つぎに、本発明について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
本発明の樹脂成形装置においては、例えば、前記他方の型が前記樹脂成形ステージに固定され、前記一方の型が、前記各ステージに対し着脱可能であるとともに、前記各ステージ間を移動可能であってもよい。
本発明の樹脂成形装置において、例えば、前記樹脂成形ステージは、さらに、前記樹脂成形品を、前記一方の型に固定された状態で前記他方の型から離型させ、前記エジェクトステージは、前記樹脂成形品を、前記成形型における前記一方の型から離型させてもよい。
本発明の樹脂成形装置においては、例えば、前記一方の型及び前記他方の型の両方が、前記各ステージに対し着脱可能であるとともに、前記各ステージ間を移動可能であってもよい。
本発明の樹脂成形装置において、例えば、前記エジェクトステージは、前記樹脂成形後品を、前記一方の型に固定された状態で前記他方の型から離型し、さらに、前記樹脂成形品を、前記成形型における前記一方の型から離型させてもよい。
本発明の樹脂成形装置は、例えば、さらに、キュアステージを含み、前記キュアステージは、前記成形型内の樹脂を硬化させてもよい。
本発明の樹脂成形装置は、例えば、
さらに、前記一方の型キャビティに流動性樹脂を注入する流動性樹脂注入部材と、前記流動性樹脂が硬化した不要樹脂部を除去する不要樹脂部除去部材とを含み、
前記流動性樹脂注入部材が、前記流動性樹脂との当接面に、凸部及び凹部の少なくとも一方を有し、
前記不要樹脂部除去部材が、前記不要樹脂部との当接面に、凸部及び凹部の少なくとも一方を有していてもよい。
本発明の樹脂成形装置は、例えば、さらに、前記一方の型と前記他方の型との型開きを抑制する型開き抑制部材を含んでいてもよい。
本発明の樹脂成形装置は、例えば、さらに、前記成形型を昇温する昇温機構と、前記樹脂成形品を冷却する樹脂成形品冷却機構とを含んでいてもよい。
本発明の樹脂成形装置において、前記一方の型は、型キャビティ(一方の型キャビティ)を有していてもよいし、有していなくてもよい。また、本発明の樹脂成形装置において、前記他方の型は、型キャビティ(他方の型キャビティ)を有していてもよいし、有していなくてもよい。例えば、本発明の樹脂成形装置において、前記一方の型が型キャビティ(一方の型キャビティ)を有し、前記他方の型は型キャビティを有していなくてもよい。また、本発明の樹脂成形装置において、前記一方の型が一方の型キャビティを有し、かつ、前記他方の型が他方の型キャビティを有していてもよい。すなわち、本発明の樹脂成形装置において、前記一方の型及び前記他方の型の両方が型キャビティを有していてもよい。
本発明の樹脂成形装置における前記他方の型において、前記一方の型と対向する面とは、例えば、型開き方向に対し垂直な面をいう。また、前記一方の型と対向する面とは、前記他方の型キャビティ以外の面(例えば、余剰樹脂収容部の面、樹脂流路の面等)も含むものとする。本発明の樹脂成形装置における前記一方の型において、前記他方の型と対向する面とは、例えば、型開き方向に対し垂直な面をいう。また、前記他方の型と対向する面とは、前記一方の型キャビティ以外の面(例えば、余剰樹脂収容部の面、樹脂流路の面、ランナの面等)も含むものとする。
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、前記第1の離型工程を、前記樹脂成形ステージにおいて行ってもよい。
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、前記第1の離型工程を、前記エジェクトステージにおいて行ってもよい。
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、さらに、キュアステージにおいて前記成形型内の樹脂を硬化させる樹脂硬化工程を含んでいてもよい。
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、
さらに、
流動性樹脂注入部材を用いて前記一方の型キャビティに流動性樹脂を注入する流動性樹脂注入工程と、
不要樹脂部除去部材を用いて前記流動性樹脂が硬化した不要樹脂部を除去する不要樹脂部除去工程と、を含み、
前記流動性樹脂注入部材が、前記流動性樹脂との当接面に、凸部及び凹部の少なくとも一方を有し、
前記不要樹脂部除去部材が、前記不要樹脂部との当接面に、凸部及び凹部の少なくとも一方を有していてもよい。
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、前記成形工程において、型開き抑制部材を用いて前記一方の型と前記他方の型との型開きを抑制してもよい。
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、前記離型工程において、前記成形型を昇温するとともに、前記樹脂成形品を冷却してもよい。
本発明の樹脂成形品の製造方法において、前記一方の型は、型キャビティ(一方の型キャビティ)を有していてもよいし、有していなくてもよい。また、本発明の樹脂成形品の製造方法において、前記他方の型は、型キャビティ(他方の型キャビティ)を有していてもよいし、有していなくてもよい。例えば、本発明の樹脂成形品の製造方法において、前記一方の型が型キャビティ(一方の型キャビティ)を有し、前記他方の型は型キャビティを有していなくてもよい。また、本発明の樹脂成形品の製造方法において、前記一方の型が一方の型キャビティを有し、かつ、前記他方の型が他方の型キャビティを有していてもよい。すなわち、本発明の樹脂成形品の製造方法において、前記一方の型及び前記他方の型の両方が型キャビティを有していてもよい。
本発明の樹脂成形品の製造方法における前記他方の型において、前記一方の型と対向する面とは、例えば、型開き方向に対し垂直な面をいう。また、前記一方の型と対向する面とは、前記他方の型キャビティ以外の面(例えば、余剰樹脂収容部の面、樹脂流路の面等)も含むものとする。本発明の樹脂成形品の製造方法における前記一方の型において、前記他方の型と対向する面とは、例えば、型開き方向に対し垂直な面をいう。また、前記他方の型と対向する面とは、前記一方の型キャビティ以外の面(例えば、余剰樹脂収容部の面、樹脂流路の面、ランナの面等)も含むものとする。
本発明の樹脂成形品の製造方法は、例えば、前記本発明の樹脂成形装置を用いて行ってもよい。
本発明において、樹脂成形品は、特に限定されず、例えば、単に樹脂を成形した樹脂成形品でもよいし、チップ等の部品を樹脂封止した樹脂成形品でもよい。本発明において、樹脂成形品は、例えば、電子部品等であってもよい。また、本発明において、樹脂成形品は、例えば、完成品の製品であってもよいが、未完成の半製品であってもよい。
本発明において、「樹脂成形」又は「樹脂封止」とは、例えば、樹脂が硬化(固化)した状態であることを意味する。ただし、本発明において、「樹脂成形」又は「樹脂封止」とは、前記の意味に限定されず、例えば、前記樹脂が完全に硬化(固化)していない半硬化(半固化)状態であってもよい。前記半硬化(半固化)状態は、例えば、前記樹脂が成形型から離型可能な程度に、又は成形型とともに搬送可能な程度に硬化(固化)した状態でもよい。
本発明において、成形前の樹脂材料及び成形後の樹脂としては、特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。また、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂を一部に含んだ複合材料であってもよい。本発明において、成形前の樹脂材料の形態としては、例えば、顆粒樹脂、流動性樹脂、シート状の樹脂、タブレット状の樹脂、粉状の樹脂等が挙げられる。本発明において、前記流動性樹脂とは、流動性を有する樹脂であれば、特に制限されず、例えば、液状樹脂、溶融樹脂等が挙げられる。本発明において、前記液状樹脂とは、例えば、室温で液体である、又は流動性を有する樹脂をいう。本発明において、前記溶融樹脂とは、例えば、溶融により、液状又は流動性を有する状態となった樹脂をいう。前記樹脂の形態は、成形型のキャビティやポット等に供給可能であれば、その他の形態でも構わない。
また、一般に、「電子部品」は、樹脂封止する前のチップをいう場合と、チップを樹脂封止した状態をいう場合とがあるが、本発明において、単に「電子部品」という場合は、特に断らない限り、前記チップが樹脂封止された電子部品(完成品としての電子部品)をいう。本発明において、「チップ」は、樹脂封止する前のチップをいい、具体的には、例えば、IC、半導体チップ、電力制御用の半導体素子等のチップが挙げられる。本発明において、樹脂封止する前のチップは、樹脂封止後の電子部品と区別するために、便宜上「チップ」という。しかし、本発明における「チップ」は、樹脂封止する前のチップであれば、特に限定されず、チップ状でなくてもよい。
