JP7041304B2 - 機能性飼料 - Google Patents
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Description
質や生菌剤(例えば、フラボノイド、ポリフェノール、乳酸菌、シュードモナス菌、フラボバクテリア菌)、酵素類(例えば、フィターゼ、プロテアーゼ、CoQ)、ハーブ類(例
えば、バベンソウ、ギョセイソウ、ガーリック粉末、オールスパイス、クローブ、その他香辛料)、アミノ酸類(例えば、L-グルタミン酸)、単糖類といった機能性素材を給与した事例がある。日本においては、公衆衛生の観点から「食鳥処理の事業の規則及び食鳥検査に関する法律」が定められており、出荷に際しては食鳥の生体、と殺後の体表、体壁内側面について検査を行うことが義務付けられており、異常がある場合は全部もしくは一部が廃棄される。全部廃棄の主因として大腸菌症、腹水症、削痩や発育不良、炎症など挙げられ、全部廃棄の6~8割を占めるこれらを低減することは更なる生産性向上に繋がる。特に、大腸菌症に関しては、特異的ワクチンが発売されると共に、生薬(例えば、ゴバイシ)、鶏卵抗体、有機酸混合物の利用により、以前よりも低下傾向が見られているが、肉用鶏の生産現場においては未だに高い割合で発生しており、さらに有用な対処法が求められている。
虫の感染に起因した腸炎)軽減剤が記載されている。
特許文献2には、カシューナッツ殻油及び/又はアナカルド酸類と共に、有機亜鉛化合物、ベタイン及びバチルス属菌から選ばれる少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とする、ブロイラー等の食肉鶏の家禽類のコクシジウム症の予防及び/又は治療用の飼料が記載されている。
しかしながら、カシューナッツ殻油を投与することによって肉用鶏などの家禽の生産性を改善できること、そして出荷後の廃棄率を低減できることは知られていなかった。そして、肉用鶏などの家禽の大腸菌症や炎症を低減できることは知られていなかった。
低減することを課題とする。また、本発明は、家禽における大腸菌症や炎症を低減することを課題とする。
(1)非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール、及び/又は、カルドールを含有することを特徴とする、家禽の生産性向上剤(コクシジウム症改善により生産性を向上させるものを除く)。
(2)(1)に記載の生産性向上剤を含む家禽用飼料。
(3)非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール、及び/又は、カルドールが飼料中に0.0001~10.0質量%の濃度で存在する、(2)に記載の飼料。
(4)飼料が後期飼料である、(2)又は(3)に記載の飼料。
(5)家禽が肉用鶏である、(2)~(4)のいずれかに記載の飼料。
(6)(2)~(4)のいずれかに記載の飼料を家禽に投与することを特徴とする家禽の生産性を向上させる方法。
(7)家禽が肉用鶏である、(6)に記載の方法。
(8)肉用鶏が1~7週齢の鶏である、(7)に記載の方法。
(9)非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール及び/又はカルドールを有効成分として含む、家禽における炎症または大腸菌症の予防又は治療剤。
(10)非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール及び/又はカルドールを家禽に投与することを特徴とする家禽における炎症性廃棄、または大腸菌症の予防又は治療方法。
(11)家禽に対して、非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール及び/又はカルドールを1~150ppmの濃度で含有する飼料を投与することを特徴する家禽の生産性向上方法。
(12)非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール及び/又はカルドールを含有することを特徴とする、家禽の廃棄率低減剤。
(13)非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール及び/又はカルドールを家禽に投与する工程を含む、家禽の廃棄率低減方法。
(14)非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール及び/又はカルドールを含有することを特徴とする、家禽の腹水症、削痩、または発育不良の改善剤。
(15)非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール及び/又はカルドールを家禽に投与する工程を含む、家禽の腹水症、削痩、または発育不良の改善方法。
