JP7031638B2 - 電池用包装材料、その製造方法、電池及びその製造方法 - Google Patents

電池用包装材料、その製造方法、電池及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電池用包装材料、その製造方法、電池及びその製造方法に関する。
従来、様々なタイプの電池が開発されているが、あらゆる電池において、電極や電解質等の電池素子を封止するために包装材料が不可欠な部材になっている。従来、電池用包装として金属製の包装材料が多用されていたが、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話等の高性能化に伴い、電池には、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の電池用包装材料では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
そこで、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る電池用包装材料として、基材層/接着層/バリア層/熱融着性樹脂層が順次積層されたフィルム状の積層体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなフィルム状の電池用包装材料では、熱融着性樹脂層同士を対向させて周縁部をヒートシールにて熱溶着させることにより電池素子を封止できるように形成されている。
上記のような積層体により形成された種々の包装材料において、基材層の表面にインキを印刷して、バーコード、柄、文字などを形成し、印刷した側の基材層の上に接着剤、金属箔を積層する方法により、包装材料に印字する方法が広く採用されている。しかしながら、基材層とバリア層との間にこのような印刷面が存在すると、基材層とバリア層との密着性が低下して、層間においてデラミネーションが生じやすくなる。特に、電池用包装材料が適用される電池には、高い安全性が要求されるため、このような基材層の表面に印刷し印刷した側の基材層上に接着剤及び金属層を積層する方法は、電池用包装材料においては敬遠されている。したがって、従来、電池用包装材料にバーコードなどの印字を形成する場合には、一般に、印字が形成されたシールを基材層の表面に貼り付ける方法が採用されている。
特開2008-287971号公報
しかしながら、印字が形成されたシールを基材層の表面に貼り付けると、電池用包装材料の厚みや重さが増大する。そこで、本発明者らは、電池用包装材料に対する近年の更なる薄型化や軽量化の傾向を考慮して、電池用包装材料の基材層の表面に直接インキの印刷により印字する方法を検討した。
電池用包装材料の基材層の表面に直接インキの印刷により印字する方法としては、例えば、パッド印刷(タンポ印刷とも称される)やインクジェット印刷が知られている。パッド印刷とは、次のような印刷方法である。まず、印字したいパターンがエッチングされた平板の凹部にインキを流し込む。次に、当該凹部の上からシリコンパッドを押し当てて、シリコンパッドにインキを転移させる。次に、シリコンパッド表面に転移されたインキを印刷対象物に転写して、印刷対象物に印字を形成する。このようなパッド印刷は、弾性のあるシリコンパッドなどを用いてインキが印刷対象物に転写されるため、成形後の電池用包装材料の表面にも印刷しやすく、電池素子を電池用包装材料で封止した後に、電池に印字することができるという利点を有する。また、インクジェット印刷においても同様の利点を有する。
ところが、本発明者らが検討したところ、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂などにより形成されている従来汎用されている基材層の表面にインキを印刷すると、当該基材層表面においてインキが弾かれて、インキが定着しにくく、インキが形成されない抜け部分が生じることがあることが明らかとなった。特に、パッド印刷によって印刷した場合の印刷適性が不十分になる傾向があることが明らかとなった。
また、電池用包装材料においては、体積エネルギー密度を高めるために、一般的に、冷間成形により凹部が形成され、電池素子の収容体積を大きくしている。近年、深絞り成形によって、さらに収容体積を大きくすることが求められている。しかしながら、成形時において、電池用包装材料にピンホールやクラックが生じた場合には、電解液がアルミニウム合金箔層にまで浸透して金属析出物を形成し、その結果、短絡を生じさせることになりかねないため、電池用包装材料には、さらに優れた成形性を備えさせることが求められている。
このような状況下、本発明は、優れた印刷適性を備えた電池用包装材料を提供することを主たる目的(第1の目的)とし、さらに、優れた印刷適性に加えて、優れた成形性をも備えた電池用包装材料を提供することも目的(第2の目的)とする。さらに、本発明は、当該電池用包装材料の製造方法、当該電池用包装材料用いた電池及び電池の製造方法を提供することも目的とする。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 外側から、少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体からなる電池用包装材料であって、
前記電池用包装材料はその外側表面に印字受容層を備えており、
前記印字受容層は、アマイド系添加剤を含んでいる、電池用包装材料。
項2. 前記アマイド系添加剤は、エルカ酸アミドである、項1に記載の電池用包装材料。
項3. 前記印字受容層の前記アマイド系添加剤の含有量が、0.3質量%以上6.0質量%以下である、項1または2に記載の電池用包装材料。
項4. 前記印字受容層が、前記電池用包装材料の外側表面の全面に形成されている、項1~3のいずれかに記載の電池用包装材料。
項5. 前記印字受容層の外側表面に印字層を備えている、項1~4のいずれかに記載の電池用包装材料。
項6. 前記印字受容層の厚みが、0.001μm以上50μm以下の範囲にある、項1~5のいずれかに記載の電池用包装材料。
項7. 前記基材層が、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の少なくとも一方により形成されている、項1~6のいずれかに記載の電池用包装材料。
項8. 前記印字受容層は、アクリル樹脂を80質量%以上含む樹脂と、前記アマイド系添加剤とを含んでいる、項1~7のいずれかに記載の電池用包装材料。
項9. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、項1~8のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包袋体内に収容されている、電池。
項10. 外側から、少なくとも、印字受容層と、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体からなる電池用包装材料の製造方法であって、
前記印字受容層と、前記基材層と、前記バリア層と、前記熱融着性樹脂層とを積層して積層体を得る積層工程を備えており、
前記印字受容層は前記電池用包装材料の外側表面に備えられ、前記印字受容層は、アマイド系添加剤を含んでいる、電池用包装材料の製造方法。
項11. 前記印字受容層の表面に印字層を形成する工程をさらに備える、項10に記載の電池用包装材料の製造方法。
項12. 項1~8のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体内に、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を収容する工程を備える、電池の製造方法。
項13. 前記印字受容層の表面に印字層を形成する工程をさらに備える、項12に記載の電池の製造方法。
本発明によれば、優れた印刷適性を備えた電池用包装材料を提供することができる。さらに、本発明によれば、当該電池用包装材料の製造方法、当該電池用包装材料を用いた電池及び電池の製造方法を提供することができる。
本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 本発明の電池用包装材料の断面構造の一例を示す図である。 テープ密着性の評価方法を説明するための模式図である。 テープ密着性の評価方法を説明するための模式図である。
本発明の電池用包装材料は、外側から、少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体からなり、前記電池用包装材料の外側表面に印字受容層を備えており、印字受容層は、アマイド系添加剤を含んでいることを特徴とする。以下、本発明の電池用包装材料について詳述する。
なお、本明細書において、数値範囲については、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
1.電池用包装材料の積層構造
本発明の電池用包装材料は、例えば図1に示すように、外側から、印字受容層6、基材層1、バリア層3、及び熱融着性樹脂層4をこの順に備える積層体からなる。本発明の電池用包装材料において、印字受容層6が最外層になり、熱融着性樹脂層4は最内層になる。即ち、電池の組み立て時に、電池素子の周縁に位置する熱融着性樹脂層4同士が熱融着して電池素子を密封することにより、電池素子が封止される。
本発明の電池用包装材料は、例えば図2に示すように、基材層1とバリア層3との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着剤層2を有していてもよい。また、例えば図3に示すように、バリア層3と熱融着性樹脂層4との間に、これらの接着性を高める目的で、必要に応じて接着層5を設けてもよい。また、基材層1の外側(熱融着性樹脂層4とは反対側)には、必要に応じて表面被覆層(図示を省略する)などが設けられていてもよい。なお、表面被覆層を備える場合、表面被覆層は、基材層1と印字受容層6との間に位置する。
後述の通り、印字受容層6は、基材層1の外側表面(バリア層3とは反対側の表面)の少なくとも一部に形成されていればよい。すなわち、印字受容層6は、基材層1の外側表面の全面に形成されていてもよいし、一部に形成されていてもよい。
本発明の電池用包装材料において、基材層側表面(外側表面)の動摩擦係数は、約0.50以下であることが好ましく、約0.26以下であることがより好ましく、約0.18以下であることがさらに好ましく、約0.13以下であることが特に好ましい。なお、動摩擦係数は、次の方法によって測定された値を意味する。
(動摩擦係数の測定)
電池用包装材料を、200mm×80mmの長方形状に2枚切り出して試験サンプルとする。JIS K7125:1999の8.1フィルム対フィルムの測定に準拠し、動摩擦係数を測定する市販の測定機を用いて、接触面積が40cm2(一辺の長さ63mmの正方形)で底面を弾力性のあるフェルトで覆った全質量が200gの滑り片を使用し、速度100mm/minの条件で、試験サンプルの基材層側同士を重ね合せて動摩擦係数を測定する。なお、測定環境は、温度24℃、相対湿度50%とする。また、サンプルと滑り片とも密着させて滑らないようにする。速度100mm/分の速度で滑り片を引っ張り、2枚のサンプル間の動摩擦力(N)を測定し、動摩擦力の滑り片の法線力(1.96N)で除して、動摩擦係数を算出する。動摩擦係数は、静摩擦力のピークを無視し、接触面間の相対ずれ運動を開始した後の最初の30mmまでの平均値から求める。なお、ロードセルは、滑り片に直接接続させる。
