本発明の一実施形態を図1〜図11を参照して以下に説明する。図1を参照して、本実施形態では、地絡検出の対象とする機器1は、例えば、温水暖房機能付きの風呂給湯器である。図1は、この機器1(以降、単に給湯器1という)の要部構成を概略的に示している。
この給湯器1は、屋外に設置される筐体2を有する。該筐体2は、給湯器1の主要構成部品が搭載されたケーシングであり、その全体又は一部が金属等の導体により構成されている。そして、該筐体2の全体又は導体部分が、接地用ケーブル2gを介して大地側に接地されている。
筐体2の内部には、図示を省略する複数のバーナ(給湯用バーナ、風呂・暖房用バーナ)と複数の熱交換器(給湯用熱交換器、風呂・暖房用熱交換器)とが収容されている。そして、バーナに燃料ガスを供給する燃料配管3、加熱する給湯用水(水道水等)を筐体2内に導入する給水配管4、加熱された給湯用水(湯)を台所、浴室等の給湯場所に供給する給湯配管5、浴槽用水(湯)を流す浴槽配管6a,6b、及び暖房用の温水を流す温水配管7a,7bが、筐体2内から延設されている。
さらに、筐体2の内部には、給湯器1の運転制御を担う制御装置として機能する電子回路ユニット10が収容されている。この電子回路ユニット10は、筐体2に図示しないブラケット等を介して固定された基板11を有する。該基板11には、配線パターン(図示省略)が形成されていると共に、後述の各種回路要素が実装されている。
また、基板11には、複数のハーネス12,12,…が、各々コネクタ13を介して接続されていると共に、給湯器1の電源電力としての商用電源の電力を受電する電源コード14及び接地線15がコネクタ16を介して接続されている。
電源コード14は、図示しない漏電遮断器を介して商用電源のコンセントに接続される。また、接地線15は、筐体2の導体部分に接地され、ひいては、該筐体2を介して大地側に接地されている。
各ハーネス12は、複数の通電線の束であり、それぞれ、後述する複数の電子部品と基板11とを電気的に接続する。この場合、筐体2内に配置される電子部品と基板11とを接続する各ハーネス12は筐体2内に配設される。また、筐体2の外部に配置される電子部品と基板11とを接続する各ハーネス12(例えば後述のハーネス12d)は基板11側のコネクタ13から筐体2の所定の導出部まで筐体2内に配設され、さらに、該導出部から筐体2の外部に導出される。
本実施形態において、基板11に実装されている代表的な回路要素と、基板11にハーネス12を介して接続される代表的な電子部品とを図2及び図3を参照して以下に説明する。
図2及び図3に示すように、本実施形態の給湯器1は、基板11にハーネス12を介して接続する電子部品として、例えば、図示しない電動弁(通水路中の三方弁等)を駆動する複数のステッピングモータ21,21,…と、筐体2内の所定の部位が過熱状態になると断線する温度ヒューズ22と、筐体2内の全てのバーナ(給湯用バーナ、風呂・暖房用バーナ)に対して共通の燃料供給路(前記燃料配管3)を開閉するガス元弁23と、ガス元弁23の下流側の各バーナ毎の燃料供給路を開閉する複数のガス電磁弁24,24,…と、給湯温度等を検出する複数(図示例では2つ)のサーミスタ25,25と、前記給水配管4における給水流量を検出する水量センサ26と、浴槽の湯はり時に該浴槽に供給される湯水の流量である湯はり量を検出する湯はり量センサ27と、床暖房装置の運転操作用の床暖房リモコン28と、浴室暖房装置の運転操作用の浴室暖房リモコン29と、浴槽の湯はり用の流路を開閉する湯はり弁30と、暖房用温水の流路に補水を行う通水路を開閉する補水弁31とを含む。
そして、本実施形態では、ステッピングモータ21,21,…は、ハーネス12a及びコネクタ13aを介して基板11に接続され、温度ヒューズ22、ガス元弁23及びガス電磁弁24,24,…は、ハーネス12b及びコネクタ13bを介して基板11に接続されている。
また、サーミスタ25,25、水量センサ26、及び湯はり量センサ27は、ハーネス12c及びコネクタ13cを介して基板11に接続され、床暖房リモコン28及び浴室暖房リモコン29は、ハーネス12d及びコネクタ13dで介して基板11に接続され、湯はり弁30及び補水弁31は、ハーネス12e及びコネクタ13eを介して基板11に接続されている。
ここで、上記ハーネス12a〜12eのそれぞれは、少なくともその一部分が筐体2の導体部分に接触もしくは近接した状態で配設されるハーネスである。このため、ハーネス12a〜12eのそれぞれは、その被覆チューブ(図示省略)のかみこみ、損傷等によって、該ハーネスに含まれるいずれかの通電線が筐体2の導体部分に対して電気的に導通した状態、すなわち、地絡状態になり得る。
なお、本実施形態では、給湯器1に含まれる電子部品として、図2及び図3に示した電子部品を代表的に例示した。ただし、給湯器1に含まれる電子部品は、図2及び図3に示したもの以外の電子部品も含まれ得る。例えば、該電子部品には、前記基板11以外の他の基板も含まれ得る。あるいは、図2及び図3に示した電子部品のうちのいずれかの電子部品が備えられない場合もある。また、電子部品の種類とハーネスとの組み合わせ、あるいは、基板11におけるコネクタのレイアウトは、図2及び図3に示した態様に限られない。
また、本実施形態の給湯器1は、基板11に実装された回路要素として、例えば、図2に示す如く、給湯器1の運転制御に係る制御処理を実行するマイコン(マイクロコンピュータ)41と、商用電源の電力(交流電力)から、前記各電子部品やマイコン等の回路要素の動作用の所定電圧の直流電源電圧を生成する電源回路42と、マイコン41の制御指令に応じて前記ステッピングモータ21,21,…のそれぞれの駆動電流を通電する複数のモータ駆動回路43,43,…と、マイコン41の制御指令に応じて前記ガス元弁23及び各ガス電磁弁24のそれぞれの通電制御(ひいては、ガス元弁23及び各ガス電磁弁24のそれぞれの開閉制御)を行う電磁弁駆動回路44と、前記温度ヒューズ22の断線時等にガス元弁23及び各ガス電磁弁24の通電を強制的に遮断する(ひいては、ガス元弁23及び各ガス電磁弁24を強制的に閉弁させる)強制閉弁回路45と、いずれかのハーネス12の通電線の地絡が発生した場合に、その発生を検知する地絡検知回路46と、前記各サーミスタ25による温度の検出信号、水量センサ26による通水流量の検出信号、及び湯はり量センサ27による湯はり量の検出信号を受けて、それらの検出情報をマイコン41に入力する検出回路47と、床暖房リモコン28及び浴室暖房リモコン29のそれぞれとマイコン41との間の通信を中継する通信回路48と、マイコン41の制御指令に応じて前記湯はり弁30の通電制御(ひいては、湯はり弁30の開閉制御)を行う湯はり弁駆動回路49と、マイコン41の制御指令に応じて前記補水弁31の通電制御(ひいては、補水弁31の開閉制御)を行う補水弁駆動回路50とを含む。
