JP7033287B2 - 論理ルータのためのルート設定 - Google Patents

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Description

典型的な物理ネットワークは、L3フォワーディング(forwarding)(すなわちルーティング)を実行するための複数の物理ルータを含む。第1のマシンが、異なるIPサブネットに置かれた第2のマシンへパケットを送信しようとする場合、パケットはルータに送信され、当該ルータは、パケットの送信先IPアドレスを用いてどのマシンの物理インタフェースを通じてパケットを送信すべきかを決定する。より大きなネットワークは、ルータの1つが停止した場合に、パケットが第1のマシンと第2のマシンとの間の異なるパスに沿ってルーティングされ得るように、複数のルータを含む。
論理ネットワークにおいても、異なるサブネットにおけるユーザ定義データ計算ノード(例えば仮想マシン)が、互いに通信することが同様に必要であり得る。この場合、テナント(tenant)は、論理スイッチと論理ルータとの両方を含む、仮想化のためのネットワークを定義し得る。データセンタにおいてこのような仮想化された論理ネットワークを適切に提供する論理ルータを実施する方法が必要とされている。
いくつかの実施形態は、ネットワークにおいて(例えばデータセンタにおいて)論理ルータを実施する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、ネットワークを集中的に管理する(例えばネットワークコントローラにおいて実施される)管理プレーンによって実行される。いくつかの実施形態では、この方法は、(例えばアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を通じて)論理ルータの定義を受信し、そして論理ルータのためのいくつかのルーティング構成要素を定義する。これらのルーティング構成要素のそれぞれは、別個に経路の組と論理インタフェースの組とを割り当てられる。方法はまた、論理ルータのための経路の仕様と、論理ルータから他の論理ルータへの接続とを受信してもよい。いくつかの実施形態は、自動的に、どのルーティング構成要素のルーティングテーブルに受信した経路をプッシュすべきか、及び、どのように経路を伝達するかを、他の論理ルータとの接続に基づいて識別する。
いくつかの実施形態では、論理ルータのために定義されたいくつかのルーティング構成要素は、1つの分散化ルーティング構成要素といくつかの集中化ルーティング構成要素とを含む。加えて、いくつかの実施形態の管理プレーンは、論理ルータの内部の構成要素の間の通信を処理するための論理スイッチ(通過論理スイッチ(transit logical switch)として参照される)を定義する。分散化ルーティング構成要素と通過論理スイッチとは、データセンタ内の多数のマシンによって分散化された態様で実施される一方、集中化ルーティング構成要素はそれぞれが単一のマシン上で実施される。いくつかの実施形態は、様々なマシン上の管理対象フォワーディング構成要素のデータパスにおいて分散化構成要素を実施する一方、集中化ルーティング構成要素はその単一のマシン上の複数のVM(又は他のデータ計算ノード)において実施される。他の実施形態もまた、割り当てられたマシンのデータパスにおいて集中化構成要素を実施する。
いくつかの実施形態では、集中化構成要素はアクティブ-アクティブモード、又はアクティブ-スタンバイモードであるように構成されてよい。アクティブ-アクティブモードでは、全ての集中化構成要素が同時に完全に動作し、トラフィックは、集中化構成要素から外部ネットワークへの接続性が構成要素にわたって同一である限り、(様々な集中化構成要素にわたるトラフィックをバランスする)等価コストマルチパス(equal-cost multi-path)(ECMP)フォワーディング原理を用いる集中化構成要素を通して、論理ネットワークに進入又は退出することができる。このモードでは、別々の集中化構成要素のそれぞれは、外部ネットワークと通信するための、自身のネットワークレイヤ(例えばIP)アドレスとデータリンクレイヤ(例えばMAC)アドレスとを有する。加えて、別々の集中化構成要素のそれぞれは、分散化ルーティング構成要素へパケットを送信するとともに分散化ルーティング構成要素からパケットを受信するために、通過論理スイッチと接続するための自身のネットワークレイヤアドレスとデータリンクレイヤアドレスとを有する。
いくつかの実施形態では、論理ルータは2層論理ネットワーク(two-tier logical network)構成の一部である。いくつかの実施形態の2層構成は、論理ネットワークをデータセンタの外部のネットワークに接続するための単一の論理ルータ(プロバイダ論理ルータ(provider logical router)(PLR)として参照され、例えばデータセンタの所有者によって管理される)と、単一の論理ルータと接続し、外部ネットワークと個別に通信しない複数の論理ルータ(テナント論理ルータ(tenant logical router)(TLR)として参照され、例えばデータセンタの異なるテナントによって管理される)とを含む。いくつかの実施形態は、可能なときはいつでもアクティブ-アクティブモードにおいてPLRを実施し、ステートフルサービス(stateful service)(例えば、NATファイアウォール、ロードバランサ等)が論理ルータのために構成される場合にのみアクティブ-スタンバイモードを用いる。
PLRに対して、いくつかの実施形態は外部ネットワークと経路交換を可能にする。PLRの集中化構成要素のそれぞれは、論理ネットワークのプレフィックスをアドバタイズし、外部ネットワークへの経路を受信するために動的ルーティングプロトコル処理を実行する。データセンタ内の中枢、及び論理ネットワークを実施するマシン上の両方に置かれるネットワークコントローラのネットワーク制御システムを通して、これらの経路が他の集中化構成要素と分散化ルーティング構成要素とに伝達される。いくつかの実施形態は、外部ネットワークから直接学習した経路と、外部ネットワークから経路を学習した、異なるピア集中化構成要素から学習した経路とに対して、集中化構成要素のルーティング情報ベース(routing information base, RIB)における異なる管理上の基準を用いる。従って、集中化構成要素は、論理ルータのピア集中化構成要素を通じたリダイレクションを含む経路よりも、直接学習した経路を選択する。
論理ルータがTLRである場合、いくつかの実施形態は、論理ルータに対するステートフルサービス(stateful service)が構成されるときには、集中化構成要素を用いない、或いはアクティブ-スタンバイモードの2つの集中化構成要素を用いる。2つの集中化構成要素のそれぞれは、同一のネットワークレイヤアドレスを有し、アクティブな構成要素のみがARPリクエストに返信する。PLRと接続するために、いくつかの実施形態はまた、2つの構成要素のそれぞれに同一のネットワークレイヤアドレス(しかし自身の分散化構成要素と接続するために用いられるアドレスとは異なる)を割り当てる。加えて、管理プレーンは、PLRの分散化構成要素とTLRの集中化構成要素との間の通過論理スイッチを定義する。
いくつかの実施形態の管理プレーンは、追加的に、(例えば、分散化構成要素と集中化構成要素のそれぞれのための)各論理ルータ構成物のためのルーティングテーブルを構成する。これらのルーティングテーブルにおける経路は、接続された論理スイッチと、ユーザ入力の静的経路と、他の論理ルータの接続に基づく動的経路と、に基づく経路を含んでよい。例えば、管理者によって論理ルータに直接接続された任意の論理スイッチは、結果的に、分散化構成要素のルーティングテーブルにおける接続された経路、及び、分散化構成要素のインタフェースである次ホップを有する様々な集中化構成要素のための経路となる。
ユーザが静的経路を追加する場合、いくつかの実施形態は、様々な論理ルータ構成要素に静的経路を追加する様々なルールを提供する。例えば、いくつかの実施形態は、(論理ネットワーク内の次ホップを有する)下向きの静的経路(downward-facing static routes)を直接的に(特定された次ホップのような他の論理フォワーディング要素とインタフェースを有する)分散化構成要素に追加する一方で、集中化構成要素によってアクセス可能な分散化構成要素のインタフェースを再度指し示す経路を、集中化構成要素のそれぞれに追加する。構成済みの静的経路が(外部ネットワークにある、及び/又は集中化構成要素の1つと相関する特定の出力インタフェースを特定する、次ホップを有して)上向き(upward-facing)である場合、いくつかの実施形態は、(i)特定されたインタフェース及び/又は次ホップのアドレスに応じて経路を1つ以上の集中化構成要素に追加し、(ii)各集中化構成要素のインタフェースを次ホップとして特定する分散化構成要素に経路を追加する。しかしながら、いくつかの実施形態は、構成済みの静的経路がデフォルト経路である場合には分散化構成要素に経路を追加しない。これは、管理プレーンが、集中化構成要素のそれぞれを指す分散化構成要素ルーティングテーブルのための等価コストのデフォルト経路を、論理ルータの生成時に既に自動的に生成しているためである。
更に、TLRがPLRに接続した場合、いくつかの実施形態は、TLRに接続され、外部ネットワークに(動的ルーティングプロトコルを介して)アドバタイズされるべき、任意の論理スイッチサブネットを識別する。この場合、2つの論理ルータの間の動的ルーティングプロトコルを実行するよりも、(両方の論理ルータ構成を知る)管理プレーンは、PLRがその別々の各ルーティング構成要素のための別々のルーティングテーブルを実際に有するという事実を扱う間に、自動的に経路交換を実行する。従って、管理プレーンは、(i)PLRに接続するTLRのインタフェースとして次ホップを有する経路を分散化構成要素に、(ii)集中化構成要素からアクセス可能な分散化構成要素のインタフェースとして次ホップを有する経路を集中化ルーティング構成要素のそれぞれに、の両方にこれらの論理ネットワークのための経路を追加する。
先行するサマリは、本発明のいくつかの実施形態に対する簡単な導入として提供されることを意図するものである。本書面において開示される発明の主題の全ての紹介又は概要を意味するものではない。以下の詳細な説明及び詳細な説明において参照される図面は、他の実施形態と、要約において説明された実施形態を更に説明するであろう。従って、本書面によって説明される全ての実施形態を理解するため、要約、詳細な説明及び図面の十分な確認が必要である。更に、クレームされる主題は、主題の思想から離れることなく他の具体的な形態で具現化することができるため、クレームされる主題は、要約、詳細な説明及び図面における詳細な例によって限定されず、むしろ添付された特許請求の範囲によって定義されるべきである。
本発明の新規な特徴は添付の特許請求の範囲によって明らかになる。しかしながら、説明の目的のため、本発明のいくつかの実施形態は以下の図において明らかになる。
図1は、ユーザによって指示されるような論理ネットワークを表す、論理ルータの構成図を示す。
図2は、論理ルータが分散化される態様で実施される場合の、図1の論理ネットワークの管理プレーンの範囲を示す。
図3は、図1の論理ルータの物理的に分散化された実施を示す。
図4は、論理ルータの2つの層を用いる論理ネットワークを概念的に示す。
図5は、論理ネットワーク内のTLRが完全に分散化される場合の、図4の論理トポロジの管理プレーンの範囲を示す。
図6は、論理ネットワーク内のTLRが集中化構成要素を有する場合の、図4の論理トポロジの管理プレーンの範囲を示す。
図7は、ネットワークアドレスおよび管理者によって割り当てられたインタフェースを含む、論理ネットワークトポロジのより詳細な構成を概念的に示す。
図8は、管理プレーンごとの図7の論理トポロジの構成を示す。
図9は、ユーザ仕様に基づいてPLRを構成するいくつかの実施形態の処理を概念的に示す。
図10は、ユーザ仕様に基づいてTLRを構成するいくつかの実施形態の処理を概念的に示す。
図11は、いくつかの実施形態のRIB生成ルールを示すために用いられる論理ネットワーク構成を概念的に示している。
図12は、図11に示す構成に基づいて、管理プレーンによって生成される論理ネットワークを概念的に示している。
図13は、PLRのための構成情報として入力されるサウス向き(south-facing)の静的経路を処理するいくつかの実施形態の処理を概念的に示す。
図14は、PLRのために構成される静的経路とTLRの組のための構成との組と、構成データに基づいて管理プレーンによって生成される、PLRのDR及び3つのSRのための出力とを概念的に示す。
図15は、PLRのための構成情報として入力されるノース向き(north-facing)の経路を処理するいくつかの実施形態の処理を概念的に示す。
図16は、TLRがPLRに取り付けられる場合に、PLRのルーティング構成物のためのRIBを生成するいくつかの実施形態の処理を概念的に示す。
図17は、新たなインタフェースがPLRに取り付けられる場合に、PLRのルーティング構成物のRIBのための経路を生成するいくつかの実施形態の処理を概念的に示す。
図18は、本発明のいくつかの実施形態が実装される電子システムを概念的に示す。
いくつかの実施形態は、ネットワークにおいて(例えばデータセンタにおいて)論理ルータを実施する方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、ネットワークを集中的に管理する(例えばネットワークコントローラにおいて実施される)管理プレーンによって実行される。いくつかの実施形態では、この方法は、(例えばアプリケーションプログラミングインタフェース(API)を通じて)論理ルータの定義を受信し、そして論理ルータのための複数のルーティング構成要素を定義する。これらのルーティング構成要素のそれぞれは、別個に経路の組と論理インタフェースの組とを割り当てられる。方法はまた、論理ルータのための経路の仕様と、論理ルータから他の論理ルータへの接続とを受信してもよい。いくつかの実施形態は、自動的に、どのルーティング構成要素のルーティングテーブルに受信した経路をプッシュすべきか、及び、どのように経路を伝達するかを、他の論理ルータとの接続に基づいて識別する。
いくつかの実施形態では、論理ルータのために定義されたいくつかのルーティング構成要素は、(以下、分散化ルータ又はDRとして参照される)1つの分散化ルーティング構成要素と、(以下、サービスルータ又はSRとして参照される)いくつかの集中化ルーティング構成要素とを含む。加えて、いくつかの実施形態の管理プレーンは、論理ルータの内部の構成要素の間の通信を処理するための論理スイッチ(通過論理スイッチとして参照される)を定義する。DRと通過論理スイッチとは、データセンタ内の多数のマシンによって分散化された態様で実施される一方、SRはそれぞれが単一のマシン上で実施される。いくつかの実施形態は、様々なマシン上の管理対象フォワーディング構成要素(MFE)のデータパスにおいてDR及び通過論理スイッチを実施する一方、SRはその単一のマシン上の複数のVM(又は他のデータ計算ノード)において実施される。他の実施形態もまた、割り当てられたマシンのデータパスにおいて集中化構成要素を実施する。
ある実施形態では、SRはアクティブ-アクティブモード、又はアクティブ-スタンバイモードであるように構成され得る。アクティブ-アクティブモードでは、全てのSRが同時に完全に動作し、トラフィックは、集中化構成要素から外部ネットワークへの接続性が構成要素にわたって同一である限り、(様々なSRにわたるトラフィックをバランスする)等価コストマルチパス(equal-cost multi-path)(ECMP)フォワーディング原理を用いるSRを通して、論理ネットワークに進入又は退出することができる。このモードでは、別々のSRのそれぞれは、外部ネットワークと通信するための、自身のネットワークレイヤ(例えばIP)アドレスとデータリンクレイヤ(例えばMAC)アドレスとを有する。加えて、別々のSRのそれぞれは、分散化ルーティング構成要素へパケットを送信するとともに分散化ルーティング構成要素からパケットを受信するために、通過論理スイッチと接続するための自身のネットワークレイヤアドレスとデータリンクレイヤアドレスとを有する。