本発明において、「フリップチップ」とは、ICチップ表面部の電極(ボンディングパット)にバンプと呼ばれる瘤状の突起電極を有するICチップ、あるいはそのようなチップ形態のことをいう。このチップを、下向きに(フェースダウン)してプリント基板などの配線部に実装させる。前記フリップチップは、例えば、ワイヤレスボンディング用のチップあるいは実装方式の一つとして用いられる。
本発明において、例えば、基板の両面を樹脂成形して樹脂成形品を製造してもよい。また、例えば、基板の両面に実装された部品(例えばチップ、フリップチップ等)を樹脂封止(樹脂成形)して樹脂成形品を製造してもよい。本発明において、前記基板(インターポーザともいう。)としては、特に限定されないが、例えば、リードフレーム、配線基板、ウェハー、セラミック基板等であっても良い。前記基板は、例えば、前述のとおり、その一方の面又は両面にチップが実装された実装基板であっても良い。前記チップの実装方法は、特に限定されないが、例えば、ワイヤーボンディング、フリップチップボンディング等が挙げられる。本発明では、例えば、前記実装基板の両面を樹脂封止することにより、前記チップが樹脂封止された電子部品を製造しても良い。また、本発明の樹脂封止装置により樹脂封止される基板の用途は、特に限定されないが、例えば、携帯通信端末用の高周波モジュール基板、電力制御用モジュール基板、機器制御用基板等が挙げられる。
また、本発明において、「装着」は、「載置」又は「固定」を含む。さらに、本発明において、「載置」は「固定」を含む。
また、本発明において、「成形型」は、特に限定されないが、例えば、金型、又はセラミック型等である。
また、本発明において、樹脂成形品の製造方法は、トランスファ成形、射出成形、圧縮成形等の任意の成形方法でよい。また、樹脂成形装置は、例えば、トランスファ成形装置、射出成形装置等、圧縮成形装置の任意の樹脂成形装置でよい。後述する実施例1~3では、トランスファ成形装置である樹脂成形装置を用い、トランスファ成形により樹脂成形品を製造する例を示す。
本発明の樹脂成形装置は、前述の通り、樹脂成形ステージとは別のステージを有し、その別のステージ内に成形型を搬送することが可能である。図4に、その一例における概要を、模式的に示す。図示のとおり、この樹脂成形装置は、昇温ステージS1と、樹脂成形ステージS2と、キュアステージS3と、エジェクトステージS4とを有する。そして、成形型1000を、前記各ステージ間を前記順序で移動させ、樹脂成形品1bを製造する。その後、成形型1000を、再度昇温ステージS1に戻し、再度同じ樹脂成形品の製造方法を実施することができる。このように、成形型を前記各ステージ間において循環させる構成を用いることで、例えば、成形型の部品点数を低減させ、成形型の製造期間やコストを低減することができる。
ただし、図4は、単なる例示であって、本発明をなんら限定しない。例えば、キュアステージS3は、本発明の樹脂成形装置では任意であり、あっても無くてもよい。後述する実施例1及び2では、キュアステージを用いない例を示し、後述する実施例3では、キュアステージを用いる例を示す。また、図4の成形型1000の構成も例示であって、本発明の樹脂成形装置における成形型の構成は、これに限定されない。なお、図4の成形型1000は、図示のとおり、上型(他方の型)100及び下型(一方の型)200を含む。上型100は、その下面側に、上型キャビティ(他方の型キャビティ)101を有し、下型200は、その上面側に、下型キャビティ(一方の型キャビティ)201を有する。下型200は、その下面側に、カル(余剰樹脂収容部)202を有する。カル202は、ゲート(樹脂流路)203を介して下型キャビティ201の下面につながっている。成形型1000は、例えば、上型(他方の型)100が樹脂成形ステージに固定され、下型(一方の型)200のみが、前記各ステージに対し着脱可能であるとともに、前記各ステージ間を移動可能であってもよい。また、成形型1000は、例えば、上型(他方の型)100及び下型(一方の型)200の両方が、前記各ステージに対し着脱可能であるとともに、前記各ステージ間を移動可能であってもよい。また、図4の樹脂成形品1bは、基板1の両面が、それぞれ樹脂(硬化樹脂)20で樹脂成形されている。しかしながら、本発明において製造することができる樹脂成形品の構成は、図4の樹脂成形品1bの構成に限定されない。
以下、本発明の具体的な実施例を図面に基づいて説明する。各図は、説明の便宜のため、適宜省略、誇張等をして模式的に描いている。
本実施例では、樹脂成形装置の一例と、それを用いた樹脂成形品の製造方法の一例とについて説明する。
図1Aの工程(a)~(f)及び図1Bの工程(g)~(n)に、本実施例の樹脂成形装置における一部の構成と、前記樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法における工程とを模式的に示す。また、図1Cの工程(l1)~(o1)に、図1A及び図1Bの樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法の変形例を示す。なお、図1A、図1B及び図1Cは、便宜上、図1を3つに分けて図示したものである。以下において、図1A、図1B及び図1Cの一部又は全部を「図1」という場合がある。
本実施例の樹脂成形装置は、後述するように、成形型と、昇温ステージと、樹脂成形ステージと、エジェクトステージとを含む。そして、後述するように、前記成形型における上型(他方の型)が前記樹脂成形ステージに固定され、下型(一方の型)が、前記各ステージに対し着脱可能であるとともに、前記各ステージ間を移動可能である。
図1の工程(a)~(n)に示す樹脂成形品の製造方法は、以下のようにして行うことができる。まず、図1(a)に示すとおり、下型(一方の型)200を準備する。図示のとおり、下型200は、その上面側に、下型キャビティ(一方の型キャビティ)201を有する。また、下型200は、その下面側に、カル(余剰樹脂収容部)202を有する。カル202は、ゲート(樹脂流路)203を介して下型キャビティ201につながっている。下型200は、昇温ステージと、樹脂成形ステージと、エジェクトステージとの各ステージに対し着脱可能であるとともに、前記各ステージ間を移動可能である。
つぎに、図1(b)に示すように、下型200を昇温する(昇温工程)。具体的には、まず、下型200を、昇温ステージに移動させる。図1(b)に示すとおり、この昇温ステージは、昇温台2200を含む。昇温台は、その内部に、ヒータ2201を有する。ヒータ2201は、特に限定されないが、例えば、カートリッジヒータ等でもよい。そして、図示のとおり、下型200を昇温台2200の上に載置した状態で、下型200の上面に、基板(フレーム)1を供給する。そして、この状態で、下型200及び基板1を、昇温台2200及びヒータ2201により昇温する。なお、基板1には、例えば、貫通孔(図示せず)が設けられていてもよい。例えば、この基板1の貫通孔により、後述するように、流動性樹脂が、下型キャビティ(一方の型キャビティ)側から上型キャビティ(他方の型キャビティ)側に流動することができる。
そして、図1(c)に示すように、下型200及び基板1の昇温後、下型200及び基板1を樹脂成形ステージに移動させる。
つぎに、図1(d)~(i)に示すように、樹脂成形ステージにおいて樹脂成形を行う(樹脂成形工程)。また、本実施例では、後述するように、樹脂成形ステージにおいて、樹脂成形後の樹脂を、樹脂成形品固定機構(カル202及びゲート203)によって下型(一方の型)200に固定された状態で、上型(他方の型)100から離型する(第1の離型工程)。
図1(d)に示すように、この樹脂成形装置における樹脂成形ステージは、上プラテン(他方のプラテン)3100と、下プラテン(一方のプラテン)3200とを含む。上プラテン3100は、その内部にヒータ3101を含み、下プラテン3200は、その内部に、ヒータ3201を含む。ヒータ3101及び3201は、特に限定されないが、例えば、カートリッジヒータであってもよい。上プラテン3100は、図示のとおり、その下面に、上型(他方の型)100が固定されている。上型100は、その下面側に、上型キャビティ(他方の型キャビティ)101を有する。また、下プラテン3200は、図示のとおり、ポット3204を有し、その中に、タブレット(樹脂材料)20aを収容可能である。また、樹脂成形ステージは、図示のとおり、さらに、プランジャ駆動機構(流動性樹脂注入部材駆動機構)3202及びプランジャ(流動性樹脂注入部材)3203を含む。プランジャ駆動機構3202によりプランジャ3203を駆動させることで、後述するように、下型キャビティ(一方の型キャビティ)201に流動性樹脂を注入することができる。また、プランジャ3203は、図示のとおり、流動性樹脂との当接面に、溝(凹部)3205を有する。
