JP7035381B2 - 光学フィルム、画像表示装置又はタッチパネル - Google Patents
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Description
当該ブルーライトは、波長380~495nmの光で紫外線に近い性質を持っており、強いエネルギーを有しているため、角膜や水晶体で吸収されずに網膜に到達することで、網膜の損傷、眼精疲労、睡眠への悪影響等の原因になると言われている。
このため、画像表示装置等では、表示画面の色味に影響を与えない範囲において、ブルーライトを遮蔽することが望まれていた。
しかしながら、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット等の画像表示装置やタッチパネルでは、ブルーライトの紫外線類似の性質によって構成部材であるフィルムや基材等に黄変が生じたり、部材が劣化したりするといった問題もあり、上述の化学物品ではこのような問題を解決することはできなかった。
このような紫外線吸収剤としては、例えば、特許文献2及び3等には、ベンゾトリアゾール系共重合体等の紫外線吸収剤が記載されている。
しかしながら、従来の画像表示装置等に用いられるフィルムを構成する基材等に添加される紫外線吸収剤は、吸収波長領域が300~360nm付近を中心とした比較的短い領域であったため、表示画面の色味に影響を与えない範囲の光に対して吸収性能が充分とは言えないものであった。
また、本発明の光学フィルムは、上記機能層の基材フィルム側とは反対側表面に凹凸形状を有することが好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、上記機能層の基材フィルム側とは反対側面上に、複数の蒸着層を有することが好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、屈折率の異なる複数の積層構造を有する不可視化層を更に含むことが好ましい。
また、本発明の光学フィルムを備えることを特徴とする画像表示装置又はタッチパネルもまた、本発明の一つである。
以下、本発明を詳細に説明する。
上記赤外吸収スペクトルは、測定装置は特に限定されないが、例えば、FT/IR-6100(日本分光社製)、Nicolet iS10(Thermo Fisher Scientific社製)、及び、Nicolet Continuum(Thermo Fisher Scientific社製)等を用い、JIS K 0117-2000に基づいて、赤外全反射吸収測定法(ATR法)により、測定分解能:4cm-1、積算回数:16回等の条件で測定することができる。
なお、スペクトルを微分して、正の値から負の値になる場合、すなわち、凸状の形状となる場合を山とし、負の値から正の値となる場合、すなわち、凹状の形状となる場合を谷としたときに、一つの山と、その左右にあるいずれかの谷との強度の差が0.01以上であるものを「吸収ピーク」とした。
また、後述する波数1565~1575cm-1における吸収ピークの強度(A)と、波数2500~2550cm-1における強度の平均値(B)との比(A)/(B)は、上記2500~2550cm-1における強度の平均値が0.040~0.041となるように、全ての波数における強度の値に、一定の数値を増減させて得られたデータに基づいて算出した値である。
上記(A)/(B)が、1.1未満であると、ブルーライト遮蔽性が不充分となり、9.0を超えると、画像表示装置やタッチパネルに適用した際に、表示画面の色味に影響を与えてしまう。また、後述するような添加材料等がブリードすることにより、光学フィルムのヘイズが上昇する影響も起こり得る。
なお、上記機能層は、上記波数1565~1575cm-1に複数の吸収ピークを有していても良く、該複数の吸収ピークのうち1以上が、上記(A)/(B)が1.1以上、9.0以下となる吸収ピークの強度を有していれば良い。
上記(A)/(B)は、後述する機能層の膜厚と、後述するような添加材料等のブリード性の制御の観点から、好ましい下限は、1.2であり、好ましい上限は、5.0であり、より好ましい下限は、1.5であり、より好ましい上限は、3.5である。
上記(A)/(B)を上記好ましい範囲とすることにより、ブルーライトをより好適に遮蔽することができ、画像表示装置やタッチパネル等における表示画面の色味も良好なものとすることができる。
また、上記(A)/(B)を上記より好ましい範囲とすることにより、ブルーライトを更に好適に遮蔽することができ、画像表示装置やタッチパネル等における表示画面の色味も更に良好なものとすることができる。また、上記より好ましい範囲とすることにより、上記機能層を薄膜化しても所望の光学特性を付与することが可能となるので、近年要望されているカール等の後工程適正や、画面の薄膜化の観点からもより好ましい。
具体的には、上記機能層を備えた本発明の光学フィルムは、波長380nmにおける分光透過率が1%未満であり、波長410nmにおける分光透過率が10%未満であり、波長440nmにおける分光透過率が70%以上であることが好ましい。
このような光学特性を満たすことで、ブルーライトによる問題を好適に防止する一方で、波長440nm以上の光の大部分を透過させることで、表示画面の色味に影響を及ぼすことがない。本発明の光学フィルムの光の透過率は、波長380nmまでは殆ど0%であるが、波長410nmから徐々に光の透過が大きくなり、波長440nm付近で急激に光の透過が大きくなっていることを表している。具体的には、例えば、図1に示したように、本発明の光学フィルムでは、波長410nmから440nmの間で分光透過率がシグモイド型の曲線を描くように変化している。
