図1は、音声出力制御装置2を搭載する車両1の構成を示す図である。車両1は、運転者を含む乗員が搭乗し、運転者が運転可能な車両である。車両1は、例えばエンジン駆動の四輪車両や、モーター駆動式の電動車両、モーター及びエンジンを搭載したハイブリット車両等の車両である。なお、車両1は、四輪車両以外の車両でもよい。
音声出力制御装置2は、車内に対する音声出力の制御、及びこの音声出力の制御に伴う制御を少なくとも実行する装置である。音声出力制御装置2は、専用装置であってもよく、ナビゲーション機能を有するナビゲーション装置の機能の一部として構成されてもよい。
音声出力制御装置2は、制御部20と、記憶部21とを備える。
制御部20は、ハードウェアとしてCPU、ROM、RAM及びその他の周辺回路(いずれも不図示)を備え、音声出力制御装置2の各部を制御する。CPUは、演算処理を実行するプロセッサーであり、ROMや記憶部21が記憶する制御プログラム21Aに従って演算処理を実行する。ROMは、不揮発性のメモリーであり、例えば、制御プログラム21Aや演算データを記憶する。RAMは、プロセッサーが実行する制御プログラム21Aや演算データを一時記憶するワークエリアとして使用される。
制御部20は、機能ブロックとして、情報取得処理部200と、音声生成部201とを備える。情報取得処理部200は、取得した各種情報に基づいて各種処理を実行する機能部であり、機能ブロックとして、位置情報取得部200A、天気情報取得部200B、地図情報取得部200C、車速情報取得部200D、及び出力制御部200E(出力部)とを備える。制御部20、及び情報取得処理部200の各機能ブロックは、CPUが制御プログラム21Aに従って演算処理を実行することで実現される機能をブロックとして便宜的に示したものであり、特定のアプリケーションソフトウェアやハードウェアを示すものではない。各機能ブロックについては、後述する。
記憶部21は、ハードディスクや、EEPROM等の不揮発性メモリーを備え、データを書き換え可能に記憶する。記憶部21は、RAM等の揮発性メモリーを含んでもよい。記憶部21は、上記制御プログラム21Aを記憶する。
音声出力制御装置2には、ネットワーク通信部3、GPS受信部4、車速センサー5、相対方位検出部6、記憶装置7、タッチパネル8、座席振動発生部9(振動発生部)、及び、車内音声出力部10(出力部)が接続する。
ネットワーク通信部3は、所定の通信規格に従った通信に必要なハードウェアを備え、電話網やインターネット等により構成されたグローバルネットワークGNに接続する機器と通信する。
GPS受信部4は、GPSアンテナ(不図示)を介してGPS衛星から送信されるGPS信号を周期的に受信する。そして、GPS受信部4は、受信したGPS信号に基づいて、車両1とGPS衛星間の距離及び距離の変化率を所定数以上の衛星に対して測定することにより、車両1の現在位置(緯度、経度)を算出する。GPS受信部4は、車両1の現在位置を示す現在位置情報を音声出力制御装置2に出力する。また、GPS受信部4は、車両1の進行方向の方角(以下、「方位」という)を算出し、車両1の方位を示す方位情報を音声出力制御装置2に出力する。
車速センサー5は、車軸の単位時間当たりの回転数を検出し、検出した回転数に基づいて車両1の車速を周期的に取得する。車速センサー5は、検出した車両1の車速を示す車速情報を音声出力制御装置2に出力する。
相対方位検出部6は、ジャイロセンサー61と、加速度センサー62とを備える。ジャイロセンサー61は、例えば振動ジャイロにより構成され、車両1の相対的な方位(例えば、ヨー軸方向の旋回量)を検出する。加速度センサー62は、車両1に作用する加速度(例えば、進行方向に対する車両1の傾き)を検出する。相対方位検出部6は、検出結果を音声出力制御装置2に出力する。
記憶装置7は、ハードディスクや、EEPROM、SSD等の不揮発性メモリーを備え、データを書き換え可能に記憶する。記憶装置7は、地図データ71を記憶する。
地図データ71は、道路地図情報(地図情報)や、各種施設等の施設情報、マップマッチング用のデータ等を格納するデータである。道路地図情報は、地図上の道路を線で表現した道路ネットワークからなり、交差点や分岐点等をノードとして複数の部分に分割し、各ノード間の部分をリンクとして規定したリンク情報を含む。リンク情報は、リンク固有のリンクID、リンク長、リンクの始点及び終点の位置(経度、緯度)、リンクの方角、リンクに対応する道路の種別等の情報を含む。道路地図情報には、トンネル情報(トンネルに関する情報)が含まれる。トンネル情報には、トンネル400(図3参照)の全長を示す情報や、トンネル400の入口400A(図3参照)及び出口(図3参照)の位置を示す情報(緯度、経度)が含まれている。
タッチパネル8は、各種情報を表示する表示パネル81、及び、この表示パネルに重ねて、或いは一体に設けられたタッチセンサー82により構成される。
座席振動発生部9は、振動生成部91、振動用アンプ92、及び、運転席振動部93を備える。
運転席振動部93は、車両1の運転席のシート内部に配置されている。運転席振動部93は、振動を発するものであり、重低音を出力するサブウーハーと呼ばれるスピーカーを備えている。このスピーカーとしては、例えば接触面を振動させて音や振動の出力を行うエキサイタが例として挙げられる。
振動生成部91、及び振動用アンプ92は、運転席振動部93を振動させるための音源である振動信号を出力する。振動生成部91は、振動信号を生成するために必要なハードウェアを備え、音声出力制御装置2が指示した強度の振動信号を生成する。振動用アンプ92は、振動生成部91が生成した振動信号を、予め設定された増幅率で増幅し、増幅した振動信号を運転席振動部93に出力する。
