本開示の実施形態のセラミック回路基板および電子装置について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における上下の区別は便宜的なものであり、実際にセラミック回路基板および電子装置等が使用される際の上下を限定するものではない。
図1(a)および図1(b)はセラミック回路基板10の実施形態の一例を示す、異なる方向からの斜視図である。より具体的には、図1(a)はセラミック基板の第1面側(上面側)からの斜視図であり、図1(b)はセラミック基板の第2面側(下面側)からの斜視図である。図2は図1に示すセラミック回路基板10を示し、図2(a)は上面図であり、図2(b)は図2(a)のB-B線における断面図、図2(c)は下面図である。図3、図5、図7、図9および図11はセラミック回路基板10の他の一例を示す、図1と同様の斜視図である。図4、図6、図8、図10および図12は、それぞれ図3、図5、図7、図9および図11に示すセラミック回路基板10を示し、各図における(a)は上面図であり、(b)は(a)のB-B線における断面図、(c)は下面図である。図13はセラミック回路基板10の他の一例を示し、図13(a)は上面図であり、図13(b)は図13(a)のB-B線における断面図、図13(c)は下面図である。図14はセラミック回路基板10の他の一例を示し、図14(a)は上面図であり、図14(b)は図14(a)のB-B線における断面図、図14(c)は下面図である。図15(a)および図15(b)は、セラミック回路基板10の他の一例を示す断面図である。図16はパッケージ40および電子装置100の実施形態の一例を示す斜視図である。図17は図16のパッケージ40および電子装置100を示し、図17(a)は上面図であり、図17(b)は図17(a)のB-B線における断面図である。
セラミック回路基板10は、図1~図14に示す例のように、セラミック基板1と、セラミック基板1の第1面1aに第1ろう材4aで接合されており、電子部品20が搭載される搭載金属板2aおよび端子金属板2bを含む金属回路板2と、搭載金属板2aを取り囲んでセラミック基板1の第1面1aに第1ろう材4aで接合されている枠状金属板7と、蓋体が接合される平板枠状の第1枠部3aおよび筒状の第2枠部3bを含み、第1枠部3aと第2枠部3bの第1端部とが接続している金属枠体3と、を有しており、第2枠部3bの第2端部の側面が枠状金属板7の側面に対向して配置され、第2枠部3bの側面と枠状金属板7とが第2ろう材4bで接合されている。
このようなセラミック回路基板10によれば、金属枠体3が変形しやすく、接合される蓋体30が変形し難いので、気密封止性および光学特性に優れたパッケージ40および電子装置100を得ることができる。金属枠体3は平板枠状の第1枠部3aと、板状金属製の筒状の第2枠部3bとで構成されており、いずれの部分も従来の肉厚で高さの高い金属枠体と比較すると薄くて変形しやすいものである。例えば、蓋体30を金属枠体3に押し当てて接合する際には、筒状の第2枠部3bは外側あるいは内側に湾曲するように変形し、平板状の第1枠部3aは外側あるいは内側が下がるように傾斜するような変形をする。
また、第2枠部3bの第2端部の側面が枠状金属板7の側面に対向して配置され、第2枠部3bの側面と枠状金属板7とが第2ろう材4bで接合されていることから、金属枠体3がセラミック基板1に強固に接合される。枠状金属板7は金属回路板2と同様に第1ろう材4aで強固にセラミック基板1に接合されている。この枠状金属板7に、金属枠体3のセラミック基板1側の端部である第2枠部3bの第2端部(下端部)が第2ろう材4bで接合ざれている。第2枠部3bは、薄板の筒体であってもその側面を枠状金属板7の側面と対向させて接合することで枠状金属板7との接合面積を大きくできるので、枠状金属板7を介してセラミック基板1に強固に接合される。そのため、金属枠体3とセラミック基板1との接合信頼性が高く、気密封止性および光学特性に優れたパッケージ40および電子装置100を得ることができる。
ここで、図1および図2に示す例のセラミック回路基板10では、金属枠体3は枠状金属板7の内側に配置され、金属枠体3の第2枠部3bの外側面と枠状金属板7の内側面および上面とが第2ろう材4bで接合されている。そして、第1枠部3aの外端部に第2枠部3bの上端部が接続され、第1枠部3aの内端は第2枠部3bより内側に位置している。そのため、金属枠体3の縦断面形状は上部が内側に曲がった鉤型(L字型)となっている。図3および図4に示す例のセラミック回路基板10では、金属枠体3は枠状金属板7の外側に配置され、金属枠体3の第2枠部3bの内側面と枠状金属板7の外側面および上面とが第2ろう材4bで接合されている。そして、第1枠部3aの内端部に第2枠部3bの上端部が接続され、第1枠部3aの外端は第2枠部3bより外側に位置している。そのため、金属枠体3の縦断面形状は上部が外側に曲がった鉤型(L字型)となっている。これらの例では、第1枠部3aと枠状金属板7とは平面視で重なっていない。
