JP7452860B2 - 延伸鋼管、地山補強用鋼管、及び、それを用いた施工方法 - Google Patents

延伸鋼管、地山補強用鋼管、及び、それを用いた施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、土木、建築、鉄塔、足場、支柱その他の構造物に使用される鋼管に関わり、特に複数の鋼管を組み合わせて長尺の鋼管とすることが可能な延伸鋼管に関する。
鋼管は、建造物の内部に配置して建造物の構造を支える支柱として、また建造物の建築や保守点検などを行う際にその周囲に設置される足場として、さらには地山の補強用鋼管として、広く用いられている。このような用途において要求される鋼管の長さは、用途に応じて様々であるが、大きな構造体などでは、10メートルを超える長尺のものも用いられる。しかし、そのような長尺の鋼管を精度よく、つまり一様な厚みで軸方向の変形なく製造することは困難である。従って長尺が要求される用途では、通常、例えば3メートル程度の比較的短尺の鋼管を、それが使用される現場において、つなぎ合わせて用いている。
つなぎ合わせは、用途により異なるが、鋼管どうしの溶接や螺合、或いは継手部材を用いた接合などが行われる(特許文献1、特許文献2)。作業のためには、敷設された一つの鋼管に対し、接合する鋼管を接近させた上で芯だし作業を行い、接合作業が行われる。このような作業は、かなり不安定な足場であったり、悪天候下での作業であったり、機械を利用したサポートがある場合でも作業員に多大の負担になっている。
特許文献1に記載された技術では、ねじの構造を改良することで、螺合時の作業性を改良している。また特許文献2に記載された技術では、特殊な継手を用いることで芯だしの作業性の向上を図っている。
特開2020-105899号公報 特開2017-155469号公報
上述した特許文献1,2に記載された技術では、接合部の構造を工夫することで接合作業の負担を軽減するものであるが、それでも、接合作業が必要であることには変わりなく、接合される鋼管に対し他方の鋼管を位置付ける作業や、軽減されたとはいえ芯だしや接合のための作業は不可欠である。
本発明は、現場での鋼管の接合作用を不要にすること、それにより作業時間及び作業量を大幅に軽減することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、径の異なる鋼管を入れ子状に配置した延伸鋼管を提供する。延伸鋼管を構成する鋼管は、内側に位置する鋼管の外周に軸方向に摺動する第一の管状部材を嵌合し、第一の管状部材の外周面に、外側に位置する鋼管の端部が固定される。第一の管状部材は、内側の鋼管の端部に設けた第二の管状部材によって軸方向の移動が規制され、内側の鋼管とその外側の鋼管とが離脱しない構成される。
さらに本発明の延伸鋼管は、第二の管状部材の端部と、第一の管状部材との間にリング材を入れることで第一の管状部材の逆方向の移動をロックする戻り防止機構を備えた構成とすることができる。
本発明の地山補強用鋼管は、径の異なる複数の鋼管を組み合わせた延伸鋼管であって、径の大きい鋼管の内側にそれより径の小さい内側鋼管を収納可能にしたものである。好適には、複数の鋼管は、径方向に隣接する2つの鋼管の一方を他方に対しスライドしたときに、両鋼管が離間するのを防止する係止機構を備える。さらに好適には、複数の鋼管は、径方向に隣接する2つの鋼管の一方を他方に対しスライドしたときに、一方の鋼管の端部と他方の鋼管の端部とが重なった位置で、逆方向のスライドをロックする戻り防止機構を備える。
本発明の延伸鋼管は、敷設前の状態では、最大径の鋼管の内部に1ないし複数の内側鋼管が入れ子状に収納された状態であり、最大径の鋼管とほぼ同程度の長さであるが、それを使用する状態においては、外側或いは内側の鋼管を引き出し長尺化する。このとき、内側の鋼管に嵌合した第一の管状部材が外側の鋼管とともに内側の鋼管の外周面をスライドし、長尺化される。第一の管状部材の移動は、第二の管状部材によって規制されるので、外側の鋼管と内側の鋼管が外れることはない。
