JP7027705B2 - Rfタグ - Google Patents

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Description

本発明は、例えばアルミ製の容器や金属製の筐体のような金属容器,金属物品に貼り付けられて使用されるRFタグに関する。
一般に、任意の物品や対象物に対して、当該物品や対象物に関する所定情報を読み書き可能に記憶したICチップを内蔵した所謂RFタグが広く使用されている。
RFタグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ,ICタグ,非接触タグ等とも呼ばれ、ICチップと無線アンテナを備えた電子回路が樹脂フィルム等の基材によって封止・コーティングされた所謂インレイ(インレット)が、タグ(荷札)状に形成されてなる超小型の通信端末であり、読取・書込装置(リーダ・ライタ)によってタグ内のICチップに所定の情報が無線で読み取り/書き込み/読み書き(リードオンリー/ライトワンス/リード・ライト)されるようになっている。
そして、このようなRFタグに所定の情報を書き込んで任意の物品,対象物等に取り付けることにより、RFタグに記録された情報がリーダ・ライタによりピックアップされ、タグに記録された情報を当該物品に関する所定情報として認識,出力,表示,更新等させることができる。
このようなRFタグは、ICチップのメモリに数百ビット~数キロビットのデータが記録可能であり、物品等に関する情報としては十分な情報量を記録でき、また、読取・書込装置側とは非接触で通信が行えるため接点の磨耗や傷、汚れ等の心配もなく、さらに、タグ自体は無電源にすることができるため対象物に合わせた加工や小型化・薄型化が可能となる。
そして、このようなRFタグを用いることで、タグを取り付ける物品に関する種々の情報、例えば当該物品の名称や識別記号,内容物,成分,管理者,使用者,使用状態,使用状況,日時などの種々の情報が記録可能となり、ラベル表面に印刷表示される文字やバーコード等では不可能であった多種多様な情報を、小型化・薄型化されたタグを物品に装着するだけで正確に読み書きすることが可能となる。
ところで、このようなRFタグは、例えばアルミ製の容器や金属製の筐体などに取り付けた場合には、金属の導電性の影響を受けてしまい、通信距離が変化したり正確な無線通信が行えなくなるといった問題があった。このため、通常の汎用されているRFタグを金属製の物品・対象物に直接取り付けると、タグが誤動作したり、リーダ・ライタとの無線通信が行えないという問題が発生する。
特に、UHF帯の高周波数帯を使用する電波方式のRFタグでは、135KHzや13.56MHz帯域を使用する電磁誘導方式の場合と比べて、通信距離は長くなる反面、金属による吸収や反射等によって通信特性が大きく損なわれやすいという問題があった。
我が国では、電波法の改正により、RFタグについては、これまで使用されていたUHF帯の950MHz帯(950-958MHz:8MHz幅)から、920MHz帯(915-930MHz:15MHz幅)へ移行されることになり、利用可能な周波数帯が拡大されるようになった。
このような移行後の920MHz帯を使用するRFタグにおいても、上述した金属の影響は避けられず、有効な対策が講じられることが強く望まれている。
ここで、RFタグにおける通信特性を向上させる手段として、RFタグに対して面状に形成されたパッチアンテナを補助アンテナとして積層することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
RFタグの通信特性はアンテナサイズによる利得によって左右されることから、RFタグに対して更に面上のパッチアンテナ(補助アンテナ)を積層することで、RFタグのアンテナサイズを実質的に大きくすることで、通信距離を大きく確保して通信特性を向上させることが可能となる。
国際公開第2010/038813号
しかしながら、特許文献1に開示されているような従来提案されている補助アンテナを備えるRFタグは、面状の補助アンテナがRFタグの一部又は全部に重ねて配置されるようになっており、RFタグに備えられているアンテナやループ回路が補助アンテナによって覆われてしまうという問題があった。
RFタグは、それ自体がアンテナを備えており、アンテナの一部はループ回路として構成され、それによってRFタグ単独でも通信が行えるようになっている。
ところが、補助アンテナがRFタグに重ねて配置されると、RFタグのアンテナやループ回路の一部又は全部が補助アンテナによって覆われてしまい、RFタグの通信特性が向上せず、却って損なわれるような場合があった。
また、補助アンテナによってRFタグのアンテナが覆われてしまうと、アンテナの表面積(投影面積)が重なって無駄になってしまい、その分だけアンテナ利得も縮小・減少し、折角RFタグに備えられているアンテナ資源を有効に活用することができなくなってしまう。
さらに、RFタグに重なるように配置される補助アンテナは、積層するRFタグの形状や構成等に制約されて、アンテナの設計範囲も制限され、補助アンテナの形状や大きさなどの設計の自由度が制約を受けるという問題もあった。
このため、補助アンテナによってRFタグの通信特性を改善・向上させつつ、RFタグ自体が備えるアンテナを有効活用し、かつ、補助アンテナの設計の自由度等も確保できるための技術が望まれたが、現在までのところ、有効な提案等はなされていなかった。
