JP7043766B2 - 有機電界発光素子、有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents
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Description
一般に、消費電力の小さなデバイスとするためには、駆動電圧を低く、発光効率を高くする必要がある。有機電界発光素子は、陽極及び陰極から正孔及び電子を注入し、発光層に各電荷を到達させ、この発光層で電荷再結合させることで、発光を得るものである。この原理から、低電圧化のためには、正孔注入輸送層や電子注入輸送層といった発光層周辺層の電荷注入性や電荷移動度の改善により発光層への電荷の輸送をスムーズにおこなうことが必要であり、高効率化のためには、周辺層からの電荷の流れをスムーズにするとともに発光層内部での再結合を効率的におこなわせることが必要である。また、デバイスの駆動寿命を長くするためには、電荷再結合を最適な位置に調整するため、材料の物性値を所望の値に調整すること、ならびに、それらの材料自身の耐久性を向上させる必要がある。
さらなる低電圧化といった観点からは、正孔注入輸送層に電子受容性化合物を用いることが知られている。例えば、特許文献1には発光層に隣接する正孔輸送層に電子受容性化合物を用いることが開示されている。また、特許文献2には、重合性モノマーを電子受容性化合物とともに塗布したのち、該塗布膜を280℃にて加熱することで低電圧化と高効率化が図られることが開示されている。
また、特許文献2においては、正孔注入輸送層を形成する際に重合性モノマーと電子受容性化合物を用い加熱することによりポリマー化が進行し、低電圧化が実現することは知られていた。しかしながら、該正孔注入輸送層に接する発光層は蒸着プロセスにて作製されており、発光層が塗布プロセスの場合にも適用可能であるかどうかは十分に検討がされていなかった。今回、発光層に塗布プロセスを用いて検討したところ、発光層の材料の種類によっては寿命が低下することが明らかとなった。
したがって、電子受容性化合物を含む正孔注入輸送層に適した組み合わせ(特定の発光層)を見出す必要があった。
即ち、本発明の目的は、駆動寿命が長い有機電界発光素子及び該有機電界発光素子の製造方法を提供することである。
本発明はこのような知見に基づいて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1]陽極と陰極との間に、それぞれ少なくとも1層の発光層及び正孔注入輸送層を有する有機電界発光素子の製造方法であって、
アリールアミンポリマー化合物、電子受容性化合物及び溶媒を含む組成物を塗布することにより該正孔注入輸送層を形成する工程、
並びに
トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含む発光層を形成する工程を含み、
該正孔注入輸送層は、発光層と陽極との間に設け、且つ、発光層と接するものである、有機電界発光素子の製造方法。
[2]前記組成物の全固形物中における電子受容性化合物濃度が、0.5質量%以上である、[1]に記載の有機電界発光素子の製造方法。
[3]前記組成物の全固形物中における電子受容性化合物濃度が、15質量%以下である、[1]又は[2]に記載の有機電界発光素子の製造方法。
[4]前記組成物に含まれる電子受容性化合物が、式(1)で表されるものである、[1]~[3]のいずれか1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環基またはフッ素置換されたアルキル基を表し、
F4はフッ素原子が4個置換していることを表し、
F(5-a)はフッ素原子が5-a個置換していることを表し、
kは各々独立に、0~5の整数を表し、
aは各々独立に、0~5の整数を表し、
X+は対カチオンを表す。]
[5]前記式(1)のArの少なくとも一つが架橋基を有する、[4]に記載の有機電界発光素子の製造方法。
[6]陽極と陰極との間に、それぞれ少なくとも1層の発光層及び正孔注入輸送層を有する有機電界発光素子であって、
該正孔注入輸送層は、発光層と陽極との間に位置し、且つ、発光層と接しており、
該発光層は、トリアジン骨格を含む電荷輸送材料を有し、
該正孔注入輸送層は、電子受容性化合物を含むものである、有機電界発光素子。
[7]前記正孔注入輸送層に含まれる電子受容性化合物が、式(1)で表されるものである、[6]に記載の有機電界発光素子。
本発明の有機電界発光素子は、陽極、陰極、発光層及び正孔注入輸送層を有するものであり、その他の層を含んでいてもよい。また、陽極と陰極との間に、それぞれ少なくとも1層の発光層及び正孔注入輸送層を有し、該正孔注入輸送層は、発光層と陽極との間に位置し、且つ、発光層と接していればよく、層構成、位置も特に限定されない。本発明の正孔注入輸送層は発光層と陽極との間に位置し、且つ、発光層と接するものである。なお、本発明において、接するとは、物理的に接することを差す。
図1は、本発明の有機電界発光素子に好適な構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板 、2は陽極、3は正孔注入輸送層、4は発光層、5は正孔阻止層、6は電子輸送層 、7は電子注入層、8は陰極を表す。
これらの構造に適用する材料は、公知の材料を適用することができ、特に制限はない。
上述の通り、消費電力の小さなデバイスとするためには、駆動電圧を低く、発光効率を高くする必要がある。低電圧化のためには、正孔注入輸送層や電子輸送層といった発光層周辺層の電荷注入性や電荷移動度の改善により発光層への電荷の輸送をスムーズにおこなうことが必要である。一方、高効率化のためには、周辺層からの電荷の流れをスムーズにするとともに発光層内部での再結合を効率的におこなわせることが必要である。
低電圧化といった観点からは、正孔注入輸送層に電子受容性化合物を用いることが知られている。発光層に隣接する正孔注入輸送層に電子受容性化合物を用いることで、発光層への電荷注入輸送性が向上し、低電圧化が実現する。しかしながらその一方で、発光層を構成する電荷輸送材料の電荷注入輸送性があまり大きくない場合には、電荷バランスが崩れデバイスの寿命が低下してしまうことがある。本発明では、発光層に隣接する正孔注入輸送層に電子受容性化合物を用い発光層への正孔注入輸送性を向上させるとともに、発光層を構成する電荷輸送材料として、電子注入輸送性の高い特定の骨格を用いることで、発光層内での再結合確率が上がることにより、寿命が向上したものと考えられる。
また、本発明の有機電界発光素子の製造方法においては、正孔注入輸送層を形成する際に、アリールアミンポリマー化合物と電子受容性化合物とを含む組成物を用いて塗布する工程を含むことを特徴とする。重合性モノマー化合物を塗布膜中で加熱することにより重合させた場合、加熱工程で未反応の重合性置換基が残ることで、有機電界発光素子の寿命に悪影響が及ぶ可能性がある。また、重合工程に高い温度と時間が必要となるため生産性にも劣る可能性がある。ゆえに、本発明に開示された製造方法にて正孔注入輸送層を形成し、かつ、発光層に電子注入輸送性の高い特性の骨格を用いることにより、長い駆動寿命を有する有機電界発光素子が得られたものと考えられる。
アリールアミンポリマー化合物、電子受容性化合物及び溶媒を含む組成物を塗布することにより該正孔注入輸送層を形成する工程、並びに
トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含む発光層を形成する工程。
本発明の正孔注入輸送層は、アリールアミンポリマー化合物、電子受容性化合物及び溶媒を含む組成物(以下、「組成物」と表すことがある。)を塗布することにより形成する。
該組成物は上記以外にも他の成分を含んでいてもよく、例えば、製膜性の向上等を目的として、レベリング剤や消泡剤等の各種添加剤を有していてもよい。
