JP7041543B2 - レーザ加工方法 - Google Patents

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本発明は、処理対象物にレーザ光を照射してウィービング溶接及びクリーニング等の表面処理を行うレーザ加工方法に関する。
レーザ光を用いた表面処理に関する従来技術として、例えば、特許文献1には、レーザ光を照射対象物に照射する照射ヘッドに、レーザ光を所定の偏角だけ偏向させるウェッジプリズムを設け、このウェッジプリズムを回転させながらレーザ光を照射することによって、照射箇所が照射対象物の表面を旋回しながら走査し、照射対象物の表面に付着した旧塗膜や異物等が除去(クリーニング)されることが記載されている。
また、近年、精密溶接が要求される技術分野において、レーザ光を用いて照射対象物を溶融させて溶接するレーザ溶接が普及している。
このようなレーザ溶接は、レーザ光をレンズにより集中させることにより照射対象物を熱溶融させるため、溶融範囲が極小に絞られる傾向があり、例えば電気抵抗溶接等に対して、溶接時に形成されるビードの幅が狭小となる。
これに対し、溶接強度確保の観点から、レーザ光をビード幅方向に細かく揺動させて溶接するウィービング溶接を行うことにより、ビード幅や溶け込み深さの適正化を図ることが提案されている。
例えば、特許文献2には、加工ヘッドの内部に光軸に対して傾斜し、かつ取付角度を変更可能なガラス板を設けるとともに、ガラス板を回転させた状態でレーザビームを照射することにより、ワークに対してウィービング加工を施すことが記載されている。
特許第5574354号 特開2000-158170号公報
精密レーザ溶接においては、溶接の前処理として、例えば溶剤等を用いた洗浄によって、汚れの除去や脱脂等が行われている。このような溶接の前処理における洗浄の有無により、溶接後の品質が大きく異なることが知られている。
また、溶接の後処理として、バフ研磨などの物理的表面処理や、化学的溶剤を用いた洗浄により、溶接時に発生した色焼けや汚れを取り除き、外観品質、美観を向上することが行われている。
このような溶接の前処理、後処理として、溶剤による洗浄やバフ研磨等に代えて、特許文献1に記載されたような、レーザ光を用いたクリーニング処理を利用することが考えられる。
しかし、従来は、このような処理を行う場合、溶接用のレーザ照射ヘッドと、クリーニング用のレーザ照射ヘッドとを、それぞれ別個に準備する必要があり、レーザ照射ヘッドの交換や管理が煩雑となり、装置のコストも増加してしまう。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、共通の機器を用いてウィービング溶接及びクリーニング等の表面処理を行うことが可能なレーザ加工方法を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、レーザ発振器が発生するレーザ光を所定の箇所において集光させる集光光学系と、前記集光光学系から出射されたレーザ光を偏向させる第1の偏向光学系と、前記第1の偏向光学系を前記集光光学系から出射される前記レーザ光の光軸回りに回転させる回転駆動機構と、前記第1の偏向光学系の出射側と入射側との少なくとも一方に着脱可能に取り付けられ、前記第1の偏向光学系とともに回転しかつ前記レーザ光を偏向させる第2の偏向光学系とを備えるレーザ照射装置によって照射対象物にレーザ光を照射するレーザ加工方法であって、前記第2の偏向光学系を取り外した状態で前記第1の偏向光学系を回転させながら前記レーザ光を前記照射対象物に照射する表面処理工程と、前記第2の偏向光学系を取り付けた状態で前記第1の偏向光学系及び前記第2の偏向光学系を回転させながら前記レーザ光を照射対象物に照射するウィービング溶接工程とを有することを特徴とするレーザ加工方法である。
これによれば、第2の偏向光学系が取り付けられた状態においては、第1の偏向光学系による偏角の一部又は全部が第2の偏向光学系の偏角によって打ち消される(相殺される)ことから、第2の偏向光学系から出射されるレーザ光の光軸が第1、第2の偏向光学系の回転中心軸に対してなす角度は小さくなる。
この状態で、第1、第2の偏向光学系を回転させながら照射対象物にレーザ光を照射することによって、照射対象物の表面で照射箇所(ビームスポットS)が比較的小径の円弧に沿って旋回する状態となり、ウィービング溶接を行うことができる。
一方、第2の偏向光学系が取り外された状態においては、第1の偏向光学系から出射されるレーザ光は、回転中心軸に対して第1の偏向光学系に起因する偏角だけ傾斜した状態となる。
この状態で第1の偏向光学系を回転させながら照射対象物にレーザ光を照射することによって、照射箇所が比較的大径の円弧に沿って旋回する状態となり、照射対象物表面の異物等を除去するクリーニング等の表面処理を行うことができる。
以上のように、本発明によれば、第2の偏向光学系を着脱する簡単な操作により、共通の機器を用いてウィービング溶接及びクリーニング等の表面処理を行うことができる。
本発明において、前記第1の偏向光学系と前記第2の偏向光学系とは実質的に同一の偏角を有するとともに偏向方向が反対となるように配置される構成としてもよい。
これによれば、ウィービング溶接時において第1の偏向光学系による偏角を第2の偏向
光学系によりキャンセルし、出射されるレーザ光の光軸を第1、第2の偏向光学系の回転中心軸と平行とし、照射箇所の旋回円径を機器からの距離に関わらず一定として、安定した溶接ビード幅を得ることができる。
