以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るマニピュレーションシステムの構成例を示す斜視図である。図2は、図1に示すマニピュレーションシステムの一部を拡大して示す斜視図である。図3は、実施形態1に係るマニピュレーションシステムの構成例を示す模式図である。図1から図3に示すマニピュレーションシステム100は、容器38に収容された複数個の微小対象物のうちから、所望の微小対象物を1個ずつ分取する装置である。微小対象物は、例えば細胞である。
図1から図3に示すように、マニピュレーションシステム100は、基台1と、採取用ピペット10と、ピペット保持部15と、マニピュレータ20と、試料ステージ30と、第1撮像装置45を有する第1顕微鏡ユニット40と、コントローラ50と、第2撮像装置65を有する第2顕微鏡ユニット60と、第3撮像装置75と、ジョイスティック57と、入力部58と、表示部80と、を備える。なお、本実施形態では、試料ステージ30の載置面30aに平行な一方向をX軸方向とする。載置面30aに平行で、かつ、X軸方向と直交する方向をY軸方向とする。載置面30aの法線方向をZ軸方向とする。例えば、載置面30aが鉛直方向と直交する水平面となるように、基台1の配置が調整されている。
採取用ピペット10は、細胞を採取するための管状器具である。例えば、採取用ピペット10は針状であり、その材質は例えばガラスである。採取用ピペット10の先端には、細胞を採取するための開口部が設けられている。採取用ピペット10の詳細は、後で図8及び図9を参照しながら説明する。
ピペット保持部15は、採取用ピペット10を保持するための管状器具である。ピペット保持部15の材質は、例えばガラス又は金属である。ピペット保持部15の一端は、採取用ピペット10に連結している。また、ピペット保持部15の他端は、マニピュレータ20が有する電動マイクロポンプ29に接続されている。ピペット保持部15及び採取用ピペット10の内部圧力は、電動マイクロポンプ29から供給される圧力Pにより減圧又は増圧される。採取用ピペット10の内部圧力が常圧よりも低いとき、採取用ピペット10は先端の開口部から細胞を吸引して採取することができる。また、採取用ピペット10の内部圧力が常圧よりも高いとき、採取用ピペット10は、採取した細胞を採取用ピペット10の先端の開口部から外部へ吐出(放出)することができる。ピペット保持部15は、後述の連結部28を介してマニピュレータ20に連結されている。
マニピュレータ20は、ピペット保持部15及び採取用ピペット10をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させるための装置である。また、マニピュレータ20は、第1顕微鏡ユニット40をX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させるための装置でもある。 マニピュレータ20は、X軸テーブル21と、Y軸テーブル22と、Z軸テーブル23と、駆動装置26、27と、連結部28、71と、電動マイクロポンプ29と、を備える。X軸テーブル21は、駆動装置26が駆動することによって、X軸方向に移動する。Y軸テーブル22は、駆動装置26が駆動することによって、Y軸方向に移動する。Z軸テーブル23は、駆動装置27が駆動することによって、Z軸方向に移動する。駆動装置26、27と、電動マイクロポンプ29は、コントローラ50に接続されている。
連結部28は、ピペット保持部15をマニピュレータ20に連結している。また、連結部71は、第1顕微鏡ユニット40の鏡筒411をマニピュレータ20に連結している。連結部28、71は、例えば金属製である。連結部28、71は、例えばZ軸テーブル23に取り付けられている。これにより、ピペット保持部15及び第1顕微鏡ユニット40は、Z軸テーブル23の移動にしたがって、Z軸テーブル23と同じ距離だけZ軸方向に移動することができる。
また、マニピュレータ20において、Z軸テーブル23はY軸テーブル22上に取り付けられている。これにより、ピペット保持部15及び第1顕微鏡ユニット40は、Y軸テーブル22の移動にしたがって、Y軸テーブル22と同じ距離だけY軸方向に移動することができる。さらに、Y軸テーブル22はX軸テーブル21上に取り付けられている。これにより、ピペット保持部15及び第1顕微鏡ユニット40は、X軸テーブル21の移動にしたがって、X軸テーブル21と同じ距離だけX軸方向に移動することができる。このように、ピペット保持部15及び第1顕微鏡ユニット40は、連結部28、71を介して、互いに固定されている。また、ピペット保持部15及び第1顕微鏡ユニット40は、マニピュレータ20の動作にしたがって、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に一体となって移動することができる。
試料ステージ30は、容器38を支持する。例えば、試料ステージ30の載置面30aに容器38が載置される。容器38は、例えば、ディッシュ又はウェルプレートである。試料ステージ30は、X軸ステージ31と、Y軸ステージ32と、駆動装置36と、を備える。X軸ステージ31は、駆動装置36が駆動することによって、X軸方向に移動する。Y軸ステージ32は、駆動装置36が駆動することによって、Y軸方向に移動する。X軸ステージ31はY軸ステージ32上に取り付けられている。駆動装置36は、コントローラ50に接続されている。
なお、図3では、試料ステージ30の平面視による形状(以下、平面形状)が円形の場合を示しているが、試料ステージ30の平面形状は円形に限定されず、例えば矩形でもよい。また、図3では、容器38の平面形状が円形の場合を示しているが、容器38の平面形状は円形に限定されない。図1に示すように、容器38の平面形状は、例えば矩形でもよい。また、図1及び図3では、試料ステージ30上に1個の容器38が載置されている場合を示しているが、試料ステージ30上に載置される容器38の数は1個に限定されず複数個でもよい。
