JP6451027B2 - 非接触型データ受送信体 - Google Patents

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Description

本発明は、非接触型データ受送信体に関する。
RFID(Radio Frequency IDentification)用途の情報記録メディアのように、電磁波または電波を媒体として外部から情報を受信し、また、外部に情報を送信できるようにした非接触型データ受送信体としては、例えば、ICタグが挙げられる。ICタグは、例えば、基材と、その一方の面に設けられ互いに接続されたアンテナおよびICチップとから構成されるインレットを備えている。このようなICタグは、情報書込/読出装置からの電磁波または電波を受信すると共振作用によりアンテナに起電力が発生し、この起電力によりICタグ内のICチップが起動し、このICチップ内の情報を信号化し、この信号がICタグのアンテナから発信される。
ICタグの一例としては、ICチップおよびこれに接続された第1アンテナを有するインレットと、インレットに近接して配置され、第1アンテナと非接触で共振するブースター用の第2アンテナとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2007/119304号
ICタグは、金属体に近付けると通信性能が損なわれる。しかしながら、金属体に近付けた状態で、通信距離をより長くするためには、複雑なアンテナ設計等を行う必要があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、複雑なアンテナ設計等を行うことなく、金属体に近付けた状態で、通信距離をより長くすることができる非接触型データ受送信体を提供することを目的とする。
本発明の非接触型データ受送信体は、金属体に貼付して用いられる非接触型データ受送信体であって、ICチップおよび該ICチップに接続された第1アンテナを有するインレットと、前記第1アンテナに沿って、かつ、前記第1アンテナに対して未接着状態で配設されるブースター用の第2アンテナと、を備え、前記第2アンテナは、その両端から中央部に向かって次第に前記金属体から離隔するように、長手方向において弧状をなし、前記ICチップは、弧状をなす前記第2アンテナの頂部に配置され、前記第2アンテナは、前記ICチップの中心を通り、前記インレットおよび前記第2アンテナの長手方向に垂直な中心線を基準として、長手方向の長さの短い領域と、長手方向の長さの長い領域とからなり、前記長さの長い領域の長さが、前記長さの短い領域の長さの3倍であることを特徴とする。
本発明によれば、複雑なアンテナ設計等を行うことなく、金属体に近付けた状態で、通信距離をより長くすることができる非接触型データ受送信体を提供することができる。
第1の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。 第2の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。 第3の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。 実施例1および比較例1の非接触型データ受送信体について、通信距離の測定結果を示すグラフである。 実施例2および比較例2の非接触型データ受送信体について、通信距離の測定結果を示すグラフである。
本発明の非接触型データ受送信体の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
(1)第1の実施形態
図1は、第1の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
本実施形態の非接触型データ受送信体10は、平面視長方形状の基材20と、基材20の一方の面20aに設けられた、第1アンテナ31を有するインレット30、および、第2アンテナ40とから概略構成されている。非接触型データ受送信体10は、金属体50に貼付して用いられる。
インレット30は、第1アンテナ31と、ICチップ32と、平面視正方形状のフィルム状またはシート状の絶縁基材33とから概略構成されている。第1アンテナ31およびICチップ32は、絶縁基材33の一方の面33aに設けられ、互いに電気的に接続されている。
第2アンテナ40は、インレット30の第1アンテナ31の近傍で、かつ、第1アンテナ31の外縁の少なくとも一部に沿うように設けられている。なお、第2アンテナ40が、第1アンテナ31の外縁に沿うように設けられるとは、第1アンテナ31と第2アンテナ40の間で電気的な接続(電磁界結合)が可能な位置に、両者が互いに配置されていることを言う。本実施形態では、第2アンテナ40は、平面視正方形状のループ状の第1アンテナ31の3辺に沿うように設けられ、第1アンテナ31に沿う部分においては、平面視コ字状をなしている。
