JP7037785B2 - 地山補強管 - Google Patents
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Description
特許文献3においては、隣接する管体どうしをバヨネット嵌合によって接合している。
本発明は、かかる事情に鑑み、先受け鋼管などの地山補強管の継ぎ足し作業を容易化して作業者の負担を軽減するとともに、作業時間を短縮することを目的とする。更に好ましくは、接続後は外れないようにして引張強度を確保することを目的とする。
先行管体と、
前記先行管体と一直線に継ぎ足される後続管体とを備え、
前記先行管体及び後続管体のうち一方の管体における他方の管体を向く第1端管部の内周面には、凹状又は凹凸状の第1係止部が形成され、
前記他方の管体における前記第1端管部に挿入される第2端管部の外周面には、凸状又は凹凸状の第2係止部が形成され、
かつ前記第2端管部には端面まで達するスリットが管軸に沿って形成されており、
前記第1係止部と第2係止部とが、前記第2端管部が縮径されながら前記第1端管部内の係止位置まで挿入されるのを許容するとともに、前記係止位置まで達したとき前記第2端管部の弾性復帰を許容しかつ引き抜きを阻止するように互いに係止されることを特徴とする。
第2端管部を係止位置まで挿入すると、第2端管部が拡径方向へ弾性復帰されるとともに、第1係止部と第2係止部とが係止され、引き抜きが阻止される。これによって、先行管体と後続管体との間で引張力を伝達できる。
後続管体を管軸に沿って一直線に平行移動させることで継ぎ足すことができ、回転操作は不要である。これによって、継ぎ足し作業を容易化でき、作業者の負担を軽減できる。作業時間も短縮される。
これによって、第2端管部が第1端管部内に挿し込まれるとき、テーパ状の案内面上を他方の係止部が管軸に沿って摺動されることによって第2端管部をスムーズに縮径させることができる。係止位置に達したときは、第2端管部の弾性復帰に伴って、係止段差と他方の係止部とが係止されることで、引き抜きが阻止される。これによって、引張強度を確保できる。
これによって、係止段差と他方の係止部とが確実に係止され、引き抜きを確実に阻止できる。
これによって、第1端管部と第2端管部の接合強度が高まる。
前記第1係止爪が、前記案内面及び前記係止段差を有していてもよい。
前記第2係止爪が、前記案内面及び前記係止段差を有していてもよい。
これによって、少なくとも第2端管部の反発力(スプリングバック)が高まる。したがって、第2端管部を第1端管部内の係止位置まで挿入したとき確実に弾性復帰させることができ、第1、第2係止部どうしを確実に係止させることができる。
好ましくは、第1、第2端管部の各々の材質として前記高張力鋼材を用いる。
より好ましくは、前記先行管体及び後続管体の材質として前記高張力鋼材を用いる。これによって、先行管体及び後続管体を薄肉化しても所要強度を確保できる。薄肉化によって先行管体及び後続管体を軽量化できるから、継ぎ足し作業性を改善できる。
図1は、NATM工法によって施工中のトンネル1を示したものである。地山2が掘削されてトンネル1が構築されている。トンネル1の軸方向の一定間隔置きに、H型断面の鋼材からなるアーチ状の支保工3が設置されている。支保工3間の掘削面2aには、吹付コンクリート4が吹付けられている。支保工3及び吹付コンクリート4の内周側には、二次覆工(図示省略)が構築される。
各管体10の長さは例えば3m程度である。隣接する2つの管体10どうしが一直線に連なっている。前記2つの管体10を互いに区別する際は、先に打ち込まれた管体10を「先行管体11」と称し、該先行管体11に継ぎ足される側の管体10を「後続管体12」と称する(図6参照)。
これら管部19,13,14は、一般構造用炭素鋼鋼管STK400(JIS G3444)よりも高引張強度の鋼管によって構成されている。好ましくは、管部19,13,14は、引張強度650N/mm2~1200N/mm2、耐力600N/mm2~900N/mm2の鋼材によって構成されている。鋼材に含まれるC,Si,Mn,P,Sその他成分の配合比を調整することによって、前記引張強度及び耐力を得ることができる。管部19,13,14として、例えば特開2002-003941に開示された鋼管を用いてもよい。
なお、管体10における管部19,13,14の鋼材質が互いに異なっていてもよい。例えば、端管部13,14は、前記高引張強度の鋼管によって構成され、主管部19は、一般構造用炭素鋼鋼管STK400(JIS G3444)によって構成されていてもよい。或いは、第2端管部14は前記高引張強度の鋼管によって構成され、主管部19及び第1端管部13は、一般構造用炭素鋼鋼管STK400(JIS G3444)によって構成されていてもよい。
なお、管体10が単一の1本の鋼管によって構成され、その中間部が主管部19となり、両端部が端管部13,14となっていてもよい。
なお、第1端管部13が打ち込み方向の先端側へ向けられ、第2端管部14が後尾側へ向けられていてもよい。
案内面31と係止段差32によって三角形断面の第1係止爪35が形成されている。
係止面33とストレート部13aとの間には、段差状の挿入規制面34が設けられている。
係止面33の中間付近から挿入規制面34側をR加工して曲面としてもよい。
案内面41と係止段差42によって三角形断面の第2係止爪45が形成されている。
係止面43とストレート部14aとの間には、段差状の挿入規制面44が設けられている。
なお、スリット15の奥端部15bは、係止面43の途中に位置されていてもよく、ストレート部14aまで延びていてもよい。
スリット15の数は、3つに限らず、1つだけでもよく、2つでもよく、4つ以上でもよい。
