以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。実施形態では、POS端末を情報処理装置の一例として説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、実施形態に係るPOSシステムを示す概略図である。POSシステムは、店舗で販売する商品の売上管理等を行うシステムであり、主に店舗内に設置される。POSシステムは、店舗内に設置された複数台のPOS端末1と、店舗のバックヤードに設置された1台のサーバ2とを備える。POS端末1とサーバ2とは、LAN(Local Area Network)等の通信回線3によって電気的に接続されている。そのため、POS端末1とサーバ2とは、相互に情報を送受信することができる。
POS端末1は、店舗で販売される商品の売上登録処理および決済処理を実行する。売上登録処理とは、取引において販売される商品に付されたバーコード等のシンボルまたはシンボルの画像を光学的に読み取って商品コードを取得し、取得した商品コードに基づいて読み出した、当該商品の商品情報(商品名、価格等)を表示するとともに、当該商品情報をRAM等に記憶する処理をいう。決済処理とは、売上登録処理に伴いRAM等に記憶された商品情報に基づいて、当該取引に係る合計金額の表示、顧客から預かった預り金に基づいて釣銭を計算して表示する処理、釣銭の発行を釣銭機に指示する処理をいう。決済処理後の商品情報や決済情報(合計金額、預り金額、釣銭額等)は、レシートに印字されて発行される。
POS端末1は、決済処理した商品の商品情報や決済情報を、通信回線3を介してサーバ2に送信する。また、POS端末1は、所定期間(例えば一日)の売上を精算した精算情報を、通信回線3を介してサーバ2に送信する。
サーバ2は、各POS端末1から受信した商品情報、決済情報、減額情報、税額情報、精算情報等を、集中的に管理する。また、サーバ2は、最新の商品マスタ(図4を参照)に係る情報を各POS端末1に送信する。また、サーバ2は、割引券の対象となる商品を選択する画面(図5を参照)を表示し、割引の対象となる商品を選択する。
ここで、減額処理とは、一取引において販売した商品の価格を合計した合計金額から所定の金額を減額する割引処理や値引処理をいう。例えば合計金額から一定の金額を減額する処理をいう。また、減額処理とは、例えば、合計金額から所定の割合で算出した額を減額する処理をいう。割引券とは、一取引に係る合計金額から所定の金額を減額する減額処理を行うために使用する券をいう。割引券は値引券やクーポン券を含む。実施形態において、取引において割引券を使用することが、減額の指示に相当する。
例えば、割引券に減額金額(以降「減額金額」という)が表示されている場合、割引券を使用した減額処理は、割引券に表示された金額を合計金額から減額する処理をいう。例えば、割引券に「100円引き」と表示されている場合、割引券を使用して金額を減額する減額処理は、合計金額から100円を減額する処理をいう。また、割引券に割引く割合が表示されている場合、割引券を使用して金額を減額する減額処理は、割引券に表示された割合に相当する金額を合計金額から減額する処理をいう。例えば、割引券に「10%引き」と表示されている場合、割引券を使用して金額を減額する減額処理は、合計金額から当該合計金額の10%に相当する金額を減額する処理をいう。
実施形態で用いる割引券には減額金額が表示されている。また、割引券には、バーコード等のシンボルが印刷されている。このシンボルには減額金額等の減額情報が含まれているため、後述するコードリーダ(図2を参照)で割引券に表示されているシンボルを読み取ることで、POS端末1は、当該割引券を使用した場合に減額金額等を含む減額情報を入力する。
図2は、実施形態にかかるPOS端末1を、オペレータ側から見た斜視図である。
POS端末1は、本体4と金銭収納箱5とを有する。金銭収納箱5は、金銭を収納するドロワを有し、顧客から預かった紙幣や貨幣の金銭や商品券等の有価証券類、および顧客に手渡す釣銭等を収納している。
本体4は、操作部21、オペレータ用表示部22、客用表示部23、印字部24、カード読取部25、コードリーダ30を備えている。操作部21は数字を入力する置数キー、売上登録の終了を宣言する決済キー211(図3を参照)等のキーを備えたキーボードである。オペレータ用表示部22は、液晶表示器等で構成され、操作者に商品情報、決済情報、減額情報等を表示する。客用表示部23は、液晶表示器等で構成され、顧客に商品情報、決済情報、減額情報等を表示する。
