JP7034723B2 - 化合物半導体基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特に、転位の密度分布を最適化することで、より効果的にリーク電流の抑制効果を向上させることのできる化合物半導体基板に関する。
化合物半導体、一例として窒化ガリウム(GaN)を、例えば、シリコン(Si)からなる異種基板上に積層させた窒化物半導体基板では、SiとGaNとの格子定数の違いにより転位が窒化物半導体層中に発生する。
特に、窒化物半導体基板を用いたパワーデバイス(高移動度電界効果トランジスタ(HEMT)等)においては、積年の技術課題である縦方向のリーク電流の抑制(縦耐圧の向上)があり、この効果的な対策として、転位を減らす、あるいは、転位の形態を制御する技術も知られている。
特許文献1には、化合物半導体をエピタキシャル成長させることが可能な基板を用意する工程と、前記基板の表面上に化合物半導体をエピタキシャル成長させて転位を含む可能性を有するバッファ領域を得る工程と、前記バッファ領域の表面上に前記バッファ領域と異なる化合物半導体をエピタキシャル成長させ、前記バッファ領域の表面よりも平坦性の悪い表面を有し且つその表面に転位の延びる方向を屈折させることができる多数の突出部を有している転位屈折領域を得る工程と、前記転位屈折領域の表面上に前記転位屈折領域と異なる化合物半導体をエピタキシャル成長させ、前記転位屈折領域の表面よりも平坦性が良く且つ前記転位屈折領域よりも転位密度が小さい表面部分を有している平坦化領域を得る工程とを備えている半導体基体の製造方法が開示されている。
特許文献2には、Si単結晶基板の一主面上に窒化物からなる複数のバッファ層を介して窒化物半導体の活性層が形成されており、前記バッファ層は少なくとも前記活性層と接する層の炭素濃度が1E+18atoms/cm3以上1E+20atoms/cm3以下であること、前記バッファ層と前記活性層の界面領域において全転位密度に対するらせん転位密度の比が0.15以上0.3以下であること、さらに前記バッファ層と前記活性層の界面領域における前記全転位密度が15E+9cm-2以下であること、好ましくは、バッファ層と活性層の界面領域における全転位密度が、1.2E+9cm-2以上15E+9cm-2以下である窒化物半導体基板が開示されている。
特開2004-349387号公報 特開2013-80776号公報
特許文献1記載の技術では、転位屈折領域を設ける必要があり、製造コストの増加や、積層構造の設計自由度が制限される、といった不都合が生じていた。
特許文献2記載の技術は、らせん転位密度の含有率を適切化して、各種電気特性向上または基板の反り低減を図るものであるが、縦方向のリーク電流の抑制に関しては、その効果は必ずしも十分といえるものではなかった。
本発明は、上記に鑑み、縦方向のリーク電流の抑制効果を簡易かつ効果的に発揮できる化合物半導体基板の提供を目的とする。
本発明の化合物半導体基板の製造方法は、下地基板上にいずれも化合物半導体からなるバッファー層および動作層が順次積層された化合物半導体基板であって、
前記バッファー層は、前記下地基板と接して単層の第一初期層と単層の第二初期層とがこの順で積層された初期バッファー層と、前記初期バッファー層上に、層厚が2nm以上40nm以下で互いに組成の異なる少なくとも2種類の単層からなる複層が3回以上繰り返して積層された多層バッファー層とを含んだものであり、前記第二初期層に接して形成された前記多層バッファー層を第一多層バッファー層、前記第一多層バッファー層上に層厚50nm以上の単層の中間層を介して形成された前記多層バッファー層を第二多層バッファー層、前記第二初期層と前記第一多層バッファー層との界面を第一界面、および、前記中間層と前記第二多層バッファー層との界面を第二界面、としたときに、前記第一界面に対する前記第二界面のらせん転位密度の減少率が50%以上であり、前記第一多層バッファー層を前記第二多層バッファー層の成膜温度より高い温度で成膜することを特徴とする。
かかる構成を有することで、縦方向のリーク電流の抑制効果を簡易かつ効果的に発揮できる。この効果は、下地基板がシリコン単結晶、バッファー層および動作層がガリウム系窒化物半導体で構成される化合物半導体基板において、より効果的である。
