JP5929549B2 - Rfタグ - Google Patents
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Description
RFタグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ,ICタグ,非接触タグ等とも呼ばれ、ICチップと無線アンテナを備えた電子回路が樹脂フィルム等の基材によって封止・コーティングされた所謂インレイ(インレット)が、タグ(荷札)状に形成されてなる超小型の通信端末であり、読取・書込装置(リーダ・ライタ)によってタグ内のICチップに所定の情報が無線で読み取りや書き込み,読み書き(リードオンリー,ライトワンス,リード・ライト)が行えるようになっている。
そして、このようなRFタグに所定の情報を書き込んで任意の物品,対象物等に取り付けることにより、RFタグに記録された情報がリーダ・ライタによりピックアップされ、タグに記録された情報を当該物品に関する所定情報として認識,出力,表示,更新等させることができる。
そして、このようなRFタグを用いることで、タグを取り付ける物品に関する種々の情報、例えば当該物品の名称や識別記号,内容物,成分,管理者,使用者,使用状態,使用状況などの種々の情報が記録可能となり、ラベル表面に印刷表示される文字やバーコード等では不可能であった多種多様な情報を、小型化・薄型化されたタグを物品に装着するだけで正確に読み書きすることが可能となる。
すなわち、RFタグを物品に対して取り付けると、RFタグが発生する磁束は物品を貫通する方向に生じることになることから、タグを金属製の物品に取り付けた場合、アンテナ部が発する磁波・電磁波が金属側に吸収される熱損失等が生じてしまい、タグの通信特性が損なわれる事態が生じる。このため、通常の汎用されているRFタグをそのまま金属製の物品・対象物に取り付けると、タグが誤動作したり、リーダ・ライタとの無線通信が行えないという問題が発生する。
具体的には、従来提案されている金属対応用のRFタグは、取付対象となる金属と対向する側のタグ内部に、シート形状等に形成した反射手段や誘電体が配置されるようになっており、これら反射手段や誘電体によって、タグが発する磁束を反射させたり誘電体内を通過させることで、磁波・電磁波が金属側に吸収される熱損失等が発生することを防止するようになっている。
このため、インレイ状態のRFタグを、例えば樹脂製の筐体内に収納・封止することで、耐候性や耐熱性・防水性を高めるようにすることも提案されている(例えば、引用文献3参照)。
このため、RFタグとしての汎用性や拡張性がほとんどないという欠点があった。
また、RFタグは、使用するICチップやアンテナが異なれば通信周波数も異なり、また、同一のICチップ及びアンテナ構成からなるRFタグでも、例えば国や地域によって使用可能な通信周波数帯域が異なることがある。従って、例えばそのような国や地域にまたがって運搬・使用等される例えば貨物用コンテナにRFタグを使用する場合、各通信周波数に対応する必要がある。
また、このような従来のRFタグの構造では、反射手段や誘電体とそれらを収納する筐体も、専用的・固定的・一体的な構造となっており、通信周波数に応じて例えば誘電体のみを変更するようなことは不可能であった。
このため、RFタグを使用する物品やRFタグの通信周波数や使用環境が異なる場合、RFタグの構造や材質、RFタグの一部を構成する反射手段や誘電体,筐体等のすべてを、特定の物品や通信周波数,使用環境等に対応した専用のものとする必要があり、特に複数の物品や周波数等に対応するには、RFタグとしての汎用性・拡張性に著しく欠け、製造コストも増大するという問題があった。
従って、本発明によれば、特に、RFタグの通信特性が影響を受けやすい電気メータや、RFタグの通信周波数として使用可能な周波数帯域が異なる国や地域にまたがって使用される貨物用コンテナなどに好適なRFタグを実現することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るRFタグを示す、インレイを筐体内に収納した完成状態の斜視図であり、図2は、同じく本実施形態に係るRFタグの分解斜視図である。また、図3は、本実施形態に係るRFタグの一部断面正面図である。