本発明の光学フィルムは、波長380nmにおける分光透過率が好ましくは0.9%未満、より好ましくは0.8%未満であり、更に好ましくは0.5%未満であり、特に好ましくは0.3%未満である。
また、波長410nmにおける分光透過率が好ましくは4%未満、より好ましくは3%未満であり、更に好ましくは2%未満である。
また、波長440nmにおける分光透過率が好ましくは71%以上、より好ましくは71.5%以上であり、更に好ましくは72%以上である。
なお、本発明の光学フィルムは、波長420nmにおける分光透過率が50%未満であることが好ましい。このような分光透過率の関係を満たすことで、本発明の光学フィルムは、波長440nm付近で急激に透過率が向上するものとなり、表示画面の色味に影響を及ぼすことなく極めて優れたブルーライト遮蔽性を得ることができる。
波長420nmにおける分光透過率は、20%未満であることがより好ましく、15%未満であることが更に好ましい。
なお、図1は、本発明の光学フィルムの分光透過率の例を示すグラフである。
上記傾きaは、a>2.2を満たすことがより好ましく、a>2.4を満たすことが更に好ましく、a>2.7を満たすことが特に好ましく、a>2.9を満たすことが最も好ましい。
上記傾きaは、例えば、0.5%刻みにて測定可能の分光機(島津製作所社製、UVPC-2450)を用い、前後1nmの間で最低5ポイント分の透過率のデータを415~435nm間で測定することで算出することができる。
上記ブルーライトの遮蔽率は、45%以上であることがより好ましく、47%以上であることが更に好ましい。
なお、上記ブルーライトの遮蔽率は、例えば、JIS T 7333-2005により算出される値である。
また、ヘイズの下限は特に限定されないが、0.05%以上であることが好ましく、0.1%以上であることがより好ましい。
なお、上記ヘイズは、例えば、JIS K 7136-2000により算出される値である。
上記添加材料としては、例えば、キノフタロン系化合物、下記一般式(1)で表されるインドール系化合物等が挙げられる。
上記機能層が、上記添加材料を含有する場合、波数1565~1575cm-1にアミド構造に起因する吸収ピークを有する。
上記機能層が、下記一般式(1)で表されるインドール系化合物を含有する場合、波数1565~1575cm-1に下記一般式(1)におけるアミド構造に起因する吸収ピークを有する。
また、上記R2としては、ニトリル(-CN)又はエステル(COOR3)等が挙げられる。
上記R3としては、上記R1で例示したアルキル又はアラルキル、並びに、β-シアノエチル、β-クロロエチル、エトキシプロピル、ヒドロキシアルキル、及び、アルコキシアルコキシアルキル等が挙げられる。
なかでも、R1がメチル、R2がニトリルであるもの、R1がメチル、R2がエステル(COOC2H5)であるものが好ましい。
また、これらインドール系化合物は1種類で用いることもできるし、2種類以上を用いることもできる。
具体的には、例えば、本発明の光学フィルムは、構成する1の層(例えば、後述する機能層)に上記添加材料を含有し、該1の層によって上述した分光透過率の要件を満たしてもよく、上記分光透過率の要件を満たす機能を複数の層に分担させてもよい。
すなわち、本発明の光学フィルムは、上記機能層の少なくとも1層が、波長380nmにおける分光透過率が1%未満であり、波長410nmにおける分光透過率が10%未満であり、波長440nmにおける分光透過率が70%以上であることが好ましい。
また、上記分光透過率の要件を満たす機能を複数の層に分担させた構成としては、例えば、上記機能層が機能層Aと機能層Bとの2層からなり、上記機能層Aに波長380nmにおける分光透過率のみを達成できるように上記添加材料を含有し、上記機能層Bに波長410nm及び波長440nmにおける分光透過率の条件を達成できるように上記添加材料を含有している構成等が挙げられる。更に、上記機能層が3層以上からなり、各機能層にて上述した分光透過率の要件を満たすよう上記添加材料を含有していてもよい。
なお、上記添加材料を含む機能層等は、本発明の光学フィルムのいずれの位置に存在していてもよい。
更に、本発明の光学フィルムは、基材の一方の面上に機能層を有する構造が2種以上存在していてもよい。具体的には、本発明の光学フィルムは、基材Aの一方の面上に機能層Aを有する構造Aと、基材Bの一方の面上に機能層Bを有する構造Bとを含む場合がある。このような場合、上記添加材料は、上記各構成のいずれに含有されていてもよく、全ての構成全体として上述した分光透過率の要件を満たせばよい。
このような構成とすることにより、上記分光透過率を満たす機能を複数の層に分担させることができるため、各機能層に含有する上記添加材料の含有量を減らすことができ、光学的特性及び機械的特性をより向上することができる。
また、上記基材として、ポリエチレンテレフタレートやポリイミド系樹脂を用いた場合であっても、外光や、LED由来のブルーライトによって生じる耐候性の課題(部材の劣化、黄変)を好適に解決することができる。
また、上記分光透過率を満たす機能を3つの層に分担させた構成(機能層A~Cに分担)とした場合には、例えば、OLEDと基材フィルムの間に、OLED側から機能層A及びBを有し、該機能層Bの上記基材フィルム側に不可視化層を有し、上記基材フィルムのOLED側と反対側に機能層Aを有し、該機能層AのOLED側と反対側面上に不可視化層を有する構成とすることが好ましい。
このような構成とすることにより、上述した基材フィルムの耐候性の課題を好適に解決することができるだけでなく、ハードコート層を薄膜化することができるため、不可視化層を形成する際にハードコート層が割れることを防止することもできる。
このような構成とすることにより、最表面基材フィルムの視認側と反対側面上に直接機能層を塗工することができるので、ロールトゥロールで生産する必要性がなくなり、生産性を向上することができる。