請求項に係る発明は、レーザ発振器が発生するレーザ光を所定の箇所において集光させる集光光学系と、前記集光光学系から出射されたレーザ光を偏向させる第1の偏向光学系と、前記第1の偏向光学系を前記集光光学系から出射される前記レーザ光の光軸回りに回転させる回転駆動機構と、前記第1の偏向光学系の出射側と入射側との少なくとも一方に取り付けられ、前記第1の偏向光学系とともに回転しかつ前記レーザ光を偏向させる第2の偏向光学系と、前記第1の偏向光学系と前記第2の偏向光学系との回転中心軸回りにおける相対角度を変更可能な角度調節機構とを備えるレーザ照射装置によって照射対象物にレーザ光を照射するレーザ加工方法であって、前記第2の偏向光学系が前記第1の偏向光学系による偏角を増大させる状態で前記第1の偏向光学系及び前記第2の偏向光学系を回転させながら前記レーザ光を前記照射対象物に照射する表面処理工程と、前記第2の偏向光学系が前記第1の偏向光学系による偏角を減少させる状態で前記第1の偏向光学系及び前記第2の偏向光学系を回転させながら前記レーザ光を前記照射対象物に照射するウィービング溶接工程とを有することを特徴とするレーザ加工方法である。
これによれば、第2の偏向光学系による偏角が第1の偏向光学系と逆向きの偏角となる相対角度にある場合には、第1の偏向光学系による偏角の一部又は全部が第2の偏向光学系によって打ち消されることから、第2の偏向光学系から出射されるレーザ光の光軸が第1、第2の偏向光学系の回転中心軸に対してなす角度は小さくなる。
この状態で、第1、第2の偏向光学系を回転させながら照射対象物にレーザ光を照射することによって、照射対象物の表面で照射箇所(ビームスポットS)が比較的小径の円弧に沿って旋回する状態となり、ウィービング溶接を行うことができる。
一方、第2の偏向光学系による偏角が第1の偏向光学系と同じ向きの偏角となる相対角度にある場合には、第1の偏向光学系による偏角と第2の偏向光学系による偏角とが合わさって偏角が増大し、最終的に出射されるレーザ光の偏角が大きくなる。
この状態で、第1、第2の偏向光学系を回転させながら照射対象物にレーザ光を照射することによって、照射箇所が比較的大径の円弧に沿って旋回する状態となり、照射対象物表面の異物等を除去するクリーニング等の表面処理を行うことができる。
以上のように、本発明によれば、第2の偏向光学系を第1の偏向光学系に対して相対回転させる簡単な操作により、共通の機器を用いてウィービング溶接及びクリーニング等の表面処理を行うことができる。
本発明において、前記第1の偏向光学系と前記第2の偏向光学系とは実質的に同一の偏角を有する構成とすることができる。
これによれば、ウィービング溶接時において、第1、第2の偏向光学系による偏向方向を逆向きとすることによって、第1の偏向光学系による偏角を第2の偏向光学系の偏角によりキャンセルし、出射されるレーザ光の光軸を第1、第2の偏向光学系の回転中心軸と平行とし、照射箇所の旋回円径を機器からの距離に関わらず一定として、安定した溶接ビード幅を得ることができる。
また、本発明において、前記角度調節機構は、前記第2の偏向光学系から出射される前記レーザ光の前記回転中心軸に対する偏角が最大となる位置と最小となる位置との間の位置において前記相対角度を保持可能な構成とすることができる。
これによれば、第1の偏向光学系と第2の偏向光学系を、偏角が最大となる位置と最小となる位置との間の位置に保持する状態で第1、第2の偏向光学系をともに回転させながら照射を行うことによって、異なる光学素子の交換等を行うことなく、最終的に出射されるレーザ光の偏角及び照射箇所の旋回円径を任意に調節することができる。
上記各発明において、前記第1の偏向光学系と前記第2の偏向光学系との距離を変更可能な距離調節機構を有する構成とすることができる。
これによれば、ウィービング溶接時の照射箇所の旋回円径は、第1の偏向光学系と第2の偏向光学系との距離に比例するため、旋回円径を調節可能として所望の溶接ビード幅や
溶け込み深さを得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、共通の機器を用いてウィービング溶接及びクリーニング等の表面処理を行うことが可能なレーザ加工方法を提供することができる。
本発明を適用したレーザ加工方法の第1実施形態で用いるレーザ照射装置における照射ヘッドの模式的断面図であって、ウィービング溶接時の状態を示す図である。 第1実施形態の照射ヘッドの模式的断面図であって、クリーニング処理時の状態を示す図である。 第1実施形態の照射ヘッドにおけるウィービング溶接時のレーザ光の偏向状態を示す模式図である。 第1実施形態の照射ヘッドにおけるクリーニング処理時のレーザ光の偏向状態を示す模式図である。 本発明を適用したレーザ加工方法の第2実施形態で用いるレーザ照射装置における照射ヘッドの模式的断面図であって、ウィービング溶接時の状態を示す図である。 第2実施形態の照射ヘッドの模式的断面図であって、クリーニング処理時の状態を示す図である。 第2実施形態の照射ヘッドにおけるウィービング溶接時のレーザ光の偏向状態を示す模式図である。 第2実施形態の照射ヘッドにおけるクリーニング処理時のレーザ光の偏向状態を示す模式図である。 第2実施形態の照射ヘッドにおける第1ウェッジプリズム及び第2ウェッジプリズムの偏角の合成を示す概念図であって、ウィービング溶接時(最小偏角)の状態を示す図である。 第2実施形態の照射ヘッドにおける第1ウェッジプリズム及び第2ウェッジプリズムの偏角の合成を示す概念図であって、クリーニング処理時(最大偏角)の状態を示す図である。 第2実施形態の照射ヘッドにおける第1ウェッジプリズム及び第2ウェッジプリズムの偏角の合成を示す概念図であって、中間偏角状態を示す図である。 本発明を適用したレーザ加工方法の第3実施形態で用いるレーザ照射装置における照射ヘッドのウィービング溶接時のレーザ光の偏向状態を示す模式図である。