これに対して、図5および図6に示す例のセラミック回路基板10では、金属枠体3の第2枠部3bは枠状金属板7の外側に配置され、第2枠部3bの内側面と枠状金属板7の外側面および上面とが第2ろう材4bで接合されている。そして、第1枠部3aの外端部に第2枠部3bの上端部が接続され、第1枠部3aの内端は第2枠部3bより内側に位置している。そのため図1および図2に示す例と同様に、金属枠体3の縦断面形状は上部が内側に曲がった鉤型(L字型)となっている。図7および図8に示す例のセラミック回路基板10では、金属枠体3の第2枠部3bは枠状金属板7の内側に配置され、第2枠部3bの外側面と枠状金属板7の内側面および上面とが第2ろう材4bで接合されている。そして、第1枠部3aの内端部に第2枠部3bの上端部が接続され、第1枠部3aの外端は第2枠部3bより外側に位置している。そのため図3および図4に示す例と同様に、金属枠体3の縦断面形状は上部が外側に曲がった鉤型(L字型)となっている。これらの例では、第1枠部3aと枠状金属板7とが平面視で重なっている。
このように、第1枠部3aと枠状金属板7とが平面視で重なる部分を有しているセラミック回路基板10とすることができる。セラミック基板1上において、金属枠体3および枠状金属板7の内側には搭載金属板2aがあり、金属枠体3および枠状金属板7の外側には端子金属板2bがある。金属枠体3と枠状金属板7とで構成される、蓋体30を搭載するための領域(搭載領域)の幅が大きいと、セラミック回路基板10が大きくなってしまう。金属枠体3の第1枠部3aと枠状金属板7とが平面視で重なっていない場合には、搭載領域の幅は、第1枠部3aの幅、枠状金属板7の幅および第2枠部3bと枠状金属板7との間の第2ろう材4bの幅を加えた幅となる。第1枠部3aと第1枠部3aとが重なる部分を有していると、搭載領域の幅が小さくなるので、セラミック回路基板10を小型化することができる。
図1~図8に示す例のセラミック回路基板10では、1つの枠状金属板7がセラミック基板1に第1ろう材4aで接合され、枠状金属板7の内側面または外側面に金属枠体3の第2枠部3bの外側面または内側面が第2ろう材4bで接合されている。これに対して、図9および図10に示す例のセラミック回路基板10では、枠状金属板7は平面視の大きさの異なる第1枠状金属板7aおよび第2枠状金属板7bからなり、第2枠状金属板7bは第1枠状金属板7aの内側に間隙を設けて配置されている。金属枠体3の第2枠部3bの第2端部(下端部)は、この間隙内に配置され、第1枠状金属板7aと第2枠状金属板7bとで挟まれている。そして、第2枠部3bの内側面が第2枠状金属板7bの外側面および上面に接合され、第2枠部3bの外側面が第1枠状金属板7aの内側面および上面に接合されている。
このように、枠状金属板7が平面視の大きさの異なる第1枠状金属板7aおよび第2枠状金属板7bからなり、第2枠状金属板7bは第1枠状金属板7aの内側に間隙を設けて配置されており、第2枠部3bの第2端部が間隙内に配置され、第2枠部3bの内側面が第2枠状金属板7bに接合され、第2枠部3bの外側面が第1枠状金属板7aに接合されているセラミック回路基板10とすることができる。このようなセラミック回路基板10によれば、金属枠体3の第2枠部3bは、その内側面と外側面が枠状金属板7(第2枠状金属板7b、第1枠状金属板7a)に第2ろう材4bで接合されるので、金属枠体3と枠状金属板7との接合面積を大きくなり、枠状金属板7を介してセラミック基板1により強固に接合される。そのため、金属枠体3とセラミック基板1との接合信頼性がより高く、気密封止性および光学特性により優れたパッケージ40および電子装置100を得ることができる。
なお、図9および図10に示す例における金属枠体3は、平面視での第1枠部3aの幅方向の中央部に第2枠部3bの上端部が接続されている。また、第1枠部3aの内端は第2枠部3bより内側に位置し、第1枠部3aの外端は第2枠部3bより外側に位置している。そのため、金属枠体3の縦断面形状は丁字型(T字型)となっている。この場合も、金属枠体3の縦断面形状は、図1、図2、図5および図6に示す例と同様の上部が内側に曲がった鉤型(L字型)、あるいは図3、図4、図7および図8に示す例と同様の上部が外側に曲がった鉤型(L字型)とすることができる。いずれの場合であっても、第1枠部3aと枠状金属板7とが平面視で重なるので、図1~図4に示す例に対して、枠状金属板7が2つあってもセラミック回路基板10が大型化することがない。
図5~図8に示す例のセラミック回路基板10では、金属枠体3は第1ろう材4aにも接合されている。図5および図6に示す例では、枠状金属板7を接合している第1ろう材4aは平面視で枠状金属板7よりも外側へはみ出して設けられている。金属枠体3の第2枠部3bはこの第1ろう材4aのはみ出した部分(はみ出し部)の上に配置され、第2ろう材4bによって、その内側面は枠状金属板7(および枠状金属板7と第2枠部3bとの間の第1ろう材4a)と接合され、外側面は第1ろう材4aと接合されている。図7および図8に示す例では、枠状金属板7を接合している第1ろう材4aは平面視で枠状金属板7よりも内側へはみ出して設けられている。金属枠体3の第2枠部3bはこの第1ろう材4aのはみ出した部分(はみ出し部)の上に配置され、第2ろう材4bによって、その外側面は枠状金属板7(および枠状金属板7と第2枠部3bとの間の第1ろう材4a)と接合され、内側面は第1ろう材4aと接合されている。