電源回路42は、その入力側(一次側)が、前記電源コード14にコネクタ16を介して接続されており、該電源コード14から商用電源の電力(交流電力)が入力される。この電源回路42は、図示を省略するトランスを含む公知の構成の電力変換回路(スイッチング方式の電力変換回路)を含んでおり、該電力変換回路により所定電圧の直流電源電圧を生成して出力するように構成されている。。
ここで、電源回路42が生成する直流電源電圧は、本実施形態では、5V、12V、及び24Vの3種類の直流電圧である。5Vは、マイコン41、及び各サーミスタ25等の動作用電圧、12Vは、各ステッピングモータ21、温度ヒューズ22、ガス元弁23、ガス電磁弁24、水量センサ26、湯はり量センサ27、湯はり弁30及び補水弁31等の動作用電圧、24Vは、床暖房リモコン28及び浴室暖房リモコン29の動作用電圧である。
そして、基板11の配線パターンは、商用電源から電源回路42に入力される電力の基準電位部として、前記接地線15を介して筐体2に接地された筐体接地電位部61と、電源回路42が生成する直流電源電圧の基準電位部(電源回路42の出力側(二次側)の基準電位部)としての二次側グランド62と、該二次側グランド62に対して、5V、12V、及び24Vの直流電源電圧がそれぞれ付与される5V電位部63、12V電位部64、及び24V電位部65とを含む。
この場合、電源回路42内では、筐体接地電位部61と二次側グランド62とはトランスを介して互いに電気的に絶縁されている。そして、電源回路42の出力側(二次側)は、上記二次側グランド62、5V電位部63、12V電位部64、及び24V電位部65に基板11上で接続されており、5V電位部63、12V電位部64、及び24V電位部65のそれぞれと、二次側グランド62との間に、5V、12V、24Vの直流電源電圧のそれぞれを出力する。
なお、電源回路42が生成する5Vの直流電源電圧というのは、より詳しくは、5Vに一致するか、もしくは、所定の範囲内で5Vにほぼ一致する電圧である。このことは、12Vの直流電源電圧、及び24Vの直流電源電圧についても同様である。
各モータ駆動回路43は、12Vの直流電源電圧が与えられるように、12V電位部64及び二次側グランド62に基板11上で接続されている。さらに、各モータ駆動回路43は、対応するステッピングモータ21に給電し得るように、該ステッピングモータ21にハーネス12aの通電線を介して接続されていると共に、マイコン41から制御指令を受けるべく、該マイコン41に基板11上で接続されている。
そして、各モータ駆動回路43は、マイコン41から与えられる制御指令に応じて、12Vの直流電源電圧から生成した電力をステッピングモータ21に給電することで、該ステッピングモータ21の所要の動作(制御指令に応じた動作)を行わせるように構成されている。
なお、各モータ駆動回路43から、対応するステッピングモータ21への給電(電圧の印加)は、所定の駆動周波数(例えば125Hz)で間欠的に行われる。
温度ヒューズ22は、12Vの直流電源電圧を、12V電位部64から該温度ヒューズ22を介して前記強制閉弁回路45に供給し得るように、12V電位部64と強制閉弁回路45とにハーネス12bの通電線を介して接続されている。従って、強制閉弁回路45は、温度ヒューズ22と、ハーネス12bの通電線(温度ヒューズ22の両端に接続された通電線)とを介して12V電位部64に接続されている。
そして、強制閉弁回路45は、12V電位部64から温度ヒューズ22を介して与えられる12Vの直流電源電圧を、ガス元弁23及び各ガス電磁弁24のそれぞれのソレノイド(図示省略)に出力し得るように、ガス元弁23及び各ガス電磁弁24のそれぞれのソレノイドにハーネス12bの通電線を介して接続されている。
従って、温度ヒューズ22が断線した場合には、強制閉弁回路45に12Vの直流電源電圧が供給されなくなる。このため、該強制閉弁回路45からガス元弁23及び各ガス電磁弁24のそれぞれのソレノイドへの12Vの直流電圧の出力も遮断されるようになっている。
なお、ハーネス12bの通電線のうち、温度ヒューズ22と強制閉弁回路45との間の通電線から12V電源の通電線12b1が分岐されている。この通電線12b1は、図3に示す如く、水量センサ26、湯はり量センサ27、湯はり弁30及び補水弁31に12Vの直流電源電圧を供給するための通電線として使用される。
強制閉弁回路45は、さらに、電磁弁駆動回路44の動作異常時に該電磁弁駆動回路44から出力される信号、あるいは、マイコン41からの制御指令を受けるべく、電磁弁駆動回路44とマイコン41とに基板11上で接続されている。そして、強制閉弁回路45は、電磁弁駆動回路44から与えられる上記信号、あるいは、マイコン41から与えられる制御指令に応じて、ガス元弁23及び各ガス電磁弁24のそれぞれのソレノイドへの12Vの直流電源電圧の出力を遮断し得るように構成されている。
この場合、ガス元弁23及び各ガス電磁弁24のそれぞれのソレノイドへの12Vの直流電源電圧の出力の遮断動作は、例えば、強制閉弁回路45に含まれるスイッチング素子(図示省略)のオンオフ制御によりなされる。
電磁弁駆動回路44は、強制閉弁回路45から12Vの直流電源電圧が出力されている状態で、ガス元弁23及び各ガス電磁弁24のそれぞれのソレノイドに通電させ得るように、ガス元弁23及び各ガス電磁弁24のそれぞれのソレノイドに、ハーネス12bの通電線を介して接続されていると共に、二次側グランド62に基板11上で接続されている。
さらに、電磁弁駆動回路44は、マイコン41から制御指令を受け得ると共に、電磁弁駆動回路44の動作状態を示す信号をマイコン41に出力し得るように、マイコン41に基板11上で接続されている
そして、電磁弁駆動回路44は、マイコン41から与えられる制御指令に応じて、ガス元弁23及びガス電磁弁24のうちの所要の電磁弁のソレノイドに、所定の周期で通電させる(パルス駆動方式で通電させる)ことで、該電磁弁を開弁制御し、該電磁弁のソレノイドの通電を定常的に遮断することで、該電磁弁を閉弁させるように構成されている。
この場合、ガス元弁23及び各ガス電磁弁24の上記の如き開閉制御は、例えば、電磁弁駆動回路44に含まれる複数のスイッチング素子(図示省略)のオンオフ制御によりなされる。
なお、上記した各モータ駆動回路43、電磁弁駆動回路44、及び強制閉弁回路45は、公知の構成の回路である。
