JP4187186B2 - 防眩フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ノートパソコン、パソコン用モニタ、テレビ等の各種ディスプレーの表面等に用いることのできる防眩フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ノートパソコン、液晶モニタなどのディスプレーは、その表面の表面保護基材を通して画像を認識するようになっている。それらのディスプレーは本体内部にバックライトを用いるか、または外部の光を利用して視認性を向上させている。
これらのディスプレーは内部から発する光や外光の映り込みを軽減し、画像の視認性を向上するため、表面保護フィルムに防眩処理を施すか、または屈折率を調整した薄膜を形成して光学的に反射を防止することが一般的である。防眩処理は、二酸化珪素等の顔料を含む樹脂を塗工する方法やエンボス処理により表面に凹凸をつける方法が知られている。光学的に反射を防止する方法は、フィルム表面に高屈折率材料と低屈折率材料の薄膜を交互に形成して、多層薄膜とし、光の干渉により反射を防止する。薄膜の形成方法として、ドライ法とウエット法がある。ドライ法は真空蒸着、スパッタリング等で、一般的に、高屈折率材料として酸化ジルコニウム、酸化チタンなどが用いられ、低屈折率材料としてフッ化マグネシウム、二酸化珪素などが用いられている。ウエット法はアルコキシ金属を塗工して、ゾルゲル反応により酸化金属薄膜を形成する方法、フッ素樹脂を塗工する方法などが行われている。
【0003】
エンボス処理では膜厚数μmの塗膜表面に凹凸を形成することに限界があり、十分な防眩性を得ることが難しい。
また、光学的に反射を防止する場合、真空蒸着、スパッタリングなどのドライ法はそのための装置が必要となり、ランニングコストも高い。ウェット法は形成する薄膜に強度をもたせることが困難であるため、耐擦傷性が劣るという問題があった。
【0004】
このような表面保護フィルムにおいて、顔料を含んだ樹脂で防眩処理を行う場合は、表面の凹凸を大きくして表面での光散乱を大きくするとフィルム自身が白くみえ、黒色の表示部が白く見える問題と、顔料の影響で画像のちらつく問題が生じる。また、これらの視認性を得るために表面での光散乱を小さくすると、防眩性が不十分になり、視認性と防眩性の両者を同時に満たすことは困難であった。
このような問題を解決するために、特定の微粒子を含有する防眩層を設けたフィルムが開示されている。例えば、防眩層を特定の屈折率を有する微粒子と樹脂とにより構成したり(特開平6−18706)、防眩層を2種以上の透光性微粒子と樹脂とにより構成し、これらの間の屈折率の差を規定する(特開2001−180611)等の方法が試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような従来の防眩性フィルムに比べ、透明性、防眩性に優れ、ディスプレーの視認性を向上させ、かつ耐擦傷性に優れ、安価で製造することができる表面保護フィルムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
透明フィルム上に、形状と粒径の異なる2種類の微粒子を含む塗膜を形成することで、前記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、透明フィルム上に、2種の微粒子及び樹脂から成る防眩層を設けてなる防眩フィルムであって、第1種の微粒子は球形であり、その平均径が1〜10μmであって、その量が該樹脂に対して5〜30重量%であり、第2種の微粒子は不定形であり、その平均径が5μm以下であって、その量が該樹脂に対して10重量%以下であり、かつ該防眩層の厚さが該第1種の微粒子の平均径以上であることを特徴とする防眩フィルムである。また、第2種の微粒子の屈折率が1.48以下であり、更に、第1種の微粒子の屈折率が1.55以上であることがより好ましい。前記樹脂は紫線硬化型樹脂であることが好ましい。
本発明の防眩フィルムの一例の概略図(断面)を図1に示す。透明基材(フィルム)上に、球形の微粒子と不定形の微粒子を含む紫外線硬化樹脂の塗膜を所定の厚さで塗工したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明に用いることのできる、透明フィルムに特に限定はないが、たとえば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、ポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)、ポリカーボネートフィルム(PC)、トリアセチルセルロースフィルム(TAC)、ノルボルネンフィルム(NB)などが使用でき、フィルム厚さは25μm〜250μm程度が好ましい。
第1の微粒子は球形であって平均粒径が1〜10μmであれば材質に特に限定はなく、例えば、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、アクリルビーズ、スチレンビーズ、ポリアクリルスチレンビーズ、ポリカーボネートビーズ、ポリメタクリル酸メチルビーズ、ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、ガラスビーズおよびコロイダルシリカなどを用いることができる。特に本発明では、屈折率1.55以上のポリスチレンビーズ(屈折率1.59)、ポリアクリルスチレンビーズ(1.57)ポリカーボネートビーズ(1.58)、ガラスビーズ(1.61)、ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物(1.58)が好ましい。第1の微粒子としてこれらの1種を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
