JP7035815B2 - 次亜塩素酸塩を用いた三価超原子価ヨウ素化合物の製造方法 - Google Patents

次亜塩素酸塩を用いた三価超原子価ヨウ素化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、製造の簡便性、安全性と経済性に優れた三価超原子価ヨウ素化合物の製造方法に関するものである。
三価超原子価ヨウ素化合物は、マンガン化合物やクロム化合物に代表される重金属酸化剤に比べて毒性が低く、マイルドな反応条件で使用できるため、環境調和型の酸化剤として期待されている。しかし、依然として、三価超原子価ヨウ素化合物を製造するためには、毒性の高い酸化剤や爆発性のある酸化剤を使用する必要があることから、安全で、簡便に、収率良く且つ経済性の良い、三価超原子価ヨウ素化合物の製造方法が望まれていた。
代表的な三価超原子価ヨウ素化合物の製造方法としては、有機ヨウ素化合物に有機過酸化物を反応させる方法が良く知られている。例えばヨードベンゼンと過酢酸を直接反応させ、ヨードベンゼンジアセタートを得る方法が報告されている(非特許文献1、特許文献1、特許文献2)。また、過酸化物を使用して反応系中で有機過酸化物を生成し、これをヨウ素化合物と反応させることで三価超原子価ヨウ素化合物を製造する方法も報告されている。例えば、非特許文献2では過ホウ酸ナトリウム、非特許文献3では過ヨウ素酸ナトリウム、非特許文献4では過炭酸ナトリウム、非特許文献5ではm-クロロ過安息香酸、非特許文献6では過硫酸カリウム、非特許文献7では過酸化尿素、非特許文献8ではOxoneを過酸化物として使用し、それぞれヨードアレーンジアセタート類または[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]アレーン類を製造する方法が報告されている。
しかし、これらの製造方法はいずれも過酢酸等の有機過酸化物と直接反応させるか、反応系中で有機過酸化物を発生させ、有機ヨウ素化合物と反応させている。有機過酸化物は一般に高価であり、また爆発性のある試薬であるため、輸送や取扱いが非常に困難である。このことから、有機過酸化物を使用しない方法が期待されている。
有機過酸化物の代わりに塩素系酸化剤を使用する方法も知られている。例えば特許文献3では、酢酸ナトリウム等の有機塩共存下、塩素系酸化剤と有機ヨウ素化合物を反応させることで、三価超原子価ヨウ素化合物を製造する方法が報告されている。
この特許文献3に記載の製造方法では、危険な有機過酸化物を経由しないで製造することができるが、毒性のある塩素ガスを使用し、また共存させる有機塩が、原料の有機ヨウ素化合物に対して2~5モル倍も必要であることから、安全性と経済性が十分とは言えない。なお、特許文献3の明細書中では塩素系酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムまたは次亜塩素酸カルシウムが使用できることが記されているが、実施例は塩素ガスを使う方法のみが開示されており、具体的な実例をもって示されてはいない。さらには、その他文献においても、我々が調べた限りでは次亜塩素酸塩を使用する三価超原子価ヨウ素化合物の具体的製造法は知られていない。
また、アシルオキシ基(R-COO-)以外の配位子を有する三価超原子価ヨウ素化合物、具体的にはヨードシルベンゼン、ヒドロキシ(トシルオキシ)ヨードベンゼン等については、古くからヨードベンゼンジアセタートから合成できることが知られている(例えば、非特許文献9、非特許文献10)。これらへの配位子交換条件と、ヨードベンゼンをヨードベンゼンジアセタートに酸化する一段目の反応条件は、溶媒や、加える試薬がそれぞれ大きく異なるため、これまでにワンポットあるいは連続反応による合成は報告されていなかった。
特開2001-354617号公報 特開2003-238496号公報 特開2013-119541号公報
J. G. Sharefkin; H. Saltzman, Org. Synth. 1963, 43, 62. A. McKillop; D. Kemp, Tetrahedron 1989, 45, 3299. P. Kazmierczak; L. Skulski; L. Kraszkiewicz, Molecules 2001, 6, 881. A. Zielinska; L. Skulski; L. Kraszkiewicz, Molecules 2002, 7, 806. H. Tohma; A. Maruyama; A. Maeda; T. Maegawa; T. Dohi; M. Shiro; T. Morita; Y. Kita, Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 3595. Md. D. Hossain; T. Kitamura, Synthesis 2005, 1932. T. Keripage; T. Wirth, Synthesis 2006, 3153. A. A. Zagulyaeva; M. S. Yusubov; V. V. Zhdankin, J. Org. Chem. 2010, 75, 2119. H. Saltzman; J. G. Sharefkin, Org. Synth. 1963, 43, 60. G. F. Koser; R. H. Wettach, J. Org. Chem. 1977, 42, 1476.