本発明の電池用包装材料を構成する積層体の総厚みとしては、特に制限されないが、積層体の総厚みを可能な限り薄くしつつ、高い成形性を発揮する観点からは、好ましくは約160μm以下、より好ましくは35~155μm程度、さらに好ましくは45~155μm程度が挙げられる。本発明の電池用包装材料を構成する積層体の厚みが、例えば160μm以下と薄い場合にも、本発明によれば、優れた成形性を発揮し得る。このため、本発明の電池用包装材料は、電池のエネルギー密度の向上に寄与することができる。
2.電池用包装材料を形成する各層
[基材層1]
本発明の電池用包装材料において、基材層1は、バリア層3の外側に位置しており、電池用包装材料の支持体として機能する層である。基材層1を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層1を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。高い成形性を発揮する観点からこれらの中でも、ポリエステル、ポリアミドが好ましい。
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリカーボネート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル-ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。ポリエステルは、耐電解液性に優れ、電解液の付着に対して白化等が発生し難いという利点があり、基材層1の形成素材として好適に使用される。
また、ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体等の脂肪族系ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸-テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミノメチルシクロヘキシルアジパミド(PACM6)等の脂環系ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4'-ジフェニルメタン-ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等が挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。延伸ポリアミドフィルムは延伸性に優れており、成形時の基材層1の樹脂割れによる白化の発生を防ぐことができ、基材層1の形成素材として好適に使用される。
基材層1は、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルムで形成されていてもよく、また未延伸の樹脂フィルムで形成してもよい。中でも、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルム、とりわけ2軸延伸された樹脂フィルムは、配向結晶化することにより耐熱性が向上しているので、基材層1として好適に使用される。また、基材層1は、上記の素材をバリア層3上にコーティングして形成されていてもよい。
これらの中でも、基材層1を形成する樹脂フィルムとして、高い成形性を発揮する観点から好ましくはナイロン、ポリエステル、更に好ましくは2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリエステル、特に好ましくは2軸延伸ナイロンが挙げられる。
基材層1は、耐ピンホール性及び電池の包装体とした時の絶縁性を向上させるために、異なる素材の樹脂フィルム及びコーティングの少なくとも一方を積層化することも可能である。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造や、2軸延伸ポリエステルと2軸延伸ナイロンとを積層させた多層構造等が挙げられる。基材層1を多層構造にする場合、各樹脂フィルムは接着剤を介して接着してもよく、また接着剤を介さず直接積層させてもよい。接着剤を介さず接着させる場合には、例えば、共押出しラミネート法、サンドイッチラミネート法、サーマルラミネート法等の熱溶融状態で接着させる方法が挙げられる。また、接着剤を介して接着させる場合、使用する接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型、紫外線(UV)又は電子線(EB)などの電離放射線硬化型等のいずれであってもよい。接着剤の成分としてポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、アミノ樹脂、ゴム、シリコン系樹脂が挙げられる。
電池用包装材料の基材層には、撥水剤が含まれていてもよい。例えば、ナイロンなどのポリアミド樹脂フィルムが汎用されており、ポリアミド樹脂フィルムには、一般に、撥水剤としてエチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどが含まれている。撥水剤を含むことにより、フィルムの製造の際に、溶融樹脂の水に対するぬれ性が調整され、原反フィルムの表面に適度な凹凸(表面粗さ)を形成することができ、原反フィルムの延伸後にもこの凹凸形状が残り、表面の滑り性が調整されたポリアミド樹脂フィルムとすることができる。ただし、基材層に撥水剤が含まれると、電池用包装材料に電解液などの電池素子を封入した後のベーキング工程等で熱が加えられることにより、撥水剤が基材層表面にブリードアウトし、パッド印刷等によって基材層表面にインキを印刷した場合、基材層表面においてインキが弾かれて、インキが定着しにくくなり、インキが形成されない抜け部分が生じ得る問題が生じやすい。
これに対して、本発明の電池用包装材料においては、基材層1側表面に印字受容層6が設けられているため、基材層1が撥水剤を含む場合にも、電池用包装材料の外側表面は、優れたインキの印刷適性を発揮することができる。
基材層1に含まれる撥水剤の含有量としては、特に制限されないが、好ましくは200~1500ppm程度、より好ましくは300~1200ppm程度が挙げられる。なお、本発明において、基材層1に含まれる撥水剤含有量は、基材層の内部及び表面に存在する撥水剤(例えば、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドなどの脂肪酸アミド)の合計量である。電池用包装材料の基材層1に含まれる撥水剤の含有量は、電池用包装材料から基材層1を剥がし、基材層1をヘキサフルオロイソプロピルアルコールに溶解させた後、ジメチルエタンを加えて溶媒沈殿させ、樹脂成分を分離させて撥水剤の抽出溶液を作製し、当該抽出溶液をGC-MS分析することにより定量することができる。
基材層1の厚さとしては、例えば、10~50μm程度、好ましくは12~30μm程度が挙げられる。
[印字受容層6]
本発明の電池用包装材料においては、アマイド系添加剤を含む印字受容層6が、電池用包装材料の外側表面(すなわち、基材層1側の表面)の少なくとも一部に設けられている。印字受容層6は、電池用包装材料の外側表面の全面に形成されていてもよいし、一部に形成されていてもよい。電池用包装材料の成形性をより一層高める観点からは、印字受容層6は、電池用包装材料の外側表面の全面に形成されていることが好ましい。電池用包装材料の外側表面に印字する箇所が予め定められている場合には、印字受容層6は、外側表面の一部に形成されていることが好ましい。印字受容層6が外側表面の一部に形成されている場合、優れた印刷適性と優れた成形性とを兼ね備えた電池用包装材料とする観点から、外表面に占める印字受容層6の面積の割合としては、好ましくは約50%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、特に好ましくは約99%以上が挙げられる。
前述の通り、従来のように電池用包装材料の外側にシールを貼り付けるのではなく、外側表面に直接印字することを本発明者らが検討したところ、外側表面にインキを印刷すると、外側表面においてインキが弾かれて、インキが定着しにくく、インキが形成されない抜け部分が生じることがあることが明らかとなった。特に、パッド印刷によって印刷した場合の印刷適性が不十分になる傾向があった。
これに対して、本発明の電池用包装材料においては、アマイド系添加剤を含む印字受容層6が外側表面の少なくとも一部に設けられているため、電池用包装材料の外側表面(印字受容層6の表面)においてインキが弾かれにくく、電池用包装材料の外側に好適にインキを印刷することができる。特に、パッド印刷によってインキを印刷すると、外側表面でインキが弾かれ、印刷不良が生じる場合があるが、本発明の電池用包装材料は、このような場合においても、印字受容層6が形成されているため、インキが弾かれにくく、パッド印刷によって外側表面に印字などが形成される電池用包装材料として、特に好適である。さらに、アマイド系添加剤が印字受容層6に含まれていることによって、電池用包装材料の成形性にも優れている。
印字受容層6を構成する素材としては、インキが弾かれにくい表面となるものであれば、特に制限されない。印字受容層6は、例えば、アマイド系添加剤と樹脂とを含む樹脂組成物によって形成される。樹脂としては、特に制限されないが、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、特に制限されず、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル系樹脂;アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂);アクリロニトリル-スチレン-アクリル酸エステル樹脂、硝化綿樹脂などが挙げられる。これらの中でも、電池用包装材料の外側表面におけるインキの印刷適性と成形性を向上させる観点から、アクリル樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、水酸基官能性アクリル樹脂、カルボキシル官能性アクリル樹脂、アミド官能性共重合体、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、電池用包装材料の外側表面におけるインキの印刷適性と成形性を向上させる観点から、ウレタン樹脂が好ましい。また、ウレタン樹脂の中でも、同様の観点から、ポリエステルウレタン樹脂がさらに好ましい。