車内音声出力部10は、音声ソース101、D/Aコンバーター102、ソース音声用プリアンプ103、擬似音声用プリアンプ104、ミキサー105、車内用アンプ106、及び、車内スピーカー107を備える。
音声ソース101としては、ディスク型記憶媒体に記憶された音声データを再生するディスクプレーヤーや、ラジオ放送を受信するラジオ受信ユニット、音声データを記憶したUSBメモリー等の記憶媒体や記憶装置、音声の再生機能を備えた携帯型の装置等が挙げられる。
D/Aコンバーター102は、音声ソース101から出力される音声信号をデジタル信号からアナログ信号に変換する。以下、音声ソース101から出力される音声信号を、「ソース音声信号」といい、ソース音声信号に基づく音声(第2音声)を、「ソース音声」という。ソース音声は、車両1の乗員が車内で流す楽曲等の音声である。
ソース音声用プリアンプ103は、車内スピーカー107から出力するソース音声の音量が、車両1の乗員が設定した音量となるようにソース音声信号を増幅する。ソース音声用プリアンプ103は、車内用アンプ106が増幅したソース音声信号に基づくソース音声の音量が、車両1の乗員が設定した音量となるように、ソース音声信号を増幅する。ソース音声用プリアンプ103は、車両1の乗員が設定した音量に応じて増幅率を異ならせてソース音声信号を増幅する。
擬似音声用プリアンプ104は、音声生成部201から入力された擬似音声信号を、情報取得処理部200が設定した増幅率で増幅する。擬似音声信号は、音声生成部201が生成した擬似音声(第1音声)を示す音声信号である。擬似音声とは、ある音声を擬似的に再現した音声であり、本実施形態では車両1内で聞こえる雨音を擬似的に再現した音声である。車両1内で聞こえる雨音とは、例えば車両1に触れた雨が立てる音や、路面に触れた雨が立てる音等である。
ミキサー105は、ソース音声用プリアンプ103から入力されるソース音声信号と、擬似音声用プリアンプ104から入力される擬似音声信号とを、出力制御部200Eが設定したミクシング割合で合成する。また、ミキサー105は、合成した音声信号である合成音声信号を車内用アンプ106に入力する。ミクシング割合については、後述する。
車内用アンプ106は、ミキサー105から入力された合成音声信号を予め設定された固定の増幅率で増幅する。
車内スピーカー107は、車内用アンプ106が増幅した合成音声信号に基づく合成音声を車内に出力する。
次に、制御部20の機能ブロックについて説明する。
情報取得処理部200は、上述した通り、位置情報取得部200A、天気情報取得部200B、地図情報取得部200C、車速情報取得部200D、及び出力制御部200Eとして機能する。
位置情報取得部200Aは、GPS受信部4から現在位置情報、及び方位情報を取得する。また、位置情報取得部200Aは、GPS受信部4の受信状況に応じて、相対方位検出部6の検出結果や、車速センサー5が検出した車両1の速度等に基づいて自立航法により車両1の現在位置を算出し現在位置情報を取得する。
天気情報取得部200Bは、グローバルネットワークGNに接続する天気情報提供サーバー300から、ネットワーク通信部3を介して天気情報を取得する。天気情報提供サーバー300とは、所定基準で区画された区画エリアごとに、少なくとも現在の天気を示す天気情報を提供するサーバーである。例えば、天気情報提供サーバー300が提供する天気情報には、天気の種類を示す情報や、降水確率を示す情報、雨天の場合には雨量を示す情報等が含まれる。
地図情報取得部200Cは、記憶装置7から地図データ71を読み込んで、車両1の現在位置周辺の道路地図情報を少なくとも地図データ71から取得する。なお、本実施形態では、地図情報取得部200Cが地図データ71から道路地図情報を取得する構成であるが、地図情報取得部200Cは車両1の外部から道路地図情報を取得する構成でもよい。この場合、地図情報取得部200Cは、ネットワーク通信部3により、地図データ71を記憶する所定のサーバーに現在位置情報を送信して、この所定のサーバーから少なくとも車両1の現在位置周辺の道路地図情報を取得する。
車速情報取得部200Dは、車速センサー5から車速情報を取得する。
出力制御部200Eは、音声生成部201が生成する擬似音声の音色を決定し、決定した音色を音声生成部201に指示して擬似音声を生成させる。また、出力制御部200Eは、擬似音声の音量を決定し、音声生成部201が生成した擬似音声を決定した音量で車内音声出力部10が出力するように、擬似音声用プリアンプ104の増幅率を設定する。
音声生成部201は、出力制御部200Eが指示した音色の擬似音声となるように擬似音声信号を生成する。例えば、音声生成部201は、擬似音声信号を生成するための音声データを記憶装置7等から1又は複数取得し、出力制御部200Eが指示した音色の擬似音声となるように取得した音声データを適宜加工する。そして、音声生成部201は、加工した音声データをアナログ変換して擬似音声信号を擬似音声用プリアンプ104に出力する。なお、音声生成部201の生成方法は、あくまで一例であっていずれの生成方法を採用できる。
次に、音声出力制御装置2の動作について説明する。
図2は、本実施形態に係る音声出力制御装置2の動作を示すフローチャートである。
音声出力制御装置2の情報取得処理部200の各部は、対応する情報を取得する(ステップSA1)。
すなわち、位置情報取得部200Aは、GPS受信部4から現在位置情報と方位情報とを取得する。