いくつかの実施形態では、論理ルータは2層論理ネットワーク(two-tier logical network)構成の一部である。2層構成のいくつかの実施形態は、論理ネットワークをデータセンタの外部のネットワークに接続するための単一の論理ルータ(プロバイダ論理ルータ(provider logical router)(PLR)として参照され、例えばデータセンタの所有者によって管理される)と、単一の論理ルータと接続し、外部ネットワークと個別に通信しない複数の論理ルータ(テナント論理ルータ(tenant logical router)(TLR)として参照され、例えばデータセンタの異なるテナントによって管理される)とを含む。いくつかの実施形態は、可能なときはいつでもアクティブ-アクティブモードにおいてPLRのSRを実施し、ステートフルサービス(stateful service)(例えば、NATファイアウォール、ロードバランサ等)が論理ルータのために構成される場合にのみアクティブ-スタンバイモードを用いる。以下の説明は、主にPLRのためのアクティブーアクティブモードについて説明している。
PLRに対して、いくつかの実施形態は外部ネットワークと経路交換を可能にする。PLRのSRのそれぞれは、論理ネットワークのプレフィックスをアドバタイズし、外部ネットワークへの経路を受信するために動的ルーティングプロトコル処理を実行する。データセンタ内の中枢、及び論理ネットワークを実施するマシン上の両方に置かれたネットワークコントローラのネットワーク制御システムを通して、これらの経路が他のSRとDRとに伝達される。いくつかの実施形態は、外部ネットワークから直接学習した経路と、外部ネットワークから経路を学習した、異なるピアのSRから学習した経路とに対して、集中化構成要素のルーティング情報ベース(RIB)における異なる管理上の基準を用いる。従って、SRは、論理ルータのピアSRを通じたリダイレクションを含む経路よりも、直接学習した経路を選択する。
論理ルータがTLRである場合、いくつかの実施形態は、論理ルータに対するステートフルサービスが構成されるときには、SRを用いない、或いはアクティブ-スタンバイモードの2つのSRを用いる。2つのSRのそれぞれは、同一のネットワークレイヤアドレスを有し、アクティブな構成要素のみがARPリクエストに返信する。PLRと接続するために、いくつかの実施形態はまた、2つのSRのそれぞれに同一のネットワークレイヤアドレス(しかし自身のDRと接続するために用いられるアドレスとは異なる)を割り当てる。加えて、管理プレーンは、PLRのDRとTLRのSRとの間の通過論理スイッチを定義する。
いくつかの実施形態の管理プレーンは、追加的に、(例えば、DRと各SRのための)各論理ルータ構成物のためのルーティングテーブルを構成する。これらのルーティングテーブルにおける経路は、接続された論理スイッチと、ユーザ入力の静的経路と、他の論理ルータの接続に基づく動的経路と、に基づく経路を含んでよい。例えば、管理者によって論理ルータに直接接続された任意の論理スイッチは、結果的に、DRのルーティングテーブルにおける接続された経路、及び、DRである次ホップを有する様々なSRのための経路にある。
ユーザが静的経路を追加した場合、いくつかの実施形態は、様々な論理ルータ構成要素に静的経路を追加する様々なルールを提供する。例えば、いくつかの実施形態は、(論理ネットワーク内の次ホップを有する)下向きの静的経路を直接的に(特定された次ホップのような他の論理フォワーディング要素とインタフェースを有する)DRに追加する一方で、SRによってアクセス可能なDRのインタフェースを再度指し示す経路を、各SRに追加する。構成済みの静的経路が(外部ネットワークにある、及び/又はSRの1つと相関する特定の出力インタフェースを特定する、次ホップを有して)上向きである場合、いくつかの実施形態は、(i)特定されたインタフェース及び/又は次ホップのアドレスに応じて経路を1つ以上のSRに追加し、(ii)次ホップとして各集中化構成要素のインタフェースを特定する経路をDRに追加する。しかしながら、いくつかの実施形態は、構成済みの静的経路がデフォルト経路である場合にはDRに経路を追加しない。これは、管理プレーンが、SRのそれぞれを指すDRルーティングテーブルのための等価コストのデフォルト経路を、論理ルータの生成時に既に自動的に生成しているためである。
更に、TLRがPLRに接続した場合、いくつかの実施形態は、TLRに接続され、外部ネットワークに(動的ルーティングプロトコルを介して)アドバタイズされるべき、任意の論理スイッチサブネットを識別する。この場合、2つの論理ルータの間の動的ルーティングプロトコルを実行するよりも、(両方の論理ルータ構成を知る)管理プレーンは、PLRがその別々の各ルーティング構成要素のための別々のルーティングテーブルを実際に有するという事実を処理する間に、自動的に経路交換を実行する。従って、管理プレーンは、(i)PLRに接続するTLRのインタフェースとして次ホップを有する経路をDRに、(ii)SRからアクセス可能なDRのインタフェースとして次ホップを有する経路をSRのそれぞれに、の両方にこれらの論理ネットワークのための経路を追加する。
上記は2層論理ルータの概念と、いくつかの実施形態の論理ルータの構成及び実施の所定の側面とを説明する。以下、セクションIはいくつかの実施形態の論理ルータの全体的な高レベルの設計に焦点をあて、一方で、セクションIIは様々な論理ルータ構成要素の構成を説明する。そしてセクションIIIはこれらの論理ルータ構成要素のためのルーティングテーブル構成を説明する。最後に、セクションIVは、本発明のいくつかの実施形態が実装される電子システムを説明する。
I.論理ルータ及び物理的な実施
以下の説明は、いくつかの実施形態に対する論理ルータの設計について、いくつかの実施形態のネットワークコントローラによる論理ルータの実施とともに説明する。いくつかの実施形態では、論理ルータは3つの異なる形態で存在する。これらの形態における1つ目は、ユーザ(例えばデータセンタプロバイダ又はテナント)によって定義される、APIビュー、又は構成ビューである。2つ目のビューは、ネットワークコントローラがどのように内部的に論理ルータを定義するかについての、コントロールプレーン又は管理プレーンのビューである。最後に、3つ目のビューは、論理ルータがどのようにデータセンタ内で実際に実施されるかについての論理ルータの物理的な具体化又は実装である。すなわち、論理ルータは、ユーザが論理ルータのために構成する機能(例えばルーティング、NAT等)の組を示す抽象化である。そして、論理ルータは、ユーザによって提供される構成に従ってネットワークコントローラによって生成される命令を用いてネットワークコントローラの組が様々なマシンに分散させる命令に基づき、データセンタ内のこれらのマシンによって実施される。
コントロールプレーンのビューでは、いくつかの実施形態の論理ルータは、単一のDRと1つ以上のSRとのうちの一方又は両方を含む。いくつかの実施形態において、DRは、論理ルータと直接又は間接に論理的に接続するVM或いは他のデータ計算ノードと直接接続する、管理対象フォワーディング構成要素(MFE)に及ぶ。いくつかの実施形態のDRはまた、論理ルータが結合するゲートウェイに及ぶ。いくつかの実施形態では、DRは、論理スイッチ及び、論理ルータと論理的に接続された他の論理ルータの少なくともいずれかの間における、第1ホップの分散化ルーティングに対して責務を負う。いくつかの実施形態のSRは、分散化された形態(例えばいくつかのステートフルサービス)で実施されないサービスを配送する責務を負う。
いくつかの実施形態では、分散化論理ルータの物理的な具現化は、(すなわち第1ホップルーティングのために)常にDRを有する。論理ルータは、(i)論理ルータがPLRであり、従って外部物理ネットワークに接続する場合、或いは(ii)分散化された実施を持たないように構成されたサービス(例えば、いくつかの実施形態では、NAT、ロードバランシング、DHCP)を、論理ルータが有する場合、のいずれかの場合にSRを有する。いくつかの実施形態は、PLR上に構成されるステートフルサービスが無い場合であっても、外部ネットワークへの接続を集中化するための実装においてSRを用いる。
A.単一層論理ルータ
図1-図3は、分散化論理ルータの実装についての3つの異なるビューを示している。図1は、特に、ユーザによって指示されるような論理ネットワーク100を表す、論理ルータの構成ビューを示す。図示されるように、論理ルータ115は、論理ルータ115と、2つの論理スイッチ105及び110とを含む論理ネットワーク100の一部である。2つの論理スイッチ105と110のそれぞれは、論理ポートに接続するVMを有する。3つの図においてVMとして示すが、いくつかの実施形態において、他の種別のデータ計算ノード(例えばネームスペース等)が論理スイッチと接続することが理解されるべきである。論理ルータ115はまた、外部物理ネットワーク120に接続する2つのポートを含む。
図2は、論理ネットワーク100の管理プレーンビュー200を示している。論理スイッチ105と110は、このビューでは構成ビューと同一であるが、ネットワークコントローラは、論理ルータ115に対して2つのサービスルータ205と210、及び、分散化ルータ215と通過論理スイッチ220を生成している。DR215は、論理スイッチ105及び110のそれぞれに対するサウスバウンドインタフェースと、通過論理スイッチ220への(及びこれからSRへ通じる)単一のノースバウンドインタフェースとを含む。SR205及び210のそれぞれは、(DR215と通信するために使用し、所定の状況では互いに通信するために使用する)通過論理スイッチ220への単一のサウスバウンドインタフェースを含む。SR205及び210のそれぞれはまた、(外部ネットワークと接続する)論理ルータのアップリンクポートに対応し、従って、SRのそれぞれは単一のそのようなインタフェースを有する。
様々なルータ構成物205ー215のノースバウンド及びサウスバウンドインタフェースの詳細な構成と、これらの通過論理スイッチ220との接続は以下で更に詳細に説明される。いくつかの実施形態では、管理プレーンは、ルータ構成物205-215のそれぞれのための別々のルーティング情報ベース(RIB)を生成する。これは、管理/コントロールプレーンにおいて生成された別々のオブジェクトを有することに加えて、各ルータ構成物205は別々の経路を有する別々のルータとして扱われる。
最後に、図3は、論理ルータ100の物理的な実装を示している。図示されるように、論理ネットワーク100における論理スイッチ105と110の1つに接続されるVMのそれぞれは、ホストマシン305上に存在する。いくつかの実施形態において、これらのホストマシン上で動作するMFE310は、ホストマシン上のハイパーバイザ又は他の仮想化ソフトウェア内で動作する仮想スイッチ(例えばOpen vSwitch(OVS)、ESX)である。これらのMFEは、論理ネットワーク100のVMによって送信されるパケットに対し、論理スイッチ105及び110と論理ルータ115とを実装するための第1ホップのスイッチング及びルーティングを実行する。MFE310(又はこれらのサブセット)はまた、他の論理ネットワークが、ホストマシン305上に同様に存在するVMを有する場合、他の論理ネットワークのための論理スイッチ(及び分散化論理ルータ)を実装してもよい。
2つのサービスルータ205と210のそれぞれは、異なるゲートウェイマシン315及び320上で動作する。ゲートウェイマシン315と320は、いくつかの実施形態においてホストマシン305と類似するホストマシンであるが、ユーザVMよりむしろホストSRである。いくつかの実施形態では、ゲートウェイマシン315及び320のそれぞれは、MFEがDR215のためのルーティングと論理スイッチングとを処理することができるように、SRとMFEとを含む。例えば、外部ネットワーク120から送信されたパケットは、1つのゲートウェイ上のSRルーティングテーブルの実装によってルーティングされ得、そして同一のゲートウェイ上のMFEにより、その後(DRルーティングテーブルに従って)スイッチ及びルーティングされる。
SRは、異なる実施形態では、ネームスペース内、仮想マシン内、又はVRFとして実施され得る。SRは、いくつかの実施形態では、任意のステートフルサービス(例えばファイアウォール)が論理ルータ上に構成されるかどうかに応じて、アクティブ-アクティブ又はアクティブ-スタンバイモードで動作してよい。ステートフルサービスが構成される場合、いくつかの実施形態は単一のアクティブSRのみを必要とする。いくつかの実施形態では、アクティブ及びスタンバイのサービスルータは同一の構成で提供されるが、MFEは、アクティブSR(又はアクティブSRを有するゲートウェイマシン上のMFEへ)へトンネルを介してパケットを送信するように構成される。トンネルがダウンした場合にのみ、MFEがスタンバイのゲートウェイにパケットを送信する。
B.多層トポロジ(Multi-Tier Topology)
前の例は論理ルータの単一層のみを示すものである。多層の論理ルータを有する論理ネットワークについて、いくつかの実施形態は、各レベルにおいてDRとSRの両方を、又は、上層レベルのDR及びSR(PLR層)と下層レベル(TLR層)のDRのみを、含み得る。図4は、いくつかの実施形態の多層論理ネットワーク400を、論理ネットワークの異なる2つの管理プレーンのビューを示す図5及び図6とともに、概念的に示している。
図4は、論理ルータの2つの層を用いる論理ネットワーク400を概念的に示している。図示されるように、論理ネットワーク400は、レイヤ3のレベルにおいて、プロバイダ論理ルータ405、及びいくつかのテナント論理ルータ410ー420を含む。第1のテナント論理ルータ410は、論理スイッチのそれぞれに接続する1つ以上のデータ計算ノードとともに、取り付けられた2つの論理スイッチ425及び430を有する。典型的には他のTLR415ー420は(データ計算ノードと接続する)取り付けられた論理スイッチを有するが、簡単のために、第1のTLR410に取り付けられた論理スイッチのみを示している。
いくつかの実施形態では、任意の数のTLRが、PLR405のようなPLRに取り付けられてよい。いくつかのデータセンタは、データセンタ内で実施される全てのTLRが取り付けられる単一のPLRのみを有してよいが、他のデータセンタは多数のPLRを有し得る。例えば、大きなデータセンタは異なるテナントに対して異なるPLRポリシーを用いることを望み得るか、(例えばPLRのためのルーティングテーブルが非常に大きくなるために)全てのTLRを単一のPLRに取り付ける非常に多くの異なるテナントを有し得る。PLRのルーティングテーブルの部分は、そのTLRの論理スイッチドメインの全てに対する経路を含み、従って、PLRに多数のTLRを取り付けることにより、TLRに取り付けたサブネットに単純に基づく各TLRに対するいくつかの経路を生成する。図示されるように、PLR405は外部物理ネットワーク435への接続を提供し、いくつかの実施形態は、データセンタプロバイダがこの接続を管理することができるように、PLRがそのような接続を提供することを可能にする。別々のTLR410ー420のそれぞれは、論理ネットワーク400の一部を通して、独立に構成される(そのように選択すれば単一のテナントが複数のTLRを有することができるが)。
図5及び図6は、TLR405が集中化構成要素を含むか否かに応じて異なる、論理ネットワーク400の取り得る管理プレーンビューを示す。これらの例では、TLR405のルーティングについてはDRを用いて常に分散化される。しかしながら、TLR405の構成がステートフルサービスの提供を含む場合、TLRの管理プレーンビュー(従って物理的な実装)は、これらのステートフルサービスのためのアクティブ及びスタンバイのSRを含む。
従って、図5は、TLR405が完全に分散化される場合の、論理トポロジ400に対する管理プレーンビュー500を示す。簡単のため、第1のTLR410の詳細のみが示されているが、他のTLRは、いくつかの場合にはSRに加えてそれぞれが自身のDRを有する。図2のように、PLR405は、通過論理スイッチ525によって互いに接続されるDR505と3つのSR510-520とを含む。PLR405の実装内の通過論理スイッチ525に加えて、管理プレーンはまた、TLRのそれぞれとPLRのDR505との間の別々の通過論理スイッチ530-540を定義する。TLR410が完全に分散化される事例(図5)では、通過論理スイッチ530は、TLR410の構成を実装するDR545と接続する。従って、2015年1月30日に出願された米国仮出願第62/110,061号においてより詳細に説明されるように、論理スイッチ425に取り付けられるデータ計算ノードによって外部ネットワーク内の宛先に送信されるパケットは、論理スイッチ425、TLR410のDR545、通過論理スイッチ530、PLR405のDR505、通過論理スイッチ525、及びSR510ー520の1つ、のパイプラインを通して処理される。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態の全てにおいて、通過論理スイッチ525及び530-540の存在及び定義は、トラブルシューティングを目的とする例外はあるものの、APIを通してネットワークを設定するユーザ(例えば管理者)には隠される。
