JP2014196920A - 漏電検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】漏電検出装置において、漏電現象が生じたときに、その漏電原因の特定を漏電発生後においても検出できるようにする。
【解決手段】漏電検出装置1は、交流系統が貫通する零相変流器11と、零相変流器11からの出力電流を用いて演算値を算出する演算部12と、交流系統に漏電が発生していることを示す漏電検出信号を出力する漏電検出部14とを備える。また、所定期間における零相変流器11からの出力波形を記憶する波形記憶部13と、波形記憶部13に記憶されている波形に基づいて、漏電原因となる漏電パターンを照合する漏電パターン照合部15と、漏電パターン照合部15において照合された漏電パターンを記録するパターン記憶部16とを備える。この構成により、漏電検出装置1は、漏電現象が生じたときに、その漏電原因の特定を漏電発生後においても検出できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、漏電検出により商用電源から負荷への電路を遮断し、漏電を停止する漏電検出装置に関する。
従来より、電気的安全確保のため、制御盤などにおいては漏電検出装置が用いられている。漏電検出装置は、例えば3相の電力線を3本とも1つの変流器のコアに貫通させた零相変流器(ZCT:Zero phase Current Transformer)の検出出力に応じて、交流電路に漏電が発生したか否かを判定する。すなわち、漏電していない場合、3本の線を流れる電流の和は0となる一方、いずれかの相から大地に漏電すると電流和のバランスがくずれ、零相変流器(ZCT)のコイル両端に、漏電電流に対応する誘起電圧が検出される。従って、漏電検出装置では、零相変流器(ZCT)のコイルの出力電流を検出することで電路に漏電電流が発生したか否かを判定することができる。
漏電検出装置には、例えば雷サージなど、引込み線を伝わってくるノイズで誤動作しないように、漏電検出閾値を超える信号の時間や回数をカウントして漏電制御するようにしているものもある。
ところで、交流モータの速度制御などに用いられるインバータ装置は、入出力配線として絶縁した配線を用いる。インバータ装置の電線に高調波を含んだ電流が流れると、配線の有するインピーダンスを介して配線の芯線から大地側に向かって、いわゆる「インバータ高調波漏洩電流」が流れることがある。図8(a)は、インバータ装置の漏洩電流の波形の一例を示しており、スイッチング動作ごとにバースト状の漏洩電流が流れていることが分かる。インバータ装置からの漏洩電流は、配線が長いほど、また、スイッチング周波数が高いほど増加するために、この漏洩電流が漏電検出装置を誤動作させてしまう。従って、漏電検出装置は、インバータ装置からの漏洩電流など波形歪がある場合でも漏電検出の精度を保つ必要性がある。
また、図8(b)に示すように、零相変流器100の出力電圧を積分する積分部101を備えて、漏電現象に関する積分値を演算結果記憶部102に記憶する漏電検出装置103が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−202705号公報
しかしながら、上記特許文献1に示す漏電検出装置103では、演算結果記憶部102に所定時間分の出力電圧の積分値が記憶されているものの、当該積分値から得られる情報は、漏電電圧の実効値(漏電レベル)に留まる。このため、上記従来の漏電検出装置103においては、どの程度のレベルの漏電が発生しているかを認識できる一方、漏電原因や漏電箇所の特定はできていない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、漏電現象が生じたときに、その漏電原因や漏電箇所の特定を漏電発生後においても検出できるようにする漏電検出装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、交流系統が貫通する零相変流器と、前記零相変流器からの出力電流を用いて演算値を算出する演算部と、前記演算部の演算値に基づいて、前記交流系統に漏電が発生していることを示す漏電検出信号を出力する漏電検出部と、を備える漏電検出装置において、所定期間における前記零相変流器からの出力波形を記憶する波形記憶部と、前記波形記憶部に記憶されている波形に基づいて、漏電原因となる漏電パターンを照合する漏電パターン照合部と、前記漏電パターン照合部において照合された漏電パターンを記録するパターン記憶部と、を備えることを特徴とするものである。
この漏電検出装置において、さらに、前記波形記憶部に記憶されている波形に基づいて、漏電している電路を特定する電路特定部を備え、前記漏電検出部は、前記電路特定部において特定された電路に取り付けられた電路遮断器に対して漏電検出信号を送信することが好ましい。