印字部24は、本体4内に収納されたロール状のレシート用紙を引き出して、例えば熱転写型の印字ヘッドを備えたサーマルプリンタ等で商品情報、決済情報、減額情報等を印字し、レシートとして発行する。カード読取部25は、顧客が提示したクレジットカード等のカードからカード情報を読み取る。コードリーダ30は、例えばハンディタイプのコードリーダである。コードリーダ30は、例えば可視光線を使用して商品や割引券に付されたシンボルを光学的に読み取る。なお、コードリーダ30は、撮像した画像からシンボルを読み取るようにしてもよい。
続いて、POS端末1のハードウェア構成について説明する。図3は、POS端末1のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、POS端末1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、メモリ部14等を備えている。CPU11は制御主体となる。ROM12は各種プログラムを記憶する。RAM13はプログラムや各種データを展開する。メモリ部14は各種プログラムを記憶する。CPU11、ROM12、RAM13、メモリ部14は、互いにバス15を介して接続されている。CPU11とROM12とRAM13が、制御部100を構成する。すなわち、制御部100は、CPU11がROM12やメモリ部14に記憶されRAM13に展開された制御プログラムに従って動作することによって、後述するPOS端末1に係る制御処理を実行する。
RAM13は、商品情報部131を備えている。商品情報部131は、コードリーダ30で読み取ったシンボルから取得した商品コードに基づいて売上登録処理された商品の商品情報(商品名、商品の価格、税率、減額情報等)を記憶する。
メモリ部14は、電源を切っても記憶情報が保持されるHDD(Hard Disc Drive)やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成される。メモリ部14は、制御プログラム部141、商品マスタ142を備える。制御プログラム部141は、POS端末1を制御するための制御プログラムを記憶する。商品マスタ142は、商品毎に当該商品に係る情報を記憶する(詳細は図4で説明する)。
また、制御部100は、バス15およびコントローラ16を介して、決済キー211を含む操作部21、オペレータ用表示部22、客用表示部23、印字部24、カード読取部25、コードリーダ30と接続している。コントローラ16は、制御部100からの指示を受けて、操作部21、オペレータ用表示部22、客用表示部23、印字部24、カード読取部25、コードリーダ30を制御する。以下では、説明の都合上、コントローラ16が行う制御を制御部100が行うとして説明する。
また、制御部100は、バス15を介して、通信部26と接続している。通信部26は、通信回線3を介して、店内に設置された他のPOS端末1やサーバ2と電気的に接続している。
続いて、商品マスタ142について説明する。商品マスタ142は、商品毎に商品情報を記憶する記憶部である。商品マスタ142は、後述する減額処理に係る情報(減額金額の情報)を記憶する。制御部100は、商品マスタ142から読み出した商品情報をオペレータ用表示部22、客用表示部23に表示する。また、制御部100は、商品マスタ142から読み出した商品情報に基づいて、売上登録処理や決済処理を実行する。
図4は、商品マスタ142の構成の一部を示すメモリマップである。図4に示すように、商品マスタ142は、商品コード部1421、商品名部1422、価格部1423、税率部1424、割引券適用部1425を備える。商品コード部1421には、各商品を特定する商品コードが記憶されている。商品名部1422は、商品コードで特定された商品の商品名が記憶されている。価格部1423には、商品コードで特定された商品の価格が記憶されている。実施形態では、価格部1423に記憶される価格は、消費税等の税額を含まない、商品の本体価格である。
税率部1424は、商品コードで特定された商品に対応して、課税に際して適用される税率が記憶されている。実施形態の場合、通常の商品には、例えば消費税として所定の税率A(例えば税率10%)を適用する。そして、この通常商品に対応して、税率部1424に「1」を記憶する。すなわち、税率部1424に「1」が記憶された通常商品には、税率Aに基づいて算出された税額が課税される。また、例えば軽減税率が適用される商品には、税率Aより低い所定の税率B(例えば税率8%)を適用する。そして、この軽減税率が適用された商品に対応して、税率部1424に「2」を記憶する。すなわち、税率部1424に「2」が記憶された商品には、税率Bに基づいて算出された税額が課税される。実施形態の場合、商品Aと商品Cと商品Dは通常商品であり、いずれも税率Aが適用されて課税される。一方、商品Bと商品Eは軽減税率が適用された商品であり、いずれも税率Bが適用されて課税される。実施形態では、税率が最も高い税率Aが特定税率として予め定めされている。また、税率Bが特定税率以外の税率に該当する。また、税率Aと税率Bが異なる複数の税率に該当する。