図6は、TLR405が集中化構成要素を有する場合(例えば、分散化することができないステートフルサービスがTLRのために定義されているため)の、論理トポロジ400に対する管理プレーンビュー600を示している。いくつかの実施形態では、ファイアウォール、NAT、ロードバランシング等などのステートフルサービスは、集中化した形態でのみ提供される。しかしながら、他の実施形態は、分散化するサービスのいくつか又は全てを可能にする。前の図のように、第1のTLR410の詳細のみが簡単のために示されており、他のTLRは、同様に定義された構成要素(DR、通過LS、及び2つのSR)、又は図5の例のようにDRのみを有し得る。PLR405は、前の図と同一の態様で、通過論理スイッチ525によって互いに接続されたDR505と3つのSR510を用いて実施される。加えて、前の例のように、管理プレーンは、PLRとTLRのそれぞれの間に通過論理スイッチ530-540を置く。
TLR410の部分的な集中化実装は、論理スイッチ425及び430が取り付けられるDR605と、2つのSR610及び615とを含む。PLRの実装のように、DRと2つのSRのそれぞれは通過論理スイッチ620へのインタフェースを有する。いくつかの実施形態において、この通過論理スイッチは、スイッチ525と同一の目的を果たす。TLRに対し、いくつかの実施形態は、1つのSRがアクティブ、他がスタンバイに指定されたアクティブ-スタンバイのSRを実施する。従って、アクティブなSRが動作可能な限り、論理スイッチ425及び430の1つに取り付けられるデータ計算ノードによって送信されるパケットは、スタンバイのSRよりむしろアクティブなSRに送信される。いくつかの実施形態では、通過論理スイッチ530は、TLR410に接続する単一のポートのみを含み、このポートは、SRが動作しなくなり第2のSR615へ接続が移動しなければ、第1のSR610に接続する。このように、この接続は図における破線として示される。
上図はいくつかの実施形態の論理ルータの管理プレーンビューを示した。いくつかの実施形態では、管理者又は他のユーザは、APIを通して(他の構成情報に加えて)論理トポロジを提供する。このデータは管理プレーンに提供され、それは(例えばDR、SR、通過論理スイッチ等を定義することによって)論理ネットワークの実施を定義する。加えて、いくつかの実施形態では、ユーザは、各論理ルータ(例えば各PLR又はTLR)をデプロイのために物理マシンの組(例えばデータセンタ内の予め定められたマシンの組)と関連付ける。純粋な分散化ルータについては、図5で実施されるTLR405のように、DRが、論理ネットワークに接続されたデータ計算ノードと共にホスト上に存在する管理フォワーディング構成要素にわたって実施されるため、物理マシンの組は重要ではない。しかしながら、論理ルータの実施がSRを含む場合、これらのSRのそれぞれは特定の物理マシン上にデプロイされる。いくつかの実施形態では、物理マシンのグループは、(ユーザVM又は、論理スイッチに取り付けられるデータ計算ノードとは対照的に)SRをホストする目的のために指定されたマシンの組である。他の実施形態では、SRは、ユーザデータ計算ノードと一緒にマシン上にデプロイされる。
ある実施形態では、論理ルータのユーザ定義は特定の数のアップリンクを含む。以下で説明されるように、アップリンクは、論理トポロジにおける論理ルータのノースバウンドインタフェースである。TLRについては、そのアップリンクはPLRと接続する(一般に、アップリンクの全ては同一のPLRと接続する)。PLRについては、そのアップリンクは外部ルータと接続する。いくつかの実施形態はPLRのアップリンクの全てが同一の外部ルータとの接続性を有することを必要とする一方で、他の実施形態はアップリンクが外部ルータの異なる組と接続することを可能にする。ひとたびユーザが論理ルータのためのマシンのグループを選択すると、SRが論理ルータのために必要である場合には、管理プレーンは、選択されたマシンのグループにある物理マシンに論理ルータのアップリンクのそれぞれを割り当てる。管理プレーンはその後、アップリンクが割り当てられる各マシン上でSRを生成する。いくつかの実施形態では、同一マシンに複数のアップリンクを割り当てることが可能であり、この場合、マシン上のSRは複数のノースバウンドインタフェースを有する。
上述したように、いくつかの実施形態では、SRは、仮想マシン又は他のコンテナとして、又は、(例えばDPDKベースのSRの実施である場合には)VRFコンテキストとして、実施され得る。いくつかの実施形態では、SRの実施のための選択は、論理ルータのために選択されたサービスと、どのSRの種別がこれらのサービスを最良に提供するか、とに基づき得る。
加えて、いくつかの実施形態の管理プレーンは通過論理スイッチを生成する。通過論理スイッチのそれぞれについて、管理プレーンは、論理スイッチに固有のVNIを割り当て、各SR及びDR上に、通過論理スイッチと接続するポートを生成し、そして、論理スイッチと接続する任意のSR及びDRに対するIPアドレスを割り当てる。いくつかの実施形態は、各通過論理スイッチに割り当てられたサブネットが多数のTLR(例えばネットワークトポロジ400)を有する論理L3ネットワークトポロジ内で固有になることを必要とし、TLRのそれぞれは自身の通過論理スイッチを有し得る。すなわち、図6では、PLRの実装内の通過論理スイッチ525、PLRとTLRの間の通過論理スイッチ530-540、及び通過論理スイッチ620(及び任意の他のTLRの実施内の通過論理スイッチ)のそれぞれは、固有のサブネットを必要とする。更に、いくつかの実施形態では、SRは、論理空間内の例えばHAプロキシのようなVMへの接続を初期化する必要があり得る。戻りのトラフィックが機能することを保証するために、いくつかの実施形態はリンクローカルIPアドレスを使用しないようにする。
いくつかの実施形態は、多層構成において、論理ルータの接続に様々な制限を設ける。例えば、いくつかの実施形態は、任意の数の論理ルータの層(例えば、TLRの多数の層に加えて、外部ネットワークに接続するPLR層)を可能にし、他の実施形態は2層トポロジのみ(PLRに接続する1つのTLRの層)を可能にする。更に、いくつかの実施形態は、各TLRが唯一のPLRに接続することを可能にし、そして、ユーザによって生成された各論理スイッチ(すなわち通過論理スイッチではない)が1つのPLR又は1つのTLRに接続することを可能にする。いくつかの実施形態はまた、論理ルータのサウスバウンドのポートのそれぞれが異なるサブネットになければならないという制約を追加する。従って、2つの論理スイッチは、同一の論理ルータと接続する場合に、同一のサブネットを有しないであろう。最後に、いくつかの実施形態は、PLRの異なるアップリンクが異なるゲートウェイマシン上に存在しなければならないことを必要とする。いくつかの実施形態はこれらの要件のいずれも含まないこと、又は要件の様々な異なる組み合わせを含むことが理解されるべきである。
II.SR及びDRの構成
ユーザが論理ルータを(そのインタフェースと提供経路を構成することによって)構成する場合、この構成は、論理ルータのためのSR及びDRを管理プレーンによって構成するために用いられる。例えば、図1の論理ルータ115は4つのインタフェース(2つは論理スイッチへのもの、2つはアップリンク)を有する。しかしながら、図2におけるその分散化された管理プレーンの実施は、それぞれが3つのインタフェースを有するDRと2つのインタフェースを有するSRと(全部で7つのインタフェース)を含む。IP及びMACアドレスと、論理ルータ構成の一部として4つのインタフェースに割り当てられる他の構成の詳細とは、論理ルータの様々な構成要素に対する構成を生成するために用いられる。
更に、構成の一部として、いくつかの実施形態は、論理ルータ構成要素のそれぞれに対してルーティング情報ベース(RIB)を生成する。すなわち、管理者が単一の論理ルータのみを定義した場合であっても、いくつかの実施形態の管理プレーン及びコントロールプレーンの少なくともいずれかが、DR及びそれぞれのSRのための別々のRIBを生成する。PLRのSRのために、いくつかの実施形態では、管理プレーンが初めにRIBを生成するが、SRの物理的実施もまた、動的なルーティングプロトコル処理(例えばBGP、OSPF等)を実行して局所的にRIBを補う。
いくつかの実施形態は、論理ルータのRIB内、つまりその構成要素ルータのRIB内に複数の種別の経路を含む。いくつかの実施形態では、全ての経路は、大きい値ほど低優先度の経路の種別を示す、優先度を決定するために用いられる管理上の距離値(すなわち、同一のプレフィックスに対する2つの経路が存在する場合、より低い距離値を有する経路が用いられる)を含む。同一のプレフィックスに対する複数の経路が同一の距離値でRIBにある場合、これらのプレフィックスへのトラフィックは当該異なる経路にわたって(例えば、トラフィックを同等にバランスするためのECMP原理を用いて)分散する。
connected (0): 論理ルータのポートに構成されるプレフィックス
static (1): 管理者/ユーザによって構成される
management plane internal (10): デフォルト経路-TLRがPLRに接続される場合、PLRへ向かうデフォルト経路がTLRのRIBに追加され、論理スイッチがTLRに接続される場合、ユーザはサブネットを再分散化できるようにし、サブネットがNAT化されていなければ、サブネットのTLRへ向かうデフォルト経路はPLRのRIBに追加される
EBGP (20): 次の4つの種別は動的なルーティングプロトコルを介して学習される経路である
OSPF internal (30)
OSPF external (110)
IBGP (200)。
いくつかの実施形態では、全ての論理ルータがBGPとOSPF経路の両方を含むとは限らず、いくつかの論理ルータが含み得ないことを理解すべきである。例えば、外部ネットワークへの接続を含まない論理ルータは、何らのルーティングプロトコルを使用し得ず、そして、いくつかの論理ルータは、BGP及びOSPFの両方よりむしろ、1つの種別の経路共有プロトコル(route-sharing protocol)のみを実行し得る。
更に、いくつかの実施形態では、(動的なルーティングプロトコルを用いる)PLRのSRは、集中化コントローラから受信した(静的、接続済み、及び管理プレーンの内部経路を含む)RIBを、(動的ルーティングプロトコルを介して)物理ルータから学習した経路に統合する。SRは、学習済み経路を再計算のために集中化コントローラに送り返すよりむしろ、経路の収束を促進するために、これらの動的経路の統合に基づいて、そのFIBを内部で計算する。DRに対し、いくつかの実施形態の集中化コントローラは、RIB全体を、FIBを計算するローカルコントロールプレーンにプッシュダウン(push down)する。
A.DRの構成
いくつかの実施形態では、DRは、常に論理ルータの実装のサウスバウンド側(すなわち、外部物理ネットワークに接するよりもむしろ、論理ネットワークのデータ計算ノードに接する)に配置される。論理ルータが集中化構成要素を有しないのでなければ、論理ルータのアップリンクはDRに対して構成されず、DRのノースバウンドインタフェースは、代わりに論理ルータの一部である通過論理スイッチに接続する。
図7は、ネットワークアドレスおよび管理者によって割り当てられたインタフェースを含む、論理ネットワークトポロジ700のより詳細な構成を概念的に示す。図示されるように、論理スイッチ705及び710は、それぞれ自身のサブネット、1.1.1.0/24及び1.1.2.0/24に割り当てられ、論理スイッチ705に取り付けられたデータ計算ノードの全ては、対応するサブネット内のIPアドレスを有する。論理ルータ715は、第1の論理スイッチ705へのインタフェースL1を有し、このインタフェースは、サブネット1.1.1.0/24におけるデータ計算ノードに対するデフォルトゲートウェイである、1.1.1.253のIPアドレスを有する。論理ルータ715はまた、第2の論理スイッチ710へのインタフェースL2を有し、このインタフェースは、サブネット1.1.2.0/24におけるデータ計算ノードに対するデフォルトゲートウェイである、1.1.2.253のIPアドレスを有する。
論理ルータ715のノースバウンド側は2つのアップリンクであるU1及びU2を有する。第1のアップリンクU1は、192.168.1.252のIPアドレスを有し、192.168.1.252のIPアドレスを有する第1の物理ルータ720と接続する。第2のアップリンクU2は、192.168.2.253のIPアドレスを有し、192.168.2.252のIPアドレスを有する第2の物理ルータ725と接続する。物理ルータ720及び725は、実際には論理ネットワークの一部ではないが、論理ネットワークを外部ネットワークに接続する。図示した例では、アップリンクのそれぞれは単一の異なる物理ルータに接続するが、いくつかの事例では、アップリンクのそれぞれが複数の物理ルータの同一の組に接続する。すなわち、U1及びU2の両方は、物理ルータ720及び725の両方と両方が接続する。図示された例はそのような事例ではないが、いくつかの実施形態は、アップリンク接続が同一の接続性を提供する各外部ルータを必要とする。代わりに、第1の論理ルータ720はサブネット10.0.0.0/8に接続する一方で、第2のルータ725は両方のサブネット10.0.0.0/8及び11.0.0.0/8に接続する。
分散化構成要素を有する論理ルータに対し、いくつかの実施形態は以下のようにDRを構成する。サウスバウンドインタフェースは論理ルータのサウスバウンドインタフェースと同様に構成される。これらのインタフェースは、論理トポロジにおける論理スイッチ又は低レベル論理ルータと接続するものである(例えばPLRのサウスバウンドインタフェースはTLRと接続する)。いくつかの実施形態のDRは、単一のノースバウンドインタフェースが割り当てられ、これにはIPアドレスとMACアドレスが割り当てられる。論理ルータが1つ以上のSRを有することを想定した場合、DRのノースバウンドインタフェースは通過論理スイッチと接続する。
DRのRIBは、様々なサウスバウンド及びノースバウンドインタフェースに構成されたサブネットに基づいて、接続される経路を割り当てられる。(i)論理ルータのDR及びSR構成要素の間に構成される通過論理スイッチ、及び(ii)そのサウスバウンドインタフェース上の任意の論理スイッチ、に対して構成されるサブネットが存在する。サウスバウンドインタフェース上の論理スイッチは、データ計算ノードが接続するユーザ定義の論理ドメイン、又は、PLRのDRとPLRに接続する任意のTLRとの間に配置される通過論理スイッチであってよい。
更に、論理ルータのアップリンクから出る任意の静的経路は、DRのRIBに含まれるが、これらの経路は、次ホップのIPアドレスがアップリンクのSRのそれに設定されるように修正される。例えば、静的経路「a.b.c.0/24 via 192.168.1.252」(192.168.1.252は外部物理ネットワークルータのアドレス)は、「a.b.c.0/24 via [SRサウスバウンドインタフェースのIP]」に修正される。反対に、論理ルータのサウスバウンドから出る静的経路は、修正されないDRのRIBに含まれる。いくつかの実施形態では、論理ルータの各SRに対して、種別管理プレーン内部のデフォルト経路がDRのRIBに追加される。他の実施形態では、代わりに、特定のSRによって学習される動的経路が、特定のSRのサウスバウンドのIPとして修正される次ホップのIPアドレスとともにRIBに追加される。これはデフォルト経路に対する代替であり、これは管理プレーン内部種別が、さもなければSRによって学習された動的経路よりも高い優先度を有するためである。しかしながら、いくつかの実施形態では、TLRに対して、SRは動的ルーティングプロトコルを実行しないため、アクティブなSRのインタフェースを指す次ホップIPアドレスを有するデフォルト経路が代わりに用いられる。