この第1の微粒子は、平均粒径が1〜10μm、好ましくは2〜5μmで粒径分布が狭いものが好ましい。この第1の微粒子は防眩層中に樹脂に対して5〜30重量%、好ましくは8〜22重量%の割合で配合する。
【0008】
第2の微粒子は不定形、即ち、粒子の形状が特定されない微粒子であって平均粒径が5μm以下であれば材質に特に限定はなく、具体的には、シリカゲル、湿式法シリカ、乾式法シリカ等のシリカ微粒子、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、金属酸化物微粒子などを挙げることができる。特に、屈折率が1.48以下であるシリカや、フッ化マグネシウムが好ましい。第2の微粒子としてこれらの1種を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
この第2の微粒子は、平均粒径5μm以下、好ましくは0.1〜3.0μmのものを使用する。防眩層中に樹脂に対して10重量%以下、好ましくは2〜7重量%の割合で配合する。
これら第1の微粒子及び第2の微粒子の平均粒径はレーザー回折・散乱法で測定する。この方法では、粒子を分散した液にレーザー光を当てたときに回折・散乱する光の強度変化により粒子径を測定する。
【0009】
本発明の樹脂としては、乾燥後に被膜を形成する樹脂であればいずれを使用しても良いが、特に耐擦傷性を付与するという点で、紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
紫外線硬化型樹脂は、アクリレート系の官能基を有するポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などとこれらのオリゴマーおよびプレポリマーを主成分とした樹脂が使用できる。また、これらの樹脂を紫外線照射により架橋するため、光重合開始剤としてアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等を混合することが望ましい。
更に、防眩層は、本発明の効果を変えない範囲で、消泡剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤等を含有してもよい。
【0010】
防眩層は前記樹脂と微粒子等を溶剤に溶解・分散した塗料を透明基材に塗工乾燥して形成することができる。塗料に用いる溶剤は、ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、セロソルブ類などから適宜選択して用いることができ、これらの数種類を混合して用いてもよい。塗工乾燥して防眩層を形成するため、沸点は70℃〜200℃の範囲であることが望ましい。
また、塗工時の外観を調整するためフッ素系やシロキサン系のレベリング剤を添加してもよい。
【0011】
塗工方法は特に限定しないが、グラビア塗工、マイクログラビア塗工、バー塗工、スライドダイ塗工、スロットダイ塗工、デイップコートなど、塗膜厚さの調整が容易な方式で塗工が可能である。
防眩層の膜厚は、第一の微粒子(特に、球形顔料)の平均粒径よりも厚くしなければならない。この膜厚がこの平均粒径よりも薄いとこの微粒子が塗膜表面に突出し表面ヘイズが高まり、光の散乱により表面が白くなりディスプレーの視認性を著しく低下させるからである。一方、この膜厚が厚すぎると防眩性が低下する傾向にある。このため、好ましくは膜厚が第一の微粒子の平均粒子径の3倍以下、より好ましくは1.0〜2.0倍となるように防眩層を設ける。
【0012】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を限定することを意図するものではない。なお、微粒子の平均粒子径は、レーザー回折粒度測定器SALD2100(島津製作所製)で測定した。
実施例1
フィルムを次のように調整した。
ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物(エポスターM30、日本触媒社製、平均粒子径3.0μm、屈折率1.58)5g、二酸化珪素微粉末(アエロジル1200、日本アエロジル社製、平均粒子径1.2μm、屈折率1.40)0.75gをトルエン50gに分散し、この液に、アクリル系紫外線硬化樹脂(ビームセット550B、荒川化学社製)19.25g及び光重合開始剤(ダロキュア1173、チバガイギー社)0.4gを添加し、イソプロパノール20g、エチレングリコールモノブチルエーテル5gを加え、シロキサン系レベリング剤(BYK370、ビックケミー社)0.5gを加えて十分攪拌し、塗料を調整した。
トリアセチルセルロースフィルム(FTUV80UZ、フジフィルム社製)に上記塗料をマイヤーバー#12(RDS社製)で塗工し、60℃で1分間乾燥後、300mJの紫外線(光源:Fujion Japan社製、UVランプ、Hバルブ)を照射し硬化した。得られた塗膜の厚さは3.5μmであった。
【0013】
実施例2
ポリアクリルスチレンビーズ(MX300、綜研化学、平均粒子経3.0μm、屈折率1.57)3.5g、疎水性シリカパウダー(KMP105、信越化学工業社製、平均粒子径0.8μm、屈折率1.40)1g、トルエン60gを混合し、アクリル系紫外線硬化樹脂(ビームセット550B、荒川化学社製)20.5g及び光重合開始剤(ダロキュア1173)0.4gを添加し、エチレングリコールモノブチルエーテル5gを加え、シロキサン系レベリング剤(BYK373、ビックケミー社)0.5gを加えて十分攪拌し、塗料を調整した。