また、本発明の正孔注入輸送層を形成する工程は複数回行ってもよく、正孔注入輸送層は複数層であってもよい。複数の正孔注入輸送層が有する材料は同一であっても、なくてもよい。
電子受容性化合物とは、ある化合物から電子を引き抜いてその化合物を酸化し、自身は還元される化合物のことを言う。
例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げられる。具体的には、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開2005/089024号);塩化鉄(III)(日本国特開平11-251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アンモニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物;トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(日本国特開2003-31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体及びヨウ素等が挙げられる。
電子受容性化合物の母骨格としては特に制限は無いが、好ましくはイオン化合物であり、さらに好ましくは式(1)で表わされる電子受容性化合物である。式(1)で表される電子受容性化合物を用いることで、得られる有機電界発光素子の駆動寿命を長くできる傾向にある。
Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環基またはフッ素置換されたアルキル基を表し、
F4はフッ素原子が4個置換していることを表し、
F(5-a)はフッ素原子が5-a個置換していることを表し、
kは各々独立に、0~5の整数を表し、
aは各々独立に、0~5の整数を表し、
X+は対カチオンを表す。]
Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環基またはフッ素置換されたアルキル基を表す。
(芳香環基)
Arにおける芳香環基とは、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基またはこれら芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基が連結してなる置換基を表す。芳香環基としては炭素数30以下が電圧や寿命が良好になるため好ましい。
Arは、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、更に別の置換基によって置換されていてもよい。Arが有していてもよい置換基は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、1~5の芳香環からなる芳香環基、炭化水素環基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルケトン基またはアリールケトン基である。
アルケニル基の例としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。
アルキニル基の例としては、アセチル基、プロピニル基、ブチニル基等が挙げられる。
アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルヘキシル基等が挙げられる。
アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、ブチルチオ基、ヘキシルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基の例としては、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。
アルキルケトン基の例としては、アセチル基、エチルカルボニル基、ブチルカルボニル基、オクチルカルボニル基等が挙げられる。
アリールケトン基の例としては、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基等が挙げられる。
アルキルオキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
これらの置換基の中でも、ハロゲン原子またはアリール基が化合物の安定性の点で好ましい。最も好ましくはハロゲン原子である。
Arにおけるフッ素置換されたアルキル基としては、炭素数1~12の直鎖又は分岐のアルキル基であってフッ素原子が置換している基が好ましく、パーフルオロアルキル基がさらに好ましく、炭素数1~5の直鎖又は分岐のパーフルオロアルキル基がより好ましく、炭素数1~3の直鎖又は分岐のパーフルオロアルキル基が特に好ましく、パーフルオロメチル基が最も好ましい。この理由は、本発明の化合物を用いた塗布膜や、その上層に積層される塗布膜が安定になるためである。
本発明の電子受容性化合物は、イオン化合物であることが好ましい。イオン化合物の対アニオンとしては、以下式(6)で表される化学種が好ましい。
Ar7は前述のArが有していてもよい置換基として好ましい基と同じである。また、F4はフッ素原子が4個置換していることを表す。
これらの中でも、Ar7が下記式(4)で表されることがより好ましい。
これら式(7)、式(8)は置換基を有していてもよく、その置換基の例としては、Arが有していてもよい置換基と同じである。
式(1)で表される電子受容性化合物は、組成物中あるいは有機電界発光素子中でイオン化合物として存在する。
組成物中あるいは有機電界発光素子中に、電子受容性化合物とアリールアミンポリマー化合物が併存すると、電子受容性化合物は、アリールアミンポリマー化合物から電子を引き抜き、その結果、電子受容性化合物の対アニオンとアリールアミンポリマー化合物のカチオンラジカルが生成され、電子受容性化合物の対アニオンとアリールアミンポリマー化合物のカチオンラジカルとがイオン対を形成する。こうして形成したイオン化合物についても、アリールアミンポリマー化合物由来のカチオンラジカルがさらに別の分子を酸化可能な状態であるという点で、前記電子受容性化合物(1)に相当する。
ゆえに、本発明において式(1)で表されるX+に該当する対カチオンとしては、アリールアミニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン、カルボカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオンまたは遷移金属を有するフェロセニウムカチオンを表し、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン、カルボカチオン、アンモニウムカチオンがより好ましく、ヨードニウムカチオンが特に好ましい。ここで、アリールアミニウムカチオンとは、アリールアミンポリマー化合物由来のラジカルカチオンに相当するカチオンのことを指す。
Ar5及びAr6は、置換基を有していてもよい各々独立の芳香環基を表す。]
芳香環基は前述の式(6)のArにおける芳香環基と同じである。芳香環基として好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、クアテルフェニル基、ナフチル基、フェナントレニル基、トリフェニレン基、ナフチルフェニル基等が挙げられ、フェニル基が化合物の安定性から最も好ましい。
Ar5及びAr6が有していてもよい置換基として好ましい基は、水素原子、ハロゲン原子、1~5の芳香環からなる芳香環基、炭化水素環基、アルキル基、アラルキル基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基およびヒドロキシ基である。中でもアルキル基が、溶剤に対する溶解性を向上させる為特に好ましい。