図8は、管理プレーンによる論理トポロジ700の構成800を示している。図示されるように、論理スイッチ705と710とは、ユーザ設定によって指定されたように構成される。以前の例のように、論理ルータ715は、DR805と、2つのSR810及び815と、通過論理スイッチ820とを含む。DRは、論理ルータ705の2つのサウスバウンドインタフェースが割り当てられ、これらは論理スイッチ705及び710に接続する。通過論理スイッチは、サブネット192.168.100.0/24が割り当てられ、これは、論理ルータ705に(直接的に又は間接的に)論理的に接続する論理スイッチのなかで固有であるという要件を満たす必要がある。3つの管理プレーンルータ構成物805-815のそれぞれはまた、通過論理スイッチに接続されるインタフェースを含み、当該通過論理スイッチのサブネット内のIPアドレスを有する。サウスバウンドインタフェースU1及びU2は、2つのSR810及び815に割り当てられ、その構成は以下で説明する。
RIBの生成のために上述したいくつかの実施形態のルールを使用することにより、DR805のRIBは以下の経路を含む:
1.1.1.0/24 output to L1
1.1.2.0/24 output to L2
192.168.100.0/24 output to DRP1
192.168.1.0/24 via IP1
192.168.2.0/24 via IP2
10.0.0.0/8 via IP1
10.0.0.0/8 via IP2
11.0.0.0/8 via IP2
0.0.0.0/0 via IP1
0.0.0.0/0 via IP2
上記経路は、DRに接続された論理スイッチドメイン(1.1.1.0/24、1.1.2.0/24及び192.168.100.0/24)に対する3つの接続された経路を含む。更に、第1のアップリンクが配置されるサブネット(192.168.1.0/24)は、第1のSR810(IP1)のサウスバウンドインタフェースを介して到達される一方、第2のアップリンクが配置されるサブネット(192.168.2.0/24)は、第2のSR815(IP2)のサウスバウンドインタフェースを介して到達される。更に、3つの静的経路がユーザによって論理ルータ715に対して追加され、これは管理プレーンが自動的にDR805のために修正する。具体的に、経路は、両方のSRのサウスバウンドインタフェースを介するネットワーク10.0.0/8と、SR2のサウスバウンドインタフェースを介するネットワーク11.0.0/8とを含む。最後に、これらの同一のサウスバウンドインタフェースを指すデフォルト経路が含まれる。論理ルータのポートに対して管理プレーンによって生成されたIPアドレスIP1、IP2及びIP3は、全てがサブネット192.168.100.0/24にある通過論理スイッチを有するインタフェースを構築する。
B.SRの構成
論理ルータのDRと同様、管理プレーンは、別々のRIBとインタフェースを用いて論理ルータの各SRも構成する。上述したように、いくつかの実施形態では、PLRとTLRの両方のSRはサービス(すなわち、NAT、ファイアウォール、ロードバランシング等のような単なるルーティングを超えた機能)を実現し、PLRのためのSRは、論理ネットワークと外部物理ネットワークの間の接続も提供する。ある実施形態では、SRの実施はいくつかの目的を達成するように設計される。第1に、実施は、サービスがスケールアウトすることを保証する。すなわち、論理ルータに割り当てられたサービスは、論理ルータのいくつかのSRのいずれかによって実現され得る。第2に、いくつかの実施形態は、サービスポリシーがルーティング決定に依存し得るように、SRを構成する(例えば、インタフェースベースのNAT)。第3に、(いくつかの実施形態では低下したキャパシティ下で又は最適以下の態様でSRは動作することができるが)論理ルータのSRは、集中化コントロールプレーン又は管理プレーンの関与を要求することなく、自身の機能不全(例えば、SRが動作する物理マシンの機能不全、物理マシンへのトンネルの機能不全等)を扱う機能を有する。最後に、SRは、理想的には、自身の中での不必要なリダイレクトを排除する。すなわち、SRは、内部でパケットを転送する機能を有する場合、パケットを外部物理ネットワークへ転送しなければならず、必要なら異なるSRへのパケットのみを転送する。もちろん、SR間での転送はパケットループを回避しなければならない。
図8に示したように、各SRは、SRとDRの間にある通過論理スイッチ820へ接続する、1つのサウスバウンドインタフェースを有する。更に、いくつかの実施形態では、各SRは、論理ルータのように同数のノースバウンドインタフェースを有する。すなわち、1つのアップリンクのみがSRの動作する物理マシンに割り当てられ得るが、論理ルータインタフェースの全てがSR上で定義される。しかしながら、これらのインタフェースのいくつかはローカルインタフェースである一方、これらのインタフェースのいくつかはダミーインタフェースとして参照される。
いくつかの実施形態では、ローカルノースバウンドインタフェースは、パケットがSRから(直接物理ネットワークへ)直接出ることが可能なインタフェースである。SRに割り当てられたアップリンク(又は複数のアップリンクの1つ)に基づいて構成されるインタフェースは、ローカルインタフェースである。一方、異なるSRに割り当てられた論理ルータの他のアップリンクの1つに基づいて構成されるインタフェースは、ダミーインタフェースとして参照される。ダミーインタフェースのための構成を有するSRを提供することは、第1ホップのMFEが、アップリンクのいずれかに対するパケットをいずれかのSRに送信できるようにし、このとき、パケットがそのローカルインタフェースを宛先としていない場合であっても、SRはパケットを処理することができる。いくつかの実施形態は、SRの1つにおいてダミーインタフェースに対するパケットを処理した後に、インタフェースがローカルである、適切なSRへパケットを転送して、他のSRが外部物理ネットワークへパケットを送信できるようにする。ダミーインタフェースの使用は、ネットワークを管理する集中化コントローラ(又はコントローラの組)が、ルーティング決定に依存するサービスポリシーを全てのSRにプッシュできるようにし、これによりサービスは任意のSRによって配送できるようになる。
以下のセクションIVで説明するように、いくつかの実施形態では、SRは(例えば、BGP又はOSPFのような経路アドバタイズメントプロトコルを用いて)物理ネットワークとルーティング情報を交換する。経路交換の1つの目的は、どのSRが物理ネットワークへのパケットをルーティングするかにかかわらず、ルーティング決定が常に、SRのローカルインタフェースか、異なるSR上の論理ルータのアップリンクに対応するダミーインタフェースのいずれかに向けられることである。従って、論理ルータのアップリンクに関連付けられたポリシーは、アップリンクがSRに割り当てられていない場合であっても、当該SRによって適用され得、これはステートフルサービスのスケールアウトを可能にする。いくつかの実施形態では、ピアSRから受信した経路が、物理的な次ホップのルータから直接学習した経路より大きな距離値を有することにより、SRが物理ネットワークルータへ直接パケットを送信できないときにのみ、SRがそのピアSRへパケットを送信することを保証する。
1つ以上の集中化構成要素を有する論理ルータに対し、いくつかの実施形態は以下のようにSRを構成する。ノースバウンドインタフェースに対して、SRは論理ルータと同数のそのようなインタフェースを有し、これらの各インタフェースは、対応する論理ルータインタフェースのIP及びMACアドレスを継承する。これらのインタフェースのサブセットは(SRに割り当てられるアップリンクのための)ローカルインタフェースとしてマークされる一方、残りのインタフェースはダミーインタフェースとしてマークされる。いくつかの実施形態では、論理ルータのために定義されたサービスポリシーは全てのSRに対して均等にプッシュされる。これはサービスポリシーがネットワーク及びインタフェースの観点から同様に構成されるためである。特定の論理ルータのポート/アップリンクのための動的ルーティング構成は、その特定のアップリンクが割り当てられたSRのローカルインタフェースに転送される。
述べたように、各SRは、通過論理スイッチに接続する単一のサウスバウンドインタフェース(ローカルインタフェースでもある)を割り当てられ、ここで各SRのサウスバウンドインタフェースは同一の通過論理スイッチに接続されている。これらのサウスバウンドインタフェースのそれぞれのIPアドレスは、DRに割り当てられたノースバウンドインタフェース(通過論理スイッチのそれ)と同一のサブネット内にある。いくつかの実施形態は、SRがアクティブ-アクティブ又はアクティブ-スタンバイモードであるかに応じて、SRの間のIPアドレスの割り当てを異ならせる。アクティブ-アクティブモード(すなわちSRの全てがルーティング目的において平等に扱われる場合)に対しては、異なるIP及びMACアドレスが全てのSRのサウスバウンドインタフェースに割り当てられる。一方、アクティブ-スタンバイモードに対しては、2つのSRのサウスバウンドインタフェースの両方に同一のIPが用いられる一方、インタフェースのそれぞれは異なるMACアドレスが割り当てられる。
DRについての上記サブセクションで示したように、ユーザは論理ルータに対して静的経路を構成し得る。アップリンクから出る論理ルータの静的経路(又は接続された経路)は、SRのRIBにコピーされる。経路が出るアップリンクがSRに割り当てられる場合、このような経路に対する距離基準は修正されない。しかしながら、SRのアップリンクがダミーインタフェースである場合、いくつかの実施形態は、ダミーインタフェースを通して、異なるSRへパケットをリダイレクトすること無くネットワークに到達できるときに、SRがそのローカルインタフェースから出る経路を優先するように、この基準に値を追加する。更に、(トップレベルの論理ルータの)SRは動的経路を学習して、動的経路をRIBに置く(いくつかの実施形態はこれを内部で集中化コントローラを用いることなく実行するが)。いくつかの実施形態では、ピアSRから学習された動的経路は、距離基準の調整なしにインストールされる。これは、デフォルトではIBGP(SRからSRピアへ)又はOSPFから学習された経路に対する基準が、EBGPから学習された経路に対する基準より大きいためである。
論理ルータのサウスバウンドインタフェースのそれぞれに対し、いくつかの実施形態は、各SRのRIBに対応するネットワークのための経路を追加する。この経路は、その次ホップのIPアドレスとしてノースバウンドのDRインタフェースを指す。更に、サウスバウンドインタフェースから出る、論理ルータのために構成された任意の他の経路は、次ホップのIPアドレスとして同一のノースバウンドのDRインタフェースとともにSRにコピーされる。
図8の例に戻り、論理ルータ715が2つのアップリンクを有するように、管理プレーンは2つのサービスルータ810と815とを定義する。第1のサービスルータ810は、U1に対するローカルインタフェースと、U2’として参照されるU2に対するダミーインタフェースとを有する。同様に、第2のサービスルータ815は、U2に対するローカルインタフェースと、第1のアップリンクU1に対するダミーインタフェースU1’とを有する。これらのダミーインタフェースの機能は、これらのインタフェースが他のSRへパケットをリダイレクトするために用いられるものとして上述されている。これらのSRのそれぞれには、(SRがアクティブ-アクティブ構成であるように)異なるIPアドレスおよびMACアドレスを有するサウスバウンドインタフェースが割り当てられる。(第1のSR810に対する)IPアドレスIP1及び(第2のSR815に対する)IP2は、IP3(DR805のノースバウンドインタフェース)のように、サブネット192.1.100.0/24にある。
いくつかの実施形態のルールを用いて、かつ、ルーティングプロトコル(例えばBGP)がSRに対して有効化されているとすると、第1のSR810のRIBは以下の経路を含む。
10.0.0.0/8 output to U1 via 192.168.1.252, metric 20 (via EBGP)
10.0.0.0/8 output to U2’ via 192.168.2.252, metric 200 (via IBGP)
11.0.0.0/8 output to U2’ via 192.168.2.252, metric 200 (via IBGP)
192.168.1.0/24 output to U1, metric 0 (接続済)
192.168.100.0/24 output to SRP1, metric 0 (接続済)
1.1.1.0/24 via IP3, metric 10 (管理プレーン内)
1.1.2.0/24 via IP3, metric 10 (管理プレーン内)
同様に、第2のSR815のRIBは以下の経路を含む。
10.0.0.0/8 output to U2 via 192.168.2.252, metric 20 (via EBGP)
10.0.0.0/8 output to U1' via 192.168.1.252, metric 200 (via IBGP)
11.0.0.0/8 output to U2 via 192.168.2.252, metric 20 (via EBGP)
192.168.2.0/24 output to U2, metric 0 (接続済)
192.168.100.0/24 output to SRP2, metric 0 (接続済)
1.1.1.0/24 via IP3, metric 10 (管理プレーン内)
1.1.2.0/24 via IP3, metric 10 (管理プレーン内)
C.管理プレーン処理
図9は、ユーザ仕様に基づいてPLRを構成するいくつかの実施形態の処理900を概念的に示す。いくつかの実施形態では、処理900は管理プレーン(例えば、データセンタのネットワークを管理する集中化コントローラにおけるモジュールの組)によって実行される。管理プレーンは、構成処理を実行し、その後、コントローラの集中化コントロールプレーン(又は異なるネットワークコントローラ)を用いて、構成された論理ルータを実施する様々なホストマシン上の様々なローカルコントロールプレーンにデータを分散させる。
図示するように、処理900はPLRの仕様を(905において)受信することによって開始する。PLRの仕様は、PLRを定義する管理者入力(データセンタの所有者によって雇用された管理者)に基づく。いくつかの実施形態では、この仕様は、PLRが提供すべき任意のサービスの定義、PLRがアクティブ-アクティブ又はアクティブ-スタンバイモードで構成されるかどうか(もっとも、いくつかの実施形態はステートフルサービスが構成されない限り自動的にアクティブ-アクティブモードを用いる)、PLRにいくつのアップリンクが構成されるか、アップリンクのIP及びMACアドレス、アップリンクのL2及びL3接続性、PLRの任意のサウスバウンドインタフェースのサブネット(PLRを2層トポロジにする場合は1つのインタフェースであり、ユーザの論理スイッチが1層トポロジで直接接続する場合は任意の数のインタフェース)、PLRのRIBに対する任意の静的経路、及び他のデータを含む。異なる実施形態が、PLRの構成データに列挙されたデータの異なる組み合わせ又は他のデータを含み得ることは理解されるべきである。
そして処理900は、(910において)この構成データを用いてDRを定義する。これは、PLRが完全に集中化しない場合には管理プレーンによってDRは生成されないことを想定している。DRのサウスバウンドインタフェースについて、管理プレーンは、PLRのサウスバウンドインタフェース構成を用いる。すなわち、DRのIPアドレスとMACアドレスとは、論理ルータのために特定されたものになる。
更に(915において)処理は、PLRのために特定されたアップリンクのそれぞれをゲートウェイマシンに割り当てる。上述したように、いくつかの実施形態は、論理ルータのSRの位置に対する物理ゲートウェイマシンの特定の組を、ユーザが特定できるようにする(或いは特定することを求める)。いくつかの実施形態では、ゲートウェイマシンの組はサーバの特定のラック又はサーバのラックのグループ内、若しくはそうでなければ関連付けられて、組の中で全てのマシンを接続するトンネルとともに存在する。その後、管理プレーンは、選択された組のゲートウェイマシンの1つに各アップリンクを割り当てる。いくつかの実施形態は、複数のアップリンクが同一のゲートウェイマシンに割り当てられるようにし(論理ルータがアクティブ-スタンバイモードで構成される2つのアップリンクのみを有しない限り)、一方で他の実施形態は、アクティブ-アクティブ又はアクティブ-スタンバイモードであるかに関わらずPLRのためのゲートウェイに対して単一のアップリンクのみが割り当てられるようにする。