加熱処理カシューナッツ殻油は、上記のようにして得られたカシューナッツ殻油(非加熱)を、70℃以上、好ましくは130℃以上に加熱することによって得ることができる。また、カシューナッツ殻油を常温(20℃)で、約1年以上保管して得られるカシューナッツ殻油であってもよい。本発明の加熱処理カシューナッツ殻油は、加熱したカシューナッツの殻を粉砕・破砕して得られたカシューナッツ殻油を含む殻や、カシューナッツ殻油を含む加熱したカシューナッツ皮であってもよい。家禽(鶏など)は、給餌される抗生物質や飼料によっては、消化率の低下、下痢、食欲不振等の副作用の症状が見られ、死に至ることもあるが、非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油は、天然由来であり副作用の問題がない。
成率の改善、飼料要求率の改善、生産指数及び基準値の改善、炎症、大腸菌症並びに腹水症、削痩及び発育不良の改善による廃棄率の低減などの生産性向上効果を奏することができ、10.0質量%以下であれば飼料組成に影響を与えないので好ましい。本発明において使用されるカシューナッツ殻油は、油分を含有するカシューナッツの殻をそのまま又はこれを粉砕・破砕したものを用いてもよいし、カシューナッツ皮を用いてもよいが、含有しているカシューナッツ殻油(CNSL)に換算して(カシューナッツ殻にはCNSLが25~30質量%含まれており、カシューナッツ皮中にはCNSLが0.5~3.0質量%含まれている)、生産性向上剤または廃棄率低減剤、飼料中の含有量を上記範囲内とすればよい。
家禽の生産性向上剤または廃棄率低減剤を飼料中に含有させて用いる場合に、家禽用飼料中にカシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール、及び/又は、カルドールを1~150ppmの濃度で含有させ、投与することが望ましい。好ましくは1~100ppm、さらに好ましくは1~75ppmである。
肉用鶏としては、例えば、白色コーニッシュ種、白色プリマスロック種、黄斑プリマスロック種、ロードアイランドレッド種、ニューハンプシャー種、UK(イギリス)チャンキー種、US(アメリカ)チャンキー種、コッブ種、エイビアン種、アーバーエーカ種、比内地鶏種、薩摩地鶏種、名古屋種等が挙げられるが、これらの交配種や改良種であってもよい。本発明の肉用鶏の生産性向上剤および廃棄率低減剤の対象となる鶏種としては、UKチャンキー種およびUSチャンキー種が好ましい。
ましい。さらに好ましくは3~5週齢の肉用鶏などの家禽に1~3週間給与することが好ましい。
り生産性を向上させる態様や、特開2015-030717に記載されたようなクリプトスポリジウ
ム症改善により生産性を向上させる態様、さらには採卵用鶏の換羽時の死亡低減による生産性改善は含まれない。
本明細書において、「プロダクションスコア(PS)」とは、ブロイラーコマーシャルの生物生産性を表す代表的経済指数であり、「生産指数」と同義である。プロダクションスコアの計算式は、以下のとおりである。プロダクションスコア内には、鶏群全体の評価指標が含まれており、総合的な経済性を評価することができる。
プロダクションスコア(PS)=出荷体重(g)×出荷率÷出荷日齢÷飼料要求率÷10
数で表したものである。ブロイラーに関しては、体重1kgになるのに費やした餌の量から、その効率を算出する。計算式は下記の通りである。なお、ここでは増体量として出荷体重を使用する。
飼料要求率=飼料摂取量(kg)/増体量(kg)
本明細書において、「炎症」とは家禽の廃棄につながる炎症を意味し、廃棄につながる炎症は法令上、視覚、触覚および臭覚を用いて行われ、組織病変の有無により確認される。
本発明はまた、本発明は、非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール、及び/又は、カルドールを有効成分として含む、家禽における腹水症、削痩または発育不良の改善剤を提供する。
大腸菌症や炎症の予防又は治療剤または腹水症、削痩、または発育不良の改善剤を飼料中に含有させて用いる場合に、非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール、及び/又は、カルドールを飼料中に1~150ppmの濃度で含有させ、投与することが望ましい。好ましくは1~100ppm、さらに好ましくは1~75ppmである。また、大腸菌症や炎症の予防又は治療剤を1~7週齢の肉用鶏などの家禽に1~4週間給与することが好ましい。さらに好ましくは3~5週齢の肉用鶏などの家禽に1~3週間給与することが好ましい。