図1(d)に示すとおり、下型200及び基板1を矢印a1の方向に搬送し、樹脂成形ステージ内における上プラテン3100と下プラテン3200との間に移動させる。下型200の搬送には、例えば、搬送機構(図示せず)を用いてもよい。また、図1(d)に示すとおり、タブレット(樹脂材料)20aを、ポット3204に供給する。
そして、図1(e)に示すとおり、下型200が下プラテン3200に固定され、樹脂材料20aがポット3204に収容された状態とする。この状態で、成形型1000の上型100及び下型200は、成形可能な温度に昇温されていることが好ましい。
さらに、図1(f)に示すとおり、成形型1000の上型100及び下型200を型締めする。このとき、図示のとおり、昇温されている下型200により、ポット3204内の樹脂材料20aが溶融して溶融樹脂(流動性樹脂)20bとなっている。
つぎに、図1(g)に示すとおり、プランジャ駆動機構3202によってプランジャ3203を矢印b1の方向に上昇させる。これにより、図示のとおり、流動性樹脂20bが、カル(不要樹脂収容部)202及びゲート(樹脂流路)203を介して下型キャビティ201内に充填され、さらに、基板1の貫通孔(図示せず)を介して上型キャビティ101内にも充填される。このとき、カル202及びゲート203が存在することで、流動性樹脂20bの体積にばらつきがあっても、上型キャビティ101内及び下型キャビティ201内の樹脂圧の変化を抑制又は防止することができる。
なお、カル(不要樹脂収容部)202及びゲート(樹脂流路)203は、後述するように、樹脂成形後の樹脂を下型200に固定する「樹脂成形品固定機構」として機能する。ただし、本発明の樹脂成形装置における樹脂成形型は、前記樹脂成形機構を有する形態に限定されない。例えば、本発明の樹脂成形装置における樹脂成形型は、前記樹脂成形機構に加え、又はこれに代えて、前記他方の型において、前記一方の型と対向し、かつ樹脂と接触する面の面積よりも、前記一方の型において、前記他方の型と対向し、かつ樹脂と接触する面の面積の方が大きいことにより、樹脂成形後の樹脂を、前記一方の型に固定された状態で前記他方の型から離型可能であってもよい。具体的には、例えば、図1(g)に示すように、下型キャビティ(一方の型キャビティ)201の側面201aと、上型キャビティ(他方の型キャビティ)101の側面101aとの傾斜角度(テーパ角度)が異なっていてもよい。同図では、下型キャビティ201の側面201aよりも、上型キャビティ101の側面101aの方が、傾斜角度が緩やかで、より水平に近くなっている。これにより、上型(他方の型)100において、下型(一方の型)200と対向し、かつ樹脂と接触する面(すなわち、上型100上面)の面積よりも、下型(一方の型)200において、上型(他方の型)100と対向し、かつ樹脂と接触する面(すなわち、下型200底面)の面積の方が大きくなっている。すなわち、上型100において、型開き方向に垂直であり、かつ樹脂と接触する面(上型100上面)の面積よりも、下型200において、型開き方向に垂直であり、かつ樹脂と接触する面(下型200底面)の面積の方が大きい。したがって、図1の成形型1000では、型開きした際に、下型200に樹脂成形品が固定されやすくなっている。また、本発明では、前記他方の型において、前記一方の型と対向し、かつ樹脂と接触する面の面積よりも、前記一方の型において、前記他方の型と対向し、かつ樹脂と接触する面の面積の方が大きい具体例は、これに限定されない。例えば、一方の型キャビティの底面積が他方の型キャビティの底面積よりも大きいことにより、樹脂成形品が前記一方の型キャビティに固定されやすくなっていてもよい。また、例えば、一方の型キャビティと他方の型キャビティとの形状が同じであっても、一方の型キャビティが他方の型キャビティよりも大きいことで、樹脂成形品が前記一方の型キャビティに固定されやすくなっていてもよい。
そして、図1(h)に示すとおり、流動性樹脂20bを硬化(固化)させた後に、上型100と下型200とを型開きする。なお、流動性樹脂20bを硬化(固化)させる方法は、特に限定されず、公知の方法を適宜用いてもよい。例えば、流動性樹脂20bが熱硬化性樹脂である場合は、上型100及び下型200の加熱を継続することで、流動性樹脂20bを硬化(固化)させてもよい。また、例えば、流動性樹脂20bが熱可塑性樹脂である場合は、上型100及び下型200を冷却又は放冷することで、流動性樹脂20bを硬化(固化)させてもよい。図1(h)では、上型キャビティ101内及び下型キャビティ201内の流動性樹脂20bが硬化して硬化樹脂20となっている。また、カル(余剰樹脂収容部)202及びゲート(樹脂流路)203内の樹脂が硬化して余剰樹脂(不要樹脂部)20dとなっている。不要樹脂部20dのうち、プランジャの溝(凹部)3205内で硬化した部分は、突起状の不要樹脂部(突起)20eとなっている。
ここで、カル202及びゲート203(樹脂成形品固定機構)の形状は、図示のとおり、上方に行くほど細くなっている。これにより、図1(h)に示すとおり、型開きした際に、不要樹脂部20dとつながっている樹脂成形品(硬化樹脂20及び基板1)が、下型200に固定された状態で、上型100のみが樹脂成形品(硬化樹脂20及び基板1)から離型される(第1の離型工程)。
つぎに、図1(i)に示すとおり、下型200を、樹脂成形品及び不要樹脂部とともに、樹脂成形ステージの外に搬送する。
さらに、図1(j)~(l)に示すとおり、カル排出ステージ(不要樹脂部除去ステージ)において、不要樹脂部20dを樹脂成形品から除去する(不要樹脂部除去工程)。
図1(j)に示すとおり、この樹脂成形装置のカル排出ステージ(不要樹脂部除去ステージ)は、カル排出用のロッド(不要樹脂部除去部材)4000を含む。カル排出用のロッド4000は、不要樹脂部20dとの当接面に、プランジャの溝3205と同形同大の溝(凹部)4001を有する。
図1(j)に示すとおり、カル排出用のロッド4000を、矢印c1の方向に上昇させる。これにより、図1(k)に示すように、カル排出用のロッド4000を、不要樹脂部20dに当接させる。このとき、図示のとおり、不要樹脂部(突起)20eが、カル排出用ロッドの溝(凹部)4001にはめ込まれる。その状態で、図示のとおり、カル排出用のロッド4001を、矢印d1の方向に回転させる。これにより、不要樹脂部20dをねじ切って下型キャビティ201内の硬化樹脂20から分離する。
その後、図1(l)に示すとおり、カル排出用ロッド4000を、矢印c2の方向に下降させる。これにより、図示のとおり、カル排出用ロッド4000に接している不要樹脂部20d及び20eが下降し、下型キャビティ201内の硬化樹脂20から完全に分離される。これにより、図示のとおり、基板1の両面が硬化樹脂20により樹脂成形された、樹脂成形品1bが製造される。
つぎに、下型200を、樹脂成形品1bとともにエジェクトステージ内に移動させる。そして、図1(m)及び(n)に示すとおり、エジェクトステージにおいて樹脂成形品1bを下型200から離型させる(第2の離型工程)。
図1(m)に示すとおり、この樹脂成形装置のエジェクトステージは、冷却台5000を含む。冷却台5000は、その内部に、冷却機構(コールドランナー)5001を有する。また、冷却台5000は、下型200のカル202及びゲート203に対応する位置に、冷却台5000の上面から下面まで貫通するエアー供給穴5002を有する。
図1(m)に示すとおり、下型200を、樹脂成形品1bとともに冷却台5000上に載置する。この状態で、下型200及び樹脂成形品1bを、冷却台5000及びコールドランナー5001により冷却する。