本発明は、以上のような従来の技術が有する課題を解決するために提案されたものであり、RFタグの通信周波数に対応した面状のアンテナを形成することで、各通信周波数に応じた良好な通信特性を得ることができ、金属の影響を有効に回避・低減することができるとともに、RFタグ自体が備えるアンテナやループ回路を有効に機能させつつ、補助アンテナの設計範囲等にも制限を与えず、補助アンテナの設計等の自由度を向上させることができるRFタグの提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のRFタグは、ICチップと、前記ICチップを搭載するループ回路を含むアンテナを備えたインレイと、前記インレイと絶縁状態で積層される補助アンテナと、積層された前記インレイ及び補助アンテナが搭載される基材と、を備え、前記補助アンテナは、当該補助アンテナの共振軸に沿った辺が、前記アンテナのループ回路と対向する近傍に配置されるとともに、前記ループ回路の少なくとも一部に重なる、少なくとも2つの突出部を備え、前記2つの突出部が、前記インレイのループ部と対向する補助アンテナの共振軸に沿った辺の中心位置に形成され、それぞれ前記インレイのICチップに重なることなく、前記ICチップの両側に位置する前記ループ回路にそれぞれ重なり、前記補助アンテナの一部である前記突出部のみが、前記インレイのループ回路に重なり、前記補助アンテナのその他のアンテナ部分は、前記インレイのICチップ及びアンテナに重なることなく、当該インレイに沿って平行に対向して配置される構成としてある。
本発明によれば、RFタグの通信周波数に対応した面状のアンテナを形成することで、各通信周波数に応じた良好な通信特性を得ることができ、金属の影響を有効に回避・低減することができる。
そして、本発明によれば、RFタグ自体が備えるアンテナやループ回路を有効に機能させることができ、かつ、補助アンテナの設計範囲等に制限を与えることなく、補助アンテナの設計等の自由度を向上させることが可能となる。
これによって、例えばアルミ製の金属容器や金属製の筐体等に好適な金属対応RFタグを実現することができる。
本発明の一実施形態に係るRFタグを示す外観斜視図であり、(a)はRFタグの完成状態、(b)はRFタグを構成する表層,インレイ,補助アンテナ,基材を分解した状態を示している。 本発明の一実施形態に係るRFタグのインレイと補助アンテナの配置関係を示す図面であり、(a)は補助アンテナの突出部をインレイに重ねて積層配置した状態の平面図、(b)は(a)に示す補助アンテナとインレイを配置する前の平面図、(c)は(a)に示すA-A線断面における完成状態のRFタグの断面図を示している。 (a)及び(b)は、それぞれ本発明の他の実施形態に係るRFタグのインレイと補助アンテナの配置関係を示す平面図である。 (a)及び(b)は、それぞれ本発明の比較例に係るRFタグのインレイと補助アンテナの配置関係を示す平面図である。 本発明の一実施形態に係るRFタグの通信特性(読み取り距離と周波数の関係)を示す折れ線グラフであり、(a)は本発明及び比較例に係るRFタグを対比した場合を、(b)は本発明の異なる実施形態にRFタグを対比した場合を示している。
以下、本発明に係るRFタグの実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るRFタグを示す外観図であり、(a)はRFタグの完成状態の斜視図、(b)はRFタグを構成する表層,インレイ,補助アンテナ,基材を分解した状態の斜視図を示している。
同図に示すように、本実施形態に係るRFタグ1は、無線通信を行うRFタグを構成するインレイ10と面状の補助アンテナ20とが積層状態で配置され、それらインレイ10,補助アンテナ20が基材50の表面に搭載された状態で、表層40により被覆・保護されてRFタグ1を構成するようになっている。
そして、このようなRFタグ1は、インレイ10のアンテナ12が、ICチップ11の近傍にループ回路(ループ部12a)を形成しており、補助アンテナ20の共振軸に沿った辺の中心位置が、ICチップ11の近傍に位置するように配置されるようになっている。
また、補助アンテナ20は、当該補助アンテナ20の共振軸に沿った辺の中心位置が、インレイ10のアンテナ12のループ部12aと対向するように配置されて、ICチップ11の近傍に位置するようにすることが好ましい。
インレイ10のICチップ部分は、最も電力が供給される部分であり、その付近に補助アンテナの共振軸の中心位置を配置させることで、誘導電流の効果によって、補助アンテナ20による通信利得を向上させることができるようになる。
また、補助アンテナ20をインレイ10のループ部12aと対向させることで、補助アンテナ20がループ部12aに重なることなく離間・対向することによって、後述するようにRFタグ1の通信特性を向上させることができる。なお、インレイ10にループ部12aが備えられない場合(後述する図3(a)参照)にも、ICチップ11の近傍に補助アンテナ20の共振軸に沿った辺の中心位置が位置することで、誘導電流の効果により通信特性を向上させることが可能となる。
そして、補助アンテナ20は、当該補助アンテナ20の共振軸に沿った一辺が、インレイ10のループ部12aと対向する近傍に配置されるとともに、少なくともループ部12aの一部に重なる、複数の突出部21を備えるようになっている。
特に、本実施形態では、補助アンテナ20が、図2(a),(b)に示すように、2つの突出部21a,21bを備え、それら2つの突出部21a,21bが、それぞれインレイ10のICチップ11に重なることなく、ループ部12aに重なるように、補助アンテナ20とインレイ10とが積層・配置されるようになっている。
具体的には、本実施形態に係るRFタグ1は、図1(a)及び(b)に示すように、ICチップ11とアンテナ12を備えたインレイ10と、インレイ10に対して絶縁状態で同一平面上に配置される面状の補助アンテナ20と、インレイ10及び補助アンテナ20が配置・搭載される基材層となるとともに、搭載されたインレイ10に対する誘電率調整層として機能する基材50と、基材50に搭載されたインレイ10及び補助アンテナ20を覆うカバーとなる表層40とを備えた構成となっている。