割引券適用部1425は、商品コードで特定された商品に対応して、割引券の適用の有無を示す適用情報であるフラグが記憶されている。フラグが「1」の場合に割引券を適用することを示し、フラグが「0」の場合に割引券を適用しないことを示す。実施形態の場合、商品Aと商品Bと商品Cと商品Eは割引券を適用し、商品Dは割引券を適用しない。このフラグは、図5で説明するように、サーバ2から入力することで記憶される。上記適用情報が減額の対象となることを示す情報である。
次に、割引券の適用情報の入力について説明する。サーバ2には、表示部41と表示部41上に設けられたタッチパネル42を備える。店舗の店員やマネージャーは、タッチパネル42を操作して、表示部41に表示された商品毎に、割引券の適用の有無を入力する。図5は、サーバの表示部41に表示された表示画面の一例を示す図である。サーバ2の表示部41は、適用する割引券の種類41aを表示する。また、表示部41は、商品毎に商品情報(商品名、価格、税率)41bを表示する。また、表示部41は、各商品にそれぞれ対応した位置に、割引券を適用するか否かを選択する選択ボタン41cを表示する。選択ボタン41cが操作された商品に対応した割引券適用部1425にフラグ「1」が記憶され、当該商品に割引券が適用される。選択ボタン41cが操作されなかった商品に対応した割引券適用部1425にフラグ「0」が記憶され、当該商品に割引券は適用されない。店舗の店員やマネージャーは、表示部41に表示された選択ボタン41cに対応した位置のタッチパネル42を操作すると、選択ボタン41cが操作され、割引券の適用が選択される。
次に商品情報部131について説明する。商品情報部131は、売上登録処理された商品の商品情報を記憶する。また、商品情報部131は、税率毎に、売上登録処理された商品の税額を含まない合計金額を記憶する。また、商品情報部131は、売上登録された商品の税額を含まない合計金額を記憶する。また、商品情報部131は、表示されたシンボルをコードリーダ30を介して入力された減額情報を記憶する。
図6は、商品情報部131の一部を示すメモリマップである。商品情報部131は、登録商品情報部1311、税率A合計部1312、税率B合計部1313、合計金額部1314、券情報部1315を備える。登録商品情報部1311は、売上登録処理された商品の商品情報を記憶する。税率A合計部1312は、商品マスタ142において税率Aが適用される商品の税額を含まない合計金額を記憶する。税率B合計部1313は、商品マスタ142において税率Bが適用される商品の税額を含まない合計金額を記憶する。合計金額部1314は、売上登録処理された商品の税額を含まない合計金額を記憶する。券情報部1315は、表示されたシンボルをコードリーダ30で読み取った割引券を使用した場合に減額される金額を含む減額情報を記憶する。なお、券情報部1315は、商品マスタ142とは別に記憶してもよい。
ここからは、POS端末1の制御について詳細に説明する。図7は、POS端末1の機能構成を示す機能ブロック図である。制御部100は、ROM12やメモリ部14の制御プログラム部141に記憶された制御プログラムに従うことで、合計金額記憶手段101、減額手段102、税額算出手段103、設定手段104として機能する。
合計金額記憶手段101は、商品に課せられる税金の異なる複数の税率別に、取引された商品の合計金額を記憶する機能を有する。具体的には、合計金額記憶手段101は、異なる複数の税率のうち、税率Aの商品の合計金額を税率A合計部1312に記憶する。また、合計金額記憶手段101は、税率Bの商品の合計金額を税率B合計部1313に記憶する。
減額手段102は、減額が指示されたことを条件に、複数の税率のうち予め定められた特定税率である税率Aに係る合計金額から減額する減額処理を実行する機能を有する。
税額算出手段103は、減額手段102による減額後の合計金額と、税率A以外の税率である税率Bに係る合計金額に基づいて、取引に係る税額を算出する機能を有する。
設定手段104は、異なる複数の税率のうちの一つを特定税率として設定する機能を有する。
図8~図10は、POS端末1の制御処理の流れを示すフローチャートである。図8に示すように、制御部100は、コードリーダ30によりシンボルを入力したか否かを判断する(S11)。シンボルを読み取ったと判断した場合には(S11のYes)、制御部100は、入力したシンボルを解析した結果、商品を特定する商品コードを含んでいるか否かを判断する(S12)。商品コードを含んでいると判断した場合には(S12のYes)、制御部100は、当該商品コードを用いて商品の売上登録処理を実行する(S13)。
