストにピリミジン及び/又はトリアジン骨格を含まない場合、正孔注入輸送層Aに電子受容性化合物を含まない比較例5に対して、比較例4は駆動寿命が低下していることがわかる。
(実施例7)
実施例5において、正孔注入輸送層Bを構成する材料をアリールアミンポリマー化合物(P1)および電子受容性化合物(B-29)((P1)と(B-29)との比率は100:20)に変更し、膜厚を40nmに変更し、正孔注入輸送層Aを構成する材料をアリールアミンポリマー化合物(HT-2)および電子受容性化合物(B-20)((HT-2)と(B-20)との比率は100:5)に変更し、正孔注入輸送層Aの膜厚を25nmに変更したほかは実施例5と同様に正孔注入輸送層Aまで形成した。
次いで、形成された正孔注入輸送層A上に、上記(H-3)、(H-4)および(D-2)を、30:70:20の重量比で混合し、この混合物が7.2重量%となるようシクロヘキシルベンゼンに溶解させた発光層形成用組成物を調製し、この発光層形成用組成物を窒素雰囲気下で、前記正孔注入輸送層A上にスピンコート法により成膜し、さらに加熱乾燥することにより、膜厚80nmの発光層を形成した。成膜条件は以下の通りであった。なお、H-3はトリアジン化合物であり、本発明の効果を奏する化合物である。
<成膜条件>
スピンコート条件:スピナ回転数500rpm/2秒 →1900rpm/120秒
加熱乾燥条件:120℃のホットプレート上に20分放置
次いで、実施例5と同様に、電子輸送層、陰極を積層したのち、封止をおこなうことにより、2mm×2mmサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。電流を印加することにより赤色に発光した。素子特性を表4に示す。
(比較例6)
実施例7において、正孔注入輸送層A組成物を(HT-2)のみに変更した以外は比較例4と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより赤色に発光した。素子特性を表4に示す。
<有機電界発光素子の駆動寿命の評価>
比較例6、実施例7において得られた各有機電界発光素子を輝度10000 nitで駆動したときの5%減衰寿命(LT95)を測定し、比較例6の5%減衰寿命を100とした場合の相対値を求めた。
Figure 0007043766000103
正孔注入輸送層Aに電子受容性化合物を含まない比較例6に対して、実施例7はいずれも駆動寿命が改善していることがわかる。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入輸送層
4 発光層
5 正孔阻止層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極

Claims (8)

  1. 陽極と陰極との間に、それぞれ少なくとも1層の発光層及び正孔注入輸送層を有する有機電界発光素子の製造方法であって、
    アリールアミンポリマー化合物、電子受容性化合物及び溶媒を含む組成物を塗布することにより該正孔注入輸送層を形成する工程、
    並びに
    トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含む発光層を形成する工程を含み、
    該トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料は、下記式(17)で表される化合物であり、
    該正孔注入輸送層は、発光層と陽極との間に設け、且つ、発光層と接するものである、有機電界発光素子の製造方法。
    Figure 0007043766000104
    (式(17)において、X10は、-CH基または窒素原子を表す。すなわち、X10が-CH基のときはピリミジン環骨格を有する化合物であり、X10が窒素原子のときはトリアジン環骨格を有する化合物である。
    13 及びR 14 は水素原子を表す。
    Ar41、Ar42は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。
    10は、直接結合、または、置換基を有していてもよい2価のアリーレン基を表し、一方は、トリアジン環もしくはピリミジン環と結合し、もう一方は、R31~R35のいずれかの置換位置で、R31~R35のいずれかの代わりにベンゼン環と結合する。
    置換基 31 ~R35は、それぞれ独立に、L10との間での結合、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいジベンゾフラニル基、置換基を有していてもよいジベンゾチエニル基、アルキル基、シリル基、フッ素原子、またはパーフルオロアルキル基を表す。
    36~R42は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいジベンゾフラニル基、置換基を有していてもよいジベンゾチエニル基、アルキル基、シリル基、フッ素原子、またはパーフルオロアルキル基を表す(このうち、フェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基については、さらにアルキル基、シリル基、フッ素原子、パーフルオロアルキル基を有していてもよい)。)
  2. 前記組成物の全固形物中における電子受容性化合物濃度が、0.5質量%以上である、請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  3. 前記組成物の全固形物中における電子受容性化合物濃度が、15質量%以下である、請求項1又は2に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  4. 前記組成物に含まれる電子受容性化合物が、式(1)で表されるものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子の製造方法。
    Figure 0007043766000105
    [式(1)中、
    Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環基またはフッ素置換されたアルキル基を表し、
    4はフッ素原子が4個置換していることを表し、
    (5-a)はフッ素原子が5-a個置換していることを表し、
    kは各々独立に、0~5の整数を表し、
    aは各々独立に、0~5の整数を表し、
    +は対カチオンを表す。]
  5. 前記式(1)のArの少なくとも一つが架橋基を有する、請求項4に記載の有機電界発光素子の製造方法。
  6. 陽極と陰極との間に、それぞれ少なくとも1層の発光層及び正孔注入輸送層を有する有機電界発光素子であって、
    該正孔注入輸送層は、発光層と陽極との間に位置し、且つ、発光層と接しており、
    該発光層は、トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を有し、
    該トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料は、下記式(17)で表される化合物であり、
    該正孔注入輸送層は、電子受容性化合物を含むものである、有機電界発光素子。
    Figure 0007043766000106
    (式(17)において、X10は、-CH基または窒素原子を表す。すなわち、X10が-CH基のときはピリミジン環骨格を有する化合物であり、X10が窒素原子のときはトリアジン環骨格を有する化合物である。
    13 及びR 14 は水素原子を表す。
    Ar41、Ar42は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。
    10は、直接結合、または、置換基を有していてもよい2価のアリーレン基を表し、一方は、トリアジン環もしくはピリミジン環と結合し、もう一方は、R31~R35のいずれかの置換位置で、R31~R35のいずれかの代わりにベンゼン環と結合する。
    置換基 31 ~R35は、それぞれ独立に、L10との間での結合、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいジベンゾフラニル基、置換基を有していてもよいジベンゾチエニル基、アルキル基、シリル基、フッ素原子、またはパーフルオロアルキル基を表す。
    36~R42は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいジベンゾフラニル基、置換基を有していてもよいジベンゾチエニル基、アルキル基、シリル基、フッ素原子、またはパーフルオロアルキル基を表す(このうち、フェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基については、さらにアルキル基、シリル基、フッ素原子、パーフルオロアルキル基を有していてもよい)。)
  7. 前記正孔注入輸送層に含まれる電子受容性化合物が、式(1)で表されるものである、請求項6に記載の有機電界発光素子。
    Figure 0007043766000107
    [式(1)中、
    Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環基またはフッ素置換されたアルキル基を表し、
    4はフッ素原子が4個置換していることを表し、
    (5-a)はフッ素原子が5-a個置換していることを表し、
    kは各々独立に、0~5の整数を表し、
    aは各々独立に、0~5の整数を表し、
    +は対カチオンを表す。]
  8. 前記正孔注入輸送層に、前記式(1)のArの少なくとも一つが架橋基を有する電子受容性化合物と、架橋基を有するアリールアミンポリマー化合物との反応物を含むことを特徴とする、請求項7に記載の有機電界発光素子。
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