各サーミスタ25は、該サーミスタ25に対応して基板11に実装されている分圧抵抗51に、5V電位部63と二次側グランド62との間で直列に接続されるように、ハーネス12cの通電線を介して該分圧抵抗51と二次側グランド62とに接続されている。そして、各サーミスタ25の両端間の電圧が、該サーミスタ25で検出される温度を示す検出信号として検出回路47に出力されるように、該サーミスタ25と分圧抵抗51との間の中点が検出回路47に基板11上で接続されている。
水量センサ26及び湯はり量センサ27は、12V電位部64から前記温度ヒューズ22を介して12Vの直流電源電圧が供給されるように、前記ハーネス12bから分岐された通電線12b1に接続されていると共に、二次側グランド62にハーネス12cの通電線を介して接続されている。
これらの水量センサ26及び湯はり量センサ27は、12Vの直流電源電圧が供給されている状態で、通水流量(給水流量又は湯はり量)に応じたパルス信号を出力するように構成されている。該パルス信号は、例えば0〜400Hzの周波数範囲の信号である。そして、水量センサ26及び湯はり量センサ27は、当該パルス信号を通水流量(給水流量又は湯はり量)の検出信号として検出回路47に出力するように、ハーネス12cの通電線を介して検出回路47に接続されている。
検出回路47は、各サーミスタ25、水量センサ26及び湯はり量センサ27のそれぞれ毎に与えられる検出信号をマイコン41用の入力信号に変換するように構成されていると共に、該入力信号をマイコン41に出力するように該マイコン41に基板11上で接続されている。
床暖房リモコン28及び浴室暖房リモコン29は、それぞれ、24Vの直流電源電圧が基板11側から与えられるように、24V電位部65及び二次側グランド62にハーネス12dの通電線を介して接続されていると共に、通信回路48を介してマイコン41と通信を行い得るように、ハーネス12dの通電線を介して通信回路48に接続されている。
また、通信回路48は、マイコン41と通信データを送受し得るように、該マイコン41に基板11上で接続されていると共に、床暖房リモコン28又は浴室暖房リモコン29から与えられた通信データをマイコン41に送信し、あるいは、マイコン41から床暖房リモコン28又は浴室暖房リモコン29への通信データを、該当のリモコン28又は29に送信し得るように構成されている。
なお、床暖房リモコン28及び浴室暖房リモコン29のそれぞれと、マイコン41との間の通信データは、所定の周波数帯域のパルス信号により構成されるデータである。
湯はり弁30及び補水弁31は、電磁弁により構成されており、それぞれのソレノイドの一端が、12V電位部64から前記温度ヒューズ22を介して12Vの直流電源電圧が供給されるように、前記ハーネス12bから分岐された通電線12b1に接続されていると共に、それぞれのソレノイドの他端が、ハーネス12eの通電線を介して湯はり弁駆動回路49及び補水弁駆動回路50のそれぞれに接続されている。
そして、湯はり弁駆動回路49及び補水弁駆動回路50のそれぞれは、湯はり弁30及び補水弁31のそれぞれのソレノイドに12Vの直流電源電圧が与えられている状態で、該湯はり弁30及び補水弁31のそれぞれのソレノイドに通電させ得るように二次側グランド62に基板11上で接続されている。
さらに、湯はり弁駆動回路49及び補水弁駆動回路50のそれぞれは、マイコン41から制御指令を受け得るように、マイコン41に基板11上で接続されている
そして、湯はり弁駆動回路49は、マイコン41から与えられる制御指令に応じて、湯はり弁30のソレノイドに、所定の周期で通電させる(パルス駆動方式で通電させる)ことで、該湯はり弁30を開弁制御し、該湯はり弁30のソレノイドの通電を定常的に遮断することで、該湯はり弁30を閉弁させるように構成されている。
同様に、補水弁駆動回路50は、マイコン41から与えられる制御指令に応じて、補水弁31のソレノイドに、所定の周期で通電させる(パルス駆動方式で通電させる)ことで、該補水弁31を開弁制御し、該補水弁31のソレノイドの通電を定常的に遮断することで、該補水弁31を閉弁させるように構成されている。
この場合、湯はり弁30及び補水弁31のそれぞれの上記の如き開閉制御は、例えば、湯はり弁駆動回路49及び補水弁駆動回路50のそれぞれに含まれる複数のスイッチング素子(図示省略)のオンオフ制御によりなされる。
なお、本実施形態では、湯はり弁30及び補水弁31のそれぞれをパルス駆動方式により開弁制御する場合における湯はり弁30及び補水弁31のそれぞれの駆動周波数(それぞれのソレノイドの通電の周波数)は、前記ガス元弁23及び各ガス電磁弁24のそれぞれをパルス駆動方式により開弁制御する場合における湯はり弁30及び補水弁31のそれぞれソレノイドの駆動周波数(それぞれのソレノイドの通電の周波数)よりも高周波の周波数である。本実施形態では、湯はり弁30及び補水弁31のそれぞれの駆動周波数は、例えば500Hz、ガス元弁23及び各ガス電磁弁24のそれぞれの駆動周波数は、例えば250Hzである。
前記地絡検知回路46は、本発明における地絡電流検出器に相当する。この地絡検知回路46は、いずれかのハーネス12の通電線が筐体2の導体部分に電気的に導通する地絡が発生することに起因して、前記5V電位部63、12V電位部64及び24V電位部65のいずれかから、地絡が発生した通電線と筐体2とを通って流れる電流(以下、地絡電流という)が発生した場合に、該地絡電流の大きさに応じた検出信号(アナログ信号)を生成し得るように構成されている。
かかる地絡検知回路46は、本実施形態では、例えば図4に示す如く構成されている。この地絡検知回路46は、地絡電流に応じた電圧を発生する地絡電流検出抵抗72と、該抵抗素子72に発生する電圧を分圧する一対の分圧抵抗73,74と、地絡検知回路46が生成する検出信号の電圧の上限値を制限するツェナーダイオード75と、2つのノイズフィルタ回路71,76と、バッファ回路77とを備える。
地絡電流検出抵抗72は、その一端が、高周波のノイズ成分を除去するノイズフィルタ回路71を介して基板11の筐体接地電位部61(筐体2と同電位に接続された部分)に接続されると共に、他端が、基板11の二次側グランド62に接続されている。
そして、分圧抵抗73,74を直列に接続してなる直列回路が、地絡電流検出用抵抗72に並列に接続されている。なお、分圧抵抗73,74の抵抗値は、該分圧抵抗73,74及び地絡電流検出用抵抗72により構成される抵抗回路の全体の合成抵抗値が、地絡電流検出用抵抗72の抵抗値に近似する抵抗値となるように、地絡電流検出用抵抗72の抵抗値よりも十分に大きい抵抗値に設定されている。
