JP6942954B2 - Rfタグ - Google Patents
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Description
RFタグは、RFID(Radio Frequency Identification)タグ,ICタグ,非接触タグ等とも呼ばれ、ICチップと無線アンテナを備えた電子回路が樹脂フィルム等の基材によって封止・コーティングされた所謂インレイ(インレット)が、タグ(荷札)状に形成されてなる超小型の通信端末であり、読取・書込装置(リーダ・ライタ)によってタグ内のICチップに所定の情報が無線で読み取り/書き込み/読み書き(リードオンリー/ライトワンス/リード・ライト)されるようになっている。
そして、このようなRFタグに所定の情報を書き込んで任意の物品,対象物等に取り付けることにより、RFタグに記録された情報がリーダ・ライタによりピックアップされ、タグに記録された情報を当該物品に関する所定情報として認識,出力,表示,更新等させることができる。
そして、このようなRFタグを用いることで、タグを取り付ける物品に関する種々の情報、例えば当該物品の名称や識別記号,内容物,成分,管理者,使用者,使用状態,使用状況,日時などの種々の情報が記録可能となり、ラベル表面に印刷表示される文字やバーコード等では不可能であった多種多様な情報を、小型化・薄型化されたタグを物品に装着するだけで正確に読み書きすることが可能となる。
特に、UHF帯の高周波数帯を使用する電波方式のRFタグでは、135KHzや13.56MHz帯域を使用する電磁誘導方式の場合と比べて、通信距離は長くなる反面、金属による吸収や反射等によって通信特性が大きく損なわれやすいという問題があった。
このような移行後の920MHz帯を使用するRFタグにおいても、上述した金属の影響は避けられず、有効な対策が講じられることが強く望まれている。
RFタグの通信特性はアンテナサイズによる利得によって左右されることから、RFタグに対して更に面上のパッチアンテナ(補助アンテナ)を積層することで、RFタグのアンテナサイズを実質的に大きくすることで、通信距離を大きく確保して通信特性を向上させることが可能となる。
RFタグは、それ自体がアンテナを備えており、アンテナの一部はループ回路として構成され、それによってRFタグ単独でも通信が行えるようになっている。
ところが、補助アンテナがRFタグに重ねて配置されると、RFタグのアンテナやループ回路の一部又は全部が補助アンテナによって覆われてしまい、RFタグの通信特性が向上せず、却って損なわれるような場合があった。
さらに、RFタグに重なるように配置される補助アンテナは、積層するRFタグの形状や構成等に制約されて、アンテナの設計範囲も制限され、補助アンテナの形状や大きさなどの設計の自由度が制約を受けるという問題もあった。
このため、補助アンテナによってRFタグの通信特性を改善・向上させつつ、RFタグ自体が備えるアンテナを有効活用し、かつ、補助アンテナの設計の自由度等も確保できるための技術が望まれたが、現在までのところ、有効な提案等はなされていなかった。
そして、本発明によれば、RFタグ自体が備えるアンテナやループ回路を有効に機能させることができ、かつ、補助アンテナの設計範囲等に制限を与えることなく、補助アンテナの設計等の自由度を向上させることが可能となる。
これによって、例えばアルミ製の金属容器や金属製の筐体等に好適な金属対応RFタグを実現することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るRFタグを示す外観図であり、(a)はRFタグの完成状態の斜視図、(b)はRFタグを構成する表層,インレイ,補助アンテナ,基材を分解した状態の斜視図を示している。
同図に示すように、本実施形態に係るRFタグ1は、無線通信を行うRFタグを構成するインレイ10と面状の補助アンテナ20とが積層状態で配置され、それらインレイ10,補助アンテナ20が基材50の表面に搭載された状態で、表層40により被覆・保護されてRFタグ1を構成するようになっている。
また、補助アンテナ20は、当該補助アンテナ20の共振軸に沿った辺の中心位置が、インレイ10のループ部11aと対向するように配置されて、ICチップ11の近傍に位置するようにすることが好ましい。