図9は、S13で実行するPOS端末1の売上登録処理の流れを示すフローチャートである。図9に示すように、制御部100は、上記商品コードに基づいて、商品マスタ142から当該商品コードで特定される商品の商品情報を取得する。そして取得した商品情報を、商品コードに対応付けて登録商品情報部1311に記憶する(S31)。次に制御部100は、取得した商品情報に含まれる当該商品の価格を合計金額部1314に加算して記憶する(S32)。
次に制御部100は、当該商品が割引券の適用商品であるか否かを判断する(S33)。制御部100は、上記商品コードで特定される商品が、割引券適用部1425にフラグ「1」が記憶されている商品である場合は、当該商品は割引券の適用商品(減額の対象となる商品)であると判断する。一方、制御部100は、上記商品コードで特定される商品が、割引券適用部1425にフラグ「0」が記憶されている商品である場合は、当該商品は割引券を適用しない商品(減額の対象とはならない商品)であると判断する。
割引券が適用される商品であると判断した場合には(S33のYes)、次に制御部100は、S31で登録商品情報部1311に記憶した商品に課税される税の税率が税率Aか税率Bかを判断する(S34)。税率は、商品マスタ142から商品情報を取得する際に、税率部1424の情報が商品情報に含まれており、S31で記憶した商品情報に含まれる。商品情報に含まれる税率部1424の情報が「1」である場合、制御部100は、当該商品の税率は税率Aであると判断する。一方、商品情報に含まれる税率部1424の情報が「2」である場合、制御部100は、当該商品の税率は税率Bであると判断する。
税率Aであると判断した場合には(S34の税率A)、制御部100(合計金額記憶手段101)は、取得した商品情報に含まれる当該商品の価格を税率A合計部1312に加算して記憶する(S36)。一方、税率Bであると判断した場合には(S34の税率B)、制御部100(合計金額記憶手段101)は、取得した商品情報に含まれる当該商品の価格を税率B合計部1313に加算して記憶する(S35)。そして制御部100は、S11に戻る。なお、割引券が適用される商品ではないと判断した場合には(S33のNo)、制御部100は、S11に戻る。
図8の説明に戻る。商品コードを含んでいないと判断した場合には(S12のNo)、制御部100は、S11で入力されたシンボルが減額金額を含む減額情報を含んでいるか否かを判断する(S14)。割引券に表示されたシンボルが入力された場合、制御部100は、減額情報を含んでいると判断する。減額情報を含んでいると判断した場合には(S14のYes)、制御部100は、減額情報を券情報部1315に記憶する(S15)。そして制御部100は、S11に戻る。また、減額情報を含んでいないと判断した場合には(S14のNo)、制御部100は、その他の処理を実行する(S16)。そして制御部100は、S11に戻る。
また、S11において、シンボルを入力していないと判断した場合には(S11のNo)、制御部100は、決済キー211が操作されたか否かを判断する(S21)。決済キー211が操作されたと判断した場合には(S21のYes)、制御部100は、商品情報部131に記憶されている商品情報等に基づいて、減額処理を含む決済処理を実行する(S22)。
図10は、S22で処理される決済処理を示すフローチャートである。図10に示すように、制御部100は、今回の取引において割引券が使用されるか否か(すなわち、減額が指示されたか否か)を判断する(S41)。制御部100は、券情報部1315に減額情報が記憶されている場合には、割引券が使用されると判断する。減額情報はS15の処理で記憶される。
割引券が使用される(減額が指示された)と判断した場合には(S41のYes)、制御部100は、最も税率が高い税率A合計部1312に記憶されている、税率Aで課税される商品の合計金額を読み出す(S42)。そして、制御部100(減額手段102)は、読み出した合計金額と券情報部1315に記憶されている減額金額に基づいて減額処理を実行する(S43)。そして制御部100は、税率Aの商品に係る減額処理後の合計金額を算出する(S43)。具体的には、読み出した合計金額が減額金額以上である場合は、読み出した合計金額から減額金額を減額する減額処理を実行して、税率Aの商品に係る減額処理後の合計金額を算出する。一方、読み出した合計金額が減額金額より少ない場合は、合計金額から減額金額のうちの合計金額分を減額する減額処理を実行して合計金額を0円を算出する。この場合、減額金額にはまだ割引ける残額がある。