なお、上述したハードコート層A~Cとの表現は便宜上のものであり、光学フィルム全体として上記分光透過率を満たせば、いずれの機能層にいずれの波長の光をカットする機能を持たせてもよい。
このような範囲でインドール系化合物が含有されていることで、上述した分光透過率を満たすことができる。
なお、上記インドール系化合物は、上記機能層において、該機能層を構成する樹脂成分と反応して一体的に含有されていてもよく、該機能層を構成する樹脂成分と反応することなく単独で含有されていてもよい。
1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N-ビニルピロリドン等を挙げることができる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能化合物、又は、上記多官能化合物と(メタ)アクリレート等の反応生成物(例えば多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートエステル)、等を挙げることができる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性の観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類等)等が好ましい。
上記熱硬化性樹脂としては特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン-尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を挙げることができる。
上記光重合開始剤の含有量のより好ましい下限は2質量部であり、より好ましい上限は8質量部である。上記光重合開始剤の含有量がこの範囲にあることで、膜厚方向に硬度分布が発生せず、均一な硬度になりやすくなる。
上記溶剤としては、使用する樹脂成分の種類及び溶解性に応じて選択して使用することができ、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン等)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサン等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等)等が例示でき、これらの混合溶媒であってもよい。
上記ハードコート層の膜厚は、断面を光学顕微鏡、又は、電子顕微鏡(SEM)で観察し、測定した値である。
上記Raを満たす場合、本発明の光学フィルムはクリアフィルムであり、極めて優れた透明性を有するものとなる。上記Raのより好ましい上限は8nmである。なお、上記算術平均粗さRaは、JIS B 0601-1994に準拠する方法で測定された値である。
このようなRaを満たす機能層は、例えば、上述した機能層用組成物を用いることで得ることができる。
上記凹凸形状を有するとは、該凹凸形状の算術平均粗さRaが10nm以上であることを意味する。
上記機能層が上記基材フィルム側とは反対側表面に凹凸形状を有することで、例えば、本発明の光学フィルムに防眩性及び/又は耐ブロッキング性を付与することができる。
上記防眩剤としては特に限定されず、公知の無機系又は有機系の各種微粒子を用いることができる。
上記微粒子の平均粒径としては特に限定されないが、一般的には、0.01~20μm程度とすれば良い。
また、上記微粒子の形状は、真球状、楕円状等のいずれであっても良く、好ましくは真球状のものが挙げられる。
上記プラスチックビーズの具体例としては、例えば、スチレンビーズ(屈折率1.60)、メラミンビーズ(屈折率1.57)、アクリルビーズ(屈折率1.49)、アクリル-スチレンビーズ(屈折率1.54)、ポリカーボネートビーズ、ポリエチレンビーズ等が挙げられる。
本発明の構成においては、Smを下限未満にすると凝集の制御が困難となるおそれがある。一方、Smが上限を超えると、映像の細やかさが再現できず大味な映像になる等の不具合を生じるおそれがある。
50μm<Sm<600μm
0.05°<θa<1.5°
0.02μm<Ra<0.30μm
0.05μm<Rz<2.00μm
100μm<Sm<400μm
0.1°<θa<1.2°
0.02μm<Ra<0.15μm
0.10μm<Rz<1.20μm
上記機能層の凹凸形状は、更に好ましくは、下記式を満たすことである。
120μm<Sm<300μm
0.1°<θa<0.5°
0.02μm<Ra<0.12μm
0.30μm<Rz<0.80μm
なお、本明細書において、上記Sm、Ra及びRzは、JIS B 0601-1994に準拠する方法で得られる値であり、θaは、表面粗さ測定器:SE-3400 取り扱い説明書(1995.07.20改訂)(株式会社小坂研究所)に記載の定義により得られる値であり、図2に示すように、基準長さLに存在する凸部高さの和(h1+h2+h3+・・・+hn)のアークタンジェントθa=tan-1{(h1+h2+h3+・・・+hn)/L}で求めることができる。
このようなSm、θa、Ra、Rzは、例えば、表面粗さ測定器:SE-3400/株式会社小坂研究所製等により測定して求めることができる。
上記ブロッキング防止剤を構成する材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、シリカ、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸等のケイ酸塩、その他、カオリン、タルク、けいそう土等の無機化合物系の1種ないし2種以上が挙げられる。