本発明の目的は、高価で且つその危険性に問題がある有機過酸化物を使用することの無い三価超原子価ヨウ素化合物の製造方法を提供することである。また、特許文献3の製造において必須とされている有機塩、および毒性のある塩素ガスを使用することの無い、より簡便且つ安全で、経済性の良い三価超原子価ヨウ素化合物の製造方法を提供することである。
また、本発明の目的は、アシルオキシ基以外の配位子を有する三価超原子価ヨウ素化合物の効率的な製造方法を提供することである。
発明者らは前記課題を達成するため、鋭意研究した結果、より簡便で経済性の良い三価超原子価ヨウ素化合物の製造方法を見出し、本発明に至った。本発明は以下の構成からなる。
(1)下記一般式(1)
Figure 0007035815000001
(式(1)中、R1は置換基を含んでいてもよい芳香族基、置換基を含んでいてもよい鎖式脂肪族基、置換基を含んでいてもよい環式脂肪族基、置換基を含んでいてもよい非芳香族複素環式基、又はこれらの組み合わせによる基である。nは1以上の整数である。)で示される有機ヨウ素化合物と、カルボン酸、カルボン酸無水物、スルホン酸またはスルホン酸無水物から成る群から選ばれる少なくとも一種の有機酸(A)と、次亜塩素酸塩又は次亜塩素酸塩水溶液とを、混合させることによる、
下記一般式(2)
Figure 0007035815000002
(式(2)中、R1は、式(1)において規定するR1と同じ置換基である。RとR前記有機酸(A)に由来し、互いに同一であっても異なっていても良く、また互いに結合していても良く、RとRはそれぞれ、水素原子、置換基を含んでいてもよいアシル基(R-CO-、Rは水素原子または置換基を表す)、置換基を含んでいてもよいスルホニル基(R-SO、Rは置換基を表す)、又はこれらの組み合わせによる基である。nは1以上の整数である。)
で表される三価超原子価ヨウ素化合物(A)の製造方法。
(2)前記次亜塩素酸塩又は次亜塩素酸塩水溶液が、質量濃度40%以上の次亜塩素酸塩又は次亜塩素酸塩水溶液である前記(1)に記載の三価超原子価ヨウ素化合物(A)の製造方法。
)前記(1)に記載の製造方法により、式(2)で示される三価超原子価ヨウ素化合物(A)を製造し、次いで、該式(2)で示される三価超原子価ヨウ素化合物(A)に、前記(1)で使用した有機酸(A)とは異なる、カルボン酸、カルボン酸無水物、スルホン酸またはスルホン酸無水物から成る群から選ばれる少なくとも一種の有機酸(B)をさらに混合し、濃縮させることにより、配位子交換をせしめる、
下記一般式(3)
Figure 0007035815000003
(式(3)中、R1は、式(1)において規定するR1と同じ置換基である。RとR前記有機酸(B)に由来し、互いに同一であっても異なっていても良く、また互いに結合していても良く、RとRはそれぞれ、水素原子、置換基を含んでいてもよいアシル基(R-CO-、Rは水素原子または置換基を表す)、置換基を含んでいてもよいスルホニル基(R-SO、Rは置換基を表す)、又はこれらの組み合わせによる基である。nは1以上の整数である。)
で表される三価超原子価ヨウ素化合物(B)の製造方法。
)前記(1)に記載の製造方法により、式(2)で示される三価超原子価ヨウ素化合物(A)を製造し、次いで、該式(2)で示される三価超原子価ヨウ素化合物(A)に、アルカリ性水溶液をさらに混合して加水分解反応をせしめる、
下記一般式(4)
Figure 0007035815000004
(式(4)中、R1は、式(1)において規定するR1と同じ置換基である。mは1以上の整数である。)で表される三価超原子価ヨウ素化合物(C)の製造方法。
本発明によって、高価で且つその危険性に問題がある有機過酸化物を使用することなく、三価超原子価ヨウ素化合物を製造方法することができる。また有機塩を使用する必要がなく、毒性のある塩素ガスを使用することなく、簡便且つ安全に三価超原子価ヨウ素化合物を製造することができる。
また、本発明の次亜塩素酸塩を用いる三価超原子価ヨウ素化合物の製造法では、次亜塩素酸塩の酸化力がきわめて高く、有機酸を少量用いるだけで進行するため、アシルオキシ基以外の配位子を有する別種の三価超原子価ヨウ素化合物への変換反応を妨害するものは、ほとんど含まれていない。そこで、連続反応の条件をそれぞれ適切に設計することにより、様々な三価超原子価ヨウ素化合物を、一挙に簡便かつ高収率にて得ることが可能になった。
本発明の三価超原子価ヨウ素化合物の製造反応の流れを示すフロー1である。 本発明の三価超原子価ヨウ素化合物の製造反応の流れを示すフロー2-1およびフロー2-2である。 本発明の三価超原子価ヨウ素化合物の製造反応の流れを示すフロー3である。
本発明は、原料の有機ヨウ素化合物と、カルボン酸、無水カルボン酸またはスルホン酸から成る群から選ばれる少なくとも一種の有機酸(A)、必要に応じて有機酸(B)と、次亜塩素酸塩とを混合させることを特徴とする。また、製造の際には、従来技術(特許文献3)に必要とされているLi、Na、K、Mg2+、Ca2+等からなる有機塩の存在を必要としない。
本発明に用いられる原料の有機ヨウ素化合物とは、ヨウ素が結合している有機化合物であって、下記一般式(1)で表される。
Figure 0007035815000005