インレイ10のICチップ部分は、最も電力が供給される部分であり、その付近に補助アンテナの共振軸の中心位置を配置させることで、誘導電流の効果によって、補助アンテナ20による通信利得を向上させることができるようになる。
また、補助アンテナ20をインレイ10のループ部11aと対向させることで、補助アンテナ20がループ部11aに重なることなく離間・対向することによって、後述するようにRFタグ1の通信特性を向上させることができる。なお、インレイ10にループ部11aが備えられない場合にも、ICチップ11の近傍に補助アンテナ20の共振軸に沿った辺の中心位置が位置することで、誘導電流の効果により通信特性を向上させることが可能となる。
特に、補助アンテナ20は、図2(a),図3(a)に示すように、インレイ10のアンテナ12に接することなく、インレイ10と投影面上で並列に配置されるようになっている。
補助アンテナ20は、インレイ10の通信周波数に対応して所定の形状・大きさに形成されるようになっており、その補助アンテナ20が、インレイ10に対して所定位置となるように配置され(図2(a),図3(a)参照)、基材50上に搭載されるようになっている。
以下、各部を詳細に説明する。
インレイ10は、図示しないリーダ・ライタ(読取・書込装置)との間で無線による所定の情報の読み取りや書き込み,読み書きが行われるRFタグを構成しており、例えばリードオンリー型,ライトワンス型,リード・ライト型等の種類がある。
具体的には、インレイ10は、ICチップ11と、ICチップ11に電気的に導通・接続されたアンテナ12とを有し、これらICチップ11及びアンテナ12が、基材となる例えばPET樹脂等で形成された1枚の封止フィルム13上に搭載,形成された後、もう1枚の封止フィルム13が重ね合わされて、2枚の封止フィルム13によって挟持された状態で封止・保護されている。
本実施形態では、ICチップ11とICチップ11の両側に伸びるアンテナ12を長方形状の封止フィルム13で挟持・封止した矩形状のインレイ10を用いている。
ICチップ11には、チップ周囲を囲むようにループ状の回路導体が接続されてループ部(ループ回路)11aが形成されており、このループ部11aを経由して、ICチップ11の左右両側にアンテナ12が接続されている。
そして、このアンテナ12及び後述する補助アンテナ20を介して図示しないリーダ・ライタとの間で無線通信による読み書き(データ呼び出し・登録・削除・更新など)が行われ、ICチップ11に記録されたデータが認識されるようになっている。
ICチップ11に記録されるデータとしては、例えば、商品の識別コード、名称、重量、内容量、製造・販売者名、製造場所、製造年月日、使用期限等、任意のデータが記録可能であり、また、書換も可能である。
ここで、アンテナ12は、ICチップ11の左右両側に伸びる長手方向の長さが、インレイ10の電波周波数の波長の整数分の1、例えば電波周波数の波長の略1/2や略1/4の長さとなるように形成される。本実施形態に係るインレイ10では、アンテナ12は、ICチップ11の左右両側に伸びる長手方向がほぼ直角に2回曲折されることで、アンテナ12の長手方向の両端が、互いにループ部11aに向かって伸びる鉤型形状に形成され、所定のアンテナ長となるように形成されている。
また、本実施形態に係るアンテナ12は、金属薄膜の中央部分が、ICチップ11の近傍から長手方向の両端部分まで、長手方向に沿って金属薄膜が存在しない中空・打ち抜き状に形成されており、アンテナ12の導電性部分が環状・ループ状となるように形成されている。これによって、アンテナ12の導電性部分の距離が確保され、所定のアンテナ長が得られるようになっている。
また、封止フィルム13の片面側のフィルム表面には、基材や物品への貼り付けができるように粘着層・接着層を備えることができる。
なお、封止フィルム13は、2枚の封止フィルム13によって、ICチップ11及びアンテナ12を挟持した状態で封止してもよく、また、1枚の封止フィルム13を折り曲げて、ICチップ11及びアンテナ12を挟持して封止することもできる。
