以下に添付図面を参照して、通信装置および通信システムの実施形態を詳細に説明する。
本実施形態における通信装置は、例えば所定の領域に存在する少なくとも一つの情報端末機器とサーバとの間で相互に情報の送受信を実行する。通信装置は、当該通信装置に接続されている複数の情報端末機器(学習者や教師)を個別に特定する。そして、通信装置は、各情報端末機器に関連する情報をサーバから収集し、その情報を利用者が求める(有用に利用できる)情報形態(例えば、まとめ処理が施されてメタデータ化された管理情報の形態)に変換して、利用者に提供する。また、通信装置が当該通信装置に接続された情報端末機器(接続者)から入力される情報、例えば、文字情報や音声情報等を収集するとともに、それらの情報と管理情報とを関連付けてサーバに登録する。このように、各情報のメタデータ化処理や関連づけ(紐付け)処理を通信装置側で行うことで、サーバ側で情報の処理や管理の負荷が増加してしまうことを抑制することができる。また、サーバにおいて、各種情報が管理情報と関連付けされ、理解しやすい状態で保持されるので、利用者がその情報を後から利用する場合には、必要な情報の取得が容易になり、さらに活用しやすくすることができる。
図1は、実施形態にかかる通信システム100の構成の一例を示した模式的な図である。本実施形態では、通信システム100の活用例として、教育現場において、教師(講師、発表者等)が使用する情報端末機器10(教師用端末10a)と、学習者(生徒、受講者等)が使用する情報端末機器10(学習者用端末10b)との間で情報の送受や共有を行う場合を示す。
通信システム100は、例えば、構内ネットワークW(無線LAN(Local Area Network)等で構築)のアクセスポイント12を介して、外部のサーバ14と、複数の通信装置16とが接続され、さらに、各通信装置16には、複数の情報端末機器10が接続されている。したがって、通信装置16は、比較的狭い領域(例えば、教室等)に複数存在する情報端末機器10との間で情報の送受を行うアクセスポイントとしても機能する。その結果、情報端末機器10を介して、サーバ14と情報端末機器10との間においても情報の送受が可能になる。
アクセスポイント12は、無線通信機能(WiFi、WiGig等)を持つ情報端末機器10(教師用端末10aや学習者用端末10b)等のパーソナルコンピュータ(PC)やタブレット端末を構内ネットワークWに接続させることができる。また、サーバ14は、教師や学習者のアカウント情報(ログイン名、パスワード等)や授業等で収集された情報や学習に利用する教材や資料等のコンテンツを格納するとともに、各情報の検索や更新等の機能を備え、ネットワーク経由で教師や学習者に提供する。通信装置16は、複数の情報端末機器10を無線接続することができ、かつ各情報端末機器10の情報や学習者が入力した情報を集めて、後述する各種処理を加え、サーバ14に登録することができる、例えば無線アクセスポイントである。
情報端末機器10のうち、教師用端末10aは、例えば、PC等であり、授業の開始、授業の終了をシステム上で指示したり、講義に使う教材やコンテンツ等を学習者用端末10bに表示させたり、教材やコンテンツ等をプロジェクタ18を用いてスクリーン20等に表示させたりすることができる。また、教師用端末10aは、学習者用端末10bから送信される、例えば質問に対する回答の表示や意見交換の内容等の表示を行うこともできる。学習者用端末10bも教師用端末10aと同様に、例えば、PCやタブレット端末等で、教師用端末10aから送信される教材やコンテンツ等の表示や、教師の質問に対する回答や宿題等の文章情報の送信を行うことができる。また、学習者用端末10bは、教師用端末10a等に音声情報や映像情報の送信を行うこともできる。さらに、学習者用端末10bは、通信装置16を介して、当該通信装置16に接続される他の学習者用端末10bと情報共有や意見交換等を行うこともできる。
本実施形態では、図1に示すように、通信装置16が複数存在して、通信装置16ごとに学習者のグループG(例えば、グループG1~G4)を作る。グループGは、所定の領域、例えば、学校の教室ごとに形成され、その教室で学習する学習者が操作する学習者用端末10bがグループGに設けられた通信装置16に接続される。また、別の例では、一つの教室内に複数の通信装置16が設けられ、複数のグループGを形成してもよい。そして、各通信装置16は、グループG単位で学習情報等の収集を行って、収集した情報を適宜処理してサーバ14に登録することができる。なお、各通信装置16が構成するグループGに参加する学習者(情報端末機器10)の数は、適宜変更可能であるが、情報の送受等の処理は同じである。したがって、以下の説明では、一つのグループG(例えば、グループG1)についてのみ説明し、他のグループGの説明は省略する。また、図1の場合、教師用端末10aは、有線回線で構内ネットワークWに接続されている例を示しているが、通信装置16を介して接続されていてもよい。