この場合、分圧抵抗73,74の間の中点に生じる電圧(分圧抵抗74の両端間の電圧)は、地絡電流検出用抵抗72に流れる電流の大きさに応じた電圧となる。そして、分圧抵抗73,74の間の中点が、高周波のノイズ成分を除去するノイズフィルタ回路76を介してバッファ回路77の入力側に接続され、該バッファ回路77の出力側がマイコン41に接続されている。これにより、分圧抵抗73,74の間の中点に生じる電圧、すなわち、地絡検出用抵抗72に流れる電流の大きさに応じた電圧が、ノイズフィルタ回路76及びバッファ回路77を介してマイコン41に入力されることとなる。
また、分圧抵抗73,74の間の中点は、ツェナーダイオード75を介して基板11の5V電位部63に接続されている。これにより、分圧抵抗73,74の間の中点に生じる電圧の上限値が5Vに制限されるようになっている。
本実施形態では、地絡検知回路46は、上記の如く構成されている。
ここで、いずれかのハーネス12の通電線の地絡(筐体2の導体部分への導通)が発生することに起因して、5V電位部63、12V電位部64及び24V電位部65のいずれかの電位部から、筐体2に地絡電流が流れた場合、該地絡電流は、筐体2から筐体接地電位部61及び前記ノイズフィルタ回路71を介して地絡電流検出用抵抗72に流れる。
例えば、図5に例示する如く、前記ハーネス12bのうちのいずれかのガス電磁弁24と電磁弁駆動回路44との間の通電線の地絡が発生した場合を想定する。この場合、図5に一点鎖線の矢印線Yで表す如く、12V電位部64から、当該ガス電磁弁24のソレノイド、地絡が発生した通電線、筐体2、筐体接地電位部61及びノイズフィルタ回路71を介して地絡電流検出用抵抗72に地絡電流が流れる。なお、図5に示すスイッチ素子44aは、電磁弁駆動回路44に含まれるスイッチ素子である。
このように地絡電流検出用抵抗72に地絡電流が流れる現象は、図2に示すハーネス12a又はハーネス12bのうちの任意の通電線(前記通電線12b1を含む)の地絡が発生した場合、あるいは、図3に示すハーネス12c又はハーネス12dのうち、二次側グランド62に接続されている通電線以外の任意の通電線の地絡が発生した場合、あるいは、図3に示すハーネス12eのうちの任意の通電線の地絡が発生した場合に生じ得る現象である。
そして、このように地絡電流検出用抵抗72に流れる地絡電流の大きさに応じた電圧(以降、地絡検知電圧という)がマイコン41に入力される。該地絡検知電圧は、地絡電流の大きさにほぼ比例する電圧信号である。
マイコン41は、図示を省略するメモリに記憶保持されるプログラムを実行することで、給湯器1の運転制御を行う機能の他、地絡検知回路46から入力される地絡検知電圧に基づいて、地絡の発生を検知し、さらに、該地絡検知電圧の大きさ及びその変化パターンに基づいて、地絡が発生した通電線を特定する機能を有する。従って、マイコン41は、本発明における通電線特定部としての機能を有するものである。
また、マイコン41は、地絡が発生した通電線が、どの通電線であるかを示す情報を、基板11に接続されている台所リモコン(図示省略)等のメインリモコン(図示省略)の表示部の表示によって、報知し得る機能を有する。
ここで、本実施形態では、地絡の発生時に地絡検出用抵抗72に流れる地絡電流の大きさ又はその変化の周波数は、地絡を生じた通電線が接続されている電子部品の種別、あるいは、該電子部品の動作状態、あるいは、該電子部品の電源電圧(5V又は12V又は24V)の大きさ等に依存するものとなる。
例えば、ステッピングモータ21に係るハーネス12aのうちのいずれかの通電線の地絡が発生した場合、該通電線が接続されたステッピングモータ21の動作中に地絡検出用抵抗72に流れる地絡電流は、ステッピングモータ21の駆動周波数(125Hz)と同じ周波数で変動するものとなる。
また、例えば、ガス電磁弁24に係るハーネス12bのうち、いずれかのガス電磁弁24と電磁弁駆動回路44と間の通電線の地絡が発生した場合、該ガス電磁弁24の閉弁状態では、地絡電流検出用抵抗72に流れる地絡電流は、ほぼ一定の直流電流となる。一方、該ガス電磁弁24の開弁状態では、地絡電流検出用抵抗72に流れる地絡電流は、該ガス電磁弁24の駆動周波数(250Hz)と同じ周波数で変動するものとなる。
さらに、例えば、ガス電磁弁24に係るハーネス12bのうち、いずれかのガス電磁弁24と電磁弁駆動回路44と間の通電線の地絡が発生した場合、該ガス電磁弁24の閉弁状態と、該ガス電磁弁24の開弁状態とでは、該ガス電磁弁24のソレノイドの通電抵抗が相違するため、地絡電流の大きさも相違するものとなる。
また、地絡電流の大きさは、基本的には、地絡が発生した通電線に対応する電子部品の電源電圧(5V又は12V又は24V)が高いほど、大きくなる。
このように、地絡の発生時に地絡電流検出用抵抗72に流れる地絡電流の大きさ、又は周波数は(ひいては、マイコン41に入力される地絡検知電圧の大きさ、又は周波数は)、地絡を生じた通電線が接続されている電子部品の種別、あるいは、該電子部品の動作状態、あるいは、該電子部品の電源電圧(5V又は12V又は24V)の大きさ等に依存するものとなる。
本実施形態では、マイコン41は、上記の事項を利用して、地絡が発生した通電線を特定し得るように構成されている。
この場合、本実施形態では、地絡が発生した通電線を特定し得るようにするために、地絡が発生した通電線が、どの電子部品に接続された通電線であるか、あるいは、該電子部品の動作状態に応じて、地絡検知電圧の大きさが、極力明確に変化するように、地絡検知回路46の地絡電流検出用抵抗72及び分圧抵抗73,74の抵抗値があらかじめ設定されている。
これにより、地絡検知回路46からマイコン41に入力される地絡検知電圧は、例えば、図6及び図7に示す如く、地絡が発生していない正常時と、地絡が発生した場合とで、異なる大きさの電圧になると共に、地絡が発生した通電線がどの通電線であるかによって、異なる大きさの電圧になる。さらに、該地絡検知電圧の周波数は、地絡が発生した通電線が接続されている電子部品の駆動周波数に一致もしくはほぼ一致するものとなる。
図6は、給湯器1の運転(給湯運転、風呂運転、及び暖房運転)が行われていない待機状態での地絡検知電圧の大きさと、周波数とを表している。図示の如く、地絡が発生していない正常時には、領域R1で示す如く、地絡検知電圧は、0.2V以下の範囲に収まる。
そして、当該待機状態において、例えば、いずれかのサーミスタ25の通電線(詳しくは、サーミスタ25と分圧抵抗51との間の通電線)、あるいは、ガス元弁23の通電線(詳しくは、ガス元弁23のソレノイドと電磁弁駆動回路44との間の通電線)、あるいは、いずれかのガス電磁弁24の通電線(詳しくは、ガス電磁弁24のソレノイドと電磁弁駆動回路44との間の通電線)の地絡が発生した場合には、領域R2で示す如く、0.2〜2Vの範囲内の大きさの地絡検知電圧が発生する。この地絡検知電圧は、ほぼ一定値(約0Hz)の電圧である。