上記の無機化合物系のブロッキング防止剤において、その平均粒子径としては、2~8μm程度が好ましい。2μm未満であると、上記ハードコート層の表面の凹凸形状が小さく、アンチブロッキング効果が悪いことから好ましくなく、また、8μmを超えると、上記ハードコート層の表面の凹凸が大き過ぎ、フィルム同士がこすれたとき、傷痕等が発生することがある。
上記ブロッキング防止剤の含有量が0.01質量部未満であると、ハードコート層の表面の凹凸形状の形成が不充分となり、耐ブロッキング性が不充分となることがあり、6質量部を超えると、上記ハードコート層の透明性が低下することがある。
また、上記基材フィルムを構成する材料としては、ガラス系材料を用いてもよい。
また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ社製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
上記蒸着層を複数層有することで、本発明の光学フィルムの上述した分光透過率をより好適に満たすことができる。
このような蒸着層を上記ハードコート層上に有することで、本発明の光学フィルムは、上記蒸着層により、上述の機能層にガスバリア性等の機能を付加することができる。
本発明の光学フィルムは、タッチパネルを搭載した画像表示装置に好適に用いられるが、上記不可視化層を有することで、ITO等の無機透明導電材料からなるセンサ電極(透明電極層)が表示画面で観察されることを防止できる。
上記高屈折率層の膜厚の好ましい下限は10nm、好ましい上限は200nmであり、より好ましい下限は30nm、より好ましい上限は100nmである。
上記金属酸化物微粒子としては、例えば、酸化チタン(TiO2、屈折率:2.3~2.7)、酸化ニオブ(Nb2O5、屈折率:2.33)、酸化ジルコニウム(ZrO2、屈折率:2.10)、酸化アンチモン(Sb2O5、屈折率:2.04)、酸化スズ(SnO2、屈折率:2.00)、スズドープ酸化インジウム(ITO、屈折率:1.95~2.00)、酸化セリウム(CeO2、屈折率:1.95)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO、屈折率:1.90~2.00)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO、屈折率:1.90~2.00)、アンチモン酸亜鉛(ZnSb2O6、屈折率:1.90~2.00)、酸化亜鉛(ZnO、屈折率:1.90)、酸化イットリウム(Y2O3、屈折率:1.87)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO、屈折率:1.75~1.85)、リンドープ酸化スズ(PTO、屈折率:1.75~1.85)等が挙げられる。なかでも、屈折率の観点から、酸化ジルコニウムが好ましい。
このようなバインダー樹脂としては、上述したハードコート層を構成する樹脂成分と同様のもの挙げられる。
また、上記低屈折率層の膜厚は、好ましい下限が1nm、好ましい上限が200nmであり、より好ましい下限が5nm、より好ましい上限が100nmである。
ただし、上記バインダー樹脂に、フッ素原子を導入した樹脂や、オルガノポリシロキサン等の屈折率の低い材料を混合してもよい。
上記低屈折率樹脂としては、例えば、フッ素原子を導入した樹脂や、オルガノポリシロキサン等の屈折率の低い樹脂等も挙げられる。
本発明の光学フィルムが帯電防止性能を有することで、該本発明の光学フィルムをIPS方式の液晶表示装置に特に好適に用いることができる。なお、上記液晶表示装置がIPS方式の液晶表示装置である場合、本発明の光学フィルムの表面抵抗値は、上限が1010Ω/□であることが好ましく、より好ましい上限は109Ω/□であり、特に、上記液晶表示装置がインセルタッチパネル付きIPS方式の液晶表示装置であると、本発明の光学フィルムは、表面抵抗値の好ましい下限が107Ω/□、好ましい上限が1010Ω/□であり、より好ましい下限が108Ω/□、より好ましい上限が109Ω/□である。
上記帯電防止剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、第4級アンモニウム塩等のカチオン性帯電防止剤や、スズドープ酸化インジウム(ITO)等の微粒子や、導電性ポリマー等を用いることができる。
上記帯電防止剤を用いる場合、その含有量は、全固形分の合計質量に対して1~30質量%であることが好ましい。
上記防汚層は、本発明の光学フィルムを用いた画像表示装置の最表面に汚れ(指紋、水性又は油性のインキ類、鉛筆等)が付着しにくく、又は付着した場合でも容易に拭取ることができるという役割を担う層である。また、上記防汚層の形成により、本発明の光学フィルムに対して防汚性と耐擦傷性の改善を図ることも可能となる。
上記防汚染剤は、本発明の光学フィルムの最表面の汚れ防止を主目的とするものであり、本発明の光学フィルムに耐擦傷性を付与することもできる。
上記防汚染剤としては、例えば、フッ素系化合物、ケイ素系化合物、又は、これらの混合化合物が挙げられる。より具体的には、2-パーフロロオクチルエチルトリアミノシラン等のフロロアルキル基を有するシランカップリング剤等が挙げられ、特に、アミノ基を有するものが好ましくは使用することができる。
上記樹脂としては特に限定されず、上述の機能層用組成物で例示した樹脂材料が挙げられる。
上記防汚層は、例えば機能層自身に防汚性能を付与することにより代替することもできる。
このような構成の本発明の光学フィルムが用いられる画像表示装置としては特に限定されず、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置、これらにタッチパネルを搭載した画像表示装置等、公知のものが挙げられる。