次に制御部100は、まだ減額処理が可能か否かを判断する(S44)。合計金額から減額金額を減算して、減額金額にまだ減額処理できる残額がある場合(すなわち、合計金額が減額が指示された金額未満である場合)に、制御部100は、まだ割引可能であると判断する。まだ減額処理が可能であると判断した場合には(S44のYes)、次に制御部100は、税率B合計部1313に記憶されている、税率Bで課税される商品の合計金額を読み出す(S45)。そして、読み出した合計金額と上記残額に基づいて減額処理を実行する(S46)。そして制御部100は、税率Bの商品に係る減額処理後の合計金額を算出する(S46)。具体的には、読み出した合計金額から残額を減額する減額処理を実行して、税率Bの商品に係る減額処理後の合計金額を算出する。
次に制御部100(税額算出手段103)は、税率Aの商品に係る合計金額と税率Bの商品に係る合計金額とに基づいて、当該取引に係る税額を算出する(S47)。この場合、減額処理が実行された税率については減額処理後の合計金額に基づいて税額を算出する。そして制御部100はS23に進む。
すなわち、割引券によって減額される金額をZ、税率Aに係る商品の合計金額をX、税率B係る商品の合計金額をY、S47で算出する税額をPとすると、P=(X-Z)×A+Y×Bの式で求められる。
また、もう減額処理は不可であると判断した場合には(S44のNo)、制御部100はS47の処理を実行する。また、今回の取引において割引券は使用されないと判断した場合には(S41のNo)、制御部100はS47の処理を実行する。
ここで、S47における税額の算出について具体的に説明する。
(1)税率A合計部1312に記憶された合計金額が減額金額以上である場合(すなわち、S41のYes、S44のNoの場合)、S43の処理において算出された減額処理後の合計金額に税率Aを乗算して税率Aの商品の合計金額に係る税額を算出する。また、税率Bに係る合計金額(税率B合計部1313に記憶された合計金額)に税率Bを乗算して税率Bの商品の合計金額に係る税額を算出する。算出された税額の合算値がS47で算出された税額である。この税額が、減額手段102による減額処理後の合計金額と割引券が使用されなかった税率に係る合計金額に基づいて算出された税額である。
(2)税率A合計部1312に記憶された合計金額が減額金額未満である場合(すなわち、S41のYes、S44のYesの場合)、S43の処理において算出された減額処理後の合計金額は0円であるため税額0円を算出する。また、S46の処理において算出された減額処理後の合計金額に税率Bを乗算して税率Bの商品の合計金額に係る税額を算出する。算出された税額の合算値がS47で算出された税額である。この税額が、減額手段102による減額処理後の合計金額と割引券が使用されなかった税率に係る合計金額に基づいて算出された税額である。
(3)割引券を使用しない場合(すなわち、S41のNoの場合)、税率A合計部1312に記憶されている合計金額に税率Aを乗算して税率Aの商品の合計金額に係る税額を算出する。また、税率B合計部1313に記憶されている合計金額に税率Bを乗算して税率Bの商品の合計金額に係る税額を算出する。算出された税額の合算値がS47で算出された税額である。
図8の説明に戻る。次に制御部100は、印字部24を駆動することで、決済処理をした商品の商品情報、決済情報(税率Aに係る税額と税率Bに係る税額、および合計税額を含む)とを印字したレシートを発行する(S23)。
このように、実施形態では、割引券を使用する場合に、まず税率Aに係る合計金額に対して減額金額を減額処理を実行するようにした。そのため、異なる税率の複数の商品の購入に際して値引券や割引券を使用した場合であっても、効率よく税額を算出することが可能である。
また、実施形態では、割引券を使用する場合に、まず税率が高い税率Aに係る合計金額に対して減額金額を減額処理を実行するようにした。そのため、顧客が支払う税額を少なくすることが可能となる。
また、実施形態では、割引券を使用する場合に、まず税率Aに係る合計金額に対して減額処理を実行し、まだ減額金額に残額がある場合に税率Bに係る合計金額に対して減額処理を実行するようにした。そのため、割引券による減額金額を最大限使用することができる。