トリアセチルセルロースフィルム(FTUV80UZ、フジフィルム社製)に上記塗料をマイヤーバー#12(RDS社製)で塗工し、60℃で1分間乾燥後、300mJの紫外線を照射し硬化した。得られた塗膜の厚さは3.5μmであった。
【0014】
実施例3
ポリスチレンビーズ(SX350H、綜研化学、平均粒子経3.5μm、屈折率1.59)3.5g、疎水性シリカパウダー(KMP105、信越化学工業社製、平均粒子径0.8μm、1.40)1g、トルエン60gを混合し、アクリル系紫外線硬化樹脂(ビームセット550B、荒川化学社製)20.5g及び光重合開始剤(ダロキュア1173)0.4gを添加し、エチレングリコールモノブチルエーテル5gを加え、シロキサン系レベリング剤(BYK373、ビックケミー社)0.5gを加えて十分攪拌し、塗料を調整した。
トリアセチルセルロースフィルム(FTUV80UZ、フジフィルム社製)に上記塗料をマイヤーバー#14(RDS社製)で塗工し、60℃で1分間乾燥後、300mJの紫外線を照射し硬化した。得られた塗膜の厚さは4.0μmであった。
【0015】
比較例1
実施例1のベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物及び二酸化珪素微粉末をすべて不定形シリカパウダー(KMP110、信越化学、平均粒子径1.9μm、屈折率1.40)に変えた以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。得られた塗膜の厚さは3.5μmであった。
比較例2
ベンゾグアナミン・メラミン・ホルムアルデヒド縮合物(エポスターM30、日本触媒社製、平均粒子径3.0μm、屈折率1.58)5gをトルエン50gに分散し、この液に、アクリル系紫外線硬化樹脂(ビームセット550B、荒川化学社製)20.5g及び光重合開始剤(ダロキュア1173)0.4gを添加し、イソプロパノール20g、エチレングリコールモノブチルエーテル5gを加え、シロキサン系レベリング剤(BYK370、ビックケミー社)0.5gを加えて十分攪拌し、塗料を調整した。
トリアセチルセルロースフィルム(FTUV80UZ、フジフィルム社製)に上記塗料をマイヤーバー#12(RDS社製)で塗工し、60℃で1分間乾燥後、300mJの紫外線を照射し硬化した。得られた塗膜の厚さは3.5μmであった。
【0016】
比較例3
アクリル系紫外線硬化樹脂(ビームセット550B、荒川化学社製)20g、光重合開始剤(ダロキュア1173)0.5g、トルエン50g、イソプロパノール20g、エチレングリコールモノブチルエーテル5gを混合し、シロキサン系レベリング剤(BYK370、ビックケミー社)0.5gを加えて十分攪拌し、塗料を調整した。
トリアセチルセルロースフィルム(FTUV80UZ、フジフィルム社製)に上記塗料をマイヤーバー#12(RDS社製)で塗工し、60℃で1分間乾燥後、300mJの紫外線を照射し硬化した。得られた塗膜の厚さは3.5μmであった。
このフィルムの上に、テトラエトキシチタンから生成する二酸化チタン膜とテトラエトキシシリケートから生成する二酸化珪素薄膜の2層膜(特開平2−258646で公開されている方法により作製した機械的強度に優れた反射防止膜)を形成した。
【0017】
以上の実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたフィルムについて、下記項目の試験を行った。
1)透過率及び正反射率:島津製作所製分光光度計 UV3100を用いて測定した。
2)耐擦傷性及び堅牢度試験:スチールウール0000を用いて、加重250gで100往復後の外観を目視で比較した。◎は極めて良好、×は劣る。
3)ヘイズ度:村上色彩技術研究所製ヘイズメーターHM150を用いて測定した。
4)視認性:防眩ハードコートフィルムを剥離したLCD画面に重ね、目視評価した。○は良好、△は僅かに劣る、×は劣る。
試験結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
実施例1〜3で得られたフィルムは視認性良好で耐擦傷性に優れた防眩ハードコートフィルムであった。一方、比較例1で得られたフィルムは得られたフィルムは耐擦傷性に優れた防眩ハードコートフィルムであったが、視認性が劣った。比較例2で得られたフィルムは耐擦傷性に優れた防眩ハードコートフィルムであったが、正反射率が高くやはり視認性が低下した。比較例3で得られたフィルムは視認性良好であったが、耐擦傷性が著しく低かった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防眩フィルムの一例の概略図(断面)である。
Claims (4)
- 透明フィルム上に、2種の微粒子及び樹脂から成る防眩層を設けてなる防眩フィルムであって、第1種の微粒子は球形であり、その平均径が1〜10μmであって、その量が該樹脂に対して5〜30重量%であり、第2種の微粒子は不定形であり、その平均径が5μm以下であって、その量が該樹脂に対して10重量%以下であり、かつ該防眩層の厚さが該第1種の微粒子の平均径以上であることを特徴とする防眩フィルム。
- 前記第2種の微粒子の屈折率が1.48以下である請求項1に記載の防眩フィルム。
- 前記第1種の微粒子の屈折率が1.55以上である請求項1又は2に記載の防眩フィルム。
- 前記樹脂が紫外線硬化型樹脂である請求項1〜3のいずれか一項に記載の防眩フィルム。
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