第1顕微鏡ユニット40は、試料ステージ30の上方に配置されている。第1顕微鏡ユニット40は、第1顕微鏡41と、第1撮像装置45と、試料ステージ30の載置面30aに向けて光を照射する光源(図示せず)とを有する。第1顕微鏡41は、鏡筒411と、対物レンズ412と、駆動装置414とを有する。第1顕微鏡41は、対物レンズ412が容器38の上方に位置する実体顕微鏡である。対物レンズ412は、駆動装置414が駆動することによって、Z軸方向に移動する。これにより、第1顕微鏡41は、焦点位置を調節することができる。対物レンズ412は、所望の倍率に合わせて複数種類が用意されていてもよい。また、第1撮像装置45は、例えば、CMOSイメージセンサ又はCCDイメージセンサ等の固体撮像素子を有する。第1撮像装置45は、第1顕微鏡41を介して、採取用ピペット10の先端をZ軸方向から撮像することができる。なお、第1顕微鏡ユニット40は、図示しない接眼レンズを備えてもよい。
第2顕微鏡ユニット60は、試料ステージ30の側方に配置されている。第2顕微鏡ユニット60は、第2顕微鏡61と、第2撮像装置65とを有する。第2顕微鏡61は、鏡筒611と、対物レンズ612と、駆動装置613と、を有する。対物レンズ612は、駆動装置613が駆動することによって、Y軸方向に移動する。これにより、第2顕微鏡61は、焦点位置を調節することができる。第2撮像装置65は、例えば、CMOSイメージセンサ又はCCDイメージセンサ等の固体撮像素子を有する。第2撮像装置65は、第2顕微鏡61を介して、採取用ピペット10の先端をY軸方向から撮像することができる。第2顕微鏡ユニット60は、固定具3を介して基台1に固定されている。
第3撮像装置75は、固定具4を介して基台1に固定されている。固定具4は、X軸方向及びY軸方向に動くことができ、Z軸方向に延伸することができる。これにより、第3撮像装置75は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向とそれぞれ交差する、試料ステージ30の斜め上方向から、試料ステージ30側を撮像することができる。
入力部58は、キーボードやタッチパネル等である。ジョイスティック57及び入力部58は、コントローラ50に接続されている。オペレータは、ジョイスティック57及び入力部58を介して、コントローラ50にコマンドを入力することができる。
次に、コントローラ50の機能について、図4を参照して説明する。図4は、実施形態1に係るマニピュレーションシステムの構成例を示すブロック図である。コントローラ50は、演算手段としてのCPU(中央演算処理装置)及び記憶手段としてのハードディスク、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のハードウェア資源を備える。
図4に示すように、コントローラ50は、その機能として、画像入力部51a、画像出力部51b、画像処理部52、検出部53、画像編集部54、制御部55及び記憶部56を有する。画像入力部51a、画像出力部51b、画像処理部52、検出部53、画像編集部54及び制御部55は、上記の演算手段により実現される。記憶部56は、上記の記憶手段により実現される。コントローラ50は、記憶部56に格納されたプログラムに基づいて各種の演算を行い、演算結果にしたがって制御部55が各種の制御を行うように駆動信号を出力する。
制御部55は、第1顕微鏡ユニット40の駆動装置414と、マニピュレータ20の駆動装置26、27及び電動マイクロポンプ29と、試料ステージ30の駆動装置36と、第2顕微鏡ユニット60の駆動装置613とを制御する。制御部55は、駆動装置414、26、27、36、613に駆動信号Vz1、Vxy2、Vz2、Vxy3、Vy4(図3参照)をそれぞれ供給する。また、制御部55は、電動マイクロポンプ29に駆動信号Vmp(図3参照)を供給する。なお、制御部55は、必要に応じて設けられたドライバやアンプ等を介して、駆動信号Vz1、Vxy2、Vz2、Vxy3、Vy4、Vmpをそれぞれ供給してもよい。
第1撮像装置45から出力される第1画像信号Vpix1(図3参照)と、第2撮像装置65から出力される第2画像信号Vpix2(図3参照)と、第3撮像装置75から出力される第3画像信号Vpix3(図3参照)は、画像入力部51aにそれぞれ入力される。画像処理部52は、画像入力部51aから第1画像信号Vpix1、第2画像信号Vpix2、第3画像信号Vpix3を受け取って、画像処理を行う。画像出力部51bは、画像処理部52で画像処理された画像情報を記憶部56及び表示部80へ出力する。
例えば、第1画像信号Vpix1には、第1顕微鏡41を通して第1撮像装置45が撮像した第1画像と、その撮像時刻とが含まれている。第1画像は動画である。同様に、第2画像信号Vpix2には、第2顕微鏡61を通して第2撮像装置65が撮像した第2画像と、その撮像時刻とが含まれている。第2画像も動画である。第3画像信号Vpix3には、第3撮像装置75が撮像した第3画像と、その撮像時刻とが含まれている。第3画像も動画である。
また、第1画像、第2画像及び第3画像は、それぞれカラー画像又はグレー画像である。グレー画像は、白色及び黒色と、白色と黒色の中間色である灰色を含む画像である。グレー画像は、灰色に複数の階調を有する。階調とは、色や明るさの濃淡の段階数のことである。