補助アンテナ20は、インレイ10の通信周波数に対応して所定の形状・大きさに形成されるようになっており、その補助アンテナ20が、インレイ10に対して所定位置となるように配置され(図2及び図3参照)、基材50上に搭載されるようになっている。
以下、各部を詳細に説明する。
[インレイ]
インレイ10は、図示しないリーダ・ライタ(読取・書込装置)との間で無線による所定の情報の読み取りや書き込み,読み書きが行われるRFタグを構成しており、例えばリードオンリー型,ライトワンス型,リード・ライト型等の種類がある。
具体的には、インレイ10は、ICチップ11と、ICチップ11に電気的に導通・接続されたアンテナ12とを有し、これらICチップ11及びアンテナ12が、基材となる例えばPET樹脂等で形成された1枚の封止フィルム13上に搭載,形成された後、もう1枚の封止フィルム13が重ね合わされて、2枚の封止フィルム13によって挟持された状態で封止・保護されている。
本実施形態では、ICチップ11とICチップ11の両側に伸びるアンテナ12を長方形状の封止フィルム13で挟持・封止した矩形状のインレイ10を用いている。
ICチップ11は、メモリ等の半導体チップからなり、例えば数百ビット~数キロビットのデータが記録可能となっている。
ICチップ11には、アンテナ12の一部がチップ周囲を囲むようにループ状の回路導体として接続されてループ部(ループ回路)12aを構成しており、このループ部12aを経由して、ICチップ11の左右両側にアンテナ12が接続されている。
そして、このアンテナ12及び後述する補助アンテナ20を介して図示しないリーダ・ライタとの間で無線通信による読み書き(データ呼び出し・登録・削除・更新など)が行われ、ICチップ11に記録されたデータが認識されるようになっている。
ICチップ11に記録されるデータとしては、例えば、商品の識別コード、名称、重量、内容量、製造・販売者名、製造場所、製造年月日、使用期限等、任意のデータが記録可能であり、また、書換も可能である。
アンテナ12は、基材となる1枚の封止フィルム13の表面に、例えば導電性インクや導電性を有するアルミ蒸着膜等の金属薄膜をエッチング加工等により所定の形状・大きさ(長さ,面積)に成形することで形成される。
ここで、アンテナ12は、ICチップ11の左右両側に伸びる長手方向の長さが、インレイ10の電波周波数の波長の整数分の1、例えば電波周波数の波長の略1/2や略1/4の長さとなるように形成される。本実施形態に係るインレイ10では、アンテナ12は、ICチップ11の左右両側に伸びる長手方向がほぼ複数回曲折されることで、所定のアンテナ長となるように形成されている(図2(a),(b)参照)。
封止フィルム13は、例えばポリエチレン,ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレン,ポリイミド,ポリ塩化ビニル(PVC),アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合合成樹脂(ABS)等の可撓性を有するフィルム材からなり、封止するICチップ11・アンテナ12が外部から視認可能な透明のPET樹脂等で構成されることが好ましい。
また、封止フィルム13の片面側のフィルム表面には、基材や物品への貼り付けができるように粘着層・接着層を備えることができる。
なお、封止フィルム13は、2枚の封止フィルム13によって、ICチップ11及びアンテナ12を挟持した状態で封止してもよく、また、1枚の封止フィルム13を折り曲げて、ICチップ11及びアンテナ12を挟持して封止することもできる。
インレイ10で使用される通信周波数帯としては、本実施形態のRFタグ1では、所謂UHF帯に属する920MHz帯(915-930MHz:15MHz幅)を対象としている。
一般にRFタグで使用される周波数帯としては、例えば、135kHz以下の帯域、13.56MHz帯、UHF帯に属する860M~960MHz帯、2.45GHz帯等の数種類の周波数帯がある。そして、使用される周波数帯によって無線通信が可能な通信距離が異なるとともに、周波数帯によって最適なアンテナ長などや配線パターンが異なってくる。
また、我が国では、電波法の改正により、RFタグについては、これまで使用されていた950MHz帯(950-958MHz:8MHz幅)から920MHz帯(915-930MHz:15MHz幅)へ移行されることになり、利用可能な周波数帯が拡大されるようになった。
そこで、本実施形態では、インレイ10が小型化でき、また、後述する補助アンテナ20を所定のサイズに形成する関係上、波長が短くアンテナが小型化できるUHF帯を対象とするようにしてあり、具体的には920MHz帯を対象として、この920MHz帯において良好な通信特性が得られるようにしている。
但し、インレイ10や補助アンテナ20の大きさの制約がなければ、本発明に係る技術思想自体は、920MHz帯、UHF帯以外の周波数帯域についても適用できることは勿論である。
[補助アンテナ]
補助アンテナ20は、上述したインレイ10の通信特性を向上・調整するためのものであり、図1(b)に示すように、基材50上に搭載されて、インレイ10と同一平面上に配置される面状の導電性部材からなり、封止フィルム13によって樹脂封止されたインレイ10とは絶縁状態となっている。
すなわち、インレイ10は、封止フィルム13によって全体が樹脂封止されており、導電性部材からなる補助アンテナ20とは物理的には絶縁状態となっている。
そして、このような補助アンテナ20がインレイ10の近傍に配置されることで、補助アンテナ20とインレイ10のICチップ11は、封止フィルム13を介して対向配置されるようになり、所謂コンデンサカップリングによって電気的接続がなされるようになる。