なお、本発明の光学フィルムの大きさについては特に限定されず、例えば、A0サイズ~A10サイズ等が挙げられるが、上記A0サイズよりも小さいものも、A10サイズよりも大きなものも、用途に応じて適宜選択して用いることができる。
上記転写フィルムとしては、本発明の光学フィルムの機能層上(基材側と反対側面)に離型フィルムを貼り付けた構成が挙げられる。このような転写フィルムを用いた転写法では、本発明の光学フィルムが被転写物側となるように上記転写フィルムを配置した後、上記転写フィルムから離型フィルムを剥離することで、上記被転写物に本発明の光学フィルムを転写することができる。
このため、本発明の光学フィルムは、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機・無機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(LED)、電子ペーパー等の画像表示装置やタッチパネルにおける画像表示面に好適に使用することができる。また、フォルダブル、ベンダブル、又は、ローラブルの画像表示装置やタッチパネルにおける画像表示面にも好適に使用することができる。
なお、文中、「部」又は「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。
(インドール系化合物の合成)
エタノール80mlに、下記化学式(2)で示される化合物0.10mol、及び、マロノニトリル0.11molを加え、次いでトリエチルアミン4質量部(0.04mol)を加え、還流下4時間反応し、室温まで冷却した後、水に排出し、析出した結晶を濾別し、このものを少量のアルコールで洗浄後、乾燥して、淡黄色結晶(mp.194~196℃)のインドール系化合物を得た。
次いで、得られた樹脂組成物400質量部に対し、光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184及びイルガキュア819を質量比50:50で、4質量部)と、レべリング剤(DIC社製、F-568、4質量部)とを混ぜ合わせ、よく攪拌することで、機能層用組成物を調製した。
得られた機能層用組成物を、ミヤバーにて厚み25μmTAC基材上に塗布した後乾燥、UV硬化を行い、厚さ3μmの機能層を有する光学フィルムを製造した。
なお、得られた光学フィルムの大きさは、A4サイズ(210mm×297mm)であった。
インドール系化合物に代えて、メチン系染料(KP Plast Yellow G、紀伊和化学工業社製、2.0質量部)を混ぜ合わせた以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
インドール系化合物に代えて、メチン系染料(KP Plast Yellow 2G、紀伊和化学工業社製、5.0質量部)を混ぜ合わせた以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(2質量部)を混ぜ合わせた以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(2質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを7μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(9質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを3μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(9質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを1μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(1質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを3μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(1質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを7μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(11.5質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを1μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(12質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを1μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(2質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを3μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして機能層を形成した積層フィルムを2枚用意し、透明粘着剤(例えばリンテック社製「M3014」)を使用して、一方の積層フィルムの機能層と他方の積層フィルムのTAC基材とを貼り合わせ、光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(2質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを3μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして機能層をTAC基材の一方の面上に形成し、同様の機能層をTAC基材の反対側面にも形成することで光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(0.5質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを7μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にした機能層を形成した。
