JP7036137B2 - 溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法 Download PDF

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本発明は、表面に反応層を有する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法に関する。
亜鉛系めっき鋼板は、自動車車体、家電、建材を中心に広範な用途で利用されている。そのような用途での亜鉛系めっき鋼板に関して、鋼板表面に反応層を設け、プレス成形、耐食性、外観などの特性を向上する技術が知られている。
しかし、反応層を形成する前の溶融亜鉛系めっき鋼板は、従来、最表層に厚さが10nmに満たない主に不純物元素であるAlなどの酸化物層を有している。このAl系酸化物層は例えばリン酸亜鉛処理やクロメート処理等化成処理の反応性を阻害し、十分な反応層を形成させるためには長い反応時間を設定する必要があった。
反応時間の増加は、設備費やライン長の増加を伴い、また電気、ガス等のランニングコストの増加を招く。
これに対して、反応層を形成する前にアルカリ性水溶液に接触させることで、溶融亜鉛めっき鋼板の表層に存在するAl系酸化物層を除去し反応時間を短縮する技術が知られている。
特許文献1には、溶融亜鉛めっき鋼板をアルカリ性水溶液に接触させた後SiO含有クロメート液で処理する技術が記載されている。
また、アルカリ性水溶液で処理した後に、意図的にZn系酸化膜を形成する技術も知られている。特許文献2、3には溶融亜鉛めっき鋼板をアルカリ性水溶液に接触させた後、Zn系酸化物層を形成させる技術が記載されている。
特許文献4には、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面を、アルカリ性水溶液に接触させた後、Zn系酸化物層を形成させる技術が記載されている。
非特許文献1では、ステンレス鋼板の耐食性に及ぼすHF濃度の影響を調査しており、HF濃度が0.01M以下であれば、ステンレス鋼板に孔食が生じることがないことを明らかにしている。
特開平5-279868号公報 特開2006-183074号公報 特開2006-233280号公報 特開2005-97741号公報
Zairyo-to-Kankyo, 42, 761-769 (1993)
特許文献1~4の技術では、アルカリ性水溶液との接触により反応層を設けるための反応時間の短縮が可能である。しかし、通常使用される連続処理装置ではアルカリ性水溶液中に析出したZnやAlの析出物がデフレクターロールやサポートロールに付着し、鋼板表面に押しキズが発生し、ひいては反応層形成後に外観ムラが生じるなど外観上のトラブルを招くことがあった。また非特許文献1に記載されているように、フッ化物を使用する場合、設備への影響を考慮することが望ましい。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものである。フッ化物を使用する前処理によって溶融亜鉛めっき層表面のAl系酸化物を除去することが可能であり、且つ、前処理水溶液中に析出する析出物による外観上のトラブルを回避可能な、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、反応層を形成する前にNaHF、KHF、HF、NaF、KFの中から選ばれる1種以上のフッ素化合物を0.10g/L以上5.0g/L以下含有するpH7.0以下の前処理水溶液に接触させることにより従来使用されるアルカリ性水溶液と同等以上の効果があり、且つ前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するにいたった。更に本発明の別態様により、上記フッ素化合物を0.10g/L以上5.0g/L以下含有する前処理液のpHを4.2~7.0とすることにより、前処理液中のHFの濃度を、一般的に化学工業設備材料として使用されるステンレスに孔食を生じさせない濃度に制御することが可能となることを見出し、より優れた技術に発展させた。本発明は、以上の知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下の通りである。