また、天気情報取得部200Bは、天気情報提供サーバー300から天気情報を取得する。例えば、天気情報取得部200Bは、車両1の現在位置を基準として所定範囲内に含まれる区画エリア全ての天気情報を取得する。この所定範囲は、事前に設定されている。また、例えば、車両1が走行予定の経路が定まっている場合、天気情報取得部200Bは、この経路を含む区画エリア全ての天気情報を取得する。
また、地図情報取得部200Cは、位置情報取得部200Aが取得した現在位置情報に基づいて、車両1の現在位置周辺の道路地図情報を取得する。車両1の現在位置周辺の道路地図情報とは、車両1の現在位置を基準として所定範囲に含まれる道路地図情報である。この所定範囲は、事前に設定されている。
また、車速情報取得部200Dは、車速センサー5から車速情報を取得する。
次いで、情報取得処理部200の出力制御部200Eは、車両1がトンネル400(図3参照)に進入したか否かを判別する(ステップSA2)。
例えば、出力制御部200Eは、位置情報取得部200Aが取得した現在位置情報及び方位情報と、地図情報取得部200Cが取得した道路地図情報が含むトンネル情報と、に基づいてステップSA2の判別を行う。出力制御部200Eは、車両1の進行方向にトンネル400の入口400Aがあり、車両1の現在位置とトンネル400の入口400Aとの離間距離が所定距離(例えば0.5メートル)以下である場合に車両1がトンネル400に進入したと判別する(ステップSA2:YES)。
車両1がトンネル400に進入していないと判別した場合(ステップSA2:NO)、情報取得処理部200は、再度、ステップSA1の処理を実行する。
一方で、車両1がトンネル400に進入したと判別した場合(ステップSA2:YES)、出力制御部200Eは、進入したトンネル400の出口400B周辺の天気が雨天であるか否かを判別する(ステップSA3)。
トンネル400の出口400B周辺とは、出口400Bの位置(緯度、経度)を基準として予め設定された範囲を示し、入口400Aを含まない。なお、トンネル400の出口400B周辺が示す範囲は、範囲内において天気が異ならないことが好ましい。例えば、出力制御部200Eは、天気情報取得部200Bが取得した天気情報、及び地図情報取得部200Cが取得した道路地図情報が含むトンネル情報に基づいてステップSA3の判別を行う。出力制御部200Eは、天気情報取得部200Bが取得した天気情報から、車両1が進入したトンネル400の出口400Bの位置を含む区画エリアの天気情報を特定する。そして、出力制御部200Eは、特定した天気情報が雨天を示す天気情報である場合、トンネル400の出口400B周辺の天気が雨天であると判別する(ステップSA3:YES)。
出力制御部200Eがトンネル400の出口400B周辺の天気が雨天でないと判別した場合(ステップSA3:NO)、音声出力制御装置2は、本処理を終了する。一方で、トンネル400の出口400B周辺の天気が雨天であると判別した場合(ステップSA3:YES)、出力制御部200Eは、擬似音声出力開始位置まで車両1がトンネル400を走行した否かを判別する(ステップSA4)。
擬似音声出力開始位置とは、車内スピーカー107による擬似音声の出力を開始する位置である。擬似音声出力開始位置は、トンネル400内の位置であって、トンネル400の入口400Aから出口400Bへ向かう方向に対し、トンネル400の出口400Bから所定距離手間側の位置である。この所定距離は、予め定められている。トンネル400内は、GPS信号の受信状況が悪いため、位置情報取得部200Aは、自立航法により車両1の現在位置を算出して現在位置情報を取得する。出力制御部200Eは、算出した現在位置情報、及び車速情報に基づいてトンネル400内の走行距離を算出し、トンネル400の全長から算出した走行距離を減算する。そして、出力制御部200Eは、減算結果が上記所定距離以下である場合、車両1が擬似音声出力開始位置までトンネル400を走行したと判別する(ステップSA4:YES)。
次いで、出力制御部200Eは、擬似音声出力開始位置まで車両1がトンネル400を走行していないと判別した場合(ステップSA4:NO)、処理をステップSA4に戻す。
一方で、出力制御部200Eは、擬似音声出力開始位置まで車両1がトンネル400を走行したと判別した場合(ステップSA4:YES)、擬似音声を出力する旨を示す情報をタッチパネル8に表示させる(ステップSA5)。これにより、車両1の乗員は、車内で聞こえる音声が、擬似音声であるのか実際に車両1内で聞こえる雨音であるのかを認識できる。
次いで、出力制御部200Eは、擬似音声の出力を開始するアナウンス音を車内スピーカー107により出力させる(ステップSA6)。これにより、出力制御部200Eは、擬似音声の出力が突然開始したことによる不快感を、車両1の乗員に与えることがない。
次いで、出力制御部200Eは、音声生成部201が生成する擬似音声信号に基づく擬似音声の音色を決定する(ステップSA7)。音色は、擬似音声の特性の一つである。
音色は、種々のパラメーターによって決定づけられている。その一つとして、各周波数成分の音圧レベルが挙げられる。例えば、雨量が多ければ多いほど、車内で聞こえる雨音は、低周波成分の音圧レベルが高くなる。また、例えば、車両1の速度が早ければ早いほど、車両1内で聞こえる雨音は、高周波成分の音圧レベルが高くなる。出力制御部200Eは、ステップSA7において、天気情報が示す雨量、及び車速情報取得部200Dが取得する車速情報が示す車両1の速度に応じて、擬似音声の各周波数成分の音圧レベルを決定する。決定方法は、所定のアルゴリズムを用いて算出する方法でもよいし、雨量、及び車速に対応した各周波数成分の音圧レベルを示す情報を格納するデータベースを参照する方法でもよい。