本発明によれば、縦方向のリーク電流の抑制効果を簡易かつ効果的に発揮できる化合物半導体基板の提供が可能となる。
本発明に係る化合物半導体基板の一態様を示す断面概略図。 実施例1で転位をカウントした際に用いた断面TEM像。
以下、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。本発明に係る化合物半導体基板は、下地基板上にいずれも化合物半導体からなるバッファー層および動作層が順次積層された化合物半導体基板であって、前記バッファー層は、前記下地基板と接して単層の第一初期層と単層の第二初期層とがこの順で積層された初期バッファー層と、前記初期バッファー層上に、層厚が2nm以上40nm以下で互いに組成の異なる少なくとも2種類の単層からなる複層が3回以上繰り返して積層された多層バッファー層とを含んだものであり、前記第二初期層に接して形成された前記多層バッファー層を第一多層バッファー層、前記第一多層バッファー層上に層厚50nm以上の単層の中間層を介して形成された前記多層バッファー層を第二多層バッファー層、前記第二初期層と前記第一多層バッファー層の界面を第一界面、および、前記中間層と前記第二多層バッファー層の界面を第二界面としたときに、前記第一界面と前記第二界面のらせん転位密度の減少率が50%以上である。
図1は、本発明に係る化合物半導体基板の一態様を示す断面概略図である。ここでは、HEMT構造を用いて説明する。すなわち、化合物半導体基板Zとして、下地基板Sの一主面上に、バッファー層Bが積層され、その上に、動作層G(ここでは電子走行層10、電子供給層11、キャップ層12からなる積層構造)が形成されている。
なお、本発明で示す概略図は、説明のために形状を模式的に簡素化かつ強調したものであり、細部の形状、寸法、および比率は実際と異なる。また、同一の構成については符号を省略、さらに、説明に不要なその他の構成は記載していない。
下地基板Sは、Siの他に、炭化ケイ素(SiC)、サファイア(Al23)、窒化アルミニウム(AlN)、GaN等が挙げられる。また、単一材料で構成されたもの、異種材料で構成されたもの、のいずれでもよく、面方位やドーパント濃度、オフ角等の構成も任意に設定できる。
化合物半導体としては、Ga、アルミニウム(Al)、インジウム(In)等の13族元素と、窒素(N)またはヒ素(As)等の15族元素との組み合わせからなる化合物、または、炭化ケイ素(SiC)などの公知の材料を広く適用でき、特に制限されない。
バッファー層Bは、化合物半導体層が複数積層された構造であり、用途や目的に応じて、その構造は公知の手法を適用できるが、例えば、特許文献2に記載されるような、最初に適切な初期層を形成した後、1層以上で組成や不純物濃度が互いに異なる化合物半導体層を積層するものが好適といえる。
動作層Gは、デバイスとして機能する層、およびこの層の上に付帯する各種の層を総称したものである。図1に示すHEMTでは、電子走行層10、電子供給層11、キャップ層12が動作層Gに相当する。
化合物半導体基板Zは、下地基板S上にバッファー層Bと、動作層Gとが形成されたものであれば、特に構造や用途に制限はないが、高周波化、高耐圧化が可能なパワーデバイス用として特に好適といえる。
らせん転位密度の算出は、以下の要領で行う。すなわち、化合物半導体基板の主面中央部において、FIB(Focused Ion Beam)法で作製した断面TEM観察用試料を用いて、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)のウィークビーム法で観察して断面画像を取得する。そして、当該画像から、厚さ方向における任意の箇所で画像幅の線分(好適には、各層の界面)上に存在するらせん転位をカウントして、これを断面TEM試料の厚さから面積換算する。
本発明では、図1に示すようなバッファー層構造を用いる。なお、下地基板Sと化合物半導体からなるバッファー層との界面近傍で、らせん転位密度が急激に減少する効果が得られるのであれば、図1のようにバッファー層を複数層からなる構造にする必要はないが、らせん転位密度の減少効果を有意差が出るレベルで確認できること、効果の出る製造条件を比較的把握しやすいこと、等の理由で、図1の構造が好ましい。