これによって、インレイ10には補助アンテナ20が同一平面上で対向して配置されることで、インレイ10のアンテナ12と補助アンテナ20により二次元アンテナが構成され、補助アンテナ20が通信電波のブースターとして機能することになり、インレイ10の通信特性の調整・向上が図られることになる。
補助アンテナ20は、例えばアルミシートの打ち抜き加工や、PET樹脂等の基材となるフィルムの表面への導電性インクによる印刷、また、前記フィルムの表面に形成した導電性を有するアルミ蒸着膜等の金属薄膜のエッチング加工等により所定の形状・大きさ(長さ,面積)に成形することで形成することができる。
図2に本実施形態に係る補助アンテナの平面図を示してあり、同図(a)は補助アンテナ20の突出部21をインレイ10に重ねて積層配置した状態の平面図、同図(b)は(a)に示す補助アンテナとインレイを配置する前の平面図を示している。また、同図、(c)は(a)に示すA-A線断面における完成状態のRFタグの断面図を示している。
同図(a)及び(b)に示すように、本実施形態では、補助アンテナ20は、長辺及び短辺がインレイ10の長辺及び短辺よりも大きい、全体としてインレイ10よりも一回り大きい面積の矩形・面状に形成されるようになっている。
補助アンテナ20は、長手方向の長さが、インレイ10の電波周波数の波長の整数倍あるいは整数分の1の長さ、例えば電波周波数の波長の略1/2の長さとなるように形成される。
補助アンテナ20の長辺(長手方向)の長さは、パッチアンテナの原理により、通信電波の波長の整数倍又は整数分の1(1/2,1/4,1/8・・・)とすることにより整合を取ることができる。そして、RFタグ1の全体の大きさ(長さ)は、補助アンテナ20の長さによってほぼ規定されることになり、例えば補助アンテナ20の長さを1/2波長とすれば、RFタグ1の全体の大きさ(長さ)もほぼ1/2波長かそれよりやや大きい(長い)ものとなる。
この点、タグの全長が長くなり過ぎる(大き過ぎる)ことは小型化が要請されるRFタグの性質上好ましくない。
そこで、本実施形態では、補助アンテナ20の大きさとして、長辺(長手方向)の長さが、インレイ10の電波周波数の波長の例えば略1/2の長さとなるように形成されるようになっている。
このような構成により、補助アンテナ20は、インレイ10の電波周波数の波長の略1/2の長さのアンテナとして、良好な通信特性が得られるようになる。
具体的には、例えば対象とするインレイ10の通信周波数920MHzの場合には、λ≒326.0mm,λ/2≒163.0mmとなる。従って、補助アンテナ20は、長辺の長さが、163.0mm前後となるように形成されることになる。
なお、後述するインレイ10や補助アンテナ20を積層するための基材50は、樹脂などの誘電体で構成されており、この誘電体の波長短縮効果により見かけの波長を短縮させることができる。
例えば、本実施形態に係る基材50の誘電率がおよそ「2」である場合、その波長短縮効果はおよそ「1.4」となり、補助アンテナ20の長辺の長さは、半波長を「1.4」で割った「163/1.4=116mm」となる。
このように、RFタグ1の基材50の材質や誘電率,タグの使用環境,使用態様等による通信特性の変化に応じて長さが前後することはある。
そして、本実施形態では、上記のような形状・寸法に形成される補助アンテナ20が、ICチップ11の近傍、特に、上述したインレイ10のアンテナ12のループ部12aと対向する当該補助アンテナ20の共振軸に沿った辺の中心位置が、ICチップ11の近傍に位置するように配置されるようになっている。
その上で、補助アンテナ20には、インレイ10のループ部12aと対向する近傍に配置される辺に、ループ部12aに重なる複数の突出部21が備えられている。
本実施形態では、図2(a),(b)に示すように、補助アンテナ20には、インレイ10のループ部12aと対向する当該補助アンテナ20の共振軸に沿った辺の中心位置に、2つの突出部21(21a,21b)が形成されており、その2つの突出部21a,21bが、それぞれインレイ10のICチップ11に重なることなく、かつ、ループ部12aに重なるように、補助アンテナ20とインレイ10とが積層・配置されるようになっている。
具体的には、ループ部12aに重なる複数の突出部21は、少なくとも各突出部21の一部が、ループ部12aの少なくとも一部に重なるように配置され、好ましくは、図2(a)に示すように、2つの突出部21a,21bが、インレイ10のICチップ11の両側に位置するループ部12aにそれぞれ重なるように配置されるようになっている。
補助アンテナ20がインレイ10に当接したり積層されて接触すると、特に、インレイ10のICチップ11やループ部12aの全体に補助アンテナ20が重なって配置されると、補助アンテナ20を形成する導電性部材によりICチップ11の通信特性が損なわれることがある。
すなわち、インレイ10のICチップ11近傍にはループ回路が形成されており(ループ部12a)、このループ部12aは、インピーダンスの整合を図る目的があり、かつ、磁界成分での通信を行うために設けられており、この磁界成分が補助アンテナ20の導体により阻害されないようにする必要がある。
また、補助アンテナ20がインレイ10の全体に重ねて配置されると、インレイ10のループ部12aを含むアンテナ12が補助アンテナ20と重なることで、アンテナとしての表面積(投影面積)がインレイ10と補助アンテナ20とで重なってしまい、インレイ10のアンテナ12が機能せず、インレイ10に備えられるアンテナ資源が無駄になり、その分だけアンテナ利得も小さくなってしまうことになる。