図2(a)~図2(c)は、通信装置16における情報の収集例を説明する模式図である。図2(a)は、グループGに参加している学習者Pの学習者用端末10bで録音した学習者Pの音声情報を通信装置16で収集する例である。図2(b)は、同様に、グループGに参加している学習者Pの学習者用端末10bで学習者Pが入力した文字情報等を通信装置16で収集する例である。学習者用端末10bは、例えば、TCP/IP等のプロトコルを使って音声情報や文字情報を学習者用端末10b上のアプリケーションから通信装置16に転送する。通信装置16は、学習者用端末10bから取得した音声情報や文字列情報をファイルにまとめる。図2(c)は、グループGに参加している学習者Pを撮像可能な撮像装置22が設けられ、撮像装置22で撮像された例えば、学習者Pの状況(参加状況や学習風景、学習内容等)を録画する。通信装置16は、取得した映像情報を、映像が録画されたときに実施されている授業と関連付けて、サーバ14に格納する。
次に、図3を用いて、通信装置16の構成を説明する。図3は、通信装置16の機能ブロックの一例を示した模式的な図である。通信装置16は、無線通信制御部16a、有線通信制御部16b、システム制御部16c、外部I/F制御部16d、メモリ16e、不揮発メモリ16f等を含む。なお、図3に示す通信装置16の構成は一例であり、種々変更可能であるとともに、機能の分割や統合、追加を適宜行うことができる。
無線通信制御部16aは、WiFi、WiGig等の無線通信機能を司り、通信装置16に接続された各学習者用端末10bと通信を実現するとともに、アクセスポイント12を介してサーバ14との通信を実現する。有線通信制御部16bは、有線LANが利用される場合の有線通信機能を司る。例えば、教室内で通信装置16と情報端末機器10とが有線接続されている場合に、両者間で情報の送受を制御する。また、通信装置16とアクセスポイント12とが有線で接続されている場合に、両者間で情報の送受を制御する。
システム制御部16cは、無線通信制御部16a、有線通信制御部16b、外部I/F制御部16d、メモリ16e、不揮発メモリ16f等、通信装置16の全体を制御する。また、システム制御部16cは、サーバ14や各情報端末機器10から取得した情報の処理を実行する処理部として機能する。例えば、情報端末機器10の利用者(教師や学習者P)を特定するとともに、サーバ14に登録された情報(第二の情報)に基づいて、利用者が利用可能なように、取得した情報のまとめ処理(メタデータ化)が行われた管理情報を生成する情報生成部として機能する。また、システム制御部16cは、情報端末機器10から取得される情報(第一の情報)を生成した管理情報と関連付けてサーバ14に登録する登録処理部としても機能する。外部I/F制御部16dは、USB(Universal Serial Bus)やHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)等を介してネットワーク以外の外部インターフェースの入出力を制御する。外部I/F制御部16dには、例えば、撮像装置22が接続され、所定の領域の映像情報の取り込みを可能にしている。したがって、システム制御部16cは、外部I/F制御部16dを介して映像情報を取得する映像取得部としても機能する。
メモリ16eは、例えば、RAM(Random access memory)等で、システム制御部16cがソフトウエアにしたがう処理を実行する際に使用する作業領域および情報を一時的に保持する記憶領域を提供する。不揮発メモリ16fは、通信装置16の電源がOFFされても記憶する必要がある情報を格納する記憶領域を提供し、例えば、HDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)等で構成することができる。
次に、図4を用いて、情報端末機器10の構成を説明する。図4は、情報端末機器10の機能ブロックの一例を示した模式的な図である。情報端末機器10は、教師用端末10aや学習者用端末10bを含むPCやタブレット端末等である。情報端末機器10は、既存の構成として、制御部24(CPU)、入力部26、音声入力部28、表示部30、通信部32、記憶部34等を備える。
制御部24は、通信装置16で実行される処理に利用する、情報端末機器10で取得される各種情報の処理を実行するための複数のモジュールを備える。各モジュールは、例えば、制御部24が記憶部34等にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、それを実行することで実現される。制御部24は、例えば、個人認証部24a、メッセージ処理部24b、音声処理部24c、学習資料処理部24d、セッション管理部24e等のモジュールを備える。なお、図4に示す制御部24の構成は一例であり、種々変更可能であるとともに、機能の分割や統合、追加を適宜行うことができる。