さらに第一の管状部材は戻り防止機構によって第二の管状部材に当接した位置でロックされるので、本発明の延伸鋼管を垂直方向或いは斜め方向に使用する用途においては、長尺になった状態から使用前の入れ子状態に戻ることはなく、安定した構造が保たれる。
本発明の延伸鋼管の実施形態を示す全体図で、(A)は収納状態、(B)は延長状態を示す。 実施形態1の延伸鋼管の、鋼管どうしの接合部分を示す断面図。 実施形態1の延伸鋼管の、鋼管どうしの接合部分の要部を示す図。 本発明の地山補強用鋼管の実施形態を示す全体図。 地山補強用鋼管の先端部を示す図で、(A)は先頭管が最小径の鋼管の場合、(B)は先頭管が最大径の鋼管の場合を示す。 地山補強用鋼管を用いた施工方法を説明する図。
<実施形態1>
以下、図面を参照して本発明の延伸鋼管の実施形態を説明する。なお図面において鋼管やそれに付属する構造体の寸法やその寸法の比率等は、説明のために描出されたものであり、本発明の延伸鋼管や構造体の寸法の縮尺と解釈されるものではない。
本発明の延伸鋼管は、複数の鋼管を組み合わせたものであり、以下の実施形態では、4本の鋼管を組み合わせた延伸鋼管を例に説明する。鋼管の数は2以上であれば、4本に限定されるものではないが、最大径及び最小径は、用途に応じた許容サイズや許容強度を満たすものが選択される。
図1に示す延伸鋼管1は、径の異なる4本の鋼管1A、1B、1C、1Dで構成され、最も径の大きい鋼管1Aの内側に、それより径の小さい鋼管1B、1C、1Dが順次に摺動可能に配置された構造を有する。この延伸鋼管1は、図1(A)に示すように、敷設される前の状態では、概ね鋼管1A内部に他の3本の鋼管1B~1Dが収納されているが、敷設時には、図1(B)に示すように、引き伸ばして長尺化して各鋼管のつなぎ目を固定した状態で用いられる。以下、前者を収納状態といい、後者を延長状態という。また以下の説明において、4本の鋼管に共通する事項を説明する際には、符号を区別せず鋼管10とする。
鋼管10の材質やサイズは、用いられる用途により異なるが、本発明の延伸鋼管は構造体や地山補強用として用いられるものであり、それに耐える強度を持つ。例えば、先頭管または端末管の外径は、最小60.5mmから最大139.8mmである。一例として、全長が約3mで、肉厚3.5mm~4.5mm、外径約114mm~約76mmの鋼管を組み合わせて用いることができる。具体的には、STK400、STK490、STK700等の高抗張力鋼管を組み合わせて用いることが好ましい。
4本の鋼管のうち、延長構造において端部となる鋼管10(1Aまたは1D)の端部には、鋼管10の外径よりも外径の大きい鍔部(フランジ)15を形成しておいてもよく、これにより収納構造から、容易に内側にある鋼管を引き出すことができる。またフランジ15は、他の構造体(例えば、土台や構造物の梁など)との連結部として機能することも可能である。
径の大きい鋼管とその内側に位置する鋼管との連結部には、打設施工後構造において、両者の連結を堅固にするための機構(係止機構及びロック部)が設けられている。この機構は、鋼管1Aと鋼管1Bとの連結部、鋼管1Bと鋼管1Cとの連結部、及び鋼管1Cと鋼管1Dとの連結部に共通しているので、以下、鋼管1Aと鋼管1Bとの連結部について機構の詳細を説明する。以下の説明において、鋼管の端部とは、特に断らない限り、鋼管1Aと鋼管1Bとの連結部側の端部をいうものとする。
図2及び図3に示すように、内側の鋼管1Bの端部には、ねじ溝11が形成されており、このねじ溝11に管状部材21(第二の管状部材)が螺合し固定されている。管状部材21の外径(D21)は、外側の鋼管1Aの内径(D1A)よりもわずかに小さく、その外側を鋼管1Aが摺動(スライド)することができる。