アラルキル基の例としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルヘキシル基等が挙げられる。
アルキルオキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基の例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
これらの置換基の中でも、アルキル基が膜安定性の点で好ましい。
本発明の電子受容性化合物は、架橋基を有する電子受容性化合物であることが、発光層への電子受容性化合物の拡散を防ぎ、それによるデバイス寿命の低下等の性能悪化を防ぐことができるという理由で好ましい。
電子受容性化合物の母骨格としては特に制限は無いが、好ましくはイオン化合物であり、さらに好ましくは前述の式(1)で表されるイオン化合物である。
また、本発明の架橋基を有する電子受容性化合物は、架橋基を有するイオン化合物であることが好ましい。また、本発明の電子受容性化合物が架橋基を有する電子受容性化合物である場合の架橋基は特に制限されない。
具体的には、上述した各カチオンが挙げられる。
Arが有していてもよい架橋基は、以下の架橋基群Zから選ばれることが好ましい。これらの架橋基は、室温よりも十分高い温度で架橋するため、組成物としての安定性が高く、架橋結合が酸化還元に対して安定性が高いため、有機電界発光素子としての安定性も高いと考えられる。
式(Z-3)~(Z-7)で表される架橋基は、置換基を有さないことが好ましい。
上記架橋基の中でも、架橋後の安定性が高く、素子駆動寿命が向上する点で(Z-1)~(Z-4)が好ましく、(Z-1)または(Z-2)で表される架橋基が特に好ましい。
(Z-1)で表される架橋基は前記式(7)で表される構造がさらに好ましく、有していてもよい好ましい置換基は炭素数30以下の環状・非環状の脂肪族由来の基および炭素数30以下のアリール基であり、置換基を有さないことがさらに好ましい。
(Z-2)で表される架橋基は後述する式(8)で表される構造がさらに好ましく、有していてもよい好ましい置換基は炭素数30以下の環状・非環状の脂肪族由来の基および炭素数30以下のアリール基であり、置換基を有さないことがさらに好ましい。
電子受容性化合物がイオン化合物である場合、組成物中に電子受容性化合物と後述の正孔輸送性化合物を併存させると、電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物から電子を引き抜き、その結果、電子受容性化合物の対アニオンと正孔輸送性化合物のカチオンラジカルが生成され、電子受容性化合物の対アニオンと正孔輸送性化合物のカチオンラジカルとがイオン対を形成する。これは後述する電荷輸送性イオン化合物に相当する。本発明の架橋基を有する電子受容性化合物がイオン化合物である場合、その対アニオンが、架橋基を有する正孔輸送性化合物と、さらに架橋基によって結合していることにより、電荷輸送性イオン化合物が安定化し、耐久性が向上し、有機電界発光素子の駆動寿命が向上すると考えられる。さらに、正孔輸送性化合物と結合している電子受容性化合物の対アニオンは遊離しないため、電子受容性化合物の対アニオンの発光層への拡散が抑制されて駆動寿命が向上すると考えられる。また、電子受容性化合物の対アニオン同士が架橋結合した場合であっても、結合することによって分子量が増大し、拡散しにくくなるため好ましい。また、複数の電子受容性化合物の対アニオン同士が架橋結合した場合であっても、1か所が正孔輸送性化合物の架橋基と架橋結合する確率は高く、複数の電子受容性化合物の対アニオン同士が架橋したクラスターが正孔輸送性化合物と架橋することによって拡散しなくなり、好ましい。
以下に本発明において使用される電子受容性化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の組成物に含まれるアリールアミンポリマー化合物は特に限定されない。特に、正孔移動度が大きく、トラップとなる不純物が製造時や使用時等に発生し難いのが好ましい。また、安定性に優れ、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光に対する透明性が高いことが好ましい。特に、正孔注入輸送層と発光層とが接するため、発光層からの発光を消光しないものや発光層とエキサイプレックスを形成して、発光効率を低下させないものが好ましい。
アリールアミンポリマー化合物は、非晶質性、溶媒への溶解度、可視光の透過率の点から、特にアリール三級アミンポリマー化合物が特に好ましい。ここで、アリール三級アミンポリマー化合物とは、アリール三級アミンポリマー構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
アリールアミンポリマー化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果の点から、質量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物であるアリール三級アミンポリマー化合物等が挙げられる。
Ar13はまた、下記式(12)で表される2価の基が好ましい。
R11のアルキル基の具体例としては、メタン、エタン、プロパン、イソプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン由来の3価の基等が挙げられる。
R12のアルキル基の具体例としては、メタン、エタン、プロパン、イソプロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン由来の2価の基等が挙げられる。
Ar31の架橋基の例としては、ベンゾシクロブテン環、ナフトシクロブテン環またはオキセタン環由来の基、ビニル基、アクリル基等が挙げられる。好ましくは前述の架橋基群Z記載の架橋基であり、より好ましい架橋基も同様である。化合物の安定性からベンゾシクロブテン環またはナフトシクロブテン環由来の基が好ましい。これらは、前記式(7)または前記式(8)で表される架橋基である。
Ar21、Ar23は、それぞれ独立に、2価の芳香環基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。Ar22は置換基を有していてもよい1価の芳香環基を表し、R13は、アルキル基、芳香環基またはアルキル基と芳香環基からなる2価の基を表し、これらは置換基を有していてもよい。Ar32は1価の芳香環基又は1価の架橋基を表し、これらの基は置換基を有していてもよい。アスタリスク(*)は式(11)の窒素原子との結合手を示す。
Ar22、Ar32の芳香環基の例としては、単環、2~6縮合環又はこれらの芳香族環が2つ以上連結した基が挙げられる。具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環もしくはフルオレン環由来の1価の基、ビフェニル基、ターフェニル基、クアテルフェニル基、または、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環もしくはアズレン環由来の1価の基が挙げられる。中でも負電荷を効率良く非局在化すること、安定性、耐熱性に優れることから、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、ピリジン環もしくはカルバゾール環由来の1価の基またはビフェニル基が好ましい。