このように、第1ろう材4aが平面視で枠状金属板7から金属枠体3の第2枠部3bを越えてセラミック基板1の表面(第1面1a)にはみ出しているはみ出し部を有しており、第2枠部3bと第1ろう材4aのはみ出し部とが第2ろう材4bで接合されているセラミック回路基板10とすることができる。このようなセラミック回路基板10によれば、金属枠体3の第2枠部3bは、その内側面と外側面が枠状金属板7(第2枠状金属板7b、第1枠状金属板7a)および第1ろう材4aのはみ出し部に第2ろう材4bで接合されるので、金属枠体3がセラミック基板1により強固に接合される。そのため、金属枠体3とセラミック基板1との接合信頼性がより高く、気密封止性および光学特性により優れたパッケージ40および電子装置100を得ることができる。
図9および図10に示す例のセラミック回路基板10は、金属枠体3の接合面積が大きいので金属枠体の接合強度の点で有利である。また、図5および図6に示す例のセラミック回路基板10は、端子金属板2bの側面と枠状金属板7の側面とが隣接しておらず、端子金属板2bの側面の上端部と第2枠部3bの外側面(またはその外側の第2ろう材4bの表面)との間の間隔が大きいので絶縁性の点で有利である。また、図7および図8に示す例のセラミック回路基板10は、搭載金属板2aの側面と枠状金属板7の側面とが隣接しておらず、搭載金属板2aの側面の上端部と第2枠部3bの外側面(またはその内側の第2ろう材4bの表面)との間の間隔が大きいので絶縁性の点で有利である。
図1~図10に示す例のセラミック回路基板10は、セラミック基板1の第1面1aにおける金属枠体3の内側の部分に搭載金属板2aが接合され、金属枠体3の外側の部分に端子金属板2bが接合されている。搭載金属板2aと端子金属板2bとは、セラミック基板1の第2面に第1ろう材4aで接合されている配線金属板2c、およびセラミック基板1の貫通孔内に配置されており、配線金属板2cと搭載金属板2aおよび端子金属板2bとをそれぞれ接続する2つの貫通金属柱2dを介して電気的に接続されている。これに対して、図11および図12に示す例のセラミック回路基板10では、金属回路板2は配線金属板2cを備えていない。セラミック基板1の第1面に接合されている搭載金属板2aと、セラミック基板1の第2面1bに接合されている端子金属板2bとが、セラミック基板1の貫通孔内に配置されている貫通金属柱2dを介して電気的に接続されている。端子金属板2bは、セラミック基板1の外縁から端部が突出している。貫通金属柱2dは、第1ろう材4aで搭載金属板2a、端子金属板2bおよび配線金属板2cに接合され、電気的に接続されている。
図13および図14に示す例のセラミック回路基板10においても、枠状金属板7は第1枠状金属板7aおよび第2枠状金属板7bからなるものである。図9および図10に示す例のセラミック回路基板10における第1枠状金属板7aおよび第2枠状金属板7bはともに単純な矩形状の枠である。これに対して、図13および図14に示す例における第1枠状金属板7aはセラミック基板1の外縁部まで広がっており、図14に示す例における第1枠状金属板7aは端子金属板2bの間にも伸びた形状である。また、図13および図14に示す例における第2枠状金属板7bは、中央の3つの搭載金属板2aの近傍まで内端が伸びており、外側の6つの搭載金属板2aと短絡しないように貫通孔が設けられた形状である。いずれも、全体として搭載金属板2aを取り囲んでセラミック基板1の第1面1aに第1ろう材4aで接合されている。
このようにセラミック基板1の第1面1aに接合された第1枠状金属板7aおよび第2枠状金属板7bは、搭載金属板2aに搭載される電子部品20で発生する熱を放熱する放熱板としても機能する。そのため、図1、図2、図7および図8に示す例のセラミック回路基板10における枠状金属板7を図13および図14に示す例における第1枠状金属板7aのような形状とすることができる。このとき、図13および図14に示す例における第2枠状金属板7bのような形状の放熱金属板を設けてもよい。また、図3~図6に示す例のセラミック回路基板10において、枠状金属板7を図13および図14に示す例における第2枠状金属板7bのような形状とすることができる。このとき、図13および図14に示す例における第1枠状金属板7aのような形状の放熱金属板を設けてもよい。
図1~図4に示す例のセラミック回路基板10では、セラミック基板1の第2面12には配線金属板2cのみが接合されている。これに対して、図5~図12に示す例のセラミック回路基板10では、放熱金属板5が第1ろう材4aで接合されている。
図5および図6に示す例のセラミック回路基板10では、放熱金属板5は、第1面1aの中央部に配列されて接合されている3つの搭載金属板2aのそれぞれに対向するように配列されている。搭載金属板2aに搭載された電子部品20で発生した熱は、搭載金属板2a、セラミック基板1および放熱金属板5を介して外部へ放出される。図1~図4に示す例に比較して、セラミック基板1の第1面1aに接合されている金属板(金属回路板2および枠状金属板7)の体積と第2面1bに接合されている金属板(金属回路板2および放熱金属板5)の体積との差が小さいので、セラミック回路基板10の反りが小さくなる。図5および図6に示す例では第1面1aの金属板の体積の方が大きいのでセラミック回路基板10の反りは、第2面1b(下面)側に凸の反りとなりやすくなる。