[1]表面に亜鉛系酸化物皮膜からなる反応層を有する溶融亜鉛めっき系鋼板の製造方法であって、前記反応層形成の前処理として、NaHF、KHF、HF、NaF、KFの中から選ばれる1種以上のフッ素化合物を合計で0.10g/L以上5.0g/L以下含有するpH7.0以下の前処理水溶液に溶融亜鉛めっき鋼板を1.0秒以上接触させることを特徴とする溶融亜鉛めっき系鋼板の製造方法。
[2]前記前処理水溶液のpHが4.2以上7.0以下であることを特徴とする前記[1]
に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
[3]前記亜鉛系酸化物皮膜からなる反応層における亜鉛系酸化物皮膜厚さが20nm以上であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
[4]溶融亜鉛系めっき鋼板を前記前処理水溶液に接触させた後に前記亜鉛系酸化物皮膜
からなる反応層を形成する処理を行うことを特徴とする前記[1]~[3]に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、前記前処理水溶液との接触によって溶融亜鉛めっき層表面のAl系酸化物を良好に除去することが可能である。かつ、反応層形成時間を短縮化するための前記前処理水溶液において溶融亜鉛めっき層表面のAl系酸化物を減少でき、外観が良好な反応層を有する溶融亜鉛系めっき鋼板が得られる。
HFの水溶液中でのpH変化によるイオン化状態を計算した結果である。 NaHFの水溶液中でのpH変化によるイオン化状態を計算した結果である。 NaFの水溶液中でのpH変化によるイオン化状態を計算した結果である。 外観ムラを評価するための評価基準を示した模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。本発明において、溶融亜鉛系めっき鋼板とは、溶融した亜鉛浴に鋼鈑を浸漬させ鋼板表面に亜鉛を主体とする皮膜を形成した鋼板であり、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板、亜鉛に粒子を分散させためっき鋼板等が含まれる。
本発明は、溶融亜鉛めっき層の表面に存在するAl系酸化物層を良好に除去可能な、反応層を有する溶融亜鉛めっき系鋼板の製造方法である。本発明は、例えば、溶融亜鉛めっきを施す工程と、前処理水溶液と接触させる工程と、反応層を形成する工程と、を備える。以下、各工程について説明する。
-溶融亜鉛めっきを施す工程-
先ず、溶融亜鉛めっきを施す工程について説明する。溶融亜鉛めっきの処理条件は、特に限定されず、適宜好ましい条件を採用すればよい。めっき浴中にAlが0.01~1.0質量%程度添加されていることがドロス対策の観点から好ましい。この場合Al以外の元素成分は特に限定されない。すなわち、Alの他に、Pb、Sb、Si、Sn、Mg、Mn、Ni、Ti、Li、Cuなどが含有されていても、本発明の効果が損なわれるものではない。めっき浴の残部はZnおよび不可避的不純物である。
ここで、亜鉛めっきが施される鋼板の鋼種は特に限定されるものではなく、低炭素鋼、極低炭素鋼、IF鋼、各種合金元素を添加した高張力鋼板等の公知の手法で製造した種々の鋼板を用いることができる。また、前記鋼板は、熱延鋼板、冷延鋼板のいずれも用いることができる。鋼板の厚さは特に限定されないが、自動車車体、家電、建材等の用途に用いる観点から、0.4~5.0mmが好ましい。
更には、溶融亜鉛めっきを施す工程において、溶融亜鉛めっきを施した後に、合金化処理を施した合金化溶融亜鉛めっき鋼板としても良い。本発明においては、合金化処理の条件は特に限定されず、適宜好ましい条件を採用すればよい。
-前処理水溶液と接触させる工程-