<第1実施形態>
以下、本発明を適用したレーザ加工方法の第1実施形態について説明する。
第1実施形態のレーザ加工方法で用いるレーザ照射装置は、照射対象物にレーザ光を照射し、ウィービング溶接、及び、クリーニング処理を行う照射ヘッドを備えている。
クリーニング処理は、照射対象物の表面で照射箇所(ビームスポット)を、例えば直径10mm程度あるいはそれ以上の比較的大径の円弧に沿って旋回させて走査し、照射対象物の表面に付着したダスト、錆、煤等をクリーニングする表面処理である。
ウィービング溶接は、照射箇所を例えば直径1.0mm程度の比較的小径の円弧に沿って旋回させ、照射対象物を溶融させて溶接を行うものである。
図1は、第1実施形態のレーザ加工方法で用いるレーザ照射装置における照射ヘッドの模式的断面図であって、ウィービング溶接時の状態を示す図である。
図1は、後述する第1ウェッジプリズムの回転中心軸を含む平面で切って見た断面である。(図2,5,6において同じ)
図2は、第1実施形態のレーザ加工方法で用いるレーザ照射装置における照射ヘッドの模式的断面図であって、クリーニング処理時の状態を示す図である。
照射ヘッド1は、ファイバFを介してレーザ発振器から伝達されるCWのレーザ光Rを照射対象物に照射するものである。
なお、レーザ光Rのビームは、実際には焦点箇所以外では所定の径を有するが、図示及び理解を容易とするために、図1乃至図8においては、その光軸のみを太線破線により図示している。
レーザ発振器として、例えば、平均出力300W、ピーク出力8kW程度のパルスYAGレーザや、平均出力が例えば1kW程度のCWレーザを用いることができる。
また、クリーニング処理とウィービング溶接とで、レーザ発振器の種類を変更したり、CWレーザとパルスレーザとを切替えたり、また、レーザ発振器の出力を変化させてもよい。
例えば、クリーニング処理時における熱影響(焼けの発生や酸化皮膜の生成等)が問題となる場合には、ウィービング溶接時に対してレーザ発振器の出力を低下させるようにしてもよい。
照射ヘッド1は、例えば、作業者が手持ちして作業を行うことが可能なハンディタイプのものである。
照射ヘッド1は、コリメートレンズ10、フォーカスレンズ20、第1ウェッジプリズム30、第2ウェッジプリズム40、回転筒50、ホルダ60、モータ70、リアハウジング80、フロントハウジング90、ノズル100等を有して構成されている。
コリメートレンズ10は、ファイバFの端部から出射されたレーザ光Rをコリメートし、実質的に平行光とするコリメート光学系である。
フォーカスレンズ20は、コリメートレンズ10から出射されたレーザ光を、所定の焦点距離(例えば50mm程度)上で収束(フォーカス)させる集光光学系である。
コリメートレンズ10、及び、フォーカスレンズ20は、その光軸が実質的に同心となるように配置されている。
第1ウェッジプリズム30は、フォーカスレンズ20から出射されたレーザ光Rを、所定の偏角(入射光線の角度と出射(透過)光線の角度とがなす角度)θ1(図3等参照)だけ偏向させる光学素子である。
偏角θ1は、一例として、5°程度である。
第1ウェッジプリズム30は、本発明にいう第1の偏向光学系である。
第1ウェッジプリズム30及びフォーカスレンズ20は、回転筒50に保持され、モータ70によって、コリメートレンズ10、フォーカスレンズ20の光軸と実質的に同心に配置された回転中心軸回りに回転可能となっている。
第2ウェッジプリズム40は、第1ウェッジプリズム30から出射されたレーザ光Rを、所定の偏角θ2(図3参照)だけ偏向させる光学素子である。
第2ウェッジプリズム40は、本発明にいう第2の偏向光学系である。
第2ウェッジプリズム40は、ホルダ60を介して、回転筒50に着脱可能に取り付けられている。これによって、第2ウェッジプリズム40は、第1ウェッジプリズム30に対して、回転筒50を介して着脱可能となっている。
第2ウェッジプリズム40は、第1ウェッジプリズム30の偏角θ1と実質的に同一の偏角θ2を有し、偏向する方向は、第1ウェッジプリズム30と反対方向(第1ウェッジプリズム30による偏角を相殺し、第1ウェッジプリズム30に対する入射光線と実質的に同一の方向)となるように配置されている。
回転筒50は、フォーカスレンズ20、及び、第1ウェッジプリズム30を保持する部材である。
回転筒50は、実質的に円筒状に形成されており、レーザ光Rはその内傾側を通過する。
フォーカスレンズ20、及び、第1ウェッジプリズム30は、回転筒50の内径側に、ファイバF側から順次配列され、固定されている。
回転筒50は、その中心軸が、コリメートレンズ10及びフォーカスレンズ20の光軸と実質的に一致するように配置されている。
回転筒50は、照射ヘッド1の他部(リアハウジング80、フロントハウジング90等)に対して、その中心軸と実質的に一致する回転中心軸回りに回転可能に支持されている。
ホルダ60は、第2ウェッジプリズム40を保持する部材である。
ホルダ60は、実質的に回転筒50と同心の円筒状に形成されている。
第2ウェッジプリズム40は、ホルダ60の内径側に固定されている。
ホルダ60は、回転筒50の出射側(ノズル100側)の端部に着脱可能に取り付けられている。
ホルダ60は、回転筒50に取り付けられている際は、回転筒50とともに回転する。