図7および図8に示す例のセラミック回路基板10では、第1面1aの中央部の3つの搭載金属板2aに対向する大きさの1つの放熱金属板5が接合されている。この放熱金属板5は3つの搭載金属板2aの外縁を結んだものより大きいので、電子部品20で発生する熱はセラミック基板1の面方向にも拡散しながら放熱金属板5に伝わり、放熱性がより高いものとなる。図7および図8に示す例においても第1面1aの金属板の体積の方が大きいのでセラミック回路基板10の反りは、第2面1b(下面)側に凸の反りとなりやすくなる。
図9~図12に示す例のセラミック回路基板10では、放熱金属板5は、第1面1aの中央部の3つの搭載金属板2aに対向する大きさの部分とさらに枠状金属板7の一部と対向する部分を有するH字型である。放熱金属板5がより大きいので放熱性もより高いものとなる。図9~図12に示す例では、セラミック基板1の第1面1aに接合されている金属板の体積の方が第2面1bに接合されている金属板の体積より小さいので、セラミック回路基板10の反りは、第1面1a(上面)側に凸の反りとなりやすくなる。
図13に示す例のセラミック回路基板10では、セラミック基板1の第1面1aに接合されている枠状金属板7は、搭載金属板2aおよび端子金属板2bを取り囲むような形状で、これにより第1面1aの大部分に金属板が接合されている。第2面1bの放熱金属板5は配線金属板2cを取り囲むような形状であり、放熱金属板5と配線金属板2cとで第2面1bのほぼ全面が覆われている。図13に示す例では、セラミック基板1の第1面1aに接合されている金属板の体積の方が第2面1bに接合されている金属板の体積より若干小さいので、セラミック回路基板10の反りは、第2面1b(下面)側に凸の反りとなりやすくなるが、その反り量は図9~図12に示す例よりも小さいものとなる。
図14に示す例のセラミック回路基板10では、図13に示す例と同様にセラミック基板1の第1面1aに接合されている枠状金属板7は、搭載金属板2aおよび端子金属板2bを取り囲むような形状で、さらに端子金属板2bの間にも伸びた形状である。これにより第1面1aのほぼ全面に金属板が接合されている。図14に示す例のセラミック回路基板10においても、図13に示す例と同様の放熱金属板5がセラミック基板1の第2面1bに接合されている。そして、図14に示すように、第2面1bの配線金属板2cおよび放熱金属板5(の下方)にさらに放熱部材が接合されている。この放熱部材は、放熱セラミック板6の上面に、セラミック基板1の第2面1bに接合されている配線金属板2cおよび放熱金属板5と同様の形状の放熱金属板5が接合され、放熱セラミック板6の下面には放熱セラミック板6より一回り小さい放熱金属板5が接合されているものである。図14に示すように、セラミック回路基板10の下面に露出しているのは放熱セラミック板6および放熱金属板5である。配線金属板2cの外側(下側)に絶縁体である放熱セラミック板6が存在しているので、セラミック回路基板10を、金属等の導電性の表面を有する外部の放熱部材に、はんだやろう材等の金属接合材で接続することができる。
セラミック回路基板10の反りは、セラミック基板1の第1面1aと第2面との間における、金属回路板2等の面積、厚みおよび形状等による、主に体積の違いで変わる。例えばアルミナからなるセラミック基板1の熱膨張係数より銅からなる金属回路板2等の熱膨張係数の方が大きいので、金属回路板2が多く接合されている側が凹となる反りになり易い。このようなセラミック回路基板10の反りが小さい方が、蓋体30を金属枠体3に接合する際の、金属枠体3の変形を小さくすることができ、蓋体30の変形はより小さくなる。そのため、反りを小さくするために、セラミック基板1の第1面1aと第2面1bとで金属回路板2の体積の差が小さいセラミック回路基板10、あるいは金属回路板2以外の金属板を接合したセラミック回路基板10とすることができる。
図15(a)および図15(b)に示す例のように、セラミック回路基板10は、上述したセラミック基板1の第1面1aに接合された金属板と第2面1bに接合された金属板の間の体積差によって、わずかではあるが反りを有するものである。この反りにより、蓋体30が接合される金属枠体3の上面もまた反っており、平坦ではない。セラミック回路基板10の反りの向きによって、金属枠体3に蓋体30の金属枠部材31を押し当ててシーム溶接をする際の、金属枠体3の変形のしやすさが変わる。金属枠体3の変形のうち第1枠部3aの変形は、第2枠部3bが接続されている端部を中心として回転するような変形であり、第2枠部3bが接続されていない端部側が変形する。このような変形をさせるためには、蓋体30を第1枠部3aの第2枠部3bが接続されていない端部に押し当てることで容易に行なうことができる。
そのため、図15(a)に示す例のようにセラミック回路基板10が、金属枠体3が接合されている第1面1a(上面)側に凸に反っている場合には、第1枠部3aの外端に第2枠部3bが接続されているセラミック回路基板10とすることができる。言い換えれば、セラミック基板1が第1面1a側に凸に反っており、第1枠部3aの内端が第2枠部3bより内側に位置しているセラミック回路基板10とすることができる。
一方、図15(b)に示す例のようにセラミック回路基板10が、金属枠体3が接合されている第1面1a(上面)とは反対側の第2面1b(下面)側に凸に反っている場合には、第1枠部3aの内端に第2枠部3bが接続されているセラミック回路基板10とすることができる。言い換えれば、セラミック基板1が第1面1aとは反対側の第2面1b側に凸に反っており、第1枠部3aの外端は第2枠部3bより外側に位置しているセラミック回路基板10とすることができる。