画像処理部52は、細胞の検出を容易にするために、第1画像又は第2画像の少なくとも一方について、画像の拡大や2値化等の画像処理をする。画像の2値化とは、カラー画像又はグレー画像(以下、元画像)を、濃淡がなく、白色と黒色としかない2値画像(binary image)に変換することである。画像処理部52は、第1画像又は第2画像の少なくとも一方について、元画像を拡大した拡大画像や、元画像を2値化した2値画像を生成する。また、画像処理部52は、元画像を拡大し、2値化した拡大2値画像を生成してもよい。画像処理部52は、拡大画像、2値画像、拡大2値画像の少なくとも1種類以上を画像情報として、検出部53と画像編集部54とに出力する。
検出部53は、画像処理部52から画像情報を受け取り、受け取った画像情報に基づいて、細胞の位置や個数を自動で検出する。そして、検出部53は検出結果を画像編集部54及び制御部55に出力する。
図5は、検出部の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、検出部53は、その機能として、位置検出部531と、距離検出部532と、個数検出部533と、を有する。位置検出部531は、画像処理部52によって画像処理された第1画像又は第2画像に基づいて、細胞ce(後述の図7参照)の位置を自動で検出する。距離検出部532は、位置検出部531によって検出された細胞ceと先端管部103の開口部103a(後述の図9参照)との離隔距離を自動で検出する。個数検出部533は、画像処理部52によって画像処理された第1画像又は第2画像に基づいて、細胞ceの個数を自動で検出する。画像処理部52によって画像処理された画像として、例えば、拡大画像、2値画像及び拡大2値画像の少なくとも1種類以上が挙げられる。位置検出部531、距離検出部532及び個数検出部533の各検出結果は、画像編集部54及び制御部55にそれぞれ出力される。
画像編集部54は、第1画像信号Vpix1、第2画像信号Vpix2、第3画像信号Vpix3を、撮像時刻に基づいて互いに関連付けして、編集画像信号Vpix4を生成する。編集画像信号Vpix4には、編集画像が含まれている。編集画像は、互いに同じ時刻に撮像された第1画像、第2画像及び第3画像を並べて表示する動画である。編集画像において、第1画像、第2画像及び第3画像はそれぞれ、元画像でもよいし、元画像を画像処理した拡大画像、2値画像又は拡大2値画像であってもよい。画像出力部51bは、第1画像信号Vpix1、第2画像信号Vpix2、第3画像信号Vpix3及び編集画像信号Vpix4を記憶部56に出力する。
また、画像編集部54は、検出部53から細胞ceの検出結果を受信する。検出部53が細胞の位置を検出した場合、画像編集部54は、その検出結果を編集画像に反映させてもよい。例えば、画像編集部54は、画像処理部52から受け取った拡大画像、2値画像又は拡大2値画像において、検出部53が検出した細胞ceの位置を矢印で自動で示したり、検出部53が検出した細胞の位置を枠線で自動で囲んだりしてもよい。
図6は、記憶部の構成例を示すブロック図である。図6に示すように、記憶部56は、その機能として、マニピュレーションシステム100を動作させるためのプログラムを記憶したプログラム記憶部56aと、画像信号を記憶する画像記憶部56bとを有する。画像記憶部56bは、第1画像信号Vpix1を記憶する第1画像記憶部561と、第2画像信号Vpix2を記憶する第2画像記憶部562と、第3画像信号Vpix3を記憶する第3画像記憶部563と、編集画像信号Vpix4を記憶する編集画像記憶部564と、を有する。
画像出力部51bは、第1画像信号Vpix1、第2画像信号Vpix2、第3画像信号Vpix3及び編集画像信号Vpix4のうち、少なくとも1つ以上の画像信号を表示部80に出力する。
表示部80は、例えば液晶パネル等である。表示部80は、コントローラ50に接続されている。表示部80は、種々の文字情報や画像等を画面に表示する。図7は、表示部の画面の一例を示す図である。図7は、表示部80の画面81に編集画像が表示されている場合を例示している。編集画像では、互いに同じタイミングで撮像された第1画像811、第2画像812、第3画像813が並んで配置されている。表示部80は、編集画像をリアルタイム又はほぼリアルタイムで表示してもよいし、編集画像記憶部564に記憶されている編集画像を読み出して再生表示してもよい。
オペレータがジョイスティック57又は入力部58を操作することによって、画面81に表示される画像を切り替えることが可能である。また、オペレータがジョイスティック57又は入力部58を操作することによって、画面81に表示される編集画像(動画)を一時停止させることが可能である。また、プログラム記憶部56a(図6参照)が記憶しているプログラムに基づいて、制御部55(図4参照)が所定の画像を画面81に自動で表示させたり、画面81に表示される画像を自動で切り替えたりしてもよい。
また、画面81に表示される画像は、編集画像に限定されることはなく、第1画像811、第2画像812又は第3画像813のみでもよい。また、画面に表示される画像は、元画像に限定されることはなく、画像処理部52によって画像処理された画像(例えば、拡大画像、2値画像及び拡大2値画像の少なくとも1種以上)であってもよい。例えば、後述の図15から図18に示すように、画面81に表示される画像は、第1画像811と、第1画像811の一部が拡大された拡大画像8111と、拡大画像8111が2値化された拡大2値画像8112と、であってもよい。図15から図18では、第1画像811と、拡大画像8111と、拡大2値画像8112とが並んで表示されている場合を示している。
図8は、実施形態1に係る採取用ピペットの構成例を示す側面図である。図8に示すように、採取用ピペット10は、2段に屈曲した形状のガラス針である。具体的には、採取用ピペット10は、平面視で、管状の中央管部101と、中央管部101の一端に接続する管状の後方管部102と、中央管部101の他端に接続する管状の先端管部103と、を有する。後方管部102は、ピペット保持部15によって保持される側の部位である。先端管部103は、細胞等の微小対象物を採取する側の部位である。