本実施例の場合は、冷却による収縮率が、樹脂成形品(パッケージ)1bの方が下型200よりも大きい。このため、図1(m)の状態で冷却すると、樹脂成形品1bの硬化樹脂20と下型キャビティ201との間に隙間ができる。これにより、樹脂成形品1bを下型200から離型させやすくなる。ただし、本発明は、これに限定されない。例えば、本発明では、樹脂成形品の製造方法の離型工程において、成形型の冷却に加え、又はこれに代えて、成形型の加熱(昇温)を行ってもよい。また、前記離型工程において、樹脂成形品を冷却又は加熱(昇温)してもよい。また、前記離型工程において、成形型及び樹脂成形品は、それぞれ、冷却してもしなくてもよいし、加熱(昇温)してもしなくてもよい。また、前述のとおり、本実施例では、冷却による収縮率が、樹脂成形品(パッケージ)1bの方が下型200よりも大きい。しかし、本発明はこれに限定されず、成形型及び樹脂成形後の樹脂の熱膨張係数によっては、冷却による収縮率が前述のとおりにならない場合がある。その場合は、例えば、前記離型工程において、本実施例とは異なる方法を用いてもよい。
さらに、図1(n)に示すとおり、エアー供給穴5002から、矢印x1の方向に、すなわち、下から上に向かって、樹脂成形品1bに吹き付けるように、エアーを供給する。エアー供給機構(図示せず)としては、特に限定されないが、例えば、エアーポンプ等を用いてもよい。これにより、樹脂成形品1bを下型200から離型させる。
本実施例では、以上のようにして、樹脂成形品1bを製造することができる。
つぎに、図1Cに、本実施例における樹脂成形品の製造方法の変形例を示す。この変形例では、まず、図1(a)~(l)までの工程を、前述と同様にして行う(図示せず)。その後、前記第2の離型工程を、図1Cに示す工程(l1)~(o1)に示すようにして行う。具体的には、以下の通りである。
まず、図1(l1)は、図1(l)の工程の直後における下型200の状態を示す。図示のとおり、下型200上に樹脂成形品1bが載置されている。不要樹脂部20bは、樹脂成形品1bから分離され、除去されている。この成形型200及び樹脂成形品1bを、エジェクトステージ内に移動させ、図1(m1)~(o1)に示すとおり、樹脂成形品1bを下型200から離型させる。
図1(m1)に示すとおり、このエジェクトステージは、冷却台5000に代えて昇温台5100を含む。昇温台5100は、その内部に、ヒータ5101を有する。ヒータ5101は、特に限定されないが、例えば、カートリッジヒータであってもよい。また、ヒータ5101は、下型200のカル202及びゲート203に対応する位置に、ヒータ5101の上面から下面まで貫通するエアー供給穴5102を有する。
図1(m1)に示すとおり、下型200を、樹脂成形品1bとともに昇温台5100上に載置する。この状態で、下型200及び樹脂成形品1bを、昇温台5100及びヒータ5101(昇温機構)により昇温する。
そして、その状態で、図1(n1)に示すように、樹脂成形品1bを冷却する。具体的には、図示のとおり、冷却部(樹脂成形品冷却機構)6001を有するアンローダ(搬送機構)6000の、冷却部6001を、樹脂成形品1bに接触させて冷却する。冷却部6001は、特に限定されないが、例えば、ペルチェ素子等であってもよい。このように、成形型(下型200)を昇温するとともに樹脂成形品1bを冷却することで、下型200は膨張し、樹脂成形品1bは収縮する。これにより、樹脂成形品1bの硬化樹脂20と下型キャビティ201との間に隙間ができる。そのため、樹脂成形品1bを下型200から離型させやすくなる。その状態で、図示のとおり、エアー供給穴5102から、矢印x2の方向に、すなわち、下から上に向かって、樹脂成形品1bに吹き付けるように、エアーを供給する。エアー供給機構(図示せず)としては、特に限定されないが、例えば、エアーポンプ等を用いてもよい。これにより、樹脂成形品1bを下型200から離型させる(第2の離型工程)。
そして、図1(o1)に示すとおり、下型200から離型させた樹脂成形品1bを、アンローダ6000により、エジェクトステージの外に搬送する。
つぎに、本発明の別の実施例について説明する。
実施例1では、上型(他方の型)100が樹脂成形ステージに固定され、下型(一方の型)200が、樹脂成形装置の各ステージに対し着脱可能であるとともに、前記各ステージ間を移動可能である例を示した。一方、本実施例(実施例2)では、成形型1000における下型(一方の型)200及び上型(他方の型)100の両方が、樹脂成形装置の各ステージに対し着脱可能であるとともに、前記各ステージ間を移動可能である例を示す。
図2Aの工程(a)~(f)、図2Bの工程(g)~(m)、及び図2Cの工程(n)~(s)に、本実施例の樹脂成形装置における一部の構成と、前記樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法における工程とを模式的に示す。また、図2Cの(q1)に、変形例を示す。なお、図2A、図2B及び図2Cは、便宜上、図2を3つに分けて図示したものである。以下において、図2A、図2B及び図2Cの一部又は全部を「図2」という場合がある。
図2の工程(a)~(s)に示す樹脂成形品の製造方法は、以下のようにして行うことができる。まず、図2(a)に示すとおり、成形型1000を準備する。この成形型1000は、実施例1と同様に、上型(他方の型)100及び下型(一方の型)200を含み、実施例1と同一の構成である。また、図示のとおり、上型100及び下型200の構成も、それぞれ、実施例1と同一である。
つぎに、成形型1000を樹脂成形装置の昇温ステージ内に移動させ、図2(b)~(f)に示すとおり、前記昇温ステージにおいて成形型1000を昇温する(昇温工程)。
図2(b)に示すとおり、この樹脂成形装置の昇温ステージは、上プラテン(他方のプラテン)2110と、下プラテン(一方のプラテン)2210とを含む。上プラテン2110は、その内部に、ヒータ2111を有する。下プラテン2210は、その内部に、ヒータ2211を有する。ヒータ2111及びヒータ2211は、特に限定されないが、例えば、カートリッジヒータであってもよい。
まず、図2(b)に示すとおり、下型200を下プラテン2210上に固定する。このとき、上型100は、下型200上に載置された状態である。すなわち、成形型1000の全体が、下プラテン2210上に載置されている。
つぎに、図2(c)に示すとおり、下プラテン2210を矢印A1の方向に上昇させる。そして、図示のとおり、上型100を上プラテン2110の下面に固定する。なお、下型200を下プラテン2210上に固定する方法、及び、上型100を上プラテン2110の下面に固定する方法は、特に限定されないが、例えば、静電チャック、メカチャック等を用いてもよい。
さらに、図2(d)に示すとおり、下プラテン2210を矢印B1の方向に下降させて成形型1000を型開きし、成形型1000内に基板(フレーム)1を供給する。なお、同図では、基板1が上型100の下面に固定されているが、これに限定されず、例えば、下型100の上面に載置してもよい。図示のように、基板1を上型100の下面に固定する場合、その方法は、特に限定されない。例えば、上型100に、上型基板保持部(図示せず)を設けて基板1を固定してもよい。前記上型基板保持部は、特に限定されないが、例えば、基板1を保持する基板保持部材(基板クランプ)であってもよい。または、例えば、上型に吸引穴を設け、前記吸引穴に吸引機構(図示せず)を接続し、前記吸引穴からの吸引により、基板1を上型100に吸着させて固定しても良い。前記吸引機構も特に限定されないが、例えば、減圧ポンプ等であってもよい。また、基板1は、例えば、実施例1と同じでよい。
そして、図2(e)に示すとおり、下プラテン2210を矢印A2の方向に上昇させて成形型1000を閉じる。この状態で、ヒータ2111及び2211を作動させ、成形型1000及び基板1を昇温させてもよい。又は、成形型1000が下プラテン2210に載置される前から、あらかじめヒータ2111及び2211を作動させておき、成形型1000及び基板1を昇温させてもよい。
つぎに、下型200と下プラテン2210上との固定、及び、上型100と上プラテン2110との固定を解除する。そして、図2(f)に示すとおり、下プラテン2210を下降させて下プラテン2210と上プラテン2110とを開き、成形型1000を樹脂成形ステージに移動させる。
つぎに、図2(g)~(m)に示すように、樹脂成形ステージにおいて樹脂成形を行う(樹脂成形工程)。