式(1)中、R1は置換基を含んでいてもよい芳香族基、置換基を含んでいてもよい鎖式脂肪族基、置換基を含んでいてもよい環式脂肪族基、置換基を含んでいてもよい非芳香族複素環式基、又はこれらの組み合わせによる基である。nは1以上の整数である。nの上限は、原料の有機ヨウ素化合物に含まれるヨウ素原子の数に従う。
式(1)のR1が芳香族基である場合の例としては、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、ナフタレン、ビナフチル、アズレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、クリセン、ヘリセン、フラーレン、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、ベンゾフラン、インドール、チアナフテン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ジベンゾチオフェン、アクリジン、フェナントロリン、カルバゾール、チアントレン、フェノキサチイン等があげられる。
式(1)のR1が鎖式脂肪族基である場合の例としては、メタン、エタン、エテン、エチン、プロパン、プロペン、プロピン、ブタン、ブテン、ブチン、ブタジエン、ブタジイン、ペンタン、ペンテン、ペンチン、ペンタジエン、ペンタジイン、ヘキサン、ヘキセン、ヘキシン、ヘキサジエン、ヘキサジイン、ヘキサトリエン、ヘキサトリイン等があげられる。
式(1)のR1が環式脂肪族基である場合の例としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、ノルボルネンなどがあげられる。
式(1)のR1が非芳香族複素環式基である場合の例としては、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、ピラン、モルホリンなどがあげられる。
式(1)のR1が、上記芳香族化合物、鎖式脂肪族化合物、環式脂肪族化合物、非芳香族複素環式化合物を組み合わせた基である場合の例としては、フルオレン、クロマン、イソクロマン、キサンテン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロアントラセン、チオキサンテン、イミノジベンジルなどがあげられる。
上述したR1が置換基を含んでいる場合、置換基の例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロシクリル基、シアノ基、ホルミル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、スルホニル基、エステル基、アミド基、トリフルオロメチル基、メシル基、トシル基、等をあげることができる。
本発明に用いられる有機酸(A)は、カルボン酸、カルボン酸無水物、スルホン酸またはスルホン酸無水物から成る群から選ばれる少なくとも一種である。
本発明に用いられるカルボン酸としては、特に制限されるものではないが、例えば、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、クロロジフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1,1-シクロペンタン二酢酸、1,1-シクロヘキサン二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、安息香酸、ジフェニル酢酸、4-メトキシフェニル酢酸、フェノキシ酢酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、等があげられる。
本発明に用いられるカルボン酸無水物としては、特に制限されるものではないが、例えば、無水酢酸、クロロ酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ジフルオロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、プロピオン酸無水物、酪酸無水物、吉草酸無水物、ヘキサン酸無水物、オクタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリン酸無水物、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物、シクロヘキサンカルボン酸無水物、1,1-シクロペンタン二酢酸無水物、1,1-シクロヘキサン二酢酸無水物、エチレンジアミン四酢酸二無水物、安息香酸無水物、ジフェニル酢酸無水物、4-メトキシフェニル酢酸無水物、フェノキシ酢酸無水物、フタル酸無水物、等があげられる。
本発明に用いられるスルホン酸としては、特に制限されるものではないが、例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、10-カンファースルホン酸、等があげられる。
本発明に用いられるスルホン酸無水物としては、特に制限されるものではないが、例えば、メタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、ベンゼンスルホン酸無水物、p-トルエンスルホン酸無水物、等があげられる。