さらに、電池用包装材料の外側表面におけるインキの印刷適性と成形性を向上させた上で、さらにテープに対する密着性を高める観点からは、印字受容層6を構成する樹脂は、アクリル樹脂を含むことが好ましく、アクリル樹脂の割合が80質量%以上であることが好ましい。より具体的には、印字受容層6を構成する樹脂において、アクリル樹脂が80~100質量%程度、ポリエステルウレタン樹脂が0~20質量%程度であることが特に好ましい。すなわち、印字受容層6は、アクリル樹脂を80~100質量%程度、ポリエステルウレタン樹脂を0~20質量%程度を含む樹脂と、前記アマイド系添加剤とを含んでいることが特に好ましい。電池用包装材料を用いた電池は、テープなどによって固定される際に、印字受容層6にテープが接着されて、電池が筐体などに固定されることがある。このような場合に、印字受容層6のテープに対する密着性に優れていることにより、テープを用いて電池を好適に固定することができる。なお、テープとしては、例えば、市販の粘着テープなどが使用される。
また、電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂であり、具体的には、分子中に重合性不飽和結合又はエポキシ基を有する、プレポリマー、オリゴマー、及びモノマーなどのうち少なくとも1種を適宜混合したものが挙げられる。ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も含むものである。電離放射線硬化性樹脂としては、公知のものを使用することができる。
電離放射線硬化性樹脂として使用される上記モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)、好ましくは3個以上(3官能以上)有する(メタ)アクリレートモノマーであればよい。多官能性(メタ)アクリレートとして、具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、電離放射線硬化性樹脂として使用される上記オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレートオリゴマーが好適であり、中でも分子内に重合性不飽和結合を2個以上(2官能以上)有する多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、アクリルシリコーン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー(例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等)等が挙げられる。ここで、ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、ポリマー主鎖にカーボネート結合を有し、かつ末端または側鎖に(メタ)アクリレート基を有するものであれば特に制限されず、例えば、ポリカーボネートポリオールを(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリカーボネート(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートであるポリカーボネート系ウレタン(メタ)アクリレートなどであってもよい。ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリカーボネートポリオールと、多価イソシアネート化合物と、ヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。アクリルシリコーン(メタ)アクリレートは、シリコーンマクロモノマーを(メタ)アクリレートモノマーとラジカル共重合させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールやカプロラクトン系ポリオールやポリカーボネートポリオールと、ポリイソシアネート化合物の反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。エポキシ(メタ)アクリレートは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレートを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートも用いることができる。ポリエステル(メタ)アクリレートは、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、或いは多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレートは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリブタジエン(メタ)アクリレートは、ポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。シリコーン(メタ)アクリレートは、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーンの末端又は側鎖に(メタ)アクリル酸を付加することにより得ることができる。これらの中でも、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリカーボネート(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが特に好ましい。これらのオリゴマーは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
アマイド系添加剤の具体例としては、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。置換アミドの具体例としては、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、メチロールアミドの具体例としては、メチロールステアリン酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N'-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N'-ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'-ジオレイルセバシン酸アミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドの具体例としては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族系ビスアミドの具体例としては、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N'-ジステアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。これらの中でも、電池用包装材料の外側表面におけるインキの印刷適性と成形性を向上させる観点から、エルカ酸アミドが好ましい。アマイド系添加剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
印字受容層6のアマイド系添加剤の含有量としては、特に制限されないが、電池用包装材料の外側表面におけるインキの印刷適性を向上させる観点、さらにはインキの印刷適性と成形性を向上させる観点から、好ましくは0.3~6.0質量%程度、より好ましくは0.3~5.0質量%程度、さらに好ましくは2.0~4.0質量%程度、特に好ましくは3.0~4.0質量%程度が挙げられる。
なお、印字受容層6のアマイド系添加剤の含有量は、電池用包装材料から印字受容層6を削り取り、ガスクロマトグラフィーに供して得られる強度ピークに基づき定量することができる。
印字受容層6は、無機粒子を含んでいてもよい。無機粒子としては、特に制限されないが、例えば、シリカ粒子(コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、沈降性シリカなど)、硫酸バリウム粒子、水酸化アルミニウム粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、酸化亜鉛粒子などの金属酸化物粒子が好ましく挙げられ、シリカ粒子が好ましい。無機粒子は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、印字受容層6には、後述の表面被覆層で例示した添加剤が含まれていてもよい。
印字受容層6は、例えば上述の印字受容層6を構成する樹脂組成物を、公知の印刷法などによって基材層1の上に塗布する方法などによって形成することができる。
印字受容層6の厚みとしては、特に制限されないが、好ましくは約0.001μm以上、より好ましくは約0.005μm以上、さらに好ましくは約0.01μm以上が挙げられる。また、当該厚みとしては、好ましくは約50μm以下、より好ましくは約40μm以下、さらに好ましくは約5μm以下が挙げられる。さらに、約0.1μm以下、約0.05μm以下であってもよい。なお、印字受容層6の厚みは、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)観察することによって測定することができる。
本発明の電池用包装材料においては、印字受容層6の表面にインキを好適に印刷することができる。すなわち、本発明において、電池用包装材料の外側表面(印字受容層6の表面)にインキが印刷された電池用包装材料は、印字受容層6の表面に印刷されたインキ(インキの硬化物、乾燥物など)が露出している。印刷されたインキは、例えば、バーコード、柄、文字などの印字を形成することができる。印刷に用いるインキとしては、特に制限されず、公知のものを使用することができ、例えば、紫外線などを照射することにより硬化する光硬化性インキなどを用いることができる。
本発明の電池用包装材料は、印字受容層6表面のぬれ張力が、約33mN/m以上であることが好ましく、約35mN/m以上であることがより好ましい。なお、当該ぬれ張力は、以下の方法により測定された値を意味する。
(ぬれ張力の測定)
JIS規格に準拠したぬれ試薬による印字受容層のぬれ張力(mN/m)を測定する。試験方法は、「JIS K6768 1999 プラスチック-フィルム及びシート-ぬれ張力試験法」に準拠する。ぬれ張力試験用混合液を使用し、球状の脱脂綿に含ませた試薬を、印字受容層の表面に5cmほど線状に塗布し、2秒後に液膜が破れるか否かで判定し、破れなかったぬれ張力(mN/m)を測定する。なお、ぬれ張力の測定は、温度23℃、相対湿度50%の環境にて行う。
[接着剤層2]
本発明の電池用包装材料において、接着剤層2は、基材層1とバリア層3を強固に接着させるために、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
接着剤層2は、基材層1とバリア層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層2の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。更に、接着剤層2の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