一般にRFタグで使用される周波数帯としては、例えば、135kHz以下の帯域、13.56MHz帯、UHF帯に属する860M〜960MHz帯、2.45GHz帯等の数種類の周波数帯がある。そして、使用される周波数帯によって無線通信が可能な通信距離が異なるとともに、周波数帯によって最適なアンテナ長などや配線パターンが異なってくる。
そこで、本実施形態では、インレイ10が小型化でき、また、後述する補助アンテナ20を所定のサイズに形成する関係上、波長が短くアンテナが小型化できるUHF帯を対象とするようにしてあり、具体的には920MHz帯を対象として、この920MHz帯において良好な通信特性が得られるようにしている。
但し、インレイ10や補助アンテナ20の大きさの制約がなければ、本発明に係る技術思想自体は、920MHz帯、UHF帯以外の周波数帯域についても適用できることは勿論である。
補助アンテナ20は、上述したインレイ10の通信特性を向上・調整するためのエクストラアンテナとして機能するものであり、図1(b)に示すように、基材50上に搭載されて、インレイ10と同一平面上に配置される面状の導電性部材からなり、封止フィルム13によって樹脂封止されたインレイ10とは絶縁状態となっている。
すなわち、インレイ10は、封止フィルム13によって全体が樹脂封止されており、導電性部材からなる補助アンテナ20とは物理的には絶縁状態となっている。
これによって、インレイ10には補助アンテナ20が同一平面上で対向して配置されることで、インレイ10のアンテナ12と補助アンテナ20により二次元アンテナが構成され、補助アンテナ20が通信電波のブースターとして機能することになり、インレイ10の通信特性の調整・向上が図られることになる。
図2に本実施形態に係る補助アンテナの平面図を示してあり、同図(a)は補助アンテナをインレイと積層させずにループ回路部分に対向・離間させて配置した場合、(b)は補助アンテナをインレイのループ回路部分に当接・積層させて配置した場合、(c)は補助アンテナを配置しないインレイ単独の場合を示している。
同図(a)及び(b)に示すように、本実施形態では、補助アンテナ20は、長辺及び短辺がインレイ10の長辺及び短辺とほぼ同じ長さの矩形・面状に形成されるようになっている。
補助アンテナ20の長辺(長手方向)の長さは、パッチアンテナの原理により、通信電波の波長の整数倍又は整数分の1(1/2,1/4,1/8・・・)とすることにより整合を取ることができる。そして、RFタグ1の全体の大きさ(長さ)は、補助アンテナ20の長さによってほぼ規定されることになり、例えば補助アンテナ20の長さを1/2波長とすれば、RFタグ1の全体の大きさ(長さ)もほぼ1/2波長かそれよりやや大きい(長い)ものとなる。
この点、タグの全長が長くなり過ぎる(大き過ぎる)ことは小型化が要請されるRFタグの性質上好ましくない。
このような構成により、補助アンテナ20は、インレイ10の電波周波数の波長の略1/2の長さのアンテナとして、良好な通信特性が得られるようになる。
具体的には、例えば対象とするインレイ10の通信周波数920MHzの場合には、λ≒326.0mm,λ/2≒163.0mmとなる。従って、補助アンテナ20は、長辺の長さ、あるいは長辺と隣接する両短辺を合わせた3辺合計の長さが、163.0mm前後となるように形成されることになる。
このため、本実施形態に係るインレイ10においても、導体である補助アンテナ20とインレイ10のアンテナ12に介在するPET層の構造が波長短縮効果を生み、このPET層を利用することで、見かけの波長が短縮されることになる。PETの比誘電率はおよそ「4」である。
このため、本実施形態における補助アンテナ20の長辺の長さ、あるいは長辺及び隣接する両短辺の3辺の長さもおよその値であり、その長さが例えば略λ/2の値となっていれば十分であり、RFタグ1の基材50の材質や誘電率,タグの使用環境,使用態様等による通信特性の変化に応じて長さが前後することはある。
本実施形態では、図2(a),(b)に示すように、補助アンテナ20には、インレイ10のループ部11aと対向する当該補助アンテナ20の共振軸に沿った辺の中心位置に凸部21が形成されており、この凸部21がICチップ11の近傍に位置するように配置される。
さらに、本実施形態では、図2(a)に示すように、上記の凸部21を含めた補助アンテナ20が、インレイ10のアンテナ12に接することなく、インレイ10と投影面上で並列に配置されるようになっている。