モータ70は、回転筒50を、照射ヘッド1の他部(リアハウジング80やフロントハウジング90等)に対してその中心軸回りに回転させる回転駆動機構である。
モータ70として、中央部が空洞とされた環状の電動モータや、エアモータ等の流体圧モータを用いることが可能である。
モータ70は、図示しない制御装置によって、回転筒50の回転速度が所望の目標回転速度と実質的に一致するように制御される。
回転筒50の目標回転速度は、ウィービング溶接時においては、例えば3000乃至5000rpm程度であり、クリーニング処理時においては、例えば15000乃至20000rpm程度である。
リアハウジング80は、モータ70からファイバF側へ突き出して配置された筒状の部材である。
リアハウジング80は、一体に形成された筒状部81、レンズ保持部82、ファイバ保持部83等を有する。
筒状部81は、モータ70の外周面部におけるファイバF側の端部付近から、ファイバF側へ突出した実質的に円筒状の部分である。
レンズ保持部82は、筒状部81のファイバF側の端部に設けられ、コリメートレンズ10を保持する部分である。
レンズ保持部82は、筒状部81の端部から内径側に張り出した平板部82aの中央に、コリメートレンズ10が収容される筒状部82bを設けて構成されている。
ファイバ保持部83は、筒状部81のファイバF側の端部からさらにファイバF側へ突出して設けられた筒状の部分である。
ファイバ保持部83の筒状部81側とは反対側の端部には、ファイバFの照射ヘッド1側の端部が取り付けられる。
ファイバ保持部83は、ファイバFとの接続箇所側が筒状部81側に対して小径となるテーパ筒状に形成されている。
フロントハウジング90は、モータ70の外周面部における照射対象物側の端部近傍から、照射対象物側へ突き出して配置された実質的に円筒状の部材である。
フロントハウジング90の照射対象物側の端部には、ノズル100が着脱可能に取り付けられるノズル取付部91が形成されている。
ノズル100は、フロントハウジング90の照射対象物側の端部から、さらに照射対象物側へ突出した筒状の部材である。
ノズル100は、照射対象物側が小径となるテーパ筒状に形成されている。
ノズル100のフロントハウジング90側の端部には、フロントハウジング90のノズル取付部91と係合する係合部101が形成されている。
例えば、ノズル取付部91が雄ネジ部を有し、係合部101がこれに締結可能な雌ネジ部を有する構成とすることができる。
ノズル100は、その内径側にシールドガス、パージガスを導入する図示しないガス導入手段を備えている。
シールドガスは、ウィービング溶接の実行時に、ノズル100の先端部から照射対象物側へ噴出され、溶接個所が空気中の酸素、窒素に接し、酸化や窒化することを防止するものである。
シールドガスとして、例えばアルゴンガス等が用いられる。
パージガスは、クリーニング処理の実行時に、ノズル100の先端部から照射対象物側へ噴出され、レーザ照射により発生し飛散したダスト等の異物がノズル100の内部に侵入し、ウェッジプリズム等の光学素子に付着することを防止するものである。
パージガスとして、例えば空気や窒素ガス等が用いられる。
また、パージガスをシールドガスと兼用してもよい。
以上説明したリアハウジング80、フロントハウジング90、ノズル100は、回転筒50の中心軸と実質的に同心に配置されている。
また、回転筒50、ホルダ60、リアハウジング80、フロントハウジング90、ノズル100等の光学系、モータ以外の各構成部材は、例えばアルミニウム系合金等の金属材料や、エンジニアリングプラスティック等によって形成される。
第1実施形態のレーザ加工方法においては、第2ウェッジプリズム40及びホルダ60を取り付けた状態でウィービング溶接を行うとともに、これらを取り外した状態でクリーニング処理を行うことを特徴とする。
以下、ウィービング溶接時、及び、クリーニング処理時のレーザ光の偏向について詳細に説明する。
図3は、第1実施形態の照射ヘッドにおけるウィービング溶接時のレーザ光の偏向状態を示す模式図である。
第1ウェッジプリズム30と第2ウェッジプリズム40とは、偏角θ1、θ2が同一であり、かつ、偏向方向が反対向きとなっている。
その結果、第2ウェッジプリズム40から出射されるレーザ光Rの光軸は、第1ウェッジプリズム30に入射されるレーザ光Rの光軸(第1ウェッジプリズム30及び第2ウェッジプリズム40の回転中心軸と同心)に対して平行であり、かつ比較的小さい距離r1(例えば0.5mm程度)だけオフセットされた状態となる。
この状態で第1ウェッジプリズム30及び第2ウェッジプリズム40を回転させ、レーザ光Rを照射対象物に対して照射することによって、照射箇所(ビームスポットS)は、直径1mm程度の比較的小さい半径r1の円弧に沿って旋回することになる。
図4は、第1実施形態の照射ヘッドにおけるクリーニング処理時のレーザ光の偏向状態を示す模式図である。
第2ウェッジプリズム40がホルダ60とともに取り外された結果、第1ウェッジプリズム30の偏角θ1が照射ヘッド1から出射されるレーザ光Rの最終的な出射角度となる。
この状態で第1ウェッジプリズム30を回転させ、レーザ光Rを照射対象物に対して照射することによって、照射箇所(ビームスポットS)は、例えば直径10mm程度の比較的大きな半径r2の円弧に沿って旋回することになる。
以下、第1実施形態におけるレーザ加工方法について説明する。
照射対象物は、例えば、突合せウィービング溶接によって接合される一対の金属製部材である。
