JP7039954B2 - 液体を吐出する装置 - Google Patents
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Description
ミストは装置内に拡散してマシンの駆動系を制御するセンサ等に付着して故障の原因となる。加えて、装置内に収容されている用紙に付着すると、印刷品質を損ねることにもつながる。
液体を吐出する装置100は、左右の側板123L、123Rに横架したガイドロッド122とガイドレール128とで、キャリッジ120を主走査方向(ガイドロッド長手方向)に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータとタイミングベルトによって、キャリッジ120をガイドロッド122の長手方向(主走査方向)に移動走査する。
キャリッジ120は、例えば、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色の液体を吐出する液体吐出ヘッド1を、複数の液体吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、液体吐出方向を下方に向けて装着している。
液体吐出ヘッド1は、図2に示すように発熱体基板2と液室形成部材3とから構成され、発熱体基板2に形成された供給路を介して共通流路7及び液室(個別流路)6に順次供給される液体を、ノズル5から吐出する。また、液体吐出ヘッド1は、発熱体4の駆動による液体の膜沸騰により吐出圧を得るサーマル方式のものであり、液室6内の吐出エネルギー作用部(発熱体部)への液体の流れ方向とノズル5の開口中心軸とを直角となしたサイドシューター方式の構成のものである。
なお、液体吐出ヘッド1としては、圧電素子を用いて振動板を変形させたり、静電力で振動板を変形させて吐出圧を得る方式など様々な方式があり、いずれの方式のものも本発明の一実施形態に適用することができる。
液体が貯留されている液体カートリッジ76には、液体供給チューブ16が接続されており、図示しない液体供給ポンプによって液体の消費に応じてヘッドタンク101に液体が供給されるようになっている。
維持回復装置31は、図1に示すように、主走査方向の一端部に設けられ、液体吐出ヘッド1のノズル5から液体を吸引したり、非印字時にノズル面を覆ってノズル5を保湿、保護するキャップ32を備える。
キャップ32は、図示しない吸引ポンプ、廃液チューブが接続されており、液体を液体吐出ヘッド1から吸引してノズル5の目詰まりを直せるようになっている。また、このノズル吸引の際にノズル面に付着した液体を払拭してノズル5にメニスカスを形成するワイパー部材(図示せず)も維持回復装置31に備えられている。
図1(b)、(c)に示すように、液体を吐出する装置100は、ファン50を駆動することにより、装置内部の空気を外部に排出する向きの気流が発生するように構成される。ファン50の上流側には、フィルタ51、ミスト吸引チューブ55、流路接続部材57を介して吸引ダクト56が接続されている。
吸引ダクト56は、キャリッジ120の主走査方向の両側面(移動方向の前方側および後方側の面)に備えられており、液体吐出ヘッド1のノズル面と同一の高さで印写ガイド部129に対向して開口する開口部56aを有する。
吸引ダクト56の開口部56aは、矩形状で、液体吐出ヘッド1の記録幅よりも長く開口している。
印字の際、ノズル5からは用紙に着弾して画像形成に寄与する主滴dの他に、主滴dより吐出速度が小さく用紙に着弾しないミストmが発生する。ミストmは、空気抵抗を受けて急速に吐出時の速度を失い、液体吐出ヘッド1およびキャリッジ120と用紙の間の空間の気流に流されて移動する。
図5において、液体吐出ヘッド1を装着したキャリッジ120は矢印C方向に移動している。従って、液体吐出ヘッド1およびキャリッジ120の下部には矢印Dで示す気流が形成されており、ミストは矢印D方向に流れる(図5(a))。液体を吐出する装置100は、キャリッジ120に隣接して吸引ダクト56を備えるので、液体吐出ヘッド1から発生したミストが随時、吸引ダクト56の開口部56aの直下に移動するため(図5(b))、ミストを吸引することができる(図5(c))。
実施形態1では、吸引ダクトに、慣性体を有する可動面を用いる一態様を説明する。
図6に、実施形態1の吸引ダクト56-1の構成例を示す。吸引ダクト56-1は、主にダクト本体58、カバー部材59およびマス部材60から構成される。図7は吸引ダクト56-1の分解説明図である。
ダクト本体58は、図7に示すように、2面が開口した箱状のものであり、内部に、接続流路56cを備える。接続流路56cは、流路接続部材57、ミスト吸引チューブ55を介してファン50に接続する(図1参照)。
吸引ダクト56-1は、図8に示す一点鎖線に示す位置で、カバー部材59をダクト本体58に固定することによって、ダクトを形成する。このとき、ダクト本体58とカバー部材59とは、同材質であると、熱溶着や超音波溶着などで簡易に固定できて好適である。