さらに言い換えれば、第2アンテナ40は、インレット30(第1アンテナ31)の外側に沿うように配設された部分(中央部)41と、中央部41から基材20の長手方向の両端部まで延在する線状または帯状の放射素子42,42とからなるアンテナである。第2アンテナ40の中央部41は、線状または帯状の導電体が平面視コ字形状をなしている。
第2アンテナ40の中央部41は、その内側に配されるインレット30(第1アンテナ31)とほぼ同一の形状に形成されていることが好ましい。さらに、インレット30(第1アンテナ31)と中央部41は非接触に設けられているが、両者の間の隙間はできる限り小さくなるように中央部41を形成し、かつ、両者の間の隙間はできる限り小さくなるように中央部41内にインレット30(第1アンテナ31)を配置することが好ましい。また、第1アンテナ31と第2アンテナ40の距離は、両者の間で電気的な接続(電磁界結合)が可能な範囲であれば特に限定されないが、電気的な接続を確実なものとするためには、2mm以内が好ましい。
なお、第1アンテナ31は、少なくともその一辺が第2アンテナ40の少なくとも一辺に対して非接触でかつ略平行になるよう配されていればよく、第2アンテナ40にインレット30(第1アンテナ31)とほぼ形状が同一の中央部41が形成されていなくてもよい。
第2アンテナ40は、第1アンテナ31と、電磁結合による電気的な接続を行い、第1アンテナ31のみによって非接触通信を行う場合よりも、通信距離を長くする(長距離通信を可能とする)ためのものである。
第2アンテナ40は、非接触ICカード等の非接触ICモジュールに利用できる極超短波帯〈UHF〉やマイクロ波帯の電波帯の周波数(300MHz〜30GHz)の1/2波長に相当する長さとなっている。すなわち、ICチップ32を中心とする2つの領域に放射素子42,42を区分した場合、それぞれの長手方向における長さは、1/4波長に相当する長さとなっている。
インレット30と第2アンテナ40を上記のような構成とすることにより、インレット30のICチップ32は、基材20および第2アンテナ40の長手方向の中央部に配置される。
また、基材20は、図1(b)に示すように、その長手方向の端(両端)20b,20bから中央部に向かって次第に金属体50から離隔するように、その長手方向において、その中央部を基準として対称な弧状をなしている。同様に、基材20の長手方向の両端部まで延在する第2アンテナ40は、図1(b)に示すように、その長手方向の端(両端)40a,40aから中央部41に向かって次第に金属体50から離隔するように、その長手方向において、その中央部41を基準として対称な弧状をなしている。すなわち、基材20および第2アンテナ40は、金属体50における非接触型データ受送信体10が貼付される面(表面)50aとは反対側に凸となる弧状をなしている。なお、第2アンテナ40が、その両端40a,40aから中央部41に向かって次第に金属体50から離隔するように、長手方向において弧状をなしているとは、図1(b)に示すように、第2アンテナ40の両端40a,40aと金属体50の表面50aの距離をd、第2アンテナ40の中央部41と金属体50の表面50aの距離をdとしたとき、d<dの関係をなす弧状をなしていることを言う。
第2アンテナ40は、基材20の一方の面20aに設けられているので、基材20と第2アンテナ40は同じ曲率(曲げ半径)で弧状をなしている。これにより、弧状をなす基材20の頂部に、ICチップ32が配置される。
基材20と第2アンテナ40の曲率(曲げ半径)は、特に限定されず、非接触型データ受送信体10に求められる共振周波数に応じて適宜調整される。
基材20としては、絶縁基材が用いられ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂からなる基材;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂からなる基材;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン等のポリフッ化エチレン系樹脂からなる基材;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド樹脂からなる基材;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体からなる基材;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂からなる基材;ポリスチレンからなる基材;ポリカーボネート(PC)からなる基材;ポリアリレートからなる基材;ポリイミドからなる基材;ガラスエポキシ樹脂からなる基材;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙からなる基材等が用いられる。
ICチップ32としては、特に限定されず、第1アンテナ31および第2アンテナ40を介して非接触状態にて情報の書き込みおよび読み出しが可能なものであれば、非接触型ICタグや非接触型ICラベル、あるいは、非接触型ICカード等のRFIDメディアに適用可能なものであればいかなるものでも用いられる。