この漏電検出装置において、前記パターン記憶部には、前記漏電パターンと併せて前記演算部における演算値が記憶されることが好ましい。
この漏電検出装置において、前記所定期間は、前記漏電検出部において出力波形からの漏電が判別可能な期間であることが好ましい。
この漏電検出装置において、前記所定期間は、前記出力波形の連続する少なくとも3半波波形の期間であることが好ましい。
この漏電検出装置において、前記漏電検出部は、前記連続する3半波波形の半波波形毎に、前記演算部において算出される実効値と所定閾値とを比較し、その結果に基づいて漏電検出信号を出力することが好ましい。
この漏電検出装置において、前記漏電検出部は、前記連続する3半波波形の半波波形毎に、前記演算部において算出される瞬時値と所定閾値とを比較し、その結果に基づいて漏電検出信号を出力することが好ましい。
この漏電検出装置において、前記波形記憶部に記憶されている波形データと、前記パターン記憶部に記憶されるデータとを対応付ける同期用降番情報を付与することが好ましい。
この漏電検出装置において、前記演算部は、前記零相変流器からの出力電流のアナログ値をデジタル値に変換するA/D変換部を備えることが好ましい。
本発明に係る漏電検出装置によれば、波形記憶部において所定期間の零相変流器からの出力波形を記憶し、当該波形に基づいて、漏電原因を照合し、その照合結果をパターン記憶部に記憶する。このため、本発明では、漏電現象が生じたときに、その漏電原因の特定を漏電発生後においても検出できる。
本発明の実施の形態1に係る漏電検出装置の機能ブロック図である。 前記漏電検出装置のより詳細な機能ブロック図である。 (a)前記漏電検出装置に備わる漏電検出部における漏電検出動作の一例を説明する図、(b)前記漏電検出部における漏電検出動作の他の一例を説明する図である。 前記漏電検出装置に備わる漏電パターン照合部において照合される漏電パターンの一例を示す図である。 前記実施の形態1の変形例1に係る漏電検出装置において用いられる同期用降番情報の説明図である。 本発明の実施の形態2に係る漏電検出装置を備える漏電検出システムの全体図である。 同上漏電検出装置の機能ブロック図である。 (a)インバータ装置からの漏洩電流の一例を示す図、(b)従来の漏電検出装置の機能ブロック図である。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る漏電検出装置について図面を参照して説明する。図1に示す漏電検出装置1は、零相変流器11、演算部12、波形記憶部13、漏電検出部14、漏電パターン照合部15、及びパターン記憶部16を備える。
零相変流器11は、例えば、三相の通電電流が流れる交流電路を構成する複数の一次導体を貫通させた軟磁性材料等の磁性体からなる環状の鉄心(コア)と、当該コアに巻回されたコイルとを備える。零相変流器11には、交流電路の往路方向を流れる電流と復路方向を流れる電流との間に差異が発生した場合には、その差異に基づく漏電電流が発生する。
演算部12は、零相変流器11と接続される回路に負担抵抗を挿入して、この負担抵抗の両端の電圧を検出することで電流を計測する。また、演算部12は、零相変流器11からの出力電流の実効値演算、平均値演算や積算値演算などを行い、これらを演算値として漏電検出部14へ出力する機能を有する。
この演算部12は、図2に示すように、A/D変換部12a、及び実効値演算部12bを備えても良い。A/D変換部12aは、零相変流器11から受信する電流波形のアナログ信号をデジタル信号に変換する。これにより、出力波形ごとの演算値を求めることが容易となり漏電原因の特定に繋がる。また、出力波形をデジタル値とすることで、メモリカードや汎用デジタル通信手段を用いて漏電検出装置1の内外に取り出し易くなる。実効値演算部12bは、零相変流器11からの出力電流の2乗値を1周期分積分し、1周期の時間で除し、その値の平方根を求めることで出力電流の実効値(漏電レベルともいう)を演算する。この場合には、漏電電流を精度よく検出することができる。
なお、演算部12は、積分演算を用いて零相変流器11からの出力電流の平均値を求める場合、出力電流の絶対値を1周期分積分し、1周期の時間で除して絶対値平均値を計算する。この場合、演算量を低減させることができ、低コストで漏電検出装置1を構成することができる。
波形記憶部13は、零相変流器11からの出力波形を所定期間において記憶するためのメモリ部である。なお、本実施の形態1において所定期間とは、漏電検出部14において出力波形からの漏電が判別可能な期間であり、例えば、少なくとも出力波形の連続する3半波波形の期間である。このように、波形記憶部13に記憶される漏電波形を所定期間の波形に限定することで、不必要に大きなメモリを要することがなく効率的となる。また、波形記憶部13に記憶された漏電波形を、漏電原因や漏電箇所の特定情報として用いることができる。