また、当該待機状態において、例えば12Vの直流電源電圧が付与される通電線(詳しくは、温度ヒューズ22の両端に接続された各通電線もしくは前記通電線12b1、あるいは、ガス元弁23もしくは各ガス電磁弁24のソレノイドと強制閉弁回路45との間の通電線等、12V電位部64とほぼ同電位になる通電線)の地絡が発生した場合には、領域R3で示す如く、3〜4.5Vの範囲内の大きさの地絡検知電圧が発生する。この地絡検知電圧は、ほぼ一定値(約0Hz)の電圧である。
また、当該待機状態において、例えば24Vの直流電源電圧が付与される通電線(詳しくは、床暖房リモコン28もしくは浴室暖房リモコン29と、24V電位部65との間の通電線)の地絡が発生した場合には、領域R4で示す如く、4.5〜5Vの範囲内の大きさの地絡検知電圧が発生する。この地絡検知電圧は、ほぼ一定値(約0Hz)の電圧である。
また、当該待機状態において、床暖房リモコン28もしくは浴室暖房リモコン29の通信用の通電線(詳しくは、床暖房リモコン28もしくは浴室暖房リモコン29と、通信回路48との間の通電線)の地絡が発生した場合には、領域R5で示す如く、4.5〜5Vの範囲内の大きさで、且つ、ある周波数帯域(例えば125Hz以上の周波数帯域)で変動を生じる地絡検知電圧が発生する。
また、図7は、給湯器1の運転(給湯運転、風呂運転、又は暖房運転)によって、ステッピングモータ21等のいずれかの電子部品の作動している状況における地絡検知電圧の大きさと、周波数とを表している。図示の如く、地絡が発生していない正常時には、待機状態の場合と同様に、領域R11で示す如く、地絡検知電圧は、0.2V以下の範囲に収まる。
一方、例えば、水量センサ26もしくは湯はり量センサ27の作動時に、該水量センサ26もしくは湯はり量センサ27の通電線(詳しくは、水量センサ26もしくは湯はり量センサ27と、検出回路47との間の通電線)の地絡が発生した場合には、領域R12で示す如く、1〜3Vの範囲内の大きさの地絡検知電圧が発生する。この地絡検知電圧は、ある周波数帯域(例えば125〜400Hz程度の周波数帯域)で変動を生じる電圧である。
また、例えば、いずれかのステッピングモータ21の作動時に、該ステッピングモータ21の通電線(詳しくは、ステッピングモータ21とモータ駆動回路43との間の通電線)の地絡が発生した場合には、領域R13で示す如く、3〜4.5Vの範囲内の大きさの地絡検知電圧が発生する。この地絡検知電圧は、ステッピングモータ21の駆動周波数である125Hzの周波数で変動を生じる電圧である。
また、例えば、ガス元弁23もしくはいずれかのガス電磁弁24の開弁制御時において、該ガス元弁23もしくはガス電磁弁24の通電線(詳しくは、ガス元弁23もしくはガス電磁弁24のソレノイドと強制閉弁回路45との間の通電線)の地絡が発生した場合には、領域R14で示す如く、3〜4.5Vの範囲内の大きさの地絡検知電圧が発生する。この地絡検知電圧は、ガス元弁23及び各ガス電磁弁24のそれぞれの開弁制御時の駆動周波数である250Hzの周波数で変動を生じる電圧である。
また、例えば、湯はり弁30もしくは補水弁31の開弁制御時において、該湯はり弁30もしくは補水弁31の通電線(詳しくは、湯はり弁30もしくは補水弁31のソレノイドと湯はり弁駆動回路49もしくは補水弁駆動回路50との間の通電線)の地絡が発生した場合には、領域R15で示す如く、3〜4Vの範囲内の大きさの地絡検知電圧が発生する。この地絡検知電圧は、湯はり弁30及び補水弁31のそれぞれの開弁制御時の駆動周波数である500Hzの周波数で変動を生じる電圧である。
次に、地絡の検出に関するマイコン41の処理を、図8〜図11のフローチャートを参照して具体的に説明する。
マイコン41は、電源が投入された状態(基板11に商用電源の電力が供給されている状態)で、図8〜図11のフローチャートに示す処理を実行する。
STEP1において、マイコン41は、地絡検知回路46から入力される地絡検知電圧Vxを取得する。
そして、マイコン41は、取得した地絡検知電圧Vxが0.2Vよりも大きいか否か判断する処理をSTEP2で実行する。なお、本実施形態では、マイコン41の処理において、上記0.2V等、ある閾値と比較する地絡検知電圧Vxは、該Vxがほぼ一定の定電圧である場合には、その電圧値であり、周期的に変動する電圧である場合には、ピーク値である。
このSTEP2の判断結果が否定的となる状況は、図6の領域R1又は図7の領域R11で示したように、地絡が発生していない正常状態である。この場合には、マイコン41は、STEP3で正常状態であるとして、STEP1からの処理を繰り返す。
STEP2の判断結果が肯定的となる状況は、いずれかの通電線が筐体2に対して導通する地絡が発生した状況である。この場合には、マイコン41は、次にSTEP4において、給湯器1の状態が前記待機状態であるか否かを判断する。そして、マイコン41は、給湯器1の状態が待機状態である場合(STEP4の判断結果が肯定的である場合)には、地絡が発生した通電線(以降、地絡通電線という)がどの通電線であるかを特定するためにSTEP5からの処理を実行し、待機状態でない場合(給湯運転、もしくは風呂運転、もしくは暖房運転が行われているために、STEP4の判断結果が否定的となる場合)には、地絡通電線がどの通電線であるかを特定するために後述のSTEP24からの処理を実行する。
給湯器1の状態が待機状態である場合のSTEP5では、マイコン41は、STEP6で、給湯器1を運転禁止状態とし、さらに、STEP6で地絡検知電圧Vxを改めて取得する。
そして、マイコン41は、STEP7において、地絡検知電圧Vxが、Vx>4.5Vとなる範囲、3V<Vx≦4.5Vとなる範囲、0.2V<Vx≦3Vとなる範囲、Vx≦0.2Vとなる範囲のいずれの範囲に属するかを判断する。
Vx>4.5Vとなる範囲は、図6に示した領域R4,R5が属する範囲である。このため、床暖房リモコン28もしくは浴室暖房リモコン29の通電線(24Vの直流電源電圧が付与された通電線、又は通信用の通電線)で地絡が発生したとみなし得る。
そこで、STEP7において、Vx>4.5Vである場合には、マイコン41は、STEP8で、地絡検知電圧Vxの周波数が0Hz(もしくはほぼ0Hz)であるか否か(換言すれば、Vxがほぼ一定値の定電圧信号であるか否か)を判断する。
この判断結果が肯定的である場合には、マイコン41は、STEP9において、地絡通電線が、床暖房リモコン28もしくは浴室暖房リモコン29の、24Vの直流電源電圧が付与された通電線(床暖房リモコン28もしくは浴室暖房リモコン29と、基板11の24V電位部65との間の通電線)であるとして特定し、その旨を示すエラー情報を、台所リモコン等のメインリモコンの表示部等を介して出力する。