ゲートウェイマシンにアップリンクを割り当てた後に、(920において)処理900は、2つのゲートウェイマシンのそれぞれの上にSRを定義する。各SRについて、処理はゲートウェイマシンに対して割り当てられたアップリンクに対する構成を、SRのノースバウンドインタフェースに対する構成として使用する。この構成情報は、任意のアップリンク特有のポリシーに加えて、アップリンクのIP及びMACアドレスを有する。異なるポリシー及びL3の接続性の少なくともいずれかが許容され、異なるアップリンクの間で使用される状況では、いくつかの実施形態はまた、必要に応じてパケットをリダイレクトするためにSR上にダミーインタフェースを構成する、ことが理解されるべきである。
処理は更に、(925において)定義されたSR及びDRと接続する通過論理スイッチを定義する。いくつかの実施形態において、管理プレーンは、固有のVNI(論理スイッチ識別子)を通過論理スイッチに割り当てる。更に、いくつかの実施形態は、通過論理スイッチに割り当てられたサブネットが論理ネットワークトポロジ内で固有であることを必要とする。すなわち、通過論理スイッチは、PLRと直接インタフェースを有する任意のユーザ定義の論理スイッチ、PLRに接続される任意のTLRとPLRとの間の通過論理スイッチ、これらのTLR内の全ての通過論理スイッチ、及び、これらのTLRに接続される任意のユーザ定義の論理スイッチと異なるサブネットを用いなくてはならない。
次に、処理900は、(930において)DRにノースバウンドインタフェースを割り当てる。いくつかの実施形態では、ノースバウンドインタフェースは(PLRの構成要素の間で内部的に送信されるパケットに用いられる)MACアドレス及びIPアドレスの両方を割り当てられる。いくつかの実施形態では、IPアドレスは、925において定義された通過論理スイッチに割り当てられたサブネット内のものである。通過論理スイッチの構成は、このMACアドレスとその論理ポートの1つとの関連を含む。
その後処理は(935において)、PLRがアクティブ-アクティブモード(或いはアクティブ-スタンバイモード)で構成されるかを判定する。いくつかの実施形態では、上で言及したように、この判定は、PLRに対する構成設定の一部として管理者によってなされる。他の実施形態では、管理プレーンは、ステートフルサービスが設定されていない場合には、PLRに対してSRを自動的にアクティブ-アクティブ構成で定義する。そして、ステートフルサービスが設定されている場合には、SRはアクティブ-スタンバイモードで定義される。
PLRがアクティブ-スタンバイモードで構成される場合、処理は(940において)、2つのSR(又は、複数のスタンバイがある場合には2つ以上のSR)のそれぞれのサウスバウンドインタフェースを割り当てる。アクティブ-スタンバイの場合、これらの全てのサウスバウンドインタフェースは同一のIPアドレスを有し、これは動作925において定義される通過論理スイッチのサブネット内にある。2つのインタフェースは同一のIPアドレスを受けつけるが、DRによってルーティングされるノースバウンドのパケットに対する宛先として当該2つを異ならせるように、異なるMACアドレスを割り当てる。
その後処理は(945において)、SRの1つをアクティブに、SRの1つをスタンバイに割り当てる。いくつかの実施形態は、この決定をランダムに行わせる一方で、他の実施形態はゲートウェイマシンにまたがるSRのアクティブ及びスタンバイの割り当てがバランスするように試みる。より詳細は米国特許公報2015/0063364号に記載されている。アクティブとして割り当てられたSRは、サウスバウンドインタフェースに対するARPリクエストに応答し、ノースバウンドインタフェースから外部物理ネットワークへプレフィックスをアドバタイズする。一方、スタンバイSRは(ノースバウンドのトラフィックを受信することを避けるため)ARPリクエストに対して応答せず、プレフィックスをアドバタイズしない(しかし、アクティブなSRの機能不全の場合に外部ネットワークから経路を受信するためにBGPセッションを維持する)。
最後に、処理900は(950において)DR及び各SRのための別々のRIBを生成する。別々のRIBは、前のサブセクションとセクションVに示す形式の構成データに基づいて生成される。その後処理は終了する。いくつかの実施形態では、管理プレーンはまたFIBを集中的に算出する一方、他の実施形態では、(ホスト及びゲートウェイマシン上で動作する)ローカルコントロールプレーンは、論理ルータ構成要素による実際のパケットのフォワーディングにおいて用いるためのFIBを生成するためにRIBトラバーサルを実行する。いずれの場合も、RIBは外部ネットワークから学習された動的な経路に基づいてSR上で更新され、このデータは中央コントローラを介してDRへ伝達される。いくつかの実施形態の、ネットワークコントローラによるFIBの計算は、2014年3月14日に出願された米国特許出願14/214,545号に、より詳細に説明されている。
一方、PLRがアクティブ-アクティブ(EMCP)モードで構成される場合、処理は(955において)、SRのそれぞれにサウスバウンドインタフェースを割り当てる。アクティブ-アクティブの場合、これらのサウスバウンドインタフェースは、異なるMACアドレスに加えて、動作925において定義される通過論理スイッチのサブネット内にある異なるIPアドレスが割り当てられる。異なるIPアドレスにより、SRのそれぞれは、ホストマシン内のDRパイプラインによって所定のパケットに対して選択されたIPアドレスに基づいて、ノースバウンドのパケットを処理することができる。
次に、処理は(960において)、SRにランクを割り当てる。詳細を以下に示すように、SRは、機能不全の際に、どのSRが停止したSRの責務を引き継ぐかを決定するためのランクを用いる。いくつかの実施形態では、次に最も高くランクされたSRは、そのサウスバウンドインタフェースを引き継ぐことによって停止したSRを引き継いで、さもなければ停止したSRのIPアドレスへ送信されるノースバウンドのトラフィックを引き込む。
最後に、処理は(965において)DR及び各SRのための別々のRIBを生成する。別々のRIBは、前のサブセクションとセクションIVに示す形式の構成データに基づいて生成される。その後処理は終了する。いくつかの実施形態では、管理プレーンはまたFIBを集中的に算出する一方、他の実施形態では、(ホスト及びゲートウェイマシン上で動作する)ローカルコントロールプレーンは、論理ルータ構成要素による実際のパケットのフォワーディングにおいて用いるためのFIBを生成するためにRIBトラバーサルを実行する。いずれの場合も、RIBは外部ネットワークから学習された動的な経路に基づいてSR上で更新され、このデータは中央コントローラを介してDRへ伝達される。
上記図9の記載は、PLR(上層論理ルータ)のための様々な構成要素を生成するための管理プレーンの動作を示している。図10は、ユーザ仕様に基づいてTLRを構成するいくつかの実施形態の処理1000を概念的に示している。いくつかの実施形態では、処理1000は管理プレーン(例えば、データセンタのネットワークを管理する集中化コントローラにおけるモジュールの組)によって実行される。管理プレーンは、構成処理を実行し、その後、コントローラの集中化コントロールプレーン(又は異なるネットワークコントローラ)を用いて、構成された論理ルータを実施する様々なホストマシン上の様々なローカルコントロールプレーンにデータを分散させる。
図示するように、処理はTLRの仕様を(1005において)受信することによって開始する。TLRの仕様は、TLRを定義する管理者入力(データセンタのテナントによって雇用された管理者)に基づく。いくつかの実施形態では、この仕様は、TLRが提供すべき任意のサービスの定義、どのPLRにTLRがそのアップリンクを通じて接続すべきか、TLRに接続する任意の論理スイッチ、TLRのインタフェースのIP及びMACアドレス、TLRのRIBに対する任意の静的経路、及び他のデータを含む。異なる実施形態が、TLRの構成データに列挙されたデータの異なる組み合わせ又は他のデータを含み得ることは理解されるべきである。
そして処理1000は、(1010において)TLRが集中化構成要素を有するかを判定する。いくつかの実施形態では、TLRがステートフルサービスを提供しない場合、そのときはTLRに対するSRが定義されず、これは分散化される形態でのみ実施される。一方、いくつかの実施形態は、この図に示すように、ステートフルサービスが提供される場合、アクティブ-スタンバイモードにおけるSRを必要とする。
TLRがステートフルサービスを提供しない又はそうでなければ集中化構成要素を必要とする場合、処理は(1015において)、サウスバウンド及びノースバウンドインタフェースの両方に対する論理ルータの仕様を用いてDRを定義する。DRは、TLRに接続する論理スイッチがいくつ定義されるかに応じて、多数のサウスバウンドインタフェースを有し得る。一方、いくつかの実施形態は、TLRを、PLRにパケットを送信し及びPLRからパケットを受信する単一のノースバウンドインタフェースに制限する。次に、処理は、(1020において)DRのためのRIBを生成する。DRのためのRIBは、上述のように生成された論理ルータのための経路の全てを含む。
一方、TLRがステートフルサービスを提供する、又は他の理由で集中化構成要素を要求する場合、処理は(1025において)、受信した構成データを用いてDRを定義する。DRのサウスバウンドインタフェースについて、管理プレーンは、TLRのサウスバウンドインタフェース構成を用いる。すなわち、各サウスバウンドインタフェースに対するIPアドレスとMACアドレスとは、様々な論理スイッチが接続する論理ルータのポートのために特定されたものになる。
更に(1030において)処理は、TLRのために特定されたアップリンクのそれぞれを2つのゲートウェイマシンに割り当てる。いくつかの実施形態はTLRが複数のアップリンクとアクティブ-アクティブモードで動作できるようにするが、処理1000は、アクティブ-スタンバイモードにおいて単一のアップリンク(リンクがTLRを他の論理ルータに相互接続するものとして、ルータリンクとしても参照される)にTLRを制限する実施形態に対するものである。上述したように、いくつかの実施形態は、論理ルータのSRの位置に対する特定の組の物理ゲートウェイマシンを、ユーザが特定できるようにする(或いは特定することを求める)。いくつかの実施形態では、ゲートウェイマシンの組はサーバの特定のラック又はサーバのラックのグループ内、若しくはそうでなければ関連付けられて、組の中で全てのマシンを接続するトンネルとともに存在する。その後、管理プレーンは、選択された組のゲートウェイマシンの2つにアップリンクを割り当てる。
ゲートウェイマシンにアップリンクを割り当てた後に、(1035において)処理1000は、2つのゲートウェイマシンのそれぞれの上にSRを定義する。各SRについて、管理プレーンは、単一のアップリンクに対する構成を、SRのノースバウンドインタフェースに対する構成として使用する。唯一のノースバウンドインタフェースを有するため、処理はSRの両方に対して同一の構成を適用する。すなわち、同一のIPアドレスが両方のノースバウンドインタフェースに用いられるだけでなく、インタフェース上のサービスも同様の方法で構成される。しかしながら、アクティブSRとスタンバイSRとを異ならせるように、異なるMACアドレスがノースバウンドインタフェースに用いられる。
処理は更に、(1040において)定義されたSR及びDRと接続する通過論理スイッチを定義する。いくつかの実施形態において、管理プレーンは、固有のVNI(論理スイッチ識別子)を通過論理スイッチに割り当てる。更に、いくつかの実施形態は、通過論理スイッチに割り当てられたサブネットが論理ネットワークトポロジ内で固有であることを必要とする。すなわち、管理プレーンは、通過論理スイッチに、TLRとインタフェースを有する任意のユーザ定義の論理スイッチと、TLR(又は他のTLR)とPLRとの間の任意の通過論理スイッチと、同一のPLRに接続する他のTLR内の全ての通過論理スイッチと、PLR内の通過論理スイッチと、他のTLRに接続するユーザ定義の論理スイッチと、異なるサブネットを通過論理スイッチに割り当てなければならない。
次に、処理は、(1045において)DRへのノースバウンドインタフェースを割り当てる。いくつかの実施形態では、このインタフェースは(TLRの構成要素の間で内部的に送信されるパケットに用いられる)MACアドレス及びIPアドレスの両方を割り当てられる。いくつかの実施形態では、IPアドレスは、940において通過論理スイッチに割り当てられた同一のサブネット内のものである。処理はまた、(1050において)2つのSRのそれぞれのサウスバウンドインタフェースを割り当てる。これはアクティブ-スタンバイ構成であるので、これらのサウスバウンドインタフェースは同一のIPアドレスを有し、これは動作940において定義される通過論理スイッチのサブネット内にある。2つのインタフェースは同一のIPアドレスを受けつけるが、DRによってルーティングされるノースバウンドのパケットに対する宛先として当該2つを異ならせるように、割り当てられるMACアドレスは異なる。
その後処理1000は(1055において)、SRの1つをアクティブに、SRの1つをスタンバイに割り当てる。いくつかの実施形態は、この決定をランダムに行わせる一方で、他の実施形態はゲートウェイマシンにまたがるSRのアクティブ及びスタンバイの割り当てがバランスするように試みる。アクティブとして割り当てられたSRは、サウスバウンドインタフェース(このTLRのDRから)及びノースバウンドインタフェース(PLRのDRから)に対するARPリクエストに応答する。一方、スタンバイSRは(ノースバウンド又はサウスバウンドのトラフィックを受信することを避けるため)ARPリクエストに応答しない。
最後に、処理は(1060において)DR及び各SRのための別々のRIBを生成する。別々のRIBは、前のサブセクションと以下のセクションIVに示す形式の構成データに基づいて生成される。いくつかの実施形態では、管理プレーンはまたFIBを集中的に算出する一方、他の実施形態では、(ホスト及びゲートウェイマシン上で動作する)ローカルコントロールプレーンは、論理ルータ構成要素による実際のパケットのフォワーディングにおいて用いるためのFIBを生成するためにRIBトラバーサルを実行する。いずれの場合も、RIBは外部ネットワークから学習された動的な経路に基づいてSR上で更新され、このデータは中央コントローラを介してDRへ伝達される。
TLRがSRを有して生成されたかSRを有しないで生成されたかに関わらず、処理1000は(1065において)、TLRとTLRが接続するPLRとの間に他の通過論理を定義する。この通過論理スイッチは、固有のVNIと、TLRのアップリンクIPアドレスが属すサブネットとを有する。更に、PLRのDR上のインタフェースは、通過論理スイッチに接続するために同一のサブネット内に生成される。その後処理は終了する。
処理900及び1000はこれらの様々な動作を実行する特定の順序を示しているが、これらの処理は単なる概念的なものであることが理解されるべきである。様々な異なる実施形態において、管理プレーンは、実際の動作を、様々な異なる順番で又はいくつかの動作を並行して実行し得る。例えば、管理プレーンは、少しでもSRやDRを定義するより前に、初めに通過論理スイッチを定義し、別々の物理マシンに割り当てる前に完全に論理ルータ構成要素の全てを定義することができる。
III.ルーティングテーブル構成
上述したように、いくつかの実施形態では、管理プレーンは論理ルータ構成を受信して、(i)各論理ルータに対する1つ以上の論理ルータ構成物と(ii)各論理ルータ構成物のためのルーティング情報ベース(RIB)とを生成する。様々な異なる実施形態において、RIBからフォワーディング情報ベース(FIB)の計算は、管理プレーンによって、若しくは集中化又はローカルコントロールプレーンによって、実行されてよい。例えば、いくつかの実施形態において、RIBは、SR又はDRを実装する各マシンに分散化され、当該マシン上で動作するローカルネットワークコントローラは、FIBを計算するために経路トラバーサルを実行する。このセクションでは、いくつかの実施形態における、様々な論理ルータ構成物のためのRIBを生成するためのルールがより詳細に説明される。経路は、論理スイッチの、論理ルータへの接続、互いの論理ルータの接続、又は(論理ルータ構成の一部として受信した)静的経路の入力、からくるものであってよい。