まず、初期バッファー層10は、下地基板Sと接して単層の第一初期層11と単層の第二初期層12がこの順で積層されたものである。なお、初期バッファー層10の構造自体は公知である。
らせん転位密度の減少率を判断する場合、成長初期の転位カウントは、下地基板Sと第一初期層の界面で発生したらせん転位を観察するのが良い。しかし、当該界面のらせん転位のみを観察してらせん転位密度を正確に求めることは、実用上困難であるので、本発明では、観察がしやすく、かつ、転位発生初期の高いらせん転位密度が適切に表現されていると判断される、初期バッファー層10が形成された時点でのらせん転位を対象とする。
初期バッファー層10が第一初期層11だけで構成されている場合、所望の耐圧や平坦性を得るためにはかなり厚いものにする必要があり、そうすると、クラックの発生が懸念される。
初期バッファー層10上に、層厚が2nm以上40nm以下で互いに組成の異なる少なくとも2種類の単層からなる複層が3回以上繰り返して積層された多層バッファー層が形成されている。図1では、第一多層バッファー層m1、第二多層バッファー層m2がこれに相当する。
多層バッファー層自体も、公知の態様が適用できる。ここでは、一層当たりの層厚を2nm以上40nm以下とすることで、らせん転位低減効果を効果的に得る。2nm未満では層の平坦性に難が生じ、40nm超ではらせん転位低減効果が十分に得られない。
互いに組成の異なる少なくとも2種類の単層からなる複層が3回以上繰り返して積層されることで、らせん転位密度の低減や表面の平面化が効果的になされた多層バッファー層の構造が得られる。ここで、複層とは、互いに組成の異なる2層を交互に繰り返したものだけでなく、互いに組成の異なる3層以上の層を積層したものも含む。
また、上記の繰り返し回数も、公知の技術が適用できるが、らせん転位密度の低減効果の点で、最低でも複層が3回以上繰り返して積層される。繰り返し回数の上限は、基板全体の反り、化合物半導体の層厚の制限や、製造コスト等を勘案して決定され、特に制限はないが、通常は4~50回、好適には8~20回である。
そして、第二初期層12に接して形成された多層バッファー層を第一多層バッファー層m1、第一多層バッファー層m1上に層厚50nm以上の単層の中間層20を介して形成されたものが第二多層バッファー層m2である。
本発明では、下地基板Sから最も近い距離にある多層バッファー層を第一多層バッファー層m1としている。この第一多層バッファー層m1で、まず、らせん転位密度が大幅に低減されるが、ここでらせん転位密度をどれだけ減少させられるかで、本発明の効果が得られるか否かが決定される。
ところで、バッファー層に多層構造を用いるとき、繰り返し回数をあまり多くすること、言い換えると、多層構造の厚さをあまり厚くすると、前述のような不具合(特に基板全体の反り増大)が懸念されるので、図1に示すように、多層バッファー層をある程度積層したら、一旦厚い中間層20を介して、再度新たな多層バッファー層を形成するとよい。
中間層20は、単層の化合物半導体で構成され、その層厚は、多層構造で用いられる各層の中で最も厚いものよりさらに厚くする。このようにすることで、基板全体の反り制御性を向上させる。そのため、中間層20の層厚は50nm以上とする。なお、上限は格別制限されないが、前述の、基板全体の反り、化合物半導体の層厚の制限や、製造コスト等を勘案して決定され、おおむね300nmとする。
なお、本発明では、第一多層バッファー層m1、中間層20、第二多層バッファー層m2を最低でも一組有していればよい。そして、第二多層バッファー層m2の上に、更に、単層の中間層20を介した第三、第四、更にはこれ以上の多層バッファー層が繰り返し形成されたものであってもよい。
前記第二初期層と前記第一多層バッファー層との界面を第一界面、前記中間層と前記第二多層バッファー層の界面を第二界面、としたときに、前記第一界面と前記第二界面のらせん転位密度の減少率は50%以上である。
図2に、実施例1でらせん転位をカウントした際に用いた断面TEM像を示す。ここで、図中のx1が第一界面、x2が第二界面である。