溶接対象となる材料は、例えば、金型用鋼、一般構造用鋼、ステンレス鋼等の鉄系金属や、アルミニウム合金等の非鉄金属等の各種金属材料があげられる。
また、本実施形態のウィービング溶接は、同一の材料の溶接に限らず、異種材料の溶接にも適用することが可能である。
まず、溶接に先立ち、溶接箇所周辺の表面に付着したダスト、錆等の異物や、油脂、防錆用の塗膜などを除去する第1のクリーニング処理を行う。
クリーニング処理時においては、照射ヘッド1から第2ウェッジプリズム40及びホルダ60を取り外し、ノズル100内にパージガスを導入して先端部から噴出させ、第1ウェッジプリズム30を回転させた状態で、照射対象物にレーザ光Rを照射する。
この状態で照射ヘッド1を照射対象物の表面に沿って所定の送り速度で移動させ、ビームスポットSにより照射対象物の表面を走査する。
このとき、フォーカスレンズ20により形成されるビームの焦点位置が照射対象物の表面と実質的に一致する状態(フォーカス状態)にしてもよいが、これに限らず、焦点位置が照射対象物の表面からずれた状態(デフォーカス状態)でレーザ光を照射してもよい。
第1のクリーニング処理に引き続いて、ウィービング溶接が行われる。
クリーニング処理の終了後、ノズル100をフロントハウジング90から取り外し、第2ウェッジプリズム40を保持したホルダ60を回転筒50に取り付け、ノズル100を再度フロントハウジング90に取り付ける。
ウィービング溶接時においては、第2ウェッジプリズム40及びホルダ60を取り付け、ノズル100内にシールドガスを導入して先端部から噴出させ、第1ウェッジプリズム30及び第2ウェッジプリズム40を回転させた状態で、照射対象物にレーザ光Rを照射する。
この状態で照射ヘッド1を、照射箇所が照射対象物の溶接線に沿って所定の溶接速度で移動するように照射対象物に対して相対移動させ、溶接を行う。
ウィービング溶接に引きつづいて、溶接時に発生した色焼けや、煤などによる汚れを除去する第2のクリーニング処理を行う。
第2のクリーニング処理に先立ち、ノズル100をフロントハウジング90から取り外し、第2ウェッジプリズム40を保持したホルダ60を回転筒50から取り外し、ノズル100を再度フロントハウジング90に取り付ける。
その後、第1のクリーニング処理と同様にビームスポットSによる照射対象物表面の走査を行う。
以上説明した第1実施形態によれば、第2ウェッジプリズム40及びホルダ60を着脱するのみの簡単な操作により、共通の照射ヘッド1を用いてウィービング溶接及びクリーニング処理を行うことができる。
これによって、照射ヘッドの交換作業や、複数の照射ヘッドの準備、管理が不要となり、作業工数、管理工数、装置コストなどを低減することができる。
また、ウィービング溶接時において第1ウェッジプリズム30による偏角θ1を第2ウェッジプリズム40の偏角θ2により完全にキャンセルし、出射されるレーザ光Rの光軸を第1、第2ウェッジプリズム30,40の回転中心軸と平行とし、照射箇所の旋回円径r1を機器からの距離に関わらず一定として、安定した溶接ビード幅を得ることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明を適用したレーザ加工方法の第2実施形態について説明する。
上述した第1実施形態と実質的に同様の箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図5は、第2実施形態のレーザ加工方法で用いるレーザ照射装置における照射ヘッドの模式的断面図であって、ウィービング溶接時の状態を示す図である。
図6は、第2実施形態のレーザ加工方法で用いるレーザ照射装置における照射ヘッドの模式的断面図であって、クリーニング処理時の状態を示す図である。
第2実施形態の照射ヘッド1Aは、第1実施形態の第1ウェッジプリズム30、第2ウェッジプリズム40、ホルダ60に代えて、以下説明する第1ウェッジプリズム30A、第2ウェッジプリズム40A、ホルダ60Aを備えることを特徴とする。
第1ウェッジプリズム30A、第2ウェッジプリズム40Aは、第1ウェッジプリズム30、第2ウェッジプリズム40に対して、偏角θ3、θ4(図7,8参照)が、偏角θ1,2の実質的に1/2程度となるように設定されている。
ホルダ60Aは、回転筒50に対して、その回転中心軸回りにおける相対角度が調節可能に取り付けられている。
ホルダ60Aと回転筒50との間には、回転筒50の回転中心軸回りにおけるホルダ60Aと回転筒50との相対角度を任意に調節可能な図示しない角度調節機構が設けられている。
角度調節機構は、例えば、回転筒50に対するホルダ60Aの相対回転を許容する回動機構、及び、回転筒50に対するホルダ60Aの相対角度を、後述する最大偏角状態と最小偏角状態との間の位置を含む所定の状態で保持するロック機構等を有する。
角度調節機構は、ホルダ60Aと回転筒50との相対角度を、連続的(無段階)に変更可能なものであってもよく、また、段階的に変更可能なものであってもよい。
また、ホルダ60Aを回転筒50から取り外し、その後異なった相対角度で取付可能としてもよい。
角度調節機構により、第1ウェッジプリズム30Aと第2ウェッジプリズム40Aとの回転筒50の回転中心軸回りの相対角度も変更可能でありかつ任意の位置でロック可能となっている。
また、ホルダ60Aは、第1ウェッジプリズム30Aと第2ウェッジプリズム40Aとの間隔を、第1実施形態の第1ウェッジプリズム30と第2ウェッジプリズム40との間隔に対して、例えば約2倍程度(同等のビームスポットSの旋回円径r1が得られる程度)とするよう寸法設定がなされている。