さらに、補助アンテナ20がインレイ10に重なるように配置されると、インレイ10のアンテナ12やループ部12a、ICチップ11との重なりや干渉等を避けるための制約を受けて、補助アンテナ20の設計範囲等も制限され、補助アンテナの形状や大きさなどの設計の自由度が制約を受けることになる。
一方で、補助アンテナ20とインレイ10とが全く接触せずに離れすぎてしまうと、封止フィルム13を介した所謂コンデンサカップリングによる電気的接続が不十分となり、良好な通信特性が得られないことになる。
また、インレイ10のループ部12aに対して補助アンテナ20を積極的に重ねることで、ループ部12aのインピーダンス調整機能を改善・向上・微調整等させることができるようになる。
そこで、本実施形態では、補助アンテナ20の一方の長辺(長手方向)を、インレイ10のループ部12aに対して対向するように配置して、補助アンテナ20のループ部12aに対向する長辺の中心位置、すなわち、補助アンテナ20の共振軸に沿った長辺の中心位置が、ICチップ11の近傍に位置するように配置し、さらに、複数の突出部21を備えることによって、補助アンテナ20の一部がICチップ11には重ならず、かつ、ループ部12aに重なるように構成してある。
このような構成により、補助アンテナ20は、インレイ10のICチップ11やアンテナ12には重ならず、補助アンテナ20の一部である突出部21のみが、インレイ10のループ部12aに重なることになり、インレイ10のアンテナ12による通信機能を損なうことなく発揮させ、かつ、インレイ10のループ部12aによるインピーダンス整合の特性を調整・向上させることができるようになる。
具体的には、本実施形態に係る補助アンテナ20には、図2(a)に示すように、インレイ10のループ部12aと対向する長辺の中心位置に、左右対称の一対の突出部21a,21bが形成されている。
この突出部21a,21bが、補助アンテナ20がインレイ10に対して対向するように積層・配置された状態において、ICチップ11の近傍に突出し、ICチップ11の周囲を囲むループ部12aに重なるように配置される。
このような突出部21を備えることで、補助アンテナ20をインレイ10の近傍に対向配置させても、ICチップ11に補助アンテナ20が重なったり覆ったりすることがなく、かつ、補助アンテナ20の一部(突出部21)をループ部12aに重ねて配置させることができるようになる。
したがって、補助アンテナ20は、図2(a)に示すように、補助アンテナ20の一部となる突出部21のみがインレイ10のループ部12aに重なり、その他のアンテナ部分は、インレイ10のICチップ11やアンテナ12に重なることなく、インレイ10に沿って平行に対向して配置され、補助アンテナ20とインレイ10のアンテナ12とは、アンテナ部分が投影面上で重なることなく並列に配置されるようになる。
このとき、インレイ10の全体を被覆する封止フィルム13は、補助アンテナ20の一部に重なっており、補助アンテナ20とインレイ10のICチップ11は、封止フィルム13を介して対向配置され、コンデンサカップリングによって電気的接続される。
このような配置構成によって、補助アンテナ20とインレイ10のアンテナ12の双方のアンテナ面積を最大限に広く利用することができ、それによってアンテナ利得を最大限に増大させることができる。
ここで、補助アンテナ20に突出部21を備えるのは、補助アンテナ20によってインレイ10のICチップ11が覆われないようにしつつ、補助アンテナ20の一部をインレイ10に重ねて配置させるためである。
また、突出部21は、インレイ10のループ部12aの一部に重なるように形成されればよく、例えば、図2(a)に示すように、ループ部12aの短手方向(幅方向)の全体に重なるようにしてもよく、また、図3(a)に示すように、ループ部12aの短手方向(幅方向)の一部に重なるようにすることもできる。
また、補助アンテナ20に形成される突出部21は、インレイ10のICチップ11の両側に位置するループ部12aに重ねて配置することが望ましく、そのために、突出部21は少なくとも2つが設けられることが好ましい(図2(a),(b)参照)。
したがって、突出部21は、2つ以上が備えられていれば、例えば、図3(b)に示すように、3つ以上の突出部21(同図では4つ)を備えることもでき、積層するインレイ10やRFタグ1の大きさや形状、ループ部12aを含むアンテナ12の形状や構成,大きさなどに応じて、任意の複数の突出部21を備えることができる。
なお、この場合には、図3(b)に示すように、複数の突出部21は、少なくとも一部(同図の中央の2つの突出部21)はループ部12aに重なり、かつ、他の部分(同図の左右両側の突出部21)は、アンテナ12に重なるようにしても良い。
また、以上のような突出部21は、使用するインレイ10の寸法を基準にして形状・寸法が設定されるようになっており、積層配置されるインレイ10のループ部12aに突出部21を構成する導電性部材が所定の範囲で重なるような大きさ(幅及び高さ)に形成される。
具体的には、補助アンテナ20の突出部21は、インレイ10のICチップ11のループ部12aの幅を基準にしており、突出部21を形成する補助アンテナ20の導体が、ICチップ11には重ならず、かつ、ループ部12aの少なくとも一部に突出部21の少なくとも一部が重なるような大きさに形成される。
具体的には、図2(a),(b)に示す補助アンテナ20の場合には、上述のように、対象とするインレイ10の通信周波数920MHzに合わせて、長辺の長さが、半波長(163.0mm)前後となるように形成される。
この場合に、複数の突出部21としては、例えば2つの突出部21がそれぞれ5mm幅で形成され、2つの突出部21の間が例えば14mmの長さで離間させるように形成することができる。
なお、上記の寸法は一例であり、本発明に係る突出部21の寸法が上記の例に限定されるものではないことは勿論である。