らせん転位密度は画像からカウントするので、下地基板Sの界面、多層バッファー層m1,m2の界面は、非常に画像が見づらく、カウントしにくい。そのため、当該界面から、所定の厚さを有する単層を介した一つ上に位置する界面を、らせん転位カウント箇所として選択する。
本発明の特徴は、上記の通り、下地基板とバッファー層の界面からさほど離れていない領域で、らせん転位密度を急激に低下させることにある。
図1に示す形態において、下地基板Sに導電性のものを用いた場合における化合物半導体層の厚さ方向の耐圧としては、下地基板Sを接地して動作層G側に正の電圧を印加する電界方向の耐圧が、デバイス応用的には重要となる。この際のリーク電流を抑制するための主要因は、下地基板と化合物半導体層との仕事関数差によって界面に生じるショットキーバリアである。界面付近の電界強度が等しい場合、ショットキーバリアの高さが高いほど、リーク電流の抑制を図ることができる。従来技術のバッファー層の高抵抗化がもたらすリーク低減は、ショットキーバリア部分にかかる電界強度を弱め、結果としてリーク電流を減らす効果を生み出している。一方、本発明においては、ショットキーバリア高さをより高く保つことを念頭に検討を行った。
ショットキーバリア高さは種々の要因により、物性で決まるべき理想値から低下するのが一般的である。特に下地基板と化合物半導体層との界面に欠陥が存在すると、欠陥がキャリアをトラップし、フェルミレベルのピニング効果により化合物半導体層側の空乏化を妨げると同時に実効的なショットキーバリア高さが下がり、結果、リーク電流が増加することが知られている。
ヘテロエピタキシャル成長においては界面には高密度のミスフィット転位が発生し、上記界面欠陥によるショットキーバリア高さの低下は避けられない。そこで本発明においては、界面近傍の欠陥密度をできるだけ低くすること、すなわち界面で発生したミスフィット転位をできるだけ速やかに減少させることに着目した結果、縦方向のリーク電流が抑制できることを見出した。この抑制のメカニズムは、ショットキーバリア高さの低下を最小限にとどめられたためと推定する。
本発明は、下地基板Sがシリコン単結晶、バッファー層Bおよび動作層Gがガリウム系窒化物半導体で構成されると、よりその効果が発揮される。Siの格子定数は0.543nm、GaNの格子定数は0.3189nm(a軸)であり、Si基板上にGaN層を積層する場合、下地基板SにSiC、Al23を用いた場合よりも格子定数の差は大きいので、転位の多発は不可避である。
この転位密度を低減する技術も多数存在するが、これらを駆使したとしても、下地基板Sと動作層Gの間に介在するバッファー層Bには、どうしても所定の密度で転位が残る。これに対して、本発明では、化合物半導体層の全体的な転位密度を低減する従来のアプローチとは異なる着眼点、すなわち、界面付近の転位密度のプロファイルを制御することのみで、縦方向のリーク電流を、顕著とまでは言えないものの、有意に低減できる。
本発明では、らせん転位密度が50%以上減少したときにリーク電流がより低減した、とする。下地基板Sと化合物半導体層との格子定数差の大小が、この閾値に影響する可能性はあるが、おおむね界面で発生したらせん転位密度の半分以下であれば、本発明の効果は発揮されるといえる。より好ましくは、56%以上減少である。
本発明の化合物半導体基板を得るための、好適な一製造方法としては、バッファー層Bを気相成長法で成膜する際に、少なくとも第一多層バッファー層m1の成膜温度を第2多層バッファー層m2の成膜温度より高くするというものである。
成膜温度の絶対値に明確な意義があるかまでは、十分な解析が進んでいないが、成膜温度を上げると結晶品質が向上し、電気的にドナーライクの働きをするらせん転位が減少する。しかし同時にドナーを補償する不純物炭素の濃度も減少するため、結晶品質と不純物炭素濃度とのバランスが重要となる。このバランスを考え、結晶品質の向上の方がリーク電流低減に大きく寄与する温度条件であればよい。成膜温度を上げると結晶品質が向上し、らせん転位が減少する理由としては、高い成膜温度では、横方向成長が促進され、それに伴い転位が曲がることによって、転位同士が対消滅するためと考えられる。