中央管部101と後方管部102との間には第1屈曲部104が存在する。中央管部101と先端管部103との間には第2屈曲部105が存在する。中央管部101の長手方向と後方管部102の長手方向は互いに交差している。中央管部101の長手方向と先端管部103の長手方向も互いに交差している。後方管部102の長手方向と先端管部103の長手方向は互いに平行又はほぼ平行である。例えば、中央管部101の長手方向と後方管部102の長手方向とが成す鈍角の角度(以下、第1屈曲部104の屈曲角度)をθ1とする。中央管部101の長手方向と先端管部103の長手方向とが成す鈍角の角度(以下、第2屈曲部105の屈曲角度)をθ2とする。第1屈曲部104の屈曲角度θ1と第2屈曲部105の屈曲角度θ2との差の絶対値|θ1-θ2|は、0°以上5°未満である。
また、中央管部101の長手方向の長さをL1とし、後方管部102の長手方向の長さをL2とし、先端管部103の長手方向の長さをL3としたとき、L3<L1、かつ、L3<L2である。これによれば、採取用ピペット10の先端管部である先端管部103を容器38内に配置することが容易である。
中央管部101を、中央管部101の長手方向と直交する平面で切断した形状は円形である。同様に、後方管部102を、後方管部102の長手方向と直交する平面で切断した形状は円形である。先端管部103を、先端管部103の長手方向と直交する平面で切断した形状は円形である。後方管部102の外径をφ21とし、先端管部103の外径をφ31としたとき、φ21>φ31である。また、第1管部の外径φ11は、第1屈曲部104の側から第2屈曲部105の側に向かって小さくなっている。
例えば、中央管部101は、第1屈曲部104と第2屈曲部105との間に、外径が大きく変化する狭窄部106を有する。中央管部101において、狭窄部106と第1屈曲部104との間に位置する第1部位101aよりも、狭窄部106と第2屈曲部105との間に位置する第2部位101bの方が、外径φ11が小さい。また、第2部位101bの長手方向の長さL1’は、第3部位の長手方向の長さL3よりも長い。
図9は、実施形態1に係る採取用ピペットの先端管部を拡大して示す図である。図9に示すように、先端管部103の先端には開口部103aが設けられている。開口部103aと第2屈曲部105との間で、先端管部103の内径φ32の大きさはほぼ一定である。採取用ピペット10の採取対象である細胞ceの直径をφceとしたとき、φ32はφceよりも数μm程度大きいことが好ましい。これにより、採取用ピペット10は、細胞ceを先端管部103の内側に導入することができる。
次に、マニピュレーションシステムの動作について説明する。図10は、実施形態1に係るマニピュレーションシステムの動作シーケンスの一例を示すフローチャートである。図11は、容器に対する採取用ピペットの相対的な移動を模式的に示す断面図である。図10に示す動作シーケンスでは、容器38として、第1容器38A及び第2容器38Bが試料ステージ30の載置面30aに並んで載置されている場合を想定する。また、第1容器38Aは液体39と複数個の細胞ceとを収容し、第2容器38Bは液体39のみを収容している場合を想定する。この想定下で、マニピュレーションシステム100が、第1容器38Aから第2容器38Bに細胞ceを分取する場合について説明する。
図10のステップST1では、マニピュレーションシステム100は、第1顕微鏡41の焦点及び第2顕微鏡61の焦点を採取用ピペット10の先端管部103にそれぞれ自動で合わせる。例えば、オペレータはジョイスティック57又は入力部58(図3参照)を操作して、コントローラ50(図3参照)に細胞ceの自動分取を実行するように指示する。
この指示を受けて、コントローラ50の制御部55(図3参照)は、駆動装置414に駆動信号Vz1(図3参照)を出力して、対物レンズ412をZ軸方向に動かす。これにより、第1顕微鏡ユニット40は、第1顕微鏡41の焦点を採取用ピペット10の先端管部103に合わせる。また、制御部55は、駆動装置613に駆動信号Vy4(図3参照)を出力して、対物レンズ612(図2参照)をY軸方向に動かす。これにより、第2顕微鏡ユニット60は、第2顕微鏡61の焦点を採取用ピペット10の先端管部103に合わせる。
次に、マニピュレーションシステム100は、第1顕微鏡41の焦点を、第1容器38Aに収容されている細胞ceに自動で合わせる。例えば、マニピュレーションシステム100は、第1顕微鏡ユニット40を第1容器38Aの底面に向けて下降させ、第1顕微鏡41の焦点を複数の細胞ceに自動で合わせる。上述したように、第1顕微鏡ユニット40と、採取用ピペット10を保持するピペット保持部15とは、連結部28、71を介して互いに固定されている。このため、採取用ピペット10も、第1顕微鏡ユニット40と一体となって第1容器38Aの底面に向けて下降する。
図12から図14は、実施形態1に係る第1画像の一例を示す写真図である。詳しくは、図12の第1画像811は、図10のステップST1の様子を示している。図13の第1画像811は、図10のステップST2の様子を示している。図14の第1画像811は、図10のステップST3の様子を示している。なお、図10のステップST1からST11において、第1顕微鏡ユニット40及び採取用ピペット10の互いの位置関係は、X軸方向及びY軸方向では常に固定されている。このため、図12から図14の第1画像811では、採取用ピペット10の先端管部103は同じ位置811aにある。