次いで、出力制御部200Eは、車両1の現在位置からトンネル400の出口までの距離に応じたミクシング割合を決定する(ステップSA8)。ステップSA8において、出力制御部200Eは、車両1の現在位置からトンネル400の出口400Bの位置までの距離が小さくなればなるほど、擬似音声の音量が上げソース音声の音量を下げるミクシング割合を決定する。
ミクシング割合とは、ミキサー105が合成音声信号を生成する際に利用するソース音声信号の強度の割合であって、ソース音声用プリアンプ103が出力するソース音声信号の強度を100とした場合、この100に対するソース音声信号の強度の割合である。また、ミクシング割合とは、ミキサー105が合成音声信号を生成する際に利用する擬似音声信号の強度の割合であって、擬似音声用プリアンプ104が出力する擬似音声信号の強度を100とした場合、この「100」に対する擬似音声信号の強度の割合である。
車両1の現在位置からトンネル400の出口までの距離に応じたミクシング割合については、後に例を挙げて説明する。
例えば、出力制御部200Eは、ステップSA8において、車両1の現在位置からトンネル400の出口400Bまでの距離に応じたミクシング割合を格納するデータベースを参照して、ミクシング割合を決定する。
次いで、出力制御部200Eは、擬似音声用プリアンプ104の増幅率を決定する(ステップSA9)。一般に、雨量が多ければ多いほど、車内で聞こえる雨音の音量は大きくなる。また、車両1の速度が大きければ大きいほど、単位時間当たりに車両1に触れる雨粒の数が増えるため、車両1内で聞こえる雨音の音量は大きくなる。出力制御部200Eは、ステップSA9において、天気情報が示す雨量が多くなればなるほど、或いは車速情報取得部200Dが取得する車速情報が示す車両1の速度が大きくなればなるほど、決定する増幅率を高くする。決定方法は、所定のアルゴリズムを用いて算出する方法でもよいし、雨量、及び車速に応じた増幅率を示す情報を格納したデータベースを参照する方法でもよい。
次いで、音声出力制御装置2の制御部20の音声生成部201は、ステップSA7で出力制御部200Eが決定した音色の擬似音声を示す擬似音声信号を生成する(ステップSA10)。
音声生成部201が擬似音声信号を生成すると、出力制御部200Eは、ステップSA8で決定したミクシング割合をミキサー105に設定し、また、ステップSA9で決定した増幅率を擬似音声用プリアンプ104に設定する(ステップSA11)。そして、出力制御部200Eは、音声生成部201に生成した擬似音声信号を擬似音声用プリアンプ104に出力させて、車内スピーカー107に合成音声を車内に出力させる(ステップSA12)。
次いで、出力制御部200Eは、態様切替位置まで車両1がトンネル400を走行した否かを判別する(ステップSA13)。態様切替位置については、後に詳述するが、本実施形態ではトンネル400の出口400Bの位置である。出力制御部200Eは、態様切替位置まで車両1がトンネルを走行してないと判別した場合(ステップSA13:NO)、処理をステップSA7に戻し、再度ステップSA7からステップSA13の処理を実行する。
図3は、ミクシング割合と車両1の現在位置との関係を示す図である。
図3で例示するトンネル400は、入口400Aから出口400Bまで真っ直ぐなトンネル400である。図3の例では、トンネル400の入口400A周辺の天気が「晴れ」であり、出口400B周辺の天気が「雨天」である。また、図3の例では、車両1が入口400Aからトンネル400に進入してトンネル400内を走行し、出口400Bからトンネル400を退出する場合を示している。図3の例において、車両1の進行方向は、図中左から右に向かう方向である。
車両1の現在位置が位置I1である場合、ミキサー105は、ソース音声のミクシング割合を「100%」とし、擬似音声のミクシング割合を「0%」として合成音声信号を生成する。位置I1は、トンネル400外の位置であって、車両1の進行方向に対して入口400Aより手間側の位置である。位置I1では、擬似音声のミクシング割合を「0%」としているが、擬似音声は生成されていない。なお、位置I1における合成音声信号は、ソース音声信号であり、車内スピーカー107が出力する合成音声は、ソース音声である。
車両1が入口400Aからトンネル400内に進入し、車両1が擬似音声開始位置である位置I2まで走行すると、ミキサー105は、ソース音声のミクシング割合を「50%」とし、擬似音声のミクシング割合を「50%」として合成音声信号を生成する。この場合、ミクシング割合は同じであるが、ソース音声と擬似音声との音量は、各プリアンプの増幅によるため同じであるとは限らない。
車両1が位置I2から出口400Bへ向かってトンネル400内をさらに進行し、車両1が位置I3まで走行した場合、ミキサー105は、ソース音声のミクシング割合を「20%」とし、擬似音声のミクシング割合を「80%」として合成音声信号を生成する。
車両1が位置I3から出口400Bへ向かってトンネル400内をさらに進行し、車両1が出口400Bの位置I4まで走行した場合、ミキサー105は、ソース音声のミクシング割合を「0%」とし、擬似音声のミクシング割合を「100%」として合成音声信号を生成する。なお、位置I4における合成音声信号は、擬似音声信号であり、車内スピーカー107が出力する合成音声は、擬似音声である。