漏電検出部14は、演算部12の演算結果に基づいて、交流系統に漏電が発生していることを示す漏電検出信号を出力する。なお、漏電検出信号は、交流電路の電路接点を開放するための(交流電路を遮断するための)遮断指定信号として、電路接点を開放する引外しコイル(不図示)に送出される。その結果、交流電路の電路接点は開放される。
また、漏電検出部14は、図3(a)に示すように、出力電流の連続する3半波波形について、波形毎に演算部12にて演算された実効値(mArms)と所定閾値Tを比較する。そして、当該実効値が所定閾値Tを超える場合においては、電路の接点を開放(トリップ動作)するための漏電検出信号を外部又は内部の遮断機構部に出力する。この場合、漏電検出装置1は、半波漏電現象と、漏電現象でない耐インラッシュノイズとを識別して、漏電原因の特定に繋がる高度な情報を提供でき、また、誤動作を少なくできる。
さらに、漏電検出部14は、図3(b)に示すように、出力電流の連続する3半波波形について、波形毎に演算部12にて演算された瞬時値と所定閾値Tを比較し、当該瞬時値が所定閾値Tを超える場合においても漏電検出信号を遮断機構部に出力できる。この場合、漏電検出装置1は、図3(a)の場合と同様に、半波漏電現象と、漏電現象でない耐インラッシュノイズとを識別して、漏電原因の特定に繋がる高度な情報を提供でき、また、誤動作を少なくできる。また、漏電開始位相が零点スタートでない漏電波形であり実効値演算結果が所定の閾値に至らない場合や、1波目の波形が漏電と判定しにくい波形であっても漏電波形であることを識別でき、漏電を感度良く検出できる。
漏電パターン照合部15は、波形記憶部13に記憶されている波形に基づいて、漏電原因となる漏電パターンを照合する。すなわち、漏電パターン照合部15は、正弦波波形、半波波形、直流波形など波形の照合パターン、出力電流の実効値に基づいて、図4に示す(1)半波(パターンA)、(2)耐インラッシュノイズ(パターンB)、(3)正弦波(パターンC)などの漏電パターンと照合する。そして、漏電パターンに基づいて、(1)半波(パターンA)に該当する場合には消費電力の大きな負荷で漏電が発生、(2)耐インラッシュノイズ(パターンB)に該当する場合には「インバータ装置の箇所で漏電が発生したもの」など漏電原因の特定を高度に行える。
パターン記憶部16は、漏電パターン照合部15において照合された漏電パターンを記録する。また、パターン記憶部16は、10mArms、20mArmsなど出力電流の実効値やその他の演算部12における演算値を記憶する。このため、パターン記憶部16に記憶されたデータを参照することで専門家は漏電原因や漏電箇所を、より詳細に検討できる。また、漏電原因(漏電パターン)とその量(演算値)がセットで把握でき、漏電原因特定につながる高度な情報を提供できるようになる。
以上のように、本実施の形態1に係る漏電検出装置1は、波形記憶部13に所定期間における電流波形が記憶され、パターン記憶部16には、漏電パターンや演算部12の演算値が記憶される。すなわち、漏電検出装置1には、漏電現象に関する演算値及び漏電波形データの履歴が記憶される。従って、交流系統において、インバータ装置を介して直流負荷に電力を供給するシステムを用いるような場合においても、漏電現象が生じたときに漏電原因に繋がる有用な情報を漏電発生後に取り出すことができる。このため、単に「漏電」という情報に比べて漏電原因をより把握し易くなる。
(第1の変形例)
本実施の形態1の第1の変形例について、図5を参照して説明する。本変形例1は、波形記憶部13に記憶されている波形データと、パターン記憶部16に記憶される漏電パターンなどのデータとを対応付ける同期用降番情報に関するものである。
各波形データ51に対して、例えば、経時情報52、漏電パターン53、漏電レベル54(実効値)、漏電検出信号の動作/不動作55が同期用降番情報56と共に順番に紐付けされている。従って、本変形例1では、同期用降番情報56を用いることで漏電波形と漏電検出情報とを対応付けて取り出すことができるので、漏電原因特定をより高度に行える。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る漏電検出装置について、図6及び図7を参照して説明する。なお、上記実施の形態1と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施の形態2に係る漏電検出装置1を用いた漏電検出システムSに関して図6を参照して説明する。この漏電検出システムSは、交流電源(交流系統)2を、電線3を介して一次側に受ける主幹回路と、主幹回路から分岐した複数の分岐回路とを備える。各分岐回路には冷蔵庫やエアコンのほか、電気ヒータやドライヤー、電気自動車(PHEV)などの様々な負荷4が接続される。また、ブレーカ5は、主幹回路から分岐した複数の分岐回路に配設された分岐ブレーカである。