また、STEP8の判断結果が否定的である場合には、マイコン41は、STEP10において、地絡通電線が、床暖房リモコン28もしくは浴室暖房リモコン29の通信用の通電線(床暖房リモコン28もしくは浴室暖房リモコン29と、基板11通信回路48との間の通電線)であるとして特定し、その旨を示すエラー情報を、台所リモコン等のメインリモコンの表示部等を介して出力する。
給湯器1の待機状態において、地絡検知電圧Vxが、3V<Vx≦4.5Vとなる範囲は、図6に示した領域R3が属する範囲である。このため、12Vの直流電源電圧が付与された通電線で地絡が発生したとみなし得る。
そこで、STEP7において、3V<Vx≦4.5Vとである場合には、マイコン41は、STEP11において、地絡通電線が、12Vの直流電源電圧が付与された通電線(温度ヒューズ22の両端に接続された各通電線もしくは前記通電線12b1、あるいは、ガス元弁23もしくは各ガス電磁弁24のソレノイドと強制閉弁回路45との間の通電線)であると特定し、その旨を示すエラー情報を、台所リモコン等のメインリモコンの表示部等を介して出力する。
給湯器1の待機状態において、地絡検知電圧Vxが、0.2V<Vx≦3Vとなる範囲は、図6に示した領域R2が属する範囲である。このため、いずれかのサーミスタ25の通電線、あるいは、ガス元弁23の通電線、あるいは、いずれかのガス電磁弁24の通電線の地絡が発生したとみなし得る。
この場合、マイコン41は、地絡通電線をより詳しく特定するために、図9のSTEP12からの処理を実行する。
STEP12では、マイコン41は、ガス元弁23及びガス電磁弁24のうちの1つ、例えばガス元弁23を、電磁弁駆動回路44を介して開弁制御する。なお、他の電磁弁(ここでは、ガス元弁23以外の全てのガス電磁弁24)は、閉弁状態に保持される。
そして、このようにガス元弁23を開弁制御した状態で、マイコン41は、STEP12において、地絡検知回路46から入力される地絡検知電圧Vxを取得し、該地絡検知電圧Vxが、3V<Vx≦4.5Vの範囲内の電圧であるか否かをSTEP14で判断する。
この判断結果が肯定的となる状況は、ガス元弁23だけを開弁制御した状態での地絡検知電圧Vxが、図7に示した領域R14に属する状況であるので、ガス元弁23の通電線(ガス元弁23のソレノイドと電磁弁駆動回路44との間の通電線)の地絡が発生したとみなし得る。
そこで、STEP14の判断結果が肯定的である場合には、マイコン41は、STEP15において、ガス元弁23を電磁弁駆動回路44を介して閉弁させると共に、地絡通電線が、ガス元弁23の通電線であると特定し、その旨を示すエラー情報を、台所リモコン等のメインリモコンの表示部等を介して出力する。
また、STEP14の判断結果が否定的である場合には、マイコン41は、次に、STEP16において、ガス元弁23を電磁弁駆動回路44を介して閉弁させると共に、ガス電磁弁24を区別する識別番号iの値を「1」とする。
そして、マイコン41は、STEP17において、現在の識別番号iの値が、ガス電磁弁24の総数以下であるか否かを判断する。
i=1である場合、STEP17の判断結果が肯定的となる。そして、STEP17の判断結果が肯定的である場合には、マイコン41は、STEP18において、i番のガス電磁弁24を、電磁弁駆動回路44を介して開弁制御する。なお、他の電磁弁(ここでは、i番のガス電磁弁24以外の全てのガス電磁弁24及びガス元弁23)は、閉弁状態に保持される。
このようにi番のガス電磁弁24を開弁制御した状態で、マイコン41は、STEP19において、地絡検知回路46から入力される地絡検知電圧Vxを取得し、該地絡検知電圧Vxが、3V<Vx≦4.5Vの範囲内の電圧であるか否かをSTEP20で判断する。
この判断結果が肯定的となる状況は、i番のガス電磁弁24だけを開弁制御した状態での地絡検知電圧Vxが、図7に示した領域R14に属する状況であるので、i番のガス電磁弁24の通電線(該ガス電磁弁24のソレノイドと電磁弁駆動回路44との間の通電線)の地絡が発生したとみなし得る。
そこで、STEP20の判断結果が肯定的である場合には、マイコン41は、STEP22において、i番のガス電磁弁24を電磁弁駆動回路44を介して閉弁させると共に、地絡通電線が、i番のガス電磁弁24の通電線であると特定し、その旨を示すエラー情報を、台所リモコン等のメインリモコンの表示部等を介して出力する。
また、STEP20の判断結果が否定的である場合には、マイコン41は、STEP21において、i番のガス電磁弁24を電磁弁駆動回路44を介して閉弁させると共に、識別番号iの値を「1」だけ増加させた上で、STEP17からの処理を再び実行する。
STEP17の判断結果が否定的となる状況は、ガス元弁23およびガス電磁弁24の通電線の地絡は発生していないとみなし得る状況である。このため、STEP17の判断結果が否定的となる場合には、いずれかのサーミスタ25の通電線(サーミスタ25と分圧抵抗51との間の通電線)の地絡が発生したとみなし得る。
そこで、STEP17の判断結果が否定的となる場合には、マイコン41は、STEP23において、地絡通電線が、いずれかのサーミスタ25の通電線であると特定し、その旨を示すエラー情報を、台所リモコン等のメインリモコンの表示部等を介して出力する。
また、給湯器1の待機状態での前記STEP7で、地絡検知電圧Vxが、Vx≦0.2Vとなる範囲は、図6に示した領域R1が属する範囲、すなわち、地絡が発生していない正常状態でのVxの範囲である。そこで、STEP7において、Vx≦0.2Vである場合には、マイコン41は、エラー情報の出力を行わずに、STEP1からの処理を再開する。
ここで、マイコン41は、上記STEP9,10,11,22,23のいずれかの処理の実行後、STEP5からの処理を継続する。この場合、地絡が発生した通電線の配線経路の変更、あるいは、交換等により、該地絡の発生の原因が解消されれば、STEP7で、Vx≦0.2Vとなる。これにより、STEP1からの処理が再開されることとなる。
給湯器1の待機状態で地絡が発生した場合には、以上の如く地絡通電線を特定する処理が行われる。この場合、STEP7で地絡検知電圧Vxを4種類の範囲に分類して判断することで、地絡通電線を概略的に特定できる。
さらに、STEP7でVx>4.5Vである場合には、地絡検知電圧Vxの周波数をSTEP8で判断することで、床暖房リモコン28又は浴室暖房リモコン29の、24Vの直流電源電圧を付与される通電線と、通信用の通電線とを区別して、地絡通電線を特定できる。