本発明に用いられる有機酸(A)の必要量は特に限定されるものではないが、一価カルボン酸を使用する場合は2当量以上が望ましく、二価カルボン酸を使用する場合は1当量以上が望ましく、スルホン酸を使用する場合は1当量以上が望ましい。また下記実施例1に示すように有機酸(A)を反応剤兼溶媒とすることもできる。複数の有機酸(A)を組み合せて用いる場合は、式(2)で表される目的の三価超原子価ヨウ素化合物に必要なアシル基またはスルホニル基の合計当量数以上となるように有機酸(A)を使用するのが望ましい。
本発明の三価超原子価ヨウ素化合物の製造方法では、酸化剤として、次亜塩素酸塩を用いる。
本発明に用いられる次亜塩素酸塩としては特に限定されるものではないが、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムが工業的に広く使われており、安価であるため望ましい。次亜塩素酸ナトリウムを用いる場合は、原料の有機ヨウ素化合物に対して1~10当量、より好ましくは1~3当量添加することが望ましい。次亜塩素酸カルシウムを用いる場合は、原料の有機ヨウ素化合物に対して0.5~5当量、より好ましくは0.5~2当量添加することが望ましい。
本発明の三価超原子価ヨウ素化合物の製造反応の流れを図1のフロー1に示す。
本発明の三価超原子価ヨウ素化合物の製造反応は、水分量が多いと中間体であるジクロロヨードアリール類または目的物の三価超原子価ヨウ素化合物が、加水分解と酸化によりヨージルベンゼンに変換され、収率が低下してしまう。このため、次亜塩素酸塩もしくはその水溶液の質量濃度としては、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上の次亜塩素酸塩を使用したほうが良い。なお、次亜塩素酸カルシウムはその溶解度が低いため反応性が低い傾向にある。このため、反応性と収率の向上のためには高濃度の次亜塩素酸ナトリウムの使用が望ましく、具体的には次亜塩素酸ナトリウム5水和物(理論濃度45.2%)の使用、または次亜塩素酸ナトリウム5水和物を水溶液にしたものが望ましい。
本発明の三価超原子価ヨウ素化合物の製造では、必要に応じて有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、次亜塩素酸塩や目的とする三価超原子価ヨウ素化合物と反応するものでなければ特に制限されるものではないが、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、クロロトルエン等を用いることができる。特にアセトニトリルを溶媒にすると収率が向上することが分かっている。
本発明の三価超原子価ヨウ素化合物の製造時の反応温度としては、目的とする三価超原子価ヨウ素化合物が分解するような温度でなければ特に制限する必要はない。具体的には-30℃~100℃、より好ましくは0℃~50℃での反応温度が望ましい。
反応終了後に有機溶媒、好ましくはジクロロメタンまたは酢酸エチルを加え、分離した固体をろ別する。次にろ液(A)を減圧下濃縮することにより、ほぼ純粋な三価超原子価ヨウ素化合物を得ることができる。もし、この時点でμ-オキソ化合物、例えば、(PhI(OAc))O等の不純物が確認できる場合、使用した有機酸(A)を少量加え煮沸後、室温に戻し、ゆっくりとヘキサンを加えて再結晶することで純粋な三価超原子価ヨウ素化合物を得ることができる。
本反応は出発原料の添加順序を変えても目的とする三価超原子価ヨウ素化合物を得ることができる。この場合、ヨウ素化合物非存在下で次亜塩素酸塩と有機酸(A)を混合し、長時間経過すると、次亜塩素酸塩が分解してしまい、ヨウ素化合物を添加した際に反応が完結しない恐れがある。このため、速やかにヨウ素化合物を添加するか、ヨウ素化合物と有機酸(A)を混合した後に次亜塩素酸塩を混合するほうが望ましい。
本発明の製造方法によって得られる三価超原子価ヨウ素化合物(A)は、下記一般式(2)
Figure 0007035815000006
によって表されるヨウ素化合物である。
式(2)中、R1は、式(1)において示すR1と同じ置換基である。式(2)中、RとR前記有機酸(A)に由来し、互いに同一であっても異なっていても良く、また互いに結合していても良く、RとRはそれぞれ、水素原子、置換基を含んでいてもよいアシル基(R-CO-、Rは水素原子または置換基を表す)、置換基を含んでいてもよいスルホニル基(R-SO、Rは置換基を表す)、又はこれらの組み合わせによる基である。nは1以上の整数である。nの上限は、原料の有機ヨウ素化合物に含まれるヨウ素原子の数に従う。
とRが、置換基を含んでいてもよいアシル基(R-CO-、Rは置換基を表す)となることは、反応に使用したカルボン酸またはカルボン酸無水物によって決まる。例えば、酢酸や無水酢酸を使用した場合はアセチル基、トリフルオロ酢酸を使用した場合はトリフルオロアセチル基、芳香族カルボン酸を使用した場合は芳香族アシル基となる。
とRが、置換基を含んでいてもよいスルホニル基(R-SO、Rは置換基を表す)となることは、反応に使用したスルホン酸またはスルホン酸無水物によって決まる。例えば、スルホン酸として、メタンスルホン酸を使用した場合はメシル基、p-トルエンスルホン酸を使用した場合はトシル基となる。