接着剤層2の形成に使用できる接着成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系樹脂;フェノール系樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド系樹脂;ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリカーボネート;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン系樹脂等が挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、好ましくはポリウレタン系接着剤が挙げられる。
また、接着剤層2は、着色剤を含んでいてもよい。接着剤層2が着色剤を含んでいることにより、電池用包装材料を着色することができる。着色剤としては、顔料、染料などの公知のものが使用できる。また、着色剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
例えば、無機系の顔料の具体例としては、好ましくはカーボンブラック、酸化チタンなどが挙げられる。また、有機系の顔料の具体例としては、好ましくはアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料などが挙げられる。アゾ系顔料としては、ウォッチングレッド、力―ミン6Cなどの溶性顔料;モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、ピラゾロンレッド、パーマネントレッド等の不溶性アゾ顔料が挙げられ、フタロシアニン系顔料としては、銅フタロシアニン顔料、無金属フタロシアニン顔料としての青系顔料や緑系顔料が挙げられ、縮合多環系顔料としては、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンバイオレットなどが挙げられる。また、顔料としては、パール顔料や、蛍光顔料なども使用できる。
着色剤の中でも、例えば電池用包装材料の外観を黒色とするためには、カーボンブラックが好ましい。
顔料の平均粒子径としては、特に制限されず、例えば、0.05~5μm程度、好ましくは0.08~2μm程度が挙げられる。なお、顔料の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定されたメジアン径とする。
接着剤層2における顔料の含有量としては、電池用包装材料が着色されれば特に制限されず、例えば5~60質量%程度が挙げられる。
接着剤層2の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、1~10μm程度、好ましくは2~5μm程度が挙げられる。
[着色層]
着色層は、基材層1と接着剤層2との間に必要に応じて設けられる層である(図示を省略する)。着色層を設けることにより、電池用包装材料を着色することができる。
着色層は、例えば、着色剤を含むインキを基材層1の表面、またはバリア層3の表面に塗布することにより形成することができる。着色剤としては、顔料、染料などの公知のものが使用できる。また、着色剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
着色層に含まれる着色剤の具体例としては、[接着剤層2]の欄で例示したものと同じものが例示される。
[バリア層3]
電池用包装材料において、バリア層3は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止する機能を有する層である。バリア層3は、金属箔、金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜、これらの蒸着層を設けたフィルムなどにより形成することができ、金属で形成されている層であることが好ましい。バリア層3を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン鋼などが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。バリア層3は、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム合金箔又はステンレス鋼箔により形成することがさらに好ましい。
電池用包装材料の製造時に、バリア層3にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、バリア層は、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160:1994 A8021H-O、JIS H4160:1994 A8079H-O、JIS H4000:2014 A8021P-O、JIS H4000:2014 A8079P-O)など軟質アルミニウム合金箔により形成することがより好ましい。
また、ステンレス鋼箔としては、オーステナイト系のステンレス鋼箔、フェライト系のステンレス鋼箔などが挙げられる。ステンレス鋼箔は、オーステナイト系のステンレス鋼により構成されていることが好ましい。
ステンレス鋼箔を構成するオーステナイト系のステンレス鋼の具体例としては、SUS304、SUS301、SUS316Lなどが挙げられ、これら中でも、SUS304が特に好ましい。
バリア層3の厚みは、水蒸気などのバリア層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、電池用包装材料の厚みを薄くする観点からは、例えば、上限としては、約100μm以下、好ましくは約85μm以下、より好ましくは約50μm以下、さらに好ましくは約40μm以下が挙げられ、下限としては、好ましくは約10μm以上が挙げられ、当該厚みの範囲としては、10~100μm程度、10~80μm程度、好ましくは10~50μm程度、10~40μm程度とすることができる。なお、バリア層3がステンレス鋼箔により構成されている場合、ステンレス鋼箔の厚みとしては、好ましくは約85μm以下、より好ましくは約50μm以下、さらに好ましくは約40μm以下、さらに好ましくは約30μm以下、特に好ましくは約25μm以下が挙げられ、下限としては、約10μm以上が挙げられ、好ましい厚みの範囲としては、10~85μm程度、10~50μm程度、より好ましくは10~40μm程度、より好ましくは10~30μm程度、さらに好ましくは15~25μm程度が挙げられる。
また、バリア層3は、接着の安定化、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも一方の面、好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、バリア層の表面に耐酸性皮膜を形成する処理をいう。本発明のバリア層3の表面に耐酸性皮膜が形成されている場合、バリア層3には耐酸性皮膜が含まれる。化成処理としては、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロムなどのクロム酸化合物を用いたクロム酸クロメート処理;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸などのリン酸化合物を用いたリン酸クロメート処理;下記一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理などが挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。
Figure 0007031638000001
Figure 0007031638000002
Figure 0007031638000003
Figure 0007031638000004
一般式(1)~(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基またはベンジル基を示す。また、R1及びR2は、それぞれ同一または異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)~(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基などの炭素数1~4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1及びR2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基などのヒドロキシル基が1個置換された炭素数1~4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)~(4)において、X、R1及びR2で示されるアルキル基及びヒドロキシアルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。一般式(1)~(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシル基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましい。一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、500~100万程度であることが好ましく、1000~2万程度であることがより好ましい。
また、バリア層3に耐食性を付与する化成処理方法として、リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをコーティングし、150℃以上で焼付け処理を行うことにより、バリア層3の表面に耐酸性皮膜を形成する方法が挙げられる。また、耐酸性皮膜の上には、カチオン性ポリマーを架橋剤で架橋させた樹脂層をさらに形成してもよい。ここで、カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノフェノールなどが挙げられる。これらのカチオン性ポリマーとしては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、架橋剤としては、例えば、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、及びオキサゾリン基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する化合物、シランカップリング剤などが挙げられる。これらの架橋剤としては、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
また、耐酸性皮膜を具体的に設ける方法としては、たとえば、一つの例として、少なくともアルミニウム合金箔の内層側の面を、まず、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の処理方法で脱脂処理を行い、その後脱脂処理面にリン酸Cr(クロム)塩、リン酸Ti(チタン)塩、リン酸Zr(ジルコニウム)塩、リン酸Zn(亜鉛)塩などのリン酸金属塩およびこれらの金属塩の混合体を主成分とする処理液(水溶液)、あるいは、リン酸非金属塩およびこれらの非金属塩の混合体を主成分とする処理液(水溶液)、あるいは、これらとアクリル系樹脂ないしフェノール系樹脂ないしポリウレタン系樹脂等の水系合成樹脂との混合物からなる処理液(水溶液)をロールコート法、グラビア印刷法、浸漬法等の周知の塗工法で塗工することにより、耐酸性皮膜を形成することができる。たとえば、リン酸Cr(クロム)塩系処理液で処理した場合は、CrPO4(リン酸クロム)、AlPO4(リン酸アルミニウム)、Al23(酸化アルミニウム)、Al(OH)x(水酸化アルミニウム)、AlFx(フッ化アルミニウム)などからなる耐酸性皮膜となり、リン酸Zn(亜鉛)塩系処理液で処理した場合は、Zn2PO4・4H2O(リン酸亜鉛水和物)、AlPO4(リン酸アルミニウム)、Al23(酸化アルミニウム)、Al(OH)x(水酸化アルミニウム)、AlFx(フッ化アルミニウム)などからなる耐酸性皮膜となる。