また鋼管1Bの外周には、管状部材22(第一の管状部材)が鋼管1Bの軸方向にスライド可能に嵌合している。管状部材22の内周面は鋼管1Bの外周面をスライドするために滑らかな面となっているが、外周面にはねじ溝23が形成されており、このねじ溝23に、外側の鋼管1Aの端部が螺合し固定されている。管状部材22の内径(D22)は、管状部材21の外径(D21)より小さく、管状部材22が鋼管1Bの端部までスライドしたときに、その端面が管状部材21の端面に当接し、移動が止められる。すなわち管状部材21と管状部材22とは係止機構として機能し、管状部材22に固定された鋼管1Aが鋼管1Bから引き抜かれるのを防止する。この位置が、鋼管1Aが鋼管1Bに対し最大に引き伸ばされた位置となる。
この連結部は、上述したように、鋼管1Bと鋼管1Cとの連結部、鋼管1Cと鋼管1Dとの連結部でも同様であり、これにより4本の鋼管からなる延伸鋼管は、図1(B)に示したように、「鋼管の全長」×4から「管状部材21、22の長さ」×3を差し引いた長さとなる。例えば鋼管の全長が3.05mで、管状部材21の長さが約70mmとすると、全長約12mの鋼管が得られる。なお、最外側の鋼管1Aと最内側の鋼管1D以外の鋼管については、両端が連結部となるので、一方の端部に管状部材21が固定され、他方の端部は、連結される内側の鋼管に嵌合した管状部材22に連結された構造となる。鋼管1Aについてはその外周に管状部材22を嵌合しておく必要はなく、また鋼管1Dについては、一端部に管状部材21を設ける必要はない。
管状部材21及び管状部材22の材質は、鋼管と同等以上の強度をもつ素材を用いることができる。また管状部材21及び管状部材22の鋼管軸方向の長さは、管状部材21と鋼管1Bとの結合および管状部材22と鋼管1Aとの結合の強度が保たれる長さであればよく、特に限定されるものではないが、例えば10mm~100mm程度でよい。管状部材21,22の長さを長くすることで、連結部の強度を高めることができる。なお上述の例では、ともに螺合によって結合した例を示したが、例えば、管状部材21については鋼管1Bと一体に形成することも可能であるし、溶接等によって固定してもよい。管状部材22については、螺合とすることで、後述する延伸鋼管の製造において、容易に延伸鋼管を製造することが可能になる。
次に本実施形態の延伸鋼管を、鋼管1Aと鋼管1Bとを最大に引き伸ばした位置で固定する手段(戻り防止機構)について説明する。延伸鋼管が打設施工された場所や状況において、延長構造から収納構造に戻すような力が加わらない場合、戻り防止機構は必須ではないが、連結部の内側に戻り防止機構を設けておくことにより、連結部を外側から固定する手段、例えば、ビス、クランプ、溶接などを用いることなく、強固な連結構造が得られる。
以下、図3を参照して、本実施形態の延伸鋼管の戻り防止機構の構造を説明する。本実施形態の戻り防止機構は、鋼管1Bの連結部の外周に配置されたリング部材30と、鋼管1Aが固定される管状部材22の内周面に設けられ、リング部材30と係合する凹部31と、で構成される。
リング部材30は、例えば板バネ等の剛性のある材料で形成され、断面が略四角形の部材をリング状にしたものであり、図3に示すように、内側となる鋼管1Bのねじ溝11とねじ溝が切られていない鋼管外周との間の凹部12に嵌合している。リング部材30の両端は連結されておらず、鋼管1Bの外周を囲むように配置されており、その長さは、鋼管1Bの外周より若干短いが外周の70%以上であることが好ましい。
リング部材30の断面は、図3に示すように、略四角形であり、鋼管1Bの凹部12から若干浮いた状態で鋼管1Bに嵌合している。一方、管状部材22には、管状部材21と当接する端部近傍の内周面に、このリング部材30が挿入できるような形状で凹部31が環状に形成されている。管状部材22の端面から凹部31の端部までの距離は、管状部材21の端面から鋼管1Bの凹部12までの距離とほぼ等しい。