図11は、いくつかの実施形態のRIB生成ルールを示すために用いられる、より複雑な論理ネットワーク構成1100を示している。具体的に、論理ネットワーク構成1100は、取り付けられた論理スイッチ1120を有するPLR1105であって、2つのTLR1110及び1115も取り付けられたPLR1105を含む。第1のTLR1110は取り付けられた2つの論理スイッチ1125及び1130を有し、第2のTLR1115は取り付けられた2つの論理スイッチ1135及び1140を有する。PLR1105は、3つのアップリンクU1-U3を用いて構成され、U1は1.1.3.2のIPアドレスを有し、外部物理ルータ1.1.3.1に接続される。U2は、1.1.4.2のIPアドレスを有し、同一のサブネット上の、1.1.4.1及び1.1.4.11のIPアドレスを有する、2つの外部物理ルータと接続する。U3は、U2と同一のL3接続性を有する同一のサブネット上にあり、1.1.4.21のIPアドレスを有する。PLRはまた、3つのサウス向きインタフェースを有し、論理スイッチ1120に対するもの(1.1.0.1のIPアドレスを有し、論理スイッチ1120のサブネット1.1.0.0/24内)と、TLR1110及び1115のためのD1及びD2のそれぞれ1つとを有する。いくつかの実施形態では、TLRをPLRに取り付けるユーザ(すなわちTLRの所有者)はこのインタフェースを構成しない。代わりに、続く図12の管理プレーンビューに示されるようになる。
いくつかの実施形態では、データセンタの管理者は、PLR(すなわちアップリンクとその接続性)と第1の論理スイッチ1120を構成する。第1のテナントは、第1のTLR1110と2つの論理スイッチ1125及び1130を構成する一方、第2のテナントは、独立的に、第2のTLR1115と2つの論理スイッチ1135及び1140を構成する。他の実施形態では、(例えば、エンタプライズネットワークの場合には)単独の管理者が論理ネットワーク1100全体を構成する。異なるユーザが異なる論理ルータを設定する場合、いくつかの実施形態は、様々な論理スイッチ1120-1140のために利用可能なサブネットを制限して、IPアドレスがパブリックになる(例えばアップリンクU1-U3を介して外部ネットワークにアドバタイズする)場合に、異なるサブネットが論理スイッチのそれぞれに対して使用されることを確実にする。いくつかの実施形態は、論理スイッチが、IPアドレスが外部に(同一のPLRに接続する他のTLRへも含む)アドバタイズされない限り、サブネットを再使用することができるようにする。
図12は、図11に示す構成(APIを介したユーザによる入力として)に基づいて、管理プレーンによって生成される論理ネットワーク1100を概念的に示している。この場合、TLR1110及び1115のいずれもステートフルサービスを含まず、従って、SRはTLRに対して必要とされない。前のセクションにおいて説明されたように、TLR1110及び1115は、それぞれDR1205及び1210を含む。論理スイッチが接続するTLRのサウス向きポートは、論理ネットワーク構成1100内のTLRに与えられる(例えば1.1.5.1、1.1.6.1等)IPアドレスと同一の(取り付けられたこれらの論理スイッチのサブネット内の)IPアドレスが割り当てられる。更に、TRLとPLRとの間の接続のそれぞれに対し、管理プレーンは、通過論理スイッチを割り当てるとともに、これらの論理スイッチ上のDR1205及び1210にノース向きインタフェースのIPアドレスを割り当てる。いくつかの実施形態では、これらの通過論理スイッチのそれぞれは2つのアドレスのみを必要とするため、管理プレーンは常に、IPアドレススペースを浪費しないように、サブネットのプールから/31のサブネットを割り当てる。この場合、第1の通過論理スイッチ1215は192.168.10.0/31のサブネットを有する一方、第2の通過論理スイッチ1220は、隣のサブネット192.168.10.2/31を有する。
管理プレーンはまた、DR1225と、PLR1105のための(それぞれのアップリンクのための)3つのSR1230-1240とを定義する。DR1225は、管理プレーンによって定義される4つのインタフェースP1に加えて、(前セクションにおいて説明したように)PLR1105の3つのサウス向きインタフェースを有する。このインタフェースP1は、3つのSR1230-1240のサウス向きインタフェースにも接続する、サブネットの169.0.0.0/28を有する通過論理スイッチ1245と接続する。これらの4つのインタフェースP1-P4は、順に、169.0.0.1、169.0.0.2、169.0.0.3及び169.0.0.4のIPアドレスを有する。
図13、15、16及び17は、(例えば集中化ネットワークコントローラにおける)管理プレーンによって実行される、論理ルータ構成データをいくつかの実施形態におけるDR及びPLRのSRのためのRIBに変換する、いくつかの実施形態の様々な処理を概念的に示している。具体的には、図13及び図15がPLRのための静的経路の異なる種別の取り扱いを説明する一方、図16は、TLRのPLRへの接続とPLR構成物のための経路を生成する動的ルーティング処理とに対する取り扱いを説明し、そして図17は、PLR上の新たな論理インタフェース(外部ネットワークへのアップリンクと、TLR又は論理スイッチへのダウンリンクとの両方)の生成を説明する。いくつかの実施形態では、これらの処理は、管理プレーン(例えば、データセンタのネットワークを管理する集中化コントローラにおけるモジュールの組)によって実行される。管理プレーンは、構成処理を実行し、その後、コントローラ(又は異なるネットワークコントローラ)の集中化コントロールプレーンを用いて、論理ルータ構成物を実装する様々なホストマシン上の様々なローカルコントロールプレーンにデータを分散させる。これらの処理は、部分的に、図11及び12に示した論理ネットワーク1100と、図14に示した経路構成入力及びRIB出力とを参照することによって説明される。
図13は、PLRのため(例えばPLR1105のため)の構成情報として入力されるサウス向きの静的経路を処理するいくつかの実施形態の処理1300を概念的に示す。図示するように、処理1300は、(1305において)論理ネットワークにおける次ホップを有する静的経路を受信することによって開始する。いくつかの実施形態では、静的経路は、ルーティングされるプレフィックス、経路の次ホップ(又はゲートウェイ)、及び、ある場合には経路を出力するインタフェース、とともに入力される。使用時には、プレフィックスと一致する(且つより長いプレフィックスを有する経路とは一致しない)送信先IPアドレスを有する任意のパケットが、所与の次ホップアドレスへ所与のインタフェースを介して出力される。次ホップが、PLRに取り付けられた論理スイッチのサブネットの1つにある、又はPLRに取り付けられたTLRに取り付けられた論理スイッチのサブネットの1つにある場合、そのときの経路は、論理ネットワーク内の次ホップを有するサウス向き経路である。
図14は、PLR1205のために構成される静的経路の組1405と、以下に図16を参照して説明されるTLRのための構成とを概念的に示している。この図はまた、この構成データに基づいて、管理プレーンによってDRと3つのSRのために生成される出力1400を示す。この出力は、DR1225のためのRIB1410、及び、3つのSR1230-1240のためのRIB1415-1425を含む。図示されるように、PLRのために構成される静的経路の組1405は、1.1.0.2へ送信される、サブネット2.2.2.0/24内の送信先アドレスを有する全てのパケットを特定する、サウス向き経路(2.2.2.0/24 via 1.1.0.2)を含む。このアドレスは、論理スイッチ1120に取り付けられるVMに属す。
そのような経路を受信した場合、処理1300は、(1310において)経路をPLRのDRのRIBに、修正すること無く追加する。すなわち、DRのRIBに追加された経路の次ホップは、構成データにおいて特定された次ホップと同一である。図14に示す例では、構成された経路2.2.2.0/24 via 1.1.0.2(RIB内にリストされる第4の経路)は、DRのためのRIB1410に、修正すること無く追加される。
処理1300はまた、DRのノース向きインタフェースを有する各SRのRIBに、(何ら出力インタフェースを削除すること無く)経路を次ホップとして追加する。すなわち、特定されたプレフィックスのための経路は、SRのサウス向きインタフェースと同一の通過論理スイッチに接続するDRインタフェースのものである次ホップとともに、(外部物理ネットワークから特定のIPアドレスに送信されるパケットを取り扱うために)SRのそれぞれに追加される。論理ネットワーク1100では、これは169.0.0.1のIPアドレスを有するインタフェースP1である。そのようなものとして、各RIB1415-1425は経路2.2.2.0/24 via 169.0.0.1を有する。PLRのための論理ルータ構成物のそれぞれのRIBに経路を追加した後に、処理1300は終了する。いくつかの実施形態では、SRが再帰的な経路を推定する機能を有する限り、管理プレーンは、経路を修正するよりもむしろ修正すること無く、サウス向き静的経路をSRのRIBに追加する。このような実施形態では、この例の管理プレーンは、ひとたび経路がトラバースされれば、経路1.1.0.0/24 via 169.0.0.1が結果としてSRのFIBにおける正しい結果となるであろうことを認識したうえで、経路2.2.2.0/24 via 1.1.0.2を追加する。
処理1300がサウス向き静的経路を取り扱うために使用されるのに対し、図15は、PLRのため(例えばPLR1105のため)の構成情報として入力されるノース向き経路を処理するいくつかの実施形態の処理1500を概念的に示す。いくつかの実施形態では、処理1300と1500とは、経路がサウス向きであるかノース向きであるかについての処理によってなされる決定に応じて実行される異なる動作を有する、実際には単一のソフトウェア処理の一部である。
図示するように、処理1500は、外部物理ネットワーク向きの次ホップを有する静的経路を(1505において)受信することによって開始する。このとき、次ホップが、外部物理ネットワークへの論理ネットワークに対する接続性を提供する物理ルータのものである場合には、その経路は、外部物理ネットワーク向きの次ホップを有するノース向き経路である。PLRのために構成される静的経路の組1405は、3つの異なる、プレフィックス0.0.0.0/0(すなわちデフォルト経路)のための経路、172.16.0.0/16のための経路、及び10.0.0.0/8のための経路を含む、多数のノース向き経路を含む。これらの経路のそれぞれは、外部ルータ(すなわち1.1.3.1、1.1.4.1及び1.1.4.11のひとつ)に属す次ホップを特定する。
そして処理は、(1510において)出力インタフェースが経路のために特定されたかを判定する。上述したように、いくつかの実施形態では、構成済みの静的経路は次ホップのアドレスを含み、そしてある場合には、論理ルータのインタフェースを介した、サブネット内の送信先アドレスを有する出力パケットがルーティングされる。PLR構成データ1405に経路が現れる限り、(0.0.0.0/0に対する)3つのデフォルト経路は出力インタフェースを特定する。特に、これらの経路は、3つのノース向きインタフェースU1、U2及びU3のそれぞれのための次ホップの物理ルータを示す。
経路が出力インタフェースを特定する場合、処理は、特定されたインタフェースに関連付けられるSRを(1515において)識別する。いくつかの実施形態では、前セクションにおいて説明されたように、異なるSRは、PLRのアップリンクのそれぞれに対して割り当てられる。例えば、論理ネットワーク1100の例では、PLR1105のアップリンクU1、U2及びU3は、3つのSR1230、1235及び1240にそれぞれ関連付けられる。
その後処理1500は(1520において)、識別されたSRのRIBに経路を追加する。経路によって処理されるノースバウンドのパケットは他のSRへ送信されるべきではないため、経路は他の任意のSRには追加されない。従って、図14の例では、経路0.0.0.0/0 via 1.1.3.1 output to U1は、出力インタフェースU1が所有する、第1のSR1230のためのRIB1415にのみ追加される。同様に、経路0.0.0.0/0 via 1.1.4.1 output to U2は、第2のSR1235のためのRIB1420にのみ追加され、経路0.0.0.0/0 via 1.1.4.11 output to U3は、第3のSR1240のためのRIB1420にのみ追加される。
一方、経路が出力インタフェースを特定しない場合、処理は、特定された次ホップへの接続性を有する全てのSRを(1525において)識別する。全てのSRが同等のL3接続性を有する場合(例えば、全てのアップリンクが同一の物理ルータの組と接続する)、これはSRの全てとなる。しかしながら、ある場合には、管理者は異なるL3接続性を有するPLRのアップリンクを構成してもよく、この場合、いくつかのSRは特定の経路のための次ホップへの接続性を有しないかもしれない。
そして処理は、識別されたSRのそれぞれのためのRIBに経路を(1530において)追加する。PLR構成1405は、特定された出力インタフェースを有しない2つの静的経路を含む。そのような経路の1つ目は、次ホップアドレス1.1.3.1を有するプレフィックス172.16.0.0/16に対する経路である。この場合、SR1230のみが次ホップへの接続性を有するため、管理プレーンはこの第1のSRのためのRIB1415にのみ経路を追加する。この経路はRIB1420及び1425には追加されない。他の経路は、次ホップの1.1.4.1を有するプレフィックス10.0.0.0/8に対する経路である。アップリンクの2つ(U2及びU3)はこの次ホップへの接続性を有するため、経路は、SR1235及び1240のそれぞれのRIB1420及び1425に追加され、RIB1415には追加されない。
1つ以上のSRに経路を追加することに加えて、プロセス1500はまた、いくつかの場合においてDRに経路を追加する。具体的に、処理は、(1535において)経路がデフォルト経路であるかを判定する。いくつかの実施形態では、デフォルト経路は、プレフィックス0.0.0.0/0(すなわちIPv4のアドレス空間全体)のための経路である。最も長いプレフィックスのマッチングシステムでは、このような経路は、パケットがルーティングテーブル内のあらゆる他の経路と一致しない場合に用いられる。論理ネットワークのエンドマシン(例えばVM)が、インターネット経由でマシンにアクセスするリモートクライアントのためのサーバとして動作する場合、そのときは、デフォルト経路が返信用通信のためにしばしば用いられる。
経路がデフォルト経路である場合、処理1500はDRに一切経路を追加せず、処理を終了する。このように、例では、3つのデフォルト経路はDRに追加されない。しかしながら、いくつかの実施形態では、PLRのための複数の論理ルータ構成物を生成する構成の一部として、管理プレーンは常にDRにデフォルト経路を追加する。これは、(ECMP原理を用いて)何らかのSRに一致しない限りパケットを送信する。従って、DR1225のためのRIB1410は、デフォルト経路0.0.0.0/0 via 169.0.0.2, 169.0.0.3, 169.0.0.4(3つのSRのサウス向きインタフェースP2-P4のアドレス)を含む。この経路は3つのSRのいずれか1つにパケットを送信する。
非デフォルト静的経路に対して、処理は、経路の追加された各SRに対する、次ホップとしてSRのサウス向きインタフェースを有する経路をDRに(1540において)追加する。処理1500はその後終了する。例えば、経路172.16.0.0/16 via 1.1.3.1のみが第1のSR1230のためのRIB1415に追加された。そのときは、この経路は、172.16.0.0/16 via 169.0.0.2(P2のアドレス、第1のSR1230のサウス向きインタフェース)としてDR1225のためのRIB1410に追加される。一方、経路10.0.0.0/8 via 1.1.4.1は、RIB1420及び1425に追加された。このときは、管理プレーンは、2つの次ホップを有する経路をDRのためのRIB1410に、10.0.0.0/8 via 169.0.0.3, 169.0.0.4として追加する。例えば、10.0.1.1の送信先IPアドレスを有するパケットは、ECMP原理がDRの実装によってどのように適用されるかに応じて、SR1235及び1240のいずれかに送信される。