個人認証部24aは、教師と学習者Pとの区別を実行するために、ログイン名、パスワードの入力を使用者(教師や学習者)に求め、認証処理を実行する。そして、情報端末機器10の利用者が教師の場合は、通信装置16に向けて、授業開始/終了の指示を送信する。また、情報端末機器10の利用者が学習者Pの場合、認証要求を通信装置16に向けて送信する機能をもつ。教師の授業開始/終了の指示は、授業で使用する通信装置16の数だけ実施される。なお、複数の通信装置16は、同一のフロア、例えば教室内に配置されていてもよいし、異なる教室、異なる階や異なる建物の教室に配置されていてもよい。
メッセージ処理部24bは、学習者Pに文字入力を許容し、そして通信装置16に向けて送信する機能を実行する。音声処理部24cは、情報端末機器10が備える入力部26によるキー操作や音声入力部28が備える音声入力機能を使って音声の録音を行い、wav、mp3等のファイル形式に変換して、通信装置16に送る機能を実行する。学習資料処理部24dは、通信装置16から入手した学習資料に関する情報を表示部30に表示する機能を実行する。例えば、情報端末機器10が学習資料処理部24dを介して学習資料をURL(Uniform Resource Locator)で受け取る。したがって、学習資料処理部24dは、URL表示を表示する機能と、URL先をアクセスできるブラウザを起動する機能を備える。セッション管理部24eは、通信装置16との通信の接続/切断機能を実現する。
入力部26、音声入力部28、表示部30、通信部32、記憶部34等は、情報端末機器10が標準的に備える機能であり、例えば、情報端末機器10のオペレーションシステムによって制御される。入力部26は、キー入力操作、マウスやパッドの操作等により文字情報等を入力可能とする。音声入力部28は、マイク等の音声入力デバイスを制御して音声情報を入力可能とする。表示部30は、文字、映像等を画面に表示する。なお、表示部30は、透明な操作入力部(タッチパネル)等で覆われていてもよい。この場合、利用者(教師や学習者等)は、操作入力部を介して表示部30の画面に表示される映像(画像)を視認することができる。また、利用者は、表示部30の画面に表示される映像(画像)に対応した位置で手指等により操作入力部を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力(指示入力)を実行することができる。通信部32は、ネットワーク機能を持つが、本実施形態ではTCP(Transmission Control Protocol)以下物理レイヤまで担うものとする。記憶部34は、例えば、揮発性メモリや不揮発性メモリを含む。揮発性メモリは、情報端末機器10上でアプリケーションが実行される場合に作業領域を提供する。また、不揮発性メモリは、情報端末機器10で実行されるアプリケーションのプログラムや各種パラメータ等が記憶されている。制御部24は、記憶部34から読み出したプログラムにしたがって各モジュールを実現するとともに、各種処理を実行する。
このように構成される通信システム100の動作例を説明する。一例として、学習者Pの入力情報(文字情報や音声情報)を通信装置16が収集して、メタデータ化および関連づけ処理を実行してサーバ14に格納するという特徴的な処理を伴う、授業の開始から終了までの流れを説明する。
サーバ14には、あらかじめ教師や学習者Pのユーザ情報(アカウント情報)や授業に関する授業情報等が初期設定として登録されている。例えば、図5の処理シーケンスに示すように、S100において、教師用端末10aからサーバ14に対して、予め図6に示すような授業情報D1や、ユーザ情報が送信される。登録が完了すると、S101において、「完了」を示すメッセージがサーバ14から教師用端末10aに発行(送信)される。ユーザ情報には学習者Pか教師かの識別情報と、ログイン名、パスワード等が保存されている。また、授業情報D1は、例えば、図6に示されるように、授業名(文字列)、教師名(文字列)、教師ホスト名(文字列)、資料1(URL)、資料2(URL)等で構成されている。
続いて、実際の授業を開始する場合の通信システム100の動作を図7に示す処理シーケンスに基づいて説明する。
まず、教師用端末10aは、S102において、通信装置16に対して「授業開始指示」のメッセージを発行する。教師、学習者P、通信装置16間で取り交わされるメッセージ(メッセージフォーマットD2)は、例えば、図8のような構造をとり、TCPで通信される。