図2(g)に示すように、この樹脂成形装置における樹脂成形ステージは、上プラテン(他方のプラテン)3100と、下プラテン(一方のプラテン)3210とを含む。上プラテン3100は、上型100が固定されていないこと以外は、実施例1の上プラテン3100と同じである。上プラテン3100は、実施例1と同様、その内部にヒータ3101を含む。下プラテン3210は、その内部に、ヒータ3211を含む。ヒータ3101及び3211は、特に限定されないが、例えば、カートリッジヒータであってもよい。下プラテン3210は、図示のとおり、ポット3214を有し、その中に、タブレット(樹脂材料)20aを収容可能である。下プラテン3210は、その側面に、ポット3214と連結した樹脂投入口3219を有する。なお、樹脂投入口3219周辺は、例えば、断熱材を配置して断熱してもよい。また、同図の樹脂成形ステージは、図示のとおり、さらに、プランジャ駆動機構(流動性樹脂注入部材駆動機構)3212及びプランジャ(流動性樹脂注入部材)3213を含む。プランジャ駆動機構3212によりプランジャ3213を駆動させることで、後述するように、下型キャビティ(一方の型キャビティ)201に流動性樹脂を注入することができる。また、プランジャ3213は、実施例1のプランジャ3203と異なり、流動性樹脂との当接面が、溝(凹部)を有しておらず平坦である。
まず、図2(g)に示すとおり、樹脂投入ロッド3216により、樹脂投入口3219からタブレット(樹脂材料)20aをポット3214に供給(投入)する。また、図示のとおり、成形型1000及び基板1を矢印a11の方向に搬送し、下プラテン3210と上プラテン3100との間に移動させる。
つぎに、図2(h)に示すとおり、成形型1000を下プラテン3210に固定する。また、同図に示すとおり、プランジャ3213を矢印b11の方向に上昇させ、タブレット(樹脂材料)20aを樹脂投入口3219の上方まで押し上げる。このとき、樹脂投入ロッド3216は、樹脂投入口3219に挿入されたままになっているので、樹脂投入口3219からタブレット(樹脂材料)20aがこぼれることがない。また、樹脂投入ロッド3216の形状は特に限定されない。例えば、図示のように樹脂投入ロッド3216の先端が丸くなっていると、プランジャ3213を矢印b11の方向に上昇させた場合に、プランジャ3213が樹脂投入ロッド3216の先端に引っかかることを抑制又は防止できる。
つぎに、図2(i)に示すように、下プラテン3210を矢印C1の方向に上昇させる。これにより、図示のとおり、成形型1000を下プラテン3210と上プラテン3100とでクランプする。この状態で、成形型1000は、前述の昇温ステージによる昇温と、ヒータ3101及び3211による上プラテン3100及び下プラテン3210を介した昇温とにより、樹脂材料20aを溶融可能な温度に昇温されている。これにより、図示のとおり、ポット3214内の樹脂材料20aが溶融し、溶融樹脂(流動性樹脂)20bとなる。
つぎに、図2(j)に示すとおり、プランジャ駆動機構3212によってプランジャ3213を矢印b12の方向に上昇させる。これにより、図示のとおり、流動性樹脂20bが、下型キャビティ201内及び上型キャビティ101内に充填される。流動性樹脂20bが下型キャビティ201内及び上型キャビティ101内に充填されるメカニズムについては、例えば、実施例1と同様である。
そして、図2(k)に示すとおり、流動性樹脂20bを硬化(固化)させ、実施例1と同様に、硬化樹脂20及び不要樹脂部20dとする。流動性樹脂20bを硬化(固化)させる方法は、例えば、実施例1と同様である。その後に、図示のとおり、下プラテン3210を矢印D1の方向に下降させ、上型100と上プラテン3100とを離す。
つぎに、図2(l)に示すとおり、搬送機構(図示せず)等により、成形型1000を、樹脂成形品1b(基板1及び硬化樹脂20)とともに矢印E1の方向に持ち上げる。このとき、図示のとおり、不要樹脂部20dは、下プラテン3210上に残り、樹脂成形品1bから分離される。これは、不要樹脂部20dの底面(下プラテン3210及びプランジャ3213と不要樹脂部20dとが接する面)が、不要樹脂部20dと硬化樹脂20とが接する面よりも大面積に設定されており、かつ、カル202及びゲート203の形状が、不要樹脂部20dの底面方向に広がるテーパ形状に設定されているためである。そして、図示のとおり、成形型1000を、樹脂成形品1bとともに矢印a12の方向に移動させて成形ステージの外に搬送し、エジェクトステージ内に移動させる。
一方、図2(m)に示すとおり、プランジャ3213を矢印b13の方向に下降させ、不要樹脂部20dと分離する。不要樹脂部20dは、搬送機構(図示せず)等により成形ステージの外に搬送し、排出する。
さらに、図2(n)~(s)に示すとおり、エジェクトステージにおいて、樹脂成形品1bを成形型1000から離型させる。この工程は、後述するとおり、樹脂成形後の硬化樹脂20を、下型(一方の型)200に固定された状態で上型(他方の型)100から離型する第1の離型工程と、エジェクトステージにおいて樹脂成形品1bを成形型1000(下型200)から離型させる第2の離型工程とを含む。
図2(n)に示すとおり、この樹脂成形装置に置けるエジェクトステージは、冷却台5000と、上型持ち上げ機構(上型持ち上げ部)7000とを含む。冷却台5000は、実施例1と同様に、冷却機構(コールドランナー)5001及びエアー供給穴5002を有しており、実施例1の冷却台5000と同一の構成を有する。
また、図2(n)に示すとおり、成形型1000は、下型キャビティ201の側面201aよりも、上型キャビティ101の側面101aの方が、傾斜角度が緩やかで、より水平に近くなっている。これにより、上型100よりも下型200に樹脂成形品が固定されやすくなっている。したがって、後述するとおり、樹脂成形後の硬化樹脂20を、下型(一方の型)200に固定された状態で上型(他方の型)100から離型することができる。
図2(n)~(s)の離型工程(第1の離型工程及び第2の離型工程)は、まず、図2(n)に示すとおり、下型200の下面を冷却台5000上に固定する。この状態で、成形型1000及び樹脂成形品1bを、冷却台5000及びコールドランナー5001により冷却する。このとき、実施例1と同様に、冷却による収縮率が、樹脂成形品(パッケージ)1bの方が下型200よりも大きい。このため、図2(n)の状態で冷却すると、樹脂成形品1bの硬化樹脂20と上型キャビティ101との間、及び、硬化樹脂20と下型キャビティ201との間に隙間ができる。これにより、樹脂成形品1bを成形型1000から離型させやすくなる。ただし、実施例1でも説明したとおり、本発明は、これに限定されない。
そして、図2(n)に示すとおり、上型持ち上げ機構7000を、矢印F1の方向に下降させる。これにより、図2(o)に示すように、上型100を上型持ち上げ機構7000の下面に接触させて固定する。さらに、図2(o)に示すように、上型持ち上げ機構7000を、矢印F2の方向に上昇させる。これにより、図2(p)に示すとおり、上型100を持ち上げる。このとき、前述のとおり、下型キャビティ201の側面201aよりも、上型キャビティ101の側面101aの方が、傾斜角度が緩やかなため、下型200に樹脂成形品1bが固定されやすくなっている。また、図示のとおり、上型キャビティ101上面(上型キャビティ101において、下型200と対向し、かつ型開き方向に対し垂直な面)の面積よりも下型キャビティ201底面(下型キャビティ201において、上型100と対向し、かつ型開き方向に対し垂直な面)の面積の方が大きいので、上型100側の硬化樹脂20aよりも下型200側の硬化樹脂20aの方が固定されやすく、その結果、下型200に樹脂成形品1bが固定されやすい。したがって、図2(p)に示すとおり、樹脂成形後の硬化樹脂20を、下型(一方の型)200に固定された状態で上型(他方の型)100から離型することができる(第1の離型工程)。
さらに、図2(q)に示すとおり、エアー供給穴5002から、矢印x11の方向に、すなわち、下から上に向かって、樹脂成形品1bに吹き付けるように、エアーを供給する。エアー供給機構(図示せず)としては、特に限定されないが、例えば、エアーポンプ等を用いてもよい。これにより、樹脂成形品1bを下型200から離型させる(第2の離型工程)。その後、樹脂成形品1bを、アンローダ(搬送機構、図示せず)等により、エジェクトステージの外に搬送する。以上のようにして、樹脂成形品1bを製造することができる。
一方、樹脂成形品1bをエジェクトステージの外に搬送した後に、上型持ち上げ機構7000を下降させる。そして、図2(r)に示すとおり、上型100と下型200とを再度型締めする。
その後、上型持ち上げ機構7000のみを上昇させ、図2(s)に示すとおり、上型100から離す。その後、成形型1000を、搬送機構(図示せず)等によりエジェクトステージの外に搬送する。成形型1000は、再度昇温ステージ内に搬送することで、再度、図2(a)~(s)と同様の工程による樹脂成形品の製造方法を行うことができる。