溶融亜鉛めっき処理を施した後、前処理水溶液を用いた接触処理を行う。本発明では前処理水溶液中にNaHF、KHF、HF、NaF、KFの中から選ばれる1種以上のフッ素化合物を、合計量で0.10g/L以上5.0g/L以下含有することとする。前処理水溶液中にNaHF、KHF、HF、NaF、KFの中から選ばれる1種以上のフッ素化合物を含有することで、前処理水溶液のAl系酸化物対するエッチング性を向上させ、反応を阻害するAl系酸化物を除去するアルカリ前処理工程の代替となる。
上述したようにAl系酸化物が溶融亜鉛系めっき鋼板の表層に存在すると、反応層を形成する際の処理液によるZnの溶解を阻害するため、反応性が著しく低下する。これに対して、NaHF、KHF、HF、NaF、KFの中から選ばれる1種以上のフッ素化合物を合計量で0.10g/L以上、5.0g/L以下含有する前処理水溶液と接触させることで、Al系酸化物が除去されるため、Znの溶解反応を阻害しなくなる。0.10g/L未満では、Al系酸化物の除去に要する時間が長くなり、生産性が低下する。一方、5.0g/Lを超えると後処理の反応層形成処理性が低下し、生産性が低下する。以上より、前処理水溶液に含有するNaHF、KHF、HF、NaF、KFの中から選ばれる1種以上のフッ素化合物は合計量で0.10g/L以上5.0g/L以下とする。
ここで、前処理水溶液のpHは7.0以下とした。pHが7.0を超えると前処理水溶液に溶解したZnやAlイオンが水酸化物として沈殿を形成し、鋼鈑表面の押しキズ、デンツ等の原因となる。そのため、pHは7.0以下である必要がある。
一方で、pHが低くなると、前処理水溶液中のHF濃度が高くなることがわかった。
ここで、上記前処理水溶液中のpHが4.2以上が好ましいのは、下記理由による。通常、工業的製造設備に使用される耐食材料はステンレスである。ステンレスの場合、非特許文献1に示されるように、HF濃度が0.01M以下で孔食が発生しないことが知られている。逆に、HF濃度が0.01Mを超えるとステンレスより耐食性が良好な高価な材料を使用することが必要となり、設備コストが大きな問題となる。図1~3に示すように、フッ素化合物を含有する溶液のpHが4.2以上で、全フッ素量に対するHFの割合は0.05以下となり、NaHF、KHF、HF、NaF、KFの中から選ばれる1種以上のフッ素化合物を合計量で0.10g/L以上5.0g/L以下含有する溶液中のHF濃度が0.0097M以下となる。従って、ステンレスを使用しても孔食の問題は発生せず、ステンレスより高価な材料を使用する必要性は無くなる。
図1~図3はOLI社製、OLI Sutudio:Stream Analyzer Version9.5を用いて、HF、NaHF、NaF(F量で0.5mol/l)のpH変化によるイオン化状態を計算した結果を示す。水溶液のpHはNCl又はNaOHで変化させた。いずれの結果も、水溶液がpH4.2未満となると設備への耐食負荷が大きいHFに変化し始めるため、一般的に化学工業設備材料として使用されるステンレスが使用できなくなり、ステンレスをより高価な耐食材料に変更する大幅な設備改造が必要な場合がある。これに対して、pHが4.2以上であれば、フッ素イオンとなるため、設備への過大な耐食負荷は無い。また、本結果はpHを4.2以上に調整すれば、HF、NaFやKF等でも同じイオン化状態となるため、これらを用いることも可能であることを示している。特にpH調整の必要がないという点で、NaHF及び/又はKHFが優れている。pH調整には一般的な、酸や塩基を用いることができる。例えば、コストやコンタミ削減の観点から硫酸や水酸化ナトリウムが望ましい。
前処理水溶液と鋼板の接触時間を短縮する観点から、前処理水溶液の温度は20℃~70℃の範囲であることが好ましく、40℃~70℃がより好ましい。また、前処理水溶液には、Zn、Al、Feなどの溶融亜鉛めっきに含まれる元素以外の物質やその他の成分を含んでもよい。
前処理水溶液を溶融亜鉛めっき鋼板(特に、その表層のAl系酸化物層)に接触させる方法は特に限定されず、前処理水溶液に亜鉛系めっき鋼板を浸漬させて接触させる方法、前処理水溶液をスプレーして溶融亜鉛めっき鋼板に接触させる方法等がある。