上記プロセスで構成される本発明の三価超原子価ヨウ素化合物の製造方法によれば、爆発性のある有機過酸化物を使用することなく、また有機塩を添加することなく、有機ヨウ素化合物と、少なくとも一種の有機酸(A)と、次亜塩素酸塩を混合させることで、簡便且つ安全で経済性の良い三価超原子価ヨウ素化合物を製造することができる。
図1のフロー1に示す混合/反応(A)の終了後、固液分離したろ液(A)に、有機酸(A)とは異なる別の有機酸(B)を混合し、濃縮することで配位子交換反応をせしめ、別の三価超原子価ヨウ素化合物(B)に変換することができる。また、有機酸(B)は、ろ液(A)の濃縮後に加えてもよい。特にトリフルオロ酢酸やp-トルエンスルホン酸等のpKaが3未満の強い有機酸は、有機酸(B)として添加し、配位子交換反応により相当する三価超原子価ヨウ素化合物(B)に変換したほうが、収率が向上する場合がある。
この製造反応の流れを図2のフロー2-1および2-2に示す。
この製造方法によって得られる三価超原子価ヨウ素化合物(B)は、下記一般式(3)
Figure 0007035815000007
によって表されるヨウ素化合物である。
式(3)中、R1は、式(1)において示すR1と同じ置換基である。式(3)中、RとR前記有機酸(B)に由来し、互いに同一であっても異なっていても良く、また互いに結合していても良く、RとRはそれぞれ、水素原子、置換基を含んでいてもよいアシル基(R-CO-、Rは水素原子または置換基を表す)、置換基を含んでいてもよいスルホニル基(R-SO、Rは置換基を表す)、又はこれらの組み合わせによる基である。nは1以上の整数である。nの上限は、原料の有機ヨウ素化合物に含まれるヨウ素原子の数に従う。
とRは、それぞれ、反応に使用した有機酸(B)よって決まる。有機酸(B)は、有機酸(A)と異なっていることを条件として、上述した有機酸(A)の中から選択することができる。
フロー1の製造方法で、有機酸(A)として、例えばトリフルオロ酢酸やp-トルエンスルホン酸等のpKaが3未満の強い有機酸を使用しても相当する三価超原子価ヨウ素化合物を製造することができるが、さらに収率を向上させるためには、図2のフロー2-1,2-2の製造方法を用いることが望ましい場合がある。例えば、有機酸(A)として酢酸等のpKaが3以上の有機酸を使用し、一度相当する三価超原子価ヨウ素化合物(A)を含むろ液(A)を得て、その後、有機酸(B)として、トリフルオロ酢酸やp-トルエンスルホン酸等のpKaが3未満の強い有機酸をろ液(A)に添加して、配位子交換反応をさせたほうが、収率良く目的物が得られる(実施例22~24を参照)。このように配位子交換反応により、三価超原子価ヨウ素化合物(A)は、有機酸(B)に相当する三価超原子価ヨウ素化合物(B)に変換される。
ヨードシルベンゼン類に代表される三価超原子価ヨウ素化合物を得る場合は、図1のフロー1にしたがって、一度酢酸等を使用してヨードベンゼンジアセタート類を得た後に、水酸化ナトリウム水溶液に代表されるアルカリ性水溶液で加水分解反応させることでヨードシルベンゼン類を得ることができる。
この製造方法は、図1のフロー1に示す混合/反応(A)の終了後、アルカリ性水溶液をさらに混合して加水分解反応をさせる方法である。この製造反応の流れを図3のフロー3に示す。
この製造方法によって得られる三価超原子価ヨウ素化合物(C)は、下記一般式(4)
Figure 0007035815000008
によって表されるヨウ素化合物である。
式(4)中、R1は置換基を含んでいてもよい芳香族基、置換基を含んでいてもよい鎖式脂肪族基、置換基を含んでいてもよい環式脂肪族基、置換基を含んでいてもよい非芳香族複素環式基、又はこれらの組み合わせによる基である。mは1以上の整数である。
図3のフロー3で用いるアルカリ性水溶液は、特に制限されるものでないが、例えば、水酸化リチウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等を挙げることができる。水酸化ナトリウム水溶液が、安価であるため特に好ましい。
以下、実施例に基づき、本発明の三価超原子価ヨウ素の製造方法の好適な実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ガラス製のフラスコに次亜塩素酸ナトリウム5水和物329mg(2mmol)を秤量し、酢酸1.5mL(26mmol、13当量)とヨードベンゼン408mg(2mmol)を添加し、室温下で撹拌しながら10分間反応させた。反応後にジクロロメタンを約20mL加え、分離した固体をろ別した。ろ液を減圧下で濃縮することにより、ほぼ純粋なヨードベンゼンジアセタートの白色から微黄色粉末586mg(収率91%)を得た。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.09 (dd, J = 8.4, 1.2 Hz, 2H), 7.62 (tt, J = 7.4, 1.2 Hz, 1H), 7.60 (dd, J = 8.4, 7.6 Hz, 2H), 2.01 (s, 6H).