なお、図2(n)~(s)に示したエジェクトステージ及び離型工程(第1の離型工程及び第2の離型工程)の変形例として、図2(q1)に示すように、冷却台5000に代えて、昇温台5100及び冷却部6001を用いてもよい。図2(q1)に示す昇温台5100は、実施例1と同様に、ヒータ5101及びエアー供給穴5102を有し、実施例1の昇温台5100と同一の構成を有する。また、図2(q1)に示すアンローダ(搬送機構)6000は、実施例1と同様に冷却部6001を有し、実施例1のアンローダ(搬送機構)6000と同一の構成を有する。まず、冷却台5000に代えて昇温台5001を用いること以外は、図2(n)~(p)と同様の工程を行う。その後、図2(q1)に示すように、アンローダ(搬送機構)6000の、冷却部6001を、樹脂成形品1bに接触させて冷却する。このように、成形型(下型200)を昇温するとともに樹脂成形品1bを冷却することで、下型200は膨張し、樹脂成形品1bは収縮する。これにより、樹脂成形品1bの硬化樹脂20と下型キャビティ201との間に隙間ができる。そのため、樹脂成形品1bを下型200から離型させやすくなる。その状態で、図示のとおり、エアー供給穴5102から、矢印x11の方向に、すなわち、下から上に向かって、樹脂成形品1bに吹き付けるように、エアーを供給する。エアー供給機構(図示せず)としては、特に限定されないが、例えば、エアーポンプ等を用いてもよい。これにより、樹脂成形品1bを下型200から離型させる(第2の離型工程)。その後、下型200から離型させた樹脂成形品1bを、アンローダ6000により、エジェクトステージの外に搬送する(図示せず)。
つぎに、本発明のさらに別の実施例について説明する。
本実施例では、さらに、キュアステージを用いる例について説明する。また、さらに、型開き抑制部材を用いる例についても説明する。
図3A~Fの工程(a)~(z2)に、本実施例の樹脂成形装置における一部の構成と、前記樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法における工程とを模式的に示す。なお、図3A~Fは、便宜上、図3を6つに分けて図示したものである。以下において、図3A~Fの一部又は全部を「図3」という場合がある。
図3の工程(a)~(z2)に示す樹脂成形品の製造方法は、以下のようにして行うことができる。まず、図3(a)に示すとおり、成形型1010を準備する。図示のとおり、この成形型1010は、上型(他方の型)110及び下型(一方の型)210を含む。上型110は、その下面側に、上型キャビティ(他方の型キャビティ)111を有し、下型210は、その上面側に、下型キャビティ(一方の型キャビティ)211を有する。下型210は、その下面側に、カル(余剰樹脂収容部)212を有する。また、下型210は、その上面側に、ランナ214を有する。カル212は、第1ゲート(樹脂流路)213を介してランナ214の下面につながっている。ランナ214は、第2ゲート(樹脂流路)215を介して下型キャビティ211の側面につながっている。また、上型110及び下型210は、それぞれ、その左右両端の側面に、溝(型開き抑制部材装着溝)119及び219を有する。
つぎに、成形型1010を樹脂成形装置の昇温ステージ内に移動させ、図3(b)~(f)に示すとおり、前記昇温ステージにおいて成形型1010を昇温する(昇温工程)。
図3(b)に示すとおり、この樹脂成形装置の昇温ステージは、上プラテン(他方のプラテン)2110と、下プラテン(一方のプラテン)2210とを含む。実施例2と同様に、上プラテン2110は、その内部に、ヒータ2111を有し、下プラテン2210は、その内部に、ヒータ2211を有する。
まず、図3(b)に示すとおり、下型210を下プラテン2210上に固定する。このとき、上型110は、下型210上に載置された状態である。すなわち、成形型1010の全体が、下プラテン2210上に載置されている。
つぎに、図3(c)に示すとおり、下プラテン2210を矢印A11の方向に上昇させる。そして、図示のとおり、上型110を上プラテン2110の下面に固定する。なお、下型210を下プラテン2210上に固定する方法、及び、上型110を上プラテン2110の下面に固定する方法は、特に限定されないが、例えば、静電チャック、メカチャック等を用いてもよい。
さらに、図3(d)に示すとおり、下プラテン2210を矢印B11の方向に下降させて成形型1010を型開きし、成形型1010内に基板(フレーム)1を供給する。同図では、基板1が下型110の上面に載置されているが、これに限定されず、例えば、上型110の下面に固定してもよい。また、基板1は、例えば、実施例1及び2と同じでよい。
そして、図3(e)に示すとおり、下プラテン2210を矢印A12の方向に上昇させて成形型1010を閉じる。この状態で、ヒータ2111及び2211を作動させ、成形型1010及び基板1を昇温させてもよい。又は、成形型1000が下プラテン2210に載置される前から、あらかじめヒータ2111及び2211を作動させておき、成形型1000及び基板1を昇温させてもよい。
つぎに、下型210と下プラテン2210上との固定、及び、上型110と上プラテン2110との固定を解除する。そして、図3(f)に示すとおり、下プラテン2210を下降させて下プラテン2210と上プラテン2110とを開き、成形型1010を樹脂成形ステージに移動させる。
つぎに、図3(g)~(n)に示すように、樹脂成形ステージにおいて樹脂成形を行う(樹脂成形工程)。
図3(g)に示すように、この樹脂成形装置における樹脂成形ステージは、上プラテン(他方のプラテン)3120と、下プラテン(一方のプラテン)3220とを含む。上プラテン3120は、その内部にヒータ3121を含む。下プラテン3220は、その内部に、ヒータ3221を含む。ヒータ3121及び3221は、特に限定されないが、例えば、カートリッジヒータであってもよい。下プラテン3220は、図示のとおり、ポット3224を有し、その中に、タブレット(樹脂材料)20aを収容可能である。下プラテン3220は、その側面に、ポット3224と連結した樹脂投入口3229を有する。なお、樹脂投入口3229周辺は、例えば、断熱材を配置して断熱してもよい。また、同図の樹脂成形ステージは、図示のとおり、さらに、プランジャ駆動機構(流動性樹脂注入部材駆動機構)3222及びプランジャ(流動性樹脂注入部材)3223を含む。プランジャ駆動機構3222によりプランジャ3223を駆動させることで、後述するように、下型キャビティ(一方の型キャビティ)211に流動性樹脂を注入することができる。また、プランジャ3223は、図示のとおり、流動性樹脂との当接面に、溝(凹部)3225を有する。
まず、図3(g)に示すとおり、樹脂投入ロッド3226により、樹脂投入口3229からタブレット(樹脂材料)20aをポット3224に供給(投入)する。また、図示のとおり、成形型1010及び基板1を矢印a22の方向に搬送し、下プラテン3220と上プラテン3120との間に移動させる。
つぎに、図3(h)に示すとおり、成形型1010を下プラテン3220に固定する。また、同図に示すとおり、プランジャ3213を矢印b21の方向に上昇させ、タブレット(樹脂材料)20aを樹脂投入口3229の上方まで押し上げる。このとき、樹脂投入ロッド3226は、樹脂投入口3229に挿入されたままになっているので、樹脂投入口3229からタブレット(樹脂材料)20aがこぼれることがない。また、樹脂投入ロッド3226の形状は特に限定されない。例えば、図示のように樹脂投入ロッド3226の先端が丸くなっていると、プランジャ3223を矢印b21の方向に上昇させた場合に、プランジャ3223が樹脂投入ロッド3226の先端に引っかかることを抑制又は防止できる。
つぎに、図3(i)に示すように、下プラテン3220を矢印C11の方向に上昇させる。これにより、図示のとおり、成形型1010を下プラテン3220と上プラテン3120とでクランプする。この状態で、成形型1010は、前述の昇温ステージによる昇温と、ヒータ3121及び3221による上プラテン3120及び下プラテン3220を介した昇温とにより、樹脂材料20aを溶融可能な温度に昇温されている。これにより、ポット3224内の樹脂材料20aが溶融し、溶融樹脂(流動性樹脂)となる。