その一方で、強粘着タイプのアクリル系粘着剤(綜研化学社製、 商品名SKダイン1604N)を固形分として100質量部、硬化剤(日本ポリウレタン工業社製、 商品名コロネートL45)を固形分として2質量部の割合で調合し、トルエンで固形分が25%になるまで希釈して塗工液(粘着剤1)とした。
次いで、粘着剤1の100質量部に対して、インドール系化合物(2質量部)を加えて混ぜ合わせ、TAC基材の上記機能層側と反対面側に塗工し、100℃で2分間乾燥して、7μmの機能層(粘着層)を形成し、更に該粘着層を介して軽剥離PETセパレータ(リンテック社製、P381031)を貼り合わせた。
更に、上記と同様にして上記機能層のTAC基材側と反対面側に7μmの機能層(粘着層)を形成し、光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(0.5質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを7μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にした機能層を形成した。
その一方で、強粘着タイプのアクリル系粘着剤(綜研化学社製、商品名SKダイン1604N)を固形分として100質量部、硬化剤(日本ポリウレタン工業株式会社製 商品名コロネートL45)を固形分として2質量部の割合で調合し、トルエンで固形分が25%になるまで希釈して塗工液(粘着剤1)とした。
次いで、粘着剤1の100質量部に対して、インドール系化合物(2質量部)を加えて混ぜ合わせ、TAC基材の上記機能層側と反対面側に塗工し、100℃で2分間乾燥して、7μmの機能層(粘着層)を形成し、更に該粘着層を介して軽剥離PETセパレータ(リンテック社製、P381031)を貼り合わせ、光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(4.5質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを3μmとなるようにし、ミヤバーにて厚み1000μmのガラス板に塗布した以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
BPE-20(第一工業製薬社製、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、100質量部)、及び、得られたインドール系化合物(2質量部)を混ぜ合わせ、固形分が40%となるように、メチルイソブチルケトン(MIBK)の中に添加して攪拌し溶解させて、溶液(1)を得た。得られた溶液(1)をミヤバーにて未処理PETフィルム基材(東洋紡社製、A4100)の未処理面上に塗布した後乾燥、UV硬化を行い、厚さ7μmの機能層を有する機能性フィルムを得た。
更に、UV-3310B(日本合成化学工業社製)を固形分が40%となるように、メチルエチルケトン(MEK)の中に添加して攪拌し溶解させた組成物を、ミヤバーにて得られた機能性フィルムの機能層上に塗布した後乾燥、UV硬化を行い、厚さ7μmのベースマテリアル層を形成し光学フィルムを製造した。
なお、得られた光学フィルムは、転写フィルムとして機能し、上記ベースマテリアル層を被転写物に当接させた後未処理PETフィルム基材を剥離することで被転写物に機能層が形成された光学フィルムを転写させることができる。
BPE-20(第一工業製薬社製、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート)のみを含む機能層用組成物を用いた以外は実施例17と同様にして機能性フィルムを作製し、更に、UV-3310B(日本合成化学工業社製)、及び、得られたインドール系化合物(2質量部)を混ぜ合わせ、固形分が40%となるように、メチルエチルケトン(MEK)の中に添加して攪拌し溶解させた組成物を、ミヤバーにて機能性フィルムの機能層上に塗布した後乾燥、UV硬化を行い、厚さ7μmのベースマテリアル層を形成し光学フィルムを製造した。
なお、得られた光学フィルムは、転写フィルムとして機能し、上記ベースマテリアル層を被転写物に当接させた後未処理PETフィルム基材を剥離することで被転写物上に機能層が形成された光学フィルムを転写させることができる。
フュームドシリカ(オクチルシラン処理;平均粒子径12nm、日本アエロジル社製、1質量部)、多官能モノマー(日本化薬社製、PET-30、ペンタエリスリトールトリアクリレート、60質量部)、ウレタンアクリレート(日本合成化学社製、UV1700B、40質量部)、及び、得られたインドール系化合物(3質量部)を混ぜ合わせ、固形分40%まで溶剤(トルエン、イソプロピルアルコール及びシクロヘキサノン、質量比70:20:10)にて希釈して樹脂組成物を調製した。次いで、得られた樹脂組成物400質量部に対し、光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184及びイルガキュア819を質量比50:50で、4質量部)と、ポリエーテル変性シリコーン(TSF4460、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、0.1質量部)とをよく攪拌することで、機能層用組成物を調製した。