メッセージフォーマットD2は、例えば、送信者ログイン名、送信者ホスト名、種別、メッセージサイズ、継続時メッセージNo、継続メッセージ有無、データ部等で構成される。
例えば、送信者ログイン名、送信者ホスト名は、文字列である。また、種別には、例えば、授業開始指示、授業開始応答、認証要求、認証応答、授業情報要求、授業情報応答、文字情報、文字情報のOK/NG、音声情報、音声情報のOK/NG、終了要求、終了応答のOK/NG、授業終了要求、授業終了応答等が含まれる。
また、データ部には、種別に対応するデータとして、例えば、授業開始指示には、録画有無、パスワード、授業名等の情報が含まれる。授業開始応答には、開始NGまたは開始OKの情報が含まれる。認証要求には、パスワード等の要求指示情報が含まれる。認証応答は、「0」または「1」で示され、「0」の場合は認証NGを示し、「1」の場合は認証OK+学習者別管理情報が含まれる。授業情報要求は、要求指示でデータは含まれない。授業情報応答には、授業情報(例えばバイナリデータ)が含まれる。文字情報は、文字列で、文字情報OK/NGは、「0」または「1」で示され、「0」の場合はNG(文字情報ない)で、「1」の場合はOK(文字情報あり)である。音声情報は、音声ファイルである。音声情報OK/NGは、「0」または「1」で示され、「0」の場合はNG(音声情報なし)で、「1」の場合はOK(音声情報あり)である。終了要求は、要求指示でデータは含まれない。終了要求応答は、「0」または「1」で示され、「0」の場合はNG(応答なし)で、「1」の場合はOK(応答あり)である。授業終了要求は、要求指示でデータは含まれない。授業終了応答は、「0」または「1」で示され、「0」の場合はNG(応答なし)で、「1」の場合はOK(応答あり)である。なお、メッセージフォーマットD2の構成は、一例であり、適宜変更(追加、省略)が可能である。
通信システム100の運用にあたり、教師の情報端末機器10(教師用端末10a)や学習者Pの情報端末機器10(学習者用端末10b)のアプリケーションが通信装置16のホスト名もしくはIPアドレスを事前に手入力で設定されているものとしてもよい。また、通信装置16のSSIDをホスト名と同じにして、周辺に存在する通信装置16を捜索して、検出された通信装置16のリストを表示させながら、その中から選ぶようにしてもよい。
図7に戻り、教師用端末10aからの「授業開始指示」を通信装置16が受信すると、通信装置16は、S103において、サーバ14を検索して、授業開始指示を行った教師用端末10aの使用者が教師として登録されているかを確認する「教師情報」を取得しにいく。教師としてサーバ14に登録されていれば、サーバ14は、S104において、通信装置16に「教師情報」を送信し、通信装置16は、S105において、図8に示すメッセージフォーマットD2内の「授業名」を元に「授業情報」を検索し読出しに行く。通信装置16は、S106において、サーバ14から「授業情報」を取得すると、S107において、教師用端末10aに対して「授業開始応答」のメッセージを返信する。この時点で授業が始まりとなる。なお、通信装置16は、取得した「授業情報」に撮像装置22を使用した授業内容(授業風景等)の撮影が指定されていた場合、通信装置16に接続された情報端末機器10が存在する領域(例えば、教室の全景や教師やスクリーン20が写るような領域)の撮影を開始する。
続いて、図9を用いて、学習者用端末10bが授業参加を行う場合の処理シーケンスを説明する。学習者用端末10b(学習者P)は、S108において、ログイン名、パスワードを含んだ「認証要求」のメッセージを通信装置16に発行する。通信装置16は、S109において、サーバ14に図10に示すような学習者P別の管理情報D3を生成するための学習者情報をサーバ14に取得しにいく。そして、通信装置16は、S110において、サーバ14から学習者情報を収集する。
通信装置16は、サーバ14から学習者Pのアカウント情報を入手し、照合し、問題がなければメモリ16e上に図10に示すような学習者P別の管理情報D3を作成(生成)して、S111において、学習者用端末10bに「認証応答:OK」および学習者P別の管理情報D3を返信する。この時点で認証要求を行った学習者Pが授業に参加したこととなる。また、後述するが、ここで作成される管理情報D3は、授業の終了後、今回の授業で追加された学習者用端末10b等から入力される情報(第一の情報という場合もある)と関連付け(紐付け)が行われた上で更新され、サーバ14に登録される。なお、認証要求/応答の操作を行わなかった場合は学習者Pからの他のメッセージは、通信装置16で処理されずに廃棄される。