第1アンテナ31および第2アンテナ40としては、公知のポリマー型導電インク、銀インク組成物等の導電性のインクからなるもの、金属箔をエッチングしてなるもの、電気メッキや静電メッキ、もしくは金属蒸着等の各種薄膜形成法により形成された金属薄膜からなるものが挙げられる。あるいは、第1アンテナ31および第2アンテナ40としては、板状の金属を打ち抜いたもの、金属からなる繊維状のもの、樹脂からなる繊維に金属などの導電材料を練りこんだもの、樹脂からなる繊維にめっき、もしくは蒸着等で導電性材料を被覆したものも挙げられる。
このような構成の非接触型データ受送信体10は、金属体50に貼付して(例えば、金属体50上に配置して)用いられるが、粘着テープなどの粘着材を用いて、金属体50上に貼付される。
本実施形態の非接触型データ受送信体10は、基材20の一方の面20aに設けられ、ICチップ32およびそれに接続された第1アンテナ31を有するインレット30、および、第1アンテナ31に沿って、かつ、第1アンテナ31に対して未接着状態で配設され、基材20の長手方向の両端部まで延在するブースター用の第2アンテナ40と、を備え、基材20および第2アンテナ40は、それぞれの両端から中央部に向かって次第に金属体50から離隔するように、長手方向において対称な弧状をなし、ICチップ32は、弧状をなす第2アンテナ40の頂部に配置されているため、複雑なアンテナ設計等を行うことなく、金属体50に近付けた状態で、通信距離をより長くすることができる。また、本実施形態の非接触型データ受送信体10は、第1アンテナ31を有するインレット30と第2アンテナ40の組み合わせからなる構成が元来有している通信性能(通信距離)以上の通信性能(通信距離)が得られる。
なお、本実施形態では、基材20の一方の面20aに、インレット30と第2アンテナ40が設けられた場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、インレットと第2アンテナがそれぞれ、基材の異なる面に設けられていてもよい。また、本発明にあっては、基材上にインレットおよび第2アンテナが設けられていなくてもよく、インレットおよび第2アンテナが単独で設けられていてもよい。
また、本実施形態では、第2アンテナ40として、ポール状のアンテナを例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、第2アンテナの長手方向の長さが非接触ICモジュールに利用できる極超短波帯〈UHF〉やマイクロ波帯の電波の周波数(300MHz〜30GHz)の1/2波長に相当する長さで、かつ、中央部が第2アンテナにおける電流分布の最も高いところに設けられていれば、第2アンテナの形状はいかなるものであってもよい。
また、本実施形態では、基材20と、インレット30と、第2アンテナ40とを備えた非接触型データ受送信体10を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、後述する第2の実施形態のように、非接触型データ受送信体は、基材と、インレットと、第2アンテナと、これらが収容される筐体とを備えていてもよい。
(2)第2の実施形態
図2は、第2の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図である。図2において、図1に示した第1の実施形態の非接触型データ受送信体と同一の構成要素には同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施形態の非接触型データ受送信体100は、平面視長方形状の基材20と、基材20の一方の面20aに設けられた、第1アンテナ31を有するインレット30、および、第2アンテナ40と、これらが収容される筐体110と、筐体110の基台120の底面(基台120が対称物に接する面)120aにおいて、第2アンテナ40と、厚さ方向に重なる(対向する)位置に設けられた金属層140とから概略構成されている。
筐体110は、金属体上に載置される基台120と、基台120の上部に配置されるとともに、上述の第1の実施形態の非接触型データ受送信体10と同一構成の非接触型データ受送信体が配置される蓋部材130とから概略構成されている。
基台120は、図2(b)に示すように、例えば、断面形状が凹状をなす部材であり、金属体上に載置された状態で蓋部材130を支持した場合、金属体と蓋部材130が離隔した状態を保持する。
蓋部材130は、図2(b)に示すように、断面形状が弧状をなす部材であり、その基台120と対向する面130a側に、上述の第1の実施形態の非接触型データ受送信体10と同一構成の非接触型データ受送信体が配置される。また、蓋部材130は、非接触型データ受送信体10と同一構成の非接触型データ受送信体が配置された状態で基台120の上部に配置される。
蓋部材130の曲率(曲げ半径)は、特に限定されず、非接触型データ受送信体100に求められる共振周波数に応じて適宜調整される。