また、突出部21の突出長(高さ)は、例えば図2(a)に示すように、インレイ10のアンテナ12の短辺(幅)とほぼ同様の長さに突出するようにすることができ、また、図3(a),(b)に示すように、インレイ10のアンテナ12の短辺(幅)よりも短い長さに突出するようにしても良い。
突出部21は、インレイ10のループ部12aに重なることで、ループ部12aのインピーダンス調整機能を改善・向上させるためのものであり、ループ部12aが存在していない部分にまで突出部21を突出させる必要はない。また、不必要な部分にまで突出部21が存在することは、補助アンテナ20の材料の無駄となり、また、補助アンテナ20を含むRFタグ1の小型化等を阻害することにもなる。
このため、突出部21は、インレイ10のアンテナ12の短辺とほぼ同様か、短辺よりも短い長さに突出するように形成されることが望ましい。
なお、インレイ10に対してデータの読み書きが行われる際に補助アンテナ20に流れる電流は、面状の補助アンテナ20の周縁部分にしか流れない(表皮効果)。
そこで、補助アンテナ20は、上述した大きさ・形状を有していれば、面状部分を例えばメッシュ(網目)状,格子状等に形成することができる。
このように補助アンテナ20をメッシュ状等に形成することで、表皮効果によりアンテナとしての機能は損なわれず、かつ、補助アンテナ20の全体の導体部分の面積を少なくすることができ、補助アンテナ20を形成する導電性インク等の導体材料を節減でき、RFタグ1の更なる低コスト化を図ることができるようになる。
[基材]
基材50は、上述したインレイ10及び補助アンテナ20が搭載される基材層となるとともに、搭載されたインレイ10に対する誘電率調整層として機能する部材である。
本実施形態では、インレイ10及び補助アンテナ20がはみ出さずに同一平面上に配置・搭載できるように、上述した並列配置された状態のインレイ10及び補助アンテナ20の外形よりも一回り大きな板状・面状等に形成されている。
具体的には、基材50の一面側(図1の上面側)には、補助アンテナ20及びインレイ10が同一平面上で並列配置される。そして、インレイ10・補助アンテナ20が搭載された基材50の一面(上面)は、カバー部材となる表層40によって被覆・コーティングされる。これによって、インレイ10及び補助アンテナ20は、並列配置されて基材50と表層40によって挟持された状態で封止され、外部から保護されるようになる。
表層40は、インレイ10及び補助アンテナ20を搭載した基材50の一面に貼着・接着されるシート状部材であり、例えば、紙や合成紙、ポリエチレン,ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレン,ポリイミド等の樹脂からなる可撓性を有するシート材,フィルム材によって形成することがでる。
一方、基材50のもう一方の面側(図1の下面側)には、特に図示しないが、例えば両面テープ(粘着テープ)等からなる粘着材や、板状のマグネットなどを備えることができ、粘着材の粘着力やマグネットの磁力によって、取付対象となる金属物品の表面に貼着・取付できるようになっている。
これによって、RFタグ1は、基材50が取付対象の表面に貼付・固定されて、容易に脱落・剥離等されないように金属物品の表面に配置・固着される。
ここで、このような本実施形態に係る基材50としては、例えば、アクリル発泡体や、発泡ポリエチレン,発泡ポリプロピレン等の架橋ポリオレフィン発泡体によって形成することがでる。
また、基材50は、上記のようなアクリル発泡体や架橋ポリオレフィン発泡体により形成した単一の帯状部材によって構成することもでき、また、複数(例えば二層)の帯状部材を重ね合わせて一つの基材50を構成することもできる。
さらに、上述した金属対象物への取付のためのマグネットを基材50の一部として構成することもできる。基材50となるマグネットは、RFタグ1の取付対象となる金属に対して磁力による貼付・取付が可能な磁石を、基材50に対応する所定の大きさ・厚みを有する板状・帯状に形成して、樹脂製等の基材50に積層・貼着して構成することができる。
また、以上のような基材50は、補助アンテナ20とともに配置されるインレイ10の通信特性を調整する所定の比誘電率を有するように形成されることで、基材50に対して搭載・積層されたインレイ10に対する誘電率調整層として機能させることができる。
例えば、基材50は、所定の部材によって、所定の厚みで形成されることにより、インレイ10の通信特定に対して好適な比誘電率を有する誘電率調整層として形成することができる。
このように、基材50が所定の比誘電率・厚みを有することにより、RFタグ1の取付対象となる金属からの影響を基材50によって回避・吸収することができ、RFタグ1の通信特性として、後述するような良好な通信距離を得ることができるようになる。
したがって、使用するインレイ10の種類や通信特性,RFタグ1を使用する物品・使用環境・使用周波数帯域などの諸条件を考慮して、基材50として適切な材質と厚みを選定し、基材50のみを選択・交換することで、RFタグ1を異なる物品に使用したり、異なる通信周波数に対応させることが可能となる。
[筐体]
以上説明した本実施形態に係るRFタグ1は、図1に示すように、基材50及び表層40によって挟持・封止された状態で使用することができるが、さらに、そのようなRFタグ1を所定の筐体(ケース)に収納して使用することも可能である。
筐体としては、特に図示しないが、内部に上述した並列配置されるインレイ10及び補助アンテナ20を収納することができる収納手段・保護手段であればどのような構成のものでも良い。例えば、基材50及び表層40で挟持・封止されたインレイ10及び補助アンテナ20を収納可能な内部空間を備えた、合成樹脂や金属製のケースなどで構成することができる。