図10には、通信装置16のシステム制御部16cの情報生成部により生成される学習者P別の管理情報D3の一例を示す。前述したように、管理情報D3は、利用者(学習者P等)が特定されている情報であり、サーバ14から収集された情報(第二の情報)に基づき、利用者が利用可能なように情報のまとめ処理(メタデータ化)された情報である。管理情報D3は、ログイン名(文字列)、ホスト名(文字列)、ログイン時刻(年/月/日/時/分)、ログアウト時刻(年/月/日/時/分)、グループNo(通信装置16固有のNo)、文字/音声情報(URL、学習者P別の格納フォルダF1)、学習履歴(履歴数、履歴情報(ログイン/ログアウト時刻))等の情報がまとめられている。管理情報D3は、上述したように、認証(ログイン)を求めた学習者用端末10bの利用者を特定するとともにサーバ14に登録された各種情報(第二の情報という場合もある)に基づいて生成される。管理情報D3は、教師用端末10aの利用者(教師)や学習者用端末10bの利用者(学習者P)が適宜利用可能な情報である。例えば、教師の場合、授業中や授業の終了後に学習者Pの評価や理解度の確認等を行うために管理情報D3をサーバ14から呼びだし活用することができる。また、学習者Pは、授業中や授業の終了後に学習内容の確認等を行う際に活用することができる。したがって、教師と学習者Pとの間でインタラクティブな学習方式(アクティブラーニング)が実現しやすくなる。
続いて、図11の処理シーケンスに示されるように、学習者用端末10bは、S112において、「授業情報要求」のメッセージを通信装置16に発行する。通信装置16は、S113において、サーバ14に予め登録された「授業情報」を管理情報D3に盛り込み、「授業情報応答」を学習者用端末10bに返信する。「授業情報」が盛り込まれた管理情報D3には、「学習履歴」、「資料」、「発言履歴」等が含まれる。したがって、学習者用端末10bの学習者Pは、管理情報D3を参照することにより、学習内容の把握や学習の振り返り等を効率よく行うことができる。
また、通信装置16は、管理情報D3に対して、図12の処理シーケンスにしたがい、学習者Pが学習者用端末10bを操作して入力する文字情報や音声情報の登録処理を実行する。学習者用端末10bは、学習者Pが例えば、入力部26を用いて「文字情報」を入力した場合、S114において、学習者Pの操作に従い、学習者Pの入力した文字列をフォーマットして、通信装置16に「文字情報」を発行する。この「文字情報」は、一括して発行してもよいし、複数に分割して発行してもよい。通信装置16は、「文字情報」を受け取ると、テキストファイルを作成し、管理情報D3と関連付けを行いメモリ16eに保持(一時記憶)する。つまり、テキストファイルが文字入力を行った学習者Pと関連付けられて登録されることになる。テキストファイルの作成の流れは後述する。通信装置16は、「文字情報」を取得し、メモリ16eに保持(一時記憶)を済ませると、S115において、「文字情報:OK」のメッセージを学習者用端末10bに発行する。なお、「文字情報」が関連付けられた管理情報D3は、授業の終了後に、サーバ14に登録される。このように、学習者用端末10bから入力された「文字情報」(第一の情報)を通信装置16において、学習者P別の管理情報D3に関連付けて保持することで、サーバ14側の処理負荷を増大させることなく、文字情報の管理、活用を行い易い状態で登録することができる。
同様に、学習者用端末10bは、学習者Pが例えば、発言を行った場合、S116において、音声入力部28を用いて集音および録音を行い、通信装置16に「音声情報」を発行する。この「音声情報」は、一括して発行してもよいし、複数に分割して発行してもよい。通信装置16は、「音声情報」を受け取ると、音声ファイルを作成し、管理情報D3と関連付けを行いメモリ16eに保持する。つまり、音声ファイルが音声入力を行った学習者Pと関連付けられて登録されることになる。音声ファイルの作成の流れは後述する。通信装置16は、「音声情報」を取得し、メモリ16eに保持を済ませると、S117において、「音声情報:OK」のメッセージを学習者用端末10bに送信する。なお、「音声情報」が関連付けられた管理情報D3は、授業の終了後に、サーバ14に登録される。このように、学習者用端末10bから入力された「音声情報」(第一の情報)を通信装置16において、学習者P別の管理情報D3に関連付けて保持することで、サーバ14側の処理負荷を増大させることなく、音声情報の管理、活用を行い易い状態で登録することができる。
次に、学習者Pが授業中に退席する場合の処理を図13の処理シーケンスを用いて説明する。学習者Pが退席する場合、学習者Pが学習者用端末10bをログアウトすると、S118において、学習者用端末10bから通信装置16に向けて、「終了要求」のメッセージが発行される。通信装置16は、利用者(ログアウトした学習者P)の管理情報D3(図10参照)のログアウト時刻を登録し、管理情報D3をメモリ16eに保持する。そして、S119において、通信装置16は、学習者用端末10bに「終了応答」のメッセージを発行する。以後、通信装置16はログアウトした学習者Pからのメッセージは廃棄するものとする。