すなわち、インレイ10のICチップ11近傍にはループ回路が形成されており(ループ部11a)、このループ部11aは、インピーダンスの整合を図る目的があり、かつ、磁界成分での通信を行うために設けられており、この磁界成分が補助アンテナ20の導体により阻害されないようにする必要がある。
さらに、補助アンテナ20がインレイ10に重なるように配置されると、インレイ10のアンテナ12やループ部11aの制約を受けて補助アンテナ20の設計範囲も制限され、補助アンテナの形状や大きさなどの設計の自由度が制約を受けることになる。
一方で、補助アンテナ20とインレイ10とが離れすぎてしまうと、封止フィルム13を介した所謂コンデンサカップリングによる電気的接続が不十分となり、良好な通信特性が得られないことになる。
具体的には、本実施形態に係る補助アンテナ20には、図2(a)に示すように、インレイ10のループ部11aと対向する長辺の中心位置に凸部21が形成されており、この凸部21がICチップ11の近傍に、所定距離をもって対向配置されるようになっている。
このとき、インレイ10の全体を被覆する封止フィルム13は、補助アンテナ20の一部に重なっており、補助アンテナ20とインレイ10のICチップ11は、封止フィルム13を介して対向配置され、コンデンサカップリングによって電気的接続される。
このような配置構成によって、補助アンテナ20とインレイ10のアンテナ12の双方のアンテナ面積を最大限に広く利用することができ、それによってアンテナ利得を最大限に増大させることができる。
具体的には、補助アンテナ20の凸部21は、インレイ10のICチップ11のループ部11aの幅を基準にしており、凸部21を含む補助アンテナ20の導体が、ICチップ11及びループ部11aに重ならず、かつ、凸部21がループ部11aの長手方向の幅とほぼ同じ長さとなるような大きさに形成される。
まず、図3(a)は、補助アンテナ20をインレイ10に積層させずループ部11aに対向・離間させて並列配置させた場合である。この場合、補助アンテナ20の外形寸法は、例えば補助アンテナ20の幅(長手方向の長さ):105mm,高さ(短手方向の長さ):11mm、凸部21の幅:23mm,高さ7mmとなり、インレイ10のループ部11aを含むアンテナ12と補助アンテナ20のアンテナ部分は、投影面積:2014mm2となる。
一方、図3(b)は、補助アンテナ20をインレイ10の一部に積層させて配置した場合である。この場合、補助アンテナ20の外形寸法は、例えば補助アンテナ20の幅:105mm,高さ:13mm、凸部21の幅:25mm,高さ△2mmとなり、インレイ10のループ部11aを含むアンテナ12と補助アンテナ20のアンテナ部分は、投影面積:1755mm2となる。
図3に示す例では、(a)に示した並列配置と(b)に示した積層配置の場合とでは、インレイ10・補助アンテナ20のアンテナ部分の投影面積は、2014mm2−1755mm2=259mm2の面積差が生じることになる。
さらに、対向配置されるインレイ10と補助アンテナ20とは、所定の距離をもって離間して配置されるようになっている。このインレイ10と補助アンテナ20との離間する距離とその通信特性については、図4〜8を参照して後述する。
そこで、補助アンテナ20は、上述した大きさ・形状を有していれば、面状部分を例えばメッシュ(網目)状,格子状等に形成することができる。
このように補助アンテナ20をメッシュ状等に形成することで、表皮効果によりアンテナとしての機能は損なわれず、かつ、補助アンテナ20の全体の導体部分の面積を少なくすることができ、補助アンテナ20を形成する導電性インク等の導体材料を節減でき、RFタグ1の更なる低コスト化を図ることができるようになる。
基材50は、上述したインレイ10及び補助アンテナ20が搭載される基材層となるとともに、搭載されたインレイ10に対する誘電率調整層として機能する部材である。
本実施形態では、インレイ10及び補助アンテナ20がはみ出さずに同一平面上に配置・搭載できるように、上述した並列配置された状態のインレイ10及び補助アンテナ20の外形よりも一回り大きな板状・面状等に形成されている。