図3では、位置I2、I3、I4の三か所のミクシング割合を示しているが、これは、擬似音声出力開始位置から出口400Bまで三段階で異ならせることを示しているわけではない。図3では、あくまでの各位置におけるミクシング割合を例示しているだけである。車両1が擬似音声出力開始位置から出口400Bまで走行する際、ステップSA7~ステップSA13の処理が複数回行われるため、ミクシング割合は、車両1の走行に伴ってリニアに変化していく。変化態様は、図3に示すように、車両1がトンネル400の出口400Bに近づくに連れて擬似音声のミクシング割合を上げてソース音声のミクシング割合を下げる態様である。これにより、車両1がトンネル400の出口400Bに近づくに連れて、擬似音声の音量は上がっていき、ソース音声の音量は下がっていく。
このように、出力制御部200Eは、車両1が擬似音声出力開始位置まで走行したと判別し、且つ、トンネル400の出口400B周辺が雨天であると判別した場合、車内音声出力部10に擬似音声を出力させる。これにより、出力制御部200Eは、車両1がトンネル400から退出する前に、出口400B周辺が雨天であることを車両1の乗員に認識させることができる。特に、雨音を擬似した擬似音声を出力するため、出力制御部200Eは、出口400B周辺が雨天であることを直感的に車両1の乗員に認識させることができる。
また、出力制御部200Eは、擬似音声の特性を所定の態様で変化させて車内音声出力部10に擬似音声を出力させる。ここでいう特性とは、音量である。すなわち、出力制御部200Eは、車両1がトンネル400の出口400Bに近づくに連れて擬似音声の音量を上げていき、ソース音声の音量を下げていく。出力制御部200Eは、車両1がトンネル400の出口400Bに近づくに連れて擬似音声の音量を上げていくことで、雨天の出口400Bに車両1が近づいていることを直感的に車両1の乗員に認識させることができる。また、徐々に擬似音声の音量を上げていくことで、車両1の乗員に、ある音量での突然の出力に起因した不快感を与えることを抑制できる。
また、出力制御部200Eは、車両1がトンネル400の出口400Bに近づくに連れてソース音声の音量を下げていくことで、擬似音声を確実に車両1の乗員に聴取させることができる。また、徐々にソース音声の音量を下げていくことで、突然のソース音声の出力停止に起因した不快感を、車両1の乗員に与えることを抑制できる。
また、出力制御部200Eは、擬似音声の特性を所定の態様で変化させて車内音声出力部10に擬似音声を出力させる。ここでいう特性とは、音質である。前述した通り、出力制御部200Eは、天気情報が示す雨量、及び車速情報取得部200Dが取得する車速情報が示す車両1の速度に応じて、擬似音声の各周波数成分の音圧レベルを決定する。したがって、出力制御部200Eは、トンネル400を退出する際、車両1の速度に応じて各周波成分の音圧レベルを変えて擬似音声の音色を変えていく。これにより、出力制御部200Eは、車両1の速度に応じて、実際に車内で聞こえる雨音を適切に擬似音声で再現できる。そのため、実際に車内で聞こえる雨音の音色と擬似音声の音色とが乖離し、擬似音声の音色で車両1の乗員が違和感を抱くことを抑制できる。
また、出力制御部200Eは、ステップSA9において、車両1の速度に応じて、擬似音声用プリアンプ104の増幅率を決定している。したがって、擬似音声出力開始から出口400BまでにステップSA7~ステップSA13の処理が複数回行われるため、出力制御部200Eは、車両1の速度に応じてリニアに擬似音声用プリアンプ104の増幅率を決定している。つまり、出力制御部200Eは、車両1の速度に応じて擬似音声の音量を変化させている。例えば、図3の場合、位置I4における車速がある速度より速い場合、出力制御部200Eは、ある速度における増幅率より高い増幅率をステップSA9で決定する。なお、ミクシング割合が同じであっても擬似音声用プリアンプ104の増幅率が異なれば、車内スピーカー107が出力する擬似音声の音量は異なる。前述した通り、車両1の速度が大きければ大きいほど、単位時間当たりに車両1に触れる雨粒の数が増えるため、車両1内で聞こえる雨音の音量は大きくなる。したがって、出力制御部200Eは、車両1の速度が大きくなればなるほど、高い増幅率を決定するため、実際に車内で聞こえる雨音を適切に擬似音声で再現できる。
図2に示すフローチャートの説明に戻り、出力制御部200Eは、態様切替位置まで車両1がトンネル400を走行した否かを判別する(ステップSA13)。
態様切替位置とは、ソース音声、及び擬似音声のミクシング割合の変化態様を両者で切り替える位置であり、本実施形態ではトンネル400の出口400Bの位置である。本実施形態では、態様切替位置をトンネル400の出口400Bの位置(図3では、位置I4)としているが、態様切替位置は、トンネル400の出口400Bの位置に限定されない。例えば、態様切替位置は、出口400B周辺において雨天により路面状態が変化する位置であればよい。態様切替位置は、事前のテストやシミュレーション等によって予め定められ、地図データ71内、記憶装置7、或いは記憶部21に情報として記憶されている。
次いで、出力制御部200Eは、態様切替位置まで車両1がトンネル400を走行してないと判別した場合(ステップSA13:NO)、処理をステップSA7に戻す。一方で、態様切替位置まで車両1がトンネル400を走行したと判別した場合(ステップSA13:YES)、出力制御部200Eは、ステップSA7と同様に、音声生成部201が生成する擬似音声信号に基づく擬似音声の音色を決定する(ステップSA14)。