第2実施形態のレーザ加工方法においては、ウィービング溶接時とクリーニング処理時とで、第2ウェッジプリズム40Aの第1ウェッジプリズム30Aに対する回転中心軸回りの角度位置を、180°回転させることを特徴とする。
以下、ウィービング溶接時、及び、クリーニング処理時のレーザ光の偏向について詳細に説明する。
図7は、第2実施形態の照射ヘッドにおけるウィービング状態時の偏向状態を示す模式図である。
第1ウェッジプリズム30Aと第2ウェッジプリズム40Aとは、偏角θ3、θ4が同一であり、かつ、偏向方向が反対向きとなっている。
その結果、その結果、第2ウェッジプリズム40Aから出射されるレーザ光Rの光軸は、第1ウェッジプリズム30Aに入射されるレーザ光Rの光軸(第1ウェッジプリズム30A及び第2ウェッジプリズム40Aの回転中心軸と同心)に対して、平行でありかつ比較的微小な距離r1(例えば0.5mm程度)だけオフセットされた状態となる。
なお、第2実施形態においては、第1、第2ウェッジプリズム30A,40Aの偏角θ3、θ4が、第1実施形態の第1、第2ウェッジプリズム30,40の偏角θ1,θ2に対して小さいことから、同等のオフセット量を得るために必要なウェッジプリズム30A,40Aの間隔は大きくなる。
この状態で、第1ウェッジプリズム30A及び第2ウェッジプリズム40Aを回転させ、レーザ光Rを照射対象物に対して照射することによって、照射箇所(ビームスポットS)は、直径1mm程度の比較的小さい半径r1の円弧に沿って旋回することになり、第1実施形態と実質的に同様にウィービング溶接を行うことができる。
図8は、第2実施形態の照射ヘッドにおけるクリーニング処理時の偏向状態を示す模式図である。
第1ウェッジプリズム30Aと第2ウェッジプリズム40Aとは、偏角θ3、θ4が同一であり、かつ、偏向方向が同じ向きとなっている。
その結果、第1ウェッジプリズム30Aにおいて偏角θ3だけ偏向されたレーザ光Rは、第2ウェッジプリズム40Aにおいてさらに偏角θ4だけ同じ向きに偏向され、第2ウェッジプリズム40Aから出射されるレーザ光Rの光軸は、第1ウェッジプリズム30Aに入射するレーザ光Rの光軸に対して、θ3+θ4(≒θ1)だけ偏向した状態となる。
この状態で第1ウェッジプリズム30A及び第2ウェッジプリズム40Aを回転させ、レーザ光Rを照射対象物に対して照射することによって、照射箇所(ビームスポットS)は、例えば直径10mm程度の比較的大きな半径r2の円弧に沿って旋回することになり、第1実施形態と実質的に同様にクリーニング等の表面処理を行うことができる。
以下、第2実施形態における第1ウェッジプリズム30A、第2ウェッジプリズム40Aの偏角の組み合わせについて、より詳細に説明する。
図9乃至図11は、第2実施形態の照射ヘッドにおける第1ウェッジプリズム及び第2ウェッジプリズムの偏角の合成を示す概念図である。
図9乃至図11において、横軸はx方向(水平方向)の偏角を示し、縦軸はy方向(上下方向)の偏角を示している。
図9は、ウィービング溶接時(最小偏角)の状態を示している。
ウィービング溶接時においては、フォーカスレンズ20から第1ウェッジプリズム30Aに入射したレーザ光Rは、入射光からの偏角が皆無な状態を示すA点から、B点まで偏向する。
図中でA点からB点までの距離は、第1ウェッジプリズム30Aの偏角θ3(=θ4)の大きさを示している。
ここで、B点は、第1ウェッジプリズム30Aの回転に伴い、A点回りに旋回することになる。このことは、偏向方向が第1ウェッジプリズム30Aの回転中心軸回りに回動することを意味する。
次に、このレーザ光が第2ウェッジプリズム40Aにおいて、第1ウェッジプリズム30Aと同一の偏角θ3=θ4だけ、反対側に偏向される。
その結果、第2ウェッジプリズム40Aからの出射光の偏角を示すC点は、A点と同一の点まで戻る。
このことは、第2ウェッジプリズム40Aからの出射光は、第1ウェッジプリズム30Aの入射光と同一の偏角を有する、つまり、平行であることを意味している。
その結果、第2ウェッジプリズム40Aからの出射光の光軸は、フォーカスレンズ20からの出射光の光軸に対して所定量だけオフセット(偏心)されかつ平行な状態となる。
例えば、図7の例では、θ3=θ4であることにより、第2ウェッジプリズム40Aからの出射光が、第1ウェッジプリズム30Aと第2ウェッジプリズム40Aの回転中心軸に平行となり、半径r1だけオフセット(偏心)された軌跡を描いていることが確認できる。半径r1の大きさは、例えば、第1ウェッジプリズム30Aと第2ウェッジプリズム40Aの各々の偏角θ3,θ4の大きさや、第1ウェッジプリズム30Aと第2ウェッジプリズム40Aとの距離により調整可能である。
図10は、クリーニング処理時(最大偏角)の状態を示す図である。
クリーニング処理時においても、ウィービング溶接時と同様に、第1ウェッジプリズム30Aに入射したレーザ光は、入射光からの偏角が皆無な状態を示すA点から、B点まで偏向する。
次に、このレーザ光が第2ウェッジプリズム40Aにおいて、第1ウェッジプリズム30Aと同一の偏角θ3=θ4だけ、同一方向に偏向される。
その結果、第2ウェッジプリズム40Aからの出射光の偏角を示すC点は、A点からB点までの距離(偏角θ3を示す)に加え、さらに同一方向に同一距離(偏角θ4を示す)だけ遠ざかる。
A点からC点までの距離は、偏角θ3+θ4を示している。
これは、第2ウェッジプリズム40Aが、第1ウェッジプリズム30Aの偏角θ3を倍増(θ3+θ4=θ3×2)させていることを示している。