つぎに、図3(j)に示すとおり、プランジャ駆動機構3222によってプランジャ3223を矢印b22の方向に上昇させる。これにより、図示のとおり、溶融樹脂(流動性樹脂)20bが、下型キャビティ211内及び上型キャビティ111内に充填される。具体的には、流動性樹脂20bが、カル(不要樹脂収容部)212、第1ゲート(樹脂流路)213、ランナ214及び第2ゲート(樹脂流路)215の内部を前記順序で流動し、下型キャビティ211内に充填される。さらに、流動性樹脂20bは、基板1の貫通孔(図示せず)を介して上型キャビティ111内にも充填される。このとき、カル(不要樹脂収容部)212、第1ゲート(樹脂流路)213、ランナ214及び第2ゲート(樹脂流路)215が存在することで、流動性樹脂20bの体積にばらつきがあっても、上型キャビティ111内及び下型キャビティ211内の樹脂圧の変化を抑制又は防止することができる。
なお、ランナ214及び第2ゲート(樹脂流路)215は、後述するように、樹脂成形後の樹脂を下型210に固定する「樹脂成形品固定機構」として機能する。
つぎに、図3(k)に示すとおり、型開き抑制部材300を左右に1つずつ準備する。図示のとおり、型開き抑制部材300は、コの字型の形状を有し、その先端を、上型110及び下型210の溝(型開き抑制部材装着溝)219に挿入可能である。図3(k)に示すとおり、左右の型開き抑制部材300を、矢印e1の方向に(すなわち、成形型1010に向かって)移動させる。そして、図3(l)に示すとおり、上型110及び下型210の溝(型開き抑制部材装着溝)219に型開き抑制部材300の先端を挿入して装着する。これにより、上型110及び下型210が開くことを抑制又は防止できる。
そして、図3(m)に示すとおり、流動性樹脂20bを硬化(固化)させ、硬化樹脂20並びに不要樹脂部20d、20e及び20fとする。図示のとおり、上型キャビティ111及び下型キャビティ211内で硬化した樹脂を、硬化樹脂20とする。カル(余剰樹脂収容部)212及び第1ゲート(樹脂流路)213内で硬化した樹脂を、余剰樹脂(不要樹脂部)20dとする。プランジャの溝(凹部)3225内で硬化した樹脂を、突起状の不要樹脂部(突起)20eとする。そして、ランナ214及び第2ゲート(樹脂流路)215内で硬化した樹脂を、余剰樹脂(不要樹脂部)20fとする。流動性樹脂20bを硬化(固化)させる方法は、例えば、実施例1及び2と同様である。なお、本実施例では、後述するとおり、キュアステージを用い、さらに樹脂の硬化を進行させる。そのため、図3(m)及び(n)(樹脂成形ステージ内)の段階では、硬化樹脂20並びに不要樹脂部20d、20e及び20fは、成形型1100とともに搬送可能な程度に硬化(固化)した状態であればよい。その後に、上型110と上プラテン3120との固定を解除し、さらに、図示のとおり、下プラテン3220を下降させ、上型110と上プラテン3120とを離す。
つぎに、図3(n)に示すとおり、搬送機構(図示せず)等により、成形型1100を、樹脂成形品1b(基板1及び硬化樹脂20)並びに不要樹脂部20d、20e及び20fとともに矢印E11の方向に持ち上げる。そして、図示のとおり、成形型1100を、樹脂成形品1b並びに不要樹脂部20d、20e及び20fとともに矢印a23の方向に移動させて成形ステージの外に搬送し、キュアステージ内に移動させる。
つぎに、図3(o)及び(p)に示すとおり、キュアステージにおいて成形型1100内の樹脂を硬化させる(樹脂硬化工程)。
図3(o)に示すとおり、この樹脂成形装置におけるキュアステージは、昇温台8000を含む。昇温台8000は、その内部に、ヒータ8001を有する。ヒータ8001は、特に限定されないが、例えば、カートリッジヒータであってもよい。また、昇温台8000は、その上部の、不要樹脂部20d及び20eに対応する位置に、逃げ溝8002を有する。
図3(o)に示すとおり、成形型1100を、樹脂成形品1b並びに不要樹脂部20d、20e及び20fとともに昇温台8000上に載置する。このとき、不要樹脂部の突起20eは、逃げ溝8002内に収容される。そして、ヒータ8001により、昇温台8000を介して成形型1010を昇温させる。これにより、硬化樹脂20並びに不要樹脂部20d、20e及び20fの硬化をさらに促進させ、成形型1010を型開きしても硬化樹脂20並びに不要樹脂部20d、20e及び20fが形状を維持できる程度まで硬化させる。
その後、図3(p)に示すとおり、搬送機構(図示せず)等により、成形型1100を、樹脂成形品1b並びに不要樹脂部20d、20e及び20fとともに矢印E12の方向に持ち上げる。さらに、成形型1100を、樹脂成形品1b並びに不要樹脂部20d、20e及び20fとともに矢印a24の方向に(すなわち、キュアステージの外に)移動させ、さらに、カル排出ステージ(不要樹脂部除去ステージ)内に搬送する。
さらに、図3(q)~(s)に示すとおり、カル排出ステージ(不要樹脂部除去ステージ)において、不要樹脂部20dを樹脂成形品から除去する。
図3(q)に示すとおり、この樹脂成形装置のカル排出ステージ(不要樹脂部除去ステージ)は、カル排出用のロッド(不要樹脂部除去部材)4000を含む。カル排出用のロッド4000は、実施例1と同様、不要樹脂部20dとの当接面に、プランジャの溝3225と同形同大の溝(凹部)4001を有する。
図3(q)に示すとおり、カル排出用のロッド4000を、矢印c21の方向に上昇させる。これにより、図3(r)に示すように、カル排出用のロッド4000を、不要樹脂部20dに当接させる。このとき、図示のとおり、不要樹脂部(突起)20eが、カル排出用ロッドの溝(凹部)4001にはめ込まれる。その状態で、図示のとおり、カル排出用のロッド4001を、矢印d21の方向に回転させる。これにより、不要樹脂部20dをねじ切って下型キャビティ211内の不要樹脂部20fから分離する。
その後、図3(s)に示すとおり、カル排出用ロッド4000を、矢印c22の方向に下降させる。これにより、図示のとおり、カル排出用ロッド4000に接している不要樹脂部20d及び20eが下降し、下型キャビティ201内の不要樹脂部20fから完全に分離される。さらに、図示のとおり、搬送機構(図示せず)等により、成形型1100を、樹脂成形品1b並びに不要樹脂部20fとともに矢印a25の方向に(すなわち、カル排出ステージの外に)移動させ、さらに、エジェクトステージ内に搬送する。
さらに、図3(t)~(z2)に示すとおり、エジェクトステージにおいて樹脂成形品1bを成形型1010から離型させる(離型工程)。後述するように、この離型工程は、硬化樹脂20を、下型(一方の型)210に固定された状態で上型(他方の型)110から離型する第1の離型工程と、エジェクトステージにおいて樹脂成形品1bを成形型1010(下型200)から離型させる第2の離型工程とを含む。
図3(t)に示すとおり、この樹脂成形装置に置けるエジェクトステージは、冷却台5010と、上型持ち上げ機構(上型持ち上げ部)7000とを含む。冷却台5010は、その内部に、冷却機構(コールドランナー)5011を有する。また、冷却台5010は、下型210のカル212及びゲート213に対応する位置に、冷却台5010の上面から下面まで貫通するエアー供給穴5012を有する。
図3(t)~(z2)の離型工程(第1の離型工程及び第2の離型工程)は、まず、図3(t)に示すとおり、下型210の下面を冷却台5010上に固定する。この状態で、成形型1010及び樹脂成形品1bを、冷却台5010及びコールドランナー5011により冷却する。この方法は、特に限定されない。例えば、図示のとおり、エジェクトステージが、さらに、冷却液供給機構5200と、配管(冷却液供給用配管)5201とを含んでいてもよい。そして、冷却液供給機構5200から、配管5201を介して冷却液をコールドランナー5011に供給して循環させることで、冷却台5010を冷却してもよい。このとき、実施例1及び2と同様に、冷却による収縮率が、樹脂成形品(パッケージ)1bの方が下型210よりも大きい。このため、図3(t)の状態で冷却すると、樹脂成形品1bの硬化樹脂20と上型キャビティ111との間、及び、硬化樹脂20と下型キャビティ211との間に隙間ができる。これにより、樹脂成形品1bを成形型1010から離型させやすくなる。ただし、実施例1及び2でも説明したとおり、本発明は、これに限定されない。
つぎに、図3(u)に示すとおり、左右の型開き抑制部材300を、矢印e2の方向に(すなわち、成形型1010から離れる方向に)移動させ、成形型1010から取り外す。