表層40は、インレイ10及び補助アンテナ20を搭載した基材50の一面に貼着・接着されるシート状部材であり、例えば、紙や合成紙、ポリエチレン,ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリプロピレン,ポリイミド等の樹脂からなる可撓性を有するシート材,フィルム材によって形成することがでる。
これによって、RFタグ1は、基材50が取付対象の表面に貼付・固定されて、容易に脱落・剥離等されないように金属物品の表面に配置・固着される。
また、基材50は、上記のような架橋ポリオレフィン発泡体により形成した単一の帯状部材によって構成することもでき、また、複数(例えば二層)の帯状部材を重ね合わせて一つの基材50を構成することもできる。
基材50となるマグネットは、RFタグ1の取付対象となる金属に対して磁力による貼付・取付が可能な磁石を、基材50に対応する所定の大きさ・厚みを有する板状・帯状に形成して、樹脂製等の基材50に積層・貼着して構成することができる。
例えば、基材50は、所定の部材によって、所定の厚みで形成されることにより、インレイ10の通信特定に対して好適な比誘電率を有する誘電率調整層として形成することができる。
したがって、使用するインレイ10の種類や通信特性,RFタグ1を使用する物品・使用環境・使用周波数帯域などの諸条件を考慮して、基材50として適切な材質と厚みを選定し、基材50のみを選択・交換することで、RFタグ1を異なる物品に使用したり、異なる通信周波数に対応させることが可能となる。
以上説明した本実施形態に係るRFタグ1は、図1に示すように、基材50及び表層40によって挟持・封止された状態で使用することができるが、さらに、そのようなRFタグ1を所定の筐体(ケース)に収納して使用することも可能である。
筐体としては、特に図示しないが、内部に上述した並列配置されるインレイ10及び補助アンテナ20を収納することができる収納手段・保護手段であればどのような構成のものでも良い。例えば、基材50及び表層40で挟持・封止されたインレイ10及び補助アンテナ20を収納可能な内部空間を備えた、合成樹脂や金属製のケースなどで構成することができる。
なお、インレイ10及び補助アンテナ20が筐体に収納・保護される場合には、基材50及び表層40の一部又は全部を省略することができる。
この場合には、筐体を構成する収納部や蓋部材などが、基材50や表層40としての機能を果たすことになる。
また、その場合には、上述した基材50が果たす誘電率調整層としての機能も、筐体の本体や蓋部材等が果たすことになる。
次に、以上のような構成からなる本実施形態に係るRFタグ1の通信特性について、図4〜8を参照しつつ説明する。
図4は、図2に示したインレイ10と補助アンテナ20の配置関係に対応した、インレイ10のアンテナ12及び補助アンテナ20に流れる誘導電流の強度を示す説明図である。
同図に示すように、まず、インレイ10と補助アンテナ20とを接触・積層せずに投影面上に離間・対向する並列配置とした場合には、インレイ10のアンテナ12及び補助アンテナ20に流れる誘導電流は、11A/m(アンペア/メートル)以上となっていることが分かる。
さらに、補助アンテナ20を備えずにインレイ10を単独で配置した場合には、インレイ10のアンテナ12に流れる誘導電流は、約9A/m程度であり、補助アンテナ20を備える場合と比較して、誘導電流が大きく減少することが分かる。
したがって、本実施形態に係るインレイ10と補助アンテナ20とを離間して並列配置させたRFタグ1は、アンテナ部分の誘導電流を大きく確保して、アンテナ利得を向上・増大させて良好な通信特性が得られることが理解できる。
図5は、補助アンテナ20インレイ10のループ部11aとの対向間距離を順次異ならせた場合を模式的に示す図であり、上から1mm,2mm,3mm,4mm,5mm,6mmと対向間距離を大きくした場合である。
図6は、図5に対応して補助アンテナ20インレイ10のループ部11aとの対向間距離を順次異ならせた場合における、RFタグ1の通信特性(読み取り距離と周波数の関係)を示した折れ線グラフである。
特に、図6に示されるように、インレイ10のループ部11aと補助アンテナ20の凸部21との離間距離が1mm〜5mmの範囲では、読み取り距離が4〜10m以上となり、十分な通信距離が得られることが分かる。