メチル基、エチル基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは8以下のアルキル基;ビニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルケニル基;エチニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは5以下のアルキニル基;メトキシ基、エトキシ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の、炭素数が通常2以上、通常11以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の、炭素数が通常2以上、通常20以下、好ましくは12以下のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、N-カルバゾリル基等の、炭素数が通常10以上、好ましくは12以上、通常30以下、好ましくは22以下のジアリールアミノ基;フェニルメチルアミノ基等の、炭素数が通常6以上、好ましくは7以上、通常25以下、好ましくは17以下のアリールアルキルアミノ基;アセチル基、ベンゾイル基等の、炭素数が通常2以上、通常10以下、好ましくは7以下のアシル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;トリフルオロメチル基等の、炭素数が通常1以上、通常8以下、好ましくは4以下のハロアルキル基;メチルチオ基、エチルチオ基等の、炭素数が通常1以上、通常10以下、好ましくは6以下のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基、ピリジルチオ基等の、炭素数が通常4以上、好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは14以下のアリールチオ基;トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシリル基;トリメチルシロキシ基、トリフェニルシロキシ基等の、炭素数が通常2以上、好ましくは3以上、通常33以下、好ましくは26以下のシロキシ基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素数が通常6以上、通常30以下、好ましくは18以下の芳香族炭化水素基;チエニル基、ピリジル基等の、炭素数が通常3以上、好ましくは4以上、通常28以下、好ましくは17以下の芳香族複素環基。
s、tは各々独立に、0以上、5以下の整数を表わす。
u、v、wは各々独立に、0以上、4以下の整数を表わす。
本発明が含む溶媒は、特に限定されないが、好ましい溶剤としては以下のものが挙げられる。
例えば、n-デカン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、ビシクロヘキサン等のアルカン類;トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;1,2-ジメトキシベンゼン、1,3-ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2-メトキシトルエン、3-メトキシトルエン、4-メトキシトルエン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル、3-フェノキシトルエン等の芳香族エーテル類;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸イソアミル等の芳香族エステル類;シクロヘキサノン、シクロオクタノン、フェンコン等の脂環族ケトン類;シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン類;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール類;テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール-1-モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル類;等が挙げられる。
これらは単独で用いられていても良いし、塗布のプロセスに好適な塗布液とするために複数種類の溶剤を混合して組成物として用いても良い。これらのうち、水の溶解度が低い点、容易には変質しない点で、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素、4-メトキシトルエン、2,3-ジメチルアニソール、2,4-ジメチルアニソール、ジフェニルエーテル、3-フェノキシトルエン等の芳香族エーテル類、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸イソアミル等の芳香族エステル類が好ましい。
アリールアミンポリマー化合物、電子受容性化合物及び溶媒を含む組成物を塗布し、該正孔注入輸送層を形成する工程は、特に限定されないが、湿式成膜であることが好ましい。
本発明において湿式成膜法とは、成膜方法、即ち、塗布方法として、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、ノズルプリンティング法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等の湿式で成膜させる方法を採用し、この塗布膜を乾燥させて膜形成を行う方法をいう。これらの成膜方法の中でも、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法、ノズルプリンティング法等が好ましい。
組成物中の各材料の含有量は、本願発明の効果を著しく損なわない範囲であれば特に限定されない。
組成物中の全固形分中における電子受容性化合物濃度は、好ましくは0.5質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%以上である。また、好ましくは、15質量以下であり、より好ましくは12質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。この範囲であることでアリールアミンポリマー化合物の正孔輸送能を妨げることなく正孔注入性を増大させることができる傾向にある。
組成物A中の全固形分中における電子受容性化合物濃度は、上記の濃度範囲であることが好ましい。
組成物B中の全固形分中における電子受容性化合物濃度は、組成物A中の全固形分中における電子受容性化合物の濃度に比べて、同等以上が好ましく、2.5質量%以上差があることがより好ましく、5.0質量%以上差があることがさらに好ましい。すなわち、組成物B中の全固形分中における電子受容性化合物濃度は、好ましくは5.0質量%以上であり、より好ましくは7.5質量%以上であり、さらに好ましくは10質量%以上である。また、好ましくは、40質量以下であり、より好ましくは30質量%以下であり、さらに好ましくは20質量%以下である。この範囲であることで陽極からの正孔注入輸送性を維持するとともに、正孔注入輸送層Aへと滞りなく電荷を輸送することができる傾向にある。
発光層は、一対の電極間に電界が与えられた時に、陽極から注入される正孔と陰極から注入される電子が再結合することにより励起され、発光する機能を担う層である。
発光層は、陽極と陰極の間に形成される層であり、発光層は、正孔注入輸送層と陰極の間に形成される。
発光層の膜厚は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜に欠陥が生じ難い点では厚いことが好ましいが、また、一方で、駆動電圧が低くなりやすい点では薄いことが好ましい。具体的には、通常3nm以上、好ましくは5nm以上、また、通常200nm以下、好ましくは100nm以下の範囲であるのがよい。
なお、有機電界発光素子には、発光層は2層以上設けてもかまわない。