図12に示すように、マニピュレーションシステム100は、第1顕微鏡41の焦点を、採取用ピペット10の先端管部103に合わせた状態で、細胞ceにも自動で合わせる。第1顕微鏡ユニット40及び採取用ピペット10の下降は、制御部55がマニピュレータ20の駆動装置27に駆動信号Vz2(図3参照)を出力することで実現される。図11に示すように、ステップST1において、第1顕微鏡41の焦点が細胞ceに合うとき、採取用ピペット10の先端管部103は第1容器38Aの内部に位置する。
次に、マニピュレーションシステム100は、第1容器38Aにおける細胞ceの検出を自動で行う(ステップST2)。例えば、検出部53の位置検出部531(図5参照)は、第1画像811の予め設定された特定領域811b内において、細胞ceの検出を自動で行う。図12から図14に示すように、細胞ceは液体39よりも濃色に撮像される場合、位置検出部531は、第1画像811の色の濃淡に基づいて細胞ceの位置を検出する。なお、ステップST2において、コントローラ50の画像処理部52(図4参照)は、細胞ceの検出を容易にするために、第1画像811に2値化等の画像処理を行ってもよい。
次に、マニピュレーションシステム100は、ステップST2において、細胞ceが検出されたか否かを判断する(ステップST3)。例えば、第1画像811の特定領域811b内で細胞ceが1個以上検出された場合、位置検出部531は、細胞ceが検出されたと判断する。第1画像811の特定領域811b内で細胞ceが1個も検出されない場合、位置検出部531は、細胞ceは検出されないと判断する。図13、図14では、特定領域811b内で最初に細胞ce1が検出され、次に細胞ce2が検出され、次に細胞ce3が検出された場合を示している。
特定領域811b内で細胞ceが1個以上検出されたと判断された場合(ステップST3;Yes)は、動作シーケンスはステップST4へ進む。また、特定領域811b内で細胞ceが1個も検出されないと判断された場合(ステップST3;No)は、動作シーケンスはステップST2へ戻る。
ステップST4では、マニピュレーションシステム100は細胞ceの採取を自動で行う。図15から図18は、実施形態1に係る第1画像と、第1画像を画像処理することより得られる拡大図と、拡大2値画像とを示す模式図である。詳しくは、図15は、ステップST4の第1段階ST4Aで撮影された第1画像811と、その拡大画像8111及び拡大2値画像8112を模式的に示している。図16は、ステップST4の第2段階ST4Bで撮影された第1画像811と、その拡大画像8111及び拡大2値画像8112を模式的に示している。図17は、ステップST4の第3段階ST4Cで撮影された第1画像811と、その拡大画像8111及び拡大2値画像8112を模式的に示している。図18は、ステップST4の第4段階ST4Dで撮影された第1画像811と、その拡大画像8111及び拡大2値画像8112を模式的に示している。
例えば、コントローラ50の制御部55は、特定領域811b内で検出された細胞ce1、ce2、ce3(図13及び図14参照)の中から、最初に検出された細胞ce1を選択する。次に、制御部55は、採取用ピペット10に対して、試料ステージ30をX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方向(以下、水平方向)に移動させる。これにより、図15に示すように、制御部55は、先端管部103の開口部103a(図9参照)を細胞ce1に近づけることができる。試料ステージ30の水平方向の移動は、制御部55が駆動装置36に駆動信号Vxy3(図3参照)を出力することで実現される。
次に、制御部55は、採取用ピペット10に細胞ce1を吸引させる。細胞ceの吸引は、制御部55がマニピュレータ20の電動マイクロポンプ29に駆動信号Vmp(図3参照)を出力して電動マイクロポンプ29を駆動させ、採取用ピペット10の内部圧力を採取用ピペット10の外部圧力よりも低くすることで実現される。採取用ピペット10の内部圧力が外部圧力よりも低くなると、図16に示すように、先端管部103の開口部103aからその内部へ、細胞ce1が液体39と共に吸引される。さらに、電動マイクロポンプ29の駆動を続けると、図16及び図17に示すように、細胞ce1は、先端管部103の内部のさらに奥側へ移動する。
図18に示すように、先端管部103の内部の特定領域811cに細胞ce1が到達したら、制御部55は、電動マイクロポンプ29に駆動信号Vmpを送信して細胞ce1の吸引を停止させる。細胞ce1の特定領域811cへの到達は、例えば、拡大2値画像8112に基づいて、位置検出部531(図5参照)が自動で検出する。
次に、マニピュレーションシステム100は、採取用ピペット10の先端管部103の内部に位置する細胞ceの個数を自動で検出する(ステップST5)。例えば、個数検出部533(図5参照)が、図18に示す拡大2値画像8112に基づいて、特定領域811cに位置する細胞ceの個数を自動で検出する。
次に、マニピュレーションシステム100は、ステップST5で検出された細胞ceの個数が1個か否かを判断する(ステップST6)。この判断は、例えば個数検出部533が行う。細胞ceの個数が1個の場合(ステップST6;Yes)、つまり、特定領域811cに位置する細胞ceが細胞ce1のみの場合は、動作シーケンスはステップST7へ進む。また、細胞ceの個数が2個以上の場合(ステップST6;No)は、動作シーケンスはステップST11へ進む。ステップST11における動作は、後で説明する。
ステップST7では、マニピュレーションシステム100は、先端管部103の内部に位置する細胞ceの個数を再確認する。この再確認を、マニピュレーションシステム100は、第1顕微鏡41を通して撮像される第1画像811に基づいて行ってもよいが、第1顕微鏡41ではなく、第2顕微鏡61を通して撮像される第2画像812に基づいて行うことがより好ましい。
