JP7039211B2 - 複合ケーブルの断線予測装置及び静電コーティング装置用高電圧電源装置 - Google Patents
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Description
(1)特許文献1に示すように、多芯ケーブルの信号の一つに、検出用途を兼ねた信号を用いるもの。
(2)特許文献2に示すように、断線検出用信号を多芯ケーブルの信号の一つに用い、多芯ケーブルの機械的寿命が短い検出線に断線検出用信号を印加するもの。
(3)特許文献3、4に示すように、ケーブルの抵抗値を観測し、撚り線の断線による抵抗値変化や電圧変化を検出するもの。
(4)特許文献5に示すように、複数の被覆された素線の部分的な断線を検出する手法として、部品として長さが決まった線路の断線率を検出する方式が知られている。
前記ケーブル線のうちの少なくとも1本は、複数の絶縁被覆された素線を用いた検出線であり、前記複合ケーブルは、一端において前記検出線と接続された基準線を有し、前記基準線は素線を相互に絶縁しないで束ねたものであり、
前記検出線と前記基準線との直列接続を含み、かつ前記直列接続が直列に挿入された1つの前記検出通電経路と、
基準電圧を発生する基準電圧発生源と、
前記基準電圧を前記検出通電経路に供給する電流制限抵抗と、
前記検出通電経路の電圧を検出する電圧検出手段と、を有し、
前記電圧検出手段で検出された前記検出通電経路の両端の検出電圧値の変化により前記検出線の断線率の増加を検出するものであって、
前記電圧検出手段は、前記検出線の両端の第一の電圧を検出する第一電圧検出手段と、前記基準線の両端の第二の電圧を検出する第二電圧検出手段と、を有し、
前記第一の電圧と第二の電圧の比率を用いて断線率を算出することを特徴とする。
前記複合ケーブルは、複数の絶縁被覆された素線を用いた検出線と、前記高電圧発生部において、前記検出線と接続された基準線とを有し、前記基準線は素線を相互に絶縁しないで束ねたものであり、
前記高電圧制御部は、
前記一次巻線に電圧を供給する第一の電源と、
基準電圧を発生する第二の電源と、
前記検出線及び前記基準線の直列接続を含む1つの検出通電経路に、前記基準電圧を供給する電流制限抵抗と、
前記検出線の両端の第一の電圧を検出する第一電圧検出手段と、
前記基準線の両端の第二の電圧を検出する第二電圧検出手段と、を有し、
前記高電圧制御部は、前記第一の電圧と第二の電圧の比率を用いて前記検出線の断線率を算出することを特徴とする。
切替手段により、前記第一の電源出力と前記第二の電源出力を切り替えて前記検出線に供給し、前記検出線と前記基準線は前記一次巻線への電源供給線を兼ねる構成であるとよい。
図1乃至図3で本発明の実施の形態1である静電コーティング装置用高電圧電源装置を説明する。図1に示す静電コーティング装置用高電圧電源装置は、高電圧を発生して噴射器(ガン)10に供給する高電圧発生部としての高電圧発生モジュール20と、高電圧発生モジュール20の出力を制御するとともに効率を最適化するための高電圧制御部30と、両者を接続するケーブル40とを有する。噴射器10は静電電位利用の塗装機器であって、荷電コーティング材料粒子を対象物に散布するものであり、高電圧発生モジュール20は通常、噴射器10のケーシング内に収納されているため、ケーブル40で高電圧制御部30と電気的に接続される。
続く計算のため、基準となる係数Rrefを求める。Kd=0%、L1=30m、T2=20℃として、式1に代入し、Rref=0.66Ω となる。
Kdが50%の場合のR1=1/(1-0.5)×Rref=2×0.66Ω
Kdが99%の場合のR1=1/(1-0.99)×Rref=100×0.66Ω
ケーブルの単位長さあたりの抵抗値は、例として温度20℃の場合0.022Ωであるので、
30m区間の抵抗値=0.022Ω×30m =0.66Ω
5mm区間の抵抗値=2.2Ω×0.005m =0.011Ω
このように、極めて断線率の大きい区間があっても、上記の計算では0.011Ω÷0.66Ω=1.67%の抵抗変化である。
断線率0%から50%のときのVc電圧変化より、RLは2Ω以下が適していることが分かる。この点から、RLが1Ωの場合も、ADコンバータの分解能の観点から適しているものの、基準電圧発生回路51の出力電流が1Aを超えることにより、基準電圧発生回路51の回路構成が大型化するため、RLは2Ωが適している。