このようにすることで、第1枠部3aの第2枠部3bが接続されていない、言い換えれば第2枠部3bより内側あるいは外側に突出している第1枠部3aの端部は、第2枠部3bが接続されている端部より上方に突出した状態となる。そのため、セラミック回路基板10の上方から蓋体30を押し当てた際に第1枠部3が変形しやすくなる。また、第1枠部3aの変形と同時か、この変形の後に第2枠部3bが変形することとなる。図9および図10に示す例のように、金属枠体3の縦断面形状が丁字型(T字型)で、第1枠部3aの内端および外端がそれぞれ第2枠部3bより内側および外側に位置している場合には、セラミック回路基板10の反りの方向によらず第1枠部3aが変形しやすいものとなる。図9および図10に示す例のように、枠状金属板7が第1枠状金属板7aと第2枠状金属板7bとからなる場合においても、上部が内側あるいは外側に曲がった鉤型(L字型)の縦断面形状を有する金属枠体3とすることができる。また、枠状金属板7が1つの場合に縦断面形状が丁字型(T字型)の金属枠体3とすることもできる。第1ろう材4aがはみ出し部を有する場合であれば、第1枠部3aは平面視で枠状金属板7およびはみ出し部とかさなるので、蓋体30を搭載するための領域(搭載領域)の幅がおおきくなることもない。なお、セラミック回路基板10の反りは、セラミック基板1の第1面1aにおける、金属回路板2および金属枠体3が接合されず露出している部分で、表面粗さ計や3次元測定器等を用いて測定することができる。
パッケージ40は、図16および図17に示す例のように、上記セラミック回路基板10と、セラミック回路基板10の金属枠体3の第1枠部3aに接合されている蓋体30と、を備える。蓋体30は、金属枠体3に接合される、窓部を有する板状の金属枠部材31および窓部を塞いで金属枠部材31に接合された透光性部材33を有している。このようなパッケージに40よれば、上記構成のセラミック回路基板10を備えていることから、気密封止性および光学特性に優れた電子装置100を得ることができる。
このとき、蓋体30が、図17に示す例のように、金属枠部材31と透光性部材33との間に、セラミック枠部材32を備えているパッケージ40とすることができる。比較的剛性の高いセラミック枠部材32を備えているので、透光性部材33の歪みがより小さくなり、光学特性がより優れた電子装置100を得ることができるパッケージ40となる。
電子装置100は、上記構成のパッケージ40と、セラミック回路基板10の金属回路板2(搭載金属板2a)上に搭載された電子部品20と、を備えている。このような電子装置100によれば、上記構成のパッケージ40を備えていることから、気密封止性および光学特性に優れたものとなる。
セラミック基板1は、セラミック焼結体からなり、金属回路板2等を固定して支持するための基体部分である。また、セラミック基板1は、セラミック基板1の表面に接合された複数の金属回路板2の間を互いに電気的に絶縁させるための絶縁部材としても機能する。また、セラミック基板1の上下面間で熱を伝導する伝熱部材としても機能する。セラミック基板1の大きさは電子装置100の用途等に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、厚みが0.25mm~1.0mmで、平面視の大きさは1辺の長さが10mm~200mmの矩形状とすることができる。
セラミック基板1のセラミックス焼結体としては、公知の材料を用いることができ、例えば、アルミナ(Al2O3)焼結体、窒化アルミニウム(AlN)焼結体および窒化ケイ素(Si3N4)焼結体などを用いることができる。セラミック基板1は、公知の製造方法によって製造することができ、例えば、アルミナなどの原料粉末に焼結助剤を添加し、基板状に成形したのち、焼成することで製造することができる。
金属回路板2は、例えば銅または銅合金、あるいはアルミニウムまたはアルミニウム合金等の金属材料によって形成されている。電気伝導および熱伝導の点では99%以上の純銅を用いるとよく、さらに、金属回路板2における酸素の含有量が少ない方が、ボンディングワイヤ21と金属回路板2との接合強度の向上に関して有利である。金属回路板2の大きさおよび形状もまた、電子装置100の用途等に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、厚みは0.1mm~1.0mmとすることができる。
図1~図10、図13および図14に示す例のセラミック回路基板10においては、セラミック基板1の上面(第1面1a)の中央部に接合された搭載金属板2a、この搭載金属板2aを挟むように配置されて接合された一対の端子金属板2bおよびセラミック基板1の下面に接合された配線金属板2cを備えている。搭載金属板2aは、電子部品20が搭載される金属板と電子部品20の電極と接続される金属板とを含んでいる。上述したように、搭載金属板2a(電子部品20の電極と接続される金属板)と端子金属板2bとは、配線金属板2cで電気的に接続されている。搭載金属板2aと配線金属板2c、および配線金属板2cと端子金属板2bは、セラミック基板1の貫通孔内に配置されている貫通金属柱2dを介して電気的に接続されている。これにより、金属枠体3の内側にある電子部品20と金属枠体3の外側にある端子金属板2bとが電気的に接続されており、端子金属板2bと外部回路とを接続することで電子部品20と外部回路とが電気的に接続される。図11および図12に示す例のセラミック回路基板10では、金属回路板2は配線金属板2cを備えておらず、搭載金属板2a(電子部品20の電極と接続される金属板)とセラミック基板1の第2面1bに接合され、セラミック基板1から端部が突出している端子金属板2bとが、セラミック基板1の貫通孔内に配置されている貫通金属柱2dを介して電気的に接続されている。金属回路板2の数、形状、配置等はこれらの例に限られるものではない。