コアシェル型量子ドットとしては、例えば、CdSe/ZnS、InP/ZnS、Cu-Ga-S/ZnS、ZnCdS/ZnS等のコアシェル型量子ドットを用いることが可能である。
本発明では、特に、駆動寿命の観点から発光層材料について検討を進めたところ、以下で詳述するようにトリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含む発光層を形成する工程を含むことが好ましいことが明らかとなった。
本発明の発光層は、トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含む発光層を形成する工程を含む。耐久性の観点からトリアジン骨格を含む電荷輸送材料を含むことが好ましい。
本発明の発光層は、トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含んでいれば特に限定されないが、該電荷輸送材料以外の材料等を有していてもよく、例えば、トリアジン及び/又はピリミジン骨格以外の電荷輸送材料、発光材料、製膜性の向上を目的として、レベリング剤や消泡剤等の各種添加剤等が挙げられる。
本発明の有機電界発光素子は少なくとも1層の発光層を有していればよく、複数層有していてもよい。また、発光層が複数層ある場合、発光層が含む材料は同一でなくてもよい。
なお、発光層が複数層ある場合、少なくとも正孔注入輸送層に接している発光層がトリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含んでいればよい。
電荷輸送材料としては、トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含むものであれば特に限定はなく、さらにその他の電荷輸送材料を含んでいてもよい。以下に併用できる電荷輸送材料の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではなく、通常、有機電界発光素子に使用されている任意の公知材料を適用することができる。
併用し得る電荷輸送材料としては、正孔輸送能を有する化合物(以下、「正孔輸送性ホスト材料」と称す。)と電子輸送能を有する化合物(以下、「電子輸送性ホスト材料」と称す。)とがあり、発光層中に正孔輸送性ホスト材料と電子輸送性ホスト材料とを重量比で、通常0:100以下、好ましくは2:98以下、また通常100:0以上、好ましくは98:2以上で含有することが好ましい。上記範囲内であると、ホールや電子の移動バランスが改善し、駆動寿命が長く、電流効率が高い素子が得られる点で好ましい。トリアジン及び/又はピリミジン骨格を有する化合物は電子輸送性ホスト材料に分類されるが、これらの骨格以外の電子輸送性ホスト材料を含んでいてもよい。
なお、本発明において、ガラス転移点温度(Tg)は示差走査熱量分析(DSC分析)により以下の条件で測定することができる。
装置:エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 DSC6220
試料量:約4mg
試料容器:Al製液体用試料容器
雰囲気:N2,50ml/min
温度範囲:室温~300℃
昇温速度:10℃/min
電子輸送性ホスト材料としては、芳香族炭化水素環のみで構成される化合物又は芳香族複素環を部分構造として有する化合物が挙げられる。
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ベンゾフルオレン環、インデノフルオレン環等が挙げられる。
芳香族複素環としては、本発明に係るピリミジン環ならびにトリアジン環のほか、例えば、ピリジン環、キノリン環、キノキサリン環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環などが挙げられる。本発明の発光層は、トリアジン及び/又はピリミジン骨格を有する電荷輸送材料を含むことを特徴とするが、これらの骨格以外の電子輸送性ホスト材料を含んでいてもよい。駆動電圧並びに耐久性の観点から、電子輸送性ホスト材料としてトリアジン環及び/又はピリミジン骨格を有する電荷輸送材料以外に含まれていてもよい化合物は、芳香族炭化水素環のみで構成される化合物、ベンズチアゾール骨格を含む化合物であることが好ましく、芳香族炭化水素環のみで構成される化合物であることがさらに好ましい。
Ar41、Ar42は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。
L10は、直接結合、または、置換基を有していてもよい2価のアリーレン基を表し、一方は、トリアジン環もしくはピリミジン環と結合し、もう一方は、R31~R35のいずれかの置換位置で、R31~R35のいずれかの代わりにベンゼン環と結合する。
置換基R33~R35は、それぞれ独立に、L10との間での結合、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいジベンゾフラニル基、置換基を有していてもよいジベンゾチエニル基、アルキル基、シリル基、フッ素原子、またはパーフルオロアルキル基を表す。
R36~R42は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいジベンゾフラニル基、置換基を有していてもよいジベンゾチエニル基、アルキル基、シリル基、フッ素原子、またはパーフルオロアルキル基を表す(このうち、フェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基については、さらにアルキル基、シリル基、フッ素原子、パーフルオロアルキル基を有していてもよい)。
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、トリフェニレン環等が挙げられ、これらの置換基どうしが単独または複数でさらに連結することによってアリール基となってもよい。芳香族複素環としては、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環、ピラジン環、キノリン環、キナゾリン環、カルバゾール環、インデノカルバゾール環、インドロカルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環等が挙げられ、これらの置換基どうし、もしくは、これらの置換基が芳香族炭化水素環由来の基と結合することによって、ヘテロアリール基となってもよい。
Lの2価の芳香族炭化水素基としては、具体的には、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、4,4’-ビフェニリレン、4,3’-ビフェニリレン、3,4’-ビフェニリレン、3,3’-ビフェニリレン等が挙げられる。中でも、有機溶剤に対する溶解性が比較的高いという点から、1,3-フェニレン基、3,3’-ビフェニリレン基が好ましい。
正孔輸送性ホスト材料としては、例えば、トリアリールアミンやカルバゾールを部分構造として有する化合物が挙げられる。以下に、正孔輸送材料の具体例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
発光材料としては、通常、有機電界発光素子の発光材料として使用されている任意の公知材料を適用することができ、特に制限はない。発光材料は、所望の発光波長で発光し、発光効率が良好である物質を用いればよい。
発光材料としては、蛍光発光材料であってもよく、燐光発光材料であってもよいが、内部量子効率および発熱の少なさの観点から、好ましくは燐光発光材料である。
周期表第7~11族から選ばれる金属として、好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。周期表第7~11族から選ばれる金属としては、イリジウム及び白金がより好ましい。