(2)可動ケーブルとして用いられる集合ケーブル40は、その太さや重量により敷設時のケーブルの引き回しや交換時の保守性が大きく異なる。検出線401a及び基準線401bを構成するケーブル線は、高電圧発生モジュール20に接続する電源線を使用しており、ケーブル40の直径を増加することなく実施が可能である。ケーブル40の信号構成に追加が無いため、敷設時のケーブル40の引き回しや交換時の保守性を損なう事が無い。
(3)ケーブル長は、設置された工場内の配置により様々な線路長となるが、本実施の形態ではケーブル長の測定は必要無い。すなわち装置導入時の初期設定が容易である。
本発明は、より簡略化した回路構成で実現することも可能であり、この場合を図4に実施の形態2として示す。図4は、ケーブル線401a、401bにリッツ線などの複数の被覆された素線を用いて、専用の検出線として使用した構成である。図1に対して、検出線の構成が異なる部分のみ記載している。ケーブル線401a、401bは高電圧発生モジュール20側の端子211a、211bに接続されることで、基準電圧発生回路51が発生する基準電圧Vcによって、電流制限抵抗RL、高電圧制御部30側の端子311a、ケーブル線401a、高電圧発生モジュール20側の内部接続された端子211a、211b、ケーブル線401b、高電圧制御部30側の端子311bの経路で電流が流れる。
検出電圧Vdは式7となる。断線が進むにつれて、式7におけるケーブル線401aの抵抗値R1、基準線401bの抵抗値R2がそれぞれ変化するため、電圧VdはR1及びR2の断線率に応じて変化する。ケーブル401aとケーブル401bについて、それぞれの断線率が40%以下である場合には、ほぼ断線率の平均値で近似できる。
運転中に、式9によりRL/(2Rc)の値をVc、Vdの比より求め、これをKRcとする。
温度T2=40℃となり、Vd=1.55Vを測定し、KRc=1.13とする。
KRc÷KRref=RC/Rrefであり、更に既知のケーブルの温度係数Ka(=0.00393)を用いて、式12より、
Kd=1-(KRc/KRref)×(1+Ka(40℃-20℃))
=1-1.13/1.52×(1+Ka(40℃-20℃))=0.20
これは、R1の抵抗値が、ケーブル40の交換時に、温度T1=20℃において0.66Ω、断線が発生し、温度T2=40℃において0.89Ωに相当する。
(2)検出線は2本であり、ケーブル線の追加を少なくしてケーブル40の直径の増加を抑えることができ、敷設時のケーブル40の引き回しや交換時の保守性の影響が少ない。
(3)断線率検出に必要な初期設定値を、設置時の検出電圧と温度とし、予めケーブル長を求める事なく容易かつ短時間のセットアップが可能である。
(4)静電コーティング装置は大きな工場構内に設置され、ケーブル40の抵抗値は温度変化の影響を受けやすい傾向があるが、周囲温度を考慮して(温度センサ55で温度検出を行うことで)断線予測の精度を向上させることができる。
本発明に係る実施の形態3を図5を用いて説明する。この実施の形態3では、複数の被覆された素線からなる1本のケーブル線を検出線として用い、ケーブル40の信号追加を最少としている。図5のケーブル線401aはリッツ線などの複数の被覆された素線であり、高電圧発生モジュール20側の端子211aと高電圧制御部30側の端子311aとを接続している。また、集合ケーブル40のシールド部分401hは高電圧発生モジュール20側の端子211hと高電圧制御部30側の電圧コモン端子311h(アース端子)とを接続している。従って、基準電圧発生回路51が発生する基準電圧Vcによって、電流制限抵抗RL、高電圧制御部30側の端子311a、ケーブル線401a、高電圧発生モジュール20側の内部接続された端子211a、211h、シールド部分401h、高電圧制御部30側の端子312hの経路で電流が流れる。
前記の式7を変形して下記式13を得る。
シールド部分401hの断線率が極めて大きくない限り、R2は温度係数Kaにのみ依存する条件は、前記実施の形態1、2と同様である。
R2=Rref×(1+Ka(T2-T1))/N ・・・式14
式簡略化のため基準温度のときの係数KT0(=RL÷Rref÷N)を用いて式13を変形すると式15となる。
KT0・N= (Vc/Vd0-1)・(N+1)・・・式16
式15、16より、運転中に測定した温度T2と検出電圧Vdより、R1/R2を算出して、式17に代入することでKdを求める手順となる。