詳しくは、先行管体11及び後続管体12の係止部30,40における、案内面31と係止面43とが互いに対面し、かつ係止面33と案内面41とが互いに対面している。かつ係止段差32,42どうしが互いに対面している。ひいては、係止爪35,45どうしが係止されている。さらに、先行管体11及び後続管体12における、挿入規制面34と端面14eとが互いに対面し、かつ端面13eと挿入規制面44とが互いに対面している。係止部30,40どうしの間には、僅かな(好ましくは1mm以下)のクリアランスが設けられている。
すると、図7に示すように、テーパ状の案内面41が、テーパ状の案内面31上を管軸に沿って摺動されることによって、後続管体12の第2端管部14が縮径されていく。第2端管部14の縮径によって、後続管体12の更なる挿し込みが許容される。
係止段差32,42が反り返っているために、後続管体12の引き抜きを確実に阻止できる。これによって、後続管体12が先行管体11から外れるのを確実に防止できる。
さらに、係止段差32,42どうしの当たりによって、先行管体11と後続管体12との間で引張力を伝達できる。したがって、管体11,12どうしの接合部における先受け鋼管9の引張強度を確保できる。
<第2実施形態>
図9~図11は、本発明の第2実施形態を示したものである。図9(a)及び図10(a)に示すように、第2実施形態においては、第1係止部30Bが2段(複数段)の第1係止爪35A,35Bを有している。第1係止爪35A,35Bは、第1端管部13の管軸方向に間隔を置いて配置されている。各第1係止爪35A,35Bが、緩テーパ状の案内面31と、急テーパ状に反り返る係止段差32とを含み、三角形断面の環状をなしている。
また、第1係止爪35A,35Bの係止段差32のテーパ角度θ32A,θ32Bは、例えばθ32A=θ32B=60°~90°程度である。
係止面33のテーパ角度θ33は、例えばθ33=2°~8°程度である。
奥側の第2係止爪45Bの案内面41のテーパ角度θ41Bは、第1係止爪35Bの案内面31のテーパ角度θ31Bと等しく、例えばθ41B=2°~8°程度である。
第2係止爪45A,45Bの係止段差42のテーパ角度θ42A,θ42Bは、係止段差32のテーパ角度θ32A,θ32Bと等しく、例えばθ42A=θ42B=60°~90°程度である。
係止面43のテーパ角度θ43は、第2係止爪45Bの案内面41のテーパ角度θ41Bと等しく、かつ第1係止爪35Aの案内面31のテーパ角度θ31Aと等しい。
これによって、先行管体11と後続管体12との接合強度を高めることができる。
例えば、実施形態では、先行管体11の第1端管部13と、後続管体12の第2端管部14とを接合させているが、先行管体11の第2端管部14と、後続管体12の第1端管部13とを互いに対向させて接合するようにしてもよい。
第1係止爪及び第2係止爪の段数は、1段(図6)又は2段(図11)に限らず、3段以上であってもよい。
2 地山
9 先受け鋼管(地山補強管)
10 管体
11 先行管体
12 後続管体
13 第1端管部
13e 端面(案内始端)
14 第2端管部
14e 端面(案内始端)
15 スリット
19 主管部
30,30B 第1係止部
31 案内面
32 係止段差
33 係止面
34 挿入規制面
35 第1係止爪
35A,35B 第1係止爪
40,40B 第2係止部
41 案内面
42 係止段差
43 係止面
44 挿入規制面
45 第2係止爪
45A,45B 第1係止爪
Claims (4)
- トンネル周辺の地山に打ち込まれる地山補強管であって、
先行管体と、
前記先行管体と一直線に継ぎ足される後続管体とを備え、
前記先行管体及び後続管体のうち一方の管体における他方の管体を向く第1端管部の内周面には、三角形断面の第1係止爪を有する凹状又は凹凸状の第1係止部が形成され、
前記他方の管体における前記第1端管部に挿入される第2端管部の外周面には、三角形断面の第2係止爪を有する凸状又は凹凸状の第2係止部が形成され、
かつ前記第2端管部には、管軸に沿って延びて端面まで達する複数のスリットが、互いに前記第2端管部の周方向に間隔を置いて形成され、これらスリットによって、前記第2端管部が周方向に複数の部分に分割され、分割された各部分が弾性的に拡縮変形可能であり、
前記第1係止部と第2係止部とが、前記第2端管部が縮径されながら前記第1端管部内の係止位置まで挿入されるのを許容するとともに、前記係止位置まで達したとき前記第2端管部の弾性復帰を許容しかつ引き抜きを阻止するように互いに係止され、
前記先行管体及び後続管体における少なくとも第2端管部が、引張強度650N/mm 2 ~1200N/mm 2 、耐力600N/mm 2 ~900N/mm 2 の鋼材によって構成されていることを特徴とする地山補強管。 - 前記第1係止部及び前記第2係止部の少なくとも一方が、他方の係止部と摺擦して前記挿入時の第2端管部を縮径させるテーパ状の案内面と、前記案内面の案内終端に連なり、前記弾性復帰した第2端管部の引き抜きを阻止するように前記他方の係止部と係止される係止段差とを有し、前記案内面及び前記係止段差によって前記第1係止爪又は前記第2係止爪が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の地山補強管。
- 前記係止段差が、前記案内終端から径方向に遠ざかるにしたがって、前記案内面より急傾斜をなして前記案内面の案内始端側へ傾斜する急テーパ面であることを特徴とする請求項2に記載の地山補強管。
- 前記第1係止部が、前記第1端管部の管軸方向に間隔を置いて複数段の第1係止爪を有し、前記第2係止部が、前記第2端管部の管軸方向に間隔を置いて複数段の第2係止爪を有し、互いに対応する段の第1係止爪及び第2係止爪どうしが係止されることを特徴とする請求項1~3の何れか1項の地山補強管。
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