これらの図に示すように、本実施形態に係るRFタグ1は、無線通信を行うRFタグを構成するインレイ10が筐体50内に収納されて保護される構造のRFタグであり、筐体50によってインレイ10が保護されることにより、耐候性や耐熱性・防水性が高められるものである。
そして、本実施形態に係るRFタグ1では、誘電率調整プレート30が、筐体50内に着脱可能かつ移動不能に係合するとともに、補助アンテナ20が積層されたインレイ10の通信特性を調整する所定の誘電率となる形状に形成されるようになっている。
以下、各部を詳細に説明する。
インレイ10は、図示しないリーダ・ライタ(読取・書込装置)との間で無線による所定の情報の読み取りや書き込み,読み書きが行われるRFタグを構成しており、例えばリードオンリー型,ライトワンス型,リード・ライト型等の種類がある。
具体的には、インレイ10は、ICチップ11と、ICチップ11に電気的に導通・接続されたアンテナ12とを有し、これらICチップ11及びアンテナ12が、基材となる例えばPET樹脂等で形成された1枚の封止フィルム13上に搭載,形成された後、もう1枚の封止フィルム13が重ね合わされて、2枚の封止フィルム13によって挟持された状態で封止・保護されている。
本実施形態では、ICチップ11とICチップ11の両側に伸びるアンテナ12を長方形状の封止フィルム13で挟持・封止した矩形状のインレイ10を用いている。
ICチップ11には、チップ周囲を囲むようにループ状の回路導体が接続されてループ部11aが形成されており、このループ部11aを経由して、ICチップ11の左右両側にアンテナ12が接続されている。
そして、このアンテナ12及び後述する補助アンテナ20を介して図示しないリーダ・ライタとの間で無線通信による読み書き(データ呼び出し・登録・削除・更新など)が行われ、ICチップ11に記録されたデータが認識されるようになっている。
ICチップ11に記録されるデータとしては、例えば、商品の識別コード、名称、重量、内容量、製造・販売者名、製造場所、製造年月日、使用期限等、任意のデータが記録可能であり、また、書換も可能である。
封止フィルム13は、例えばポリエチレン,ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレン,ポリイミド,ポリ塩化ビニル(PVC),アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合合成樹脂(ABS)等の可撓性を有するフィルム材からなり、封止するICチップ11・アンテナ12が外部から視認可能な透明のPET樹脂等で構成されることが好ましい。また、封止フィルム13の片面側のフィルム表面には、基材や物品への貼り付けができるように粘着層・接着層を備えることができる。
一般にRFタグで使用される周波数帯としては、例えば、135kHz以下の帯域、13.56MHz帯、UHF帯に属する860M〜960MHz帯、2.45GHz帯等の数種類の周波数帯がある。そして、使用される周波数帯によって無線通信が可能な通信距離が異なるとともに、周波数帯によって最適なアンテナ長などや配線パターンが異なってくる。
本実施形態では、インレイ10が小型化でき、また、後述する補助アンテナ20を所定のサイズに形成する関係上、波長が短くアンテナが小型化できるUHF帯を対象とするようにしてあり、例えば953MHz帯や920MHz帯を対象としており、これらの周波数帯において良好な通信特性が得られるようにするものである。
但し、インレイ10や補助アンテナ20の大きさの制約がなければ、本発明に係る技術思想自体は、UHF帯以外の周波数帯域についても適用できることは勿論である。
前記補助アンテナ20は、上述したインレイ10の通信特性を向上・調整するためのエクストラアンテナとして機能するものであり、図2〜3に示すように、インレイ10の片面側に積層配置される面状の導電性部材からなり、封止フィルム13によって樹脂封止されたインレイ10とは絶縁状態となっている。