漏電検出装置1は、図7に示すように、上記実施の形態1の構成に加えて、波形記憶部13に記憶されている波形に基づいて、漏電している電路を特定する電路特定部17を備える。漏電検出部14は、電路特定部17において特定された電路に取り付けられた電路遮断器たる分岐ブレーカ5に対して漏電検出信号を送信する。この漏電検出信号を受信した分岐ブレーカ5は、引外コイルを動作させてトリップ動作を行う。なお、各分岐ブレーカ5にはユニークなアドレスが付与されており、漏電検出装置1と分岐ブレーカ5との間の信号の送受信には電力線通信(PLC:Power Line Communication)などを用いることができる。
パターン記憶部16には、例えば、ドライヤーの漏電波形は半波波形、エアコンの漏電波形は直流波形、電気ヒータの漏電波形は交流正弦波形と記憶される。電路特定部17は、漏電が検出されたときに、漏電波形を用いて負荷4を特定して、漏電箇所を特定することができる。従って、本実施の形態2に係る漏電検出装置1では、上記実施の形態1の効果に加えて、漏電箇所の電路を特定できるため、いきなり主幹回路が切断されて全停電されることを防止し、最小限の停電範囲に抑えることができる。
なお、本発明は、上記実施の形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、波形記憶部13とパターン記憶部16とは必ずしも別体にする必要は無い。また、本発明の目的を達成するために、本発明は、漏電検出装置に含まれる特徴的な構成手段をステップとする漏電検出方法としたり、それらの特徴的なステップを含むプログラムとして実現することもできる。そして、そのプログラムは、ROM等に格納しておくだけでなく、USBメモリ等の記録媒体や通信ネットワークを介して流通させることもできる。
1 漏電検出装置
4 負荷
5 分岐ブレーカ
11 零相変流器
12 演算部
12a A/D変換部
13 波形記憶部
14 漏電検出部
15 漏電パターン照合部
16 パターン記憶部
17 電路特定部

Claims (9)

  1. 交流系統が貫通する零相変流器と、
    前記零相変流器からの出力電流を用いて演算値を算出する演算部と、
    前記演算部の演算値に基づいて、前記交流系統に漏電が発生していることを示す漏電検出信号を出力する漏電検出部と、を備える漏電検出装置において、
    所定期間における前記零相変流器からの出力波形を記憶する波形記憶部と、
    前記波形記憶部に記憶されている波形に基づいて、漏電原因となる漏電パターンを照合する漏電パターン照合部と、
    前記漏電パターン照合部において照合された漏電パターンを記録するパターン記憶部と、を備えることを特徴とする漏電検出装置。
  2. 前記漏電検出装置は、さらに、前記波形記憶部に記憶されている波形に基づいて、漏電している電路を特定する電路特定部を備え、
    前記漏電検出部は、前記電路特定部において特定された電路に取り付けられた電路遮断器に対して漏電検出信号を送信する、ことを特徴とする請求項1に記載の漏電検出装置。
  3. 前記パターン記憶部には、前記漏電パターンと併せて前記演算部における演算値が記憶される、ことを特徴とする請求項1又は2記載の漏電検出装置。
  4. 前記所定期間は、前記漏電検出部において出力波形からの漏電が判別可能な期間である、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の漏電検出装置。
  5. 前記所定期間は、前記出力波形の連続する少なくとも3半波波形の期間である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の漏電検出装置。
  6. 前記漏電検出部は、前記連続する3半波波形の半波波形毎に、前記演算部において算出される実効値と所定閾値とを比較し、その結果に基づいて漏電検出信号を出力する、ことを特徴とする請求項5記載の漏電検出装置。
  7. 前記漏電検出部は、前記連続する3半波波形の半波波形毎に、前記演算部において算出される瞬時値と所定閾値とを比較し、その結果に基づいて漏電検出信号を出力する、ことを特徴とする請求項5記載の漏電検出装置。
  8. 前記波形記憶部に記憶されている波形データと、前記パターン記憶部に記憶されるデータとを対応付ける同期用降番情報を付与する、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の漏電検出装置。
  9. 前記演算部は、前記零相変流器からの出力電流のアナログ値をデジタル値に変換するA/D変換部を備える、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の漏電検出装置。
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