[実施例2~8]
表1に示す反応条件に変更した以外は実施例1と同様にして反応を行った。その結果、収率14%~78%で目的とするヨードベンゼンジアセタートを得た。
Figure 0007035815000009
[実施例9~16]
ガラス製のフラスコに次亜塩素酸ナトリウム5水和物329mg(2mmol)秤量し、表2に示す溶媒1.5mLに酢酸360mg(6mmol、3当量)を溶解したものを添加した。続いてヨードベンゼン408mg(2mmol)を添加し、室温下で表2に示す時間撹拌した。反応後にジクロロメタンまたは酢酸エチルを約20mL加え、分離した固体をろ別した。ろ液を減圧下で濃縮することにより、ほぼ純粋なヨードベンゼンジアセタートを収率28%~92%で得た。
Figure 0007035815000010
[実施例17]
ガラス製のフラスコに無水酢酸613mg(6mmol、3当量)とヨードベンゼン408mg(2mmol)を秤量し、有機溶媒としてアセトニトリル1.5mLを添加した。室温下で撹拌しつつ次亜塩素酸ナトリウム5水和物329mg(2mmol)を添加した。そのまま10分撹拌した後、ジクロロメタンを約20mL加え、分離した固体をろ別した。続いてろ液を減圧下濃縮し、ヘキサンを約10mL加えて結晶化させた後、上澄みを除去して減圧下乾燥することにより、ほぼ純粋なヨードベンゼンジアセテートを収率70%(451mg)で得た。
[実施例18]
ガラス製のフラスコに次亜塩素酸ナトリウム5水和物329mg(2mmol)秤量し、アセトニトリル1.5mLにプロピオン酸445mg(6mmol、3当量)を溶解したものを添加した。続いてヨードベンゼン408mg(2mmol)を添加し、室温下で撹拌しながら10分間反応させた。反応後にジクロロメタンを約20mL加え、分離した固体をろ別した。続いてろ液を減圧下濃縮し、ヘキサンを約10mL加えて結晶化させた後、上澄みを除去して減圧下乾燥することにより、ほぼ純粋なヨードベンゼンジプロピオナートを収率74%(519mg)で得た。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.08 (dd, J = 8.5, 1.0 Hz, 2H), 7.59 (tt, J = 7.5, 1.0 Hz, 1H), 7.49 (dd, J = 8.5, 7.5 Hz, 2H), 2.28 (q, J = 7.6 Hz, 4H), 1.07 (t, J = 7.6 Hz, 6H).
[実施例19]
ガラス製のフラスコに次亜塩素酸ナトリウム5水和物332mg(2mmol)秤量し、アセトニトリル1.5mLに酢酸360mg(6mmol、3当量)を溶解したものを添加した。続いてヨードベンゼン408mg(2mmol)を添加し、室温下で撹拌しながら10分間反応させた。反応後にジクロロメタンを約20mL加え、分離した固体をろ別した。続いてろ液にアジピン酸292mg(2mmol、1当量)とクロロベンゼン、アセトニトリルをそれぞれ5mL加えた後、短時間煮沸し、減圧下濃縮した。粗生成物をヘキサンで洗浄し、減圧下乾燥することにより、ヨードベンゼンアジパートを収率86%(596mg)で得た。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.10-8.03 (m, 2H), 7.63-7.57 (m, 1H), 7.54-7.46 (m, 2H), 2.37-2.19 (m, 4H), 1.68-1.43 (m, 4H).