金属回路板2は、セラミック基板1の第1面1aまたは第2面1bに第1ろう材4aを介して接合されている。第1ろう材4aは、金属回路板2が銅または銅合金からなる場合であれば、例えばチタン、ハフニウムおよびジルコニウムのうち少なくとも1種の活性金属材料を含む、銀-銅(Ag-Cu)系の活性ろう材を用いることができる。Ag-Cu系ろう材としては、例えばB-Ag8(JIS Z 3261-1985)を用いることができる。金属回路板2がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる場合であれば、アルミニウムろうを用いることができる。
あらかじめ打ち抜き加工やエッチング加工によって所定形状に加工した金属板をセラミック基板1に接合してもよいし、セラミック基板1と同等の大きさの金属板を接合した後にエッチング等で所定形状の金属回路板2としてもよい。以下、銅からなる金属回路板2をエッチングで形成する方法の一例について説明する。
まず、セラミック基板1の上にろう材ペーストを、金属回路板2の形状に塗布する。ろう材ペーストは、上記第1ろう材4a(活性ろう材)となる粉末に溶剤やバインダー等を加えて混錬することで作製することができる。次に、ろう材ペーストの上にセラミック基板1と同等の大きさの銅からなる金属板を載置して、例えば、真空状態で830℃程度の加熱処理をすることによって金属板をセラミック基板1に接合する。次に、金属板の上にエッチングマスクを形成する。エッチングマスクは、フィルム状のレジスト材を金属板の上面に貼り付ける、あるいは液状のレジスト材を金属板の上面に塗布するなどして、フォトリソ法によって金属回路板2に対応する部分以外を除去して形成することができる。液状の樹脂を金属回路板2の形状に印刷してエッチングマスクを形成することもできる。次に、金属板のエッチングマスクで覆われていない部分をエッチングによって除去し、所定形状の金属回路板2を形成する。そして、エッチングマスクを除去することでセラミック回路基板10となる。ろう材ペーストをセラミック基板のほぼ全面に塗布して金属板を接合し、金属板をエッチングして金属回路板2等の形状に加工した後に金属回路板2間の不要な第1ろう材4aをエッチング等で除去することもできる。セラミック基板1に設けた貫通孔内に貫通金属柱2dを配置してろう材ペーストを塗布することで、貫通金属柱6dは貫通孔を塞いで接合されている搭載金属板2a、端子金属板2bおよび配線金属板2cに接合されに第1ろう材4aで接合される。
放熱金属板5および枠状金属板7は、金属回路板2と同様の金属で同様の方法で所定形状にすることができる。また、セラミック基板1への接合も同様の方法で行なうことができ、金属回路板2と同時に形成することができる。
図14に示す例のような放熱部材を備える場合は、セラミック基板1と同様の放熱セラミック板6の上面および下面に第1ろう材4aで放熱金属板5を接合して放熱部材を作製することができる。この放熱部材の放熱セラミック板6の上面の放熱金属板5とセラミック基板1の下面(第2面1b)の金属回路板2および放熱金属板5とを第3ろう材4cで接合することで作製することができる。金属回路板2等と放熱セラミック板6の放熱金属板5とを接合する第3ろう材4cは、活性金属を含まない、第1ろう材4aよりも低融点のろう材、はんだ等を用いることができる。
金属枠体3は、搭載金属板2aを取り囲む大きさの枠状である。金属枠体3は、蓋体30が接合される平板枠状の第1枠部3aと、第1枠部3aの下方に位置して第1枠部3aに接続している筒状の第2枠部3bと、を有しており、これらは一体となっている。金属枠体3の大きさおよび形状は電子装置100の用途等に応じて適宜設定されるものである。例えば、第1枠部3aは、内寸が5mm~100mmの矩形状、外寸が7mm~120mmの矩形状で、厚みは0.1mm~2.0mmとすることができる。第2枠部3bは平面視の外寸が5.1mm~120mmの矩形状で高さが1mm~20mmで、厚みが0.1mm~2.0mmの筒状とすることができる。
金属枠体3は、金属回路板2と同様の金属で形成してもよいし、他の金属であってもよい。金属枠体3は金属回路板2と比較して大きいので、セラミック基板1との熱膨張係数の差がより小さい、例えば、Fe-Ni-Co合金やFe-Ni合金等の比較的低熱膨張の金属を用いることができる。
金属枠体3の縦断面形状は上述したような形状とすることができるが、このような金属枠体3は、例えば、金属板を打ち抜き加工して作製した金属枠を切削加工するなどして作製することができる。または、プレス加工で第1枠部3aと第2枠部3bとを一体的に作製することができる。あるいは、第1枠部3aおよび第2枠部3bをそれぞれ別々に打ち抜き加工等で作製して、これらを溶接、ろう接等で接続して作製することができる。