このような構造において、図3(A)に示すように、連結前の鋼管1Aを管状部材22とともに連結部側にスライドさせると、リング部材30が鋼管1Aの内径まで縮小する。管状部材22がさらにスライドして管状部材21の端面に当接したとき、図3(B)に示すように、凹部31はリング部材30の真上に位置し、これによってリング部材30は拡径して鋼管1Aの凹部31まで広がり嵌合する。この状態で、リング部材30は凹部31と凹部12を係合することになる。従って、連結部から離れる方向(戻る方向)に力が働いても、リング部材30と凹部31との係合により、管状部材22の移動がロックされる。すなわち管状部材22に固定された鋼管1Aを連結状態に係止する。
本実施形態の延伸鋼管は、次のような方法で組み立てることができる。まず延伸鋼管を構成する径の異なる複数本の鋼管を用意し、最大径の鋼管を除くすべての鋼管について、その一端部の外周に所定長のねじ溝11とそれに隣接してリング部材用の凹部12を形成する(ステップ1)。また最小径の鋼管を除くすべての鋼管について、他端部(ねじ溝が形成された端部とは反対側の端部)の内周面にねじ溝11を形成する(ステップ2)。
一方、各鋼管のねじ溝11に螺合される管状部材21と、各鋼管の外径より内径がやや大きい管状部材22を用意し、管状部材22の外周面にねじ溝23を形成するとともに、リング部材が嵌合する凹部31を形成する(ステップ3)。
次いで、鋼管の外側に、ステップ3で作製した管状部材22を嵌合した後、鋼管のねじ溝11に管状部材21を螺合し固定する(ステップ4)。最小径の鋼管については、必要に応じて、ねじ溝11が形成された端部と反対側の端部にフランジ15を固定する(ステップ5)。フランジ15の固定は、ステップ1~4のどの段階で行ってもよい。
最後に、最小径の鋼管の外周に嵌合された管状部材22に、その鋼管より一回り外径が大きい鋼管の端部(内周面にねじ溝13が形成された端部)を螺合する(ステップ6)。このステップ6を径の小さい順に行うことで、延伸鋼管を構成する全鋼管の接続が完了する。
なお以上の製造方法は本発明の延伸鋼管の一例であって、本発明の延伸鋼管を限定するものではない。
上述したように本実施形態の延伸鋼管は、径の異なる複数の鋼管を収納構造から延長構造に変化させることができる新規な構造の延伸鋼管であり、敷設場所において収納構造から延長構造にすることで、複数の鋼管を接合しながら敷設するという手間や労力を大幅に軽減することができる。また本実施形態の延伸鋼管は、また接合部は、鋼管と管状部材とが三重になった構造であるため、通常の螺合による鋼管の接合部に比べ、接合部の強度が高く、安定した構造体を提供することができる。さらに本実施形態の延伸鋼管は、ロック部を備えることで、鋼管のスライド方向の移動を固定するための他の固定手段やそれを敷設時に施す必要がなく、強固な固定を行うことができる。
なお図面では鋼管が断面円形のものを示したが、本発明の延伸鋼管は断面が円形以外の形状、例えば角型や多角型の鋼管についても同様に適用することができる。
<実施形態2>
実施形態1では、構造体に用いる延伸鋼管について説明したが、本実施形態では、本発明の延伸鋼管を地山補強用鋼管として用いる場合の実施形態を説明する。
延伸鋼管を構造体に用いる場合は、主に鋼管の軸方向を垂直或いは水平にして用いることが考えられるが、地山補強用鋼管は、例えばトンネルなどの掘削前に天端や鏡面から地山に打ち込んで地山を補強するために用いられる。天端から斜めに打ち込まれる地山補強は先受け工、鏡面から水平に打ち込まれる補強は鏡工と呼ばれる。本実施形態の延伸鋼管はそのいずれにも適用可能である。
地山補強用鋼管100も、主たる構造は実施形態1の延伸鋼管と同様であり、例えば、図4に示すように、4本の径の異なる鋼管1A~1Dの組み合わせからなる。4本の鋼管は、地山に打ち込まれる側を先頭として、順に先頭管、中間管(2本)、端末管と呼ぶ。図4では、一例として最大径の鋼管1Aが先頭管である場合を示している。これら鋼管を連結するための構造は、実施形態1と同様であり、詳細は省略するが、内側の鋼管の端部に管状部材21を螺合すること、内側の鋼管の外周に管状部材22をスライド可能に嵌合し、管状部材22の外周に、外側の鋼管を螺合して固定すること、また管状部材21が螺合した内側の鋼管にリング部材30を配置し、ロック部とすること、などと特徴を備えている。