ここからは、実施形態の第1変形例について説明する。上記の実施形態では、決済処理において、最初に税率が高い税率Aの商品について減額処理を実行するようにした。第1変形例は、決済処理において、最初に減額処理を実行する特定税率を設定するようにしたことが、上記の実施形態と異なる。第1変形例において、複数の税率のうちの一つをサーバ2で入力する。サーバ2は、入力された税率をPOS端末1に送信する。POS端末1は、税率を受信する。制御部100(設定手段104)は、受信した特定税率を特定税率としてメモリ部14等に設定する。なお、POS端末1の操作部21等から税率を入力して設定するようにしてもよい。この場合、設定手段104は、POS端末1に入力された税率を特定税率として設定する。
図11は、第1変形例に係るPOS端末1の決済処理の流れを示すフローチャートである。図11の第1変形例において、実施形態と同一の処理については図10と同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。なお、第1変形例では、図8の処理と図9の処理に相当する処理を実行する。
図11に示すように、割引券を使用すると判断した場合には(S41のYes)、次に制御部100は、メモリ部14に記憶されている税率情報に基づいて、最初に減額処理を実行する税率として税率Aが設定されているか否かを判断する(S61)。税率Aが設定されていると判断した場合には(S61のYes)、制御部100は、S42~S47の処理を実行する。
また、税率Aが設定されていないと判断した場合には(S61のNo)、制御部100は、税率Bが設定されているとして、税率B合計部1313に記憶されている、税率Bで課税される商品の合計金額を読み出す(S51)。そして、読み出した合計金額と券情報部1315に記憶されている減額金額に基づいて減額処理を実行する(S52)。そして制御部100は、税率Bの商品に係る減額処理後の合計金額を算出する(S52)。具体的には、読み出した合計金額が減額金額以上である場合は、読み出した合計金額から減額金額を減額する減額処理を実行して、税率Bの商品に係る減額処理後の合計金額を算出する。一方、読み出した合計金額が減額金額より少ない場合は、合計金額から減額金額のうちの合計金額分を減額する減額処理を実行して合計金額を0円を算出する。この場合、減額金額にはまだ割引ける残額がある。
次に制御部100は、まだ減額処理が可能か否かを判断する(S53)。合計金額から減額金額を減算して、減額金額にまだ減額処理できる残額がある場合に、制御部100は、まだ割引可能であると判断する。まだ減額処理が可能であると判断した場合には(S53のYes)、次に制御部100は、税率A合計部1312に記憶されている、税率Aで課税される商品の合計金額を読み出す(S54)。そして、読み出した合計金額と上記残額に基づいて減額処理を実行する(S55)。そして制御部100は、税率Aの商品に係る減額処理後の合計金額を算出する(S55)。具体的には、読み出した合計金額から残額を減額する減額処理を実行して、税率Bの商品に係る減額処理後の合計金額を算出する。そして制御部100は、S47の処理を実行する。また、もう減額処理は不可であると判断した場合には(S53のNo)、制御部100はS47の処理を実行する。このような第1変形例では、S43の処理とS52の処理が減額手段102に相当する。
このような第1変形例によれば、最初に減額処理を実行する税率(実施形態では税率Aまたは税率B)を任意に設定して記憶することができる。そのため、異なる税率の複数の商品の購入に際して値引券や割引券を使用した場合であっても、効率よく税額を算出することが可能である。また、第1変形例によれば、必用に応じて最初に減額処理を実行する特定税率を変更して記憶することができる。
ここからは、実施形態の第2変形例について説明する。上記の実施形態および第1変形例では、最初にいずれかの税率に係る合計金額について減額処理を実行するようにした。第2変形例では、取引された商品のそれぞれの合計金額の比率に基づいて、減額金額を按分してそれぞれ減額処理を実行するようにしたことで、上記の実施形態および第1変形例と異なる。なお、第2変形例では、図8の処理と図9の処理に相当する処理を実行する。
図12は、第2変形例に係るPOS端末1の決済処理の流れを示すフローチャートである。図12の第2変形例において、実施形態と同一の処理については図10と同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
図12に示すように、割引券を使用すると判断した場合には(S41のYes)、次に制御部100は、税率A合計部1312に記憶されている、税率Aで課税される商品の合計金額を読み出す(S71)。また、制御部100は、税率B合計部1313に記憶されている、税率Bで課税される商品の合計金額を読み出す(S71)。