また、耐酸性皮膜を設ける具体的方法の他の例としては、たとえば、少なくともアルミニウム合金箔の内層側の面を、まず、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の処理方法で脱脂処理を行い、その後脱脂処理面に周知の陽極酸化処理を施すことにより、耐酸性皮膜を形成することができる。
また、耐酸性皮膜の他の一例としては、リン化合物(例えば、リン酸塩系)、クロム化合物(例えば、クロム酸系)の皮膜が挙げられる。リン酸塩系としては、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸カルシウム、リン酸クロムなどが挙げられ、クロム酸系としては、クロム酸クロムなどが挙げられる。
また、耐酸性皮膜の他の一例としては、リン化合物(リン酸塩など)、クロム化合物(クロム酸塩など)、フッ化物、トリアジンチオール化合物等の耐酸性皮膜を形成することによって、エンボス成形時のアルミニウムと基材層との間のデラミネーション防止、電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、アルミニウム表面の溶解、腐食、特にアルミニウムの表面に存在する酸化アルミニウムが溶解、腐食することを防止し、かつ、アルミニウム表面の接着性(濡れ性)を向上させ、ヒートシール時の基材層とアルミニウムとのデラミネーション防止、エンボスタイプにおいてはプレス成形時の基材層とアルミニウムとのデラミネーション防止の効果を示す。耐酸性皮膜を形成する物質のなかでも、フェノール系樹脂、フッ化クロム(3)化合物、リン酸の3成分から構成された水溶液をアルミニウム表面に塗布し、乾燥焼付けの処理が良好である。
また、耐酸性皮膜は、酸化セリウムと、リン酸またはリン酸塩と、アニオン性ポリマーと、該アニオン性ポリマーを架橋させる架橋剤とを有する層を含み、前記リン酸またはリン酸塩が、前記酸化セリウム100質量部に対して、1~100質量部配合されていてもよい。耐酸性皮膜が、カチオン性ポリマーおよび該カチオン性ポリマーを架橋させる架橋剤を有する層をさらに含む多層構造であることが好ましい。
さらに、前記アニオン性ポリマーが、ポリ(メタ)アクリル酸またはその塩、あるいは(メタ)アクリル酸またはその塩を主成分とする共重合体であることが好ましい。また、前記架橋剤が、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、オキサゾリン基のいずれかの官能基を有する化合物とシランカップリング剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、前記リン酸またはリン酸塩が、縮合リン酸または縮合リン酸塩であることが好ましい。
化成処理は、1種類の化成処理のみを行ってもよいし、2種類以上の化成処理を組み合わせて行ってもよい。さらに、これらの化成処理は、1種の化合物を単独で使用して行ってもよく、また2種以上の化合物を組み合わせて使用して行ってもよい。化成処理の中でも、クロム酸クロメート処理や、クロム酸化合物、リン酸化合物、及びアミノ化フェノール重合体を組み合わせたクロメート処理などが好ましい。
耐酸性皮膜の具体例としては、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、及びトリアジンチオールのうち少なくとも1種を含むものが挙げられる。また、セリウム化合物を含む耐酸性皮膜も好ましい。セリウム化合物としては、酸化セリウムが好ましい。
また、耐酸性皮膜の具体例としては、リン酸塩系皮膜、クロム酸塩系皮膜、フッ化物系皮膜、トリアジンチオール化合物皮膜なども挙げられる。耐酸性皮膜としては、これらのうち1種類であってもよいし、複数種類の組み合わせであってもよい。さらに、耐酸性皮膜としては、アルミニウム合金箔の化成処理面を脱脂処理した後に、リン酸金属塩と水系合成樹脂との混合物からなる処理液、またはリン酸非金属塩と水系合成樹脂との混合物からなる処理液で形成されたものであってもよい。
なお、耐酸性皮膜の組成の分析は、例えば、飛行時間型2次イオン質量分析法を用いて行うことができる。飛行時間型2次イオン質量分析法を用いた耐酸性皮膜の組成の分析により、例えば、CeとPとOからなる2次イオン(例えば、Ce2PO4 +、CePO4 -などの少なくとも1種)や、例えば、CrとPとOからなる2次イオン(例えば、CrPO2 +、CrPO4 -などの少なくとも1種)に由来するピークが検出される。
化成処理においてバリア層3の表面に形成させる耐酸性皮膜の量については、特に制限されないが、例えば、上記のクロメート処理を行う場合であれば、バリア層3の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で0.5~50mg程度、好ましくは1.0~40mg程度、リン化合物がリン換算で0.5~50mg程度、好ましくは1.0~40mg程度、及びアミノ化フェノール重合体が1.0~200mg程度、好ましくは5.0~150mg程度の割合で含有されていることが望ましい。
耐酸性皮膜の厚みとしては、特に制限されないが、皮膜の凝集力や、アルミニウム合金箔や熱融着性樹脂層との密着力の観点から、好ましくは1nm~20μm程度、より好ましくは1~100nm程度、さらに好ましくは1~50nm程度が挙げられる。なお、耐酸性皮膜の厚みは、透過電子顕微鏡による観察、または、透過電子顕微鏡による観察と、エネルギー分散型X線分光法もしくは電子線エネルギー損失分光法との組み合わせによって測定することができる。
化成処理は、耐酸性皮膜の形成に使用する化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法などによって、バリア層の表面に塗布した後に、バリア層の温度が70~200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、バリア層に化成処理を施す前に、予めバリア層を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法などによる脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、バリア層の表面の化成処理をより効率的に行うことが可能となる。
[熱融着性樹脂層4]
本発明の電池用包装材料において、熱融着性樹脂層4は、最内層に該当し、電池の組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱融着して電池素子を密封する層である。
熱融着性樹脂層4に使用される樹脂成分については、熱融着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、酸変性環状ポリオレフィンが挙げられる。すなわち、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂は、ポリオレフィン骨格を含んでいても含んでいなくてもよく、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。熱融着性樹脂層4を構成する樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、更に好ましくはノルボルネンが挙げられる。
前記酸変性ポリオレフィンとは、前記ポリオレフィンをカルボン酸等の酸成分でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用される酸成分としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸又はその無水物が挙げられる。
前記酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β-不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β-不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。カルボン酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、変性に使用されるカルボン酸としては、前記ポリオレフィンの変性に使用されるものと同様である。
これらの樹脂成分の中でも、好ましくはポリプロピレンなどのポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン;更に好ましくはポリプロピレン、酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
熱融着性樹脂層4は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。更に、熱融着性樹脂層4は、1層のみで成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
また、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、熱融着性樹脂層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、好ましくは約60μm以下、より好ましくは15~40μm程度が挙げられる。
[接着層5]
本発明の電池用包装材料において、接着層5は、バリア層3と熱融着性樹脂層4を強固に接着させるために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
接着層5は、バリア層3と熱融着性樹脂層4とを接着可能である樹脂によって形成される。接着層5の形成に使用される樹脂としては、その接着機構、接着剤成分の種類等は、接着剤層2で例示した接着剤と同様のものが使用できる。また、接着層5の形成に使用される樹脂としては、前述の熱融着性樹脂層4で例示したポリオレフィン、環状ポリオレフィン、カルボン酸変性ポリオレフィン、カルボン酸変性環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂も使用できる。バリア層3と熱融着性樹脂層4との密着性に優れる観点から、ポリオレフィンとしては、カルボン酸変性ポリオレフィンが好ましく、カルボン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。すなわち、接着層5を構成する樹脂は、ポリオレフィン骨格を含んでいても含んでいなくてもよく、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましい。接着層5を構成する樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