また地山補強用鋼管として用いる場合は、鋼管を地山に打ち込んだ後に注入される定着材を地山に吐出させるための吐出孔やスリットなどを形成しておいてもよい。吐出孔やスリットの形状および形成する位置については公知の手法と同様の手法を採用することができ、ここでは詳細な説明は省略する。
鋼管の材質、サイズ等も公知の鋼管と同様のものを用いることが可能であるが、特に肉厚が薄い高耐力鋼管を用いることが好ましい。また先頭管、中間管、端末管のいずれであるかに応じて材質やサイズを変えてもよい。また使用の態様としては、先頭管から順に径が細い鋼管を連結した態様と、図4に示すように、先頭管から順に径が太い鋼管を連結した態様とがあり得る。表1に、打設長Lを12.5mとした場合の4本からなる地山補強用鋼管の例を示す。
Figure 0007452860000001
実施例1は先頭管を最大径の鋼管で構成した例、実施例2は先頭管を最小径の鋼管で構成した例である。実施例3は端末管のみ小径にして構成した例である。端末管は、トンネル工事において最終的に地山から外部に残った部分を切除するので、その作業を容易にするために先頭管よりも肉厚は薄いものを用いている。
いずれの場合にも、地山補強用鋼管の場合には、端末管となる鋼管の先端には、フランジ15が設けられており、後述する打設工程において、フランジ15を削岩機セントラライザー82に引っ掛けて打撃・打設を行い、鋼管を順次引き出すことができる。また先頭管となる鋼管の先端部には、地山を掘削する工具(ビット)が回転可能に取り付けられる。
ビット50は、打設用の超硬チップが形成され、駆動源によってビット50を回転させて地山を掘削する工具で、駆動源に接続されたロッド70の先端にアダプタ60が嵌合されている。従来、鋼管のサイズに合わせてロッドを使い分けていたが、本実施形態では、ビット50の開口部にインナーガイド55を入れることでロッド70を共用化できるようにしている。
すなわち本実施形態では、ビット50及びロッド70は、次のような構造により連結される。ビットの正面は開口しており、その内周面にインナーガイド55またはロッド先端部が嵌合する凹凸形状が形成されている。インナーガイド55は、環状の部材で、その外周面にはビットの凹凸形状と嵌合する凹凸形状が形成されている。またインナーガイド55内周面にはアダプタ60外周面の凹凸形状と嵌合する凹凸形状が形成されている。ロッド先端部に嵌合されたアダプタ60の外周面は、インナーガイド55の内周面の凹凸形状またはビット50の内周面の凹凸形状と係合する凹凸形状が形成されている。
このような構成により、先頭管が最大径の鋼管1Aである場合には、図5(B)に示すように、インナーガイド55及びアダプタ60を用いて鋼管先端に固定したビット50に最大径の鋼管用ビットを取り付ける。また先頭管が最小径の鋼管であっても、図5(A)に示すように、そのまま最大径の鋼管用ロッドが使用でき、従来と同様に先頭管の先頭に固定されたビッドに嵌合させることができる。このようにインナーガイドを用いることで、サイズの異なる鋼管とロッドとの組み合わせであっても、両者を着脱自在に嵌合することができる。
いずれの場合にも、ロッド70先端のアダプタ60をインナーガイド55(インナーガイドを用いない場合にはビット50)に差し込んだ状態でロッド70を回転させることで、両凹凸形状が嵌った状態となりロッド70がビッド50に固定される。ロッド70を逆回転(左回転)させると凹凸形状の嵌合状態が解除され、ロッド70をビット50から取り外すことができる。ロッド70は掘削時に、鋼管の端末管の端部から挿入され、上述のようにビット50に取り付けられる。所定長の削孔後、ビット50及びインナーガイド55は補強用鋼管と共に地山に残されるが、アダプタ60とロッド70はビット50から取り外して、外部に引き出される。