得られた機能層用組成物を、ミヤバーにて厚み25μmTAC基材上に塗布した後乾燥、UV硬化を行い、厚さ3μmの機能層を有する光学フィルムを製造した。
なお、フュームドシリカは、オクチル基を有するシラン化合物(例えば、オクチルシラン)により、シラノール基をオクチルシリル基で置換して疎水化処理されたものである。
多官能モノマー(日本化薬社製、PET-30、ペンタエリスリトールトリアクリレート、100質量部)、及び、得られたインドール系化合物(2質量部)を混ぜ合わせ、固形分45%まで溶剤(メチルイソブチルケトン)にて希釈して樹脂組成物を調製した。次いで、得られた樹脂組成物400質量部に対し、光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184及びイルガキュア819を質量比50:50で、4質量部)と、レべリング剤(DIC社製、F-568、4質量部)とを混ぜ合わせ、よく攪拌することで、機能層用組成物を調製した。得られた機能層用組成物を、ミヤバーにて厚み25μmTAC基材上に塗布した後乾燥、UV硬化を行い、屈折率1.52および厚さ7μmの機能層を作製した。
次いで、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、KAYARADDPHA、14質量部)、酸化ジルコニウム微粒子分散液(平均粒径10~15nmの酸化ジルコニウム微粒子をメチルイソブチルケトンに分散させた分散液(固形分32.5%)、69質量部)、光重合開始材(BASF社製、イルガキュア127、1.0質量部)を混ぜ合わせ、メチルイソブチルケトン、1000質量部で希釈、撹拌することで高屈折率層用組成物を調製した。得られた高屈折率層用組成物を、ミヤバーにて上記機能層上に塗布した後、70℃で1分間乾燥させた後、積算光量150mJ/cm2で紫外線照射を行って硬化させて、膜厚が30nmの高屈折率層を形成した。
次いで、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製、KAYARADDPHA、3.5質量部)、中実シリカ微粒子分散液(平均粒径10~15nmの中実シリカ微粒子をメチルイソブチルケトンにて固形分30%まで分散させた分散液、21.7質量部)、光重合開始材(BASF社製、イルガキュア127、0.7質量部)を混ぜ合わせ、メチルイソブチルケトン、1000質量部で希釈、撹拌することで低屈折率層用組成物を調製した。得られた手低屈折率層用組成物を、ミヤバーにて上記高屈折率層上に、低屈折率層用組成物を塗布し、塗膜を形成し、に塗布した後、70℃で1分間乾燥させた後、積算光量150mJ/cm2で紫外線照射を行って硬化させて、膜厚が30nmの高屈折率層を形成し不可視化層(高屈折率層および低屈折率層)を形成した。
低屈折率層を形成した後、低屈折率層上に、スパッタリング法によってSiOx(1≦x≦2)からなる3nmのガスバリア層を形成し、次いで、ガスバリア層上に、スパッタリング法によってスズドープ酸化インジウム(ITO)からなる透明導電層を形成し、150℃の加熱オーブンで30分間アニール処理をして結晶化させ、複数の蒸着層と不可視化層を備えた機能層を作製した。
得られたインドール系化合物(0.5質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを7μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(12.5質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを1μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物(13質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを1μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
得られたインドール系化合物に替えて、TINUVIN 477(BASF社製、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、6質量部)を混ぜ合わせ、機能層の厚みを8μmとなるようにした以外は、実施例1と同様にして光学フィルムを製造した。
得られた実施例及び比較例に係る光学積層体のヘイズ値(%)を、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号:HM-150)を用いてJIS K-7136-2000に従って測定した。
なお、実施例14及び15では、粘着層に厚み25μmのTAC基材を貼り合わせた後、ヘイズ値を測定した。
得られた実施例及び比較例に係る光学フィルムについて、0.5%刻みにて測定可能の分光機(島津製作所社製、UVPC-2450)を用い、前後1nmの間で最低5ポイント分の透過率のデータを平均化したデータを用い波長380nm、410nm、420nm及び440nmにおいて測定した。
得られた実施例及び比較例に係る光学フィルムについて、JIS T 7333―2005に従って、ブルーライトカット(遮蔽)率を算出した。
得られた実施例及び比較例に係る光学フィルムについて、0.5%刻みにて測定可能の分光機(島津製作所社製、UVPC-2450)を用い、前後1nmの間で最低5ポイント分の透過率のデータを平均化したデータを用い、波長415~435nm間のデータを平均した値を用いて算出した。
得られた実施例及び比較例に係る光学フィルムについて、0.5%刻みにて測定可能の分光機(島津製作所社製、UVPC-2450)を用いて、a*、b*を測定した。