バリア層3(又は耐酸性皮膜)と熱融着性樹脂層4との密着性を向上させる観点から、接着層5は、酸変性ポリオレフィンを含むことが好ましい。酸変性ポリオレフィンは、ポリオレフィンをカルボン酸などの酸成分でブロック重合又はグラフト重合することにより変性したポリマーである。変性に使用される酸成分としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸などのカルボン酸又はその無水物が挙げられる。また、変性されるポリオレフィンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)などのポリプロピレン;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマーなどが挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
接着層5において、酸変性ポリオレフィンの中でも、特に無水マレイン酸変性ポリオレフィン、さらには無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好ましい。
さらに、電池用包装材料の厚みを薄くしつつ、成形後の形状安定性に優れた電池用包装材料とする観点からは、接着層5は、酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であることがより好ましい。酸変性ポリオレフィンとしては、好ましくは、前記のものが例示できる。
また、接着層5は、酸変性ポリオレフィンと、イソシアネート基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、及びエポキシ基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含む樹脂組成物の硬化物であることが好ましく、酸変性ポリオレフィンと、イソシアネート基を有する化合物及びエポキシ基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含む樹脂組成物の硬化物であることが特に好ましい。また、接着層5は、ウレタン樹脂、エステル樹脂、及びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ウレタン樹脂及びエポキシ樹脂を含むことがより好ましい。エステル樹脂としては、例えばアミドエステル樹脂が好ましい。アミドエステル樹脂は、一般的にカルボキシル基とオキサゾリン基の反応で生成する。接着層5は、これらの樹脂のうち少なくとも1種と前記酸変性ポリオレフィンを含む樹脂組成物の硬化物であることがより好ましい。なお、接着層5に、イソシアネート基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、エポキシ樹脂などの硬化剤の未反応物が残存している場合、未反応物の存在は、例えば、赤外分光法、ラマン分光法、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)などから選択される方法で確認することが可能である。
また、バリア層3(又は耐酸性皮膜)と熱融着性樹脂層4と接着層5との密着性をより高める観点から、接着層5は、酸素原子、複素環、C=N結合、及びC-O-C結合からなる群より選択される少なくとも1種を有する硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。複素環を有する硬化剤としては、例えば、オキサゾリン基を有する硬化剤、エポキシ基を有する硬化剤などが挙げられる。また、C=N結合を有する硬化剤としては、オキサゾリン基を有する硬化剤、イソシアネート基を有する硬化剤などが挙げられる。また、C-O-C結合を有する硬化剤としては、オキサゾリン基を有する硬化剤、エポキシ基を有する硬化剤、ウレタン樹脂などが挙げられる。接着層5がこれらの硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であることは、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析(GCMS)、赤外分光法(IR)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)、X線光電子分光法(XPS)などの方法で確認することができる。
イソシアネート基を有する化合物としては、特に制限されないが、耐酸性皮膜と接着層5との密着性を効果的に高める観点からは、好ましくは多官能イソシアネート化合物が挙げられる。多官能イソシアネート化合物は、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されない。多官能イソシアネート系硬化剤の具体例としては、ペンタンジイソシアネート(PDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、これらをポリマー化やヌレート化したもの、これらの混合物や他ポリマーとの共重合物などが挙げられる。
接着層5における、イソシアネート基を有する化合物の含有量としては、接着層5を構成する樹脂組成物中、0.1~50質量%程度の範囲にあることが好ましく、0.5~40質量%程度の範囲にあることがより好ましい。
オキサゾリン基を有する化合物は、オキサゾリン骨格を備える化合物であれば、特に限定されない。オキサゾリン基を有する化合物の具体例としては、ポリスチレン主鎖を有するもの、アクリル主鎖を有するものなどが挙げられる。また、市販品としては、例えば、日本触媒社製のエポクロスシリーズなどが挙げられる。
接着層5における、オキサゾリン基を有する化合物の割合としては、接着層5を構成する樹脂組成物中、0.1~50質量%程度の範囲にあることが好ましく、0.5~40質量%程度の範囲にあることがより好ましい。これにより、バリア層3(又は耐酸性皮膜)と接着層5との密着性を効果的に高めることができる。
エポキシ樹脂としては、分子内に存在するエポキシ基によって架橋構造を形成することが可能な樹脂であれば、特に制限されず、公知のエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは50~2000程度、より好ましくは100~1000程度、さらに好ましくは200~800程度が挙げられる。なお、本発明において、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、標準サンプルとしてポリスチレンを用いた条件で測定された、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値である。
エポキシ樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパンのグリシジルエーテル誘導体、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
接着層5における、エポキシ樹脂の割合としては、接着層5を構成する樹脂組成物中、0.1~50質量%程度の範囲にあることが好ましく、0.5~40質量%程度の範囲にあることがより好ましい。これにより、バリア層3(又は耐酸性皮膜)と接着層5との密着性を効果的に高めることができる。
なお、本発明において、接着層5が、イソシアネート基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、及びエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種と、前記酸変性ポリオレフィンとを含む樹脂組成物の硬化物である場合、酸変性ポリオレフィンが主剤として機能し、イソシアネート基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、及びエポキシ樹脂は、それぞれ、硬化剤として機能する。
接着層5の厚さは、好ましくは約30μm以下、より好ましくは約20μm以下、さらに好ましくは約5μm以下が挙げられ、下限としては、約0.1μm以上、約0.5μm以上が挙げられ、当該厚さの範囲としては、好ましくは、0.1~30μm程度、0.1~20μm程度、0.1~5μm程度、0.5~30μm程度、0.5~20μm程度、0.5~5μm程度が挙げられる。
カルボジイミド系硬化剤は、カルボジイミド基(-N=C=N-)を少なくとも1つ有する化合物であれば、特に限定されない。カルボジイミド系硬化剤としては、カルボジイミド基を少なくとも2つ以上有するポリカルボジイミド化合物が好ましい。
接着層5によるバリア層3と熱融着性樹脂層4との密着性を高めるなどの観点から、硬化剤は、2種類以上の化合物により構成されていてもよい。
接着層5を形成する樹脂組成物における硬化剤の含有量は、0.1~50質量%程度の範囲にあることが好ましく、0.1~30質量%程度の範囲にあることがより好ましく、0.1~10質量%程度の範囲にあることがさらに好ましい。
接着層5の厚みについては、接着層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、接着剤層2で例示した接着剤を用いる場合であれば、好ましくは1~10μm程度、より好ましくは1~5μm程度が挙げられる。また、熱融着性樹脂層4で例示した樹脂を用いる場合であれば、好ましくは2~50μm程度、より好ましくは10~40μm程度が挙げられる。また、酸変性ポリオレフィンと硬化剤との硬化物である場合であれば、好ましくは約30μm以下、より好ましくは0.1~20μm程度、さらに好ましくは0.5~5μm程度が挙げられる。なお、接着層5が酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物である場合、当該樹脂組成物を塗布し、加熱等により硬化させることにより、接着層5を形成することができる。
[表面被覆層]
本発明の電池用包装材料においては、意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性の向上などを目的として、必要に応じて、基材層1の外側(基材層1のバリア層3とは反対側)に、必要に応じて、表面被覆層を設けてもよい。表面被覆層は、基材層1と印字受容層6との間に設けられる。なお、印字受容層6が基材層1の外側の全面に設けられる場合には、基材層1と印字受容層6との間に表面被覆層を設けなくてもよい。また、印字受容層6が基材層1の外側の一部に設けられている場合には、印字受容層6が設けられていない部分に表面被覆層を設けることにより、意匠性、耐電解液性、耐擦過性、成形性などを向上さてもよい。
表面被覆層は、例えば、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂などにより形成することができる。表面被覆層は、これらの中でも、2液硬化型樹脂により形成することが好ましい。表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂としては、例えば、2液硬化型ウレタン樹脂、2液硬化型ポリエステル樹脂、2液硬化型エポキシ系樹脂などが挙げられる。また、表面被覆層には、添加剤を配合してもよい。添加する添加剤は、例えばマット化剤として機能してもよく、表面被覆層はマット層として機能してもよい。