次に、上述した構成の地山補強用鋼管を用いた施工方法(打設方法)の一例を説明する。ここでは先頭管を最大径とした4本の鋼管からなる延伸鋼管である場合を例に、図6を参照して、説明する。
まず準備段階として、先頭管の先端部にビット50を固定した延伸鋼管100を用意する。この延伸鋼管を収納状態で打設箇所近傍に設置されたガイドシェル81にセットする。ガイドシェル81は、ドリフタ(ビットの駆動源)80を搭載した長尺状の装置で、ガイドシェル81には、鋼管の芯を掘削方向に合致させるために一対の鋼管受治具(セントラライザー/サブセントラライザー)82が設けられ、その後方にドリフタ80が搭載されている。ドリフタ80にロッド70を連結し、ロッド70を延伸鋼管100に挿入し、先頭管に固定されたビット50に取り付ける。ロッド70は、打設長と同程度の長さのものを用いることも可能であるが、通常、2~3本のロッドを連結して用いる。この場合、各ロッドは、延伸鋼管を構成する鋼管の2倍程度である。
次いでビット50が目的の打設位置に当接するようにガイドシェル81を設定し、ドリフタ80を駆動しビット50による掘削を開始する(図6:打設開始)。ビット50の回転に伴い掘削が進み、掘削によって生じた岩片や土は鋼管の内部から排出される。同時にビット50と先頭管(1A)が地山内に進行する。このとき先頭管のみが延伸鋼管100から引き出され、それ以外の鋼管は収納状態で鋼管受治具82の位置に留まる(図6:打設中)。
先頭管が最大限引き出された状態、即ち先頭管が固定された管状部材22が、内側にある中間管の管状部材21に当接し、先頭管の内周面に形成された凹部に中間管のリング部材30が嵌合すると、先頭管とその内側の中間管は固定された状態となる。ここで、1本目のロッドの後端に2本目のロッドを接続し、さらにビットによる掘削を継続する。
掘削の進行とともに2本目の中間管も、その内側の鋼管(3本目の鋼管)から引き出されて、先頭管の移動と共に地山内に進行する。2本目の中間管が最大限引き出されて、2本目の中間管が3本目の中間管と固定されたのちも、掘削を継続することで、同様に、3本目の中間管が地山に進行する。これら一連の引き出し動作(鋼管のスライド)において、端末管のフランジ15が鋼管受治具82に引っかかっていることで、これを支点とする円滑な連続的な引き出し動作が行われる。
打設後に、ロッドを逆回転させてビットから外して鋼管から引き抜くこと、末端管の端部から補強用の定着材を注入することは、一般的な打設工法と同様であり、ここでは説明を省略する。
以上説明したように、本発明の延伸鋼管を用いた地山補強の施工方法によれば、従来必須であった鋼管の接続作業、そのために必要な、重量のある鋼管を順次ガイドシェル81に設置する作業、接続のための芯だし作業、ねじ回し作業など、作業者に多大な負担をかける諸作業をなくすことができる。しかも連続で打設作業を行うことができるので、施工時間を大幅に短縮することができる。例えば、従来であれば、鋼管の接続に10分程度の時間がかかっていたところを、ロッドのつなぎだけにすることで約3分程度に短縮することができ、一断面の施工時間が25本であれば約2.5時間の短縮となり生産性が大幅に向上する。
さらに本発明の地山補強用鋼管は、軸方向に径が異なる鋼管の組み合わせであるので、単一の径の鋼管に比べ地山に対し高い付着力が期待される。
なお以上の説明では、4本の鋼管からなる延伸鋼管を用いたが、2本~3本の鋼管からなる延伸鋼管を用いることも可能であり、打設長に応じて、通常の鋼管を1ないし複数本接続して用いることも可能である。例えば、通常の鋼管を1ないし2本打設した後、本発明の延伸鋼管を接続し、上述したように連続引き伸ばしを行い打設したり、本発明の延伸鋼管を打設後に通常の鋼管を接続して打設を行ってもよい。その場合には、延伸鋼管の先頭管或いは端末管に通常の鋼管と接続可能な構造、例えばねじ溝などを形成しておけばよい。そのような工法も本発明の延伸鋼管を用いた工法に包含される。