基台120および蓋部材130の材料としては、絶縁材料が用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ4フッ化エチレン等のポリフッ化エチレン系樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート(PC);ポリアリレート;ポリイミド;ガラスエポキシ樹脂などが挙げられる。
基台120と蓋部材130を接合するには、超音波溶着や各種接着剤が用いられる。
金属層140は、平面視長方形状をなしており、第2アンテナ40の長手方向の両端と対向する位置まで延在している。
金属層140は、銅、銀、アルミニウム、SUS等の金属からなる金属箔、金属板等から構成されている。
金属層140が、第2アンテナ40と、厚さ方向に重なる(対向する)位置に設けられるとは、非接触型データ受送信体100を、基材20の一方の面20a側から平面視した場合、金属層140が、第2アンテナ40と重なって見えるように設けられることである。
金属層140は、基台120における底面120aとは反対側の面(筐体110の内側の底面)120bに、第2アンテナ40の長手方向の両端と対向する位置まで延在するように設けられていてもよい。また、金属層140は、基台120の内部に、底面120aに沿って、第2アンテナ40の長手方向の両端と対向する位置まで延在するように設けられていてもよい。また、金属層140は、筐体110の内部空間110Aにおける基材20と対向する位置に、第2アンテナ40の長手方向の両端と対向する位置まで延在するように設けられていてもよい。
なお、金属層140と、インレット30および第2アンテナ40とが接した状態では、インレット30および第2アンテナ40は通信不能となるため、金属層140と、インレット30および第2アンテナ40との間には間隙(空間)が設けられている必要がある。
本実施形態の非接触型データ受送信体100によれば、第2アンテナ40と、厚さ方向に重なる(対向する)位置に金属層140が設けられているため、金属体のみならず、あらゆる材質からなる対称物に貼付した状態で、非接触通信を行うことができる。また、筐体110内に、基材20、インレット30および第2アンテナ40が収容されているので、これらが損傷することを防止できる。
なお、本実施形態では、蓋部材130の基台120と対向する面130a側に、基材20、インレット30および第2アンテナ40が配置されている場合を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、蓋部材の基台と対向する面とは反対の面側に、基材、インレットおよび第2アンテナ配置されていてもよい。
(3)第3の実施形態
図3は、第3の実施形態の非接触型データ受送信体を示す概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線に沿う断面図である。
本実施形態の非接触型データ受送信体200は、平面視長方形状の基材210と、基材210の一方の面210aに設けられた、第1アンテナ221を有するインレット220、および、第2アンテナ230とから概略構成されている。非接触型データ受送信体200は、金属体250に貼付して用いられる。
インレット220は、第1アンテナ221と、ICチップ222と、平面視正方形状のフィルム状またはシート状の絶縁基材223とから概略構成されている。第1アンテナ221およびICチップ222は、絶縁基材223の一方の面223aに設けられ、互いに電気的に接続されている。
第2アンテナ230は、インレット220の第1アンテナ221の近傍で、かつ、第1アンテナ221の外縁の少なくとも一部に沿うように設けられている。なお、第2アンテナ230が、第1アンテナ221の外縁に沿うように設けられるとは、第1アンテナ221と第2アンテナ230の間で電気的な接続(電磁界結合)が可能な位置に、両者が互いに配置されていることを言う。本実施形態では、第2アンテナ230は、平面視正方形状のループ状の第1アンテナ221の3辺に沿うように設けられ、第1アンテナ221に沿う部分においては、平面視コ字状をなしている。
さらに言い換えれば、第2アンテナ230は、インレット220(第1アンテナ221)の外側に沿うように配設された部分(沿在部)231と、沿在部231から基材210の長手方向の両端部まで延在する線状または帯状の放射素子232,232とからなるアンテナである。第2アンテナ230の沿在部231は、線状または帯状の導電体が平面視コ字形状をなしている。
第2アンテナ230の沿在部231は、その内側に配されるインレット220(第1アンテナ221)とほぼ同一の形状に形成されていることが好ましい。さらに、インレット220(第1アンテナ221)と沿在部231は非接触に設けられているが、両者の間の隙間はできる限り小さくなるように沿在部231を形成し、かつ、両者の間の隙間はできる限り小さくなるように沿在部231内にインレット220(第1アンテナ221)を配置することが好ましい。また、第1アンテナ221と第2アンテナ230の距離は、両者の間で電気的な接続(電磁界結合)が可能な範囲であれば特に限定されないが、電気的な接続を確実なものとするためには、2mm以内が好ましい。