[実施例20]
ガラス製のフラスコに次亜塩素酸ナトリウム5水和物329mg(2mmol)秤量し、アセトニトリル1.5mLに酢酸360mg(6mmol、3当量)を溶解したものを添加した。続いてヨードベンゼン408mg(2mmol)を添加し、室温下で撹拌しながら10分間反応させた。反応後にジクロロメタンを約20mL加え、分離した固体をろ別した。続いてろ液に安息香酸488mg(4mmol、2当量)とクロロベンゼン、トルエンをそれぞれ10mL加えた後、減圧下濃縮した。粗生成物を熱ヘキサンで数回洗浄し、減圧下乾燥することにより、ほぼ純粋なヨードベンゼンジベンゾエートを収率51%(451mg)で得た。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.24 (dd, J = 8.4, 1.1 Hz, 2H), 7.93 (dd, J = 8.3, 1.3 Hz, 4H), 7.63 (tt, 7.5, 1.1 Hz, 1H), 7.55 (dd, J = 8.4, 7.5 Hz, 2H)), 7.50 (tt, J = 7.4, 1.3 Hz, 2H), 7.37 (dd, J = 8.3, 7.4 Hz, 4H).
[実施例21]
ガラス製のフラスコに次亜塩素酸ナトリウム5水和物329mg(2mmol)秤量し、クロロホルム1.5mLにトリフルオロ酢酸342mg(6mmol、3当量)を溶解したものを添加した。続いて1,1,1-トリフルオロ-2-ヨードエタン420mg(2mmol)を添加し、室温下で撹拌しながら30分間反応させた。反応溶液の一部を抜き取り、H-NMRで解析したところ、配位子の異なる三価の超原子価ヨウ素化合物「CFCHIX(X=OCOCF,Clなど)」の混合物が収率57%で生じていることが示唆された。
[実施例22]
ガラス製のフラスコに次亜塩素酸ナトリウム5水和物329mg(2mmol)秤量し、アセトニトリル1.5mLに酢酸360mg(6mmol、3当量)を溶解したものを添加した。続いてヨードベンゼン408mg(2mmol)を添加し、室温下で撹拌しながら10分間反応させた。反応後にジクロロメタンを約20mL加え、分離した固体をろ別した。続いてろ液にトリフルオロ酢酸1.49g(13mmol、6.5当量)とクロロベンゼン、トルエンをそれぞれ10mL加えた後、減圧下濃縮した。粗生成物を熱ヘキサンで数回洗浄し、減圧下乾燥することにより、ほぼ純粋な[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼンを収率83%(503mg)で得た。
1H-NMR (CDCl3, 500 MHz) δ 8.22 (dd, J = 8.4, 1.0 Hz, 2H), 7.75 (tt, J = 7.5, 1.0 Hz, 1H), 7.62 (dd, J = 8.4, 7.5 Hz, 2H)
[実施例23]
ガラス製のフラスコに次亜塩素酸ナトリウム5水和物329mg(2mmol)秤量し、アセトニトリル1.5mLと酢酸360mg(6mmol、3当量)を添加した。続いてヨードベンゼン408mg(2mmol)を添加し、室温下で撹拌しながら10分間反応させた。続いてp-トルエンスルホン酸1水和物380mg(2mmol、1当量)を加え、反応後にジクロロメタンを約20mL加え、分離した固体をろ別した。続いてろ液を減圧下濃縮し、ヘキサンで洗浄後、減圧下乾燥すると[ヒドロキシ(トシルオキシ)ヨード]ベンゼンとμ-オキソ体(PhI(X)OI(X)Ph,X=Cl/OH/OAc/OTs)の混合物が370mg得られた。H-NMR分析の結果、[ヒドロキシ(トシルオキシ)ヨード]ベンゼンは0.0684mol(収率3%)生じていることが示唆された。
[実施例24]
ガラス製のフラスコに次亜塩素酸ナトリウム5水和物329mg(2mmol)秤量し、アセトニトリル1.5mLに酢酸360mg(6mmol、3当量)を溶解したものを添加した。続いてヨードベンゼン408mg(2mmol)を添加し、室温下で撹拌しながら10分間反応させた。反応後にジクロロメタンを約20mL加え、分離した固体をろ別した。続いてろ液を減圧下濃縮し、p-トルエンスルホン酸1水和物380mg(2mmol)とアセトニトリル1.5mLを加え、室温で5分間撹拌した。生じた沈殿をろ取し、エーテルで数回洗浄後、減圧下乾燥することによりほぼ純粋な[ヒドロキシ(トシルオキシ)ヨード]ベンゼンを収率78%(612mg)で得た。
1H-NMR (DMSO-d6, 500 MHz) δ 8.22 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.71 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.62 (dd, J = 8.1, 7.8 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.11 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 2.29 (s, 3H).