次に制御部100は、読み出した税率Aで課税される商品の合計金額と税率Bで課税される商品の合計金額との比率を算出する(S72)。次に制御部100は、券情報部1315に記憶されている割引券の減額金額情報をS72で算出した比率に按分した税率Aに係る減額金額と税率Bに係る減額金額を算出する(S73)。次に制御部100は、税率Aで課税される商品の合計金額から税率Aに係る減額金額を減算(値引き)して、税率Aに係る割引後の合計金額を算出する(S74)。また制御部100は、税率Bで課税される商品の合計金額から税率Bに係る減額金額を減算(値引き)して、税率Bに係る割引後の合計金額を算出する(S74)。そして制御部100は、S47の処理を実行する。
すなわち、割引券によって減額される金額をZ、税率Aに係る商品の合計金額をX、税率B係る商品の合計金額をY、S47で算出する税額をPとすると、P=(X-(Z×(X/(X+Y)))×A+(Y-(Z×(Y/(X+Y)))×Bの式で求められる。
このような第2変形例によれば、税率Aで課税される商品の合計金額と税率Bで課税される商品の合計金額との比率に基づいて減額金額を按分して、それぞれの合計金額から減額処理を実行する。そのため、異なる税率の複数の商品の購入に際して値引券や割引券を使用した場合であっても、効率よく税額を算出することが可能である。また、税率が異なる商品のそれぞれの合計金額に対して割引き金額を按分して減額処理を実行するため、顧客に対して公平感を与えることができる。
なお、第2変形例に係る発明は以下のとおりに表すことができる。すなわち、
[付記1]
商品に課せられる税金の異なる複数の税率別に、取引された商品の合計金額を記憶する合計金額記憶手段と、
減額が指示されたことを条件に、減額される金額を、前記合計金額の割合で按分して前記税率別の合計金額からそれぞれ減額する減額処理を実行する減額手段と、
前記減額処理後の合計金額に基づいて前記取引に係る税額を算出する税額算出手段と、
を備えた情報処理装置。
[付記2]
コンピュータを、
商品に課せられる税金の異なる複数の税率別に、取引された商品の合計金額を記憶する合計金額記憶手段と、
減額が指示されたことを条件に、減額される金額を、前記合計金額の割合で按分して前記税率別の合計金額からそれぞれ減額する減額処理を実行する減額手段と、
前記減額処理後の合計金額に基づいて前記取引に係る税額を算出する税額算出手段と、
して機能させるためのプログラム。
以上、本発明の実施形態やその変形例を説明したが、この実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態やその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、実施形態および第1変形例および第2変形例では、税率Aと税率Bの2種類の税率を用いて説明したが、これに限らず、2以上の異なる複数種類の税率の商品の割引に用いることができる。
また、実施形態では、最初に税率Aが適用される商品の合計金額に対して減額処理を実行するようにしたが、税率毎に減額処理を実行する優先順位を予め決めておき、優先順位が高い税率から減額処理を実行するようにしてもよい。実施形態の場合、減額処理を実行する優先順位として、税率Aを税率Bより高くすればよい。
また、実施形態および第1変形例および第2変形例では、商品毎に割引券が使用可能か不可かを記憶するようにした。しかしながら、割引券が使用可能か否かを複数の商品を区分する商品区分単位で記憶することも可能である。割引券の使用を商品区分毎に記憶する場合、当該商品区分に含まれるすべての商品について割引券が使用可能となる。
また、第1変形例では、税率の設定をサーバ2で行うようにしたが、POS端末1において税率を選択するようにしてもよい。
また、実施形態および第1変形例および第2変形例では、割引券に表示された金額を合計金額から減額するようにしたが、例えば、割引券に対応して予め定められた所定金額を減額するようにしてもよい。
また、実施形態および第1変形例および第2変形例では、税率Bに係る商品を軽減税率の対象商品としたが、税率Bに係る商品は、軽減税率が適用される商品ではなく、単に税率が異なる商品であってもよい。
なお、実施形態の情報処理装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
また、実施形態の情報処理装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、実施形態の情報処理装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、実施形態の情報処理装置で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。