以上の通り、本発明によれば、縦方向のリーク電流の抑制効果を簡易かつ効果的に発揮できる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、下記実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
下地基板Sとして、pタイプで、結晶面方位(111)、6インチSi単結晶基板を公知の基板洗浄方法で清浄化した後、MOCVD装置内にセットして、装置内をキャリアガスで置換後昇温し、1000℃×15分間、水素100%雰囲気で保持する熱処理を行い、シリコン単結晶表面の自然酸化膜を除去した。
次に、初期バッファー層10として、原料ガスにトリメチルアルミニウム(TMA)、アンモニア(NH3)を用い、厚さ70nmのAlNからなる第一初期層11を、成長温度1000℃で気相成長させた。前記第一初期層11の上に、第二初期層12として、原料ガスにトリメチルガリウム(TMG)、TMA、NH3を用い、第一初期層11と同程度の炭素濃度を有し、厚さ330nmのAl0.1Ga0.9N層を成長温度1170℃、成膜圧力60hPaで気相成長させて積層した。
次に、第一多層バッファー層m1として、TMG、TMA、NH3を用い、層厚5nmのAlN層と層厚30nmのGaN層とを交互に8回形成した。この時の成膜温度は1170℃、成膜圧力60hPaとした。さらに、中間層20として、250nmのGaN層を250nm積層した。
第二多層バッファー層m2は前記第一多層バッファー層m1と同様にして積層し、前記中間層20と同じ層をさらにその上に形成した。このようにして、計六つの化合物の組成からなる多層バッファー層+中間層の組み合わせを形成した。以上、初期バッファー層10も含めて、バッファー層Bとした。
その後、動作層Gとして、厚さ1400nmのGaN単結晶からなる電子走行層101と、その上に、厚さ20nmのAl0.2Ga0.8N単結晶からなる電子供給層102と、更に、厚さ2nmのGaN単結晶からなるキャップ層103を成膜した。以上の様にして、実施例1の評価用窒化物半導体基板を作製した。
[比較例1]
第一多層バッファー層m1を、成長温度1140℃、成膜圧力60hPaで気相成長させて積層したこと以外は、実施例1と同等の条件にて、比較例1の評価用窒化物半導体基板を作製した。
[実施例2]
第一多層バッファー層m1として、TMG、TMA、NH3を用い、層厚5nmのAlN層と層厚30nmのAl0.15Ga0.85N層を交互に8回形成した。さらに、中間層20として、Al0.15Ga0.85N層を250nm積層した。なお、第二多層バッファー層m2は前記m1と同様にした。
第一多層バッファー層m1を、成長温度1180℃、成膜圧力60hPaで気相成長させて積層したこと以外は、実施例1と同等の条件にて、実施例2の評価用窒化物半導体基板を作製した。
[比較例2]
第一多層バッファー層m1を、成長温度1155℃、成膜圧力60hPaで気相成長させて積層したこと以外は、実施例2と同等の条件にて、比較例2の評価用窒化物半導体基板を作製した。
[評価1~らせん転位密度]
汎用のTEMを用いたウィークビーム法により、らせん転位密度を求めた。評価用窒化物半導体基板の主面中央部において、FIB法で断面TEM観察用試料を作製し、下地基板Sとバッファー層Bの界面から動作層Gにかけて径方向約3000nm×厚さ方向約5000nmの範囲を観察した画像を取得し、前記界面から厚さ方向にほぼ等間隔で10ポイントを選択し、各ポイントにおける画像幅のライン上に存在するらせん転位の本数をカウントし、面積換算することでらせん転位密度(本/cm2)とした。
なお、らせん転位密度は各ポイントで面積換算するので、断面TEM試料の厚さを知る必要がある。そのため、任意の厚さの断面TEM試料を作製することができるFIB法で作製することが望ましいといえる。
[評価2~縦方向のリーク電流]