カバー部材59は、両側面に折り加工がなされているため、図9(a)の矢印Gで示す向きに揺動可能である。したがって、マス部材60がダクト本体58から離れると、ダクト開口面積が大きくなり、近づくとダクト開口面積が小さくなる。
キャリッジ120が矢印C方向に動くと、吸引ダクト56-1のマス部材60に慣性力が作用して揺動する。従って、移動方向に沿って、液体吐出ヘッド1より前方に位置する移動方向前側の吸引ダクト56-1Lは、開口面積(開口部56aの大きさ)が狭まり、液体吐出ヘッド1より後方に位置する移動方向後側の吸引ダクト56Rは、開口面積が広がる。
実施形態1において、2つの吸引ダクト56-1L、56-1Rは両方ともファン50に連通しており、同時に吸引されている。
しかし、図10を参照して説明したように、液体吐出ヘッド1の滴吐出によって発生したミストmを発生直後に吸引する、移動方向の後方に位置する吸引ダクト56-1の開口面積が大きくなる。その結果、キャリッジ120の移動方向の後方に位置する吸引ダクト56-1は、前方に位置する吸引ダクト56-1より吸引流量が増大するため、ミスト吸引効率が向上する。
また、液体を吐出する装置100内の空気の排出にポンプを使用する場合においても、吸引ダクト56-1の開口部56aの開口面積比に応じて吸引流量の比率が決まり、開口面積の大きい側の吸引流量が大きくなるので、吸引ダクト56-1のミスト吸引効率が向上する。
また、本実施形態では、吸引ダクト56-1の一壁面を変位可能な可動面にして、慣性力で可動面を変位させるという簡易な構成でミスト吸引効率を向上させることができる。
実施形態2では、可動面に、振子構造と慣性力とを用いる一態様を説明する。
図11は、実施形態2の吸引ダクト56-2の構成例を説明する図であり、(a)は吸引ダクト56-2の主要部断面を説明する図、(b)は吸引ダクト56-2の開口部56a側から見た底面図、(c)は、カバー部材を説明する図である。
吸引ダクト56-2は、カバー部材59の表面側に揺動板62を固定した構成とし、カバー部材および揺動板62は、可動面として働く。揺動板62は、両側面に支軸を備え、ダクト本体58の上部両側面に設けられた軸穴61に支軸を挿入し、揺動可能に構成されている。
吸引ダクト56-2を、図11に示すような剛体振子構成とすることにより、キャリッジ120走査時に揺動板62は、安定して揺動する。従って、吸引ダクト56-2は、開口部56aの大きさを、実施形態1の吸引ダクト56-1より確実に制御して、開口面積の大きさの変更を行うことができる。
また、実施形態1と同様に、変位可能な可動面を慣性力で変位させるようにしたので、簡易な構成でミスト吸引効率を向上させることができる。
実施形態3では、可動面の傾斜角度が変位して開口部の大きさを変化させる一態様を説明する。
図12は、実施形態3の吸引ダクト56-3の構成例を説明する図である。吸引ダクト56-3では図11と同様に揺動板63を備えているが、揺動板63は、図11の揺動板62よりも上部が延長して設けられている。揺動板63は、上端部に支軸が設けられ、リンク65に備えられた軸穴64に支軸を挿入して、リンク機構を形成している。軸穴61、64には高粘度グリスが塗布されており、キャリッジ120の走査によって作用する慣性力によってはリンク機構が変形しないようにされている。
図13は、実施形態3の吸引ダクト56-3の動作例を説明する図であり、(a)はキャリッジ120が矢印C方向に移動している時の状態を示す図、(b)はキャリッジ120が矢印H方向に移動している時の状態を示す図である。
図14は、液体を吐出する装置100-3内における実施形態3の吸引ダクト56-3の動作例を説明する図であり、(a)は、側板123Rから側板123Lの方向へ移動するときの吸引ダクト56-3を表し、(b)は、側板123Lから側板123Rの方向へ移動するときの吸引ダクト56-3を表す。
また、上述した図9や図11の吸引ダクトの構成例ではキャリッジ120の走査によって発生する慣性力を利用しているため、所定の走査速度を必要とするが、本実施形態ではキャリッジ120の走査速度が小さい場合や走査距離が長い場合でも左右の吸引ダクト56-3L、56-3Rの開口面積を所望の条件に設定することができる。
また、キャリッジの移動方向両側面に備えられた吸引ダクト56-3の各々の可動面が連動するようにしたので、より簡易な構成でミスト吸引効率を向上させることができる。
実施形態4では、二つの可動面の傾斜角度を独立して変位させる一態様を説明する。
図15は、実施形態4の吸引ダクトの構成例を説明する図である。図12の構成では左右の吸引ダクト56-3の揺動板63L、63Rが連動するものであったが、図15の構成における吸引ダクト56-4においては左右の揺動板67L、67Rは独立に変位できる構成となっている。
揺動板67の形状の一例を図16に示す。揺動板67は、吸引ダクト56-4にセットされている状態において上方になる部分に押圧部68を備える。図15の矢印K方向から見た吸引ダクトの形態を図17に示す。2枚の揺動板67L、67Rは押圧部68L、68Rが重ならない位置となるように各々の吸引ダクト56L、56Rにセットされる。