そして、図3(v)に示すとおり、上型持ち上げ機構7000を、矢印F11の方向に下降させる。これにより、図3(w)に示すように、上型110を上型持ち上げ機構7000の下面に接触させて固定する。さらに、図3(w)に示すように、上型持ち上げ機構7000を、矢印F12の方向に上昇させる。これにより、図3(x)に示すとおり、上型110を持ち上げる。このとき、ランナ214及び第2ゲート215内に不要樹脂部20fが残っているために、下型210に樹脂成形品1bが固定されやすくなっている。言い換えると、本実施例の成形型1010においては、下型(一方の型)210がランナ214及び第2ゲート215を有するために、上型(他方の型)110において、下型(一方の型)210と対向し、かつ樹脂と接触する面(すなわち、上型110上面)の面積よりも、下型(一方の型)210において、上型(他方の型)110と対向し、かつ樹脂と接触する面(すなわち、下型210底面)の面積の方が大きくなっている。すなわち、下型(一方の型)210がランナ214及び第2ゲート215を有するために、上型110において、型開き方向に垂直であり、かつ樹脂と接触する面(上型110上面)の面積よりも、下型210において、型開き方向に垂直であり、かつ樹脂と接触する面(下型210底面)の面積の方が大きい。したがって、図3(x)に示すとおり、樹脂成形後の硬化樹脂20を、下型(一方の型)210に固定された状態で上型(他方の型)110から離型することができる(第1の離型工程)。
さらに、図3(y)に示すとおり、エアー供給穴5012から、矢印x21の方向に、すなわち、下から上に向かって、樹脂成形品1bに吹き付けるように、エアーを供給する。具体的には、例えば、図示のとおり、エアー供給機構5300により、配管(エアー供給用配管)5301を介してエアーを供給すればよい。エアー供給機構5300としては、特に限定されないが、例えば、エアーポンプ等を用いてもよい。これにより、樹脂成形品1bを下型210から離型させる(第2の離型工程)。その後、樹脂成形品1bを、アンローダ(搬送機構、図示せず)等により、エジェクトステージの外に搬送する。以上のようにして、樹脂成形品1bを製造することができる。なお、不要樹脂部20fは、例えば、別のステージにおいて樹脂成形品1bから分離してもよい。
一方、樹脂成形品1bをエジェクトステージの外に搬送した後に、上型持ち上げ機構7000を下降させる。そして、図3(z)に示すとおり、上型110と下型210とを再度型締めする。
その後、上型持ち上げ機構7000のみを上昇させ、図3(z2)に示すとおり、上型110から離す。その後、成形型1010を、搬送機構(図示せず)等により矢印a26の方向に移動させ、エジェクトステージの外に搬送する。成形型1010は、再度昇温ステージ内に搬送することで、再度、図3(a)~(y)と同様の工程による樹脂成形品の製造方法を行うことができる。また、例えば、再度樹脂成形品の製造方法を行うに先立ち、成形型1010をクリーニングしてもよい。
本実施例(実施例3)では、キュアステージを用い、前記キュアステージにおいて前記成形型内の樹脂を硬化させる例を示した。ただし、本発明において、キュアステージは、前述のとおり任意であり、あっても無くてもよい。
本発明では、例えば、前記実施例1及び2のように、成形型における前記他方の型が前記樹脂成形ステージに固定され、前記一方の型が、前記各ステージに対し着脱可能であるとともに、前記各ステージ間を移動可能であってもよい。また、例えば、前記実施例3のように、前記一方の型及び前記他方の型の両方が、前記各ステージに対し着脱可能であるとともに、前記各ステージ間を移動可能であってもよい。前者の場合、前記一方の型のみを前記各ステージ間において移動させればよいという利点がある。後者の場合は、成形ステージにおいて、前記一方の型と前記他方の型との位置合わせが不要であるという利点がある。また、前者の場合(一方の型のみを移動させる場合)は、前記樹脂成形ステージ内において樹脂を完全に硬化(固化)させなければならない。後者の場合(一方の型及び他方の型の両方を移動させる場合)は、前記樹脂成形ステージ内においては樹脂が半硬化(半固化)状態であってもよい。これにより、樹脂成形品の製造方法の1サイクル中における前記樹脂成形ステージの使用時間が短くなるので、前記サイクルを速く回転させることが可能で、樹脂成形品の製造効率が高い利点がある。半硬化(半固化)状態の樹脂を完全に硬化(固化)させるためには、例えば、実施例3及び図4で説明したように、キュアステージを用いればよい。また、この場合、半硬化(半固化)状態の樹脂が成形型から漏出することを抑制又は防止するために、例えば、実施例3で説明したように、型開き抑制部材を用いてもよい。
以上、実施例1~3について説明したが、本発明はこれに限定されず、種々の変形が可能である。例えば、実施例1~3では、下型が本発明の前記「一方の型」であり、上型が本発明の前記「他方の型」である例を示した。しかし、本発明は、これに限定されず、例えば、上型が本発明の前記「一方の型」であり、下型が本発明の前記「他方の型」であってもよい。
さらに、本発明の変形例のいくつかについて、図5~8を用いて説明する。
実施例1~3では、上型及び下型の両方が型キャビティを有する例を示した。しかし、前述のとおり、本発明において、成形型は、これに限定されない。例えば、本発明において、成形型は、上型及び下型のいずれか一方のみが型キャビティを有していてもよい。図5の断面図に、そのような成形型の一例を模式的に示す。図5の成形型1000は、実施例1及び2の成形型1000と同じく、上型(他方の型)100及び下型(一方の型)200を含む。そして、図5の成形型1000は、上型100が上型キャビティ(他方の型キャビティ)101を有しないこと以外は、実施例1及び2の成形型1000と同じである。なお、本発明における成形型は、例えば、図5と逆に、上型のみが型キャビティを有し、下型が型キャビティを有していなくてもよい。
また、図6に、実施例1及び2の下型(一方の型)200の変形例を模式的に示す。図6(a)は下型200の一部の平面図であり、図6(b)は断面図である。図示のとおり、カル202の樹脂注入口(スプール)の周囲に、溝(バリ対策溝)208が設けられている。溝208があることで、前記樹脂注入口周囲から樹脂が漏出しても、その漏出樹脂が溝208の中に収容される。これにより、前記漏出樹脂由来の薄バリ(不要樹脂部)に由来する成形不具合等を抑制又は防止できる。
図7に、不要樹脂部20d及び20eの構成の一例を模式的に示す。図7(a)は側面図であり、図7(b)は正面図である。図示のとおり、不要樹脂部の突起20eは、-(マイナス)形状の凸状である。前述の実施例で説明したとおり、プランジャ(流動性樹脂注入部材)が、流動性樹脂との当接面に溝を有すると、その溝の形状に対応して、不要樹脂部20eのような突起(凸部)が形成される。これにより、前述の実施例で説明したように、例えば、カル排出用のロッド(不要樹脂部除去部材)を用いて不要樹脂部を除去することが容易となる。しかし、本発明は、これに限定されない。例えば、前記流動性樹脂注入部材が、前記流動性樹脂との当接面に、凸部及び凹部の少なくとも一方を有する場合、その凸部及び凹部の少なくとも一方の形状は、溝形状に限定されず、どのような形状でもよい。また、前記流動性樹脂注入部材における凸部及び凹部の少なくとも一方の形状に対応して不要樹脂部に形成される凸部及び凹部の少なくとも一方の形状も、図7の20eの形状に限定されず、どのような形状でもよい。例えば、図7の突起20eは、前述のとおり-(マイナス)形状である。しかし、これに限定されず、例えば、前記流動性樹脂注入部材が、前記流動性樹脂との当接面に、+(プラス)形状の凹部又は凸部を有し、これに対応して、不要樹脂部20eが、+(プラス)形状の凸部又は凹部であってもよい。また、これに対応して、前記カル排出用のロッド(不要樹脂部除去部材)が前記不要樹脂部との当接面に有する凸部及び凹部の少なくとも一方の形状も、適宜変更可能である。
図8(a)及び(b)の側面図に、それぞれ、プランジャ(流動性樹脂注入部材)の形態と不要樹脂部の形態との関係の一例を模式的に示す。図8(a)は、不要樹脂部20d(すなわち、流動性樹脂が硬化したもの)が、プランジャ3213における不要樹脂部20dとの当接面の外周からはみ出していない例である。図8(b)は、不要樹脂部20dが、プランジャ3213における前記当接面の外周からはみ出している例である。図8(a)の場合、流動性樹脂がプランジャ3213における前記当接面の外周から漏出することを抑制又は防止しやすい。一方、図8(b)の場合、プランジャ3213により流動性樹脂に力を加えやすい。
本発明によれば、例えば、成形型において、樹脂成形品取り出しのための部品(例えば、エジェクターピン等)を省略できるため、成形型を少ない部品点数で構成することが可能である。
さらに、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。