また、STEP7で0.2V<Vx≦3Vとなる場合には、ガス元弁23及びガス電磁弁24が順番に開弁制御され、それぞれの開弁制御時(作動時)の地絡検知電圧Vxに基づいて、ガス元弁23及びガス電磁弁24のそれぞれの通電線毎に、地絡が発生した通電線であるか否かの判定する処理が、順番に実行される。これにより、STEP7で0.2V<Vx≦3Vとなる場合に、地絡通電線が、ガス元弁23及びガス電磁弁24、並びに、サーミスタ25のいずれの通電線であるかを適正に特定することができる。
次に、前記STEP4の判断結果が否定的である場合、すなわち、STEP2でVx>0.2Vとなって、地絡の発生が検知されたときの給湯器1の状態が、運転状態(給湯運転、もしくは風呂運転、もしくは暖房運転を行っている状態)である場合には、マイコン41は、図10のSTEP24からの処理を実行する。
STEP24では、マイコン41は、地絡検知回路46から入力される地絡検知電圧Vxを取得する。そして、マイコン41は、STEP25において、地絡検知電圧Vxが、Vx>3Vとなる範囲、0.2V<Vx≦3Vとなる範囲、Vx≦0.2Vとなる範囲のいずれの範囲に属するかを判断する。
Vx>3Vとなる範囲は、図7に示した領域R13,R14,R15が属する範囲である。そして、本実施形態では、ガス元弁23及びガス電磁弁24のいずれかの通電線の地絡が発生している場合には、当該地絡通電線の特定は、前記した如く、給湯器1の待機状態において行わる。
このため、STEP25で、Vx>3Vとなる場合には、いずれかのステッピングモータ21の通電線(ステッピングモータ21とモータ駆動回路43との間の通電線)、あるいは、湯はり弁30もしくは補水弁31の通電線(湯はり弁30のソレノイドと湯はり弁駆動回路49との間の通電線、もしくは、補水弁31のソレノイドと補水弁駆動回路50との間の通電線)で地絡が発生したとみなし得る。
この場合、マイコン41は、地絡通電線をより詳しく特定するために、STEP26からの処理を実行する。
STEP26では、マイコン41は、STEP24で取得した地絡検知電圧Vxの周波数が、ステッピングモータ21の駆動周波数である125Hzに一致もしくはほぼ一致するか否かを判断する。
このSTEP26の判断結果が肯定的である場合には、いずれかのステッピングモータ21の通電線の地絡が発生したとみなし得る。そして、この場合、マイコン41は、まず、STEP27で給湯器1の運転を強制的に停止させた後、地絡が発生した通電線が、いずれのステッピングモータ21の通電線であるかを特定する処理をSTEP28から実行する。
STEP28では、マイコン41は、ステッピングモータ21を区別する識別番号jの値を「1」とする。
次いで、マイコン41は、STEP29において、j番のステッピングモータ21を所定の態様で作動させるように、該ステッピングモータ21に対応するモータ駆動回路43を介して該ステッピングモータ21に給電させる。
そして、このようにj番のステッピングモータ21を作動させた状態で、マイコン41は、STEP30において、地絡検知回路46から入力される地絡検知電圧Vxを取得し、該地絡検知電圧Vxが、3V<Vx≦4.5Vの範囲内の電圧であるか否かをSTEP31で判断する。
この判断結果が肯定的となる状況は、j番のステッピングモータ21だけを作動させた状態での地絡検知電圧Vxが、図7に示した領域R13に属する状況であるので、j番のステッピングモータ21の通電線(該ステッピングモータ21とこれに対応するモータ駆動回路43との間の通電線)の地絡が発生したとみなし得る。
そこで、STEP31の判断結果が肯定的である場合には、マイコン41は、STEP33において、j番のステッピングモータ21の作動を停止させると共に、地絡通電線が、j番のステッピングモータ21の通電線であると特定し、その旨を示すエラー情報を、台所リモコン等のメインリモコンの表示部等を介して出力する。
また、STEP31の判断結果が否定的である場合には、マイコン41は、STEP32において、j番のステッピングモータ21の作動を停止させると共に、識別番号jの値を「1」だけ増加させた上で、STEP29からの処理を再び実行する。
STEP26の判断結果が肯定的である場合には、上記のようにして、いずれのステッピングモータ21の通電線で地絡が発生したのかが特定される。
一方、STEP26の判断結果が否定的である場合には、地絡が発生した通電線が、湯はり弁30及び補水弁31のいずれかの通電線であるとみなし得る。そして、この場合、マイコン41は、さらに、湯はり弁30及び補水弁31のいずれの通電線の地絡が発生したのかを特定するために、STEP34から処理を実行する。
STEP34では、マイコン41は、給湯器1の運転を強制的に停止させると共に、湯はり弁30及び補水弁31のうちの一方、例えば湯はり弁30を、湯はり弁駆動回路49を介して開弁制御する。
そして、このように湯はり弁30を開弁制御した状態で、マイコン41は、STEP35において、地絡検知回路46から入力される地絡検知電圧Vxを取得し、該地絡検知電圧Vxが、Vx>0.2Vであるか否かをSTEP36で判断する。
この判断結果が肯定的となる状況は、湯はり弁30を開弁制御した状態での地絡検知電圧Vxが、図7に示した領域R15に属する状況であるので、該湯はり弁30の通電線(該湯はり弁30のソレノイドと湯はり弁駆動回路49との間の通電線)の地絡が発生したとみなし得る。
そこで、STEP36の判断結果が肯定的である場合には、マイコン41は、STEP37において、湯はり弁30を閉弁させると共に、地絡通電線が、湯はり弁30の通電線であると特定し、その旨を示すエラー情報を、台所リモコン等のメインリモコンの表示部等を介して出力する。
また、STEP36の判断結果が否定的となる状況は、湯はり弁30を開弁制御した状態での地絡検知電圧Vxが、地絡が発生していない正常時の値であるので、補水弁31の通電線(該補水弁31のソレノイドと補水弁駆動回路50との間の通電線)の地絡が発生したとみなし得る。
そこで、STEP36の判断結果が否定的である場合には、マイコン41は、STEP38において、湯はり弁30を閉弁させると共に、地絡通電線が、補水弁31の通電線であると特定し、その旨を示すエラー情報を、台所リモコン等のメインリモコンの表示部等を介して出力する。
以上のように、STEP25でVx>3Vである場合には、STEP26〜38の処理によって、ステッピングモータ21、湯はり弁30及び補水弁31のいずれの通電線で地絡が発生したのかが特定される。
なお、STEP26では、例えば、Vxの周波数が、湯はり弁30及び補水弁31の開弁制御の駆動周波数である500Hzに一致もしくはほぼ一致するかを判断し、この判断結果が否定的である場合に、STEP27からの処理を実行し、肯定的である場合に、STEP34からの処理を実行してもよい。