前処理水溶液に溶融亜鉛めっき鋼板を接触させる時間は1.0秒以上である。該接触時間が1.0秒未満であると溶融亜鉛めっき層表面のAl系酸化物を十分に除去できないため、反応層を設けるための反応時間の短縮が不十分となる。設備コスト、生産性の観点から、前処理水溶液に溶融亜鉛めっき鋼板を接触させる時間は10.0秒以下が好ましい。
本発明では、溶融亜鉛めっきを施す工程の後であって、前処理水溶液処理の前後どちらかに調質圧延を行ってもよい。鋼板における調質圧延ロールと接触した部位は、ロールとの接触により、溶融亜鉛めっき層の表面に存在するAl系酸化物層が除去されるため、反応性が高くなる。
-反応層を形成する工程-
通常は、鋼板を前処理水溶液と接触させた後に水洗・乾燥を行い、その後に反応層を設けるための処理を実施する。
本発明において反応層とは、溶融亜鉛めっきと反応用処理液が接触して化学的反応が起こって鋼板表面に形成される反応生成物の層である。溶融亜鉛めっきと反応用処理液が接触することで亜鉛が溶解し、それに伴い界面pHの上昇が生じ、反応層が析出、形成される処理であれば本発明の効果が得られる。反応層の形成処理の例として、リン酸亜鉛処理、クロメート処理、亜鉛酸化物層形成処理、Zr酸化物形成処理などがある。
以下、実施例により本発明を説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されない。
板厚0.7mm、幅1100mmの冷延鋼板に溶融亜鉛めっき処理を施してなる鋼板に対して調質圧延を行った。めっき浴の組成はAl0.2質量%、残部がZnおよび不可避的不純物である。溶融亜鉛めっき付着量は表裏面共に45g/mである。引き続き、Al系酸化物層の除去処理として、表1に示す条件に調整した前処理水溶液に鋼板を指定時間接触した後、水洗を行い、乾燥した。前処理水溶液のpH調整は水酸化ナトリウム又は硫酸で行った。なお、前処理水溶液の残部は水である。
上記により得られた溶融亜鉛めっき鋼板に対して、前処理水溶液処理後における溶融亜鉛めっき層の表面のAl系酸化物層の厚み、反応層形成後の外観ムラを評価し、前処理水溶液中に含まれる懸濁物質(SS)の測定を実施した。なお、一部の前処理水溶液のpHは水酸化ナトリウムで調整し、市販のガラス電極で測定した。
(1)Al系酸化物層の厚さの測定
亜鉛系めっき鋼板に形成されたAl系酸化物層の厚さの測定には蛍光X線分析装置を使用した。
測定時の管球の電圧および電流は45kVおよび45mAとし、分光結晶はPETに設定してAl-Kα線を検出した。Al-Kα線の測定に際しては、そのピーク位置に加えてバックグラウンド位置での強度も測定し、Al-Kα線の正味の強度が算出できるようにした。なお、ピーク位置およびバックグラウンド位置での積分時間は、それぞれ20秒とした。測定面積は35mmΦとした。
Al強度(厚さに比例する)が12kcps以下であれば、反応層を設けるための反応時間を短縮化したと評価できる。8kcps以下であれば更に反応時間を短縮したと評価できる。
(2)亜鉛酸化膜厚の評価
前処理水溶液で接触処理した溶融亜鉛めっき鋼板に対して、表面に亜鉛酸化物層を形成する処理を実施した後、外観ムラを目視及び顕微鏡観察により評価した。即ち、硫酸第1鉄を5.0g/L、酢酸ナトリウム・7水和物を50g/L含有する水溶液を硫酸でpH2.0に調整した液を準備し、この処理液を前処理水溶液で接触処理した各種めっき鋼板に3μmの厚さになるように塗布し、10秒間保持した後、水洗・乾燥を行い、亜鉛酸化物層を形成する処理を実施した。
亜鉛系めっき鋼板に形成されたZn系酸化物層の厚さの測定には蛍光X線分析装置を使用した。測定時の管球の電圧および電流は30kVおよび100mAとし、分光結晶はTAPに設定してO-Kα線を検出した。O-Kα線の測定に際しては、そのピーク位置に加えてバックグラウンド位置での強度も測定し、O-Kα線の正味の強度が算出できるようにした。なお、ピーク位置およびバックグラウンド位置での積分時間は、それぞれ20秒とした。