すなわち、インレイ10は、封止フィルム13によって全体が樹脂封止されており、導電性部材からなる補助アンテナ20とは物理的には絶縁状態となっている。そして、このような補助アンテナ20がインレイ10に直接積層されることで、補助アンテナ20とインレイ10のICチップ11は、封止フィルム13を介して対向配置されるようになり、所謂コンデンサカップリングによって電気的接続がなされるようになる。
これによって、インレイ10には補助アンテナ20が縦方向(高さ方向)に積層されることで、インレイ10のアンテナ12と補助アンテナ20により二次元アンテナが構成され、補助アンテナ20が通信電波のブースターとして機能することになり、インレイ10の通信特性の調整・向上が図られることになる。
図4に本実施形態に係る補助アンテナの平面図を示してあり、同図(a)は補助アンテナをインレイに積層した状態を、また、同図(b)は補助アンテナの長辺の寸法関係を示している。
同図に示すように、本実施形態では、補助アンテナ20は、インレイ10よりも一回り大きい矩形・面状に形成されるようになっている。
そして、特に矩形の長辺がインレイ10の電波周波数の波長の略1/4の長さとなるように形成される。
さらに、矩形長辺の一方の長辺には、当該長辺をインレイ10の電波周波数の波長の略1/8ずつの長さに二分割する切り欠き部21が形成されるようになっている。
切り欠き部21は、補助アンテナ20の一方の長辺の縁部に開口した、インレイ10のICチップ11が配置可能な所定の幅と深さを有する凹形状に形成されている。
そこで、本実施形態では、補助アンテナ20の長辺の長さを、インレイ10の電波周波数の波長の略1/4の長さとしてある。
すなわち、インレイ10のICチップ11近傍にはループ回路が形成されており(ループ部11a)、このループ部11aは、インピーダンスの整合を図る目的があり、かつ、磁界成分での通信を行うために設けられており、この磁界成分を補助アンテナ20の導体により阻害しないようにする必要がある。
そこで、補助アンテナ20をインレイ10に重ねて積層するにあたり、ICチップ11が位置する部分には補助アンテナ20の導電性部材が存在しないように、切り欠き部21を形成するようにしている。
なお、切り欠き部21の大きさ(幅及び深さ)は、少なくともインレイ10のICチップ11に重ねて補助アンテナ20が存在しない大きさであれば良く、また、この切り欠き部21の幅及び深さを適宜調整することで、ICチップ11の電波周波数や後述する筐体50の材質、RFタグ1を取り付ける物品からの影響等に応じて、インピーダンス整合を図ることができるようになる。
従って、切り欠き部21は、少なくともICチップ11が配置可能な大きさであって、その幅及び深さは補助アンテナ20の大きさの範囲内で適宜調整・変更することができるものであれば良い。
従って、補助アンテナ20は、長辺の長さが78.7mm前後となるように形成し、これによって切り欠き部21が形成される一方の長辺は、それぞれが39.4mm前後の長さに2分割されることになる。
また、例えばインレイ10の通信周波数が920MHzの場合には、λ≒326.0mm,λ/4≒81.5mm,λ/8≒40.8mmとなる。
従って、補助アンテナ20は、長辺の長さが81.5mm前後となるように形成し、これによって切り欠き部21が形成される一方の長辺は、それぞれが40.8mm前後の長さに2分割されることになる。
このため、本実施形態に係るインレイ10においても、導体である補助アンテナ20とインレイ10のアンテナ12に挟まれた、PET層との構造が波長短縮効果を生み、このPET層を利用することで、見かけの波長が短縮されることになる。PETの比誘電率はおよそ「4」である。
このため、本実施形態における補助アンテナ20の長辺の長さもおよその値であり、略λ/4,略λ/8の値となっていれば十分であり、RFタグ1の筐体50の材質、タグの使用環境,使用態様等による通信特性の変化に応じて長さが前後することはある。
具体的には、まず切り欠き部21の幅については、インレイ10のICチップ11のループ部11aの幅を基準にしており、補助アンテナ20の導体が、ICチップ11及びループ部11aに重ならず、又はICチップ11には重ならずループ部11aの周縁の一部に重なるような大きさに形成する。例えばループ部11aの幅のサイズが15〜18mm程度である場合には、切り欠き部21の幅は約10〜20mmの範囲の長さとする。