金属枠体3をセラミック基板1の第1面1aに直接、強固に接合するためには、縦断面形状がコの字型(C字型)あるいはエの字型(H字型)のような、下方に幅広の部分を有する形状とするのがよい。これに対して、断面形状が上記のような鉤型(L字型)あるいは丁字(T字型)であると、より低コストで作製することができる。そして、このような下方に幅広部を有さない形状であってもセラミック基板1に強固に接合された枠状金属板7に接合されるので、強固にセラミック基板1に接合されたセラミック回路基板10となる。枠状金属板7は下方の幅広部と同様に機能するが、金属回路板2と同時に形成することができるのでコストアップにはならない。
金属枠体3は枠状金属板7に第2ろう材4bで接合されている。あらかじめ金属回路板2および枠状金属板7の形状に加工した金属板をセラミック基板1に接合する場合であれば、金属回路板2および枠状金属板7の接合と同時に接合することができる。このときの第2ろう材4bとしては、第1ろう材4aと同じものあるいは活性金属を含まず第1ろう材4aと同程度の融点のろう材を用いることができる。あるいは、金属回路板2および枠状金属板7を第1ろう材4aで接合した後に、第1ろう材4aよりも低融点の第2ろう材4bで接合することができる。第2ろう材4bは活性金属を含まないものを用いることができる。大きい金属板を接合してエッチング加工して金属回路板2および枠状金属板7を形成する場合には、金属回路板2および枠状金属板7をセラミック基板1の第1面1a上に形成した後に、枠状金属板7に金属枠体3を接合することができる。この場合の第2ろう材4bは、第1ろう材4aよりも低融点のものであり、活性金属を含まないものを用いることができる。第1ろう材4aがはみ出し部を有する場合は、例えば枠状金属板7を接合する部分の第1ろう材4aのろう材ペーストを枠状金属板7からはみ出すように塗布しておくことではみ出し部を形成することができる。この第1ろう材4aのはみ出し部の上に金属枠体3(の第2枠部3b)を載置して、枠状金属板7およびはみ出し部に第2ろう材4bで接合すればよい。
第1ろう材4aよりも低融点の第2ろう材4bは、金属枠体3を接合する際に第1ろう材4aが再溶融しないように、第1ろう材4aより50~100℃程度低い温度で接合できるろう材を使用するのがよい。例えば、第1ろう材4aとして融点が780℃であるB-Ag8(JIS Z 3261-1985)を用いた活性ろう材の場合には、680~730℃程度で接合できる第2ろう材4bを用いればよい。例えばAg61Cu24In15のろう材(固相温度625℃、液相温度710℃)は720℃程度で接合することができる。これに限らず銀銅ろうに、インジウム(In)や錫(Sn)等を10~20%添加することで、この目的に合った低融点の第2ろう材4bとすることができる。その他に亜鉛(Zn)等を添加しても構わない。上述した、図14に示す例のような放熱部材を接合するための第3ろう材もこの低融点の第2ろう材4bと同様のもの、あるいはより低融点のはんだ等を用いることができる。
上述したように、金属枠体3は金属回路板2等と比較して大きいものとなるので、これらにはセラミック基板1との熱膨張係数の差がより小さい、例えば、鉄―ニッケル―コバルト(Fe-Ni-Co)合金や鉄―ニッケル(Fe-Ni)合金等の比較的低熱膨張の金属を用いることができる。
金属回路板2、金属枠体3、ろう材4、放熱金属板5および枠状金属板7の露出面には、金属皮膜(図示せず)を設けることができる。この金属皮膜は、金属回路板2等の腐食防止、電子部品20の接合材(不図示)による金属回路板2への接合性、ボンディングワイヤ21の接合性あるいは金属枠体3への蓋体30の接合性を高めるための皮膜である。金属皮膜は、例えばめっき法によってセラミック基板1に接合された金属回路板2の上面に、ニッケルなどのめっき皮膜層として形成することができる。
上記のようなセラミック回路基板10の金属枠体3の第1枠部3aに蓋体30を接合することでパッケージ40となる。金属枠体3の第1枠部3aと蓋体30との接合は、セラミック回路基板10の金属回路板2(搭載金属板2a)に電子部品20が搭載されてから行なわれる。
蓋体30の金属枠部材31は、例えば、厚みが0.05mm~1mmで外寸が金属枠体3の第1枠部3aの外寸と同程度で、内寸が金属枠体3の第1枠部3aの内寸以下であり、金属枠体3に接合した状態で平面視したときに、搭載される電子部品20の少なくとも一部が見える大きさである。
金属枠部材31は、金属枠体3と同様の金属、例えば、Fe-Ni-Co合金、Fe-Ni合金等の金属からなるものであり、このような金属の板材を打ち抜き加工あるいはエッチング加工することで作製することができる。金属枠体3と同程度の熱膨張係数を有するものであれば、接合後の熱応力を小さくすることができる。金属枠部材31の表面には、腐食防止、金属枠体3との接合性のためにめっき被膜を設けることができる。従来周知の、電解めっき法あるいは無電解めっき法などによりめっき皮膜を形成することができる。
蓋体30の透光性部材33は、透光性材料すなわち光を透過する材料からなる板状体である。ここでいう光は、電子部品20で発光するあるいは受光する光、例えば可視光である。例えばソーダガラスまたはホウケイ酸ガラス等の透明なガラス、またはサファイア等の板状の部材である。金属枠部材31の窓部を塞いで接合することのできる寸法であり、金属枠部材31の内寸より大きく、金属枠体3の第2枠部3bの内寸より小さい。蓋体30が、セラミック枠部材32を備えている場合であれば、セラミック枠部材32の窓部を塞いで接合することのできる寸法であり、セラミック枠部材32の内寸より大きく、セラミック枠部材32の透光性部材33が接合される面の外寸より小さい。