続いて、授業が正規に終了する場合の処理を図14の処理シーケンスを用いて説明する。授業を終了させる場合、S120において、教師は、教師用端末10aを操作して「授業終了要求」のメッセージを通信装置16に向けて発行する。このとき、通信装置16は、S121において、今回の授業の学習履歴が反映された最新の状態の各学習者Pの学習者情報をサーバ14に登録(更新)する。つまり、今回の授業で学習者用端末10bから入力された「文字情報」や「音声情報」等が学習者Pと関連付けられて(紐付けされて)、学習者Pごとの管理情報D3に登録される。また、通信装置16は、授業中に撮像装置22によって、授業内容の撮影が撮像装置22により実行されている場合、撮像された映像情報録画情報D4(画像ファイル、音声ファイル)は、図15に示されるように、逐次動画格納フォルダF2に格納されている。したがって、通信装置16は、動画格納フォルダF2を管理情報D3に関連付け(紐付け)してサーバ14に登録する。つまり、学習者用端末10bの利用状況と関連付けられた、または学習者Pと関連付けられた映像情報録画情報D4がサーバ14に登録される。このように、学習者用端末10bが存在する領域を撮像した「映像情報」(第一の情報)を通信装置16において、学習者P別の管理情報D3に関連付けて保持することで、授業内容や学習者Pの学習状況等の把握が容易になり、同様に管理情報D3に関連付けられた「文字情報」や「音声情報」等と併せて、学習者Pの評価や授業の管理等に活用することができる。また、サーバ14側の処理負荷を増大させることなく、可視的な情報である映像情報の管理、活用を行い易い状態でサーバ14に登録することができる。また、管理情報D3に「映像情報」を関連付けて登録することにより、情報の記録漏れや情報の損失防止にも寄与することができる。サーバ14は、最新の管理情報D3の登録を完了すると、S122において、通信装置16に対して登録の「完了」のメッセージを発行する。また、通信装置16は、S123において、教師用端末10aに対して「授業終了応答」のメッセージを発行する。これ以後、通信装置16は、終了した授業に関する情報を全て廃棄し、新たな「授業開始指示」の取得を待つ。なお、教師用端末10aは、図7において、「授業開始指示」のメッセージを発行した全ての通信装置16に対して、上述したような「授業終了要求」のメッセージを発行し、各通信装置16における処理を終了させる。
次に、図16~図19に示すフローチャートを用いて、通信装置16を主体とする処理の流れを説明する。なお、以下に示すフローチャートでは、これから授業を開始して、その後終了する場合の処理を説明する。
図16のフローチャートにおいて、通信装置16は、電源がONされている場合、情報端末機器10からのメッセージ受信の有無を常時確認している(S200のNo)。通信装置16は、学習者用端末10bからメッセージを受信した場合で(S200のYes)、そのメッセージが「授業開始指示」のメッセージではない場合(S201のNo)、S200に戻り、メッセージ受信の有無の監視を継続する。
一方、通信装置16は、受信したメッセージが「授業開始指示」であった場合(S201のYes)、「授業開始指示」を発行した教師がサーバ14のデータベース(DB)に登録されているか否かの確認を行う(S202)。登録された教師でない場合(S202のNo)、通信装置16は、メッセージを発行した無線通信制御部16aに対して「授業開始応答」を「NG」で返答し(S203)、S200の処理に戻り、メッセージ受信の有無の監視を継続する。
S202において、メッセージを発行した教師用端末10aの利用者(教師)が通信装置16のデータベースに登録されている場合で(S202のYes)、「授業開始指示」に撮像装置22を用いた授業内容の録画指示が含まれている場合は(S204のYes)、撮像装置22を起動する(S205)。一方、「授業開始指示」に録画指示が含まれていない場合(S204のNo)、S205の処理をスキップする。この時点で授業が開始される。
授業が開始されると、通信装置16は、新たなメッセージの受信があるか監視する(S206)、メッセージの受信がない場合(S206のNo)、メッセージ受信の監視を継続する。一方、メッセージを受信した場合で(S206のYes)、そのメッセージの発行元が教師(教師用端末10a)でない場合(S207のNo)、つまり、メッセージが学習者用端末10b(学習者P)から発行された場合、通信装置16は、図17のフローチャートに移行して、メッセージの内容に基づく処理を実行する。なお、この場合、複数の学習者用端末10b(学習者P)からのメッセージが個別に発行される可能性があるため、通信装置16は、S206における新規メッセージの受信処理と、図17のフローチャートに示す受信したメッセージに基づく処理を平行して実行する。