また、切り欠き部21の深さについては、インレイ10の幅(短手方向の長さ)と、ループ部11aの上部の位置を基準にして設定し、少なくともICチップ11にアンテナ導体が重ならないようにする。例えばインレイ10の幅が10〜30mm程度である場合、切り欠き部21の深さは約5〜20mmの範囲の長さとする。
そこで、補助アンテナ20は、上述した切り欠き部21を有する凹形状の周縁外形を有していれば、面状部分を例えばメッシュ(網目)状,格子状等に形成することができる。
このように補助アンテナ20をメッシュ状等に形成することで、表皮効果によりアンテナとしての機能は損なわれず、かつ、補助アンテナ20の全体の導体部分の面積を少なくすることができ、補助アンテナ20を形成する導電性インク等の導体材料を節減でき、RFタグ1の更なる低コスト化を図ることができるようになる。
筐体50は、内部に上述したインレイ10を収納することで、当該インレイ10を保護するための保護手段であり、筐体内部にインレイ10を搭載した誘電率調整プレート30が着脱可能に収納されるようになっている。
この筐体50によってインレイ10が保護されることにより、RFタグとしての耐候性や耐熱性・防水性が高められるようになる。
なお、筐体50の外形は、内部に補助アンテナ20が積層されたインレイ10が搭載された誘電率調整プレート30が収納できる限り、外形の形状・構造等は変更可能であり、例えばRFタグ1を使用する物品の構造や大きさ、タグの使用状態等に応じて筐体50の外形は適宜設計・変更することができる。
蓋部52は、誘電率調整プレート30を収納・係合させた状態の凹部51aの開口部分に嵌合して、凹部51aの開口全体を閉止する板状の蓋部材となっている。
また、凹部51aは、開口縁部に沿って段部が形成してあり、一方、蓋部52には周縁に沿ってフランジ状の段部が形成されており、凹部51aと蓋部52との段部同士が当接・嵌合することにより、凹部51aを閉止した状態で蓋部52が筐体本体51の裏面とほぼ同一面(所謂面一)となるように形成されている(図1(b)及び図3参照)。
凹部51aの開口に嵌合・閉止した蓋部52は、例えば超音波融着や熱融着、接着剤等によって、筐体本体51と接合され、筐体50は外部から密閉・封止される。
そして、筐体本体51が蓋部52によって密閉された状態で、筐体50はRFタグ1を使用する物品・対象物に対して、例えば接着剤やネジ止め等で取り付けられたり、物品・対象物の所定箇所に設置・嵌合されて使用される。
本実施形態では、図2〜3に示すように、誘電率調整プレート30と蓋部52の互いに対向する面に、それぞれ長手方向中心線に沿った二箇所に、誘電率調整プレート30側に凸部30a,30aが、蓋部52側に穴部52a,52aが形成してある。
これら凸部30aと穴部52aとが係合することにより、誘電率調整プレート30は凹部51a内の所定位置に位置合わせされつつ蓋部52によって保持されることになり、筐体50内に確実かつ堅固に保持・収納されることになる(図3参照)。
本実施形態では、耐候性や耐熱性,耐水性等に優れ、インレイ10の通信特性に合わせ後述する誘電率調整プレート30の形成,加工等も容易であることから、特に耐候AES樹脂又は耐候ポリカーボネート樹脂で、誘電率調整プレート30を含む筐体50を形成するようにしてある。
上述のように、筐体本体51と蓋部52とは、凹部51の開口が蓋部52によって閉止された後、例えば超音波融着等の手段により接合されるようになっている。
このため、筐体本体51と蓋部52とを同一の樹脂材料で形成することにより、融着や接着により接合する場合に、より確実かつ堅固に両者を接合することができるようになる。
但し、筐体本体51と蓋部52とを接合・封止できる限り、両者を別材料で形成することも可能である。
例えば、誘電率調整プレート30は、所定の厚みで形成されるとともに、インレイ10が搭載される搭載面の所定箇所に、誘電率調整プレート30を貫通する一又は二以上の貫通部(貫通孔)を設けることができる。
このように貫通部を形成することで、誘電率調整プレート30は、搭載されるインレイ10に対して部分的に誘電体を配置させることができるようになる。