このような筐体によってインレイ10及び補助アンテナ20が保護されることにより、RFタグ1としての耐候性や耐熱性・防水性が高められるようになる。
なお、インレイ10及び補助アンテナ20が筐体に収納・保護される場合には、基材50及び表層40の一部又は全部を省略することができる。
この場合には、筐体を構成する収納部や蓋部材などが、基材50や表層40としての機能を果たすことになる。
また、その場合には、上述した基材50が果たす誘電率調整層としての機能も、筐体の本体や蓋部材等が果たすことになる。
[通信特性]
次に、以上のような構成からなる本実施形態に係るRFタグ1の通信特性について、図4,5を参照しつつ説明する。
図4は、図1~3に示した本実施形態に係るRFタグ1の比較例となるRFタグのインレイと補助アンテナの配置関係を示す平面図である。
同図(a)は、補助アンテナ20がインレイ10の全体に重ねられて配置され、ICタグについて凹型の切り欠き部によって補助アンテナ20が重ならないようにした場合である。
同図(b)は、補助アンテナ20のいずれの部分もインレイ10のアンテナ12・ループ部12aに重ならないように配置され、ループ部12aに対して補助アンテナ20に形成した凸型の1つの突出部を近接配置させた場合である。
図5(a)は、図1~3に示した本実施形態に係るRFタグ1と図4の比較例に係るRFタグの通信特性(読み取り距離と周波数の関係)を示す折れ線グラフである。
同図に示すように、まず、凹型の切り欠き部を設けたRFタグ(図4(a))の場合には、一つの通信周波数帯域(860MHz)において通信距離のピークが現れており、また、通信可能な周波数帯域も狭くなっている。
これにより、このRFタグでは、補助アンテナ20による通信機能がより強く働き、インレイ10のアンテナ12による通信機能はあまり働いていないことが分かる。
また、一つの凸型の突出部を設けたRFタグ(図4(b))の場合には、同図に示す範囲(880MHz~1000MHz)では、一つの通信周波数帯域(930MHz)において通信距離のピークが現れており、このRFタグでは、所望の周波数帯域では、補助アンテナ20又はインレイ10(アンテナ12)のいずれかによる通信機能がより強く働いていることが分かる。
また、このRFタグでは、低周波側での通信が全く行われておらず、通信可能な周波数を低周波側にシフトさせるためには、例えば補助アンテナ20の全長を長くする必要があり、補助アンテナ20及びRFタグ1の全長が大きくなってしまうことになる。
これに対して、本実施形態に係る複数の突出部21を備えるRFタグ1では、二つの通信周波数帯域(840MHz,940MHz)において通信距離のピークが現れ、広い範囲(820MHz~960MHz)で十分な通信距離(読み取り距離)が得られており、補助アンテナ20とインレイ10(アンテナ12)の双方による通信機能が発揮されており、対応可能な通信周波数の帯域も広くなっていることが分かる。
このように、本実施形態に係るRFタグ1によれば、インレイ10のループ部12aに対して補助アンテナ20の複数の突出部21を重ねて配置する構成とすることで、補助アンテナ20とインレイ10(アンテナ12)の双方による通信が可能となり、比較例に係るRFタグ(図4)の通信特性と比べても、広い範囲の周波数帯域において十分な通信距離が確保できるようになる。
図5(b)は、本実施形態に係るRFタグ1の補助アンテナ20に備えられる複数の突出部21の数を異ならせた場合の通信特性(読み取り距離と周波数の関係)を示す折れ線グラフである。
具体的には、補助アンテナ20に備えられる突出部21が、2つの場合(図2(a),図3(a)参照)、4つの場合(図3(b)参照)、3つの場合(図示せず)、補助アンテナ20の両端に突出部21を設けた場合(図示せず)の通信特性を示している。
同図に示すように、上記4つの場合のうち、突出部21が2つ、4つ、3つの場合には、それぞれほぼ同様に、十分な通信距離(読み取り距離)が得られるとともに、補助アンテナ20とインレイ10(アンテナ12)の双方による通信機能も行われており、対応可能な通信周波数の帯域も広くなっていることが分かる。
また、突出部21の数を変更することにより、通信可能な周波数帯域を微調整することができ、補助アンテナ20(突出部21)を変更するだけで通信特性を調整・変更することが可能となることが理解できる。
一方、補助アンテナ20の両端に突出部21を設けた場合には、インレイ10のループ部12aに突出部21が重ねて配置されず、また、補助アンテナ20の両端においてインレイ10のアンテナ12に重ねて配置されることになるため、一つの通信周波数帯域(910MHz)においてのみ通信距離のピークが現れており、補助アンテナ20又はインレイ10のアンテナ12によるいずれか一方の通信機能がより強く働き、他方のアンテナによる通信機能はあまり働いていないことが分かる。
したがって、補助アンテナ20に複数の突出部21を設ける場合には、各突出部21がインレイ10のループ部12aに重なるようにし、また、インレイ10のアンテナ12に重なるようにしても良いことが理解できる。
このように、本実施形態に係るRFタグ1によれば、インレイ10のループ部12aに対して補助アンテナ20の複数の突出部21を重ねて配置する構成とすることで、補助アンテナ20とインレイ10(アンテナ12)の双方による通信が可能となり、比較例に係るRFタグ(図4)の通信特性と比べても、十分な通信距離と通信可能な広い周波数帯域が確保できるようになる。
以上説明したように、本実施形態のRFタグ1によれば、インレイ10に対して絶縁状態で同一平面上に並列配置される補助アンテナ20によって、インレイ10の通信特性を周波数帯域に合わせて最適な状態に設定・調整して、各通信周波数に応じた良好な通信特性を得ることができ、金属の影響を有効に回避・低減することができる。