通信装置16は、受信したメッセージが、学習者用端末10bからの「認証要求」であった場合(S208のYes)、「認証要求」を発行した学習者用端末10b(学習者P)がサーバ14のデータベースに登録された学習者Pであるか否か確認する(S209)。データベースに登録されている学習者Pの場合(S209のYes)、通信装置16は、学習者P別の管理情報D3を作成するとともに、メッセージを発行した学習者用端末10bに対して「認証応答」を「OK」で返答する(S210)。そして、通信装置16は、S206に戻り、他の学習者用端末10b(学習者P)の「認証要求」やそれ以外のメッセージの受信を継続する。つまり、認証を求めた学習者Pの授業への参加を許可する。一方、S209において、「認証要求」を発行した学習者用端末10b(学習者P)が、サーバ14のデータベースに登録されていない場合(S209のNo)、メッセージを発行した学習者用端末10bに対して「認証応答」を「NG」で返答する(S211)。つまり、認証を求めた学習者Pの授業への参加を退ける(例えば、参加履歴を残さない)。そして、通信装置16は、S206に戻り、他の学習者用端末10b(学習者P)の「認証要求」やそれ以外のメッセージの受信を継続する。
S208において、受信したメッセージが「認証要求」でない場合(S208のNo)、メッセージの発行元が認証済みの学習者P(学習者用端末10b)かつ終了(ログアウト、退席等)していない場合(S212のYes)、メッセージ内容にしたがう処理を継続する。なお、S212において、メッセージの発行元の学習者用端末10b(学習者P)が認証されていない場合や既にログアウトしている場合(S212のNo)、S206に戻り、メッセージの受信を継続する。
S212において、メッセージの発行元が認証済みの学習者P(学習者用端末10b)かつ終了(ログアウト、退席等)していない場合(S212のYes)、つまり、授業に実際に参加している場合、通信装置16は、メッセージ内容が、「授業情報要求」か否かを確認する(S213)。受信したメッセージが「授業情報要求」の場合(S213のYes)、サーバ14から取得した授業情報を盛り込んだ「授業情報応答」をメッセージ発行元の学習者用端末10bに返信する(S214)。そして、通信装置16は、S206に戻り、他のメッセージの受信の監視を継続する。
S213において、受信したメッセージが「授業情報要求」ではなく(S213のNo)、学習者用端末10bから「文字情報」が入力されたことを示すメッセージである場合(S215のYes)、通信装置16は、文字情報のテキストファイルを作成する(S216)。そして、通信装置16は、S206に戻り、他のメッセージの受信の監視を継続する。
文字情報のテキストファイルを作成する処理を図18のフローチャートを用いて説明する。通信装置16は、メモリ16eに、メッセージ送信元の学習者用端末10bに対応するテキストファイルが既に存在する場合(S300のYes)、既存のテキストファイルをオープンして受信した文字列を追加する(S301)。一方、メモリ16eにメッセージ送信元の学習者用端末10bに対応するテキストファイルが存在しない場合(S300のNo)、通信装置16は、メモリ16e上の規定のフォルダにテキストファイルを新規作成し、受信した文字列を格納する(S302)。続いて、通信装置16は、後続の文字情報の存在を示す継続メッセージがあるか否か確認して、ある場合には(S303のYes)、一旦テキストファイルの作成処理を終了する。つまり、S300からの処理を繰り返す。一方、後続の文字情報の存在を示す継続メッセージがない場合(S303のNo)、通信装置16は、テキストファイルをクローズし、メッセージ送信元の学習者用端末10bに対して、「文字情報:OK」を返答する(S304)。つまり、「文字情報」の登録完了を通知して、ファイル作成処理を一旦終了する。
S215において、受信したメッセージが「文字情報」が入力されたことを示すメッセージではなく(S215のNo)、学習者用端末10bから「音声情報」が入力されたことを示すメッセージである場合(S217のYes)、通信装置16は、音声ファイルを作成する(S218)。そして、通信装置16は、S206に戻り、他のメッセージの受信の監視を継続する。