次いで、出力制御部200Eは、トンネル400の出口400Bの位置から車両1の現在位置までの距離に応じたミクシング割合を決定する(ステップSA15)。ステップSA15において、出力制御部200Eは、トンネル400の出口400Bの位置から車両1の現在位置までの距離が大きくなればなるほど、擬似音声の音量が下がりソース音声の音量があがるミクシング割合を決定する。
例えば、出力制御部200Eは、ステップSA15において、車両1から出口400Bまでの距離に応じたミクシング割合を格納するデータベースを参照して決定する。
次いで、出力制御部200Eは、ステップSA9と同様に、擬似音声用プリアンプ104で擬似音声信号を増幅する増幅率を決定する(ステップSA16)。
次いで、音声出力制御装置2の制御部20の音声生成部201は、ステップSA14で出力制御部200Eが決定した音色の擬似音声を示す擬似音声信号を生成する(ステップSA17)。
音声生成部201が擬似音声信号を生成すると、出力制御部200Eは、ステップSA15で決定したミクシング比率をミキサー105に設定し、また、ステップSA17で決定した増幅率を擬似音声用プリアンプ104に設定する(ステップSA18)。そして、出力制御部200Eは、音声生成部201に生成した擬似音声信号を擬似音声用プリアンプ104に出力させて、車内スピーカー107に合成音声を車内に出力させる(ステップSA19)。
次いで、出力制御部200Eは、擬似音声出力停止位置まで車両1が走行した否かを判別する(ステップSA20)。
擬似音声出力停止位置とは、車内スピーカー107による擬似音声の出力を停止する位置である。擬似音声出力停止位置は、トンネル400外の位置であって、トンネル400の出口400Bから車両1が走行する経路が延びる方向において、出口400Bから所定距離離れた位置である。出力制御部200Eは、車両1がトンネル400を退出すると、車両1の現在位置からトンネル400の出口400Bまでの離間距離が所定距離以上であると判別した場合、擬似音声出力停止位置まで車両1が走行したと判別する(ステップSA20:YES)。ステップSA20では、ステップSA4と同様に判別する。
出力制御部200Eは、擬似音声出力停止位置まで車両1が走行してないと判別した場合(ステップSA20:NO)、処理をステップSA14に戻し、再度ステップSA14からステップSA20の処理を実行する。
図3では、車両1が、態様切替位置である出口400Bの位置I4からトンネル400を退出して位置I5まで走行した場合、ミキサー105は、ソース音声の強度の割合を「50%」とし、擬似音声の強度の割合を「50%」として合成音声信号を生成する。
車両1が位置I5から擬似音声出力停止位置である位置I6まで走行した場合、ミキサー105は、ソース音声の強度の割合を「100%」とし、擬似音声の強度の割合を「0%」として合成音声信号を生成する。位置I6における合成音声信号は、ソース音声信号であり、車内スピーカー107が出力する合成音声は、ソース音声である。
図3では、位置I4、I5、I6の三か所のミクシング割合を示しているが、これは、出口400Bから擬似音声出力停止位置まで三段階で異ならせることを示しているわけではない。図3では、あくまでの各位置におけるミクシング割合を例示しているだけである。車両1が出口400Bから擬似音声出力停止位置まで走行する際、ステップSA14~ステップSA20の処理が複数回行われるため、ミクシング割合は、リニアに変化していく。変化態様は、図3に示すように、車両1がトンネル400の出口400Bを遠ざかるに連れて擬似音声のミクシング割合を下げてソース音声のミクシング割合を上げる態様である。これにより、車両1がトンネル400の出口400Bから遠ざかるに連れて、擬似音声の音量は下がっていき、ソース音声の音量は上がっていく。
このように、出力制御部200Eは、車両1がトンネル400を退出した後、トンネル400の出口400Bから遠ざかるに連れて擬似音声の音量を下げていき、ソース音声の音量を上げていく。出力制御部200Eは、車両1がトンネル400の出口400Bから遠ざかるに連れて擬似音声の音量を下げていくことで、著しい音量低下に起因した不快感を車両1の乗員に与えることがない。また、出力制御部200Eは、車両1がトンネル400の出口400Bから遠ざかるに連れてソース音声の音量を上げていくため、ある音量で突然ソース音声が出力されたことによる不快感を、車両1の乗員に与えてしまうことを抑制できる。
図2に示すフローチャートの説明に戻り、出力制御部200Eは、擬似音声出力停止位置まで車両1が走行したと判別した場合(ステップSA20:YES)、擬似音声を出力する旨を示す情報の表示を終了する(ステップSA21)。これにより、車両1の乗員は、車内スピーカー107による擬似音声の出力が終了したことを認識できる。
以上の説明では、トンネル400の出口400B周辺の天気が雨天であることを、音声で車両1の乗員に認識させる音声出力制御装置2の動作を説明した。この動作に加えて図4の動作をさらに実行することで、音声出力制御装置2は、より確実にトンネル400の出口400B周辺が雨天であることを運転者に認識させることができる。
図4は、音声出力制御装置2の動作を示すフローチャートである。音声出力制御装置2は、図4に示す動作を実行する際、図2に示す動作と並行して実行する。
図4のフローチャートにおいて、図2のフローチャートと同一のステップについては、同一のステップ番号を付し、その詳細な処理の説明を省略する。
出力制御部200Eは、擬似音声出力開始位置まで車両1がトンネル400を走行したと判別した場合(ステップSA1:YES)、運転席を振動させる旨を示す情報をタッチパネル8に表示させる(ステップSB1)。これにより、車両1の運転は、車両1が走行する路面状態に起因した実際の振動であるか否かを認識できる。