これによって、使用するインレイ10の種類や通信特性,筐体50や誘電率調整プレート30の材質,RFタグ1を使用する物品・使用環境・使用周波数帯域などの諸条件を考慮して、誘電率調整プレート30に適宜貫通部を形成することで、誘電率調整プレート30のみを選択・交換することで、RFタグ1を異なる物品に使用したり、異なる通信周波数に対応させることが可能となる。
このような誘電率調整プレート30に形成する貫通部の位置や形状,大きさ,数などは、誘電率調整プレート30や筐体50を形成する樹脂材料の種類、インレイ10の通信特性や通信周波数、RFタグ1を使用する物品や使用環境,使用地域などの条件を考慮・勘案して設計・変更することができる。
そして、本実施形態では、筐体50(筐体本体51・蓋部52)と誘電率調整プレート30を形成する樹脂材料が異なるのみで、他はまったく同一の構成・形状・寸法とすることができる。
また、図2に示すように、誘電率調整プレート30は、上述したような貫通部を形成せず、孔等のない完全な板状に形成することもできる。このような誘電率調整プレート30によれば、インレイ10に対して片面側の全面に所定の誘電率を有する誘電率調整層(誘電率調整プレート30)が配置されることになり、これによってインレイ10が良好な通信特性を得られる設計となっている。
従って、貫通部の形成を含む誘電率調整プレート30の設計・調整のし易さや通信特性の安定性等の観点からは、誘電率調整プレート30は、筐体本体51及び蓋部52と同一の樹脂材料により形成することが好ましい。
勿論、RFタグ1としての最適な通信特性が得られる場合には、誘電率調整プレート30と、筐体本体51及び蓋部52とを、別々の樹脂材料で形成することは可能である。
以上のような構成からなる本実施形態に係るRFタグ1の通信特性について、動作確認を行った実施例について以下に説明する。
(実施例1)
筐体50及び誘電率調整プレート30を耐候AES樹脂で作成し、誘電率調整プレートに所定形態の貫通部を形成したRFタグ1について、金属板上にRFタグ1を載せて各国におけるRFタグで使用可能な通信周波数帯域での通信距離を測定した。それぞれの周波数帯域は、欧州:865−870MHz帯、米国:900−930MHz帯、中国:920−925MHz帯、日本:950−960MHz帯である。その周波数帯域における通信距離が、7m以上の場合を◎、3m〜7mの場合を○、通信が不能の場合を×とした。結果を表1に示す。
筐体50の樹脂材料と誘電率調整プレート30の材料を耐候ポリカーボネート樹脂で形成し、誘電率調整プレート30の形状を実施例1と異なる形状にして誘電率を調整したRFタグ1について、実施例1と同様に各国におけるRFタグで使用可能な通信周波数帯域での通信距離を測定した。結果を表1に示す。
筐体50の樹脂材料は実施例1と同じにし、インレイ10のみを封止できる大きさにして、補助アンテナ20と誘電率調整プレート30を省略したRFタグについて、実施例1と同様に各国におけるRFタグで使用可能な通信周波数帯域での通信距離を測定した。結果を表1に示す。
従って、通信周波数以外にも、使用するインレイ10の種類や通信特性,筐体50や誘電率調整プレート30の材質,RFタグ1を使用する物品の種類などの諸条件に応じて、誘電率調整プレート30の貫通部の形態を設計変更することで、誘電率調整プレート30のみを選択・交換することで、RFタグ1を様々な使用環境・使用状況に対応させることができるようになる。
そして、そのような誘電率調整プレート30を変更・交換することによって、誘電率調整プレート30に搭載するインレイ10の通信特性を調整することができ、インレイ10の通信特性を適宜変更・調整することが可能となる。
従って、例えばインレイ10の種類や通信特性、筐体50の材質、RFタグ1を使用する物品や使用環境、使用周波数帯域などの各条件に応じて、誘電率調整プレート30の形状・材質を設定することにより、誘電率調整プレート30のみを交換するだけで、RFタグ1を異なる物品に使用したり、異なる通信周波数に対応させることができるようになり、インレイ10を保護する筐体50を備えた金属対応構造のRFタグでありつつ、RFタグとしての汎用性や拡張性を格段に向上させることができるようになる。