1:延伸鋼管、1A~1D:鋼管、11:ねじ溝、12:凹部、15:フランジ、21:管状部材(第二の管状部材)、22:管状部材(第一の管状部材)、23:ねじ溝、30:リング部材(戻り防止機構)、31:凹部、100:地山補強用鋼管、50:ビット、55:インナーガイド、60:アダプタ、70:ロッド、80:ドリフタ、81:ガイドシェル、82:鋼管受治具(セントラライザー/サブセントラライザー)。

Claims (11)

  1. 径の異なる複数の鋼管を組み合わせ、最大径の鋼管の内側にそれより径の小さい1ないし複数の内側鋼管を入れ子状に収納可能にした延伸鋼管であって、
    前記内側鋼管は、外周面に、鋼管の軸方向に沿ってスライド可能な第一の管状部材が嵌合し、且つ端部外周面に第二の管状部材が固定されており、
    前記第二の管状部材の外径は、前記第一の管状部材の内径よりも大きく、且つ当該内側鋼管の外側に隣接する鋼管の内径よりも小さく、
    前記隣接する鋼管は、前記第一の管状部材の外周面に固定されており、
    前記内側鋼管の外周面と前記第二の管状部材との間に、前記隣接する鋼管のスライド方向の移動をロックする戻り防止機構を備え、
    前記戻り防止機構は、前記内側鋼管の外周面と前記第二の管状部材との境に形成された凹部に嵌合するリング部材であり、前記隣接する鋼管の内周面に前記リング部材が係合する凹部が形成されていることを特徴とする延伸鋼管。
  2. 請求項1に記載の延伸鋼管であって、
    前記隣接する鋼管は、一端が前記第一の管状部材の外周面に螺合によって固定されていることを特徴とする延伸鋼管。
  3. 先頭管及び末端管を含む延伸鋼管からなる地山補強用鋼管であって、前記延伸鋼管が請求項1又は2に記載の延伸鋼管からなることを特徴とする地山補強用鋼管。
  4. 請求項に記載の地山補強用鋼管であって、
    前記先頭管は最大径の鋼管であることを特徴とする地山補強用鋼管。
  5. 請求項に記載の地山補強用鋼管であって、
    前記先頭管は最小径の鋼管であることを特徴とする地山補強用鋼管。
  6. 請求項に記載の地山補強用鋼管であって、
    複数の鋼管からなり、前記先頭管または前記端末管の外径は、最小60.5mmから最大139.8mmであることを特徴とする地山補強用鋼管。
  7. 鋼管を用いてトンネル周壁部を補強する施工方法であって、
    前記鋼管として、請求項に記載の地山補強用鋼管を用いることを特徴とする施工方法。
  8. 請求項に記載の施工方法であって、
    前記地山補強用鋼管の複数の鋼管が入れ子状に収納された状態において、前記先頭管の端部に打設用のビットを固定し、前記ビットに動力を供給するロッドを前記地山補強用鋼管の内部を通るようにして、インナーガイドを介して、前記ビットに嵌合する準備工程、
    前記ビットに動力を供給して、ビットを回転させながら打設を行い、前記先頭管を収納された状態から引き出しながら地山内に進入させる第一工程、及び
    さらに打設を継続し、前記先頭管に連結された中間管及び端末管を順次引き出しながら地山内に進入させる第二工程を含み、第一工程から第二工程までを連続して行うことを特徴と
    する施工方法。
  9. 請求項に記載の施工方法であって、
    前記ロッドは前記インナーガイドに着脱自在に係合されており、打設終了時に前記ロッドを前記鋼管から外部に引き抜く工程をさらに含む施工方法。
  10. 請求項に記載の施工方法であって、
    前記端末管は、当該端末管を削岩機に固定するフランジを有し、当該フランジを前記削岩機に引っ掛けて、打設の最終位置を決めることを特徴とする施工方法。
  11. 請求項に記載の施工方法であって、
    前記ロッドは最大径の鋼管用のロッドであって、
    前記準備工程は、前記先端管に固定したビットと前記ロッドとの間に、インナーガイド及びアダプタを接続する工程を含むことを特徴とする施工方法。
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