その結果、第2ウェッジプリズム40Aからの出射光の光軸は、フォーカスレンズ20からの出射光の光軸に対して、偏角θ3+θ4だけ偏向した状態となる。
例えば、図8の例では、偏角θ3+θ4だけ偏向し、第2ウェッジプリズム40Aからの出射光による照射箇所が、半径r2の円弧の軌跡を描いていることが確認できる。半径r2の大きさは、例えば、第1ウェッジプリズム30Aと第2ウェッジプリズム40Aの各々の偏角θ3,θ4の大きさや、第1ウェッジプリズム30Aと第2ウェッジプリズム40Aとの距離、さらには第2ウェッジプリズム40Aと照射対象物との距離により調整可能である。
図11は、中間偏角状態を示す図である。
中間偏角状態とは、図9に示す最小偏角状態の偏角と、図10に示す最大偏角状態の偏角との間における任意の偏角を得る状態をいうものとする。
図11に示すように、中間偏角状態においては、第2ウェッジプリズム40Aの偏向方向(BC方向)が、第1ウェッジプリズム30Aの偏向方向(AB方向)に対して傾斜するように第1ウェッジプリズム30A、第2ウェッジプリズム40Aを配置している。
中間偏角状態において、第1ウェッジプリズム30Aに入射したレーザ光は、入射光からの偏角が皆無な状態を示すA点から、B点まで偏向する。
次に、このレーザ光が第2ウェッジプリズム40Aにおいて、第1ウェッジプリズム30Aと同一の偏角θ3=θ4だけ、第1ウェッジプリズム30Aの偏向方向に対して傾斜した方向に偏向され、C点に示す偏角となる。
このとき、A点からC点までの距離は、第2ウェッジプリズム40Aから最終的に射出されるレーザ光Rの偏角θ5を示している。この値は、図9に示す状態(最終的な偏角0)と図10に示す状態(偏角=θ3+θ4)との中間範囲となり、第2ウェッジプリズム40Aの第1ウェッジプリズム30Aに対する回転中心軸回りの相対角度に応じて連続的に変化する。
その結果、第2ウェッジプリズム40Aからの出射光の光軸は、フォーカスレンズ20からの出射光の光軸に対して、偏角θ5だけ偏向した状態となる。
図11に示す状態においては、図8において、第2ウェッジプリズム40Aの偏角θ4が減少した場合と実質的に同様の状態となる。その結果、第2ウェッジプリズム40Aからの出射光による照射箇所は、図7に示す半径r1よりも大きくかつ図8に示す半径r2よりも小さい半径を有する円弧の軌跡を描くことになる。
このときの半径の大きさは、例えば、第1ウェッジプリズム30Aと第2ウェッジプリズム40Aの各々の偏角θ3,θ4の大きさや、第1ウェッジプリズム30Aと第2ウェッジプリズム40Aとの距離、第2ウェッジプリズム40Aの第1ウェッジプリズム30Aに対する回転中心軸回りにおける相対角度位置、さらには第2ウェッジプリズムと照射対象物との距離により調整可能である。
この中間範囲においては、最終的な偏角θ5を任意に変化させ、所望の照射箇所の旋回円径を選択することが可能となっており、ウィービング溶接時の照射円径を拡大したい場合や、クリーニング処理時の照射円径を縮小したい場合に、ウェッジプリズム等の光学素子の交換などを行うことなく対応することが可能となっている。
以上説明した第2実施形態によれば、第2ウェッジプリズム40Aを第1ウェッジプリズム30Aに対して相対回転させるのみの簡単な操作により、共通の照射ヘッド1Aを用いてウィービング溶接及びクリーニング処理を行うことができる。
また、第2ウェッジプリズム40Aの第1ウェッジプリズム30Aに対する回転中心軸回りの相対位置を、ウィービング溶接時(最小偏角時)とクリーニング処理時(最大偏角時)の間の位置でも保持可能としたことにより、光学素子の交換等を行うことなく最終的な偏角や照射箇所の旋回円径を任意に調節することができる。
<第3実施形態>
次に、本発明を適用したレーザ加工方法の第3実施形態について説明する。
第3実施形態のレーザ加工方法で用いる照射ヘッドは、第1実施形態のホルダ60に、第2ウェッジプリズム40の回転中心軸方向における位置(第1ウェッジプリズム30からの距離)を変更可能な距離調節機構を設けたものである。
距離調節機構は、例えば、第2ウェッジプリズム40を、回転筒50の回転中心軸方向に沿って、ホルダ60に対して相対移動可能に支持するスライド機構、及び、スライド機構をその可動範囲の間の任意の位置でロックするロック機構等を備えて構成される。
また、このような構成に代えて、距離調節機構は、回転筒50とホルダ60との間に挟持されるシム等の中間部材を有し、この中間部材の厚みや枚数を変化させることにより第1ウェッジプリズム30と第2ウェッジプリズムとの間隔を変化させるものであってもよい。
図12は、第3実施形態の照射ヘッドにおけるウィービング溶接時のレーザ光の偏向状態を示す図である。
第2ウェッジプリズム40を、図12における実線で示す状態から、破線で示す状態へ、第1ウェッジプリズム30からその入射光の光軸方向に沿って離間させると、レーザ光値Rの回転筒50の回転中心軸からの偏心量(=照射箇所の旋回円径)は、r1からr1’へ増加する。
この偏心量の増加量は、第2ウェッジプリズム40の移動量と実質的に比例する。
以上説明した第3実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果と実質的に同様の効果に加えて、第1ウェッジプリズム30と第2ウェッジプリズム40との距離を変更することによって、ウィービング溶接時の照射箇所の旋回円径r1を変化させることが可能となり、所望の溶接ビード幅や溶け込み深さを得ることができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)照射ヘッド等のレーザ照射装置の構成は、上述した実施形態に限定されず、適宜変更することが可能である。