次に、STEP25において、地絡検知電圧Vxが、0.2V<Vx≦3Vとなる範囲は、図7に示した領域R12が属する範囲である。このため、STEP25で、0.2V<Vx≦3Vとなる場合には、水量センサ26又は湯はり量センサ27の通電線(水量センサ26又は湯はり量センサ27と、検出回路47との間の通電線)で地絡が発生したとみなし得る。
この場合、マイコン41は、地絡通電線をより詳しく特定するために、図11のSTEP39からの処理を実行する。STEP39では、マイコン41は、給湯器1の運転を強制的に停止させた上で、改めて、浴槽への湯はりを開始させる。浴槽への湯はりは、湯はり弁30を開弁制御することで開始される。
このように、浴槽への湯はりを行った状態(換言すれば、湯はり量センサ27が湯はり量を検出し得る状態)で、マイコン41は、STEP40において、地絡検知回路46から入力される地絡検知電圧Vxを取得し、該地絡検知電圧Vxが、0.2V<Vx≦3Vであるか否かをSTEP41で判断する。
この判断結果が肯定的となる状況は、湯はり量センサ27が湯はり流量を検出し得る状態での地絡検知電圧Vxが、図7に示した領域R15に属する状況であるので、湯はり量センサ27の通電線(該湯はり量センサ27と検出回路47との間の通電線)の地絡が発生したとみなし得る。
そこで、STEP41の判断結果が肯定的である場合には、マイコン41は、STEP42において、浴槽への湯はりを停止させる(湯はり弁30を閉弁させる)と共に、地絡通電線が、湯はり量センサ27の通電線であると特定し、その旨を示すエラー情報を、台所リモコン等のメインリモコンの表示部等を介して出力する。
また、STEP41の判断結果が否定的である場合には、マイコン41は、STEP43において、浴槽への湯はりを停止させる(湯はり弁30を閉弁させる)と共に、地絡通電線が、水量センサ26の通電線であると特定し、その旨を示すエラー情報を、台所リモコン等のメインリモコンの表示部等を介して出力する。
また、給湯器1の運転状態での前記STEP25で、地絡検知電圧Vxが、Vx≦0.2Vとなる範囲は、図7に示した領域R11が属する範囲、すなわち、地絡が発生していない正常状態でのVxの範囲である。そこで、STEP25において、Vx≦0.2Vである場合には、マイコン41は、エラー情報の出力を行わずに、前記STEP1からの処理を再開する。
ここで、マイコン41は、上記STEP33,38,42,43のいずれかの処理の実行後、STEP24からの処理を継続する。この場合、地絡が発生した通電線の配線経路の変更、あるいは、交換等により、該地絡の発生の原因が解消されれば、STEP25で、Vx≦0.2Vとなる。これにより、STEP1からの処理が再開されることとなる。
給湯器1の運転状態で地絡が発生した場合には、以上の如く地絡通電線を特定する処理が行われる。この場合、STEP25で地絡検知電圧Vxを3種類の範囲に分類して判断することで、地絡通電線を概略的に特定できる。
そして、STEP25でVx>3Vである場合には、地絡検知電圧Vxの周波数をSTEP26で判断することで、ステッピングモータ21の通電線と、湯はり弁30及び補水弁31の通電線とを区別して、地絡通電線を特定できる。
さらに、STEP26の判断結果が肯定的である場合には、複数のステッピングモータ21を順番に作動させ、それぞれの作動時の地絡検知電圧Vxに基づいて、ステッピングモータ21のそれぞれの通電線毎に、地絡が発生した通電線であるか否かの判定する処理が、順番に実行される。これにより、地絡通電線が、いずれのステッピングモータ21の通電線であるかを適正に特定することができる。
また、STEP26の判断結果が否定的である場合に、湯はり弁30及び補水弁31のいずれか一方、例えば湯はり弁30を開弁制御した状態で、地絡検知電圧Vxの大きさをSTEP36で判断することで、地絡通電線が、湯はり弁30及び補水弁31のいずれの通電線であるかを適正に特定することができる。
また、STEP25で0.2V<Vx≦3Vである場合に、浴槽の湯はりを行って、湯はり量センサ27を作動させた状態で、地絡検知電圧Vxの大きさをSTEP41で判断することで、地絡通電線が、水量センサ26及び湯はり量センサ27のいずれの通電線であるかを適正に特定することができる。
以上の如く本実施形態によれば、地絡が発生した場合に、地絡通電線の特定を適正に行うことができる。そして、特定した地絡通電線を報知することで、地絡の解消作業を行う作業者は、どの通電線で地絡が発生したのかを認識できるため、地絡の解消作業(地絡が発生した通電線の交換、該通電線の配設経路の修正等)を短時間で容易に行うことができる。
なお、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではない。以下に、他の実施形態をいくつか説明する。例えば、STEP6で取得した地絡検知電圧Vxの周波数が、床暖房リモコン28及び浴室暖房リモコン29の通信用の周波数帯域に属する場合には、Vxの大きさによらずに、地絡通電線を、床暖房リモコン28又は浴室暖房リモコン29の通信用の通電線であると特定してもよい。
また、例えば、STEP13で取得した地絡検知電圧Vxが、ほぼ一定の電圧である場合(周波数が約0Hzである場合)に、Vxの大きさによらずに、地絡通電線を、いずれかのサーミスタ25の通電線であると特定してもよい。
また、例えば、STEP24で取得した地絡検知電圧Vxが、ステッピングモータ21の駆動周波数である125Hzに一致もしくはほぼ一致する場合には、Vxの大きさによらずに、地絡通電線を、いずれかのステッピングモータ21の通電線であると特定してもよい。
また、STEP34で、湯はり弁30を開弁制御する代わりに、補水弁31を開弁制御し、この状態で取得した地絡検知電圧Vxが、Vx>0.2Vである場合に、地絡通電線が、補水弁31の通電線であると特定してもよい。
また、前記実施形態では、地絡検知電圧Vxの変化パターンを表す指標として、Vxの周波数を用いた。ただし、ある電子部品の作動状態を、ある所定状態から他の状態に変化させたときの地絡検知電圧Vxの変化パターン等に基づいて、地絡通電線の特定を行うようにしてもよい。
また、地絡検知回路46は、地絡電流を検出し得るものであれば、前記実施形態と異なる構成の回路であってもよい。
さらに、前記実施形態では、本発明における機器として、温水暖房機能付きの風呂給湯器1を例示したが、本発明の適用対象の機器は、例えば、温水暖房機能を備えない給湯器であってもよい。さらには、本発明は、給湯器に限らず、空調システム等、種々様々な機器に適用できる。