音声情報を保存する音声ファイルを作成する処理を図19のフローチャートを用いて説明する。通信装置16は、メモリ16eに、メッセージ送信元の学習者用端末10bに対応する音声ファイルが既に存在する場合(S310のYes)、既存の音声ファイルをオープンして受信した音声データを追加する(S311)。一方、メモリ16eにメッセージ送信元の学習者用端末10bに対応する音声ファイルが存在しない場合(S310のNo)、通信装置16は、メモリ16e上の規定のフォルダに音声ファイルを新規作成し、受信した音声データを格納する(S312)。続いて、通信装置16は、後続の音声情報の存在を示す継続メッセージがあるか否か確認して、ある場合には(S313のYes)、一旦音声ファイルの作成処理を終了する。つまり、S310からの処理を繰り返す。一方、後続の音声情報の存在を示す継続メッセージがない場合(S313のNo)、通信装置16は、音声ファイルをクローズし、メッセージ送信元の学習者用端末10bに対して、「音声情報:OK」を返答する(S314)。つまり、「音声情報」の登録完了を通知して、ファイル作成処理を一旦終了する。
S217において、受信したメッセージが「音声情報」が入力されたことを示すメッセージではなく(S217のNo)、学習者用端末10bから「終了要求」を示すメッセージを受信した場合(S219のYes)、例えば、学習者Pが退席等して学習を中止したとみなせる。この場合、通信装置16は、学習者P別の管理情報D3に終了時刻(ログアウト時刻)を設定(登録)し、メッセージ送信元の学習者用端末10bに対して、「終了応答」を返信する(S220)。そして、通信装置16は、S206に戻り、他のメッセージの受信の監視を継続する。なお、S219において、受信したメッセージが「終了要求」ではない場合(S219のNo)、通信装置16は、常用のメッセージではないと判定して、個別処理を行うとともに、S206に戻り、他のメッセージの受信の監視を継続する。
図16のフローチャートに戻り、S206において受信したメッセージが教師(教師用端末10a)からの場合で(S207のYes)、「授業終了要求」を示すメッセージではない場合(S221のNo)、通信装置16は、S206に戻り、他のメッセージの受信の監視を継続する。一方、受信したメッセージが「授業終了要求」を示すメッセージの場合で(S221のYes)、撮像装置22による録画が実行中の場合(S222のYes)、通信装置16は、撮像装置22による録画を停止する(S223)。録画中でない場合は(S222のNo)、通信装置16は、S223の処理をスキップする。そして、通信装置16は、メモリ16e上に保持している学習者P別の管理情報D3を最新の状態に更新し、サーバ14のデータベースに登録する。また、撮像装置22による映像データ(情報)が存在する場合には、管理情報D3と関連付けて映像データもサーバ14のデータベースに登録する(S224)。そして、教師用端末10aに対して、「授業終了応答」を「OK」で返信して(S225)、一連の処理を一旦終了する。
このように、本実施形態の通信装置16および通信システム100によれば、通信装置16が、情報端末機器10の利用者を特定するとともにサーバ14に登録された各種情報(第二の情報)に基づいて、利用者が利用可能なように情報をまとめて管理情報D3を生成する情報生成部として機能する。また、通信装置16は、学習者用端末10bから取得される文字情報や音声情報等を管理情報D3と関連付けてサーバ14に登録する登録処理部として機能する。その結果、学習者用端末10bから取得できる各種データは、通信装置16において、整理およびまとめられてメタデータ化される。また、管理情報D3を生成することで、関連する情報間で関連づけ(紐付け)が行われる。このように、通信装置16側で情報のメタデータ化処理や関連付け処理が行われた情報群がサーバ14に登録される。その結果、サーバ14側での処理負荷を増加させることなく、利用しやすい情報が提供できる情報システムを構築することができる。また、サーバ14において、各種情報が管理情報と関連付けされ、理解しやすい状態で保持されるので、教師や学習者P等の利用者がその情報を後から利用する場合には、各情報が取得し易く、活用しやすくすることができる。例えば、教師は、サーバ14に登録された管理情報D3を参照することで、学習内容の履歴や参加状態、発言や提出物の確認等が可能で、各学習者Pの評価等をスムーズに行うことができる。また、各学習者Pは、自分の管理情報D3を参照することにより、学習内容の把握や学習の振り返り等を効率よく行うことができる。
なお、本実施形態においては、通信装置16や通信システム100の用途として、教育現場に適用する例を示したが、これに限定されず、例えば、企業等でプレゼンテーションを行う場合や、会議やイベント等で情報端末機器10を用いて各種情報を収集したり、共有したりする場合でも適用可能であり、同様の効果を得ることができる。
また、図1に示す例では、各通信装置16は、アクセスポイント12を介して構内ネットワークWに接続されている場合を示したが、例えば、通信装置16が有線で構内ネットワークWに接続され、サーバ14と接続されていてもよい。
上述の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。