添加剤としては、例えば、粒径が0.5nm~5μm程度の微粒子が挙げられる。添加剤の材質については、特に制限されないが、例えば、金属、金属酸化物、無機物、有機物等が挙げられる。また、添加剤の形状についても、特に制限されないが、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。添加剤として、具体的には、タルク、シリカ、グラファイト、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、シリカゲル、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛,酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、安息香酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、アルミナ、カーボンブラック、カーボンナノチューブ類、高融点ナイロン、架橋アクリル、架橋スチレン、架橋ポリエチレン、ベンゾグアナミン、金、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの添加剤の中でも、分散安定性やコスト等の観点から、好ましくはシリカ、硫酸バリウム、酸化チタンが挙げられる。また、添加剤には、表面に絶縁処理、高分散性処理等の各種表面処理を施しておいてもよい。
表面被覆層を形成する方法としては、特に制限されないが、例えば、表面被覆層を形成する2液硬化型樹脂を基材層1の外側の表面に塗布する方法が挙げられる。添加剤を配合する場合には、2液硬化型樹脂に添加剤を添加して混合した後、塗布すればよい。
表面被覆層の厚みとしては、表面被覆層としての上記の機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、0.5~10μm程度、好ましくは1~5μm程度が挙げられる。
3.電池用包装材料の製造方法
本発明の電池用包装材料の製造方法については、所定の組成の各層を積層させた積層体が得られる限り、特に制限されない。電池用包装材料の製造方法としては、例えば、外側から、少なくとも、印字受容層と、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とを積層して積層体を得る積層工程を備えており、積層工程において、電池用包装材料の外側表面に、アマイド系添加剤を含む印字受容層を積層する方法が挙げられる。すなわち、印字受容層と、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とを積層して積層体を得る積層工程を備えており、印字受容層は電池用包装材料の外側表面に備えられ、印字受容層は、アマイド系添加剤を含んでいる方法が挙げられる。また、電池用包装材料の製造方法において、印字受容層の表面に印字層を形成する工程をさらに備えていてもよい。
本発明の電池用包装材料の製造方法の一例としては、以下の通りである。まず、基材層1、接着剤層2、バリア層3が順に積層された積層体(以下、「積層体A」と表記することもある)を形成する。積層体Aの形成は、具体的には、基材層1上又は必要に応じて表面が化成処理されたバリア層3に接着剤層2の形成に使用される接着剤を、グラビアコート法、ロールコート法等の塗布方法で塗布・乾燥した後に、当該バリア層3又は基材層1を積層させて接着剤層2を硬化させるドライラミネート法によって行うことができる。
印字受容層6は、基材層1と金属層3とを積層する前に外側表面に積層してもよいし、基材層1と金属層3とを積層した後に外側表面に積層してもよい。また、印字受容層6は、熱融着性樹脂層4を形成した後に、外側表面に積層してもよい。
次いで、積層体Aのバリア層3上に、接着層5及び熱融着性樹脂層4をこの順になるように積層させる。例えば、(1)積層体Aのバリア層3上に、接着層5及び熱融着性樹脂層4を共押出しすることにより積層する方法(共押出しラミネート法)、(2)別途、接着層5と熱融着性樹脂層4が積層した積層体を形成し、これを積層体Aのバリア層3上にサーマルラミネート法により積層する方法、(3)積層体Aのバリア層3上に、接着層5を形成させるための接着剤を押出し法や溶液コーティングし、高温で乾燥さらには焼き付ける方法等により積層させ、この接着層5上に予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4をサーマルラミネート法により積層する方法、(4)積層体Aのバリア層3と、予めシート状に製膜した熱融着性樹脂層4との間に、溶融させた接着層5を流し込みながら、接着層5を介して積層体Aと熱融着性樹脂層4を貼り合せる方法(サンドイッチラミネート法)等が挙げられる。
表面被覆層を設ける場合には、基材層1のバリア層3とは反対側の表面に、表面被覆層を積層する。表面被覆層は、例えば表面被覆層を形成する上記の樹脂を基材層1の表面に塗布することにより形成することができる。なお、基材層1の表面にバリア層3を積層する工程と、基材層1の表面に表面被覆層を積層する工程の順番は、特に制限されない。例えば、基材層1の表面に表面被覆層を形成した後、基材層1の表面被覆層とは反対側の表面にバリア層3を形成してもよい。
上記のようにして、必要に応じて設けられる表面被覆層/基材層1/必要に応じて設けられる接着剤層2/必要に応じて表面が化成処理されたバリア層3/必要に応じて設けられる接着層5/熱融着性樹脂層4からなる積層体が形成されるが、接着剤層2または接着層5の接着性を強固にするために、更に、熱ロール接触式、熱風式、近赤外線式又は遠赤外線式等の加熱処理に供してもよい。このような加熱処理の条件としては、例えば150~250℃程度で1~5分間程度が挙げられる。
本発明の電池用包装材料において、積層体を構成する各層は、必要に応じて、製膜性、積層化加工、最終製品2次加工(パウチ化、エンボス成形)適性等を向上又は安定化するために、コロナ処理、ブラスト処理、酸化処理、オゾン処理等の表面活性化処理を施していてもよい。
印字受容層6の表面に印字層を形成する方法としては、例えば、印字受容層6の表面にインキを印刷することにより、印字層を形成することができる。印刷方法としては、特に制限されず、パッド印刷、インクジェット印刷、熱転写式印刷、レーザ印刷、インク転写式印刷、ホットスタンプ印刷などが挙げられる。これらの中でも、成形後の電池用包装材料に印刷を行う場合には、パッド印刷が好ましい。本発明の製造方法によって得られる電池用包装材料は、外側表面に印字受容層6が形成されているため、インキが弾かれやすいパッド印刷によっても、電池用包装材料の外側表面に好適にインキの印刷を行うことができる。従って、外側表面の少なくも一部に、例えば、バーコード、柄、文字などの印字を好適に形成することができる。印刷に用いられるインキとしては、上記の通りである。
4.電池用包装材料の用途
本発明の電池用包装材料は、正極、負極、電解質等の電池素子を密封して収容するための包装体に使用される。すなわち、本発明の電池用包装材料によって形成された包装体中に、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を収容して、電池とすることができる。本発明の電池の製造において、電池素子を収容する電池用包装材料の外側表面には、予め印字層が形成されていてもよい。また、電池素子を収容した後、印字受容層の表面に印字層を形成することもできる。なお、予め印字層が形成されている電池用包装材料を用いて、電池素子を収容し、印字受容層の表面にさらに印字層を形成してもよい。
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を、本発明の電池用包装材料で、前記正極及び負極の各々に接続された金属端子が外側に突出させた状態で、電池素子の周縁にフランジ部(熱融着性樹脂層同士が接触する領域)が形成できるようにして被覆し、前記フランジ部の熱融着性樹脂層同士をヒートシールして密封させることによって、電池用包装材料を使用した電池が提供される。なお、本発明の電池用包装材料により形成された包装体中に電池素子を収容する場合、本発明の電池用包装材料の熱融着性樹脂部分が内側(電池素子と接する面)になるようにして、包装体を形成する。
本発明の電池には、上記本発明の電池用包装材料が用いられているため、電池用包装材料が成形され、電池素子が封止された後の電池の外側表面に好適にインキを印刷することができる。すなわち、本発明の電池は、外側表面に印字受容層6が設けられているため、インキが弾かれやすいパッド印刷によっても、電池用包装材料の外側表面に好適にインキの印刷を行うことができ、電池の外側表面の少なくとも一部に、例えば、バーコード、柄、文字などの印字を好適に形成することができる。
本発明の電池用包装材料は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本発明の電池用包装材料が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本発明の電池用包装材料の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1~16及び比較例1~2
<電池用包装材料の製造>
ナイロン樹脂からなる基材層(厚さ15μm)の上に、両面に化成処理を施したアルミニウム合金箔(厚さ35μm)からなるバリア層をドライラミネーション法により積層させた。具体的には、アルミニウム合金箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、バリア層上に接着層(厚さ3μm)を形成した。次いで、バリア層上の接着層と基材層をドライラミネーションして、基材層/接着剤層/バリア層の積層体を作成した。なお、バリア層として使用したアルミニウム合金箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥重量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム合金箔の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。次に積層体のバリア層の上に、カルボン酸変性ポリプロピレン(バリア層側に配置)20μmとランダムポリプロピレン(最内層)15μmを共押し出しすることにより、バリア層上に接着層/熱接着性樹脂層を積層させた。
次に、得られた各積層体の基材層側の表面の全面に、表1に記載の樹脂(ポリエステルウレタン樹脂またはアクリル樹脂)とアマイド系添加剤(エルカ酸アミド、表1に記載の含有量)を含む塗料を用いて厚さ1μmの印字受容層を形成して、電池用包装材料を得た。なお、比較例1、2においては、印字受容層にアマイド系添加剤を添加しなかった。
<ぬれ張力の測定>