[実施例25]
ガラス製のフラスコに次亜塩素酸ナトリウム5水和物329mg(2mmol)秤量し、アセトニトリル1.5mLに酢酸360mg(6mmol、3当量)を溶解したものを添加した。続いてヨードベンゼン408mg(2mmol)を添加し、室温下で撹拌しながら10分間反応させた。続いて3Mの水酸化ナトリウム水溶液3mLを加え、室温でさらに10分間撹拌を続けた。生じた沈殿をグラスフィルターでろ取し、ろ液の液性が中性になるまで、数回に分けてよく水洗した(全量で約30mL)。ろ紙上で水分を除き、減圧下、終夜乾燥することにより、ほぼ純粋なヨードシルベンゼンを収率70%(308mg)で得た。
純度は以下の方法で確認した。得られたヨードシルベンゼン(50mg)を水-酢酸(1:1)2mLに分散させ、10%ヨウ化カリウム水溶液を2当量以上加え、続いて、0.1Mのチオ硫酸ナトリウム水溶液で3回滴定したところ、4.4mL±0.2mL加えたところでほぼ無色を呈した。この結果は元のヨードシルベンゼンが純度93-101%であることを示している。
[実施例26~35]
ガラス製のフラスコに次亜塩素酸ナトリウム5水和物を表3に示す当量数で秤量し、酢酸1.5mLとヨードアレーン類(2mmol)を添加し、室温下で撹拌しながら10分間反応させた。反応後にジクロロメタンまたは酢酸エチルを約20mL加え、分離した固体をろ別した。ろ液を減圧下濃縮することにより、表3の目的化合物に示すようにほぼ純粋なヨードアレーンジアセタート類を収率63~100%で得た。
Figure 0007035815000011

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 0007035815000012
    (式(1)中、R1は置換基を含んでいてもよい芳香族基、置換基を含んでいてもよい鎖式脂肪族基、置換基を含んでいてもよい環式脂肪族基、置換基を含んでいてもよい非芳香族複素環式基、又はこれらの組み合わせによる基である。nは1以上の整数である。)で示される有機ヨウ素化合物と、
    カルボン酸、カルボン酸無水物、スルホン酸またはスルホン酸無水物から成る群から選ばれる少なくとも一種の有機酸(A)と、
    次亜塩素酸塩又は次亜塩素酸塩水溶液とを、混合させることによる、
    下記一般式(2)
    Figure 0007035815000013
    (式(2)中、R1は、式(1)において規定するR1と同じ置換基である。RとR前記有機酸(A)に由来し、互いに同一であっても異なっていても良く、また互いに結合していても良く、RとRはそれぞれ、水素原子、置換基を含んでいてもよいアシル基(R-CO-、Rは水素原子または置換基を表す)、置換基を含んでいてもよいスルホニル基(R-SO、Rは置換基を表す)、又はこれらの組み合わせによる基である。nは1以上の整数である。)
    で表される三価超原子価ヨウ素化合物(A)の製造方法。
  2. 前記次亜塩素酸塩又は次亜塩素酸塩水溶液が、質量濃度40%以上の次亜塩素酸塩又は次亜塩素酸塩水溶液である請求項1に記載の三価超原子価ヨウ素化合物(A)の製造方法。
  3. 請求項1に記載の製造方法により、式(2)で示される三価超原子価ヨウ素化合物(A)を製造し、次いで、該式(2)で示される三価超原子価ヨウ素化合物(A)に、上記請求項1で使用した有機酸(A)とは異なる、カルボン酸、カルボン酸無水物、スルホン酸またはスルホン酸無水物から成る群から選ばれる少なくとも一種の有機酸(B)をさらに混合し、濃縮させることにより、配位子交換をせしめる、
    下記一般式(3)
    Figure 0007035815000014
    (式(3)中、R1は、式(1)において規定するR1と同じ置換基である。RとR前記有機酸(B)に由来し、互いに同一であっても異なっていても良く、また互いに結合していても良く、RとRはそれぞれ、水素原子、置換基を含んでいてもよいアシル基(R-CO-、Rは水素原子または置換基を表す)、置換基を含んでいてもよいスルホニル基(R-SO、Rは置換基を表す)、又はこれらの組み合わせによる基である。nは1以上の整数である。)
    で表される三価超原子価ヨウ素化合物(B)の製造方法。
  4. 請求項1記載の製造方法により、式(2)で示される三価超原子価ヨウ素化合物(A)を製造し、次いで、該式(2)で示される三価超原子価ヨウ素化合物(A)に、アルカリ性水溶液をさらに混合して加水分解反応をせしめる、
    下記一般式(4)
    Figure 0007035815000015
    (式(4)中、R1は、式(1)において規定するR1と同じ置換基である。mは1以上の整数である。)で表される三価超原子価ヨウ素化合物(C)の製造方法。
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