次いで、出力制御部200Eは、運転席の振動を開始するアナウンス音を車内スピーカー107により出力させる(ステップSB2)。これにより、出力制御部200Eは、上述した効果と同様の効果を奏する。
次いで、出力制御部200Eは、振動生成部91が生成する振動信号の強度を決定する(ステップSB3)。ステップSB3において、出力制御部200Eは、車両1の現在位置からトンネル400の出口までの距離に応じた振動信号の強度を決定する。
例えば、出力制御部200Eは、車両1の現在位置からトンネル400の出口400Bまでの距離に応じた振動信号の強度を示す情報を格納するデータベースを参照して、上記強度を決定する。
次いで、出力制御部200Eは、決定した強度で振動信号を生成するよう振動生成部91に指示し、座席振動発生部9により運転席に振動を発生させる(ステップSB4)。
次いで、出力制御部200Eは、態様切替位置まで車両1がトンネル400を走行した否かを判別する(ステップSA13)。出力制御部200Eは、態様切替位置まで車両1がトンネル400を走行してないと判別した場合(ステップSA13:NO)、処理をステップSB4に戻し、再度ステップSB4、SB5、SA13の処理を実行する。
出力制御部200Eは、車両1がトンネル400の出口400Bに近づくに連れて、振動生成部91に指示する振動信号の強度を上げていく。すなわち、ステップSB3において、出力制御部200Eは、車両1の現在位置からトンネル400の出口400Bまでの距離が短くなればなるほど、決定する振動強度を高めていく。この結果、運転席の振動は、車両1がトンネル400の出口400Bに近づくに連れて大きくなっていく。これにより、音声に加えて振動を運転席に発生させるため、出力制御部200Eは、より確実に、トンネル400の出口400Bが雨天であることを運転者に認識させることができる。さらに、車両1がトンネル400の出口400Bに近づくに連れて振動を大きくすることで、雨天の出口400Bに車両1が近づいていることをより確実に運転者に認識させることができる。また、出力制御部200Eは、徐々に振動を上げていくことで、ある強度での突然の振動発生に起因した不快感を、運転者に与えることがない。
図4に示すフローチャートの説明に戻り、出力制御部200Eは、態様切替位置まで車両1がトンネル400を走行した否かを判別する(ステップSA13)。態様切替位置まで車両1がトンネル400を走行したと判別した場合(ステップSA13:YES)、出力制御部200Eは、ステップSB3と同様に、トンネル400の出口400Bから車両1の現在位置までの距離に応じた振動信号の強度を決定する(ステップSB5)。
出力制御部200Eは、ステップSB5において、例えば、トンネル400から離れる方向に車両1が走行する場合における、車両1から出口400Bまでの距離に応じた振動信号の強度を示す情報を格納するデータベースを参照して決定する。
次いで、出力制御部200Eは、ステップSB5決定した強度で振動信号を生成するよう振動生成部91に指示し、座席振動発生部9により運転席に振動を発生させる(ステップSB6)。次いで、出力制御部200Eは、擬似音声出力停止位置まで車両1が走行した否かを判別する(ステップSA20)。出力制御部200Eは、擬似音声出力停止位置まで車両1が走行してないと判別した場合(ステップSA20:NO)、処理をステップSB5に戻し、再度ステップSB5、SB6、SB20の処理を実行する。
出力制御部200Eは、車両1がトンネル400の出口400Bから遠ざかるに連れて、振動生成部91に指示する振動信号の強度を下げていく。この結果、運転席の振動は、車両1がトンネル400の出口400Bに近づくに連れて小さくなっていく。
出力制御部200Eは、擬似音声出力停止位置まで車両1が走行したと判別した場合(ステップSA20:YES)、運転席を振動させる旨を示す情報の表示を終了する(ステップSB7)。
以上、説明したように、音声出力制御装置2は、車内に音声を出力する車内音声出力部10(出力部)を有する車両1に搭載される。音声出力制御装置2は、車両1の現在位置を示す現在位置情報を取得する位置情報取得部200Aと、天気を示す天気情報を取得する天気情報取得部200Bと、トンネル情報(トンネル400に関する情報)を含む道路地図情報(地図情報)を取得する地図情報取得部200Cと、雨音を擬似した擬似音声(第1音声)を生成する音声生成部201と、出力制御部200Eとを備えている。出力制御部200Eは、車両1がトンネル400内を出口400Bに向かって走行している際、現在位置情報、及び道路地図情報に基づいて車両1がトンネル400の出口400Bから所定距離手前の擬似音声出力開始位置まで走行したと判別し、且つ、道路地図情報、及び天気情報に基づいてトンネル400の出口400B周辺の天気が雨天であると判別した場合、擬似音声の音量、及び音色(特性)を所定の態様で変化させて車内音声出力部10に出力させる。
この構成によれば、車両1が擬似音声出力開始位置まで走行したと判別し、且つ、トンネル400の出口400B周辺が雨天であると判別した場合、車内音声出力部10に擬似音声を出力させことで、車両1がトンネル400を退出する前に、出口400B周辺が雨天であることを車両1の乗員に認識させることができる。特に、雨音を擬似した擬似音声を出力するため、出力制御部200Eは、出口400B周辺が雨天であることを直感的に車両1の乗員に認識させることができる。また、擬似音声の音量、及び音色を所定の態様で変化させて擬似音声を出力させるため、出力制御部200Eは、擬似音声の出力による不快感や違和感を車両1の乗員に与えてしまうことを抑制できる。