図14において把握されるように、論理ルータのための様々な論理ルータ構成物に対するRIBは、静的経路に加えて他の経路を含むだろう。これらの経路は、様々な論理スイッチがルータ構成物に接続される、接続された経路を含む。例えば、DR1225は4つの論理スイッチ、すなわち、3つの通過論理スイッチ1215、1220及び1245と、ユーザ生成論理スイッチ1120とに接続される。これらのそれぞれに対し、(次ホップよりむしろ)出力インタフェースを有する経路がDRに追加される。従って、RIB1410は、経路1.1.0.0 output to D3 (ユーザ生成論理スイッチ用)、経路192.168.10.0/31 output to D1 and 192.168.10.2/31 output to D2(PLRとTLRの間の通過論理スイッチ用)、及び、経路169.0.0.0/28 output to P1(PLR内部の通過論理スイッチ用)を含む。いくつかの実施形態では、SRは、PLR内部の通過論理スイッチのための接続された経路(例えば、同一のRIB1415のための169.0.0.0/28 output to P2)を有する。しかしながら、SRは、この例内としてのいくつかの実施形態では、外部L2接続性のための接続された経路を有しなくてよい。しかしながら、他の実施形態では、管理者によってL2接続性が構成された場合、SRはそのような接続された経路(例えば、第1のSR1230のRIB1415用の1.1.3.0/24 output to U1、及び他の2つのSR1235及び1240のRIB1420及び1425用の1.1.4.0/24 output to U2/U3)を含む。更に、各アップリンクインタフェースIP(1.1.3.2、1.1.4.2及び1.1.4.21)に対し、いくつかの実施形態は、次ホップが対応するSRのサウスバウンドインタフェースである、これらの特定の「/32」IPアドレスのための経路(すなわち1.1.3.2/32 via 169.0.0.2、1.1.4.2/32 via 169.0.0.3、及び 1.1.4.21/32 via 169.0.0.4)をDRへ自動的に挿入する。いくつかの実施形態はまた、図示するように、再び次ホップが対応するSRのサウスバウンドインタフェースである、アップリンクがDRのRIBに接続するサブネットのための経路(すなわち1.1.3.0/24 via 169.0.0.2及び1.1.4.0/24 via 169.0.0.3, 169.0.0.4)を挿入する。
加えて、PLRの論理ルータ構成物は、他の論理ルータ(例えばTLR)の接続性に基づいて管理プレーンによって動的に生成された経路を含んでよい。図16は、TLRがPLRに取り付けられる場合に、PLRのルーティング構成物のためのRIBを生成するいくつかの実施形態の処理1600を概念的に示す。論理ルータ構成物情報は管理プレーンによって既知である(例えばネットワークコントローラの組)ため、いくつかの実施形態は、論理ネットワーク内で経路を交換するBGP又は同様の動的なルーティングプロトコルを実行しないようにすることができる(上述したように、BGP/OSPFは外部物理ネットワークに経路をアドバタイズするために用いられてよい)。
図示するように、処理1600は、PLRのサウスバウンドインタフェースへのTLRノースバウンドインタフェースの接続を(1605において)受信することによって開始する。いくつかの実施形態では、TLRの所有者(データセンタのテナント)が管理プレーンAPIを介してこれを構成データとして入力する。テナントはそのような接続を特定するPLRのためのインタフェース情報を必要としなくてよい。代わりに、テナントはTLRに接続するようリクエストし、管理プレーンは自動的に、(例えば利用可能なサブネットのプールから)これらの間の通過論理スイッチを、TLRノースバウンドインタフェース及びPLRサウスバウンドインタフェースとともに生成する(これらのインタフェースが通過論理スイッチに取り付けられたサブネット内のIPアドレスであることを確実にする)。図11の論理ネットワーク1100では、ユーザがTLR1110と1115とをPLR1105に取り付けた(場合により別々のアクションとして)ところである。
そして処理は、取り付けられたTLRからの任意の経路を(1610において)識別する。TLRは、その論理スイッチのそれぞれのために接続された経路を有する。加えて、TLRはまた、ある実施形態において、ユーザによって構成された静的経路を含んでよい。しかしながら、他の実施形態では、TLRユーザが静的経路を構成しなくてもよく、或いは、静的経路が動的ルーティングを介してPLRへ伝達されなくてもよい(例えば、異なるテナントが同一のアドレスに対する異なる経路を構成しなくてもよいため)。加えて、いくつかの実施形態では、テナントは、これらの論理スイッチサブネットがアドバタイズされるべきか(すなわち、これらのサブネットがTLRの外部と(他のTLRのサウスのマシン又は論理ネットワークの外部のマシンのいずれかと)通信するかどうか)を特定してよい。図14の例では、第1のTLR1110は、そのサブネット1.1.5.0/24及び1.1.6.0/24の両方にアドバタイズする一方で、第2のTLR1115は、その2つのサブネットのうちの1つの1.1.7.0/24にのみアドバタイズする(1.1.8.0/24にはアドバタイズしない)。
その後処理1600は、DRとSRへのこれらの経路を伝達する。図示するように、処理は、TLRのノースバウンドインタフェースを次ホップとして有する(PLRの)DRに識別された経路を(1615において)追加する。この例では、TLR1110及び1115は完全に分散しており、そのため、これらのノースバウンドインタフェースはTLRのDR1205及び1210に属す。従って、PLRのDR1225のRIB1410は、192.168.10.1(DR1215のノースバウンドインタフェース)の次ホップアドレスを有する1.1.5.0及び1.1.6.0のための経路、及び、192.168.10.3(DR1210のノースバウンドインタフェース)の次ホップアドレスを有する1.1.7.0のための経路を含む。TLRがステートフルサービスを含む場合、そのときはSRのノースバウンドインタフェースは(アクティブースタンバイモードにおいて)同一のIPアドレスを有し、これはPLRのDRにおける経路のために用いられる次ホップIPアドレスになる。
処理はまた、次ホップIPアドレスとしての(PLRの)DRのノースバウンドインタフェースを用いて、識別された経路を(PLRの)各SRに(1620において)追加する。その後処理は終了する。例では、RIB1415-1425のそれぞれは、全てが169.0.0.1(すなわちP1のアドレス)の次ホップIPアドレスを有する、1.1.5.0、1.1.6.0及び1.1.7.0のための経路を含む。従って、これらのサブネットのそれぞれに対し、サブネット内の送信先アドレスを有する外部ネットワークから受信されるパケットは、受信するSRからDRへ、続いてDRから適切なTLRへ送信される。
図17は、上述したように、新たなインタフェースがPLRに取り付けられる場合に、PLRのルーティング構成物のRIBのための経路を生成するいくつかの実施形態の処理1700を概念的に示す。具体的に、この処理は(TLR接続のために処理1600によって追加される動的な経路とは対照的に)接続された経路と他のPLRの内部の経路を参照する。この新たなインタフェースは、新たなアップリンク又はダウンリンク(すなわち論理スイッチ又はTLRへの接続)でありうる。
図示するように、処理はPLRのための新たなインタフェースを(1705において)受信することによって開始する。いくつかの実施形態では、PLRの所有者が管理プレーンAPIを介してこれを構成データとして入力する。加えて、いくつかの実施形態は、新たなTLRがPLRに接続するようにリクエストした場合、ダウンリンクを自動的に生成する。処理はそして、インタフェースが外部ネットワークに向いているか(すなわち、インタフェースが(外部ネットワークに向いている)アップリンクであるか、又は、(TLR接続のための論理スイッチ又は通過論理スイッチに向いている)ダウンリンクであるか)を(1710において)判定する。
インタフェースがダウンリンクである場合、処理は、(勿論、DRへのインタフェース自身のために接続された経路に加えて)DRのノース向きインタフェースとして次ホップを有する、インタフェースが接続するサブネットのための経路を、PLRの各SRに(1715において)追加する。従って、図14の例では、SRのRIB1415-1425のそれぞれが、169.0.0.1(DR1225のノース向きインタフェース)の次ホップを有する1.1.0.0/24(論理スイッチLS1のサブネット)のための経路を含む。
加えて、ダウンリンクの生成が、以前に無効にされた静的経路を管理プレーンが利用可能にできるようにしてもよい。いくつかの実施形態では、存在しないインタフェースを指す静的経路が論理ルータのために格納されるが、無効化される(従って、様々な論理ルータ構成物のRIBに経路として追加されない)。インタフェースがその後生成された場合、処理1700は、そのような現在無効化された経路のそれぞれに対し、(i)経路をDRのRIBに、そして(ii)DRのノース向きインタフェースとしての次ホップを有する対応する経路を各SRのRIBに、(1720において)追加する。
一方、新たなインタフェースがアップリンク(外部ネットワークを向いている)である場合、処理1700は、上述したように、アップリンクに対して必要であれば新たなSRを(1725において)生成する。処理はまた、SRのサウス向きインタフェースとして次ホップを有する、新たなインタフェースが接続するサブネットのための経路をDRに(1730において)追加する。処理はまた、SRのサウス向きインタフェースとしても次ホップを有する、新たなアップリンクインタフェースのIPアドレスのための経路をDRに(1735において)追加する。例えば、図14では、DRがインタフェース1.1.3.2 via 169.0.0.2、1.1.4.2 via 169.0.0.3、 及び1.1.4.21 via 169.0.0.4のそれぞれのための経路を有する。加えて、いくつかの実施形態では、DRは、これらのインタフェースのそれぞれが接続するサブネットのための同様の経路を有するだろう。
最後に、新たなインタフェース上の次ホップを有する経路のそれぞれ(例えば、外部ルータを指す静的経路)に対し、処理は、(1740において)新たなインタフェースのための経路をSRに追加し、DR上の経路を更新する。例えば、DR上のデフォルト経路は、(他のSRを指すデフォルト経路と等しい優先順を有する)新たなSRのサウス向きインタフェースをも指すように生成され、そして、新たなインタフェースを介してアクセスし得る外部物理ルータインタフェースを指す外部ネットワークのための任意の静的経路は、(例えば処理1500に従って)SR及びSRに追加された、対応する経路を有するであろう。
いくつかの状況では、構成データが変化し、結果として管理プレーンが様々な論理ルータ構成物のRIBを修正してもよい。例えば、(例えば通過論理スイッチのための利用可能なサブネットのプールが修正されたために)TLRアップリンクのIPアドレスが変化した場合、このときは、管理プレーンは、このサブネット内の次ホップを有するDR経路を修正しなければならない。いくつかの実施形態では、これらは、TLRからアドバタイズされたサブネットに基づく任意の経路(例えば、上記例では、経路1.1.5.0 via 192.168.10.1)であるとともに、新たに修正されたインタフェースのために接続された経路(例えば、上記例では、経路192.168.10.0/31 output to D1)である。同様に、論理ルータのための内部の通過論理スイッチが変化する場合、そのときは、当該ネットワークのための様々の論理ルータ構成物上の接続された経路が変更され、そして、(ノース向きDRインタフェース及びサウス向きSRインタフェースがこの変更の結果として変更された場合)DRとSRとの間の内部経路が修正されるだろう。
加えて、管理者は、PLRポートのIPアドレスを変更してもよい。この修正されたポートが(例えば、例における論理スイッチ1120のような、論理スイッチに接続する)ダウンリンクである場合、その論理スイッチのための接続された経路は自動的に修正されるだろう。しかしながら、ネットワーク内の次ホップを有する任意の静的経路が存在する場合、いくつかの実施形態は構成の修正を許可しない。他の実施形態は、構成の変更を許可しながら代わりに当該静的経路を無効化する。
修正されたPLRポートがアップリンクである場合、そのときは、(接続された経路が外部のL2接続性のために用いられない限り、及び、この接続性が変化しない限り)RIB内の自動生成された経路はいずれも修正される必要はない。しかしながら、外部ルータにアドバタイズされる経路の次ホップIPアドレスが変更されなければならないため、外部ネットワークとのBGPピアリング(BGP peering)は修正される必要があってもよい。更に、PLR上で構成された静的経路は、SRの新たな組に送信され得る。例えば、第1のSR1230がアドレス1.1.4.4を有するように修正され、第2及び第3の外部ルータ(アドレス1.1.4.1及び1.1.4.11)に接続された場合、静的経路10.0.0.0/8 via 1.1.4.1はまた第1のSR1230のためのRIB1415に追加される一方で、静的経路172.16.0.0/16 via 1.1.3.1について問題となり得る(この変化した構成は許可されず、また、この静的経路は無効化されない)。
動作中には、管理者はアップリンク(及び対応するSR)を追加又は削除し得る。アップリンクを追加した場合、管理プレーンは、上記方法(例えば、DRにデフォルト等価コスト経路を追加する、及び、PLRに接続される論理スイッチ、又は、経路アドバタイズメントのために選択された接続されたTLRからの論理スイッチに基づく任意の経路を追加すること)で説明されたように、DR及び新たなSRに経路を追加する。更に、いくつかの実施形態では、PLRのために構成された静的経路は、アップリンクのL3接続性に応じて、(上述した同一の方法において)新たなSRのRIBに追加される必要があってもよい。アップリンク(及びSR)が削除される場合、いくつかの実施形態では、管理プレーンがまず、インタフェースベースの経路(interface-based routes)(例えば、出力インタフェースとしてアップリンクを特定する経路)が、SR及びアップリンクの削除によって影響を受けるPLRのために構成されていないことを確認する。更に、SRにパケットを送信するための等価コストデフォルト経路がDRから削除され、内部通過論理スイッチ上のポートが削除され、結果としてSRを指すDRの経路である任意の静的経路もまたDRから削除される。
IV.電子システム
上述の多くの特徴及び適用例は、コンピュータで読み出し可能な記録媒体(コンピュータで読み出し可能な媒体としても参照される)上に記録された命令の組として特定されるソフトウェア処理として実施され得る。これらのプログラムの命令が1つ以上の処理ユニットによって実行される場合(例えば、1つ以上のプロセッサ、プロセッサのコア、又は他の処理ユニット)、これらのプログラムの命令は、命令に示されているアクションを(複数の)処理ユニットに実行させる。コンピュータで読み出し可能なメディアの例は、これに限定されないが、CD-ROM、フラッシュドライブ、RAMチップ、ハードドライブ、EPROM等を含む。コンピュータで読み出し可能なメディアは、キャリア波及び、無線又は有線接続を通過する電子信号を含まない。
本明細書では、「ソフトウェア」の語は、読出専用メモリにあるファームウェア、又は磁気記録に格納されたアプリケーションを含み、プロセッサによる処理のためにメモリに読み込むことができる。また、いくつかの実施形態では、複数のソフトウェア発明は、個別のソフトウェア発明を維持する一方で、より大きなプログラムのサブ部分として実施されてもよい。いくつかの実施形態では、複数のソフトウェア発明はまた、個別のプログラムとして実施されてもよい。最後に、ここで説明されるソフトウェア発明をともに実施する個別のプログラムの任意の組み合わせは、発明の範囲内である。いくつかの実施形態では、ソフトウェアプログラムが、1以上の電子システムを動作させるためにインストールされる場合、1以上の特定の機械的実施を定義し、ソフトウェアプログラムの動作を実行する。