。また、飼料中におけるカシューナッツ殻油の均一性を保つために、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、カゼインナトリウム、アラビアゴム、グアーガム、タマリンド種子多糖類などの水溶性多糖類を配合することも好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
Thao Nguyen Co., Ltd.よりカシューナッツ殻油(CNSL)を購入した。CNSLの
組成は以下の方法で測定した。すなわち、HPLC(Waters600、日本ウォーターズ株式会社
)、検出機(Waters490E、日本ウォーターズ株式会社)、プリンタ(クロマトパックC-R6A、島津製作所)、カラム(SUPELCOSIL LC18、SUPELCO社)を用いた。アセトニトリル:水:酢酸が80:20:1(容量比)の溶媒を用い、流速は2mL/分とした。280nmの吸光度で検出した。カシューナッツ殻油には、アナカルド酸が65.7質量%、カルダノールが5.1質量%、カルドールが23.5質量%含まれていた。
飼育した肉用鶏について、後期飼料切り替えに合わせ、CNSLを50ppmにて後期飼料へ添加し、21~35日齢まで、2週間混餌給与した。なお、CNSLの添加以外は試験実施農場の通常の作業手順に準じており、後期飼料は餌付け期用、前期用に比較してエネルギーを高めた栄養設計となっている。なお、出荷された試験鶏は、関係法規に基づき通常の手順に従い食鳥処理場(岩手県)にて食鳥検査として、生体検査、脱羽後検査及び内臓摘出後検査を受けた。
給与試験の結果、表1に示すように、UKチャンキー種(5万羽)において育成率の改善
(94.32→96.74%; +2.6%)、飼料要求率の改善(1.832→1.796; -2.0%)、及びプロダ
クションスコア(PS)の改善(321.77→331.21; +2.9%)が見られ、生産性が向上した。
また、表2に示すように、その後の食鳥検査の所見によれば、大腸菌症(1.558→0.831%; -44%)並びに削痩及び発育不良(0.288→0.165%; -43%)による廃棄割合の低減が認められた。特に、大腸菌症のうち内臓型が1.23%から0.381%へ大幅に低減(-69%)した。 以上のように、CNSL給与が肉用鶏の生産性の向上に大きく貢献することが明らかとなった。
飼育した肉用鶏について、後期飼料切り替え3日前から、CNSLを100ppmにて飼料へ添加し、18~35日齢まで、17日間混餌給与した。CNSLの添加以外は試験実施農場の通常の作業手順に準じており、後期飼料は餌付け期用、前期用に比較してエネルギーを高めた栄養設計となっている。出荷された試験鶏は、関係法規に基づき通常の手順に従い食鳥処理場(宮城県)にて食鳥検査として、生体検査、脱羽後検査及び内臓摘出
後検査を受けた。なお、当該食鳥検査所においては、大腸菌症は炎症に含まれていた。
給与試験の結果、表3に示すように、UKチャンキー種(2.4万羽)において育成率や
飼料要求率はほぼ同等であった一方で、平均体重の増加(2.70→2.87; +6.3%)、プロダ
クションスコア(PS)の改善(281.9→295.4; +4.8%)が見られ、生産性が向上した。
また、表4に示すように、その後の食鳥検査の所見によれば、総廃棄率が低減(2.54→1.65%; -35%)した。当該農場においては炎症および大腸菌症による廃棄率が対照区でも
1%未満と良好に管理されていた。一方で、削痩及び発育不良(1.12→0.55%; -51%)
による廃棄割合の低減が認められた。
以上のように、CNSL給与が肉用鶏の生産性の向上に大きく貢献することが明らかとなった。
Claims (8)
- 非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール、及び/又は、カルドールを有効成分として含む、家禽における大腸菌症の予防又は治療剤。
- 非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール、及び/又は、カルドールを家禽に投与することを特徴とする家禽における大腸菌症の予防又は治療方法。
- 家禽が肉用鶏である、請求項2に記載の方法。
- 肉用鶏が1~7週齢の鶏である、請求項3に記載の方法。
- 非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール及び/又はカルドールを含有することを特徴とする、家禽の腹水症の改善剤。
- 非加熱カシューナッツ殻油、加熱処理カシューナッツ殻油、アナカルド酸、カルダノール及び/又はカルドールを家禽に投与する工程を含む、家禽の腹水症の改善方法。
- 家禽が肉用鶏である、請求項6に記載の方法。
- 肉用鶏が1~7週齢の鶏である、請求項7に記載の方法。
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