液体を吐出する装置100-4は、4つの押圧部材69a~69dが、液体を吐出する装置の上面側から底面側に向けて備えられている。押圧部材69a~69dは板ばねやマイラシートなどで形成される。押圧部材69a、69cは吸引ダクト56Lの押圧部68Lにのみ、押圧部材69b、69dは吸引ダクト56Rの押圧部68Rにのみ当接できるように液体を吐出する装置100-4の奥行き方向にずれた位置に設けられている。
左方向の走査による液吐出を終えて、キャリッジ120が左端に移動した状態を図18(b)に示す。この時、押圧部材69aが押圧部68Lを押圧し、押圧部材69bが押圧部68Rを押圧する。これにより、続く右方向への液吐出の走査で進行方向後方となる吸引ダクト56-4Lの開口面積が吸引ダクト56-4Rの開口面積よりも大きくなるので、液体吐出ヘッド1からの液体吐出に伴って発生するミストを発生直後に効率よく吸引することができる。
実施形態5では、可動面に磁性体を用いる一態様を説明する。
図19は、実施形態5の吸引ダクト56-5の構成例を説明する図であり、(a)は、図中右側の開口面積が大きい状態、(b)は、左側の開口面積が大きい状態を表す。
吸引ダクト56-5は、揺動板72を備える。揺動板72は、図20に示すように、吸引ダクト56-5にセットされている状態において上方になる部分に磁石70が設けられている。揺動板72は、図19に示すように磁石70の同極性同士が対面するようにそれぞれの吸引ダクト56-5に配置される。2つの磁石70L、70Rの間には電磁石71が配置される。
また、図19(b)のように電流の向きを逆にすると、電磁石71の磁極が反転するので、電磁石71と磁石70Rの間に斥力を作用させると同時に、電磁石71と磁石70Lの間に引力を作用させることができる。その結果、吸引ダクト56-5Lの開口面積を吸引ダクト56-5Rの開口面積よりも大きくすることができる。
図21の吸引ダクト56-6は、リンク65を備える構成例である。リンク65によって左右の揺動板74L、74Rが連動するので、磁石をいずれか一方の揺動板に設けるだけで左右の吸引ダクト56-6の開口条件を自在に切り替えることができる。図21は、磁石70Lを揺動板74Lに設けた構成例を示している。
図22の吸引ダクト56-7は、電磁石71を2つ備え、揺動板72をマルテンサイト系ステンレス等の磁性体とすると共に矢印M方向に付勢するばね73を備えれば、電磁石71に通電した場合に揺動板72との間に引力を発生させ開口面積を大きくすることができ、磁石不要とすることができる。
さらに、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
56、56-1~56-7 吸引ダクト
56a 開口部
58 ダクト本体
59 カバー部材
60 マス部材
61、64 軸穴
62、63、67、72、74 揺動板
65 リンク
66 加圧部材
68 押圧部
69 押圧部材
70 磁石
71 電磁石
100、100-3、100-4 液体を吐出する装置
120 キャリッジ
Claims (6)
- 液体を吐出する液体吐出手段と、
発生したミストを吸引するミスト吸引手段と、
前記液体吐出手段と前記ミスト吸引手段とを備え、所定の移動方向に移動する移動手段と、
を備え、
前記ミスト吸引手段は、前記移動方向において、前記移動手段の前方および後方に開口部を有し、
前記移動方向の後方に位置する前記開口部と前方に位置する前記開口部とは、前記移動手段が移動しているとき、開口面積が異なり、
前記開口部の少なくとも一部分は、変位可能な可動面で形成され、
前記可動面は、前記移動手段の移動に伴い変位して、前記開口部の大きさを変化させ、前記移動手段が所定の位置に移動することによって、傾斜角度が変位して、前記開口部の大きさを変化させることを特徴とする液体を吐出する装置。 - 前記ミスト吸引手段は、前記移動手段が移動するときに、前記移動方向の後方に位置する前記開口部の面積が、前方に位置する前記開口部の面積より大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
- 前記可動面は、慣性体を有し、前記移動手段が移動するときに、前記慣性体に作用する慣性力によって変位して前記開口部の大きさを変化させることを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
- 前記可動面は、振子構造を備え、前記移動手段が移動するときに、前記振子構造によって変位して前記開口部の大きさを変化させることを特徴とする請求項1または3に記載の液体を吐出する装置。
- 前記可動面は、磁性体を有し、前記移動手段が移動するときに、前記磁性体の磁力によって変位して前記開口部の大きさを変化させることを特徴とする請求項1に記載の液体を吐出する装置。
- 前記可動面は、前記移動方向の前方および後方の前記開口部を形成し、
前記移動方向の前方の前記開口部を形成する前記可動面と、後方の前記開口部を形成する前記可動面とは、連動して変位することを特徴とする請求項1または5に記載の液体を吐出する装置。
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