基材210は、図3(b)に示すように、その長手方向の端(両端)210b,210bから頂部に向かって次第に金属体250から離隔するように、その長手方向において、その頂部を基準として非対称な弧状をなしている。同様に、基材210の長手方向の両端部まで延在する第2アンテナ230は、その長手方向の端(両端)230a,230aから沿在部231に向かって次第に金属体250から離隔するように、その長手方向において、その沿在部231を基準として非対称な弧状をなしている。すなわち、基材210および第2アンテナ230は、金属体250における非接触型データ受送信体200が貼付される面(表面)250aとは反対側に凸となる弧状をなしている。なお、第2アンテナ230が、その両端230a,230aから沿在部231に向かって次第に金属体250から離隔するように、長手方向において弧状をなしているとは、図3(b)に示すように、第2アンテナ230の両端230a,230aと金属体250の表面250aの距離をd11、第2アンテナ230の沿在部231と金属体250の表面250aの距離をd12としたとき、d11<d12の関係をなす弧状をなしていることを言う。
また、基材210および第2アンテナ230は、ICチップの中心を通り、基材210および第2アンテナ230の長手方向に垂直な中心線を基準として紙面左側の領域αと紙面右側の領域βとからなり、例えば、領域βの長手方向の長さが、領域αの長手方向の長さの3倍となっている。そのため、図3(b)に示すように、領域αでは、基材210および第2アンテナ230が、長手方向の端(紙面左端)からICチップ222が設けられている部分に向かって小さい曲率で湾曲(急激に湾曲)している。一方、図3(b)に示すように、領域βでは、基材210および第2アンテナ230が、長手方向の端(紙面右端)からICチップ222が設けられている部分に向かって大きい曲率で湾曲(緩やかに湾曲)している。これにより、基材210および第2アンテナ230は、同じ曲率(曲げ半径)で弧状をなし、弧状をなす基材210の頂部に、ICチップ222が配置される。
基材210と第2アンテナ230の曲率(曲げ半径)は、特に限定されず、非接触型データ受送信体200に求められる共振周波数に応じて適宜調整される。
基材210としては、上述の基材20と同様のものが用いられる。
ICチップ222としては、上述のICチップ32と同様のものが用いられる。
第1アンテナ221としては、上述の第1アンテナ31と同様のものが用いられる。
第2アンテナ230としては、上述の第2アンテナ40と同様のものが用いられる。
このような構成の非接触型データ受送信体200は、金属体250に貼付して(例えば、金属体250上に配置して)用いられるが、粘着テープなどの粘着材を用いて、金属体250上に貼付される。
本実施形態の非接触型データ受送信体200は、基材210の一方の面210aに設けられ、ICチップ222およびそれに接続された第1アンテナ221を有するインレット220、および、第1アンテナ221に沿って、かつ、第1アンテナ221に対して未接着状態で配設され、基材210の長手方向の両端部まで延在するブースター用の第2アンテナ230と、を備え、基材210および第2アンテナ230は、それぞれの長手方向の両端から中央部に向かって次第に金属体250から離隔するように、長手方向において、非対称な弧状をなし、ICチップ222は、弧状をなす第2アンテナ230の頂部に配置されているため、複雑なアンテナ設計等を行うことなく、金属体250に近付けた状態で、通信距離をより長くすることができる。また、本実施形態の非接触型データ受送信体200は、第1アンテナ221を有するインレット220と第2アンテナ230の組み合わせからなる構成が元来有している通信性能(通信距離)以上の通信性能(通信距離)が得られる。
また、本実施形態では、基材210と、インレット220と、第2アンテナ230とを備えた非接触型データ受送信体200を例示したが、本発明はこれに限定されない。本発明にあっては、上述の第2の実施形態のように、非接触型データ受送信体は、基材と、インレットと、第2アンテナと、これらが収容される筐体とを備えていてもよい。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
「実施例1」
ICチップおよびこれに電気的に接続された第1アンテナを有するインレットと、第1アンテナに沿って、かつ、第1アンテナに対して未接着状態で配設されたブースター用の第2アンテナと、これらを配置する平面視長方形状のPET基材と、を有する非接触型データ受送信体を作製した。この非接触型データ受送信体において、ICチップを、PET基材の長手方向の中央部に配置した。また、第2アンテナを、PET基材の長手方向の両端部まで延在するように形成した。
さらに、PET基材および第2アンテナを、それぞれの長手方向において対称な弧状をなすように成形し、図1に示すような、実施例1の非接触型データ受送信体を作製した。なお、PET基材と第2アンテナを、同じ曲率(曲げ半径)で弧状をなすように成形した。具体的には、非接触型データ受送信体を平面上に配置した場合、その平面からICチップまでの距離が15mmとなるような曲率になるように、PET基材および第2アンテナを弧状に成形した。