第2画像812に基づいて再確認を行う場合、マニピュレーションシステム100は、採取用ピペット10を予め設定された位置まで上昇させる。採取用ピペット10の上昇は、コントローラ50がマニピュレータ20の駆動装置27に駆動信号Vz2(図3参照)を出力することで実現される。これにより、図11に示すように、ステップST7では、採取用ピペット10の先端管部103は、第1容器38Aの上方に位置することになる。この状態で、第2撮像装置65は第2顕微鏡61を通して第2画像812を撮像する。次に、画像処理部52(図4参照)は、第2画像812を2値化して、第2画像812の2値画像を生成する。個数検出部533は、第2画像812の2値画像に基づいて、採取用ピペット10の先端管部103の内部に位置する細胞ceの個数を自動で検出する。
これにより、個数検出部533は、第1画像811に基づく確認(ステップST5)とは異なる角度で、先端管部103の内部をモニタすることができる。また、個数検出部533は、第1画像811に基づく確認(ステップST5)とは異なる範囲の領域で(例えば、特定領域811cよりも広い範囲で)、先端管部103の内部をモニタすることができる。このため、細胞ceの個数検出の信頼性を高めることができる。
次に、マニピュレーションシステム100は、ステップST7で検出された細胞ceの個数が1個か否かを自動で判断する(ステップST8)。この判断は、例えば個数検出部533が行う。細胞ceの個数が1個の場合(ステップST8;Yes)は、動作シーケンスはステップST9へ進む。また、細胞ceの個数が2個以上の場合(ステップST8;No)は、動作シーケンスはステップST11へ進む。
ステップST9では、マニピュレーションシステム100は、採取用ピペット10の先端管部103の内部に位置する1個の細胞ce(ce1)を、第2容器38Bに放出する。例えば、図11に示すように、ステップST9の第1段階ST9Aでは、マニピュレーションシステム100は、採取用ピペット10の先端管部103を第1容器38Aの上方から第2容器38Bの上方へ移動させる。採取用ピペット10の移動は、コントローラ50がマニピュレータ20の駆動装置26に駆動信号Vxy2(図3参照)を出力することで実現される。また、採取用ピペット10の移動は、試料ステージ30に対して相対的でもよい。例えば、採取用ピペット10の移動は、コントローラ50が試料ステージ30の駆動装置36に駆動信号Vxy3(図3参照)を出力することで実現してもよい。
次に、図11に示すように、ステップST9の第2段階ST9Bでは、マニピュレーションシステム100は、採取用ピペット10を第2容器38Bの底面に向けて下降させ、先端管部103を第2容器38Bの内側に移動させる。採取用ピペット10の下降は、コントローラ50がマニピュレータ20の駆動装置27に駆動信号Vz2(図3参照)を出力することで実現される。
次に、マニピュレーションシステム100は、採取用ピペット10の先端管部103から第2容器38Bに細胞ceを放出する。細胞ceの放出は、コントローラ50がマニピュレータ20の電動マイクロポンプ29に駆動信号Vmp(図3参照)を出力して電動マイクロポンプ29を駆動させ、採取用ピペット10の内部圧力を採取用ピペット10の外部圧力よりも高くすることで実現される。採取用ピペット10の内部圧力が外部圧力よりも高くなると、先端管部103の先端に設けられた開口部103a(図8参照)を介して、細胞ceが液体39と共に採取用ピペット10の内部から放出される。
次に、マニピュレーションシステム100は、採取用ピペット10を上昇させ、先端管部103を第2容器38Bの外側へ移動させる。採取用ピペット10の上昇は、コントローラ50がマニピュレータ20の駆動装置27に駆動信号Vz2(図3参照)を出力することで実現される。
次に、マニピュレーションシステム100は、細胞ceの第1容器38Aから第2容器38Bへの細胞ceの分取を継続して行うか否かを判断する(ステップST10)。この判断は、制御部55(図4参照)が行う。制御部55が細胞ceの分取を継続すると判断する場合(ステップST10;Yes)は、動作シーケンスはステップST2に戻る。また、制御部55が細胞ceの分取を継続しないと判断する場合(ステップST10;No)は、動作シーケンスは終了する。
一方、ステップST11では、マニピュレーションシステム100は、採取用ピペット10の先端管部103の内部に位置する2個以上の細胞ceを、第1容器38Aに放出する。例えば、マニピュレーションシステム100は、採取用ピペット10を第1容器38Aの底面に向けて下降させ、先端管部103を第1容器38Aの内側に移動させる。そして、マニピュレーションシステム100は、採取用ピペット10の内部に位置する2個以上の細胞ceを、第1容器38Aに放出する。採取用ピペット10の下降は、コントローラ50がマニピュレータ20の駆動装置27に駆動信号Vz2(図3参照)を出力することで実現される。
以上説明したように、実施形態1に係るマニピュレーションシステム100は、採取用ピペット10が取り付けられるマニピュレータ20と、細胞ceを収容するための容器38が載置される試料ステージ30と、試料ステージ30の上方に配置される第1顕微鏡41と、第1顕微鏡41を介して第1画像811を撮像する第1撮像装置45と、採取用ピペット10に対して試料ステージ30を相対的に移動させる駆動装置26、36と、コントローラ50と、を備える。コントローラ50は、第1画像811(例えば、第1画像811を拡大し、2値化した拡大2値画像8112)に基づいて、容器38における細胞ceの位置を自動で検出する位置検出部531と、位置検出部531によって検出された細胞ceの位置に採取用ピペット10の先端管部103が近づくように駆動装置36を自動で制御する制御部55と、を有する。