また、交流周波数が異なる例えば関東地域と関西地域においても、各地域に適合したRFタグ1を、誘電率調整プレート30を変更・調整することにより対応することができるようになる。
また、インレイ10を構成するICチップ11やアンテナ12が異なることで通信周波数が異なる場合や、同一のICチップ11及びアンテナ12構成からなるインレイ10が、例えば使用可能な通信周波数帯域が異なる国や地域で使用される場合にも、誘電率調整プレート30を変更・調整することにより対応することができるようになる。従って、例えばそのような国や地域にまたがって運搬・使用等される例えば貨物用コンテナにRFタグ1を使用する場合にも、誘電率調整プレート30のみを交換することにより、筐体50やインレイ10は共通のものを使用しつつ、異なる複数の通信周波数にも対応することが可能となる。
このように、本実施形態のRFタグ1によれば、インレイ10を保護する筐体50を備えた金属対応構造のRFタグでありつつ、インレイ10として市販・汎用のインレイを用いても、誘電率調整プレート30を交換するのみで、様々な物品や通信周波数,使用環境等に適合したRFタグ1を提供することができ、RFタグ全体の製造コストを低減することができるとともに、既存の汎用インレイを積極的に使用することができ、タグ全体を安価に構成でき、汎用性、拡張性に優れ、低コストで良好な通信特性が得られる金属対応のRFタグを実現することができる。
例えば、上述した実施形態では、本発明に係るRFタグを使用する物品として、電気メータや貨物用コンテナを例にとって説明したが、本発明のRFタグを使用できる物品,対象物としては、電気メータやコンテナに限定されるものではない。
すなわち、RFタグが使用され、リーダ・ライタを介して所定の情報・データが読み書きされる物品,対象物であれば、どのような物品・対象物であっても本発明に係るRFタグを適用することができる。
10 インレイ
11 ICチップ
12 アンテナ
13 封止フィルム
20 補助アンテナ
21 切り欠き部
30 誘電率調整プレート
50 筐体
51 筐体本体
51a 凹部
52 蓋部
Claims (4)
- ICチップと、ICチップの周囲をループ状に囲む導体からなるループ部と、ループ部を経由してICチップと接続されるアンテナを備え、全体が絶縁部材によって封止されたインレイと、
前記インレイと絶縁状態で積層される面状の補助アンテナと、
前記補助アンテナが積層されたインレイが搭載される基台となるとともに、搭載されたインレイに対する誘電率調整層として機能する誘電率調整プレートと、
前記補助アンテナが積層されたインレイが搭載された状態で前記誘電率調整プレートを内部に収納する筐体と、を備え、
前記補助アンテナが、
前記インレイの前記ループ部に重なるように配置される切り欠き部を備え、
前記誘電率調整プレートが、
前記筐体内に着脱可能かつ移動不能に係合して、前記インレイを筐体内に移動不能に保持するとともに、
前記インレイが搭載される搭載面の所定箇所に、当該誘電率調整プレートを貫通する貫通部を備え、搭載される前記RFタグに対して部分的に誘電体を配置させて、前記補助アンテナが積層されたインレイの通信特性を調整する所定の誘電率となる形状に形成されることを特徴とするRFタグ。 - 前記補助アンテナが、
長辺が前記インレイの電波周波数の波長の略1/4の長さの矩形状をなす面状に形成されるとともに、
一方の長辺を前記インレイの電波周波数の波長の略1/8ずつの長さに二分割する切り欠き部を有し、
前記切り欠き部が、
前記一方の長辺の縁部に開口した、前記インレイのICチップが配置可能な所定の幅と深さを有する凹形状に形成された請求項1記載のRFタグ。 - 前記筐体が、
前記インレイが搭載された誘電率調整プレートを移動不能に収納する凹部を備えた筐体本体と、当該筐体本体の前記凹部の開口を閉止する蓋部と、を備え、
前記筐体本体及び蓋部が、同一の樹脂材料からなる請求項1又は2記載のRFタグ。 - 前記誘電率調整プレートが、
前記筐体本体及び蓋部と同一の樹脂材料からなる請求項3記載のRFタグ。
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