燐光発光材料として、具体的には、トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム、トリス(2-フェニルピリジン)ルテニウム、トリス(2-フェニルピリジン)パラジウム、ビス(2-フェニルピリジン)白金、トリス(2-フェニルピリジン)オスミウム、トリス(2-フェニルピリジン)レニウム、オクタエチル白金ポルフィリン、オクタフェニル白金ポルフィリン、オクタエチルパラジウムポルフィリン、オクタフェニルパラジウムポルフィリン等が挙げられる。
ML(q-j)L′j (I)
[式(I)中、
Mは金属を表し、qは上記金属の価数を表す。
また、LおよびL′は二座配位子を表す。
jは0、1または2の数を表す。
LまたはL’は、それぞれが複数存在する場合、複数のLまたはL’はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。]
また、上記Lの部分構造において、環A2は、置換基を有していてもよい、含窒素芳香族複素環基を表す。
また、例えば、青色は蛍光発光材料、緑色及び赤色は燐光発光材料を用いるなど、蛍光発光材料と燐光発光材料を組み合わせて用いてもよい。
発光材料は、いずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
本発明の発光層の形成方法は特に限定されず、蒸着法、湿式成膜法等適宜用いることができる。これらの中でも、湿式成膜法を用いることが好ましい。
本発明に係る発光層を真空蒸着法で形成する場合は次のように形成する。
真空蒸着法により発光層を形成する場合には、通常、発光層の構成材料(前述の発光材料、非発光材料等)を、各々真空容器内に設置された別々の坩堝に入れ、真空容器内を真空ポンプで10-4Pa程度まで排気した後、各坩堝を加熱して、各坩堝内の材料の蒸発量を独立に制御しながら蒸発させ、各坩堝に向き合って置かれた基板等の上に発光層を形成させる。なお、構成材料の混合物を1つの坩堝に入れ、加熱、蒸発させて発光層を形成することもできる。
発光層を湿式成膜法で形成する場合、トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料、発光材料に加え、溶媒を含むことが好ましい。溶媒は特に限定されないが、具体的には、本発明の組成物が含む溶媒として挙げたものが挙げられる。
本発明の有機電界発光素子の製造方法は、さらに、正孔阻止層、電子注入層、電子輸送材料、電極などを形成する工程を有していてもよい。
発光層と後述の電子注入層との間に、正孔阻止層を設けてもよい。正孔阻止層は、発光層の上に、発光層の陰極側の界面に接するように積層される層である。
この正孔阻止層は、陽極から移動してくる正孔を陰極に到達するのを阻止する役割と、陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送する役割とを有する。正孔阻止層を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
正孔阻止層の膜厚は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上であり、また、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
電子輸送層は素子の電流効率をさらに向上させることを目的として、発光層と電子注入層との間に設けられる。
電子輸送層は、電界を与えられた電極間において陰極から注入された電子を効率よく発光層の方向に輸送することができる化合物より形成される。
電子輸送層に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極又は電子注入層からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
電子輸送層の膜厚は、通常1nm以上、好ましくは5nm以上であり、また、一方、通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子輸送層は、前記と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により正孔阻止層上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
電子注入層は、陰極 から注入された電子を効率よく、電子輸送層又は発光層へ注入する役割を果たす。
電子注入を効率よく行うには、電子注入層を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましい。例としては、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属等が用いられる。その膜厚は通常0.1nm以上、5nm以下が好ましい。
電子注入層は、湿式成膜法或いは真空蒸着法により、発光層又はその上の正孔阻止層上に積層することにより形成される。湿式成膜法の場合の詳細は、前述の発光層の場合と同様である。
基板上には陽極が設けられる。陽極は発光層側の層(正孔注入層または発光層など)への正孔注入の役割を果たすものである。
不透明でよい場合は陽極の厚みは任意であり、陽極は基板と同一でもよい。また、さらには上記の陽極の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陰極は、発光層側の層(電子注入層7又は発光層4など)に電子を注入する役割を果たす。陰極の材料としては、前記の陽極に使用される材料を用いることが可能であるが、効率良く電子注入を行なう上では、仕事関数の低い金属を用いることが好ましく、例えば、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の金属又はそれらの合金などが用いられる。具体例としては、例えば、マグネシウム-銀合金、マグネシウム-インジウム合金、アルミニウム-リチウム合金等の低仕事関数の合金電極などが挙げられる。
陰極の膜厚は通常、陽極と同様である。
本発明の有機電界発光素子は、本発明の効果を著しく損なわなければ、更に他の層を有していてもよい。すなわち、陽極と陰極との間に、上述の他の任意の層を有していてもよい。
なお、上述の説明とは逆の構造、即ち、基板上に陰極、電子注入層、発光層、正孔注入輸送層、陽極の順に積層することも可能である。
本発明は、以下の新規の有機電界発光素子を提供する。
陽極と陰極との間に、それぞれ少なくとも1層の発光層及び正孔注入輸送層を有する有機電界発光素子であって、該正孔注入輸送層は、発光層と陽極との間に位置し、且つ、発光層と接しており、
該発光層は、トリアジン骨格を含む電荷輸送材料を有し、
該正孔注入輸送層は、電子受容性化合物を含むものである、有機電界発光素子。
なお、上記有機電界発光素子の各構成は、上述した有機電界発光素子の製造方法と同義である。
電子受容性化合物の母骨格としては特に制限は無いが、好ましくはイオン化合物であり、さらに好ましくは前述の式(1)で表わされる電子受容性化合物である。式(1)で表される電子受容性化合物を用いることで、有機電界発光素子の駆動寿命を長くできる傾向にある。
Arは各々独立に、置換基を有していてもよい芳香環基またはフッ素置換されたアルキル基を表し、
F4はフッ素原子が4個置換していることを表し、
F(5-a)はフッ素原子が5-a個置換していることを表し、
kは各々独立に、0~5の整数を表し、
aは各々独立に、0~5の整数を表し、
X+は対カチオンを表す。]
本発明の有機電界発光素子は、表示装置及び照明装置等も用いることができる。表示装置及び照明装置の形式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発刊、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の表示装置及び照明装置を形成することができる。