これによれば、マニピュレーションシステム100は、第1画像811に基づいて細胞ceの位置を自動で検出し、検出した位置に採取用ピペット10の先端管部103が近づくように試料ステージ30を自動で移動させることができる。これにより、マニピュレーションシステム100は、細胞ceを1個ずつ自動で採取することができる。
また、制御部55は、試料ステージ30を水平方向に移動させて、採取用ピペット10の先端管部103に対して検出された細胞ceを近づける。これによれば、採取用ピペット10を水平方向に動かさずに、検出された細胞ceを採取することができる。制御部55は、検出された細胞ceを採取するときに、採取用ピペット10の先端管部103を水平方向に動かす必要がない。これにより、マニピュレーションシステム100は、自動制御によるシステムの複雑化を抑制することができる。
(変形例)
なお、本実施形態では、マニピュレーションシステム100が図10の動作シーケンスを開始する前に、第1容器38Aに配置される複数の細胞ceに蛍光標識が加えられてもよい。また、図10のステップST2では、蛍光標識に反応した細胞ceと、反応しない細胞ceとの間で色の濃淡の違いが顕著となるように、画像処理部52が第1画像811に2値化等の画像処理を行ってよい。これにより、マニピュレーションシステム100は、複数の細胞ceの中から(蛍光標識に反応した)所望の細胞ceのみを自動で検出し、自動で分取することが容易となる。
(実施形態2)
図19は、実施形態2に係る容器の構成例を示す平面図である。図20は、実施形態2に係る容器と、採取用ピペット及び細胞を模式的に示す断面図である。なお、図20における容器38の断面は、図19に示す平面図をA-A’線で切断して拡大した断面である。図21は、実施形態2に係る容器に細胞が収容されている様子を示す写真図である。
図19及び図20に示すように、容器38は、基部381と、基部381の一方の面381a側に開口した複数の凹部382と、を有する。図19に示すように、凹部382の平面形状は、例えば正円形である。図20に示すように、凹部382の断面視による形状は、正円をその中心を通る直線で分割することにより得られる半円の形状である。凹部382の開口端面の直径R1は、収容の対象とする細胞ceの直径φceよりも大きい。また、基部381の一方の面381aからの凹部382の深さd1は、細胞ceの直径φce以下である。これにより、容器38は、複数の凹部382の各々に細胞ceを1個ずつ収容することができる。
また、深さd1≦直径φceであるため、マニピュレーションシステム100は、採取用ピペット10の先端管部103を水平方向に平行又はほぼ平行にした状態で、先端管部103を凹部382内の細胞ceに近接させることができる。これにより、マニピュレーションシステム100は、先端管部103の内部に細胞ceを容易に吸い込むことができる。なお、図20では、深さd1よりも直径が大きい細胞CEを点線で示している。
また、図19に示すように、複数の凹部382は、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ等間隔で並んでいる。このため、複数の凹部382に細胞ceが1個ずつ収容されると、図21に示すように、複数の細胞ceはX軸方向及びY軸方向にそれぞれ整列した状態となる。
図22は、実施形態2に係るマニピュレーションシステムの構成例を模式的に示す断面図である。実施形態2に係るマニピュレーションシステム200は、実施形態1に係るマニピュレーションシステム100(図3参照)が備える各種の装置と同様の装置を備える。また、図22に示すように、マニピュレーションシステム200は、容器38の一方の面側に配置されるツール110と、ツール110を支持するツール保持部150と、ツール110及びツール保持部150を基部381の一方の面381a上で自動で移動させる駆動装置120と、をさらに備える。
図22に示すように、ツール110は、基部381の一方の面381aと接触している。この状態で、コントローラ50の制御部55(図4参照)は、駆動装置120に制御信号Vxy5を出力して、ツール110を水平方向に移動させる。これにより、マニピュレーションシステム200は、複数の細胞ceのうち、容器38の凹部382に収容されなかった余分な細胞ce11を、容器38の周縁部から外側へ排出することができる。
マニピュレーションシステム200は、このツール110を用いた余分な細胞ce11の排出を、例えば、図10に示したステップST1を実行する前に行う。これにより、マニピュレーションシステム200は、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ整列した状態の細胞ceのみを検出することができ(ステップST2)る。その結果、マニピュレーションシステム200は、細胞ceを1個ずつ採取することが容易となる(ステップST4)。
なお、マニピュレーションシステム200は、容器38の一方の面381a上でツール110を移動させるときに、一方の面381a上に液体を自動で流すようにしてもよい。これによれば、ツール110と一方の面381aとの接触抵抗を低減すると共に、余分な細胞ce11を液体で流すことができる。このため、マニピュレーションシステム200は、容器38から余分な細胞ce11をより円滑に排出することができる。
また、図22では、ツール110がツール保持部150に保持されている場合を示しているが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態では、ツール110は、ピペット保持部15(図3参照)に取り付けられてもよい。例えば、ツール110は、ピペット保持部15に着脱可能であってもよい。この場合、マニピュレーションシステム200は、ピペット保持部15にツール110を自動で取り付け、取り付けたツール110を用いて余分な細胞ce11の除去を行う。その後、マニピュレーションシステム200は、ピペット保持部15からツール110を自動で取り外す。ステップST1では、マニピュレーションシステム200は、ピペット保持部15に採取用ピペット10を自動で取り付け、その後、焦点合わせを行えばよい。