そして、本実施形態によれば、RFタグ1の補助アンテナ20を、インレイ10のループ部12aに対して対向配置するとともに、補助アンテナ20の一部である突出部21をループ部12aに重ねて配置されることができる。
これによって、補助アンテナ20は、インレイ10のICチップ11には重なることなく、ループ部12aに対しては補助アンテナ20の一部である突出部21を重ねて配置させることができるようになる。
これによって、補助アンテナ20によってインレイ10の一部が覆われることで、インレイ10の電気的特性が影響を受けることがなく、かつ、補助アンテナ20とインレイ10のアンテナ12の双方のアンテナ面積を可能な限り広く大きくすることができ、アンテナ利得を最大限に増大させることができる。
一方、インレイ10のループ部12aは、補助アンテナ20の一部(突出部21)が重ねて配置されることで、インピーダンス調整機能を改善・向上させることができ、各インレイ10に合わせた通信特性の改善等を図ることが可能となる。
そして、補助アンテナ20は、インレイ10のICチップ11やアンテナ12に重なることを回避するための制約を受けず、アンテナの設計範囲を拡張することが可能となり、補助アンテナ20の形状によりインレイ10・RFタグ1の通信特性の調整・改善の幅を広げることができるようになる。
したがって、本実施形態に係るRFタグ1では、RFタグ1自体が備えるアンテナ12やループ部12aを有効かつ最大限に機能させることができ、また、補助アンテナ20の設計等の自由度を向上させることができ、使用するインレイ10に最適な補助アンテナ20を設計・調整等することができ、良好な通信特性が得られる金属対応のRFタグを実現することができるようになる。
また、実際のさまざまな使用環境における環境外乱を受けた場合に、周波数のずれによる通信距離の低下が小さくなるため、安定した通信距離を持たせることができる。
さらに、日本における周波数920MHz帯の使用だけでなく、広く世界における使用においてタグを変更することなく、また国ごとにアンテナを調整することなく使用することも可能である。例えば、ヨーロッパ諸国では主に860MHz帯が使用されているが、860-920MHz帯を通信可能周波数帯域とすれば世界的な使用も可能となる。
以上、本発明のRFタグ及び金属容器について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係るRFタグは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明に係るRFタグを取り付けて使用する物品・対象物として、例えばアルミ製の金属容器や金属製の筐体などを想定しているが、本発明のRFタグを使用できる物品,対象物としては、アルミ製の金属容器や金属製の筐体に限定されるものではない。
すなわち、RFタグが使用され、リーダ・ライタを介して所定の情報・データが読み書きされる物品,対象物であれば、どのような物品・対象物であっても本発明に係るRFタグを適用することができる。例えばアルミ製の金属容器や金属製の筐体以外では、金属製のヒータや電気製品,食器,調理器具,家具,什器,コンテナ,自動車など、金属製の任意の物品・対象物に好適に用いることができる。
本発明は、例えばアルミ製の金属容器や金属製の筐体など任意の物品や対象物に取り付けられて使用される金属対応型のRFタグとして好適に利用することができる。
1 RFタグ
10 インレイ
11 ICチップ
12 アンテナ
12a ループ部
13 封止フィルム
20 補助アンテナ
21 突出部
40 表層
50 基材

Claims (5)

  1. ICチップと、前記ICチップを搭載するループ回路を含むアンテナを備えたインレイと、
    前記インレイと絶縁状態で積層される補助アンテナと、
    積層された前記インレイ及び補助アンテナが搭載される基材と、を備え、
    前記補助アンテナは、
    当該補助アンテナの共振軸に沿った辺が、前記アンテナのループ回路と対向する近傍に配置されるとともに、
    前記ループ回路の少なくとも一部に重なる、少なくとも2つの突出部を備え、
    前記2つの突出部が、前記インレイのループ部と対向する補助アンテナの共振軸に沿った辺の中心位置に形成され、それぞれ前記インレイのICチップに重なることなく、前記ICチップの両側に位置する前記ループ回路にそれぞれ重なり、
    前記補助アンテナの一部である前記突出部のみが、前記インレイのループ回路に重なり、
    前記補助アンテナのその他のアンテナ部分は、前記インレイのICチップ及びアンテナに重なることなく、当該インレイに沿って平行に対向して配置される
    ことを特徴とするRFタグ。
  2. 前記補助アンテナが、前記突出部を2つ備え、
    前記2つの突出部が、それぞれ前記インレイのICチップに重なることなく、前記ループ回路に重なる
    ことを特徴とする請求項1記載のRFタグ。
  3. 前記2つの突出部が、
    前記ICチップの両側に位置する前記ループ回路にそれぞれ重なる
    ことを特徴とする請求項2記載のRFタグ。
  4. 前記複数の突出部が、前記アンテナの短辺とほぼ同様の長さに突出する
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載のRFタグ。
  5. 前記複数の突出部が、前記アンテナの短辺よりも短い長さに突出する
    ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載のRFタグ。
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