以下の実施例に限定されるものではない。なお、下記の実施例における各種の条件や評価
結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつ
ものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と下記実施例の値または実施例
同士の値との組合せで規定される範囲であってもよい。
以下構成の有機電界発光素子を作製した。
ガラス基板上に、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を厚さ70nmに成膜したもの(スパッタ成膜品、シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術により2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。陽極2を形成した基板1を、純水による超音波洗浄、純水による水洗の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄の処理を行った。
次いで、正孔注入輸送層Bを以下のように湿式成膜法によって形成した。
正孔注入輸送層B形成用組成物として、下記式(P1)で表される繰り返し構造を有するアリールアミンポリマー化合物が2.0重量%、電子受容性化合物として下記式(B-20)が0.4重量%となるよう、安息香酸エチルに溶解させた正孔注入輸送層B形成用組成物を調製し、この正孔注入輸送層B形成用組成物を、前記ITO基板上にスピンコート法により成膜し、さらに加熱乾燥することにより、膜厚30nmの正孔注入輸送層Bを形成した。成膜条件は以下の通りであった。
スピンコート条件:スピナ回転数500rpm/2秒 →2325rpm/30秒
加熱乾燥条件:230℃のクリーンオーブン内に1時間放置
次いで、形成された正孔注入輸送層B上に、以下の通り、湿式成膜法によって正孔注入輸送層Aを形成した。
架橋性化合物として、以下に示す繰り返し構造のアリールアミンポリマー化合物(HT-1)(重量平均分子量:53000)が1.5重量%、電子受容性化合物(B-1)を0.015重量%となるよう(すなわち、(HT-1)と(B-1)の比率は100:1)、溶剤としてシクロヘキシルベンゼンに溶解させて正孔注入輸送層A形成用組成物を調製した。
スピンコート条件:スピナ回転数500rpm/2秒 →1950rpm/120秒
加熱乾燥条件:230℃のホットプレート上に1時間放置
次いで、形成された正孔注入輸送層A上に、以下の通り、発光層を形成した。
以下に示す化合物(H-1)、(H-2)および(D-1)を、45:55:30の重量比で混合し、この混合物が6.5重量%となるようシクロヘキシルベンゼンに溶解させた発光層形成用組成物を調製した。この発光層形成用組成物を窒素雰囲気下で、前記正孔注入輸送層A上にスピンコート法により成膜し、さらに加熱乾燥することにより、膜厚60nmの発光層を形成した。成膜条件は以下の通りであった。なお、H-1はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料であり、本発明の効果を奏する材料である。
スピンコート条件:スピナ回転数500rpm/2秒 →1800rpm/120秒
加熱乾燥条件:120℃のホットプレート上に20分放置
次いで、形成された発光層上に、真空蒸着法により正孔阻止層として以下に示す化合物(HB-1)を膜厚5nmとなるように形成した。
次いで、形成された正孔阻止層上に、真空蒸着法により電子輸送層として以下に示す化合物(ET-1)を膜厚5nmとなるように形成した。
ここで、電子輸送層までの蒸着を行った素子を、一度、前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして、陽極であるITOストライプと直交する形状の2mm幅のストライプ状シャドーマスクを素子に密着させた。該素子を別の真空蒸着装置内に設置して、電子輸送層と同様の真空蒸着法により、電子注入層としてフッ化リチウム(LiF)を膜厚0.5nm、次いで陰極としてアルミニウムを膜厚80nmとなるようにそれぞれ積層した。
引き続き、素子が保存中に大気中の水分等で劣化することを防ぐため、以下に記載の方法で封止処理を行った。
真空蒸着装置に連結された窒素グローブボックス中で、23mm×23mmサイズのガラス板の外周部に、約1mmの幅で光硬化性樹脂を塗布し、中央部に水分ゲッターシートを設置した。この上に、陰極形成を終了した基板を、蒸着された面が乾燥剤シートと対向するように貼り合わせた。その後、光硬化性樹脂が塗布された領域のみに紫外光を照射し、樹脂を硬化させた。これにより、2mm×2mmサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。電流を印加することにより緑色に発光した。素子特性を表1に示す。
実施例1において、正孔注入輸送層A組成物に含まれるアリールアミンポリマー化合物(P-1)と電子受容性化合物(B-1)との比率を表1に記載した割合に変更した以外は実施例1と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより緑色に発光した。素子特性を表1に示す。
実施例1において、正孔注入輸送層A組成物に含まれる電子受容性化合物(B-1)を(B-29)に変更した以外は実施例1と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより緑色に発光した。素子特性を表1に示す。
実施例1において、正孔注入輸送層A組成物を(HT-1)のみに変更した以外は実施例1と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより緑色に発光した。素子特性を表1に示す。
実施例1~4および比較例1において、得られた各有機電界発光素子を輝度10000 nitで駆動したときの15%減衰寿命(LT85)を測定し、比較例1の15%減衰寿命を100とした場合の相対値を求めた。
実施例1において、正孔注入輸送層Bを構成する材料をアリールアミンポリマー化合物(P1)および電子受容性化合物(B-26)((P1)と(B-26)との比率は100:10)に変更し、膜厚を40nmに変更し、正孔注入輸送層Aを構成する材料をアリールアミンポリマー化合物(HT-2)および電子受容性化合物(B-26)((HT-2)と(B-26)との比率は100:5)に変更し、正孔注入輸送層Aの膜厚を40nmに変更したほかは実施例1と同様に正孔注入輸送層Aまで作製した。
以下に示す化合物(H-3)、(H-4)および(D-2)を、45:55:20の重量比で混合し、この混合物が7.2重量%となるようシクロヘキシルベンゼンに溶解させた発光層形成用組成物を調製し、この発光層形成用組成物を窒素雰囲気下で、前記正孔注入輸送層A上にスピンコート法により成膜し、さらに加熱乾燥することにより、膜厚80nmの発光層5を形成した。成膜条件は以下の通りであった。なお、H-3はトリアジン化合物であり、本発明の効果を奏する化合物である。
スピンコート条件:スピナ回転数500rpm/2秒 →1900rpm/120秒
加熱乾燥条件:120℃のホットプレート上に20分放置
次いで、実施例1と同様に封止をおこなうことにより、2mm×2mmサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。電流を印加することにより赤色に発光した。素子特性を表2に示す。
実施例5において、発光層を構成する化合物(H-3)を(H-1)に変更した以外は実施例5と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより赤色に発光した。素子特性を表2に示す。なお、化合物(H-1)はピリミジン骨格を有することから本発明の効果を奏する化合物である。