得られた実施例及び比較例に係る光学フィルムの機能層について、FT/IR-6100(日本分光社製)を用い、JIS K 0117-2000に基づいて、赤外全反射吸収測定法(ATR法)により測定(測定分解能:4cm-1、積算回数:16回)して赤外吸収スペクトルを得た。
その後、スペクトルを微分して、正の値から負の値になる場合、すなわち、凸状の形状となる場合を山とし、負の値から正の値となる場合、すなわち、凹状の形状となる場合を谷としたときに、一つの山と、その左右にある谷との強度の差が0.01以上であるものを「吸収ピーク」とし、波数1565~1575cm-1に上記吸収ピークを有するか否かを評価した。
また、上記赤外吸収スペクトルから、波数1565~1575cm-1における吸収ピークの強度(A)と、波数2500~2550cm-1における強度の平均値(B)との比(A)/(B)を求めた。
なお、波数1565~1575cm-1における吸収ピークの強度(A)と、波数2500~2550cm-1における強度の平均値(B)との比(A)/(B)は、上記2500~2550cm-1における強度の平均値が0.040~0.041となるように、全ての波数における強度の値に、一定の数値を増減させて得られたデータに基づいて算出した値である。
得られた実施例及び比較例に係る光学フィルムについて、以下の基準で総合判定の評価を行った。
◎:ブルーライトカット率が47%以上、波長415~435nmにおける分光透過率の傾きaが2.9以上、機能層の膜厚が3.0μm以下であり、かつ、色味に影響がなかった
〇:ブルーライトカット率が40%以上であり、色味に影響がなかった
×:ブルーライトカット率が40%未満、及び/又は、色味の影響があった
とりわけ、実施例1~3では、機能層を薄膜化されていたにも関わらず、上記傾きaの値が特に大きく、ブルーライトカット率に特に優れており、表示画面の色味にも影響が無かった。
また、実施例4~7では、上記傾きaの値が大きく、ブルーライトカット率に優れており、表示画面の色味にも影響が無かったが、上記傾きaの値、ブルーライトカット率、及び、機能層の膜厚のいずれかにおいては、上記実施例1~3に及ばなかった。
また、実施例11では、機能層の膜厚は薄かったが、インドール系化合物のブリードが僅かに確認され、光学フィルムのヘイズ値においては劣っていた。
また、実施例12及び13からは、2層の機能層のそれぞれにインドール系化合物を含有した場合であっても、2層の機能層をTAC基材の両面に形成した場合であっても、充分な光学特性が付与できることが確認できた。
また、実施例17及び18からは、本発明の光学フィルムが転写フィルムとして好適に用いることができることが確認できた。
更に、実施例14及び15からは、機能層が粘着層であっても、実施例16からは、基材としてガラス系材料を用いても、実施例19からは、機能層が防眩層であっても、実施例20からは、機能層上に不可視化層を設けたものであっても、所望の光学特性が付与できることが確認できた。
なお、実施例1~18及び20は、機能層の基材フィルムと反対側の表面を目視観察したところ平坦であったが、実施例19では、機能層の基材フィルムと反対側の表面に、防眩性を付与するための凹凸形状が形成されており、他の実施例よりもヘイズが高い結果となった。
その一方で、赤外吸収スペクトルにおいて、波数1565~1575cm-1に吸収ピークを有していたが、上記(A)と(B)との比率が所定の値未満であった比較例1に係る光学フィルムでは、波長380nm及び波長410nmにおける分光透過率が大きく、ブルーライトカット率に劣っていた。
また、赤外吸収スペクトルにおいて、波数1565~1575cm-1に吸収ピークを有していたが、上記(A)と(B)との比率が所定の値(9.0)よりも大きかった比較例2及び3では、波長440nmにおける分光透過率が小さく、aの値も小さく、透過光をシャープにカットできてらず、表示画面の色味の悪化が見られ、更に、インドール系化合物等がブリードしており、光学フィルムのヘイズが上昇していた。比較例2及び3からは、上記(A)と(B)との比率が所定の値(9.0)を超えると、表示画面の色味の悪化や、光学フィルムのヘイズが上昇することが確認された。
また、赤外吸収スペクトルにおいて、波数1565~1575cm-1に吸収ピークを有していない比較例4では、波長380nm及び410nmにおける分光透過率が大きく、ブルーライトカット率にも劣っていた。
Claims (6)
- 基材フィルムの少なくとも一方の面上に、1又は2以上の機能層を有する光学フィルムであって、
前記機能層は、赤外吸収スペクトルにおいて、
波数1565~1575cm-1に吸収ピークを有し、
前記波数1565~1575cm-1における吸収ピークの強度(A)と、波数2500~2550cm-1における強度の平均値(B)との比(A)/(B)が、1.1以上、9.0以下であり、電離放射線硬化型樹脂の硬化物を含み、
波長380nmにおける分光透過率が1%未満であり、波長410nmにおける分光透過率が10%未満であり、波長440nmにおける分光透過率が70%以上である
ことを特徴とする光学フィルム。 - 機能層の基材フィルム側とは反対側表面の算術平均粗さRaが10nm未満である請求項1記載の光学フィルム。
- 機能層の基材フィルム側とは反対側表面に凹凸形状を有する請求項1記載の光学フィルム。
- 機能層の基材フィルム側とは反対側面上に、複数の蒸着層を有する請求項1、2又は3記載の光学フィルム。
- 屈折率の異なる複数の積層構造を有する不可視化層を更に含む請求項1、2、3又は4記載の光学フィルム。
- 請求項1、2、3、4又は5に記載の光学フィルムを備えることを特徴とする画像表示装置又はタッチパネル。
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