図18は、本発明のいくつかの実施形態が実施される電子システム1800を概念的に示す。電子システム1800は、上述した任意のコントロール、仮想化、又はオペレーティングシステムアプリケーションを実行するために用いることができる。電子システム1800は、コンピュータ(例えば、デスクトップコンピュータ、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバコンピュータ、メインフレーム、ブレードコンピュータ等)、電話、PDA、又は任意の他の種類の電子デバイスであり得る。そのような電子システムは、様々な種別のコンピュータで読み出し可能なメディア、及び様々な他の種別のコンピュータで読み出し可能なメディアに対するインタフェースを含む。電子システム1800は、バス1805、処理ユニット1810、システムメモリ1825、読出専用メモリ1830、永続的ストレージデバイス1835、入力デバイス1840、及び出力デバイス1845を含む。
バス1805は、電子システム1800の多くの内部デバイスを通信可能に接続する、全てのシステムバス、周辺バス、及びチップセットバスを集約的に表す。例えば、バス1805は、処理ユニット1810を、読出専用メモリ1830、システムメモリ1825、及び永続的ストレージデバイス1835に通信可能に接続する。
処理ユニット1810は、本発明の処理を実行するために、これらの様々なメモリユニットから実行する命令及び処理するデータを検索する。処理ユニットは、異なる実施形態において単一のプロセッサ又はマルチコアプロセッサであり得る。
読出専用メモリ(ROM)1830は、処理ユニット1810及び電子システムの他のモジュールによって必要とされる静的データ及び命令を記録する。永続的ストレージデバイス1835は、一方で、読出・書込メモリデバイスである。このデバイスは、電子システム1800がオフの場合であっても命令及びデータを記録する不揮発性メモリユニットである。本発明のいくつかの実施形態は、(磁気又は光学ディスク、及び対応するディスクドライブなどの)マスストレージデバイスを永続的ストレージデバイス1835として用いる。
他の実施形態は、(フロッピーディスク、フラッシュドライブ等のような)取り外し可能なストレージデバイスを永続的ストレージデバイスとして用いる。永続的ストレージデバイス1835のように、システムメモリ1825は、読出・書込メモリデバイスである。しかしながら、ストレージデバイス1835とは異なり、システムメモリは、ランダムアクセスメモリのような揮発性の読出・書込メモリである。システムメモリは、プロセッサがランタイムにおいて必要とする、いくつかの又は全ての命令及びデータを格納し得る。いくつかの実施形態では、本発明の処理は、システムメモリ1825、永続的ストレージデバイス1835、及び/又は読出専用メモリ1830に記録される。処理ユニット1810は、いくつかの実施形態の処理を実行するために、これらの様々なメモリユニットから実行する命令及び処理するデータを検索する。
バス1805はまた、入力デバイス1840と出力デバイス1845に接続する。入力デバイスは、ユーザが情報を通信し、電子システムへのコマンドを選択できるようにする。入力デバイス1840は、アルファベット表記のキーボードとポインティングデバイス(「カーソル制御デバイス」ともいわれる)とを含む。出力デバイス1845は、電子システムによって生成された画像を表示する。出力デバイスはプリンタ、真空管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)などの表示デバイスを含む。いくつかの実施形態は、入力及び出力デバイスの両方として機能するタッチスクリーンのようなデバイスを含む。
最後に、図18に示すように、バス1805はまた、電子システム1800をネットワークアダプタ(不図示)を介してネットワーク1865に接続する。このようにして、コンピュータは、(ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、イントラネット、インターネットなどのネットワークのネットワーク、などのコンピュータのネットワークの一部になることができる。電子システム1800の任意又は全ての構成要素は、本発明に関連して用いられ得る。
いくつかの実施形態は、マイクロプロセッサ、コンピュータプログラムの命令を機械で読み出し可能な又はコンピュータで読み出し可能な媒体(或いはコンピュータで読み出し可能なストレージメディア、機械で読み出し可能な媒体、又は機械で読み出し可能なストレージメディアとして参照される)に格納した、ストレージ及びメモリのような電子構成要素を含む。コンピュータで読み出し可能な媒体のいくつかの例は、RAM、ROM、読出専用コンパクトディスク(CD-ROM)、記録可能コンパクトディスク(CD-R)、再書込可能コンパクトディスク(CD-RW)、読出専用デジタル多用途ディスク(例えばDVD-ROM、デュアルレイヤDVD-ROM)、様々な記録可能/再書込可能DVD(DVD-RAM、DVD-RW、DVD+RW等)、フラッシュメモリ(例えばSDカード、ミニSDカード、マイクロSDカード等)、磁気及び/又はソリッドステートハードドライブ、読出専用及び記録可能Blu-Ray(登録商標)ディスク、超高密度光ディスク、任意の他の光又は磁気メディア、及びフロッピーディスクを含む。コンピュータで読み出し可能な媒体は、少なくとも1つの処理ユニットによって実行可能であり、様々な動作を実行するための命令の組を含む、コンピュータプログラムを記録する。コンピュータプログラム又はコンピュータコードの例は、コンパイラによって生成されたような機械コードと、コンピュータ、電子構成要素、又はインタプリタを用いるマイクロプロセッサによって実行される、より高レベルなコードを含んだファイルとを含む。
上述の説明は、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサ又はマルチコアプロセッサを主に参照したが、いくつかの実施形態は、特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のような、1つ以上の集積回路によって実行される。ある実施形態では、そのような集積回路は回路自体に格納された命令を実行する。
本明細書において使用されるように、「コンピュータ」、「サーバ」、「プロセッサ」及び「メモリ」の語は、全て電子的又は他の技術的デバイスを参照する。これらの語は、人及び人のグループを含まない。本明細書の目的のため、表示及び表示するの語は電子デバイス上に表示することを意味する。本明細書において使用されるように、「コンピュータで読み出し可能な媒体」、「コンピュータで読み出し可能なメディア」及び「機械で読み出し可能な媒体」の語は、全体として、コンピュータによって読み出し可能な形式の情報を記録する、有体物、物理的なオブジェクトに制限される。これらの語は、任意の無線信号、有線でダウンロードされた信号、及び任意の他のその場限りの信号を含まない。
本明細書は、終始、仮想マシン(VM)を含む、計算環境及びネットワーク環境を参照している。しかしながら、仮想マシンは単なるデータ計算ノード(DCN)又はデータ計算エンドノードの一例であり、アドレス可能なノードとしても参照される。DCNは、非仮想化物理ホスト、仮想マシン、ハイパーバイザや別のオペレーティングシステムを必要とすること無くホストオペレーティングシステム上で動作するコンテナ、及びハイパーバイザカーネルネットワークインタフェースモジュールを含み得る。
いくつかの実施形態では、VMは、仮想化ソフトウェア(例えばハイパーバイザ、仮想マシンモニタ等)によって仮想化されたホストのリソースを用いて、ホスト上の自身のゲストオペレーティングシステムとともに動作する。テナント(すなわちVMのオーナー)は、どのアプリケーションをゲストオペレーティングシステム上で動作させるか選択することができる。一方、いくつかのコンテナは、ハイパーバイザ又は別のゲストオペレーティングシステムを必要とせずに、ホストオペレーティングシステム上で動作する構成物である。いくつかの実施形態では、ホストオペレーティングシステムはネームスペースを使用して、コンテナを互いに個別化し、従って、異なるコンテナ内で動作するアプリケーションの異なるグループの、オペレーティングシステムレベルのセグメンテーションを提供する。このセグメンテーションは、システムハードウェアを仮想化するハイパーバイザ-仮想化環境で提供されるVMセグメンテーションと類似し、従って、異なるコンテナ内で動作するアプリケーションの異なるグループを個別化する、仮想化の形式としてみることができる。このようなコンテナはVMより軽量である。
いくつかの実施形態では、ハイパーバイザ・カーネル・ネットワーク・インタフェース・モジュールは、ハイパーバイザ・カーネル・ネットワーク・インタフェースを有するネットワークスタックと受信/送信スレッドを含む、非VM・DCNである。ハイパーバイザ・カーネル・ネットワーク・インタフェース・モジュールの一例は、VMware社のESXi(登録商標)ハイパーバイザの一部であるvmknicモジュールである。
本明細書はVMを参照したが、所与の例は、物理ホスト、VM、非VMコンテナ、及びハイパーバイザ・カーネル・ネットワーク・インタフェース・モジュールを含む、任意の種別のDCNであってよい。事実、ネットワークの例は、いくつかの実施形態では異なる種別のDCNの組み合わせを含んでよい。
本発明は多数の特定の詳細を参照して説明されたが、当業者は、本発明が発明の思想から離れることのない他の特定の形式で実施可能であることを認識する。加えて、多数の図(図9、10、13、15、16及び17を含む)は処理を概念的に示すものである。これらの処理の特定の動作は、図示及び説明された正確な順序で実行されないかもしれない。特定の動作は、1つの連続する動作の流れで実行されないかもしれず、異なる特定の動作が異なる実施形態において実行され得る。更に、処理はいくつかの副処理(sub-process)を用いて、又は大きなマクロ処理の部分として実施され得る。従って、当業者は、発明が上述の詳細に限定されず、むしろ添付の請求項の範囲によって定義されることを理解する。

Claims (20)

  1. データセンタにおいて論理ルータのセットを実施する方法であって、前記方法は、
    第1の論理ルータを前記データセンタの外のデバイスに接続するために前記第1の論理ルータ第2の論理ルータ接続する構成データを受信することであって、前記第2の論理ルータは、(i)前記データセンタ内の複数の物理マシンに渡って実施される分散化ルーティング構成要素と、(ii)異なる物理マシン上でそれぞれ実施される1つ以上の集中化ルーティング構成要素とを含み、前記第2の論理ルータの前記分散化ルーティング構成要素及び前記集中化ルーティング構成要素のそれぞれは、別々のルーティングテーブルを有する、受信することと、
    前記第2の論理ルータとの前記第1の論理ルータの前記接続に基づいて、前記第1の論理ルータのために構成されるプレフィックスのセットにおけるそれぞれのプレフィックスについて、
    前記第2の論理ルータの前記分散化ルーティング構成要素の前記ルーティングテーブルに、前記第1の論理ルータのインタフェースの次ホップアドレスを有する経路を追加することと、
    前記第2の論理ルータのそれぞれの集中化ルーティング構成要素の前記ルーティングテーブルに、前記第2の論理ルータの前記分散化ルーティング構成要素のインタフェースに対応する次ホップアドレスを有するための経路を追加することと、を含む方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、
    前記データセンタはマルチユーザデータセンタであり、
    前記第1の論理ルータは、前記データセンタのユーザによって管理される複数の論理ルータのうちの1つであり、
    前記第2の論理ルータは、前記データセンタの管理者によって管理される、方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、前記第1の論理ルータは、任意の外部物理ネットワークと接続しないテナント論理ルータであり、前記第2の論理ルータは、外部物理ネットワークと接続するプロバイダ論理ルータである、方法。
  4. 請求項3に記載の方法であって、前記構成データは、前記テナント論理ルータを配置する前記データセンタのテナントからアプリケーションプログラミングインタフェースを介して受信したリクエストを含む、方法。
  5. 請求項1に記載の方法であって、前記第1の論理ルータは、前記データセンタ内の物理コンピュータのセットに渡って実施される単一の分散化ルーティング構成要素を含むが、あらゆる集中化ルーティング構成要素を含まない、方法。
  6. 請求項5に記載の方法であって、前記第1の論理ルータは、前記第1の論理ルータの前記分散化ルーティング構成要素のインタフェースを介して前記第2の論理ルータに接続する、方法。
  7. 請求項6に記載の方法であって、前記第2の論理ルータの前記分散化ルーティング構成要素の前記ルーティングテーブルに追加された前記経路の前記次ホップアドレスは、前記第1の論理ルータの前記分散化ルーティング構成要素の前記インタフェースに対応する、方法。
  8. 請求項1に記載の方法であって、前記複数の物理マシンは、前記データセンタ内の第1の複数の物理マシンであり、前記第1の論理ルータは、(i)前記データセンタ内の第2の複数の物理マシンに渡って実施される分散化ルーティング構成要素と、(ii)アクティブな集中化ルーティング構成要素と、(iii)スタンバイの集中化ルーティング構成要素とを含み、前記第1の論理ルータの前記分散化ルーティング構成要素及び前記集中化ルーティング構成要素のそれぞれは、別々のルーティングテーブルを有する、方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、前記第1の論理ルータは、前記第2の論理ルータに、前記第1の論理ルータの前記アクティブな集中化ルーティング構成要素及び前記スタンバイの集中化ルーティング構成要素のインタフェースを介して接続する、方法。
  10. 請求項9に記載の方法であって、前記第2の論理ルータの前記分散化ルーティング構成要素の前記ルーティングテーブルに追加された前記経路の前記次ホップアドレスは、前記アクティブな集中化ルーティング構成要素の前記インタフェースに対応する、方法。
  11. 請求項8に記載の方法であって、前記第1の論理ルータのための構成データは、ステートフルサービスの提供のための構成を含み、前記第1の論理ルータの前記集中化ルーティング構成要素は前記ステートフルサービスを提供するように構成される、方法。
  12. 請求項8に記載の方法であって、前記第1の論理ルータの前記集中化ルーティング構成要素のそれぞれは、異なる物理マシン上で実施される、方法。
  13. 請求項1に記載の方法であって、前記第1の論理ルータのための構成が、特定のプレフィックスに対して前記第1の論理ルータの外にアドバタイズされるように特定される場合、前記プレフィックスのセットにおける前記特定のプレフィックスに対する経路は、前記第2の論理ルータの前記分散化ルーティング構成要素及び前記集中化ルーティング構成要素の前記ルーティングテーブルに追加される、方法。
  14. 請求項1に記載の方法であって、前記方法は、前記データセンタ内の論理ネットワークのセットを集中的に管理する管理プレーンによって実行される、方法。
  15. 請求項14に記載の方法は更に、前記追加された経路を、前記第2の論理ルータの前記分散化ルーティング構成要素及び前記集中化ルーティング構成要素を実施する前記複数の物理マシン上で動作するローカルネットワークコントローラに分配することを含む、方法。
  16. 請求項1に記載の方法であって、前記プレフィックスのセットにおける特定のプレフィックスに対する接続経路は、前記第1の論理ルータへの論理スイッチの接続に基づいて、前記第1の論理ルータのルーティングテーブルのために自動的に生成される、方法。
  17. 請求項1に記載の方法は更に、前記第2の論理ルータの前記集中化ルーティング構成要素を、少なくとも1つのプレフィックスを動的ルーティングプロトコルを介して外部の物理ネットワークにアドバタイズするように特定することを含む、方法。
  18. 請求項1に記載の方法は更に、前記第2の論理ルータの前記分散化ルーティング構成要素に前記第1の論理ルータを接続する通過論理スイッチを定義することを含む、方法。
  19. 少なくとも1つの処理ユニットで実行されると、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法を実施するコンピュータプログラム。
  20. 計算デバイスであって、
    処理ユニットのセットと、
    前記処理ユニットの少なくとも1つによって実行されると、請求項1から18のいずれか1項に記載の方法を実施するプログラムを格納する機械可読媒体と、を含む計算デバイス。
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