インレットとしては、ガラスエポキシからなる基材の一方の面に、ICチップおよび第1アンテナが設けられたものを用いた。
第1アンテナを、銅箔でループ状に形成した。
第2アンテナを、アルミニウム薄膜で形成した。
「比較例1」
PET基材および第2アンテナを弧状に成形することなく、平面状とした以外は実施例1と同様にして、比較例1の非接触型データ受送信体を作製した。
「非接触型データ受送信体の通信距離の測定」
実施例1および比較例1の非接触型データ受送信体の通信距離を金属板上に配置し、情報書込/読出装置(商品名:Tag Formancelite、Voyantic社製)を用いて、電波暗箱内にて、実施例1および比較例1の非接触型データ受送信体の通信距離をシミュレーションした。
なお、実施例1の非接触型データ受送信体と比較例1の非接触型データ受送信体において、金属板における非接触型データ受送信体を載置した面からICチップまでの距離を同一とした。
通信距離を測定において、情報書込/読出装置の出力を30dBmとした。
結果を図4に示す。
図4の結果から、基材および第2アンテナを弧状に成形した実施例1の非接触型データ受送信体は、基材および第2アンテナを平面状とした比較例1の非接触型データ受送信体よりも通信距離が長くなり、実施例1の非接触型データ受送信体は、比較例1の非接触型データ受送信体よりも通信距離が2倍以上になることが分かった。
「実施例2」
ICチップおよびこれに電気的に接続された第1アンテナを有するインレットと、第1アンテナに沿って、かつ、第1アンテナに対して未接着状態で配設されたブースター用の第2アンテナと、これらを配置する平面視長方形状のPET基材と、を有する非接触型データ受送信体を作製した。この非接触型データ受送信体において、PET基材および第2アンテナを、ICチップの中心を通り、基材および第2アンテナの長手方向に垂直な中心線を基準として、長手方向の長さの短い領域と、長手方向の長さの長い領域とからなり、長さの長い領域の長さが、長さの短い領域の長さの3倍とした。これにより、PET基材および第2アンテナを、それぞれの長手方向において非対称な弧状をなすように成形し、図3に示すような、実施例2の非接触型データ受送信体を作製した。
なお、PET基材と第2アンテナを、同じ曲率(曲げ半径)で弧状をなすように成形した。具体的には、非接触型データ受送信体を平面上に配置した場合、その平面からICチップまでの距離が16mmとなるような曲率になるように、PET基材および第2アンテナを弧状に成形した。
インレットとしては、実施例1と同様のものを用いた。
第1アンテナを、銅箔でループ状に形成した。
第2アンテナを、アルミニウム薄膜で形成した。
「比較例2」
PET基材および第2アンテナを弧状に成形することなく、平面状とした以外は実施例2と同様にして、比較例2の非接触型データ受送信体を作製した。
「非接触型データ受送信体の通信距離の測定」
実施例1および比較例1の非接触型データ受送信体と同様にして、実施例2および比較例2の非接触型データ受送信体の通信距離をシミュレーションした。
結果を図5に示す。
図5の結果から、基材および第2アンテナを弧状に成形した実施例2の非接触型データ受送信体は、基材および第2アンテナを平面状とした比較例2の非接触型データ受送信体よりも通信距離が長くなり、実施例2の非接触型データ受送信体は、比較例1の非接触型データ受送信体よりも通信距離が1.8倍以上になることが分かった。
10,100,200・・・非接触型データ受送信体、20,210・・・基材、30,220・・・インレット、31,221・・・第1アンテナ、32,222・・・ICチップ、33・・・絶縁基材、34,35・・・アンテナ、40,230・・・第2アンテナ、41・・・中央部、42,232・・・放射素子、50,250・・・金属体、110・・・筐体、120・・・基台、130・・・蓋部材、140・・・金属層。

Claims (1)

  1. 金属体に貼付して用いられる非接触型データ受送信体であって、
    ICチップおよび該ICチップに接続された第1アンテナを有するインレットと、前記第1アンテナに沿って、かつ、前記第1アンテナに対して未接着状態で配設されるブースター用の第2アンテナと、を備え、
    前記第2アンテナは、その両端から中央部に向かって次第に前記金属体から離隔するように、長手方向において弧状をなし、
    前記ICチップは、弧状をなす前記第2アンテナの頂部に配置され、
    前記第2アンテナは、前記ICチップの中心を通り、前記インレットおよび前記第2アンテナの長手方向に垂直な中心線を基準として、長手方向の長さの短い領域と、長手方向の長さの長い領域とからなり、前記長さの長い領域の長さが、前記長さの短い領域の長さの3倍であることを特徴とする非接触型データ受送信体。
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