上記で得られた各電池用包装材料の印字適性の比較検証を目的とし、JIS規格に準拠したぬれ試薬による印字受容層のぬれ張力(mN/m)の判定を実施した。試験方法は、「JIS K6768 1999 プラスチック-フィルム及びシート-ぬれ張力試験法」に準拠した。ナカライテスク社製のぬれ張力試験用混合液を使用し、球状の脱脂綿に含ませた試薬を、印字受容層の表面に5cmほど線状に塗布し、2秒後に液膜が破れるか否かで判定し、液膜が破れなかった時のぬれ張力(mN/m)を測定した。なお、ぬれ張力(mN/m)の測定は、温度23℃、相対湿度50%の環境にて行った。結果を表1に示す。
<動摩擦係数の測定>
上記で得られた各電池用包装材料を、200mm×80mmの長方形状に2枚切り出して試験サンプルとした。測定機はイマダ株式会社製 型式COF2-2Nを使用した。JIS K7125:1999の8.1フィルム対フィルムの測定に準拠し、接触面積が40cm2(一辺の長さ63mmの正方形)で底面を弾力性のあるフェルトで覆った全質量が200gの滑り片を使用し、速度100mm/minの条件で、試験サンプルの基材層側表面同士を重ね合せて動摩擦係数を測定した。結果を表1に示す。なお、測定環境は、温度24℃、相対湿度50%である。また、サンプルと滑り片とも密着させて滑らないようにした。速度100mm/分の速度で滑り片を引っ張り、2枚のサンプル間の動摩擦力(N)を測定し、動摩擦力の滑り片の法線力(1.96N)で除して、動摩擦係数を算出した。動摩擦係数は、静摩擦力のピークを無視し、接触面間の相対ずれ運動を開始した後の最初の30mmまでの平均値から求めた。なお、ロードセルは、滑り片に直接接続させた。
<印字性評価>
上記で得られた各電池用包装材料の印字受容層にパッド印刷を行い、印字性を評価した。パッド印刷機は、ミシマ株式会社製SPACE PAD 6GXを使用し、インキはナビタス株式会社製のUVインキPJU-A黒色を使用した。また、アズワン製のハンディーUVランプ SUV-4で紫外線波長:254nmにて10cmの距離から紫外光を30秒間照射してインキを硬化させた。硬化後の印刷面を光学顕微鏡で観察し、以下の基準により評価した。なお、印字適性測定は、温度24℃、相対湿度50%の環境にて行った。結果を表1に示す。なお、以下の基準において、印字の抜けの「%」は、印字受容層に形成される印字面積に占める抜けの面積の割合を示している。
5:印字の抜けが全く無い
4:印字の抜けが2.5%以下である
3:印字の抜けが2.5%超、5.0%以下である
2:印字の抜けが5.0%超、10%以下である
1:印字の抜けが10%超である
<成形性の評価>
上記で得られた各電池用包装材料を80mm×120mmの長方形状に断裁して、それぞれ、30枚ずつ試験サンプルを作製した。各試験サンプルを、25℃の環境下にて、55mm×32mmの矩形状の凸部を有する雄型(表面は、JIS B 0659-1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が1.6μmである。コーナーR:2.0mm、稜線R:1.0mm)と、これに対応した凹部を有する雌型(表面は、JIS B 0659-1:2002附属書1(参考) 比較用表面粗さ標準片の表2に規定される、最大高さ粗さ(Rzの呼び値)が3.2μmである。コーナーR2.0mm、稜線R1.0mm)を用いて、押さえ圧0.16MPa、成形深さ5.5mmで冷間成形(引き込み1段成形)した。このとき、雄型側に熱融着性樹脂層側が位置するよう、雌型上に上記試験サンプルを載置して成形をおこなった。雄型と雌型のクリアランスは、0.3mmとした。成形後のサンプルについて、暗室の中にてペンライトで光を当てて、光の透過によって、アルミニウム箔にピンホールやクラックが生じているか否かを確認した。成形後の試験サンプル30枚に全てにピンホールが発生してなかった場合を、良品(A)と評価し、1枚でもピンホールが発生していた場合を、不良品(C)と評価した。また、成形深さを6.0mm、6.5mm、7.0mmとした場合についても、同様にして成形性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007031638000005
表1に示される結果から、外側から、少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体からなり、当該外側の表面に印字受容層を備えており、かつ、印字受容層がアマイド系添加剤を含んでいる実施例1~16の電池用包装材料は、優れた印字性と成形性を兼ね備えていることが分かる。
実施例17~23
<電池用包装材料の製造>
ナイロン樹脂からなる基材層(厚さ15μm)の上に、両面に化成処理を施したアルミニウム合金箔(厚さ35μm)からなるバリア層をドライラミネーション法により積層させた。具体的には、アルミニウム合金箔の一方面に、2液型ウレタン接着剤(ポリオール化合物と芳香族イソシアネート系化合物)を塗布し、バリア層上に接着層(厚さ3μm)を形成した。次いで、バリア層上の接着層と基材層をドライラミネーションして、基材層/接着剤層/バリア層の積層体を作成した。なお、バリア層として使用したアルミニウム合金箔の化成処理は、フェノール樹脂、フッ化クロム化合物、及びリン酸からなる処理液をクロムの塗布量が10mg/m2(乾燥重量)となるように、ロールコート法によりアルミニウム合金箔の両面に塗布し、皮膜温度が180℃以上となる条件で20秒間焼付けすることにより行った。次に積層体のバリア層の上に、カルボン酸変性ポリプロピレン(バリア層側に配置)20μmとランダムポリプロピレン(最内層)15μmを共押し出しすることにより、バリア層上に接着層/熱接着性樹脂層を積層させた。
次に、得られた各積層体の基材層側の表面の全面に、表2に記載の樹脂(ポリエステルウレタン樹脂とアクリル樹脂を表2に記載の割合で含む樹脂)とアマイド系添加剤(エルカ酸アミド、表2に記載の含有量)を含む塗料を用いて厚さ1μmの印字受容層を形成して、電池用包装材料を得た。
実施例1~16及び比較例1~2と同様にして、実施例17~23で得られた各電池用包装材料について、印字受容層のぬれ張力の測定、基材層側の表面の動摩擦係数の測定、印字性評価、成形性の評価を行った。結果を表2に示す。なお、表2には、前述の実施例14と実施例6の結果も記載した。
(テープ密着性の評価)
実施例17~23、さらに実施例6,14で得られた各電池用包装材料の印字受容層のテープ密着性を以下の方法により評価した。結果を表2に示す。図4、5に示すように、上記で得られた各電池用包装材料30を幅15mm、長さ175mmのサイズで切出し、幅15mm、長さ175mm、厚み2mmのアクリル板10に両面テープ20で貼り付け固定し、貼りつけた電池用包装材料30の印字受容層表面に、幅5mm、長さ125mmの両面テープ40(TesaSE社製 tesa(登録商標 70415))を貼った。さらに、その両面テープ40の上から幅15mm、長さ300mmで切出した厚み40μmのアルミニウム箔50(8079材)を重ね、JIS-Z0237:2009粘着テープ・粘着シート試験方法の10.2.4に記載された圧着装置を用いて電池用包材材料30と両面テープ40とアルミニウム箔50の圧着を行った。なお、温度24℃、相対湿度50%RHの環境において、圧着装置のローラーの質量は2Kg、10mm/secの速度で2往復している。ローラーで圧着して温度24℃、相対湿度50%RHで1時間保管した後、両面テープ40に貼りつけた、アルミニウム箔50を両面テープ40の端で180°に折返し、上述した電池用包装材料を固定したアクリル板10と180°に折返したアルミニウム箔50を引張試験機の上下で固定して、180°の剥離角、チャック間距離200mm、50mm/minの速度、温度24℃、相対湿度50%RHの環境で引張試験を行いテープの密着性を評価した。このとき両面テープ40はアルミニウム箔50側に密着した状態で剥離し、アクリル板10と電池用包装材料30間の剥がれも発生せず、電池用包装材料30と両面テープ40間で剥離した。なお、得られた剥離強度は、測定の最初の25mmと最後の20mmを除いた平均値として算出したものであり、以下に示す基準でテープ密着性を評価した。結果を表2に示す。
A: 剥離強度 5N/5mm以上
B: 剥離強度 3N/5mm以上、5N/5mmより小さい
C: 剥離強度 3N/5mmより小さい
Figure 0007031638000006
1 基材層
2 接着剤層
3 バリア層
4 熱融着性樹脂層
5 接着層
6 印字受容層

Claims (11)

  1. 外側から、少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体からなる電池用包装材料であって、
    前記電池用包装材料はその外側表面に印字受容層を備えており、
    前記印字受容層の厚みは、0.1μm以下であり、
    前記印字受容層は、アマイド系添加剤を含んでおり、
    前記印字受容層の前記アマイド系添加剤の含有量が、3.0質量%以上4.0質量%以下である、電池用包装材料。
  2. 前記アマイド系添加剤は、エルカ酸アミドである、請求項1に記載の電池用包装材料。
  3. 前記印字受容層が、前記電池用包装材料の外側表面の全面に形成されている、請求項1または2に記載の電池用包装材料。
  4. 前記印字受容層の外側表面に印字層を備えている、請求項1~のいずれかに記載の電池用包装材料。
  5. 前記基材層が、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂の少なくとも一方により形成されている、請求項1~のいずれかに記載の電池用包装材料。
  6. 前記印字受容層は、アクリル樹脂を80質量%以上含む樹脂と、前記アマイド系添加剤とを含んでいる、請求項1~のいずれかに記載の電池用包装材料。
  7. 少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子が、請求項1~のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包袋体内に収容されている、電池。
  8. 外側から、少なくとも、印字受容層と、基材層と、バリア層と、熱融着性樹脂層とをこの順に備える積層体からなる電池用包装材料の製造方法であって、
    前記印字受容層と、前記基材層と、前記バリア層と、前記熱融着性樹脂層とを積層して積層体を得る積層工程を備えており、
    前記印字受容層の厚みは、0.1μm以下であり、
    前記印字受容層は前記電池用包装材料の外側表面に備えられ、前記印字受容層は、アマイド系添加剤を含んでおり、
    前記印字受容層の前記アマイド系添加剤の含有量が、3.0質量%以上4.0質量%以下である、電池用包装材料の製造方法。
  9. 前記印字受容層の表面に印字層を形成する工程をさらに備える、請求項に記載の電池用包装材料の製造方法。
  10. 請求項1~のいずれかに記載の電池用包装材料により形成された包装体内に、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子を収容する工程を備える、電池の製造方法。
  11. 前記印字受容層の表面に印字層を形成する工程をさらに備える、請求項10に記載の電池の製造方法。
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