また、試料ステージには、これら一連の試料と一緒に、適当な大きさに劈開した膜厚96nm、54nmおよび24nmの酸化シリコン皮膜を形成したシリコンウエハーをセットし、これらの酸化シリコン皮膜からもO-Kα線の強度を算出できるようにした。これらのデータを用いて酸化物層厚さとO-Kα線強度との検量線を作成し、供試材の酸化物層の厚さを酸化シリコン皮膜換算での酸化物層厚さとして算出するようにした。
Zn系酸化膜の厚さが20nm以上であれば十分に摩擦係数を低減できると評価できる。25nm以上であれば更に摩擦係数を低減できると評価できる。
(3)表面酸化処理後外観ムラと酸化膜厚の評価
亜鉛系酸化膜を付与した後の外観ムラを評価した。観察面積は70mm×150mmである。図4に示す外観見本を基準として、評点を1~5点で付与し評価した。4点が良好であることを示し、5点は更に良好であることを示している。
(4)懸濁物質(SS)の測定
溶融亜鉛めっき鋼板100t処理以降の前処理水溶液を採取し、孔径1μmのメンブレンフィルターを用いて吸引ろ過した。ろ過物質を110℃で乾燥した後重量を測定し、mg/Lに換算した。この値が10mg/Lを超えた製造量を記録した。10mg/Lを超える鋼板処理量が3000t以上であれば、生産性の点から良好と評価できる。また、5000t処理後も、10mg/Lを越えなかったものについては、懸濁物質なし(表1中では「>5000」と表記)と評価した。前処理水溶液処理又はアルカリ性水溶液処理を行っていないNo.1はこの測定を実施しなかった。
(5)設備への影響調査
設備への腐食性促進影響を調査する目的で、各処理液中でのSUS304の孔食電位測定を行った。電位の掃引範囲は,自然浸漬電位から十1500mV(vs.SHE,掃引速度は2mV/minとした。孔食電位が認められたものを×、認められなかったものを○で表記した。判断が難しい場合は△とした。
以上より得られた結果を表1に示す。
Figure 0007036137000001
表1より以下の事項がわかる。
前処理を行わなかったNo.1は酸化物層の厚さが7~10nmであり十分に除去できていない。
No.2及び3は、アルカリ性水溶液で前処理を行った(比較例)である。Al系酸化物層は十分に除去可能だが、鋼板の生産量が増加すると早期にアルカリ性水溶液中に懸濁物質が生成し、No.2では鋼板の生産量500トンで、No.3では200トンで外観を劣化させる。
No.4及び8はフッ素化合物を含有する前処理水溶液との接触を実施しているが、処理時間が不十分な例(比較例)である。Al系酸化物層の除去が不十分である。
No.5~7及び9~22は本発明例であるAl系酸化膜を4nm以下に除去することができており、反応層を設けるための反応時間を更に短縮することができることを示している。また、5000t製造した後も処理液中に懸濁物質を含まず、外観も良好である。

Claims (4)

  1. 表面に亜鉛系酸化物皮膜からなる反応層を有する溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法であって、反応層形成の前処理として、NaHF、KHF、HF、NaF、KFの中から選ばれる1種以上のフッ素化合物を合計で0.10g/L以上5.0g/L以下含有するpH7.0以下の前処理水溶液に溶融亜鉛系めっき鋼板を1.0秒以上接触させることを特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  2. 前記前処理水溶液のpHが4.2以上7.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  3. 前記亜鉛系酸化物皮膜からなる反応層における亜鉛系酸化物皮膜厚さが20nm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  4. 前処理水溶液に溶融亜鉛系めっき鋼板を接触させた後のAl系酸化膜が4nm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
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