試算例として、検出線401aに直径0.1mmの素線を使用し、それぞれ絶縁被覆した100本を撚り線としたケーブル線を用いると、温度T1=20℃、Vc=3.3V、RL=2Ω、ケーブル長L=30mの場合、Vd0=1.01V、 KT0・N=9.07である。シールド部分の仕様によりN=3を用いている。
運転中に、温度T2とVdを測定して、式15によりR1/R2を求める。
温度T2=40℃となり、Vd=1.80V、R1/R2=9.09とすると、式17よりKd=0.67である。
これは、R1の抵抗値が、ケーブル40の交換時に、温度T1=20℃において0.66Ω、断線が発生し、温度T2=40℃において2.16Ωに相当する。
(2)検出線は1本であり、集合ケーブル40のシールド部分401hを戻りの電流路として用いているため、ケーブル40の直径の増加を抑えることができ、敷設時のケーブルの引き回しや交換時の保守性の影響が少ない。
(3)検出に必要な初期設定値を、設置時の検出電圧と温度とし、予めケーブル長を求める事なく容易かつ短時間のセットアップが可能である。
(4)静電コーティング装置は大きな工場構内に設置され、ケーブル40の抵抗値は温度変化の影響を受けやすい傾向があるが、周囲温度を考慮して(温度センサ55で温度検出を行うことで)断線予測の精度を向上させることができる。
20 高電圧発生モジュール
21 高圧トランス
22 電圧増倍回路
30 高電圧制御部
31、32 駆動回路
33、34 入力回路
35 可変制御安定化電源
40 ケーブル
401a~401g ケーブル線
401h シールド部分
50 マイコン
51 基準電圧発生回路
52 切替手段
53 温度値保持手段
54 電圧値保持手段
55 温度センサ
501 増幅回路
502 増幅回路
Claims (3)
- 2つの機器を相互に接続する、少なくとも2本以上のケーブル線を含む複合ケーブルの断線予測装置であって、
前記ケーブル線のうちの少なくとも1本は、複数の絶縁被覆された素線を用いた検出線であり、前記複合ケーブルは、一端において前記検出線と接続された基準線を有し、前記基準線は素線を相互に絶縁しないで束ねたものであり、
前記検出線と前記基準線との直列接続を含み、かつ前記直列接続が直列に挿入された1つの前記検出通電経路と、
基準電圧を発生する基準電圧発生源と、
前記基準電圧を前記検出通電経路に供給する電流制限抵抗と、
前記検出通電経路の電圧を検出する電圧検出手段と、を有し、
前記電圧検出手段で検出された前記検出通電経路の両端の検出電圧値の変化により前記検出線の断線率の増加を検出するものであって、
前記電圧検出手段は、前記検出線の両端の第一の電圧を検出する第一電圧検出手段と、前記基準線の両端の第二の電圧を検出する第二電圧検出手段と、を有し、
前記第一の電圧と第二の電圧の比率を用いて断線率を算出することを特徴とする複合ケーブルの断線予測装置。 - 静電的に荷電されるコーティング材料粒子を散布する静電コーティング装置に用いられる高電圧電源装置であって、
一次巻線及び二次巻線を有する高圧トランスと、前記二次巻線の誘起電圧を整流する高電圧整流器とを有し、前記高電圧整流器の出力電圧を、静電電位利用の塗装機器に供給する高電圧発生部と、
前記一次巻線に流れる電流をスイッチングする高電圧制御部と、
前記高電圧発生部と前記高電圧制御部とを接続する複合ケーブルとを備え、
前記複合ケーブルは、複数の絶縁被覆された素線を用いた検出線と、前記高電圧発生部において、前記検出線と接続された基準線とを有し、前記基準線は素線を相互に絶縁しないで束ねたものであり、
前記高電圧制御部は、
前記一次巻線に電圧を供給する第一の電源と、
基準電圧を発生する第二の電源と、
前記検出線及び前記基準線の直列接続を含む1つの検出通電経路に、前記基準電圧を供給する電流制限抵抗と、
前記検出線の両端の第一の電圧を検出する第一電圧検出手段と、
前記基準線の両端の第二の電圧を検出する第二電圧検出手段と、を有し、
前記高電圧制御部は、前記第一の電圧と第二の電圧の比率を用いて前記検出線の断線率を算出することを特徴とする静電コーティング装置用高電圧電源装置。 - 前記検出線と前記基準線は、前記一次巻線のセンタータップに接続され、また、前記一次巻線の他の端子の一つは、前記第一電圧検出手段及び前記第二電圧検出手段に接続し、
切替手段により、前記第一の電源出力と前記第二の電源出力を切り替えて前記検出線に供給し、前記検出線と前記基準線は前記一次巻線への電源供給線を兼ねることを特徴とする請求項2に記載の静電コーティング装置用高電圧電源装置。
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