各評価用窒化物半導体基板から、基板主面の中央部から基板端部にかけて幅2mmの短冊状の試験片をそれぞれ劈開して切り出した。次に、この試験片のキャップ層103および電子供給層102、および電子走行層101の一部を、ドライエッチングにより除去した。この状態で、ドライエッチングで露出した面に10mm2のAu電極を真空蒸着してショットキー電極として形成し、市販のカーブトレーサを用いて、Si単結晶基板側と通電してI-V特性を測定して、600Vでの電流値を比較した。
以上、実施例1,2、および、比較例1,2の評価結果を、表1にまとめて示す。
Figure 0007034723000001
実施例1と比較例1との対比では、らせん転位密度の減少率については、実施例1が60%、比較例1が48%、実施例1と比較例1の減少率の差は12%であった。
実施例2と比較例2との対比では、らせん転位密度の減少率については、実施例2が56%、比較例2が44%であった。実施例2と比較例2の減少率の差は12%であった。
すなわち、同一構造同士で比較した場合、バッファー層Bの成膜温度が高く、らせん転位密度の減少率が50%以上と大きい実施例1および実施例2の方が、バッファー層Bの成膜温度が低く、らせん転位密度の減少率が50%未満と小さい比較例1および比較例2よりも、リーク電流が抑制されていることがわかった。
また、実施例2は、らせん転位密度の減少率が実施例1より小さいが、リーク電流は実施例2の方が実施例1よりも小さい。これは多層バッファー層および中間層がAlGaNである実施例2の方が、多層バッファー層および中間層がGaNである実施例1よりもリーク電流の抑制効果が高いためと考えられる。
同様に比較例2と比較例1とを比べると、らせん転位密度の減少率は比較例2の方が比較例1よりも小さいが、多層バッファー層および中間層がAlGaNである比較例2の方が、多層バッファー層および中間層がGaNである比較例1よりもリーク電流が小さい。
このことから、多層バッファー層および中間層がAlGaNの場合は、GaNの場合よりもリーク電流は抑えられ、これに加えて、第一界面から第二界面にかけてのバッファー層初期でのらせん転位密度の減少率が50%以上と大きいことで、リーク電流の抑制効果がより高くなることがわかった。
Z 化合物半導体基板
S 下地基板
B バッファー層
10 初期バッファー層
11 第一初期バッファー層
12 第二初期バッファー層
m1 第一多層バッファー層
m2 第二多層バッファー層
20 中間層
x1 第一界面
x2 第二界面
G 動作層
101 電子走行層
102 電子供給層
103 キャップ層

Claims (2)

  1. 下地基板上にいずれも化合物半導体からなるバッファー層および動作層が順次積層された化合物半導体基板であって、
    前記バッファー層は、前記下地基板と接して単層の第一初期層と単層の第二初期層とがこの順で積層された初期バッファー層と、前記初期バッファー層上に、層厚が2nm以上40nm以下で互いに組成の異なる少なくとも2種類の単層からなる複層が3回以上繰り返して積層された多層バッファー層とを含んだものであり、
    前記第二初期層に接して形成された前記多層バッファー層を第一多層バッファー層、
    前記第一多層バッファー層上に層厚50nm以上の単層の中間層を介して形成された前記多層バッファー層を第二多層バッファー層、前記第二初期層と前記第一多層バッファー層との界面を第一界面、および、前記中間層と前記第二多層バッファー層との界面を第二界面、としたときに、前記第一界面に対する前記第二界面のらせん転位密度の減少率が50%以上であり、
    前記第一多層バッファー層を前記第二多層バッファー層の成膜温度より高い温度で成膜することを特徴とする化合物半導体基板の製造方法。
  2. 前記下地基板がシリコン単結晶、前記バッファー層および前記動作層がガリウム系窒化物半導体で構成されることを特徴とする請求項1記載の化合物半導体基板の製造方法
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JP2007250721A (ja) 2006-03-15 2007-09-27 Matsushita Electric Ind Co Ltd 窒化物半導体電界効果トランジスタ構造
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