また、出力制御部200Eは、現在位置情報、及び地図情報に基づいて車両1がトンネル400の出口400Bに近づくに連れて擬似音声の音量を上げていく。
この構成によれば、車両1がトンネル400の出口400Bに近づくに連れて擬似音声の音量を上げていくことで、雨天の出口400Bに車両1が近づいていることを直感的に車両1の乗員に認識させることができる。また、出力制御部200Eは、徐々に擬似音声の音量を上げていくことで、突然の出力に起因した不快感を車両1の乗員に与えてしまうことを抑制できる。
出力制御部200Eは、車内音声出力部10がソース音声(第2音声)を出力している場合、ソース音声と共に擬似音声を車内音声出力部10に出力させる。出力制御部200Eは、現在位置情報、及び地図情報に基づいて、車両1がトンネル400の出口400Bに近づくに連れてソース音声の音量を下げていく。
この構成によれば、ソース音声を聴取しつつ擬似音声を聴取させることができる。また、出力制御部200Eは、車両1がトンネル400の出口400Bに近づくに連れてソース音声の音量を下げていくことで、擬似音声を確実に車両1の乗員に聴取させることができる。また、出力制御部200Eは、徐々にソース音声の音量を下げていくことで、突然の出力停止に起因した不快感を車両1の乗員に与えてしまうことを抑制できる。
また、音声出力制御装置2は、車両1の速度を示す車速情報を取得する車速情報取得部200Dをさらに備える。出力制御部200Eは、速度情報が示す車両1の速度に応じて擬似音声の音量(特性)を変化させる。
前述した通り、車両1の速度が大きければ大きいほど、単位時間当たりに車両1に触れる雨粒の数が増えるため、車両1内で聞こえる雨音の音量は大きくなる。したがって、この構成によれば、出力制御部200Eは、車両1の速度に応じて擬似音声の音量を変化させることができるため、車両1の速度に応じて実際に車内で聞こえる雨音を適切に擬似音声で再現できる。
また、車両1は、少なくとも運転席に振動を発生させる座席振動発生部9(振動発生部)を備える。出力制御部200Eは、車内音声出力部10に擬似音声を出力させると共に座席振動発生部9に振動を発生させる。
この構成によれば、擬似音声に加えて振動を運転席に発生させるため、運転者に、トンネル400の出口400Bが雨天であることをより確実に認識させることができる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び、応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、出口400B周辺が雨天であると判別した場合に、雨音を擬似した擬似音声を車内に出力する構成を例示した。しかしながら、例え出口400B周辺の天気が「雷」である場合に車内で聞こえる雷鳴を擬似した擬似音声を出力する等、種々の天気に対応させて、種々の環境音を擬似した擬似音声を出力する構成としてもよい。また、雨天である場合に出力する擬似音声は、雨音以外に車両1が水しぶきを上げる際に立てる音でもよい。また、擬似音声には、石畳や砂利等の所定の路面を走行する際に車内で聞こえる環境音を擬似した音声が含まれてもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、擬似音声の出力と共に運転席を振動させる構成を説明したが、助手席も後席も振動させる構成としてもよい。
また、例えば、上述した実施形態では、音声生成部201が生成する擬似音声は、車内に出力する音声である。しかしながら、音声生成部201は、車外に出力する擬似音声を生成してもよい。この構成の場合、車両1は、車外に擬似音声を出力するために、擬似音声用プリアンプ104、車内用アンプ106、及び車内スピーカー107と同様の構成を更に備える。なお、車外に出力する擬似音声は、雨音等の環境音ではなくエンジン音等の車両1の走行音を擬似的に再現した音声である。
また、例えば、本実施形態は、制御部20が一つのプロセッサー(CPU)を備え、このプロセッサーが制御プログラムに従った処理を実行することで制御部20の機能を実現するが、複数のプロセッサー又は半導体チップにより制御部20の機能を実現してもよい。例えば、制御部20が、SoC(System-on-a-Chip)やMCU(Micro Control Unit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の副処理装置(co-processor)をさらに備える構成であってもよい。また、制御部20は、CPU及び副処理装置の双方を協働させるか、あるいは双方のうちの一方を選択的に用いて各種の制御を行ってもよい。
また、例えば、図1は、本願発明を理解容易にするために、音声出力制御装置2の機能構成を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、音声出力制御装置2の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
また、例えば、図2、及び図4のフローチャートの処理単位は、音声出力制御装置2の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、本発明が限定されることはない。音声出力制御装置2の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割してもよい。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。