透光性部材33は、例えば、上記のような透光性材料からなる大型の板材を切断して所定の大きさの矩形状の板材(以下、矩形板体とも呼ぶ。)に加工することで作製される。例えば、大型の板材の主面に、レーザーやダイシング等で溝を形成し、溝に機械応力や熱応力を加えることで切断することができる。この切断により得た矩形板体の側面は、ほぼ平面で形成されたものとなる。このまま透光性部材33として使用してもよいが、矩形板体の両主面と側面のなす直角の角部、側面同士のなす直角に対して45°の角度で角部を研磨によってC面を形成した場合には、角部に欠けが発生し難くなり、透光性部材33に応力が加わった場合にも割れ難くなる。
透光性部材33は、上記のような材料の板材の表面に、反射防止膜、光学フィルター膜等の光学膜を備えるものとすることできる。このような光学膜は、例えば誘電体の薄膜で形成することができ、誘電体の種類や組み合わせ、層数を設定することで所定光学特性を有するものとなる。また、例えば光の入射あるいは出射角度を制限するための遮光膜を設けることもできる。金属枠部材31またはセラミック枠部材32の内寸を調節することで遮光膜として機能させることもできる。
蓋体30が、セラミック枠部材32を備えている場合のセラミック枠部材32は、例えば、セラミック基板1と同様のセラミック材料からなるものである。セラミック枠部材32の外寸は金属枠部材31の内寸より大きく外寸より小さいものである。図10および図11に示す例のセラミック枠部材32は、金属枠部材31に接合されている面(上面)とは反対側の面(下面)と内側面との間の角部が切りかかれて段差面を有する、縦断面形状がL字型(かぎ型)の枠体であるが、断面形状が矩形の平板枠状のセラミック枠部材32とすることもできる。縦断面形状がL字型であると、透光性部材33とセラミック枠部材32との接合面積を増やすことができる。
セラミック枠部材32が、例えば、酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、以下のようにして作製することができる。まず、アルミナ(Al2O3)またはシリカ(SiO2)、カルシア(CaO)、マグネシア(MgO)等の原料粉末に適当な有機溶剤、溶媒等を添加混合して泥漿状とし、これを周知のスプレードライ法等を用いて顆粒を作製する。次に、この顆粒を周知の乾式プレス法を用いて、上記したような形状の成形体を得る。その後、この成形体を、例えば、約1600(℃)の温度で焼成することによりセラミック枠部材32が製作される。
蓋体30がセラミック枠部材32を備えていない場合には、金属枠部材31と透光性部材33とはガラスで接合することができる。
蓋体30がセラミック枠部材32を備えている場合には、例えば、金属枠部材31とセラミック枠部材32とは活性金属を含むろう材で接合し、セラミック枠部材32と透光性部材33とはガラスで接合することができる。
上記のようなパッケージ40のセラミック回路基板10に電子部品20を搭載することで、図16および図17に示す例のような電子装置100となる。
電子部品20は、例えばCCD(Charged-Coupled Device)およびCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子、光スイッチおよびミラーデバイス等のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)素子、レーザーダイオード(LD;Laser Diode)およびLED(Light Emitting Diode)等の発光素子のような光学素子である。電子部品20が、LDやLED発光素子である場合には、プロジェクターや自動車のヘッドライト等の光源となる。図16および図17に示す例では、3つの電子部品20が搭載されている。例えば、発光色がR(赤)、G(緑)、B(青)のように異なるものとすることができる。上記のようなセラミック回路基板10は放熱性に優れているので、ハイパワーで発熱量の大きい電子部品20を搭載するのに有利である。
電子部品20は、接合材(不図示)によってセラミック回路基板10の金属回路板2(中央の搭載金属板2a)に接合されて固定される。接合材は、例えば、はんだまたは銀ナノペーストを用いることができる。
電子部品20は、電子部品20の電極(不図示)と金属回路板2(外側の搭載金属板2a)とは接続部材で電気的に接続される。接続部材としては、図16および図17に示す例のような、ボンディングワイヤ21が用いられ、例えば、銅もしくはアルミニウム製のものを用いることができる。
金属枠体3の内側の金属回路板2(搭載金属板2a)に電子部品20が搭載された後、セラミック回路基板10の金属枠体3(の第1枠部3a)と蓋体30(の金属枠部材31)とが接合されて、金属枠体3の内側に収容された電子部品20が気密に封止される。この接合は、例えばシームウエルドによって行なわれる。蓋体30の金属枠部材31を金属枠体3の第1枠部3aにローラーで押さえつけながら電流を印加して接合する。このとき、金属枠体3が変形しやすく接合される蓋体30は変形し難いので、気密封止性および光学特性に優れた電子装置100となる。