実施例5、6において、正孔注入輸送層A組成物を(HT-2)のみに変更した以外は実施例5と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより赤色に発光した。素子特性を表2に示す。
実施例5、6および比較例2、3において、得られた各有機電界発光素子を輝度10000 nitで駆動したときの5%減衰寿命(LT95)を測定し、比較例3の5%減衰寿命を100とした場合の相対値を求めた。
実施例5において、発光層を構成する化合物(H-3)を(H-5)に変更した以外は実施例5と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより赤色に発光した。素子特性を表3に示す。なお、化合物(H-5)はピリジン骨格の化合物であり、ピリミジン及び/又はトリアジン骨格を有さないことから本発明の効果を奏さない化合物である。
比較例4において、正孔注入輸送層A組成物を(HT-2)のみに変更した以外は比較例4と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより赤色に発光した。素子特性を表3に示す。なお、化合物(H-5)はピリジン骨格の化合物であり、ピリミジン及び/又はトリアジン骨格を有さないことから本発明の効果を奏さない化合物であり、また、正孔注入輸送層Aに電子受容性化合物を含まないことから本発明の範囲外となる。
比較例4.5において得られた各有機電界発光素子を輝度10000 nitで駆動したときの5%減衰寿命(LT95)を測定し、比較例5の5%減衰寿命を100とした場合の相対値を求めた。
実施例5において、正孔注入輸送層Bを構成する材料をアリールアミンポリマー化合物(P1)および電子受容性化合物(B-29)((P1)と(B-29)との比率は100:20)に変更し、膜厚を40nmに変更し、正孔注入輸送層Aを構成する材料をアリールアミンポリマー化合物(HT-2)および電子受容性化合物(B-20)((HT-2)と(B-20)との比率は100:5)に変更し、正孔注入輸送層Aの膜厚を25nmに変更したほかは実施例5と同様に正孔注入輸送層Aまで形成した。
スピンコート条件:スピナ回転数500rpm/2秒 →1900rpm/120秒
加熱乾燥条件:120℃のホットプレート上に20分放置
実施例7において、正孔注入輸送層A組成物を(HT-2)のみに変更した以外は比較例4と同様に有機電界発光素子を作成した。電流を印加することにより赤色に発光した。素子特性を表4に示す。
比較例6、実施例7において得られた各有機電界発光素子を輝度10000 nitで駆動したときの5%減衰寿命(LT95)を測定し、比較例6の5%減衰寿命を100とした場合の相対値を求めた。
2 陽極
3 正孔注入輸送層
4 発光層
5 正孔阻止層
6 電子輸送層
7 電子注入層
8 陰極
Claims (8)
- 陽極と陰極との間に、それぞれ少なくとも1層の発光層及び正孔注入輸送層を有する有機電界発光素子の製造方法であって、
アリールアミンポリマー化合物、電子受容性化合物及び溶媒を含む組成物を塗布することにより該正孔注入輸送層を形成する工程、
並びに
トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を含む発光層を形成する工程を含み、
該トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料は、下記式(17)で表される化合物であり、
該正孔注入輸送層は、発光層と陽極との間に設け、且つ、発光層と接するものである、有機電界発光素子の製造方法。
R 13 及びR 14 は水素原子を表す。
Ar41、Ar42は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。
L10は、直接結合、または、置換基を有していてもよい2価のアリーレン基を表し、一方は、トリアジン環もしくはピリミジン環と結合し、もう一方は、R31~R35のいずれかの置換位置で、R31~R35のいずれかの代わりにベンゼン環と結合する。
置換基R 31 ~R35は、それぞれ独立に、L10との間での結合、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいジベンゾフラニル基、置換基を有していてもよいジベンゾチエニル基、アルキル基、シリル基、フッ素原子、またはパーフルオロアルキル基を表す。
R36~R42は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいジベンゾフラニル基、置換基を有していてもよいジベンゾチエニル基、アルキル基、シリル基、フッ素原子、またはパーフルオロアルキル基を表す(このうち、フェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基については、さらにアルキル基、シリル基、フッ素原子、パーフルオロアルキル基を有していてもよい)。) - 前記組成物の全固形物中における電子受容性化合物濃度が、0.5質量%以上である、請求項1に記載の有機電界発光素子の製造方法。
- 前記組成物の全固形物中における電子受容性化合物濃度が、15質量%以下である、請求項1又は2に記載の有機電界発光素子の製造方法。
- 前記式(1)のArの少なくとも一つが架橋基を有する、請求項4に記載の有機電界発光素子の製造方法。
- 陽極と陰極との間に、それぞれ少なくとも1層の発光層及び正孔注入輸送層を有する有機電界発光素子であって、
該正孔注入輸送層は、発光層と陽極との間に位置し、且つ、発光層と接しており、
該発光層は、トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料を有し、
該トリアジン及び/又はピリミジン骨格を含む電荷輸送材料は、下記式(17)で表される化合物であり、
該正孔注入輸送層は、電子受容性化合物を含むものである、有機電界発光素子。
R 13 及びR 14 は水素原子を表す。
Ar41、Ar42は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。
L10は、直接結合、または、置換基を有していてもよい2価のアリーレン基を表し、一方は、トリアジン環もしくはピリミジン環と結合し、もう一方は、R31~R35のいずれかの置換位置で、R31~R35のいずれかの代わりにベンゼン環と結合する。
置換基R 31 ~R35は、それぞれ独立に、L10との間での結合、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいジベンゾフラニル基、置換基を有していてもよいジベンゾチエニル基、アルキル基、シリル基、フッ素原子、またはパーフルオロアルキル基を表す。
R36~R42は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基、置換基を有していてもよいジベンゾフラニル基、置換基を有していてもよいジベンゾチエニル基、アルキル基、シリル基、フッ素原子、またはパーフルオロアルキル基を表す(このうち、フェニル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基については、さらにアルキル基、シリル基、フッ素原子、パーフルオロアルキル基を有していてもよい)。) - 前記正孔注入輸送層に、前記式(1)のArの少なくとも一つが架橋基を有する電子受容性化合物と、架橋基を有するアリールアミンポリマー化合物との反応物を含むことを特徴とする、請求項7に記載の有機電界発光素子。
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