以上説明したように、実施形態2に係るマニピュレーションシステム200によれば、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ整列した状態の細胞ceのみを検出することができる。これにより、マニピュレーションシステム200は、細胞ceを1個ずつ採取することが容易となる。
(比較例)
図23は、実施形態2の比較例1を模式的に示す断面図である。図24は、実施形態2の比較例2を模式的に示す断面図である。図23及び図24に示すように、比較例1、2に係る容器38’において、凹部382’の深さd1’は、細胞ceの直径φceよりも大きい。このため、比較例1、2に係る容器38’では、1個の凹部382’内に複数個の細胞ceが収容される可能性がある。また、深さd1’>直径φceであるため、図23に示す比較例1では、凹部382’内に収容された細胞ceに採取用ピペット10’の先端管部103’を近づけることはできない。
図24に示す比較例2では、先端管部103’が鉛直方向(Z軸方向)に平行又はほぼ平行となるように採取用ピペット10’が傾けて保持されている。または、比較例2では、採取用ピペット10’の中央部から先端管部103’までが直線状に形成されている。
これにより、凹部382’内に先端管部103’を挿し込んで、細胞ceに近つけることができる。しかし、この場合は、第1顕微鏡41と細胞ceとの間に先端管部103’が位置する。このため、第1顕微鏡41(図1参照)から細胞ceを観察しにくくなり、先端管部103’を細胞ceに精度良く近つけることは難しい。
(実施形態3)
実施形態2では、複数の細胞ceのうち、容器38の凹部382に収容されなかった余分な細胞ce11を、ツール110を用いて容器38の外側へ排出することを説明した。
しかしながら、本実施形態において、余分な細胞ce11の除去は、ツール110を用いる方法に限定されない。例えば、マニピュレーションシステムは、試料ステージ30の載置面30a(水平面)に対して容器38を自動で傾斜させる傾斜装置を備えてもよい。これにより、余分な細胞ce11を容器38の外側へ排出するようにしてもよい。
図25は、実施形態3に係る試料ステージの構成例を模式的に示す断面図である。図25の上側の図は、圧電素子130に電圧が印加されていない状態を示している。図25の下側の図は、圧電素子130に電圧Vpieが印加されている状態を示している。図25に示すように、実施形態3に係る試料ステージ30は、少なくとも1個以上の圧電素子130を有する。圧電素子130は、コントローラ50(図4参照)に接続されており、コントローラ50から電圧Vpieが印加されるようになっている。また、圧電素子130の第1端面130aは、試料ステージ30の載置面30aに露出している。
圧電素子130に電圧Vpieが加えられていないとき、圧電素子130の第1端面130aは、試料ステージ30の載置面30aと面一となっている。試料ステージ30の載置面30aに対して、容器38の一方の面381aは平行となっている。
一方、圧電素子130に電圧Vpieが加えられているとき、圧電素子130の第1端面130aは、試料ステージ30の載置面30aから容器38側に突き出る。このため、試料ステージ30の載置面30a(水平面)に対して、容器38の一方の面381aは傾斜する。これにより、複数の細胞ceのうち、容器38の凹部382に収容されなかった余分な細胞ce11は、一方の面381a上を転がって容器38の周縁部に移動し、容器38の周縁部から外側へ排出される。
また、圧電素子130に加えられる電圧は、例えばパルス信号である。圧電素子130は、パルス信号の周期にしたがって伸縮する。また、圧電素子130が伸縮すると、試料ステージ30も振動する。試料ステージ30が振動することによって、余分な細胞ce11は傾斜に沿って転がり、余分な細胞ce11の移動が促される。これにより、例えば、容器38の一方の面38aに液体を流さなくても、余分な細胞ce11を容器38から排出することができる。
(実施形態4)
図26は、実施形態4に係る試料ステージの構成例を模式的に示す断面図である。図26に示すように、実施形態4に係る試料ステージ30は、少なくとも1個以上の振動子140を有する。例えば、振動子140は、試料ステージ30の内部に配置されている。振動子140は、コントローラ50(図4参照)に接続されており、コントローラ50から電圧Vvibが供給されるようになっている。コントローラ50が振動子140に電圧Vvibを供給すると、振動子140が振動し、その振動は試料ステージ30に伝わる。試料ステージ30が振動すると、余分な細胞ceの移動が促される。このため、振動子140は、余分な細胞ce11の排出に寄与することができる。
例えば、実施形態4は、実施形態3と組み合わせてもよい。すなわち、試料ステージ30は、圧電素子130(図25参照)と振動子140の両方を有してもよい。試料ステージ30は、圧電素子130(図25参照)と振動子140の両方によって振動する。このため、試料ステージ30は、余分な細胞ce11の傾斜に沿う移動をさらに促すことができる。
本実施形態では、細胞ce、CEが本開示の「微小対象物」に対応し、採取用ピペットが本開示の「管状器具」に対応している。また、駆動装置26、36が本開示の「第1駆動装置」に対応し、駆動装置120が本開示の「第2駆動装置」に対応している。また、第1容器38Aが本開示の「容器の第1領域」に対応し、第2容器38Bが本開示の「容器の第2領域」に対応している。また、圧電素子130が本開示の「傾斜装置」に対応している。