したがって、インレイ10と補助アンテナ20の離間距離は、1mm〜5mmの範囲に設定することが好ましく、少なくとも6mm未満、5mm以内の範囲とすることが好ましい。
但し、この場合には、通信周波数の対応帯域が狭くなるため、離間距離は1mm程度あった方が、より好ましいことになる。
したがって、インレイ10と補助アンテナ20の離間距離は、少なくとも0mm以上の範囲に設定することが好ましい。
また、図8は、図7に対応して、RFタグ1の基材50としてマグネットを備える場合と備えない場合におけるRFタグ1の通信特性を対比したグラフである。
また、この場合、インレイ10のループ部11aと補助アンテナ20の凸部21との離間距離が0mmの場合、離間距離が1mmの場合に近い通信距離が得られているが、上述した図6の場合と同様に、対応可能な通信周波数の帯域が狭くなる。
このため、インレイ10のループ部11aと補助アンテナ20の凸部21の離間距離は1mm程度あった方が良いことが分かる。
特に、インレイ10のループ部11aと補助アンテナ20の凸部21との離間距離が1mmの場合には、読み取り距離がほぼ12mとなっており、より長い通信距離が得られていることが分かる。
このように、本実施形態に係るRFタグ1によれば、インレイ10のループ部11aと補助アンテナ20の凸部21とを、所定距離をもって離間して並列配置することで、RFタグ1の基材50としてマグネットを備える場合でも、マグネットを備えない場合とほぼ同様の十分な通信距離が確保され、RFタグ1の良好な通信特性が得られるようになる。
そして、本実施形態によれば、RFタグ1の補助アンテナ12を、インレイ10のループ部11aに対して所定間隔(距離)をもって対向・離間して配置することで、補助アンテナ20を、インレイ10のループ部11aを含むアンテナ12に接触・積層させることなく、補助アンテナ20とインレイ10のアンテナ12とを、投影面上で重なることなく並列に配置されるようになっている。
また、補助アンテナ20は、インレイ10のアンテナ12やループ部11aの制約を受けず、アンテナの設計範囲を拡張することができる。
したがって、本実施形態に係るRFタグ1では、RFタグ1自体が備えるアンテナ12やループ回路11aを有効かつ最大限に機能させることができ、また、補助アンテナ20の設計等の自由度を向上させることができ、使用するインレイ10に最適な補助アンテナ20を設計・調整等することができ、良好な通信特性が得られる金属対応のRFタグを実現することができるようになる。
すなわち、RFタグが使用され、リーダ・ライタを介して所定の情報・データが読み書きされる物品,対象物であれば、どのような物品・対象物であっても本発明に係るRFタグを適用することができる。例えばアルミ製の金属容器や金属製の筐体以外では、金属製のヒータや電気製品,食器,調理器具,家具,什器,コンテナ,自動車など、金属製の任意の物品・対象物に好適に用いることができる。
10 インレイ
11 ICチップ
11a ループ部
12 アンテナ
13 封止フィルム
20 補助アンテナ
21 凸部
40 表層
50 基材
Claims (3)
- ICチップとアンテナを備えたインレイと、
前記インレイと絶縁状態で積層される補助アンテナと、
積層された前記インレイ及び補助アンテナが搭載される基材と、を備え、
前記インレイのアンテナが、前記ICチップの近傍にループ回路を形成し、
前記補助アンテナが、
前記ループ回路と対向する当該補助アンテナの共振軸に沿った辺の中心位置に凸部を有し、
前記ループ回路と対向する前記補助アンテナの共振軸に沿った辺の中心位置が前記ICチップとの間に前記ループ回路を挟んで前記ループ回路に対向するように前記ループ回路の近傍に位置するように配置される
ことを特徴とするRFタグ。 - 前記補助アンテナが、前記インレイのアンテナに接することなく、前記インレイと投影面上で並列に配置される
ことを特徴とする請求項1記載のRFタグ。 - 前記補助アンテナの共振軸に沿った辺の中心位置が、前記インレイのループ回路に対して5mm以内で離間するように配置される
ことを特徴とする請求項1又は2記載のRFタグ。
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