例えば、実施形態では、コリメート光学系、集光光学系がそれぞれ1枚のレンズにより構成され、第1、第2の偏向光学系がそれぞれ1枚のウェッジプリズムにより構成されているが、各光学系の構成はこれに限らず適宜変更することができる。
例えば、各光学系は、複数の光学素子を組み合わせた構成とすることができる。
また、偏向光学系として、実施形態のようなウェッジプリズムに限らず、光軸と直交方向にシフト可能なシフトレンズを用いてもよい。
(2)実施形態では第2の偏向光学系を第1の偏向光学系の出射側に設けているが、これに限らず、第2の偏向光学系を第1の偏向光学系の入射側に設けてもよい。
また、共働して第2の光学系としての機能を発揮する複数の光学素子を、第1の偏向光学系の入射側、出射側にそれぞれ設けてもよい。逆に、共働して第1の光学系としての機能を発揮する複数の光学素子を、第2の偏向光学系の入射側、出射側にそれぞれ設けてもよい。
(3)実施形態では、照射ヘッドは例えば作業者が手持ちして作業を行うハンディタイプのものであるが、本発明はこれに限らず、照射ヘッドを例えば多軸ロボットアームに取り付けて用いられるレーザ照射装置にも適用することができる。
(4)実施形態では、溶接は照射箇所を比較的小径の円弧に沿って旋回させるウィービング溶接としているが、これに代えて、あるいは、これと併用して、偏向光学系の回転を停止した状態で、ウィービングを行わないレーザ溶接を行うことも可能である。
(5)第2実施形態においては、ウィービング溶接時とクリーニング処理時とで第2ウェッジプリズム40Aの第1ウェッジプリズム30Aに対する相対角度を180°異ならせているが、これに限らず、第2ウェッジプリズム40Aの第1ウェッジプリズム30Aに対する相対角度をこれらの間の位置としてもよい。
これによれば、最終的に照射ヘッドから出射されるレーザ光の光軸の偏角を任意に調節することが可能となる。
(6)実施形態においては、照射箇所の旋回円径が大きくなる状態でレーザ光を照射することによって照射対象物表面のクリーニング処理を行っているが、このような照射はクリーニングに限らず、例えば塗装前の下処理として照射対象物の表面粗度を変化させたり、酸化被膜を形成し、あるいは逆に酸化被膜を除去するなどの各種表面処理にも用いることができる。
1 照射ヘッド(第1実施形態) 1A 照射ヘッド(第2実施形態)
F ファイバ R レーザ光
10 コリメートレンズ 20 フォーカスレンズ
30 第1ウェッジプリズム(第1実施形態)
30A 第1ウェッジプリズム(第2実施形態)
40 第2ウェッジプリズム(第1実施形態)
40A 第2ウェッジプリズム(第2実施形態)
50 回転筒 60 ホルダ(第1実施形態)
60A ホルダ(第2実施形態)
70 モータ 80 リアハウジング
81 筒状部 82 レンズ保持部
82a 平板部 82b 筒状部
83 ファイバ保持部 90 フロントハウジング
91 ノズル取付部 100 ノズル
101 係合部
r1 ウィービング溶接時の照射円径
r2 クリーニング処理時の照射円径
S ビームスポット

Claims (2)

  1. レーザ発振器が発生するレーザ光を所定の箇所において集光させる集光光学系と、
    前記集光光学系から出射されたレーザ光を偏向させる第1の偏向光学系と、
    前記第1の偏向光学系を前記集光光学系から出射される前記レーザ光の光軸回りに回転させる回転駆動機構と、
    前記第1の偏向光学系の出射側と入射側との少なくとも一方に着脱可能に取り付けられ、前記第1の偏向光学系とともに回転しかつ前記レーザ光を偏向させる第2の偏向光学系と
    を備えるレーザ照射装置によって照射対象物にレーザ光を照射するレーザ加工方法であって、
    前記第2の偏向光学系を取り外した状態で前記第1の偏向光学系を回転させながら前記レーザ光を前記照射対象物に照射する表面処理工程と、
    前記第2の偏向光学系を取り付けた状態で前記第1の偏向光学系及び前記第2の偏向光学系を回転させながら前記レーザ光を照射対象物に照射するウィービング溶接工程と
    を有することを特徴とするレーザ加工方法。
  2. レーザ発振器が発生するレーザ光を所定の箇所において集光させる集光光学系と、
    前記集光光学系から出射されたレーザ光を偏向させる第1の偏向光学系と、
    前記第1の偏向光学系を前記集光光学系から出射される前記レーザ光の光軸回りに回転させる回転駆動機構と、
    前記第1の偏向光学系の出射側と入射側との少なくとも一方に取り付けられ、前記第1の偏向光学系とともに回転しかつ前記レーザ光を偏向させる第2の偏向光学系と、
    前記第1の偏向光学系と前記第2の偏向光学系との回転中心軸回りにおける相対角度を変更可能な角度調節機構と
    を備えるレーザ照射装置によって照射対象物にレーザ光を照射するレーザ加工方法であって、
    前記第2の偏向光学系が前記第1の偏向光学系による偏角を増大させる状態で前記第1の偏向光学系及び前記第2の偏向光学系を回転させながら前記レーザ光を前記照射対象物に照射する表面処理工程と、
    前記第2の偏向光学系が前記第1の偏向光学系による偏角を減少させる状態で前記第1の偏向光学系及び前記第2の偏向光学系を回転させながら前記レーザ光を前記照射対象物に照射するウィービング溶接工程と
    を有することを特徴とするレーザ加工方法。
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